(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】折り畳み型電気光学変調器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/035 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
G02F1/035
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509494
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 CN2022097963
(87)【国際公開番号】W WO2023020082
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110955347.1
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523399256
【氏名又は名称】ナンジン、リコア、テクノロジーズ、カンパニー、リミテッド
【住所又は居所原語表記】NANJING LYCORE TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ハンシアオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、イーピン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、インツォン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ハイツァン
(72)【発明者】
【氏名】マオ、ウェンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、シーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スン、ウェイチー
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、チンヤン
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102CA18
2K102DA05
2K102DB04
2K102DB08
2K102DD05
2K102EA02
2K102EA12
2K102EA17
(57)【要約】
折り畳み型電気光学変調器が提供され、折り畳み型電気光学変調器は、順に配置された第1の主電極、第1の導波アーム、第2の主電極、第2の導波アーム、および第3の主電極と、折り畳み型電気光学変調器の任意の偶数次無線周波数変調領域内に設けられた以下の構造、すなわち、複数の第1の副電極であって、第1の副電極の各々が、第1の導波アームから絶縁されて第1の導波アームと交差する第1の接続アームによって、第1の主電極のうち第2の主電極に近い側に接続された、複数の第1の副電極と、複数の第2の副電極であって、第2の副電極の各々が、第1の導波アームから絶縁されて第1の導波アームと交差する第2の接続アームによって、第2の主電極のうち第1の主電極に近い側に接続された、複数の第2の副電極と、複数の第3の副電極であって、第3の副電極の各々が、第2の導波アームから絶縁されて第2の導波アームと交差する第3の接続アームによって、第2の主電極のうち第3の主電極に近い側に接続された、複数の第3の副電極と、複数の第4の副電極であって、第4の副電極の各々が、第2の導波アームから絶縁されて第2の導波アームと交差する第4の接続アームによって、第3の主電極のうち第2の主電極に近い側に接続された、複数の第4の副電極とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み型電気光学変調器であって、
全体として折り畳み型であり、互いに交差しない第1の導波アームおよび第2の導波アームと、
全体として折り畳み型であり、互いに交差しない第1の主電極、第2の主電極、および第3の主電極であって、前記第1の導波アームが、前記第1の主電極と前記第2の主電極との間に位置し、前記第2の導波アームが、前記第2の主電極と前記第3の主電極との間に位置し、前記第1の主電極および前記第3の主電極が、無線周波数信号のための接地電極であり、前記第2の主電極が、前記無線周波数信号のための信号電極である、第1の主電極、第2の主電極、および第3の主電極と、
前記折り畳み型電気光学変調器の任意の偶数次無線周波数変調領域内に、前記第1の導波アームおよび前記第2の導波アームの伝送方向に設けられた以下の構造、すなわち、
複数の第1の副電極であって、前記第1の副電極の各々が、前記第1の導波アームから絶縁されて前記第1の導波アームと交差する第1の接続アームによって、前記第1の主電極のうち前記第2の主電極に近い側に接続された、複数の第1の副電極と、
複数の第2の副電極であって、前記第2の副電極の各々が、前記第1の導波アームから絶縁されて前記第1の導波アームと交差する第2の接続アームによって、前記第2の主電極のうち前記第1の主電極に近い側に接続された、複数の第2の副電極と、
複数の第3の副電極であって、前記第3の副電極の各々が、前記第2の導波アームから絶縁されて前記第2の導波アームと交差する第3の接続アームによって、前記第2の主電極のうち前記第3の主電極に近い側に接続された、複数の第3の副電極と、
複数の第4の副電極であって、前記第4の副電極の各々が、前記第2の導波アームから絶縁されて前記第2の導波アームと交差する第4の接続アームによって、前記第3の主電極のうち前記第2の主電極に近い側に接続された、複数の第4の副電極と、
を備える、折り畳み型電気光学変調器。
【請求項2】
前記第1の副電極の各々および前記対応する第1の接続アームが、第1のT字型構造を形成し、前記第2の副電極の各々および前記対応する第2の接続アームが、第2のT字型構造を形成し、前記複数の第1のT字型構造および前記複数の第2のT字型構造が、前記無線周波数変調領域の延長方向に交互に配置され、前記隣接する第1の副電極間の間隙が、前記第2の副電極の長さよりも小さく、前記隣接する第2の副電極間の間隙が、前記第1の副電極の長さよりも小さく、
前記第3の副電極の各々および前記対応する第3の接続アームが、第3のT字型構造を形成し、前記第4の副電極の各々および前記対応する第4の接続アームが、第4のT字型構造を形成し、前記複数の第3のT字型構造および前記複数の第4のT字型構造が、前記無線周波数変調領域の前記延長方向に交互に配置され、前記隣接する第3の副電極間の間隙が、前記第4の副電極の長さよりも小さく、前記隣接する第4の副電極間の間隙が、前記第3の副電極の長さよりも小さい、
請求項1に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項3】
前記第1の副電極の各々および前記対応する第1の接続アームが、第1のL字形構造を形成し、前記第2の副電極の各々および前記対応する第2の接続アームが、第2のL字形構造を形成し、前記複数の第1のL字形構造および前記複数の第2のL字形構造が、前記無線周波数変調領域の前記延長方向に交互に配置され、前記第1の副電極の各々の正投影図が、前記無線周波数変調領域の前記延長方向に1つの第2の副電極の正投影図に重複し、
前記第3の副電極の各々および前記対応する第3の接続アームが、第3のL字形構造を形成し、前記第4の副電極の各々および前記対応する第4の接続アームが、第4のL字形構造を形成し、前記複数の第3のL字形構造および前記複数の第4のL字形構造が、前記無線周波数変調領域の前記延長方向に交互に配置され、前記第3の副電極の各々の正投影図が、前記無線周波数変調領域の前記延長方向に1つの第4の副電極の正投影図に重複する、
請求項1に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項4】
前記折り畳み型電気光学変調器が、順に配置された基板、分離層、導波層、絶縁層、および電極層を備え、
前記第1の導波アームおよび前記第2の導波アームが、前記導波層内に位置し、
前記第1の主電極、前記第2の主電極、前記第3の主電極、前記第1の副電極、前記第1の接続アーム、前記第2の副電極、前記第2の接続アーム、前記第3の副電極、前記第3の接続アーム、前記第4の副電極、および前記第4の接続アームが、前記電極層内に位置し、
前記第1の接続アームおよび前記第2の接続アームが、前記絶縁層によって前記第1の導波アームから絶縁され、前記第3の接続アームおよび前記第4の接続アームが、前記絶縁層によって前記第2の導波アームから絶縁される、
請求項1に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項5】
前記導波層が突条隆起パターン層であり、または、
前記導波層が、平板層と、前記平板層のうち前記基板から離れた側に位置する突条隆起パターン層とを備える突条導波層であり、前記第1の導波アームおよび前記第2の導波アームが、前記突条隆起パターン層内に位置する、
請求項4に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項6】
前記導波層が、平板層と、前記平板層のうち前記基板から離れた側に位置する突条隆起パターン層とを備える突条導波層であり、前記第1の導波アームおよび前記第2の導波アームが、前記突条隆起パターン層内に位置し、
前記絶縁層が、前記突条隆起パターン層を覆い、前記平板層の領域の少なくとも一部を露出させ、前記第1の主電極、前記第2の主電極、および前記第3の主電極が、前記平板層のうち前記絶縁層から露出された表面上に形成され、または前記絶縁層が、前記突条隆起パターン層を覆い、前記平板層の領域の少なくとも一部を覆い、前記第1の主電極、前記第2の主電極、および前記第3の主電極が、前記絶縁層のうち前記平板層を覆う前記部分の表面上に形成される、
請求項4に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項7】
前記絶縁層のうち前記第1の導波アームを覆う部分によって形成された突出構造が、前記第1の副電極と前記第1の主電極との間および前記第2の副電極と前記第2の主電極との間に位置し、
前記絶縁層のうち前記第2の導波アームを覆う部分によって形成された突出構造が、前記第3の副電極と前記第2の主電極との間および前記第4の副電極と前記第3の主電極との間に位置する、
請求項4に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項8】
前記第1の副電極および前記第2の副電極が、前記絶縁層のうち前記第1の導波アームを覆う前記部分によって形成された前記突出構造の表面上に形成され、
前記第3の副電極および前記第4の副電極が、前記絶縁層のうち前記第2の導波アームを覆う前記部分によって形成された前記突出構造の表面上に形成される、
請求項4に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項9】
前記折り畳み型電気光学変調器の少なくとも1つの奇数次無線周波数変調領域内に設けられた以下の構造、すなわち、
複数の第5の副電極であって、前記第5の副電極の各々が、前記第1の主電極と前記第1の導波アームとの間に位置し、第5の接続アームによって前記第1の主電極のうち前記第1の導波アームに近い側に接続された、複数の第5の副電極と、
複数の第6の副電極であって、前記第6の副電極の各々が、前記第2の主電極と前記第1の導波アームとの間に位置し、第6の接続アームによって前記第2の主電極のうち前記第1の導波アームに近い側に接続された、複数の第6の副電極と、
複数の第7の副電極であって、前記第7の副電極の各々が、前記第2の主電極と前記第2の導波アームとの間に位置し、第7の接続アームによって前記第2の主電極のうち前記第2の導波アームに近い側に接続された、複数の第7の副電極と、
複数の第8の副電極であって、前記第8の副電極の各々が、前記第3の主電極と前記第2の導波アームとの間に位置し、第8の接続アームによって前記第3の主電極のうち前記第2の導波アームに近い側に接続された、複数の第8の副電極と
のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項10】
前記基板に凹型構造が設けられる、請求項1から8のいずれか一項に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年8月19日に出願された「FOLDED ELECTRO-OPTIC MODULATOR」という名称の特許出願第202110955347.1号に対する優先権を主張するものであり、本願によって特許請求される優先権の開示は、全体として参照により本明細書に組み込まれている。
本開示は、光通信の技術分野に関し、より詳細には、折り畳み型電気光学変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モノのインターネット(Internet of Things)、自動運転、遠隔医療、および遠隔教育などの新興ネットワーク・アプリケーション・サービスの急速な発展に伴い、高速かつ大容量の通信技術に求められる要件がますます高まっている。光通信は、その大きい帯域幅、高い信頼性、低いコスト、および強い干渉防止能力などの特性によって、高速かつ大容量の通信の方向に急速な発展を実現してきた。光搬送波へ高速電気信号をロードする方法は、中核となる研究内容である。
【0003】
電気光学変調器は、電気光学材料の電気光学効果に基づいて作られた変調器である。電気光学効果とは、ニオブ酸リチウム結晶、ヒ化ガリウム結晶、またはタンタル酸リチウム結晶などの電気光学材料に電圧が印加されたとき、電気光学材料の屈折率が変動し、その結果、電気光学材料を通過する光波の特性に変化が生じることを意味する。電気光学効果の使用により、光信号の位相、振幅、強度、および偏光状態などのパラメータの変調が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速かつ大容量の通信技術に対する要件がますます差し迫っている中で、電気光学変調器のデバイスの性能およびデバイスのサイズに求められる要件もますます高まっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、折り畳み型電気光学変調器を提供し、折り畳み型電気光学変調器は、全体として折り畳み型であり、互いに交差しない第1の導波アームおよび第2の導波アームと、全体として折り畳み型であり、互いに交差しない第1の主電極、第2の主電極、および第3の主電極であって、第1の導波アームが、第1の主電極と第2の主電極との間に位置し、第2の導波アームが、第2の主電極と第3の主電極との間に位置し、第1の主電極および第3の主電極が、無線周波数信号のための接地電極であり、第2の主電極が、無線周波数信号のための信号電極である、第1の主電極、第2の主電極、および第3の主電極と、折り畳み型電気光学変調器の任意の偶数次無線周波数変調領域内に、第1の導波アームおよび第2の導波アームの伝送方向に設けられた以下の構造、すなわち、
複数の第1の副電極であって、第1の副電極の各々が、第1の導波アームから絶縁されて第1の導波アームと交差する第1の接続アームによって、第1の主電極のうち第2の主電極に近い側に接続された、複数の第1の副電極と、複数の第2の副電極であって、第2の副電極の各々が、第1の導波アームから絶縁されて第1の導波アームと交差する第2の接続アームによって、第2の主電極のうち第1の主電極に近い側に接続された、複数の第2の副電極と、複数の第3の副電極であって、第3の副電極の各々が、第2の導波アームから絶縁されて第2の導波アームと交差する第3の接続アームによって、第2の主電極のうち第3の主電極に近い側に接続された、複数の第3の副電極と、複数の第4の副電極であって、第4の副電極の各々が、第2の導波アームから絶縁されて第2の導波アームと交差する第4の接続アームによって、第3の主電極のうち第2の主電極に近い側に接続された、複数の第4の副電極とを備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の副電極の各々および対応する第1の接続アームが、第1のT字型構造を形成し、第2の副電極の各々および対応する第2の接続アームが、第2のT字型構造を形成し、複数の第1のT字型構造および複数の第2のT字型構造は、無線周波数変調領域の延長方向に交互に配置され、隣接する第1の副電極間の間隙は、第2の副電極の長さよりも小さく、隣接する第2の副電極間の間隙は、第1の副電極の長さよりも小さく、第3の副電極の各々および対応する第3の接続アームが、第3のT字型構造を形成し、第4の副電極の各々および対応する第4の接続アームが、第4のT字型構造を形成し、複数の第3のT字型構造および複数の第4のT字型構造は、無線周波数変調領域の延長方向に交互に配置され、隣接する第3の副電極間の間隙は、第4の副電極の長さよりも小さく、隣接する第4の副電極間の間隙は、第3の副電極の長さよりも小さい。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の副電極の各々および対応する第1の接続アームが、第1のL字形構造を形成し、第2の副電極の各々および対応する第2の接続アームが、第2のL字形構造を形成し、複数の第1のL字形構造および複数の第2のL字形構造は、無線周波数変調領域の延長方向に交互に配置され、第1の副電極の各々の正投影図が、無線周波数変調領域の延長方向に1つの第2の副電極の正投影図に重複し、第3の副電極の各々および対応する第3の接続アームが、第3のL字形構造を形成し、第4の副電極の各々および対応する第4の接続アームが、第4のL字形構造を形成し、複数の第3のL字形構造および複数の第4のL字形構造は、無線周波数変調領域の延長方向に交互に配置され、第3の副電極の各々の正投影図が、無線周波数変調領域の延長方向に1つの第4の副電極の正投影図に重複する。
【0008】
いくつかの実施形態では、折り畳み型電気光学変調器は、順に配置された基板、分離層、導波層、絶縁層、および電極層を備え、第1の導波アームおよび第2の導波アームは、導波層内に位置し、第1の主電極、第2の主電極、第3の主電極、第1の副電極、第1の接続アーム、第2の副電極、第2の接続アーム、第3の副電極、第3の接続アーム、第4の副電極、および第4の接続アームは、電極層内に位置し、第1の接続アームおよび第2の接続アームは、絶縁層によって第1の導波アームから絶縁され、第3の接続アームおよび第4の接続アームは、絶縁層によって第2の導波アームから絶縁される。
【0009】
いくつかの実施形態では、導波層は突条隆起パターン層であり、または導波層は、平板層と、平板層のうち基板から離れた側に位置する突条隆起パターン層とを備える突条導波層であり、第1の導波アームおよび第2の導波アームは、突条隆起パターン層内に位置する。
【0010】
いくつかの実施形態では、導波層は、平板層と、平板層のうち基板から離れた側に位置する突条隆起パターン層とを備える突条導波層であり、第1の導波アームおよび第2の導波アームは、突条隆起パターン層内に位置し、絶縁層は、突条隆起パターン層を覆い、平板層の領域の少なくとも一部を露出させ、第1の主電極、第2の主電極、および第3の主電極は、平板層のうち絶縁層から露出された表面上に形成され、または絶縁層は、突条隆起パターン層を覆い、平板層の領域の少なくとも一部を覆い、第1の主電極、第2の主電極、および第3の主電極は、絶縁層のうち平板層を覆う部分の表面上に形成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、絶縁層のうち第1の導波アームを覆う部分によって形成された突出構造が、第1の副電極と第1の主電極との間および第2の副電極と第2の主電極との間に位置し、絶縁層のうち第2の導波アームを覆う部分によって形成された突出構造が、第3の副電極と第2の主電極との間および第4の副電極と第3の主電極との間に位置する。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の副電極および第2の副電極は、絶縁層のうち第1の導波アームを覆う部分によって形成された突出構造の表面上に形成され、第3の副電極および第4の副電極は、絶縁層のうち第2の導波アームを覆う部分によって形成された突出構造の表面上に形成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、折り畳み型電気光学変調器は、折り畳み型電気光学変調器の少なくとも1つの奇数次無線周波数変調領域内に設けられた以下の構造、すなわち、複数の第5の副電極であって、第5の副電極の各々が、第1の主電極と第1の導波アームとの間に位置し、第5の接続アームによって第1の主電極のうち第1の導波アームに近い側に接続された、複数の第5の副電極と、複数の第6の副電極であって、第6の副電極の各々が、第2の主電極と第1の導波アームとの間に位置し、第6の接続アームによって第2の主電極のうち第1の導波アームに近い側に接続された、複数の第6の副電極と、複数の第7の副電極であって、第7の副電極の各々が、第2の主電極と第2の導波アームとの間に位置し、第7の接続アームによって第2の主電極のうち第2の導波アームに近い側に接続された、複数の第7の副電極と、複数の第8の副電極であって、第8の副電極の各々が、第3の主電極と第2の導波アームとの間に位置し、第8の接続アームによって第3の主電極のうち第2の導波アームに近い側に接続された、複数の第8の副電極とのうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0014】
いくつかの実施形態では、基板に凹型構造が設けられる。
【0015】
本章に記載される内容は、本開示の実施形態の肝要または重要な特徴を識別することが意図されたものでも、本開示の範囲を限定するために使用されるものでもないことを理解されたい。本開示の他の特徴は、以下の説明によって容易に理解されよう。
【0016】
本開示のさらなる詳細、特徴、および利点は、添付の図面を参照して例示的な実施形態の以下の説明に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】従来の電気光学変調器の簡略化された構造の上面図である。
【
図2】本開示のいくつかの例示的な実施形態による折り畳み型電気光学変調器の簡略化された構造の上面図である。
【
図3】本開示のいくつかの例示的な実施形態による折り畳み型電気光学変調器の簡略化された構造の上面図である。
【
図4】本開示のいくつかの例示的な実施形態による折り畳み型電気光学変調器の部分的な構造の斜視図である。
【
図5】本開示のいくつかの例示的な実施形態による折り畳み型電気光学変調器の部分的な構造の斜視図である。
【
図6】本開示のいくつかの例示的な実施形態による折り畳み型電気光学変調器の部分的な構造の斜視図である。
【
図7】本開示のいくつかの例示的な実施形態による折り畳み型電気光学変調器の部分的な構造の斜視図である。
【
図8】本開示のいくつかの例示的な実施形態による折り畳み型電気光学変調器の部分的な構造の斜視図である。
【
図9】本開示のいくつかの例示的な実施形態による折り畳み型電気光学変調器の部分的な構造の斜視図である。
【
図10】本開示のいくつかの例示的な実施形態による折り畳み型電気光学変調器の部分的な構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
いくつかの例示的な実施形態についてのみ、以下で簡単に説明される。当業者には理解されうるように、記載される実施形態は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、様々な形で修正されてもよい。それに応じて、添付の図面および説明は、制限ではなく本質的に例示であると見なされる。
【0019】
マッハ・ツェンダー変調器は、1つのタイプの電気光学変調器であり、入力光信号が2つの分岐光信号に分割され、次いでそれぞれ2つの導波アームに入る。2つの導波アームは各々、電気光学材料から作られており、印加される変調電圧とともに変化する屈折率を有する。導波アームの屈折率の変化は、分岐光信号の位相の変化を招きうる。したがって、2つの分岐光信号の収束からの出力が、変調電圧とともに変化する強度を有する干渉信号になる。要するに、マッハ・ツェンダー変調器は、2つの導波アームに印加される変調電圧を制御することによって、異なる側波帯の変調を実装することができる。電気信号を光信号に変換するためのデバイスとして、マッハ・ツェンダー変調器は、光相互接続、光コンピューティング、および光通信システムにおける一般的な中核デバイスのうちの1つである。
【0020】
図1は、従来のマッハ・ツェンダー変調器の概略的な構造図を示す。理論上、マッハ・ツェンダー変調器001は、互いに同一の2つの導波アーム02を有する。マッハ・ツェンダー変調器001が機能していないとき、2つの導波アーム02はいずれも電気光学効果を受けない。入力光は光分割要素01を通過し、次いで2つの分岐光信号に等しく分割される。それぞれ導波アーム02を通過した後、2つの分岐光信号は依然として同じ位相であり、次いで2つの分岐光信号に対するコヒーレントに強化された信号が、光結合要素05から出力される。マッハ・ツェンダー変調器001が機能しているとき、変調電極04(たとえば、信号電極040、第1の接地電極041、および第2の接地電極042を含む)が、変調電圧を2つの導波アーム02に印加し、2つの分岐光信号の各々が1つの導波アーム02を通過した後、2つの分岐光信号の位相は、πの奇数倍だけ異なることも、πの偶数倍だけが異なることもある。2つの分岐光信号の位相がπの偶数倍だけ異なるとき、光結合要素05は、2つの分岐光信号に対してコヒーレントに強化された信号を出力する。2つの分岐光信号の位相がπの奇数倍だけ異なるとき、光結合要素05は、2つの分岐光信号に対してコヒーレントに抑制された信号を出力する。
【0021】
この図から分かるように、そのような従来のマッハ・ツェンダー変調器は、細長い構造的特徴を有し、長さは通常、数ミリメートルまたは数センチメートル程度であり、幅は通常、数百マイクロメートル程度である。加えて、駆動電圧を最小にするために、2つの導波アームの長さを増大させることも考慮される。マッハ・ツェンダー変調器は小さい幅寸法を有するが、その全体的なサイズはそれでもなお、主に長さ寸法によって判定される。したがって、デバイスの性能に影響を及ぼすことなくデバイスの小型化設計を実現する方法は、当業者によって緊急に解決されるべき技術的な課題である。
【0022】
本開示の実施形態は、デバイスの性能に対する要件を満たしながらデバイスの小型化設計を実現することができる、折り畳み型電気光学変調器を提供する。
【0023】
図2に示されているように、本開示のいくつかの実施形態は、N個の無線周波数変調領域10およびN-1個の転回領域20を含む折り畳み型電気光学変調器100を提供し、ここでN≧2である。折り畳み型電気光学変調器100は、全体として折り畳み型であり、互いに交差しない第1の導波アーム30および第2の導波アーム40と、全体として折り畳み型であり、互いに交差しない第1の主電極111、第2の主電極112、および第3の主電極113とを含み、第1の導波アーム30は、第1の主電極111と第2の主電極112との間に位置し、第2の導波アーム40は、第2の主電極112と第3の主電極113との間に位置し、第1の主電極111および第3の主電極113は、無線周波数信号のための接地電極であり、第2の主電極112は、無線周波数信号のための信号電極であり、加えて、折り畳み型電気光学変調器100は、任意の偶数次無線周波数変調領域10内に、第1の導波アーム30および第2の導波アーム40の伝送方向(この図に点線を有する矢印によって示されている)に配置された、複数の第1の副電極1a、複数の第2の副電極1b、複数の第3の副電極1c、および複数の第4の副電極1dをさらに含む。無線周波数変調領域10は、第1の導波アーム30および第2の導波アーム40の伝送方向に順次配置される。
【0024】
図2に示されているように、第1の副電極1aの各々が、第1の導波アーム30から絶縁されて第1の導波アーム30と交差する第1の接続アーム2aによって、第1の主電極111のうち第2の主電極112に近い側に接続され、第2の副電極1bの各々が、第1の導波アーム30から絶縁されて第1の導波アーム30と交差する第2の接続アーム2bによって、第2の主電極112のうち第1の主電極111に近い側に接続され、第3の副電極1cの各々が、第2の導波アーム40から絶縁されて第2の導波アーム40と交差する第3の接続アーム2cによって、第2の主電極112のうち第3の主電極113に近い側に接続され、第4の副電極1dの各々が、第2の導波アーム40から絶縁されて第2の導波アーム40と交差する第4の接続アーム2dによって、第3の主電極113のうち第2の主電極112に近い側に接続される。
【0025】
本開示の一実施形態では、光信号の入力および出力を実現するために、折り畳み型電気光学変調器100は、入力要素(たとえば、光分割要素50)および出力要素(たとえば、光結合要素60)をさらに含む。この実施形態では、光分割要素50は、折り畳み型電気光学変調器100の入力要素として働き、1つの入力端および2つの出力端を含み、光結合要素60は、折り畳み型電気光学変調器100の出力要素として働き、2つの入力端および1つの出力端を含み、第1の導波アーム30は、光分割要素50の出力端のうちの一方および光結合要素60の入力端のうちの一方に接続され、第2の導波アーム40は、光分割要素50の他方の出力端および光結合要素60の他方の入力端に接続される。入力要素および出力要素の構造は、この図に示されている3つのポートを含む要素に限定されるものではなく、設計は、折り畳み型電気光学変調器100の実際の必要に従って選択されてもよい。
【0026】
本開示の一実施形態では、Nは自然数であり、N≧2である。偶数の無線周波数変調領域10(たとえば、
図2に示されているように、N=2の場合)が存在するとき、光分割要素50および光結合要素60は、折り畳み型電気光学変調器の同じ側に配置され、奇数の無線周波数変調領域が存在するとき、光分割要素および光結合要素は、折り畳み型電気光学変調器の反対側に配置されることを理解されたい。
【0027】
第1の導波アーム30および第2の導波アーム40は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、またはリン酸チタニルカリウムなどの電気光学材料から作られる。無線周波数信号が、各無線周波数変調領域10内で、第1の主電極111、第2の主電極112、および第3の主電極113に入力されたとき、第1の導波アーム30は、複数の第1の副電極1aおよび複数の第2の副電極1bによって形成された電界内にあり、第2の導波アーム40は、複数の第3の副電極1cおよび複数の第4の副電極1dによって形成された電界内にあり、電界の方向は、この図に示されている点線を有する矢印によってそれぞれ示されている。
【0028】
電気光学材料の屈折率変化は電界の方向に関連するため、偶数次無線周波数変調領域内の電界の方向が逆にされない限り、偶数次無線周波数変調領域内の電界の方向は、奇数次無線周波数変調領域内の電界の方向とちょうど反対である。このようにして、奇数次無線周波数変調領域内の2つの導波アームによって生成される位相差は、次の偶数次無線周波数変調領域内で相殺され、光変調機能を実現することが不可能になる。
【0029】
上記の問題に関して、本開示の実施形態は、上述された副電極および接続アームの構造を設計する。
図2に示されているように、複数の第1の副電極1aおよび複数の第2の副電極1bによって形成される電界、ならびに複数の第3の副電極1cおよび複数の第4の副電極1dによって形成される電界は、この図に点線を有する矢印によってそれぞれ示されている。第1の導波アーム30が第1の無線周波数変調領域(すなわち、この図の上の無線周波数変調領域10)および第2の無線周波数変調領域(すなわち、この図の下の無線周波数変調領域10)内に位置する電界は、同じ方向を有しており、第2の導波アーム40が第1の無線周波数変調領域および第2の無線周波数変調領域内に位置する電界は、同じ方向を有することが分かる。
【0030】
本開示の実施形態で提供される折り畳み型電気光学変調器100は折り畳み設計であり、したがって従来の電気光学変調器と比べて長さ方向に大幅に低減された寸法を有する。デバイスのより良好な性能を得るために、導波アームの長さは、必要に応じて増大するように設計されてもよく、デバイスの全体的な長さはそれほど影響されない。
【0031】
加えて、絶縁および交差を使用してバイアを介したブリッジを実現する当技術分野におけるいくつかの設計と比べて、第1の導波アーム30、第2の導波アーム40、第1の主電極111、第2の主電極112、および第3の主電極113はすべて、交差のない設計を有し、より簡単な構造設計、および製造精度の制御に関して比較的低い要件を実現し、これは生産効率および生産収率の改善ならびに生産コストの削減に資する。
【0032】
図2に示されているように、本開示のいくつかの実施形態では、第1の副電極1aの各々および対応する第1の接続アーム2aが、第1のT字型構造を形成し、第2の副電極1bの各々および対応する第2の接続アーム2bが、第2のT字型構造を形成し、複数の第1のT字型構造および複数の第2のT字型構造は、無線周波数変調領域10の延長方向(すなわち、無線周波数変調領域10内の2つの導波アームの延長方向)に交互に配置され、隣接する第1の副電極1a間の間隙は、第2の副電極1bの長さよりも小さく、隣接する第2の副電極1b間の間隙は、第1の副電極1aの長さよりも小さい。互いに反対に位置する複数の第1の副電極1aおよび複数の第2の副電極1bのいくつかの部分が、電界を形成することができ、したがって第1の導波アーム30内を伝送される光のための位相変調が実行されてもよい。
【0033】
同様に、第3の副電極1cの各々および対応する第3の接続アーム2cが、第3のT字型構造を形成し、第4の副電極1dの各々および対応する第4の接続アーム2dが、第4のT字型構造を形成し、複数の第3のT字型構造および複数の第4のT字型構造は、無線周波数変調領域10の延長方向に交互に配置され、隣接する第3の副電極1c間の間隙は、第4の副電極1dの長さよりも小さく、隣接する第4の副電極1d間の間隙は、第3の副電極1cの長さよりも小さい。互いに反対に位置する複数の第3の副電極1cおよび複数の第4の副電極1dのいくつかの部分が、電界を形成することができ、したがって第2の導波アーム40内を伝送される光のための位相変調が実行されてもよい。
【0034】
図3に示されているように、本開示のいくつかの他の実施形態では、第1の副電極1aの各々および対応する第1の接続アーム2aが、第1のL字形構造を形成し、第2の副電極1bの各々および対応する第2の接続アーム2bが、第2のL字形構造を形成し、複数の第1のL字形構造および複数の第2のL字形構造は、無線周波数変調領域10の延長方向に交互に配置され、第1の副電極1aの各々の正投影図が、無線周波数変調領域10の延長方向に1つの第2の副電極1bの正投影図に重複する。互いに反対に位置する複数の第1の副電極1aおよび複数の第2の副電極1bのいくつかの部分が、電界を形成することができ、したがって第1の導波アーム30内を伝送される光のための位相変調が実行されてもよい。
【0035】
同様に、第3の副電極1cの各々および対応する第3の接続アーム2cが、第3のL字形構造を形成し、第4の副電極1dの各々および対応する第4の接続アーム2dが、第4のL字形構造を形成し、複数の第3のL字形構造および複数の第4のL字形構造は、無線周波数変調領域10の延長方向に交互に配置され、第3の副電極1cの各々の正投影図が、無線周波数変調領域10の延長方向に1つの第4の副電極1dの正投影図に重複する。互いに反対に位置する複数の第3の副電極1cおよび複数の第4の副電極1dのいくつかの部分が、電界を形成することができ、したがって第2の導波アーム40内を伝送される光のための位相変調が実行されてもよい。
【0036】
上述された副電極および接続アームの全体的な構造は、対称の形状を有しても非対称の形状を有してもよい。副電極および接続アームの特有の形状は、本開示に定義されておらず、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0037】
本開示の一実施形態では、
図4に示されているように、折り畳み型電気光学変調器の層構造は、順に配置された基板151、分離層152、導波層153、絶縁層154、および電極層155を含み、第1の導波アーム30および第2の導波アーム40は、導波層153内に位置し、第1の主電極111、第2の主電極112、第3の主電極113、第1の副電極1a、第1の接続アーム2a、第2の副電極1b、第2の接続アーム2b、第3の副電極1c、第3の接続アーム2c、第4の副電極1d、および第4の接続アーム2dは、電極層155内に位置し、第1の接続アーム2aおよび第2の接続アーム2bは、絶縁層154によって第1の導波アーム30から絶縁され、第3の接続アーム2cおよび第4の接続アーム2dは、絶縁層154によって第2の導波アーム40から絶縁される。折り畳み型電気光学変調器のいくつかの層構造は、マスク・パターニング・プロセスによって製作されてもよく、これらの層を作るための特有の材料は、限定されるものではなく、実際の必要に従って選択されてもよい。
【0038】
図4に示されているように、本開示のいくつかの実施形態では、導波層153は、平板層1531と、平板層1531のうち基板151から離れた側に位置する突条隆起パターン層1532とを含む突条導波層であり、第1の導波アーム30および第2の導波アーム40は、突条隆起パターン層1532内に位置する。本開示のいくつかの他の実施形態では、導波層153は、平板層1531を含まず、突条隆起パターン層1532のみを含んでもよく、第1の導波アーム30および第2の導波アーム40は、突条隆起パターン層1532の少なくとも一部である。
【0039】
図4、
図5、
図6、および
図7に示されているように、この実施形態では、絶縁層154は、突条隆起パターン層1532を覆い、平板層1531の領域の少なくとも一部を露出させ、第1の主電極111、第2の主電極112、および第3の主電極113は、平板層1531のうち絶縁層154から露出された表面上に形成される。
【0040】
図8および
図9に示されているように、本開示のいくつかの他の実施形態では、絶縁層154は、突条隆起パターン層1532を覆い、平板層1531の領域の少なくとも一部を覆い、第1の主電極111、第2の主電極112、および第3の主電極113は、絶縁層154のうち平板層1531を覆う部分の表面上に形成される。この実施形態では、絶縁層154は平板層1531全体を覆い、すなわち絶縁層154は導波層153全体を覆う。
【0041】
図4および
図5に示されているように、本開示のいくつかの実施形態では、絶縁層154のうち第1の導波アーム30を覆う部分によって形成された突出構造3aが、第1の副電極1aと第1の主電極111との間および第2の副電極1bと第2の主電極112との間に位置し、絶縁層154のうち第2の導波アーム40を覆う部分によって形成された突出構造3bが、第3の副電極1cと第2の主電極112との間および第4の副電極1dと第3の主電極との間に位置する。すなわち、接続アームは絶縁層154の突出構造に架かる。
【0042】
図6、
図7、
図8、および
図9に示されているように、本開示のいくつかの他の実施形態では、第1の副電極1aおよび第2の副電極1bは、絶縁層154のうち第1の導波アーム30を覆う部分に形成された突出構造3cの表面上に形成され、第3の副電極1cおよび第4の副電極1dは、絶縁層154のうち第2の導波アーム40を覆う部分上に形成された突出構造3dの表面上に形成される。すなわち、接続アームは絶縁層154の突出構造に完全に架かるわけではない。
【0043】
接続アームが絶縁層154の突出構造に完全に架かるかどうかにかかわらず、接続アームは、導波アームから絶縁されて導波アームと交差し、したがって副電極および対応する主電極は、導波アームの両側にそれぞれ位置し、それによって導波アームに印加される電界の方向の一貫性を確実にする。
【0044】
図3に示されているように、本開示のいくつかの実施形態では、折り畳み型電気光学変調器100は、少なくとも1つの奇数次無線周波数変調領域10内に設けられた、
複数の第5の副電極1eであって、第5の副電極1eの各々が、第1の主電極111と第1の導波アーム30との間に位置し、第5の接続アーム2eによって第1の主電極111のうち第1の導波アーム30に近い側に接続された、複数の第5の副電極1eと、
複数の第6の副電極1fであって、第6の副電極1fの各々が、第2の主電極112と第1の導波アーム30との間に位置し、第6の接続アーム2fによって第2の主電極112のうち第1の導波アーム30に近い側に接続された、複数の第6の副電極1fと、
複数の第7の副電極1gであって、第7の副電極1gの各々が、第2の主電極112と第2の導波アーム40との間に位置し、第7の接続アーム2gによって第2の主電極112のうち第2の導波アーム40に近い側に接続された、複数の第7の副電極1gと、
複数の第8の副電極1hであって、第8の副電極1hの各々が、第3の主電極113と第2の導波アーム40との間に位置し、第8の接続アーム2hによって第3の主電極113のうち第2の導波アーム40に近い側に接続された、複数の第8の副電極1hとを含む構造のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0045】
第5の副電極1e、第6の副電極1f、第7の副電極1g、および第8の副電極1hは、所望されるように選択および配置されてもよく、その数および形状もまた、所望されるように選択および設計されてもよい。これらの副電極の選択および配置は、折り畳み型電気光学変調器100の異なる領域内に存在しうるインピーダンス不整合を低減させることができ、電気信号のマイクロ波反射を低減させることができ、これはデバイスの性能のさらなる改善に資する。加えて、光伝送の速度は概して電気伝送の速度よりも大きいため、これらの副電極の設計は、光場の伝送を電界の伝送と可能な限り整合させるように、光信号および電気信号の伝送速度の差を特定の程度まで補償することができ、それによって折り畳み型電気光学変調器のデバイスの性能をさらに改善することができる。
【0046】
同様に、
図10に示されているように、第5の副電極1eおよび第6の副電極1fは、この図に示されている突出構造3eの表面上に配置されてもよく、第7の副電極1gおよび第8の副電極1hは、この図に示されている突出構造3fの表面上に配置されてもよい。いくつかの他の実施形態では、第5の副電極および第6の副電極はまた、突出構造の両側に配置されてもよく、第5の接続アームおよび第6の接続アームは、突出構造に架からず、第7の副電極および第8の副電極はまた、突出構造の両側に配置されてもよく、第7の接続アームおよび第8の接続アームは突出構造に架からない。
【0047】
図5、
図7、および
図8に示されているように、本開示のいくつかの実施形態では、基板151には、分離層152の方を向いている凹型構造1510が設けられる。
【0048】
光伝送の速度は概して電気伝送の速度よりも大きいため、この実施形態では、基板151上の凹型構造1510は、無線周波数変調領域における光場の伝送を電界の伝送と整合させるように、電気信号の伝播定数を特定の程度まで低減させることができ、したがって電気信号の伝送速度を増大させて、上述された伝送速度の差を補償することができ、それによって折り畳み型電気光学変調器のデバイスの性能をさらに改善することができる。本開示の他の実施形態では、凹型構造はまた、実際の必要に従って他の向きを有するように設計されてもよく、そのような向きは、本開示で具体的に定義されない。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態では、
図3に示されているように、折り畳み型電気光学変調器100は、上記の電極構造と光結合要素60との間に配置された位相補償変調モジュール70をさらに含む。位相補償変調モジュール70は、所望される場合、2つの導波アーム間の固有の位相差を補償するように、第1の導波アーム30および第2の導波アーム40を変調することができ、それによって電気光学変調器の変調出力の精度をさらに改善することができる。位相補償変調モジュール70は、上述された位置に配置されることに限定されるものではなく、たとえば光分割要素50と上記の電極構造との間に配置されてもよい。
【0050】
位相補償変調モジュール70は、特有のタイプに限定されるものではなく、たとえば、電気光学効果に基づく電気光学位相補償変調モジュールであってもよく、または熱光学効果に基づく熱光学位相補償変調モジュールであってもよい。位相補償変調モジュール70が、電気光学効果に基づく電気光学位相補償変調モジュールであるとき、プロセスを簡略化して製作コストを削減するために、いくつかの層構造は、上述された折り畳み型電気光学変調器の層構造のいくつかと同じ層内に製作されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、所望される場合、位相補償変調モジュール70を設けないことも可能である。
【0052】
要約すると、本開示の実施形態によって提供される折り畳み型電気光学変調器100は、デバイスの性能の要件を満たしながらデバイスの小型化設計を実現することができ、したがってハードウェアシステム内により容易に一体化される。
【0053】
この説明では、「中心」、「長手方向」、「横断方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上部」、「下部」、「前部」、「後部」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内部」、「外部」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、および「円周方向」などの用語によって示される向きもしくは位置関係または寸法は、添付の図面に基づいて示されている向きもしくは位置関係または寸法であり、これらの用語は、説明を容易にするためだけに使用されており、参照されるデバイスまたは要素が、特定の向きを有し、特定の向きで構築および動作されなければならないことを示しまたは示唆するものではなく、したがって本開示の保護範囲を限定すると解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0054】
加えて、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、説明のみを目的とし、相対的な重要性を示しもしくは示唆し、または示されている技術的な特徴の数を暗示的に示すと解釈されるべきではない。したがって、「第1」、「第2」、および「第3」によって定義される特徴は、1つまたは複数の特徴を明示的または暗示的に含むことができる。本開示の説明において、「複数」という用語は、別途明示的かつ具体的に定義されない限り、2つまたはそれ以上を意味する。
【0055】
本開示では、別途明白に記載または定義されない限り、「取り付ける」、「接続」、「接続される」、および「固定する」などの用語は、広義で解釈されるべきであり、たとえばこれらの用語は、固定された接続、取外し可能な接続、もしくは一体化された接続であってもよく、機械的接続、もしくは電気的接続、もしくは通信であってもよく、直接的な接続もしくは中間媒体による間接的な接続であってもよく、または2つの要素間の内部通信、もしくは2つの要素間の相互作用であってもよい。当業者であれば、特有の状況に従って、本開示における上記の用語の特有の意味が理解されよう。
【0056】
本開示では、別途明白に記載または定義されない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上(above)」または「下(below)」にあるという表現は、第1の特徴が第2の特徴に直接接触する事例、または第1の特徴および第2の特徴が直接には接触していないが、これらの特徴間の別の特徴を介して接触される事例を含むことができる。さらに、第1の特徴が第2の特徴の「上(over)」、「上(above)」、または「上(on)」にあるということは、第1の特徴が第2の特徴の真上もしくは斜め上にある事例を含み、または単に第1の特徴が第2の特徴よりも高いレベルにあることを示す。第1の特徴が第2の特徴の「下(below)」、「下(under)」、または「下(beneath)」にあるということは、第1の特徴が第2の特徴の真下もしくは斜め下にある事例を含み、または単に第1の特徴が第2の特徴よりも低いレベルにあることを示す。
【0057】
この説明は、本開示を実装するために使用されうる多くの異なる実装または例を提供する。これらの異なる実装または例は純粋に説明的であり、いかなる形であっても本開示の保護範囲を限定することは意図されないことを理解されたい。本開示の説明の開示に基づいて、当業者であれば様々な変更または置換えを想到されよう。すべてのこれらの変更または置換えは、本開示の保護範囲内に入るものとする。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準拠するものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、光通信の技術分野に関し、より詳細には、折り畳み型電気光学変調器に関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み型電気光学変調器であって、
全体として折り畳み型であり、互いに交差しない第1の導波アームおよび第2の導波アームと、
全体として折り畳み型であり、互いに交差しない第1の主電極、第2の主電極、および第3の主電極であって、前記第1の導波アームが、前記第1の主電極と前記第2の主電極との間に位置し、前記第2の導波アームが、前記第2の主電極と前記第3の主電極との間に位置し、前記第1の主電極および前記第3の主電極が、無線周波数信号のための接地電極であり、前記第2の主電極が、前記無線周波数信号のための信号電極である、第1の主電極、第2の主電極、および第3の主電極と、
前記折り畳み型電気光学変調器の任意の偶数次無線周波数変調領域内に、前記第1の導波アームおよび前記第2の導波アームの伝送方向に設けられた以下の構造、すなわち、
複数の第1の副電極であって、前記第1の副電極の各々が、前記第1の導波アームから絶縁されて前記第1の導波アームと交差する第1の接続アームによって、前記第1の主電極のうち前記第2の主電極に近い側に接続された、複数の第1の副電極と、
複数の第2の副電極であって、前記第2の副電極の各々が、前記第1の導波アームから絶縁されて前記第1の導波アームと交差する第2の接続アームによって、前記第2の主電極のうち前記第1の主電極に近い側に接続された、複数の第2の副電極と、
複数の第3の副電極であって、前記第3の副電極の各々が、前記第2の導波アームから絶縁されて前記第2の導波アームと交差する第3の接続アームによって、前記第2の主電極のうち前記第3の主電極に近い側に接続された、複数の第3の副電極と、
複数の第4の副電極であって、前記第4の副電極の各々が、前記第2の導波アームから絶縁されて前記第2の導波アームと交差する第4の接続アームによって、前記第3の主電極のうち前記第2の主電極に近い側に接続された、複数の第4の副電極と、
を備える、折り畳み型電気光学変調器。
【請求項2】
前記第1の副電極の各々および前記対応する第1の接続アームが、第1のT字型構造を形成し、前記第2の副電極の各々および前記対応する第2の接続アームが、第2のT字型構造を形成し、前記複数の第1のT字型構造および前記複数の第2のT字型構造が、前記無線周波数変調領域の延長方向に交互に配置され、前記隣接する第1の副電極間の間隙が、前記第2の副電極の長さよりも小さく、前記隣接する第2の副電極間の間隙が、前記第1の副電極の長さよりも小さく、
前記第3の副電極の各々および前記対応する第3の接続アームが、第3のT字型構造を形成し、前記第4の副電極の各々および前記対応する第4の接続アームが、第4のT字型構造を形成し、前記複数の第3のT字型構造および前記複数の第4のT字型構造が、前記無線周波数変調領域の前記延長方向に交互に配置され、前記隣接する第3の副電極間の間隙が、前記第4の副電極の長さよりも小さく、前記隣接する第4の副電極間の間隙が、前記第3の副電極の長さよりも小さい、
請求項1に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項3】
前記第1の副電極の各々および前記対応する第1の接続アームが、第1のL字形構造を形成し、前記第2の副電極の各々および前記対応する第2の接続アームが、第2のL字形構造を形成し、前記複数の第1のL字形構造および前記複数の第2のL字形構造が、前記無線周波数変調領域の前記延長方向に交互に配置され、前記第1の副電極の各々の正投影図が、前記無線周波数変調領域の前記延長方向に1つの第2の副電極の正投影図に重複し、
前記第3の副電極の各々および前記対応する第3の接続アームが、第3のL字形構造を形成し、前記第4の副電極の各々および前記対応する第4の接続アームが、第4のL字形構造を形成し、前記複数の第3のL字形構造および前記複数の第4のL字形構造が、前記無線周波数変調領域の前記延長方向に交互に配置され、前記第3の副電極の各々の正投影図が、前記無線周波数変調領域の前記延長方向に1つの第4の副電極の正投影図に重複する、
請求項1に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項4】
前記折り畳み型電気光学変調器が、順に配置された基板、分離層、導波層、絶縁層、および電極層を備え、
前記第1の導波アームおよび前記第2の導波アームが、前記導波層内に位置し、
前記第1の主電極、前記第2の主電極、前記第3の主電極、前記第1の副電極、前記第1の接続アーム、前記第2の副電極、前記第2の接続アーム、前記第3の副電極、前記第3の接続アーム、前記第4の副電極、および前記第4の接続アームが、前記電極層内に位置し、
前記第1の接続アームおよび前記第2の接続アームが、前記絶縁層によって前記第1の導波アームから絶縁され、前記第3の接続アームおよび前記第4の接続アームが、前記絶縁層によって前記第2の導波アームから絶縁される、
請求項1に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項5】
前記導波層が突条隆起パターン層であり、または、
前記導波層が、平板層と、前記平板層のうち前記基板から離れた側に位置する突条隆起パターン層とを備える突条導波層であり、前記第1の導波アームおよび前記第2の導波アームが、前記突条隆起パターン層内に位置する、
請求項4に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項6】
前記導波層が、平板層と、前記平板層のうち前記基板から離れた側に位置する突条隆起パターン層とを備える突条導波層であり、前記第1の導波アームおよび前記第2の導波アームが、前記突条隆起パターン層内に位置し、
前記絶縁層が、前記突条隆起パターン層を覆い、前記平板層の領域の少なくとも一部を露出させ、前記第1の主電極、前記第2の主電極、および前記第3の主電極が、前記平板層のうち前記絶縁層から露出された表面上に形成され、または前記絶縁層が、前記突条隆起パターン層を覆い、前記平板層の領域の少なくとも一部を覆い、前記第1の主電極、前記第2の主電極、および前記第3の主電極が、前記絶縁層のうち前記平板層を覆う前記部分の表面上に形成される、
請求項4に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項7】
前記絶縁層のうち前記第1の導波アームを覆う部分によって形成された突出構造が、前記第1の副電極と前記第1の主電極との間および前記第2の副電極と前記第2の主電極との間に位置し、
前記絶縁層のうち前記第2の導波アームを覆う部分によって形成された突出構造が、前記第3の副電極と前記第2の主電極との間および前記第4の副電極と前記第3の主電極との間に位置する、
請求項4に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項8】
前記第1の副電極および前記第2の副電極が、前記絶縁層のうち前記第1の導波アームを覆う前記部分によって形成された前記突出構造の表面上に形成され、
前記第3の副電極および前記第4の副電極が、前記絶縁層のうち前記第2の導波アームを覆う前記部分によって形成された前記突出構造の表面上に形成される、
請求項4に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項9】
前記折り畳み型電気光学変調器の少なくとも1つの奇数次無線周波数変調領域内に設けられた以下の構造、すなわち、
複数の第5の副電極であって、前記第5の副電極の各々が、前記第1の主電極と前記第1の導波アームとの間に位置し、第5の接続アームによって前記第1の主電極のうち前記第1の導波アームに近い側に接続された、複数の第5の副電極と、
複数の第6の副電極であって、前記第6の副電極の各々が、前記第2の主電極と前記第1の導波アームとの間に位置し、第6の接続アームによって前記第2の主電極のうち前記第1の導波アームに近い側に接続された、複数の第6の副電極と、
複数の第7の副電極であって、前記第7の副電極の各々が、前記第2の主電極と前記第2の導波アームとの間に位置し、第7の接続アームによって前記第2の主電極のうち前記第2の導波アームに近い側に接続された、複数の第7の副電極と、
複数の第8の副電極であって、前記第8の副電極の各々が、前記第3の主電極と前記第2の導波アームとの間に位置し、第8の接続アームによって前記第3の主電極のうち前記第2の導波アームに近い側に接続された、複数の第8の副電極と
のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【請求項10】
前記基板に凹型構造が設けられる、請求項
4から8のいずれか一項に記載の折り畳み型電気光学変調器。
【国際調査報告】