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特表2024-531362高い収率及び選択性で軽質オレフィンを生成するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】高い収率及び選択性で軽質オレフィンを生成するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C07C 5/333 20060101AFI20240822BHJP
   C07C 11/06 20060101ALI20240822BHJP
   B01J 8/18 20060101ALI20240822BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20240822BHJP
   B01J 21/14 20060101ALI20240822BHJP
   B01J 23/62 20060101ALI20240822BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
C07C5/333
C07C11/06
B01J8/18
B01J23/42 Z
B01J21/14 Z
B01J23/62 Z
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509499
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022036093
(87)【国際公開番号】W WO2023287606
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/329,006
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100202603
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 智史
(72)【発明者】
【氏名】マドゥスカール サウラブ エス
(72)【発明者】
【氏名】キュヒラー キース エイチ
(72)【発明者】
【氏名】バオ シャオイン
【テーマコード(参考)】
4G070
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB10
4G070BB32
4G070CA26
4G070CB17
4G070CC02
4G070CC07
4G070CC20
4G169AA03
4G169AA10
4G169BA01B
4G169BA06A
4G169BA06B
4G169BA20B
4G169BB05B
4G169BB06B
4G169BC08A
4G169BC10A
4G169BC10B
4G169BC16B
4G169BC22A
4G169BC22B
4G169BC31A
4G169BC32A
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CB07
4G169CB63
4G169DA08
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169FA01
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB30
4G169FB63
4G169FC08
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC12
4H006BA11
4H006BA26
4H006BA55
4H006BC10
4H006BC32
4H006BD60
4H039CA21
4H039CC10
(57)【要約】
オレフィンの形成方法であって、炭化水素フィードストリームを、脱水素触媒を含む反応器に導入するステップと、炭化水素フィードストリームを反応器内で脱水素触媒と反応させて、脱水素触媒の少なくとも一部を含む高温脱水素生成物を形成するステップと、一次分離装置及び一次分離装置の下流にあって一次分離装置と流体連絡している二次分離装置内で脱水素触媒の少なくとも一部を高温脱水素生成物から分離するステップと、高温脱水素生成物が二次分離装置から出た後に、高温脱水素生成物を、炭化水素を含むクエンチストリームと混ぜ合わせて、高温脱水素生成物を冷却して中温脱水素生成物を形成するステップと、中温脱水素生成物を冷却して冷却脱水素生成物を形成するステップとを含む、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンの形成方法であって、
炭化水素フィードストリームを、脱水素触媒を含む反応器に導入するステップと、
前記炭化水素フィードストリームを前記反応器内で前記脱水素触媒と反応させて、前記脱 水素触媒の少なくとも一部を含む高温脱水素生成物を形成するステップと、
一次分離装置及び前記一次分離装置の下流にあって前記一次分離装置と流体連絡している二次分離装置内で前記脱水素触媒の少なくとも一部を前記高温脱水素生成物から分離するステップと、
前記高温脱水素生成物が前記二次分離装置から出た後に、前記高温脱水素生成物を、炭化水素を含むクエンチストリームと混ぜ合わせて、前記高温脱水素生成物を冷却して中温脱水素生成物を形成するステップと、
前記中温脱水素生成物を冷却して冷却脱水素生成物を形成するステップと
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記クエンチストリームが液体炭化水素を含み、前記中温生成物が完全に気相中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高温脱水素生成物と前記クエンチストリームの混ぜ合わせステップが、前記反応器のプレナムセクション内で起こる、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記混ぜ合わせステップが、前記高温脱水素生成物内の二次接触分解を最小限にする前記プレナム内の位置で、複数の二次分離装置からの前記高温脱水素生成物を前記クエンチストリームと混ぜ合わせるステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記クエンチストリームが、前記高温脱水素生成物中に形成されない芳香族化合物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記中温脱水素生成物を前記反応器の下流で熱交換器又は第2のクエンチストリームを用いてさらに冷却して、前記冷却脱水素生成物を得るステップをさらに含み、
ここで、前記クエンチストリームは、前記熱交換器又は前記第2のクエンチストリームによってさらに冷却された後の前記冷却脱水素生成物の少なくとも一部を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記クエンチストリームが、前記一次分離装置の出口領域に供給されない、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記一次分離装置及び前記二次分離装置がそれぞれサイクロン分離器であり、それらが全体で、前記高温脱水素生成物中に存在する前記脱水素触媒の少なくとも98%を除去する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記炭化水素フィードがプロパンであり、前記オレフィンがプロピレンであり、前記脱水素触媒が、0.001wt%~6wt%の範囲のPt含量、0wt%~10wt%のSn含量を有するPtSn/MgO触媒を含み、前記触媒がゲルダートA又はゲルダートB分類の要件を満たし、前記反応器内の反応温度が600℃~700℃である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記高温脱水素生成物が少なくとも620℃である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記中温脱水素生成物が620℃以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記一次分離装置及び前記二次分離装置のそれぞれにおける前記高温脱水素生成物の滞留時間が1秒未満である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記脱水素触媒がPt、無機担体、及び混入物を含み、前記Ptは、前記無機担体の質量に基づいて0.001wt%~6wt%の範囲の濃度を有し、
前記無機担体は、該無機担体の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、前記第2族元素はMgを含み、
前記第2族元素の少なくとも一部は、MgOの形態又はMgを含む混合金属酸化物の形態にあり、かつ
前記触媒が、前記無機担体の質量に基づいて10wt%までのプロモーターを含み、前記プロモーターは、下記元素:Sn、Ag、Cu、その組み合わせ、又はその混合物の1種以上を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
炭化水素フィードストリームからオレフィンを形成するためのシステムであって、
前記炭化水素フィードストリームを脱水素触媒との反応条件下で受け取るように構成された反応器であって、前記反応条件は、前記脱水素触媒の少なくとも一部を含む高温脱水素生成物を生成する、反応器と、
前記脱水素触媒の少なくとも一部を前記高温脱水素生成物から分離するように構成された複数の分離装置であって、一次分離装置及び前記一次分離装置の下流にあって前記一次分離装置と流体連絡している二次分離装置を含む、複数の分離装置と、
前記高温脱水素生成物を、炭化水素を含むクエンチストリームと混ぜ合わせて、前記高温脱水素生成物を冷却して中温脱水素生成物を形成するように構成されたクエンチシステムと、
前記中温脱水素生成物を冷却して冷却脱水素生成物を形成するように構成された熱伝達システムとを含む、前記システム。
【請求項15】
前記クエンチストリームが液体炭化水素を含み、前記中温生成物が完全に気相中にある、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記クエンチシステムが、前記反応器のプレナムセクション内で前記高温脱水素生成物を前記クエンチストリームと混ぜ合わせるように構成されている、請求項14又は請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記クエンチシステムが、前記高温脱水素生成物内の二次接触分解を最小限にする前記プレナム内の位置に前記クエンチストリームを注入するように構成されている、請求項14~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記熱伝達システムが、熱交換器又は第2のクエンチストリームを供給するように構成されたノズルを含む、請求項14~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記クエンチシステムが、前記一次分離装置の出口領域に前記クエンチストリームを供給しないように構成されている、請求項14~18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記一次分離装置及び二次分離装置が、それぞれサイクロン分離器であり、それらが全体で、前記高温脱水素生成物中に存在する前記脱水素触媒の少なくとも98%を除去するように構成されている、請求項14~19のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することにより両方とも開示内容全体をここに援用する出願日2021年7月16日を有する米国仮出願第63/222,733号、及び出願日2022年4月8日を有する米国仮出願第63/329,006号に対する優先権及びそれらの利益を主張する。
【0002】
分野
本技術的進歩の代表的実施形態は、化学処理システム、さらに詳細には脱水素化学処理システムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
軽質オレフィンは、多くのタイプの物品及び材料を作り出すための基礎材料として利用され得る。例えば、エチレンは、ポリエチレン、塩化エチレン、又は酸化エチレンを製造するために利用され得る。該製品は、製品の包装、構造物、織物等に利用され得る。従って、軽質オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、及びブテン等に対する産業需要がある。軽質オレフィンは、原油精製操作からの生成物又はバイオ精製所若しくは天然ガス成分ストリームからの再生可能生成物であり得る所与の化学物質フィードに応じて異なる反応プロセスによって生成され得る。多くの軽質オレフィンは、触媒プロセス、例えばフィードストリームが、フィードストリームの軽質オレフィンへの変換を促進する流動触媒と接触される接触脱水素を介して生成され得る。該システムでは、軽質オレフィンに対する反応選択性が全体的プロセス効率に重要であり得る。
【0004】
参照することによりその内容全体をここに援用する特許公開WO2020/263599は、軽質オレフィンの形成方法について記述しており、この方法は、炭化水素フィードストリームを反応器に導入し、反応器内で炭化水素フィードストリームを脱水素触媒と反応させて高温脱水素生成物を形成し、この高温脱水素生成物から脱水素触媒の少なくとも一部を一次分離装置内で分離し、高温脱水素生成物をクエンチストリームと混ぜ合わせて高温脱水素生成物を冷却して中温脱水素生成物を形成し、この中温脱水素生成物を冷却して冷却脱水素生成物を形成するステップを含む。
参照することによりその内容全体をここに援用する特許公開WO2018/236630は、化学物質ストリームの処理方法について記述しており、この方法は、上流反応器セクション及び下流反応器セクションを有する反応器の上流反応器セクション内でフィードストリームを触媒と接触させ、中間生成物ストリームを下流反応器セクションに送り、ライザークエンチ流体を下流反応器セクション、上流反応器セクション、又は移行セクションに導入して中間生成物ストリーム及び触媒と接触させて、反応を減速又は停止させるステップを含む。この方法は、生成物ストリームから触媒の少なくとも一部を分離し、生成物ストリームを生成物処理セクションに送り、生成物ストリームを冷却し、生成物ストリームからライザークエンチ流体の一部を分離するステップを含む。生成物ストリームから分離されたライザークエンチ流体は、下流反応器セクション、上流反応器セクション、又は移行セクションに戻されてライザークエンチ流体として再循環され得る。
【発明の概要】
【0005】
要約
オレフィンの形成方法であって、炭化水素フィードストリームを、脱水素触媒を含む反応器に導入するステップと、反応器内で炭化水素フィードストリームを脱水素触媒と反応させて、脱水素触媒の少なくとも一部を含む高温脱水素生成物を形成するステップと、一次分離装置及び一次分離装置の下流にあって一次分離装置と流体連絡している二次分離装置内で高温脱水素生成物から脱水素触媒の少なくとも一部を分離するステップと、高温脱水素生成物が二次分離装置を出た後に、高温脱水素生成物を、炭化水素を含むクエンチストリームと混ぜ合わせて、高温脱水素生成物を冷却して中温脱水素生成物を形成するステップと、中温脱水素生成物を冷却して冷却脱水素生成物を形成するステップとを含む、方法。
炭化水素フィードストリームからオレフィンを形成するためのシステムであって、炭化水素フィードストリームを脱水素触媒との反応条件下で受け取るように構成された反応器であって、反応条件は、脱水素触媒の少なくとも一部を含む高温脱水素生成物を生成する、反応器と、高温脱水素生成物から脱水素触媒の少なくとも一部を分離するように構成された複数の分離装置であって、一次分離装置及び一次分離装置の下流にあって一次分離装置と流体連絡している二次分離装置を含む複数の分離装置と、高温脱水素生成物を、炭化水素を含むクエンチストリームと混ぜ合わせて、高温脱水素生成物を冷却して中温脱水素生成物を形成するように構成されたクエンチシステムと、中温脱水素生成物を冷却して冷却脱水素生成物を形成するように構成された熱伝達システムとを含む、システム。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】異なる温度での二次熱分解に起因する1秒当たりのプロピレン収率の低下を示すグラフである。
図2】異なる温度での二次熱分解に起因する1秒当たりのプロピレン選択性の低下を示すグラフである。
図3】再循環クエンチストリームを有する反応器システムの一般化フローダイヤグラムの代表的実施形態を示す。
図4】本技術的進歩を具体化する代表的反応器のさらに詳細な例を示す。
図5】本技術的進歩に関する典型的PDH触媒のPDH性能を示すグラフである。
図6】生成物AのC3H6収率対反応ゾーン温度を示すグラフである。
図7】生成物AのC3H6選択性対反応ゾーン温度を示すグラフである。
図8】触媒組成物(触媒8)が204サイクルにわたってその性能を維持したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
定義
本明細書で使用する場合、かつ特別の定めのない限り、用語「炭化水素」は、炭素に結合した水素を含有する化合物の分類を意味し、(i)飽和炭化水素化合物、(ii)不飽和炭化水素化合物、及び(iii)異なるn値を有する炭化水素化合物の混合物を含め、炭化水素化合物(飽和及び/又は不飽和)の混合物を包含する。
本明細書で使用する場合、「形成されない」は、反応器内での0.1炭素モル%以下の選択性(プロパンフィードと比べて)である生成物形成を意味する。ここで、(生成物中の炭素モル数)/(フィード中の炭素の変換モル数)=生成物の炭素モル%選択性である。例えば、3モルのプロパンが変換されると2モルのエチレンが生成される場合、エチレンの炭素モル%選択性は44.4%である。
「オレフィン」は、「アルケン」と呼ばれることもあり、少なくとも1つの二重結合を有する炭素と水素の直鎖、分岐、又は環状化合物である。
「プレナム」は、反応器の、熱い生成物ストリームを反応器から出口ストリームに運ぶ管又はダクト間の流体連絡を促進する領域を意味する。プレナムは、気体が反応器から排出される前に複数セットのサイクロンから気体を収集するための導管として作用することもある。後述するように、反応器は、複数のプレナム(例えば、図4に示す第1のプレナム及び第2のプレナム)を有することがあり、用語プレナムは、特に断りのない限り、第1又は第2のプレナムのどちらかを指す。
【0008】
本開示の目的では、元素の命名法は、Hawley's Condensed Chemical Dictionary, 16th Ed., John Wiley & Sons, Inc., (2016), Appendix Vに提供されている元素周期表のバージョン(新表記法下)に準拠する。例えば、第2族元素はMgを含み、第8族元素はFeを含み、第9族元素はCoを含み、第10族元素はNiを含み、第13族元素はAlを含む。本明細書で使用する用語「半金属」は、下記元素:B、Si、Ge、As、Sb、Te、及びAtを指す。本開示では、所与の元素が存在すると示されるとき、特段の記載がない限り又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、それは元素状態で又はその任意の化合物として存在し得る。
【0009】
用語「混合金属酸化物」は、酸素原子及び少なくとも2種の異なる金属原子を含み、それらが原子スケールで混ざり合っている組成物を指す。例えば、「混合Mg/Al金属酸化物」は、原子スケールで混ざり合ったO、Mg、及びAl原子を有し、実質的に、下記一般式を有するMg/Alハイドロタルサイトをか焼することによって得られる組成物と同一である。
【化1】
式中、Aは、負電荷nの対アニオンであり、xは、>0から<1までの範囲にあり、mは、≧0である。一緒に混ざり合ったnmサイズのMgO粒子及びnmサイズのAl2O3粒子から成る材料は、Mg原子とAl原子が原子スケールで混ざり合っているのではなく、nmスケールで混ざり合っているので、混合金属酸化物でない。
【0010】
用語「選択性」は、触媒反応における特定化合物の生成率(炭素モル基準で)を指す。例として、「アルカン炭化水素変換反応は、オレフィン炭化水素に対して100%の選択性を有する」という表現は、該反応で変換されるアルカン炭化水素の100%(炭素モル基準)がオレフィン炭化水素に変換されることを意味する。特定反応体に関して使用するとき、用語「転化率」は、反応に消費される反応体の量を意味する。例えば、特定反応体がプロパンであるとき、100%転化率は、プロパンの100%が反応に消費されることを意味する。別の例では、特定反応体がプロパンであるとき、1モルのプロパンが1モルのメタンと1モルのエチレンに変換する場合、メタンに対する選択性は33.3%であり、エチレンに対する選択性は66.7%である。収率(炭素モル基準)は、転化率×選択性である。
【0011】
簡単にするために、本明細書には特定範囲だけを明示的に開示する。しかしながら、任意の下限からの範囲を任意の上限と組み合わせて、明示的記載でない範囲を記述するのみならず、任意の下限からの範囲を任意の他の下限と組み合わせて明示的記載でない範囲を記述することもあり、同様に、任意の上限からの範囲を任意の他の上限と組み合わせて、明示的記載でない範囲を記述することもある。さらに、ある範囲内には、明示的記載でないにもかかわらずその終点間のあらゆる点又は個々の値が含まれる。従って、あらゆる点又は個々の値は、任意の他の点又は個々の値と組み合わされてそれ自体の下限又は上限として機能して、明示的記載でない範囲を記述し得る。
本明細書では熱い、高温、及び中温等の句を用いて反応器及び種々のストリームを記述するが、これらの程度用語は、相対的温度特性に基づいてストリームを区別するために使用する。熱力学によって決まる反応器温度及び熱流に関しては特定の温度は関係なく、ストリームの相対温度を把握すべきことが当業者なら分かるだろう。
【0012】
代表的実施形態
軽質オレフィン(例えば、プロピレン)は、触媒プロセス、例えばフィードストリーム(例えば、プロパン)が流動脱水素触媒と高温で接触される脱水素によって生成され得る。フィードストリームは、原油精製所に由来し得る(例えば、プロパン)。結果として生じる生成物混合物は、高反応性分子と触媒粒子との混合物を含有し得る。本技術的進歩の代表的実施形態は、触媒粒子を熱い生成物ストリーム(例えば、ほぼ反応器温度)を分離し、その後にダイレクト液体クエンチを用いて熱い生成物ストリームを冷却して、二次的な熱反応及び触媒反応による選択性低下を回避できる反応器構成を記述する。
脱水素反応器からの軽質オレフィンの選択性は、二次反応により悪影響を受ける。二次反応は、生成物の副反応及び/又は過剰反応による反応体の継続的な熱反応及び触媒反応を含む。これを回避するため、触媒粒子は熱い生成物ストリームから分離されるべきであり、結果として生じる熱い生成物ストリームは、熱反応を減速又は停止させるのに十分低い中温に冷却される必要がある。
【0013】
プロパン脱水素(PDH)反応器によるプロピレン生成後の収率及び選択性の低下は、熱反応と触媒反応の両方が原因で起こり得る。これらの二次反応は、高温生成物ストリームからの触媒粒子の効率的分離及び触媒分離後の高温生成物ストリームの即時クエンチによって最小限にされ得る。好ましいシーケンスは、一次及び二次サイクロン分離器による完全に近い触媒分離(すなわち、ほぼ>98%の分離)後の炭化水素クエンチングである。これは、WO2020/263599に記載された部分的触媒分離を伴う中間クエンチングという従来の手法とは対照的であり得る。
本技術的進歩に従って構成される脱水素反応器は、下記特徴のいくつか又は全てを含み得る:(a)ライザー後の生成物ストリームから、冷却前に一次及び二次サイクロン分離器を用いて触媒粒子を即時除去すること;(b)触媒分離後に高温生成物ストリームをダイレクト液体/気体クエンチを用いて冷却すること;(c)高温生成物ストリームと流体接触状態で気化/フラッシュする気体又は飽和若しくはサブクール液体であるクエンチ流体を使用し、これが熱伝達に効率的な接触を与える;(d)下流の分離ユニットで生成物ストリームを分離し、そこで分離器からの副生物ストリーム(例えば、ベンゼン)の少なくとも一部がクエンチ流体として再循環される;(e)クエンチ流体は、生成物ストリームから導かれるか又は反応器内で形成されない外部流体(例えば、重質芳香族溶媒)であるか又は水であり得る:(f)600℃~700℃の範囲の反応温度;(g)混合マグネシウムアルミニウム酸化物に担持されたPt触媒の使用;(h)スチームクラッカーとの熱及び/又は回収プロセスの統合;及び(i)初期クエンチング後の生成物ストリームからの微粉除去。
【0014】
本技術的進歩を具体化する反応器は、下記利点のいくつか又は全てを提供することができる:(a)一次及び二次サイクロンは、クエンチ前に高温生成物ストリームからの非常に高い触媒分離効率(>98%)を達成することができ、クエンチ後に起こり得る二次触媒反応を最小限にする;(b)分離された触媒粒子は、800℃の再生器に循環させることができ、クエンチング前のより高い分離効率は、触媒粒子の顕熱損失を回避する;及び(c)反応器のプレナムにクエンチ流体を注入するステップは、各分離系のために複数のクエンチラインが必要とされることになるWO2020/263599の従来のシステムと比べて反応器デザインの複雑さを減じる。
【0015】
二次的な熱反応及び触媒反応が実験室固定床反応器内のプロピレン(C3H6収率)に及ぼす効果を研究するために実験を行った。管型反応器で触媒を充填せずに実験を行って、二次熱分解に起因する収率の低下を測定した。図1は、2つの異なる圧力で反応器出口温度における反応器滞留時間後ごとの二次熱分解に起因するプロピレン収率の低下を示すグラフである。例えば、640℃及び26psiaで5秒の反応器滞留時間後は、2.5炭素モル%のプロピレン収率低下に至るだろう。図2は、2つの異なる圧力で反応器出口温度における反応器滞留時間後ごとの二次熱分解に起因するプロピレン選択性の低下を示すグラフである。この収率及び選択性の低下は、未変換プロパンの非プロピレン生成物への二次熱分解反応及びプロピレン自体の熱分解反応に起因し得る。この収率及び選択性の低下は、プロピレン生産の全体的経済性に顕著な影響を与え得る。
【0016】
図3は、再循環クエンチストリームを有する反応器システムの一般化フローダイヤグラムの代表的実施形態を示す。本明細書では図3のシステムの1つ以上の実施形態の多くのプロセス及び機器の詳細を図4を参照して述べていることに留意されたい。
さらに図3を参照すると、反応器システム102は反応器202、分離装置220、及びプレナムセクション204を含み得る。反応器システムは触媒処理部300と連結される。一般的に、主反応、例えば脱水素反応は反応器202内で起こり、そこで、図示システムの外部からの反応体ストリーム280(本明細書では炭化水素フィードストリームと呼ぶこともある)が触媒処理部からのストリーム282の再生触媒と混ぜ合わされ、反応器202に送られる。反応後、触媒、未反応化学物質及び生成物化学物質がストリーム284を経て分離装置220へ移される。「生成物ストリーム」は反応生成物と反応体ストリーム280からの未反応成分とを両方含み得ることを理解すべきである。反応体ストリーム280は、プロパン、n-ブタン、イソブタン、エタン、又はエチルベンゼンの1種以上を含み得る。
【0017】
本明細書では、ストリーム284を高温脱水素生成物と呼ぶこともある。一般的に、ストリーム284は、反応器202の出口温度に等しい温度に近い温度を有する。温度は、反応及び利用触媒系に依存し得る。1つ以上の実施形態では、ストリーム284は、プロパン脱水素については600℃~700℃の範囲の温度、及び1.0バール絶対圧(bara)~4.0バール絶対圧の範囲の圧力を有する。
分離装置220は、一次分離装置402及び二次分離装置404を含み得る。さらなる実施形態では、一次分離装置402及び/又は二次分離装置404は、限定するものではないが、サイクロン、フィルター、又は気体から触媒等の固体を分離するのに適した他の装置であり得る。一次分離装置402内の気相反応体及び生成物化学物質からのストリーム284の触媒の少なくとも一部(通常は大半)の分離後、触媒は、ストリーム294を経て触媒処理部300に送られ、生成物及び反応体ガス(高温脱水素生成物と呼ぶこともある)は、一次分離装置402からストリーム286を経て送られ得る。ストリーム286の温度は、ストリーム284の温度にほぼ等しい可能性がある。
高温脱水素生成物286が一次分離装置402から出た後、生成物286は、二次分離装置404に送られる。触媒は、ストリーム298を経て触媒処理部300に送られ得る。一次分離装置402の出口にはクエンチ流体が適用されない。一次及び二次分離装置は、1バール絶対圧~4バール絶対圧の範囲の圧力で、600℃~700℃の範囲の温度にて作動し得る。
【0018】
高温脱水素生成物が二次分離装置からストリーム288を経て出た後、高温脱水素生成物(すなわち、反応器流出物)は、反応器システム102のプレナムセクション204でクエンチストリーム296と混ぜ合わされて高温脱水素生成物を冷却し、ストリーム289(中温脱水素生成物と呼ぶこともある)を形成する。中温脱水素生成物は、好ましくは、620℃以下の温度を有する。クエンチストリームは、本明細書で詳細に説明する下流の分離システムで分離され得るストリーム288の一部である気体若しくは液体ストリーム、又は外部ソースから供給されるストリームであり得る。クエンチストリームは、エチレン、プロピレン、ブテン異性体又はベンゼン(例えば、反応生成物)の1種以上を含み得る。クエンチストリームは、液体炭化水素を含むことがあり、中温生成物は完全に気相中にあり得る。
【0019】
例えば、クエンチ流体296は、水蒸気、液体水、液体炭化水素(例えば、クエンチ油、燃料油、又は他の炭化水素)、又はこれらの組み合わせを含み得る。液体炭化水素は、6個以上の炭素原子、例えば6個の炭素原子~25個の炭素原子、又は6個の炭素原子~20個の炭素原子を有する炭化水素を含み得る。一部の実施形態では、クエンチ流体296は水を含み得る。或いは、他の実施形態では、クエンチ流体296は液体炭化水素を含み得る。さらに他の実施形態では、クエンチ流体296は、ベンゼン、トルエン、熱分解ガス、又はこれらの組み合わせの1つ又は2つ以上を含み得る。クエンチストリームは、高温脱水素生成物中に形成されない芳香族化合物を含み得る。クエンチは、灯油、軽質コーカーガスオイル、コークス蒸留器(coke still)(コーカー)留出物(CSD)、水素処理留出物、又は未使用の未加工バージン原料、例えばバージンガスオイル、重質バージンナフサ、軽質バージンナフサを含み得るが、好ましくは軽質触媒サイクルオイル(LCCO又はLCO)、重質触媒サイクルオイル(HCCO又はHCO)、又は重質触媒ナフサ(HCN)、芳香族100(A100)溶媒、芳香族150(A150)溶媒、芳香族200(A200)溶媒又はその任意の組み合わせのような重質芳香族溶媒を含む。
【0020】
クエンチ流体296は、ストリーム289の温度を約620℃~580℃に下げることができ、ストリーム289は気化に起因する0.1バール以下の圧力変化を経験する。
クエンチ流体296の温度は、中間ストリームの温度及びストリーム288中の触媒の温度より100℃以上、200℃以上、300℃以上、400℃以上、又は550℃以上低い可能性がある。上記二次的な熱反応及び触媒反応を十分に減速又は停止させる必要に応じてクエンチストリームの温度及びクエンチストリームを注入するノズルの位置を最適化することができる。
次にストリーム289が、例えば、熱交換器406によって処理されてその中身が冷却される。さらなる実施形態では、冷却ステップは、別の液体クエンチングシステム408又はストリームを冷却する他の既知手段の追加を含み得る。この他のクエンチングシステム408は、上記いずれのクエンチ流体をも使用することができる。一般的に、熱伝達システムは、熱交換器406と他のクエンチングシステム408(又は場合によりストリームを冷却する任意の他の手段)の一方又は両方を含み得る。熱交換器406の生成物ストリームはストリーム290であり、冷却脱水素生成物と呼ぶことがある。ストリーム290の温度は、クエンチストリーム296に関して述べた温度とほぼ同じであり得る。ストリーム290及び又はストリーム296は、それらが所望方向に流れるように圧力増加を受け得ることを理解すべきである。
【0021】
クエンチストリーム296を形成するために、ストリーム290の少なくとも一部が、分離ユニット407(いずれの適切なタイプの分離手段又はストリームの一部を方向転換させる手段でもあり得る)を経てシステムに戻されて再循環される。ストリーム296の化学物質含量は、ストリーム286の化学物質含量と同様又は同一であり得る(すなわち、反応器202における反応以後に、いくらかの残余の熱分解を除いてさらなる反応は起こらなかった)ことに留意すべきである。ストリーム288をクエンチストリーム296と接触させることによるストリーム288のクエンチングは、ストリーム286の中身を、熱分解及び他の二次反応の反応速度を実質的に下げる温度まで冷却し得る。ストリーム286は、熱分解が起こり、該熱分解が所望反応生成物の選択性を下げる可能性のある温度であり得る。
熱交換器406は、フィードストリーム280を生成物ストリーム289からの熱伝達を介して加熱するように構成され得る。
1つ以上の実施形態によれば、分離装置220によって分離される触媒粒子及び/又はストリーム289から回収される触媒粒子(図示せず)は、触媒処理部300に送られる前に1つ以上のステップで処理され得る。
【0022】
図4は、本技術的進歩を具体化する代表的反応器を示す。図4に示す反応器デザインは、上記二次反応を最小限にする。この構成では、プロパンフィードが反応器のライザーセクション内で高温(>600℃)にて脱水素触媒と接触する。脱水素触媒は、一次及び二次分離装置内で高温生成物ストリームから分離される。結果として生じる高温生成物ストリームは、脱水素生成物(プロピレン)、副生物(メタン、ベンゼン等)及び未変換プロパンを含み得る。二次分離装置からのこのストリームアウトプットは即座に液体クエンチストリームでクエンチされる。液体クエンチストリームは、脱水素反応の副生物(ベンゼン)又は他の外部流体(水又はA150)を含み得る。クエンチ液体は、反応器のプレナムセクションで高温ストリームと接触して気化する。この直接熱伝達は、生成物ストリームの温度及び二次反応速度の低減をもたらす。
図4は、プロピレン/プロパンの実施形態に関連して述べているが、本技術的進歩は、他のオレフィンの生産に適用可能である。また、図4において同様の番号が図3に関連して利用される場合もあるが、図3の実施形態は種々多様の反応器タイプを利用し得るが、図4は該タイプの1つの例にすぎないことを理解すべきである。
【0023】
図4は、図3の反応器システム102の一部の実施形態を示し、反応容器410と呼ぶこともあり、分離装置は一次分離装置420を含む。一次分離装置420はシェル430内に収容され、本体421、入口422、出口424及び固体排出ディップレッグ(dipleg)426を有する。流動固体ストリームが一次分離装置420に入口422を通って入る。一次分離装置420内で、同伴固体、例えば触媒粒子の大部分が流動固体ストリームから分離される。分離された固体は、一次分離装置から排出ディップレッグ426を通って出て、一次分離装置420で除去されなかった固体及び流体、例えば気体生成物を含む一次分離装置流出物を残す。一次分離装置流出物は、垂直に上方に一次分離装置420から出口424を通って二次分離装置440の中に、一次分離装置出口管442を通ってから交差ダクト(図示せず)を通って進む。二次分離装置440は、さらに本体441、出口444及び固体排出ディップレッグ446を含む。二次分離装置440は、一次分離装置流出物から固体をさらに分別する。二次分離装置440で分別された固体は、ディップレッグ446を通って下方に出る。
【0024】
図4に示すように、クエンチストリーム296は、二次分離装置440の上方に位置する二次分離装置出口管444の上部に入り得る。このような配置はクエンチストリームと二次分離装置440の流出物の適切な混合のため及び二次分離装置440の出口とクエンチストリーム296用の入口又はノズルの位置との間の滞留時間を減らすために望ましい可能性があると考えられる。一部の実施形態では、一次分離装置及び二次分離装置のそれぞれにおける高温脱水素生成物の滞留時間は1秒未満である。
二次分離装置出口444は、第2のプレナム450に流動的に接続される。第2のプレナムは、二次分離装置流出物を容器410から出口470を通って進ませる。図4に示すように、第2のプレナムは、より大きく、高容積の第1のプレナム460に収容される。一次分離装置420は、第1のプレナム460によって支持され得る。
【0025】
クエンチストリーム296用の入口又はノズルの正確な位置は、使用する実際の反応器に応じて異なり得るが、それは、高温脱水素生成物内の二次接触分解を最小限にし、及び/又はオレフィン(すなわち、プロピレン)の収率低下を最小限にする第1のプレナム460又は第2のプレナム450内の位置に配置され得る(第2のプレナム内の296用の管、ダクト、又は導管は、その一部が第2のプレナム450を画定する金属プレートの背後になるので部分的に破線で示してあることに留意されたい)。好ましくは、クエンチストリーム296は、全ての二次分離装置が単一の入口又はノズルでクエンチされ得るように、必要な配管を最小限にする構成とされ、結果として単純な反応器デザインを実現するために第2のプレナム450の領域内でクエンチし得る。従って、図4は、クエンチストリーム296の入口又はノズルのために可能な2つの位置を示しているが、実際には一方又は両方とも使用可能である。しかしながら、一次分離装置420の出口領域(すなわち、出口424)にクエンチストリームが供給されないことが重要である。
【0026】
図4には、シェル430がさらにライザー435を収容することをも示している。流動固体粒子の非分離ストリームがライザー435を通ってシェルに入る。ライザー435は、一次分離装置420の入口422と流動的に接続し、すなわち、流動固体粒子の通過を可能にし、結果として流動固体粒子の非分離ストリームはライザー435から一次分離装置420の中に進み得る。図4は、1つの一次分離装置及び1つの二次分離装置だけを概略的に示しているが、さらなる一次及び二次分離装置がライザー周辺に配置され得ることが分かるだろう。例えば、第2のプレナム450は、順次一次分離装置420によって又は別の一次分離装置(図示せず)によって供給される別の二次分離装置(図示せず)に接続される可能性がある。
【0027】
触媒の安定性を実証するための実験
それらの目的に適したいずれの触媒をも本技術的進歩を具体化する反応器に使用できることを当業者なら認めるであろう。一部の実施形態では、触媒は、無機担体の質量に基づいて、0.001wt%、0.002wt%、0.003wt%、0.004wt%、0.005wt%、0.006wt%、0.007wt%、0.008wt%、0.009wt%、0.01wt%、0.015wt%、0.02wt%、0.025wt%、0.03wt%、0.035wt%、0.04wt%、0.045wt%、0.05wt%、0.055wt%、0.06wt%、0.065wt%、0.07wt%、0.075wt%、0.08wt%、0.085wt%、0.09wt%、0.095wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、又は6wt%までの、無機担体上に配置された第10族元素を含み得る。一部の実施形態では、触媒は、無機担体の質量に基づいて、≦5.5wt%、≦4.5wt%、≦3.5wt%、≦2.5wt%、≦1.5wt%、≦1wt%、≦0.9wt%、≦0.8wt%、≦0.7wt%、≦0.6wt%、≦0.5wt%、≦0.4wt%、≦0.3wt%、≦0.2wt%、≦0.15wt%、≦0.1wt%、≦0.09wt%、≦0.08wt%、≦0.07wt%、≦0.06wt%、≦0.05wt%、≦0.04wt%、≦0.03wt%、≦0.02wt%、≦0.01wt%、≦0.009wt%、≦0.008wt%、≦0.007wt%、≦0.006wt%、≦0.005wt%、≦0.004wt%、≦0.003wt%、又は≦0.002wt%の、無機担体上に配置された第10族元素を含み得る。一部の実施形態では、触媒は、無機担体の質量に基づいて、>0.001、>0.003wt%、>0.005wt%、>0.007、>0.009wt%、>0.01wt%、>0.02wt%、>0.04wt%、>0.06wt%、>0.08wt%、>0.1wt%、>0.13wt%、>0.15wt%、>0.17wt%、>0.2wt%、>0.2wt%、>0.23、>0.25wt%、>0.27wt%、又は>0.3wt%かつ<0.5wt%、<1wt%、<2wt%、<3wt%、<4wt%、<5wt%、又は<6wt%の、無機担体上に配置された第10族元素を含み得る。
【0028】
一部の実施形態では、第10族元素は、Ni、Pd、Pt、その組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はそれらを含み得る。少なくとも1つの実施形態では、第10族元素は、PtであるかPtを含み得る。2種以上の第10族元素が無機担体上に配置されている場合、触媒は、無機担体の質量に基づいて、0.001wt%、0.002wt%、0.003wt%、0.004wt%、0.005wt%、0.006wt%、0.007wt%、0.008wt%、0.009wt%、0.01wt%、0.015wt%、0.02wt%、0.025wt%、0.03wt%、0.035wt%、0.04wt%、0.045wt%、0.05wt%、0.055wt%、0.06wt%、0.065wt%、0.07wt%、0.075wt%、0.08wt%、0.085wt%、0.09wt%、0.095wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、又は1wt%から2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、又は6wt%までの合計量の、無機担体上に配置された2種以上の第10族元素を含み得る。一部の実施形態では、炭化水素フィードストリームの脱水素を引き起こす能力があり得る再生触媒の成分は、第10族元素を含み得る。
【0029】
無機担体は、限定するものではないが、1種以上の第2族元素、その組み合わせ、若しくはその混合物であるか又はそれらを含み得る。一部の実施形態では、第2族元素は、その元素形態で存在し得る。他の実施形態では、第2族元素は、化合物の形態で存在し得る。例えば、第2族元素は、酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハラート(halate)、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、又はケイ化物として存在し得る。一部の実施形態では、第2族元素を含む任意の2種以上の化合物の混合物が異なる形態で存在し得る。例えば、第1の化合物が酸化物であり、第2の化合物がアルミン酸塩であり得、第1の化合物及び第2の化合物は、同一又は相互に異なる第2族元素を含む。
【0030】
無機担体は、無機担体の質量に基づいて、≧0.5wt%、≧1wt%、≧2wt%、≧3wt%、≧4wt%、≧5wt%、≧6wt%、≧7wt%、≧8wt%、≧9wt%、≧10wt%、≧11wt%、≧12wt%、≧13wt%、≧14wt%、≧15wt%、≧16wt%、≧17wt%、≧18wt%、≧19wt%、≧20wt%、≧21wt%、≧22wt%、≧23wt%、≧24wt%、≧25wt%、≧26wt%、≧27wt%、≧28wt%、≧29wt%、≧30wt%、≧35wt%、≧40wt%、≧45wt%、≧50wt%、≧55wt%、≧60wt%、≧65wt%、≧70wt%、≧75wt%、≧80wt%、≧85wt%、又は≧90wt%の第2族元素を含み得る。一部の実施形態では、無機担体は、無機担体の質量に基づいて、0.5wt%、1wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、5wt%、7wt%、10wt%、11wt%、13wt%、15wt%、17wt%、19wt%、21wt%、23wt%、又は25wt%から30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、60wt%、65wt%、70wt%、75wt%、80wt%、85wt%、90wt%、又は92.34wt%までの範囲の第2族元素を含み得る。一部の実施形態では、第2族元素と第10族元素のモル比は、0.24、0.5、1、10、50、100、300、450、600、800、1,000、1,200、1,500、1,700、又は2,000から3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、又は900,000までの範囲であり得る。
【0031】
一部の実施形態では、無機担体は、第2族元素及びAlを含み得、かつ原子スケールで混合されたO、Mg、及びAl原子を有する混合第2族元素/Al金属酸化物の形態であり得る。一部の実施形態では、無機担体は、酸化物の形態の第2族元素及びAl若しくはnmスケールで混合され得る第2族元素とAl2O3との1種以上の酸化物であるか又はこれらを含み得る。一部の実施形態では、無機担体は、第2族元素の酸化物、例えば、MgO、及びnmスケールで混合されたAl2O3であるか又はこれらを含み得る。
一部の実施形態では、無機担体は、混合第2族元素/Al金属酸化物の形態の第1の量の第2族元素及びAl並びに第2族元素の酸化物の形態の第2の量の第2族元素であるか又はこれらを含み得る。該実施形態では、混合第2族元素/Al金属酸化物及び第2族元素の酸化物はnmスケールで混合され得、混合第2族元素/Al金属酸化物中の第2族元素及びAlは原子スケールで混合され得る。
【0032】
他の実施形態では、無機担体は、混合第2族元素/Al金属酸化物の形態の第1の量の第2族元素と第1の量のAl、第2族元素の酸化物の形態の第2の量の第2族元素、及びAl2O3の形態の第2の量のAlであるか又はこれらを含み得る。該実施形態では、混合第2族元素/Al金属酸化物、第2族元素の酸化物、及びAl2O3は、nmスケールで混合され得、混合第2族元素/Al金属酸化物中の第2族元素及びAlは原子スケールで混合され得る。
一部の実施形態では、無機担体が第2族元素及びAlを含むとき、無機担体中の第2族元素とAlの質量比は、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.3、0.5、0.7、又は1から3、6、12.5、25、50、75、100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1,000までの範囲であり得る。一部の実施形態では、無機担体がAlを含むとき、無機担体は、無機担体の質量に基づいて、Alを0.5wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%、2.1wt%、2.3wt%、2.5wt%、2.7wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%、又は11wt%から15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、40wt%、45wt%、又は50wt%までの範囲で含み得る。
【0033】
一部の実施形態では、触媒は、少なくとも1種のアルカリ土類金属酸化物又は少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する少なくとも1種の混合金属酸化物を含有する担体上にPt及びSnを蓄積させることによって作製され得る。触媒の組成は以下のとおりであり得る:Ptが担体の質量に基づいて0.001wt%~6wt%;Snが担体の質量に基づいて0wt%~10wt%;担体は、少なくとも1種のアルカリ土類金属酸化物を含む。総アルカリ土類金属含量は、担体の質量に基づいて少なくとも0.5wt%であり得る。触媒は、粒子のゲルダート(Geldart)分類によればゲルダートA又はB型のものであり得る。
他の触媒が使用されることもあり、本方法及び/又はシステムの実施のある時点で少なくとも部分的に失活され得る。触媒は、第10族元素、無機担体、及び混入物を含み得、第10族元素は、無機担体の質量に基づいて、0.001wt%~6wt%の範囲の濃度を有する。第10族元素はPtであるかPtを含み得、かつ無機担体は、無機担体の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の第2族元素を含む。第2族元素はMgを含み得、第2族元素の少なくとも一部は、MgOの形態又はMgを含む混合金属酸化物の形態にあり得る。触媒は、無機担体の質量に基づいて10wt%までのプロモーターさらに含むことができ、プロモーターは、下記元素の1種以上を含み得る:Sn、Ag、Cu、その組み合わせ、又はその混合物。触媒は、無機担体上に配置された5wt%までのアルカリ金属元素をさらに含むことができ、アルカリ金属元素は、Li、Na、K、Rb、及びCsの少なくとも1種を含み得る。本技術的進歩と共に使用可能な触媒のさらなる例は、参照することによりその内容全体をここに援用する出願日2021年6月2日の出願第63/195966号で見つけられる。
【実施例
【0034】
触媒1:か焼Mg/AlハイドロタルサイトPURALOX(登録商標)MG70/170(Sasol)及びアルミニウムクロロハイドレート(ACH)を含有する水性スラリーを噴霧乾燥させることによってMg/Al酸化物担体を調製した。か焼後の最終担体は、80wt%のか焼ハイドロタルサイトとACH由来の20wt%のアルミナとを含有した。塩化スズ(IV)五水和物(Acros Organics)とクロロ白金酸六水和物(BioXtra)との水溶液を担体に含浸させた。この含浸材料を密閉容器内で室温にて45分間維持した後、全て空気中で110℃にて6時間乾燥させ、800℃で12時間か焼した。最終生成物は、名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有した。
特別の定めのない限り、約100kPa絶対圧で固定床実験を行った。ガスクロマトグラフ(GC)を用いて反応器流出物の組成を測定した。次に反応器流出物中の各成分の濃度を用いてC3H6の収率及び選択性を計算した。これらの実施例で報告したC3H6の収率及び選択性は、炭素モル基準で計算した。
各例では、特定量の触媒「Mcat」を適量の石英希釈剤と混合し、石英反応器に充填した。希釈剤の量は、触媒床(触媒+希釈剤)が石英反応器の等温ゾーンと重なり、作動中に触媒床が大部分は等温になるように決めた。石英チップ/ロッドで反応器のデッドボリュームを満たした。
反応器流出物中の各成分の濃度を用いてC3H6の収率及び選択性を計算した。trxnの開始時及びtrxnの終了時のC3H6の収率及び選択性をそれぞれYini、Yend、Sini、及びSendと表し、下記データ表に百分率として報告する。
【0035】
実施例1:1.システムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、酸素含有ガス(Ogas)を流速(Foxi)で反応ゾーンのバイパスに通した。反応ゾーンを酸化温度Toxiに加熱した。3.次に酸素含有ガスを反応ゾーンに特定時間(toxi)にわたって通して触媒を酸化した。toxi後、酸素含有ガス流量を維持しながら反応ゾーン内の温度をToxiから還元温度(Tred)に変えた。4.システムに不活性ガスを流した。5.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、H2含有ガス(Hgas)を流速(Fred)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスをTredの反応ゾーンの中を特定時間(tred)にわたって流した。6.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度をTredから655℃の反応温度に変えた。7.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、81vol%のC3H8、9vol%の不活性(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを流速(Frxn)で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを655℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。
上記プロセスステップを安定性能が得られるまで周期的に繰り返した。表1は、触媒1がプロパン脱水素に対して活性/選択的だったこと及び60+サイクルにわたって該ツーステップ酸化スキームを使用することによって効率的に再生され得ること示す。図5は、触媒1が60サイクルにわたってプロパン脱水素に対して安定していたことを示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例2:不活性石英チップを詰めた反応ゾーンに模擬プロパン脱水素生成物を供給して、異なる温度と圧力下でのその熱分解を調べた。模擬プロパン脱水素生成物のモル組成を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
模擬プロパン脱水素生成物は、63.7%及び95.5%のそれぞれプロピレンの収率及び選択性と一致する。
反応器に通すと、模擬プロパン脱水素生成物の成分はさらに分解した。異なる転化率下で分解速度を計算し、1秒当たりのプロピレンの収率及び選択性の低下として表した。図1は、異なる温度での1秒当たりのプロピレン収率の低下を示すグラフである(x軸は摂氏度の温度であり、y軸は%である)。図2は、異なる温度での1秒当たりのプロピレン選択性の低下を示すグラフである(x軸は摂氏度の温度であり、y軸は%である)。
約5モル%~10モル%の水蒸気を模擬プロパン脱水素生成物と同時供給しながら上記実験を行った。少量の水蒸気は、分解速度に最小の影響を与えることが分かった。分解速度への最小の影響は、水蒸気の存在に起因するより低い炭化水素分圧が原因であり得る。
【0040】
実施例3:サイクロン装置によって分離されない触媒同伴プロパン脱水素生成物が種々の温度でサイクロン装置の下流の機器の中を流れるときの該触媒同伴プロパン脱水素生成物の反応を理解するために下記実験を行った。
模擬プロパン脱水素生成物及び適量の水蒸気から成るフィードAを、不活性石英チップ及び種々の量の触媒2を詰めた反応ゾーンに供給して、異なる温度下でのフィードAの水素化、熱分解及び接触分解を調べた。下記手順に従って触媒2を調製した:ハイドロタルサイトをか焼することによって得られるMgO-Al2O3混合金属酸化物である2.3gのPURALOX(登録商標)MG70/170(Sasol)を確保した。混合金属酸化物は、70wt%のMgO及び30wt%のAl2O3を含有した。SasolによればBET表面積は170m2/gだった。塩化スズ(IV)五水和物(0.103g)(Acros Organics)、クロロ白金酸六水和物(0.0184g)(BioXtra)、及び脱イオン水(2.2mL)を小型ガラスバイアル中で混合して溶液を作った。この溶液をPURALOX(登録商標)MG70/170担体に含浸させた。この含浸材料を全て空気中で、110℃にて6時間乾燥させ、800℃で12時間か焼した。最終生成物は、名目上0.3wt%のPt及び1.5wt%のSnを含有した。
【0041】
フィードAのモル組成を表3に示す。
【表3】
【0042】
フィードAは、それぞれ、63.7%及び95.5%のプロピレン収率及びプロピレン選択性を有する模擬プロパン脱水素生成物に相当した。
フィードAの総圧力は約100kPa絶対圧だった。フィードAの流量及び反応ゾーン中の触媒2の量は、フィードA中のC含有成分の質量流量を反応ゾーン中の触媒2の質量で割ることによって計算される質量毎時空間速度(WHSV)が、121時間-1、350時間-1から無限(無触媒)に変化するように変えた。
フィードAの流量も、反応ゾーンのボイドボリュームを反応温度/圧力でのフィードAの体積流量で割ることによって計算される反応ゾーン内におけるフィードAの熱的滞留時間が2秒になるように変えた。反応ゾーンは、大部分は等温だった。温度は、反応ゾーンの外部で急速に降下した。
反応ゾーンに通すと、フィードAはさらに分解(熱分解又は接触分解)、脱水素又は水素化して生成物Aを形成した。フィードAのプロピレン収率及び選択性、すなわち63.7%及び95.5%は反応後に変化し得る。例えば、プロピレンの水素化が反応ゾーンで起こると、生成物Aのプロピレン収率は低下する。
【0043】
図6(x軸は摂氏温度;y軸はプロピレン収率(%))は、熱的滞留時間を2秒に保ったときの生成物Aのプロピレン収率対反応ゾーン温度を示す。WHSVを121時間-1(オレンジ色、線(b))、350時間-1(青色、線(a))から無限(無触媒)(灰色、線(c))に変えた。触媒が無いと、T>600℃でのプロピレン収率低下は、完全にプロピレンの熱分解に起因した。触媒が存在すると、大量のプロピレン収率低下は、主にプロピレンの水素化に起因してT<600℃で見られた。水素化反応の度合は、WHSVが増加すると、すなわちプロパン脱水素生成物中のサイクロン装置によって分離されなかった触媒の量が減少すると、急速に低減する。水素化に起因するプロピレン収率低下は、約500℃のTで最大だった。
図7は、熱的滞留時間を2秒に保ったときの生成物Aのプロピレン選択性対反応ゾーン温度を示す。WHSVを121時間-1(オレンジ色、線(b))、350時間-1(青色、線(a))から無限(無触媒)(灰色、線(c))に変えた。触媒が無いと、T>600℃でのプロピレン選択性低下は完全にプロピレンの熱分解に起因した。興味深いことに、プロピレン選択性はWHSVが121時間-1のときにより高かった。これは、触媒2による熱分解の抑制が原因であり得る。
図6及び7は、クエンチング中のプロピレンの水素化の回避を示す。下記戦術を利用し得る。(1)プロパン脱水素生成物中の同伴触媒の量を生成物のクエンチング前に減らす。(2)T<320℃のとき水素化速度は遅いので、プロパン脱水素生成物を急速に<320℃にクエンチする。(3)可逆的に同伴触媒を失活させるクエンチを利用する。
【0044】
下記手順に従って触媒組成物3~16を調製した。各触媒組成物のために、80wt%のMgO及び20wt%のAl2O3をか焼した混合Mg/Al金属酸化物であり、150m2/gの表面積を有するPURALOX(登録商標)MG80/150(3グラム)(Sasol)を空気下550℃で3時間か焼して担体を形成した。触媒組成物(Acros Organics)の作製に用いるときは適量の塩化スズ(IV)五水和物及び/又は触媒組成物(Sigma Aldrich)の作製に用いるときは適量のクロロ白金酸と、1.8mlの脱イオン水とを含有する溶液を小型ガラスバイアル中で調製した。各触媒用のか焼PURALOX(登録商標)MG80/150担体(2.3グラム)に対応溶液を含浸させた。この含浸材料を密閉容器内で室温(RT)にて24時間平衡を保たせ、110℃で6時間乾燥させ、800℃で12時間か焼した。表1は、担体の質量に基づいた各触媒組成物の名目上のPt含量及びSn含量を示す。
【0045】
【表4】
【0046】
実施例4-触媒3~16を使用する固定床実験を約100kPa絶対圧で行った。ガスクロマトグラフ(GC)を用いて反応器流出物の組成を測定した。次に反応器流出物中の各成分の濃度を用いてC3H6の収率及び選択性を計算した。これらの実施例で報告したC3H6の収率及び選択性は、炭素モル基準で計算した。
各実施例では、0.3gの触媒組成物を適量の石英希釈剤と混合し、石英反応器に充填した。希釈剤の量は、触媒床(触媒+希釈剤)が石英反応器の等温ゾーンと重なり、作動中に触媒床が大部分は等温になるように決めた。石英チップ/ロッドで反応器のデッドボリュームを満たした。
trxnの開始時及びtrxnの終了時のC3H6の収率及び選択性をそれぞれYini、Yend、Sini、及びSendと表し、触媒3~10に関する下表5及び6に百分率として報告する。
【0047】
触媒3~10のためのプロセスステップは以下のとおりだった。1.システムに不活性ガスを流した。2.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、乾燥空気を83.9sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに通した。反応ゾーンを800℃の再生温度に加熱した。3.次に乾燥空気を83.9sccmの流速で反応ゾーンに10分間通して触媒を再生した。4.システムに不活性ガスを流した。5.反応ゾーンに不活性ガスを通しながら、10vol%のH2と90vol%のArを含むH2含有ガスを46.6sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。この後にH2含有ガスを800℃の反応ゾーンの中を3秒間流した。6.システムに不活性ガスを流した。このプロセス中に、反応ゾーンの温度を800℃から670℃の反応温度に変えた。7.不活性ガスを反応ゾーンに通しながら、81vol%のC3H8、9vol%の不活性ガス(Ar又はKr)及び10vol%の水蒸気を含む炭化水素含有(HCgas)フィードを35.2sccmの流速で反応ゾーンのバイパスに特定時間にわたって通した。次に炭化水素含有フィードを670℃の反応ゾーンに10分間通した。フィードを反応ゾーンのバイパスから反応ゾーンに切り替えたらすぐに反応流出物のGCサンプリングを開始した。
上記プロセスステップを安定性能が得られるまで周期的に繰り返した。表5及び6は、わずか0.025wt%のPt及び1wt%のSnを含有する触媒8が、0.4wt%のPt及び1wt%のSnを含有する触媒3と比較して同様の収率と同様の選択性の両方を有したことを示し、これは驚くべきかつ予想外だった。如何なるPtをも含まない触媒10は、認識できるプロピレン収率を示さなかった。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
触媒3~10に関して上述した同プロセスステップ1~7を用いて触媒11~16をも試験した。表7は、担体の質量に基づいて0.1wt%のPtを含む触媒組成物に最適のプロピレン収率のためにはSnのレベルが低過ぎても高過ぎてもいけないことを示す。
【0051】
【表7】
【0052】
表8は、担体の質量に基づいて0.0125wt%のPtを含む触媒組成物に最適のプロピレン収率のためにはSnのレベルが高過ぎても低過ぎてもいけないことを示す。
【0053】
【表8】
【0054】
ステップ7で35.2sccmに代えて17.6sccmの流速を用いたことを除き、触媒3~10に関して上述した同プロセスステップ1~7を用いて、わずか0.025wt%のPtと1wt%のSnを含有する触媒8を寿命試験にも供した。図8は、触媒組成物8が、204サイクルにわたって性能を維持したことを示す(x軸は時間であり、y軸はC3H6の収率及びC3H6に対する選択性で、両方とも炭素モル%である)。
【0055】
本明細書に記載の全ての文書は、いずれの優先権書類及び/又は試験手順をも含め、それらが本テキストと矛盾しない程度まで、参照することにより本明細書に組み込まれる。前述の一般的記述及び具体的実施形態から明らかなように、本開示の形態を説明及び記述したが、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更を加えることができる。従って、本開示をそれらによって限定する意図ではない。同様に組成物、要素、要素群に移行句「含む(comprising)」が先行するときはいつでも、組成物、要素、要素群の列挙に先行する移行句「から本質的に成る」、「から成る」、「から成る群より選択される」、又は「である」を伴う同組成物又は要素群をも我々は企図し、逆もまた同様であるという共通認識がある。
本開示をいくつかの実施形態及び実施例に関して記述したが、本開示の恩恵にあずかる当業者なら、本開示の範囲及び精神から逸脱しない他の実施形態を考案できることが分かるだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンの形成方法であって、
炭化水素フィードストリームを、脱水素触媒を含む反応器に導入するステップと、
前記炭化水素フィードストリームを前記反応器内で前記脱水素触媒と反応させて、前記脱 水素触媒の少なくとも一部を含む高温脱水素生成物を形成するステップと、
一次分離装置及び前記一次分離装置の下流にあって前記一次分離装置と流体連絡している二次分離装置内で前記脱水素触媒の少なくとも一部を前記高温脱水素生成物から分離するステップと、
前記高温脱水素生成物が前記二次分離装置から出た後に、前記高温脱水素生成物を、炭化水素を含むクエンチストリームと混ぜ合わせて、前記高温脱水素生成物を冷却して中温脱水素生成物を形成するステップと、
前記中温脱水素生成物を冷却して冷却脱水素生成物を形成するステップと
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記クエンチストリームが液体炭化水素を含み、前記中温生成物が完全に気相中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高温脱水素生成物と前記クエンチストリームの混ぜ合わせステップが、前記反応器のプレナムセクション内で起こる、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記混ぜ合わせステップが、前記高温脱水素生成物内の二次接触分解を最小限にする前記プレナム内の位置で、複数の二次分離装置からの前記高温脱水素生成物を前記クエンチストリームと混ぜ合わせるステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記クエンチストリームが、前記高温脱水素生成物中に形成されない芳香族化合物を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記中温脱水素生成物を前記反応器の下流で熱交換器又は第2のクエンチストリームを用いてさらに冷却して、前記冷却脱水素生成物を得るステップをさらに含み、
ここで、前記クエンチストリームは、前記熱交換器又は前記第2のクエンチストリームによってさらに冷却された後の前記冷却脱水素生成物の少なくとも一部を含む、
請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記クエンチストリームが、前記一次分離装置の出口領域に供給されない、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記一次分離装置及び前記二次分離装置がそれぞれサイクロン分離器であり、それらが全体で、前記高温脱水素生成物中に存在する前記脱水素触媒の少なくとも98%を除去する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記炭化水素フィードがプロパンであり、前記オレフィンがプロピレンであり、前記脱水素触媒が、0.001wt%~6wt%の範囲のPt含量、0wt%~10wt%のSn含量を有するPtSn/MgO触媒を含み、前記触媒がゲルダートA又はゲルダートB分類の要件を満たし、前記反応器内の反応温度が600℃~700℃である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記高温脱水素生成物が少なくとも620℃である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記中温脱水素生成物が620℃以下である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記一次分離装置及び前記二次分離装置のそれぞれにおける前記高温脱水素生成物の滞留時間が1秒未満である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記脱水素触媒がPt、無機担体、及び混入物を含み、前記Ptは、前記無機担体の質量に基づいて0.001wt%~6wt%の範囲の濃度を有し、
前記無機担体は、該無機担体の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、前記第2族元素はMgを含み、
前記第2族元素の少なくとも一部は、MgOの形態又はMgを含む混合金属酸化物の形態にあり、かつ
前記触媒が、前記無機担体の質量に基づいて10wt%までのプロモーターを含み、前記プロモーターは、下記元素:Sn、Ag、Cu、その組み合わせ、又はその混合物の1種以上を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項14】
炭化水素フィードストリームからオレフィンを形成するためのシステムであって、
前記炭化水素フィードストリームを脱水素触媒との反応条件下で受け取るように構成された反応器であって、前記反応条件は、前記脱水素触媒の少なくとも一部を含む高温脱水素生成物を生成する、反応器と、
前記脱水素触媒の少なくとも一部を前記高温脱水素生成物から分離するように構成された複数の分離装置であって、一次分離装置及び前記一次分離装置の下流にあって前記一次分離装置と流体連絡している二次分離装置を含む、複数の分離装置と、
前記高温脱水素生成物を、炭化水素を含むクエンチストリームと混ぜ合わせて、前記高温脱水素生成物を冷却して中温脱水素生成物を形成するように構成されたクエンチシステムと、
前記中温脱水素生成物を冷却して冷却脱水素生成物を形成するように構成された熱伝達システムとを含む、前記システム。
【請求項15】
前記クエンチストリームが液体炭化水素を含み、前記中温生成物が完全に気相中にある、請求項14に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
本明細書に記載の全ての文書は、いずれの優先権書類及び/又は試験手順をも含め、それらが本テキストと矛盾しない程度まで、参照することにより本明細書に組み込まれる。前述の一般的記述及び具体的実施形態から明らかなように、本開示の形態を説明及び記述したが、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更を加えることができる。従って、本開示をそれらによって限定する意図ではない。同様に組成物、要素、要素群に移行句「含む(comprising)」が先行するときはいつでも、組成物、要素、要素群の列挙に先行する移行句「から本質的に成る」、「から成る」、「から成る群より選択される」、又は「である」を伴う同組成物又は要素群をも我々は企図し、逆もまた同様であるという共通認識がある。
本開示をいくつかの実施形態及び実施例に関して記述したが、本開示の恩恵にあずかる当業者なら、本開示の範囲及び精神から逸脱しない他の実施形態を考案できることが分かるだろう。
本開示は以下の実施形態を含む。
<実施形態1>
オレフィンの形成方法であって、
炭化水素フィードストリームを、脱水素触媒を含む反応器に導入するステップと、
前記炭化水素フィードストリームを前記反応器内で前記脱水素触媒と反応させて、前記脱 水素触媒の少なくとも一部を含む高温脱水素生成物を形成するステップと、
一次分離装置及び前記一次分離装置の下流にあって前記一次分離装置と流体連絡している二次分離装置内で前記脱水素触媒の少なくとも一部を前記高温脱水素生成物から分離するステップと、
前記高温脱水素生成物が前記二次分離装置から出た後に、前記高温脱水素生成物を、炭化水素を含むクエンチストリームと混ぜ合わせて、前記高温脱水素生成物を冷却して中温脱水素生成物を形成するステップと、
前記中温脱水素生成物を冷却して冷却脱水素生成物を形成するステップと
を含む、前記方法。
<実施形態2>
前記クエンチストリームが液体炭化水素を含み、前記中温生成物が完全に気相中にある、実施形態1に記載の方法。
<実施形態3>
前記高温脱水素生成物と前記クエンチストリームの混ぜ合わせステップが、前記反応器のプレナムセクション内で起こる、実施形態1又は実施形態2に記載の方法。
<実施形態4>
前記混ぜ合わせステップが、前記高温脱水素生成物内の二次接触分解を最小限にする前記プレナム内の位置で、複数の二次分離装置からの前記高温脱水素生成物を前記クエンチストリームと混ぜ合わせるステップを含む、実施形態3に記載の方法。
<実施形態5>
前記クエンチストリームが、前記高温脱水素生成物中に形成されない芳香族化合物を含む、実施形態1~4のいずれか1項に記載の方法。
<実施形態6>
前記中温脱水素生成物を前記反応器の下流で熱交換器又は第2のクエンチストリームを用いてさらに冷却して、前記冷却脱水素生成物を得るステップをさらに含み、
ここで、前記クエンチストリームは、前記熱交換器又は前記第2のクエンチストリームによってさらに冷却された後の前記冷却脱水素生成物の少なくとも一部を含む、
実施形態1~5のいずれか1項に記載の方法。
<実施形態7>
前記クエンチストリームが、前記一次分離装置の出口領域に供給されない、実施形態1~6のいずれか1項に記載の方法。
<実施形態8>
前記一次分離装置及び前記二次分離装置がそれぞれサイクロン分離器であり、それらが全体で、前記高温脱水素生成物中に存在する前記脱水素触媒の少なくとも98%を除去する、実施形態1~7のいずれか1項に記載の方法。
<実施形態9>
前記炭化水素フィードがプロパンであり、前記オレフィンがプロピレンであり、前記脱水素触媒が、0.001wt%~6wt%の範囲のPt含量、0wt%~10wt%のSn含量を有するPtSn/MgO触媒を含み、前記触媒がゲルダートA又はゲルダートB分類の要件を満たし、前記反応器内の反応温度が600℃~700℃である、実施形態1~8のいずれか1項に記載の方法。
<実施形態10>
前記高温脱水素生成物が少なくとも620℃である、実施形態1~9のいずれか1項に記載の方法。
<実施形態11>
前記中温脱水素生成物が620℃以下である、実施形態1~10のいずれか1項に記載の方法。
<実施形態12>
前記一次分離装置及び前記二次分離装置のそれぞれにおける前記高温脱水素生成物の滞留時間が1秒未満である、実施形態1~11のいずれか1項に記載の方法。
<実施形態13>
前記脱水素触媒がPt、無機担体、及び混入物を含み、前記Ptは、前記無機担体の質量に基づいて0.001wt%~6wt%の範囲の濃度を有し、
前記無機担体は、該無機担体の質量に基づいて少なくとも0.5wt%の第2族元素を含み、前記第2族元素はMgを含み、
前記第2族元素の少なくとも一部は、MgOの形態又はMgを含む混合金属酸化物の形態にあり、かつ
前記触媒が、前記無機担体の質量に基づいて10wt%までのプロモーターを含み、前記プロモーターは、下記元素:Sn、Ag、Cu、その組み合わせ、又はその混合物の1種以上を含む、実施形態1~12のいずれか1項に記載の方法。
<実施形態14>
炭化水素フィードストリームからオレフィンを形成するためのシステムであって、
前記炭化水素フィードストリームを脱水素触媒との反応条件下で受け取るように構成された反応器であって、前記反応条件は、前記脱水素触媒の少なくとも一部を含む高温脱水素生成物を生成する、反応器と、
前記脱水素触媒の少なくとも一部を前記高温脱水素生成物から分離するように構成された複数の分離装置であって、一次分離装置及び前記一次分離装置の下流にあって前記一次分離装置と流体連絡している二次分離装置を含む、複数の分離装置と、
前記高温脱水素生成物を、炭化水素を含むクエンチストリームと混ぜ合わせて、前記高温脱水素生成物を冷却して中温脱水素生成物を形成するように構成されたクエンチシステムと、
前記中温脱水素生成物を冷却して冷却脱水素生成物を形成するように構成された熱伝達システムとを含む、前記システム。
<実施形態15>
前記クエンチストリームが液体炭化水素を含み、前記中温生成物が完全に気相中にある、実施形態14に記載のシステム。
<実施形態16>
前記クエンチシステムが、前記反応器のプレナムセクション内で前記高温脱水素生成物を前記クエンチストリームと混ぜ合わせるように構成されている、実施形態14又は実施形態15に記載のシステム。
<実施形態17>
前記クエンチシステムが、前記高温脱水素生成物内の二次接触分解を最小限にする前記プレナム内の位置に前記クエンチストリームを注入するように構成されている、実施形態14~16のいずれか1項に記載のシステム。
<実施形態18>
前記熱伝達システムが、熱交換器又は第2のクエンチストリームを供給するように構成されたノズルを含む、実施形態14~17のいずれか1項に記載のシステム。
<実施形態19>
前記クエンチシステムが、前記一次分離装置の出口領域に前記クエンチストリームを供給しないように構成されている、実施形態14~18のいずれか1項に記載のシステム。
<実施形態20>
前記一次分離装置及び二次分離装置が、それぞれサイクロン分離器であり、それらが全体で、前記高温脱水素生成物中に存在する前記脱水素触媒の少なくとも98%を除去するように構成されている、実施形態14~19のいずれか1項に記載のシステム。
【国際調査報告】