(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】輸送機関のための乗客用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/10 20060101AFI20240822BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20240822BHJP
B60N 3/06 20060101ALI20240822BHJP
A47C 1/024 20060101ALI20240822BHJP
A47C 1/035 20060101ALI20240822BHJP
A47C 7/50 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B60N2/10
B60N2/22
B60N3/06
A47C1/024
A47C1/035
A47C7/50 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509520
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2022072876
(87)【国際公開番号】W WO2023021044
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524060913
【氏名又は名称】エルシート エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イヴ・ヘンドリックス
【テーマコード(参考)】
3B087
3B088
3B099
【Fターム(参考)】
3B087BA12
3B087BA13
3B087BC23
3B087BD03
3B088JA02
3B088JB02
3B099BA05
3B099BA11
(57)【要約】
輸送機関のための乗客用シートにおいて、乗客用シートは支持フレーム上に設置された垂直部分および水平部分を備え、水平部分は垂直部分の縁部に位置する後方縁部と、後方縁部の側の反対側に位置する前方縁部と、を備え、支持フレームは水平部分の下にある自由空間の境界を画定し、この乗客用シートは、垂直部分に対して前方縁部が降下することになるように水平部分の全体を傾斜させるのを可能にするように配置構成された第1の移動機構の上に水平部分が設置されることを特徴とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレーム(5)上に設置された垂直部分(3)および水平部分(2)を備える、輸送機関のための乗客用シート(1)であって、
前記水平部分が前記垂直部分の縁部に位置する後方縁部(2a)と、前記後方縁部の側の反対側に位置する前方縁部(2b)と、を備え、
前記支持フレームが、前記水平部分の下にある自由空間(8)の境界を画定し、
前記水平部分は、前記垂直部分に対して前記前方縁部が降下することになるように前記水平部分の全体を傾斜させることができるように配置構成された第1の移動機構(10-1、11;15;21、22)の上に設置され、
前記第1の移動機構が、前記水平部分(2)の望ましくない移動を防止するためのロック機構を備える、ことを特徴とする、乗客用シート(1)。
【請求項2】
前記第1の移動機構がレール(15)および/またはスラット(15a)を備え、前記スラット(15a)が、前記水平部分(2)を傾斜させるのを可能にする装置(15b)を備え、
前記レール(10-1、15)および/または前記スラット(15a)が、前記垂直部分(3)に対しておよび/または前記支持フレーム(5)に対して、前記水平部分(2)を前方に移動させ、その結果、前記水平部分(2)の全体を傾斜させるのを可能にする、請求項1に記載の乗客用シート(1)。
【請求項3】
前記水平部分(2)の全体を傾斜させるのを可能にする前記デバイス(15b)が、一対の回転棒、複数のヒンジ、または一対のボールジョイントを備え、好適には、前記一対のボールジョイントがトーションバー(15c)に取り付けられる、請求項2に記載の乗客用シート(1)。
【請求項4】
前記傾斜位置で、前記垂直部分(3)の底部が前方に移動させられ、および/または、前記垂直部分(3)の頂部が次の乗客の空間に対して20cm超、侵入しない、請求項1から3のいずれか一項に記載の乗客用シート(1)。
【請求項5】
前記ロック機構が、直接の手動操作、遠隔操作、および/またはコンピュータ手段を介して、ロック解除可能であり、好適には、同一の遠隔操作および/またはコンピュータ手段がロック機構およびロック解除機構を制御し、好適には、前記システムが、赤外線などを介する、無線通信システムである、請求項1から4のいずれか一項に記載の乗客用シート(1)。
【請求項6】
前記支持フレームの上に設置された少なくとも1つの第1のガイド・レール(10-1)を備え、前記水平部分が、前記第1のガイド・レールの中まで延在する第1の突起部(11)を備える、ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の乗客用シート。
【請求項7】
前記第1のガイド・レールが、前記水平部分の下側表面に対して90°から135°の間の、より詳細には90°から110°の間の、角度(α)で延在する、ことを特徴とする、請求項6に記載の乗客用シート。
【請求項8】
前記傾斜位置では、前記水平部分(2)の前記後方縁部(2a)が前記垂直部分(3)に対して前方に移動する、ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の乗客用シート。
【請求項9】
前記第1の移動機構が、互いに対して回動できるように設置された第1の部材(21)および第2の部材(22)を備え、前記第1の部材が前記支持フレームの上に設置され、前記第2の部材が前記水平部分の下側表面の上に設置される、ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の乗客用シート。
【請求項10】
前記第1の部材が、第1の形状を有する第1の凹形リングを備え、前記第2の部材が、第2の形状を有する第2の凸形リングを備え、前記第1および前記第2の形状が互いに相補的である、ことを特徴とする、請求項9に記載の乗客用シート。
【請求項11】
摩擦層が前記第1の部材内に収容される、ことを特徴とする、請求項10に記載の乗客用シート。
【請求項12】
第1の収納位置と第2の位置との間でフラップを移動させるのを可能にするように配置構成された第2の移動機構(7)に取り付けられたフラップ(4)を備え、前記第2の位置では、前記フラップが、前記シートに着席する乗客の下腿を支持するために前記前方縁部の延長として伸びる、ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の乗客用シート。
【請求項13】
前記第1の収納位置が、前記フラップが前記シートの前記水平部分の下に位置する位置に対応することを特徴とする、請求項12に記載の乗客用シート。
【請求項14】
前記第1の収納位置が、前記フラップが前記前方縁部の下に位置し、前記水平部分に対して45°から90°の間の角度をなす位置に対応する、ことを特徴とする、請求項12に記載の乗客用シート。
【請求項15】
前記第2の移動機構が第2のガイド・レールを備え、前記フラップが、前記第2のガイド・レールの中まで延在する第2の突起部を備える、ことを特徴とする、請求項12または13に記載の乗客用シート。
【請求項16】
前記第2の移動機構が、0°から30°の間の角度にわたって前記フラップを移動させるのを可能にする自動ロック式のボールジョイントによって形成される、ことを特徴とする、請求項12または13に記載の乗客用シート。
【請求項17】
前記第1の移動機構が、前記水平部分を通常位置に戻すように配置構成された戻しばね(15)を備える、ことを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の乗客用シート。
【請求項18】
前記第1の移動機構がピストンまたはジャッキ機構(30)によって形成される、ことを特徴とする、請求項1に記載の乗客用シート。
【請求項19】
前記第1の移動機構が、前記支持フレームに対して摺動することが可能となるように前記支持フレームに連結された第1のプレートを備え、前記垂直部分(3)に対して前後移動を行うことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の乗客用シート。
【請求項20】
前記第1のプレートが、ヒンジにより一体に設置された第1および第2の部分を備え、その結果、前記傾斜時に前記第1および前記第2の部分が互いに対して回動することが可能となる、ことを特徴とする、請求項19に記載の乗客用シート。
【請求項21】
前記第1のガイド・レール(10-1)が、前記第1のプレートの側面の両側で前記支持フレームに設置される、ことを特徴とする、請求項19または20に記載の乗客用シート。
【請求項22】
前記第1のプレートが、前記第1のプレートを水平通常位置に戻すように配置構成された戻しばねにより前記支持フレームに接続される、ことを特徴とする、請求項19から21のいずれか一項に記載の乗客用シート。
【請求項23】
前記第1のプレートの前記第1の部分が前後移動中に実質的に水平を維持するように設置され、前記第1のプレートの前記第2の部分が前後移動中に回動可能となるように設置される、ことを特徴とする、請求項19から22のいずれか一項に記載の乗客用シート。
【請求項24】
前記第1の移動機構が前記支持フレームに堅固に接続された第2のプレートを備え、前記第1のプレートが前記第2のプレートの上に設置される、ことを特徴とする、請求項19から23のいずれか一項に記載の乗客用シート。
【請求項25】
前記水平部分2aと前記垂直部分3との間を延在する被覆物が伸長可能な部材を備える、ことを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の乗客用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送機関のための乗客用シートに関し、乗客用シートは支持フレーム上に設置された垂直部分および水平部分を備え、水平部分は垂直部分の縁部に位置する後方縁部と、後方縁部の側の反対側に位置する前方縁部と、を備え、支持フレームは水平部分の下にある自由空間の境界を画定し、このシートは、使用者によって操作可能で、第三者(例えば、乗務員のメンバー)によってロック可能な装置によって傾斜させることができる。
【背景技術】
【0002】
乗客用シートは特許文献1(欧州特許公開0723890号公報)から知られており、航空機、バス、列車などの、公共の輸送機関で使用される。旅行者は水平部分に着席して自分の背中を垂直部分にもたれかける。垂直部分は、しばしば、約15°の角度にわたって傾斜可能であり、それにより乗客がわずかにリラックスすることが可能となる。特許文献1から知られているシートは、垂直部分に対して前方縁部が降下し、クッションの1つのセクションが傾斜するように配置構成された第1の移動機構の上に設置されたクッションを備える。クッションの1つのセクションが傾斜することにより、特に旅行者がリラックスすることを望む場合などにおいて、旅行者により高い快適性が与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の乗客用シートの問題は、傾斜化を誘導するガイド・レールがシートの肘掛け内に収容されることである。レールのこのような配置構成は、衝撃や衝撃試験に対しての十分な耐性がないため、特に航空機のシートに適さない。
【0005】
既存の輸送機関のシートの問題は、シートが着席されることを最優先として設計されていることから傾斜化のためのオプションがほとんどないため、乗客がシート上でよりリラックスした姿勢をとりたい場合の乗客の快適さが制限されることである。もちろん、乗客は前列の乗客用シートの下の空間の中へ自分の脚を伸ばすことはできるが、水平部分が固定されたままなので乗客の脚はほとんど支えられず、乗客は快適な姿勢にはならない。
【0006】
本発明の目的は、乗り物内の乗客用シートの列の間の距離に配慮し、衝撃を受ける場合に十分な耐性を備え、かつ、乗客により高い快適性を提供する乗客用シートを製造することである。本発明の傾斜可能なシートの機構は、既存のシートの構造に組み入れることができる。
【0007】
さらに、この種類のシートの商業的使用は、シートの傾斜を可能にする機構の動作をブロック(ロック)できることが必要である。本装置は、航空機のすべてのシートまたは少なくとも航空機シートの全カテゴリーに組み込むことがより効果的である。他方、複数の航空会社の最新のビジネスモデルは低価格を基本とし、本発明の傾斜可能なシートなどを有料オプションとしている。したがって、本装置が乗務員によって容易にロックまたはロック解除できるということは大きな商業上の利点である。すなわち、乗客は、数時間にわたるフライトにおいて特に有益である、快適性が向上するという恩恵を受け、航空会社は、航空機当たりの座席数を減らすことなく、大幅な追加のコストを得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明による乗客用シートは、水平部分全体が傾斜し、その結果前方縁部が垂直部分に対して降下するように構成された第1の移動機構の上に水平部分が設置されることを特徴とする。水平部分全体を傾斜させることにより、乗り物内の乗客用シートの列の間の距離に影響を与えることなく、水平部分を乗り物の床の方に向かうように傾斜させる。さらに、水平部分を傾斜させることにより、前列のシートの下の空間の方に向かう下方スロープが形成され、それにより、乗客が、自分の脚を思い切り伸ばすことができ、乗客の脚は、シートの水平部分でより良好に支持され、さらには、前列のシートの下に自分の脚の一部を滑り込ませることができる。
【0009】
したがって、好適には、垂直部分は通常のシートよりも大きく傾斜するということはない。通常、傾斜角度が30°未満であるか(例えば、15°である)、頂部からの傾斜距離が25センチメートル未満である。
有利には、一変形形態によると、本発明による乗客用シートの移動機構はさらに、垂直部分に対して後方縁部を上昇させることができるように構成される。これにより水平部分をさらに傾斜させることが可能となり、それにより乗客の快適性がさらに向上する。
【0010】
別法として、好適には、水平部分の後方縁部が垂直部分に対して前方に移動し、それにより水平部分の前方縁部がより容易に下方に傾斜することが可能となる。
垂直部分に対して水平部分の後方縁部が前方に移動するという事実と組み合わされ得る別の変形形態によると、水平部分が、トーションバーを各々内蔵する一対のボールジョイントに連結されるか、あるいは、回転棒またはヒンジなどの所望の傾斜に従う回転を可能にするシステムに連結される。
【0011】
1つの好適なオプションは、水平部分の底部セグメントが、傾斜位置において過度な角度になるのを回避するように前方に傾斜する。
好適には、本発明による乗客用シートは、第1の機構が支持フレームの上に設置された少なくとも1つの第1のガイド・レールを備え、水平部分が、有利には、第1のガイド・レールの中まで延在する第1の突起部を備える、ことを特徴とする。これによりシートの第1の移動機構が単純なものとなり、安価となり、高い信頼性を有するようになる。
好適には、本発明による乗客用シートの第1の移動機構が、互いに対して回動することが可能となるように設置された第1および第2の部材を備え、第1の部材は支持フレームの上に設置され、第2の部材は水平部分の下側表面の上に設置される。これにより、第1の移動機構のための、単純で、高い信頼性を有し、高コスト効率である解決策が提供される。
【0012】
第1の移動機構は、乗客を含めた第三者が水平部分を自由に移動させるのを防止するためのロック機構を装備する。このロック機構は、有利には、直接の手動操作により、遠隔操作により、またはコンピュータ手段を介して、容易にロック解除され得る。有利には、同一の遠隔手段および/またはコンピュータ手段がロック・ロック解除機構を制御する。このコンピュータ手段は、好適には、赤外線を介するものなどの、無線通信システムである。有利には、このロック・ロック解除機構は、ダッシュボード・スクリーンなどの、または、タブレットなどの携帯用電子手段などの、乗務員のメンバーによってアクセスされ得るスクリーンに接続される。したがって、搭乗の前、搭乗から離陸の間、またはさらには飛行中においても、乗務員のメンバーが乗客によって要請されたシートを容易にロック解除することができる。さらに、このロック機構は、安全条件によって直立位置が求められるときに乗客がシートを傾斜位置にするのを防止する。
【0013】
好適には、二重ロック手段が存在し、第1のロック手段が乗務員の制御下にあり、第2のロック手段が乗客の制御下にある。
好適には、乗客の制御下にあるロック手段は、完全な着席位置または仰向け位置でのみ動作し、その結果、いかなる中間の部分的傾斜位置も制約なしで変更され得る。しかし、垂直位置から傾斜位置への変更は、乗客(および、乗務員のメンバー)によってロック解除機構が起動されるときのみ行われる。傾斜位置から垂直位置へ変更するときも同じことが適用される。
【0014】
好適には、本発明による乗客用シートの第1の部材が、第1の形状を有する第1の凹形リングを備え、第2の部材が、第2の形状を有する第2の凸形リングを備え、上記第1および第2の形状が互いに相補的である。これにより第1の移動機構が高い信頼性で取り付けられることが保証される。
有利には、乗客の重量が傾斜を引き起こし、これは特に、垂直部分に対して水平部分が前方に移動させられるシステムにおいてである。水平部分が前方に移動させられるとき、乗客がシートの前方部分のところに着席するという事実がねじり力を発生させ、乗客の着席位置に応じてねじり力のモーメントが増大し、より痩せている乗客および/または子供はより前方に着席することになり、それにより十分なねじりモーメントを発生させることになる。同様に、シートの最も深いところに着席するような乗客はシートを垂直位置に戻すことになる。このことは、水平部分がトーションバーを備える一対のボールジョイントに連結されるかあるいは回転棒またはヒンジなどの回転を可能にするシステムに連結される場合に(これがより単純なかたちである)、好適となる。
【0015】
別法として、水平部分の後方部分のところにあるばねおよび/またはピストン・システムが非傾斜位置に戻るのを可能にし、および/または確実にする。
好適には、本発明による乗客用シートは、第1の収納位置と第2の位置との間でフラップを移動させるのを可能にするように配置構成された第2の移動機構の上に設置されたフラップを備え、第2の位置では、フラップは、シートに着席する乗客の下腿を支持するために前方縁部の延長として伸びる。フラップの存在により、および、フラップが第2の移動機構の上に設置されるという事実により、乗客用シートの水平部分が延長されることが可能となり、言うなれば、脚部支持を拡大することにより、より高い快適性を乗客に提供する。
有利には、第1の機構は、水平部分を通常位置に戻すように配置構成された戻しばねを備える。これにより使用後にフラップを収納することがより容易となる。
【0016】
本発明による乗客用シートの有利な変形形態は、第1の移動機構が、支持フレームに対して摺動することが可能となるように、およびひいては垂直部分に対して前後移動を実施することが可能となるように、支持フレームに接続された第1のプレートを備える、ことを特徴とする。第1のプレートを使用することにより、既存のシート構造の上に単純に第1のプレートを設置することが可能となる。前後移動は垂直部分に対してシートのクッションを前方に移動させるのを可能にし、それによりクッションをより容易に傾斜させる。
第1のプレートは、ヒンジにより一体に設置された第1および第2の部分を備えることができ、したがって上記傾斜化中に第1および第2の部分が互いに対して回動することが可能となる。
【0017】
次に、本発明による乗客用シートの実施形態を示す図面を使用して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一列の2つの一般的な既知の乗客用シートを示す図である。
【
図2】標準のかたちでシートに着席している旅客機の女性乗客と、本発明による乗客用シートに着席した別の乗客と、を示す図である。
【
図3】本発明による乗客用シートで使用され得る位置を示す図である。
【
図4】本発明による乗客用シートの実施形態を示す概略図である。
【
図5】本発明による乗客用シートの実施形態を示す概略図である。
【
図6】本発明による第1の移動機構の実施形態を示す図である。
【
図7】本発明による第1の移動機構の別の実施形態を示す図である。
【
図8】好適なバージョンの傾斜機構を示す図である。
【
図9】垂直部分に対して水平部分が前方に移動するのを可能にするシステムを示す図である。
【
図10】トーションバーを備えるボールジョイントを備える水平部分の配置構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面では、同じアイテムまたは同様のアイテムには同じ参照符号が付与されている。
図1は、短距離飛行および/または中距離飛行のための旅客機で使用される一列の2つの既存の乗客用シート1を示す。分かり易いように、航空機の乗客用シートの実施例を使用して本発明を説明する。言うまでもなく、本発明は航空機のシートのみに限定されず、バス、列車、ボート、または、人間のための他の公共輸送機関、特に一般に1時間以上を要する距離にわたって人々が輸送されるのに使用されるシートなどの他の乗客用シートにも適用される。しかし、本発明は、課される厳しい規制および空間的制約に配慮しながら大幅により快適であるシートを提供することを考えると、航空機のシートにおいて特に有利である。例えば、本発明は、航空機のシートの既存の構造を使用するのを可能にし、それにより、長くて面倒な認可手順を受ける必要がなくなるという利点を提供することができる。
【0020】
図1に示される既知の乗客用シート1は、支持フレーム5の上に設置された垂直部分3および水平部分2を備える。水平部分2は、垂直部分3の縁部に位置する後方縁部2aと、後方縁部の側の反対側に位置する前方縁部2bと、を備える。支持フレームおよび水平部分は水平部分の下にある自由空間8の境界を画定する。より高級なカテゴリーのシートは、好適には、図の背景側のシートで示される第1の収納位置と図の手前側で示される第2の位置との間でフラップを移動させるのを可能にするように配置構成された第2の移動機構7の上に設置されたフラップ4をさらに備え、第2の位置では、フラップは、シートに着席する乗客の下腿を支持するために前方縁部の連続物として延在する。さらに、フットレスト6が乗客用シートに嵌め込まれ得る。乗客用シートは乗客用シートを据え付けるところである乗り物の床に取り付けられ、移動する場合には隣接する列の乗客に危害を加え得ることから床上のその位置から移動させられ得ない。
【0021】
図2は、標準のかたちで乗客用シート1に着席している旅客機の女性の乗客P1を示す。乗客はシートの水平部分2に着席しており、乗客の背中が垂直部分3にもたれかかっており、垂直部分3は、床から延びる垂直線に対して例えば5°から15°の間の角度でわずかに傾斜させられ得る。この範囲は次の列の乗客の気分を害さないように制限される必要がある。女性の乗客P1が着席しているところである列の前方の列のシートの下にある自由空間8は、女性の乗客P1が自分の脚を伸ばすのに使用され得る。しかし、女性の乗客P1の着席位置は自分の脚を快適に伸ばすのを可能にしない。もちろん、女性の乗客は、前方のシートの下に自分の脚をさらに滑り込ませるためにシートの水平部分上で前方に移動することもできるが、女性の乗客はシートによって提供される支持の大部分を失うことになり、女性の乗客の脚はほぼ支持されなくなる。
本発明による乗客用シートは、乗り物内の乗客用シートの列の間の距離に配慮しながら乗客の快適性を向上させるのを可能にする。この目的のため、
図2は、自分の脚の一部分を前列のシートの自由空間8内に収容した状態でストレッチ位置にある別の乗客P2を示す。
図2は、乗客P2の背中、臀部、および脚の大部分が、乗客が着席しているところであるシートによって支持される、ことを示す。これは、本発明によると、垂直部分に対して前方縁部が降下することになるように水平部分の全体を傾斜させるのを可能にするように配置構成された第1の移動機構の上に水平部分2が設置されるという事実によって可能となる。水平部分の全体を傾斜させることにより、乗り物内の乗客用シートの列の間の距離に影響を与えることなく、乗り物の床の方に向かうように水平部分を傾斜させることになる。さらに、水平部分を傾斜させることにより、前列のシートの下の空間の方に向かう下方スロープを形成することになり、それにより、乗客が、自分の脚を完全に伸ばし、さらには、前列のシートの下に自分の脚の一部を滑り込ませることが可能となる。
【0022】
図3は、本発明による乗客用シートで使用され得る位置を示す。この図では、水平部分の後方縁部2aが垂直部分3に対して上昇し、前方縁部2bが垂直部分の通常位置に対して降下している。別法として、前方縁部のみを降下させ、後方縁部は定位置に留まることもできる。
【0023】
本発明による乗客用シートの水平部分の全体を傾斜させるのを可能にするために、乗客用シートは、垂直部分に対して前方縁部が降下し、水平部分の全体が傾斜することができるように配置構成された第1の移動機構を備える。
図4は、このような第1の移動機構の実施形態の実施例を概略的に示す。第1の移動機構は、支持フレームの上に設置された少なくとも1つの第1のガイド・レール10-1と、第1のガイド・レールの中まで延在し(貫通し)、好適にはシートの水平部分2の上に設置された第1の突起部11と、を備える。シートの実際のシャーシを形成する支持フレームに対して第1のガイド・レールを付け足すことは、この移動機構が支持フレームに一体化されることを意味する。衝撃を受ける場合、支持機構に加えられる力が支持フレームの全体にわたって分散されることになる。これにより、安全基準によって必要とされる10G超の、また特に16G超の力を作用させる衝撃試験に耐えるシートを製造することが可能となる。第1の突起部11は水平部分2の前方縁部2bの近くに設置され、好適には、前方縁部2bのみが傾斜可能である場合に乗客用シートの長手方向において実質的に中心に設置される。好適には、第1の機構は、シートの右側および左側の両方に設けてシートのバランスのとれた傾斜化を容易にするために、2つの第1のガイド・レールおよび2つの第1の突起部を備える。第1のガイド・レールは、好適には、水平部分の下側表面に対して90°から135°の間の、より詳細には90°から110°の間の、角度を形成する。別の実施形態によると、第1のガイド・レールは水平部分に設置され、突起部はフレームに設置される。
【0024】
水平部分の後方縁部2aおよび前方縁部2bの両方が移動する実施形態では、第1の突起部11および第1のガイド・レールが水平部分の長さの実質的に半分のところに位置することになる。
乗客とは無関係に水平部分が傾斜するのを防止するために、第1の移動機構は、好適には、動作阻止機構13を装備する。動作阻止機構13は、例えば、第1のガイド・レール内に付け足されたストッパーまたは第1の突起部に係合され得るピンによって達成される。したがって、ストッパーは、第1の突起部を定位置で保持し、水平部分が実質的に水平に延びる初期位置に維持する。このようなストッパーは、例えば、第1のばねに取り付けられ、ロッドを用いて制御される。この場合、第1のガイド・レール内で第1の突起部を移動させるのを可能にするためには、ストッパーを移動させて第1の突起部を解除するために乗客が単純にロッドを引く。ピンが使用される場合、乗客が単純に、同様にロッドを使用して、ピンが収容されている突起部からピンを解放する。好適には、この動作阻止機構は、乗客を含めた第三者が水平部分を自由に移動させるのを防止するために上述したように(例えば、乗務員により)ロックされ得る。
第1のガイド・レール10-1内で第1の突起部11を移動させることにより、第1の突起部を取り付けているところである水平部分2が下方に移動させられて床の方に向かって傾斜することになる。第1のガイド・レール10-1の長さおよび第1のガイド・レール10-1の傾斜の角度αが、シートの水平部分に課され得る傾斜を決定することになる。
【0025】
図4に示されるように、乗客用シートが垂直部分3の下に水平部分の後方縁部2aを収容するような種類である場合、第1の移動機構が、好適には、少なくとも2つの追加の第1のガイド・レール10-2および10-3を装備することになる。追加の第1の突起部12が追加の第1のガイド・レール10-2内に収容されることになる。追加の第1の突起部12は水平部分の後方縁部2aの近くに収容され、追加の第1のガイド・レールのうちの1つの第1のガイド・レール10-2の中まで延在する。第1のガイド・レール10-2はシートの側面の底部に水平に付け足される。追加の第1のガイド・レールのうちのもう一方の第1のガイド・レール10-3は、第1のガイド・レール10-1と組み合わされるように追加される。追加の第1のガイド・レール10-3と第1のガイド・レールとの間の角度は角度αの値に等しい値を有する。第1のガイド・レール10-1のために説明した場合と同様に、追加のガイド・レール10-2および10-3はシートの右側および左側の両方に設置され得る。
【0026】
したがって、この実施形態では、シートを下方傾斜位置に配置するためには、乗客が最初にシートの水平部分を水平に平行移動して、水平部分を垂直部分3から係合解除できるようにする。次いで、追加の第1の突起部12が追加の第1のガイド・レールのうちの1つの第1のガイド・レール10-2内で摺動し、第1の突起部11が追加の第1のガイド・レール10-3内で摺動することによって、水平部分が水平に移動することになる。追加の第1のガイド・レールのうちのもう一方の追加の第1のガイド・レール10-3と第1のガイド・レール10-1との間の接合部に到達すると、第1の突起部は追加の第1のガイド・レールのうちのもう一方の追加の第1のガイド・レール10-3から離れて第1のガイド・レール10-1に入り、上述した経路と同様の経路に沿って動くことになる。
【0027】
継続して
図4を参照すると、乗客用シートが垂直部分3の下に後方縁部2aを収容し、部材2aの内部構造が部材3から分離されるような(それでも、伸長可能な部分を介して被覆物が部材3に接合される)種類である場合に有利な変形形態が提案され、第1のガイド・レールは好適には少なくとも2つのセクション10-2および10-3から構成される。ガイド・レールの第1のセクション10-2では、追加の第1の突起部が水平部分の後方縁部2aの近くに収容され、ガイド・レールの第1のセクション10-2の中まで延在する。ガイド・レールの第1のセクション10-2は好適には水平部分の後方部分に対して水平に付け足されることになる。第1のガイド・レールの第2のセクション10-3は水平部分の前方部分に付け足されることになる。第2のセクション10-3は、90°から135°の間の、より詳細には90°から110°の間の、角度αの値に等しい値を有する角度を互いに形成する2つの部分を有する。第1のガイド・レール10-1のために説明した場合と同様に、ガイド・レールの第1のセクション10-2および第2のセクション10-3はシートの右側および左側の両方に設置され得る。
【0028】
大多数の航空機のシートでは、支持フレームは、互いに平行に配置構成されてシートの横方向に延びる2本のバー、フロントバーとリアバーから構成されている。これらのバーは水平部分内で被覆物クッションの下に設置される。この場合、第1のガイド・レールは、水平部分2の傾斜がフロントバーの影響を受けないのを保証するために傾斜セクション、特に第2のセクション10-3がフロントバーの前方に配置構成されることになるように、配置構成されることになる。
【0029】
乗客用シートがフラップ4を装備して、必要に応じてフットレスト6を装備する場合、水平部分が傾斜位置にあるときにフラップがさらに水平部分の延長として伸びるように移動できることが好適である。この目的のため、フラップは、
図4で右側に示される第1の収納位置と、同じ
図4で左側に示される第2の位置との間でフラップを移動できるように配置構成された第2の移動機構7の上に設置され、第2の位置では、フラップは、シートに着席する乗客の下腿を支持するために前方縁部2bの延長として延在する。第2の移動機構7は、好適には、2つの所定の位置の間で回動し、これらの各々の位置で固定されるように配置構成された自動ロック式ボールジョイントである。第1の収納位置は、フラップが前方縁部2bの下に位置して水平部分と45°から90°の間の角度βを形成するような位置に一致する。別法として、第1の収納位置は、フラップがシートの水平部分の下に位置するような位置に一致することが可能である。フラップを第2の位置まで移動させるためには、乗客は単純に、手により、またはフラップがフットレスト6を装備する場合はフットレスト6を使用して足によりフラップを回動させる。自動ロック式のボールジョイントを使用することにより、これらの2つの位置の間でフラップを回動させることが容易となる。必要に応じて、フラップはその動きを制御するための制御レバーを備えることが可能である。この制御レバーはフットレストによって形成され得る。
【0030】
図面に示されない別の実施形態によると、第2の移動機構は第2のガイド・レールを備え、フラップは、第2のガイド・レールの中まで延在する第2の突起部を備える。収納位置から延伸位置まで移動するときに床に沿ってフラップが回動するのを可能にするための小さい車輪をフラップの下に設けることも可能である。
好適には、第1の機構は、
図5に示されるように水平部分を通常位置に戻すように配置構成された戻しばね15を備える。戻しばねは、例えば追加の第1の突起部12を使用して、一方側でシートのフレームに取り付けられることになり、もう一方側で水平部分2に取り付けられるようになる。乗客用シートが通常位置にあるとき、戻しばねも通常位置にあり、シートの底部内に収容される。戻しばねは、シートが傾斜位置にあるときに、伸ばされることなり、したがってこの位置で動作を阻止されることになる。例えばロッドを使用して、戻しばねをブロックを解除することにより、戻しばねが解除され、水平部分が通常位置に戻る。
【0031】
図6は、本発明による第1の移動機構の別の実施形態を示す。この、別の実施形態では、第1の移動機構は、互いに対して回動可能に取り付けられた第1のリング21および第2のリング22からなるボールジョイントによって構成される。第1のリングは支持フレームの上に設置され、第2のリングは水平部分の下側表面の上に設置される。第1のリング21は、第1の形状を有する凹形表面23を備え、第2のリングは、第2の形状を有する凸形表面24を備える。締め付けねじを使用した圧縮により動作の剛性が確保される。第1および第2の形状は互いに相補的である。摩擦層27がリングの間にある。
この相補的な形状により、第2のリングを第1のリングに対して移動させることができる。第1のリングがフレームに取り付けられているため、水平部分を動かすことができ、したがって下方に傾斜させることができる。凹形形状に対して移動することができる表面24の凸形形状により、水平部分に伝達される回動運動が可能となる。
【0032】
輸送機関のための乗客用シートの市場では、シートの支持フレームの一部を形成するシャフトの上に接続部片により水平部分が設置されるようなシートが存在する。
図7は、第1の移動機構の別の実施形態がその上に設置されるこのようなシートを示す。本発明による第1の移動機構をこのようなシートに付け足すことは、第1の機構が接続部片を形成することができることを意味する。シートの水平部分は、一方側で後方縁部の近くでシートの底部に配置された2つのヒンジ・ポイント12の上に設置されることになり、もう一方側で第1の機構の上に設置されることになる。例えば、第1の機構はピストンまたはシザー・ジャッキ機構30によって形成されることになり、それにより水平部分を降下および上昇させることが可能となる。水平部分が降下させられるかまたは上昇させられるとき、水平部分はヒンジ・ポイント12を使用して回動し、それにより水平部分を傾斜させたり元の位置に戻したりすることが可能となる。ジャッキ機構30は、第1の取り付けポイントによりシートの支持フレームの一部を形成するシャフト32に取り付けられ、さらには、第2の取り付けポイント31によりシートの水平部分に取り付けられる。この場合、シザー・ジャッキの移動がシートの水平部分を回動させることになる。
【0033】
別の実施形態によると、第1の移動機構が、支持フレームに対して摺動することが可能となるように、および、ひいては垂直部分3に対しての前後移動を実施することが可能となるように、支持フレームに接続された第1のプレートを備える。第1のプレートは、ヒンジにより一体に設置された第1および第2の部分を備えることができ、したがって上記傾斜化中に第1および第2の部分が互いに対して回動することが可能となる。第1のガイド・レール10-1は支持フレームの上に設置され、特に第1のプレートの側面の両側に設置される。この場合、第1のプレートは、第1のプレートを支持する第1のガイド・レールに沿って摺動することができる。この前後移動により第1のプレートがシートの前方部分に向かって摺動することが可能となり、それによりその第2の部分がシートのフロントバーを部分的に越えて延在することが可能となる。したがって、第1のプレートのこの第2の部分はフロントバーを越えて延在し、フロントバーの影響を受けることなく下方に傾斜することができる。第2の部分はヒンジのおかげで第1の部分に対して回動する。
好適には、第1のプレートは、第1のプレートを通常位置に戻すように配置構成された戻しばねにより支持フレームに接続され、通常位置では被覆物クッションが実質的に水平に延在する。これにより、第1のプレートをその通常位置に戻すことがより容易となる。
【0034】
一変形形態によると、第1のプレートの第1の部分は、前後移動中に実質的に水平を維持することになるように、設置される。第1のプレートの第2の部分は、前後移動中に回動することが可能となるように、設置される。
好適には、第1の移動機構は支持フレームに堅固に接続された第2のプレートを備え、第1のプレートが第2のプレートの上に設置される。これにより、移動機構を設置するのに既存のシートを使用することが可能となる。
【0035】
単純な代替形態が
図8~
図10に示される。
図8は、直立位置にある傾斜可能なシート1を示す(左側)。垂直部分3の底部が水平部分2の後方縁部の近くにある。システムがロック解除されるとき、乗客が垂直部分3に対して水平部分2を前方に移動させることができ、ひいては水平部分2を傾斜させることができ、その結果、単純に自分の重量を水平部分2の前方縁部まで移動させることにより垂直部分に対して水平部分の前方縁部が降下することなり、それによりシート1を傾斜させることが可能となる(
図8の右側)。垂直部分3は実質的に垂直を維持し、および/またはわずかにのみ傾斜し、その結果、次のシートの空間に侵入しなくなるかまたはわずかにしか侵入しなくなる。例えば、
図8に示されるように、垂直部分3の最も下側のセグメントまたはさらには垂直部分3の全体が前方に傾斜することができ、言い換えると、垂直部分3の底部が前方に移動させられ、それにより、次の乗客の空間に侵入することなく(例えば、20cm以下、好適には15cm以下)、傾斜位置においてシートを比較的平坦にすることが可能となる。こうすることで、さらに、水平部分2と垂直部分3との間の空間が限定範囲に留まるようになり、最適な乗客快適性に適合するようになる。したがって、有利な代替形態によると、垂直部分3の底部がこの目的のために傾斜させられ、水平部分2の後方縁部と垂直部分3の底部との間の空間が傾斜位置においても縮小される。別の有利な代替形態によると、水平部分2および3が伸長可能な生地を有するカバーによって覆われ、その結果、水平部分2を移動させて傾斜させるかまたはさらには垂直部分3を傾斜させることでも乗客の下に空き空間が作り出されないようになり、カバーが裂けないようになる。
【0036】
水平部分2の下にある好適なシステムが
図9に示され、ここでは、2つのレール15がプレートの表面に取り付けられ、プレートのもう一方の表面が水平部分2に取り付けられる。スラット15aが2つのレール15を接続し、これらの2つのレールに沿って摺動することができ、それにより垂直部分3に対しておよびシートのフレーム5に対して水平部分2が前方に移動することが可能となる。このスラット15aの両端部の各々にはこの事例ではボールジョイントである回転装置15bが連結されており、回転装置15bがトーションバー15cに接続される。回転装置15bは、トーションバー15cに接続されたボールジョイントではなく、1つまたは複数の(例えば、2つの)ヒンジあるいは一対の回転バーであってもよい。乗客が水平部分2を前方に移動させるとき、水平部分2がレール15の上で摺動する(装置がロック解除されている場合)。次いで、乗客が自分の重量を水平部分2の前方部分に向かって移動させるとき、ねじりモーメントによって水平部分2が傾斜する。これは、回転装置15bによって可能となる。回転装置15bは、例えば剛体プレートにより、シートのフレーム5に取り付けられ、それにより、傾斜可能なシート1を支持フレーム5に堅固に固着することが可能となる。これは輸送手段(乗り物)のシートで必要なことであり、特に、航空機の事例などのように輸送手段が高速である場合に必要なことである。水平部分2が完全に傾斜させられるとき、その位置は可逆的にロックされ得る。初期の非傾斜位置に戻すことは、反対の手法で、任意選択でロック解除して、乗客の重量を水平部分2の後方部分に配置して、水平部分2の後方縁部を垂直部分3の近くに置くように水平部分2を再配置することにより、達成される。
【国際調査報告】