(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】授精のための動物の発情期の検出
(51)【国際特許分類】
A61D 1/08 20060101AFI20240822BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61D1/08 B
A01K29/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510233
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 CA2022051237
(87)【国際公開番号】W WO2023019348
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521161819
【氏名又は名称】グループ ロ-マン インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラブレック,ジャクリン
(72)【発明者】
【氏名】ジェルマン,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ブルジェ-ブーン,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】リベスト,ジョエル
(57)【要約】
【解決手段】判定がなされた時点で授精が実行される雌ブタの発情期を検出するための方法である。第1の方法では、各雌ブタの後部輪郭の画像は、外陰部の形状、大きさ、および/または色に関する特徴から雌ブタが発情期にあるかどうかを判定するために分析される。本分析では、プログラムが使用され得、発情期にあることが知られている複数の雌ブタおよび発情期ではないことが知られている複数の雌ブタの外陰領域を示す多数の画像を事前に分析して以前の画像のデータを生成し、それによってデータを使用して信号を生成するプログラムを作成して判定を行う。第2の方法では、雄ブタは閉じ込められ、雌ブタと密接に接触させられ、雌ブタが発情期にあるかどうかを判断するために、各雌ブタの画像および/または音は分析される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜を飼育するための方法であって、
潜在的に発情期にある雌ブタの群が制限される閉じ込め領域を画定する工程と、
各雌ブタの後部輪郭の画像を定期的に収集する工程と、
外陰部の形状、大きさ、および/または色に関する特徴から雌ブタが発情期にあるかどうかを判定するために、制御システムを使用して前記画像を分析する工程と、
前記雌ブタが発情期にあるという判定に応答して出力信号を提供する工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記分析する工程は、プログラムを使用して制御システムによって実行され、ここで、発情期にあることが知られている複数の雌ブタおよび発情期ではないことが知られている複数の雌ブタの外陰部領域を示す多数の画像を事前に分析して以前の画像のデータを生成し、それによって前記データを使用して信号を生成するプログラムを作成して判定を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特徴は、前記外陰部の組織または皺を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記特徴は、前記外陰部の高さまたは幅を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記特徴は、前記外陰部の大きさと、前記雌ブタの前記後部輪郭の判定可能な領域との比較を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記特徴は、前記外陰部の色を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記特徴は、前記外陰部の外側隆起を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記領域の少なくとも1つの画像は、経時的な差異を使用して判定を行うために、同じ雌ブタの前記領域の以前の画像と比較される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記画像を分析して、前記雌ブタの前記外陰部を示す画像上の領域を分析するために選択する工程を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記後部輪郭の複数の画像を分析し、前記領域を最もよく示す1つ以上の適切な画像を選択する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記領域の複数の画像が選択され、判定を得るために比較される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記領域の複数の画像は選択され、統計分析を使用して、判定を得るために比較される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記雌ブタは個々の区画に閉じ込められ、前記画像は区画に取り付けられたカメラによって得られる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記雌ブタは個々の区画に閉じ込められず、前記画像は、前記雌ブタが頻繁に訪れる区画に取り付けられたカメラによって得られる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記画像が得られた前記雌ブタの識別を提供するシステムが提供される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
発情期の判定が行われた後、その後の授精のために、判定の対象となった雌ブタにマークが付けられる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記制御システムは、カメラと、判定を行うためのプロセッサと、作業員と通信するためのインターフェースとを含むスタンドアロンシステムの一部である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記制御システムは、複数の雌ブタの判定に関するデータを雌ブタ管理システムに提供するように構成される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記画像は、撮像装置を保持する作業員によって手動で撮影される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
閉じ込められるまたは制限される雄ブタを提供する工程であって、閉じ込め領域および制限空間は、閉じ込め領域における前記雌ブタが、前記雄ブタまたは前記雌ブタの移動によって前記雄ブタと密接に接触することができるように、構成される、工程を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
密接に接触する状態にあるときの前記各雌ブタの画像および/または音を収集するように構成された少なくとも1つの収集装置を提供する工程と、制御システムを使用して画像および/または音を分析して、前記雌ブタが発情期にあるか否かを判定する工程を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
家畜を飼育するための方法であって、
潜在的に発情期にある雌ブタの群が閉じ込められる閉じ込め領域を画定する工程と、
閉じ込められるまたは制限される雄ブタを提供する工程であって、前記閉じ込め領域および制限空間は、閉じ込め領域における雌ブタが、前記雄ブタまたは前記雌ブタの移動によって前記雄ブタと密接に接触することができるように、構成される、工程と、
前記密接接触状態にあるときの前記各雌ブタの画像および/または音を収集するように構成された少なくとも1つの収集装置を提供する工程と、
制御システムを使用して画像および/または音を分析して、前記雌ブタが発情期にあるかどうかを判定する工程とを含む、方法。
【請求項23】
前記画像は、身体および頭部を示すために前記雌ブタの前面から撮影される、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記画像は、発情期に特徴的な前記雌ブタの動きについて分析される、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記画像は、発情期に特徴的な前記雌ブタの動きの速度について分析される、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記画像は、発情期に特徴的な前記雌ブタの身体の動きについて分析される、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記画像は、発情期に特徴的な前記雌ブタの頭部の動きについて分析される、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記画像は、発情期に特徴的な前記雌ブタの耳の動きについて分析される、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記画像は、発情期に特徴的な前記雌ブタの耳の角速度について分析される、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記画像は、発情期に特徴的な前記雌ブタの背側領域の動きについて分析される、請求項21~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記画像は、発情期に特徴的な前記雌ブタの身体の姿勢変化について分析される、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記音は、きしむ音(squealing)、うなり声(grunting)などの、発情期に特徴的な前記雌ブタが生み出す特定の種類の音について分析される、請求項21~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記音は、発情期に特徴的な周波数のスペクトルを探すために分析される、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記音は、発情期に特徴的な一連の音について分析される、請求項21~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記収集装置は、前記雄ブタを制限するまたは閉じ込める設備に取り付けられ、前記制限空間における前記雌ブタに方向付けられるカメラを備える、請求項21~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記制限するまたは閉じ込める設備は、移動可能な構造を含み、前記雌ブタが個々の閉じ込め囲い内にいる間に雄ブタが雌ブタのもとに運ばれる、請求項21~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記制限するまたは閉じ込める設備は、前記雄ブタ用の制限空間を含む、請求項21~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記制限するまたは閉じ込める設備は、生きた雄ブタの動きを引き起こすための移動可能な係留装置を含む、請求項21~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記制限するまたは閉じ込める設備は、閉じ込め領域内に固定され、前記雌ブタは自由に雄ブタのもとに移動することができる、請求項21~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
マイクロフォンは、主として前記雄ブタ用の制限空間における前記雌ブタからの音を受け取るような指向性を有する、請求項21~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記雄ブタは、実際の生きた動物である、請求項21~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記雄ブタは、製作され、生きた動物をシミュレートする1つ以上の刺激を前記雌ブタに提供する、請求項21~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
音および/または画像を収集する間に、前記雌ブタの背側領域に圧力が適用される、請求項21~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記制御システムは、簡単な分析を必要とする発情期の判定と複雑な分析を必要とする発情期の判定とを区別するように動作し、簡単な分析では、前記雄ブタ用の制限空間における前記雌ブタの発情期の判定を示す出力信号が提供され、ならびに複雑な分析では、発情期の判定が行われる前に追加の介入を必要とする出力信号が提供される、請求項21~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
授精は、判定がなされたことを示す信号の受信時に実行される、請求項21~44のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、授精に使用するための、動物の発情期を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
効率的な畜産のために、関係する動物が発情期にあるときを判定し、それによって授精が成功する確率を高める有効な方法を探すことに多くの注目が払われてきた。
【0003】
起立期間対横臥している期間の比率の変化を含む、動きおよび様子の変化は、発情期を検出するために使用され得ることが知られている。さらに、身体または特に膣領域の温度を使用して判定を行うことができる。
【0004】
しかし、判定を行うための技術のさらなる改善が必要とされる。
【0005】
本発明は、作業員が典型的に動物との接触が少なく、したがって、発情期の判定を提供し得るより自動化された方法を必要とする雌ブタに特に適用可能である。しかし、本方法は、他の動物にも使用することができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、家畜を飼育する方法を提供することであり、該方法は、
雌ブタが潜在的に発情期にある、雌ブタの群が制限される閉じ込め領域を画定する工程と、
閉じ込められるまたは制限される雄ブタを提供する工程と、
閉じ込め領域および制限空間は、閉じ込め領域における雌ブタが、雄ブタまたは雌ブタの移動によって雄ブタと密接に接触することができるように、構成され、
上記密接接触状態にあるときの各雌ブタの画像および/または音を収集するように構成された少なくとも1つの収集装置を提供する工程と、
制御システムを使用して画像および/または音を分析して、上記雌ブタが授精のための発情期にあるかどうかを判定する工程とを含む。
【0007】
したがって、本明細書の方法は、雌ブタが雄ブタと密接に接触しているとき、カメラからの画像を使用することができ、または、雌ブタによって生成される音を使用することができ、または両方のデータセットの分析を組み合わせることができる。
【0008】
好ましい方法では、身体および頭部が発情期の判定因子である動きおよび様子の変化を示すため、これらを示すために画像は雌ブタの正面から撮影される。特に、変化が最も明白であると予想される雄ブタの前部に雌ブタが近接しているとき、雌ブタの正面立図面の画像を正面から撮影することができる。
【0009】
好ましい方法では、画像は、発情期にあることが知られている雌ブタの以前の分析によって判定され、現在取得されている画像との比較を行う発情期の特徴的な雌ブタの動きについて分析される。より正確な結果を得るために、誤差を捨象し、統計分析を使って複数の比較を行うことができる。
【0010】
具体的に、画像は、発情期を示すことが知られている特徴を探して分析され得、その特徴は、
発情期に特徴的な動きの速度、
発情期に特徴的な身体の動き、
発情期に特徴的な頭部の動き、
発情期に特徴的な耳の動き、
発情期に特徴的な耳の角速度、
発情期に特徴的な背側領域の動き、
発情期に特徴的な身体の姿勢の変化を含む。
【0011】
具体的に、音は、発情期を示すことが知られている特徴を探して分析され得、その特徴は、
きしむ音(squealing)、うなり声(grunting)などの、発情期に特徴的な雌ブタが発する特定の種類の音、
発情期に特徴的な周波数のスペクトル、
発情期に特徴的な一連の音を含む。
【0012】
好ましくは、収集装置は、雄ブタを制限するまたは閉じ込める設備に取り付けられ、設備における雌ブタに方向付けられるカメラを備える。
【0013】
一実施形態では、制限するまたは閉じ込める設備は、移動可能な構造を含み、雌ブタが個々の閉じ込め囲い内にいる間に雄ブタが雌ブタのもとに運ばれる。これは、典型的には、雄ブタカート(boar cart)であり、雄ブタは、ケージ内に制限され、小道沿いのクレートに制限される雌ブタのところまで、小道沿いの支持床を移動される。雄ブタカートによって、雌ブタから雌ブタへ移動するときに大きな雄ブタを制限して制御する最良の方法が提供される。しかし、例えば、これらに簡単な係留または誘導ロボット装置など、雄ブタを輸送するための他の手段が使用され得、雄ブタが、雌ブタから雌ブタへと歩いている間に拘束される。
【0014】
代替的な構成では、雄ブタを制限するまたは閉じ込めるための設備は、開放的閉じ込め領域内の固定ケージとして適所に固定され、その閉じ込め領域では、雌ブタは、閉じ込め領域内の自身のケージ内に別個に閉じ込められる雄ブタまで含めて、適所から適所に自由に移動することができる。
【0015】
両方の場合では、カメラは、好ましくは、雌ブタの一連の画像が、雌ブタが接近する、または接近されるにつれて得られるように、撮影されるべき雌ブタに面してカートまたはケージ上に配置され、上記で定義されるように、雌ブタの動きの分析においてそれらの画像を使用する。
【0016】
好ましくは、マイクロフォンは、雄ブタのケージにさらに配置され、雄ブタの制限空間において主に雌ブタの音を受信するように方向付けられるタイプのものである。
【0017】
上記の記述は「雄ブタ」という用語を使用するが、これは実際の生きている動物であり得ることが理解される。しかし、雄ブタは、生きた動物をシミュレートする1つ以上の刺激を雌ブタに提供する製造された構造であり得る。極端な場合に、「雄ブタ」は、単に十分に雄ブタをシミュレートするためのフェロモン噴霧剤の使用であり得る。生きた動物は、発情期を検出するため、および授精を受理するために、雌ブタを刺激するのにより有効であることが見出されている。しかし、シミュレーション刺激の改善によって、実際の生きた非常に大きな動物を輸送またはケージングする必要性が回避され得る。
【0018】
上記の記述のいずれかと共に、または以下に定義される特徴のいずれかと共に使用され得る重要な任意選択の特徴において、制御システムは、簡単な分析および複雑な分析を必要とする発情期の判定を区別するように動作しており、簡単な分析では、雌ブタの発情期の判定を示す出力信号が提供され、ならびに複雑な分析では、発情期の判定が行われる前に追加の介入を必要とする出力信号が提供される。すなわち、システムは、結果に対する信頼度のレベルを生成し、示すことができ、これによって、システムは、判定に直接移行するか、またはさらなるデータを供給することを必要とする、信頼度が低いことを示すことができる。例えば、さらなるデータは、下記の方法から、または作業員による他の介入からもたらされ得る。別の例として、作業員は、音および/または画像の収集中に、雌ブタの背側領域に圧力を加えるために採用されてもよい。
【0019】
判定の結果は、授精処置の成功の確率が増加するように、最終判定が行われたことを示す信号の受信時に授精が実行されることである。
【0020】
本明細書では、別個のシステムとして、または上記分析の一部として使用することができる別の方法では、家畜を飼育するための方法が提供され、該方法は、
潜在的に発情期にある雌ブタの群が制限される閉じ込め領域を画定する工程と、
各雌ブタの後部輪郭の画像を定期的に収集する工程と、
各画像を分析して、雌ブタの外陰部を示す画像上の領域を決定する工程と、
外陰部の形状、大きさ、および/または色に関する特徴から雌ブタが発情期にあるかどうかを判定するために、制御システムを使用して領域の画像を分析する工程と、
雌ブタが発情期にあるという判定に応答して出力信号を提供する工程とを含み、
授精は、判定が行われたことを示す信号の受信時に実行され得る。
【0021】
雌ブタが発情期にあるかどうかの判定は、タイミング授精のために、または単に動物が発熱したことを知るために使用することができる。場合によっては、生殖結果を最適化するために農家が発情周期をスキップしたい雌ブタがいる。
【0022】
好ましい方法で、分析は、プログラムを使用して制御システムによって実行され、ここで、発情期にあることが知られている複数の雌ブタおよび発情期でないことが知られている複数の雌ブタの外陰領域を示す多数の画像を事前に分析して以前の画像のデータを生成し、それによってデータを使用して信号を生成するプログラムを作成して判定を行う。したがって、制御システムを動作させるプログラムは、発情期にあることが知られている動物、および発情期でないことが知られている動物の外陰部の多数の画像を分析することによって発情期の存在を判定するように特徴を事前学習したニューラルネットワークである。この事前学習プログラミングは、分析される新しい画像に適用されるように、オンプレミスまたはクラウド上にあり得る、制御ユニットに保存されることができる。
【0023】
上記の機械学習は、システム自体によって実行されるが、本出願人は、画像の広範な分析によって、例えば、画像から抽出することができるいくつかの視覚的特徴に基づいて判定を行うことができることを見出した。これらの特徴は、以下のうちの1つ以上を含むことができる。
-a-外陰部の組織または皺;これは、皮膚を引き伸ばしてしわの深さおよび表明を減少させる血液充血によって引き起こされる体積の増加に起因して皺の欠如が生じるため、領域の膨張の程度に関する。
-b-外陰部の高さまたは幅;再び、これは、領域の高さおよび幅が膨潤によって増加するので、領域の膨張の程度に関する。
-c-外陰部の色;濃縮血液の存在は、観察され得る赤色を濃くするように作用する。
-d-外陰部の外側隆起。再び、上昇した血液供給による領域の充血は、外陰部を身体の外側方向に拡張するように作用して、増大した3D効果を生成し、その効果を好適な角度で撮影または選択されたときに2D画像からさえ観察され得る。
【0024】
場合によっては、特に、多くの同腹子を産んだ高齢の動物では、外陰部領域は変化があまり明白でない場合があり、その結果、単一画像の分析は決定的でない場合がある。この場合、同じ動物からの以前の画像との比較を使用して、経時的な変化を観察することができ、この場合、その領域の少なくとも1つの画像を同じ雌ブタの領域の以前の画像と比較することで、経時的な差異を使用して判定を行う。すなわち、多くの雌ブタにおいて変化は十分に明らかであるため、試験時の現在の状態を表す単一の画像または同時に取得された一連の画像から発情期の存在を検出することができる。画像、および画像からの判定は、発情期が始まってすぐに判定を行うために、ある期間にわたって、例えば、毎日繰り返して実行されることが理解されるであろう。したがって、一連の画像は、比較のためにその期間にわたって利用可能である。他の場合には、判定を行うためにより古い画像との比較が必要である。しかし、当然ながらこれには、画像を関係する動物の識別と関連付けることが必要であり、動物が閉じ込められている場合には簡単に行われるが、とりわけ動物が自由に動くことができる場合、付加的措置が必要となる。
【0025】
分析の第1のステップにおいて、好ましくは、後部輪郭の複数の画像が得られ、領域を最も良好に示す1つ以上の適切な画像を選択するために分析される。カメラが、動物の後部に対する角度および位置を変更できるように取り付けられて配置される場合、後部輪郭の画像の多くは外陰部領域を示すのに不適切な場合があり、したがって、制御システムは、画像から適切であるものを選択してそれらを判定に使用するためのプログラムを使用する。この分析の一部として、本システムは、後部輪郭の画像全体から関連する外陰部領域を選択する必要があり、その結果、アルゴリズムの一部には、この領域を最初に判定して選択し、さらなる分析を行うための画像コンポーネントとすることが必要になる。すなわち、外陰部領域が選択された後、画像コンポーネントのそのサブセットから、領域を最も良好に示し、判定に使用されるべきコンポーネントを選択する必要がある。その後、各画像は、正または負の結果を示すかどうかを判定するためにシステムによって評価される。判定に続いて、全ての正の結果と負の結果との比較によって、最終判定、およびどのくらいの結果が合致しているかにより示される信頼度が得られる。この情報は、授精が生じるかどうか、すなわち、外陰部が発情期の徴候を示すかどうか、またはさらなるデータによるさらなる分析が必要かどうかの評価に利用可能とされ得る。
【0026】
後部輪郭の画像から、外陰部領域を最良または好適に示すサブセット内の数を選択する第1の分析の後、領域のこれらの複数の画像が選択されて比較されることで、統計的分析を使用した判定が得られる。
【0027】
いくつかの実施形態では、雌ブタは個々の区画に閉じ込められ、画像は区画に取り付けられたカメラによって得られる。この場合、カメラは、区画の固定位置に取り付けることができ、システムによって決定された頻度で、例えば毎日、後部輪郭の画像を繰り返し撮影するようにタイミングを合わせてトリガすることができる。その後カメラは、上記の分析のために後部輪郭の複数の画像を撮影することができる。これにおいては、取得対象である最良の後部輪郭画像を得るために、動物がカメラに対して適切な位置または適切な角度にない場合があることが考慮される。他の場合では、画像は(レール上、ロボット上などを)移動するカメラによって撮影されるので、これらの画像も全て適切ではない場合がある。
【0028】
好ましくは、外陰部領域が後方に適切に提示されることを確実にし、画像内の特定の位置に外陰部領域を位置付けることで、より容易な選択を可能にするように、後部輪郭の画像は動物が立っている間に撮影される。さらに、このような立ち姿勢により、領域の部分が一貫して画像に提示されて、より効果的な分析が可能になることが確実となる。
【0029】
したがって、画像の取得時に動物が立っているのを確実とすること、またはさらには、画像を得るために動物を何らかの物理的な刺激によって立ち姿勢とすることが望ましい場合がある。
【0030】
いくつかの実施形態では、雌ブタは、自由に動き回るように個々の区画に閉じ込められない。この場合、画像は、雌ブタが頻繁に訪れる給餌または給水区画などの適切な場所に取り付けられたカメラによって得ることができる。これは、雌ブタが雄ブタを見て性的刺激を得るための開口部がある雄ブタ公開ステーションでも行うことができる。このように、各雌ブタは、ランダムにカメラに移動し、関係する位置に移動するたびに撮像され得る。一構成においてこの状況では、授精のために動物を識別できるように、撮像される動物にIDを適用することが必要である。したがって、この場合、動物は、RFID耳タグなどの読み取り可能なタグを使用してタグ付けされ得る。このIDは、上記の履歴比較にも使用することができる。
【0031】
代替的に、ID情報が利用可能でない場合、判定後、後の授精のために判定の対象となる雌ブタにマークを付けることができる。ペイントスプレーまたはダバー(dabber)によるそのようなマーキングシステムが利用可能であり、関連する雌ブタをマーキングするために作動させることができる。これは、特に、1匹の動物を収容し、撮像に適した配向に閉じ込めて撮像し、動物を集団に戻す前に判定を行うことができるように、一度に1匹の動物を閉じ込める壁を有する給餌区画に撮像カメラが位置付けられる場合に有効である。代替的に、睡眠ゾーンおよび摂食ゾーンなどの2つのゾーンの間に小道を設けてもよく、そこで動物は、次のゾーンに進む前に行動を完了するために一時的に留められる。
【0032】
場合によっては、システムは、携帯電話などの既存の撮像システムに適用可能なプログラムとして提供されてもよい。この場合、画像は、撮像装置を保持している作業員により手作業で撮像され得、関係の動物の情報を与えてデータを保存し、撮影する画像を選択することができる。それらの画像から、制御システムは、使用される領域画像を引き継ぎ選択し、複数の画像から、作業員に通信されるべき判定を行う。その他の場合では、制御システムは、カメラと、判定を行うためのプロセッサと、作業員と通信するためのインターフェースとを含むスタンドアロンシステムの一部であり得る。両方の場合では、制御システムは、複数の雌ブタの判定に関するデータを雌ブタ管理システムに提供するように構成することができる。
【0033】
上記で詳細に説明したように、画像を使用する方法は、閉じ込められたまたは制限された雄ブタを提供することと併せて使用され得、ここで、雌ブタの閉じ込め領域および雄ブタの閉じ込めシステムは、閉じ込め領域内の雌ブタが、雄ブタまたは雌ブタの移動によって雄ブタと密接に接触する可能になるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の1つの実施形態は、添付の図面とともに以下に記載される。
【
図1】本発明に係る方法の第1の実施形態で使用される構成を示す動物飼育用畜舎の概略平面図である。
【
図2】本発明に係る方法の第2の実施形態で使用される構成を示す動物飼育用畜舎の概略平面図である。
【
図3】本発明に係る方法の第1の実施形態の工程を示すフローチャートである。
【
図4】本発明に係る方法の第3の実施形態で使用される構成を示す動物飼育用畜舎の概略平面図である。
【
図5】本発明に係る方法の第3の実施形態で使用される動物の後部隆起画像の一例の図である。
【
図6】
図5から撮影され、本発明に係る方法の第3の実施形態で使用される動物の領域画像の一例の図である。
【
図7】本発明に係る方法の第3の実施形態の工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1では、家畜を飼育する方法において使用されるコンポーネントが示されている。閉じ込め領域(10)は、小道(14)に沿って一列に配置された、閉じ込められた雌ブタ用の複数の横並びの繁殖囲い(11)を含む。
【0036】
囲いは、前壁に沿った飼料桶(12)を備えた溶接バーの囲いの壁によって形成され、その結果、動物は、雌ブタが潜在的に発情期にある雌ブタの群が制限される繁殖期間中に、閉じ込められたままになる。
【0037】
雄ブタは、車輪(16)上の移動可能な雄ブタカート(15)に制限され、小道(14)に沿って移動可能であり、順に各雌ブタの元に運ばれ、雄ブタの移動によって雄ブタに密接に接触することを可能になる。適切なカートは、2001年3月6日に発行された先行のUSP6196975(Labrecque)および2003年1月21日に発行されたUSP6508202(Kleinsasser)に示されており、両方とも本出願人に譲渡されており、これらの開示は参照により本明細書に援用される。
【0038】
カートは、カメラ(17)およびマイクロフォン(18)をカートの固定位置に搭載し、カメラは画像を撮影し、マイクロフォンは、密接接触にあるときに各雌ブタの音を集音する。したがって、カメラおよびマイクロフォンは、カートのフレーム上の適切な位置に配置され、カートが雌ブタの囲いに登録されているときに必要な位置に方向付けられる。
【0039】
画像および音は、制御システム(19)に有線または無線で伝達され、制御システム(19)は、以下に記載されるようにデータを分析して、授精のために雌ブタが発情期にあるかどうかを判定する。
【0040】
図3のフローチャートに示されるように、本方法は、カメラからの画像または雌ブタによって発される音のいずれかを使用するか、または両方のデータセットの分析を組み合わせることができ、ここでは、画像および音は雌ブタが雄ブタと密接に接触しているときに取得される。本方法の工程は、
図3に詳細に示される。
【0041】
好ましい方法では、身体および頭部が発情期の判定因子である動きおよび態度の変化を示すため、これらを示す正面図のために、画像は雌ブタの正面から撮影される。特に、変化がとても明白になることが期待される場合、雌ブタが雄ブタの正面に近接する場合、雌ブタの正面図の画像は正面から撮影することができる。
【0042】
図3に示されるように、画像は、発情期にあることが既知である雌ブタの以前の分析によって判定され、現在取得されている画像またはデータベースからの素材を有する画像との比較を行う発情期の特徴的な雌ブタの動きについて分析される。より正確な結果を得るために、誤差を捨象し、統計分析を使って複数の比較を行うことができる。
【0043】
具体的に、画像は、発情期を示すことが知られている特徴を探して分析され得、その特徴は、
発情期に特徴的な動きの速度、
発情期に特徴的な身体の動き、
発情期に特徴的な頭部の動き、
発情期に特徴的な耳の動き、
発情期に特徴的な耳の角速度、
発情期に特徴的な背側領域の動き、
発情期に特徴的な身体の姿勢の変化を含む。
【0044】
具体的に、音は、発情期を示すことが知られている特徴を探して分析され得、その特徴は、
きしむ音(squealing)、うなり声(grunting)などの、発情期に特徴的な雌ブタが発生する特定の種類の音、
発情期に特徴的な周波数のスペクトル、
発情期に特徴的な音の連続を含む。
【0045】
図2に示されるように、雌ブタは、給餌(21)、給水(22)、または睡眠領域への移動を望むときに、閉じ込め囲い(20)内で自由である。雌ブタ用の閉じ込め囲いは、開放的閉じ込め領域内の固定ケージとして適所に固定され、そこで、雌ブタは、閉じ込め領域内のそれ自体のケージ内に個別に閉じ込められる雄ブタまでを含めて、適所から適所に自由に移動することができる。この場合、カメラ(24)およびマイクロフォン(25)は、雄ブタが雄ブタの前から雄ブタケージに接近するつれて雌ブタに面する位置でケージ上に配置される。このように、
図3に示されているように雌ブタの動きの分析においてこれらの画像を使用するために、雌ブタが近接するにつれて、その一連の画像を得ることができる。
図2では、短い分割壁(25A)および(25B)が、雄ブタの前で立っているときに雌ブタの両側で雄ブタケージから前方に延在して設けられ、その結果、1匹の動物のみからの信号が、同じ全体領域内の他の動物から分離して得られ、分析される。
【0046】
マイクロフォン(25)は、主として雄ブタの制限空間で雌ブタから直接音を受け取り、他の雌ブタなどの閉じ込め領域の他の領域からの音を捨てるための細長い指向性マイクロフォンである。
【0047】
図3に示されるように、制御システムは、簡単な分析を必要とする発情期の判定と複雑な分析を発情期の判定とを区別するように動作し、簡単な分析では、雌ブタの発情期の判定を示す出力信号が提供され、ならびに複雑な分析では、発情期の判定が行われる前に追加の介入を必要とする出力信号が提供される。すなわち、システムは、結果に対する信頼度のレベルを生成し、示すことができ、これによって、システムは、判定に直接移行するか、または信頼度が低いさらなるデータを供給することが必要であることを示すことができる。例えば、さらなるデータは、下記の方法から、または作業員による他の介入からの要求に応答してもたらされ得る。別の例として、作業員は、音および/または画像の収集中に、雌ブタの背側領域に圧力を加えるために採用されてもよい。
【0048】
判定の結果は、授精処置の成功の確率が増加するように、最終判定が行われたことを示す信号の受信時に授精が実行されることである。
【0049】
図4~7に示される別の方法では、雌ブタが潜在的に発情期にある、雌ブタの群が制限される閉じ込め領域(30)が提供される。閉じ込め領域(30)は、別個の囲い(31)および(32)を含み、そこで、雌ブタは、トラフ(33)からまたは給水(34)から飼料を摂取するために入ることができる。囲いは、典型的には、雌ブタが単独で入ることができ、他の雌ブタが囲いの後部に入ることを排除されるように構成されている。各囲いは、固定カメラ(35)を担持し、固定カメラは、各雌ブタが囲い内に入る際に、各雌ブタの後部輪郭の画像を定期的に収集するように操作される。全ての雌ブタが定期的に食物を摂取するので、全ての雌ブタが一日の間に撮像システムの対象になる。このように、各雌ブタは、ランダムにカメラ(35)に移動し、関係する位置に移動するたびに撮像され得る。一構成においてこの状況では、授精のために動物が識別され得るように、撮像される動物にIDを適用することが必要である。したがって、この場合、動物は、囲い(31)のタグリーダ(37)によって検出されるRFID耳タグなどの読み取り可能なタグを使用してタグ付けされ得る。
【0050】
工程が詳細に示されている
図7のフローチャートに示されるように、制御システムは、カメラから信号を受信し、画像を分析して発情期の判定を行うために、示されている一連の工程を進む。
【0051】
したがって、
図5に示される後部輪郭の各画像は、
図7に示されるような制御システムを使用して分析され、
図6に示されるように画像上に雌ブタの外陰部を示す領域を判定する。
【0052】
場合によっては、フローチャートは、画像を分析するために使用される方法に基づいてわずかに異なり得る。1つの方法は、適切な画像を選択する前に、外陰部領域のより大きな画像からの選択を必要としなくてもよい。分析に適した画像の選択は、分析に最適な画像の使用を確実にするために、画像の撮影角度、撮像時の動物の向きなどに応じた他の基準に基づいて行うことができる。
【0053】
したがって、
図5の外陰部領域の画像を分析して、外陰部の形状、大きさ、および/または色に関連する特徴から、雌ブタが授精のために発情期にあるかどうかを判定する。上記のように、これは、より大きな画像から関連する領域を抽出するために適切な画像が選択された後に行うことができる。あるいは、領域を選択することなく画像全体は分析されてもよい。分析に適切な画像は、画像が得られる方法に応じて、動物の角度または配向または位置に起因して不適切であるいくつかを削除するように選択され得る。
【0054】
判定が行われたことを示す出力信号が生成され、信号の受信時に授精が実行される。
【0055】
好ましい方法では、分析は、プログラムを使用して制御システムによって実行され、複数の雌ブタの外陰部領域を示す既知の発情状態の以前のデータが本プログラムによって比較される。したがって、制御システムを動作させるプログラムは、発情期にあることが知られている動物、ならびに発情期ではないことが知られている動物の外陰部の多数の画像を分析することによって発情期の存在を判定するように特性を事前に学習したニューラルネットワークまたは別の機械学習アルゴリズムである。この事前学習プログラミングは、制御ユニットに記憶され、分析される新しい画像に適用される。または、古典的なコンピュータビジョン技術を用いた、機械学習ではない、古典的なアルゴリズムでさえあり得る。
【0056】
分析の第1のステップにおいて、好ましくは、後部輪郭の複数の画像が得られ、領域を最も良好に示す1つ以上の適切な画像を選択するために分析される。制御システムは、画像から適切であるものを選択してそれらを判定に使用するためのプログラムを使用する。この分析の一部として、場合によっては、本システムは、後部輪郭の画像全体から関連する外陰部領域を選択することが必要であるため、アルゴリズムの一部は、この領域を最初に判定して選択し、さらなる分析を行うための画像コンポーネントとすることが必要になる。その後、各画像は、正または負の結果を示すかどうかを判定するためにシステムによって評価される。判定に続いて、全ての正の結果と負の結果との比較によって、最終判定、およびどのくらいの結果が合致しているかにより示される信頼度レベルが得られる。この情報は、授精が生じるかどうか、またはさらなるデータによるさらなる分析が必要かどうかの評価に利用可能とされ得る。
【0057】
画像を認定するために使用され得る1つの分析は、外陰部の清潔度の分析システムによる判定に基づく。この場合、外陰部が汚れすぎて誤った結果が与えられる可能性がある場合、農業者に警告が与えられ得る。この場合、画像は破棄されてもよく、適切な正確な判定がなされ得る前に、領域を清潔にするために措置が必要であるという信号が農業者に提供されてもよい。
【0058】
分析のさらなるステップでは、実際の寸法ではなく、代わりに、外陰部の大きさと、雌ブタの後部輪郭の判定可能な領域、例えば、反芻動物の大きさまたは後部隆起もしくは後部輪郭に現れる動物の総領域の大きさとの比較に基づいて大きさの判定を行うことができる。したがって、分析は、撮像システムによって選択されたこれら2つの領域の比、および発情期に進む動物から生じる検出された比の変化を判定することができる。
【0059】
後部輪郭画像から、外陰部領域を示すのに最適、または最も適切なサブセット内の数を選択するための第1の分析の後、その領域のこれらの複数の画像が選択され、比較されて、統計的分析を使用して判定を得る。
【0060】
代替的な構成が
図1に示されており、カメラ(50)が囲い(11)の後部に配置されて、カート内の雄ブタの存在下または非存在下のいずれかで、閉じ込められた動物の画像を撮影する。後部輪郭の画像は、好ましくは、動物が立っている間に撮影され、これは、外陰部領域が後方向に適切に提示されることを確実にし、画像内の特定の位置に外陰部領域を位置付け、より容易に選択できるようにするためである。さらに、この立姿勢によって、その領域の部分が、一貫して画像内に提示されることを確実にし、より有効な分析を可能にする。
【0061】
したがって、カメラ(50)および関連する制御システムは、動物が立っている間に画像を得るかまたは選択するように操作される。すなわち、画像を撮るためにいつ動物が立っているか、
図1に示すようにクレート内で判定するために動物を監視することができ、または動物を物理的刺激によって画像を得るための立姿勢に動かすためにクレート壁上のアクチュエータ(51)が設けられている。あるいは、画像を定期的に撮影し、動物が立っていないとシステムが判断した場合、単に削除され得る。
【0062】
ID情報が動物上で利用可能でない場合、かつ
図4に示されるように動物が自由に動き回る場合、判定後、その後の授精のために、囲い(32)内で判定の対象となる雌ブタにマーカー(36)によって、マークを付けることができる。ペイントスプレーまたはダバーによるそのようなマーキングシステムは公知であり、一般的に入手可能であり、発情期にあると判定されたことを示すために、関係する雌ブタをマーキングするために作動させることができる。
【0063】
授精のタイミングは、発情期の状態を判定する分析から時間的にずらされ得ることに留意されるべきである。発情期の実際のタイミングは、場合によっては、外陰部の外観の分析および検出された可視変化からより遅れ得る。実際に、外陰部は、通常、(雌ブタにおける発情期を判定するために従来使用されている)起立熱反射の前の時点で外観を変化させ、時として、起立熱反射(発情期)後に数日間継続する。したがって、外陰部の外観は、発情期の存在の良好な指標であるが、必ずしも授精の実際の瞬間を見つけるための良好な方法ではない。しかし、これは、発情期がこれから起きるか、またはこれから開始することを確認するために使用され得る。これに続いて、上記で記載される画像/音法などの別のシステムを行って、授精に必要な時間をより良好に判定することができる。あるいは、外陰部画像システムを使用して、授精しないことが好ましい発情事象を通知することができる。これらの発情事象を発見することは、若いまたは新しい雌ブタでは非常に重要であり、農家が第2の発情期でそれらを授精させ、したがって動物のより良好な成熟を確実にするために第1の発情期を飛ばすことを望み得るからである。したがって、第1および第2の発情期の両方を検出し、これらを見逃さないことが望ましく、そうでなければ、動物がそれらの第1の授精において高齢になりすぎて生涯受精能を低下させてしまうからである。
【0064】
本明細書に上記の如く記載された私の発明において、様々な変更を行うことができ、同じように、多くの明らかに多種多様な実施形態が、特許請求の範囲の範囲と精神を逸脱することなく、該精神と範囲内でなされることができるため、添付の明細書に包含されるすべての事項は、単に例示目的でのみ解釈され、限定する意味では解釈されないことが意図される。
【国際調査報告】