(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】頭皮及び毛髪のための美容処理方法、製剤及び製品
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240822BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240822BHJP
A61H 23/02 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q5/00
A61K8/67
A61K8/65
A61K8/63
A61K8/02
A61H23/02 341
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510302
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2021113151
(87)【国際公開番号】W WO2023019454
(87)【国際公開日】2023-02-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062467
【氏名又は名称】侯貿升
(71)【出願人】
【識別番号】524062478
【氏名又は名称】王佩盈
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】侯貿升
(72)【発明者】
【氏名】王佩盈
【テーマコード(参考)】
4C074
4C083
【Fターム(参考)】
4C074AA05
4C074BB01
4C074CC03
4C074DD05
4C074GG01
4C074HH04
4C083AA111
4C083AA112
4C083AD441
4C083AD442
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD631
4C083AD632
4C083DD08
4C083EE22
(57)【要約】
頭皮及び毛髪の美容処理のための製品及び方法が提供される。製品は、水含有化粧用組成物、又は水含有化粧品が充填された超音波アトマイザーである。美容処理方法は、超音波アトマイザーを使用して、水含有化粧品を10ナノメートル~100マイクロメートルの範囲の液滴に霧化し、霧化された水含有化粧品を毛髪の流れに逆らう方向で頭皮に噴霧し、毛髪の流れに逆らう方向に頭皮をマッサージするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭皮及び毛髪の美容処理方法であって、
水含有化粧品製剤を超音波アトマイザーに投入するステップと、
前記超音波アトマイザーを使用して前記水含有化粧品製剤を霧化するステップと、
前記毛髪を毛髪の流れに逆らう方向に持ち上げて、下にある前記頭皮を露出させるステップと、
前記超音波アトマイザーの超音波振動片を前記頭皮の近くに位置決めするステップと、
前記霧化された水含有化粧品製剤を、前記毛髪の流れに逆らう方向で前記頭皮に噴霧するステップと、
前記毛髪の流れに逆らう方向に前記頭皮をマッサージするステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記霧化された水含有化粧品製剤を、前記毛髪の流れに逆らう方向で前記頭皮に噴霧するステップが、5~20分の範囲の持続時間にわたる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記毛髪の流れに逆らう方向に前記頭皮をマッサージするステップが、5~20分の範囲の持続時間にわたる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記超音波アトマイザーの超音波振動片と、前記頭皮の表面と、の間の最短直線距離を、0.1センチメートル~5センチメートルの範囲に維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水含有化粧品製剤が、0.5mPa・S~1000mPa・Sの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水含有化粧品製剤が、1~99重量%の範囲の含水量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記水含有化粧品製剤が、5重量%のジャーマンカモミール、1重量%のビタミンB5、3重量%の加水分解ケラチン、及び1重量%のグリチルリチン酸ナトリウムから選択される少なくとも1つの成分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記超音波アトマイザーを使用して前記水含有化粧品製剤を霧化するステップにおいて、前記超音波アトマイザーの超音波振動片が、20キロヘルツ~400万ヘルツの周波数で振動する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記超音波振動片が、少なくとも1つの圧電素子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記超音波アトマイザーを使用して水含有化粧品製剤を霧化するステップが、前記水含有化粧品製剤を10ナノメートル~100マイクロメートルの範囲の平均直径を有するミスト液滴に霧化する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
0.5mPa・S~1000mPa・Sの粘度及び1~99重量%の範囲の含水量を有する、頭皮及び毛髪のための水含有化粧品製剤。
【請求項12】
5重量%のジャーマンカモミール、1重量%のビタミンB5、3重量%の加水分解ケラチン、及び1重量%のグリチルリチン酸ナトリウムから選択される少なくとも1つの成分を更に含む、請求項11に記載の頭皮及び毛髪のための水含有化粧品製剤。
【請求項13】
頭皮及び毛髪のための化粧品製品であって、水含有化粧品製剤と、前記水含有化粧品製剤を直径が平均10ナノメートル~100マイクロメートルの微細ミスト液滴に霧化することができる超音波アトマイザーと、を含み、前記水含有化粧品製剤が、0.5mPa・S~1000mPa・Sの粘度及び1~99重量%の範囲の含水量を有する、頭皮及び毛髪のための化粧品製品。
【請求項14】
前記超音波アトマイザーが、20キロヘルツ~400万ヘルツの周波数で振動する少なくとも1つの圧電素子を含む、請求項13に記載の頭皮及び毛髪のための化粧品製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮及び毛髪の美容処理方法、製剤、及び製品に関し、特に、超音波霧化(超音波アトマイズ)技術を使用して霧化することができる水含有化粧品製剤及び製品、並びに頭皮及び毛髪の美容処理のためのその適用に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品又は医薬品をヒトの皮膚に適用する場合、経皮吸収を最適化することによって製品の有効性を最大化することが重要である。しかしながら、自然のバリアとしてのヒトの皮膚の生理学的機能が、皮下組織と環境との間の交換を制限した。皮膚の自然なバリア機能は、主に相互接続された死んだ角膜細胞によってもたらされた。更に、自然に産生される汗及び皮脂は、化粧品成分又は医薬成分が浸透して、真皮、表皮、又は皮下組織などの一次標的組織に到達することを困難にする。したがって、化粧品の分野では、皮膚吸収を高めることが極めて重要な研究課題となっている。
【0003】
ヒト頭皮の毛髪及び皮膚は、身体の他の領域とは著しく異なる。毛髪は、人体上でただ連続的に成長するだけの毛髪であり、その構造は、主に、内側から外側に向かって、髄質、皮質、及びキューティクル層からなる。毛髪体積の70%~80%を構成する皮質は、毛髪の主要構造であり、水と容易に結合するタンパク質繊維から構成される。毛髪中の水分含有量は、その強度及び外観に顕著に影響する。毛髪の鱗とも呼ばれるキューティクル層は、毛包端から先端に向かって成長し、わずかに隆起した外縁を有するタケノコの皮のように重なり合い、通常の条件下で約3マイクロメートルの間隙を形成する。これらの鱗の表面は、内毛を保護し、外部損傷に対するバリアとして作用する天然脂質を含む。洗浄、染色、及び熱処理などの因子は、皮質中の水分含有量を減少させ、毛髪の全体的な健康及び外観に影響を及ぼす。鱗間の間隙が広がると、毛髪はチリチリになる傾向がある。毛髪ケア製品の中で、その色、カールパターン、又は形状を変えることとは別に、毛髪に水分を補給し、毛髪の鱗を滑らかにすることは、多くの場合重要な目的である。
【0004】
頭皮は、人体で毛包の密度が最も高く、毛髪の数は、個人間の遺伝的違い、年齢、及び性別の違いにより、最大10万に達する。これらの毛包は皮脂腺を備えており、多数の汗腺孔と結合すると、正常な生理学的条件下で頭皮に皮脂膜を形成する。皮脂及び汗の連続的な分泌は、細菌又は真菌の増殖環境を提供し、頭皮を、身体の皮膚上で最も高い微生物数を有する領域にする。油及び水分のバランスが、生理学的、病理学的、又は環境的変化によって乱される場合、それは多くの場合、微生物集団の変動をもたらす。これらの微生物からの分泌物は、頭皮の健康及び毛髪成長に更に影響を与える。頭皮の毛包は、身体の他の部分の毛包とは著しく異なる。頭皮の毛包は、典型的には1~4本の毛髪を同時に成長させ、それらの開口部は漏斗形状を形成する。健康な状態では、適切な量の皮脂分泌及びその外側への移動により、微生物が毛包の下部に入るのを防ぐことができる。逆に、過剰又は不十分な皮脂分泌は、開口領域で炎症を引き起こすか、又は毛包に深く浸透する可能性がある。したがって、毛髪の水分を適切に補充すること、又は頭皮細胞の水分補給を増強することにより、頭皮及び毛髪の健康及び審美的魅力を高めることができる。
【0005】
毛包は、それらの正常な生理学的機能に加えて、頭皮を通した化粧品又は医薬品の吸収のための経路としても機能する。約60~70マイクロメートルの大きさの漏斗形状の開口部により、毛包は、汗腺又は皮膚の角質層と比較してより大きな通路を提供する。真皮内のより深部に位置する毛球は、皮下毛細血管系に近接している。したがって、化粧品又は医薬品成分を小型化することによって、これらの活性成分を毛包開口部及び角質層の周囲の間隙を通して導き、皮膚のより深い層への活性成分の送達を容易にし、それによって吸収を増強することが可能である。
【0006】
頭皮又は毛髪に化粧品を適用するとき、重力の影響は、多くの場合製品の流出及び損失につながる。その結果、多くの頭皮及び毛髪ケア製品は、高分子量ポリマーによる上昇した製品粘度の付加によって、それらの接着時間を延長することを目的としている。しかしながら、頭皮表面は滑らかな平面ではなく、それは、孔、毛髪、及び死んだ角質細胞の層によって形成される複雑な三次元構造である。粘度が高いと製剤の表面張力が高くなり、製剤が皮膚構造と接触したとき、間隙の形成をもたらす。これは、実際に接触表面積を増加させない。高粘度化粧品はまた、適用後にクレンジングして、特に最初の適用部位の周りの余分な製品を除去するのが困難である。成分浸透を増強するための他の製剤化方法は、毛髪タンパク質構造又は頭皮角質細胞の完全性のいずれかを物理的又は化学的に改変する組成物を導入し得る。しかしながら、これらの方法は、正常な細胞構造を破壊することを多くの場合必要とし、異なるタイプの生理学的損傷をもたらす。
【0007】
化粧品又は医薬品成分の吸収を増強するための別の研究領域は、液体霧化の技術によるものである。
【0008】
液体霧化は、産業、製造業、農業、医療などの産業を含む様々な分野にわたって広範な用途が見出されている。液体霧化を利用する目的は、これらの領域間で異なり、総液体表面積を増加させ燃焼速度を高めること、表面コーティングプロセスにおける効率を改善すること、噴霧印刷における精度を高めること、植物肥料吸収を高めること、及び薬物送達を促進することなどの目的を包含する。化粧品分野における霧化技術の使用は、医療分野における目的と整合する。両方とも、液体の単位体積を減少させ、総体積を分散させ、表面積を増加させて皮膚接触及び吸収の増強を促進することを目的とする。
【0009】
エネルギー伝達方法によれば、霧化技術は、2つの主要なタイプ:機械的霧化及び超音波霧化に分類することができる。機械的噴霧化は、圧力霧化、二流体霧化及び回転ディスク噴霧のような方法を包含する。様々な領域にわたって広く使用されているにもかかわらず、機械的霧化は、エネルギー消費がより高いこと、エアロゾル粒子のサイズ及び速度を制御するのが困難であることなどの欠点を有する。
【0010】
加圧霧化を使用することは、頭皮及び毛髪に化粧品を噴霧するための既知の方法である。加圧霧化は、適用時間が比較的短いという利点を有する。しかしながら、その噴霧速度は、利点及び欠点の両方となる。ミスト液滴が表面に当たると、高速の到来速度が跳ね返り効果を引き起こし、成分のかなりの部分が空気中に散乱し、成分が頭皮又は毛髪表面上に留まる時間を減少させる。
【0011】
超音波霧化技術は、圧電素子を電気的に制御して1秒間に数百万回に達する周波数で振動させ、液膜上に微細な定在波を発生させ、液体を波面から分離して霧化することを含む。振動周波数、電力、及び液体の物理化学的特性のような因子を調節することによって、この技術は、10マイクロメートル又は更にサブミクロンレベルの平均直径を有するミスト液滴を生成することができる。更に、そのサイズ分布は、機械的霧化と比較してより集中する傾向がある。したがって、薬物送達などの液滴サイズに大きく依存する産業では、超音波霧化が機械的霧化よりも適していることが分かる。
【0012】
超音波霧化を利用して頭皮に化粧料又は医薬品成分を適用することが研究で検討されているが、超音波霧化によって発生したミストは、飛翔速度が遅いため、最終的に重力によって定着する前に空気中に浮遊しやすい。その結果、これらの液滴の堆積位置は、接触面の外形によって影響を受ける。頭皮での実際の実施では、毛幹によって提示される物理的バリアを通って進み、液滴が頭皮の表面上に定着するか、又は好ましくは毛包の開口部に到達することを確保する必要がある。その場合にのみ、より小さくより集中した液滴サイズなどの超音波霧化の利点を十分に活用して、化粧品又は医薬品成分の吸収を増強することができる。
【0013】
毛包開口部の大部分は、皮膚に対して垂直ではなく、毛髪の流れの方向に並んでおり、皮膚表面に対して0~90度の範囲の角度を形成している。したがって、これらの漏斗開口部は特定の向きを有する。更に、塗抹及びマッサージは、頭皮吸収及び皮膚のより深い層への液体製剤の送達を増強することが示されている。
【0014】
現在のところ、超音波霧化によって頭皮に化粧品又は医薬品成分を適用した後、頭皮をマッサージして吸収及び有効性を増強することを含む、美容方法はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、超音波技術を使用して霧化することができる、頭皮及び毛髪に適用可能な水含有化粧品製剤を提供する。これは、頭皮細胞の水分補給を増強し、毛髪の水分を補充し、それによって頭皮及び毛髪の全体的な健康及び審美的外観を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、水含有化粧品製剤は、0.5mPa・S~1000mPa・Sの範囲の粘度及び1~99重量%の含水量を有する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、水含有化粧品製剤は、以下から選択される少なくとも1つの成分を含む:5重量%のジャーマンカモミール、1重量%のビタミンB5、3重量%の加水分解ケラチン、及び1重量%のグリチルリチン酸ナトリウム。
【0018】
一方、本発明は、以下のステップを含む、頭皮及び毛髪のための美容処理方法を提供する:水含有化粧品製剤を超音波アトマイザーに投入するステップ;超音波アトマイザーを使用して水含有化粧品製剤を霧化するステップ;毛髪を持ち上げて、毛髪の流れに逆らう方向に下の頭皮を露出させるステップ;超音波アトマイザーの超音波振動片を頭皮の近くに位置決めするステップ;霧化された水含有化粧品製剤を、毛髪の流れに逆らう方向で頭皮に噴霧するステップ;毛髪の流れに逆らう方向に頭皮をマッサージするステップ。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、頭皮及び毛髪のための美容処理方法は、5~20分の範囲の持続時間にわたって、霧化された水含有化粧品製剤を、毛髪の流れに逆らう方向で頭皮に噴霧することを含む。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、頭皮及び毛髪のための美容処理方法は、5~20分の範囲の持続時間にわたって、毛髪の流れに逆らう方向に頭皮をマッサージすることを含む。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、頭皮及び毛髪のための美容処理方法は、超音波アトマイザーの超音波振動片と、頭皮の表面と、の間の最短直線距離を、0.1センチメートル~5センチメートルの範囲に維持することを含む。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、頭皮及び毛髪のための美容処理方法は、超音波アトマイザーの超音波振動片の振動周波数を、20キロヘルツ~400万ヘルツに設定することを含む。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、頭皮及び毛髪のための美容処理方法は、超音波アトマイザーを利用して、水含有化粧品製剤を、10ナノメートル~100マイクロメートルの範囲の平均直径を有するミスト液滴に霧化することを含む。
【0024】
別の側面では、本発明は、頭皮及び毛髪に適した化粧品製品であって、水含有化粧品製剤と、水含有化粧品製剤を10ナノメートル~100マイクロメートルの範囲の平均直径を有するミスト液滴に霧化するのに適した超音波アトマイザーと、を含む、頭皮及び毛髪に適した化粧品製品を提供する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、超音波アトマイザーは、20キロヘルツ~400万ヘルツの周波数で振動するように電気的に制御された少なくとも1つの圧電素子を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明における頭皮及び毛髪の美容処理方法のステップを示す図である。
【
図2】毛髪の流れの方向及び毛髪の流れに逆らう方向を示す図である。
【
図3】毛髪の流れの方向対毛髪の流れに逆らう方向に噴霧したときの頭皮水分レベルの比較を示す図である。
【
図4】マッサージしない場合と、毛髪の流れに逆らう方向にマッサージする場合と、の間の頭皮水分レベルの比較を示す図である。
【
図5】様々な含水量を有する水含有化粧品製剤を使用した後の頭皮水分レベルの比較を示す図である。
【0027】
重要符号の説明:101-106-頭皮及び毛髪のための美容処理方法におけるプロセスステップ。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下のセクションは、添付の図と併せて本発明の実施形態の詳細な説明を提供する。
【0029】
本発明の一実施形態による頭皮及び毛髪のための美容処理方法のプロセスステップを示す
図1を参照されたい。最初に、ステップ101において、水含有化粧品製剤が得られ、超音波アトマイザーに投入される。水含有化粧品製剤は、含水量が1~99重量%であり、粘度が0.5mPa・S~1000mPa・Sである。この化粧品製剤は、毛髪及び頭皮に様々な効果を提供するための1つ以上の主要な化粧品成分を含んでいてもよく、その効果には保湿、抗菌、油制御、消臭、フケ防止、クレンジング、抗炎症、鎮静、リラックス、修復、発毛、強化、及び脱毛の減少が含まれるがこれらに限定されない。例えば、水含有化粧品製剤は、以下から選択される少なくとも1つの成分を更に含んでもよい。5重量%のジャーマンカモミール、1重量%のビタミンB5、3重量%の加水分解ケラチン、及び1重量%のグリチルリチン酸ナトリウム。本発明で利用される超音波アトマイザーの超音波振動片は、少なくとも1つの圧電素子を含んでいてもよい。更に、本発明の超音波アトマイザーは手持ち式装置であってもよく、それは使用者の利便性を向上させる。次に、ステップ102において、超音波アトマイザーの超音波振動片は、20キロヘルツ~400万ヘルツの周波数で振動するように電気的に制御され、超音波アトマイザーによる水含有化粧品製剤の霧化を容易にし、その結果、10ナノメートル~100マイクロメートルの範囲の平均直径を有するミスト液滴が超音波アトマイザーから放出される。ステップ103において、
図2に示すように、毛髪を毛髪の流れに逆らう方向に持ち上げて、下にある頭皮を露出させる。続いて、ステップ104において、超音波アトマイザーを露出した頭皮に近づけ、その超音波振動片を頭皮の近くに位置決めし、例えば、超音波振動片と頭皮との間の最短直線距離を、0.1センチメートル~5センチメートルにする。これに続いて、ステップ105において、霧化された水含有化粧品製剤を、5~20分、好ましくは5分の最適な噴霧持続時間で、毛髪の流れに逆らう方向で頭皮に噴霧する。最後に、ステップ106において、5~20分、好ましくは5分の最適な持続時間にわたって、毛髪の流れに逆らう方向に頭皮をマッサージする。
【0030】
本発明による頭皮及び毛髪のための美容処理方法は、
図1に示した順序に限定されない。ステップ102及び103は、ステップ104の前に実施することができる。
【0031】
本発明の水含有化粧品製剤の特徴は、その超音波霧化技術が10ナノメートル~100マイクロメートルの範囲の平均直径を有する微細ミスト液滴を形成することを可能にするものであり、それによって皮膚/頭皮吸収を容易にする。
図3は、本発明の超音波ミスト噴霧器を適用し、毛髪の流れの方向及び反対方向(すなわち、毛髪の流れに逆らう)の両方に霧化された水含有化粧品製剤を噴霧した後の、頭皮水分レベルの比較を示す。
図3から、本発明の超音波噴霧器によって霧化された水含有化粧品製剤を毛髪の流れに逆らって5分噴霧した後、頭皮の水分レベルが75%を超えることが観察され得る。しかしながら、毛髪の流れの方向で噴霧された場合、5分後の頭皮の水分レベルは約48%である。
【0032】
図4は、頭皮マッサージを行った場合及び行わなかった場合の、本発明の霧化された水含有化粧品製剤を頭皮に適用した後の、頭皮水分レベルの比較を示す。
図4から、本発明の霧化された水含有化粧品製剤を適用した後、5分、10分、又は20分にわたって頭皮をマッサージすると、頭皮をマッサージしない場合と比較して頭皮水分が約10%増加することが明らかである。
【0033】
図3及び
図4からの試験結果によれば、本発明によって提供される水含有化粧品製剤を、超音波霧化技術を用いて、皮膚吸収を促進する微細ミスト液滴に霧化することができる。更に、本発明によって導入される頭皮及び毛髪のための美容処理方法は、頭皮及び毛髪の両方の保湿性を効果的に増強する。
【0034】
図5は、本発明によって提供される超音波霧化技術によって霧化された、様々な含水量レベルを有する、異なる水含有化粧品製剤を噴霧した後の、頭皮に対する保湿効果の比較を示す。
図5から、これらの異なる水含有化粧品製剤を、5分、10分、又は20分にわたって頭皮に噴霧すると、適用前と比較して頭皮水分が10%~50%増加することが明らかである。特に、超音波霧化された水系化粧品製剤を頭皮に5分にわたって噴霧した場合に最も良好な効果が観察され、適用前と比較して頭皮水分が顕著に40%~50%増加した。
【0035】
一方、本発明は、頭皮及び毛髪に適した化粧品製品も提供する。それは、本発明によって提供される水含有化粧品製剤の、該製剤を直径が平均10ナノメートル~100マイクロメートルの微細ミスト液滴に霧化することができる超音波アトマイザーへのパッケージングを伴う。本発明の化粧品製品は、手持ち式超音波アトマイザー内で、直径が平均10ナノメートル~100マイクロメートルの微細ミスト液滴に霧化するのに適するように設計された、水含有化粧品製剤のパッケージングを包含し得る。
【0036】
上記の実施形態に基づいて、本発明によって提供される水含有化粧品製剤は、超音波技術を使用して霧化され、頭皮及び毛髪に適用され得ることが実証される。頭皮及び毛髪の美容処理処理のために本方法を利用することは、実際に、頭皮細胞の水分補給を増強し、毛髪の水分を補充し、それによって頭皮及び毛髪の健康及び審美性を改善する。
【国際調査報告】