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特表2024-531385埋め込み型減衰デバイスと状態を治療するための治療剤とを含む併用療法、並びに関連システム及び使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】埋め込み型減衰デバイスと状態を治療するための治療剤とを含む併用療法、並びに関連システム及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20240822BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/65 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61F2/07
A61P25/28
A61K31/137
A61K31/397
A61K31/4245
A61K31/426
A61K31/65
A61K31/573
A61K31/506
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510310
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 AU2022050928
(87)【国際公開番号】W WO2023019320
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/235,506
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518047654
【氏名又は名称】ザ ブレイン プロテクション カンパニー ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】セレルマイヤー, デイビッド スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ミリヤシェヴィッチ, ゾラン
(72)【発明者】
【氏名】ウジャジー, アンソニー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】カーネギー, マーク
(72)【発明者】
【氏名】レビン, レイチェル アシュリー
【テーマコード(参考)】
4C086
4C097
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086BC02
4C086BC71
4C086BC82
4C086DA10
4C086DA29
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA05
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZB21
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC75
4C097AA15
4C097BB01
4C097BB08
4C097CC01
4C097DD10
4C097EE08
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA23
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZA02
4C206ZA16
(57)【要約】
埋め込み型減衰デバイス及び治療剤を用いた状態の併用治療のためのデバイス、システム、及び方法が本明細書に開示される。神経学的状態などの状態の1つ以上の影響を治療するための方法は、患者に、埋め込み型減衰デバイス及び状態を治療する治療剤などの少なくとも1つの他の療法を提供することを含む。埋め込み型減衰デバイスは、可撓性減衰部材及び軽減物質を含み、血管と並置して設置することができる。可撓性減衰部材は、内面及び外面を有する略管状構造を形成し、この内面は、部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている。軽減物質は、部分的に変形可能な部分内に配置され、拍動血流に応じて部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
前記状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
血管と並置して設置されるように構成されている、デバイスを提供することであって、前記デバイスが、
内面であって、前記内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
前記側壁の前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、前記血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備える、提供することと、
前記状態の1つ以上の影響を治療する又は遅延させる療法であって、前記療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、療法を前記デバイスと組み合わせて提供することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記療法が、前記対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、前記対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、炎症を軽減する、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの調節不全/損傷及び/若しくは死を予防する、血液脳関門の調節不全及び/若しくは損傷を予防する、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記療法が、前記療法を必要とする前記対象に前記療法を投与することによって提供される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記状態が神経変性である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、前記展開状態にあるとき、前記側壁が略管状である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記軽減物質が、前記血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ前記血管内の前記血圧/脈圧又は前記脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記血管と並置して位置付けられ、かつ脈波が前記血管を伝わると、前記可撓性減衰部材が前記管状構造の長さに沿った第1の位置に応力を加える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が前記管状構造の長さに沿って長手方向及び/又は半径方向に移動する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が、前記可撓性減衰部材の第1の変形可能な部分内の第1の位置から前記第1の変形可能な部分内の第2の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が、前記第1の位置から前記可撓性減衰部材の第2の変形可能な部分内の第3の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように更に構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記可撓性減衰部材が、前記血管の壁の周囲の少なくとも一部の周りに位置付けられるように更に構成されており、前記血管を伝わる脈波が前記減衰部材の第1の領域に応力を加え、前記軽減物質の少なくとも一部が前記第1の領域から離れて前記減衰部材の第2の領域に移動し、これにより、前記減衰部材が前記脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、前記デバイスの遠位の前記血管壁に対する前記応力を減少させるようになる、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記デバイスが、前記血管の管腔内で展開されるように更に構成されており、これにより、固着部材の外面が前記血管壁の管腔と並置し、かつ前記側壁の前記外面が前記血管腔を通って流れる血液と接触するようになる、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記デバイスが前記血管腔内で展開され、かつ前記血管を伝わる脈波が前記減衰部材の第3の位置に応力を加えると、前記軽減物質の少なくとも一部が前記第3の位置から離れて前記減衰部材の第4の位置に移動し、これにより、前記減衰部材が前記脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、前記デバイスの遠位の前記血管壁に対する前記応力を減少させるようになる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
前記状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、血管と並置して設置されるように構成されている、デバイスを提供することを含み、前記デバイスが、
内面であって、前記内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
前記側壁の前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、前記血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備え、
前記状態の1つ以上の影響を治療する又は遅延させる療法が、それを必要とする前記対象に以前に提供されており、前記療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、方法。
【請求項23】
前記EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、請求項37に記載の方法。
【請求項24】
前記MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、請求項37に記載の方法。
【請求項25】
前記老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、請求項37に記載の方法。
【請求項26】
前記療法が、前記対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、前記対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、炎症を軽減する、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの調節不全/損傷及び/若しくは死を予防する、血液脳関門の調節不全及び/若しくは損傷を予防する、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、請求項2237~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記療法が、前記療法を必要とする前記対象に前記療法を投与することによって提供される、請求項22~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記状態が神経変性である、請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、前記展開状態にあるとき、前記側壁が略管状である、請求項22~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記軽減物質が、前記血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ前記血管内の前記血圧/脈圧又は前記脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、請求項22~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記血管と並置して位置付けられ、かつ脈波が前記血管を伝わると、前記可撓性減衰部材が前記管状構造の長さに沿った第1の位置に応力を加える、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が前記管状構造の長さに沿って長手方向及び/又は半径方向に移動する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が、前記可撓性減衰部材の第1の変形可能な部分内の第1の位置から前記第1の変形可能な部分内の第2の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が、前記第1の位置から前記可撓性減衰部材の第2の変形可能な部分内の第3の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように更に構成されている、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、請求項22~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記可撓性減衰部材が、前記血管の壁の周囲の少なくとも一部の周りに位置付けられるように更に構成されており、前記血管を伝わる脈波が前記減衰部材の第1の領域に応力を加え、前記軽減物質の少なくとも一部が前記第1の領域から離れて前記減衰部材の第2の領域に移動し、これにより、前記減衰部材が前記脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、前記デバイスの遠位の前記血管壁に対する前記応力を減少させるようになる、請求項22~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記デバイスが、前記血管の管腔内で展開されるように更に構成されており、これにより、固着部材の外面が前記血管壁の管腔と並置し、かつ前記側壁の前記外面が前記血管腔を通って流れる血液と接触するようになる、請求項22~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記デバイスが前記血管腔内で展開され、かつ前記血管を伝わる脈波が前記減衰部材の第3の位置に応力を加えると、前記軽減物質の少なくとも一部が前記第3の位置から離れて前記減衰部材の第4の位置に移動し、これにより、前記減衰部材が前記脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、前記デバイスの遠位の前記血管壁に対する前記応力を減少させるようになる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
前記状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法を、それを必要とする前記対象であって、前記対象が、前記状態の1つ以上の影響を治療し又は遅延させ、かつ血管と並置して設置されたデバイスを以前に提供されている、前記対象に提供することを含み、前記デバイスが、
内面であって、前記内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
前記側壁の前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、前記血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備え、
前記療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、方法。
【請求項44】
前記EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記療法が、前記対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、前記対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、炎症を軽減する、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの調節不全/損傷及び/若しくは死を予防する、血液脳関門の調節不全及び/若しくは損傷を予防する、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、請求項43~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、請求項43~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、請求項43~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、請求項43~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記療法が、前記療法を必要とする前記対象に前記療法を投与することによって提供される、請求項43~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記状態が神経変性である、請求項43~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、前記展開状態にあるとき、前記側壁が略管状である、請求項43~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記軽減物質が、前記血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ前記血管内の前記血圧/脈圧又は前記脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、請求項43~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記血管と並置して位置付けられ、かつ脈波が前記血管を伝わると、前記可撓性減衰部材が前記管状構造の長さに沿った第1の位置に応力を加える、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が前記管状構造の長さに沿って長手方向及び/又は半径方向に移動する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が、前記可撓性減衰部材の第1の変形可能な部分内の第1の位置から前記第1の変形可能な部分内の第2の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が、前記第1の位置から前記可撓性減衰部材の第2の変形可能な部分内の第3の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように更に構成されている、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、請求項43~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記可撓性減衰部材が、前記血管の壁の周囲の少なくとも一部の周りに位置付けられるように更に構成されており、前記血管を伝わる脈波が前記減衰部材の第1の領域に応力を加え、前記軽減物質の少なくとも一部が前記第1の領域から離れて前記減衰部材の第2の領域に移動し、これにより、前記減衰部材が前記脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、前記デバイスの遠位の前記血管壁に対する前記応力を減少させるようになる、請求項43~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記デバイスが、前記血管の管腔内で展開されるように更に構成されており、これにより、固着部材の外面が前記血管壁の管腔と並置し、かつ前記側壁の前記外面が前記血管腔を通って流れる血液と接触するようになる、請求項43~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記デバイスが前記血管腔内で展開され、かつ前記血管を伝わる脈波が前記減衰部材の第3の位置に応力を加えると、前記軽減物質の少なくとも一部が前記第3の位置から離れて前記減衰部材の第4の位置に移動し、これにより、前記減衰部材が前記脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、前記デバイスの遠位の前記血管壁に対する前記応力を減少させるようになる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのシステムであって、
前記状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法の有効量と、
前記状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスと、を備え、
前記デバイスが、
内面であって、前記内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
前記側壁の前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、前記血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備え、
前記療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、システム。
【請求項65】
前記EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、請求項64に記載のシステム。
【請求項67】
前記老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、請求項64に記載のシステム。
【請求項68】
前記療法が、前記対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、前記対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、炎症を軽減する、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの調節不全/損傷及び/若しくは死を予防する、血液脳関門の調節不全及び/若しくは損傷を予防する、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、請求項64~127のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項69】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、請求項64~67のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項70】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、請求項64~69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、請求項64~70のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項72】
前記療法が、前記療法を必要とする前記対象に前記療法を投与することによって提供される、請求項64~71のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項73】
前記状態が神経変性である、請求項64~72のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項74】
神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、請求項73に記載のシステム。
【請求項75】
前記内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、請求項64~74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
前記デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、前記展開状態にあるとき、前記側壁が略管状である、請求項64~75のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項77】
前記軽減物質が、前記血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ前記血管内の前記血圧/脈圧又は前記脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、請求項64~76のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項78】
前記血管と並置して位置付けられ、かつ脈波が前記血管を伝わると、前記可撓性減衰部材が前記管状構造の長さに沿った第1の位置に応力を加える、請求項77に記載のシステム。
【請求項79】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が前記管状構造の長さに沿って長手方向及び/又は半径方向に移動する、請求項78に記載のシステム。
【請求項80】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が、前記可撓性減衰部材の第1の変形可能な部分内の第1の位置から前記第1の変形可能な部分内の第2の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、請求項78に記載のシステム。
【請求項81】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が、前記第1の位置から前記可撓性減衰部材の第2の変形可能な部分内の第3の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように更に構成されている、請求項78に記載のシステム。
【請求項82】
前記可撓性減衰部材が、前記血管の壁の周囲の少なくとも一部の周りに位置付けられるように更に構成されており、前記血管を伝わる脈波が前記減衰部材の第1の領域に応力を加え、前記軽減物質の少なくとも一部が前記第1の領域から離れて前記減衰部材の第2の領域に移動し、これにより、前記減衰部材が前記脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、前記デバイスの遠位の前記血管壁に対する前記応力を減少させるようになる、請求項64~81のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項83】
前記デバイスが、前記血管の管腔内で展開されるように更に構成されており、これにより、固着部材の外面が前記血管壁の管腔と並置し、かつ前記側壁の前記外面が前記血管腔を通って流れる血液と接触するようになる、請求項64~82のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項84】
前記デバイスが前記血管腔内で展開され、かつ前記血管を伝わる脈波が前記減衰部材の第3の位置に応力を加えると、前記軽減物質の少なくとも一部が前記第3の位置から離れて前記減衰部材の第4の位置に移動し、これにより、前記減衰部材が前記脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、前記デバイスの遠位の前記血管壁に対する前記応力を減少させるようになる、請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのシステムであって、
前記状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法であって、前記療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、療法の有効量と、
前記状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスと、を備え、
前記デバイスが、
内面であって、前記内面が、前記血管内の拍動血流に応じて1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成された前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
前記側壁の前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、前記血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備え、
前記状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための前記療法の前記有効量が、前記デバイスの前記少なくとも部分的に変形可能な部分のうちの又はそれ以上によって運ばれ、
前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分が少なくとも部分的に変形すると、前記状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法の前記有効量が前記デバイスから放出される、システム。
【請求項86】
前記療法の前記有効量が、前記療法の第1の有効量及び前記療法の第2の有効量を更に含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項87】
前記療法の前記第2の有効量が前記療法の前記第1の有効量よりも多い、請求項146に記載のシステム。
【請求項88】
前記血管内の第1の拍動血流に応じて、前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分が第1の変形度まで少なくとも部分的に変形する、請求項85に記載のシステム。
【請求項89】
前記血管内の第2の拍動血流に応じて、前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分が第2の変形度まで少なくとも部分的に変形する、請求項88に記載のシステム。
【請求項90】
前記第2の変形度が前記第1の変形度よりも大きい、請求項89に記載のシステム。
【請求項91】
前記第1の変形度に応じて、前記療法の前記第1の有効量が前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分から放出される、請求項90に記載のシステム。
【請求項92】
前記第2の変形度に応じて、前記療法の前記第2の有効量が前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分から放出される、請求項90に記載のシステム。
【請求項93】
前記EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、請求項85に記載のシステム。
【請求項94】
前記MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、請求項85に記載のシステム。
【請求項95】
前記老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、請求項85に記載のシステム。
【請求項96】
前記療法が、前記対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、前記対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、炎症を軽減する、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの調節不全/損傷及び/若しくは死を予防する、血液脳関門の調節不全及び/若しくは損傷を予防する、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、請求項85及び93~95のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項97】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、請求項85~96のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項98】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、請求項85~97のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項99】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、請求項85~98のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項100】
前記療法が、前記療法を必要とする前記対象に前記療法を投与することによって提供される、請求項85~99のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項101】
前記状態が神経変性である、請求項85~100のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項102】
神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、請求項101に記載のシステム。
【請求項103】
前記内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、請求項85~102のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項104】
前記デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、前記展開状態にあるとき、前記側壁が略管状である、請求項85~103のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項105】
前記軽減物質が、前記血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ前記血管内の前記血圧/脈圧又は前記脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、請求項85~104のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項106】
前記血管と並置して位置付けられ、かつ脈波が前記血管を伝わると、前記可撓性減衰部材が前記管状構造の長さに沿った第1の位置に応力を加える、請求項105に記載のシステム。
【請求項107】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が前記管状構造の長さに沿って長手方向及び/又は半径方向に移動する、請求項106に記載のシステム。
【請求項108】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が、前記可撓性減衰部材の第1の変形可能な部分内の第1の位置から前記第1の変形可能な部分内の第2の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、請求項106に記載のシステム。
【請求項109】
前記第1の位置に応力が加えられた後、前記軽減物質の少なくとも一部が、前記第1の位置から前記可撓性減衰部材の第2の変形可能な部分内の第3の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように更に構成されている、請求項106に記載のシステム。
【請求項110】
前記可撓性減衰部材が、前記血管の壁の周囲の少なくとも一部の周りに位置付けられるように更に構成されており、前記血管を伝わる脈波が前記減衰部材の第1の領域に応力を加え、前記軽減物質の少なくとも一部が前記第1の領域から離れて前記減衰部材の第2の領域に移動し、これにより、前記減衰部材が前記脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、前記デバイスの遠位の前記血管壁に対する前記応力を減少させるようになる、請求項85~109のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項111】
前記デバイスが、前記血管の管腔内で展開されるように更に構成されており、これにより、固着部材の外面が前記血管壁の管腔と並置し、かつ前記側壁の前記外面が前記血管腔を通って流れる血液と接触するようになる、請求項85~110のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項112】
前記デバイスが前記血管腔内で展開され、かつ前記血管を伝わる脈波が前記減衰部材の第3の位置に応力を加えると、前記軽減物質の少なくとも一部が前記第3の位置から離れて前記減衰部材の第4の位置に移動し、これにより、前記減衰部材が前記脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、前記デバイスの遠位の前記血管壁に対する前記応力を減少させるようになる、請求項111に記載のシステム。
【請求項113】
状態を有する患者を治療するための方法であって、
(a)前記患者が、脈圧上昇若しくは脈波強度/FCWI上昇を有し、かつ微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの既往歴を有するかを、
(i)前記患者が、前記脈圧上昇若しくは前記脈波強度/FCWI上昇を有し、かつ微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状を以前に有したことがあること、及び/又は微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断されたこと、を示す情報を取得すること若しくは取得されたことがあること、並びに/又は
(ii)前記対象を、前記脈圧上昇、及び微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状について監視すること若しくは監視されたことがあること、によって決定すること若しくは決定されたことがあることと、
(b)前記患者が、微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状を以前に有したことがある場合、前記患者が、微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断された場合、及び/又は微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状が監視された場合、
(i)前記患者に、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせを提供することと、
(ii)前記状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスを提供することであって、
前記デバイスが、
内面であって、前記内面が、前記血管内の拍動血流に応じて1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成された前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
前記側壁の前記1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、前記血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備える、提供することと、
(c)前記患者が、微小出血、APOE4発現、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状を有したことがない場合、前記患者が、微小出血、APOE4発現、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断されなかった場合、前記状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための前記デバイスを提供することと、を含む、方法。
【請求項114】
前記脈圧上昇が少なくとも50mmHgの脈圧である、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇(b)が、(c)における前記レベルよりも少なくとも約5%高いレベルである、請求項113又は請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記少なくとも1つのサイトカインが、VCAM-1、ICAM-1、TNFα、TGF-β、IL-6、IL-8、IL-1β、IL-12、及びNF-κBからなる群から選択される、請求項113~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、請求項113に記載の方法。
【請求項118】
前記MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、請求項113に記載の方法。
【請求項119】
前記老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、請求項113に記載の方法。
【請求項120】
前記療法が、前記対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、前記対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、炎症を軽減する、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの損傷及び/若しくは死を予防する、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、請求項113~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、請求項113~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、請求項113~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記療法が、前記デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、請求項113~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記療法が、前記療法を必要とする前記対象に前記療法を投与することによって提供される、請求項113~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
工程(b)が、工程(a)の後かつ工程(c)の前に行われる、請求項113~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
工程(c)が、工程(a)の後かつ工程(b)の前に行われる、請求項113~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記状態が神経変性である、請求項113~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、請求項113~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、前記展開状態にあるとき、前記側壁が略管状である、請求項113~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記軽減物質が、前記血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ前記血管内の前記血圧/脈圧又は前記脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、請求項113~130のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2021年8月20日に出願された米国特許出願第63/235506号、表題「COMBINATORIAL THERAPIES INCLUDING IMPLANTABLE DAMPING DEVICES AND THERAPEUTIC AGENTS FOR TREATING A CONDITION AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS OF USE」に対する優先権を主張する。
【0002】
本技術は、埋め込み型減衰デバイスと状態(例えば、認知症などの神経変性状態)を治療するための治療剤とを含む併用療法、並びに関連システム及び使用方法に関する。具体的には、本技術は、動脈の少なくとも一部に、その近くに、その中に、その周りに、又はその代わりに位置付けるための埋め込み型減衰デバイスと、状態を治療するための、1つ以上の治療剤(例えば、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、及び老化細胞除去剤)とを含む併用療法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
本明細書にわたる先行技術のいかなる考察も、かかる先行技術が広く知られているか、又は当該分野における共通の一般知識の一部を形成することを認めるものと決してみなされるべきではない。
【0004】
心臓は、体内の最も大きい動脈、すなわち、大動脈から始まる相互接続された分岐動脈の網を介して、酸素化された血液を身体に供給する。図1Aの心臓及び選択された動脈の概略図に示されるように、心臓に最も近い大動脈の部分は、3つの領域、すなわち、上行大動脈(大動脈が最初に心臓を離れ、上方向に延びている)、大動脈弓、及び下行大動脈(大動脈が下方向に延びている)に分けられる。3つの主要な動脈である腕頭動脈、左総頸動脈、及び左鎖骨下動脈が、大動脈弓に沿って大動脈から分岐する。腕頭動脈は、大動脈弓から離れて延びており、その後、頭部及び頸部に酸素化された血液を供給する右総頸動脈と、主に右腕に血液を供給する右鎖骨下動脈とに分かれる。左総頸動脈は、大動脈弓から離れて延びており、頭部及び頸部に供給する。左鎖骨下動脈は、大動脈弓から離れて延びており、主に左腕に血液を供給する。その後、右総頸動脈及び左総頸動脈は各々、別個の内頸動脈及び外頸動脈に分岐する。
【0005】
心拍の収縮期段階中、左心室の収縮は、血液を上行大動脈に押し込み、動脈内の圧力を上昇させる(収縮期血圧として知られている)。左心室から排出された血液量は、脈波として知られている圧力波を作り出し、これが動脈を通って伝播して血液を推進する。図1Bに概略的に示されるように、脈波は、動脈を拡張させる。左心室が弛緩すると(心拍の拡張期段階)、動脈系内の圧力が低下し(拡張期血圧として知られている)、動脈を収縮させる。
【0006】
収縮期血圧と拡張期血圧との間の差が「脈圧」であり、これは、一般に、他の要因の中でも、心臓によって生じる収縮力の大きさ、心拍数、末梢血管抵抗、及び拡張期「ランオフ」(例えば、動脈から静脈までの圧力勾配で流れる血流)によって決定される。脳などの高流量器官は、過度の圧力及び流量拍動性に特に敏感である。かかる敏感な器官への比較的一貫した流量を確保するために、動脈血管の壁が圧力波に応じて拡張及び収縮して、脈波エネルギーの一部を吸収する。しかしながら、血管系が老化するにつれて、動脈壁が弾性を失い、動脈血管系を通る脈波速度及び波反射の増加を引き起こす。動脈硬化は、拡張して血流拍動を減衰させる頸動脈及び他の大動脈の能力を損ない、その結果、収縮期圧及び脈圧が上昇する。したがって、動脈壁が経時的に硬化するにつれて、動脈が過剰な力を動脈血管系の遠位分岐に伝達する。
【0007】
研究は、一貫して高い収縮期圧、脈圧、及び/又は経時的圧力変化(dP/dt)が、血管性認知症(例えば、脳への血液供給障害又は脳内出血)などの認知症のリスクを高めることを示唆している。理論に拘束されることなく、高い脈圧が血管性認知症及び加齢性認知症(例えば、アルツハイマー病)の根本原因又は増悪因子である可能性があると考えられる。したがって、血管性認知症及び加齢性認知症(例えば、アルツハイマー病)の進行は、動脈壁における弾性の喪失及び結果として生じる脳血管への応力の影響を受ける場合もある。例えば、アルツハイマー病は、一般に、脳内の老人斑及びタングルの存在に関連している。最近の研究は、脈圧上昇、収縮期圧上昇、及び/又は圧力変化率(dP/dt)増加が、経時的に、老人斑及びタングルに寄与し得る脳内の微小出血を引き起こす可能性があることを示唆している。
【0008】
2050年までに、世界的に85人に少なくとも1人がアルツハイマー病を抱えて生活するであろうと推定されており、8倍超の人々が前臨床症状を示している。認知症などの神経学的状態を予防する又はその発症を遅らせる又はその進行を遅延させる更なる疾患修飾療法が開発されており、現在も開発中である。2020年3月現在、世界人口が高齢化するにつれてますます一般的になりつつあるいくつかの神経学的状態のうちの1つであるアルツハイマー病の治療のための2272の臨床試験及び/又は他の関連試験が進行中である。これらの臨床試験において試験を受けている治療剤が、記憶、行動、認知を改善し、かつ/又はアルツハイマー病の神経精神病学的症状を軽減し得る一方で、これらの治療剤の有効性、安全性、及び耐容性を試験する追加の研究、並びに/又は追加の治療剤の使用が必要とされている。したがって、血管性及び/又は加齢性認知症を治療するための改善されたデバイス、システム、及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、血管と並置して設置されるように構成されている、デバイスを提供することであって、当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備える、提供することと、
当該状態の1つ以上の影響を治療する又は遅延させる療法であって、当該療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、療法を当該デバイスと組み合わせて提供することと、を含む、方法が提供される。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、血管と並置して設置されるように構成されている、デバイスを提供することであって、当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備える、提供することと、
当該状態の1つ以上の影響を治療する又は遅延させる療法であって、当該療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、療法を当該デバイスと組み合わせて提供することと、を含む、方法が提供される。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法を、それを必要とする当該対象であって、当該対象が、当該状態の1つ以上の影響を治療し又は遅延させ、かつ血管と並置して設置されたデバイスを以前に提供されている、当該対象に提供することを含み、当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備え、
当該療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、方法が提供される。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのシステムであって、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法の有効量と、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスと、を備え、当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備え、
当該療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、システムが提供される。
【0013】
本発明の第5の態様によれば、状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのシステムであって、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法であって、当該療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、療法の有効量と、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスと、を備え、当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、当該血管内の拍動血流に応じて1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成された当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備え、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための当該療法の当該有効量が、当該デバイスの当該少なくとも部分的に変形可能な部分のうちの又はそれ以上によって運ばれ、
当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分が少なくとも部分的に変形すると、当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法の当該有効量が当該デバイスから放出される、システムが提供される。
【0014】
本発明の第6の態様によれば、状態を有する患者を治療するための方法であって、
(a)当該患者が、脈圧上昇若しくは脈波強度/FCWI上昇を有し、かつ微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの既往歴を有するかを、
(i)当該患者が、当該脈圧上昇若しくは当該脈波強度/FCWI上昇を有し、かつ微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状を以前に有したことがあること、及び/又は微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断されたこと、を示す情報を取得すること若しくは取得されたことがあること、並びに/又は
(ii)当該対象を、当該脈圧上昇、及び微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状について監視すること若しくは監視されたことがあること、によって決定すること若しくは決定されたことがあることと、
(b)当該患者が、微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状を以前に有したことがある場合、当該患者が、微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断された場合、及び/又は微小出血、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状が監視された場合、
(i)当該患者に、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせを提供することと、
(ii)当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスを提供することであって、当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、当該血管内の拍動血流に応じて1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成された当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備える、提供することと、
(c)当該患者が、微小出血、APOE4発現、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状を有したことがない場合、当該患者が、微小出血、APOE4発現、血液脳関門機能障害若しくは透過性、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断されなかった場合、当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための当該デバイスを提供することと、を含む、方法が提供される。
【0015】
本発明の目的は、先行技術の不利点のうちの少なくとも1つを克服若しくは改善すること、又は有用な代替物を提供することである。
【0016】
文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、本明細書及び特許請求の範囲を通して、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」などの単語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味で、すなわち、「含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照することでよりよく理解することができる。図面中の構成要素は必ずしも縮尺通りではない。むしろ、本開示の原理を明確に例示することに重点が置かれている。
【0018】
図1A図1Aは、ヒトの心臓及び心臓近くの動脈系の一部の概略図である。
【0019】
図1B図1Bは、血管に沿って伝播する脈波の概略図である。
【0020】
図2A図2Aは、展開弛緩状態で示される、本技術による減衰デバイスの正面図である。
【0021】
図2B図2Bは、図2Aに示される減衰デバイスの正面断面図である。
【0022】
図2C図2Cは、血管内に位置付けられた展開状態で示される、図2Aに示される減衰デバイスの正面断面図である。
【0023】
図2D図2Dは、展開弛緩状態で示される、本技術による減衰デバイスの別の実施形態の正面断面図である。
【0024】
図2E図2E~2Gは、全て展開弛緩状態で示される、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の正面断面図である。
図2F図2E~2Gは、全て展開弛緩状態で示される、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の正面断面図である。
図2G図2E~2Gは、全て展開弛緩状態で示される、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の正面断面図である。
【0025】
図3A図3Aは、展開弛緩状態で示される、本技術による減衰デバイスの別の実施形態の正面断面図である。
【0026】
図3B図3B~3Dは、全て展開弛緩状態で示される、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の正面断面図である。
図3C図3B~3Dは、全て展開弛緩状態で示される、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の正面断面図である。
図3D図3B~3Dは、全て展開弛緩状態で示される、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の正面断面図である。
【0027】
図4A図4Aは、展開弛緩状態で示される、本技術の別の実施形態による減衰デバイスの正面図である。
【0028】
図4B図4Bは、図4Aに示される減衰デバイスの正面断面図である。
【0029】
図4C図4Cは、血管内に位置付けられた展開状態で示される、図4Aに示される減衰デバイスの正面断面図である。
【0030】
図4D図4Dは、脈波に応じた減衰部材の変形(破線)を示す、本技術による減衰部材の一部の正面断面図である。
【0031】
図4E図4Eは、脈波に応じた減衰部材の変形(破線)を示す、本技術による別の減衰部材の一部の正面断面図である。
【0032】
図5図5~7は、本技術による減衰デバイスのいくつかの実施形態の正面断面図である。
図6図5~7は、本技術による減衰デバイスのいくつかの実施形態の正面断面図である。
図7図5~7は、本技術による減衰デバイスのいくつかの実施形態の正面断面図である。
【0033】
図8A図8A~8Eは、本技術による減衰デバイスを動脈に送達する方法を示す。
図8B図8A~8Eは、本技術による減衰デバイスを動脈に送達する方法を示す。
図8C図8A~8Eは、本技術による減衰デバイスを動脈に送達する方法を示す。
図8D図8A~8Eは、本技術による減衰デバイスを動脈に送達する方法を示す。
図8E図8A~8Eは、本技術による減衰デバイスを動脈に送達する方法を示す。
【0034】
図9A図9A~9Fは、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の概略断面図である。
図9B図9A~9Fは、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の概略断面図である。
図9C図9A~9Fは、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の概略断面図である。
図9D図9A~9Fは、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の概略断面図である。
図9E図9A~9Fは、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の概略断面図である。
図9F図9A~9Fは、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の概略断面図である。
【0035】
図10図10および11は、切除された血管に又はその近くに位置付けられた状態で示される、本技術による減衰デバイスの実施形態の正面断面図である。
図11図10および11は、切除された血管に又はその近くに位置付けられた状態で示される、本技術による減衰デバイスの実施形態の正面断面図である。
【0036】
図12A図12Aは、展開弛緩状態で血管の周りに位置付けられた状態で示される、本技術による螺旋状減衰デバイスの正面図である。
【0037】
図12B図12Bは、脈圧波が血管を伝わるときの、血管の周りに位置付けられた状態で示される、(図12Aの線12B-12Bに沿って切り取られた)図12Aの減衰デバイスの断面図である。
【0038】
図13図13および14は、各々血管の周りに位置付けられた状態で示される、本技術による巻き付けられた減衰デバイスの異なる実施形態を示す。
図14図13および14は、各々血管の周りに位置付けられた状態で示される、本技術による巻き付けられた減衰デバイスの異なる実施形態を示す。
【0039】
図15図15は、本技術による減衰デバイスの別の実施形態の断面図である。
【0040】
図16A図16Aは、本技術による減衰デバイスの別の実施形態の斜視図である。
【0041】
図16B図16Bは、線16B-16Bに沿って切り取られた、図16Aに示される減衰デバイスの断面図である。
【0042】
図17A図17Aは、本技術による減衰デバイスの別の実施形態の斜視図である。
【0043】
図17B図17Bは、図17Aに示される減衰デバイスの断面図である。
【0044】
図18A図18Aは、本技術による減衰デバイスの別の実施形態の斜視図である。
【0045】
図18B図18Bは、血管の周りに位置付けられた展開状態で示される、図18Aに示される減衰デバイスの正面図である。
【0046】
図19A図19Aは、巻き付けられていない状態で示される、本技術の別の実施形態による減衰デバイスの斜視図である。
【0047】
図19B図19Bは、巻き付けられていない状態で示される、図19Aに示された減衰デバイスの上面図である。
【0048】
図20図20は、本技術による方法を説明する流れ図である。
【0049】
図21図21は、いくつかの実施形態による、TAC手術の1週間前(W-1)からTAC手術の6週間後(W6)までの週間隔での体重を示すグラフである。データは、平均値±平均値の標準誤差である(:単純縫合糸と比較してp<0.05、対応のないt検定による)。
【0050】
図22A図22Aは、いくつかの実施形態による、単純縫合糸を受けたマウスにおけるピーク速度を評価する心エコー図データを示すグラフである。
【0051】
図22B図22Bは、いくつかの実施形態による、吸収性縫合糸を受けたマウスにおけるピーク速度を評価する心エコー図データを示すグラフである。
【0052】
図23図23は、いくつかの実施形態による、処理なしの吸収性縫合糸を用いたマウスと単純縫合糸を用いたマウスを比較したY迷路の変化%を示すドットプロットである。以下の式によるY迷路の3つのアーム内の交替行動数の測定:交替行動率%=(総交替行動数/(総エントリー数-2)×100)。吸収性縫合糸群は、61.63(標準偏差=13.25、平均値の標準誤差(SEM)=3.675、n=13)の平均変化%を有し、単純縫合糸群は、68.39(標準偏差=10.44、平均値の標準誤差=2.395、n=19)の平均変化%を有した。
【0053】
図24図24は、いくつかの実施形態による、処理あり又は処理なしの吸収性縫合糸を用いたマウスと単純縫合糸を用いたマウスを比較したY迷路の変化%を示すドットプロットである。以下の式によるY迷路の3つのアーム内の交替行動数の測定:交替行動率%=(総交替行動数/(総エントリー数-2)×100)。未処理の吸収性縫合糸群は、61.907(平均値の標準誤差=7.246、n=6)の平均変化%を有し、未処理の単純縫合糸群は、65.130(平均値の標準誤差=4.682、n=7)の平均変化%を有した。処理した吸収性縫合糸群は、61.396(平均値の標準誤差=3.556、n=7)の平均変化%を有し、処理した単純縫合糸群は、70.296(平均値の標準誤差=2.644、n=12)の平均変化%を有した。
【0054】
図25図25は、いくつかの実施形態による治療プロトコルを示す概略図である。
【0055】
図26A図26Aは、フィンゴリモドで処理したマウスの右半球におけるエバンスブルーデータを示すドットプロットである。
【0056】
図26B図26Bは、エバンスブルーデータの正規性及び対数正規性を試験した結果を示す正規QQプロットである。
【0057】
図27図27は、個々のマウスからの関心領域(region-of-interest、ROI)エバンスブルーデータを示すドットプロットである(p<0.05)。
【0058】
図28図28は、個々のマウスからの関心領域(ROI)エバンスブルーデータを示すドットプロットである。
【0059】
図29A図29Aは、未処理(プラセボ)のマウスにおけるエバンスブルーデータに基づくピーク速度を示すグラフである。
【0060】
図29B図29Bは、フィンゴリモド処理を受けたマウスにおけるエバンスブルーデータに基づくピーク速度を示すグラフである。
【0061】
図30A図30Aは、処理した又は未処理の3匹のマウスの脳の同側半球及び対側半球におけるRT-PCRによって測定したS1P1の発現レベルを示す棒グラフである(対応のある統計分析、左半球(left hemisphere、LH)と右半球(right hemisphere、RH)との比較、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。図30A図38Bの略語:RH、右(同側)半球、n=3;LH、左(対側)半球(各群のマウスn=3);TTなし=処理なし(ビヒクル);TT=処理(フィンゴリモド、最後の2週間にわたって飲料水中0.01mg/日、すなわち、0.3mg/kg/日)。
【0062】
図30B図30Bは、全脳の微小血管画分におけるRT-PCRによって測定したS1P1の発現レベルを示す棒グラフである(未処理と処理との比較、n=5/群、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0063】
図31A図31Aは、処理した又は未処理の3匹のマウスの脳の同側半球及び対側半球におけるRT-PCRによって測定したS1P3の発現レベルを示す棒グラフである(対応のある統計分析、左半球(LH)と右半球(RH)との比較、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0064】
図31B図31Bは、全脳の微小血管画分におけるRT-PCRによって測定したS1P3の発現レベルを示す棒グラフである(未処理と処理との比較、n=5/群、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0065】
図32A図32Aは、処理した又は未処理の3匹のマウスの脳の同側半球及び対側半球におけるRT-PCRによって測定したB2Mの発現レベルを示す棒グラフである(対応のある統計分析、左半球(LH)と右半球(RH)との比較、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0066】
図32B図32Bは、全脳の微小血管画分におけるRT-PCRによって測定したB2Mの発現レベルを示す棒グラフである(未処理と処理との比較、n=5/群、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0067】
図33A図33Aは、処理した又は未処理の3匹のマウスの脳の同側半球及び対側半球におけるRT-PCRによって測定したCERS4の発現レベルを示す棒グラフである(対応のある統計分析、左半球(LH)と右半球(RH)との比較、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0068】
図33B図33Bは、全脳の微小血管画分におけるRT-PCRによって測定したCERS4の発現レベルを示す棒グラフである(未処理と処理との比較、n=5/群、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0069】
図34A図34Aは、処理した又は未処理の3匹のマウスの脳の同側半球及び対側半球におけるRT-PCRによって測定したCERS2の発現レベルを示す棒グラフである(対応のある統計分析、左半球(LH)と右半球(RH)との比較、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0070】
図34B図34Bは、全脳の微小血管画分におけるRT-PCRによって測定したCERS2の発現レベルを示す棒グラフである(未処理と処理との比較、n=5/群、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0071】
図35A図35Aは、処理した又は未処理の3匹のマウスの脳の同側半球及び対側半球におけるRT-PCRによって測定したクローディン5の発現レベルを示す棒グラフである(対応のある統計分析、左半球(LH)と右半球(RH)との比較、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0072】
図35B図35Bは、全脳の微小血管画分におけるRT-PCRによって測定したクローディン5の発現レベルを示す棒グラフである(未処理と処理との比較、n=5/群、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0073】
図36A図36Aは、処理した又は未処理の3匹のマウスの脳の同側半球及び対側半球におけるRT-PCRによって測定したICAMの発現レベルを示す棒グラフである(対応のある統計分析、左半球(LH)と右半球(RH)との比較、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0074】
図36B図36Bは、全脳の微小血管画分におけるRT-PCRによって測定したICAMの発現レベルを示す棒グラフである(未処理と処理との比較、n=5/群、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0075】
図37A図37Aは、処理した又は未処理の3匹のマウスの脳の同側半球及び対側半球におけるRT-PCRによって測定したVCAMの発現レベルを示す棒グラフである(対応のある統計分析、左半球(LH)と右半球(RH)との比較、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0076】
図37B図37Bは、全脳の微小血管画分におけるRT-PCRによって測定したVCAMの発現レベルを示す棒グラフである(未処理と処理との比較、n=5/群、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0077】
図38A図38Aは、処理した又は未処理の3匹のマウスの脳の同側半球及び対側半球におけるRT-PCRによって測定したMMP9の発現レベルを示す棒グラフである(対応のある統計分析、左半球(LH)と右半球(RH)との比較、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【0078】
図38B図38Bは、全脳の微小血管画分におけるRT-PCRによって測定したMMP9の発現レベルを示す棒グラフである(未処理と処理との比較、n=5/群、対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本技術は、埋め込み型減衰デバイス及び認知症(例えば、血管性認知症及び加齢性認知症)などの神経学的状態を含む状態を治療する及び/又はその進行を予防するための治療剤(例えば、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、及び老化細胞除去剤)を含む併用療法、並びに関連システム及び使用方法を対象とする。本技術のいくつかの実施形態は、例えば、固着部材と、外面及び血流を方向付けるように構成された管腔を画定する内面を有する可撓性コンプライアント減衰部材とを有する減衰デバイスを含む、組み合わせデバイス及び療法を対象とする。内面は、管腔の断面寸法が変化するように構成されている。例えば、外面と内面は、減衰部材の長さに沿って変化する距離だけ互いに分離することができる。減衰部材は、第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間の減衰領域とを更に含むことができる。減衰部材の外面と内面との間の距離は、第1の端部又は第2の端部のいずれかよりも減衰領域でより大きくあり得る。収縮期に血液が減衰部材を通って流れるときに、減衰部材は、血液の脈動エネルギーの一部を吸収して、減衰デバイスの遠位の血管の部分に伝達される脈圧の大きさを減少させる。本技術の追加の実施形態は、例えば、神経学的状態の影響を治療する又は別様に遅延させるために開発されたか、又は現在開発されている治療剤(例えば、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、及び老化細胞除去剤)を含む組み合わせデバイス及び療法を対象とする。これらの治療剤、並びにこれらの治療剤に由来する他の治療剤及び/又は別様にこれらの治療剤に基づく他の治療剤は、本技術の実施形態に含まれる。本技術のいくつかの実施形態の具体的な詳細が図2A図20を参照して以下に記載される。
【0080】
本明細書における「遠位」及び「近位」という用語に関して、別段の指定がない限り、これらの用語は、操作者、血管を通る血流の方向、及び/若しくは血管系内の位置に対する減衰デバイス並びに/又は関連送達デバイスの部分の相対位置を指すことができる。例えば、本明細書に記載の様々な減衰デバイスの送達及び位置付けに好適な送達カテーテルについて言及する際、「近位」とは、デバイスの操作者又は血管系内への切開により近い位置を指し、「遠位」とは、デバイスの操作者からより遠位の又は血管系に沿った切開(例えば、カテーテルの端部)からより遠い位置を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、「動脈」及び「脳に血液を供給する動脈」は、脳に酸素化された血液を提供するあらゆる動脈血管(又はその一部)を含む。例えば、「動脈」又は「脳に血液を供給する動脈」は、上行大動脈、大動脈弓、腕頭動脈、右総頸動脈、左総頸動脈、左内頸動脈及び右内頸動脈、左外頸動脈及び右外頸動脈、並びに/又は上記の動脈血管のうちのいずれかの任意の分岐及び/若しくは延長部を含むことができる。
【0082】
本明細書で使用される場合、「治療剤」、「薬剤」、「療法(therapy)」、及び「療法(therapies)」という用語は、本明細書で互換的に使用され、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、及び/又は老化細胞除去剤を含む、本明細書に記載の薬物及び/又は療法を指す。薬剤及び療法は、糖(又は他の小分子)、合成化学物質、タンパク質若しくはペプチド、核酸、これらの物質の複雑な組み合わせを含むが、これらに限定されない多種多様な物質で構成されていてもよく、又は細胞若しくは組織などの生命体であってもよい。薬剤及び療法には、組換え、合成、又は他のバイオテクノロジー方法及び技術を使用して、天然源(例えば、ヒト、動物、植物、微生物)から単離され得るか、又は別様にそれから得られ得る多種多様な生成物及び治療が含まれる。例えば、合成的に産生されるペプチド又は他の天然分子は、本開示による薬剤とみなされ得る。
【0083】
「レシピエント」、「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」という用語は、本明細書で互換的に使用され、診断、治療、又は療法が所望されるあらゆる哺乳類対象、特に、ヒトを指す。治療目的のための「哺乳動物」とは、ヒト、家畜及び農場動物、並びに動物園、スポーツ、又はペット動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどを含む、哺乳動物として分類されるあらゆる動物を指す。好ましくは、哺乳動物は、ヒトである。
【0084】
本明細書における「神経学的状態」という用語に関して、別段の指定がない限り、この用語は、脳、脊椎、及び脳と脊椎を結ぶ神経の状態、障害、及び/又は疾患を指す。神経学的状態としては、認知症(例えば、血管性認知症、前頭側頭型認知症、レビー小体認知症)、アルツハイマー病、ハンチントン病、認知障害、パーキンソン病、神経痛、腫瘍、がん、脳卒中、動脈瘤、てんかん、頭痛、及び/又は片頭痛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本明細書で使用される「それを必要とする対象」とは、神経学的状態と診断された、神経学的状態を有する疑いのある、及び/又は神経学的状態に関連する1つ以上の症状若しくはリスク因子を呈する哺乳類対象、好ましくは、ヒトを指す。
【0086】
所与の状態、疾患、又は障害との関連での「治療する」及び「治療」という用語は、互換的に使用され、疾患若しくは障害を抑制すること、例えば、状態、疾患、若しくは障害の発症若しくは発症速度を抑止すること;状態、疾患、若しくは障害を軽減すること、例えば、状態、疾患、若しくは障害の退行を引き起こすこと;又は疾患若しくは障害によって引き起こされる又は疾患若しくは障害に起因する状態を軽減すること、例えば、疾患若しくは障害の症状のうちの少なくとも1つを抑止すること、軽減すること、予防すること、又は後退を引き起こすことを含むが、これらに限定されない。
【0087】
所与の状態、疾患、又は障害との関連での「予防する」及び「予防」という用語は、互換的に使用され、何も起こらなかった場合にその発症の開始を予防する若しくは遅延させること;状態、疾患、若しくは障害に罹りやすい可能性があるが、状態、疾患、若しくは障害を有するとまだ診断されていない対象において、状態、疾患、若しくは障害が発生するのを予防する若しくは遅延させること;及び/又はすでに存在する場合、状態、疾患、若しくは障害の更なる発症を予防する若しくは遅延させることを含むが、これらに限定されない。
【0088】
本明細書で使用される場合、治療剤(例えば、薬物)などの1つ以上の療法の投与との関連での「経路」とは、治療剤が対象、例えば、対象の身体に送達される経路を指す。治療的投与経路には、経腸投与経路及び非経口投与経路が含まれる。経腸投与には、経口、直腸、腸、及び/又は浣腸が含まれる。非経口には、局所、経皮、硬膜外、脳内、脳室内、皮膚上、舌下、唇下、頬側、吸入(例えば、鼻腔)、静脈内、関節内、心臓内、皮内、筋肉内、眼内、骨内注入、腹腔内、髄腔内、硝子体内、皮下、血管周囲、移植、膣、耳、及び/又は経粘膜が含まれる。
【0089】
本明細書において、いずれの濃度範囲、百分率範囲、比率範囲、又は整数範囲も、別段の指示がない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値を含み、適切な場合、その分数(整数の10分の1及び100分の1など)も含むことを理解されたい。また、本明細書に列挙される任意の数の範囲は、別段の指示がない限り、列挙された範囲内の任意の整数を含むと理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段の指示がない限り、指示された範囲、値、又は構造の±20%を意味する。本明細書で使用される「a」及び「an」という用語が列挙された領域の「1つ以上」を指すことを理解されたい。単数又は複数を使用する単語は、それぞれ、複数又は単数も含む。2つ以上の項目のリストに関して「又は」という単語の使用は、その単語の以下の解釈:リスト内の項目のうちのいずれか、リスト内の項目の全て、及びリスト内の項目の任意の組み合わせを全て包含する。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」という語句は、当業者が慣例であると理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定されないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとを一緒に、AとCとを一緒に、BとCとを一緒に、及び/又はAとBとCとを一緒に、などを有するシステムを含むであろう)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣例が使用される事例では、概して、かかる構成は、当業者が慣例であると理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定されないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとを一緒に、AとCとを一緒に、BとCとを一緒に、及び/又はAとBとCとを一緒に、などを有するシステムを含むであろう)。本明細書で使用される場合、「含む(include)」、「有する(have)」、及び「含む(comprise)」という用語は、同義的に使用され、これらの用語及びそれらの変形は、非限定的であると解釈されるよう意図されている。更に、本明細書に提供する見出しは、便宜上のものにすぎず、特許請求された実施形態の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0090】
本発明は、本発明の実施のための好ましい様式を含むために本発明者によって見出された又は提案された特定の実施形態に関して記載されている。本開示に照らして、本発明の意図される範囲から逸脱することなく、例示される特定の実施形態に多数の修正及び変更を加えることができることが当業者によって理解されるであろう。例えば、コドン重複性のため、タンパク質配列に影響を及ぼすことなく、基礎となるDNA配列に変更を加えることができる。更に、生物学的機能等価性を考慮して、種類又は量の点で生物学的作用に影響を及ぼすことなく、タンパク質構造に変更を加えることができる。全てのかかる修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれるよう意図されている。
【0091】
本発明は様々な形態で具現化することが可能であるが、いくつかの実施形態の以下の説明は、本開示が本発明の例示としてみなされるべきであり、本発明が示される特定の実施形態に限定されることを意図するものではないことを理解してなされる。見出しは、便宜上のためにのみ提供されており、いかなる様式でも本発明を限定するものと解釈されるべきではない。任意の見出しの下で例示される実施形態は、任意の他の見出しの下で例示される実施形態と組み合わせることができる。
【0092】
I.減衰デバイスの選択された血管内実施形態
図2A及び図2Bは、それぞれ、拡張状態又は展開状態で示される、本技術に従って構成された減衰デバイス100の正面図及び正面断面図である。図2Cは、頸動脈(carotid artery、CA)(例えば、左頸動脈又は右頸動脈)内に位置付けられた展開状態の減衰デバイス100の正面図である。図2A図2Cを一緒に参照すると、減衰デバイス100は、可撓性粘弾性減衰部材102(例えば、緩衝部材)と、固着部材104(それぞれ、第1の固着部材104a及び第2の固着部材104bとして個々に識別されている)とを含む。減衰部材102は、外面115と、管腔114を通して血流を受容するように構成された管腔114を画定する内面113(図2B及び図2C)とを有する起伏又は砂時計形状側壁を含む。外面115は、内面113から距離tだけ離されている(図2B)。減衰部材102は、長さLと、第1の端部106と、その長さLに沿った第1の端部106とは反対側の第2の端部108と、第1の端部106と第2の端部108との間の減衰領域120とを有する。図2A図2Cに示される実施形態では、外面115と内面113との間の距離tは、展開弛緩状態にあるとき、減衰部材102の長さLに沿って変化する。いくつかの実施形態では、外面115と内面113との間の距離tは、平均して、第1の端部106又は第2の端部108のいずれかよりも減衰領域120でより大きくあり得る。他の実施形態では、減衰部材102は、他の好適な形状(例えば、図2E図2G)、サイズ、及び/又は構成を有することができる。例えば、図2Dに示されるように、外面115と内面113との間の距離tは、減衰部材102が展開弛緩状態にあるとき、減衰部材102及び/又は減衰領域120の長さに沿って略一定であり得る。
【0093】
図2A図2Cに示される減衰部材102は、所望の形状に成形された、押出成形された、又は別様に形成された材料の固体片である。減衰部材102は、動脈内の局所流体圧力に応じて変形するように構成された生体適合性コンプライアント粘弾性材料から作製することができる。減衰部材102が変形すると、減衰部材102は、脈圧の一部を吸収する。減衰部材102は、例えば、シリコーンゴム(VMQ)、Tufel I及びTufel IIIエラストマー(GE Advanced Materials,Pittsfield,MA)、Sorbothane(登録商標)(Sorbothane,Incorporated,Kent,OH)などの生体適合性合成エラストマーから作製することができる。減衰部材102は、収縮期圧波が減衰領域120を通って伝播するにつれて減衰領域120における減衰部材102の内径(inner diameter、ID)が増加するように、可撓性及び弾性とすることができる。例えば、収縮期圧波は、内面113を半径方向外向きに押し、それ故に、外面115の一部も半径方向外向きに変形させ得る。加えて、減衰部材102は、収縮期圧波が減衰領域120に係合すると、内面115と外面113との間の距離tが減少して減衰領域120の内径IDを更に開くように、必要に応じて圧縮可能とすることもできる。例えば、収縮期圧波が内面113を半径方向外向きに押し得る一方で、外面115の外形は概ね影響を受けないままである。
【0094】
図2A図2Cに示される実施形態では、固着部材104a~104bは、個々に、薄型状態から血管壁と並置した展開状態に拡張するように構成された略円筒形構造を備える。固着部材104a~bは各々、超弾性材料(例えば、ニチノール)又はステンレス鋼などのレーザ切断金属から形成されたステントとすることができる。各々の固着部材の全て又は一部は、送達中のデバイスの可視化を改善するために放射線不透過性コーティングを含むことができる、及び/又は固着部材は、1つ以上の放射線不透過性マーカーを含んでもよい。他の実施形態では、個々の固着部材104a~104bは、レーザ切断ステントに加えて又はその代わりに、メッシュ又は織物(例えば、編組)構造を備えることができる。例えば、個々の固着部材104a~104bは、ダイヤモンドパターン又は他の構成で配置された複数の可撓性ワイヤ又はフィラメントから形成された管又は編組メッシュを含むことができる。いくつかの実施形態では、固着部材104a~104bの一方又は両方の全て又は一部は、グラフト材料(ダクロンなど)によって被覆されて、脈管壁との密封を促進することができる。加えて、一方又は両方の固着部材の全て又は一部は、1つ以上の生体材料を含むことができる。
【0095】
図2A図2Bに示される実施形態では、固着部材104a~104bは、それぞれ、第1の端部106及び第2の端部108において減衰部材102の周りに位置付けられる。したがって、この実施形態では、減衰部材102の外径(outer diameter、OD)は、固着部材104a~104bの内径未満である。また、図2A図2Bに示される実施形態では、固着部材104a~104bは、それぞれ、第1の端部106及び第2の端部108においてのみ、減衰部材102の周りに位置付けられる。したがって、本技術のいくつかの実施形態では、減衰部材120の減衰領域120は、ステント様構造又は編組材料によって包囲されていない。他の実施形態では、固着部材104及び減衰部材102は、他の好適な構成を有してもよい。例えば、固着部材104a~104bは、減衰部材102の全長ではなく減衰部材102の長さLに沿った他の場所に位置付けられてもよい。また、いくつかの実施形態では、一方又は両方の固着部材104a~104bの全て又は一部は、減衰部材102の全て又は一部に半径方向外側に位置付けられてもよい。図2A図2Bに示される減衰デバイス100は2つの固着部材104a~104bを含むが、他の実施形態では、減衰デバイス100は、より多くの又はより少ない固着部材(例えば、1つの固着部材、3つの固着部材、4つの固着部材など)を有することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、生体適合性ゲル又は液体が動脈Aの壁と減衰部材102の外面115との間に位置付けられて、第1の固着部材104aと、第2の固着部材104bと、減衰部材102と、動脈CAの内壁との間に画定された空隙への血液の進入を防止することができる。あるいは、空気又は別の気体が頸動脈CAの内壁と減衰部材102との間に位置付けられて、空隙への血液の進入を防止することができる。
【0097】
図3Aは、本技術による減衰デバイス100’の別の実施形態の正面断面図である。図3Aに示される減衰デバイス100’の実施形態は、図2A図2Cに示される減衰デバイス100の実施形態に類似しており、図2A図2C及び図3Aでは、同様の参照番号は、同様の構成要素を指す。図3Aに示されるように、減衰デバイス100’は、内側減衰部材102と、減衰部材102を包囲する外層130とを含む。外層130は外面131を有し、図3Aに示される実施形態では、第1の固着部材104a及び第2の固着部材104bが外面131に取り付けられている。少なくとも減衰領域120に沿って、外層130は、減衰部材102の外面115から離間されて、チャンバ132を形成する。チャンバ132は、気体、液体、又はゲルなどの流体で少なくとも部分的に充填されることができる。デバイス100’は、長さLと、外層130の外面131と減衰部材102の内面113との間の距離dとを有する。減衰領域120に沿って、外面131と内面113との間の距離dは、減衰部材102が展開弛緩状態にあるとき、半径方向に増加し、その後、減少する。平均して、外面131と減衰部材102の内面113との間の距離dは、第1の端部106又は第2の端部108のいずれかよりも減衰領域120でより大きい。結果として、管腔114の内径IDは、長さLに沿って変化する。例えば、外面131及び/又は外層130は、付勢されていない状態で略円筒形とすることができ、内面113及び/又は減衰部材102は、起伏又は砂時計形状を有することができる。他の実施形態では、外面131及び/又は外層130は、他の好適な形状とすることができ、内面113及び/又は減衰部材102は、他の好適な形状とすることができる(図3B図3D)。
【0098】
いくつかの実施形態では、別個の外層130を有する減衰デバイス100’の代わりに、空洞を封止するように減衰部材102を成形、形成、又は別様に押出成形することができる。例えば、図3B図3Dに示されるように、減衰部材102’は、内層116と、外層118と、それらの間の空洞119とを含むことができる。空洞119は、気体、液体、又はゲルなどの流体で少なくとも部分的に充填されることができる。
【0099】
図4A及び図4Bは、それぞれ、拡張状態又は展開状態で示される、本技術に従って構成された減衰デバイス200の別の実施形態の正面図及び正面断面図である。図4Cは、頸動脈(例えば、左頸動脈又は右頸動脈)内に位置付けられた展開状態の減衰デバイス200の正面断面図である。図4A図4Cを一緒に参照すると、減衰デバイス200は、可撓性粘弾性減衰部材202(例えば、緩衝部材)と、固着部材204(それぞれ、第1の固着部材204a及び第2の固着部材204bとして個々に識別されている)とを含む。図4B及び図4Cに示されるように、減衰部材202は、円筒形外面210と、管腔214を通して血流を受容するように構成された管腔214を画定する内面212とを有する略管状側壁を含む。外面210は、内面212から距離tだけ離れている(図4B)。減衰部材202は、長さLと、第1の端部206と、その長さLに沿った第1の端部206とは反対側の第2の端部208と、第1の端部206と第2の端部208との間の減衰領域220とを有する。減衰領域220に沿って、外面210と内面212との間の距離tは、減衰部材202が展開弛緩状態にあるとき、半径方向に増加し、その後、減少する。平均して、減衰部材202の外面210と内面212との間の距離tは、第1の端部206又は第2の端部208のいずれかよりも減衰領域220でより大きい。結果として、減衰部材202の内径IDは、減衰部材202の外径ODに対してその長さLに沿って変化する。例えば、外面210は、付勢されていない状態で略円筒形とすることができ、内面212は、起伏又は砂時計形状を有することができる。図9A図9Fに関して以下により詳細に記載されるように、減衰部材202は、他の好適な形状、サイズ、及び/又は構成を有することができる。
【0100】
図4A図4Cに示される減衰部材202は、所望の形状に成形された、押出成形された、又は別様に形成された材料の固体片である。減衰部材202は、動脈内の局所流体圧力に応じて変形するように構成された生体適合性コンプライアント粘弾性材料から作製することができる。減衰部材202が変形すると、減衰部材202は、脈圧の一部を吸収する。減衰部材202は、例えば、シリコーンゴム(VMQ)、Tufel I及びTufel IIIエラストマー(GE Advanced Materials,Pittsfield,MA)、Sorbothane(登録商標)(Sorbothane,Incorporated,Kent,OH)などの生体適合性合成エラストマーから作製することができる。減衰部材202は、収縮期圧波P(図4D)が減衰領域220を通って伝播するにつれて減衰領域220における減衰部材202の内径IDが増加するように、可撓性及び弾性とすることができる。例えば、図4Dの変形前及び変形中(減衰部材202’、破線で示される)の減衰部材202の一部の分離断面図に概略的に示されるように、収縮期圧波Pは、内面212’を半径方向外向きに押し、それ故に、外面210’の一部も半径方向外向きに変形させ得る。加えて、減衰部材202は、収縮期圧波Pが減衰領域220に係合すると、内面210と外面212との間の距離tが減少して減衰領域220の内径IDを更に開くように、必要に応じて圧縮可能とすることもできる。例えば、図4Eの変形前及び変形中(減衰部材202’、破線で示される)の減衰部材202の一部の分離断面図に概略的に示されるように、収縮期圧波Pが内面212’を半径方向外向きに押し得る一方で、外面210’の外形は概ね影響を受けないままである。
【0101】
図4A図4Cに示される実施形態では、固着部材204a~204bは、個々に、薄型状態から血管壁と並置した展開状態に拡張するように構成された略円筒形構造を備える。固着部材204a~bは各々、超弾性材料(例えば、ニチノール)又はステンレス鋼などのレーザ切断金属から形成されたステントとすることができる。各々の固着部材の全て又は一部は、送達中のデバイスの可視化を改善するために放射線不透過性コーティングを含むことができる、及び/又は固着部材は、1つ以上の放射線不透過性マーカーを含んでもよい。他の実施形態では、個々の固着部材204a~204bは、レーザ切断ステントに加えて又はその代わりに、メッシュ又は織物(例えば、編組)構造を備えることができる。例えば、個々の固着部材204a~204bは、ダイヤモンドパターン又は他の構成で配置された複数の可撓性ワイヤ又はフィラメントから形成された管又は編組メッシュを含むことができる。いくつかの実施形態では、固着部材204a~204bの一方又は両方の全て又は一部は、グラフト材料(ダクロンなど)によって被覆されて、脈管壁との密封を促進することができる。
【0102】
図4A図4Bに示される実施形態では、固着部材204a~204bは、それぞれ、第1の端部206及び第2の端部208において減衰部材202の周りに位置付けられる。したがって、この実施形態では、減衰部材202の外径OD(図4A)は、固着部材204a~204bの内径未満である。また、図4A図4Bに示される実施形態では、固着部材204a~204bは、それぞれ、第1の端部206及び第2の端部208においてのみ、減衰部材202の周りに位置付けられる。したがって、本技術のいくつかの実施形態では、減衰部材220の減衰領域220は、ステント様構造又は編組材料によって包囲されていない。他の実施形態では、固着部材204a~204b及び減衰部材202は、他の好適な構成を有してもよい。例えば、固着部材204a~204bは、減衰部材202の全長ではなく減衰部材202の長さLに沿った他の場所に位置付けられてもよい。また、いくつかの実施形態では、一方又は両方の固着部材204a~204bの全て又は一部は、減衰部材202の全て又は一部に半径方向外側に位置付けられてもよい。図4A図4Bに示される減衰デバイス200が2つの固着部材204a~204bを含むが、他の実施形態では、減衰デバイス200は、より多くの又はより少ない固着部材(例えば、1つの固着部材、3つの固着部材、4つの固着部材など)を有することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、固着部材204a~204bの一方又は両方は、血管壁に係合するように構成された1つ以上の固定要素205(図4B)を必要に応じて含むことができる。固定要素205は、例えば、展開状態で、治療部位において脈管壁に貫入するように固着部材204a~204bの対応するフレームから離れて外向きに延在する、1つ以上のフック又は返しを含むことができる。これら及び他の実施形態では、固定要素のうちの1つ以上は、非外傷性とすることができる。加えて、図5に示される減衰デバイス200Aを参照すると、ある特定の実施形態では、減衰デバイス200はステント型又は編組型固着部材を含まなくてもよく、むしろ、固着部材204のフレームは、1つ以上の拡張可能なリング230とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、減衰デバイス200は、各々それぞれの端部206及び端部208に取り付けられた2つのリング230を含むことができ、複数の固定要素205がリング230から外向きに延在することができる。図6に示される減衰デバイス200Bなどのなお他の実施形態では、固着部材204は、別個の金属又はポリマー構成要素の代わりに、減衰領域220の外壁から半径方向外向きに延在する減衰部材202の厚壁部分240a~240bなどの端部206、208の一体部分とすることができる。この実施形態では、固定要素205は、減衰部材202の第1の端部206及び第2の端部208で、一体固着部材240a~240bから外向きに延在することができる。減衰デバイス200が展開状態にあるとき、固定要素205は、減衰部材202の外面から外向きに延在して、脈管壁組織に係合する。更に他の実施形態では、固定要素205は、図7の減衰デバイス200Cに示されるように、減衰部材202の外面210から外向きに延在することができる。
【0104】
図8A図8Eは、本開示の減衰デバイスを動脈A(左総頸動脈/又は右総頸動脈CAなど)内の治療位置に位置付けるための方法を説明する。図8B図8E図4A及び図4Bに示される減衰デバイス200を示しているが、図8A図8Eに関して記載される方法及びシステムは、図2A図7及び図9A図9Fに関して記載される減衰デバイス100、100’、200、200A、200B、及び200Cのうちのいずれにも利用することができる。
【0105】
図8Aに示されるように、ガイドワイヤ602は、最初に、大腿動脈又は橈骨動脈などのアクセス部位から血管内を前進して治療部位に入ることができる。その後、ガイドカテーテル604の少なくとも遠位部分が治療部位に位置付けられるまで、ガイドカテーテル604がガイドワイヤ602に沿って前進することができる。これら及び他の実施形態では、迅速交換技術が利用されてもよい。いくつかの実施形態では、ガイドカテーテル604は、血管系内の1つ以上の屈曲部を通ってガイドカテーテル604を方向付けるように予め成形された又は操縦可能な遠位端部を有してもよい。例えば、図8A図8Eに示されるガイドカテーテル604は、上行大動脈(ascending aorta、AA)を通ってナビゲートし、左総頸動脈A及び/又は右総頸動脈Aで優先的に屈曲して又は曲がって、ガイドカテーテル604を動脈A内に方向付けるように構成された湾曲した遠位端部を有する。
【0106】
画像ガイダンス、例えば、コンピュータ断層撮影法(computed tomography、CT)、蛍光透視法、血管造影法、血管内超音波(intravascular ultrasound、IVUS)、光干渉断層撮影法(optical coherence tomography、OCT)、若しくは別の好適なガイダンスモダリティ、又はそれらの組み合わせを使用して、臨床医による減衰デバイス200の位置付け及び操作を補助することができる。例えば、蛍光透視システム(例えば、フラットパネル検出器、X線、又はcアームを含む)を回転させて、標的治療部位を正確に可視化して特定することができる。他の実施形態では、治療部位は、減衰デバイス200を送達する前に、標的治療部位を特定可能な解剖学的構造(例えば、脊椎特徴)及び/又は放射線不透過性定規(例えば、患者の下又は上に位置付けられる)と相関させることができる、IVUS、OCT、及び/又は他の好適な画像マッピングモダリティを使用して決定することができる。更に、いくつかの実施形態では、画像ガイダンス構成要素(例えば、IVUS、OCT)は、送達カテーテルと統合されて、及び/又は送達カテーテルと並行して実行されて、減衰デバイス200の位置付け中に画像ガイダンスを提供することができる。
【0107】
ガイドカテーテル604が治療部位に位置付けられると、ガイドワイヤ602が引き抜かれることができる。図8B及び図8Cに示されるように、減衰デバイス200を運ぶ送達アセンブリ610は、その後、ガイドカテーテル604を通って治療部位まで遠位に前進することができる。いくつかの実施形態では、送達アセンブリ610は、非外傷性遠位先端614(図8B)を有する細長いシャフト612と、細長いシャフト612の遠位部分の周りに位置付けられた拡張可能な部材616(例えば、膨張可能なバルーン、拡張可能なケージなど)とを含む。減衰デバイス200を拡張可能な部材616の周りに位置付けることができる。図8Dに示されるように、拡張可能な部材616の拡張又は膨張により、減衰デバイス200の少なくとも一部が半径方向外向きに押し進められて、動脈壁と接触する。いくつかの実施形態では、送達アセンブリ610は、減衰デバイス200の遠位部分を展開するための拡張可能な遠位部材と、減衰デバイス200の近位部分を展開するための拡張可能な近位部材とを含むことができる。他の実施形態では、減衰デバイス200の全長は、1つ以上の拡張可能な部材を展開することによって同時に拡張されてもよい。
【0108】
いくつかの手技では、臨床医は、近位の第2の固着部材204bを動脈壁に対して展開する前に、減衰デバイス200を伸張させたい又は伸長させたい場合がある。この必要性に対処するために、送達アセンブリ610及び/又は減衰デバイス200は、第2の固着部材204bを引っ張るか、又は第2の固着部材204bに引張応力を提供し、それにより、減衰部材202の長さ及び/又は第1の固着部材204aと第2の固着部材204bとの間の距離を増加させるための張力付与機構を必要に応じて含むことができる。例えば、図8Cに示されるように、第2の固着部材204bは、1つ以上の連結部分205(例えば、固着フレームから近位に延在する1つ以上のアイレット)と、第2の固着部材204bと送達アセンブリ610の近位部分(図示されず)(例えば、ハンドル)との間に延在する1つ以上の連結部材618(例えば、縫合糸、糸、フィラメント、テザーなど)とを含むことができる。連結部材618は、連結部分205に解放可能に係合して、第2の固着部材204bを送達アセンブリ610の近位部分に機械的に連結するように構成されている。臨床医は、張力を連結部材618に加えて、減衰デバイス200及び/又は減衰部材202を伸長させ、第2の固着部材204bの長手方向位置を調整することができる。第2の固着部材204bが、第1の固着部材204a及び/又は局所解剖学的構造に対して所望の長手方向位置に位置付けられると、第2の固着部材204bが拡張されて(例えば、1つ以上の拡張可能な部材の展開により)、動脈壁と接触することができる。第2の固着部材204bの拡張前、拡張中、及び/又は拡張後、連結部材(複数可)618は、第2の固着部材204bから係脱されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、操作者は、第1の固着部材204a及び第2の固着部材204bの一方又は両方を取り除くのに必要とされるであろう力未満である張力を加えることによって、連結部材618をそれらの長さに沿って破壊させることができる。第2の固着部材204b及び/又は減衰デバイス200から係脱されると、連結部材(複数可)618を、ガイドカテーテル604を通して治療部位から引き抜くことができる。
【0109】
他の実施形態では、他の張力付与機構が利用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、減衰デバイス200は、操作者によって選択的に解放可能である、解放可能な締め金、リング、又はフックを含む。締め金、リング、又はフックは、糸が第2の固着部材204bに固定することを可能にし、かつ選択的に開放又は解放されて糸を第2の固着部材204bから係脱することができる、任意のタイプであってよい。解放は、臨床医によって体外位置から制御され得る。張力付与機構は第2の固着部材204bに関して本明細書に記載されているが、減衰デバイス200及び/又は送達アセンブリ610の他の部分(第1の固着部材204aなど)を張力付与機構に連結することができることを理解されたい。
【0110】
ある特定の実施形態では、減衰部材202及び/又は個々の固着部材204a、204bは、自己拡張型であってもよい。例えば、送達アセンブリ610は、治療部位への送達中に減衰デバイス200を包囲して半径方向に拘束する、送達シース(図示されず)を含むことができる。治療部位に到達すると、送達シースは、少なくとも部分的に引き抜かれて又は後退して、減衰部材202及び/又は個々の固着部材204a、204bが拡張することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、固着部材204の拡張により、減衰部材202の拡張が駆動されてもよい。例えば、固着部材204は、減衰部材202に固定して取り付けられてもよく、一方又は両方の固着204の拡張により、減衰部材202が半径方向外向きに引っ張られる又は押される(減衰部材202及び固着部材204の相対的位置付けに応じて)。
【0111】
図8Cに最もよく示されるように、減衰デバイス200が治療部位(例えば、左総頸動脈又は右総頸動脈内)に位置付けられると、左心室から排出された酸素化された血液が減衰部材202の管腔214を通って流れる。血液が減衰部材200の減衰領域220と接触すると、減衰領域220が変形して、血液の拍動エネルギーの一部を吸収し、これにより、減衰デバイス202の遠位の動脈の部分(より敏感な大脳動脈など)に伝達される脈圧の大きさが減少する。減衰領域202は、減衰デバイス200を通る血流量を過度に損なうことなく、減衰デバイス200の下流に心周期の収縮期の圧力をより均一に分配する圧力リミッタとして作用する。したがって、減衰デバイス200は、動脈網の下流部分に対する拍動応力を減少させ、血管性認知症及び/又は加齢性認知症の発現を防止する又は少なくとも部分的に軽減する。
【0112】
いくつかの手技では、複数の減衰デバイス200を複数の動脈位置に送達することが有益であり得る。例えば、第1の減衰デバイス200を第1の動脈位置(例えば、左総頸動脈又は右総頸動脈、内頸動脈又は外頸動脈、上行大動脈など)で展開した後、臨床医は、第2の減衰デバイス200を第1の動脈位置とは異なる第2の動脈位置(例えば、左総頸動脈又は右総頸動脈、内頸動脈又は外頸動脈、上行大動脈など)に位置付けて展開してもよい。特定の用途では、第1の減衰デバイスが左総頸動脈で展開され、第2の減衰デバイスが右総頸動脈で展開される。他の実施形態では、2つ以上の減衰デバイス200が同時に送達されてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、減衰デバイス200の展開前により大きい直径の追加のステントが血管内に設置されて、デバイスに備えて血管の直径を拡張させることができる。その後、減衰デバイス200がより大きいステント内で展開することができる。この展開は、血管の残りの直径への影響を軽減し、それにより、血流量への影響を軽減する助けとなり得る。
【0114】
図9A図9Fは、本技術による減衰部材のいくつかの実施形態の概略断面図である。図2A図9Fでは、同様の参照番号は、類似の又は同一の構成要素を指す。図9Aに示される実施形態では、減衰部材202の内面212は、その全長に沿って湾曲している。外面210と内面212との間の距離は、遠位方向に徐々に増加し、その後、減少する。したがって、減衰領域220は、減衰部材202の全長に延在する。図9B及び図9Cは、内面212が内面212中の起伏によって画定された一連の減衰領域220を有する減衰部材202の実施形態を説明する。これらの実施形態では、距離tは、遠位方向に増加し、その後、減少し、その後、増加し、その後、減少するといった具合である。図9Bでは、減衰領域220が概ね直線状である一方で、図9Cでは、減衰領域220は概ね湾曲している。図9D図9Eは、管腔214内に半径方向内向きに突出する環状リングを備える減衰領域220を有する減衰部材202の実施形態を説明する。環状リングの1つ以上の部分は、血流に応じて長手方向に曲がってもよい。図9Fに示されるように、いくつかの実施形態では、減衰部材220は、2つ以上の対向する弁尖221を備えることができる。
【0115】
II.減衰デバイスの選択された切除実施形態
図10及び図11は、本技術による減衰デバイスのいくつかの実施形態の概略断面図である。図2A図15では、同様の参照番号は、類似の又は同一の構成要素を指す。例えば、図10は、減衰部材202のみを備える減衰デバイス1000を示す。動脈壁Aの一部が切除されることができ、減衰部材202が切除された動脈の開放端に(例えば、縫合糸1002により)連結されることができ、これにより、減衰部材202が動脈Aの切除された部分に及ぶようになる。いくつかの実施形態では、減衰部材202は、図11に示されるように、一定の壁厚を有する略円筒形状を有してもよい。かかる実施形態では、減衰部材202の内径IDは、減衰部材202の長さに沿って概ね一定であってもよい。動作中、図10及び図11に示される減衰デバイス1000及び1100は、収縮期圧波が減衰デバイス1000及び1100を通過するにつれて半径方向外向きに拡張する、高度に可撓性の弾性部材である。動脈壁Aの切除された部分は減衰デバイス1000及び1100の拡張を制限することができないため、これらのデバイスは生来の動脈壁Aよりも拡張して、血流からより多くのエネルギーを吸収することができる。
【0116】
III.減衰デバイスの選択された追加の実施形態
図12A図19Bは、本技術に従って構成された減衰デバイスの追加の実施形態を例示する。例えば、図12Aは、近位端部及び遠位端部で固着部材1204a及び1204bに連結された減衰部材1202を備える減衰デバイス1200を示す。減衰部材1202は、展開状態で、ストランド1203がそれを通って延在する管腔を画定する略管状構造を形成するように、事前設定された螺旋構成を有するストランド1203を備える。管状構造は、内面1209(図12B)及び外面1211を有する。ストランド1203は、脈波によって螺旋ストランドに加えられる半径方向外向きの力に応じて伸張するように構成された1つ以上の弾性ポリマーなどの任意の好適な生体適合性材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、加えて又はあるいは、ストランド1203は、ステンレス鋼などの1つ以上の金属並びに/又はニチノールなどの超弾性及び/若しくは形状記憶合金を含んでもよい。特定の実施形態では、減衰部材1202は、トロポエラスチン又はエラスチンなどの組換えヒトタンパク質から作製されてもよい。
【0117】
固着部材1204a及び1204bは、図2A~2Cに関して記載される固着部材104a及び104bと概ね類似し得る。いくつかの実施形態では、減衰デバイス1200は、2つより多い又は少ない固着部材1204(1つの固着部材、3つの固着部材など)を含む。特定の実施形態では、減衰デバイス1200は、固着部材1204を含まない。
【0118】
展開状態で、減衰部材1202は、脳に血液を供給する動脈の周囲に沿って巻き付けられるように構成されている。例えば、図12Aに示される実施形態では、減衰部材1202は、減衰部材1202の内面1209が動脈Aの外面と接触するように、動脈Aの外部の周りに位置付けられるように構成されている(図12Bを参照されたい)。他の実施形態(図示されず)では、減衰部材1202は、減衰部材1202の外面1211が動脈壁の内面と接触するように、動脈の管腔の周りに位置付けられるように構成されている。
【0119】
図12Bは、減衰デバイス1200によって包囲された動脈Aの部分を通る脈波(pulse wave、PW)の伝達中の減衰デバイス1200の断面側面図である。図12Bでは、破線Aは、拡張期の動脈又は動脈が弛緩しているときの動脈を表す。実線A’は、収縮期に動脈を伝わる脈波PWに応じた動脈を表す。図12Bに示されるように、波面(wave front、WF)(又は脈波PWの前縁)が動脈を伝わると、波面は、波面WFに対応する軸方向位置Lで動脈Aを拡張させる。波面WFは、動脈壁をコイルに対して半径方向外向きに押し、それにより、波面WFと軸方向に整列したコイルの部分Rを半径方向に拡張させる。例えば、ストランド1203が弾性ポリマーなどの伸張可能な材料から作製された実施形態では、コイルが部分Rに沿って伸張して拡張し、脈波を受け入れ、それにより、脈波により伝達されるエネルギーの一部を吸収し、動脈壁に対する応力を減少させる。上記の実施形態のうちのいずれにおいても、波の影響を受けた領域の遠位又は近位のコイルの部分は収縮させられ(R)、それにより、動脈をその弛緩直径に対して狭窄させる。この動脈の狭窄により、エネルギーの一部を吸収する脈波に対して一時的なインピーダンスが作り出される。脈波が通過すると、動脈壁はその弛緩状態に戻る。
【0120】
図13は、本技術による減衰デバイス1300の別の実施形態を説明する。図13に示されるように、減衰デバイス1300は、血管外ラップによって画定された減衰部材1302を含むことができる。減衰部材1302は、血管の周りに巻き付けられるように構成された好適な生体適合性の弾性変形可能な材料の略長方形部分から作製されてもよい。あるいは、減衰部材1302は、最初に、血管を受容するための長手方向スリット1304を含む円筒形状を有した状態で提供されてもよい。減衰部材1302は、弾性ポリマーなどの合成物、ニチノール(ニッケルチタン)などの形状記憶及び/又は超弾性材料、トロポエラスチン又はエラスチンなどの組換えヒトタンパク質、並びに他の好適な材料から作製されてもよい。図13に示されるように、減衰部材1302は、大動脈弓と、左総頸動脈が内頸動脈(internal carotid artery、IC)と外頸動脈(external carotid artery、EC)とに分かれる接合部との間の動脈(例えば、頸動脈)の周りに固定されるように構成されている。あるいは又は加えて、減衰部材1302が、腕頭動脈(図示されず)若しくは右総頸動脈(図示されず)、又は前述の動脈のいずれかの遠位分岐、又は上行大動脈などの前述の動脈のいずれかの近位分岐の周りに展開されてもよいことが、当業者によって理解されるであろう。減衰部材1302の対向する縁を、縫合/縫合糸1310、ステープル留め、又は別の連結デバイスなどの連結デバイスを用いて互いに固定することができ、これにより、動脈の外径が減少するようになる。いくつかの実施形態では、連結デバイスを弾性材料から作製することができ、これにより、それが伸長して、脈波を受け入れ、そのエネルギーを吸収するようになる。弾性変形可能な減衰部材1302は、収縮期段階中に半径方向に拡張し、拡張期段階中に半径方向に収縮するように適合されている。減衰部材1302は、弾性変形可能な材料の内径が収縮期段階中の動脈の初期外径よりも小さいが、拡張期段階中の動脈の外径よりも小さくならないように固定される。
【0121】
図14は、動脈血管を治療するための減衰デバイス1400の別の実施形態を描写する。デバイス1400は、図14の弾性変形可能な減衰部材1402の2つの対向する縁がジップロック(登録商標)タイプの連結機構1410を使用して互いに固定されていることを除いて、図13に示される減衰デバイス1300と構造的に類似し得る。
【0122】
図15は、本技術に従って構成された減衰デバイス1500の別の実施形態を示す。減衰デバイス1500は、それを通る管腔1514を画定する略管状固着部材1504(例えば、ステント、メッシュ、編組など)を含む。固着部材は、ステンレス鋼、チタン、ニチノールなどの弾性生体適合性材料から作製されていてもよい。いくつかの実施形態では、固着部材1504は、形状記憶及び/又は超弾性材料から作製されている。固着部材1504の半径方向外面は、動脈壁の内面と並置して位置付けられるように構成されている。固着部材1504の半径方向内面は、衝撃を吸収するように適合された弾性変形可能な材料などの吸収材料1503(例えば、緩衝材料)で裏打ちされているか、又は別様にコーティングされている。管腔1514は、それを通して血流を受容するように構成されている。管腔1514は、固着部材1504が半径方向に拡張されたときに存在するが、展開前の初期収縮構成では存在しなくてもよい。
【0123】
いくつかの実施形態(図示されず)では、減衰デバイスは、左頸動脈若しくは右頸動脈又は腕頭動脈の一部の周りに注入される生体適合性ゲルとすることができる。ゲルは、動脈に作用する外圧を増加させ、それ故に、動脈の外径を減少させる。動脈内で血圧が上昇すると、ゲルは弾性的に変形し、これにより、動脈が収縮期段階中に半径方向に拡張し、拡張期段階中に半径方向に収縮するようになる。
【0124】
図16Aは、展開弛緩状態にある、本技術による減衰デバイス1600の斜視切取図である。図16Bは、減衰デバイス1600によって包囲された動脈Aの部分を通る脈波PWの伝達中の動脈A内に位置付けられた減衰デバイス1600の断面図である。図16A及び図16Bを一緒に参照すると、減衰デバイス1600は、減衰部材1602と、減衰部材1602に連結された構造部材1604とを含む。図16Aでは、構造部材1604の中間部分は、減衰部材1602の構造の特徴を示すために除去されている。図16Aに示されるように、減衰デバイス1600は、展開弛緩状態で略円筒形状を有することができる。減衰デバイス1600は、対向する長手方向縁(図示されず)が縫合糸、ステープル、接着剤、及び/又は他の好適な連結デバイスを介して互いに固定された状態で、動脈の周囲の周りに巻き付くように構成されていてもよい。あるいは、減衰デバイス1600は、長手方向スリットを通して動脈を受容するための長手方向スリットを有することができる。前述の血管外実施形態のいずれかでは、減衰デバイス1600は、内面1612(図16B)が動脈壁の外面に隣接している及び/又はそれと接触するように、動脈Aの周囲の周りに位置付けられるように構成されている。他の実施形態では、減衰デバイス1600は、減衰デバイス1600の外面が動脈壁の内面に隣接している及び/又はそれと接触するように、血管内に(例えば、動脈管腔内に)位置付けられるように構成されている可能性がある。かかる血管内実施形態では、減衰部材1602の内面1612は、動脈Aを通って流れる血液に隣接している又はそれと直接接触する。
【0125】
構造部材1604は、薄型状態から展開状態に拡張するように構成された略円筒形構造とすることができる。構造部材1604は、減衰デバイス1600を動脈の選択された領域に固定するための構造支持を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、構造部材1604は、超弾性及び/若しくは形状記憶材料(例えば、ニチノール)又はステンレス鋼などのレーザ切断金属から形成されたステントとすることができる。構造部材1604の全て又は一部は、送達中のデバイス1600の可視化を改善するために放射線不透過性コーティングを含むことができる、及び/又は構造部材1604は、1つ以上の放射線不透過性マーカーを含んでもよい。他の実施形態では、構造部材1604は、レーザ切断ステントに加えて又はその代わりに、メッシュ又は織物(例えば、編組)構造を備えてもよい。例えば、構造部材1604は、ダイヤモンドパターン又は他の構成で配置された複数の可撓性ワイヤ又はフィラメントから形成された管又は編組メッシュを含むことができる。いくつかの実施形態では、構造部材1604の全て又は一部は、グラフト材料(ダクロンなど)によって被覆されて、血管壁との密封を促進することができる。加えて、構造部材1604の全て又は一部は、1つ以上の生体材料を含むことができる。
【0126】
図16A及び図16Bに示される実施形態では、構造部材1604は、減衰部材1602の半径方向外側に位置付けられており、減衰部材1602の全長に沿って延在する(ただし、図16Aでは、構造部材1604の中間部分は、説明目的のみのために切り取られている)。他の実施形態では、構造部材1604及び減衰部材1602は、他の好適な構成を有してもよい。例えば、減衰デバイス1600は、1つより多くの構造部材1604(例えば、2つの構造部材、3つの構造部材など)を含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、構造部材(複数可)1604は、減衰部材1602の長さの一部が構造部材1604のいずれの部分にも包囲されない及び/又はそれと軸方向に整合しないように、減衰部材1602の一部のみに沿って延在してもよい。また、いくつかの実施形態では、減衰部材1602の全て又は一部は、構造部材1604の全て又は一部の半径方向外側に位置付けられてもよい。
【0127】
図16A及び図16Bに示される実施形態では、減衰部材1602は、近位減衰要素1606a及び遠位減衰要素1606bを含む。減衰部材1602は、近位減衰要素1606aと遠位減衰要素1606bとの間に延在する必要に応じたチャネル1608を更に含んでもよい。チャネル1608は、例えば、減衰デバイス1600に沿って長手方向に延在し、近位減衰要素1606aを遠位減衰要素1606bに流体連結することができる。減衰部材1602は、流体応力(血流など)に応じて変形し、それにより、応力の少なくとも一部を吸収するように構成された軽減物質1610を更に含んでもよい。例えば、図16Bに最もよく示されるように、一実施形態では、軽減物質1610は、近位減衰要素1606a、遠位減衰要素1606b、及びチャネル(複数可)1608に収容された複数の流体粒子F(1つの流体粒子のみがラベル付けされている)を含む。本明細書で使用される場合、「流体」という用語は、液体及び/又は気体を指し、「流体粒子」とは、液体粒子及び/又は気体粒子を指す。いくつかの実施形態では、減衰部材1602はゲルであり、複数の流体粒子Fが固体粒子網内に分散している。他の実施形態では、減衰部材1602は、近位減衰部材1606a、遠位減衰部材1606b、及びチャネル(複数可)1608を画定する可撓性及び/又は弾性膜内に収容された流体粒子Fのみ(例えば、気体粒子のみ、液体粒子のみ、又は気体粒子及び液体粒子のみ)を含んでもよい。軽減物質1610の粘度及び/又は組成は、減衰部材1602の長さ及び/又は周囲に沿って同一であっても変化してもよい。
【0128】
図16A及び図16Bに示される実施形態では、チャネル1608は、それぞれ、近位減衰要素1606a及び遠位減衰要素1606bの静止半径方向厚さt及び円周方向厚さt未満の静止半径方向厚さt及び円周方向厚さt図16A)を有する。図16Aに最もよく示されるように、いくつかの実施形態では、近位減衰要素1606a及び遠位減衰要素1606bは、減衰デバイス1600の全周の周りに延在してもよく、チャネル1608は、減衰デバイス1600の周囲の一部のみの周りに延在してもよい。他の実施形態では、チャネル1608は、近位減衰要素1606a及び遠位減衰要素1606bの静止半径方向厚さtと概ね同じ静止半径方向厚さt図19A及び図19Bの減衰要素1906a~1906c及びチャネル1908を参照されたい)、及び/又は近位減衰要素1606a及び遠位減衰要素1606bの静止円周方向厚さtと概ね同じ静止円周方向厚さtを有することができる。
【0129】
図16Bを参照すると、動脈Aを伝わる脈波PWが減衰部材1602の長さに沿った第1の軸方向位置Lに(例えば、波面WFに)応力を加えると、流体粒子の少なくとも一部が減衰部材1602の長さに沿って第1の軸方向位置Lから離れて第2の軸方向位置Lに移動する。したがって、流体粒子の少なくとも一部は、減衰部材1602の長さに沿って再分配され、これにより、減衰部材1602の内径IDが第1の軸方向位置Lで増加し、別の軸方向位置(例えば、L)で内径IDが減少するようになる。例えば、波面WFがデバイス1600の近位部分1600aを通過すると、波面WFと整列した動脈Aの部分が拡張し、それにより、近位減衰要素1606aに応力を加え、近位減衰要素1606a内の流体粒子の少なくとも一部を減衰部材1602内で遠位に移動させる。移動した流体粒子の少なくとも一部は、チャネル(複数可)1608を通って遠位減衰要素1606bに押し込まれ、それにより、遠位減衰要素1606bの体積を増加させ、減衰デバイス1600の内径IDを遠位部分1600bで減少させる。減衰デバイス1600の内径IDの減少により、血流が遠位減衰部材1606bに到達したときに脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収するインピーダンスが血流に提供される。その後、波面WFがデバイス1600の遠位部分1600bを通過すると、波面WFと整列した動脈Aの部分が拡張し、それにより、遠位減衰要素1606bに応力を加え、現在遠位減衰要素1606b内にある流体粒子の少なくとも一部を減衰部材1602内で近位に移動させる。移動した流体粒子の少なくとも一部は、チャネル(複数可)1608を通って近位減衰要素1606aに押し込まれ、それにより、近位減衰要素1606aの体積を増加させ、デバイス1600の内径IDを近位部分1600aで減少させる。脈波に応じた流体粒子の移動及び/又は減衰部材1602の変形により、脈波によって運ばれたエネルギーの少なくとも一部が吸収され、それにより、本デバイスの遠位の動脈壁に対する応力を減少させる。
【0130】
減衰部材1602が脈波に応じて変形したとき、構造部材1604の形状は、概ね不変のままであってもよく、それにより、減衰部材1602内の及びそれに沿った流体粒子の再分配を促進するための支援を提供する。他の実施形態では、構造部材1604は、局所流体応力に応じて変形する場合もある。
【0131】
図17Aは、本技術による減衰デバイス1700の別の実施形態の斜視図である。図17Bは、減衰デバイス1700によって包囲された動脈Aの部分を通る脈波PWの伝達中の動脈A内に位置付けられた減衰デバイス1700の断面図である。減衰デバイス1700は、構造部材1704及び減衰部材1702を含むことができる。構造部材1704は、図16A及び図16Bに示される構造部材1604と概ね類似し得る。減衰部材1702は、軽減物質1610を含む単一のチャンバ1705と、チャンバ1705を3つの流体連結された区画1706a、1706b、及び1706cに分離する複数のバッフル1720とによって画定される。バッフル1720は、減衰部材1702の半径方向厚さの一部のみに延在し、それにより、バッフル1720の端部と減衰部材1702の内壁1722との間に間隙Gを残す。他の実施形態では、減衰デバイス1700は、より多くの又はより少ない区画(例えば、単一の管状区画(バッフルなし)、2つの区画、4つの区画など)を含むことができる。更に、バッフル1720は、減衰部材1702の周囲の全て又は一部の周りに延在してもよい。
【0132】
図18Aは、本技術による減衰デバイス1800の別の実施形態の斜視図であり、図18Bは、展開状態で示される、動脈Aの周りに位置付けられた減衰デバイス1800の正面図である。図18A図18Bを一緒に参照すると、減衰デバイス1800は、展開弛緩状態で、管腔を画定する略管状側壁1805を含む。減衰デバイス1800は、マンドレルの周りに螺旋構成で巻き付けられ、かつヒートセットされた略平行四辺形の要素から形成することができる。他の実施形態では、減衰デバイス1800は、広げられた非展開状態で他の好適な形状及び構成を有することができる。図18Bに示されるように、展開状態で、減衰デバイス1800は、脳に血液を供給する動脈の周囲に沿って又はその周りに螺旋状に巻き付けられるように構成されている。減衰デバイス1800の対向する長手方向縁1807は、展開状態で一緒になって、動脈Aの長手方向軸に沿って螺旋経路を形成する。減衰デバイス1800は、対向する長手方向縁の全て又は一部を互いに固定するために図13図15に関して記載される連結デバイスのうちのいずれかを含むことができる。
【0133】
図18Aに最もよく示されるように、減衰デバイス1800の側壁1805は、構造部材1804及び減衰部材1802を含む。構造部材1804は、図18A及び図18Bの構造部材1804が展開状態で螺旋構成を有することを除いて、図16A及び図16Bに示される構造部材1604と概ね類似し得る。減衰部材1802は、本明細書に記載の減衰部材のうちのいずれか、特に、図13図17B並びに図19A及び図19Bに関して記載されるものと概ね類似し得る。図18A及び図18Bに示される実施形態では、減衰部材1802は、減衰デバイス1800が展開状態にあるとき、構造部材1804の半径方向内側に位置付けられる。他の実施形態では、減衰部材1802は、減衰デバイス1800が展開状態にあるとき、構造部材1804の半径方向外側に位置付けられてもよい。
【0134】
減衰デバイス1800は、内面1812(図18A)が動脈壁の外面に隣接している及び/又はそれと接触するように、動脈Aの周囲の周りに巻き付くように構成されていてもよい。他の実施形態では、減衰デバイス1800は、減衰デバイス1800の外面が動脈壁の内面に隣接している及び/又はそれと接触するように、血管内に(例えば、動脈管腔内に)位置付けられるように構成されている可能性がある。かかる血管内実施形態では、減衰部材1802の内面1812は、動脈Aを通って流れる血液に隣接している又はそれと直接接触する。
【0135】
図19A及び図19Bは、それぞれ、図18A及び図18Bに示される減衰デバイス1800の一実施形態を定義することができる減衰デバイス1900の斜視図及び上面図である。図19A及び図19Bでは、減衰デバイス1900は、広げられた非展開状態で示されている。減衰デバイス1900は、広げられた状態で減衰デバイス1900の長手方向寸法に沿って離間された複数のチャンバ1906a、1906b、1906cを有する減衰部材1902を含む。チャンバ1906a、1906b、1906cは、隣接するチャンバ間に延在するチャネル1908によって流体連結されていてもよい。したがって、減衰デバイス1900は、チャンバ1906a~1906c内の軽減物質(図19A及び図19Bには図示されず)がチャネル1908を通って移動して、血管を伝わる圧力波に応じて個々のチャンバを膨張/収縮させる減衰デバイス1600と同様の様式で動作することができる。チャンバ1906a~c内の軽減物質の移動により、脈波のエネルギーが弱まり、減衰デバイス1900の遠位の脈波の衝撃が減少する。
【0136】
IV.神経学的状態を治療するための選択された治療剤
埋め込み型減衰デバイスを提供することに加えて、本技術は、神経障害を治療するための治療剤を提供することを含む。当業者であれば、本明細書で論じられる治療剤が本技術における治療剤のタイプの例証であり、本技術が本明細書で明示的に論じられる治療剤に限定されないことを理解するであろう。例えば、本明細書に明示的に記載されていないが、本明細書で提供される治療剤のクラス内にある治療剤、及び/又は本明細書で論じられる神経学的状態を治療する治療剤が、本技術に含まれる。
【0137】
神経認知障害及び/又は神経変性障害などの神経学的状態を治療するための治療剤としては、米国食品医薬品局(「Food and Drug Administration of the United States of America、FDA」)によってヒト対象における使用が承認された治療剤、FDA又は他の国の他の同様の組織に準拠する臨床試験などのヒト対象における使用を調査するために現在臨床試験中の治療剤、前臨床治療剤、及び神経学的状態を治療するための又は神経学的状態の治療を意図した任意の他の治療剤、例えば、調査治療剤、開発中であるか又は別様に開発が検討されている治療剤、並びに神経学的状態の治療又はその治療の意図に潜在的に有用であると特定された治療剤が挙げられる。神経認知障害、神経変性障害、又は他の神経学的障害などの神経学的状態の例としては、アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度認知障害、脳アミロイド血管症、前頭側頭型認知症、血管性認知症、加齢性認知症、アミロイドーシス、レビー小体病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、フリートライヒ運動失調症、及び外傷性脳損傷が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、これらの治療剤は、1つより多くのクラスの治療剤、1つより多くの作用機序、1つより多くの治療標的、及び1つより多くの治療目的を表す。
【0138】
本明細書で論じられる治療剤は、疾患修飾治療剤、対症向知性薬、並びに/又は神経精神変化及び行動変化に対処する対症剤などの異なる治療目的を有する。疾患修飾治療剤は、例えば、神経学的状態の病態生理を変化させる。対症療法剤は、例えば、神経学的状態に関連する症状を軽減及び/又は緩和する。いくつかの実施形態は、治療剤は、疾患修飾療法及び対症療法である。いくつかの実施形態では、治療剤は、1つより多くの治療剤を含んでもよい。
【0139】
いくつかの実施形態では、本技術の治療剤は、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、及び老化細胞除去剤を含むが、これらに限定されない治療剤の一般的なクラスのメンバーである。
【0140】
いくつかの実施形態では、本技術の治療剤は、異なる作用機序を有する。いくつかの実施形態では、治療剤は、その作用機序に基づいて、それを必要とする対象への投与のために選択される。例えば、アルツハイマー病などの神経学的状態を治療するためのいくつかの治療剤は、対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する。いくつかの実施形態では、治療剤は、対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質(β-amyloid protein、Aβ)の発現及び/又は蓄積を予防する。例えば、アルツハイマー病などの神経学的状態を治療するためのいくつかの治療剤は、対象における全身性炎症、血液脳関門炎症、全身性炎症、血液脳関門炎症、又は神経炎症を軽減する。いくつかの実施形態では、アルツハイマー病などの神経学的状態を治療するための治療剤は、内皮保護効果を有する。いくつかの実施形態では、治療剤は、炎症(例えば、血液脳関門炎症、神経炎症、全身性炎症)を軽減することによって、活性酸素種(例えば、酸化ストレス)を減少させることによって、虚血を軽減することによって、及び/又はアミロイドベータを減少させることによって、アルツハイマー病、他の神経学的状態、又は認知低下を治療する、予防する、又は遅延させる。例えば、炎症を、VCAM-1、ICAM-1、TNFα、TGF-β、IL-6、IL-8、IL-1β、IL-12、及びNF-κBを含む、対象における(例えば、循環している又は対象の脳脊髄液(CSF)中の)1つ以上のサイトカイン、ケモカイン、及び/又は炎症マーカーのレベルを直接若しくは間接的に低下させることによって、並びに/又はIL-1Rα誘導体(例えば、Anakinra(登録商標))などのペプチドベースの治療薬を対象に投与することによって軽減させることができる。対象における活性酸素種は、対象が状態を有する前と比較して、又は状態を有さない対象と比較して増加し得る。他の実施形態では、治療剤は、MMPを阻害することによって、老化細胞を排除することによって、密着結合を改善することによって、又はTIMPの転写活性化を誘導することによって、アルツハイマー病、他の神経学的状態、又は認知低下を治療する、予防する、又は遅延させる。
【0141】
本明細書に記載の治療剤のいずれも、並びに本明細書に記載の治療剤の一般的なクラスのメンバーである他の治療剤は、それを必要とする対象に、対象(例えば、前方圧縮波強度(forward compression wave intensity、FCWI)上昇を有する対象又は脈圧上昇を有する対象などであるが、これらに限定されない)内に埋め込み型減衰デバイスを位置付ける前、位置付けている間、又は位置付けた後に、治療有効用量で投与される。非限定的な脈圧上昇値としては、少なくとも約10,000の最高四分位数頸動脈FCWI(mmHg m/s)、少なくとも約125mmHgの収縮期血圧(mmHg)、少なくとも約50mmHgの脈圧、最大約70mmHgの拡張期血圧、及び/又は少なくとも約88mmHgの平均動脈圧が挙げられる。いくつかの実施形態では、少なくとも約10,000の頸動脈FCWI範囲(mmHg m/s)、少なくとも約135mmHgの収縮期血圧(mmHg)、少なくとも約55mmHgの脈圧、最大約75mmHgの拡張期血圧、及び/又は少なくとも約95mmHgの平均動脈圧。いずれの特定の用量又は投与レジメンに拘束されるよう意図することなく、治療有効用量は、治療剤を必要とする対象に投与された場合に、対象の状態(例えば、神経変性状態、認知低下)を治療する又は少なくとも部分的に治療する、その影響を軽減する、又はその影響を少なくとも部分的に軽減する治療剤の量である。治療剤の各々の治療有効用量は、治療剤の1つ以上の特徴(例えば、生物活性、薬物動態、薬力学、及び生物学的利用能)、対象の生理学的状態(例えば、年齢、性別、疾患のタイプ及び段階、全身健康状態、所与の投薬量に対する応答性、並びに薬物の種類)、及び投与経路を含むが、これらに限定されない様々な要因に基づいて選択される。
【0142】
A.EDG受容体ファミリーモジュレーター
リゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid、LPA)及びスフィンゴシン-1-リン酸(sphingosine-1-phosphate、S1P)は、共通の受容体ファミリーに作用することによって細胞応答に対して同様の効果を有し得るリゾリン脂質(lysophospholipid、LPL)である。内皮細胞分化遺伝子(Endothelial Cell Differentiation Gene、EDG)受容体は、S1P及びLPAの両方の受容体として機能するGタンパク質共役受容体(G-Protein Coupled Receptor、GPCR)のファミリーである。以下の表1に特定されるEDG受容体は、2つのサブファミリーに分類され、それらが結合するリガンド(S1P又はLPA)に従って命名される。
【0143】
【表1】
【0144】
S1P又はLPAによるEDG受容体の活性化は、増殖、細胞生存、遊走、分化、及び細胞骨格組織化、並びにサイトカイン分泌を含む、細胞に対して複数の効果を有する。これらの効果に加えて、これらのS1P及びLPAは、炎症性血管疾患、自己免疫疾患、線維性疾患、がん、炎症、及び骨疾患を含む多くの病態生理学的プロセスに関与している。したがって、EDG受容体ファミリーモジュレーター(例えば、S1P受容体アゴニスト、LPA受容体アゴニスト)が、本明細書に記載の実施形態に従って使用され得る。
【0145】
S1Pは、内皮バリア機能を増強し、eNOSのAkt媒介リン酸化を介して内皮NO放出を刺激し、高密度リポタンパク質を再構成することが示されている。S1Pは、抗炎症特性も有し、エンドトキシン誘導性肺損傷に対して保護効果を発揮する。更に、S1Pは、脂肪由来幹細胞の内皮様細胞への分化及びこれらの細胞におけるeNOSのアップレギュレーションに対して強力な効果を呈する。S1Pのこれらの特性は、その内皮保護効果に寄与し得る。したがって、いくつかの実施形態では、EDG受容体ファミリーモジュレーターは、S1P受容体アゴニストである。
【0146】
いくつかの実施形態では、S1P受容体アゴニストは、フィンゴリモド(別名、FTY720又はGilenya(登録商標))、シポニモド(Mayzent(登録商標))、オザニモド、又はポネシモドである。これらのS1P受容体アゴニストは、S1P1及び/又はS1P5の活性化により血液脳関門完全性に有益であり得る。ある特定の実施形態では、S1P受容体アゴニストは、フィンゴリモド(別名、FTY720又はGilenya(登録商標))である。FTY720は、FTY720-Pへのリン酸化後、経口的に活性なS1P模倣物である。フィンゴリモドは、自己免疫疾患及び臓器移植の分野における療法のために開発されたものであり、多発性硬化症用の臨床的に承認された免疫調節療法である。フィンゴリモドは、強力な抗炎症効果を示し、S1P受容体活性化は、アテローム性動脈硬化症病変などの炎症性血管疾患の進行の抑制をもたらし得る。フィンゴリモドは、血管新生を促進し、虚血性脳損傷を軽減し、脳損傷を修復することも示されており、血液脳関門損傷を逆転させる(又はBBB完全性を保存する)能力を有し得る。フィンゴリモドは、Aβ蓄積の感染誘導性増強を弱めることも示されている。他の実施形態では、S1P受容体アゴニストは、シポニモドである。フィンゴリモドと同様に、シポニモドは、S1P1及びS1P5を調節することによってBBB特性を強化することが示されている。
【0147】
EDG受容体ファミリーモジュレーターは、それを必要とする対象を治療するのに有効な任意の治療有効用量で投与することができる。ある特定の実施形態では、有効用量は、FDA承認用量又は当業者に既知の標準治療内の任意の適応外使用に相当する。例えば、フィンゴリモド及び/又はシポニモドが使用されるある特定の実施形態では、フィンゴリモド及び/又はシポニモドは、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.25mg、又は2mgの用量で推奨されるように投与されてもよい。ポネシモドが使用される他の実施形態では、ポネシモドは、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、又は20mgの用量で推奨されるように投与されてもよい。オザニモドが使用される他の実施形態では、オザニモドは、0.23mg、0.46mg、又は0.92mgの用量で推奨されるように投与されてもよい。
【0148】
他の実施形態では、有効用量は、FDA承認用量よりも低い用量又は高い用量に相当する。例えば、いくつかの実施形態では、EDG受容体ファミリーモジュレーターの用量は、約1~約500μg/kg体重の範囲である。例えば、投薬量は、約1μg/kg~約10μg/kg、約0.1μg/kg~約50μg/kg、約1μg/kg~約100μg/kg、約1μg/kg~約150μg/kg、又は約1μg/kg~約200mg/kg、約1μg/kg~約250μg/kg、約1μg/kg~約300μg/kg、約1μg/kg~約350μg/kg、約1μg/kg~約400μg/kg、約1μg/kg~約450μg/kg、約1μg/kg~約500μg/kg、約1μg/kg~約750μg/kg、又は約1μg/kg~約1mg/kg、又は約1μg/kg~約2mg/kgである。例えば、投薬量は、約1μg/kg、約2.5μg/kg、約5μg/kg、約10μg/kg、約20μg/kg、約30μg/kg、約40μg/kg、約50μg/kg、約100μg/kg、約150μg/kg、約200μg/kg、約250μg/kg、約300μg/kg、約350μg/kg、約400μg/kg、約450μg/kg、約500μg/kg、約750μg/kg、約1mg/kg、又は約2mg/kgの1つ以上の用量も含む。(又はそれらの任意の組み合わせ)。いくつかの実施形態では、EDG受容体ファミリーモジュレーターは、約0.001mg未満、約0.001mg、約0.01mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.45mg、約0.5mg、約0.55mg、約0.6mg、約0.65mg、約0.7mg、約0.75mg、約0.8mg、約0.85mg、約0.9mg、約0.95mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、又は約20mg超の一定用量で投与される。
【0149】
いくつかの実施形態では、EDG受容体ファミリーモジュレーターは、1日1回、1日2回、又は1日2回より多く投与される。他の実施形態では、EDG受容体ファミリーモジュレーターは、より少ない頻度で、例えば、週1回、週2回、週3回、週4回、週5回、又は週6回投与される。ある特定の実施形態では、EDG受容体ファミリーモジュレーターは漸増されてもよく、ここで、EDG受容体ファミリーモジュレーターは最初に低用量で投与され、その後、所望の有効用量に達するまで漸増的に増加される。いくつかの実施形態では、EDG受容体ファミリーモジュレーターは、長期的に投与される。いくつかの実施形態では、EDG受容体ファミリーモジュレーターの投薬量は、1回以上の別個の投与で又は連続注入によって投与される。
【0150】
B.マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤
マトリックスメタロプロテイナーゼ(matrix metalloproteinase、MMP)は、一緒にかつ他のプロテアーゼクラスと作用して、細胞外マトリックスを入れ替え、細胞表面タンパク質を切断し、かつ多くの分泌生物活性分子の機能を変化させる23個の分泌プロテアーゼ又は細胞表面プロテアーゼを包含する。血管系では、MMPは、血管平滑筋、内皮細胞、及び炎症細胞の遊走、増殖、及びアポトーシスに影響を及ぼし、それにより、内膜形成、アテローム性動脈硬化症、及び動脈瘤に影響を及ぼす。したがって、MMP阻害剤は、血管疾患の治療における使用について研究されている。例えば、天然に存在するMMP組織阻害剤(tissue inhibitor of MMP、TIMP)、テトラサイクリンなどの多面的メディエーター、化学的に合成された低分子量MMP阻害剤(MMP)、及び阻害抗体は全て、血管疾患の動物モデルにおいて効果を有することが示されている。したがって、MMP阻害剤は、本明細書に記載の実施形態に従って使用され得る。いくつかの実施形態では、MMP阻害剤は、イロマスタット、マリマスタット、プリノマスタット、バチマスタット、シペマスタット、アンデカリキシマブ、又はドキシサイクリンである。ある特定の実施形態では、MMP阻害剤は、ドキシサイクリンである。
【0151】
MMPを直接阻害するかかる薬剤に加えて、他の薬剤が、MMP媒介プロセスを間接的に阻害するように作用し得る。例えば、グルココルチコイドは、いくつかの細胞及び動物モデルにおいて密着結合を保護し、かつBBB破壊を回避するための治療的介入として研究されている。デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、及びコルチコステロンなどのグルココルチコイドは、血管内皮細胞中の密着結合タンパク質レベル上昇により、改善された密着結合を誘導する。グルココルチコイドによる密着結合におけるこの改善は、細胞骨格の再編成にも関連する。更に、特にデキサメタゾンは、MMP-9のサイトカイン誘導性アップレギュレーションを阻害することが示されている。デキサメタゾンは、TIMP-1(メタロプロテイナーゼ-1組織阻害剤)及びTIMP-3の転写活性化も誘導し、これにより、密着結合タンパク質のMMP-9媒介分解が阻止され得る。加えて、デキサメタゾンは、推定上の負のグルココルチコイド応答エレメントを介してJMJD3遺伝子活性化を抑制し、脳微小血管内皮細胞における密着結合の完全性を維持する。更に、BBB破壊後のデキサメタゾン投与は、BBB完全性の回復を促進し、その後の炎症マーカーの産生の上昇を防止することが見出されている。したがって、デキサメタゾンなどのグルココルチコイドを本明細書に記載の実施形態に従って使用して、抗炎症剤及び間接的MMP阻害剤の両方として作用することができる。
【0152】
MMP阻害剤は、直接であるか間接であるかにかかわらず、それを必要とする対象を治療するのに有効な任意の治療有効用量で投与することができる。ある特定の実施形態では、有効用量は、FDA承認用量又は当業者に既知の標準治療内の任意の適応外使用に相当する。例えば、いくつかの実施形態では、ドキシサイクリンが使用される場合、ドキシサイクリンは、20mg、25mg、40mg、50mg、60mg、75mg、80mg、100mg、120mg、150mg、200mg、240mg、又は300mgの用量;100mg/日、100~200mg/日、又は200mg/日の1日投薬量で推奨されるように投与されてもよい。デキサメタゾンが使用される他の実施形態では、デキサメタゾンは、0.5mg、0.75mg、1mg、1.5mg、2mg、3mg、4mg、6mg、7mg、8mg、10mg、20mgの用量;4~8mg、8~12mg、4~24mg、10~100mgの範囲内の用量;0.2~6mg/日、0.75~9mg/日、3mg/日、30mg/日の1日投薬量;又は1~6mg/kg体重若しくは3mg/kg体重の用量で推奨されるように投与されてもよい。
【0153】
他の実施形態では、有効用量は、FDA承認用量よりも低い用量又は高い用量に相当する。例えば、いくつかの実施形態では、MMP阻害剤の用量は、約0.1~約10mg/kg体重の範囲である。例えば、投薬量は、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.1mg/kg~約2mg/kg、約0.1mg/kg~約3mg/kg、約0.1mg/kg~約4mg/kg、約0.1mg/kg~約5mg/kg、約0.1mg/kg~約6mg/kg、約0.1mg/kg~約7mg/kg、約0.1mg/kg~約8mg/kg、約0.1mg/kg~約9mg/kg、又は約0.1mg/kg~約10mg/kgである。例えば、投薬量は、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.25mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.75mg/kg、約1.0mg/kg、約1.5mg/kg、約2.0mg/kg、約3.0mg/kg、約4.0mg/kg、約5.0mg/kg、約6.0mg/kg、約7.0mg/kg、約8.0mg/kg、約9.0mg/kg、約10mg/kg、又は約10mg/kg超(又はそれらの任意の組み合わせ)の1つ以上の用量も含む。いくつかの実施形態では、MMP阻害剤は、約0.1mg、約1.5mg、約0.2mg、約2.5mg、約0.3mg、約3.5mg、約0.4mg、約0.45mg、約0.5mg、約0.55mg、約0.6mg、約0.65mg、約0.7mg、約0.75mg、約0.8mg、約0.85mg、約0.9mg、約0.95mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg、約3.5mg、約4.0mg、約4.5mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約400mg、約500mg、約1000mg、又はそれ以上の一定用量で投与される。
【0154】
いくつかの実施形態では、MMP阻害剤は、1日1回、1日2回、又は1日2回より多く投与される。他の実施形態では、EDG受容体ファミリーモジュレーターは、より少ない頻度で、例えば、週1回、週2回、週3回、週4回、週5回、又は週6回投与される。ある特定の実施形態では、EDG受容体ファミリーモジュレーターは漸増されてもよく、ここで、EDG受容体ファミリーモジュレーターは最初に低用量で投与され、その後、所望の有効用量に達するまで漸増的に増加される。いくつかの実施形態では、MMP阻害剤は、長期的に投与される。いくつかの実施形態では、MMP阻害剤の投薬量は、1回以上の別個の投与で又は連続注入によって投与される。
【0155】
C.老化細胞除去剤
老化細胞除去剤は、老化細胞を選択的に排除する分子であり、典型的には、加齢性疾患を治療するための候補として調査されている。本明細書に記載の実施形態に従って使用することができる老化細胞除去剤の非限定的な例としては、FOXO4関連ペプチド、bcl-2阻害剤、Srcチロシンキナーゼ阻害剤、USP7(ユビキチン特異的プロセシングプロテアーゼ7)阻害剤、ダサチニブ、ケルセチン、フィセチン、ナビトクラックス、ピペルロングミン、アジトロマイシン、ロキシスロマイシン、SSK1(老化特異的死滅化合物1)、BIRC5又は他の遺伝子配列(例えば、がん又は損傷マーカー遺伝子配列)をノックアウトするために使用されるCrispr/Cas9、及び腎臓型グルタミナーゼ1(GLS1)阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
いくつかの実施形態では、老化細胞除去剤の組み合わせを、本明細書で論じられる方法及び治療に従って使用することができる。いくつかの実施形態では、老化細胞除去剤の組み合わせは、ダサチニブとケルセチンとの組み合わせ(D+Q)である。D+Qは、アルツハイマー病モデルにおいて、加齢性脳炎症、Aβ関連オリゴデンドロサイト前駆細胞老化、及び認知障害を軽減することが見出されている。
【0157】
老化細胞除去剤(単独で又は組み合わせで)は、それを必要とする対象を治療するのに有効な任意の治療有効用量で投与することができる。ある特定の実施形態では、有効用量は、FDA承認用量又は当業者に既知の標準治療内の任意の適応外使用に相当する。例えば、ダサチニブが使用されるいくつかの実施形態では、ダサチニブは、20mg、50mg、70mg、80mg、100mg、140mg、180mgの用量で推奨されるように投与されてもよい。ケルセチンが使用される他の実施形態では、ケルセチンは、400mg、500mg、1000mg、又は400~1400mgの用量で推奨されるように投与されてもよい。組み合わせD+Qが使用されるある特定の実施形態では、D+Qは、100mgのダサチニブを1000mgのケルセチンと組み合わせた用量で、又は上述の推奨用量の任意の組み合わせで投与されてもよい。
【0158】
他の実施形態では、老化細胞除去剤(単独で又は組み合わせで)の用量は、約0.0001~約500mg/kg体重の範囲である。例えば、投薬量は、約0.1mg/kg~約500mg/kg、約0.1mg/kg~約250mg/kg、約0.1mg/kg~約100mg/kg、約0.1mg/kg~約50mg/kg、又は約0.1mg/kg~約25mg/kgである。例えば、投薬量は、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約1.5mg/kg、約2.0mg/kg、約3.0mg/kg、約4.0mg/kg、約5.0mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90/mg/kg、約100mg/kg、約200mg/kg、約300mg/kg、約400mg/kg、又は約500mg/kg(又はそれらの任意の組み合わせ)の1つ以上の用量も含む。いくつかの実施形態では、老化細胞除去剤(単独で又は組み合わせで)は、約1mg、約5mg、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約500mg、約1000mg、又はそれ以上の一定用量で投与される。例えば、老化細胞除去剤(単独又は組み合わせで)は、1~50用量で投与される(例えば、この療法は、単回用量、2回用量、3回用量、4回用量、5回用量などで送達されてもよい)。いくつかの実施形態では、投与される総用量は、約25mg~約5000mg以上、約50mg~約2500mg、約50mg~約2000mg、約50mg~約1500mg、約50mg~約1000mg、約50mg~約500mg、約50mg~約100mgの範囲、又は対象の状態に対して治療効果を有する任意の他の範囲である。例えば、投与される総用量は、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約1000mg、約1200mg、約1500mg、約1800mg、約2000mg、約2500mg、約3000mg、約4000mg、約5000mg、又はそれ以上とすることができる。いくつかの実施形態では、老化細胞除去剤(単独で又は組み合わせで)は、長期的に投与される。いくつかの実施形態では、老化細胞除去剤(単独又は組み合わせで)の投薬量は、1回以上の別個の投与で又は連続注入によって投与される。
【0159】
当業者であれば、前述の療法及び付随する説明が例証目的のためのものであり、本技術のある特定の実施形態に提供され得る療法を限定しないことを理解するであろう。したがって、神経変性状態などの神経学的状態を治療するのに有用な又は治療するように設計されたあらゆる療法が、本技術のある特定の実施形態に存在し得る。
【0160】
V.埋め込み型減衰デバイスと治療剤との組み合わせを用いて神経学的状態を治療する選択された方法
埋め込み型減衰デバイスを用いて対象の脈圧を低下させることにより、対象の状態(例えば、神経学的状態)の発症、持続期間、及び/又は進行に寄与する他の要因に対して後続の下流影響が及ぼされる。対象の脈圧を低下させるための本開示のデバイスの使用を、対象に投与されると、ある特定の転帰に対する脈圧の低下の効果を増強する治療剤と組み合わせることにより、対象の神経学的状態の発症、持続期間、及び/又は進行の更なる軽減及び防止がもたらされる。これらの転帰を軽減させることにより、炎症(例えば、神経炎症、全身性炎症、血液脳関門炎症)軽減、活性酸素種(例えば、酸化ストレス)減少、虚血軽減、血液脳関門完全性回復、及び他の利益がもたらされる。これは、進行性認知機能障害及び認知症などの状態に罹患している対象に起こる。限定することを意図するものではないが、最高四分位数のFCWI値を有する対象は、本開示の埋め込み型減衰デバイスを用いて達成されるFCWI、収縮期加速時間、収縮期圧、及び/又は脈圧値の減少から利益を得ると考えられる。
【0161】
いくつかの生物学的経路、例えば、本明細書に記載のものは、神経学的状態(例えば、認知症)に寄与し得る。いずれの特定の理論にも束縛されるよう意図することなく、2つ以上の生物学的経路を妨害すること(例えば、その機能を変化させること、それに影響を及ぼすこと、それを損なうこと、それを阻害すること、それを減少させること、又はそれを別様に変化させること)は、単一の生物学的経路を妨害するよりも、対象の神経学的状態及び/又はその症状を治療する、予防する、又は別様に軽減するのにより有効であると考えられる。このようにして、本技術の埋め込み型減衰デバイスと少なくとも1つの治療剤とを組み合わせることによる効果は、埋め込み型減衰デバイス単独及び治療剤単独の効果と比較して、相補的、相加的、又は更には相乗的であり得る。したがって、これらの他の要因に影響を及ぼす1つ以上の治療剤と埋め込み型減衰デバイスを組み合わせることにより、状態の1つ以上の影響が更に治療される及び/又は遅延する。
【0162】
上述のように、本技術の併用療法は、埋め込み型減衰デバイスと、状態の進行を治療する及び/又は予防するための治療剤とを含む。本技術のいくつかの実施形態は、例えば、見出しI~IIIにおける上述の埋め込み型減衰デバイスと、これらの要因を標的とする1つ以上の治療剤とを含む併用療法を対象とする。これらの治療剤のうちのいくつかは、見出しIVにおいて上述されており、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、及び老化細胞除去剤を含むが、これらに限定されない。組み合わせられると、本技術の埋め込み型減衰デバイス及び治療剤は、埋め込み型減衰デバイス単独又は治療剤単独のいずれかの効果と比較して、対象の状態の1つ以上の側面の治療及び/又は予防により大きい効果を有する。例えば、対象の脈圧を低下させる埋め込み型減衰デバイスと、全身性炎症を軽減し、かつBBB完全性を促進する治療剤とを提供し、それにより、進行性認知機能障害及び認知症を治療及び/又は予防する。脈圧上昇を有する対象又は別様に脈圧低下から利益を得るであろう対象は、透過性増加を伴う血液脳関門、1つ以上の微小出血、炎症増加、酸化ストレス増加、又は他の血管機能障害を有する場合もある。埋め込み型減衰デバイスは、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、及び老化細胞除去剤などの治療剤の前、後、又はそれと同時に、脈圧上昇を有する対象又は別様に脈圧低下から利益を得るであろう対象に提供することができる。
【0163】
本開示の方法は、状態を有する患者を治療するための方法であって、(a)当該患者が、脈圧上昇若しくは脈波強度/FCWI上昇を有し、かつ血液脳関門調節不全若しくは透過性、活性酸素種(例えば、酸化ストレス)減少、微小出血減少、炎症(例えば、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症)軽減、少なくとも1つの循環若しくは脳脊髄液(cerebral spinal fluid、CSF)サイトカインレベル低下、又はそれらの組み合わせの既往歴を有するかを、(i)当該患者が、脈圧上昇若しくは脈波強度/FCWI上昇を有し、かつ血液脳関門調節不全若しくは透過性、酸化ストレス、微小出血、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、又はそれらの組み合わせの症状を以前に有したことがあること、及び/又は微小出血、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断されたこと、を示す情報を取得すること若しくは取得されたことがあること、並びに/又は(ii)当該対象を、脈圧上昇若しくは脈波強度/FCWI上昇、及び血液脳関門調節不全若しくは透過性、酸化ストレス、微小出血、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、又はそれらの組み合わせの症状について監視すること若しくは監視されたことがあること、によって決定する工程若しくは決定されたことがある工程を含む、方法を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、(b)当該患者が、血液脳関門調節不全若しくは透過性、酸化ストレス、微小出血、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、又はそれらの組み合わせの症状を以前に有したことがある場合、当該患者が、微小出血、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断された場合、及び/又は血液脳関門調節不全若しくは透過性、酸化ストレス、微小出血、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、又はそれらの組み合わせの症状が監視された場合、(i)当該患者に、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、又は老化細胞除去剤を提供することと、(ii)当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスを提供することも含む。いくつかの実施形態では、本方法は、(c)当該患者が、血液脳関門調節不全若しくは透過性、酸化ストレス、微小出血、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、又はそれらの組み合わせの症状を有したことがない場合、当該患者が、血液脳関門調節不全若しくは透過性、酸化ストレス、微小出血、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断されなかった場合、当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための当該デバイスを提供することを更に含む。
【0164】
図20は、対象の状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための方法2000を説明する流れ図である。ブロック2200で、方法2000は、状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスを提供する。本デバイスは、本技術の埋め込み型減衰デバイスであり、対象の血管と並置して設置されるように構成されている。本技術の他のデバイスと同様に、方法2000で提供される本デバイスは、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成された内面と、外面との両方を有する可撓性減衰部材を含む。加えて、軽減物質が部分的に変形可能な部分内に配置され、血管内の拍動血流に応じてその中で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている。ブロック2600では、方法2000は、状態の1つ以上の影響を治療する又は遅延させるEDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、又は老化細胞除去剤を、埋め込み型減衰デバイスと組み合わせて提供する。いくつかの実施形態では、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、又は老化細胞除去剤は、埋め込み型減衰デバイスの前に、埋め込み型減衰デバイスの最大約24時間前までに、最大約7日前までに、最大約4週間前までに、最大約12ヶ月前までに、又は最大約5年前までに対象に提供される。他の実施形態では、埋め込み型減衰デバイスは、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤の前に、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤の最大約24時間前までに、最大約7日前までに、最大約4週間前までに、最大約12ヶ月前までに、又は最大約5年前までに対象に提供される。例えば、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、及び/又は埋め込み型減衰デバイスは、それぞれ、埋め込み型減衰デバイス、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤の約0~約24時間前に、約1~約20時間前に、約3~約12時間前に、約5~約10時間前に、約1日~約7日前に、約2日~約6日前に、約3日~約5日前に、約1週間~約4週間前に、約2週間~約4週間前に、約1週間~約3週間前に、約2週間~約3週間前に、約1年~約5年前に、約1年~約4年前に、約2年~約5年前に、約2年~約4年前に、約3年~約4年前に、又は約4年~約5年前に対象に提供される。
【0165】
本明細書に開示される前述の方法及び追加の方法の工程を任意の順序で行うことができる。例えば、工程(b)は、工程(a)の後かつ工程(c)の前に行われる。別の例として、工程(c)は、工程(a)の後かつ工程(b)の前に行われる。
【0166】
上の見出しIVに記載されるように、本技術の方法のEDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、又は老化細胞除去剤は、投与によって対象に提供される。
【0167】
本技術の方法に有用なデバイスには、本開示の埋め込み型減衰デバイス、例えば、内面であって、血管内の拍動血流に応じて1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成された1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成された側壁の1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質とを備えるデバイスが含まれる。
【0168】
本技術の埋め込み型減衰デバイスと組み合わせられた場合、本明細書に記載の治療剤は、埋め込み型減衰デバイスの不在下(例えば、治療剤を埋め込み型減衰デバイスと組み合わせてではなく単独で受けている対象)で提供される同じ治療剤の第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される。例えば、認知症などの神経変性状態を有する対象は、埋め込み型減衰デバイスが提供されることなくある用量のOmni-Bioticが提供される対象と比較して、埋め込み型減衰デバイスが提供される前、提供されている間、又は提供された後に、より少ない用量のOmni-Bioticが提供される。
【0169】
いくつかの実施形態では、本技術の埋め込み型減衰デバイスと組み合わせられた場合、本明細書に記載の治療剤は、埋め込み型減衰デバイスの不在下で提供される同じ治療剤の第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される。例えば、認知症などの神経変性状態を有する対象は、埋め込み型減衰デバイスが提供されることなくOmni-Bioticの第2の投薬レジメンが提供される対象と比較して、埋め込み型減衰デバイスが提供される前、提供されている間、又は提供された後に、Omni-Bioticの第1の投薬レジメンが提供される。
【0170】
いくつかの実施形態では、本技術の埋め込み型減衰デバイスと組み合わされた場合、本明細書に記載の治療剤は、埋め込み型減衰デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路によって治療剤が提供される。例えば、認知症などの神経変性状態を有する対象は、埋め込み型減衰デバイスが提供されることなく第2の経路によってOmni-Bioticを提供される対象と比較して、埋め込み型減衰デバイスが提供される前、提供されている間、又は提供された後に、第1の経路によってOmni-Bioticが提供される。いくつかの実施形態では、投与経路は、例えば、本デバイスの少なくとも一部に以前に保管された治療剤を溶出することによって、治療剤を本デバイスから対象に送達することを含む。
【0171】
VI.埋め込み型減衰デバイスと治療剤との組み合わせを用いて神経学的状態を治療するための選択されたシステム
本明細書に記載の方法、減衰デバイス、及び治療剤に加えて、本技術は、対象の状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための関連システムも含む。本技術のシステムは、状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための有効量の少なくとも1つの療法と、状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスとを含む。上で説明されるように、本技術のデバイスは、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成された内面を有する略管状構造を形成する少なくとも可撓性減衰部材と、1つの部分的に変形可能な部分内に配置され、かつ血管内の拍動血流に応じてその中で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成された軽減物質とを含む。いくつかの実施形態では、療法は、減衰デバイスによって運ばれ得る少なくとも1つ以上の治療剤を含む。これらの実施形態では、治療剤は、減衰デバイスの少なくとも部分的に変形可能な部分のうちの少なくとも1つ以上の内部に配置される及び/又はそれによって運ばれる。減衰デバイスの少なくとも部分的に変形可能な部分のうちの1つ以上が少なくとも部分的に変形すると、有効量の治療剤が本デバイスから放出され得る。
【実施例
【0172】
VII.実施例
以下の実施例は、本技術の様々な実施形態の例証である。本明細書に記載の実施形態は、減衰デバイス(例えば、上の段落[93]~[136]に記載のデバイスのうちのいずれか)及び療法(例えば、上の段落[140]~[145]のうちのいずれかで論じられたものを含むいずれかのEDG受容体ファミリーモジュレーター;上の段落[146]~[148]のうちのいずれかで論じられたものを含むいずれかのMMP阻害剤;及び/又は上の段落[149]~[151]のうちのいずれかで論じられたものを含むいずれかの老化細胞除去剤)を含む治療レジメンを対象とする。治療レジメンは、1つの療法に限定されず、1つ以上の追加の療法を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、治療レジメンは、減衰デバイス(例えば、上の段落[93]~[136]に記載のデバイスのうちのいずれか)を埋め込むか、又は別様に提供する工程と、療法(例えば、上の段落[140]~[145]のうちのいずれかで論じられたものを含むいずれかのEDG受容体ファミリーモジュレーター;上の段落[146]~[148]のうちのいずれかで論じられたものを含むいずれかのMMP阻害剤;及び/又は上の段落[149]~[151]のうちのいずれかで論じられたものを含むいずれかの老化細胞除去剤)を投与するか、又は別様に提供する工程と、を含む併用療法を使用して神経学的状態を治療又は予防する方法に使用することができる。かかる実施形態では、減衰デバイスは、療法の前に、療法と同時に、又は療法の後に埋め込まれてもよい又は提供されてもよい。併用療法中の任意の時点で、1つ以上の追加の療法が投与される場合もある。減衰デバイス、減衰デバイスを使用した治療、併用治療、及び治療レジメン、並びに治療の有効性、利益、及び利点を実証する研究及びモデルの非限定的な例は、以下の実施例に含まれる。
【0173】
A.実施例1~16:認知症の進行を治療及び/又は予防するためのデバイス
実施例1.認知症の進行を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
治療部位における動脈内に血管内位置付けされるように構成された可撓性コンプライアント減衰部材であって、当該減衰部材が、当該治療部位への送達のための薄型状態と拡張状態との間で変形可能であり、当該減衰部材が、(a)外面と、(b)血流を方向付けるように構成された管腔を画定する内面と、(c)第1の端部と、(d)当該減衰部材の長さに沿って当該第1の端部とは反対側の第2の端部と、(e)当該第1の端部と当該第2の端部との間の減衰領域とを有する略管状側壁を含み、当該内面と当該外面が、当該第1の端部又は当該第2の端部のいずれかよりも当該減衰領域でより大きい距離だけ離間している、可撓性コンプライアント減衰部材と、
当該減衰部材の当該第1の端部に連結された第1の固着部材と、当該減衰部材の当該第2の端部に連結された第2の固着部材と、を備え、当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が、展開状態で、当該治療部位で当該動脈壁の一部と接触するように構成された展開直径まで半径方向に延在し、それにより、当該減衰部材を当該治療部位に固定し、当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が、当該減衰部材の長さの一部のみに沿って延在し、これにより、当該減衰領域の少なくとも一部が当該第1の固着部材と当該第2の固着部材との間に露出し、当該展開直径よりも大きい直径まで拡張することが可能になるようになる、デバイス。
【0174】
実施例2.当該減衰部材が、血液/脈圧又は脈波強度/FCWI上昇の変化に応じて変形するように構成されている、実施例1に記載のデバイス。
【0175】
実施例3.脈圧波の先端と一致する当該減衰部材に沿った位置で、当該減衰部材の当該内面と当該外面との間の距離が当該圧力に応じて減少する、実施例1又は実施例2に記載のデバイス。
【0176】
実施例4.当該減衰部材の当該管腔が砂時計形状を有する、実施例1~3のいずれか1つに記載のデバイス。
【0177】
実施例5.当該外面が略円筒形であり、当該内面が起伏している、実施例1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【0178】
実施例6.当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が各々、拡張可能なステントである、実施例1~5のいずれか1つに記載のデバイス。
【0179】
実施例7.当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が各々、拡張可能なメッシュである、実施例1~5のいずれか1つに記載のデバイス。
【0180】
実施例8.当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が各々、拡張可能なステント及び拡張可能なメッシュのうちの少なくとも一方である、実施例1~5のいずれか1つに記載のデバイス。
【0181】
実施例9.当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が各々、当該減衰部材の周囲の周りに位置付けられている、実施例1~8のいずれか1つに記載のデバイス。
【0182】
実施例10.当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材の各々の少なくとも一部が、当該減衰部材内に位置付けられており、当該側壁の厚さの少なくとも一部を通って延在する、実施例1~8のいずれか1つに記載のデバイス。
【0183】
実施例11.当該減衰領域が第1の減衰領域であり、当該減衰部材が当該第1の端部と当該第2の端部との間に複数の減衰領域を含む、実施例1~10のいずれか1つに記載のデバイス。
【0184】
実施例12.当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材のうちの少なくとも一方が、当該減衰デバイスの当該外面から半径方向外向きに延在する複数の固定デバイスを備える、実施例1~11のいずれか1つに記載のデバイス。
【0185】
実施例13.当該デバイスが、左総頸動脈内の治療部位に位置付けられるように構成されている、実施例1~12のいずれか1つに記載のデバイス。
【0186】
実施例14.当該デバイスが、右総頸動脈内の治療部位に位置付けられるように構成されている、実施例1~13のいずれか1つに記載のデバイス。
【0187】
実施例15.当該デバイスが、アルツハイマー病を治療するように構成されている、実施例1~14のいずれか1つに記載のデバイス。
【0188】
実施例16.当該デバイスが、当該治療部位の下流の動脈の1つ以上の分岐における微小出血の発生を減少させるように構成されている、実施例1~15のいずれか1つに記載のデバイス。
【0189】
B.実施例17~31:認知症を治療するためのデバイス
実施例17.認知症を治療するためのデバイスであって、
治療部位における動脈内に血管内位置付けされるように構成され、かつ血流を遠位血管系に方向付けるように構成された管腔を有する減衰部材であって、当該減衰部材が、当該治療部位への送達のための薄型状態と拡張状態との間で変形可能であり、当該減衰部材が、収縮期中に脈圧波が当該減衰部材に沿って伝搬すると、当該管腔内に横方向内向きに突出して当該減衰部材の下流に圧力を分配する圧力リミッタを有する減衰領域を含む、減衰部材と、
当該減衰部材に連結された固着部材であって、当該固着部材が、展開状態で、展開直径まで外向きに延在し、かつ当該治療部位で当該血管壁の一部と接触し、それにより、当該減衰部材を当該治療部位に固定するように構成されており、当該減衰部材の当該減衰領域が当該固着部材の当該展開直径を越えて半径方向外向きに延在することが可能になるように、当該固着部材が該減衰部材の長さの一部のみに沿って延在する、固着部材と、を備える、デバイス。
【0190】
実施例18.当該減衰部材が、血液/脈圧又は脈波強度/FCWI上昇の変化に応じて変形するように構成されている、実施例17に記載のデバイス。
【0191】
実施例19.脈圧波の先端と一致する当該減衰部材に沿った位置で、当該減衰部材の当該内面と当該外面との間の距離が当該圧力に応じて減少する、実施例17又は実施例18に記載のデバイス。
【0192】
実施例20.当該減衰部材の当該管腔が砂時計形状を有する、実施例17~19のいずれか1つに記載のデバイス。
【0193】
実施例21.当該固着部材が拡張可能なステントである、実施例17~20のいずれか1つに記載のデバイス。
【0194】
実施例22.当該固着部材が拡張可能なメッシュである、実施例17~20のいずれか1つに記載のデバイス。
【0195】
実施例23.当該固着部材が、拡張可能なステント及び拡張可能なメッシュのうちの少なくとも一方である、実施例17~20のいずれか1つに記載のデバイス。
【0196】
実施例24.当該固着部材が、当該減衰部材の周囲の周りに位置付けられている、実施例17~23のいずれか1つに記載のデバイス。
【0197】
実施例25.当該固着部材の少なくとも一部が、当該減衰部材内に位置付けられており、当該側壁の厚さの少なくとも一部を通って延在する、実施例17~23のいずれか1つに記載のデバイス。
【0198】
実施例26.当該減衰領域が第1の減衰領域であり、当該減衰部材が当該第1の端部と当該第2の端部との間に複数の減衰領域を含む、実施例17~25のいずれか1つに記載のデバイス。
【0199】
実施例27.当該固着部材が、当該減衰デバイスの当該外面から半径方向外向きに延在する複数の固定デバイスを含む、実施例17~26のいずれか1つに記載のデバイス。
【0200】
実施例28.当該デバイスが、左総頸動脈内の治療部位に位置付けられるように構成されている、実施例17~27のいずれか1つに記載のデバイス。
【0201】
実施例29.当該デバイスが、右総頸動脈内の治療部位に位置付けられるように構成されている、実施例17~28のいずれか1つに記載のデバイス。
【0202】
実施例30.当該デバイスが、アルツハイマー病を治療するように構成されている、実施例17~29のいずれか1つに記載のデバイス。
【0203】
実施例31.当該デバイスが、当該治療部位の下流の血管の部分における微小出血の発生を減少させるように構成されている、実施例17~29のいずれか1つに記載のデバイス。
【0204】
C.実施例32:認知症を治療するためのデバイス
実施例32.認知症を治療するためのデバイスであって、
治療部位における動脈内に血管内位置付けされるように構成された可撓性コンプライアント減衰部材であって、当該減衰部材が、当該治療部位への送達のための薄型状態と拡張状態との間で変形可能であり、当該減衰部材が、(a)外面と、(b)血流を方向付けるように構成された管腔を画定する内面と、(c)第1の端部と、(d)当該減衰部材の長さに沿って当該第1の端部とは反対側の第2の端部と、(e)当該第1の端部と当該第2の端部との間の減衰領域とを有する略管状側壁を含み、当該内面と当該外面が、当該第1の端部又は当該第2の端部のいずれかよりも当該減衰領域でより大きい距離だけ離間している、可撓性コンプライアント減衰部材と、
当該減衰部材の当該第1の端部に連結された第1の固着部材と、当該減衰部材の当該第2の端部に連結された第2の固着部材と、を備え、当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が、展開状態で、当該治療部位で当該血管壁の一部と接触するように構成された展開直径まで半径方向に延在し、それにより、当該減衰部材を当該治療部位に固定し、
収縮期中に血液が当該減衰部材を通って流れると、当該減衰部材が当該血液の脈動エネルギーの一部を吸収し、それにより、当該減衰デバイスの遠位の当該血管の一部に伝達される脈圧の大きさを減少させる、デバイス。
【0205】
D.実施例33~39:血管を治療するためのデバイス
実施例33.血管を治療するためのデバイスであって、
第1の部分及び第2の部分を有する固着システムと、
緩衝部材であって、当該緩衝部材の一部が当該固着システムに拘束されないように、当該緩衝部材が当該固着システムの当該第1の部分と当該第2の部分との間に位置付けられており、当該緩衝部材が、当該血管を流れる血液によって伝達される脈動エネルギーを吸収するように構成されている、緩衝部材と、を備える、デバイス。
【0206】
実施例34.当該緩衝部材が、当該血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ当該血管内の当該血圧/脈圧又は当該脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、実施例33に記載のデバイス。
【0207】
実施例35.血管を治療するためのデバイスであって、
近位アンカー及び遠位アンカーを有する血管内緩衝デバイスであって、当該近位アンカー及び当該遠位アンカーが各々、大動脈の内壁に当接するように構成されている、血管内緩衝デバイスと、
当該近位アンカーと当該遠位アンカーとの間に延在する弾性変形可能な部材と、を備え、
当該弾性変形可能な部材が、当該血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ当該血管内の当該血圧/脈圧又は当該脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、デバイス。
【0208】
実施例36.当該近位アンカーと当該遠位アンカーとの間に長手方向に位置付けられた当該弾性変形可能な膜の一部が、当該弾性変形可能な膜が半径方向に弛緩すると、当該近位アンカー及び当該遠位アンカーと比較して減少した内部断面積の領域を画定する、実施例35に記載のデバイス。
【0209】
実施例37.当該近位アンカー及び当該遠位アンカーが各々、展開前の第1の直径と展開後の第2の直径との間で半径方向に拡張可能である、実施例35又は実施例36に記載のデバイス。
【0210】
実施例38.当該近位アンカーに固定された1つ以上の糸を更に備える、実施例35~37のいずれか1つに記載のデバイス。
【0211】
実施例39.各々の糸がアイレットに固定されている、実施例38に記載のデバイス。
【0212】
E.実施例40~43:左総頸動脈、右総頸動脈、腕頭動脈、上行大動脈、内頸動脈、又は腹部大動脈を治療するためのデバイス
実施例40.左総頸動脈、右総頸動脈、腕頭動脈、上行大動脈、内頸動脈、又は腹部大動脈から選択される動脈を治療するためのデバイスであって、
弾性変形可能な材料から作製されたラップと、
当該動脈の周りに当該ラップの2つの対向する縁を固定するように適合された係合形成部と、を備え、
当該弾性変形可能な材料が、収縮期段階中に半径方向に拡張し、かつ拡張期段階中に半径方向に収縮するように構成されている、デバイス。
【0213】
実施例41.当該係合形成部が縫合糸及び/又はステープルを含む、実施例40に記載のデバイス。
【0214】
実施例42.当該係合形成部がジップロック(登録商標)を含む、実施例41に記載のデバイス。
【0215】
実施例43.左総頸動脈、右総頸動脈、腕頭動脈、又は上行大動脈を治療するためのデバイスであって、
当該動脈の周りに巻き付けられるように構成された近位アンカーと、
当該動脈の周りに巻き付けられるように構成されており、かつ当該近位アンカーに対して長手方向に離間された遠位アンカーと、
当該動脈の周りに巻き付けられるように適合された螺旋バンドであって、当該螺旋バンドが、当該近位アンカーに固定可能な第1の端と、当該遠位アンカーに固定可能な対向する第2の端とを有し、当該螺旋バンドが、収縮期段階中に半径方向に拡張し、かつ拡張期段階中に半径方向に収縮するように適合されている、螺旋バンドと、を備える、デバイス。
【0216】
F.実施例44~85:認知症の影響を治療及び/又は予防するためのデバイス
実施例44.認知症の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
薄型状態及び展開状態を有する減衰部材であって、当該展開状態で、当該減衰部材が、外面と、長手方向に起伏している内面とを有する変形可能な略管状側壁を備え、当該側壁が、血管壁と並置して位置付けられて、当該血管を通って流れる血液によって伝達される脈動エネルギーを吸収するように構成されている、減衰部材を備える、デバイス。
【0217】
実施例45.当該減衰部材が、左総頸動脈、右総頸動脈、及び腕頭動脈のうちの少なくとも1つと並置して位置付けられるように構成されている、実施例44に記載のデバイス。
【0218】
実施例46.当該減衰部材が、上行大動脈と並置して位置付けられるように構成されている、実施例44又は実施例45に記載のデバイス。
【0219】
実施例47.当該減衰部材が、当該血管壁の内面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例44~46のいずれか1つに記載のデバイス。
【0220】
実施例48.当該減衰部材が、当該血管壁の外面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例44~46のいずれか1つに記載のデバイス。
【0221】
実施例49.当該側壁が内径を有し、当該減衰部材が展開状態にあるとき、当該内径が軸方向に増加し、その後、減少する、実施例44~48のいずれか1つに記載のデバイス。
【0222】
実施例50.断面積が長手方向に減少し、その後、増加する、実施例44~49のいずれか1つに記載のデバイス。
【0223】
実施例51 当該外面が略円筒形状を有する、実施例44~50のいずれか1つに記載のデバイス。
【0224】
実施例52.当該外面が起伏形状を有する、実施例44~50のいずれか1つに記載のデバイス。
【0225】
実施例53.当該減衰部材に連結されており、かつ当該減衰部材の一部のみと軸方向に整合した固着部材を更に備え、当該固着部材が、当該血管壁に係合し、かつ当該減衰部材を当該血管壁に固定するように構成されている、実施例44~52のいずれか1つに記載のデバイス。
【0226】
実施例54.当該固着部材が第1の固着部材であり、当該デバイスが、当該減衰部材に連結された第2の固着部材を更に備え、当該第2の固着部材が、
当該減衰部材の一部のみと軸方向に整列しており、かつ
当該減衰部材の長手方向軸に沿って当該第1の固着部材から離間されている、実施例44~53のいずれか1つに記載のデバイス。
【0227】
実施例55.当該減衰部材が当該血管壁に隣接して位置付けられると、当該減衰部材が当該血管壁の直径を拘束しない、実施例44~54のいずれか1つに記載のデバイス。
【0228】
実施例56.認知症の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
血管壁における治療部位への送達のための薄型状態と、展開状態とを有する弾性部材であって、当該展開状態で、当該弾性部材が、動脈壁に当接し、かつ内径、外径、外面、及び起伏内面を有する略管状構造を形成するように構成されており、当該外径及び当該内径のうちの少なくとも一方が、それぞれ、当該血管内の脈圧上昇及び低下に応じて増加及び減少する、弾性部材を備える、デバイス。
【0229】
実施例57.当該弾性部材が、左総頸動脈、右総頸動脈、及び腕頭動脈のうちの少なくとも1つと並置して位置付けられるように構成されている、実施例56に記載のデバイス。
【0230】
実施例58.当該弾性部材が、上行大動脈と並置して位置付けられるように構成されている、実施例56又は実施例57に記載のデバイス。
【0231】
実施例59.当該弾性部材が、当該血管壁の内面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例56~58のいずれか1つに記載のデバイス。
【0232】
実施例60.当該弾性部材が、当該血管壁の外面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例56~58のいずれか1つに記載のデバイス。
【0233】
実施例61.当該側壁が内径を有し、当該弾性部材が展開状態にあるとき、当該内径が軸方向に増加し、その後、減少する、実施例56~60のいずれか1つに記載のデバイス。
【0234】
実施例62.断面積が長手方向に減少し、その後、増加する、実施例56~61のいずれか1つに記載のデバイス。
【0235】
実施例63.当該外面が略円筒形状を有する、実施例56~62のいずれか1つに記載のデバイス。
【0236】
実施例64.当該外面が起伏形状を有する、実施例56~62のいずれか1つに記載のデバイス。
【0237】
実施例65.当該弾性部材に連結されており、かつ当該弾性部材の一部のみと軸方向に整合した固着部材を更に備え、当該固着部材が、当該血管壁に係合し、かつ当該弾性部材を当該血管壁に固定するように構成されている、実施例56~64のいずれか1つに記載のデバイス。
【0238】
実施例66.当該固着部材が第1の固着部材であり、当該デバイスが、当該弾性部材に連結された第2の固着部材を更に備え、当該第2の固着部材が、
当該弾性部材の一部のみと軸方向に整列しており、かつ
当該弾性部材の長手方向軸に沿って当該第1の固着部材から離間されている、実施例65に記載のデバイス。
【0239】
実施例67.当該弾性部材が当該血管壁に隣接して位置付けられると、当該弾性部材が当該血管壁の直径を拘束しない、実施例56~66のいずれか1つに記載のデバイス。
【0240】
実施例68.認知症の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
軽減物質を含む減衰部材であって、当該減衰部材が、薄型構成及び展開構成を有し、当該減衰部材が当該展開構成にあるとき、当該減衰部材が、動脈の周囲に沿って位置付けられるように構成された略管状構造を形成し、これにより、当該動脈を伝わる脈波が当該管状構造の長さに沿った第1の軸方向位置に応力を加えると、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第1の位置から離れて当該管状構造の長さに沿った第2の軸方向位置に移動するようになる、減衰部材を備える、デバイス。
【0241】
実施例69.当該減衰部材に連結された構造要素を更に備える、実施例68に記載のデバイス。
【0242】
実施例70.当該展開状態で、当該減衰部材が、当該動脈の周囲の少なくとも一部の周りに巻き付くように構成されている、実施例68又は実施例69に記載のデバイス。
【0243】
実施例71.当該展開状態で、当該デバイスが、事前設定された螺旋構成を有する、実施例68~70のいずれか1つに記載のデバイス。
【0244】
実施例72.当該減衰部材が液体を含む、実施例68~71のいずれか1つに記載のデバイス。
【0245】
実施例73.当該減衰部材が気体を含む、実施例68~72のいずれか1つに記載のデバイス。
【0246】
実施例74.当該減衰部材がゲルを含む、実施例68~73のいずれか1つに記載のデバイス。
【0247】
実施例75.当該減衰部材が、当該展開構成で、当該動脈壁の外面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例68~74のいずれか1つに記載のデバイス。
【0248】
実施例76.当該減衰部材が、当該展開構成で、当該動脈壁の周りに位置付けられるように構成されており、これにより、当該減衰部材の内面が当該動脈を通って流れる血液と接触するようになる、実施例68~74のいずれか1つに記載のデバイス。
【0249】
実施例77.認知症の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
複数の流体粒子を含む減衰部材であって、当該減衰部材が、薄型構成及び展開構成を有し、当該減衰部材が当該展開構成にあるとき、当該減衰部材が、動脈の長さに沿った治療部位で当該動脈の周囲に沿って位置付けられるように構成されている、減衰部材を備え、
当該減衰部材が展開構成にあり、かつ当該治療部位に位置付けられると、当該動脈の長さを伝わる波面が、当該減衰部材の長さに沿って当該流体粒子の少なくとも一部を再分配し、これにより、当該減衰部材の内径が、当該波面と整合した当該減衰部材に沿った軸方向位置で増加する一方で、当該減衰部材に沿った別の軸方向位置の当該減衰部材の内径が減少するようになる、デバイス。
【0250】
実施例78.当該減衰部材に連結された構造要素を更に備える、実施例77に記載のデバイス。
【0251】
実施例79.当該展開状態で、当該減衰部材が、当該動脈の周囲の少なくとも一部の周りに巻き付くように構成されている、実施例77又は実施例78に記載のデバイス。
【0252】
実施例80.当該展開状態で、当該デバイスが、事前設定された螺旋構成を有する、実施例77~79のいずれか1つに記載のデバイス。
【0253】
実施例81.当該減衰部材が液体を含む、実施例77~80のいずれか1つに記載のデバイス。
【0254】
実施例82.当該減衰部材が気体を含む、実施例77~81のいずれか1つに記載のデバイス。
【0255】
実施例83.当該減衰部材がゲルを含む、実施例77~82のいずれか1つに記載のデバイス。
【0256】
実施例84.当該減衰部材が、当該展開構成で、当該動脈壁の外面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例77~83のいずれか1つに記載のデバイス。
【0257】
実施例85.当該減衰部材が、当該展開構成で、当該動脈壁の周りに位置付けられるように構成されており、これにより、当該減衰部材の内面が当該動脈を通って流れる血液と接触するようになる、実施例77~84のいずれか1つに記載のデバイス。
【0258】
G.実施例86~87:認知症の影響を治療及び/又は予防するための方法
実施例86.認知症の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
腕頭動脈、右総頸動脈、左総頸動脈、上行大動脈、及び大動脈弓のうちの少なくとも1つと並置して減衰デバイスを位置付けることを含み、当該減衰デバイスが弾性略管状側壁を備え、それにより、腕頭動脈、右総頸動脈、左総頸動脈、上行大動脈、及び大動脈弓のうちの当該少なくとも1つを通って流れる血流によって伝達される脈動エネルギーを吸収する、方法。
【0259】
実施例87.認知症の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
血液を脳に送達する動脈の壁と並置して減衰デバイスを位置付けることを含み、当該減衰デバイスが、外面及び波状内面を有する弾性略管状側壁を備え、
血管を通って流れる血液中の脈圧波に応じて、当該内面及び当該外面のうちの少なくとも一方の外形が変化する、方法。
【0260】
H.実施例88:腕頭動脈、右総頸動脈、左総頸動脈、上行大動脈、及び大動脈弓のうちの少なくとも1つを治療するための方法
実施例88.腕頭動脈、右総頸動脈、左総頸動脈、上行大動脈、及び大動脈弓のうちの少なくとも1つを治療するための方法であって、
血管壁と並置して減衰デバイスを位置付けることであって、当該減衰デバイスが弾性略管状側壁を備える、位置付けることと、
脈圧上昇に応じて当該減衰デバイスの内径及び外径のうちの少なくとも一方を拡張させることと、
脈圧低下に応じて当該減衰デバイスの内径及び外径のうちの少なくとも一方を収縮させることと、を含む、方法。
【0261】
I.実施例89~96:血管を治療する方法
実施例89.血管を治療する方法であって、
カテーテルを血管内に挿入し、当該カテーテルの先端を所望の血管位置に方向付けることと、
遠位アンカーを当該カテーテル先端内から当該血管内に移動させることと、
当該遠位アンカーの半径方向外側部分が当該血管の内壁と係合するように、当該遠位アンカーを拡張させることと、
当該カテーテルをわずかに引き抜き、近位アンカーを当該カテーテルの当該先端から当該血管内に移動させることと、
当該近位アンカーを所望の位置で長手方向に位置付けることと、
当該近位アンカーの半径方向外側部分が当該血管の内壁と係合するように、当該近位アンカーを拡張させることであって、弾性変形可能な部材が当該近位アンカーと当該遠位アンカーとの間で長手方向に延在する、拡張させることと、を含む、方法。
【0262】
実施例90.当該遠位アンカーを移動させることが、当該遠位アンカーを当該カテーテルの当該先端から前進させることを含む、実施例89に記載の方法。
【0263】
実施例91.当該遠位アンカーを移動させることが、当該遠位アンカーが当該血管内の概ね一定の長手方向位置に留まり、かつ当該カテーテルの当該先端から出る間に、当該カテーテルの当該先端を引き抜くことを含む、実施例89又は実施例90に記載の方法。
【0264】
実施例92.当該近位アンカーを長手方向に位置付けることが、当該近位アンカーに折壊可能に固定された1つ以上の糸に第1の張力を加えることを含む、実施例89~91のいずれか1つに記載の方法。
【0265】
実施例93.当該第1の張力よりも大きい第2の張力を加えることによって当該近位アンカーを拡張させた後に、当該糸を折壊可能に破断することを更に含む、実施例92の方法。
【0266】
実施例94.当該近位アンカーを拡張させた後に、糸に固定されたリング、ラッチ、又は締め金を係脱して、当該近位アンカーから糸を係脱することを更に含む、実施例92の方法。
【0267】
実施例95.当該近位アンカー及び/又は当該遠位アンカーの位置を決定するために撮像することを更に含む、実施例89~94のいずれか1つに記載の方法。
【0268】
実施例96.左総頸動脈、右総頸動脈、又は腕頭動脈、頸動脈、前述のうちのいずれかの分岐、及び上行大動脈から選択される血管を治療する方法であって、
弾性変形可能な材料を当該動脈の周りに巻き付けることと、
当該弾性変形可能な材料の内径が収縮期段階中の当該動脈の初期外径よりも小さくなるように、当該弾性変形可能な材料の第1の縁を当該弾性変形可能な材料の対向する第2の縁に取り付けることと、を含む、方法。
【0269】
J.実施例97~113:認知症を治療するための方法
実施例97.認知症を治療するための方法であって、
治療部位における動脈内に減衰デバイスを血管内位置付けすることであって、当該減衰デバイスが、それを通る管腔を画定する弾性管状減衰部材に連結された固着部材を含む、位置付けすることと、
少なくとも当該固着部材が当該治療部位で当該動脈壁と並置した状態になるように、当該固着部材及び当該減衰部材を薄型状態から拡張状態に拡張させることと、
当該減衰部材を通る血流中の脈圧波に応じて、当該減衰部材の外形を変化させることと、を含む、方法。
【0270】
実施例98.当該減衰デバイスの遠位の当該血管の一部に伝達される脈圧の大きさを減少させることを更に含む、実施例97に記載の方法。
【0271】
実施例99.脈圧の大きさを減少させることが、当該動脈を通って流れる血液の拍動エネルギーの一部を吸収することを含む、実施例98に記載の方法。
【0272】
実施例100.当該減衰部材の外形を変化させることが、当該減衰部材の外径が略一定のまま留まっている間に、当該減衰部材の当該管腔の内径を増加させることを含む、実施例97~99のいずれか1つに記載の方法。
【0273】
実施例101.当該減衰部材の外形を変化させることが、当該減衰部材の当該管腔の内径及び外径を増加させることを含む、実施例97~99のいずれか1つに記載の方法。
【0274】
実施例102.当該減衰部材の外形を変化させることが、当該減衰部材の内面と当該減衰部材の外面との間の距離を減少させることを含む、実施例97~99のいずれか1つに記載の方法。
【0275】
実施例103.減衰デバイスを血管内位置付けすることが、治療部位における左総頸動脈内に減衰デバイスを血管内位置付けすることを含む、実施例97~102に記載の方法。
【0276】
実施例104.減衰デバイスを血管内位置付けすることが、治療部位における右総頸動脈内に減衰デバイスを血管内位置付けすることを含む、実施例97~103のいずれか1つに記載の方法。
【0277】
実施例105.当該固着部材を拡張させることと、当該減衰部材を拡張させることが同時に起こる、実施例97~104のいずれか1つに記載の方法。
【0278】
実施例106.当該固着部材を拡張させることが、バルーンを用いて当該固着部材を拡張させることを含む、実施例97~105のいずれか1つに記載の方法。
【0279】
実施例107.当該固着部材を拡張させることが、シースを引き抜いて、当該固着部材を露出させて、当該固着部材が自己拡張することを可能にすることを含む、実施例97~105のいずれか1つに記載の方法。
【0280】
実施例108.当該減衰部材を拡張させることが、バルーンを用いて当該減衰部材を拡張させることを含む、実施例97~107のいずれか1つに記載の方法。
【0281】
実施例109.当該減衰部材を拡張させることが、シースを引き抜いて、当該減衰部材を露出させて、当該固着部材が自己拡張することを可能にすることを含む、実施例97~107のいずれか1つに記載の方法。
【0282】
実施例110.当該固着部材を拡張させることが、当該減衰部材を拡張させる、実施例97~109のいずれか1つに記載の方法。
【0283】
実施例111.
当該減衰デバイスが、第1の減衰デバイスであり、
当該第1の減衰デバイスが、第1の動脈位置に血管内位置付けされ、
当該方法が、当該第1の動脈位置とは異なる第2の動脈位置に第2の減衰デバイスを血管内位置付けすることを更に含む、実施例97~110のいずれか1つに記載の方法。
【0284】
実施例112.当該第1の動脈位置が、左総頸動脈、右総頸動脈、外頸動脈、内頸動脈、及び上行大動脈のうちの1つであり、当該第2の動脈位置が、左総頸動脈、右総頸動脈、外頸動脈、内頸動脈、及び上行大動脈のうちの1つである、実施例111に記載の方法。
【0285】
実施例113.当該第1の動脈位置が左総頸動脈であり、当該第2の動脈位置が右総頸動脈である、実施例111に記載の方法。
【0286】
K.実施例114~115:認知症の影響を治療及び/又は予防するための方法
実施例114.認知症の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
動脈の長さに沿って減衰部材を位置付けることであって、当該減衰部材が軽減物質を含む、位置付けることと、
当該動脈内の血液を伝わる脈波に応じて、当該減衰部材の長さに沿って当該軽減化合物の少なくとも一部を再分配し、それにより、当該血液中の当該脈波のエネルギーの少なくとも一部を弱めることと、を含む、方法。
【0287】
実施例115.認知症の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
動脈の長さに沿って減衰部材を位置付けることであって、当該減衰部材が複数の流体粒子を含む、位置付けることと、
脈波の波面と整列した当該減衰部材に沿って軸方向位置から離れて当該流体粒子の一部を移動させ、それにより、当該減衰部材の内径を増加させることと、を含む、方法。
【0288】
L.実施例116~131:認知症の進行を治療及び/又は予防するためのデバイス
実施例116.認知症の進行を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
治療部位における動脈内に血管内位置付けされるように構成された可撓性コンプライアント減衰部材であって、当該減衰部材が、当該治療部位への送達のための薄型状態と拡張状態との間で変形可能であり、当該減衰部材が、(a)外面と、(b)血流を方向付けるように構成された管腔を画定する内面と、(c)第1の端部と、(d)当該減衰部材の長さに沿って当該第1の端部とは反対側の第2の端部と、(e)当該第1の端部と当該第2の端部との間の減衰領域とを有する略管状側壁を含み、当該内面と当該外面が、当該第1の端部又は当該第2の端部のいずれかよりも当該減衰領域でより大きい距離だけ離間している、可撓性コンプライアント減衰部材と、
当該減衰部材の当該第1の端部に連結された第1の固着部材と、当該減衰部材の当該第2の端部に連結された第2の固着部材と、を備え、当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が、展開状態で、当該治療部位で当該動脈壁の一部と接触するように構成された展開直径まで半径方向に延在し、それにより、当該減衰部材を当該治療部位に固定し、当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が、当該減衰部材の長さの一部のみに沿って延在し、これにより、当該減衰領域の少なくとも一部が当該第1の固着部材と当該第2の固着部材との間に露出し、当該展開直径よりも大きい直径まで拡張することが可能になるようになる、デバイス。
【0289】
実施例117.当該減衰部材が、血液/脈圧又は脈波強度/FCWI上昇の変化に応じて変形するように構成されている、実施例116に記載のデバイス。
【0290】
実施例118.脈圧波の先端と一致する当該減衰部材に沿った位置で、当該減衰部材の当該内面と当該外面との間の距離が当該圧力に応じて減少する、実施例116又は実施例117に記載のデバイス。
【0291】
実施例119.当該減衰部材の当該管腔が砂時計形状を有する、実施例116~118のいずれか1つに記載のデバイス。
【0292】
実施例120.当該外面が略円筒形であり、当該内面が起伏している、実施例116~119のいずれか1つに記載のデバイス。
【0293】
実施例121.当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が各々、拡張可能なステントである、実施例116~120のいずれか1つに記載のデバイス。
【0294】
実施例122.当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が各々、拡張可能なメッシュである、実施例116~120のいずれか1つに記載のデバイス。
【0295】
実施例123.当該第116の固着部材及び当該第2の固着部材が各々、拡張可能なステント及び拡張可能なメッシュのうちの少なくとも一方である、実施例1~120のいずれか1つに記載のデバイス。
【0296】
実施例124.当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が各々、当該減衰部材の周囲の周りに位置付けられている、実施例116~123のいずれか1つに記載のデバイス。
【0297】
実施例125.当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材の各々の少なくとも一部が、当該減衰部材内に位置付けられており、当該側壁の厚さの少なくとも一部を通って延在する、実施例116~124のいずれか1つに記載のデバイス。
【0298】
実施例126.当該減衰領域が第1の減衰領域であり、当該減衰部材が当該第1の端部と当該第2の端部との間に複数の減衰領域を含む、実施例116~125のいずれか1つに記載のデバイス。
【0299】
実施例127.当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材のうちの少なくとも一方が、当該減衰デバイスの当該外面から半径方向外向きに延在する複数の固定デバイスを備える、実施例116~126のいずれか1つに記載のデバイス。
【0300】
実施例128.当該デバイスが、左総頸動脈内の治療部位に位置付けられるように構成されている、実施例116~127のいずれか1つに記載のデバイス。
【0301】
実施例129.当該デバイスが、右総頸動脈内の治療部位に位置付けられるように構成されている、実施例116~127のいずれか1つに記載のデバイス。
【0302】
実施例130.当該デバイスが、アルツハイマー病を治療するように構成されている、実施例116~129のいずれか1つに記載のデバイス。
【0303】
実施例131.当該デバイスが、当該治療部位の下流の動脈の1つ以上の分岐における微小出血の発生を減少させるように構成されている、実施例116~129のいずれか1つに記載のデバイス。
【0304】
M.実施例132~147:認知症を治療するためのデバイス
実施例132.認知症を治療するためのデバイスであって、
治療部位における動脈内に血管内位置付けされるように構成され、かつ血流を遠位血管系に方向付けるように構成された管腔を有する減衰部材であって、当該減衰部材が、当該治療部位への送達のための薄型状態と拡張状態との間で変形可能であり、当該減衰部材が、収縮期中に脈圧波が当該減衰部材に沿って伝搬すると、当該管腔内に横方向内向きに突出して当該減衰部材の下流に圧力を分配する圧力リミッタを有する減衰領域を含む、減衰部材と、
当該減衰部材に連結された固着部材であって、当該固着部材が、展開状態で、展開直径まで外向きに延在し、かつ当該治療部位で当該血管壁の一部と接触し、それにより、当該減衰部材を当該治療部位に固定するように構成されており、当該減衰部材の当該減衰領域が当該固着部材の当該展開直径を越えて半径方向外向きに延在することが可能になるように、当該固着部材が該減衰部材の長さの一部のみに沿って延在する、固着部材と、を備える、デバイス。
【0305】
実施例133.当該減衰部材が、血液/脈圧又は脈波強度/FCWI上昇の変化に応じて変形するように構成されている、実施例132に記載のデバイス。
【0306】
実施例134.脈圧波の先端と一致する当該減衰部材に沿った位置で、当該減衰部材の当該内面と当該外面との間の距離が当該圧力に応じて減少する、実施例132又は133に記載のデバイス。
【0307】
実施例135.当該減衰部材の当該管腔が砂時計形状を有する、実施例132~134のいずれか1つに記載のデバイス。
【0308】
実施例136.当該固着部材が拡張可能なステントである、実施例132~135のいずれか1つに記載のデバイス。
【0309】
実施例137.当該固着部材が拡張可能なメッシュである、実施例132~136のいずれか1つに記載のデバイス。
【0310】
実施例138.当該固着部材が、拡張可能なステント及び拡張可能なメッシュのうちの少なくとも一方である、実施例132~137のいずれか1つに記載のデバイス。
【0311】
実施例139.当該固着部材が、当該減衰部材の周囲の周りに位置付けられている、実施例132~138のいずれか1つに記載のデバイス。
【0312】
実施例140.当該固着部材の少なくとも一部が、当該減衰部材内に位置付けられており、当該側壁の厚さの少なくとも一部を通って延在する、実施例132~139のいずれか1つに記載のデバイス。
【0313】
実施例141.当該減衰領域が第1の減衰領域であり、当該減衰部材が当該第1の端部と当該第2の端部との間に複数の減衰領域を含む、実施例132~140のいずれか1つに記載のデバイス。
【0314】
実施例142.当該固着部材が、当該減衰デバイスの当該外面から半径方向外向きに延在する複数の固定デバイスを含む、実施例132~141のいずれか1つに記載のデバイス。
【0315】
実施例143.当該デバイスが、左総頸動脈内の治療部位に位置付けられるように構成されている、実施例132~142のいずれか1つに記載のデバイス。
【0316】
実施例144.当該デバイスが、右総頸動脈内の治療部位に位置付けられるように構成されている、実施例132~142のいずれか1つに記載のデバイス。
【0317】
実施例145.当該デバイスが、アルツハイマー病を治療するように構成されている、実施例132~144のいずれか1つに記載のデバイス。
【0318】
実施例146.当該デバイスが、当該治療部位の下流の血管の部分における微小出血の発生を減少させるように構成されている、実施例132~145のいずれか1つに記載のデバイス。
【0319】
実施例147.認知症を治療するためのデバイスであって、
治療部位における動脈内に血管内位置付けされるように構成された可撓性コンプライアント減衰部材であって、当該減衰部材が、当該治療部位への送達のための薄型状態と拡張状態との間で変形可能であり、当該減衰部材が、(a)外面と、(b)血流を方向付けるように構成された管腔を画定する内面と、(c)第1の端部と、(d)当該減衰部材の長さに沿って当該第1の端部とは反対側の第2の端部と、(e)当該第1の端部と当該第2の端部との間の減衰領域とを有する略管状側壁を含み、当該内面と当該外面が、当該第1の端部又は当該第2の端部のいずれかよりも当該減衰領域でより大きい距離だけ離間している、可撓性コンプライアント減衰部材と、
当該減衰部材の当該第1の端部に連結された第1の固着部材と、当該減衰部材の当該第2の端部に連結された第2の固着部材と、を備え、当該第1の固着部材及び当該第2の固着部材が、展開状態で、当該治療部位で当該血管壁の一部と接触するように構成された展開直径まで半径方向に延在し、それにより、当該減衰部材を当該治療部位に固定し、
収縮期中に血液が当該減衰部材を通って流れると、当該減衰部材が当該血液の脈動エネルギーの一部を吸収し、それにより、当該減衰デバイスの遠位の当該血管の一部に伝達される脈圧の大きさを減少させる、デバイス。
【0320】
N.実施例148~154:血管を治療するためのデバイス
実施例148.血管を治療するためのデバイスであって、
第1の部分と、当該第1の部分から第1の方向に離間された第2の部分とを有する固着システムと、
緩衝部材であって、当該第1の方向に直交した第2の方向における当該緩衝部材の一部の移動が当該固着システムによって拘束されないように、当該固着システムの当該第1の部分と当該第2の部分との間に位置付けられており、当該緩衝部材が、当該血管を流れる血液によって伝達される脈動エネルギーを吸収するように構成されている、緩衝部材と、を備える、デバイス。
【0321】
実施例149.当該緩衝部材が、弾性変形可能であり、当該血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ当該血管内の当該血圧/脈圧又は脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、実施例148に記載のデバイス。
【0322】
実施例150.血管を治療するためのデバイスであって、
近位アンカー及び当該近位アンカーから離間された遠位アンカーを有する血管内緩衝デバイスであって、当該近位アンカー及び当該遠位アンカーが各々、大動脈の内壁に当接するように構成されている、血管内緩衝デバイスと、
当該近位アンカーと当該遠位アンカーとの間に延在する弾性変形可能な部材と、を備え、
当該弾性変形可能な部材が、当該血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ当該血管内の当該血圧/脈圧又は当該脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、デバイス。
【0323】
実施例151.当該近位アンカーと当該遠位アンカーとの間に長手方向に位置付けられた当該弾性変形可能な膜の一部が、当該弾性変形可能な膜が半径方向に弛緩すると、当該近位アンカー及び当該遠位アンカーと比較して減少した内部断面積の領域を画定する、実施例150に記載のデバイス。
【0324】
実施例152.当該近位アンカー及び当該遠位アンカーが各々、展開前の第1の直径と展開後の第2の直径との間で半径方向に拡張可能である、実施例150又は実施例151に記載のデバイス。
【0325】
実施例153.当該近位アンカーに固定された1つ以上の糸を更に備える、実施例150~152のいずれか1つに記載のデバイス。
【0326】
実施例154.各々の糸がアイレットに固定されている、実施例153に記載のデバイス。
【0327】
O.実施例155~160:左総頸動脈、右総頸動脈、腕頭動脈、上行大動脈、内頸動脈、又は腹部大動脈から選択される動脈を治療するためのデバイス
実施例155.左総頸動脈、右総頸動脈、腕頭動脈、上行大動脈、内頸動脈、又は腹部大動脈から選択される動脈を治療するためのデバイスであって、
弾性変形可能な材料から作製されたラップと、
当該動脈の周りに当該ラップの2つの対向する縁を固定するように適合された係合形成部と、を備え、
当該弾性変形可能な材料が、収縮期段階中に半径方向に拡張し、かつ拡張期段階中に半径方向に収縮するように構成されている、デバイス。
【0328】
実施例156.当該ラップが当該動脈の周りに位置した状態にあるとき、当該ラップが当該動脈の長さの一部にわたって当該動脈を完全に又は実質的に完全に包囲する、実施例155に記載のデバイス。
【0329】
実施例157.当該係合形成部が縫合糸及び/又はステープルを含む、実施例155に記載のデバイス。
【0330】
実施例158.当該係合形成部がジップロック(登録商標)を含む、実施例155に記載のデバイス。
【0331】
実施例159.左総頸動脈、右総頸動脈、腕頭動脈、又は上行大動脈を治療するためのデバイスであって、
当該動脈の周りに巻き付けられるように構成された近位アンカーと、
当該動脈の周りに巻き付けられるように構成されており、かつ当該近位アンカーに対して長手方向に離間された遠位アンカーと、
当該動脈の周りに巻き付けられるように適合された螺旋バンドであって、当該螺旋バンドが、当該近位アンカーに固定可能な第1の端と、当該遠位アンカーに固定可能な対向する第2の端とを有し、当該螺旋バンドが、収縮期段階中に半径方向に拡張し、かつ拡張期段階中に半径方向に収縮するように適合されている、螺旋バンドと、を備える、デバイス。
【0332】
実施例160.当該螺旋バンドの当該第1の端が当該近位アンカーに固定されており、当該螺旋バンドの当該第2の端が当該遠位アンカーに固定されている、実施例159に記載のデバイス。
【0333】
P.実施例161~214:認知症の影響を治療及び/又は予防するためのデバイス
実施例161.認知症の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
外面と、長手方向に起伏している内面とを有する変形可能な略管状側壁を備える減衰部材であって、当該側壁が、血管壁と並置して位置付けられて、当該血管を通って流れる血液によって伝達される脈動エネルギーを吸収するように構成されている、減衰部材を備える、デバイス。
【0334】
実施例162.当該減衰部材が、左総頸動脈、右総頸動脈、及び腕頭動脈のうちの少なくとも1つと並置して位置付けられるように構成されている、実施例161に記載のデバイス。
【0335】
実施例163.当該減衰部材が、上行大動脈と並置して位置付けられるように構成されている、実施例161に記載のデバイス。
【0336】
実施例164.当該減衰部材が、当該血管壁の内面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例161~163のいずれか1つに記載のデバイス。
【0337】
実施例165.当該減衰部材が、当該血管壁の外面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例161~163のいずれか1つに記載のデバイス。
【0338】
実施例166.当該側壁が内径を有し、当該減衰部材が展開状態にあるとき、当該内径が軸方向に増加し、その後、減少する、実施例161~165のいずれか1つに記載のデバイス。
【0339】
実施例167.断面積が長手方向に減少し、その後、増加する、実施例161~166のいずれか1つに記載のデバイス。
【0340】
実施例168.当該外面が略円筒形状を有する、実施例161~167のいずれか1つに記載のデバイス。
【0341】
実施例169.当該外面が起伏形状を有する、実施例161~167のいずれか1つに記載のデバイス。
【0342】
実施例170.当該減衰部材に連結されており、かつ当該減衰部材の一部のみと軸方向に整合した固着部材を更に備え、当該固着部材が、当該血管壁に係合し、かつ当該減衰部材を当該血管壁に固定するように構成されている、実施例161~169のいずれか1つに記載のデバイス。
【0343】
実施例171.当該固着部材が第1の固着部材であり、当該デバイスが、当該減衰部材に連結された第2の固着部材を更に備え、当該第2の固着部材が、
当該減衰部材の一部のみと軸方向に整列しており、かつ
当該減衰部材の長手方向軸に沿って当該第1の固着部材から離間されている、実施例170に記載のデバイス。
【0344】
実施例172.当該減衰部材が当該血管壁に隣接して位置付けられると、当該減衰部材が当該血管壁の直径を拘束しない、実施例161~171のいずれか1つに記載のデバイス。
【0345】
実施例173.認知症の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
動脈壁に当接し、かつ内径、外径、外面、及び起伏内面を有する略管状構造を形成するように構成された弾性部材であって、当該外径及び当該内径のうちの少なくとも一方が、それぞれ、当該血管内の脈圧上昇及び低下に応じて増加及び減少する、弾性部材を備える、デバイス。
【0346】
実施例174.当該弾性部材が、左総頸動脈、右総頸動脈、及び腕頭動脈のうちの少なくとも1つと並置して位置付けられるように構成されている、実施例173に記載のデバイス。
【0347】
実施例175.当該弾性部材が、上行大動脈と並置して位置付けられるように構成されている、実施例173に記載のデバイス。
【0348】
実施例176.当該弾性部材が、当該血管壁の内面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例173~175のいずれか1つに記載のデバイス。
【0349】
実施例177.当該弾性部材が、当該血管壁の外面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例173~175のいずれか1つに記載のデバイス。
【0350】
実施例178.当該側壁が内径を有し、当該弾性部材が展開状態にあるとき、当該内径が軸方向に増加し、その後、減少する、実施例173~177のいずれか1つに記載のデバイス。
【0351】
実施例179.断面積が長手方向に減少し、その後、増加する、実施例173~178のいずれか1つに記載のデバイス。
【0352】
実施例180.当該外面が略円筒形状を有する、実施例173~179のいずれか1つに記載のデバイス。
【0353】
実施例181.当該外面が起伏形状を有する、実施例173~179のいずれか1つに記載のデバイス。
【0354】
実施例182.当該弾性部材に連結されており、かつ当該弾性部材の一部のみと軸方向に整合した固着部材を更に備え、当該固着部材が、当該血管壁に係合し、かつ当該弾性部材を当該血管壁に固定するように構成されている、実施例173~181のいずれか1つに記載のデバイス。
【0355】
実施例183.当該固着部材が第1の固着部材であり、当該デバイスが、当該弾性部材に連結された第2の固着部材を更に備え、当該第2の固着部材が、
当該弾性部材の一部のみと軸方向に整列しており、かつ
当該弾性部材の長手方向軸に沿って当該第1の固着部材から離間されている、実施例182に記載のデバイス。
【0356】
実施例184.当該弾性部材が当該血管壁に隣接して位置付けられると、当該弾性部材が当該血管壁の直径を拘束しない、実施例173~183のいずれか1つに記載のデバイス。
【0357】
実施例185.当該減衰部材又は当該弾性部材が薄型状態及び展開状態を有する、実施例173~184のいずれか1つに記載のデバイス。
【0358】
実施例186.当該展開状態が血管壁における治療部位への送達のためのものである、実施例185に記載のデバイス。
【0359】
実施例187.当該減衰部材又は当該弾性部材が、当該薄型状態にあるときに第1のより小さい外径を有し、当該展開状態にあるときに第2のより大きい直径を有する、実施例185又は186に記載のデバイス。
【0360】
実施例188.認知症の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
軽減物質を含む減衰部材であって、当該減衰部材が、軸を有する略管状構造を形成し、当該軽減物質が、当該管状構造に対して軸方向に移動することができ、当該減衰部材が、動脈の周囲に沿って位置付けられるように構成されており、これにより、当該動脈を伝わる脈波が当該管状構造の長さに沿った第1の軸方向位置に応力を加えると、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第1の位置から離れて当該管状構造の長さに沿った第2の軸方向位置に移動するようになる、減衰部材を備える、デバイス。
【0361】
実施例189.当該軽減物質が、可撓性部材内に収容された粒子を含むある量の流体及び/又はゲルを含み、当該粒子が、当該可撓性部材内で当該管状構造に対して軸方向に移動し得る、実施例188に記載のデバイス。
【0362】
実施例190.当該可撓性部材が、当該管状構造の長さに沿った少なくともいくつかの位置で、管状構造に対して半径方向に変形し得る、実施例189に記載のデバイス。
【0363】
実施例191.当該減衰部材に連結された構造要素を更に備える、実施例188~190のいずれか1つに記載のデバイス。
【0364】
実施例192.展開状態で、当該減衰部材が、当該動脈の周囲の少なくとも一部の周りに巻き付くように構成されている、実施例188~191のいずれか1つに記載のデバイス。
【0365】
実施例193.当該減衰部材が、当該動脈の周囲の当該一部の周りに嵌合されることを可能にするように、その長さに沿って断絶部を含む、実施例192に記載のデバイス。
【0366】
実施例194.当該減衰部材が当該動脈の周囲の当該一部の周りに嵌合されると当該縁が一緒に接合されることを可能にするように、当該破断部の対向する縁上又はその近くに位置付けられた協働封止装置を更に備える、実施例193に記載のデバイス。
【0367】
実施例195.展開状態で、当該デバイスが、事前設定された螺旋構成を有する、実施例188~194のいずれか1つに記載のデバイス。
【0368】
実施例196.当該減衰部材が液体を含む、実施例188~195のいずれか1つに記載のデバイス。
【0369】
実施例197.当該減衰部材が気体を含む、実施例188~196のいずれか1つに記載のデバイス。
【0370】
実施例198.当該減衰部材がゲルを含む、実施例188~197のいずれか1つに記載のデバイス。
【0371】
実施例199.当該減衰部材が、展開構成で、当該動脈壁の外面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例188~198のいずれか1つに記載のデバイス。
【0372】
実施例200.当該減衰部材が、展開構成で、当該動脈壁の周りに位置付けられるように構成されており、これにより、当該減衰部材の内面が当該動脈を通って流れる血液と接触するようになる、実施例188~199のいずれか1つに記載のデバイス。
【0373】
実施例201.認知症の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
当該流体粒子が、当該減衰構造の長さの少なくとも一部に沿って軸方向に移動することができ、当該減衰部材が、当該動脈の長さに沿った治療部位において当該動脈の周囲に沿って位置付けられるように構成されており、
当該減衰部材が展開構成にあり、かつ当該治療部位に位置付けられると、当該動脈の長さを伝わる波面が、当該減衰部材の長さに沿って当該流体粒子の少なくとも一部を再分配し、これにより、当該減衰部材の内径が、当該波面と整合した当該減衰部材に沿った軸方向位置で増加する一方で、当該減衰部材に沿った別の軸方向位置の当該減衰部材の内径が減少するようになる、デバイス。
【0374】
実施例202.当該流体粒子が可撓性部材内に収容されており、当該粒子が当該可撓性部材内で減衰部材の長さに沿って移動し得る、実施例201に記載のデバイス。
【0375】
実施例203.当該可撓性部材が、当該減衰部材の長さに沿った少なくともいくつかの位置で、当該減衰部材に対して半径方向に変形し得る、実施例202に記載のデバイス。
【0376】
実施例204.当該減衰部材に連結された構造要素を更に備える、実施例201~203のいずれか1つに記載のデバイス。
【0377】
実施例205.展開状態で、当該減衰部材が、当該動脈の周囲の少なくとも一部の周りに巻き付くように構成されている、実施例201~204のいずれか1つに記載のデバイス。
【0378】
実施例206.当該減衰部材が、当該動脈の周囲の当該一部の周りに嵌合されることを可能にするように、その長さに沿って断絶部を含む、実施例205に記載のデバイス。
【0379】
実施例207.当該減衰部材が当該動脈の周囲の当該一部の周りに嵌合されると当該縁が一緒に接合されることを可能にするように、当該破断部の対向する縁上又はその近くに位置付けられた協働封止装置を更に備える、実施例206に記載のデバイス。
【0380】
実施例208.当該展開状態で、当該デバイスが、事前設定された螺旋構成を有する、実施例201~207のいずれか1つに記載のデバイス。
【0381】
実施例209.当該減衰部材が液体を含む、実施例201~208のいずれか1つに記載のデバイス。
【0382】
実施例210.当該減衰部材が気体を含む、実施例201~209のいずれか1つに記載のデバイス。
【0383】
実施例211.当該減衰部材がゲルを含む、実施例201~210のいずれか1つに記載のデバイス。
【0384】
実施例212.当該減衰部材が、当該展開構成で、当該動脈壁の外面と並置して位置付けられるように構成されている、実施例201~211のいずれか1つに記載のデバイス。
【0385】
実施例213.当該減衰部材が、当該展開構成で、当該動脈壁の周りに位置付けられるように構成されており、これにより、当該減衰部材の内面が当該動脈を通って流れる血液と接触するようになる、実施例201~212のいずれか1つに記載のデバイス。
【0386】
実施例214.当該減衰部材が薄型構成及び展開構成を有する、実施例201~213のいずれか1つに記載のデバイス。
【0387】
Q.実施例215~401:状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための方法
実施例215.状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、
血管と並置して設置されるように構成されている、デバイスを提供することであって、当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備える、提供することと、
当該デバイスと組み合わせて、当該状態の1つ以上の影響を治療する又は遅延させる療法を提供することと、を含む、方法。
【0388】
実施例216.当該療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、実施例215に記載の方法。
【0389】
実施例217.当該EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、実施例216に記載の方法。
【0390】
実施例218.当該MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、実施例216に記載の方法。
【0391】
実施例219.当該老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、実施例216に記載の方法。
【0392】
実施例220.当該療法が、当該対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、当該対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの調節不全/損傷及び/若しくは死を予防する、血液脳関門の調節不全及び/若しくは損傷を予防する、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、実施例215~219のいずれか1つに記載の方法。
【0393】
実施例221.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、実施例215~220のいずれか1つに記載の方法。
【0394】
実施例222.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、実施例215~235のいずれか1つに記載の方法。
【0395】
実施例223.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、実施例215~236のいずれか1つに記載の方法。
【0396】
実施例224.当該療法が、当該療法を必要とする当該対象に当該療法を投与することによって提供される、実施例215~235のいずれか1つに記載の方法。
【0397】
実施例225.当該状態が神経変性である、実施例215~222のいずれか1つに記載の方法。
【0398】
実施例226.神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、実施例225に記載の方法。
【0399】
実施例227.当該デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、当該展開状態にあるとき、当該側壁が略管状である、実施例215~226のいずれか1つに記載の方法。
【0400】
実施例228.当該軽減物質が、当該血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ当該血管内の当該血圧/脈圧又は当該脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、実施例215~227のいずれか1つに記載の方法。
【0401】
実施例229.当該血管と並置して位置付けられ、かつ脈波が当該血管を伝わると、当該可撓性減衰部材が当該管状構造の長さに沿った第1の位置に応力を加える、実施例228に記載の方法。
【0402】
実施例230.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が当該管状構造の長さに沿って長手方向及び/又は半径方向に移動する、実施例229に記載の方法。
【0403】
実施例231.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が、当該可撓性減衰部材の第1の変形可能な部分内の第1の位置から当該第1の変形可能な部分内の第2の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、実施例229に記載の方法。
【0404】
実施例232.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が、当該第1の位置から当該可撓性減衰部材の第2の変形可能な部分内の第3の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように更に構成されている、実施例229に記載の方法。
【0405】
実施例233.当該内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、実施例215~232のいずれか1つに記載の方法。
【0406】
実施例234.当該可撓性減衰部材が、当該血管の壁の周囲の少なくとも一部の周りに位置付けられるように更に構成されており、当該血管を伝わる脈波が当該減衰部材の第1の領域に応力を加え、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第1の領域から離れて当該減衰部材の第2の領域に移動し、これにより、当該減衰部材が当該脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、当該デバイスの遠位の当該血管壁に対する当該応力を減少させるようになる、実施例215~233のいずれか1つに記載の方法。
【0407】
実施例235.当該デバイスが、当該血管の管腔内で展開されるように更に構成されており、これにより、固着部材の外面が当該血管壁の管腔と並置し、かつ当該側壁の当該外面が当該血管腔を通って流れる血液と接触するようになる、実施例215~234のいずれか1つに記載の方法。
【0408】
実施例236.当該デバイスが当該血管腔内で展開され、かつ当該血管を伝わる脈波が当該減衰部材の第3の位置に応力を加えると、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第3の位置から離れて当該減衰部材の第4の位置に移動し、これにより、当該減衰部材が当該脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、当該デバイスの遠位の当該血管壁に対する当該応力を減少させるようになる、実施例235に記載の方法。
【0409】
実施例237.状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスであって、血管と並置して設置されるように構成されている、デバイスを提供することを含み、当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備え、
当該状態の1つ以上の影響を治療する又は遅延させる療法が、それを必要とする当該対象に以前に提供されている、方法。
【0410】
実施例238.当該療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、実施例237に記載の方法。
【0411】
実施例239.当該EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、実施例238に記載の方法。
【0412】
実施例240.当該MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、実施例238に記載の方法。
【0413】
実施例241.当該老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、実施例238に記載の方法。
【0414】
実施例241.当該療法が、当該対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、当該対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの調節不全/損傷及び/若しくは死を予防する若しくは軽減する、血液脳関門調節不全若しくは透過性/損傷を予防する若しくは軽減する、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、実施例237~240のいずれか1つに記載の方法。
【0415】
実施例242.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、実施例237~241のいずれか1つに記載の方法。
【0416】
実施例243.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、実施例237~242のいずれか1つに記載の方法。
【0417】
実施例244.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、実施例237~243のいずれか1つに記載の方法。
【0418】
実施例245.当該療法が、当該療法を必要とする当該対象に当該療法を投与することによって提供される、実施例237~244のいずれか1つに記載の方法。
【0419】
実施例246.当該状態が神経変性である、実施例237~244のいずれか1つに記載の方法。
【0420】
実施例247.神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、実施例246に記載の方法。
【0421】
実施例248.当該デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、当該展開状態にあるとき、当該側壁が略管状である、実施例237~247のいずれか1つに記載の方法。
【0422】
実施例249.当該軽減物質が、当該血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ当該血管内の当該血圧/脈圧又は当該脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、実施例237~248のいずれか1つに記載の方法。
【0423】
実施例250.当該血管と並置して位置付けられ、かつ脈波が当該血管を伝わると、当該可撓性減衰部材が当該管状構造の長さに沿った第1の位置に応力を加える、実施例249に記載の方法。
【0424】
実施例251.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が当該管状構造の長さに沿って長手方向及び/又は半径方向に移動する、実施例250に記載の方法。
【0425】
実施例252.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が、当該可撓性減衰部材の第1の変形可能な部分内の第1の位置から当該第1の変形可能な部分内の第2の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、実施例250に記載の方法。
【0426】
実施例253.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が、当該第1の位置から当該可撓性減衰部材の第2の変形可能な部分内の第3の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように更に構成されている、実施例250に記載の方法。
【0427】
実施例254.当該内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、実施例237~253のいずれか1つに記載の方法。
【0428】
実施例255.当該可撓性減衰部材が、当該血管の壁の周囲の少なくとも一部の周りに位置付けられるように更に構成されており、当該血管を伝わる脈波が当該減衰部材の第1の領域に応力を加え、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第1の領域から離れて当該減衰部材の第2の領域に移動し、これにより、当該減衰部材が当該脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、当該デバイスの遠位の当該血管壁に対する当該応力を減少させるようになる、実施例237~254のいずれか1つに記載の方法。
【0429】
実施例256.当該デバイスが、当該血管の管腔内で展開されるように更に構成されており、これにより、固着部材の外面が当該血管壁の管腔と並置し、かつ当該側壁の当該外面が当該血管腔を通って流れる血液と接触するようになる、実施例237~255のいずれか1つに記載の方法。
【0430】
実施例257.当該デバイスが当該血管腔内で展開され、かつ当該血管を伝わる脈波が当該減衰部材の第3の位置に応力を加えると、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第3の位置から離れて当該減衰部材の第4の位置に移動し、これにより、当該減衰部材が当該脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、当該デバイスの遠位の当該血管壁に対する当該応力を減少させるようになる、実施例256に記載の方法。
【0431】
実施例258.状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための方法であって、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法を、それを必要とする当該対象であって、当該対象が、当該状態の1つ以上の影響を治療し又は遅延させ、かつ血管と並置して設置されたデバイスを以前に提供されている、当該対象に提供することを含み、当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備える、方法。
【0432】
実施例259.当該療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、実施例258に記載の方法。
【0433】
実施例260.当該EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、実施例259に記載の方法。
【0434】
実施例261.当該MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、実施例260に記載の方法。
【0435】
実施例262.当該老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、実施例260に記載の方法。
【0436】
実施例263.当該療法が、当該対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、当該対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、炎症を軽減する、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの調節不全/損傷及び/若しくは死を予防する若しくは軽減する、血液脳関門調節不全若しくは透過性/損傷を予防する若しくは軽減する、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、実施例258~262のいずれか1つに記載の方法。
【0437】
実施例264.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、実施例258~263のいずれか1つに記載の方法。
【0438】
実施例265.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、実施例258~264のいずれか1つに記載の方法。
【0439】
実施例266.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、実施例258~265のいずれか1つに記載の方法。
【0440】
実施例267.当該療法が、当該療法を必要とする当該対象に当該療法を投与することによって提供される、実施例258~266のいずれか1つに記載の方法。
【0441】
実施例268.当該状態が神経変性である、実施例258~267のいずれか1つに記載の方法。
【0442】
実施例269.神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、実施例268に記載の方法。
【0443】
実施例270.当該デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、当該展開状態にあるとき、当該側壁が略管状である、実施例258~269のいずれか1つに記載の方法。
【0444】
実施例271.当該軽減物質が、当該血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ当該血管内の当該血圧/脈圧又は当該脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、実施例258~270のいずれか1つに記載の方法。
【0445】
実施例272.当該血管と並置して位置付けられ、かつ脈波が当該血管を伝わると、当該可撓性減衰部材が当該管状構造の長さに沿った第1の位置に応力を加える、実施例271に記載の方法。
【0446】
実施例273.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が当該管状構造の長さに沿って長手方向及び/又は半径方向に移動する、実施例272に記載の方法。
【0447】
実施例274.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が、当該可撓性減衰部材の第1の変形可能な部分内の第1の位置から当該第1の変形可能な部分内の第2の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、実施例273に記載の方法。
【0448】
実施例275.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が、当該第1の位置から当該可撓性減衰部材の第2の変形可能な部分内の第3の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように更に構成されている、実施例274に記載の方法。
【0449】
実施例276.当該内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、実施例258~275のいずれか1つに記載の方法。
【0450】
実施例277.当該可撓性減衰部材が、当該血管の壁の周囲の少なくとも一部の周りに位置付けられるように更に構成されており、当該血管を伝わる脈波が当該減衰部材の第1の領域に応力を加え、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第1の領域から離れて当該減衰部材の第2の領域に移動し、これにより、当該減衰部材が当該脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、当該デバイスの遠位の当該血管壁に対する当該応力を減少させるようになる、実施例258~276のいずれか1つに記載の方法。
【0451】
実施例278.当該デバイスが、当該血管の管腔内で展開されるように更に構成されており、これにより、固着部材の外面が当該血管壁の管腔と並置し、かつ当該側壁の当該外面が当該血管腔を通って流れる血液と接触するようになる、実施例258~277のいずれか1つに記載の方法。
【0452】
実施例279.当該デバイスが当該血管腔内で展開され、かつ当該血管を伝わる脈波が当該減衰部材の第3の位置に応力を加えると、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第3の位置から離れて当該減衰部材の第4の位置に移動し、これにより、当該減衰部材が当該脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、当該デバイスの遠位の当該血管壁に対する当該応力を減少させるようになる、実施例278に記載の方法。
【0453】
実施例280.状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのシステムであって、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法の有効量と、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスと、を備え、
当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備える、システム。
【0454】
実施例281.当該EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせ、実施例280に記載のシステム。
【0455】
実施例282.当該EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、実施例281に記載のシステム。
【0456】
実施例283.当該MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、実施例282に記載のシステム。
【0457】
実施例284.当該老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、実施例282に記載のシステム。
【0458】
実施例285.当該療法が、当該対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、当該対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、炎症を軽減する、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの調節不全/損傷及び/若しくは死を予防する若しくは軽減する、血液脳関門調節不全若しくは透過性/損傷を予防する若しくは軽減する、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、実施例280~284のいずれか1つに記載の方法。
【0459】
実施例286.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、実施例280~285のいずれか1つに記載のシステム。
【0460】
実施例287.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、実施例280~286のいずれか1つに記載のシステム。
【0461】
実施例288.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、実施例280~287のいずれか1つに記載のシステム。
【0462】
実施例289.当該療法が、当該療法を必要とする当該対象に当該療法を投与することによって提供される、実施例280~288のいずれか1つに記載のシステム。
【0463】
実施例290.当該状態が神経変性である、実施例280~289のいずれか1つに記載のシステム。
【0464】
実施例291.神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、実施例290に記載のシステム。
【0465】
実施例292.当該内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、実施例280~291のいずれか1つに記載のシステム。
【0466】
実施例293.当該デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、当該展開状態にあるとき、当該側壁が略管状である、実施例280~292のいずれか1つに記載のシステム。
【0467】
実施例294.当該軽減物質が、当該血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ当該血管内の当該血圧/脈圧又は当該脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、実施例280~293のいずれか1つに記載のシステム。
【0468】
実施例295.当該血管と並置して位置付けられ、かつ脈波が当該血管を伝わると、当該可撓性減衰部材が当該管状構造の長さに沿った第1の位置に応力を加える、実施例294に記載のシステム。
【0469】
実施例296.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が当該管状構造の長さに沿って長手方向及び/又は半径方向に移動する、実施例295に記載のシステム。
【0470】
実施例297.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が、当該可撓性減衰部材の第1の変形可能な部分内の第1の位置から当該第1の変形可能な部分内の第2の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、実施例295に記載のシステム。
【0471】
実施例298.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が、当該第1の位置から当該可撓性減衰部材の第2の変形可能な部分内の第3の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように更に構成されている、実施例295に記載のシステム。
【0472】
実施例299.当該可撓性減衰部材が、当該血管の壁の周囲の少なくとも一部の周りに位置付けられるように更に構成されており、当該血管を伝わる脈波が当該減衰部材の第1の領域に応力を加え、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第1の領域から離れて当該減衰部材の第2の領域に移動し、これにより、当該減衰部材が当該脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、当該デバイスの遠位の当該血管壁に対する当該応力を減少させるようになる、実施例280~298のいずれか1つに記載のシステム。
【0473】
実施例300.当該デバイスが、当該血管の管腔内で展開されるように更に構成されており、これにより、固着部材の外面が当該血管壁の管腔と並置し、かつ当該側壁の当該外面が当該血管腔を通って流れる血液と接触するようになる、実施例280~299のいずれか1つに記載のシステム。
【0474】
実施例301.当該デバイスが当該血管腔内で展開され、かつ当該血管を伝わる脈波が当該減衰部材の第3の位置に応力を加えると、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第3の位置から離れて当該減衰部材の第4の位置に移動し、これにより、当該減衰部材が当該脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、当該デバイスの遠位の当該血管壁に対する当該応力を減少させるようになる、実施例300に記載のシステム。
【0475】
実施例302.状態の1つ以上の影響の治療及び/又は予防を必要とする対象における状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのシステムであって、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法の有効量と、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスと、を備え、
当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、当該血管内の拍動血流に応じて1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成された当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備え、
当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための当該療法の当該有効量が、当該デバイスの当該少なくとも部分的に変形可能な部分のうちの又はそれ以上によって運ばれ、
当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分が少なくとも部分的に変形すると、当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための療法の当該有効量が当該デバイスから放出される、システム。
【0476】
実施例303.当該療法の当該有効量が、当該療法の第1の有効量及び当該療法の第2の有効量を更に含む、実施例302に記載のシステム。
【0477】
実施例304.当該療法の当該第2の有効量が当該療法の当該第1の有効量よりも多い、実施例303に記載のシステム。
【0478】
実施例305.当該血管内の第1の拍動血流に応じて、当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分が第1の変形度まで少なくとも部分的に変形する、実施例304に記載のシステム。
【0479】
実施例306.当該血管内の第2の拍動血流に応じて、当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分が第2の変形度まで少なくとも部分的に変形する、実施例305に記載のシステム。
【0480】
実施例307.当該第2の変形度が当該第1の変形度よりも大きい、実施例306に記載のシステム。
【0481】
実施例308.当該第1の変形度に応じて、当該療法の当該第1の有効量が当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分から放出される、実施例307に記載のシステム。
【0482】
実施例309.当該第2の変形度に応じて、当該療法の当該第2の有効量が当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分から放出される、実施例308に記載のシステム。
【0483】
実施例310.当該療法が、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせである、実施例302~309のいずれか1つに記載のシステム。
【0484】
実施例311.当該EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、実施例310に記載のシステム。
【0485】
実施例312.当該MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、実施例310に記載のシステム。
【0486】
実施例313.当該老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、実施例310に記載のシステム。
【0487】
実施例314.当該療法が、当該対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、当該対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、炎症を軽減する、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの調節不全/損傷及び/若しくは死を予防する若しくは軽減する、血液脳関門調節不全若しくは透過性/損傷を予防する若しくは軽減する、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、実施例359~384のいずれか1つに記載の方法。
【0488】
実施例315.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、実施例359~385のいずれか1つに記載のシステム。
【0489】
実施例316.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、実施例359~386のいずれか1つに記載のシステム。
【0490】
実施例317.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、実施例359~387のいずれか1つに記載のシステム。
【0491】
実施例318.当該療法が、当該療法を必要とする当該対象に当該療法を投与することによって提供される、実施例359~388のいずれか1つに記載のシステム。
【0492】
実施例319.当該状態が神経変性である、実施例359~389のいずれか1つに記載のシステム。
【0493】
実施例320.神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、実施例390に記載のシステム。
【0494】
実施例321.当該内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、実施例359~391のいずれか1つに記載のシステム。
【0495】
実施例322.当該デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、当該展開状態にあるとき、当該側壁が略管状である、実施例359~392のいずれか1つに記載のシステム。
【0496】
実施例323.当該軽減物質が、当該血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ当該血管内の当該血圧/脈圧又は当該脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、実施例359~393のいずれか1つに記載のシステム。
【0497】
実施例324.当該血管と並置して位置付けられ、かつ脈波が当該血管を伝わると、当該可撓性減衰部材が当該管状構造の長さに沿った第1の位置に応力を加える、実施例394に記載のシステム。
【0498】
実施例325.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が当該管状構造の長さに沿って長手方向及び/又は半径方向に移動する、実施例395に記載のシステム。
【0499】
実施例326.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が、当該可撓性減衰部材の第1の変形可能な部分内の第1の位置から当該第1の変形可能な部分内の第2の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、実施例395に記載のシステム。
【0500】
実施例327.当該第1の位置に応力が加えられた後、当該軽減物質の少なくとも一部が、当該第1の位置から当該可撓性減衰部材の第2の変形可能な部分内の第3の位置まで長手方向及び/又は半径方向に移動するように更に構成されている、実施例395に記載のシステム。
【0501】
実施例328.当該可撓性減衰部材が、当該血管の壁の周囲の少なくとも一部の周りに位置付けられるように更に構成されており、当該血管を伝わる脈波が当該減衰部材の第1の領域に応力を加え、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第1の領域から離れて当該減衰部材の第2の領域に移動し、これにより、当該減衰部材が当該脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、当該デバイスの遠位の当該血管壁に対する当該応力を減少させるようになる、実施例359~398のいずれか1つに記載のシステム。
【0502】
実施例329.当該デバイスが、当該血管の管腔内で展開されるように更に構成されており、これにより、固着部材の外面が当該血管壁の管腔と並置し、かつ当該側壁の当該外面が当該血管腔を通って流れる血液と接触するようになる、実施例359~399のいずれか1つに記載のシステム。
【0503】
実施例330.当該デバイスが当該血管腔内で展開され、かつ当該血管を伝わる脈波が当該減衰部材の第3の位置に応力を加えると、当該軽減物質の少なくとも一部が当該第3の位置から離れて当該減衰部材の第4の位置に移動し、これにより、当該減衰部材が当該脈波のエネルギーの少なくとも一部を吸収し、それにより、当該デバイスの遠位の当該血管壁に対する当該応力を減少させるようになる、実施例400に記載のシステム。
【0504】
R.実施例331~349:状態を有する患者を治療するための方法
実施例331.状態を有する患者を治療するための方法であって、
(a)当該患者が、脈圧上昇、脈波強度/FCWI上昇を有し、かつ微小出血、血液脳関門調節不全及び/若しくは透過性増加、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくは脳脊髄液(CSF)サイトカインレベル上昇、活性酸素種レベル上昇、又はそれらの組み合わせの既往歴を有するかを、
(i)当該患者が、当該脈圧上昇、当該脈波強度/FCWI上昇を有し、かつ微小出血、血液脳関門調節不全及び/若しくは透過性増加、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、活性酸素種、又はそれらの組み合わせの症状を以前に有したことがあること、及び/又は微小出血、血液脳関門調節不全及び/若しくは透過性増加、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環若しくはCSFサイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断されたこと、を示す情報を取得すること若しくは取得されたことがあること、並びに/又は
(ii)当該対象を、当該脈圧上昇、当該脈波強度/FCWI上昇、並びに微小出血、血液脳関門調節不全及び/若しくは透過性増加、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状について監視すること若しくは監視されたことがあること、によって決定すること若しくは決定されたことがあることと、
(b)当該患者が、微小出血、血液脳関門調節不全及び/若しくは透過性増加、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状を以前に有したことがある場合、当該患者が、微小出血、血液脳関門調節不全及び/若しくは透過性増加、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断された場合、及び/又は微小出血、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、又はそれらの組み合わせの症状が監視された場合、
(i)当該患者に、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせを提供することと、
(ii)当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するためのデバイスを提供することであって、
当該デバイスが、
内面であって、当該内面が、当該血管内の拍動血流に応じて1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成された当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分を有する側壁から形成されている、内面と、外面とを有する略管状構造を形成する可撓性減衰部材と、
当該側壁の当該1つ以上の少なくとも部分的に変形可能な部分内に配置された軽減物質であって、当該血管内の拍動血流に応じて1つの部分的に変形可能な部分内で長手方向及び/又は半径方向に移動するように構成されている、軽減物質と、を備える、提供することと、
(c)当該患者が、微小出血、血液脳関門調節不全及び/若しくは透過性増加、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせの症状を有したことがない場合、当該患者が、微小出血、血液脳関門調節不全及び/若しくは透過性増加、全身性炎症、血液脳関門炎症、神経炎症、少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇、活性酸素種増加、又はそれらの組み合わせを有すると以前に診断されなかった場合、当該状態の1つ以上の影響を治療及び/又は予防するための当該デバイスを提供することと、を含む、方法。
【0505】
実施例332.当該脈圧上昇が少なくとも50mmHgの脈圧である、実施例331に記載の方法。
【0506】
実施例333.当該少なくとも1つの循環サイトカインレベル上昇(b)が、(c)における当該レベルよりも少なくとも約5%高いレベルである、実施例331又は実施例332に記載の方法。
【0507】
実施例334.当該少なくとも1つのサイトカインが、VCAM-1、ICAM-1、TNFα、TGF-β、IL-6、IL-8、IL-1β、IL-12、及びNF-κBからなる群から選択される、実施例331~333のいずれか1つに記載の方法。
【0508】
実施例335.当該EDG受容体ファミリーモジュレーターが、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、又はポネシモドから選択されるS1P受容体アゴニストである、実施例331に記載の方法。
【0509】
実施例336.当該MMP阻害剤が、ドキシサイクリン又はデキサメタゾンである、実施例331に記載の方法。
【0510】
実施例337.当該老化細胞除去剤が、ダサチニブ、ケルセチン、又はダサチニブとケルセチンの組み合わせである、実施例331に記載の方法。
【0511】
実施例338.当該療法が、当該対象の脳内のアミロイド前駆体タンパク質の異常な切断を予防する及び/若しくは減少させる、当該対象の脳内のβ-アミロイドタンパク質の発現及び/若しくは蓄積を予防する及び/若しくは減少させる、炎症を軽減する、酸化ストレスを減少させる及び/若しくは予防する、虚血を軽減する及び/若しくは予防する、ニューロンの機能障害/損傷及び/若しくは死を予防する若しくは軽減する、血液脳関門調節不全を予防する若しくは軽減する及び/若しくは透過性を増加させる、老化細胞を排除する、密着結合を改善する、MMPを阻害する、並びに/又はTIMPの転写活性化を誘導する、実施例331~337のいずれか1つに記載の方法。
【0512】
実施例339.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬量よりも少ない第1の投薬量で提供される、実施例331~338のいずれか1つに記載の方法。
【0513】
実施例340.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の投薬レジメン未満の第1の投薬レジメンで提供される、実施例331~339のいずれか1つに記載の方法。
【0514】
実施例341.当該療法が、当該デバイスの不在下で提供される第2の経路とは異なる第1の経路を介して提供される、実施例331~340のいずれか1つに記載の方法。
【0515】
実施例342.当該療法が、当該療法を必要とする当該対象に当該療法を投与することによって提供される、実施例331~341のいずれか1つに記載の方法。
【0516】
実施例343.工程(b)が、工程(a)の後かつ工程(c)の前に行われる、実施例331~342のいずれか1つに記載の方法。
【0517】
実施例344.工程(c)が、工程(a)の後かつ工程(b)の前に行われる、実施例331~343のいずれか1つに記載の方法。
【0518】
実施例345.当該状態が神経変性である、実施例331~344のいずれか1つに記載の方法。
【0519】
実施例346.神経変性が、アルツハイマー病、認知症、及び/又は認知障害を更に含む、実施例345に記載の方法。
【0520】
実施例347.当該内面及び/又は外面が略円筒形状又は長手方向に起伏する起伏形状を有する、実施例331~346のいずれか1つに記載の方法。
【0521】
実施例348.当該デバイスが薄型状態及び展開状態を有し、当該展開状態にあるとき、当該側壁が略管状である、実施例331~347のいずれか1つに記載の方法。
【0522】
実施例349.当該軽減物質が、当該血管内の血圧/脈圧上昇又は脈波強度/FCWI上昇に応じて拡張し、かつ当該血管内の当該血圧/脈圧又は当該脈波強度/FCWI上昇がその後減少するにつれて弛緩するように構成されている、実施例331~348のいずれか1つに記載の方法。
【0523】
加えて、以下の予言的実施例は、本技術のいくつかの実施形態の例証である。
【0524】
S.実施例350:臨床試験デザイン(予言的実施例)
埋め込み型デバイスを、本技術に従って、対象の動脈の少なくとも一部に、その近くに、その周りに、その中に、又はその代わりに位置付ける。埋め込み型デバイスを位置付けた後、埋め込み型デバイスを受容した対象を少なくとも2つの群(A群:プラセボ及びB群:治療剤)のうちの1つに無作為化する。プラセボは、治療剤中の活性成分のための薬学的に許容される担体などの薬物のあらゆる特定の効果を区別するのに有用な実験的に適切なプラセボである。プラセボの用量は、B群の対象が受ける薬学的に許容される担体の量に相当する。B群は2つ以上の下位群を含むことができ、対象を各下位群に無作為に割り付ける。これらのB群下位群の各々の対象は各々、最終的に同じ治療剤を受けるが、用量、投与経路、投薬レジメン、又は治療プロトコルに関連する他のパラメータを変えることができる。
【0525】
T.実施例351:臨床試験設計(予言的実施例)
治療剤を、事前に指定された用量、投与経路、頻度、及び持続期間で対象に送達する。治療剤を対象に送達した後、対象を少なくとも2つの群(A群:偽及びB群:埋め込み型デバイス)のうちの1つに無作為化する。B群の対象の場合、埋め込み型デバイスを、本技術に従って、対象の動脈の少なくとも一部に、その近くに、その周りに、その中に、又はその代わりに位置付ける。A群の偽処理は、B群に使用する埋め込み型デバイスの送達に関連する送達方法を含むが、埋め込み型デバイスをA群の対象に送達しない。
【0526】
代替の試験では、対象を少なくとも2つの群(A群:偽及びB群:埋め込み型デバイス)のうちの1つに無作為化する。B群の対象の場合、埋め込み型デバイスを、本技術に従って、対象の動脈の少なくとも一部に、その近くに、その周りに、その中に、又はその代わりに位置付ける。A群の偽処理は、B群に使用する埋め込み型デバイスの送達に関連する送達方法を含むが、埋め込み型デバイスをA群の対象に送達しない。A群及びB群を選択し、埋め込み型デバイス(B群)又は偽処理(A群)を提供した後、治療剤を、事前に指定された用量、投与経路、頻度、及び持続期間で対象に送達する。
【0527】
別の代替の試験では、対象を少なくとも2つの群(A群:偽及びB群:埋め込み型デバイス)のうちの1つに無作為化する。B群の対象の場合、埋め込み型デバイスを、本技術に従って対象の動脈の少なくとも一部に、その近くに、その周りに、その中に、又はその代わりに位置付け、治療剤を、埋め込み時に、事前に指定された用量、投与経路、頻度、及び持続期間で対象に送達する。A群の偽処理は、B群に使用する埋め込み型デバイスの送達に関連する送達方法を含むが、埋め込み型デバイスをA群の対象に送達しない。A群にも、偽処理の時点で、事前に指定された用量、投与経路、頻度、及び持続期間で治療剤を送達する。
【0528】
U.実施例352:薬剤ベースの療法研究(予言的実施例)
薬剤ベースの療法に対する拍動減少の影響:HCMEC-SV40細胞などの不死化ヒト脳微小血管内皮細胞を、Gangoda et al,2018に記載されているように、培養し、約15%周期的に伸展させる。脳内皮細胞を周期的に伸展させた後、コンフルエンスに注目し、馴化培地のサンプルを収集する。脳内皮細胞培養物の半分を約5%伸展に減少させるが、残りの半分を15%伸展のままにする。これは、それぞれ、本明細書に記載のデバイスの適用あり/なしを表す。
【0529】
次に、薬物(MMP阻害剤、(例えば、デキサメタゾン、ドキシサイクリン)、S1Pモジュレーター(例えば、フィンゴリモド)、又は老化細胞除去療法(例えば、D+Q)との併用療法を以下のように投与する。
【0530】
(I)5%伸展に減少させた脳内皮細胞+薬剤
【0531】
(II)15%伸展で維持した脳内皮細胞+薬剤
【0532】
投薬後の所定の時点で、以下のアッセイを各条件に行う。
【0533】
(I)馴化培地を収集し、ELISAを使用して、MMP、S1P受容体、炎症性サイトカイン、及びアミロイド経路タンパク質などの関連バイオマーカーの発現を測定する(コンフルエンスに対して正規化する)。
【0534】
(II)細胞生存率を、LDHアッセイを使用して定量してもよい。
【0535】
(III)脳微小血管内皮細胞のウェスタンブロットを使用して、炎症性及びアミロイド経路タンパク質の細胞含有量を定量する。
【0536】
V.実施例353:インビボ 外科的誘導動物モデル研究設計(予言的実施例)
デバイスのインビボモデル。雄WTマウス(例えば、C57Bl/6及びBALB/c)並びに/又はアルツハイマー病モデルマウスを、本実験前に2週間順化させる。動物を、21~23℃の室温、30~70%の相対湿度、及び12:12時間の明:暗サイクルの標準の条件下で維持する。固形飼料及び水を自由に摂食させる。
【0537】
2週間順化させた後、マウスを秤量する(全研究を通して毎週)。右頸動脈及び左頸動脈の血流及び脈圧を、当概技術分野における任意の標準の方法、例えば、非侵襲的Doppler Flow Velocity System(Scintica Instrumentation,Inc.)又は侵襲的加圧カテーテル(Millar)を使用して測定する。その後、マウスを同等の平均体重を有する群に分ける。マウスに、横大動脈の周りに狭窄部を配置し、左心室(left ventricular、LV)流出を制限し、それ故に、LVにおける圧負荷を作り出し、脈圧上昇を誘導することを含む横大動脈狭窄(transverse aortic constriction、TAC)手術を行う。TAC手術を、(i)脈圧の持続的(又は永久的)上昇を誘導するためのナイロン縫合糸、又は(ii)脈圧の一過性(又は一時的)上昇を誘導するための吸収性縫合糸(例えば、最大強度で14~21日間持続するポリグラクチン910)のいずれかを使用して行い、この脈圧上昇は、縫合糸が溶解するにつれて徐々に消失し、脈圧上昇及び経時的に生じる関連脳微小出血の減少を表す。選択した吸収性縫合糸の比吸収率及びマウスにおける経時的な脈圧に対するその効果を確認する。吸収性縫合糸を受けたTACマウスは、減衰デバイスをモデル化する。
【0538】
次に、以下のマウス群を試験して、ナイロン縫合糸TACマウスと比較して、吸収性縫合糸マウスにおいてより低いアルツハイマー関連病変/より高い血液脳関門(blood brain barrier、BBB)完全性が見られることを確認し、減衰デバイスの作用機構(脈圧上昇を減少させる)を支持する。
【0539】
(I)WTマウス、ナイロン縫合糸を用いたTAC
【0540】
(II)WTマウス、吸収性縫合糸を用いたTAC
及び/又は
【0541】
(III)アルツハイマーマウス、ナイロン縫合糸を用いたTAC
【0542】
(IV)アルツハイマーマウス、吸収性縫合糸を用いたTAC
【0543】
TAC手術後の群比較のための時点を、ナイロン縫合糸対吸収性縫合糸を用いて最適な対照的脈圧が達成されたときに基づいて決定してもよい。ある特定の態様では、本実験の開始点は、TACのおよそ6週間後であってもよい。
【0544】
群比較のための時点で、マウスを秤量し、血流及び脈圧を記録する。その後、マウスにエバンスブルー色素(励起470/540nm、発光680nm)又は当該技術分野で既知の任意の他の蛍光トレーサーを注射し、灌流を行い、その後、屠殺する。全脳を抽出し、脳組織を直ちに固定し(又は組織を何に使用するかに応じて急速凍結し)、切片する。マウスの心臓を採取し、秤量してもよい。固定した同側及び対側組織学的脳切片をプルシアンブルーで染色して、Montgolfierらの補足1(上記参照)に記載のように微小出血を定量するか、又は蛍光分布について共焦点画像化する。密着結合タンパク質などのBBBマーカーの発現を測定するための免疫組織化学又はqPCRも、BBB完全性の指標とみなしてもよい。MMP(BBB透過性増加のマーカー)及びNF-kB(アルツハイマー病に関連する炎症マーカー)タンパク質発現も、脳微小血管及び脳組織内で測定することができる。神経組織中のアミロイドベータ沈着も、アルツハイマー病モデルマウスにおいて定量することができる。最後に、脳切片中のフィブリンの免疫組織化学を行い、BBBを通って神経網に漏出した血液成分の凝固を可視化することができる。
【0545】
併用療法のインビボモデル。上記の概念実証実験の完了に成功した後、薬物又は細胞療法の有効性に対する脈圧上昇を減少させることの利点をインビボで研究する。最初に、前述したように、WTマウス又はアルツハイマー病モデルマウスに、ナイロン縫合糸又は吸収性縫合糸のいずれかを用いたTAC手術を行う。
【0546】
上記のTAC手術後の群比較のための時点で、マウスに、蛍光標識幹細胞/前駆細胞又は本明細書に記載の薬物(例えば、「治療剤」、「薬剤」、「療法」、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、老化細胞除去剤、及び/又はそれらの組み合わせ)を(頸動脈内又は尾静脈を介して)投与する。
【0547】
例えば、マウスに、以下に示すように、治療剤(MMP阻害剤(例えば、デキサメタゾン、ドキシサイクリン)、S1Pモジュレーター(例えば、フィンゴリモド)、又は老化細胞除去療法(例えば、D+Q)を投与してもよい。
【0548】
(I)ナイロン縫合糸を用いたTAC+治療剤
【0549】
(II)吸収性縫合糸を用いたTAC+治療剤
【0550】
この実施例に従って試験することができる例示的な療法としては、フィンゴリモド、デキサメタゾン、及びドキシサイクリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0551】
群比較のための時点で、マウスを秤量し、血流及び脈圧を記録する。その後、マウスにエバンスブルー色素/蛍光トレーサーを注射し、灌流を行い、その後、屠殺する。全脳を抽出し、脳組織を直ちに固定し(又は組織を何に使用するかに応じて急速凍結し)、切片する。マウスの心臓を採取し、秤量する。固定した同側及び対側組織学的脳切片をプルシアンブルーで染色して、微小出血を定量する(Montgolfierらの補足1(上記参照)を参照されたい)か、又は蛍光分布について共焦点画像化する。PKH26/CFDA-SE(蛍光)シグナルは、脳微小血管系に動員された蛍光標識幹細胞又は前駆細胞の存在量を明らかにすることができる。エバンスブルー/蛍光トレーサーシグナルは、BBB漏出を示し得る。密着結合タンパク質などのBBBマーカーの発現を測定するための免疫組織化学又はqPCRも、BBB完全性の指標とみなすことができる。MMP(BBB透過性増加のマーカー)及びNF-kB(アルツハイマー病及び幹細胞機能障害に関連する炎症マーカー)タンパク質発現も、脳組織内で測定することができる。最後に、脳切片中のフィブリンの免疫組織化学を行い、BBBを通って神経網に漏出した血液成分の凝固を可視化することができる。
【0552】
本明細書に記載のインビボモデルを使用して、本明細書で論じられる療法を含む、脈圧上昇の減少(減衰デバイスの効果)と組み合わせて投与されるいずれの療法も試験することができる。これらの併用療法実験は、吸収性縫合糸TACマウス+治療剤が、ナイロン縫合糸TACマウス+治療剤よりも少ないBBB破壊を示すかを確認する。そうである場合、これは、デバイスがかかる治療剤の有効性を相乗的に増強する可能性を支持する。
【0553】
W.実施例354:インビボ化学誘導脈圧研究設計(予言的実施例)
上述の脈圧上昇のTAC外科誘導モデルの代替として、脈圧上昇の化学誘導動物モデルを使用して、本明細書に記載の生物学的治療薬(例えば、「治療剤」、「薬剤」、「療法」、EDG受容体ファミリーモジュレーター、MMP阻害剤、及び/若しくは老化細胞除去剤、又はそれらの組み合わせ)を試験することもできる。かかるモデルを、Essalihi et al.,A new model of isolated systolic hypertension induced by chronic warfarin and vitamin K1 treatment,Am J Hypertens.2003 Feb;16(2):103-10(doi:10.1016/s0895-7061(02)03204-1)に従って、ワルファリン/ビタミンK1(warfarin/vitamin K、WVK)で動物(例えば、ラット)を処理することによって生成することができる。WVK処理は、孤立性収縮期高血圧、ひいては、脈圧上昇を誘導する。この脈圧上昇を、Essalihi et al.,Regression of medial elastocalcinosis in rat aorta:a new vascular function for carbonic anhydrase,Circulation.2005 Sep 13;112(11):1628-35(doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.104.528984)に従って、ダルセンタン(DAR)及び/又はアセタゾラミド(ACTZ)処理でのその後の処理により減少させることができる。
【0554】
脈圧が低下した場合と比較して脈圧上昇を経験した脳血管健常動物を比較するために、動物を以下の群のうちの1つ以上で処理する。
【表7】
【0555】
処理期間後、認知、微小出血、BBB透過性、神経炎症、神経変性、及びBBB密着結合の発現を定量し、上記の表に詳述したラットの各群について比較することができる。
【0556】
本明細書に記載の研究設計を使用して、本明細書に記載の療法を含む、脈圧上昇の減少(減衰デバイスの効果)と組み合わせて投与されるよう意図されたいずれの療法も試験することができる。この研究設計を使用して試験することができる例示的な療法処理としては、フィンゴリモド、デキサメタゾン、及びドキシサイクリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0557】
X.実施例355:フィンゴリモドは、持続的に高い脈圧の存在下でBBB機能を改善することができる。
本研究を、(i)薬物アプローチ、この場合、フィンゴリモド、及び(ii)脳脈圧を減少させるように設計されたデバイスの効果を模倣するための実験的アプローチによって、血液脳関門(BBB)を保護するための「組み合わせ」アプローチを調査するために行った。ここで、実験的アプローチは、右総頸動脈と左総頸動脈との間の上行大動脈への吸収性縫合糸の適用(TAC手術)であった。永久的TACが右大脳半球に高い脈圧を生成する一方で、一時的TAC(吸収性縫合糸)は、本明細書の実施形態に記載のような外頸動脈デバイスで得られるべきものと同様に、縫合糸が吸収されると、高い脈圧の後に正常な脈圧が続く期間を模倣するはずである。
【0558】
ここで、製造業者により7~10日後に吸収されるとされた吸収性TAC縫合糸を使用したが、1匹を除く全てのマウスにおいて、以下で論じられるように、吸収は生じなかった。しかしながら、薬物とデバイスとを組み合わせたアプローチに有用な「概念実証」実験である本実験は、我々に、フィンゴリモドが持続的に高い脈圧の存在下でBBB機能を改善したかを試験する機会を依然として与えた。
【0559】
研究設計。60匹のマウスを2つの群(単純縫合糸を受ける永久的TAC群及び吸収性縫合糸を受ける一過性TAC群)に均等に分けた。図26に示すように、プロトコルは、TAC手術後12日目から開始して、全てのマウスをフィンゴリモドで処理することを必要とする。このプロトコルからの逸脱を以下に論じる。
【0560】
TAC後の死亡率。永久的TAC群におけるマウスの死亡率(7.4%)は、一過性TAC群の死亡率(33.3%)よりも高かった。吸収性縫合糸はそれほど剛性ではなく、縫合糸に加えられる張力を調整するのに数回の手術を要した。
【0561】
TAC後の体重追跡。図21及び以下の表2~3に示すように、吸収性縫合糸を用いたTAC手術は、より高い体重減少を伴った。
【0562】
【表2】
【0563】
【表3】
【0564】
心エコー図データ。ピーク速度を評価する心エコー図をTAC手術前(-3日)及びTAC手術後(4、6、9、12、15、及び42日)に行い、縫合糸が吸収されたか否かを検出した。図22A~B及び表4(下記)に示すように、ピーク速度(ピークV)は1匹のマウスでのみ減少し、その特定のマウスにおいて縫合糸がTACの終了時に完全に吸収されたことを示唆している(吸収性群におけるマウス番号20、20A)。
【0565】
【表4】
【0566】
LV:左心室、LVAWd:左心室拡張末期前壁厚、LVPWd:左心室拡張末期後壁厚、LVEDd:左心室拡張末期径、LVEDs:左心室収縮末期径、FS:短縮率、LVVd:左心室拡張末期容積、LVVs:左心室収縮末期容積、EF:駆出率。データは、n匹のマウスの平均値±平均値の標準誤差である。二元配置分散分析(TAC×縫合糸)、その後、シダック多重比較検定。(†:基礎条件と比較したp<0.05=TACの影響、:吸収性縫合糸と比較したp<0.05=縫合糸のタイプの影響)。
【0567】
吸収性縫合糸を用いると、エコー心臓パラメータの変動性が高くなり、心臓特性に対するTACの影響がより大きくなる傾向が生じる(平均勾配を除く)。
【0568】
Millarデータ、TAC後6週間。Millarを屠殺日に未処理マウス及び処理したマウス(フィンゴリモド、0.3mg/kg/日、TACの最後の2週間)に行った。頸動脈圧及び左心室圧パラメータを以下の表5~6に示す。
【0569】
【表5】
【0570】
データは、n匹のマウスの平均値±平均値の標準誤差である。二元配置分散分析(縫合糸×処理)、その後、シダック多重比較検定。
【0571】
【表6】
【0572】
データは、n匹のマウスの平均値±平均値の標準誤差である。二元配置分散分析(縫合糸×処理)、その後、シダック多重比較検定
【0573】
認知(Y迷路-探索行動)。認知を、図23図24に示すように、Y迷路の3つのアーム内の挙動変化の数に従って測定した。
【0574】
エバンスブルーデータ。上記のインビボデータの分析は、吸収性縫合糸が、マウス20Aを除いて、時間内に、すなわち、製造業者であるEthiconが宣伝したように7~10日以内に吸収されなかったことを実証する。その結果、これらの2つの群(単純縫合糸及び吸収性縫合糸)間に統計的差異はなかった。他の2つのフィンゴリモド処理群についても同様である。それにもかかわらず、マウスを、以下で論じられるように、反復エコー評価に基づく大動脈直径の正常化の証拠の欠如にもかかわらず、最後の2週間(TAC手術後4週間から開始)処理した。
【0575】
23匹のマウスを、最後の2週間、すなわち、TAC手術後4週間、フィンゴリモド(飲料水中0.01mg/日、すなわち、0.3mg/kg/日)で処理した。最初のプロトコルでは、手術後12日目と推定される縫合糸の吸収後、ひいては、4週間半、マウスを処理することを計画した。縫合糸の吸収が起こらなかったため、損傷が十分に確立されることが予想された場合であっても、マウスを最後の2週間処理することに決めた。
【0576】
画像を再構成して全右半球を取得して、エバンスブルー溢出を定量した。本分析は、Image J(登録商標)及びバックグラウンド蛍光フィルターを使用して、盲検技術者により行われた。4匹のマウスを処理せず(23A、24A、30A、40A)、3匹のマウスを処理した(41A、42A、52A)。図26Aは、全てのデータ取得を表し、その後、エバンスブルーデータの正規性及び対数正規性を図26Bに示すよに試験した。
【0577】
個々のマウスからの各々の関心領域(ROI)の個々のデータの異常分布のコンピュータ生成除外を用いて、図27に示すドットプロットは、フィンゴリモドが内皮のバリア機能を維持することによって脳血管内皮完全性をいくらか保護することを示唆する。しかしながら、個々のマウスからの全ての値を異常分布値の除外なしに平均化した場合、この傾向は残るが、各群に含まれる動物の数が少なく(外れ値を含む)、エバンスブルー拡散の変動が大きいため、統計的有意性は失われる。
【0578】
2つの群(処理及び未処理)からの全てのマウスが心エコー検査によって測定された同じ速度ピーク(脈圧の代理)を有し(図29A図29Bを参照されたい)、それ故に、処理の潜在的な有益な効果が脳内のより低い脈圧に起因する可能性はない。
【0579】
要約すると、S1P受容体リガンドは、脳血管脈圧上昇に関連するBBB透過性増加を防止することによって保護的である可能性が高い。縫合糸の吸収後に脳血管脈圧を正常化させた状態で、マウスのより大きいコホートに追加の試験を行ってもよい。処理を脈圧の正常化と同時に高脈圧のわずか1週間後に開始して、効果を最大にする。
【0580】
qPCR分析。標的mRNA発現を脳の微小血管画分で行った。2つのアプローチに従った:定量(RT-qPCR)を全脳の微小血管画分で行う(未処理若しくは処理、1群当たりn=5、対応のないt検定)か、又は3匹の処理した若しくは未処理のマウスの脳の同側半球及び対側半球の単離後に行った(対応のある統計分析(左と右との比較)及び対応のないt検定(TTなしとTTとの比較))。以下で標的遺伝子転写物について論じる。
【0581】
S1P1(図30A図30Bを参照されたい):Gタンパク質共役受容体であり、内皮細胞で高度に発現する。これは、リガンドスフィンゴシン-1-リン酸に高い親和性及び高い特異性で結合し、内皮細胞の分化を調節するプロセスに関与することが示唆されている。この受容体の活性化は、細胞間接着を誘導する。
【0582】
S1P3(図31A図31Bを参照されたい):この遺伝子は、Gタンパク質共役受容体である受容体のEDGファミリーのメンバーをコードする。このタンパク質は、スフィンゴシン1-リン酸の機能的受容体として特定されており、血管新生及び血管内皮細胞機能の調節に寄与する可能性が高い。
【0583】
B2M(図32A図32Bを参照されたい):B2Mとしても知られているβミクログロブリンは、MHCクラスI分子の成分であり、MHCクラスI分子は、全ての有核細胞上に存在するα、α、及びαタンパク質を有する。
【0584】
CERS4(図33A図33Bを参照されたい):アシル供与体として長鎖及び超長鎖(C18:0~C22:0)に対して高い選択性でスフィンガニン及びアシル-CoA基質からのセラミドの形成を触媒するセラミドシンターゼ。
【0585】
CERS2(図34A図34Bを参照されたい):腎臓、肝臓、及び脳における超長鎖脂肪酸を有するセラミドの合成に非冗長役割を果たす。
【0586】
クローディン(図35A図35Bを参照されたい):クローディンは、上皮の透過性を調節する密着結合複合体の主成分として機能する。
【0587】
ICAM-1(図36A図36Bを参照されたい):細胞間接着分子1。ICAMタンパク質は、白血球接着タンパク質LFA-1(インテグリンアルファ-L/ベータ-2)のリガンドである。白血球の経内皮移動中、ICAM1係合が内皮頂端カップの集合を促進する。
【0588】
VCAM-1(図37A図37Bを参照されたい):血管細胞接着分子1。細胞間認識に重要である。白血球-内皮細胞接着に機能するようである。白血球上のインテグリンアルファ-4/ベータ-1(integrin alpha-4、ITGA4/integrin beta-1、ITGB1)と相互作用し、接着及びシグナル伝達の両方を媒介する。
【0589】
MMP9(図38A図38Bを参照されたい):細胞外マトリックスの局所タンパク質分解及び白血球遊走に必須の役割を果たすマトリックスメタロプロテイナーゼ。IV型コラーゲン及びV型コラーゲンを、大きいC末端4分の3断片及びより短いN末端4分の1断片に切断する。フィブロネクチンを分解するが、ラミニン又はPzペプチドは分解しない。
【0590】
シクロフィリン-A(Cyclophilin-A、CYPA)は、ハウスキーピング遺伝子として使用されている。これはペプチジルプロリルイソメラーゼA(peptidylprolyl isomerase A、PPIA)としても知られており、非常に豊富であり、サイトゾルで見られる。
【0591】
S1P受容体リガンドは、脳微小循環に対して複合効果を有する。それは、それぞれ、同側半球で及び全体的にS1PR1 mRNA発現及びS1PR3 mRNA発現を減少させる傾向を有し、これは、アゴニストへの慢性曝露に応答した受容体のダウンレギュレーションを表し得る。CERS4発現が処理した同側半球で減少する一方で、全体的に、CERS2が減少し、この場合もやはり、処理及び合成経路のダウンレギュレーションに関連するようである。説明がより困難なものは以下である:クローディン-5発現は、処理によって全体的に有意に減少し、細胞間の密着結合の減少を示唆する。MMP-9に対する処理の効果は不明瞭であり、対側半球で増加する傾向があるが、ICAM-1は、同側半球における処理によって減少し、VCAM-1発現における同様の傾向を伴う。脳の免疫蛍光染色は、この処理が、脈圧の急性及び長期上昇によって生じる毛細血管の希薄化から同側半球を保護したかの証拠を提供するはずである。
【0592】
考察
【0593】
高脈圧の条件下で、フィンゴリモドは、血液脳関門を過剰な透過性から保護するようであった。ある特定の細胞分析(例えば、細胞接着分子の細胞分析)は、この状況下で、この薬物の利益の可能性を支持した。最適化「一過性TAC」条件及びより多数のマウスを用いて、更なる実験を行うことができる。まとめると、データは、BBB保護への組み合わせられたアプローチを奨励する。
【0594】
VIII.結論
実施形態の多くが組み合わせ治療剤(例えば、薬物)及び血管内方法により血管性及び/又は加齢性神経学的状態(例えば、認知症)を治療する及び/又はその進行遅延させるためのシステム、デバイス、及び方法に関して上で説明されているが、本技術は、1つ以上の薬物と組み合わせた1つ以上の減衰デバイスの外科的埋め込み及び/又は腹部大動脈などの脳に血液を供給する動脈血管以外の血管の治療などの他の用途及び/又は他のアプローチに適用可能である。例えば、上行大動脈、大動脈弓、腕頭動脈、右鎖骨下動脈、左鎖骨下動脈、左総頸動脈、右総頸動脈、内頸動脈、及び外頸動脈、並びに/又は前述のうちのいずれかの分岐を含む、血管内の任意の適切な部位を治療することができる。更に、本明細書に記載の実施形態に加えて、他の実施形態が本技術の範囲内に入る。加えて、技術の他のいくつかの実施形態は、本明細書に記載されているものとは異なる構成、構成要素、または手順を有することができる。したがって、当業者であれば、それに応じて、本技術が追加の要素を有する他の実施形態を有することができること、又は本技術が図2A図20を参照して上で示され、かつ説明される特徴のうちのいくつかを有しない他の実施形態を有することができることを理解するであろう。
【0595】
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であることも、本技術を上で開示される厳密な形態に限定することも意図していない。文脈が許す場合、単数形又は複数形の用語は、それぞれ、複数形又は単数形の用語も含み得る。技術の特定の実施形態、及び技術の実施例を例示の目的で上述したが、当業者が認識するように、様々な同等の変更が技術の範囲内で可能である。例えば、工程が所与の順序で提示されているが、代替の実施形態は、工程を異なる順序で行ってもよい。本明細書において説明された様々な実施形態はまた、組み合わせて、更なる実施形態を提供し得る。
【0596】
更に、「又は」という語が、2つ以上の項目のリストに関して他の項目から排他的な単一の項目のみを意味するように明確に限定されない限り、かかるリストにおける「又は」の使用は、(a)リスト内の任意の単一の項目、(b)リスト内の項目の全て、又は(c)リスト内の項目の任意の組み合わせを含むものとして解釈されるべきである。加えて、用語「含む(comprising)」は、任意のより多くの同じ特徴及び/又は追加のタイプの他の特徴が除外されないように、少なくとも列挙された特徴を含むことを意味するために全体を通して使用される。特定の実施形態が例解の目的で本明細書において説明されているが、本技術から逸脱することなく様々な修正がなされ得ることも理解されるであろう。更に、本技術のある特定の実施形態に関連する利点がそれらの実施形態のコンテクストにおいて説明されているが、他の実施形態がかかる利点を示すこともあり得、全ての実施形態が、本技術の範囲内に収まるために必ずしもかかる利点を示す必要がある訳ではない。したがって、本開示及び関連する技術は、本明細書で明示的に図示又は説明されていない他の実施形態を包含することができる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26A
図26B
図27
図28
図29A
図29B
図30A
図30B
図31A
図31B
図32A
図32B
図33A
図33B
図34A
図34B
図35A
図35B
図36A
図36B
図37A
図37B
図38A
図38B
【国際調査報告】