(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】金属缶を製造するための生産システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20240822BHJP
F26B 15/10 20060101ALI20240822BHJP
F26B 21/02 20060101ALI20240822BHJP
B08B 3/04 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B08B3/02 A
F26B15/10
F26B21/02
B08B3/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510366
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 DE2022100624
(87)【国際公開番号】W WO2023020665
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021121718.0
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514117427
【氏名又は名称】ベルヴァック・プロダクション・マシーナリー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BELVAC PRODUCTION MACHINERY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルコ・ハルムス
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ・ラインハルト
【テーマコード(参考)】
3B201
3L113
【Fターム(参考)】
3B201AA28
3B201AB01
3B201BB21
3B201BB82
3B201BB88
3B201BB92
3B201CB15
3B201CC12
3L113AA03
3L113AB02
3L113AC07
3L113AC35
3L113AC65
3L113AC67
3L113BA12
3L113DA02
(57)【要約】
本発明は、金属缶(3)を製造するための生産システム(1)であって、熱エネルギーおよび/または電気エネルギーを使用して缶(3)を製造するための製造システム(2)と、電気エネルギーおよび熱エネルギーを発生させるためのエネルギー発生デバイス(4)と、を備え、熱エネルギーおよび電気エネルギーを製造システム(2)に提供するために、製造システム(2)は、エネルギー発生デバイス(4)に熱的におよび電気的に連結されており、その結果、製造システムの効率が向上される、生産システム(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属缶(3)を製造するための生産システム(1)であって、
- 熱エネルギー(14、46)および/または電気エネルギーを使用して、前記缶(3)を製造するための製造システム(2)と、
- 電気エネルギー(30)および熱エネルギー(14、46)を発生させるためのエネルギー発生デバイス(4)と、
を備え、
- 熱エネルギー(14、46)および電気エネルギー(30)を前記製造システム(2)に提供するために、前記製造システム(2)は、前記エネルギー発生デバイス(4)に熱的におよび電気的に連結されており、その結果、前記製造システムの効率が向上される、生産システム(1)。
【請求項2】
前記エネルギー発生デバイス(4)は、前記熱エネルギーを提供するように配置されている熱機関(6)と、前記電気エネルギーを提供するように配置されている発電機(8)と、を含む、請求項1に記載の生産システム(1)。
【請求項3】
前記エネルギー発生デバイス(4)は、0.1MWから10MWの間の電力、特に、2MWから5MWの間の電力、たとえば、3MWの電力を有する、請求項1または2に記載の生産システム(1)。
【請求項4】
- 前記エネルギー発生デバイス(4)および前記製造システム(2)は、前記熱エネルギーのエネルギーキャリア(16、47)が、前記エネルギー発生デバイス(4)から前記製造システム(2)へ伝達されることが可能であるように、互いに連結されており、前記製造システム(2)は、
- 前記製造システム(2)においてプロセス流体(22、36)として前記エネルギーキャリアを使用するように、ならびに/または、
- 前記エネルギーキャリアの前記熱エネルギーをプロセス流体(22、36)に伝達するように、
配置および設計されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項5】
- 前記エネルギー発生デバイス(4)は、前記熱エネルギーを増加させるために前記エネルギーキャリアを温調するための加熱ユニット(50)を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項6】
- 前記エネルギー発生デバイス(4)および前記加熱ユニットの排気ガスを浄化するように配置および構成されている排気ガス浄化ユニット(52)
を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項7】
- 前記エネルギーキャリア(16、47)から伝達媒体(12、44)へ前記熱エネルギーを伝達するように配置および設計されている第1の熱交換器(18)と、
- 前記伝達媒体を第2の熱交換器(20)に伝達するための伝達ユニット(10、42)と、
を備え、
- 前記第2の熱交換器は、伝達された前記熱エネルギーを前記製造システムのプロセス流体(22、36)に伝達するように配置および構成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項8】
前記エネルギー発生デバイス(4)は、前記製造システムのプロセス流体(22、36)を異なる温度に温調するために、第1の熱エネルギーレベルを有する第1の熱エネルギー(14)として、および、前記第1の熱エネルギーレベルとは異なる第2の熱エネルギーレベルを有する第2の熱エネルギー(46)として、前記熱エネルギーを提供するように配置および構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項9】
- 前記第1の熱エネルギーの第1のエネルギーキャリア(16)は、前記熱機関の排気ガスであり、もしくは前記熱機関の前記排気ガスを含み、ならびに/または、
- 前記第2の熱エネルギーの第2のエネルギーキャリア(47)は、前記熱機関および/もしくは前記発電機の冷却流体であり、もしくは前記発電機の前記冷却流体を含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項10】
- 前記製造システム(2)は、第1の製造デバイス(24)および第2の製造デバイス(32)を含み、
- 前記第1の製造デバイスおよび前記第2の製造デバイスは、前記第1の熱エネルギーが前記第1の製造デバイスに提供されるように、および、前記第2の熱エネルギーが前記第2の製造デバイスに提供されるように、前記エネルギー発生デバイス(4)に熱的に連結されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項11】
- 前記第1の熱エネルギーレベルは、前記第2の熱エネルギーレベルよりも高く、
- 前記第1の製造デバイス(24)は、ピンオーブン、缶内部乾燥機、および/もしくは、熱的排気空気清浄器であり、ならびに/または、
- 前記第2の製造デバイス(32)は、缶形成デバイス、クリーニング流体によって前記缶(3)をクリーニングするためのクリーニングデバイス、および/もしくは、クリーニング流体に曝された缶(3)を乾燥させるための乾燥デバイスである、
請求項1から10のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項12】
熱エネルギーおよび電気エネルギーに関する前記製造システムの需要に依存して、前記熱エネルギーおよび前記電気エネルギーが提供されるように、前記エネルギー発生デバイス(4)を制御するように配置されている制御デバイス(54)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項13】
前記制御デバイス(54)は、前記プロセス流体の温度を調節するために、前記第1の熱交換器(18)および/または前記第2の熱交換器(20)を通るフローを制御するように配置されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項14】
前記伝達媒体(12、44)は、高温油である、請求項1から13のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項15】
前記熱機関(6)は、水素および/またはバイオガスによって動作させられるように設計されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項16】
放射エネルギー、特に、太陽光から電気エネルギーを発生させるための光起電力ユニット(56)を備え、前記エネルギー発生デバイス(4)は、前記光起電力ユニットによって発生させられるエネルギーに応じて前記電気エネルギーを提供する、請求項1から15のいずれか一項に記載の生産システム(1)。
【請求項17】
金属缶(3)を製造するための方法であって、
- エネルギー発生デバイスによって熱エネルギーおよび電気エネルギーを発生させるステップと、
- 前記缶(3)を製造するための製造システム(2)に前記熱エネルギーおよび/または前記電気エネルギーを伝達するステップと、
- 提供された前記熱エネルギーおよび/または前記電気エネルギーによって前記缶(3)を製造するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属缶を製造するための生産システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属缶を製造するための生産システムは、一般的に知られている。典型的に、そのような生産システムは、ライン状に順次的に配置されている多数の製造デバイスを含む。たとえば、缶本体を形成するための缶形成デバイス、缶をコーティングするための印刷デバイス、外側コーティングを乾燥させるためのピンオーブン、内部コーター、缶内部乾燥機(IBOとしても知られる)、ならびに、クリーニング流体を含有する缶を乾燥させるためのいくつかのクリーニングデバイスおよび乾燥デバイスなどである。
【0003】
さらに、そのような生産システムは、生産される溶媒の熱変換のための排気ガス浄化ユニット(蓄熱式燃焼脱臭装置(Regenerative Thermal Oxidizer)または略してRTOとしても知られる)を有することが可能である。排気ガス浄化ユニットのプロセス温度は、おおよそ900℃である。排気ガス浄化ユニットが触媒コンバータを含む場合には、プロセス温度は、おおよそ500℃である。さらに、廃棄ガス浄化ユニットに進入するプロセス流体は、廃棄ガス浄化ユニットにおけるプロセスが自立的である(すなわち、追加的な外部加熱を備えない)ことが可能であるように、予め濃縮されることが可能である。
【0004】
そのような生産システムは、大量の熱エネルギーおよび電気エネルギーの使用を必要とする。たとえば、缶コーティングは、おおよそ200℃において乾燥される。加えて、おおよそ60~80℃の温度を有するクリーニング流体が、クリーニングデバイスにおいて使用され、80℃の温度を有する油が、缶形成デバイスにおいて使用される。排気ガス浄化ユニットでは、500~900℃の間の温度が到達される。
【0005】
ガスバーナー(それは、通常はCO2を排出する)は、通常は、使用される流体の高い温度を設定するために使用される。加熱コイルが、使用される流体のより低い温度を調節するために使用されることが可能である。さらに、生産システムの中の多数のドライブは、電気エネルギーを必要とする。
【0006】
熱エネルギー消費は、通常は、電気エネルギー消費と本質的に同じである。そのような生産システムのカーボンフットプリントは、特に現在利用可能なエネルギー(それは、世界中で主に石炭および油を使用して発生させられる)を考えると不十分である。また、そのような生産システムの効率が低い(たとえば、30%程度)ことにも留意すべきである。
【0007】
缶の製造をよりエネルギー効率的にするように、産業界および政治からの要求が存在している。特に、その目標は、CO2排出を低減させること、および可能な場合にはCO2排出を回避することである。加えて、エネルギーコストが常に上昇することに起因して、エネルギー消費のさらなる低減が、金属缶を製造するコストを低下させるために望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、述べられた不利益のうちの1つ以上を低減させるかまたは排除する、金属缶を製造するための生産システムおよび方法を提供することである。特に、本発明の課題は、CO2の低減されたまたはCO2フリーの金属缶の製造を可能にする解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この問題は、独立特許請求項の特徴による生産システムおよび方法によって解決される。これらの態様のさらに有利な実施形態は、それぞれの従属特許請求項に示されている。特許請求の範囲および明細書において個別に列挙されている特徴は、技術的に意味のある任意の方式で互いに組み合わせられることが可能であり、本発明のさらなる実施形態が示される。
【0010】
第1の態様によれば、問題は、金属缶(特に、2ピース缶)を製造するための生産システムであって、生産システムは、熱エネルギーおよび/または電気エネルギーによって缶を製造するための製造システムと、電気エネルギーおよび熱エネルギーを発生させるためのエネルギー発生デバイスと、を備え、熱エネルギーおよび電気エネルギーを製造システムに提供するために、製造システムは、エネルギー発生デバイスに熱的におよび電気的に連結されており、その結果、製造システムの効率が向上される、生産システムによって解決される。
【0011】
本発明は、製造システムをエネルギー発生デバイスと連結することによって、製造システムの効率が向上され得るという認識に基づいている。特に、エネルギー発生デバイスの熱エネルギーを使用することによって、効率が向上される。
【0012】
さらに、本発明は、そのようなエネルギー発生デバイスが、一般的に、異なるエネルギーレベルを有する熱エネルギーをエネルギーキャリアに提供するという知識に基づいており、これらの異なるエネルギーキャリア(たとえば、排気ガスおよび冷却流体)が、製造システムの異なる製造デバイスにおいて具体的に使用され、効率を最適化することが可能であるようになっている。1次エネルギーから熱エネルギーおよび電気エネルギーへの変換は、製造システムの近くで行われるべきである。その理由は、そうでなければ、熱エネルギーの伝達の間に、比較的に高い損失が起こるからである。
【0013】
製造システムは、缶を生産するように配置および設計されている。この目的のために、製造システムは、好ましくは、少なくとも1つの製造デバイスを含む。製造システムが2つ以上の製造デバイスを有することが特に好適である。エネルギー発生デバイスは、電気エネルギーおよび熱エネルギーを発生させるように配置および設計されている。たとえば、1次エネルギー供給源は、電気エネルギーおよび熱エネルギーに変換される。エネルギー発生デバイスは、たとえば、熱電併給ユニットとして設計されることが可能である。
【0014】
製造システムおよびエネルギー発生デバイスは、熱的におよび電気的に互いに連結されている。製造システムとエネルギー発生デバイスとの熱的な連結は、たとえば、本質的に流体密封のライン(たとえば、パイプなど)を介して形成されることが可能である。電気的な連結は、たとえば、電気伝導体によって形成されることが可能である。
【0015】
生産システムの好適な実施形態は、エネルギー発生デバイスが、熱エネルギーを提供するように配置されている熱機関と、電気エネルギーを提供するように配置されている発電機とを含むことを特徴とする。
【0016】
熱機関は、熱を機械的エネルギーに変換する機械である。熱機関は、たとえば、内燃機関、往復動蒸気機関、[スターリングモーター]またはガスタービンであり、またはそれを含むことが可能である。さらに、すべての他の公知の熱機関は、発電機との連結のために基本的に適切である。また、エネルギー発生デバイスは、燃料電池を有することが可能である。さらに、発電機が熱エネルギーのすべてまたは一部を提供するようにセットアップされることが好適である。
【0017】
生産システムの好適な実施形態は、エネルギー発生デバイスが、0.1MWから10MWの間の電力、特に、2MWから5MWの間の電力、たとえば、3MWの電力を有するという事実を特徴とする。
【0018】
特に、電力出力は、通常は発電デバイスの製造業者によって特定される合計出力電力である。そのような発電デバイスは、缶を製造するために製造システムによって必要とされる電気エネルギーおよび熱エネルギーを発生させる。これは、生産システムのコンパクトな設計、および、特に、(特に、遠隔領域における)生産システムの本質的に自律的な動作を可能にする。
【0019】
生産システムのさらなる好適な実施形態は、エネルギー発生デバイスおよび製造システムが、熱エネルギーのエネルギーキャリアがエネルギー発生デバイスから製造システムへ伝達可能であるように、互いに連結されており、製造システムは、製造システムにおいてプロセス流体としてエネルギーキャリアを使用するように配置および構成されていることを特徴とする。さらに、製造システムが、エネルギーキャリアの熱エネルギーをプロセス流体に伝達するように配置および設計されていることが好適である可能性がある。
【0020】
エネルギーキャリアが製造システムにおけるプロセス流体として使用されるケースでは、たとえば、熱機関の冷却水は、製造システムのクリーニングデバイスの中のクリーニング流体として使用されることが可能である。加えて、たとえば、熱機関からの排気ガスは、ピンオーブンの中の乾燥流体として使用されることが可能であり、ピンオーブンでは、缶の外側コーティングは、おおよそ180℃において乾燥される。
【0021】
プロセス流体へのエネルギーキャリアの熱エネルギーの伝達は、エネルギー発生デバイスと製造システムとの間の輸送の間に、より高いエネルギー密度が可能にされ、したがって、エネルギー発生デバイスと製造システムとの間のラインの絶縁が簡単化されるという利点を有する。また、損失が低減されることも可能である。
【0022】
さらに、伝達される熱エネルギーの量は、そのような伝達によって具体的に制御されることが可能であり、缶製造プロセスのために実際に必要とされる熱エネルギーの量のみが伝達されるようになっている。加えて、エネルギーキャリアの熱エネルギーをプロセス流体に伝達することは、プロセス流体が本質的に水蒸気なしで提供されるという利点を有する。これは、たとえば、ピンオーブンにおけるより良好な乾燥を可能にする。
【0023】
生産システムのさらなる好適な実施形態において、エネルギー発生デバイスが、熱エネルギーを増加させるためにエネルギーキャリアを温調する(temper)ための加熱ユニットを有することが提供される。これは、プロセス流体の温度(たとえば、排気ガスクリーニングシステムにおいて900℃)が到達されることを可能にする。
【0024】
エネルギーキャリアの熱エネルギーが製造システムにおける缶の特定の製造ステップに十分でない場合に、熱エネルギーは、加熱ユニット(たとえば、加熱コイル)によって増加されることが可能である。これは、エネルギー効率を向上させる。その理由は、加熱ユニットが、従来の生産システムにおいて必要とされるものよりも小さくなるように設計されることが可能であるからである。
【0025】
さらに、生産システムが、排気ガス浄化ユニットを備え、排気ガス浄化ユニットは、エネルギー発生デバイスおよび加熱ユニットからの排気ガスを浄化するように配置および設計されていることが好適である。この配置の利点は、エネルギー発生デバイスおよび加熱ユニットからの排気ガスをクリーニングするために、1つの排気ガスクリーニングシステムのみが必要とされることである。
【0026】
生産システムのさらなる好適な実施形態は、エネルギーキャリアから伝達媒体へ熱エネルギーを伝達するように配置および適合されている第1の熱交換器と、伝達媒体を第2の熱交換器に伝達するための伝達ユニットと、を備え、第2の熱交換器は、伝達された熱エネルギーを製造システムのプロセス流体に伝達するように配置および適合されている。
【0027】
エネルギー発生デバイスは、エネルギー効率と同様に、分散化された全体的なエネルギー供給を増加させるという利点を有し、この目的のために、製造システムに空間的に近接していることが好適である。製造システムおよびエネルギー発生デバイスが単一のユニットとして設計されていることが、特に好適である。
【0028】
第1の熱交換器は、好ましくは、エネルギー発生デバイスの中に含まれている。第2の熱交換器は、好ましくは、製造システムによって(特に、より詳細に下記に説明されている製造デバイスによって)構成されている。
【0029】
熱交換器の使用は、上記に説明されているように、エネルギーキャリアの熱エネルギーがプロセス流体に伝達されることを可能にする。加えて、第1および第2の熱交換器の配置は、エネルギー発生デバイスから製造システムへの熱エネルギーの特に効率的な伝達を可能にする。製造システムのプロセス流体は、一般的に、空気、水、または油とすることが可能である。
【0030】
生産システムのさらなる好適な実施形態は、エネルギー発生デバイスが、製造システムのプロセス流体を異なる温度に温調するために、第1の熱エネルギーレベルを有する第1の熱エネルギーとして、および、第1の熱エネルギーレベルとは異なる第2の熱エネルギーレベルを有する第2の熱エネルギーとして、熱エネルギーを提供するように配置および設計されていることを特徴とする。
【0031】
一方では、この温度制御は、熱交換器による間接的な温度制御を指しており、または、直接的な温度制御を指しており、直接的な温度制御のケースでは、第1および第2の熱エネルギーのエネルギー供給源が、プロセス流体として直接的に使用される。
【0032】
異なるエネルギーレベルを有する第1の熱エネルギーおよび第2の熱エネルギーを提供することは、これらのエネルギーが製造システムの異なる製造デバイスにおいて具体的に使用されることが可能であるという特定の利点を有し、それらの異なる温度要件が考慮されることが可能である。これは、生産システムのエネルギー効率をさらに向上させる。
【0033】
生産システムのさらなる好適な実施形態において、第1の熱エネルギーの第1のエネルギーキャリアは、熱機関の排気ガスであり、もしくは熱機関の排気ガスを含み、ならびに/または、第2の熱エネルギーの第2のエネルギーキャリアは、熱機関および/もしくは発電機の冷却流体であり、もしくは発電機の冷却流体を含むことが提供される。
【0034】
熱機関からの排気ガスは、通常は、高い温度(たとえば、500℃)を有する。冷却流体は、たとえば、80℃の温度を有することが可能である。
【0035】
また、生産システムが2つの熱交換器システムを有することも好ましい。第1の熱交換器システムは、第1のエネルギーキャリアから第1の伝達媒体へ第1の熱エネルギーを伝達するための第1の熱交換器と、第1の伝達媒体から、高い温度を有する第1のプロセス流体へ、第1の熱エネルギーを伝達するための第2の熱交換器と、を含むことが可能である。
【0036】
第2の熱交換器システムは、第2のエネルギーキャリアから第2の伝達媒体へ第2の熱エネルギーを伝達するための第3の熱交換器と、第2の伝達媒体から、第1のプロセス流体の温度よりも低い温度を有する第2のプロセス流体へ、第2の熱エネルギーを伝達するための第2の熱交換器と、を含むことが可能である。
【0037】
生産システムのさらなる好適な実施形態は、製造システムが、第1の製造デバイスおよび第2の製造デバイスを備え、第1の製造デバイスおよび第2の製造デバイスは、第1の熱エネルギーが第1の製造デバイスに提供されるように、および、第2の熱エネルギーが第2の製造デバイスに提供されるように、エネルギー発生デバイスに熱的に連結されていることを特徴とする。
【0038】
第1の熱エネルギーレベルが、第2の熱エネルギーレベルよりも高く、第1の製造デバイスは、ピンオーブン、缶内部乾燥機および/もしくは、サーマル排気空気クリーナーであり、ならびに/または、第2の製造デバイスは、缶形成デバイス、クリーニング流体によって缶をクリーニングするためのクリーニングデバイス、および/もしくは、クリーニング流体を含有する缶を乾燥させるための乾燥デバイスであることが特に好適である。
【0039】
したがって、第1の製造デバイスは、高い温度を有するプロセス流体の使用を必要とし、それは、より高い第1の熱エネルギーレベルを有する第1の熱エネルギーを使用することによって提供される。加えて、第2の製造デバイスは、より低い温度を有するプロセス流体を必要とし、それは、より低い熱エネルギーレベルを有する第2の熱エネルギーの使用によって提供される。
【0040】
生産システムのさらなる好適な実施形態は、熱エネルギーおよび電気エネルギーに関する製造システムの需要に応じて熱エネルギーおよび電気エネルギーが提供されるように、エネルギー発生デバイスを制御するように調整されている制御デバイスを備える。
【0041】
熱エネルギーおよび電気エネルギーに関する製造システムの要件は、たとえば、第1および/または第2の製造デバイスによる缶の輸送密度に依存する可能性がある。さらに、缶の缶特質も、異なる熱エネルギー要件および電気エネルギー要件につながる可能性がある。
【0042】
さらに、制御デバイスが、プロセス流体の温度を設定するために、第1の熱交換器および/または第2の熱交換器を通るフローを制御するようにセットアップされることが好適である。第1の熱交換器および/または第2の熱交換器を通る流量が低く設定されるほど、通常は、伝達される熱エネルギーが低くなることとなる。これは、生産システムがより効率的になることを可能にする。
【0043】
流量は、たとえば、単位時間当たりのフロー体積および/または流量とすることが可能である。加えて、流量は、流速であることも可能である。特に、温度は、予め定義された温度または予め定義された温度範囲とすることが可能である。
【0044】
また、伝送媒体が高温油であることも好適である。
【0045】
生産システムのさらなる好適な実施形態において、熱機関が、水素および/またはバイオガスによって動作させられるように設計されていることが提供される。このように設計された熱機関は、本質的に完全にCO2フリーである缶を製造することを可能にする生産システムを可能にする。
【0046】
生産システムのさらなる好適な実施形態は、放射エネルギー(特に、太陽光)から電気エネルギーを発生させるための光起電力ユニットを備え、エネルギー発生デバイスは、光起電力ユニットによって発生させられるエネルギーに応じて電気エネルギーを提供する。
【0047】
生産システムの環境は、通常は空調されている。その理由は、通常はオペレーターが少なくとも時間のいくらかにわたって生産システムの付近において作業しているからである。これは、通常は日中のケースである。結果として、光起電力ユニットは、日中に空調システムを動作させるようにセットアップされることが可能である。夜間において、光起電力ユニットは、本質的にエネルギーを発生させないこととなるが、空調は通常は夜間に必要とされないので、これは必要ではない。
【0048】
生産システムが電力を記録するためのセンサーを有することが好適である。電力を検出するためのセンサーは、たとえば、電流、電圧、および/または位相位置を検出することが可能である。
【0049】
また、生産システムが、熱的出力(たとえば、流量および/または温度)を検出するためのセンサーを有することも好適である。流量は、たとえば、圧力差、インペラーまたは、熱式流速計を介して測定されることが可能である。1つ、2つ、またはそれ以上のセンサーによって記録されたデータが、エネルギー節減を決定するために使用されることが可能である。エネルギー節減は、表示デバイスによってオペレーターに示されることが可能である。
【0050】
さらなる態様によれば、冒頭で述べられた課題は、金属缶を製造するための方法であって、その方法は、エネルギー発生デバイスによって熱エネルギーおよび電気エネルギーを発生させるステップと、缶を製造するための製造システムに熱エネルギーおよび/または電気エネルギーを伝送するステップと、提供された熱エネルギーおよび/または電気エネルギーによって缶を製造するステップと、を含む方法によって解決される。
【0051】
方法およびその可能なさらなる発展例は、それらを生産システムおよびそのさらなる発展例において使用するのに特に適切なものにする特徴または方法ステップを有する。
【0052】
さらなる態様およびそれらの可能な実施形態のさらなる利点、実施形態変形例、および実施形態詳細に関して、生産システムの対応する特徴および実施形態の以前の説明も参照される。
【0053】
好適な例示的な実施形態が、同封の図を参照して例として説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】生産システムの例示的な実施形態の概略的な2次元の図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図において、同一のまたは本質的に機能的に同一のまたは類似の要素は、同じ参照符号によって指定されている。
【0056】
図1は、金属缶3の製造のための生産システム1を示している。生産システム1は、熱エネルギーおよび電気エネルギーを使用して缶を製造するための製造システム2を含む。製造システム2は、第1の製造デバイス24を備え、第1の製造デバイス24は、缶内部乾燥機(いわゆる、IBO)として設計されており、それは、プロセス流体22によって缶3を乾燥させる。加えて、製造システム2は、第2の製造デバイス32を備え、第2の製造デバイス32は、クリーニング流体36によって缶3をクリーニングするためのクリーニングデバイスとして設計されている。
【0057】
加えて、生産システム1は、エネルギー発生デバイス4を備え、エネルギー発生デバイス4は、熱機関6および発電機8を有する。熱機関6は、発電機8を駆動するための運動エネルギーを発生させるように設計されている。発電機8は、電気エネルギーを作り出す。さらに、エネルギー発生デバイス4は、熱機関6によって(特に、排気ガス16および加熱された冷却液体47によって)熱エネルギーを発生させる。製造システム2は、第1の伝送ユニット10、第2の伝送ユニット42、および電気伝導体28によって、熱的におよび電気的に発電デバイス4に連結されている。これは、製造システム2に熱エネルギーおよび電気エネルギーを提供し、それによって、製造システム2の効率を向上させる。エネルギー発生デバイス4は、たとえば、3MWの出力を有することが可能である。
【0058】
エネルギー発生デバイス4は、製造システム2のプロセス流体22、36を異なる温度に温調するために、第1の熱エネルギーレベルを有する第1の熱エネルギー14として、および、第1の熱エネルギーレベルとは異なる第2の熱エネルギーレベルを有する第2の熱エネルギー46として、熱エネルギーを提供するように配置および構成されている。これは、特に有利である。その理由は、缶内部乾燥機24が、たとえば、プロセス流体22の200℃の温度を必要とし、クリーニングデバイス32が、プロセス流体36の60~80℃の温度を必要とするからである。
【0059】
また、生産システム1は、2つの熱交換器システムを含む。第1の熱交換器システムは、第1の熱交換器18および第2の熱交換器20を含む。第1の熱交換器18において、排気ガス16の第1の熱エネルギー14は、第1の伝達媒体12に伝達される。第1の伝達媒体12によって、第1の熱エネルギー14は、第1の伝達ユニット10を使用して第2の熱交換器20に輸送される。第2の熱交換器20において、第1の熱エネルギーは、第1の製造デバイス24のプロセス流体22に伝達される。第2の熱交換器から出発して、プロセス流体22は、第1の流体デバイス27(たとえば、第1のファン)によって、第1の製造デバイス24の乾燥チャンバー26に流入し、乾燥チャンバーの中の缶3を乾燥させることが可能である。
【0060】
第2の熱交換器システムは、第3の熱交換器40および第4の熱交換器48を含む。第3の熱交換器40は、熱機関6の冷却液体47の第2の熱エネルギー46を第2の伝達媒体44に伝達するように配置されており、第2の伝達媒体44によって、第2の熱エネルギー46が第4の熱交換器48に伝達される。第4の熱交換器48は、第2の熱エネルギー46を第2の製造デバイス32のプロセス流体36に伝達するように配置および構成されている。そこから、プロセス流体36は、第2の流体デバイス38(たとえば、ポンプ)によって、クリーニングデバイス32のクリーニングチャンバー34に流入し、そこで缶3をクリーニングするようになっている。
【0061】
さらに、加熱ユニット50が配置されており、加熱ユニット50は、冷却剤47の温度を制御するように設計されている。したがって、冷却剤47の温度がさらに増加され、プロセス流体36がそれにしたがって温調されることを可能にすることができる。また、加熱ユニット50は、排気ガス16を温調するように配置および設計されることも可能である。
【0062】
発電機8は、電気エネルギー30を製造システム2に伝送するために、電気伝導体28に連結されている。さらに、生産システム1は、光起電力ユニット56を有することが可能であり、光起電力ユニット56は、また、電気エネルギーを製造システム1に提供する。
【0063】
さらに、生産システムが排気ガス浄化ユニット52を備え、排気ガス浄化ユニット52は、エネルギー発生デバイス4および加熱ユニット50の排気ガス16を浄化するように配置および構成されていることが好適である。
【0064】
加えて、生産システム1は、制御デバイス54を備え、制御デバイス54は、熱エネルギーおよび電気エネルギーに関する製造システム2の需要に応じて熱エネルギー14、46および電気エネルギー30が提供されるように、エネルギー発生デバイス4を制御するように配置されている。加えて、制御デバイス54は、プロセス流体22、36の温度を調節するために、第1の熱交換器18、第2の熱交換器20、第3の熱交換器40、および/または第4の熱交換器48を通るフローを制御するように配置されることが可能である。
【0065】
図2は、方法の概略図を示している。ステップ100において、熱エネルギー14、46および電気エネルギー30が、エネルギー供給デバイス4によって発生させられる。ステップ102において、熱エネルギー14、46および/または電気エネルギー30が、缶3を製造するための製造システム2に伝達される。ステップ104において、缶3が、提供された熱エネルギー14、46および/または電気エネルギー30を使用して製造される。
【0066】
上記に説明されている生産システム1は、向上した効率によって特徴付けられる。この生産システムの効率は、おおよそ80%であり、おおよそ50パーセンテージポイントの増加が実現されるようになっている。そのような生産システム1は、低減されたCO2フットプリントまたはCO2フリーによる缶3の製造を可能にする。全世界において年間数千億個の缶が製造されていることを考えると、上記に説明されている生産システム1は、CO2排出量を数百万トン低減させることを可能にする。
【符号の説明】
【0067】
1 生産システム
2 製造システム
3 金属缶
4 エネルギー発生デバイス
6 熱機関
8 発電機
10 第1の伝送ユニット
12 第1の伝送媒体
14 第1の熱エネルギー
16 第1のエネルギー供給源、排気ガス
18 第1の熱交換器
20 第2の熱交換器
22 プロセス流体
24 第1の製造デバイス
26 乾燥チャンバー
27 第1の流体デバイス
28 電気伝導体
30 電気エネルギー
32 第2の製造デバイス
34 クリーニングチャンバー
36 プロセス流体
38 第2の流体デバイス
40 第3の熱交換器
42 第2の伝送ユニット
44 第2の伝送媒体
46 第2の熱エネルギー
47 第2のエネルギー供給源、冷却流体
48 第4の熱交換器
50 加熱ユニット
52 排気ガスクリーニングユニット
54 制御ユニット
56 光起電力ユニット
【国際調査報告】