(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】抗CCR8抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240822BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240822BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240822BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240822BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240822BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240822BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240822BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240822BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240822BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240822BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240822BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P35/00
G01N33/574 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510434
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 CN2022113739
(87)【国際公開番号】W WO2023020621
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/113913
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524074633
【氏名又は名称】ハイファイバイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】プリジャン, ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラミネリ, ニコラ アルトゥーロ アルド
(72)【発明者】
【氏名】エロウズ, サミ
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン, フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァイツァー, リアン
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ユン-ユエ
(72)【発明者】
【氏名】フルトン, ロス ベイン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA05
4B065AA92X
4B065AB01
4B065AB05
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA08
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
抗CCR8抗体およびその抗原結合フラグメントが本明細書に記載される。抗CCR8抗体およびその抗原結合フラグメントをコードする核酸、抗CCR8抗体およびその抗原結合フラグメントを含む組成物、ならびに癌の処置または予防を必要とする対象において癌を処置または予防するために抗CCR8抗体およびその抗原結合フラグメントを産生および使用する方法も本明細書に記載される。上記抗CCR8抗体およびその抗原結合フラグメントは、ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体8(CCR8)に特異的に結合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
(1)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
(2)それぞれ、配列番号13、2、14、4、28、および6;
(3)それぞれ、配列番号13、2、15、4、5、および6;
(4)それぞれ、配列番号16、17、18、29、30、および6;
(5)それぞれ、配列番号19、20、21、4、5、および6;
(6)それぞれ、配列番号22、23、24、31、5、および32;または
(7)それぞれ、配列番号25、26、27、33、34、および35;
のポリペプチド配列を有する、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体8(CCR8)、好ましくはヒトCCR8に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
配列番号7、36、38、40、42、44、もしくは46と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または配列番号8、37、39、41、43、45、もしくは47と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
(1)配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(2)配列番号36のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号37のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(3)配列番号38のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号39のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(4)配列番号40のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号41のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(5)配列番号42のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号43のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(6)配列番号44のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号45のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;または
(7)配列番号46のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号47のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
を含む、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントがキメラ、および/またはヒトであるかもしくはヒト化されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、
(1)それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6;
(2)それぞれ、配列番号1、2、49、4、5、および6;
(3)それぞれ、配列番号1、2、49、50、51、および6;
(4)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;または
(5)それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6
のポリペプチド配列を有する、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含む、請求項4に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号9、52、53、54、55、56、57、58、59、もしくは60と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または配列番号10、61、62、もしくは63と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項5に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、
(1)配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(2)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(3)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(4)配列番号53のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(5)配列番号54のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;または
(6)配列番号59のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
を含む、請求項6に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、抗体依存性細胞傷害(ADCC);抗体依存性細胞食作用(ADCP)を通じてエフェクター媒介性腫瘍細胞溶解を誘導し;かつ/またはコンジュゲートされた薬物の動員を誘導し;かつ/または癌を死滅させる効果を有する別のmAbまたはその抗原結合フラグメントと二重特異性抗体を形成することができる、請求項1~7のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントがカニクイザルCCR8に特異的に結合する、請求項1~8のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸。
【請求項12】
請求項10に記載の二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸。
【請求項13】
請求項11または12に記載の単離された核酸を含むベクター。
【請求項14】
請求項13に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは請求項10に記載の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントと、薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物。
【請求項16】
癌細胞表面上のCCR8の標的化し、および/または癌の処置を必要とする対象において、癌を処置する方法であって、請求項15に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項17】
前記癌が、例えば、固形腫瘍、好ましくは浸潤性T細胞を有する固形腫瘍、より好ましくは浸潤性Treg細胞を有する固形腫瘍、より好ましくはCCR8を発現する非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍、最も好ましくはナチュラルキラー(NK)細胞浸潤が生じたCCR8を過剰発現する浸潤性の非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記癌が、肺癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、腎臓癌、および黒色腫からなる群から選択される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象がCCR8発現Treg細胞を含む、請求項16から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~9のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは請求項10に記載の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを産生する方法であって、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを産生する条件下で培養することと、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを前記細胞または培養物から回収することと、を含む、方法。
【請求項21】
請求項1~9のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体もしくは抗原結合フラグメントまたは請求項10に記載の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を製造する方法であって、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを薬学的に許容され得る担体と組み合わせて医薬組成物を得ることを含む、方法。
【請求項22】
対象におけるCCR8のレベルを決定する方法であって、前記方法は、
a.前記対象からサンプルを得ることと、
b.前記サンプルを請求項1~9のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させることと、
c.前記対象におけるCCR8のレベルを決定することと
を含む、方法。
【請求項23】
前記サンプルが組織サンプルまたは血液サンプルであり、任意選択的に前記組織サンプルが癌組織サンプルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記サンプルがTreg細胞を含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年8月20日に出願され、現在は取下げられている国際特許出願第PCT/CN2021/113913号に基づく米国特許法第119条(e)項の下での優先権の利益を主張している。先の出願の開示は、本出願の開示の一部とみなされ、参照によりその全体が本出願の開示に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、単離された抗ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体8(CCR8)モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント、抗体をコードする核酸および発現ベクター、ベクターを含有する組換え細胞、ならびに抗体を含む組成物に関する。抗体を作製する方法、ならびに癌および/または関連する合併症を含む疾患を処置するために抗体を使用する方法も提供される。
【0003】
電子的に提出された配列表の参照
本出願は、ファイル名が「065798.6WO1 Sequence Listing」で、作成日が2021年8月6日である、49kbのサイズを有するASCII形式の配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出される配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
CCR8は、CCL1またはCCL18勾配下で細胞遊走を媒介するケモカイン受容体である(Islamら、JEM210(10):1889-1898(2013))。最近、CCR8は、循環中のTregと比較して腫瘍内に存在するTregでかなり高い発現を有しかつ他のT細胞集団では発現がないかまたは非常に低い(それぞれ細胞傷害性T細胞またはエフェクターT細胞)、ヒト癌における腫瘍浸潤制御性T細胞(TITR)の非常に特異的な細胞表面マーカーとして同定された。さらに、CCR8は、FoxP3high、CD25high、TIGIT+、LAG3+を発現し、高IL-10およびTGF-βを放出する高免疫抑制性Treg上に主に発現される。CCR8+Tregを枯渇させることは、免疫抑制性サイトカインを減少させ、腫瘍誘発性微小環境を調節して抗腫瘍免疫を回復させるであろう。興味深いことに、乳癌または膵癌を有する患者において、高いCCR8+Treg数は、疾患のより進行した病期および全生存率がおそらく低下していることと相関していた。したがって、CCR8は、CCR8陽性癌を処置しかつ潜在的に治癒するための癌免疫療法の理想的な標的である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Islamら、JEM210(10):1889-1898(2013)
【発明の概要】
【0006】
発明の簡単な要旨
一般的な一態様において、本発明は、ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体8(CCR8)に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
(1)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
(2)それぞれ、配列番号13、2、14、4、28、および6;
(3)それぞれ、配列番号13、2、15、4、5、および6;
(4)それぞれ、配列番号16、17、18、29、30、および6;
(5)それぞれ、配列番号19、20、21、4、5、および6;
(6)それぞれ、配列番号22、23、24、31、5、および32;または
(7)それぞれ、配列番号25、26、27、33、34、および35;
のポリペプチド配列を有する、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体8(CCR8)、好ましくはヒトCCR8に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが提供される。
【0007】
ある実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号7、36、38、40、42、44、もしくは46と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または配列番号8、37、39、41、43、45、もしくは47と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0008】
ある実施形態において、単離された抗CCR8モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(1)配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(2)配列番号36のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号37のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(3)配列番号38のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号39のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(4)配列番号40のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号41のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(5)配列番号42のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号43のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(6)配列番号44のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号45のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;または
(7)配列番号46のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号47のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
を含む。
【0009】
ある実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントはCCR8に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)を通じてエフェクター媒介性腫瘍細胞溶解を誘導し、および/またはコンジュゲートされた薬物の活性を媒介し、および/または癌を死滅させる効果を有する別のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントと二重特異性抗体を形成することができる。
【0010】
ある実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、キメラまたはヒトであるかもしくはヒト化されている。
【0011】
ある実施形態において、ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(1)それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6;
(2)それぞれ、配列番号1、2、49、4、5、および6;
(3)それぞれ、配列番号1、2、49、50、51、および6;
(4)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;または
(5)それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6
のポリペプチド配列を有する、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含む。
【0012】
ある実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9、52、53、54、55、56、57、58、59、もしくは60と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または配列番号10、61、62、もしくは63と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0013】
ある実施形態において、単離された抗CCR8モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(1)配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(2)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(3)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(4)配列番号53のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(5)配列番号54のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;または
(6)配列番号59のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
を含む。
【0014】
ある実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、カニクイザルCCR8に特異的に結合する。
【0015】
本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む単離された二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントも提供される。
【0016】
本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸も提供される。
【0017】
本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸を含むベクターも提供される。
【0018】
本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸を含むベクターを含む宿主細胞も提供される。
【0019】
ある実施形態において、本発明の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは単離された二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントと、薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物が提供される。
【0020】
癌細胞表面上でのC-Cモチーフケモカイン受容体8(CCR8)の特異的な標的化を必要とする対象の癌細胞表面上でC-Cモチーフケモカイン受容体8(CCR8)を特異的に標的化する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法も提供される。
【0021】
癌の処置を必要とする対象において癌を処置する方法であって、本発明の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法も提供される。癌は、例えば、固形腫瘍、好ましくは浸潤性T細胞を有する固形腫瘍、より好ましくは浸潤性Treg細胞を有する固形腫瘍、より好ましくはCCR8を発現する非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍、最も好ましくはナチュラルキラー(NK)細胞浸潤が生じたCCR8を過剰発現する浸潤性の非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍であり得る。癌の例は、例えば、肺癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、膀胱癌、肝臓癌、腎臓癌、および黒色腫から選択することができるが、これらに限定されない。ある実施形態において、対象は、例えば、CCR8発現Treg細胞を含み得る。
【0022】
本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを産生する方法も提供される。本方法は、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合性フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、該モノクローナル抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合性フラグメントを産生する条件下で培養することと、該モノクローナル抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合性フラグメントを該細胞または培養物から回収することとを含む。
【0023】
本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を製造する方法も提供される。本方法は、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを薬学的に許容され得る担体と組み合わせて医薬組成物を得ることを含む。
【0024】
対象におけるCCR8のレベルを決定する方法も提供される。本方法は、(a)対象からサンプルを得ることと、(b)該サンプルを本発明の抗CCR8モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させることと、(c)該対象におけるCCR8のレベルを決定することとを含む。ある実施形態において、サンプルは組織サンプルである。組織サンプルは、例えば、癌組織サンプルであり得る。ある実施形態において、サンプルは血液サンプルである。ある実施形態において、サンプルはTreg細胞を含む。
【0025】
前述の概要、ならびに本出願の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めばよりよく理解されよう。しかしながら、本出願は、図面に示された正確な実施形態に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1A~1Cは、抗CCR8モノクローナル抗体がnM未満のEC
50でCCR8発現細胞に特異的に結合することを示す。
図1Aは、CCR8.CHO細胞への親抗体の結合を示す。
図1Bは、親細胞への親抗体の結合を示す。
図1Cは、
図1Aおよび1Bで測定されたEC50をまとめた表である。
【0027】
【
図2】
図2は、抗CCR8モノクローナル抗体が、N末端エピトープ、ならびにタンパク質立体配座に関与するhCCR8ループ1を認識し、hCCR4を認識しないことを示す。上:キメラコンストラクトの図(黒色:hCCR8、灰色:hCCR4);下:コンストラクトに関連する結合プロファイル。
【0028】
【
図3A-B】
図3A~3Cは、抗CCR8モノクローナル抗体がヒトCCR8タンパク質に結合し、マウスおよび/またはカニクイザルCCR8タンパク質と交差反応し得ることを示す。
図3Aは、ヒト、マウスおよびカニクイザルCCR8タンパク質に結合する抗CCR8モノクローナル抗体を示す。
図3Bは、HFB11-21およびHFB11-19のEC50を示す。
図3Cは、HFB11-21およびHFB11-2のEC50を示す。
【
図3C】
図3A~3Cは、抗CCR8モノクローナル抗体がヒトCCR8タンパク質に結合し、マウスおよび/またはカニクイザルCCR8タンパク質と交差反応し得ることを示す。
図3Aは、ヒト、マウスおよびカニクイザルCCR8タンパク質に結合する抗CCR8モノクローナル抗体を示す。
図3Bは、HFB11-21およびHFB11-19のEC50を示す。
図3Cは、HFB11-21およびHFB11-2のEC50を示す。
【0029】
【
図4】
図4A~4Bは、抗CCR8モノクローナル抗体についての異なるCCL1ブロッキングプロファイル(
図4A)および関連するIC
50表(
図4B)を示す。カニクイザル交差反応性抗体はhCCL1をブロッキングせず、むしろ強いhCCR8結合抗体はhCCL1をブロッキングする。
【0030】
【
図5A-F】
図5A~5Gは、抗CCR8モノクローナル抗体が細胞内Ca
2+フラックスを阻害することを示す。
図5Aは、緩衝液の存在下でのCa
2+変化を示す。
図5Bは、1nM CCL1の存在下でのCa
2+変化を示す。
図5Cは、1nM CCL1+HFB11-3の存在下におけるCa
2+変化を示す。
図5Dは、1nM CCL1+HFB11-10の存在下におけるCa
2+変化を示す。
図5Eは、緩衝液+10nM CCL1の存在下におけるCa
2+変化を示す。
図5Fは、10nM CCL1+HFB11-3の存在下におけるCa
2+変化を示す。
図5Gは、10nM CCL1+HFB11-10の存在下におけるCa
2+変化を示す。
【
図5G】
図5A~5Gは、抗CCR8モノクローナル抗体が細胞内Ca
2+フラックスを阻害することを示す。
図5Aは、緩衝液の存在下でのCa
2+変化を示す。
図5Bは、1nM CCL1の存在下でのCa
2+変化を示す。
図5Cは、1nM CCL1+HFB11-3の存在下におけるCa
2+変化を示す。
図5Dは、1nM CCL1+HFB11-10の存在下におけるCa
2+変化を示す。
図5Eは、緩衝液+10nM CCL1の存在下におけるCa
2+変化を示す。
図5Fは、10nM CCL1+HFB11-3の存在下におけるCa
2+変化を示す。
図5Gは、10nM CCL1+HFB11-10の存在下におけるCa
2+変化を示す。
【0031】
【
図6】
図6A~6Bは、抗CCR8抗体が、ADCCレポーターバイオアッセイにおいてCD16に強力に関与し、CD16改変細胞を通じてADCCを媒介することを示す。
図6Aは、ルシフェラーゼ基質との5分間のインキュベーション後のRLUシグナルを示す。
図6Bは、すべての抗体についてのEC
50およびEmax値の表を示す。
【0032】
【
図7】
図7A~7Bは、ADCC増強フォーマットのヒト化抗CCR8抗体がCCR8発現細胞に特異的に結合することを示す。
図7Aは、MFIシグナルを示す。
図7Bは、すべての抗体についてのEC
50値の表を示す。
【0033】
【
図8A】
図8A~8Bは、ヒト化抗CCR8抗体がCCR8発現細胞へのCCL1結合をブロッキングすることを示す。
図8Aは、CCL1ブロッキングの割合を示す。
図8Bは、すべての抗体についてのIC
50値の表を示す。
【
図8B】
図8A~8Bは、ヒト化抗CCR8抗体がCCR8発現細胞へのCCL1結合をブロッキングすることを示す。
図8Aは、CCL1ブロッキングの割合を示す。
図8Bは、すべての抗体についてのIC
50値の表を示す。
【0034】
【
図9】
図9は、ヒト化HFB11-10Hz37抗CCR8抗体が、ADCCレポーターバイオアッセイにおいてCD16FおよびVバリアントの両方に関与することを示す。
【0035】
【
図10A】
図10A~10Bは、ヒト化抗CCR8抗体がCCR8発現細胞上のADCCを媒介することを示す。
図10Aは、特異的溶解の割合を示す。
図10Bは、すべての抗体についてのEC
50値の表を示す。
【
図10B】
図10A~10Bは、ヒト化抗CCR8抗体がCCR8発現細胞上のADCCを媒介することを示す。
図10Aは、特異的溶解の割合を示す。
図10Bは、すべての抗体についてのEC
50値の表を示す。
【0036】
【
図11A-B】
図11A~11Gは、抗CCR8 mAb HFB101110のインビトロ特性評価を示す。
図11Aは、フローサイトメトリーによって測定した場合の、高コピー(CHOK1-hCCR8、約30,000の受容体/細胞、左)または低コピー(M300.19-hCCR8、約2,000の受容体/細胞、右)細胞へのHFB101110の結合を示す。
図11Bは、M300.19-hCCR8細胞に対するHFB101110のADCC活性を示す。
図11Cは、関連するケモカイン受容体CCR4へのHFB101110の結合をフローサイトメトリーによって評価したことを示す。
図11Dは、HFB101110によって認識されたCCR8の領域を同定するためのドメインスワップ実験を示す。
図11Eは、フローサイトメトリーによって測定した、HFB101110によるhCCR8へのhCCL1結合の遮断を示す。
図11Fは、トランスウエル遊走アッセイによって測定した場合の、組換えhCCL1によって誘導されたCCR8+細胞の走化性のHFB101110媒介性遮断を示す。
図11Gは、hCCL1のCCR8+細胞への添加によって誘導されたカルシウムフラックスのHFB101110媒介性遮断を示す。
【
図11C-E】
図11A~11Gは、抗CCR8 mAb HFB101110のインビトロ特性評価を示す。
図11Aは、フローサイトメトリーによって測定した場合の、高コピー(CHOK1-hCCR8、約30,000の受容体/細胞、左)または低コピー(M300.19-hCCR8、約2,000の受容体/細胞、右)細胞へのHFB101110の結合を示す。
図11Bは、M300.19-hCCR8細胞に対するHFB101110のADCC活性を示す。
図11Cは、関連するケモカイン受容体CCR4へのHFB101110の結合をフローサイトメトリーによって評価したことを示す。
図11Dは、HFB101110によって認識されたCCR8の領域を同定するためのドメインスワップ実験を示す。
図11Eは、フローサイトメトリーによって測定した、HFB101110によるhCCR8へのhCCL1結合の遮断を示す。
図11Fは、トランスウエル遊走アッセイによって測定した場合の、組換えhCCL1によって誘導されたCCR8+細胞の走化性のHFB101110媒介性遮断を示す。
図11Gは、hCCL1のCCR8+細胞への添加によって誘導されたカルシウムフラックスのHFB101110媒介性遮断を示す。
【
図11F-G】
図11A~11Gは、抗CCR8 mAb HFB101110のインビトロ特性評価を示す。
図11Aは、フローサイトメトリーによって測定した場合の、高コピー(CHOK1-hCCR8、約30,000の受容体/細胞、左)または低コピー(M300.19-hCCR8、約2,000の受容体/細胞、右)細胞へのHFB101110の結合を示す。
図11Bは、M300.19-hCCR8細胞に対するHFB101110のADCC活性を示す。
図11Cは、関連するケモカイン受容体CCR4へのHFB101110の結合をフローサイトメトリーによって評価したことを示す。
図11Dは、HFB101110によって認識されたCCR8の領域を同定するためのドメインスワップ実験を示す。
図11Eは、フローサイトメトリーによって測定した、HFB101110によるhCCR8へのhCCL1結合の遮断を示す。
図11Fは、トランスウエル遊走アッセイによって測定した場合の、組換えhCCL1によって誘導されたCCR8+細胞の走化性のHFB101110媒介性遮断を示す。
図11Gは、hCCL1のCCR8+細胞への添加によって誘導されたカルシウムフラックスのHFB101110媒介性遮断を示す。
【0037】
【
図12】
図12は、ヒト化HFB11-10Hz37抗CCR8抗体がCCR8+発現細胞のADCPを媒介することを示す。
【0038】
【
図13】
図13A~13Cは、ヒト化抗CCR8抗体がhCCR8-KIマウスにおいてMC38細胞に対する抗腫瘍活性を媒介することを示す。
図13Aは、MG053アイソタイプでの処置後の腫瘍体積を示す。
図13Bは、Hzバリアントでの処置後の腫瘍体積を示す。
図13Cは、MG053アイソタイプまたはHzバリアントによる処置後の腫瘍体積の比較を示す。
【0039】
【
図14】
図14A~14Fは、ヒト化抗CCR8抗体療法がインビボで腫瘍微小環境を再プログラムすることを示す。
図14Aは、アイソタイプまたはHFB11-10Hz37での処置後のCD4+中のTregの割合を示す。
図14Bは、アイソタイプまたはHFB11-10Hz37での処置後のCD4+中のCD4+Tエフェクターの割合を示す。
図14Cは、アイソタイプまたはHFB11-10Hz37での処置後のCD3+中のCD8+の割合を示す。
図14 Dは、アイソタイプまたはHFB11-10Hz37での処置後のCD8+/Treg比を示す。
図14Eは、アイソタイプまたはHFB11-10Hz37での処置後のCD45+中のナチュラルキラーの割合を示す。
図14Fは、アイソタイプまたはHFB11-10Hz37での処置後のTreg中のCCR8+の割合を示す。
【0040】
【
図15】
図15A~15Bは、腎細胞癌(RCC)患者および肺癌患者からのヒト原発腫瘍からのT細胞集団におけるCCR8発現を示す。各点は、個々の患者からのデータを表す(
図15A)。
図15Bは、RCC患者のTILからのCD8+(CD8+CD3+)、Teff(FoxP 3-CD4+CD3+)、およびTreg(FoxP 3+CD4+CD3+)におけるCCR8発現をオーバーレイしたヒストグラムを示す。
【0041】
【
図16】
図16は、健康および悪性PBMCにおける循環からのT細胞集団におけるCCR8発現を示す。
【0042】
【
図17A-C】
図17A~17Eは、RCC患者(n=13)からの一次ヒトTILに対するヒト化HFB11-10抗体によって媒介されるエクスビボADCC活性を示す。
図17Aは、サンプル採取およびADCCアッセイの概略を示す。
図17Bは、異なるT細胞サブセットの枯渇を示す。各点は、個々の患者からのデータを表す。
図17Cは、代表的なRCC患者からのTILにおいて、アイソタイプ群からのCD3+CD4+Foxp 3+TIGIT+細胞としてゲーティングされたTreg集団対50nMのHFB11-10Hz抗体で処理した群を示すドットプロットを示す。
図17Dは、HFB101110のTreg枯渇活性の用量応答を示す。
図17Eは、添加された外因性NK細胞の量の関数としてのADCCアッセイにおけるTregの枯渇を示す。
【
図17D-E】
図17A~17Eは、RCC患者(n=13)からの一次ヒトTILに対するヒト化HFB11-10抗体によって媒介されるエクスビボADCC活性を示す。
図17Aは、サンプル採取およびADCCアッセイの概略を示す。
図17Bは、異なるT細胞サブセットの枯渇を示す。各点は、個々の患者からのデータを表す。
図17Cは、代表的なRCC患者からのTILにおいて、アイソタイプ群からのCD3+CD4+Foxp 3+TIGIT+細胞としてゲーティングされたTreg集団対50nMのHFB11-10Hz抗体で処理した群を示すドットプロットを示す。
図17Dは、HFB101110のTreg枯渇活性の用量応答を示す。
図17Eは、添加された外因性NK細胞の量の関数としてのADCCアッセイにおけるTregの枯渇を示す。
【0043】
【
図18A-B】
図18A~18Cは、は、安全性および薬物動態研究を示す。
図18Aは、カニクイザルにおける単回投与PK研究の概略図を示す。
図18Bは、カニクイザルにおけるHFB101110の血清PKプロファイルを示す。
図18Cは、可溶性抗体フォーマットを使用したヒトPBMCからのインビトロサイトカイン放出研究を示す。
【
図18C】
図18A~18Cは、は、安全性および薬物動態研究を示す。
図18Aは、カニクイザルにおける単回投与PK研究の概略図を示す。
図18Bは、カニクイザルにおけるHFB101110の血清PKプロファイルを示す。
図18Cは、可溶性抗体フォーマットを使用したヒトPBMCからのインビトロサイトカイン放出研究を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
発明の詳細な説明
様々な刊行物、論文および特許が、背景および明細書全体を通して引用または記載されており、これらの参考文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、行為、材料、デバイス、物品などの議論は、本発明の文脈を提供することを目的とする。そのような議論は、これらの事項のいずれかまたはすべてが、開示または特許請求される発明に関して先行技術の一部を形成することを認めるものではない。
【0045】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。その他、本明細書で使用されるある用語は、本明細書で規定される意味を有する。
【0046】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形を含む。
【0047】
別途明記されない限り、本明細書に記載される濃度または濃度範囲などの任意の数値は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。したがって、数値は、典型的には、列挙された値の±10%を含む。例えば、1mg/mLの濃度は、0.9mg/mL~1.1mg/mLを含む。同様に、1%~10%(w/v)の濃度範囲は、0.9%(w/v)~11%(w/v)を含む。本明細書で使用される場合、数値範囲の使用は、文脈上特に明記されていない限り、すべての可能な部分範囲、その範囲内のすべての個々の数値、そのような範囲内の整数および値の一部を明確に含む。
【0048】
特に明記されない限り、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、一連の要素のすべての要素を指すと理解されるべきである。当業者は、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態に相当する多くの等価物を、日常的な実験だけを使用して認識するか、または確認することができるであろう。そのような等価物は、本発明に包含されることが意図されている。
【0049】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」もしくは「含有する(containing)」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、記載された整数または整数群の包含を意味するが、任意の他の整数または整数群の排除を意味するものではなく、非排他的またはオープンエンドであることを意図している。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていないかまたはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含み得る。さらに、明示的に反対の記載がない限り、「または」は、包括的なまたはを指し、排他的なまたはを指すのではない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真(または存在する)、Bが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)、Bが真(または存在する)、およびAとBとの両方が真(または存在する)。
【0050】
本明細書で使用される場合、複数の列挙された要素間の接続的な用語「および/または」は、個々の選択肢と組み合わされた選択肢との両方を包含すると理解される。例えば、2つの要素が「および/または」によって結合されている場合、第1の選択肢は、第2の要素なしの第1の要素の適用可能性を指す。第2の選択肢は、第1の要素なしの第2の要素の適用可能性を指す。第3の選択肢は、第1および第2の要素を一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のいずれか1つは、その意味の範囲内にあり、したがって、本明細書で使用される「および/または」という用語の要件を満たすと理解される。2つ以上の選択肢の同時適用性も、その意味の範囲内に含まれ、したがって、「および/または」という用語の要件を満たすと理解される。
【0051】
本明細書で使用される場合、本明細書および特許請求の範囲を通して使用される「からなる(consists of)」という用語、または「からなる(consist of)」もしくは「からなる(consisting of)」などの変形は、列挙された任意の整数または整数群を含むが、指定された方法、構造、または組成物に追加の整数または整数群を追加することはできないことを示す。
【0052】
本明細書で使用される場合、本明細書および特許請求の範囲を通して使用される「から本質的になる(consists essentially of)」という用語、または「から本質的になる(consist essentially of)」もしくは「から本質的になる(consisting essentially of)」などの変形は、任意の列挙された整数または整数群を含むこと、および指定された方法、構造または組成物の基本的または新規な特性を実質的に変化させない任意の列挙された整数または整数群を任意に含むことを示す。M.P.E.P.§2111.03を参照されたい。
【0053】
本明細書で使用される場合、「対象」は、任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用される「哺乳動物」という用語は、任意の哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ヒトなど、より好ましくはヒトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
「右(right)」、「左(left)」、「下(lower)」、および「上(upper)」という単語は、参照される図面内の方向を指定する。
【0055】
好ましい発明の構成要素の寸法または特性に言及するときに本明細書で使用される「約」、「およそ」、「一般に」、「実質的に」などの用語は、記載された寸法/特性が厳密な境界またはパラメータではなく、当業者によって理解されるように、機能的に同じまたは同様であるそれらからの小さな変形を排除しないことを示すことも理解されたい。最低限、数値パラメータを含むそのような参照は、当該技術分野で受け入れられている数学的および工業的な原則(例えば、丸め、測定または他の系統誤差、製造公差など)を使用して、最下位桁を変化させないような変形を含む。
【0056】
2つもしくはそれを超える核酸またはポリペプチド配列(例えば、抗CCR8抗体およびそれらをコードするポリヌクレオチド、CCR8ポリペプチドおよびそれらをコードするCCR8ポリヌクレオチド)の文脈における「同一」という用語またはパーセント「同一性」は、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用して、または目視検査によって測定されるように、最大対応性のために比較されアラインメントされたときに、同じであるか、または同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの指定されたパーセンテージを有する2つもしくはそれを超える配列または部分配列を指す。
【0057】
配列比較のために、典型的には、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0058】
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.1981;2:482の局所的相同性アルゴリズムによって、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.1970;48:443の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 1988;85:2444の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.(ウィスコンシン州マディソン)のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって、または目視検査(一般に、Current Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubelら(編),Current Protocols,a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc.and John Wiley&Sons,Inc.,1995 Supplement(Ausubel)を参照されたい)によって行うことができる。
【0059】
パーセント配列同一性およびパーセント配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらは、Altschulら、J.Mol.Biol.1990;215:403-410と、Altschulら、Nucleic Acids Res.1997;25:3389-3402とにそれぞれ記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通して公的に入手可能である。このアルゴリズムは、最初に、クエリ配列中の長さWの短いワードを識別することによってハイスコアリング配列対(HSP)を識別することを含み、これは、データベース配列中の同じ長さのワードとアラインメントされたときにいくつかの正の値の閾値スコアTと一致するかまたはそれを満たす。Tは、近傍ワードスコア閾値(Altschulら、前出)と呼ばれる。これらの初期近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけ出すために検索を開始するためのシードとして作用する。次いで、ワードヒットは、累積アラインメントスコアを増加させることができる限り、各配列に沿って両方向に拡張される。
【0060】
累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一対のマッチング残基に対する報酬スコア;常に>0)およびN(ミスマッチング残基に対するペナルティスコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列の場合、スコアリング行列を使用して累積スコアを計算する。ワードヒットの各方向への伸長は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下したときに停止され、累積スコアは、1つもしくはそれを超える負のスコアリング残基アラインメントの蓄積に起因して0もしくはそれ未満になるか、またはいずれかの配列の末端に達する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとしてワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとしてワード長(W)3、期待値(E)10およびBLOSUM62スコアリング行列(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1989;89:10915を参照されたい)を使用する。
【0061】
パーセント配列同一性の計算に加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計分析も行う(例えば、Karlin&Altschul,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 1993;90:5873-5787を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小和確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間のマッチが偶然に起こる確率の指標を提供する。例えば、試験核酸と参照核酸との比較における最小和確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は参照配列に類似していると見なされる。
【0062】
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であるという更なる指標は、以下に記載されるように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが第2の核酸によってコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であることである。したがって、ポリペプチドは、典型的には、例えば、2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。
【0063】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、生物学的成分(例えば、核酸、ペプチドまたはタンパク質)が、その成分が天然に存在する生物の他の生物学的成分、すなわち他の染色体および染色体外のDNAおよびRNA、ならびにタンパク質から実質的に分離されているか、それらとは別に産生されているか、それらから精製されていることを意味する。したがって、「単離された」核酸、ペプチドおよびタンパク質は、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質を含む。「単離された」核酸、ペプチドおよびタンパク質は、組成物の一部であってもよく、組成物が核酸、ペプチド、またはタンパク質の本来の環境の一部でない場合には単離されたままである。この用語はまた、宿主細胞中での組換え発現によって調製された核酸、ペプチドおよびタンパク質、ならびに化学的に合成された核酸を包含する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、同義的に「核酸分子」、「ヌクレオチド」または「核酸」と呼ばれ、非修飾RNAもしくはDNAまたは修飾RNAもしくはDNAであり得る任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを指す。「ポリヌクレオチド」は、限定されないが、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖もしくはより典型的には二本鎖または一本鎖および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を含む。さらに、「ポリヌクレオチド」は、RNAもしくはDNAまたはRNAとDNAとの両方を含む三本鎖領域を指す。ポリヌクレオチドという用語はまた、1つもしくはそれを超える修飾塩基を含有するDNAまたはRNA、および安定性または他の理由のために修飾された骨格を有するDNAまたはRNAを含む。「修飾」塩基は、例えば、トリチル化塩基およびイノシンなどの異常な塩基を含む。DNAおよびRNAに対して様々な修飾を行うことができ、したがって、「ポリヌクレオチド」は、自然界で典型的に見られるような化学的、酵素的または代謝的に修飾された形態のポリヌクレオチド、ならびにウイルスおよび細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」はまた、オリゴヌクレオチドと呼ばれることが多い比較的短い核酸鎖を包含する。
【0065】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、セグメントの複製または発現をもたらすように別の核酸セグメントが作動可能に挿入され得るレプリコンである。
【0066】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、本発明の核酸分子を含む細胞を指す。「宿主細胞」は、任意の種類の細胞、例えば、初代細胞、培養中の細胞、または細胞株からの細胞であり得る。一実施形態において、「宿主細胞」は、本発明の核酸分子でトランスフェクトされた細胞である。別の実施形態において、「宿主細胞」は、そのようなトランスフェクト細胞の子孫または潜在的子孫である。細胞の子孫は、例えば、後続の世代で起こり得る突然変異もしくは環境の影響、または核酸分子の宿主細胞ゲノムへの組み込みに起因して、親細胞と同一であってもなくてもよい。
【0067】
本明細書で使用される「発現」という用語は、遺伝子産物の生合成を指す。この用語は、RNAへの遺伝子の転写を包含する。この用語はまた、RNAの1つまたはそれを超えるポリペプチドへの翻訳を包含し、さらに、すべての自然発生の転写後および翻訳後修飾を包含する。発現された抗体は、宿主細胞の細胞質内、細胞培養物の成長培地などの細胞外環境内にあり得、または細胞膜に固定され得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、または「タンパク質」という用語は、アミノ酸から構成される分子を指すことができ、当業者によってタンパク質として認識され得る。アミノ酸残基についての従来の1文字または3文字コードが本明細書で使用される。「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用することができる。ポリマーは直鎖または分岐鎖であり得、それは修飾アミノ酸を含み得、それは非アミノ酸によって中断され得る。この用語はまた、天然にまたは介入によって修飾されたアミノ酸ポリマーを包含し、例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分とのコンジュゲーションなどの任意の他の操作もしくは修飾が挙げられる。例えば、アミノ酸の1つまたはそれを超える類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、ならびに当該技術分野で公知の他の修飾を含有するポリペプチドも定義に含まれる。
【0069】
本明細書に記載されるペプチド配列は、ペプチドのN末端領域が左側にあり、C末端領域が右側にある通常の慣例に従って書かれている。アミノ酸の異性体形態は公知であるが、特に明記されない限り、表されるのはアミノ酸のL型である。
【0070】
抗体
【0071】
本発明は、一般に、単離された抗ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体8抗体、抗体をコードする核酸および発現ベクター、ベクターを含有する組換え細胞、抗体を発現する組換え細胞、および抗体を含む組成物に関する。抗体を作製する方法、および癌などの疾患を処置するために抗体を使用する方法も開示される。本発明の抗体は、CCR8に対する高親和性結合、CCR8に対する高特異性、CCR8を発現する細胞に対する抗体依存性細胞食作用(ADCP)および/または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を刺激する能力、ならびに単独でまたは他の抗癌療法と組み合わせて投与した場合の対象および動物モデルにおける腫瘍成長を阻害する能力を含むがこれらに限定されない1つまたはそれを超える望ましい機能的特性を有する。
【0072】
一般的な態様において、本発明は、ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体8(CCR8)に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
【0073】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は広義で使用され、ヒト、ヒト化、複合抗体およびキメラ抗体を含む免疫グロブリンまたは抗体分子、ならびにモノクローナルまたはポリクローナルである抗体フラグメントを含む。一般に、抗体は、特定の抗原に対する結合特異性を示すタンパク質またはペプチド鎖である。抗体構造は周知である。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス(すなわち、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM)に割り当てることができる。IgAおよびIgGは、アイソタイプIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4としてさらに細分される。したがって、本発明の抗体は、5つの主要なクラスまたは対応するサブクラスのいずれかであり得る。好ましくは、本発明の抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。脊椎動物種の抗体軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なる種類、すなわちカッパおよびラムダのうちの1つに割り当てることができる。したがって、本発明の抗体は、カッパ軽鎖定常ドメインまたはラムダ軽鎖定常ドメインを含有することができる。特定の実施形態によれば、本発明の抗体は、ラットまたはヒト抗体からの重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域を含む。重鎖定常ドメインおよび軽鎖定常ドメインに加えて、抗体は、軽鎖可変領域および重鎖可変領域から構成される抗原結合領域を含み、その各々が3つのドメイン(すなわち、相補性決定領域1~3;CDR1、CDR2、およびCDR3)を含む。軽鎖可変領域ドメインは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3とも呼ばれ、重鎖可変領域ドメインは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3とも呼ばれる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「単離された抗体」という用語は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、CCR8に特異的に結合する単離された抗体は、CCR8に結合しない抗体を実質的に含まない)。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まない。
【0075】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る自然発生の突然変異を除いて同一である。本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、ファージディスプレイ技術、単一リンパ球遺伝子クローニング技術によって、または組換えDNA法によって作製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスまたはラットなどのトランスジェニック非ヒト動物から得られたB細胞を含むハイブリドーマによって産生され得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、「抗原結合フラグメント」という用語は、抗体フラグメント、例えば、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、ジスルフィド安定化Fvフラグメント(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv-dsFv’)、ジスルフィド安定化ダイアボディ(dsダイアボディ)、一本鎖抗体分子(scFv)、単一ドメイン抗体(sdab)、scFv二量体(二価ダイアボディ)、1つもしくはそれを超えるCDRを含む抗体の一部から形成される多重特異性抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体、または抗原に結合するが完全な抗体構造を含まない任意の他の抗体フラグメントなどを指す。抗原結合フラグメントは、親抗体または親抗体フラグメントが結合する同じ抗原に結合することができる。特定の実施形態によれば、抗原結合フラグメントは、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域、および重鎖のFdセグメントを含む。他の特定の実施形態によれば、抗原結合フラグメントは、FabおよびF(ab’)を含む。
【0077】
本明細書で使用される場合、「一本鎖抗体」という用語は、約15~約20アミノ酸の短いペプチドによって連結された重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、当該分野における従来の一本鎖抗体を指す。本明細書で使用される場合、「単一ドメイン抗体」という用語は、重鎖可変領域および重鎖定常領域を含むか、または重鎖可変領域のみを含む、当該分野における従来の単一ドメイン抗体を指す。
【0078】
本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、ヒトによって産生される抗体、または当該技術分野で公知の任意の技術を使用して作製されたヒトによって産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を指す。ヒト抗体のこの定義には、インタクトもしくは全長抗体、そのフラグメント、ならびに/または少なくとも1つのヒト重鎖および/もしくは軽鎖ポリペプチドを含む抗体が含まれる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」および/または「ヒト化抗原結合ドメイン」という用語は、抗体の抗原結合特性は保持されるが、ヒトの体におけるその抗原性は低下するように、ヒト抗体の配列相同性との配列相同性を増加させるように修飾された非ヒト抗体を指す。
【0080】
本明細書で使用される場合、「キメラ抗体」という用語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2つまたはそれを超える種に由来する抗体を指す。軽鎖および重鎖の両方の可変領域は、多くの場合、所望の特異性、親和性、および能力を有する哺乳動物の1つの種(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)に由来する抗体の可変領域に対応し、一方で、定常領域は、その種における免疫応答の誘発を回避するために、哺乳動物の別の種(例えば、ヒト)に由来する抗体の配列に対応する。
【0081】
本明細書で使用される場合、「多重特異性抗体」という用語は、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む抗体を指し、複数の第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、複数の第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。一実施形態において、第1および第2のエピトープは、同じ抗原、例えば、同じタンパク質(または多量体タンパク質のサブユニット)上にある。一実施形態において、第1および第2のエピトープは重複するか、または実質的に重複する。一実施形態において、第1および第2のエピトープは重複しないか、または実質的に重複しない。一実施形態において、第1および第2のエピトープは、異なる抗原、例えば、異なるタンパク質(または多量体タンパク質の異なるサブユニット)上にある。一実施形態において、多重特異性抗体は、第3、第4または第5の免疫グロブリン可変ドメインを含む。一実施形態において、多重特異性抗体は、二重特異性抗体分子、三重特異性抗体分子、または四重特異性抗体分子である。
【0082】
本明細書で使用される場合、「二重特異性抗体」という用語は、2つ以下のエピトープまたは2つの抗原に結合する多重特異性抗体を指す。二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列および第2のエピトープに対する結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列によって特徴付けられる。一実施形態において、第1および第2のエピトープは、同じ抗原、例えば、同じタンパク質(または多量体タンパク質のサブユニット)上にある。一実施形態において、第1および第2のエピトープは重複するか、または実質的に重複する。一実施形態において、第1および第2のエピトープは、異なる抗原、例えば、異なるタンパク質(または多量体タンパク質の異なるサブユニット)上にある。一実施形態において、二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列と、第2のエピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列とを含む。一実施形態において、二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体またはそのフラグメントと、第2のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体またはそのフラグメントとを含む。一実施形態において、二重特異性抗体は、第1のエピトープに対する結合特異性を有するscFv、またはそのフラグメントと、第2のエピトープに対する結合特異性を有するscFv、またはそのフラグメントとを含む。一実施形態において、第1のエピトープはCCR8に位置し、第2のエピトープはPD-1、PD-L1、CTLA-4、EGFR、HER-2、CD19、CD20、CD33、CD3、および/または他の腫瘍関連免疫抑制剤または表面抗原に位置する。
【0083】
本明細書で使用される場合、「CCR8に特異的に結合する」抗体は、1×10-7Mもしくはそれ未満、好ましくは1×10-8Mもしくはそれ未満、より好ましくは5×10-9Mもしくはそれ未満、1×10-9Mもしくはそれ未満、5×10-10Mもしくはそれ未満、または1×10-10Mもしくはそれ未満のKDで、CCR8、好ましくはヒトCCR8に結合する抗体および/または抗原結合ドメインを指す。ある実施形態において、抗体および/または抗原結合ドメインはカニクイザルCCR8に結合する。「KD」という用語は、Kd対Ka(すなわち、Kd/Ka)の比から得られ、モル濃度(M)として表される解離定数を指す。抗体のKD値は、本開示を考慮して当該技術分野における方法を使用して決定することができる。例えば、抗体のKDは、表面プラズモン共鳴を使用することによって、例えば、Biacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用することによって、またはOctet RED 96システムなどのバイオレイヤー干渉法技術を使用することによって決定することができる。
【0084】
抗体のKDの値が小さいほど、抗体が標的抗原に結合する親和性が高い。
【0085】
本明細書で使用される場合、「IC50」という用語は、本発明のモノクローナルまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントの最大半量阻害濃度を指す。IC50は、細胞におけるCCR8へのCCL1の結合を阻害するかまたはCCR8の機能を阻害するための本発明のモノクローナルまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントの効力の尺度である。ある実施形態において、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、約10-7M未満、約10-8M未満、約10-9M未満、約10-10M未満、約10-11M未満、約10-12M未満、または約10-13M未満のKDを有する。
【0086】
本明細書で使用される場合、「EC50」という用語は、本発明のモノクローナルまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントの最大半量有効濃度を指す。EC50は、指定された曝露時間にわたってベースラインと最大値との中間で生物学的応答(すなわち、細胞死)を誘導するためのモノクローナルまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントの濃度を指す。ある実施形態において、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、約1μM未満、約1000nM~約100nM、約100nM~約10nM、約10nM~約1nM、約1000pM~約500pM、約500pM~約200pM、約200pM未満、約200pM~約150pM、約200pM~約100pM、約100pM~約10pM、または約10pM~約1pMのEC50を有する。
【0087】
特定の態様によれば、本発明は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、該モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントまたは抗原結合ドメインは、
(1)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
(2)それぞれ、配列番号13、2、14、4、28、および6;
(3)それぞれ、配列番号13、2、15、4、5、および6;
(4)それぞれ、配列番号16、17、18、29、30、および6;
(5)それぞれ、配列番号19、20、21、4、5、および6;
(6)それぞれ、配列番号22、23、24、31、5、および32;または
(7)それぞれ、配列番号25、26、27、33、34、および35;
のポリペプチド配列を有する重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントまたはその抗原結合ドメインは、ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体8(CCR8)、好ましくはヒトCCR8に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
【0088】
別の特定の態様によれば、本発明は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、該モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号7、36、38、40、42、44、もしくは46と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%もしくは99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または配列番号8、37、39、41、43、45、もしくは47と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。好ましい一実施形態によれば、本発明の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号7と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とをそれぞれ含む。
【0089】
特定の実施形態によれば、単離された抗CCR8モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(1)配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(2)配列番号36のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号37のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(3)配列番号38のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号39のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(4)配列番号40のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号41のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(5)配列番号42のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号43のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(6)配列番号44のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号45のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;または
(7)配列番号46のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号47のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
を含む。
【0090】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号7と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0091】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号13、2、14、4、28、および6のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号36と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号37と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号36のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号37のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0092】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号13、2、15、4、5、および6のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号38と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号39と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号38のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号39のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0093】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号16、17、18、29、30、および6のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号40と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号41と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号40のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号41のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0094】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号19、20、21、4、5、および6のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号42と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号43と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号42のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号43のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0095】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号22、23、24、31、5、および32のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号44と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号45と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号44のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号45のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0096】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号25、26、27、33、34、および35のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号46と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号47と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号46のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号47のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0097】
別の特定の態様によれば、本発明は、本発明の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントであって、該モノクローナル抗体または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントはキメラである、単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントに関する。
【0098】
別の特定の態様によれば、本発明は、本発明の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントであって、該モノクローナル抗体または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントはヒトであるか、もしくはヒト化されている、単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントに関する。
【0099】
別の特定の態様によれば、本発明は、
(1)それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6;
(2)それぞれ、配列番号1、2、49、4、5、および6;
(3)それぞれ、配列番号1、2、49、50、51、および6;
(4)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;または
(5)それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6
のポリペプチド配列を有する、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含む、ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
【0100】
別の特定の態様によれば、本発明は、配列番号9、52、53、54、55、56、57、58、59、もしくは60と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または配列番号10、61、62、もしくは63と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
【0101】
別の特定の態様によれば、ヒト化抗CCR8モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(1)配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(2)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(3)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(4)配列番号53のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(5)配列番号54のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;または
(6)配列番号59のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
を含む。
【0102】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0103】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号1、2、49、4、5、および6のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号52と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0104】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号1、2、49、50、51、および6のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号52と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0105】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号1、2、49、50、51、および6のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号53と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号53のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0106】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号54と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号54のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0107】
一実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6のポリペプチド配列を有する、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。別の実施形態によれば、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号59と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号62と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%もしくはそれを超えて、例えば95%、96%、97%、98%、または99%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。好ましくは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号59のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0108】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントおよび/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸に関する。タンパク質のコード配列は、タンパク質のアミノ酸配列を変更することなく変更(例えば、置換、欠失、挿入など)し得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸配列は、タンパク質のアミノ酸配列を変更することなく変更することができることが当業者によって理解されるであろう。
【0109】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントおよび/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸を含むベクターに関する。プラスミド、コスミド、ファージベクターまたはウイルスベクターなど、本開示を考慮して当業者に公知の任意のベクターを使用することができる。いくつかの実施形態において、ベクターは、プラスミドなどの組換え発現ベクターである。ベクターは、発現ベクターの従来の機能を確立するための任意の要素、例えば、プロモーター、リボソーム結合要素、ターミネーター、エンハンサー、選択マーカー、および複製起点を含み得る。プロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、または抑制性プロモーターであり得る。細胞に核酸を送達することができるいくつかの発現ベクターは当該技術分野で公知であり、細胞中での抗体またはその抗原結合フラグメントの産生のために本明細書で使用することができる。従来のクローニング技術または人工遺伝子合成を使用して、本発明の実施形態による組換え発現ベクターを生成することができる。
【0110】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントおよび/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸を含む宿主細胞に関する。本開示を考慮して当業者に公知の任意の宿主細胞を、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントの組換え発現のために使用することができる。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、大腸菌TG1またはBL21細胞(例えば、scFvまたはFab抗体の発現のため)、CHO-DG44またはCHO-K1細胞またはHEK293細胞(例えば、全長IgG抗体の発現のため)である。特定の実施形態によれば、組換え発現ベクターは、化学トランスフェクション、熱ショック、またはエレクトロポレーションなどの従来の方法によって宿主細胞に形質転換され、組換え核酸が効果的に発現されるように宿主細胞ゲノムに安定に組み込まれる。
【0111】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性フラグメントおよび/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合性フラグメントを産生する方法であって、該モノクローナル抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合性フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合性フラグメントを産生する条件下で培養することと、該モノクローナル抗体および/または二重特異性抗体もしくはそれらの抗原結合性フラグメントを該細胞または細胞培養物から(例えば、上清から)から回収することと、を含む方法に関する。発現されたモノクローナル抗体および/または二重特異性抗体もしくはそれらの抗原結合フラグメントは、当該分野で公知でありかつ本明細書に記載されるような従来の技術に従って、細胞から採取され、精製され得る。
【0112】
医薬組成物
【0113】
別の一般的な態様において、本発明は、単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメント、単離されたポリヌクレオチドおよび/または単離された本発明のポリペプチドと、薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物に関する。
【0114】
本明細書で使用される「医薬組成物」という用語は、本発明の単離されたポリヌクレオチド、本発明の単離されたポリペプチド、抗CCR8モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、および/または本発明の二重特異性抗体を薬学的に許容され得る担体と共に含む生成物を意味する。本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗CCR8モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、および/または二重特異性抗体、ならびにそれらを含む組成物はまた、本明細書で言及される治療適用のための医薬品の製造に有用である。
【0115】
本明細書で使用される場合、「担体」という用語は、任意の医薬品添加剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、油、脂質、脂質含有小胞、マイクロスフェア、リポソームカプセル化、または医薬製剤に使用するための当該技術分野で周知の他の材料を指す。担体、医薬品添加剤または希釈剤の特性は、特定の用途のための投与経路に依存することが理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る担体」という用語は、本発明による組成物の有効性または本発明による組成物の生物学的活性を妨げない非毒性物質を指す。特定の実施形態によれば、本開示を考慮して、抗体医薬組成物での使用に適した任意の薬学的に許容され得る担体を本発明で使用することができる。
【0116】
薬学的に許容され得る担体を含む薬学的有効成分の製剤は、当該技術分野で公知であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(例えば、第21版(2005)、およびそれより後の版)が挙げられる。更なる成分の非限定的な例としては、緩衝液、希釈剤、溶媒、張度調節剤、保存剤、安定剤、およびキレート剤が挙げられる。1つまたはそれを超える薬学的に許容され得る担体を、本発明の医薬組成物の製剤化に使用することができる。
【0117】
本発明の一実施形態において、医薬組成物は液体製剤である。液体製剤の好ましい例は、水性製剤、すなわち、水を含む製剤である。液体製剤は、溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ゲルなどを含み得る。水性製剤は、典型的には、少なくとも50%w/wの水、または少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、または少なくとも95%w/wの水を含む。
【0118】
一実施形態において、医薬組成物は、例えば注射用デバイス(例えば、シリンジまたは注入ポンプ)を介して注射することができる注射剤として製剤化することができる。注射は、例えば、皮下、筋肉内、腹腔内、硝子体内、または静脈内に送達することができる。
【0119】
別の実施形態において、医薬組成物は、固体製剤、例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥組成物であり、それらは、そのまま使用することができるか、または医師もしくは患者が使用前に溶媒、および/または希釈剤をそれらに添加する。固体剤形は、錠剤、例えば圧縮錠剤、および/またはコーティングされた錠剤、ならびにカプセル剤(例えば、硬質または軟質ゼラチンカプセル)を含み得る。医薬組成物は、例えば、再構成のための小袋、糖衣錠、粉末、顆粒、ロゼンジ、または粉末の形態であってもよい。
【0120】
剤形は即時放出型であってもよく、この場合、剤形は水溶性もしくは分散性担体を含むことができ、または剤形は遅延放出型、持続放出型もしくは修飾放出型であってもよく、この場合、剤形は、剤形の消化管内または皮膚下での溶解速度を調節する水不溶性ポリマーを含むことができる。
【0121】
他の実施形態において、医薬組成物は、鼻腔内、頬内、または舌下に送達することができる。
【0122】
水性製剤中のpHは、pH3~pH10であり得る。本発明の一実施形態において、製剤のpHは、約7.0~約9.5である。本発明の別の実施形態において、製剤のpHは、約3.0~約7.0である。
【0123】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は緩衝液を含む。緩衝液の非限定的な例としては、アルギニン、アスパラギン酸、ビシン、クエン酸塩、リン酸水素二ナトリウム、フマル酸、グリシン、グリシルグリシン、ヒスチジン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、コハク酸塩、酒石酸、トリシン、およびトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。緩衝液は、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で、個々にまたは凝集して存在し得る。これらの特定の緩衝液の各々1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0124】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は保存剤を含む。保存剤の非限定的な例としては、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、4-ヒドロキシ安息香酸ブチル、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロヘキシジン、クロルフェネシン、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、イミドウレア、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、フェノール、2-フェノキシエタノール、2-フェニルエタノール、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、デヒドロ酢酸ナトリウム、チオメロサール、およびそれらの混合物が挙げられる。保存剤は、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で、個々にまたは凝集して存在し得る。これらの特定の保存剤の各々1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0125】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は等張剤を含む。等張剤の非限定的な例としては、塩(例えば塩化ナトリウム)、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、およびトレオニン)、アルジトール(例えばグリセロール、1,2-プロパンジオールプロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、および1,3-ブタンジオール)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。等張剤の他の例としては、糖が挙げられる。糖の非限定的な例は、単糖類、二糖類、もしくは多糖類、または水溶性グルカン(例えば、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、アルファおよびベータ-HPCD、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む)であり得る。等張剤の別の例は糖アルコールであり、「糖アルコール」という用語は、少なくとも1つの-OH基を有するC(4~8)炭化水素として定義される。糖アルコールの非限定的な例としては、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、およびアラビトールが挙げられる。等張剤は、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で、個々にまたは凝集して存在し得る。これらの特定の等張剤の各々1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0126】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物はキレート剤を含む。キレート剤の非限定的な例としては、クエン酸、アスパラギン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の塩、およびそれらの混合物が挙げられる。キレート剤は、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で、個々にまたは凝集して存在し得る。これらの特定のキレート剤の各々1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0127】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は安定剤を含む。安定剤の非限定的な例としては、1つもしくはそれを超える凝集阻害剤、1つもしくはそれを超える酸化阻害剤、1つもしくはそれを超える界面活性剤、および/または1つもしくはそれを超えるプロテアーゼ阻害剤が挙げられる。
【0128】
本発明の別の実施形態において、医薬組成物は、安定剤を含み、前述の安定剤は、カルボキシ-/ヒドロキシセルロースおよびその誘導体(例えばHPC、HPC-SL、HPC-LおよびHPMC)、シクロデキストリン、2-メチルチオエタノール、ポリエチレングリコール(例えばPEG3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、塩(例えば塩化ナトリウム)、モノチオグリセロールなどの硫黄含有物質、またはチオグリコール酸である。安定剤は、約0.01mg/ml~約50mg/ml、例えば約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で、個々にまたは凝集して存在し得る。これらの特定の安定剤の各々1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0129】
本発明の更なる実施形態において、医薬組成物は、1つもしくはそれを超える界面活性剤、好ましくは界面活性剤、少なくとも1つの界面活性剤、または2つの異なる界面活性剤を含む。「界面活性剤」という用語は、水溶性(親水性)部分および脂溶性(親油性)部分から構成される任意の分子またはイオンを指す。界面活性剤は、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および/または双性イオン性界面活性剤からなる群から選択することができる。界面活性剤は、約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で、個々にまたは凝集して存在し得る。これらの特定の界面活性剤の各々1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0130】
本発明の更なる実施形態において、医薬組成物は、1つもしくはそれを超えるプロテアーゼ阻害剤、例えば、EDTAおよび/またはベンズアミジン塩酸(HCl)を含む。プロテアーゼ阻害剤は、約0.1mg/ml~約20mg/mlの濃度で、個々にまたは凝集して存在し得る。これらの特異的プロテアーゼ阻害剤の各々1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0131】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントおよび/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を製造する方法であって、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントおよび/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを薬学的に許容され得る担体と組み合わせて医薬組成物を得ることを含む方法に関する。
【0132】
使用方法
【0133】
別の一般的な態様において、本発明は、癌の処置を必要とする対象において癌を処置する方法であって、本発明の抗CCR8モノクローナル抗体および/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法に関する。癌は、例えば、肺癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、腎臓癌、および黒色腫から選択することができるが、これらに限定されない。
【0134】
いくつかの態様において、本発明は、腫瘍浸潤調節性T細胞(TITC)枯渇の誘導を必要とする対象において腫瘍浸潤調節性T細胞(TITC)枯渇を誘導する方法であって、本発明の抗CCR8モノクローナルおよび/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法に関する。様々な態様において、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含む他のT細胞は、誘導された細胞枯渇の影響を受けない。他の態様において、本方法は、腫瘍微小環境の再プログラミングをさらに誘導する。様々な態様において、TITC枯渇を誘導することは、CCR-8発現癌細胞のナチュラルキラー(NK)媒介性死滅を誘導することを含む。他の態様において、NK媒介性死滅を誘導することは、TITC誘導性免疫抑制を阻害することを含む。
【0135】
別の一般的な態様において、本発明は、細胞死滅を達成するために対象の癌細胞表面上のCCR8を標的化する方法であって、CCR8に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントおよび/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本発明の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントおよび/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法に関する。CCR8への抗CCR8モノクローナルまたは二重特異性抗体もしくは抗原結合フラグメントの結合は、抗体依存性細胞食作用(ADCP)および/または抗体依存性細胞傷害(ADCC)または標的癌細胞の死をもたらす他の効果を媒介することができる。モノクローナルまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、例えば、コンジュゲートされた薬物を動員するのに役立つことができ、および/または別のモノクローナル抗体と二重特異性抗体を形成して、標的癌細胞の死を媒介することができる。
【0136】
CCR8に結合する抗体およびその抗原結合フラグメントの機能的活性は、当該技術分野で公知の方法および本明細書に記載される方法によって特徴付けることができる。CCR8に結合する抗体およびその抗原結合フラグメントを特徴付けるための方法は、Biacore、ELISA、およびOctetRed分析を含む親和性および特異性アッセイ、ならびにFACSによる細胞(CCR8でトランスフェクトされた細胞またはCCR8を天然に発現する細胞のいずれか)上のCCR8への抗体および抗原結合フラグメントの結合の検出を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態によれば、CCR8に結合する抗体およびその抗原結合フラグメントを特徴付けるための方法は、以下に記載されるものを含む。
【0137】
別の一般的な態様において、本発明は、癌の処置を必要とする対象において癌を処置する方法であって、CCR8に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントおよび/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは本発明の医薬組成物を対象に投与することを含む方法に関する。癌は、例えば、固形腫瘍、好ましくは浸潤性T細胞を有する固形腫瘍、より好ましくは浸潤性Treg細胞を有する固形腫瘍、より好ましくはCCR8を発現する非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍、最も好ましくはナチュラルキラー(NK)細胞浸潤が生じたCCR8を過剰発現する浸潤性の非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍であり得る。癌は、例えば、肺癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、膀胱癌、肝臓癌、腎臓癌、および黒色腫から選択することができるが、これらに限定されない。特定の実施形態によれば、対象は、例えば、CCR8発現Tregを含み得る。
【0138】
抗CCR8抗体またはその抗原結合フラグメントに関して本明細書で使用される場合、治療有効量は、それを必要とする対象において免疫応答を調節する抗CCR8抗体またはその抗原結合フラグメントの量を意味する。また、抗CCR8抗体またはその抗原結合フラグメントに関して本明細書で使用される場合、治療有効量は、疾患、障害、もしくは症状の処置をもたらす抗CCR8抗体またはその抗原結合フラグメントの量を意味し、疾患、障害、もしくは症状の進行を予防もしくは遅延させるか、または疾患、障害、もしくは症状に関連する症候を軽減もしくは完全に緩和する。
【0139】
特定の実施形態によれば、処置される疾患、障害、または症状は癌である。癌は、例えば、固形腫瘍、好ましくは浸潤性T細胞を有する固形腫瘍、より好ましくは浸潤性Treg細胞を有する固形腫瘍、より好ましくはCCR8を発現する非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍、最も好ましくはナチュラルキラー(NK)細胞浸潤が生じたCCR8を過剰発現する浸潤性の非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍であり得る。癌は、例えば、肺癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、膀胱癌、肝臓癌、腎臓癌、および黒色腫から選択することができるが、これらに限定されない。
【0140】
特定の実施形態によれば、治療有効量は、以下の効果の1つ、2つ、3つ、4つ、もしくはそれを超えて達成するのに十分な治療の量を指す:(i)処置される疾患、障害もしくは症状、またはそれに関連する症候の重症度を低減もしくは改善すること;(ii)処置される疾患、障害もしくは症状、またはそれに関連する症候の持続期間を減少させること;(iii)処置される疾患、障害もしくは症状、またはそれに関連する症候の進行を予防すること;(iv)処置される疾患、障害もしくは症状、またはそれに関連する症候の後退を引き起こすこと;(v)処置される疾患、障害もしくは症状、またはそれに関連する症候の発病または発症を予防すること;(vi)処置される疾患、障害もしくは症状、またはそれに関連する症候の再発を予防すること;(vii)処置される疾患、障害もしくは症状、またはそれに関連する症候を有する対象の入院を減少させること;(viii)処置される疾患、障害もしくは症状、またはそれに関連する症候を有する対象の入院期間を短縮すること;(ix)処置される疾患、障害もしくは症状、またはそれに関連する症候を有する対象の生存を増加させること;(xi)対象における処置される疾患、障害もしくは症状、またはそれに関連する症候を阻害または低減すること;および/または(xii)別の治療の予防効果または治療効果を増強または改善すること。
【0141】
治療有効量または投与量は、様々な要因、例えば、処置される疾患、障害または症状、投与手段、標的部位、対象の生理学的状態(例えば、年齢、体重、健康を含む)、対象がヒトまたは動物であるか、投与される他の薬物、および処置が予防的または治療的であるかに応じて変化し得る。処置投与量は、安全性および有効性を最適化するために最適に滴定される。
【0142】
特定の実施形態によれば、本明細書に記載される組成物は、対象への意図された投与経路に適しているように製剤化される。例えば、本明細書に記載される組成物は、静脈内、皮下、または筋肉内投与に適しているように製剤化することができる。
【0143】
本明細書で使用される場合、「処置する(treat)」、「処置する(treating)」、および「処置(treatment)」という用語はすべて、癌に関連する少なくとも1つの測定可能な身体的パラメータの改善または逆転を指すことを意図しており、これは必ずしも対象において識別可能ではないが、対象において識別可能であり得る。「処置する(treat)」、「処置する(treating)」、および「処置(treatment)」という用語はまた、退縮を引き起こすこと、進行を妨げること、または疾患、障害、もしくは症状の進行を少なくとも遅らせることを指すことができる。特定の実施形態において、「処置する(treat)」、「処置する(treating)」、および「処置(treatment)」とは、腫瘍またはより好ましくは癌などの疾患、障害、または症状に関連する1つもしくはそれを超える症候の緩和、発病もしくは発症の予防、または持続期間の短縮を指す。特定の実施形態において、「処置する(treat)」、「処置する(treating)」、および「処置(treatment)」とは、疾患、障害、または症状の再発の予防を指す。特定の実施形態において、「処置する(treat)」、「処置する(treating)」、および「処置(treatment)」とは、疾患、障害、または症状を有する対象の生存の増加を指す。特定の実施形態において、「処置する(treat)」、「処置する(treating)」、および「処置(treatment)」とは、対象における疾患、障害、または症状の排除を指す。
【0144】
特定の実施形態によれば、癌の処置に使用される組成物が提供される。癌治療のために、提供される組成物は、化学療法、抗CD20 mAb、抗EGFR mAb、抗HER-2 mAb、抗CD19 mAb、抗CD33 mAb、抗CD47 mAb、抗CD73 mAb、抗PD-1 mAb、抗PD-L1 mAb、抗CTLA mAb、抗TNFR2 mAb、抗OX40 mAb、他の免疫腫瘍薬、抗血管新生剤、放射線療法、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、標的療法、他の抗癌薬、および/またはPD1およびPD-L1を含むがこれらに限定されない免疫調節標的を標的とする処置を含むがこれらに限定されない別の処置と組み合わせて使用することができる。CCR8に対する抗体を使用して、PD-1、PD-L1、CTLA-4、CTLA、TNFR2、OX40、EGFR、HER-2、CD19、CD20、CD33、CD73、CD47、および/またはCD3に対するパートナーmAbを有する二重特異性抗体を構築することができる。CCR8上の2つの異なるエピトープを認識する2つの抗体を使用して、CCR8を発現する癌/腫瘍を処置するための二重特異性抗体を構築することもできる。
【0145】
本明細書で使用される場合、対象への2つ以上の治療の投与の文脈における「組み合わせて」という用語は、2つまたはそれを超える治療の使用を指す。「組み合わせて」という用語の使用は、治療が対象に投与される順序を制限しない。例えば、第1の治療(例えば、本明細書に記載される組成物)は、対象への第2の治療の投与の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、それと同時に、またはそれに続いて(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、16時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後、または12週間後)投与することができる。
【0146】
別の一般的な態様において、本発明は、対象におけるCCR8のレベルを決定する方法に関する。本方法は、(a)対象からサンプルを得ることと、(b)該サンプルを本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させることと、(c)該対象におけるCCR8のレベルを決定することとを含む。
【0147】
本明細書で使用される場合、「サンプル」は、対象から単離された生物学的サンプルを指し、全血、血清、血漿、血球、内皮細胞、組織生検(例えば、癌組織)、リンパ液、腹水液、間質液、骨髄、脳脊髄液、唾液、粘液、痰、汗、尿、または任意の他の分泌物、排泄物、または他の体液を含み得るが、これらに限定されない。「血液サンプル」は、血球、血清、および血漿を含む、全血またはその任意の画分を指す。サンプルは、例えば、Treg細胞を含み得る。
【0148】
ある実施形態において、対象におけるCCR8のレベルは、ウェスタンブロットアッセイ、免疫組織化学(IHC)およびELISAから選択されるアッセイを利用して決定することができるが、これらに限定されない。相対タンパク質レベルは、ウエスタンブロット分析およびIHCを利用することによって決定することができ、絶対タンパク質レベルは、ELISAを利用することによって決定することができる。CCR8の相対レベルを決定する場合、CCR8のレベルは、少なくとも2つのサンプル間、例えば、異なる時点での同じ対象からのサンプル間、同じ対象の異なる組織からのサンプル間、および/または異なる対象からのサンプル間で決定することができる。代替的に、ELISAなどによってCCR8の絶対レベルを決定する場合、サンプルを試験する前にELISAの標準を作製することによって、サンプル中のCCR8の絶対レベルを決定することができる。当業者は、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントを利用して対象からのサンプル中のCCR8のレベルを決定するためにどの分析技術を利用するかを理解するであろう。
【0149】
対象からのサンプル中のCCR8のレベルを決定する方法を利用することは、疾患における異常な(上昇、低下、または不十分な)CCR8レベルを診断し、適切な治療決定をもたらすことができる。そのような疾患は癌であり得る。さらに、対象におけるCCR8のレベルを監視することによって、上で示した疾患を発病するリスクは、特定の疾患におけるおよび/または特定の疾患の進行中のCCR8のレベルの知識に基づいて決定することができる。
実施形態
【0150】
本発明はまた、以下の非限定的な実施形態を提供する。
【0151】
実施形態1は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
(1)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
(2)それぞれ、配列番号13、2、14、4、28、および6;
(3)それぞれ、配列番号13、2、15、4、5、および6;
(4)それぞれ、配列番号16、17、18、29、30、および6;
(5)それぞれ、配列番号19、20、21、4、5、および6;
(6)それぞれ、配列番号22、23、24、31、5、および32;または
(7)それぞれ、配列番号25、26、27、33、34、および35;
のポリペプチド配列を有する、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、CCR8、好ましくはヒトCCR8に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0152】
実施形態2は、配列番号7、36、38、40、42、44、もしくは46と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または配列番号8、37、39、41、43、45、もしくは47と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、実施形態1の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0153】
実施形態3は、実施形態1または2の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
(1)配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(2)配列番号36のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号37のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(3)配列番号38のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号39のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(4)配列番号40のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号41のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(5)配列番号42のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号43のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(6)配列番号44のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号45のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;または
(7)配列番号46のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号47のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
を含む、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0154】
実施形態4は、実施形態1~3のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、抗体またはその抗原結合フラグメントはキメラ、および/またはヒトであるか、もしくはヒト化されている、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0155】
実施形態5は、実施形態4の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(1)それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6;
(2)それぞれ、配列番号1、2、49、4、5、および6;
(3)それぞれ、配列番号1、2、49、50、51、および6;
(4)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;または
(5)それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6
のポリペプチド配列を有する、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0156】
実施形態6は、実施形態5の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9、52、53、54、55、56、57、58、59、もしくは60と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または配列番号10、61、62、もしくは63と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0157】
実施形態7は、実施形態6の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(1)配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(2)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(3)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(4)配列番号53のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(5)配列番号54のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;または
(6)配列番号59のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0158】
実施形態8は、実施形態1~7のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、単離された抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体依存性細胞傷害(ADCC);抗体依存性細胞食作用(ADCP)を通じてエフェクター媒介性腫瘍細胞溶解を誘導し;かつ/またはコンジュゲートされた薬物の動員を誘導し;かつ/または癌を死滅させる効果を有する別のmAbまたはその抗原結合フラグメントと二重特異性抗体を形成することができる、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0159】
実施形態9は、実施形態1~8のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントはカニクイザルCCR8に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0160】
実施形態10は、実施形態1~9のいずれか1つのモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、単離された二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0161】
実施形態11は、実施形態1~9のいずれか1つのモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸である。
【0162】
実施形態12は、実施形態10の二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸である。
【0163】
実施形態13は、実施形態11または12の単離された核酸を含むベクターである。
【0164】
実施形態14は、実施形態13のベクターを含む宿主細胞である。
【0165】
実施形態15は、実施形態1~9のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体もしくは抗原結合フラグメントまたは実施形態10の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントと、薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物である。
【0166】
実施形態16は、実施形態15の医薬組成物を対象に投与することを含む、癌細胞表面上のCCR8を標的化し、および/または癌を処置する方法である。
【0167】
実施形態17は、癌が、例えば、固形腫瘍、好ましくは浸潤性T細胞を有する固形腫瘍、より好ましくは浸潤性Treg細胞を有する固形腫瘍、より好ましくはCCR8を発現する非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍、最も好ましくはナチュラルキラー(NK)細胞浸潤が生じたCCR8を過剰発現する浸潤性の非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍である、実施形態16の方法である。
【0168】
実施形態18は、癌が、肺癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、腎臓癌、および黒色腫からなる群から選択される、実施形態16または17の方法である。
【0169】
実施形態19は、対象がCCR8発現Treg細胞を含む、実施形態16から18のいずれか1つの方法である。
【0170】
実施形態20は、実施形態1~9のいずれか1つのモノクローナル抗体もしくは抗原結合フラグメントまたは実施形態10の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを産生する方法であって、該モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、該モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを産生する条件下で培養することと、該モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを該細胞または培養物から回収することと、を含む方法である。
【0171】
実施形態21は、実施形態1~9のいずれか1つのモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは実施形態10の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を製造する方法であって、該モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを薬学的に許容され得る担体と組み合わせて医薬組成物を得ることを含む方法である。
【0172】
実施形態22は、対象におけるCCR8のレベルを決定する方法であって、該方法は、
a.対象からサンプルを得ることと、
b.サンプルを実施形態1~9のいずれか1つの単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させることと、
c.対象におけるCCR8のレベルを決定することと
を含む方法である。
【0173】
実施形態23は、サンプルが組織サンプルまたは血液サンプルであり、任意選択的に組織サンプルが癌組織サンプルである、実施形態22の方法である。
【0174】
実施形態24は、サンプルがTreg細胞を含む、実施形態22の方法である。
【実施例】
【0175】
実施例1:抗体調製
【0176】
免疫:
【0177】
抗CCR抗体を、Balb/cマウスにDNAを4回注射し、続いてhCCR8受容体を発現する安定なM300.19細胞を2~4回ブーストして免疫することによって開発した。高い特異的力価(>10,000)を示すマウスを、CelliGo(商標)プラットフォームで単一B細胞選別に処理した。
【0178】
CelliGoプラットフォームによるB細胞選別:
【0179】
免疫したマウスからの脾細胞を、37℃、5%CO2で5日間、インビトロX-vivo 15培地(1%ペニシリン/ストレプトマイシン、2×L-グルタミン、10%低IgG血清、100ng/mL IL-2および2.5μg/mL R848を補充)で活性化した。B細胞を、Pan B単離キット(Miltenyi Biotec社;ドイツ国ノルトライン=ヴェストファーレン州ベルギッシュグラートバハ)を使用して濃縮し、Celltrace(商標)Violet試薬(Thermofisher社;マサチューセッツ州ウォルサム)で標識した後、HiFiBio Celligoプラットフォーム(HiFiBio社;マサチューセッツ州ケンブリッジ)を使用して選別した。細胞ベースのスクリーニングアッセイを、液滴中の標的細胞に結合する特異的B細胞を検出および選別するためにHiFiBioマイクロ流体技術を使用して開発した。
【0180】
VH/VLを、RT-PCRおよびPCRによって液滴中の単一B細胞から増幅し、Absolution HiFibioソフトウェア(HiFibio社)を使用して配列を分析した。
【0181】
キメラ抗体をヒトIgG1足場で産生し、親細胞と比較してCCR8高コピー細胞(安定なCCR8 CHO-K1細胞株、Perkin Elmer社;マサチューセッツ州ウォルサム)上の特異的結合について蛍光活性化細胞選別(FACS)によってスクリーニングした。
【0182】
25の特異的抗hCCR8抗体の中で、可変の生物学的特性を有する抗体のパネルを同定した(
図1~6)。
【0183】
抗体の配列を下記に提供する。
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
実施例2:抗CCR8モノクローナル抗体はCCR8発現細胞に特異的に結合する
【0189】
簡潔には、精製抗体(PBS中30mMからの範囲、3倍希釈)を1×10
5個の安定なCCR8発現CHOK1細胞(Perkin Elmer社;マサチューセッツ州ウォルサム)と共に4℃で30分間インキュベートした。MACS緩衝液(Miltenyi社;ドイツ国ベルギッシュグラートバハ)で洗浄した後、二次抗ヒトAF647抗体(Jackson ImmunoResearch社;ペンシルバニア州ウェスト・グローブ)をPBS中12nMで30分間インキュベートした。MACS緩衝液で洗浄した後、細胞ペレットを50μlのPBSに再懸濁し、Forecytソフトウェア(Intellicyt社;ミシガン州アナーバー)を使用してiQueサイトメータ(Sartorious社;ドイツ国ゲッティンゲン)でサンプルを分析した。単一細胞からのAF647チャネルの蛍光の平均を
図1に示す。
【0190】
親CHOK1細胞ではシグナルは検出されず、したがって、試験した抗体はhCCR8に特異的であった(
図1B)。
図1Aに示す滴定曲線から得られたEC
50値は、0.5~9nMの範囲であった(
図1C)。
【0191】
実施例3:抗CCR8モノクローナル抗体は、N末端ならびにタンパク質コンフォメーションに関与するループ1を認識した
【0192】
CCR8のエピトープをマッピングするために、最も近いケモカイン受容体CCR4(UniProt/Swiss-Prot:P51679(配列番号12))に融合したヒトCCR8(Uniprot/Swiss-Prot:P51685(配列番号11))の部分を含むキメラタンパク質を発現するコンストラクトを生成した。結果生じるタンパク質は、ヒトCCR4からのN末端ドメイン(配列番号12のアミノ酸1~40)、細胞外ドメイン1((ECL1)配列番号12のアミノ酸100~112)、細胞外ドメイン2((ECL2)配列番号12のアミノ酸177~205)、または細胞外ドメイン3((ECL3)配列番号12のアミノ酸269~286)を含み、残りの配列はヒトCCR8(配列番号11)からのものである。コンストラクトを、切断可能な細胞内GFPタグを含むpcDNA3.1ベクター中で作製し、コンストラクトをExpiHEK293細胞の表面に一過性に発現させた。精製抗体(50nM)を、ヒト、マウス、またはカニクイザルCCR8-GFPタンパク質のいずれかで一過性にトランスフェクトした1×10
5個のExpiHEK293細胞と4℃で30分間インキュベートした。洗浄した後、二次抗ヒトAF647抗体(Jackson ImmunoResearch社;ペンシルバニア州ウェスト・グローブ)をPBS中12nMで30分間インキュベートした。洗浄した後、細胞ペレットを50μLのPBSに再懸濁し、Forecytソフトウェア(Intellicyt社;ミシガン州アナーバー)を使用してiQueサイトメータ(Sartorious社;ドイツ国ゲッティンゲン)でサンプルを分析した。特異的シグナルの蛍光強度の平均を、
図2のGFP+細胞間で表す。
【0193】
すべての抗体はヒトCCR8に特異的であり、最も近いファミリーメンバーであるCCR4と交差反応しなかった。抗体は、CCR8/CCR4変異体に対して同様のプロファイルを示した。N末端ドメインがCCR4によって置き換えられると、抗CCR8抗体は反応性を失った。結合活性は、細胞外ドメイン1(ECL1)の置換時に強く減少した。しかしながら、抗体の大部分はカニクイザルCCR8と交差反応せず(
図3)、ECL1はヒトCCR8のものと100%同一であることから、ECL1ループはタンパク質コンフォメーションにおいて重要な役割を果たしたが、抗体のエピトープではない可能性があることが示唆された。
【0194】
ECL2および3の置換による影響はなかったことから、生成された抗CCR8抗体は、N末端ドメインに位置するエピトープを含むことが決定された。
【0195】
実施例4:抗CCR8モノクローナル抗体は、ヒトCCR8タンパク質に特異的であり、マウスおよび/またはカニクイザルCCR8受容体と交差反応することができる。
【0196】
簡潔には、精製抗体(50nMの飽和濃度、
図3A、または100nMからの濃度範囲、3倍希釈、
図3B~3C)を、切断可能なリンカーを介してGFPタンパク質に融合したヒト(配列番号11;Uniprot/Swiss-Prot:P51685)、マウスCCR8(配列番号64;Uniprot/Swiss-Prot:P56484)、またはカニクイザルCCR8(配列番号65;Uniprot/Swiss-Prot:G7NYJ2)のいずれかで一過性にトランスフェクトした1×10
5個のExpiHEK 293細胞と共に4℃で30分間インキュベートした。洗浄した後、二次抗ヒトAF647抗体(Jackson ImmunoResearch社;ペンシルバニア州ウェスト・グローブ)をPBS中12nMで30分間インキュベートした。洗浄した後、細胞ペレットを50μLのPBSに再懸濁し、Forecytソフトウェア(Intellicyt社、ミシガン州アナーバー)を使用してiQueサイトメータ(Sartorious社、ドイツ国ゲッティンゲン)でフローサイトメトリーによってサンプルを分析した。GFP+細胞間の特異的シグナルについての蛍光強度の平均を
図3A~3Cに表す。飽和濃度で試験したすべての抗体を
図3Aに示す。マウスCCR8およびカニクイザルCCR8に対する交差反応性抗体の滴定曲線をそれぞれ
図3Bおよび3Cに示す。
【0197】
抗CCR8抗体間で異なる交差反応性プロファイルが観察された:HFB11-3、HFB11-5、HFB11-8およびHFB11-10を含む1つの主要なグループは、ヒトタンパク質にのみ特異的であり、他の種と交差反応しなかった。HFB11-2は、マウスCCR8タンパク質に対して交差反応性であった;HFB11-19はカニクイザルCCR8タンパク質を認識した;HFB11-21は、マウスCCR8タンパク質およびカニクイザルCCR8タンパク質の両方に結合することができた。これらの抗体は、N末端ドメイン間で異なるエピトープを認識すると考えられる。マウスCCR8抗体の滴定曲線は、サブナノモルのEC
50を有するHFB11-2について同様の結合特性を実証したが、53nMのEC
50を有するHFB11-21についてはより低い結合効力を実証した(
図3B)。一方、この抗体は、カニクイザルCCR8受容体に対するより高い結合特性を実証し、EC
50は15.8nMであった。HFB11-19は、カニクイザルCCR8に対するより強力なバインダーであり、EC
50は1.8nMである(
図3C)。
【0198】
実施例5:抗CCR8抗体はCCR8発現細胞へのCCL1結合をブロックする
【0199】
ヒトCCR8発現細胞へのCCL1結合をブロックする能力を評価した。いくつかの濃度(100nMから始まる希釈範囲)の抗CCR8抗体を、安定なCCR8発現細胞(CHOK1、Perkin Elmer社)に4℃で30分間添加した。MACS緩衝液中で洗浄した後、30nMのhCCL1-AF647(Almac社)を添加し、4℃で45分間インキュベートした。MACS緩衝液で洗浄した後、ペレット化した細胞を50μLに再懸濁した後、iQueサイトメータ(Sartorious社、ドイツ国ゲッティンゲン)およびForecytソフトウェア(Intellicyt社、ミシガン州アナーバー)を使用してフローサイトメトリーによって読み取った。最大平均蛍光強度(MFI)は、CCL1結合の100%を反映するように抗体なしで得られた。AF647チャネルのMFIを使用して、%CCL1ブロッキングを計算した(式=100-(MFI
サンプル*100/MFI
CCL1単独))。
図4は、5/7抗CCR8抗体がCCR8へのCCL1結合をブロックすることを実証する結果を示す。
【0200】
両方ともカニクイザル交差反応性であったHFB11-19およびHFB-21は、細胞表面に発現したhCCR8へのhCCL1の結合をブロックすることができなかったが、他のすべての抗体はhCCL1を効率的にブロックし、IC
50値は約0.4~1.4nMの範囲であった(
図4B)。これは、HFB11-19およびHFB11-21が、N末端ドメイン上の他の抗体と比較して異なるエピトープを共有することを示唆している。
【0201】
実施例6:抗CCR8抗体は細胞内Ca2+フラックスを阻害する
【0202】
CCR8低コピー細胞(M300.19マウスプレB細胞)を、時間0秒で100nMのHFB11-10抗体(灰色の矢印、
図5Dおよび5G)、HFB11-3抗体(灰色の矢印、
図5または緩衝液(
図5E))で処理し、続いて90秒間インキュベートし、1nMのCCL1(明瞭な矢印、
図5B~5D)または10nMのCCL1(明瞭な矢印、
図5E~5G)を添加した。緩衝液のみの陰性対照を
図5Aに示す(明瞭な矢印)。
図5Cおよび5Dは、両方の抗体がCCR8-M300.19細胞のCCL1誘導性Ca
2+スパイクを妨害し、1nMのCCLで完全なシグナル阻害を示すことを実証している。CCL1濃度が10nMに増加すると、HFB11-3およびHFB11-10について、それぞれ61および77.5%の部分阻害が観察された(
図5Fおよび5G)。CCL1結合をブロックした抗CCR8抗体も、ケモカインによって誘導される細胞内シグナル伝達をブロックすることが実証された。
【0203】
実施例7:抗CCR8抗体は、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)レポーターバイオアッセイにおいてCD16に関与することができた
【0204】
CCR8発現CHOK1細胞(Perkin Elmer社)を、ADCCレポーターバイオアッセイ(Promega社)における標的細胞として使用した。簡潔には、抗CCR8抗体(30nMからの範囲、3倍希釈)、標的細胞(25000個/ウェル)を、E/T=3:1で、CD16およびルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するJurkat操作細胞と共培養した。37℃、5%CO
2で6時間インキュベートした後、Bio-glo試薬を添加し、室温で5分間インキュベートした後、Tecanプレートリーダーを使用して生物発光を読み取った。RLUシグナルをグラフに示す(
図6A)。
【0205】
すべての抗CCR8抗体は、可変の有効性でもってCD16に関与することができた。非ブロッキング抗体であるHFB11-19およびHFB11-21は、他の抗体と比較してより低い効力(より低いE
maxおよびEC
50)を示した。HFB11-2、HFB11-3、HFB11-5、HFB11-8およびHFB11-10は、高い効力を示し、EC
50値は0.1nM~0.3nMの範囲であり、Emaxは>25000および>40000RLUの間であった(
図6B)。
【0206】
実施例8:ヒト化抗CCR8抗体はCCR8発現細胞に強く結合する
【0207】
精製抗体(ADCC増強フォーマットで産生された)を1×10
5個のhCCR8-CHOK1安定細胞または親CHOK1細胞(MACS緩衝液中50nMからの範囲、3倍希釈)と共に4℃で30分間インキュベートした。洗浄した後、二次抗ヒトAF647抗体をMACS緩衝液中12nMで30分間インキュベートした。洗浄した後、細胞ペレットを50μLのMACS緩衝液に再懸濁し、Forecytソフトウェア(Intellicyt社、ミシガン州アナーバー)を使用してiQueサイトメータ(Sartorious社、ドイツ国ゲッティンゲン)でサイトメトリーによってサンプルを分析した。ゲーティングされた単一細胞間のAF647チャネルの蛍光の平均を
図7に示す。
【0208】
滴定曲線は、ヒト化抗CCR8抗体候補がすべて、アイソタイプ抗体のバックグラウンドなしで、ヒト化バリアントHz25、Hz28、Hz29、Hz35、Hz37およびHz4について、それぞれ0.40、0.30、0.37、0.21、0.58および0.10nMの非常に低いEC
50でCCR8発現細胞に結合することができることを示した(
図7Aおよび7B)。
【0209】
ヒト化抗体配列を下記に提供する:
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
【0214】
実施例9:ヒト化抗CCR8抗体はCCR8へのCCL1結合をブロックした
【0215】
1×10
5個の安定なCHOK1.hCCR8細胞(Perkin Elmer社)を、ある範囲のヒト化抗CCR8抗体(ADCC増強フォーマットで産生)またはアイソタイプ抗体(33nMからの濃度範囲、3倍希釈)と4℃で30分間インキュベートした。300gで3分間遠心分離した後、細胞をAF647で標識した30nMのヒトCCL1リガンド(50μL)(Almac社)で再懸濁し、4℃で45分間インキュベートした。2回洗浄した後、細胞を、Forecytソフトウェア(Intellicyt社、ミシガン州アナーバー)を使用してiQueサイトメータ(Sartorious社、ドイツ国ゲッティンゲン)を使用するフローサイトメトリーによって分析した。%ブロッキングは、実施例5に記載したように計算し、
図8に示した。
【0216】
ADCC増強フォーマットのヒト化抗CCR8抗体は、CCR8発現細胞へのヒトCCL1結合を、HFB11-10Hz4、HFB11-10Hz25、HFB11-10Hz28、HFB11-10Hz29、HFB11-10Hz35およびHFB11-10Hz37抗体について、それぞれ0.09、1.09、0.39、0.68、0.49および0.81nMの強力なIC
50でブロックすることができた(
図8)。
【0217】
実施例10:ヒト化HFB11-10Hz37抗CCR8抗体は、ADCCレポーターアッセイでCD16FおよびVアロタイプに関与した
【0218】
安定なhCCR8-CHOK1細胞(Perkin Elmer社)を標的細胞として使用し、CD16(FFまたはVV表現型)を発現する操作された安定なJurkat細胞およびADCCレポーターバイオアッセイキットからのレポーターNFAT遺伝子と3:1のE/T比(Promega社)で共培養した。一連のHFB11-10Hz37抗体も30nMから培養物に添加した(3倍連続希釈)。37℃および5%CO
2での6時間のインキュベーションの後、BioGloルシフェラーゼ基質を供給元の推奨に従って添加し、Tecanプレートリーダーを使用して5分間のインキュベーションの後に発光シグナルを読み取った。生物発光シグナルは、グラフ中のRLUとしてのレポーターである(
図9)。
【0219】
ヒト化抗hCCR8抗体は、標的細胞死滅を媒介するADCCレポーターアッセイにおいてCD16FおよびVアロタイプの両方に関与することができた。予想されたように、高親和性Fcγ受容体(VVアロタイプ)でのより高い効力が0.014nMのEC
50で観察され、低親和性Fcγ受容体(FFアロタイプ)では0.080nMに増加した(
図9)。
【0220】
実施例11:CCR8の低コピーを発現する細胞上のヒト化抗CCR8抗体媒介性ADCC
【0221】
NK細胞を、健康なヒトPBMCからNK細胞単離キット(Miltenyi社)を使用して単離した。24ウェルプレート中のウェルあたり200万個のNK細胞を、IL2 RPMI培地中、37℃、5%CO2で約30時間活性化した。
【0222】
低コピー数のCCR8を発現する細胞(安定にトランスフェクトされたM300.19マウスプレB細胞)をCelltrace(商標)FarRed(Invitrogen社;マサチューセッツ州ウォルサム)で標識した後、U底96ウェルプレート中37℃で16時間、NK細胞(E/T比2:1)および一連のHFB11-10抗体濃度(ADCC増強フォーマットでヒト化および非ヒト化)と共培養した。死細胞をNucgreenで標識した後、cytoflexサイトメータ(Beckman Coulter社)を使用して蛍光を読み取った。死標的細胞のパーセンテージを二重陽性細胞として評価し、特異的標的細胞溶解のパーセンテージを(%抗体ありの標的死細胞-%抗体なしの標的死細胞)×100/(100-%抗体なしの標的死細胞)として評価した。自然細胞死を、抗体なしのNK細胞と共培養した状態で評価した。
【0223】
図10は、ヒト化抗CCR8抗体によって媒介される特異的ADCC NK死滅を示す。ヒト化バリアントおよび親抗体(ADCC増強フォーマット)は、アッセイにおいて、CCR8発現低コピー細胞のADCC NK死滅を媒介する高い効力を示した(E:T比3:1)。EC
50は低く、(Hz29、Hz35、親Abについては)0.003nM~Hz25抗体については0.007nMの範囲であった(n=3のドナーからの平均)。すべてのヒト化抗体が、初代NK細胞を使用するADCCアッセイにおいて非常に強力な活性を示した。
【0224】
実施例12:ヒト化抗CCR8抗体HFB101110のインビトロ特性評価
【0225】
HFB11-10に関連する脱フコシル化ヒト化抗CCR8抗体HFB101110をさらに研究した。以下の実施例では、抗CCR8抗体HFB101110およびHFB11-10を代替的に使用することができる。
【0226】
図11A~11Gに示すように、抗CCR8 mAb HFB101110をさらに詳細に評価した。抗体は、フローサイトメトリーによって測定した場合、高コピー(CHOK1-hCCR8、約30,000個の受容体/細胞、左)および低コピー(M300.19-hCCR8、約2,000個の受容体/細胞、右)細胞の両方でCCR8に強く結合し、EC
50はそれぞれ0.23nMおよび0.26nMであることが確認された(
図11A)。正常なグリコシル化およびADCC活性を増強するためのFc領域におけるDE変異を有するhIgG1抗体としてフォーマットされたHFB101110に対する親抗体(HFB101110-hIgG1-DE)を、脱フコシル化HFB101110の陽性対照として使用した。HFB101110は、高コピーおよび低コピーhCCR8発現細胞の両方に、同様のサブnM EC50値で結合することができた。
【0227】
抗CCR8 mAb HFB101110は、M300.19-hCCR8細胞に対してADCC活性を誘導した。PBMCから単離された外因性初代NK細胞をエフェクター:標的比3:1で添加し、16時間の共培養後にNucGreen染色を使用してフローサイトメトリーによって死細胞を定量化した。3つの異なるドナーからのNK細胞を使用した実験の平均値を示す。HFB101110-hIgG1-DEおよび別の抗hCCR8 DEフォーマットhIgG1抗体を比較対象として使用した(
図11B)。
【0228】
関連するケモカイン受容体CCR4へのHFB101110の結合をフローサイトメトリーによって評価し、抗CCR4抗体モガムリズマブを陽性対照として使用した。HFB101110はhCCR4への結合を示さず、この抗体によるhCCR8の特異的認識を示した(
図11C)。
【0229】
HFB101110によって認識されたCCR8の領域を同定するためのドメインスワップ実験を行った。hCCR8の一部を関連するケモカイン受容体CCR4の相同ドメインで置き換え、結果生じるキメラタンパク質を293個の細胞で発現させ、HFB101110の結合をフローサイトメトリーによって評価した(
図11D)。これらの実験に基づいて、HFB101110がhCCR8のN末端細胞外ドメインを認識することが決定された。
【0230】
図11Eに示すように、HFB101110によるhCCR8へのhCCL1結合の遮断をフローサイトメトリーによって測定した。組換えhCCL1によって誘導されたCCR8+細胞の走化性のHFB101110媒介性遮断をトランスウエル遊走アッセイによって測定した。CCL1は、存在する抗体の量を変化させながら、30nMの濃度で存在した。HFB101110-hIgG1-DEならびに別のヒト化バリアントを比較対象として使用した(
図11F)。
【0231】
図11Gに示すように、hCCL1のCCR8+細胞への添加によって誘導されたカルシウムフラックスのHFB101110媒介性遮断を評価した。CCR8+細胞に、矢印で示す時間に、10ug/mLのHFB101110の存在下または非存在下で、10nMのhCCL1を添加した。
【0232】
実施例13:ヒト化抗CCR8抗体は抗体依存性細胞食作用(ADCP)活性を実証した
【0233】
初代マクロファージを、CD14+ビーズ単離(Miltenyi社)後にヒトPBMCから単離した。2M細胞/ウェルを、無血清RPMI 1640培地を含む6ウェルプレートに37℃、5%CO2で1時間播種した。次いで、培地を活性化培地(RPMI 1640、10% FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、50ng/mL M-CSF)で置き換え、1週間にわたって2日ごとにリフレッシュした。IL13を活性化の最後の2日間活性化培地に添加した。標的細胞(安定なhCCCR8.M300.19細胞)をCelltrace(商標)violet(Invitrogen社)(37℃、5%CO2で20分間のインキュベーション)で標識した。完全培地で洗浄した後、CCR8細胞を37℃、5%CO2で15分間、ヒト化抗CCR8抗体と飽和濃度(100nM)でインキュベートし、次いで活性化マクロファージと4時間共培養した。マクロファージを抗CD11b-APC抗体(Biolegend社)で染色した後、Cytoflexサイトメータ(Beckman Coulter社)を使用したフローサイトメトリーによって分析した。FlowJoソフトウェアを使用して、貪食細胞を二重陽性細胞として同定した。
【0234】
図12に示すように、細胞の約15%が、4時間のインキュベーション後にマクロファージによって貪食されたか、または貪食のプロセスにあった(
図12)。ヒト化抗CCR8抗体HFB11-10Hz37は、初代マクロファージ細胞を使用するADCP機構を通じてCCR8+細胞食作用を特異的に媒介した。
【0235】
実施例14:hCCR8-KIマウスにおけるMC38細胞に対するヒト化抗CCR8抗体媒介性抗腫瘍活性
【0236】
マウスおよび腫瘍細胞株:
【0237】
雌の8週齢C57BL/6マウスをBiocytogen Jiangsu Co.,Ltd社(中国江西省)から購入した。MC38マウス結腸癌腫細胞株をインビボ腫瘍有効性研究に使用した(Biocytogen Jiangsu Co.,Ltd社)。MC38細胞株を貯蔵前に2回継代し、解凍し、記載されたすべての腫瘍実験のために移植前に2回継代した。細胞はマイコプラズマを含まないと判定された。
【0238】
研究は、Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care(AAALAC)のガイドラインに従って、Biocytogen社のInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によってレビューおよび承認されたプロトコルに従って行った。
【0239】
hCCR8 KI C57BL/6マウス(8週齢、15~21グラム)の右前側腹部に、PBS0.1mL中MC38腫瘍細胞(5×10
5個)を皮下注射した。腫瘍移植の1週間後、10mg/kgのヒト化HFB11-10またはアイソタイプ抗体を3週間にわたって隔週で腹腔内注射した(n=8/群)。腫瘍体積(mm
3)および体重を週に2回測定した(hCCR8ノックインマウスにおけるインビボ有効性研究の概略図を示す
図13Aを参照されたい)。この研究のために、マウスFc受容体との関与を促進するために、mIgG2a抗体としてフォーマットされたHFB101110の非脱フコシル化バージョンを使用した。
【0240】
図13B~13Dは、hCCR8-KIマウスにおける結腸直腸癌由来のMC38細胞を使用したヒト化抗CCR8抗体(
図13C~13D)またはアイソタイプmIgG2a(
図13B~13D)の投与による抗腫瘍活性の評価を示す。処置開始後9日目から開始して、腫瘍成長は、アイソタイプ対照と比較して、抗ヒトCCR8処置群で有意に減少した(p<0.01、**)。さらに、8匹中3匹のマウスにおいて、腫瘍移植後11日目から腫瘍退縮が観察された。まとめると、これらの結果は、抗CCR8抗体が腫瘍成長を有意に減少させたことを実証した。
【0241】
実施例15:ヒト化抗CCR8抗体療法は腫瘍微小環境を再プログラムした
【0242】
作用機序をより明確にするために、抗CCR8抗体療法によって誘発されるMC38腫瘍微小環境(TME)の変化を調べた。
図5に示すように。14A~14F、抗CCR8抗体処置は、処置マウスにおける腫瘍浸潤リンパ球(TIL)組成を変化させた。
【0243】
抗CCR8抗体投与は、腫瘍浸潤CD8+のパーセンテージを有意に増加させることが観察された(*、p値=0.0262、
図14C)。さらに、CD8/Treg比の有意な増加が観察され(*、p値=0.0240、
図14D)、抗腫瘍免疫に有利な免疫バランスの傾きがさらに示唆された。処置はまた、TME中のNK細胞およびCD4+エフェクターT細胞のパーセンテージをわずかに増加させた(
図14Eおよび14B)。
【0244】
さらに、抗CCR8抗体処置は、最終エンドポイントでFoxp 3+CD4+を有意に減少させなかったが(
図14A)、抗CCR8抗体処置はCCR8+Treg集団を有意に減少させ(
図14F)、この薬剤の標的特異的効果を実証した。アイソタイプ群と比較して観察された58%のCCR8+Tregの減少は、FACパネルで使用されたヒト化抗体による標的占有率が同じエピトープについて競合していることを反映していた。
【0245】
実施例16:腎細胞癌(RCC)患者および肺癌患者からのヒト原発腫瘍からのT細胞集団におけるCCR8発現
【0246】
新鮮な腫瘍浸潤リンパ球を消化し、単一細胞懸濁液に解離させ、計数し、分析前に凍結した。簡潔には、穏やかなMACS腫瘍解離キット(Miltenyi社)を最初に使用した。腫瘍を小片に切断し、酵素ミックスとインキュベートし、穏やかなMACS(Miltenyi社)を使用して組織を消化した。次いで、サンプルを300gで5分間遠心分離し、10mLの低温培地で2回洗浄した。次いで、サンプルを30μMで濾過し、更なる分析の前に低温凍結培地(90%FBSおよび10%DMSO)に再懸濁した。1つのアリコートを解凍し、CCR8表現型決定のために抗体パネルとインキュベートした。サンプルを最初に生/死色素およびFcBlockで染色した。次いで、抗CD45、抗CD3、抗CD4、抗CD8、抗CD56、抗TIGIT抗体(Biolegend社)および抗CCR8(BD)による細胞外染色を行った。最後に、サンプルを透過処理し、細胞内染色のためにFoxP3で染色した。サンプルを、FLOWJoソフトウェアを使用してフローサイトメトリーによって分析した。
【0247】
CCR8発現は、55~95%の腎細胞癌腫患者(n=13)のTregで観察され、平均は72.8±12.8%(
図15A)であった。逆に、FoxP3-CD4+Tエフェクター細胞上のCCR8発現は20%未満(平均7.9±5.6%)であり、CD8+T細胞については0に近かった(1.2±0.8%の平均、
図14A)。
図15Bに示すヒストグラムでは、ドナー#726についてサイトメトリデータが報告され、Tregの96%が減少した。CCR8は、RCC腫瘍内の他のT細胞集団に影響を及ぼすことなく、Tregの枯渇のための目的の標的であることが確認された。
【0248】
実施例17:健康および悪性PBMCにおける循環からのT細胞集団におけるCCR8発現。
【0249】
CCR8表現型決定を実施例15に記載されるように行った。簡潔には、健康(n=4)または悪性(n=5)ドナーからのPBMCを新鮮な血液から単離した。1/3体積のFicollを血液サンプルに添加し、続いて室温で30分間2000rpmで遠心分離した。免疫細胞を含有するホワイトリングを収集し、FACS分析の前に室温で10分間1250rpmで遠心分離することによってPBSで2回洗浄した。T細胞集団中のCCR8+のパーセンテージを
図16に示す。
【0250】
健康または悪性患者の循環で観察されたCCR8発現は、すべてのT細胞集団で非常に低かった(<4%)(
図16)。TregまたはTeffとCD8+T細胞との間に差はない。この分析により、腫瘍部位に限定された標的の特異性が確認され、循環中の副作用は予想されず、毒性および自己免疫のリスクは制限される。
【0251】
実施例18:RCC患者からの初代ヒト腫瘍浸潤リンパ球(TILS)に及ぼすヒト化抗CCR8抗体媒介性ADCC NK死滅活性
【0252】
図17Aは、HFB101110によって媒介される原発腫瘍浸潤リンパ球のエクスビボ死滅のために行われたサンプル収集およびADCCアッセイの概略図を示す。RCC患者(n=13)からの腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の単一細胞懸濁液を解凍し、countess IIデバイスでAO/PI蛍光を使用して生存率を評価した。TILを、ADCC NK死滅アッセイのために100μL/ウェルの96ウェルU底プレートに分割した。50μLの抗体をTILに添加した後、20:1のE/T比で同種異系初代NK細胞を添加した。
【0253】
健康なドナーからのNK細胞を、Miltenyi NK単離および増殖キットを使用して事前に増殖させた。アリコートを解凍し、TIL調製まで107個の細胞/mLでTIL培地中37℃で保存した。実験に必要なNK細胞の量は、表現型決定実験中に事前に評価された標的細胞(Treg)の数に基づいて計算した。最終体積を200mLに調整した後、37℃、5%CO2で24時間共培養した。実施例15に記載されているように、免疫細胞集団を同定するためにFACS染色を行った。FlowJoソフトウェアを使用したフローサイトメトリーによってサンプルを分析した:B細胞をAlive+/CD45+/CD19+としてゲーティングした;CD8+細胞をAlive+/CD45+/CD3+/CD8+としてゲーティングした;Teff細胞をAlive+/CD45+/CD3+/CD4+/FoxP3-としてゲーティングし、TregをAlive+/CD45+/CD3+/CD4+/FoxP3+/TIGIT+としてゲーティングした。統計分析を、一元配置ANOVA検定(****p<0.0001、***p<0.001、**p<0.01、*p<0.05)を使用して行った。
【0254】
アイソタイプ群(50%~90%、平均71.3±13%、p値<0.0001)と比較して、強いTreg減少(CD3+に対する%として)が観察された(
図17 B)。この集団は、
図17Cの1名の代表的な患者のドットプロットでは消失した。
図17Bに示すように、他の細胞集団では減少が観察されなかったことから、この枯渇はFoxP3+CD4+T細胞(Treg)に特異的であった。逆に、CD8+細胞の有意な増加が観察され(CD3+細胞に対するCD8+)、平均+9.8±9%、**p=0.0067であった。さらに、B細胞集団は、+16.7±19.6%での処置群において有意に増加した(p<0.0317)。抗CCR8抗体は、エクスビボでの特異的Treg枯渇によってTMEを調節し、RCC患者からのTILにおいてCD8+T細胞およびB細胞を増加させることによって抗腫瘍免疫を回復させることができた。
【0255】
図17Dにさらに示されるように、20:1のエフェクター:標的比での初代腫瘍浸潤リンパ球(TIL)と初代NK細胞との一晩の共培養後のTregの枯渇を用量応答実験において評価した。残りの細胞をフローサイトメトリーによって定量化した。添加された外因性NK細胞の量の関数としてのADCCアッセイにおけるTregの枯渇も評価した(
図17E)。プロファイリングされた9つのサンプルのうちの2つは、外因性NK細胞の非存在下でさえ実質的なTreg枯渇を示し、腫瘍サンプル中に存在する内因性NK細胞がADCCを媒介することができることを示唆した。
【0256】
実施例19:安全性および薬物動態評価
【0257】
HFB101110の薬物動態および安全性研究をカニクイザルで行った(単回投与PK研究の概略については
図18Aを参照されたい)。
【0258】
カニクイザルにおけるHFB101110の血清PKプロファイルは、15日後に抗薬物抗体が検出されなかったこと(
図18Bを参照されたい)、および可溶性抗体フォーマットを使用したヒトPBMCからのインビトロサイトカイン放出研究では有意なサイトカイン放出が観察されなかったこと(
図18Cを参照されたい)を明らかにした。
【0259】
参考文献
【0260】
Villarreal,D.O.,L’Huillier,A.,Armington,S.,Mottershead,C.,Filippova,E.V.,Coder,B.D.,Petit,R.G.&Princiotta,M.F.(2018)Targeting CCR8 induces protective antitumor immunity and enhances vaccine-induced responses in colon cancer,Cancer Res.78,5340-5348。
【0261】
Van Damme,H.,Dombrecht,B.,Kiss,M.,Roose,H.,Allen,E.,Van Overmeire,E.,Kancheva,D.,Martens,L.,Murgaski,A.,Bardet,P.M.R.,Blancke,G.,Jans,M.,Bolli,E.,Martins,M.S.,Elkrim,Y.,Dooley,J.,Boon,L.,Schwarze,J.K.,Tacke,F.,Movahedi,K.,Vandamme,N.,Neyns,B.,Ocak,S.,Scheyltjens,I.,Vereecke,L.,Nana,F.A.,Merchiers,P.,Laoui,D.&Van Ginderachter,J.A.(2021)Therapeutic depletion of CCR8(+)tumor-infiltrating regulatory T cells elicits antitumor immunity and synergizes with anti-PD-1 therapy,J Immunother Cancer.9,e001749。
【0262】
Campbell,J.R.,McDonald,B.R.,Mesko,P.B.,Siemers,N.O.,Singh,P.B.,Selby,M.,Sproul,T.W.,Korman,A.J.,Vlach,L.M.,Houser,J.,Sambanthamoorthy,S.,Lu,K.,Hatcher,S.V.,Lohre,J.,Jain,R.&Lan,R.Y.(2021)Fc-Optimized Anti-CCR8 Antibody Depletes Regulatory T Cells in Human Tumor Models,Cancer Res.81,2983-2994。
【0263】
Whiteside,S.K.,Grant,F.M.,Gyori,D.S.,Conti,A.G.,Imianowski,C.J.,Kuo,P.,Nasrallah,R.,Sadiyah,F.,Lira,S.A.,Tacke,F.,Eil,R.L.,Burton,O.T.,Dooley,J.,Liston,A.,Okkenhaug,K.,Yang,J.&Roychoudhuri,R.(2021)CCR8 marks highly suppressive Treg cells within tumours but is dispensable for their accumulation and suppressive function,Immunology.163,512-520。
【0264】
Bhatt,D.,Kang,B.,Sawant,D.,Zheng,L.,Perez,K.,Huang,Z.,Sekirov,L.,Wolak,D.,Huang,J.Y.,Liu,X.,DeVoss,J.,Manzanillo,P.S.,Pierce,N.,Zhang,Z.,Symons,A.&Ouyang,W.(2021)STARTRAC analyses of scRNAseq data from tumor models reveal T cell dynamics and therapeutic targets,J Exp Med.218.e20201329。
【0265】
当業者であれば、その広範な発明概念から逸脱することなく、上記の実施形態に変更を加えることができることを理解するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、本明細書によって定義される本発明の精神および範囲内の修正を包含することが意図されていることが理解される。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
(1)それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6;
(
2)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
(
3)それぞれ、配列番号13、2、14、4、28、および6;
(
4)それぞれ、配列番号13、2、15、4、5、および6;
(
5)それぞれ、配列番号16、17、18、29、30、および6;
(
6)それぞれ、配列番号19、20、21、4、5、および6;
(
7)それぞれ、配列番号22、23、24、31、5、および32
;
(8)それぞれ、配列番号25、26、27、33、34、および35;
(9)それぞれ、配列番号1、2、49、4、5、および6;または
(10)それぞれ、配列番号1、2、49、50、51、および6;
のポリペプチド配列を有する、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体8(CCR8)、好ましくはヒトCCR8に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6のポリペプチド配列を有する、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む、請求項2に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、配列番号9と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域とを含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
配列番号7、
9、36、38、40、42、44
、46
、52、53、54、55、56、57、58、59、もしくは60と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または配列番号8、
10、37、39、41、43、45
、47
、61、62、もしくは63と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
(1)配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(2)配列番号36のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号37のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(3)配列番号38のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号39のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(4)配列番号40のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号41のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(5)配列番号42のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号43のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(6)配列番号44のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号45のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
;
(7)配列番号46のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号47のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
;
(8)配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(9)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(10)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(11)配列番号53のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(12)配列番号54のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;または
(13)配列番号59のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
を含む、請求項1または
5に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、抗体依存性細胞傷害(ADCC);抗体依存性細胞食作用(ADCP)を通じてエフェクター媒介性腫瘍細胞溶解を誘導し;かつ/またはコンジュゲートされた薬物の動員を誘導し;かつ/または癌を死滅させる効果を有する別のmAbまたはその抗原結合フラグメントと二重特異性抗体を形成することができる、請求項1~
6のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントがカニクイザルCCR8に特異的に結合する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
請求項1~
8のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸。
【請求項11】
請求項
9に記載の二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸。
【請求項12】
請求項
10または
11に記載の単離された核酸を含むベクター。
【請求項13】
請求項
12に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項14】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは請求項
9に記載の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントと、薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物。
【請求項15】
癌細胞表面上のCCR8の標的化し、および/または癌の処置を必要とする対象において、癌を処置する
ための、請求項
14に記載の医薬組成
物。
【請求項16】
前記癌が、例えば、固形腫瘍、好ましくは浸潤性T細胞を有する固形腫瘍、より好ましくは浸潤性Treg細胞を有する固形腫瘍、より好ましくはCCR8を発現する非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍、最も好ましくはナチュラルキラー(NK)細胞浸潤が生じたCCR8を過剰発現する浸潤性の非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍である、請求項
15に記載の
医薬組成物。
【請求項17】
前記癌が、肺癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、腎臓癌、および黒色腫からなる群から選択される、請求項
15または
16に記載の
医薬組成物。
【請求項18】
前記対象がCCR8発現Treg細胞を含む、請求項
15から
17のいずれか1項に記載の
医薬組成物。
【請求項19】
請求項1~
8のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは請求項
9に記載の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを産生する方法であって、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを産生する条件下で培養することと、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを前記細胞または培養物から回収することと、を含む、方法。
【請求項20】
請求項1~
8のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体もしくは抗原結合フラグメントまたは請求項
9に記載の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を製造する方法であって、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを薬学的に許容され得る担体と組み合わせて医薬組成物を得ることを含む、方法。
【請求項21】
対象におけるCCR8のレベルを決定する方法であって、前記方法は、
a
.サンプルを請求項1~
8のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させること
であって、前記サンプルが前記対象から得られることと、
b.前記対象におけるCCR8のレベルを決定することと
を含む、方法。
【請求項22】
前記サンプルが組織サンプルまたは血液サンプルであり、任意選択的に前記組織サンプルが癌組織サンプルである、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
前記サンプルがTreg細胞を含む、請求項
21または22に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0265
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0265】
当業者であれば、その広範な発明概念から逸脱することなく、上記の実施形態に変更を加えることができることを理解するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、本明細書によって定義される本発明の精神および範囲内の修正を包含することが意図されていることが理解される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
(1)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;
(2)それぞれ、配列番号13、2、14、4、28、および6;
(3)それぞれ、配列番号13、2、15、4、5、および6;
(4)それぞれ、配列番号16、17、18、29、30、および6;
(5)それぞれ、配列番号19、20、21、4、5、および6;
(6)それぞれ、配列番号22、23、24、31、5、および32;または
(7)それぞれ、配列番号25、26、27、33、34、および35;
のポリペプチド配列を有する、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含み、
前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、ケモカイン(C-Cモチーフ)受容体8(CCR8)、好ましくはヒトCCR8に特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目2)
配列番号7、36、38、40、42、44、もしくは46と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または配列番号8、37、39、41、43、45、もしくは47と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、項目1に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目3)
(1)配列番号7のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(2)配列番号36のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号37のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(3)配列番号38のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号39のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(4)配列番号40のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号41のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(5)配列番号42のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号43のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(6)配列番号44のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号45のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;または
(7)配列番号46のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号47のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
を含む、項目1または2に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目4)
前記抗体またはその抗原結合フラグメントがキメラ、および/またはヒトであるかもしくはヒト化されている、項目1~3のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目5)
前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、
(1)それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6;
(2)それぞれ、配列番号1、2、49、4、5、および6;
(3)それぞれ、配列番号1、2、49、50、51、および6;
(4)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6;または
(5)それぞれ、配列番号1、48、49、50、51、および6
のポリペプチド配列を有する、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、およびLCDR3を含む、項目4に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目6)
前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号9、52、53、54、55、56、57、58、59、もしくは60と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、または配列番号10、61、62、もしくは63と少なくとも95%同一のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域を含む、項目5に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目7)
前記単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが、
(1)配列番号9のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(2)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(3)配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(4)配列番号53のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;
(5)配列番号54のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号63のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と;または
(6)配列番号59のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域と、配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域と
を含む、項目6に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目8)
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、抗体依存性細胞傷害(ADCC);抗体依存性細胞食作用(ADCP)を通じてエフェクター媒介性腫瘍細胞溶解を誘導し;かつ/またはコンジュゲートされた薬物の動員を誘導し;かつ/または癌を死滅させる効果を有する別のmAbまたはその抗原結合フラグメントと二重特異性抗体を形成することができる、項目1~7のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目9)
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントがカニクイザルCCR8に特異的に結合する、項目1~8のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目10)
項目1~9のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目11)
項目1~9のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸。
(項目12)
項目10に記載の二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸。
(項目13)
項目11または12に記載の単離された核酸を含むベクター。
(項目14)
項目13に記載のベクターを含む宿主細胞。
(項目15)
項目1~9のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは項目10に記載の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントと、薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物。
(項目16)
癌細胞表面上のCCR8の標的化し、および/または癌の処置を必要とする対象において、癌を処置する方法であって、項目15に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目17)
前記癌が、例えば、固形腫瘍、好ましくは浸潤性T細胞を有する固形腫瘍、より好ましくは浸潤性Treg細胞を有する固形腫瘍、より好ましくはCCR8を発現する非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍、最も好ましくはナチュラルキラー(NK)細胞浸潤が生じたCCR8を過剰発現する浸潤性の非常に抑制性のTreg細胞を有する固形腫瘍である、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記癌が、肺癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、腎臓癌、および黒色腫からなる群から選択される、項目16または17に記載の方法。
(項目19)
前記対象がCCR8発現Treg細胞を含む、項目16から18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
項目1~9のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは項目10に記載の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを産生する方法であって、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含む細胞を、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを産生する条件下で培養することと、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを前記細胞または培養物から回収することと、を含む、方法。
(項目21)
項目1~9のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体もしくは抗原結合フラグメントまたは項目10に記載の二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を製造する方法であって、前記モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは二重特異性抗体もしくはその抗原結合フラグメントを薬学的に許容され得る担体と組み合わせて医薬組成物を得ることを含む、方法。
(項目22)
対象におけるCCR8のレベルを決定する方法であって、前記方法は、
a.前記対象からサンプルを得ることと、
b.前記サンプルを項目1~9のいずれか1項に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させることと、
c.前記対象におけるCCR8のレベルを決定することと
を含む、方法。
(項目23)
前記サンプルが組織サンプルまたは血液サンプルであり、任意選択的に前記組織サンプルが癌組織サンプルである、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記サンプルがTreg細胞を含む、項目22に記載の方法。
【国際調査報告】