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特表2024-531410フレキソ印刷要素の熱処理のための方法及びシステム
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  • 特表-フレキソ印刷要素の熱処理のための方法及びシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】フレキソ印刷要素の熱処理のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/40 20060101AFI20240822BHJP
   G03F 7/00 20060101ALI20240822BHJP
   B41C 1/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G03F7/40 521
G03F7/00 502
B41C1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510438
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 US2022075484
(87)【国際公開番号】W WO2023034717
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】17/462,184
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506314391
【氏名又は名称】マクダーミッド グラフィックス ソリューションズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスト、ライアン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】マークハート、ゲイリー ティー.
【テーマコード(参考)】
2H084
2H196
【Fターム(参考)】
2H084AA11
2H084BB04
2H084CC01
2H196AA02
2H196BA05
2H196BA06
2H196EA02
2H196GA43
2H196JA04
2H196LA40
(57)【要約】
本開示は、フレキソ印刷要素の熱処理中に吸収性ブロッティング材料によって収集された非反応性フォトポリマーを硬化させるように構成されたシステム及び方法に関する。フォトポリマーの未硬化未反応部分は、フォトポリマーの1つ以上の層を吸収性ブロッティング材料のウェブと高温で接触させて、フォトポリマーの1つ以上の層の未硬化未反応部分を軟化又は液化し、軟化又は液化した未硬化未反応部分を吸収性ブロッティング材料の吸収性ウェブに吸収させることによって除去される。吸収された軟化又は液化されたフォトポリマーの未反応部分を含む吸収性ブロッタ材料のウェブは、1つ以上のUV光源からの化学線に曝露されて、フォトポリマーの軟化又は液化された未反応部分を架橋及び硬化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱現像アセンブリにおけるフレキソ印刷要素の熱処理中に、吸収性ブロッタ材料のウェブに吸収された未反応フォトポリマーを硬化させる方法であって、前記熱現像アセンブリが、画像形成され曝露されたフレキソ印刷要素を受け取り、前記画像形成され曝露されたフレキソ印刷要素が、1つ以上のフォトポリマー層を含み、前記1つ以上のフォトポリマー層が、硬化レリーフ画像を形成するフォトポリマーの架橋硬化部分と、前記硬化レリーフ画像を露出させるために熱処理中に除去されるフォトポリマーの未硬化未反応部分とを含み、
前記フォトポリマーの未硬化未反応部分が、前記フォトポリマーの前記1つ以上の層を吸収性ブロッティング材料の前記ウェブと高温で接触させて、前記フォトポリマーの前記1つ以上の層の前記未硬化未反応部分を軟化又は液化し、前記軟化又は液化された前記未硬化未反応部分を吸収性ブロッティング材料の前記吸収性ウェブに吸収させることによって除去され、
前記方法が、
a)前記フォトポリマーの前記吸収された軟化又は液化された未反応部分を含む前記吸収性ブロッタ材料の幅からある距離で前記熱プロセッサ内に1つ以上のUV光源を配置するステップであって、前記フォトポリマーの前記吸収された軟化又は液化された未反応部分を含むブロッタ材料の前記吸収性ウェブが前記1つ以上のUV光源に対して移動する、ステップと、
b)前記吸収性ブロッタ材料の前記ウェブを前記1つ以上のUV光源からの化学線に曝露して、ブロッタ材料の前記吸収性ウェブが前記1つ以上のUV光源に対して移動する際に、前記フォトポリマーの前記軟化又は液化された未反応部分を架橋及び硬化させるステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記架橋及び硬化された未反応部分を含む吸収性ブロッタ材料の前記ウェブを巻戻しローラ上に巻き取るステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のUV光源が、1つ以上のUV-LED、1つ以上の蛍光UV曝露管、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のUV光源が、吸収性ブロッタ材料の前記ウェブの前記幅にわたって互いからほぼ等距離に配置された複数のUV光源を含み、吸収性ブロッタ材料の前記ウェブの前記幅が、前記1つ以上のUV光源からの化学線に均一に曝露される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のUV光源が、365~405nmの範囲内の波長で動作する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のUV光源が複数のUV-LEDを含み、前記1つ以上のUV-LEDのそれぞれの強度が少なくとも10mW/cmである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のUV-LEDの各々の強度が少なくとも13mW/cmである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のUV光源が吸収性ブロッタ材料の前記ウェブの表面から約0.5インチの距離に配置されるとき、前記1つ以上のUV光源のそれぞれの強度が13~15mW/cmである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のUV光源が1つ以上の蛍光UV曝露管を含み、前記1つ以上の蛍光UV曝露管のそれぞれの強度が少なくとも20mW/cmである、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のUV光源が、1つ以上の蛍光UV曝露管を含み、前記1つ以上の蛍光UV曝露管のそれぞれの強度が、少なくとも30mW/cmである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のUV光源の線量(光源の強度×曝露の滞留時間として定義される)が、少なくとも130mJ/cmである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のUV光源の線量が、少なくとも150mJ/cmである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のUV光源の線量が、少なくとも160mJ/cmである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上のUV光源の前又は後のいずれかに配置可能な1つ以上のヒータを更に備え、前記1つ以上のヒータが、吸収性ブロッタ材料の前記ウェブ内の前記未硬化未反応フォトポリマーを硬化させるのを助ける、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
光源の強度と曝露の滞留時間との積として定義される前記1つ以上のUV光源の線量が、より低い強度のUV光源、より少ないUV光源、又は減少した曝露の滞留時間を使用することによって減少される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、フレキソ印刷要素の熱処理中に吸収性ブロッティング材料によって収集された非反応性フォトポリマーを硬化させるように構成されたシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷は、一般的に大量操業のために使用される印刷方法である。フレキソ印刷は、紙、板紙ストック、段ボール、フィルム、フォイル、及びラミネートなどの様々な基材に印刷するために採用される。フレキソ印刷要素は、開口領域より上に隆起した画像要素を有するレリーフ版である。かかる版は、版の耐久性及び版を容易に作製することができることに主に基づいて、プリンタにいくつかの利点を提供する。
【0003】
典型的なフレキソ印刷要素は、順に、バッキング又は支持層、1つ以上の未曝露光硬化性層、保護層又はスリップフィルム、及びカバーシートから作製される多層物品である。光硬化性印刷要素は、連続的な(継ぎ目のない)スリーブの形態であり得るか、又は担体上に装着された平坦な平面版であり得る。フレキソ印刷要素中のレリーフ画像は、1つ以上の未曝露光硬化性層を画像形成及び曝露することによって生成される。これは、概して、1つ以上の光硬化性材料を化学線に選択的に曝露することによって達成され、この曝露は、照射領域内の1つ以上の光硬化性材料を硬化又は架橋させるように作用する。
【0004】
1つ以上の光硬化性層は、一般に1つ以上のバインダ、1つ以上の反応性モノマー、1つ以上の光開始剤、及び他の性能添加剤を含む光重合性材料から形成される。光重合性組成物として、米国特許出願公開第2004/0146806号に記載されているものが挙げられ、その教示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。様々な光重合性組成物としては、バインダとして使用されることができる、ポリスチレン-イソプレン-スチレン、ポリスチレン-ブタジエン-スチレン、ポリウレタン及び/又はチオレンに基づくものなどが挙げられる。好ましいバインダとして、例えばポリスチレン-イソプレン-スチレン、及びポリスチレン-ブタジエン-スチレン、特にこれらのブロックコポリマーが挙げられる。
【0005】
印刷要素は、様々な方法で化学線に選択的に曝露され得る。一代替肢では、透明領域及び実質的に不透明な領域を有する写真ネガを使用して、印刷版要素への化学線の透過を選択的に遮断する。別の代替肢では、フォトポリマー層は、レーザアブレーションに感受性がある化学線(実質的に)不透明層でコーティングされる。次いで、レーザを使用して、化学線不透過層の選択された領域をアブレーションし、その場でネガを作成する。この技術は、当該技術分野において周知であり、例えば、Fanによる米国特許第5,262,275号及び同第6,238,837号、並びにYangらによる米国特許第5,925,500号において記載され、これらの各々の主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。更に別の代替肢では、化学線の集束ビームを使用して、フォトポリマーを選択的に曝露する。フォトポリマーを化学線に選択的に曝露し、それによってフォトポリマーの部分を選択的に硬化させる能力を基準として、これらの方法のいずれも許容可能である。
【0006】
次に、印刷要素のフォトポリマー層を現像して、硬化部分を乱すことなく、未硬化(すなわち、非架橋)部分を除去して、レリーフ画像を曝露する。現像ステップは、水洗、溶媒洗浄、及び熱現像(又は加工)を含む様々な方法で達成することができる。
【0007】
熱処理中に、硬化フォトポリマーと未硬化フォトポリマーとの間の溶融温度差を用いて潜像を現像する。このプロセスの基本的なパラメータは、米国特許第7,122,295号、同第6,773,859号、同第5,279,697号、同第5,175,072号及び同第3,264,103号、国際公開第01/88615号、国際公開第01/18604号、及び欧州特許第1239329号に記載されているように既知であり、これらのそれぞれの主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらのプロセスは、現像溶媒及び溶媒を除去するために必要とされる長い版乾燥時間の排除を可能にする。これらのプロセスの速度及び効率は、迅速なターンアラウンドタイム及び高い生産性が重要である新聞及び他の刊行物を印刷するためのフレキソ印刷要素の製造におけるそれらの使用を可能にする。
【0008】
印刷要素が熱現像可能であるためには、フォトポリマーの組成は、硬化ポリマーと未硬化ポリマーとの間の溶融温度に実質的な差が存在するようなものでなければならない。加熱されたときにフォトポリマーに画像を作成することを可能にするのは、まさにこの差である。未硬化フォトポリマー(すなわち、化学線と接触していないフォトポリマーの部分)は、溶融及び/又は実質的に軟化するが、硬化したフォトポリマーは、選択された温度で固体及び無傷のままである。溶融温度の差によって、未硬化フォトポリマーを選択的に除去することが可能となり、それによって所望の画像を作成する。
【0009】
熱現像の間、印刷要素は、少なくとも約140℃の温度まで加熱される。正確な温度は、使用される特定のフォトポリマーの特性に依存する。しかしながら、現像温度を割り出す際には、次の2つの主要な要因を考慮すべきである。
(1)現像温度は、好ましくは、下端の未硬化フォトポリマーの溶融温度と上端の硬化フォトポリマーの溶融温度との間に設定され、フォトポリマーを選択的に除去できるようにして、画像を作成する。
(2)温度は、未硬化フォトポリマーを溶融又は実質的に軟化させ、それによってそれを除去するのに十分であるべきであり、現像温度が高いほど、プロセス時間が速くなる。しかしながら、現像温度は、硬化したフォトポリマーの溶融温度を超えるほど高くあるべきではなく、又は硬化したフォトポリマーを劣化させるほど高くあるべきではない。
【0010】
その後、未硬化フォトポリマーを軟化及び/又は溶融させて除去することができる。
【0011】
あるタイプの熱プロセッサでは、加熱された印刷要素は、軟化及び/又は溶融した未硬化フォトポリマーを吸収又は別様に除去する吸収性材料と接触させられる。この除去プロセスは、一般に「ブロッティング」と称される。
【0012】
ブロッティングプロセスが完了すると、必要に応じて、印刷版要素は、更なる化学線に後曝露され得、かつ/又は脱粘着化に供され得、冷却され、次いで使用する準備が整う。
【0013】
未硬化フォトポリマー(すなわち、非反応性版材料)は、吸収性ブロッタ材料のウェブに吸収され、次いで、その後の処分のためにローラに巻き戻される。この非反応性プレート材料は、環境に害を及ぼし、処分が困難である可能性があるので、地域の環境規制に応じて危険なものとして分類することができる。更に、未反応プレート材料を含有するウェブ又は吸収性ブロッタ材料の一般的な廃棄方法は焼却であり、これは揮発性材料を空気中に放出する可能性がある。
【0014】
それに基づいて、材料の廃棄をより容易にし、環境に対してより良好である、未反応材料を含有する吸収性ブロッタ材料のウェブを廃棄する改善された方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、熱処理中に吸収性ブロッタ材料のウェブに吸収された非反応性材料を処理する改良された方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、吸収された非反応性材料を含む吸収性ブロッタ材料の使用済みウェブを処分する改善された手段を提供することである。
【0017】
本発明の更に別の目的は、非反応性成分を反応させて、吸収性ブロッタ材料のウェブに含まれる非反応性成分を架橋する方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、環境に対してより安全な吸収性ブロッタ材料の使用済みウェブを処分する方法を提供することである。
【0019】
本発明の更に別の目的は、廃棄コストを低減する、使用済みのブロッタ材料ウェブの廃棄方法を提供することである。
【0020】
そのために、一実施形態では、本発明は、概して、熱現像アセンブリにおけるフレキソ印刷要素の熱処理中に吸収性ブロッタ材料のウェブに吸収された未反応フォトポリマーを硬化させる方法であって、熱現像アセンブリが画像形成され曝露されたフレキソ印刷要素を受け取り、画像形成され曝露されたフレキソ印刷要素が1つ以上のフォトポリマー層を含み、フォトポリマーの1つ以上の層が、硬化レリーフ画像を形成するフォトポリマーの架橋硬化部分と、硬化レリーフ画像を露出させるために熱処理中に除去されるフォトポリマーの未硬化未反応部分とを含む、方法に関する。
【0021】
フォトポリマーの未硬化未反応部分は、フォトポリマーの1つ以上の層を吸収性ブロッティング材料のウェブと高温で接触させて、フォトポリマーの1つ以上の層の未硬化未反応部分を軟化又は液化し、軟化又は液化された未硬化未反応部分を吸収性ブロッティング材料の吸収性ウェブに吸収させることによって除去され、
この方法は、
a)フォトポリマーの吸収された軟化又は液化された未反応部分を含む吸収性ブロッタ材料の幅に隣接して熱プロセッサ内に1つ以上のUV光源を配置するステップであって、フォトポリマーの吸収された軟化又は液化された未反応部分を含むブロッタ材料の吸収性ウェブが1つ以上のUV光源に対して移動する、ステップと、
b)吸収性ブロッタ材料のウェブを1つ以上のUV光源からの化学線に曝露して、ブロッタ材料の吸収性ウェブが1つ以上のUV光源に対して移動する際に、フォトポリマーの軟化又は液化された未反応部分を架橋及び硬化させるステップと、を含む。
【0022】
本開示は、熱処理中に吸収性ブロッタ材料のウェブに吸収された非反応性材料を処理及び処分する改良された方法、及び吸収された非反応性材料を含む吸収性ブロッタ材料のウェブを処分する改良された手段を提供する。
【0023】
システムは、吸収性材料のウェブの少なくとも一部に近接して配置された1つ以上のUV光源を含む。
【0024】
本明細書に開示される特徴、機能、及び/又は実施形態の任意の組み合わせ又は置換が想定される。本開示の開示されたシステム及び方法の追加の有利な特徴、機能、及び用途は、特に添付の図面と併せて読まれるときに、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
実施形態の特徴及び態様は、添付の図面を参照して以下で説明され、図面において、要素は必ずしも縮尺通りに描写されておらず、特定の図では、明確にするために部品が誇張又は除去されている場合がある。
【0026】
本開示の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して更に説明される。以下に説明され、図に例解される、様々な特性、ステップ、及び特性/ステップの組み合わせは、本開示の範囲内に依然としてある実施形態をもたらすために、異なって配列及び編成され得ることに留意されたい。
【0027】
以下、本発明は、以下の図面を参照して、記載される。
図1】本開示による、例示的な熱ベースの現像システムの断面図を概略的に描写する。
【0028】
また、すべての要素が各図でラベル付けされ得るわけではないが、同じ参照番号を有するすべての要素は、類似又は同一の部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、フレキソ印刷要素の熱処理中に吸収性ブロッティング材料によって収集された非反応性フォトポリマーを硬化させるように構成されたシステム及び方法を提供する。
【0030】
しかしながら、開示される実施形態は、様々な形態で具現化され得る本開示の単なる例解であることが理解されるべきである。したがって、例示的なアセンブリ/製造方法並びにアセンブリ及び使用の関連するプロセス/技法を参照して本明細書に開示される詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、本明細書に記載の有利なアセンブリ/システムをどのように作製及び使用するかを当業者に教示するための基礎として解釈されるべきである。
【0031】
本明細書で使用する場合、「a」、「an」、及び「the」は、文脈により別途明確に指示されない限り、単数及び複数の両方を指す。
【0032】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を意味し、具体的に列挙された値の、及びその値からの、+/-15%以下の変動、好ましくは+/-10%以下の変動、より好ましくは+/-5%以下の変動、更により好ましくは+/-1%以下の変動、なおもより好ましくは+/-0.1%以下の変動を、このような変動が本明細書に記載される本発明で実施するために適切である限りは含むことを意味する。更に、修飾語「約」が意味する値は、それ自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されたい。
【0033】
本明細書で使用するとき、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」、「前部(front)」、「後部(back)」のような空間的に相対的な用語は、別の要素又は特徴に対する1つの要素又は特徴の関係を説明するために説明しやすくするために使用される。「前部(front)」及び「後部(back)」という用語は、限定することを意図するものではなく、適切な場合に交換可能であることが意図されていることが更に理解される。
【0034】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprise(s))」及び/又は「含む(comprising)」とは、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0035】
全体を通して使用される際、吸収性材料はまた、本開示の精神/範囲から逸脱することなく、「ブロッタ」、「ブロッティング材料」、「吸収性ウェブ」又は「吸収性ブロッタ材料のウェブ」と称され得る。
【0036】
本発明は、熱処理中に吸収性ブロッタ材料のウェブに吸収された未硬化未反応フォトポリマーを曝露して架橋するためにUV光源を使用する。曝露され架橋された材料は硬化され固められ、次いでウェブ又は吸収性ブロッタ材料は、容易かつ安全な処分のために巻戻しローラ上に巻き取られる。
【0037】
一実施形態では、本発明は、概して、熱現像アセンブリにおけるフレキソ印刷要素の熱処理中に吸収性ブロッタ材料のウェブに吸収された未反応フォトポリマーを硬化させる方法であって、熱現像アセンブリが画像形成され曝露されたフレキソ印刷要素を受け取り、画像形成され曝露されたフレキソ印刷要素が1つ以上のフォトポリマー層を含み、フォトポリマーの1つ以上の層が、硬化レリーフ画像を形成するフォトポリマーの架橋硬化部分と、硬化レリーフ画像を形成するために熱処理中に除去されるフォトポリマーの未硬化未反応部分とを含む方法に関する。
フォトポリマーの未硬化未反応部分は、フォトポリマーの1つ以上の層を吸収性ブロッティング材料のウェブと高温で接触させて、フォトポリマーの1つ以上の層の未硬化未反応部分を軟化又は液化し、軟化又は液化された未硬化未反応部分を吸収性ブロッティング材料の吸収性ウェブに吸収させることによって除去され、
この方法は、
a)フォトポリマーの吸収された軟化又は液化された未反応部分を含む吸収性ブロッタ材料の幅に隣接して、かつ吸収性ブロッタ材料の幅から距離を置いて、熱プロセッサ内に1つ以上のUV光源を配置するステップであって、フォトポリマーの吸収された軟化又は液化された未反応部分を含むブロッタ材料の吸収性ウェブが、1つ以上のUV光源に対して移動する、ステップと、
b)吸収性ブロッタ材料のウェブを1つ以上のUV光源からの化学線に曝露して、ブロッタ材料の吸収性ウェブが1つ以上のUV光源に対して移動する際に、フォトポリマーの軟化又は液化された未反応部分を架橋及び硬化させるステップと、を含む。
【0038】
その後、硬化し、架橋し、硬化された未反応部分を含む吸収性ブロッタ材料のウェブを、巻戻しローラに巻き取ることができる。
【0039】
好ましいUV光源は、約365~405nmの範囲内の波長で動作する。例えば、LED、蛍光、又は別の同様の光源を含む、種々のUV光源が使用されることができる。
【0040】
一実施形態では、UV光源は365nmの波長で動作する。UV光源は、390nmなどのより高い波長で動作することができるが、曝露に時間がかかる可能性がある。
【0041】
UV光源の強度は、典型的には約11~16mW/cm、より好ましくは約13~15mW/cmの範囲内である。この強度は、光源の出力及び量が変化するにつれて、及び吸収性ブロッタ材料のウェブの表面からのUV光源の距離が変化するにつれて変化する。一実施形態では、UV光源が吸収性ブロッタ材料のウェブの表面から約0.5インチの距離に配置される場合、UV光源の強度は13~15mW/cmである。
【0042】
UV光源の重要なパラメータは線量であり、これは次のように定義される。
線量=(光源の)強度×滞留(曝露時間)。
【0043】
線量は、光の種類、曝露時間、及びフォトポリマー自体によって変化する。
【0044】
本発明の一態様では、UV光源は、1つ以上のUV-LED、好ましくは、ブロッタ材料の幅にわたって配置された複数のUV-LEDを含む。一実施形態では、複数のUV-LEDは、ブロッタ材料の幅にわたって一列に、互いから少なくともほぼ等距離に配置される。一実施形態では、UV-LEDの追加の列が、硬化又は線量を増加させるために使用される。より高い強度のUV-LEDの使用はまた、同じ線量を得るためにより少ない時間しか必要としない。
【0045】
吸収性ブロッタ材料のウェブは、吸収性ブロッタ材料のウェブに含まれる未硬化未反応材料のすべてが架橋され硬化されるように、UV光源からの化学線に均一に曝露されることが望ましい。一実施形態では、UV-LEDは、光(すなわち、UV放射)の重なりが均一になるように互いに近接して配置される。一態様では、UV-LEDは、強度を増加させ、必要な線量を得て、フォトポリマーをより速く架橋するために、互いに近接して配置される。UV-LEDの数は、各個々のUV-LEDの強度、吸収性ブロッタ材料のウェブからのUV-LEDの距離、及び吸収性ブロッタ材料のウェブの幅に部分的に依存する。
【0046】
例えば、UV-LEDは、吸収性ブロッタ材料のウェブの幅に沿って互いに約12.5mm(0.5インチ)のほぼ等間隔で離間されてもよい。この間隔は、UV-LEDの間隔の単なる一例であり、間隔は、UV-LEDの異なる配置又は構成が試験されるときに変更することができる。
【0047】
一実施形態では、UV-LEDなどのUV光の光源は、熱プロセッサの筐体内に固定可能に取り付けられ、ブロッタ材料は、固定可能に取り付けられたUV-LEDの下を、又はそれに対して連続的に通過する。一実施形態では、固定可能に取り付けられたUV光源に対する吸収性ブロッタ材料のウェブの速度は、約1~約10フィート/分の範囲内であり、より好ましくは約5フィート/分(1インチ/秒)である。
【0048】
必要な線量を計算するために、プレート全体にわたる「フロア」を与えるようにプレートの底部を通して曝露するために使用される典型的な曝露ユニットからのデータを分析した。
【0049】
この標準UV曝曝露源から、30mW/cmの強度を有する光源を使用する固定システムにおいて0.002インチのフォトポリマーを硬化させるのに必要な線量は5秒であると割り出された。これは、30mW/cm×5秒=150mJ/cmの線量を与える。加えて、我々は、熱処理中の熱プロセッサにおいて、ブロッタ材料の1パス当たり平均して約0.002インチのフォトポリマー(未硬化未反応フォトポリマー)が除去されると計算することができる(0.024インチ/12パスのプレートレリーフ=1パス当たり0.002インチのポリマー)。本明細書に記載されるように、熱処理中、吸収性ブロッタ材料のウェブは、フォトポリマーの未硬化未反応部分を軟化又は液化する高温でフレキソレリーフ画像印刷要素と接触させられ、未硬化未反応部分は吸収性ブロッタ材料のウェブに吸収される。
【0050】
一実施形態では、線量は、少なくとも130mJ/cm、好ましくは少なくとも140mJ/cm、より好ましくは少なくとも150mJ/cm、より好ましくは少なくとも160mJ/cmである。本発明の発明者らは、この範囲内の線量が、吸収性ブロッタ材料のウェブに吸収された未硬化未反応フォトポリマーを、その後の処分のために完全に硬化させることができることを見出した。
【0051】
しかしながら、この高い線量は、特定のUV光源に依存して達成することが困難であり得る。
【0052】
例えば、多くの一般的なUV-LEDは、わずか約13~14mW/cmの強度を有する。したがって、より多数のUV-LEDが、所望の線量を達成するために必要とされるであろう。例えば、LED間の距離が1インチでウェブ速度が5フィート/分の3列のLEDを使用すると、9~10秒の滞留時間(線量/強度)が必要となり、多数のUV LEDも必要となる。したがって、曝露/滞留時間及びLEDの列の数を低減するために、LED自体の強度を増加させるか、又はLEDを互いにより近くに詰め込む必要がある。
【0053】
一方、より低いウェブ処理速度は、UV-LEDにより適している可能性がある。約2~3ft/分、より好ましくは2.5~2.7ft/分のより短いプロセス時間、及び13~14mW/cmの強度では、UV-LEDの数及び/又はUV-LEDの列の数を50%低減することができる。
【0054】
より高い生産速度(すなわち、5ft/分以上)をカバーするために、蛍光UV曝露管を使用することもできる。蛍光UV曝露管では、強度は約30mW/cmであり、同じ線量(30mJ/cm×5秒)を達成するために、5秒の曝露のみが必要とされる。各標準UV管は直径約1インチであり、曝露は5つのUV蛍光灯管で行うことができた。これはより良い選択肢であるように思われるかもしれないが、UV蛍光灯管は壊れやすく、取り扱いを誤ると容易に壊れる可能性がある。
【0055】
ブロッタの速度は、熱システムにおいてライトのアレイの前後で一定である。典型的には、ブロッタの処理速度は、処理を通して同じままである。LED又はUVランプの余分な列は、機械プロセス速度が増加するにつれて、容易に追加及び/又はスイッチオン/オフすることができる。したがって、一実施形態では、システムは、ウェブの速度及び使用される光源の数/位置を調整するための制御機構とともに、ブロッタ速度、特定のフォトポリマーなどを含むすべての状況をカバーするのに十分な光源を含む。
【0056】
オンザフライで反応性を監視することが困難であるため、線量要件は、安全係数を伴って必要以上に高くなるように選択される。しかしながら、当業者であれば、本明細書に記載されるプロセスによって、特殊なタイプのフォトポリマー及び/又はより高強度の光源などに対する線量要件を割り出すことができる。
【0057】
温度はUV出力に悪影響を及ぼし、より高い温度はUV出力を低下させる。一実施形態では、システムの設計の一部は、UV-LEDから熱を除去/放散するためのヒートシンクを含む。加えて、ブロッタ中の樹脂の温度は、一般にプラスの効果を有する。樹脂は、熱プロセス中に加熱されるが、これはフォトポリマーの反応性を増加させ、必要な線量を減少させる。したがって、任意選択的に、システムは、ブロッタ内の樹脂を硬化させるのを助けるためにヒータを含むこともできる。一実施形態では、ブロッタ内の樹脂の硬化を助けるためにヒータが使用される場合、必要な線量は、より低い強度/少数の光源を使用すること、及び/又は滞留時間を減少させることのいずれかによって低減される。
【0058】
本明細書に記載のシステムは、約365~405nmの範囲で動作する光開始剤を使用するフォトポリマーとともに使用可能である。更に、より迅速に重合することができる様々な要素を含むフォトポリマーは、版を硬化させるのに必要な線量を減少させる(すなわち、光強度の減少及び/又は滞留時間の減少)ことによって、ユニットのコストを減少させる。
【0059】
一実施形態では、図1に示されるように、本発明は、一般に、レリーフ画像印刷要素14を処理するために使用されるシステム10を備える熱現像アセンブリに関する。感光性印刷要素14は、典型的には、可撓性基材と、可撓性基材上に堆積された感光性材料の少なくとも1つの層と、を含む。
【0060】
システム10は、筐体12と、連続ループ17を含むコンベヤ16であって、感光性印刷要素14がその連続ループ17上に位置付け可能であるコンベヤ16と、筐体12内に装着された少なくとも1つの加熱可能なローラ24と、少なくとも1つの加熱可能なローラ24の少なくとも一部分を覆う吸収性材料32であって、感光性印刷要素14が少なくとも1つの加熱可能なローラ24の一部分上の吸収性材料32と接触するときに、感光性印刷要素14から液化又は軟化した未硬化感光性材料を吸収することができる吸収性材料32と、を含む。
【0061】
感光性印刷要素14を加工処理するためのシステム10は、少なくとも熱ベース現像システム10の要素を収容するための筐体12を含む。
【0062】
本明細書に記載される熱ベース現像システム10は、予め形成され、像様化学線曝露された可撓性感光性印刷要素14を受け入れ、感光性印刷要素14は、ベース層と、放射線硬化性エラストマー材料の隣接層(硬化性層)と、任意選択的に、化学線への曝露の前にレーザアブレーションなどによってレーザ放射線を使用して硬化性層上にその場でマスクを形成するために使用される、赤外線感受性層と、を有する。本発明の熱ベースの現像システムにおいて加工処理可能な感光性印刷要素の例は、Martensによる米国特許第5,175,072号、Fanによる米国特許第5,262,275号及び同第6,238,837号、並びにYangらによる米国特許第5,925,500号及び同第6,605,410号に記載されており、これらの各々の主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
一実施形態では、かつ本明細書に記載の熱現像アセンブリで加工処理する前に、放射線硬化性層の一部分は、好ましくは、ベースの下面を通る化学線によって硬化されて、硬化した「フロア層」を形成する。次に、フィルムを反対表面から像様曝露して、写真ネガ又はマスク層のレーザアブレーションによって作成されたその場のネガのいずれかを通して、版の所望の部分を硬化させる。硬化後の放射線硬化性層の残りの部分は、硬化部分及び未硬化部分からなる。その後、感光性印刷要素を熱現像アセンブリに移送して、放射線硬化性層の未硬化部分を除去し、その中のレリーフ画像を形成し、レリーフ画像は、感光性印刷要素の放射線硬化性層の架橋部分及び硬化部分から構成される。
【0064】
図1で説明したように、典型的には、駆動モータ(図示せず)に取り付けられたコンベヤ16を使用して、感光性印刷要素14を熱版加工処理システム内に搬送して通過させる。コンベヤ16は、筐体12内の固定位置に装着され得、少なくとも第1のローラ18及び第2のローラ20によって支持された連続ループ17を含む。任意選択的に、1つ以上の追加のローラ(図示せず)を使用して、コンベヤ16に追加の支持を提供し、連続ループ17が感光性印刷要素14の重量により垂れ下がるのを防止し得る。一実施形態では、連続ループ17は、ワイヤメッシュを備える。
【0065】
感光性印刷要素14の前縁は、クランプ及び/又は真空などの好適な締結手段(図示せず)によって、コンベヤ16の連続ループ17に対して適所に保持され得る。一実施形態では、コンベヤ16の第1のローラ18及び第2のローラ20のうちの少なくとも1つに真空が提供され、単独で、又は締結手段と組み合わせて使用されて、感光性印刷要素14をコンベヤ16の連続ループ17上の定位置に保持する。
【0066】
動作中、感光性印刷要素14が装着されたコンベヤ16は、コンベヤ16の連続ループ17が第2のローラ20の上及び周りを回転するときに感光性印刷要素14がコンベヤ16と加熱可能なローラ24との間の間隙26を通過するように、加熱可能なローラ24に向かって第1の方向22に移動する。一実施形態では、加熱可能なローラ24は、コンベヤ16から反対方向28に回転する。加熱可能なローラ24は、コンベヤが第1の方向22に移動し、加熱可能なローラ24が反対方向28に移動するときに、コンベヤ16上に位置付けられた感光性印刷要素14に向かって付勢されることが可能である。好ましくは、加熱可能なローラ24は、ピボット(図示せず)に固定可能に装着されており、これにより、コンベヤ16に向かって付勢することが可能となる。
【0067】
いくつかの実施形態では、加熱可能なローラ24は、1つ以上の空気圧シリンダ(図示せず)などの好適な手段を使用して、コンベヤ16上の感光性印刷要素14に向かって付勢される。空気圧シリンダは、加熱可能なローラ24をコンベヤ16の第2のローラ20の外面から予め設定された距離に位置付けて、感光性印刷要素14が第2のローラ20の周りのコンベヤ16の連続ループ17上を移動するときに感光性印刷要素14が通過する、間隙26を生成する。
【0068】
吸収性材料32のウェブは、加熱可能なローラ28の外面30の少なくとも一部分の上に導かれる。吸収性材料32のウェブは、加熱可能なローラ24が回転して加熱され、吸収性材料32のウェブが感光性印刷要素14の少なくとも一部分に接触するときに、感光性印刷要素14から液化又は軟化した未硬化材料を吸収(例えば、除去)することができる。加熱可能なローラ24は、コンベヤ16の方向22とは反対である方向28に回転し、そのため、感光性印刷要素14及び吸収性材料32のウェブを互いに接触させ、次いで分離することができる。
【0069】
感光性材料の少なくとも一部分を軟化又は液化するのに十分な加熱可能なローラ24の表面温度を維持することができるコア加熱器によって、加熱可能なローラ24に熱が提供され得る。加熱可能なローラ24が加熱される温度は、感光性材料の組成、感光性材料内に含有されるモノマー及びポリマーの溶融温度に基づいて選択される。一実施形態では、加熱可能なローラ24は、約150℃~約250℃の温度に加熱され、その温度で動作する。上限は、吸収性材料32のウェブの溶融温度によって大部分が割り出され得る。すなわち、加熱可能なローラ24の温度は、吸収性材料32のウェブが移動しておらず、加熱可能なローラ24に接触している吸収性材料32のウェブの部分が静止しているときには、吸収性材料32が溶融しないように十分に低くなければならない。加熱可能なローラ24は、好ましくは、所望の表面温度を提供するために電気コア加熱器を含むが、蒸気、油、熱風、及び様々な他の加熱源の使用もまた、所望の表皮温度を提供し得る。
【0070】
吸収性材料32のウェブは、吸収性材料32のウェブの供給ロール34から加熱可能なローラ24の外面30の少なくとも一部分に供給される。吸収性材料32の選択は、加工処理される感光性印刷要素14の厚さ、吸収性材料32のウェブの溶融温度、並びに感光性印刷要素14及び吸収性材料32のウェブの両方の熱伝達特性に部分的に依存し得る。吸収性材料32のウェブは、不織布又は織布であってよく、当業者には既知であろう好適な吸収性材料が本発明において使用可能である。
【0071】
フレキソ印刷要素の1つ以上のフォトポリマー層の未硬化未反応部分を軟化又は液化する高温でフレキソ印刷要素と接触させた後、吸収性材料のウェブ32は、感光性印刷要素14から除去された(すなわち、吸収された)軟化又は液化されたフォトポリマーを堆積又は吸収している。
【0072】
本明細書で説明するように、システム10は、UV光源48を含む。UV光源(例えば、UV LED、UV蛍光)50は吸収性ブロッタ材料ウェブ32に近接して位置付けられ得る。例えば、UV光源は、吸収性ブロッタ材料32のウェブから約0.25~約2インチの距離に、より好ましくは約0.50~約1.0インチの距離に配置されてもよい。UV光源48は、吸収性材料32のウェブによって吸収された液化又は軟化した材料を硬化させる。非限定的な例では、UV光源の波長は、約365nm~約405nmであり得る。
【0073】
UV光源の所望の強度は、吸収性ブロッタ材料のウェブの速度、吸収性ブロッタ材料のウェブに対するUV光源の近接度、UV光源の波長、UV光源の動作パラメータ(例えば、LEDアレイ内のLEDの数)、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、以下のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に関連付けられてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、システム10は、第1のUV光源に近接して配置された第2のUV光源(図示せず)を含むことができる。例えば、この第2のUV光源は、第2のUV光源が吸収材料32の反対側の軟化又は液化した未反応フォトポリマーを架橋及び硬化するように、第1のUV光源の反対側に配置されてもよい。非限定的な例では、第2のUV光源の波長は、約365nm~約405nmであり得る。別の非限定的な例では、第2のUV光源の所望の強度は、上で定義されたように、第1のUV光源50の要素と少なくとも部分的に関連付けられ得る。UV光源50及び第2のUV光源の波長及び/又は強度は、互いに類似し得るか、又は互いに異なり得る。更に、第2のUV光源は、吸収性ブロッタ材料のウェブから第1のUV光源と同じ距離に配置されてもよい。一実施形態では、第1のUV光源及び第2のUV光源の両方が、吸収性ブロッタ材料のウェブから0.5~1.0インチの距離に配置される。
【0075】
次いで、硬化した非反応性生成物を含有する吸収性材料32を、その後の除去及び/又は処分のために巻き取りローラに巻き取ることができる。
【0076】
巻き取りローラ38は、好ましくは変速モータであるモータ(図示せず)によって独立してベルト駆動される。巻き取りローラ38は、吸収性材料の「使用済み」ウェブ32が感光性印刷要素14と接触し、液化又は軟化した感光性材料の部分を除去した後に、これを収集する。モータの速度は、選択されるウェブ張力に干渉しないように調整される。モータがウェブ張力に干渉する場合、結果として得られるフレキソ印刷版は、レリーフ部分の高さが変動する可能性があるか、又はゆがむ可能性があり、商業的に許容不可能である。
【0077】
別の実施形態では、システム10は、吸収性材料32がコンベヤ16上の感光性材料の少なくとも1つの層に接触する点に隣接して位置付けられ得る、二次加熱源(図示せず)を含み得る。二次加熱源は、コンベヤ16上の感光性材料の少なくとも1つの層の部分を更に軟化及び液化するための、補助熱源を提供することができる。
【0078】
第1のローラ18及び第2のローラ20並びに加熱可能なローラ24を含むコンベヤ16は、好適な手段、すなわち、モータによって駆動されることが当業者には明らかであろう。更に、マイクロプロセッサなどのコントローラを本発明のシステムで使用して、版プロセッサ10内の各要素の動作を制御することができる。かかるコントローラは、当技術分野で周知である。版プロセッサ内の様々な要素を制御するために使用されるコントローラの一例は、Petersonらによる米国特許第5,279,697号に記載されており、その主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0079】
本発明の方法は、以下のステップを含む。
方法は、(1)感光性印刷要素14をコンベヤ16上に位置付けるステップであって、コンベヤ16は、少なくとも第1のローラ18及び第2のローラ20によって支持される連続ループ17を含み、感光性印刷要素14は、連続ループ17上に支持される、ステップと、
(2)筐体12内で回転するように装着されている加熱可能なローラ24の外面30の少なくとも一部分に吸収性材料32を供給するステップであって、吸収性材料32は、加熱可能なローラ24が加熱されて回転し、吸収性材料32が感光性印刷要素14の少なくとも一部分に接触するときに、感光性印刷要素14のもう1つのフォトポリマー層の未硬化未反応部分を吸収することができる、ステップと、
(3)吸収性材料32が少なくとも1つの層の感光性材料に接触したときに、感光性材料の少なくとも1つの層の少なくとも一部分を軟化又は液化させるのに十分な温度に、加熱可能なローラ24を加熱するステップと、
(4)液化又は軟化した材料の少なくとも一部が吸収材料32によって吸収されるように、少なくとも1つの感光性材料層の表面と吸収材料32とをコンベヤ16と加熱可能なローラ24との間の点で接触させるステップと、
(5)フォトポリマーの吸収された軟化又は液化された未反応部分を含む吸収性ブロッタ材料32の幅に隣接して熱プロセッサ内に1つ以上のUV光源48を配置するステップであって、フォトポリマーの吸収された軟化又は液化された未反応部分を含むブロッタ材料32の吸収性ウェブが1つ以上のUV光源48に対して移動する、ステップと、
(6)吸収性ブロッタ材料48のウェブを1つ以上のUV光源32からの化学線に曝露して、ブロッタ材料の吸収性ウェブ32が1つ以上のUV光源48に対して移動するにつれて、フォトポリマーの軟化又は液化した未反応部分を架橋及び硬化させる、ステップと、を含む。
【0080】
好ましくは、感光性印刷要素は、レリーフ画像を得るために、未硬化感光性材料のすべてではないとしても大部分が感光性印刷要素の表面から除去され得るように、プロセスのステップを何度か通して加工処理される。パス数は、版レリーフの厚さ、フォトポリマーの種類、熱プロセッサの温度などに部分的に依存する。例えば、0.024インチの版レリーフでは、ブロッタ材料の1パス当たり平均0.002インチのフォトポリマー(未硬化未反応フォトポリマー)が除去され、感光性印刷要素が熱プロセッサを12回通過する必要がある。
【0081】
システム全体にわたって吸収性材料のウェブの一様な張力を維持するための好適な手段が使用され得、これには例えば、1つ以上のアイドラローラ36が含まれる。ウェブの張力を維持するための他の手段もまた提供され得、当業者に既知であろう。
【0082】
いくつかの実施形態では、1つ以上のアイドラローラ36は、吸収性材料32のウェブと直接又は間接的に接触して位置付けられ得る。1つ以上のアイドラローラ36は、吸収性材料32のウェブの方向の変化を容易にすることができ、かつ/又は吸収性材料32のウェブに張力を提供して、一様かつ所望の張力を維持することができる。場合によっては、2つ以上のアイドラローラ36が互いに近接して位置付けられ得る。例えば、2つ以上のアイドラローラ36は、吸収性材料32のウェブが、2つ以上のアイドラローラ36の各々の外面との少なくとも部分的な接触を維持するために、密接に巻き付けられる(すなわち、急旋回する)ように、互いに近接して位置付けられ得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、加熱可能なローラ24、吸収性材料32のウェブ、及び感光性印刷要素14の線速度は、感光性印刷要素14上の剪断応力を回避するために実質的に同じであり得る。開示された剪断応力は、レリーフ部分版厚さに不均一をもたらす可能性がある。
【0084】
本開示は、例示的な実装を参照して説明しているが、本開示は、そのような例示的な実装によって限定されないか、又はそのような例示的な実装に限定されない。むしろ、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、様々な修正、改良、及び/又は代替の実装が採用され得る。
図1
【国際調査報告】