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特表2024-531417流動粒子の床に基づく熱エネルギー貯蔵及び伝達のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】流動粒子の床に基づく熱エネルギー貯蔵及び伝達のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 13/00 20060101AFI20240822BHJP
   F28C 3/16 20060101ALI20240822BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20240822BHJP
   F28D 20/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F28D13/00
F28C3/16
F28F9/26
F28D20/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510459
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 IT2021000043
(87)【国際公開番号】W WO2023031975
(87)【国際公開日】2023-03-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518019673
【氏名又は名称】マガルディ パワー ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マガルディ,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】カレア,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】バセッティ,フルヴィオ
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065FA19
3L103AA35
(57)【要約】
熱貯蔵及び伝達方法であって、以下のステップ- 熱的に直列に配置された複数の熱貯蔵及び伝達モジュール(151~154)を提供するステップであって、前記複数のモジュールの各モジュールが熱貯蔵及び伝達手段として流動化可能な固体粒子の床(150)を含む、ステップと、- 前記モジュール(151~154)を直列熱シーケンスで横断するように、熱伝達流体(HTF)のフローを付加するステップと、- 前記熱伝達流体と前記床粒子との間の熱交換を助長するように、流動化可能な固体粒子の前記床(150)の各々を流動化するステップとを含み、配置が、粒子の床から熱エネルギーをそれぞれ伝達又は抽出するために、熱伝達流体が、反対の方向に従い連続してモジュールを横断することができるようなものである、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(100)であって、
- 連続して及び熱的に直列に配置された複数の熱貯蔵及び伝達モジュール(151~154)であって、前記複数のモジュールの各モジュールが、熱貯蔵手段として流動化可能な固体粒子の床(150)を含む、複数の熱貯蔵及び伝達モジュール(151~154)と、
- 熱エネルギーを各床に充填するように配置された熱充填手段(101)であって、構成が、各床が、先行する前記床未満であり後続の前記床より高い動作温度にされるようなものである、熱充填手段(101)と、
- 前記モジュール(151~154)を直列熱シーケンスで横断する熱伝達流体(HTF)のフローをホストするように構成された熱抽出手段(102)であって、構成が、前記熱伝達流体が熱エネルギーを前記床から抽出し、モジュールの前記シーケンスを最低温度の床から最高温度の床へ横断するようなものである、熱抽出手段(102)と、
- 流動ガスのフローを前記床の各々に付加するように構成された、流動化可能な固体粒子の前記床(150)の各々の流動化手段(120)と
を含む、熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(100)。
【請求項2】
前記熱充填手段(101)が、熱エネルギーを前記床(150)の各々に充填する熱伝達流体(HTF)のフローをホストするように構成された充填回路(101、101’)、又は導管手段を含み、前記熱抽出手段(102)が、熱エネルギーを前記床(150)の各々から抽出するように構成された抽出回路(102、102’)、又は導管手段を含む、請求項1に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(100)。
【請求項3】
前記抽出回路(102、102’)が、前記充填回路(101、101’)に対向して前記床を横断するように配置される、請求項2に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(100)。
【請求項4】
前記熱充填手段(101)が、電気抵抗器手段(471)と、放射パネル(571)と、太陽エネルギーベースの交換器手段とのうちの1つ又は複数を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(100)。
【請求項5】
前記構成が、熱エネルギーをそれぞれ前記床へ/から充填又は抽出するために、前記熱伝達流体(HTF)が、反対の方向に従い連続して前記モジュールを横断するようなものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(100)。
【請求項6】
熱充填手段及び熱抽出手段として交互に機能するように、熱伝達流体により反対の方向において交互に横断される単一の回路(201、201’)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(200)。
【請求項7】
前記熱抽出手段及び/又は前記熱充填手段が、同じ熱充填又は熱抽出動作を行うために並列に配置された複数の、特に2つの導管(101、101’;102、102’)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(100)。
【請求項8】
前記モジュール(451~454)の少なくとも1つが、前記モジュールの前記床(450)に追加的な熱エネルギーを充填するように構成された追加的な熱充填手段(470)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(400)。
【請求項9】
前記追加的な熱充填手段(470)が、電気抵抗器手段(471)と、放射パネル(571)と、太陽エネルギーベースの交換器手段とのうちの1つ又は複数を含む、請求項8に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(400)。
【請求項10】
前記複数の熱貯蔵及び伝達モジュール(151~154)のうちの前記熱貯蔵及び伝達モジュール(151~154)が共通のケーシング(110)を共有し、断熱仕切り手段(161~163)により分離される、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(100)。
【請求項11】
前記仕切り手段(161~163)が、前記床(150)をホストする、その自由面(130)より上の環境の中の各床へ付加された前記流動ガスの流体連通を可能にする、請求項10に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(100)。
【請求項12】
前記仕切り手段(261~263)が、前記床(250)の各々をホストする前記環境の間の前記流動ガスの任意の流体連通を妨げる、請求項10に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(200)。
【請求項13】
前記流動化手段(120)が、前記熱貯蔵及び伝達モジュール(151~154)の各々のためのそれぞれの流動化ユニットを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達システム(100)。
【請求項14】
熱エネルギー貯蔵及び伝達方法であって、以下のステップ
- 連続して及び熱的に直列に配置された複数の熱貯蔵及び伝達モジュール(151~154)を提供するステップであって、前記複数のモジュールの各モジュールが、熱貯蔵手段として流動化可能な固体粒子の床(150)を含む、ステップと、
- 熱エネルギーを各床に充填するステップであって、各床が先行する前記床未満であり後続の前記床より高い動作温度にされるような方法で充填するステップと、
- 前記熱伝達流体が熱エネルギーを前記床から抽出し、モジュールのシーケンスを最低温度の床から最高温度の床へ横断するような方法で、前記モジュール(151~154)を直列熱シーケンスで横断するように、熱伝達流体(HTF)のフローを付加するステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記配置が、前記床から熱エネルギーをそれぞれ伝達又は抽出するために、前記熱伝達流体が、反対の方向に従い連続して前記モジュールを横断することができるようなものである、請求項14に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達方法。
【請求項16】
前記熱伝達流体と又は他の熱充填手段と、前記床粒子との間の熱交換を助長するように、前記床(150)の各々を流動化するステップを含む、請求項14又は15に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達方法。
【請求項17】
前記床(150)をホストする前記環境が、そのような床(150)の自由面(130)より上で流動ガスと流体連通している、請求項14~16のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達方法。
【請求項18】
前記熱伝達流体から前記床(150)の各々への熱エネルギー充填動作が、前記床(150)から前記熱伝達流体への熱エネルギー抽出動作に代わって起こる、請求項14~17のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達方法。
【請求項19】
前記熱伝達流体から前記床(150)の各々への熱エネルギー充填動作が、前記床(150)から前記熱伝達流体への熱エネルギー抽出動作に対向して起こる、請求項14~18のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達方法。
【請求項20】
前記熱伝達流体から前記床(150)の各々への熱エネルギー充填動作と、前記床(150)から前記熱伝達流体への熱エネルギー抽出動作とのうちの少なくとも一方が、前記熱伝達流体をホストするとともに並列に配置された複数の導管(101、101’)により起こる、請求項14~19のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達方法。
【請求項21】
熱エネルギーを充填する前記ステップが、電気抵抗器手段(471)と、放射パネル(571)と、太陽エネルギーベースの交換器手段とのうちの1つ又は複数を使用することにより実施される、請求項14~20のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達方法。
【請求項22】
電気抵抗器手段(471)と、放射パネル(571)と、太陽エネルギーベースの交換器手段とのうちの1つ又は複数を含む追加的な熱伝達手段(470)により追加的な熱エネルギーを前記床の少なくとも1つに充填するさらなるステップを含む、請求項14~21のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵及び伝達方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明の分野
本発明は主に、流動化された/流動化可能な粒子の床に基づく熱エネルギー貯蔵及び伝達のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景及び技術的基礎
高い熱容量を有する固体粒子の流動化された又は流動化可能な床に基づく既知の熱エネルギー貯蔵システムがある。床固体粒子を加熱するために主に太陽エネルギーを用いる前記技術に基づくデバイス、プラント及び方法の例は、例えば国際公開第2011135501A2号及び国際公開第2017021832A1号において開示されている。
【0003】
上記のシステムにおいて、熱交換器は一般に、熱エネルギー貯蔵及び伝達機能が同じデバイスに一体化され得るように流動床に浸漬される。この構成には、例えば溶融塩に基づいている他の技術よりも、いくつかの別個の装置が不要であるという利点がある。
【0004】
流動床技術のもっとも単純な構成において、流体床全体が - その高い熱拡散率を原因として - 等温である、すなわち質量に等しく、全ての粒子が同じ温度を有すると仮定され得る。この場合において、熱エネルギーは、以下により与えられる固体粒子の顕熱の形で流体床に貯蔵される:
Q=m ΔT(式1)
ここで、
・Qは流体床において貯蔵された熱エネルギーであり、
・mは流体床粒子の総質量であり、
・cは粒子材料の比熱であり、
・ΔTは固体粒子温度の差(Tmax-Tmin)であり、Tmin及びTmaxはそれぞれ流体床の最低及び最高動作温度である。
【0005】
図1は、熱伝達流体(HTF)及び/又は電気による熱エネルギーで充填されており、特定の貯蔵時間後に熱を放出することができる上で言及された既知の熱エネルギー貯蔵システムのように流体床モジュールに基づく熱エネルギー貯蔵システムにおいて生じている熱交換ステップを例示する。
【0006】
この構成は、以下で説明されるとおり、流体床特性により高い熱伝達率を確実にしながらエネルギー充填及び排出段階の両方を制限する。
【0007】
充填段階
例えば砂粒子でできている流体床が、特定の期間の間利用可能である高温蒸気など熱伝達流体により充填される場合、熱エネルギー充填段階中の流動床の温度値の典型的な傾向、入口蒸気及び出口蒸気が図2のダイアグラムに示されている。
【0008】
充填段階中、蒸気は典型的に、以下のとおりとなる:
・通常は一定の(ダイアグラムにおける連続的な水平ライン)高温で流体床モジュールに入り、
・床内の熱交換器を横断し、等温的に流体床砂を次第に加熱し(下の方の線)、
・流体床砂温度の漸進的増加(真ん中の線)と共に、時間内に上昇する温度で、流体床モジュールを出る。
【0009】
充填時間中の流体床温度の漸進的増加を原因として、入口蒸気温度と流体床温度との差は、次第に小さくなり、図2に示されるとおり、これは充填段階の始め(ダイアグラムにおける左側の垂直矢印)でより大きく、終わり(右側の垂直矢印)でより小さい。結果として、高温蒸気から床粒子への熱伝達は、充填時間中に次第に小さくなる。この事実は、熱エネルギー貯蔵システムの動作及び性能の限界を構成するが、その理由は後者の熱エネルギー貯蔵システムが蒸気の潜在力熱含有量全体を抽出及び貯蔵しないためである。例えば、いくつかの環境において、検討された配置は蒸気の潜熱を回収することができ得ず、これは、貯蔵された熱は入口蒸気において利用可能なエンタルピーの限られた部分のみであること、及び、利用可能な熱の残りの部分は浪費されること(プラントの他の部分で使用されない限り)を意味する。
【0010】
排出段階
以上で述べたことから、流動床がエネルギーで充填されると、流動床に浸漬された熱交換器により、熱がそれから熱伝達流体(HTF)、例えば蒸気、CO、超臨界COなどに放出される。
【0011】
生じたHTF温度は、当然のことながら、常に流体床温度未満であり、これは、使用のために望ましい条件を満たすために、(例えば蒸気過熱防止装置による)下流での調整を受け得る。
【0012】
より良好な理解のために、図3~5は、Tminが350℃、Tmaxが620℃及び蒸気発生時間が6時間であると仮定される場合の流体床質量及び熱伝達流体(例えば蒸気)の可能な温度傾向を例示する。
【0013】
特に、図3は固体粒子温度の低下と共に常に低下する蒸気温度を示し、図4は、最初の2時間は500℃で一定で、次いで固体粒子温度の低下と共に低下する蒸気発生プロファイルを示し、図5は、伝達期間全体にわたって300℃で一定の蒸気発生を示す。
【0014】
いずれの場合も、上記図は、少なくともある時間間隔の間、流体床最低温度未満の温度(例においてはTmin=350℃)で、HTFが作られることを示す。
【0015】
換言すると、HTFが、常に例えば500℃で必要とされる用途について、砂最低温度が500℃より上昇(例えば530℃)しない限り、上で示された解決策は機能し得ない。しかしながら、そのような上昇は、ΔTで動作可能な固体粒子が著しく減少するため、熱貯蔵容量に大きな悪影響を及ぼす。上記例にとどまるために、ΔTは(620-350)℃=270℃から(620-530)℃=90℃へ低下し、これは、蒸気が300℃ではなく500℃で生成されなければならない場合、熱貯蔵容量が1/3に低下することを意味する。
【0016】
理論上は、前記温度ギャップは流体床最高温度(式1におけるTmax)の上昇により回収され得るが、この上昇は、特に床内の熱交換器の材料の動作限界を理由として、実施可能及び/又は経済的でない場合がある。上記例を再び参照すると、530℃の流体床最低温度(Tmin)を採用し同じ熱エネルギー貯蔵容量を保つことにより常に500℃で蒸気を生成するために、流体床最高温度は620℃から800℃まで(すなわち、530+ΔT=530+270=800℃)へ上昇しなければならず、これは、熱交換器のために使用される構成の材料の特性を原因として実行不可能であり得る。
【0017】
より高い温度(例えば500℃)で蒸気を生成するときに同じ熱貯蔵容量を保つための別の可能な対策は、固体粒子質量を増加させることであるが、この場合も、これは、かなりのコスト増加を伴う、はるかに大きい(例においては、3倍大きい)モジュールを伴う。
【0018】
上記の検討は、HTFが、例えば超臨界COであって、今日では、超臨界COがタービンへ700℃を上回る温度(及び200バールを上回る圧力)で送達されるという条件で、タービンを最大で50%の熱対電気効率で駆動可能であると予想される超臨界COである場合にさらにより重要である。
【0019】
これらの場合において、流体床は、極めて高温の範囲(例えば、730℃~1000℃)において作動しなければならず、これは、固体粒子について可能であったとしても、そのようなレベルの温度及び圧力で動作することに対する材料の限界を原因として、浸漬された熱交換器の実現を実施不可能にするか、それらの寿命を短くし過ぎる可能性がある。
【0020】
当然のことながら、一般に、可能な用途の範囲を拡大するため、及び、特に、必要な場合に、例えば熱から電気へのエネルギー再変換プロセスの場合において、高効率プロセスを可能にするために、TESシステムが、利用可能充填源から可能な限り多くのエネルギーを回収及び貯蔵し、その貯蔵容量を最大化すること、並びに貯蔵された熱を最高温度で放出することができるようにすることが望ましい。
【発明の概要】
【課題が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の概要
本発明により呈されるとともに解決される技術的問題は、したがって、先行技術を参照して上で言及された欠点の1つ又は複数を克服する流動固体粒子の床に基づく熱貯蔵及び伝達構成を提供することである。
【0022】
前記問題は、請求項1によるシステムにより及び請求項14による方法により解決される。
【0023】
本発明の好ましい特徴は従属請求項の主題である。
【0024】
上で言及したとおり、本発明は、床内の熱交換器を備えた固体粒子の流動床に基づく熱エネルギー貯蔵及び伝達構成と本質的に関連する性能の限界を克服することをねらいとする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明によるシステムは、熱貯蔵及び伝達のために直列に配置された複数の流動粒子床を提供する。前記床の各々は、熱貯蔵及び伝達システムにおけるモジュールを実現する。有利には、各モジュールは、同じケーシング内で直列に配置されたいくつかの熱エネルギー区画の1つの区画として得られる。
【0026】
熱伝達流体(HTF)は、それが直列の区画、又は一般にモジュールを横断するような方法で、システム内に供給される。
【0027】
好ましい構成は、熱伝達流体が、熱エネルギーを粒子の床へ/床から、それぞれ、充填又は抽出するように、反対の方向に従い連続してモジュールを横断することができるようなものである。
【0028】
基礎的な構成において、熱伝達流体は、より低い温度の床からより高い温度の床へ向かって、熱エネルギーを抽出するためだけに、モジュールを通じて連続して動作する。この場合において、熱容量での床の充填は、例えば電気的性質の他の熱伝達手段でなされ得る。
【0029】
各区画における熱貯蔵粒子の質量は、同じ又は専用のものであり得る。
【0030】
各区画は異なる範囲の粒子温度で動作し得る。
【0031】
1つ又は複数のモジュール又は区画において、熱エネルギーを床へ充填するための追加的な熱交換器が提供され得る。
【0032】
HTFは、例えば熱充填のための高温蒸気及び排熱のための水であってもよい。
【0033】
充填段階中の区画にわたるHTFフロー方向は、一般的に言えば、排出段階のものの反対である。
【0034】
本発明は、熱パワーの充填が、電気、熱伝達流体、廃熱又は太陽エネルギー、又はそれらの組合せにより、すなわちハイブリッド解決策でなされる構成に適用可能である。
【0035】
本発明は具体的には、例えば国際公開第2020/136456A1号に開示された電気抵抗器などによっても熱が各モジュール又は区画に提供される構成に適用可能である。
【0036】
本発明の他の利点、特徴及び使用モードは、限定する目的でなく例として提供されるいくつかの実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0037】
図面の簡単な説明
ここで、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】上記で本発明の技術的基礎を説明する際に既に紹介された。
図2】上記で本発明の技術的基礎を説明する際に既に紹介された。
図3】上記で本発明の技術的基礎を説明する際に既に紹介された。
図4】上記で本発明の技術的基礎を説明する際に既に紹介された。
図5】上記で本発明の技術的基礎を説明する際に既に紹介された。
図6A】本発明の第1実施形態による熱エネルギー貯蔵及び伝達構成の概略図を側部断面図で示す。
図6B】本発明の第1実施形態による熱エネルギー貯蔵及び伝達構成の概略図を平面図で示す。
図7A】本発明の第2実施形態による熱エネルギー貯蔵及び伝達構成の概略図を側部断面図で示す。
図7B】本発明の第2実施形態による熱エネルギー貯蔵及び伝達構成の概略図を平面図で示す。
図8A】本発明の第3実施形態による熱エネルギー貯蔵及び伝達構成の概略図を側部断面図で示す。
図8B】本発明の第3実施形態による熱エネルギー貯蔵及び伝達構成の概略図を平面図で示す。
図9A】本発明の第4実施形態による熱エネルギー貯蔵及び伝達構成の概略図を側部断面図で示す。
図9B】本発明の第4実施形態による熱エネルギー貯蔵及び伝達構成の概略図を平面図で示す。
図10A】本発明の第5実施形態による熱エネルギー貯蔵及び伝達構成の概略図を側部断面図で示す。
図10B】本発明の第5実施形態による熱エネルギー貯蔵及び伝達構成の概略図を平面図で示す。
図11】本発明の実施形態による例示的な熱エネルギー貯蔵及び伝達構成における充填及び排出サイクルの熱挙動の概略表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の好ましい実施形態の詳細な説明
本発明のいくつかの実施形態及び変形形態が、既に紹介された図を参照して以下に説明される。
【0040】
一般的に言って、類似の構成要素は、様々な図において、対応する参照符号を使用して示されている。具体的には、5つの実施形態が以下に示されており、各実施形態の構成要素の参照符号は、上1桁としてそれぞれ「1」~「5」を有し、以下の2桁は、一致する又は同様の要素について同じままである。
【0041】
既に説明されたものとは異なるさらなる実施形態及び変形形態は、先行するものに対してもっとも関連する違いに関してのみ説明される。
【0042】
さらに、以下に記載の様々な実施形態及び変形形態の特徴は、互換性がある場合は組合せ可能であると理解される。
【0043】
始めに図6A及び6Bを参照すると、本発明の第1実施形態による熱エネルギー貯蔵及び伝達のためのシステム又はデバイスが全体として100で表示されている。
【0044】
システム100は、それぞれ参照符号151~154により表示される4つの熱貯蔵及び伝達モジュール、又は区画又はセルを含む。モジュール151~154は、共通のケーシング110内で熱的に直列に配置される。ケーシング110は好ましくは、外部環境に対する熱損失を最少化するのに好適な断熱裏張りを備える。
【0045】
熱連続しておける隣接するモジュールは、区画間の動作温度の差を維持することを可能にするために、それぞれ161~163により表示される断熱仕切り、又は壁により分離される。
【0046】
各モジュールは、例として、第1モジュール151について150で表示される流動化可能な固体粒子の床を含む。粒子、特に砂粒子の床は、以下で短く説明されるとおり、熱エネルギー貯蔵及び伝達手段として機能する。
【0047】
使用中、各床の粒子は、流動ガス、特に空気を床に付加する、例として第1モジュール151について120で表示される流動化手段により流動化される。流動化手段は、各モジュールのためのそれぞれの流動化ユニットを含む。特に、流動空気分散デバイスが、モジュール間のガス分散の独立した制御を可能にするような方法で、各区画の床に配置される。
【0048】
本発明の実施形態において、仕切り161~163は、床の自由面130より上の様々な区画の環境間の流動ガスの流体連通を可能にする、すなわち、1つの床に付加されたガスは、それを長手方向に横断した後で、他のモジュールにおける流動ガスと融合し得る。したがって、各仕切り161~163は床の自由面130より上であるがケーシング110の屋根、又は上壁、又は一部より下に延在する。本発明の例において、自由面130の長手方向(垂直)レベルは各モジュールについて同じであるとともに、各区画の幅(隣接する仕切り間の距離)も同じである。
【0049】
流動化手段は、床粒子と、熱伝達手段内を流れる熱伝達流体(HTF)との間の熱交換を助長するために、流動ガスのフローを各モジュールの床に付加するように構成される。図6Aにおいて101、102として示された後者熱伝達手段は、粒子床に浸漬されるとともに前記モジュール151~154を直列熱シーケンスで横断するように配置される。
【0050】
伝達手段は1つ又は複数の導管を含み得る。
【0051】
HTFは蒸気、CO、超臨界CO、熱気、煙道ガスなどであってもよい。
【0052】
図示の実施形態において、熱伝達手段は、熱エネルギーを各モジュールの床に充填するように構成された第1回路、又は導管手段、101、101’と、熱エネルギーを各モジュールの床から抽出するように構成された第2回路又は導管手段、102、102’とを含む。第2回路102、102’は、図6Aにおいて矢印により示されたとおり第1回路101、101’に対向して前記床を横断するように配置される。
【0053】
逆流回路101、101’及び102、102’は、システム100が含まれているプラントの比熱の必要性に依存して、同時に又は交互に作動させられ得る。
【0054】
一般的に言えば、各HTF回路は、望ましい入力/出力パワーを提供するために、並列に配置された、より多くのサブ回路に分割され得る。
【0055】
図6Bの平面図から分かり得るとおり、本発明の実施形態において、各第1及び第2回路は、同じ熱充填又は熱抽出動作を行うために、並列に、熱的に、及び図示の例においてはまた幾何学的に、配置された導管の対であって、第1のものについて101、101’、第2のものについて102、102’により表示された導管の対を含む。
【0056】
動作中、第1回路101、101’は、連続しておける第1床がより高い温度にされ、シーケンスの最終床が最低温度にされるように熱エネルギーを床に充填する。一般に、連続しておける各中間床は、先行するものより低く次のものより高い温度を有する。熱エネルギー抽出プロセスにおいて横断される床の連続においては逆のことが生じる。
【0057】
全体として200で表示される本発明によるシステムの第2実施形態が、図7A及び7Bに示されている。この場合において、熱伝達手段は、各モジュールの熱充填回路及び熱抽出回路として交互に機能するように、熱伝達流体が反対の方向に交互に横断するために構成された単一の回路、又は導管手段、201、201’を含む。
【0058】
この実施形態は、第1実施形態と比較したときによりコンパクトで費用効果がある解決策であるという利点がある。これは、床の熱エネルギー充填及び排出段階が同時である必要がないときに適用され得る。
【0059】
図7Aの実施形態において、261~263により表示される仕切りは、各床をホストする環境間の流体連通を妨げる(後者床は第1モジュール251について250により表示される)。特に、仕切り261~263は流動床ケーシング210の屋根まで上げられる。
【0060】
各区画を出る流動空気流が典型的には、(流体床質量と比較して空気の量が少ないことを原因として)当該区画の流体床質量と同じ温度を有することを考えると、本発明の配置は、異なる流動空気流を分離された状態に保ちそれらの異なる温度値を維持することを可能にする。床の自由面を出るガスの別個のフローは、当該技術分野で既知の手段により独立して又は一緒に操作され得る。
【0061】
図8A及び8Bは、仕切り361~363がモジュールと間の流体連通を可能にし、単一の回路、又は導管手段、301、301’が提供されるという点で先行するものを組み合わせた第3実施形態300に言及する。
【0062】
図9A及び9Bは、先行するものの各々の構成に適合する第4実施形態400に関連し、各モジュール451~454は、例として、熱エネルギーを粒子の床に充填するように構成された第1モジュール451について470で表示された追加的な熱充填手段を含む。
【0063】
本発明の例において、追加的な熱充填手段は、粒子の床に少なくとも部分的に浸漬されるとともにジュール効果により熱を発生させる電気ヒーター471、特に電気抵抗器である。
【0064】
図10A及び10Bは、先行するものの各々の構成に適合する第5実施形態500に関し、各モジュール551~554は、例として、熱エネルギーを粒子の床に充填するように構成されるとともに共通のケーシング510の頂部に配置される第1モジュール551について570で表示された追加的な熱充填手段を含む。本発明の例において、追加的な熱充填手段は、粒子の床の方を向いている電気放射パネル571である。
【0065】
変形実施形態は、太陽エネルギーベースの交換器手段の形の追加的な熱充填手段を提供し得る。
【0066】
追加的な熱充填手段を用いる実施形態において、各区画の床は、HTFとの組合せにおいて前記追加的な加熱手段により、又は、HTFからの熱パワーが利用可能でない選択された動作段階においては、追加的な加熱手段のみにより、熱エネルギーで充填され得る。
【0067】
さらに、ハイブリッド、すなわち電気及びHTFによる充填の場合、時間内の前記エネルギー源の利用可能性並びにそれらの経済的利便性(すなわち電気及びHTFコストが低いときの充填)に依存して、電気ヒーター及び高温HTFによるエネルギー充填は同時であることもないことも可能である。
【0068】
上で開示された実施形態による本発明のシステムの動作が、ここでより詳細に説明される。
【0069】
上記実施形態の各々において、充填段階中、高温HTF(例えば高温蒸気)が第1モジュール、又は区画に入り、そのエネルギーの一部を流体床へ放出し、次いで第1区画を出て第2区画に入り、その残っているエネルギーの一部を放出するなどである。直列に配列された第3以降の区画へと続くことにより、HTFからの熱は、HTF熱容量が好ましくは使い果たされるまで貯蔵流体床へ次第に放出される。このような方法で、区画に沿った温度プロファイルは、直列における第1区画から最終区画まで次第に低減する。結果として、言及された多区画モジュール配置のおかげで、不変の総流体床粒子質量を保ちつつ、前述の先行技術の単一の低温モジュールでの場合と比べてより多量の熱エネルギーがHTFから貯蔵流体床へ移動させられ得る。
【0070】
例えば、充填段階が過熱状態の蒸気によりなされる場合、多区画モジュール配置は、蒸気を次第に冷却しそれを凝縮して、部分的に又は全体的にその潜熱容量を回収することを可能にし、これは、貯蔵される熱が、単一の等温モジュールの場合に比べて著しく高くなり得ることを意味する。
【0071】
排出段階中、冷たいHTF(例えば給水)が直列においてもっとも低温である最終区画に入り、そこで流体床砂により加熱され、次いで、HTFは最終区画を出て最後から2番目の区画に入り、これは先行するものより高い温度で動作し、そのためHTFはさらに過熱され得るなどである。次の区画を横断することにより、HTFは、それが第1区画に到達するまで次第に加熱される。
【0072】
多区画配置の前記排出モードの結果として、単一の等温モジュールでの場合に比べてより高い温度のHTFがより長い時間生じ得、したがって、より広い範囲の熱プロセスの実現が可能となり、また、生じたHTFの熱をより有効なサイクルにより電気に変換することが可能となる。
【0073】
例えば、多区画配置は、給水を流体床区画シリーズにおいて次第に加熱し、蒸発させ、過熱することを可能にし、単一の低温ユニットの場合に比べてより高い温度の蒸気の発生を可能にする。
【0074】
上記実施形態の各々は、以下の主なステップ、すなわち、
・熱的に直列に配置された複数の熱貯蔵及び伝達モジュールを提供するステップ、
・前記複数のモジュールの各モジュールが、熱貯蔵手段として流動化可能な固体粒子の床を含むステップ、
・シーケンスの各(中間)床が先行するものより低く後続のものより高い温度を有するような方法で、熱伝達流体(HTF)のフローを、前記モジュールを直列熱シーケンスで横断して熱エネルギーをその中に充填するために付加する、又は、熱エネルギーを他の手段で床に提供するステップ、
・前記熱伝達流体と又は他の熱充填手段と床粒子の間の熱交換を助長するために、流動化可能な固体粒子の前記床の各々を流動化するステップ
を含む熱貯蔵及び伝達方法において使用され得る。
【0075】
好ましい配置は、熱伝達流体が熱エネルギーをモジュールから抽出するためにも使用されるようなものである。この場合において、熱伝達流体は、熱エネルギーをそれぞれ、粒子床へ/から充填又は抽出するために、反対の方向に従い連続してモジュールを横断することができる。
【0076】
モジュールにおける熱の充填はまた、HTF及び電気のような他のソースの組合せによりなされ得る。
【0077】
選択されたHTF配置及び/又は代替的熱源は、各モジュールを必要な動作温度にすることを可能にする。
【0078】
上記説明に続いて、区画の数、各区画における粒子質量、床内熱交換面、熱充填及び排出段階継続時間、HTF流量、各区画における温度並びに、HTF及び電気による床のハイブリッド充填の可能性など、いくつかの設計パラメータが貯蔵サイクル性能及びHTF生成を最適化するように選択され得る。
【0079】
数値例
流体床区画の連続配置
例として、図11は、直列の4つの区画を備えた流動床システムのスキームを示す。本例において、流体床質量は、各区画において同じであると仮定され得るとともに、以下のことが指摘され得る、すなわち、
最高粒子(砂)温度は、例えば電気プラス過熱状態の蒸気などエネルギー充填の組合せを原因として、全てのモジュールについて同じ(例えば620℃)である、
各モジュールにおいて異なる最低砂温度が使用される、すなわち、
・モジュール1における砂温度T1,min(望ましい出口蒸気温度を上回る、例えばT1,min>500℃)から、
・モジュール4におけるより低い温度T4,min(給水温度を上回るT4,min、例えばT4,min>130℃)まで
ΔT(Tmax-Tmin)は区画1から4へ増加する。
【0080】
図11に示されるとおり、エネルギーの充填は、プロセス蒸気であって、区画1に入る(例えば550℃で)とともに、区画4まで蒸気の凝縮を可能にし得る区画にわたる漸進的な冷却を経るプロセス蒸気により生じる。区画にわたって蒸気により放出される熱は、各区画において流体床質量により捕捉されるとともにそこに貯蔵される。熱エネルギー貯蔵容量は各区画において異なるとともに、ΔTプロファイルの増大と関連して区画1から区画4へ増大するプロファイルを示す。
【0081】
蒸気による熱充填に加えて、ジュール効果により、各区画の流体床温度を、望ましい値(例えば620℃)、及び対応して、関連する熱貯蔵容量まで上昇させるために電気が(同時に又は同時でなく)使用され得る。
【0082】
熱エネルギー貯蔵排出中、水は(例えば130℃で)区画4に入るとともにそこで加熱の第1ステップを受け、次いで区画4を出て加熱の第2ステップのある区画3に入るなどが、望ましい温度(例えば500℃)の蒸気として区画1を出るまで続く。
【0083】
一連の区画は、このような方法で、排出段階中の生じたHTFの漸進的な加熱を可能にし、これは、次第により高い値になる固体粒子最低温度Tminにより可能とされる。
【0084】
各モジュールにおける最大動作温度(Tmax)は、モジュール間で同じ又は異なり、必要性により及び加熱源(電気、廃熱など)の利用可能性に準じて決定され得る。
【0085】
システム総貯蔵容量Qtotは、以下の式のとおり、各モジュールiの単一の貯蔵容量を加えることにより与えられる。
【数1】

ここで、本発明の場合i=(1、…、4)。
【0086】
前述のとおり、そのような構成に基づくシステムにおいて、望ましいエネルギー充填、貯蔵及び排出サイクルを実現するために、区画の数、熱充填及び排出段階継続時間、各区画における流体床質量、各区画における床内熱交換面、充填及び排出段階中のHTF流量及び品質、各区画における作動流体床温度温度(Tmin、Tmax)、並びに、HTF及び電気によるハイブリッド充填の場合、各区画におけるパワーなど、いくつかのパラメータが組み合わせられ得る。
【0087】
多区画配置と単一区画配置の間の比較
「従来の」単一区画と比べた本発明による多区画解決策の利点をより良好に理解するために、このセクションにおいては、いくつかの非限定的な数値例が与えられる。
【0088】
第1の場合は「熱対熱」構成として分析され、流動床エネルギー貯蔵システムは、過熱状態の蒸気として利用可能な熱により充填され、特定の貯蔵時間の後、貯蔵された熱エネルギーが放出されて再び蒸気を生じる。
【0089】
単一区画と多区画の間の比較が、後者が2、4及び6区画の分割と仮定して、なされる。この比較において、同じ境界条件が仮定される、すなわち、
・蒸気品質、充填段階:555℃/60バール
・蒸気流量、充填段階:20kg/s
・蒸気品質、排出段階:300℃/30バール
・給水温度:146℃
・総流体床質量:500トン
・総床内熱交換面:600m
・充填段階の継続時間:5h
・排出段階の継続時間:5h
【0090】
以下の表1は、各区画の動作温度範囲(Tmin、Tmax)を示し、区画1は熱充填のために蒸気が導入されるところであり、最終区画は、排出中に蒸気発生のために給水が充填蒸気フローに対向して導入されるところである。
【0091】
【表1】
【0092】
上記表1は、多区画システムにおいて、区画間に温度勾配が作り出される、すなわち、充填中、一連の区画にわたる流体床温度プロファイルが第1区画から最終区画へ低減し、排出中、最終区画から第1区画へ増大することを示している。
【0093】
このような方法で、充填蒸気の熱容量はより良好に用いられ、実際、最終区画を出る蒸気のエンタルピーは、区画の数が増加するにつれてますます減少し、したがって、全ての他の境界条件を不変に保ちつつ区画の数が多いほどエネルギー貯蔵が多くなることを可能にする。
【0094】
表1は、特に、多区画解決策により提供された熱貯蔵容量及び蒸気流量の予期される増大を示し、これは、この特定の場合について、それぞれ2、4及び6区画について20.4%、26.8%、28.0%と評価される。
【0095】
第2の場合がここで「パワー対熱」構成として分析され、流動床エネルギー貯蔵システムは、典型的には断続的に発生する再生可能エネルギー、例えばPV及び風の過剰生産を原因として、特定の時間に低コストで利用可能な電気によってのみ充填され、特定の貯蔵時間の後、貯蔵された熱エネルギーは放出されて高品質蒸気を生成する。
【0096】
この場合において、単一区画解決策と2及び6区画など2つの多区画解決策の間で比較がなされ、全ての場合において同じ境界条件であり、具体的には以下のとおりである:
・総流体床質量:3000トン
・総床内熱交換面:3000m
・蒸気品質、排出段階:500℃/30バール
・充填段階の継続時間:5h
・排出段階の継続時間:5h
【0097】
加熱のための電気は、パラメータ、例えばヒーター設計の限度(ここでは例えば80kW/mの利用可能面と仮定される)及び流体床の最高設計温度の限度(本例において620℃と仮定される)を考慮に入れて、最大可能なパワーで充填される。
【0098】
以下の表2は、この分析のいくつかの主な結果を示す。指摘され得るとおり、本例において、流体床設計温度の限度(620℃)及び高品質蒸気(500℃/30バール)を生成する必要性が、単一区画解決策の場合において、それらの最大許容可能な値(80kW/m)を大幅に下回る電気ヒーターのために利用できるパワーの限界を引き起こす。多区画解決策は、それに対して、第1区画の後の区画において動作流体床温度プロファイルを可能にし、このことは、電気ヒーターであってそれらの最大許容可能なパワーに到達する電気ヒーターを設置する可能性を提供し、これは当然のことながら有利である。
【0099】
結果として、予期される熱貯蔵容量及び生じた蒸気流量は両方とも、以下の表2におけるこの特定の例について、図示のとおり、多区画解決策の場合において単一区画のものよりもより高く、特に、単一区画解決策からの増大は、2及び6区画の解決策についてそれぞれ37.7%及び56.5%として評価される。
【0100】
【表2】
【0101】
本発明は、好ましい実施形態を参照してここまで説明されてきた。以下の特許請求の範囲の範囲により定義されるのと同様の発明性のある概念に言及する他の実施形態もあることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
【国際調査報告】