(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】線維性疾患の治療におけるアルファ-エノラーゼアンタゴニストの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240822BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240822BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240822BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240822BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240822BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240822BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240822BHJP
A61K 31/4418 20060101ALI20240822BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20240822BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20240822BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240822BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240822BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240822BHJP
C07K 1/13 20060101ALI20240822BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240822BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240822BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240822BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20240822BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K47/68
A61P11/00
A61P9/00
A61P9/12
A61P1/16
A61P1/00
A61P19/02
A61P13/12
A61P17/00
A61P15/00
A61K31/4418
A61K31/444
A61K31/44
A61K45/00
C07K16/28 ZNA
C07K19/00
C07K1/13
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N15/88 Z
C12P21/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510466
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 CN2022113767
(87)【国際公開番号】W WO2023020624
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524063785
【氏名又は名称】ヒューニライフ バイオテクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HUNILIFE BIOTECHNOLOGY, INC.
【住所又は居所原語表記】6F-1, No.308, Sec.1, Neihu Rd., Neihu Dist., Taipei City, Taiwan 114
(74)【代理人】
【識別番号】100113398
【氏名又は名称】寺崎 直
(72)【発明者】
【氏名】ユアン, タ-トゥン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン, ウェイ-チン
(72)【発明者】
【氏名】チュン, イ-チェ
(72)【発明者】
【氏名】チュアン, チ-フェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, マオ-リン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン, ユン-ツァン
【テーマコード(参考)】
4B064
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
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4C086ZA42
4C086ZA59
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4C086ZA89
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
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4H045BA41
4H045BA70
4H045BA71
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、線維性疾患を治療するための医薬の製造における、有効量のアルファ-エノラーゼ(エノラーゼ-1、ENO-1)アンタゴニストの使用に関する。ENO-1アンタゴニストは、体重減少及び肺重量増加、並びに肺における線維化病変及びコラーゲン沈着を有意に抑制した。また、ENO-1アンタゴニストは、マウス初代肺筋線維芽細胞における細胞遊走、コラーゲン、及びTGF-βの分泌を有意に減少させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線維性疾患を治療するための医薬を製造するための、有効量のアルファ-エノラーゼ(エノラーゼ-1、ENO-1)アンタゴニストの使用。
【請求項2】
前記ENO-1アンタゴニストは、抗ENO-1抗体又はその結合フラグメントである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記ENO-1アンタゴニストは、抗原結合ドメイン、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、及びシグナル伝達ドメインを含む抗ENO-1キメラ抗原レセプター(CAR)であり、前記抗原結合ドメインは、抗ENO-1抗体の少なくとも一部である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記抗原結合ドメインは、配列番号1(GYTFTSCVMN)、配列番号2(YINPYNDGTKYNEKFKG)、配列番号3(EGFYYGNFDN)、配列番号4(RASENIYSYLT)、配列番号5(NAKTLPE)、及び配列番号6(QHHYGTPYT)に示されるアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記抗原結合ドメインは、配列番号7(GYTFTSXVMN、ここで、Xは、システインを除く任意のアミノ酸)、配列番号2(YINPYNDGTKYNEKFKG)、配列番号3(EGFYYGNFDN)、配列番号4(RASENIYSYLT)、配列番号5(NAKTLPE)、及び配列番号6(QHHYGTPYT)に示されるアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の使用。
【請求項6】
前記ヒンジ領域は、CD8アルファヒンジ領域(TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD:配列番号8)を含み、
任意に、前記膜貫通ドメインは、CD8アルファ膜貫通領域(IYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT:配列番号9)及び/又はCD28膜貫通領域(FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV:配列番号10)を含み、
任意に、前記シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ(RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR:配列番号11)を含み、
任意に、前記シグナル伝達ドメインは、更に、4-1BB、CD28の細胞内ドメイン、DAP10、OX40、又はこれらの組み合わせを含み、
任意に、前記抗ENO-1 CARは、シグナルペプチドを更に含み、
任意に、前記シグナルペプチドは、IgGカッパ軽鎖シグナルペプチド、CD8アルファシグナルペプチド、GM-CSFシグナルペプチド、HSAシグナルペプチド、IgG重鎖シグナルペプチド、IgG軽鎖シグナルペプチド、CD33シグナルペプチド、IL-2シグナルペプチド、又はインスリンシグナルペプチドを含む、
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記抗ENO-1 CARは、シグナルペプチド、抗ENO-1抗体、CD8アルファヒンジ領域、CD8アルファ膜貫通領域、4-1BB、及びCD3ゼータを含む、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記ENO-1アンタゴニストは、
Ab-(L-D)m(I)の一般式を有し、
Abは、抗ENO-1抗体又はその結合フラグメントであり、Lは、リンカー又は直接結合であり、Dは、治療剤又は標識であり、mは、1~12の整数である、ENO-1に特異的に結合する免疫複合体である、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
前記抗体は、モノクローナル抗体である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はこれらの抗体フラグメントである、請求項8に記載の使用。
【請求項11】
前記治療剤は、抗線維化剤、免疫調節剤、放射性同位体、及び毒素を含む、請求項8に記載の使用。
【請求項12】
前記抗線維化剤は、ピルフェニドン若しくはニンテダニブ、ソラフェニブ及び他のRTKI等の受容体チロシンキナーゼ阻害剤(RTKI)、又はアンジオテンシンII(AT1)受容体遮断剤、又はCTGF阻害剤、又は潜在性TGF-β複合体の活性化因子を含むTGF-β及びBMP活性化経路、例えば、MMP2、MMP9、THBS1又は細胞表面インテグリン、TGF3受容体I型(TGFBRI)又はII型(TGFBRII)及びこれらのリガンド、例えば、TGF3、アクチビン、インヒビン、ノーダル、抗ミジレリアンホルモン、GDF又はBMP、補助共受容体(III型受容体とも呼ばれる)、又は制御性あるいは阻害性SMADタンパク質を含むSMAD依存性正準経路の成分、又はMAPKシグナル伝達の様々なブランチ、TAK1、Rho様GTPaseシグナル伝達経路、ホスファチジルイノシトール-3キナーゼ/AKT経路、TGF-β誘導性EMTプロセスを含むSMAD非依存性又は非共有性経路のメンバー、又はHhリガンドまたは標的遺伝子を含む正準及び非正準ヘッジホッグシグナル伝達経路、又はWNT経路の何らかのメンバー、又はTGF-βシグナル伝達に影響を与えやすいノッチ経路を阻害しやすい抗線維化化合物を含む、請求項8に記載の使用。
【請求項13】
前記標識は、診断試薬又は画像化試薬を含む、請求項8に記載の使用。
【請求項14】
前記抗体は、
HCDR1(GYTFTSCVMN:配列番号1)、
HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG:配列番号2)、及び
HCDR3(EGFYYGNFDN:配列番号3)を含む3つの相補的領域を有する重鎖可変ドメインと、
LCDR1(RASENIYSYLT:配列番号4)、
LCDR2(NAKTLPE:配列番号5)、及び
LCDR3(QHHYGTPYT:配列番号:6)を含む3つの相補的領域を有する軽鎖可変ドメインとを含む、
請求項8に記載の使用。
【請求項15】
前記抗体は、
HCDR1(GYTFTSXVMN、ここで、Xは、システインを除く任意のアミノ酸:配列番号7)、
HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG:配列番号2)、及び
HCDR3(EGFYYGNFDN:配列番号3)を含む3つの相補的領域を有する重鎖可変ドメインと、
LCDR1(RASENIYSYLT:配列番号4)、
LCDR2(NAKTLPE:配列番号5)、及び
LCDR3(QHHYGTPYT:配列番号6)を含む3つの相補的領域を有する軽鎖可変ドメインとを含む、
請求項8に記載の使用。
【請求項16】
前記ENO-1アンタゴニストは、細胞内に送達され、細胞内タンパク質又はペプチドとして発現される核酸である、請求項1に記載の使用。
【請求項17】
前記ENO1アンタゴニストは、分泌型、非分泌型、又はこれらの組み合わせである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記ENO-1アンタゴニストは、ウイルスベクター、ポリマー、及び/又はリポソームを介して送達される、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
前記線維性疾患は、特発性肺線維症(IPF)、肺高血圧症、肺線維症、肺気腫、非アルコール性脂肪肝炎、膵線維症、腸線維症、心線維症、骨髄線維症、関節線維症、間質性肺疾患、非特異性間質性肺炎(NSIP)、通常型間質性肺炎(UIP)、心内膜線維症、縦隔線維症、後腹膜線維症、進行性巨大線維症(石炭労働者塵肺の合併症)、腎性全身性線維症、クローン病、陳旧性心筋梗塞、強皮症/全身性硬化症、神経線維腫症、Hermansky-Pudlak症候群、糖尿病性腎症、腎線維症、肥大型心筋症(HCM)、高血圧関連腎症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、放射線誘発性線維症、子宮平滑筋腫(子宮筋腫)、アルコール性肝疾患、肝脂肪症、肝線維症、肝硬変、C型肝炎ウイルス(HCV)感染、慢性臓器移植拒絶反応、皮膚の線維化状態、ケロイド瘢痕、デュプイトレン拘縮、エーラス-ダンロス症候群、表皮水疱性ジストロフィカ、口腔粘膜下線維症、又は線維増殖性障害を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項20】
線維性疾患を治療するための方法であって、
有効量のアルファ-エノラーゼ(エノラーゼ-1、ENO-1)アンタゴニストを、これを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項21】
前記線維性疾患は、特発性肺線維症(IPF)、肺高血圧症、肺線維症、肺気腫、非アルコール性脂肪肝炎、膵線維症、腸線維症、心線維症、骨髄線維症、関節線維症、間質性肺疾患、非特異性間質性肺炎(NSIP)、通常型間質性肺炎(UIP)、心内膜線維症、縦隔線維症、後腹膜線維症、進行性巨大線維症(石炭労働者塵肺の合併症)、腎性全身性線維症、クローン病、陳旧性心筋梗塞、強皮症/全身性硬化症、神経線維腫症、Hermansky-Pudlak症候群、糖尿病性腎症、腎線維症、肥大型心筋症(HCM)、高血圧関連腎症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、放射線誘発性線維症、子宮平滑筋腫(子宮筋腫)、アルコール性肝疾患、肝脂肪症、肝線維症、肝硬変、C型肝炎ウイルス(HCV)感染、慢性臓器移植拒絶反応、皮膚の線維化状態、ケロイド瘢痕、デュプイトレン拘縮、エーラス-ダンロス症候群、表皮水疱性ジストロフィカ、口腔粘膜下線維症、又は線維増殖性障害を含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
線維性疾患の治療に使用するための、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載のENO-1アンタゴニスト。
【請求項23】
前記線維性疾患は、特発性肺線維症(IPF)、肺高血圧症、肺線維症、肺気腫、非アルコール性脂肪肝炎、膵線維症、腸線維症、心線維症、骨髄線維症、関節線維症、間質性肺疾患、非特異性間質性肺炎(NSIP)、通常型間質性肺炎(UIP)、心内膜線維症、縦隔線維症、後腹膜線維症、進行性巨大線維症(石炭労働者塵肺の合併症)、腎性全身性線維症、クローン病、陳旧性心筋梗塞、強皮症/全身性硬化症、神経線維腫症、Hermansky-Pudlak症候群、糖尿病性腎症、腎線維症、肥大型心筋症(HCM)、高血圧関連腎症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、放射線誘発性線維症、子宮平滑筋腫(子宮筋腫)、アルコール性肝疾患、肝脂肪症、肝線維症、肝硬変、C型肝炎ウイルス(HCV)感染、慢性臓器移植拒絶反応、皮膚の線維化状態、ケロイド瘢痕、デュプイトレン拘縮、エーラス-ダンロス症候群、表皮水疱性ジストロフィカ、口腔粘膜下線維症、又は線維増殖性障害を含む、
請求項22に記載の使用のためのENO-1アンタゴニスト。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年8月20日に出願された米国仮出願第63/235,486号の優先権の利益を主張するものであり、この仮出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本開示は、線維性疾患及び結合組織障害の分野に関する。より具体的には、本開示は、線維性疾患、特に特発性肺線維症の治療及び/又は予防のためのアルファ-エノラーゼ(エノラーゼ-1、ENO-1)アンタゴニストの使用に関する。
【0003】
背景技術
線維性疾患は、臓器又は組織において、修復過程又は反応過程で過剰な線維性結合組織が形成されることを含む。このような線維性疾患には、特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)、肺高血圧症、肺線維症、肺気腫、非アルコール性脂肪肝炎、膵線維症、腸線維症、心線維症、骨髄線維症、関節線維症、間質性肺疾患、非特異性間質性肺炎(non-specific interstitial pneumonia:NSIP)、通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia:UIP)、心内膜線維症、縦隔線維症、後腹膜線維症、進行性巨大線維症(石炭労働者塵肺の合併症)、腎性全身性線維症、クローン病、陳旧性心筋梗塞、強皮症/全身性硬化症、神経線維腫症、Hermansky-Pudlak症候群、糖尿病性腎症、腎線維症、肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)、高血圧関連腎症、巣状分節性糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)、放射線誘発性線維症、子宮平滑筋腫(子宮筋腫)、アルコール性肝疾患、肝脂肪症、肝線維症、肝硬変、C型肝炎ウイルス(HCV)感染、慢性臓器移植拒絶反応、皮膚の線維化状態、ケロイド瘢痕、デュプイトレン(Dupuytren)拘縮、エーラス-ダンロス(Ehlers-Danlos)症候群、表皮水疱性ジストロフィカ、口腔粘膜下線維症、および線維増殖性障害等が含まれる。
【0004】
ENO-1は、多機能性タンパク質であり、当初は解糖経路の重要な酵素として発見されたものである。正常な状態では、ENO-1は、細胞質に発現する。しかしながら、ENO-1は、プラスミノーゲン受容体として多くの癌細胞の細胞表面や、好中球、リンパ球、単球等の活性化された造血細胞上でも発現することが見出されている。プラスミノーゲンレセプタータンパク質のアップレギュレーションは、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化システムのカスケード反応を誘導し、細胞外マトリックスの分解をもたらすことが知られている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、ENO-1を標的とするアルファ-エノラーゼ(エノラーゼ-1、ENO-1)アンタゴニスト、及びその使用に関し、ENO-1アンタゴニストは、抗原結合構造ドメインとして、ENO-1、例えば、ヒトENO-1抗体に対する結合能を有し、ENO-1の生物学的効果を中和する。ENO-1アンタゴニストは、遊離ENO-1タンパク質及び細胞表面上のENO-1タンパク質に結合でき、線維性疾患の治療において重要な適用展望を有する。
【0006】
本開示の特定の実施形態において、線維化疾患又は障害は、ENO-1タンパク質の異常な活性化又は発現から生じる任意の状態であってもよい。このような疾患の例としては、肝臓、腸、腎臓、皮膚、表皮、内皮、筋肉、腱、軟骨、心臓、膵臓、肺、子宮、神経系、精巣、陰茎、卵巣、副腎、動脈、静脈、結腸、腸(例えば、小腸)、胆道、軟部組織(例えば、縦隔又は後腹膜)、骨髄、関節、眼、胃の線維症、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0007】
本開示の特定の実施形態では、線維性疾患又は障害として、特発性肺線維症(IPF)、肺高血圧症、肺線維症、肺気腫、非アルコール性脂肪肝炎、膵線維症、腸線維症、心線維症、骨髄線維症、関節線維症、間質性肺疾患、非特異性間質性肺炎(NSIP)、通常型間質性肺炎(UIP)、心内膜線維症、縦隔線維症、後腹膜線維症、進行性巨大線維症(石炭労働者塵肺の合併症)、腎性全身性線維症、クローン病、陳旧性心筋梗塞、強皮症/全身性硬化症、神経線維腫症、Hermansky-Pudlak症候群、糖尿病性腎症、腎線維症、肥大型心筋症(HCM)、高血圧関連腎症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、放射線誘発性線維症、子宮平滑筋腫(子宮筋腫)、アルコール性肝疾患、肝脂肪症、肝線維症、肝硬変、C型肝炎ウイルス(HCV)感染、慢性臓器移植拒絶反応、皮膚の線維化状態、ケロイド瘢痕、デュプイトレン拘縮、エーラス-ダンロス症候群、表皮水疱性ジストロフィカ、口腔粘膜下線維症、および線維増殖性障害を挙げうる。好ましい実施形態において、線維性疾患又は障害として、特発性肺線維症、肺高血圧症、肺気腫、非アルコール性脂肪肝炎、膵線維症、腎線維症、腸線維症、心線維症、骨髄線維症、関節線維症、又は全身性硬化症を挙げうる。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態において、ENO-1アンタゴニストは、抗ENO-1抗体又はその結合フラグメントでありうる。本開示のいくつかの実施形態において、ENO-1アンタゴニストは、抗原結合ドメイン、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、及びシグナル伝達ドメインを含む、抗ENO-1キメラ抗原受容体(CAR)であってもよく、ここで抗原結合ドメインは、抗ENO-1抗体の少なくとも一部である。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、配列番号1(GYTFTSCVMN)、配列番号2(YINPYNDGTKYNEKFKG)、配列番号3(EGFYYGNFDN)、配列番号4(RASENIYSYLT)、配列番号5(NAKTLPE)、及び配列番号6(QHHYGTPYT)に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。好ましくは、抗体は、HCDR1(GYTFTSCVMN:配列番号1)、HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG:配列番号2)、及びHCDR3(EGFYYGNFDN:配列番号3)の3つの相補的領域を有する重鎖可変ドメインと、LCDR1(RASENIYSYLT:配列番号4)、LCDR2(NAKTLPE:配列番号5)、及びLCDR3(QHHYGTPYT:配列番号:6)の3つの相補的領域を有する軽鎖可変ドメインとを含んでいてもよい。
【0010】
本開示の他の実施形態において、抗原結合ドメインは、配列番号7(GYTFTSXVMN、ここで、Xは、システインを除く任意のアミノ酸)、配列番号2(YINPYNDGTKYNEKFKG)、配列番号3(EGFYYGNFDN)、配列番号4(RASENIYSYLT)、配列番号5(NAKTLPE)、及び配列番号6(QHHYGTPYT)のアミノ酸配列を含んでもよい。好ましくは、抗体は、HCDR1(GYTFTSXVMN、ここで、Xは、システインを除く任意のアミノ酸:配列番号7)、HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG:配列番号2)、及びHCDR3(EGFYYGNFDN:配列番号3)の3つの相補的領域を有する重鎖可変ドメインと、LCDR1(RASENIYSYLT:配列番号4)、LCDR2(NAKTLPE:配列番号5)、及びLCDR3(QHHYGTPYT:配列番号6)の3つの相補的領域を有する軽鎖可変ドメインとを含んでもよい。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態において、ヒンジ領域は、CD8アルファヒンジ領域(TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD:配列番号8)を含んでいてもよく、オプションとして、前記膜貫通ドメインは、CD8アルファ膜貫通領域(IYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT:配列番号9)及び/又はCD28膜貫通ドメイン(FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV:配列番号10)を含んでいてもよく、オプションとして、前記シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ(RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR:配列番号11)を含んでいてもよく、オプションとして、前記シグナル伝達ドメインは、更に、4-1BB、CD28の細胞内ドメイン、DAP10、OX40、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよく、オプションとして、前記抗ENO-1 CARは、シグナルペプチドを更に含んでいてもよく、オプションとして、前記シグナルペプチドは、IgGカッパ軽鎖シグナルペプチド、CD8アルファシグナルペプチド、GM-CSFシグナルペプチド、HSAシグナルペプチド、IgG重鎖シグナルペプチド、IgG軽鎖シグナルペプチド、CD33シグナルペプチド、IL-2シグナルペプチド、又はインスリンシグナルペプチドを含んでもよい。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態において、抗ENO-1 CARは、シグナルペプチド、抗ENO-1抗体、CD8アルファヒンジ領域、CD8アルファ膜貫通領域、4-1BB、及びCD3ゼータを含んでもよい。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態において、ENO-1アンタゴニストは、ENO-1に特異的に結合する免疫複合体であってもよく、Ab-(L-D)m(I)の一般式を有し、ここで、Abは、抗ENO-1抗体又はその結合フラグメントであり、Lは、リンカー又は直接結合であり、Dは、治療剤又は標識であり、mは、1~12の整数である。抗体は、好ましくは、モノクローナル抗体であってもよい。抗体は、好ましくは、マウス抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はこれらの抗体フラグメントであってもよい。
【0014】
本開示の特定の実施形態において、治療剤は、抗線維化剤、免疫調節剤、放射性同位体、及び毒素を含んでもよい。好ましくは、ENO-1アンタゴニストは、既知の抗線維化活性を有する少なくとも1つの治療的に活性な薬剤と組み合わせて使用でき、その薬剤は、ピルフェニドン又は受容体チロシンキナーゼ阻害剤(receptor tyrosine kinase inhibitor:RTKI)、例えば、ニンテダニブ(Nintedanib)、ソラフェニブ(Sorafenib)及び他のRTKI等、又はアンジオテンシンII(AT1)受容体遮断剤、又はCTGF阻害剤、又は潜在性TGF-β複合体の活性化因子を含むTGF-β及びBMP活性化経路、例えば、MMP2、MMP9、THBS1又は細胞表面インテグリン、TGF3受容体I型(TGFBRI)又はII型(TGFBRII)及びこれらのリガンド、例えば、TGF3、アクチビン、インヒビン、ノーダル(Nodal)、抗ミジレリアンホルモン、GDF又はBMP、補助共受容体(III型受容体とも呼ばれる)、又は制御性若しくは阻害性SMADタンパク質を含むSMAD依存性正準経路の成分、又はMAPKシグナル伝達の様々なブランチ、TAK1、Rho様GTPaseシグナル伝達経路、ホスファチジルイノシトール-3キナーゼ/AKT経路、TGF-β-誘導性EMTプロセスを含むSMAD非依存性若しくは非共有性経路のメンバー、又はHhリガンドまたは標的遺伝子を含む正準及び非正準ヘッジホッグシグナル伝達経路、又はWNT経路の何らかのメンバー、又はTGF-βシグナル伝達に影響を与えやすいノッチ経路を阻害しやすい抗線維化化合物から選択される。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態において、ENO-1アンタゴニストは、経口、非経口、頬、膣、直腸、吸入、気腹、舌下、筋肉内、皮下、局所、鼻内、腹腔内、胸腔内、静脈内、硬膜外、髄腔内、又は脳室内経路によって、又は関節への注射によって投与できる。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物である。好ましい一実施形態において、対象は、ヒトである。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態において、ENO-1アンタゴニストは、細胞に送達され、ペプチドの細胞内タンパク質として発現される核酸、例えば、DNA又はRNAであることがあり得る。例えば、ENO-1アンタゴニストは、例えば、抗ENO-1抗体又はその結合フラグメントとして転写及び翻訳できる核酸であることがあり得る。更に、核酸は、分泌シグナルペプチドを有することも有さないこともあり得、したがって、核酸から転写及び翻訳されるタンパク質又はペプチドは、分泌、非分泌又はこれらの組み合わせであることがあり得る。本開示のいくつかの実施形態において、核酸は、任意の公知の方法又は媒体、例えば、ウイルスベクター、ポリマー、又はリポソームを介して対象に送達できる。本開示のいくつかの実施形態において、核酸は、公知の修飾ヌクレオチド、例えば、擬似UTP、1-Me擬似UTP、5-メトキシUTP、N1-エチル擬似UTP、5-メチルCTP、又はN4-アセチルCTPで置換され、発現効率を高めてもよい。
【0018】
先行技術と比較して、ここに開示する発明は、以下の有益な効果を有する。本開示によれば、in vivo及びin vitroの実験により、ENO-1アンタゴニスト、例えば、ENO-1 mAb HuL217の抗線維化効果及び抗炎症効果が証明される。すなわち、ENO-1アンタゴニストは、線維性疾患、例えば、IPFに対する潜在的な治療法である。
【0019】
薬学的に有効な量は、患者の状態、年齢、疾患状態、投与経路等のような多くの因子に依存し、そのような有効な量は、過度な実験を行うことなく、日常診療においてこれらの因子に基づいて決定されうることは、当業者は理解するであろう。
【0020】
ここに開示する本発明の他の態様は、以下の説明により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ヒト線維症肺及びブレオマイシン(bleomycin)誘発肺線維症マウスモデルの肺におけるENO-1の過剰発現を示す図である。詳細は、例2に記載されている。
【0022】
【
図2】ブレオマイシン誘発肺線維症モデルマウスにおける体重減少及び肺重量増加を抑制するHuL217のin vivo抗線維症効果を示す図である。詳細は、例3に記載されている。
【0023】
【
図3】ブレオマイシン誘発肺線維症モデルマウスにおける肺切片のAshcroftスコア及び炎症スコアを減少させるENO-1 mAb HuL217のin vivo抗線維化効果を示す図である。詳細は、例3に記載されている。
【0024】
【
図4】ブレオマイシン誘発肺線維症モデルマウス由来の肺のコラーゲン及び気管支肺胞洗浄液中のTGF-βを減少させるENO-1 mAb HuL217のin vivo抗線維症効果を示す図である。詳細は、例3に記載されている。
【0025】
【
図5】ブレオマイシン誘発肺線維症モデルマウス由来の肺における筋線維芽細胞(アルファ-SMA陽性)を減少させるENO-1 mAb HuL217のin vivo抗線維化効果を示す図である。詳細は、例3に記載されている。
【0026】
【
図6】ブレオマイシン誘発肺線維症モデルマウス由来の肺における単球及び好中球の動員を減少させるENO-1 mAb HuL217のin vivo抗炎症効果を示す図である。詳細は、例3に記載されている。
【0027】
【
図7】TGF-β刺激初代マウス及びヒト肺線維芽細胞の遊走を減少させるENO-1 mAb HuL217のin vitro抗線維化効果を示す図である。詳細は、例4に記載されている。
【0028】
【
図8】TGF-β1刺激初代ヒト正常線維芽細胞におけるコラーゲン、TGF-β1、及びVEGF分泌を減少させるENO-1 mAb HuL217のin vitro抗線維化効果を示す図である。詳細は、例4に記載されている。
【0029】
【
図9】初代ヒトIPF線維芽細胞におけるコラーゲン、TGF-β1及びVEGF分泌を減少させるENO-1 mAb HuL217のin vitro抗線維化効果を示す図である。詳細は、例4に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
全般的な定義
【0031】
本発明の実施には、特に断りのない限り、分子生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の従来技術を用いるが、これらは、当業者の技術範囲内である。このような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、「Molecular Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed. by Sambrook, Fritsch and Maniatis (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)」、「DNA Cloning, Volumes I and II (D. N. Glover ed., 1985)」、「Culture Of Animal Cells (R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987)」、「Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press, 1986)」、「B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984)」、「the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.)」、「Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller and M. P. Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory)」、「Methods In Enzymology, Vols. 154 and 155 (Wu et al. eds.), Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987)」、「Antibodies: A Laboratory Manual, by Harlow and Lane s (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988)」、及び「Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986)」等の文献がある。
【0032】
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は、最も広い意味で互換的に使用され、モノクローナル抗体(例えば、完全長又はインタクトモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、一価抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、所望の生物学的活性を示す限り、二重特異性抗体)を含み、特定の抗体フラグメント(本明細書でより詳細に記載される)も含まれ得る。抗体は、キメラ、ヒト、ヒト化及び/又はアフィニティー成熟であることがあり得る。
【0033】
「可変(variable)」という用語は、抗体間で可変ドメインの特定の部分の配列が広範に異なり、その部分が、特定の抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性に使用されるという事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。これは、いずれも軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメイン内の相補性決定領域(complementarity-determining region:CDR)又は超可変領域(hypervariable region)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(framework:FR)と呼ばれる。ネイティブの重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインは、それぞれ4つのFR領域からなり、大部分がベータシート構造をとり、3つのCDRによって連結され、ベータシート構造を連結するループを形成し、場合によってはベータシート構造の一部を形成する。各鎖のCDRは、FR領域によって近接して保持され、もう一方の鎖のCDRとともに抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(「Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, National Institute of Health, Bethesda, Md. (1991)」参照)。定数ドメインは、抗体と抗原の結合には、直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性への抗体の関与等、様々なエフェクター機能を示す。
【0034】
抗体は、完全長であることもでき、抗原結合部分を有する抗体のフラグメント(又は複数のフラグメント)を含むこともでき、これには、以下に限定されるものではないが、Fab、F(ab’)2、Fab’、F(ab)’、Fv、一本鎖Fv(scFv)、二価scFv(bi-scFv)、三価scFv(tri-scFv)、Fd、dAbフラグメント(例えば、「Ward et al, Nature, 341 :544-546 (1989)」、CDR、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、直鎖抗体、一本鎖抗体分子、抗体断片から形成される多特異性抗体が含まれる。また、組換え法を用いて抗体フラグメントを接合することにより産生される一本鎖抗体又は合成リンカーも本発明に包含される。この点は、「Bird et al. Science, 1988, 242:423-426. Huston et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1988, 85:5879-5883」に記載されている。
【0035】
ここで、「治療」とは、治療される個体又は細胞の自然経過を変化させようとする臨床的介入を意味し、予防のため又は臨床病理学的処置の経過中に行うことができる。治療の望ましい効果としては、疾患の発生又は再発の予防、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理学的結果の軽減、炎症及び/又は組織/器官損傷の予防又は軽減、疾患の進行速度の低減、疾患状態の改善又は緩和、並びに寛解又は予後の改善が挙げられる。幾つかの実施形態において、本開示の抗体は、疾患又は障害の発症を遅延させるために使用される。
【0036】
「個体」又は「対象」は、脊椎動物である。いくつかの実施形態では、脊椎動物は、哺乳動物である。哺乳動物としては、以下に限定されるものではないが、農業動物(牛等)、競技動物、ペット(ネコ、イヌ、ウマ等)、霊長類、マウス、ラット等が挙げられる。特定の実施形態において、脊椎動物は、ヒトである。
【0037】
「有効量」とは、所望の治療的又は予防的結果を達成するために必要な投与量及び期間において有効な量をいう。なお、本開示の物質/分子の「有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重等のファクター、並びに個体において所望の応答を引き出すための物質/分子の能力に応じて変化し得る。また、有効量とは、治療上有益な作用が、物質/分子の毒性又は有害作用を上回る量である。一実施形態では、抗ENO-1抗体の有効量は、1~1000mg/kg、好ましくは、5~100mg/kg、より好ましくは、10~50mg/kg、例えば、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100mg/kgである。
【0038】
本明細書で使用する「治療剤」という用語は、細胞の機能を阻害若しくは阻止し、及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質を指す。この用語は、抗線維化剤、放射性同位体(例えば、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、60C、及びルテチウム-177、ストロンチウム-89及びサマリウム(153Sm)の放射性同位体)、免疫調節剤、及び毒素を含み、毒素としては、例えば、細菌、真菌、植物又は動物由来の低分子毒素又は酵素活性毒素等の毒素、並びにこれらの合成類似体及び誘導体が挙げられる。
【0039】
「線維化状態」、「線維増殖状態」、「線維化疾患」、「線維増殖性疾患」、「線維化障害」、及び「線維増殖性障害」は、交換可能に使用され、線維芽細胞の調節不全な増殖若しくは活性及び/又はコラーゲン性組織の病理学的若しくは過剰な蓄積を特徴とする状態、疾患、又は障害を指す。通常、このような疾患、障害又は状態は、いずれも、抗線維化作用を有する化合物の投与による治療が可能である。線維性疾患としては、以下に限定されるものではないが、特発性肺線維症(IPF)、肺高血圧症、肺線維症、肺気腫、非アルコール性脂肪肝炎、膵線維症、腸線維症、心線維症、骨髄線維症、関節線維症、間質性肺疾患、非特異性間質性肺炎(NSIP)、通常型間質性肺炎(UIP)、心内膜線維症、縦隔線維症、後腹膜線維症、進行性巨大線維症(石炭労働者塵肺の合併症)、腎性全身性線維症、クローン病、陳旧性心筋梗塞、強皮症/全身性硬化症、神経線維腫症、Hermansky-Pudlak症候群、糖尿病性腎症、腎線維症、肥大型心筋症(HCM)、高血圧関連腎症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、放射線誘発性線維症、子宮平滑筋腫(子宮筋腫)、アルコール性肝疾患、肝脂肪症、肝線維症、肝硬変、C型肝炎ウイルス(HCV)感染、慢性臓器移植拒絶反応、皮膚の線維化状態、ケロイド瘢痕、デュプイトレン拘縮、エーラス-ダンロス症候群、表皮水疱性ジストロフィカ、口腔粘膜下線維症、又は線維増殖性障害等が挙げられる。
【0040】
ここで使用する「特発性肺線維症」という用語は、慢性炎症プロセスの結果であると考えられる、慢性、進行性、及び通常は、致死性の肺疾患を指す。
【0041】
ここで使用する「抗線維化剤」という用語は、抗線維化作用を有することが知られている物質を指す。この用語は、ピルフェニドン又は受容体チロシンキナーゼ阻害剤(RTKI)、例えば、ニンテダニブ、ソラフェニブ及び他のRTKI等、又はアンジオテンシンII(AT1)受容体遮断剤、又はCTGF阻害剤、又は潜在性TGF-β複合体の活性化因子を含むTGF-β及びBMP活性化経路、例えば、MMP2、MMP9、THBS1又は細胞表面インテグリン、TGF3受容体I型(TGFBRI)又はII型(TGFBRII)及びこれらのリガンド、例えば、TGF3、アクチビン、インヒビン、ノーダル、抗ミジレリアンホルモン、GDF又はBMP、補助共受容体(III型受容体とも呼ばれる)、又は制御性若しくは阻害性SMADタンパク質を含むSMAD依存性正準経路の成分、又はMAPKシグナル伝達の様々なブランチ、TAK1、Rho様GTPaseシグナル伝達経路、ホスファチジルイノシトール-3キナーゼ/AKT経路、TGF-β誘導性EMTプロセスを含むSMAD非依存性若しくは非共有性経路のメンバー、又はHhリガンドまたは標的遺伝子を含む正準及び非正準ヘッジホッグシグナル伝達経路、又はWNT経路の何らかのメンバー、又はTGF-βシグナル伝達に影響を与えやすいノッチ経路を阻害しやすい抗線維化化合物から選択される。
【0042】
本開示の医薬は、局所的又は全身的に適用しうる。また、本開示の医薬は、組み合わせて、又は補因子とともに投与してもよい。本開示の医薬は、本開示の医薬が標的部位に通常存在する物質である場合、正常レベルを回復させるのに十分な量で投与してもよく、又は標的部位において正常レベルを上回るようにレベルを上昇させる量で投与してもよい。
【0043】
本開示の医薬は、外因性供給源から標的部位に供給してもよく、標的部位の細胞又は標的部位と同じ生物の細胞によってin vivoで産生してもよい。
【0044】
本開示の医薬は、任意の生理学的に適切な製剤であってよい。これらは、注射によって、局所的に、吸入によって、経口的に、又は任意の他の有効な手段によって生物に投与してもよい。
【0045】
また、過剰な線維症の形成及び維持を抑制又は阻害するための上述した医薬及び方法は、不適切な線維症の形成を抑制又は阻害するために使用してもよい。例えば、これらによって、肝臓、腎臓、肺、心臓及び心膜、眼、皮膚、口、膵臓、胃腸管、脳、乳房、骨髄、骨、泌尿生殖器、腫瘍、又は創傷に生じる状態を治療又は予防しうる。
【0046】
一般に、これらは、以下に限定されるものではないが、関節リウマチ、ループス(lupus)、病原性線維症、線維化疾患、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)感染後に形成されるような線維化病変、放射線損傷、自己免疫疾患、ライム病、化学療法誘発性線維症、HIV又は感染誘発性巣状硬化症、脊椎手術瘢痕による不全背部症候群、腹部癒着術後瘢痕、及び線維嚢胞形成を含む状態に起因する線維症を治療又は予防するものであってもよい。
【0047】
本開示の実施形態は、ENO-1抗体を含む抗体-薬物複合体、及び線維性疾患の治療におけるこれらの使用に関する。ENO-1は、多機能性タンパク質であり、プラスミノーゲンレセプターとして多くの癌細胞の細胞表面に発現し、及び好中球、リンパ球、単球等の活性化された造血細胞上に発現することが見出されている。したがって、ENO-1に対する抗体に基づくADCは、診断薬及び/又は治療剤として有用であり得る。
【0048】
しかしながら、治療用抗体の速やかな内在化やADCC活性の欠如は、抗体の無効性や耐性に帰結する可能性がある。したがって、抗ENO-1系治療剤の治療効果を高める必要がある。1つの手法は、ペイロード(payload)を抗ENO-1抗体と結合させることである(すなわち、抗体-薬物複合体)。
【0049】
本開示の実施形態において、抗ENO-1抗体又はその結合フラグメントは、薬物、診断薬、又は治療剤に結合させてもよい。したがって、本明細書で使用する「抗体-薬物複合体」(antibody-drug conjugate:ADC)という用語は、ペイロード(薬物、診断薬、又は治療剤であることができる)に結合された抗体部分(抗体全体又はその結合フラグメントであることができる)を意味してもよい。例示的なADCは、WO2021/228044A1に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本願に援用される。
【0050】
線維性疾患を治療する方法
【0051】
本開示は、線維性疾患、例えば、特発性肺線維症(IPF)を治療する方法を提供する。この方法は、一般に、これを必要とする対象に、有効量のアルファ-エノラーゼ(エノラーゼ-1、ENO-1)アンタゴニストを投与することを含む。
【0052】
幾つかの実施形態において、方法において使用されるENO-1アンタゴニストは、以下に限定されるものではないが、以下のいずれかを含んでもよい。
(1)抗ENO-1抗体又はその結合フラグメント。
(2)抗原結合ドメイン、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、及びシグナル伝達ドメインを含む、抗ENO-1キメラ抗原レセプター(CAR)。ここで、抗原結合ドメインは、抗ENO-1抗体の少なくとも一部である。
(3)Ab-(L-D)m (I)の一般式を有し、ここで、Abは、抗ENO-1抗体又はその結合フラグメントであり、Lは、リンカー又は直接結合であり、Dは、治療剤又は標識であり、mは、1~12の整数である、ENO-1に特異的に結合する免疫複合体。
(4)細胞内に送達され、細胞内の抗ENO-1抗体若しくはその結合フラグメント又は抗ENO-1 CARとして発現される、抗ENO-1抗体若しくはその結合フラグメント又は抗ENO-1 CARの核酸。
【0053】
以下の具体的な例を用いて本開示の実施形態を説明する。これらの例は、説明のためのものであり、本開示の範囲から逸脱することなく他の改変及び変形が可能であることは、当業者は理解するであろう。
【実施例】
【0054】
例1.抗ENO-1抗体の調製
【0055】
本開示の実施形態において、抗ENO-1抗体を作製するための一般的方法は、ENO-1に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得ることを含む。モノクローナル抗体を産生する方法は、当分野で公知であり、ここでは、詳述しない。簡単に説明すると、適切なアジュバントを伴う抗原(ENO-1)チャレンジをマウスに行う。その後、免疫したマウスの脾臓細胞を採取し、ハイブリドーマと融合させる。陽性クローンについて、ELISA等の任意の公知の方法を使用して、ENO-1抗原と結合するこれらの能力を識別してもよい。一実施形態において、抗ENO-1抗体は、HuL217である。
【0056】
抗体-薬物複合体は、ENO-1を特異的に標的化できる。これらのADCは、ENO-1に特異的に結合する任意の抗体を使用できる。例えば、特許請求される発明のADCは、マウス若しくはヒト化抗ENO-1抗体、又はそのscFv若しくはFabフラグメントを使用してもよい。例示的な、抗ENO-1抗体、例えばHuL217は、HCDR1(GYTFTSCVMN:配列番号1)、HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG:配列番号2)、及びHCDR3(EGFYYGNFDN:配列番号3)の3つの相補的領域を有する重鎖可変ドメインと、LCDR1(RASENIYSYLT:配列番号4)、LCDR2(NAKTLPE:配列番号5)、及びLCDR3(QHHYGTPYT:配列番号:6)の3つの相補的領域を有する軽鎖可変ドメインとを含みうる。別の例示的な抗ENO-1抗体は、HCDR1(GYTFTSXVMN、ここで、Xは、システインを除く任意のアミノ酸:配列番号7)、HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG:配列番号2)、及びHCDR3(EGFYYGNFDN:配列番号3)の3つの相補的領域を有する重鎖可変ドメインと、LCDR1(RASENIYSYLT:配列番号4)、LCDR2(NAKTLPE:配列番号5)、及びLCDR3(QHHYGTPYT:配列番号6)の3つの相補的領域を有する軽鎖可変ドメインとを含みうる。
【0057】
本開示の実施形態において、抗体は、マウス抗体であってもよい。あるいは、抗体は、キメラ抗体(例えば、マウス可変領域に結合されたヒト定常領域)又はヒト化抗体(例えば、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域にグラフトされたマウスCDR)又は完全なヒト抗体であってもよい。
【0058】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマからCDR配列を取得し、CDR配列をヒトフレームワーク配列にクローニングしてヒト化抗体を産生することによりヒト化してもよい。CDR配列の同定には、当分野で知られている一般的な方法を用いうる。本発明におけるCDR領域は、Kabat番号付けスキームにより同定される。まず、抗ENO-1のハイブリドーマ(例えば、マウスハイブリドーマ)を作製した。このようなハイブリドーマは、モノクローナル抗体を作製するための標準的なプロトコルで作製してもよい。次に、ハイブリドーマの全RNAを、例えば、TRIzol(登録商標)試薬を用いて単離した。次に、例えば、第一鎖cDNA合成キット(Superscript III)及びオリゴ(dT20)プライマー又はIg-3’定常領域プライマーを用いて、全RNAからcDNAを合成した。
【0059】
次に、免疫グロブリン遺伝子の重鎖及び軽鎖可変領域をcDNAからクローニングした。例えば、マウスハイブリドーマcDNAから、マウスIg-5’プライマーセット(Novagen)を用いて、PCRにより、抗ENO-1mAbのVH及びVL可変領域を増幅した。PCR産生物は、CloneJet(商標)PCRクローニングキット(Ferments)を用いて適切なベクター(例えばpJET1.2ベクター)に直接クローニングしてもよい。pJET1.2ベクターは、致死性挿入物(lethal insertions)を含んでおり、目的の遺伝子がこの致死性領域にクローニングされた場合のみ、選択条件に耐える。これにより、組換えコロニーの選択が容易になる。最後に、組換えコロニーから目的のクローンを選別し、これらのクローンのDNAを単離し、塩基配列を解析した。免疫グロブリン(IG)の塩基配列は、国際的なImMunoGeneTics情報システム(IGMT)のウェブサイトで解析できる。
【0060】
抗体の発現と精製
【0061】
抗体産生のために、単離されたクローンは、任意の適切な細胞で発現させてもよい。一例として、F293細胞(Life technologies)に抗ENO-1mAb発現プラスミドをトランスフェクトし、7日間培養した。抗ENO-1抗体は、プロテインAアフィニティーカラム(GE)を用いて培養液から精製した。タンパク質濃度は、Bio-Radタンパク質アッセイキットを用いて測定し、当分野で既知の手順又は製造業者の指示に従って、12%SDS-PAGEで解析してもよい。
【0062】
例2.ヒト及びマウスの線維化肺におけるENO-1の過剰発現
【0063】
この例では、ENO-1免疫組織化学(IHC)染色を使用して、ENO-1が線維化肺において異常に発現されるか否かを判定した。
図1Aに示す、ホルマリン固定、パラフィン包埋(formalin-fixed, paraffin-embedded:FFPE)肺組織サンプルは、商業的供給元から購入した。1個の正常ヒト肺FFPE組織切片は、BioChain Institute社(米国カリフォルニア州ニューアーク)及びUS Biomax社(米国メリーランド州ダーウッド)から入手した。3個のヒト線維化肺FFPEスライドは、OriGene Technologies社(米国メリーランド州ロックビル)から入手した。ENO-1の発現は、ヒト線維化肺では上昇したが、正常肺では上昇しなかった。定量的結果を
図1Bに示す。
【0064】
C57BL/6マウスにおけるブレオマイシン誘発肺線維症は、ヒトの線維性疾患である特発性肺線維症の最も一般的な実験モデルである。7~9週齢の雄性C57BL/6マウスにブレオマイシン(3mg/kg)を単回気管内投与した。21日後、肺をENO-1IHC染色のために採取した。
図1Cは、偽薬群と比較して、ブレオマイシン群(BLM)でENO-1が過剰発現していることを示している。定量的結果を
図1Dに示す。
【0065】
例3.ENO-1抗体のIPF疾患モデル
【0066】
HuL217をC57BL/6マウスのブレオマイシン誘発肺線維症で評価した。7~9週齢の雄性C57BL/6マウスに、ブレオマイシン(3mg/kg)を単回気管内投与した。マウスを無作為に3群に分け、それぞれ4個体を偽薬群、7個体をブレオマイシン+ビヒクル群又はブレオマイシン+HuL217群とした。ブレオマイシンチャレンジの日を0日目とした。HuL217群のマウスは、1日目、7日目、13日目及び19日目に静脈内注射された。その結果、HuL217の投与によって、ブレオマイシン群と比較して、体重減少及び肺重量増加(
図2)、Ashcroft及び炎症スコア(
図3)、並びに気管支肺胞洗浄液(bronchial alveolar lavage fluid:BALF)中の肺コラーゲン含量及びTGF-βレベル(
図4)を、減弱できたことが示された。更に、HuL217治療によって、ブレオマイシン誘導マウスの肺における筋線維芽細胞の蓄積が減少した(
図5)。HuL217の抗炎症効果を調べるために、フローサイトメトリーを用いて、BALFにおける肺への単球及び好中球の動員を解析した。
図6は、HuL217(ブレオマイシン注射の2時間前に静脈内注射)が、4日目にブレオマイシン誘導マウスの肺への単球及び好中球の動員を減少させたことを示した。
【0067】
例4.肺線維芽細胞に対するENO-1抗体のin vitro効果
【0068】
初代マウス肺線維芽細胞を雄性C57BL/6マウスから単離し、初代ヒト肺線維芽細胞をLonza社(英国、ロンドン)から購入した。両方の細胞をTGF-βで処理して遊走を誘導した。
図7は、HuL217がTGF-βで処理した初代肺線維芽細胞の遊走能を用量依存的に低下させたことを示している。正常(NHLF)又はIPF患者(DHLF-IPF)から単離した初代ヒト肺線維芽細胞を用いて、HuL217のin vitro抗線維化作用を更に検証した。HuL217は、TGF-β刺激NHLF(
図8)又はDHLF-IPF(
図9)において、コラーゲン、TGF-β1及びVEGFの分泌を用量依存的に減少させることができた。
【0069】
要約すると、ブレオマイシンマウスにおいて、HuL217は、体重減少及び肺重量増加、並びに肺の線維化病変及びコラーゲン沈着を有意に減弱した。TGF-β及び単球の上昇もまた、BALFにおいて減少した。HuL217は、初代マウス肺筋線維芽細胞における細胞遊走、コラーゲン及びTGF-βの分泌を有意に減少させることができた。
【0070】
別段の定義がない限り、ここで使用する全ての専門用語及び科学用語並びに略語は、本発明の分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明を実施するために、ここに記載されるものと類似する又は等価な任意の組成物、方法、キット、及び情報を伝達するための手段を使用でき、ここでは、好ましい組成物、方法、キット、及び情報を伝達するための手段を開示している。
【0071】
ここで引用される全ての参考文献は、法が許す限り、参照によりここに援用される。これらの参考文献の考察は、単にこれらの著者によってなされた主張を要約することを意図している。いずれの参考文献(又は文献の一部)も、これらが先行技術であると認めるものではない。出願人は、引用された文献の正確性及び適切性に異議を唱える権利を留保する。
【配列表】
【国際調査報告】