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▶ ハイダック プロセス テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/00 20060101AFI20240822BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20240822BHJP
   B01D 29/50 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B01D29/08 520A
B01D29/10 510C
B01D29/08 530A
B01D29/24 K
B01D29/26 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510474
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2022075944
(87)【国際公開番号】W WO2023046626
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021004750.8
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500563201
【氏名又は名称】ハイダック プロセス テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト シュリヒター
(72)【発明者】
【氏名】イェルク ヘルマン ゲルストナー
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート ドイチュマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリ ブークロフ
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA01
4D116AA26
4D116BA05
4D116BB01
4D116BC23
4D116BC27
4D116BC45
4D116BC47
4D116BC76
4D116BC77
4D116DD06
4D116EE04
4D116FF02A
4D116FF07B
4D116FF12B
4D116FF14B
4D116FF15B
4D116FF17B
4D116GG02
4D116GG04
4D116GG08
4D116GG09
4D116GG24
4D116KK04
4D116RR01
4D116RR04
4D116RR26
4D116VV04
(57)【要約】
特に濾材12を有する中空筒10の形態のフィルタ装置であって、粒子状汚染物質を除去すべき流体流が流れる方向で表面フィルタ14の上流側にプレフィルタ16が接続されており、プレフィルタ16は濾材12の有効表面積を増大させるためにバルク材18を有しており、バルク材18は、それぞれ開口幅がバルク材18の個々の粒24の直径よりも小さい流体通路を備えた限定層20、22の間に収容されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に濾材(12)を有する中空筒(10)の形態のフィルタ装置において、
粒子状汚染物質を除去すべき流体流が流れる方向で表面フィルタ(14)の上流側にプレフィルタ(16)が接続されており、前記プレフィルタ(16)は前記濾材(12)の有効表面積を増大させるためにバルク材(18)を有しており、前記バルク材(18)は、それぞれ開口幅がバルク材(18)の個々の粒(24)の直径よりも小さい流体通路を備えた限定層(20、22)の間に収容されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記限定層(20、22)の両方は、前記中空筒(10)の薄い筒壁を形成しており、前記筒壁の幅は前記中空筒(10)の内径の1~10%、好ましくは2~6%、特に好ましくは2.5%であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記バルク材(18)は、個々の粒の特に好適な粒径が0.1mm~2mmである、天然起源又は合成起源の無機材料、金属材料又は有機材料からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記限定層(20)と前記限定層(22)の間のバルク材(18)の充填高さ(H)は5~50mm、好ましくは10~30mmであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記バルク材(18)は疎水化されており、及び/又は疎水化された材料を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記バルク材(18)は、砂、ケイ酸塩、金属、ガラス、活性炭及び/又は粒状プラスチックからなることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
前記限定層(20、22)及び/又は前記表面フィルタ(14)は、ワイヤーメッシュ若しくはプラスチックメッシュ、又は不織布から形成されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
前記表面フィルタ(14)は、前記バルク材(18)のための限定層(22)を有するか、又はこの限定層自体を形成することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
前記中空筒(10)は、内側から外側に向かって、以下の構成要素、即ち、
内側支持体(26)、
前記バルク材(18)を限定するための限定層(20)、
前記表面フィルタ(14)の表面積を増大させるためのバルク材(18)、
任意選択の別の限定層(22)、
表面フィルタ(14)、
表面フィルタを支持する支持メッシュ、
外側支持体(28)を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
それぞれ使用される前記構成要素は、前記中空筒(10)の長手方向軸線に対して同心円状に延びていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
前記筒壁は、それぞれの構成要素がそれらの自由端でエンドキャップリング(32)によって囲まれており、前記エンドキャップリング(32)は好ましくは端部で前記中空筒(10)の筒壁を越えて突出していることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項12】
前記内側支持体(26)及び/又は前記外側支持体(28)は、多孔板、スリットスクリーン又はワイヤーメッシュから形成されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項13】
前記外側支持体(28)は、周囲に向かって外側に突出する周方向の螺旋状ワイヤーを有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置、特に濾材を有する中空筒の形をしたフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(独国特許出願公開第102019006765号明細書)により、多層フィルタ媒体を製造する方法及びこの方法に従って製造されたフィルタ媒体が知られており、この方法は少なくとも以下の製造ステップ、即ち、
流体用の通路を有するメッシュ層を準備するステップと、
流体用の別の通過個所を有する、スパンボンド不織布からなる不織布層を準備するステップと、
不織布層を溶融することにより互いに重ねた両層を接触箇所に沿って接合して、溶融したスパンボンド不織布材料が別の通過個所を拡大しながら少なくとも部分的に接触箇所に流れ、これらの箇所に蓄積した後で硬化して両層の間に強固な接合箇所が生み出されるステップと、を有する。
【0003】
ワイヤーメッシュを互いに焼結させることを含む、その他の点では既知のフィルタ媒体解決策とは異なり、不織布層として溶融不織布を使用することによって機械的安定化が行われる。この場合、溶融不織布の単位面積当たりの重量は、溶融不織布によって接合すべきワイヤーメッシュ間に高い空隙率を有する間隙が生じるように選択されて、熱融着接合プロセスが実施される。上記のフィルタ媒体を用いて製造されたフィルタエレメントは、逆洗エレメントとして、特に特許文献2(独国特許出願公開第102017002646号明細書)、特許文献3(独国特許出願公開第102017001970号明細書)、及び、特許文献4(独国特許出願公開第102019003932号明細書)に例示されているような逆洗フィルタ装置で使用することを想定している。
【0004】
上記のフィルタエレメントは、特に低粘度流体の固液分離に適しており、水の濾過において重要である。しかしながら、連続濾過の間に濾材の濾過孔は汚染粒子によって目に見えて覆われ、専門用語で目詰まりとも呼ばれる閉塞が生じる。汚染物質の保持が増大すると、それに応じて濾材の上流と下流で測定される差圧は必然的に急速に増大し、フィルタ装置はある差圧で上述した逆洗を開始する。濾材の汚染物質吸収能力が低いほど、及び目詰まりの頻度が高いほど、濾材を再び濾過に使用できるようにするために、流れを逆にして濾材を洗浄しなければならない。しかし、装置の濾過間隔が短くなればなるほど、時間単位当たりの逆洗頻度が高くなり、その結果、より多くの逆洗液が定期的に廃水の形で発生する一方、水中の汚染物質含有量によっては有効な再生のために相応に大きな逆洗フィルタが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019006765号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102017002646号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102017001970号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102019003932号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、この先行技術から出発して、既知のフィルタ解決策を上述した短所が回避されるように更に改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題は、特許請求項1の特徴をその全体において有するフィルタ装置によって解決される。
【0008】
請求項1の特徴部に従い、プレフィルタが、粒子状汚染物質を除去すべき流体流が流れる方向で表面フィルタの上流側にプレフィルタが接続されており、プレフィルタはフィルタの有効表面積を増大させるためにバルク材を有しており、バルク材は、それぞれ開口幅がバルク材の個々の粒の直径よりも小さい流体通路を備えた限定層の間に収容されていることにより、フィルタ装置若しくはフィルタエレメントの汚染物質吸収能力が増大して、上述した従来のエレメント構造と比較して同一のプロセス条件下で濾過期間が著しく長くなる。
【0009】
表面フィルタの本来の濾材の前で充填物によって形成される追加の細孔容積は、フィルタ全体の汚染物質吸収能力が相応に増大し、逆洗の開始に必要な差圧に達するのが比較的遅くなる。とりわけフィルタ全体の濾過精度に寄与する充填物は、粒子濾過のための付加的な抵抗をなすので、確かに初期差圧はフィルタ筒を備えた従来のフィルタ装置と比較するとやや高い。しかしながらそれとは対照的に、逆洗又は再生が開始される程度まで差圧が上昇するまで、はるかに長い時間がかかる。フィルタ全体の濾過精度は、最終的にはフィルタの微細メッシュによって決まる。そのため使用されるメッシュ材料も、バルク材の形態の充填物よりも相応に細かくなるように選択される。
【0010】
しかしながら、全体として同じ機器若しくは装置サイズで出力密度は高くなる。即ち、装置は比較的大きな体積流を処理できる。更に濾液の品質も向上する。表面フィルタの一部として使用される微細フィルタメッシュは、理論的にはその前に置かれた充填物よりも微細な幾何学的細孔を有することができるが、同じ微細メッシュを有する従来のフィルタ筒との比較試験では、本発明による溶液の方が高い保持率を示す。充填物を有するフィルタ筒の場合、粒子状汚染物質の保持はもはやサイズ排除機構又はふるい効果によるものだけでなく、吸着プロセスもますます重要になっていると推測することができる。いかなる場合も、充填物の形態のプレフィルタは、少なくとも片側が表面フィルタの一部でもあり得る限定層の間に収容されており、その開口幅は粒状バルク材がプレフィルタ層から意図せず流出するのを防ぐ。このようにして、非常に動的な濾過運転及び逆洗運転においても充填物が表面フィルタの上流側のプレフィルタ内に留まることが保証されている。
【0011】
好ましくは、両限定層は中空筒の薄い筒壁を形成し、その幅は中空筒の内径の1~10%、好ましくは2~6%、特に好ましくは2.5%である。このようにして、すべての活性フィルタ媒体が薄い筒壁内にまとめられているため、中空筒の内部は大部分が妨げられない貫流空間として利用できるので、体積流の高い処理能力が達成され、中空筒の全内部空間が、充填可能な形態も含めそれぞれのフィルタ媒体で多かれ少なかれ充満されている既知のフィルタの場合のように、流体流がフィルタ媒体内に長時間滞留することが意図的に追求されることはない。このようにして、本発明によるフィルタ装置で極めて効果的な表面フィルタ解決策が達成され、その上フィルタ媒体を洗浄する目的で反対向に非常に良好に逆洗することもできる。これに相当するものは従来技術にはない。
【0012】
本発明によるフィルタ装置の好適な実施形態では、バルク材が天然起源又は合成起源の無機材料、金属材料又は有機材料からなるようにされている。特に、ここでは廃ガラスから出るガラス片やこれに類するリサイクル材料を使用することもできる。このようにすることで、COを節約することができ、気候ニュートラルな方法で廃材から充填物を得ることができる。
【0013】
更に好ましくは、個々の粒の粒径が0.1mm~2mmであり、フィルタの両限定層の間のバルク材のバルク高さは5mm~50mm、好ましくは10mm~30mmである。このようにして、流動する流体に対する流動抵抗が充填物によって不利な影響を受けることなく、粒子保持の点で最適が達成される。
【0014】
バルク材は、好ましくは疎水化でき、及び/又は疎水化された材料を有することができ、このことは例えば油圧油などの流体中に運ばれた水が意図せずにバルク材中に沈積して、その後の濾過を損なうことがないという利点を有する。バルク材は、好ましくは、砂、ケイ酸塩、金属、ガラス、活性炭及び/又は粒状プラスチックからなる。
【0015】
本発明によるフィルタ装置の別の好適な実施形態では、フィルタの限定層及び/又は表面フィルタは、ワイヤーメッシュ若しくはプラスチックメッシュ、又は適切な不織布から形成されている。このようにして、耐食性のあるワイヤーメッシュ若しくはプラスチックメッシュを、極めて多様な織り方で製造することができる。したがって経糸と緯糸からなる普通のメッシュの他に、オランダ織りメッシュも使用することができる。
【0016】
本発明によるフィルタ装置の好適な実施形態では、表面フィルタがバルク材に対する限定層を有するか、又はこの限定層自体を形成するようにされている。更に、フィルタ筒は、好ましくは内側から外側に向かって以下の構成要素、即ち、
内側支持体、
バルク材を限定するための限定層、
表面フィルタの表面積を増大させるためのバルク材、
任意選択の別の限定層、
表面フィルタ、
表面フィルタを支持する支持メッシュ、
外側支持体、を有する。
【0017】
任意選択で、別の限定層が存在することができる。なぜなら、表面フィルタとしても機能してフィルタ全体の濾過精度を決定する後続の微細メッシュは、充填物を保持できるからである。表面フィルタを支持するための支持メッシュは、微細メッシュを後続の支持体上で支持できるようにするためにほぼ不可欠である。表面濾材は、多種多様な材料(無機/セラミック、有機又は金属)から、好ましくはステンレス鋼又はプラスチック製のメッシュ又は不織布として作製できる。好適には表面材料の濾過精度は、フィルタ筒全体の濾過精度を共に決定する充填物の平均的な幾何学的細孔より小さくなるように選択されている。表面濾材には、スクエアメッシュ又はオランダ織りメッシュなど多種多様な織り方のステンレス鋼製微細メッシュを、典型的には1~100μm、好ましくは10~50μmの範囲にある幾何学的細孔で使用できる。
【0018】
本発明によるフィルタ装置の別の特に好ましい実施形態では、内側支持体及び/又は外側支持体が、多孔板、スリットスクリーン又はワイヤーメッシュから形成されているようになっている。好ましくは更に、外側支持体が、周囲に向かって突出する周方向の螺旋状ワイヤーを有するようになっている。このような配置は、フィルタ本体を全体として、特に破裂圧力に対して安定させるのに役立つ。好適にはそれぞれの支持体は、フィルタ筒を限定するエンドキャップと接合、特に接着することができる。接着は、充填物内に最終的に空気が封入されるのを避け、またすべての層の密封を確保するために有利である。
【0019】
以下に本発明によるフィルタ装置を、図面に示した実施例に基づき詳細に説明する。図面は原理図であり、縮尺通りに表現されていない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一部切り開いたフィルタ中空筒の全体の斜視図である。
図2図2は、図1にXで示した円の部分の拡大図である。
図3図3は、図1に示したフィルタ筒の上部エンドキャップリングを取り外した状態で上から見た部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、フィルタ中空筒10の形態のフィルタ装置の全体を示している。このような中空筒10は、積層アセンブリ(図示せず)の一部として互いに上下に配置された複数のフィルタインサートからなることもでき、通常は独国特許出願DE102017001968A1号に記載されているように、フィルタハウジング内に交換可能に収容されるようになっている。このようなフィルタ中空筒10は通常、流体流が内側から外側へ通過して、その粒子状汚染物質が濾材12の内側に沈積する。中空筒10の内側中心に配置された逆洗装置(図示せず)は、回転可能に配置された洗浄アームによって中空筒10の内側に沿って周方向に延びるノズル状除去ユニットを有している。除去ユニットは中空筒10の外側で濾液圧を受けると、濾材12の外側から内側への逆洗を可能にし、除去された粒子はそれぞれの除去ユニットと洗浄アームを介して、逆洗流体としてフィルタハウジング内の対応する出口を通ってフィルタ全体から排出される。
【0022】
特に図2及び図3に示すように、中空筒10の濾材12は表面フィルタ14を有しており、粒子状汚染物質を除去すべき流体流が内側から外側へ流れる方向で表面フィルタ14の上流側にプレフィルタ16が接続されている。このようなプレフィルタ16は、濾材12の有効表面積を増大させる役割を果たすバルク材18を有しており、バルク材18は、それぞれ設定可能な大きさの流体通路を備えた2つの限定層20、22の間に収容されている。しかし、流体通路の開口幅はいかなる場合もバルク材18の個々の粒24の直径よりも小さくなっていて、粒状のバルク材18が意図せずにフィルタから洗い出されるのを防止する。ここで、濾材12という用語は、表面フィルタ14やバルク材18など、使用されるすべてのフィルタ構成要素の総称である。
【0023】
表面フィルタ14の上流側で濾材12の表面積を拡大するためのバルク材18は、天然起源又は合成起源の無機材料、金属材料又は有機材料からなることができる。廃ガラスから出るガラス片のようなリサイクル材料も使用できる。更に、バルク材18のための充填物として、必要に応じて上記材料の混合物も使用することができ、また、上記材料の少なくとも2つをそれぞれ1つの粒24に組み合わせた、いわゆる複合材料も使用できる。更に、それぞれの粒24を疎水化するなどの表面改質も考えられる。
【0024】
可能な限り大きな表面積を得るという観点で、個々の粒24は球形でも使用され、典型的な粒径は0.1~2mmである。図3でHと表記されている両限定層20と22の間の充填高さは5~50mm、好ましくは10~30mmである。例えば砂、ケイ酸塩、金属、ガラス片又はガラス玉、活性炭、プラスチックなどからなるそれぞれの充填物は、最も単純に図1及び図2を見る方向で上方から両限定層20と22の間に注入され、バルク材18を圧縮する必要はない。むしろ、必要に応じてフィルタ中空筒10に振動動作を加えることにより、均一な分布を達成することができる。
【0025】
表面フィルタ14は、表面フィルタ特性を有する濾材12のために、同様に多種多様な材料(無機/セラミック、有機又は金属)から作製することができ、好ましくはやはりステンレス鋼材又はプラスチック材料で作られるメッシュ又は不織布からなる。表面濾材の濾過精度は、好ましくはバルク材18を用いた充填物の平均幾何学的細孔よりも小さく、中空筒10全体若しくはフィルタ装置の濾過精度は、最終的に微細フィルタメッシュ12若しくは14の幾何学的細孔によって決定される。したがって、好適には表面フィルタ14にスクエアメッシュ又はオランダ織りメッシュなど多種多様な織り方のステンレス鋼製微細メッシュを、典型的に10~50μmの範囲の幾何学的細孔で使用できる。そのため表面濾材自体がバルク材18に対する限定層を形成することができ、その場合には限定層22はフィルタ層複合体内の独立した構成要素として省略することができよう。
【0026】
内側限定層20と外側限定層22の形態で充填物を限定するための両メッシュは、いかなる場合も、充填物の粒24よりも小さい孔径を備え、典型的には50~200μmの範囲にある。メッシュは、プラスチック構造でも線材から多種多様な織り方で作製できる。
【0027】
更に、中空筒10用のフィルタ層複合体は、内側支持体26と外側支持体28とを有する。このような支持体26及び28は、フィルタ本体を全体として崩壊圧力に対して安定化する役割を果たし、本例ではそのために円形の流体通路30を有する多孔板が使用される。簡略化のために図1には、そのような流体通路30を一部だけ示しているが、通常は中空筒10の全高にわたって周側面に延びている。支持体26及び28は、図示した多孔板の代わりに、スリットスクリーン又はワイヤーメッシュから作製することもでき、その場合に詳細に図示しないが周方向に螺旋状に配置されたワイヤーがメッシュ配置を所定位置に保持することができ、好ましくはこれを更に補強する。
【0028】
特に図1に示すように、中空筒10を完成させるために、上記濾材12は、その自由端でそれぞれ環状エンドキャップ32によって囲まれており、図2に上側のエンドキャップリング32が詳細に示されている。ここで、エンドキャップリング32は突出部34でフィルタ筒10のすべての個々の層の上端領域を包むように把持し、外側支持体28に面する側に中央ウェブ38によって互いに分離された2つの周溝36を有している。更に、リング32は、フィルタ層の端面に面する内側に別の周方向の内溝40を有する。このような溝36及び40は、詳細に図示されていない接着剤を収容する役割を果たすことができ、接着剤は接着剤床の方式で硬化して、環状エンドキャップ32をフィルタ中空筒10の他の層と固く接合し、特に充填物若しくはバルク材18がそのようなバルク材床の自由端において限定層20と22の間で外側に向かって所定の位置に留まることを確保する。リング32は内周側では、内側支持体26の内周面と面一であり、その反対側ではリング32の環状溝42にOシールリング44が受容されており、このOシールリング44は後に中空筒10がフィルタ全体のフィルタハウジング内に収容される際に中空筒10をシールする役割を果たす。
【0029】
中空筒10を上記のタイプの逆洗フィルタに使用するために、場合によっては洗浄装置の改造が必要である。例えば洗浄ギャップの寸法を特殊な筒設計に適合させなければならない。更に、逆洗の一環として、例えば逆洗装置の回転速度を調整するなど、プロセス制御を適合させることが必要になる場合もある。上述したフィルタ中空筒10は、専門用語でいわゆるフィルタバスケットとも呼ばれるが、それ自体はバスケット底を有していない。しかし、フィルタ中空筒10の別の設計では、特殊な用途のためにそのようなフィルタ筒に流体密の閉鎖底部(図示せず)を装備することも全く可能である。この場合、そのようなバスケット底は、好適にはフィルタ筒10全体のためのエンドキャップを形成する。
図1
図2
図3
【国際調査報告】