(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】照射硬化性シリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20240822BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512010
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2022073469
(87)【国際公開番号】W WO2023025792
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512135078
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials GmbH
【住所又は居所原語表記】Chemiepark Leverkusen,Gebaeude V7,51368 Leverkusen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】デ・サンティス,クリスチアン
(72)【発明者】
【氏名】ルッペンタール,アンドレア
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CP04X
4J002CP04Y
4J002CP14W
4J002CP14X
4J002FD150
4J002GJ02
4J002GQ00
4J002HA01
(57)【要約】
本発明は、照射硬化性シリコーン組成物、この組成物から得られる硬化組成物;硬化組成物を含む電子部品およびディスプレイのためのダム用途および充填用途におけるダムおよびシール材料としてのそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射硬化性シリコーン組成物であって:
A1)少なくとも1つのアルケニル基、好ましくは2つのアルケニル基を有し、20℃および剪断速度D=10s
-1で500Pa.sまでの粘度を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
A2)少なくとも1000Pa.s、好ましくは少なくとも2500Pa.s、より好ましくは5000Pa.s(20℃で振動モードで測定)の複素粘度を有し、以下の群から選択される少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサン:
アルケニル基を有しない直鎖ポリジオルガノシロキサンA2-1)および
ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する直鎖ポリジオルガノシロキサンA2-2)
B)少なくとも1つのSiH基、好ましくは少なくとも2つのSiH基を有する少なくとも1つのポリオルガノハイドロジェンシロキサン、および
C)少なくとも1つの照射活性化触媒、
D)任意選択的に1つまたはより多くの補助的成分を含む、照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
A1)は式(Ia1)の少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサンであり、
【化23】
式中それぞれのRは独立して飽和または芳香族有機基から選択され、それぞれのR
1は独立してアルケニル基から選択され、そしてxは≧0である、請求項1による照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
A2)は式(Ib)の少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサンであり、
【化24】
式中RおよびR
1は上記で定義した通りであり;R
2はRまたはR
1から選択され、yは≧0、そしてz≧0である、先の請求項のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
成分A2)は直鎖ポリジオルガノシロキサンであり、ここで少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのR
2はR
1であり、好ましくはR
2=R
1はビニルである、先の請求項のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
成分A1)は、20℃で5から300Pa・s、好ましくは10から200Pa・s、より好ましくは20から150Pa・sの粘度を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA11)を含む、先の請求項のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
成分A1)は、20℃で5Pa・s未満、好ましくは0.1から3Pa・s、より好ましくは0.2から2Pa・sの粘度を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA12)を含む、先の請求項のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項7】
成分A1)は、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA11)および少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA12)を含む、先の請求項のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項8】
成分A2)は、20℃および振動モードにおいて少なくとも1000Pa.sの複素粘度を有し、複素粘度は好ましくは1000から15000Pa.s、好ましくは2500から10000Pa.s、より好ましくは3000から8000Pa.sの範囲にある、先の請求項のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項9】
シリコーン組成物は20℃および10s
-1の剪断速度Dで少なくとも150Pa.s、好ましくは少なくとも175Pa.s、より好ましくは少なくとも200Pa.sの粘度を有し、および/または20℃および10s
-1の剪断速度Dで最大700Pa.sの粘度を有する、先の請求項のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項10】
成分A11)は式Ia)においてxの値が200から2000、好ましくは500から1200である、請求項5から10のいずれか1による照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項11】
成分A2)は式Ib)においてyの値が2500から10000、好ましくは3000から8000であり、およびzの値が0から350、好ましくは0から250、より好ましくは0から50である、実施形態3から10のいずれか1による照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項12】
成分B)は直鎖ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、好ましくはその非末端シロキシ単位にSiH基を有する以下のような直鎖ポリオルガノハイドロジェンシロキサンから選択され、
【化25】
式中Rは上記で定義した通りであり、そしてR
3はRおよびHから選択され、またp≧0およびq≧1である、先の請求項のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【請求項13】
先の請求項のいずれかによるシリコーン組成物をUV光により100から500nmから選択される波長で硬化することにより製造された硬化組成物。
【請求項14】
電子部品の光学的結合におけるダムおよびシール材料としての、先の請求項のいずれかによるシリコーン組成物の用途。
【請求項15】
請求項13による硬化シリコーン組成物を含むディスプレイまたはシーラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射硬化性シリコーン組成物、この組成物から得られる硬化組成物;硬化組成物を含む電子部品およびディスプレイのためのダム用途および充填用途におけるダムおよびシール材料としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シリコーン組成物を架橋するに際しての架橋プロセスはヒドロシリル化反応によって行われ、そこでは例えば、白金または白金族の別の金属を触媒として使用することができる。この触媒反応においては、脂肪族不飽和基がSiに結合した水素と反応する;それにより硬化組成物が形成される。
【0003】
一般にこのような組成物は、Siアルケニルを成分A1)として、SiH結合を備えたポリオルガノハイドロジェンシロキサンを成分B)として、触媒を成分C)として、そしてフィラーのような付加的な添加剤を成分D)として含んでいる。
【0004】
例えば、米国特許公開US2018/0314352Aは、少なくとも2つのアルケニル基を含むポリシロキサンと、平均して分子当たりに少なくとも2つのSiH基を有するポリヒドロキシシロキサンと、シリコーン樹脂と、フィラーと、そして光活性白金触媒とを含む、アクリル酸単位を含まない1成分系シリコーン材料を開示している。
【0005】
硬化組成物は、種々の異なる用例を有している。例えば、それはダム材料として使用することができる。そうしたダム材料の用例は、例えば国際公開公報WO2018/208348に記載されている。そこではダム材料は第1の基板の周縁に設けられ、次いで別の流動性シリコーンがこの第1の基板上に導入され、そして第2の基板がこのアセンブリの上部に配置され、それによって流動性シリコーンは2つの基板の間に捕捉される。
【0006】
第1および第2の基板が相互に上下に配置され、ダム材料の存在によって間にギャップを有する状況において、流動性シリコーンを注入することもまた可能である。
【0007】
硬化組成物は例えば、ディスプレイ、充填およびダムの用途、または(マイクロ)エレクトロニクス用に使用される。
【発明の概要】
【0008】
技術的課題
このような硬化組成物をダム材料として使用する場合、そうしたダム材料は硬化するまでにある程度流動可能である;すなわちダム材料を適用した後、適用から硬化までの間にその流動性に起因して、その高さは減少し、その幅は増大する。高さが減少することによって第1および第2の基板は互いに接近し、ダム材料はより大きな幅を有することになるため、これは有害でありうる。良好なアスペクト比を有する組成物を得ることが望ましいのであり、ここでアスペクト比とは硬化組成物の高さと幅の間の比率を指している。
【0009】
硬化組成物が人から見える位置で使用される場合には、多くの場合、その硬化組成物の透明性が高く、および/または何ら着色されていないことが望ましい;すなわち硬化組成物は人から「見えない」ようにすべきである。硬化組成物は経時的に劣化する;この劣化は組成物の実際の環境に大きく依存する。こうした劣化は、例えば透明性の減少および/または色の変化によって表される。こうした変化が組成物の他のパラメータに影響を与えないとしても、硬化組成物が人から見える位置にある場合には、そうした変化が望ましくないことに変わりはない。一般に、高い安定性を備えた硬化組成物を得ること;すなわち過酷な環境下であっても透明性に変化がなく、および/または色の変化がなく、および/または視認性における他の変化がない硬化組成物が望ましい。好ましくは、硬化組成物は室温において、および/または高温において、および/または高温高湿度において、長期にわたってこうした条件を満たすべきである。
【0010】
これらの技術的な課題は、現在の技術水準によっては適切に対処および/または解決されていない。
【0011】
課題解決手段
本発明による照射硬化性シリコーン組成物は:
A1)少なくとも1つのアルケニル基、好ましくは2つのアルケニル基を有し、20℃および剪断速度D=10s-1における粘度が500Pa.sまでの少なくとも1つのポリオルガノシロキサン;
A2)20℃で振動モードで測定された少なくとも1000Pa.s、好ましくは少なくとも2500Pa.s、より好ましくは少なくとも5000Pa.sの複素粘度を有し、アルケニル基を有しない直鎖ポリジオルガノシロキサン、およびケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する直鎖ポリジオルガノシロキサンからなる群より選択される少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサン;
B)少なくとも1つのSiH基、好ましくは少なくとも2つのSiH基を有する少なくとも1つのポリオルガノハイドロジェンシロキサン;および
C)少なくとも1つの照射活性化触媒、
D)任意選択的に1つまたはより多くの補助的成分を含んでいる。
【0012】
特に明記しない限り、本願において記載する粘度はDIN53019によって決定され、一般には剪断速度D=10s-1で20℃で測定される。特に明記しない限り、複素粘度は20℃で既知の手順に従って1Hzの振動モードで1%の変形を用いて測定される(例えば:https://www.tracomme.ch/wordpress/wp-content/uploads/2018/07/V279-e-iQ-Performing-rheological-tests-in-oscillation-with-the-HAAKE-Viscotester-iQ.pdfを参照)。特定の粘度範囲は、両方の端点を含むことが意図されている。
【0013】
複素粘度は周波数に依存する粘度関数であり、高調波振動の剪断応力を与えて決定される(http://www1.lsbu.ac.uk/water/rheology.htmlを参照)。材料に対して振動力を加えると、剪断歪みの速度は原因となった力の変化よりも位相角φだけ遅れる。このことは、φは理想的な弾性ゲルについてはゼロであり、理想的な粘性液体については90°であることを意味している。複素粘度は次のように定義される:複素粘度=粘度-i*弾性率;ここで「i」は虚数単位を示しており(i2=-1);tan(φ)=弾性率/粘性率;ここでφは位相角である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
成分A1)
本発明の組成物は、少なくとも1つ、好ましくは2つの不飽和ヒドロカルビル残基を有する、少なくとも1つのポリオルガノシロキサンを含んでいる(成分A1))。成分A1)は、平均して少なくとも2つのアルケニル基を有する1つまたはより多くのポリオルガノシロキサンを含んでいてよい。適切な成分A1)は一般式(Ia)によって記述することができ、
[MaDbTcQdZe]m (Ia)
ここで式(Ia)における添字はシロキシ単位M、D、TおよびQの比率を表しており、これらはポリシロキサン中でブロックまたはランダムに分布されることができる。ポリシロキサン中のそれぞれのシロキサン単位は同一であるかまたは異なっていることができ、そして
a=0~10
b=0~2000
c=0~50
d=0~1
e=0~300
m=1~1000
であり、a、b、c、dおよびmは20℃における成分A1)の粘度が500Pa.s(20℃での剪断速度D=10s-1)未満となる値である。
【0015】
成分A1)の粘度とは、単一の成分A1)または成分A1)の混合物の粘度を指している。
式(Ia)において:
M=R3SiO1/2、またはM*
D=R2SiO2/2、またはD*
T=RSiO3/2、またはT*
Q=SiO4/2、
2価のZは、上記のシロキシ基の間の連結基であり、
但しM*、D*またはT*から選択された少なくとも1つの基が存在し、
ここでそれぞれのRは同一または異なっていてよく、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアルキル、任意選択的に置換された30までの炭素原子のアリール、1000までのアルキレンオキシ単位を備えたポリ(C2~C4)アルキレンエーテルから選択され、基Rは脂肪族不飽和を含まず、そして
ここでM*=R1
p0R3~p0SiO1/2、D*=R1
q0R2~q0SiO2/2、T*=R1SiO3/2、
ここで
p0=1~3、好ましくは1、
q0=1~2、そして
Zは以下に規定する通りである。
【0016】
Rは好ましくはノルマル、イソ、またはターシャリアルキル、アルコキシアルキル、C5~C30環状アルキル、またはC6~C30アリール、アルキルアリールから選択され、これらの基はさらに1つまたはより多くのO、N、SまたはF原子、または500アルキレンオキシ単位までのポリ(C2~C4)アルキレンエーテルによって置換されることができ、基Rは脂肪族不飽和を含まない。
【0017】
適切な1価の炭化水素ラジカルの例には、好ましくはCH3-、CH3CH2-、(CH3)2CH-、C8H17-およびC10H21-のようなアルキルラジカル、並びにシクロヘキシルのような脂環式ラジカル、フェニル、トリル、キシリルのようなアリールラジカル、ベンジルおよび2-フェニルエチルのようなアラルキルラジカルが含まれる。好ましい1価の炭化水素ラジカルは式CnF2n+1CH2CH2-を有し、ここで例えば、CF3CH2CH2-、C4F9CH2CH2-、C6F13CH2CH2-、C2F5-O(CF2-CF2-O)1~10CF2-、F[CF(CF3)-CF2-O]1~5-(CF2)0~2-、C3F7-OCF(CF3)-およびC3F7-OCF(CF3)-CF2-OCF(CF3)-のようにnは1から10の値を有する。Rに好ましい基は、メチル、フェニル、3,3,3-トリフルオロプロピルである。
【0018】
式(Ia)において、添字は数平均分子量Mnに基づく平均重合度Pnを表す。
【0019】
R1はC=C-基含有基(アルケニル基)を含む不飽和基から選択され、例えば:ノルマル、イソ、ターシャリまたは環状アルケニル、C6~C30シクロアルケニル、C8~C30アルケニルアリール、シクロアルケニルアルキル、ビニル、アリル、メタリル、3-ブテニル、5-ヘキセニル、7-オクテニル、エチリデン-ノルボルニル、スチリル、ビニルフェニルエチル、ノルボルネニル-エチル、リモネニルであって1つまたはより多くのOまたはF原子によって任意選択的に置換され、またはC≡C-基含有基(アルキニル基)であって任意選択的に1つまたはより多くのOまたはF原子を含んでいる。
【0020】
アルケニルラジカルは好ましくは末端のケイ素原子に結合され、アルケニルシロキサンを調製するために使用されるアルファジエン、オメガジエンが入手容易であることから、オレフィン官能性はより高次のアルケニルラジカルのアルケニル基末端にある。
【0021】
R1に好ましい基は、ビニル、5-ヘキセニル、シクロヘキセニル、リモニル、スチリル、ビニルフェニルエチルである。
【0022】
Zは例えば2価の脂肪族または芳香族基、14までの炭素原子のノルマル、イソ、ターシャリまたはシクロアルキレン、アリーレンまたはアルキレンアリール基を含んでいる。Zは2つのシロキシ単位の間に連結要素を形成する。Z基の含有量は全シロキシ単位の30モル%を超えず、好ましくは20モル%を超えない。好ましくはZは存在しない。適切な2価の炭化水素基Zの好ましい例は、好ましくは-CH2-、-CH2CH2-、-CH2(CH3)CH-、-(CH2)4-、-CH2CH(CH3)CH2-、-(CH2)6-、-(CH2)8-および-(CH2)18-のような任意のアルキレン残基;シクロヘキシレンのようなシクロアルキレンラジカル;フェニレン、キシレンのようなアリーレンラジカルおよびベンジレンすなわち-CH2CH2-C6H4-CH2CH2-、-C6H4CH2-のような炭化水素ラジカルの組み合わせである。好ましい基は、アルファオメガ-エチレン、アルファオメガ-ヘキシレンまたは1,4-フェニレンである。
【0023】
Z基についてのさらなる例には、2価のハロ炭化水素ラジカル;例えば1つまたはより多くの水素原子がフッ素、塩素または臭素のようなハロゲンによって置き換えられている任意の2価の炭化水素基が含まれる。好ましい2価のハロ炭化水素残基は例えば-CH2CH2CF2CF2CH2CH2-のように式-CH2CH2(CF2)1~10CH2CH2-を有し、または適切な2価の炭化水素エーテルラジカルおよびハロ炭化水素エーテルラジカルの他の例には、-CH2CH2OCH2CH2-、-C6H4-O-C6H4-、-CH2CH2CF2OCF2CH2CH2-、および-CH2CH2OCH2CH2CH2-が含まれる。
【0024】
1つの実施形態において、本発明による照射硬化性シリコーン組成物は、少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサンA1)を含み、これはその末端シロキシ基に少なくとも1つのアルケニル基を有し、またその非末端シロキシ基にはアルケニル基を有しない。
【0025】
本発明による照射硬化性シリコーン組成物の別の実施形態において、成分A1)は好ましくは少なくとも1つの式(Ia1)の直鎖ポリジオルガノシロキサンであり、
【化1】
式中それぞれのRは独立して飽和または芳香族有機基から選択され、それぞれのR
1は独立してアルケニル基から選択され、そしてxは≧0である。
【0026】
本発明の1つの実施形態において、上記した構造式(Ia1)に関して導入されている変数xは10から2000、好ましくは10から1000である。これらの範囲は両方の端点のそれぞれを含むことを意図している。変数xは平均値であり、ポリスチレン標準を使用したゲル濾過クロマトグラフィにより、または1H NMR.を使用して決定された、いずれかの式(Ia1)のポリジオルガノシロキサンの数平均分子量Mnから計算される。
【0027】
アルケニル末端ポリジオルガノシロキサンA1)のさらに好ましい構造には:
ViMe2SiO(Me2SiO)10~2000SiMe2Vi (1a)
ViPhMeSiO(Me2SiO)10~2000SiMePhVi (1b)
ViMe2SiO(Me2SiO)10~1000SiMe2Vi (1c)
ViMe2SiO(Me2SiO)10~200SiMe2Vi (1d)
が含まれる。式中Viはビニル基であり、Meはメチル基であり、Phはフェニル基である。式(1a)の直鎖ポリジオルガノシロキサンでxが10から2000の範囲が特に好ましく、式(1c)の構造でxが10から1000の範囲がより具体的に好ましい。これらの範囲は両方の端点のそれぞれを含むことを意図している。
【0028】
さらにまた、以下の式の樹脂状ポリオルガノシロキサンを成分A1)として使用することも可能である:
{[Q][R10O1/2]n[M]0.01~10[T]0~50、好ましくは0[D]0~1000、好ましくは0}m (Ia2)
式中
Q、T、M、Dは上記で定義した通りであり、
n=0から3、好ましくはn=0であり、
mは上記で定義した通りであり、
R10は水素、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマル、イソ、およびターシャリブチルのようなC1~C25アルキル、アシルのようなアルカノイル、アリール、ブタノンオキシムのような-N=CHR、プロペニルのようなアルケニルであるが、但しM*、D*およびT*から選択される少なくとも1つの基が存在する。成分A1)として適用される最も好ましい樹脂状ポリオルガノシロキサンはQ単位とM*単位からなる式を有し、例えば:
{[Q][M*]0.01~10、好ましくは1~10}m (Ia3)
式中Q、M*およびmは上記で定義した通りであり、そしてmは好ましくは1から20である。
【0029】
化合物(Ia3)の1つの好ましい実施形態は例示するならば式[(Me2R1SiO0.5)kSiO4/2]1~1000によって記述可能なモノマーからポリマーまでの化合物によって提供され、式中の添字kは0.3から4である。こうした樹脂状分子はケイ素原子に関連して10モル%までの相当な濃度のSiOH-および/または(C1~C6)アルコキシSi基を含むことができる。
【0030】
特に好ましい樹脂状ポリオルガノシロキサンA1)は例えば
Q(M*)4、
M2D10~30T*
10~30、
M2D*
10~30T10~30および
[M*
1~4Q]1~40を含んでいる。
【0031】
成分A1)は好ましくは20℃で0.1から500Pa.s(剪断速度D=10s-1で測定)の粘度を有している。
【0032】
式Ia1)を有するアルケニル末端ポリジオルガノシロキサンA1)のSiアルケニルまたはアルケニル含有量は、好ましくは少なくとも0.0075mmol/g、そして最大で好ましくは0.8mmol/g、より好ましくは少なくとも0.01mmol/g、そして最大で好ましくは0.7mmol/g、さらにより好ましくは少なくとも0.010mmol/g、そして最大で好ましくは0.5mmol/gである(A1のグラム当たりのSiに結合したアルケニルのミリモル数)。
【0033】
成分A1)のアルケニル含有量は、1H NMRによって決定することができる。A.L.Smith(編):「シリコーンの分析化学」J.Wiley & Sons社1991年112巻356ページ以下J.D.Winefordner編「化学分析」を参照のこと。
【0034】
成分A1)は、1つのSiアルケニル含有ポリシロキサンの単一成分として、またはその少なくとも2つの混合物として使用することができる。
【0035】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、組成物の合計重量に基づいて少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも65重量%の成分A1)を含んでいる。
【0036】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、組成物の合計重量に基づいて95重量%未満、好ましくは90重量%未満、より好ましくは85重量%未満の成分A1)を含んでいる。
【0037】
1つの実施形態において、成分A1)は20℃および10s-1の剪断速度Dの粘度が5から300Pa.s、好ましくは10から200Pa.s、より好ましくは20から150Pa.sである少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA11)を含んでいる。
【0038】
本発明の1つの実施形態において、上記の構造式(Ia1)に関連して導入された変数xは、A11)成分について200から2000、好ましくは500から1200である。これらの範囲は両方の端点のそれぞれを含むことを意図している。
【0039】
式Ia1)を有するアルケニル末端ポリジオルガノシロキサンA11)のSiアルケニルまたはアルケニル含有量は、好ましくは少なくとも0.0075mmol/g、そして最大で好ましくは0.075mmol/g、より好ましくは少なくとも0.01mmol/g、そして最大で好ましくは0.05mmol/g、よりさらに好ましくは少なくとも0.010mmol/g、そして最大で好ましくは0.04mmol/gである(A11のグラム当たりのSiに結合したアルケニルのミリモル数)。
【0040】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、組成物の合計重量に基づいて少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも55重量%、より好ましくは少なくとも60重量%のA11)成分を含んでいる。
【0041】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、組成物の合計重量に基づいて95重量%未満、好ましくは90重量%未満、より好ましくは85重量%未満のA11)成分を含んでいる。
【0042】
本発明の別の実施形態において、成分A1)は20℃および剪断速度10s-1における粘度が5Pa.s未満、好ましくは0.1から3Pa.s、より好ましくは0.2から2Pa.sである少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA12)を含んでいる。
【0043】
式Ia1)を有するアルケニル末端ポリジオルガノシロキサンA12)のSiアルケニルまたはアルケニル含有量は、好ましくは少なくとも0.1mmol/g、そして最大で好ましくは0.8mmol/g、より好ましくは少なくとも0.125mmol/g、そして最大で好ましくは0.6mmol/g、さらにより好ましくは少なくとも0.15mmol/g、そして最大で好ましくは0.5mmol/gである(A12のグラム当たりのSiに結合したアルケニルのミリモル数)。
【0044】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、組成物の合計重量に基づいて≧0から5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満の成分A12)を含んでいる。
【0045】
好ましい実施形態において、成分A1)は少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA11)と少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA12)の組み合わせを含んでおり、ここでポリジオルガノシロキサンA11)およびA12)は上記で定義した通りである。
【0046】
成分A2)
本発明による照射硬化性シリコーン組成物は、少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサンA2)を含んでおり、20℃で振動モードで測定された少なくとも1000Pa.sの複素粘度を有し、そして:
A2-1)官能性アルケニル基を備えない直鎖ポリジオルガノシロキサンおよび
A2-2)ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を備える直鎖ポリジオルガノシロキサンの群から選択される。複素粘度は上記で定義した通りである。
【0047】
A2)の複素粘度は上記した振動モードにおいて、20℃で少なくとも1000Pa.s、好ましくは20℃で少なくとも2500Pa.s、およびより好ましくは20℃で少なくとも5000Pa.sである。本発明の1つの実施形態において、A2)の複素粘度は上記した振動モードにおいて20℃で25000Pa.s未満または等しく、好ましくは20℃で15000Pa.s未満または等しく、そしてより好ましくは20℃で10000Pa.s未満または等しい。
【0048】
本発明による照射硬化性シリコーン組成物の1つの実施形態によれば、成分A2)は式(Ib)の少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンであり、
【化2】
式中RおよびR
1は上記で定義した通りであり;R
2はRまたはR
1から選択され、そしてy≧0、z≧0であり、y+zの合計は上記で定義した複素粘度が上記した振動モードにおいて20℃で測定されて少なくとも1000Pa.s、好ましくは少なくとも2500Pa.s、そしてより好ましくは少なくとも5000Pa.sであるような値である。
【0049】
1つの実施形態において、式(Ib)による化合物の複素粘度は上記したように上記した振動モードにおいて20℃で25000Pa.s未満または等しく、好ましくは20℃で15000Pa.s未満または等しく、そしてより好ましくは20℃で10000Pa.s未満である。
【0050】
本発明の1つの実施形態において、上記の構造式(Ib)に関連して導入された変数yは2000から10000、好ましくは3000から8000である。これらの範囲は両方の端点のそれぞれを含むことを意図している。変数yは平均値であり、ポリスチレン標準を使用したゲル濾過クロマトグラフィにより、または1H NMR.を使用して決定された、いずれかの式(Ib)のポリジオルガノシロキサンの数平均分子量Mnから計算される。
【0051】
本発明の1つの実施形態において、上記の構造式(Ib)に関連して導入された変数zは0から350、好ましくは0から250、より好ましくは0から50である。これらの範囲は両方の端点のそれぞれを含むことを意図している。変数zは平均値であり、ポリスチレン標準を使用したゲル濾過クロマトグラフィにより、または1H NMR.を使用して決定された、いずれかの式(Ib)のポリジオルガノシロキサンの数平均分子量Mnから計算される。
【0052】
本発明による照射硬化性シリコーン組成物の1つの実施形態において、成分A2)はA2-1)成分である。A2-1)成分は式(Ib)の直鎖ポリジオルガノシロキサンであり、そこにおいてR2=Rおよびz=0である。好ましくは、A2-1)成分においてR2およびRはメチルであり、そしてyは好ましくは3000から8000である。
【0053】
本発明による照射硬化性シリコーン組成物の別の実施形態において、成分A2)はA2-2)成分である。A2-2)成分は式(Ib)の直鎖ポリジオルガノシロキサンであり、そこにおいて少なくとも1つの、好ましくはそれぞれの末端シロキシ基の1つのR2はR1である;すなわち少なくとも1つの、好ましくはそれぞれの末端シロキシ基の1つのR2はアルケニル基から選択される。このA2-2)成分において、少なくとも1つのR2=R1は好ましくはビニル基であり、そしてyは好ましくは3000から8000であり、Rは好ましくはメチルであり、z=0である。
【0054】
本発明の1つの実施形態において、式(Ib)の化合物A2-2)のアルケニル含有量は少なくとも0.002mmol/g、そして最大で5mmol/g、より好ましくは少なくとも0.0025mmol/g、そして最大で好ましくは3mmol/g、さらにより好ましくは少なくとも0.004mmol/g、そして最大で好ましくは2mmol/gである。これらの値は化合物A2-2)の質量(グラム単位)当たりにおける化合物A2-2)内のアルケニル基の量(mmol単位)を示している。好ましくは化合物A2-2)にあるアルケニル基はビニル基である。
【0055】
本発明による照射硬化性シリコーン組成物の別の実施形態において、成分A2)は式(Ib)の直鎖ポリジオルガノシロキサンのA2-2)成分であり、そこにおいて少なくとも1つの、好ましくはそれぞれの末端シロキシ基の1つのR2はR1である;すなわち少なくとも1つの、好ましくはそれぞれの末端シロキシ基の1つのR2はアルケニル基から選択され、またyは3000から8000であり、そしてz≧1である。このA2-2)成分において、少なくとも1つのR2=R1は好ましくはビニル基であり、そしてyは好ましくは3000から8000であり、zは好ましくは1から250、より好ましくは0から50である。
【0056】
本発明による1つの実施形態において、本発明による照射硬化性シリコーン組成物の成分A2)は式(Ib)の直鎖ポリジオルガノシロキサンのA2-2)成分であり、そこにおいてそれぞれの末端シロキシ基の1つのR2はR1=ビニルであり、Rはメチルであり、yは好ましくは3000から8000であり、そしてzは好ましくは1から250、より好ましくは0から50である。
【0057】
本発明による照射硬化性シリコーン組成物のさらなる実施形態において、成分A2)は式(Ib)の直鎖ポリジオルガノシロキサンのA2-2)成分であり、そこにおいて末端シロキシ基のそれぞれのR2はRである;Rはアルキル基から独立して選択され、好ましくはR2=Rはメチル、yは好ましくは3000から8000、そしてz≧1である。
【0058】
本発明による照射硬化性シリコーン組成物のさらなる好ましい実施形態において、成分A2)は式(Ib)の直鎖ポリジオルガノシロキサンのA2-2)成分であり、そこにおいて末端シロキシ基のそれぞれのR2はRである;Rはアルキル基から独立して選択され、好ましくはR2=Rはメチル、yは3000から8000、そしてzは好ましくは1から250、より好ましくは0から50である。
【0059】
本発明による照射硬化性シリコーン組成物の1つの実施形態において、成分A2)は式(Ib)の直鎖ポリジオルガノシロキサンのA2-2)であり、そこにおいて少なくとも1つのアルケニル基がケイ素原子に結合しており、この化合物は少なくとも1000Pa.sの複素粘度と、そして好ましくは少なくとも0.002mmol/g、そして最大で好ましくは5mmol/g、より好ましくは少なくとも0.0025mmol/g、そして最大で好ましくは3mmol/g、さらにより好ましくは少なくとも0.004mmol/g、そして最大で好ましくは2mmol/g(A2-2のグラム当たりのSiに結合したアルケニルのミリモル数)のSiアルケニルまたはアルケニル含有量を有する。
【0060】
本発明の好ましい実施形態において、成分A2)は20℃で少なくとも1000Pa.sの複素粘度を有し、より好ましくはこの粘度は2500から25000Pa.sの範囲内にあり、そしてさらにより好ましくは5000から15000Pa.sの範囲内にある。
【0061】
本発明のさらなる実施形態において、A2)がA2-1)とA2-2)の混合物である場合には、複素粘度はこの混合物の複素粘度である。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、組成物の合計重量に基づいて少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも8重量%、より好ましくは10重量%を超え、より好ましくは少なくとも12重量%、さらにより好ましくは少なくとも15重量%の成分A2)を含んでいる。
【0063】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、組成物の合計重量に基づいて50重量%まで、好ましくは40重量%まで、より好ましくは35重量%まで、さらにより好ましくは30重量%までの成分A2)を含んでいる。
【0064】
成分B)
本発明による照射硬化性シリコーン組成物は、少なくとも1つのSiH基、好ましくは2つのSiH基を有する、少なくとも1つのポリオルガノハイドロジェンシロキサン(成分B))を含んでいる。
【0065】
本発明の1つの実施形態において、成分B)は一般式(IIa)の1つまたはより多くのポリオルガノハイドロジェンシロキサンから選択される:
[M1
a1D1
b1T1
c1Q1
d1Ze1]m1 (IIa)
式中:
M1=R3SiO1/2、および/またはM**
D1=R2SiO2/2、および/またはD**
T1=RSiO3/2、および/またはT**
Q1=SiO4/2、
ここでM**=HR2SiO1/2、D**=HRSiO2/2、T**=HSiO3/2
Zは上記で定義した通り、そして
Rは上記で定義した通り、
a1は0.01~10、好ましくはa1は2~5、より好ましくはa1は2;
b1は0~1000、好ましくはb1は10~500;
c1は0~50、好ましくはc1は0;
d1は0~5、好ましくはd1は0;
e1は0~3、好ましくはe1は0;
m1は1~1000、好ましくはm1は1~500、より好ましくはm1は1、
但しM**、D**またはT**から選択された少なくとも1つの基が存在する。
【0066】
好ましくは、成分B)は、上記で定義した有機残基Rとしてヒドロカルビル基のみ、より好ましくはアルキル基およびアリール基、さらにより好ましくはメチル基またはフェニル基のみ、そして最も好ましくはメチル基のみを有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン(またはSiH含有ポリシロキサン)から選択される。
【0067】
好ましくは、SiH含有ポリシロキサンB)は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも20、さらにより好ましくは少なくとも25、そして最も好ましくは少なくとも30のケイ素原子を有する。
【0068】
分子中に存在するM1単位、D1単位、T1単位およびQ1単位の範囲は、液体から固形の樹脂を表すほぼすべての値を網羅することができる。任意選択的にこれらのシロキサンは、合成に由来する付加的な痕跡量のC1~C6アルコキシまたはSiヒドロキシ基を含むことができる。
【0069】
さらにまた、以下の式の樹脂状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンを成分B)として使用することが可能である:
{[Q1][R10O1/2]n1[M1]0.01~10[T1]0~50、好ましくは0[D1]0~1000、好ましくは0}m1 (IIb)
式中
Q1、T1、M1、D1は上記で定義した通りであり、
n1=0から3、好ましくはn1=0であり、
m1は上記で定義した通り、
R10は水素、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマル、イソおよびターシャリブチルのようなC1~C25アルキル、アシルのようなアルカノイル、アリール、ブタノンオキシムのような-N=CHR、プロペニルのようなアルケニルであり、
但しM**、D**およびT**から選択される少なくとも1つの基が存在する。
【0070】
成分B)として適用される最も好ましい樹脂状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、Q1単位およびM**単位からなる式を有し、例えば
{[Q1][M**]0.01~10、好ましくは1~10}m1 (IIc)
式中Q1、M**よびm1は上記で定義した通りであり、そしてm1は好ましくは1から20、より好ましくはm1=1である。
【0071】
化合物(IIc)の1つの好ましい実施形態は例示するならば式[(Me2HSiO0.5)kSiO4/2]1~1000によって記述可能なモノマーからポリマーまでの化合物によって提供され、式中の添字kは0.3から4である。こうした樹脂状分子はケイ素原子に関連して10モル%までの相当な濃度のSiOH-および/または(C1~C6)アルコキシSi基を含むことができる。
【0072】
特に好ましい樹脂状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンB)は例えば
Q1(M**)4、
M1
2D1
10~30T**
10~30、
M1
2D**
10~30T1
10~30、および
[M**
1~4Q1]1~40を含んでいる。
【0073】
成分B)は好ましくは2から2000mPa.s、好ましくは1から1000mPa.s、さらにより好ましくは2から100mPa.s(20℃および剪断速度D=10s-1で測定)の粘度を有している。
【0074】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンB)のSiH含有量は、好ましくは少なくとも0.1mmol/g、より好ましくは少なくとも0.2mmol/g、そして最大で好ましくは20mmol/g、より好ましくは最大で18mmol/g、さらにより好ましくは0.1から17mmol/g、そして最も好ましくは0.2から16mmol/g(成分B)のグラム当たりのSiHのミリモル数)である。
【0075】
成分B)は、1つのSiH含有ポリシロキサンの単一成分として、またはその少なくとも2つの混合物として使用することができる。
【0076】
硬化速度の増大が必要とされる場合には、HMe2SiO0.5-単位またはホモMeHSiO-ポリマーを有する幾らかのオルガノポリシロキサンB)を用いて、硬化速度を調節してより短時間とすることが好ましい。
【0077】
硬化速度をよりさらに増大させることが必要とされる場合には、それは例えばSiアルケニルに対するSiHのモル比を増大させることによって、または触媒C)の量を増やすことによって達成可能である。
【0078】
本発明の別の実施形態において、成分B)は直鎖ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、好ましくはその非末端シロキシ単位にSiH基を有するもの、例えば
【化3】
から選択され、式中Rは上記で定義した通りであり、そしてR
3はRおよびHから選択され、そしてp≧0およびq≧1である。
【0079】
実施形態の1つにおいて、式(IId)の成分B)は少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも3つ、幾つかの場合にはまた15より多く、そして18よりも多い、分子当たりのSiH基を有している。
【0080】
1つの実施形態において、成分B)は、式(IIc)の少なくとも1つのSiH含有ポリシロキサンと、式(IId)の少なくとも1つのSiH含有ポリシロキサンの混合物として使用することができる。
【0081】
成分C)
本発明による照射硬化性シリコーン組成物は、少なくとも1つの照射活性化触媒(成分C))を含んでいる。
【0082】
本発明の組成物のヒドロシリル化反応のための触媒成分C)は化合物であり、成分B)のケイ素に結合した水素原子と、A)成分のケイ素に結合したオレフィン性炭化水素置換基との反応を促進する。この金属または有機金属化合物は一般に、白金族の金属を基礎としている。理論に拘束されることを望むものではないが、触媒C)はシグマおよびパイ結合した炭素リガンド、並びにS、N、またはP原子を有するリガンド、これらの金属の金属コロイドまたは金属塩との錯体を含むと考えられている。触媒はシリカゲルまたは粉末チャコールのような、金属またはその金属の化合物や錯体を担持した担体上に存在することができる。好ましくは、成分C)の金属は任意の白金錯体化合物である。本発明のポリオルガノシロキサン組成物における典型的な白金含有触媒成分は、錯体を形成可能な任意の形態の白金(0)、(II)または(IV)化合物である。
【0083】
本発明の組成物において使用される白金含有触媒成分の量は、本発明の組成物のすべての他の成分の存在下に所要時間内に所望の温度でA)とB)の間のヒドロシリル化を加速するのに十分な量である限り、狭く限定されるものではない。この触媒成分の正確な必要量は、具体的な触媒、他の阻害化合物の量、およびオレフィン(Siに結合した)に対するSiHの比率に依存し、容易に予測可能なものではない。しかしながら白金触媒については、上記の量はコスト的な理由から可能な限り少量にすることができる。好ましくは、他の痕跡量の未確認阻害剤の存在下における硬化を確実にするために、オルガノシロキサン成分A1)およびB)の100万重量部当たり1重量部を超える白金を添加すべきである。本発明の組成物については、適用される白金含有触媒成分の量は好ましくは、ポリオルガノシロキサン成分A)プラスB)の重量当たりの白金の重量で、1から400ppm、好ましくは2から200ppm、より好ましくは4から100ppmをもたらすのに十分なものである。1つの実施形態によれば、上記の量は最大で20ppm、より好ましくは最大で10ppm、そしてより好ましくは最大で8ppmである。
【0084】
成分C)は好ましくは、米国特許第3,159,601号;米国特許第3,159,662号;米国特許第3,419,593号;米国特許第3,715,334号;米国特許第3,775,452号、および米国特許第3,814,730に教示されているように、ヒドロシリル化を触媒する能力を有する有機金属化合物、塩または金属の群から選択され、そこにおいて金属はNi、Ir、Rh、Ru、Os、PdおよびPt化合物の群より選択される。
【0085】
好ましくは遷移金属触媒C)は、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびイリジウムからなる群より選択される少なくとも1つの金属、好ましくは白金を含むヒドロシリル化触媒から選択される。
【0086】
光活性化可能な触媒は好ましくは有機金属化合物の中から選択され、すなわち炭素含有リガンドまたはその塩を含んでいる。好ましい実施形態においては光活性化触媒C)は金属と炭素の結合を含み、シグマ結合およびパイ結合を含んでいる。好ましくは、光活性化可能な触媒C)は有機金属錯化合物であって少なくとも1つの金属炭素シグマ結合を有し、さらにより好ましくは白金錯化合物であって、好ましくは1つまたはより多くのシグマ結合したアルキル基および/またはアリール基、好ましくはアルキル基(単数または複数)を有する。シグマ結合したリガンドには特に、シグマ結合した有機基、好ましくはシグマ結合したC1~C6アルキル、より好ましくはシグマ結合したメチル基、シグマ結合したアリール基、例えばフェニル基、SiおよびOで置換されシグマ結合したアルキル基またはアリール基、例えばトリスオルガノシリルアルキル基、シグマ結合したシリル基、例えばトリアルキルシリル基が含まれる。最も好ましい光活性化可能な触媒には、シグマ結合したリガンド、好ましくはシグマ結合したアルキルリガンドを有するη5-(任意選択的に置換された)シクロペンタジエニル白金錯化合物が含まれる。
【0087】
光活性化可能な触媒の例には、米国特許第4,530,879、欧州特許第122008号、欧州特許第146307号(米国特許第4,510,094およびそこで引用された従来技術文献に対応)、または米国特許公開US2003/0199603号に開示されたようなη-ジオレフィン-シグマ-アリール白金錯体、および米国特許第4,640,939に開示されたようにアゾジカルボン酸エステルを使用して、またはジケトネートを使用することによって反応性を制御することのできる白金化合物が含まれる。
【0088】
光活性化可能で使用可能な白金化合物はさらに、ジケトン、例えばベンゾイルアセトンまたはアセチレンジカルボン酸エステルから選択されるリガンドを有する群、および光分解性有機樹脂に埋設された白金触媒から選択されるものである。他の白金触媒は例示として米国特許第3,715,334号または米国特許第3,419,593号、欧州特許公開1672031およびLewis、Colborn、Grade、Bryant、SumpterおよびScottのOrganometallics1995年14、2202~2213に記載されており、これらはすべて参照によって本願に取り入れられる。
【0089】
光活性化可能な触媒はまた、Pt(0)オレフィン錯体を使用し、これに適切な光活性化可能リガンドを加えることにより、成型されるシリコーン組成物中で現場形成することもできる。しかしながら本願で使用可能な光活性化可能な触媒は、上述した例に限定されるものではない。
【0090】
本発明の1つの実施形態において、照射活性化触媒C)は有機金属白金化合物から、好ましくは任意選択的に置換されたシクロペンタジエニル白金化合物から、好ましくは(η5-シクロペンタジエニル)-トリメチル白金錯体および(η5-シクロペンタジエニル)-トリフェニル白金錯体から選択され、最も好ましくは成分C)は(メチルシクロペンタジエニル)-トリメチル白金(IV)である。
【0091】
光活性化可能な触媒はそのまま、または担体上に支持して使用することができる。
【0092】
成分D)
【0093】
本発明による照射硬化性シリコーン組成物は任意選択的に、1つまたはより多くの補助的成分(成分D))を含んでいる。
【0094】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は3重量%未満の接着促進剤、好ましくは1重量%未満の接着促進剤、より好ましくは0から0.1重量%の接着促進剤を含んでいる。
【0095】
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は任意選択的に、米国特許第9991406号からの以下の抜粋に規定されているような、少なくとも1つの接着促進剤(D)を含んでいる。
「(成分D)は好ましくは以下
(D1):少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む少なくとも1つのオルガノシロキサン、
(D2):少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む少なくとも1つのオルガノシラン、
(D3):少なくとも2つの芳香族部分およびヒドロシリル化で反応性の少なくとも1つの基を有する少なくとも1つの芳香族有機化合物
の少なくとも1つから選択される。
【0096】
成分(D1)は好ましくは、
RHSiO2/2および
R5(R)SiO2/2
からなる群より選択される少なくとも1つの単位を含むポリオルガノシロキサンであり、式中Rは上記で定義した通りであり、同一または異なっていてよく、R5は14までの炭素原子の不飽和脂肪族基、14までの炭素原子のエポキシ基含有脂肪族基、シアヌレート含有基、およびイソシアヌレート含有基からなる群より選択され、そして
さらに式(3)の少なくとも1つの単位を含み:
-O2/2(R)Si-R4-SiRd(OR3)3-d (3)
式中
Rは上記で定義した通りであり、同一または異なっていてよく、
R3はH(水素)および1から6の炭素原子を有するアルキルラジカルから選択され、同一または異なっていてよく、
R4は2官能性の任意選択的に置換された15までの炭素原子のヒドロカルビルラジカルであり、O、NおよびS原子から選択される1つまたはより多くのヘテロ原子を含んでいてよく、Si-C-結合を介してケイ素原子に結合されており、そしてdは0から2である。
【0097】
成分(D1)の例には、式(3a~3d)の化合物が含まれる:
【化4】
R
11はRまたはR
5、ここでR、R
3、R
4およびR
5は上記で定義した通りであり、同一または異なっていてよく、
s1=0~6、好ましくは1
t1=0~6、好ましくは1または2
s1+t1=2~6、好ましくは2または3
但し化合物中には少なくとも1つの基-(OSi(R)H)-または-(OSi(R)(R
11)-が存在し、好ましくは式:
【化5】
の化合物であり、式中R、R
3、R
4およびR
11は上記で定義した通りであるもの、およびその環位置異性体、式:
【化6】
の化合物およびその環位置異性体。
【0098】
さらにまた、式:
【化7】
の化合物であり、式中:
R、R
3、R
4、R
5は上記で定義した通りであり、
s=0~10、好ましくは=0~5
t=0~50、好ましくは=2~30
u=1~10、好ましくは=1
s+t+u=≦70
但し化合物中には少なくとも1つの基-(OSi(R)H)-または-(OSi(R)(R
5)-が存在する。これらの化合物はD単位を置き換えるある程度の量のQまたはTの分岐基を含んでいてよい。
【0099】
【0100】
成分(D2)は好ましくは、式(4)の化合物から選択される:
X-(CR6
2)e-Y-(CH2)eSiRd(OR3)3-d (4)
式中
Xはハロゲン、疑ハロゲン、14までの炭素原子の不飽和脂肪族基、14までの炭素原子のエポキシ基含有脂肪族基、シアヌレート含有基、およびイソシアヌレート含有基からなる群より選択され、
Yは単結合、-COO-、-O-、-S-、-CONH-、-HN-CO-NH-から選択されるヘテロ原子基からなる群より選択され、
R6は水素および上記で定義したRから選択され、
eは0、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、同一または異なっていてよく、
Rは上記で定義した通りであり、同一または異なっていてよく、
R3は上記で定義した通りであり、同一または異なっていてよく、
dは0、1、または2である。
【0101】
成分(D2)の好ましい例に含まれるのは:
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
ここでRおよびdは上記で定義した通りである。
【0102】
成分(D2)は接着促進剤として作用するのとは別に、付加的にフィラー(E)のための現場での表面処理剤として作用することができる。良好な接着特性を低廉なコストで獲得するためには、成分(D2)のシランの混合物を使用することが好ましい。
【0103】
成分(D3)は好ましくは、式(3i)の化合物から選択される:
【化13】
式中
rは0または1、
R
7は同一または異なっていてよい基であり、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基およびアリール基からなる群、および
式-E
f-Si(OR)
3-dR
dの基、ここでRは同一または異なっていてよく、またdは上記で定義した通り、
式-O-Si(R)
2R
1の基、ここでRおよびR
1は上記で定義した通り、
式-E
f-Si(R)
2Hの基、ここでRは上記で定義した通り、
であるものから選択され、ここでEは8までの炭素原子および-O-、-NH-、C=O、および-C(=O)O-から選択される0から3のヘテロ原子基を有する2価の有機基であり、また
fは0または1、
そしてZは以下の基:
【化14】
から選択され、ここでR
8は水素原子、ハロゲン原子、または置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基およびアルキニル基の群から選択され、そして
gは少なくとも2の正数であり、
ここでR
7およびR
8から選択される少なくとも1つの基はヒドロシリル化において反応性である。
【0104】
好ましい成分(D3)には以下が含まれ:
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
式中Zr、R
7、R
3、Rおよびdのそれぞれは上記で定義した通りである。」
【0105】
成分D4)
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は1つまたはより多くの、適宜表面変性した強化フィラーを含んでいてよい。強化フィラーは50m2/gまたはより大きなBET比表面積によって特徴付けられる。
【0106】
一般に、硬化性のポリオルガノシロキサン組成物が照射により硬化される場合、こうしたフィラーは透明であって、高い光透過性を有するべきである。フィラーには例を挙げればすべての微粒子フィラー、すなわち100μmよりも小さな粒径を有するフィラー、すなわち好ましくはそうした粒子から構成されるフィラーが含まれる。これらはケイ化物、炭化物、窒化物、酸化物、またはシリカのような鉱物フィラーであることができる。こうしたフィラーは好ましくは補強シリカとして知られたフィラーであり、照射のために十分な透明性を有するエラストマーの製造を可能にする。好ましいのは架橋の後に硬化した封止材の物性を改善する補強シリカであり、特に強度を増大させる補強シリカである。例としてはBET比表面積が50から400m2/gのフュームドシリカまたは沈降シリカがある。好ましくはこれらのフィラーは表面が疎水化されている。成分D4)が使用される場合には、その含有量は成分A)およびB)の100重量部に基づいて1から100重量部、好ましくは0から70重量部、さらにより好ましくは0から50重量部、さらにより好ましくは5から45重量部である。
【0107】
BET比表面積が50m2/gを超えるフィラーは、物性が改善されたシリコーンエラストマーの製造を可能にする。強度および透明性の観点からはフュームドシリカが好ましく、そしてさらにより好ましいシリカは、例えば、200m2/gを超えるBET比表面積を有するAerosil登録商標200、300、HDK登録商標N20またはT30、Cab-O-Sil登録商標MS7またはHS5である。BET比表面積が高くなるにつれて、これらの材料が含まれるシリコーン混合物の透明性も高まる。沈降シリカまたは湿式シリカとして知られている材料の商品名の例には、Vulkasil登録商標VN3、またはエボニック社(以前はデグッサ社)のFK160、または日本シリカ工業社のNipsil登録商標LPおよびその他がある。
【0108】
BET比表面積が50m2/gまたはより大きく、好ましくは少なくとも150m2/gのBET比表面積を有するシリカフィラーを使用することが好ましい。こうした組成物は透明性が十分であることから、所望の場合に光活性化することができる。
【0109】
フィラーD4)は、適切な疎水化剤での疎水化処理、フィラーとシリコーンポリマーとの相互作用に影響する、例えば増粘作用に影響する、適切な分散剤での分散処理などの、適切な表面処理剤での任意の適切な従来からの表面処理を受けてよい。フィラーの表面処理は好ましくは、シランまたはシロキサンでの疎水化である。これは例を挙げればヘキサメチルジシラザンおよび/または1,3-ジビニルテトラメチルジシラザンのようなシラザンの添加によって、水を加えて現場で行われることができ、そして「現場」疎水化は好ましい。これはまた、架橋反応のための反応部位を提供する目的をもって、他の通常のフィラー処理剤と鎖長が2から50であり不飽和有機ラジカルを担持したポリオルガノシロキサンジオールを用いて行うことができる。
【0110】
種々のシランを用いて予め疎水化された市販のシリカの例には:Aerosil登録商標R972、R974、R976、またはR812、或いは例えばHDK登録商標2000またはH30がある。疎水化沈降シリカまたは湿式シリカとして知られた材料の商品名の例には、例えばエボニック社(以前はデグッサ社)のSipernat登録商標D10またはD15がある。レオロジー特性、すなわち硬化していないシリコーンゴム混合物の技術的な処理特性は、フィラーの種類、その含有量、および疎水化の性質の選択によって影響されうる。
【0111】
他のフィラーをTiO2、ナノTiO2、光学的増白剤(Tinopal OBのような)およびナノシリカから選択してもよい。二酸化ケイ素ナノ粒子はまたシリカナノ粒子またはナノシリカとして知られており、安定性、低毒性およびある範囲の分子およびポリマーで官能化されうる能力を有している。ナノシリカ粒子は構造に応じてP型とS型に分けられる。P型粒子は多数のナノ孔によって特徴付けられ、0.61ml/gの孔の割合を有し、S型と比較してより高い紫外線反射率を示す;後者はまた、比較的より小さな表面積を有する。フィラーがナノシリカであり本発明によるシリコーン組成物に含有された場合、硬化されたシリコーン組成物はUV硬化にとって良好な透明性を有することになる。
【0112】
本発明の1つの実施形態において照射硬化性シリコーン組成物は、10重量%未満の強化フィラー、好ましくは3%未満の強化フィラーを含み、より好ましくはフィラーを含まない。
【0113】
非強化フィラーD5):
フィラーまたは増量剤(BET比表面積<50m2/g)として作用する材料の例は、非強化フィラーとして知られている。それらには例えば、石英粉末、珪藻土、クリストバライト粉末、マイカ、酸化アルミニウム、および水酸化アルミニウムが含まれる。BET比表面積が0.2から50m2/gの二酸化チタンまたは酸化鉄、酸化亜鉛、チョーク、またはカーボンブラックはまた、熱安定剤としても使用することができる。これらのフィラーは種々の商品名の下に入手可能であり、例としてはSicron登録商標、Min-U-Sil登録商標、Dicalite登録商標、Crystallite登録商標がある。BET比表面積が50m2/g未満の不活性フィラーまたは増量剤として知られている材料は、シリコーンゴムで使用するとき、さらなる処理が下流での処理、例えば篩やノズルを通過する間に問題を生じないようにするために、または製造される物品の機械的特性が悪影響を受けないようにするために、有利には100μmを超える粒子を含まない(<0.005重量%)。
【0114】
不透明化フィラーの中にはまた特に、不透明な、特に無機の顔料またはカーボンブラックがある。これらの不透明化フィラーの使用は、顔料添加が必要であったり、または熱伝導性や電気伝導性のような物理的機能が必要である場合にのみ好ましい。不透明非透明フィラーの使用は、プロセスにおける活性化工程や成型工程の通常の順序を変更することを必要とする。通常は、フィラーが使用されずまたは透明フィラーが使用される場合には、照射を通じての光活性化は最後の成型プロセスの後に実行される。光活性化可能な触媒の光活性化を阻害する不透明非透明フィラーが使用される場合には、光活性化工程は不透明非透明フィラーが混入され混合物が成型されるよりも前に行われる。
【0115】
異なる成分間の比率
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、A1)およびA2)の合計100重量部に基づいて、50から95重量部のA1)および5から50重量部のA2)、好ましくは60から90重量部のA1)および10から40重量部のA2)、より好ましくは65から85重量部のA1)および15から30重量部のA2)を含んでいる。
【0116】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、A11)およびA2-2)の合計100重量部に基づいて、50から95重量部のA11)および5から50重量部のA2-2)、好ましくは60から90重量部のA11)および10から40重量部のA2)、より好ましくは65から85重量部のA11)および15から30重量部のA2)を含んでいる。
【0117】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物はA11)およびA2)の合計100重量部に基づいて:
0から5重量部の成分A12)、
0.01から20重量部の成分B)、
1から100ppmの成分C)、および
0から10重量部の成分D)を含んでいる。
【0118】
本発明の硬化性シリコーン組成物の性質
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、20℃で10s-1の剪断速度Dにおいて、少なくとも150Pa.s、好ましくは少なくとも175Pa.s、より好ましくは少なくとも200Pa.sの粘度を有する。この粘度は、プレート/プレートのレオロジー法を使用して測定された。
【0119】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、20℃で10s-1の剪断速度Dにおいて、最大で700Pa.sの粘度を有する。
【0120】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、20℃で10s-1の剪断速度Dにおいて、少なくとも150Pa.s、好ましくは少なくとも175Pa.s、より好ましくは少なくとも200Pa.s、そして最大で700Pa.sの粘度を有する。好ましい実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は20℃で10s-1の剪断速度Dにおいて、300から400Pa.sの粘度を有する。
【0121】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は、T基およびQ基から選択される少なくとも1つのシロキシ基を有する樹脂状ポリオルガノシロキサンを10重量%未満含み、好ましくはこうした樹脂状ポリオルガノシロキサンを1重量%未満含み、より好ましくはこうした樹脂状ポリオルガノシロキサンを含まず、ここでT基およびQ基は以下のように定義される:
M=R3SiO1/2、またはM*
D=R2SiO2/2、またはD*
T=RSiO3/2、またはT*
Q=SiO4/2
【0122】
1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は即時使用可能な1成分系である。
【0123】
本発明の硬化性シリコーン組成物を硬化するために使用される波長は、合理的な時間枠内で組成物を硬化可能な波長である限り、狭く限定されるものではない。本発明の1つの実施形態において、硬化組成物は照射硬化、好ましくはUV硬化によって得られる。本発明による別の実施形態において、硬化に使用される波長はUV範囲内、例えば100nmから500nmの間にある。
【0124】
本発明の硬化性シリコーン組成物の硬化後の性質
本発明の1つの実施形態において、硬化した組成物は少なくとも0.5のアスペクト比をもたらす。アスペクト比とは、UV硬化した組成物の幅に対する高さの比率を示している。幅と高さは例えば、キーエンス社のデジタル顕微鏡を用いて決定される。照射硬化された組成物のアスペクト比についてのこの0.5という値未満では、幾らかの気泡が発生したり、または他の液状組成物が幾らか流下しうる。好ましくは、アスペクト比は少なくとも0.6、より好ましくは少なくとも0.65、そしてさらにより好ましくは少なくとも0.75である。
【0125】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は硬化の後に、1/4コーンを用いて75×0.1[mm]までの針入度で測定される軟質の範囲内に規定される硬度から、70までのショア00硬度を有する(針入度はDIN ISO2137によって測定されショア硬度00はASTM D2240-02bによって測定される)。
【0126】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は硬化の後に、≧65%の透明度、好ましくは≧75%の透明度、より好ましくは≧85%の透明度、そしてさらにより好ましくは≧90%の透明度を有する。透明度はBYK社のヘーズメーターhaze-gard-dualを用いてASTM D1003により測定される。
【0127】
本発明の1つの実施形態において、照射硬化性シリコーン組成物は硬化の後に、≦10、より好ましくは≦5、より好ましくは≦1の黄色度(YI)を有する。黄色度(YI)はコニカミノルタ社のCM3600D装置を用いてASTM E313により測定される。
【0128】
本発明の照射硬化性シリコーン組成物は、例えば、ディスプレイ用途(光学的結合)においてダムおよびシール材料として使用される。
【0129】
本発明の照射硬化性シリコーン組成物は、例えばディスプレイに使用される。
【0130】
本発明はまた、硬化シリコーン組成物を含むディスプレイにも関している。
【0131】
実施例
硬化後にどの組成物が所望のアスペクト比を有するダム材料をもたらすかを評価するために、以下の表に示す9つの組成物を室温(25℃)で調製した。それぞれの組成物はノードソン社のXYZ卓上ロボットを用いて30ccのシリンジを5.34バールで使用して、1.6mmのノズルから基板上に10mm/sの吐出速度でライン状に塗布した。次いで組成物はパナコール社のメタルハライドランプUV H255を用いて2から4J/cm2のエネルギーをシリコーン組成物に適用することによって硬化された。
【0132】
以下の表1に記載された成分の内容は以下の通りである:
成分A11)は、20℃で10s-1の剪断速度Dにおいて65Pa.sの粘度を有する直鎖ビニル末端ジメチルポリシロキサン、または165Pa.sの粘度を有する直鎖のビニル末端シロキサンのいずれかである。
成分A2-2a)は、20℃で振動モードにおいて6000Pa.sの複素粘度を有する直鎖ビニル末端ジメチル-コ-(メチル(ビニル)ポリシロキサンである。
成分B)は、20℃で10s-1の剪断速度Dにおいて40mPa.sの粘度を有する直鎖ポリジメチル-コ-メチルハイドロジェンシロキサン(SiHポリシロキサン)架橋剤B)である。
UV触媒C1)は、20℃で10s-1の剪断速度Dにおいて10Pa.sの粘度を有するビニル末端ポリジメチルシロキサンA11)中の500ppmのUV触媒、すなわち(メチルシクロペンタジエン)トリメチル白金またはTMMCpPt(IV)からなる。
UV触媒プレミックスC2)は、20℃で10s-1の剪断速度Dにおいて1Pa.sの粘度を有する99gの直鎖ビニル末端ポリジメチルシロキサンA12)中1gのTMMCpPt(IV)である。
【0133】
上記の成分は混合されて、A11)成分(ビニル末端およびペンダント基として鎖中にビニル基を有する)とビニルポリジオルガノシロキサンA2-2a)の比率が86:13から60:35の範囲内にある本発明による照射硬化性シリコーン組成物が得られ、予想される流動性をもってディスプレイ用のダムに適用するのに必要な粘度(20℃で剪断速度10s-1において180Pa.sを超える)および約0.5を超えるアスペクト比がもたらされる(表1)。
【0134】
【0135】
以下の表2に記載され上記の条件の下に硬化された本発明による以下の照射硬化性シリコーン組成物において、異なる化合物A2-1)、A2-2a)からA2-2d)を試験した(重量部)。
【0136】
【0137】
上記の表2において「初期硬度」は照射からちょうど2分後に測定さた硬度を指している。「最終硬度」は1日後に測定した硬度;すなわち硬度が一定になった時点を指している。
【0138】
驚くべきことに本発明者らが見出したところでは、20℃および振動モードにおいて複素粘度6000Pa.sを有する異なる種類の直鎖ポリジオルガノシロキサンA2-1)またはA2-2a)からA2-2c)或いは複素粘度3000Pa.sを有するA2-2dは、本発明による照射硬化性シリコーン組成物中25重量%において、0.5を超えるアスペクト比のダムをもたらした。本発明による実施例14は幾らかの曇りを示しているが、電子部品のシール用途のような適用例については、この種の用途については高い透明度レベルは必要とされないことから、この本発明のシリコーン組成物は依然として使用可能である。
【0139】
実施例15-1から実施例15-6にわたる以下の実施例においては、UV触媒C2)の量が異なる添加量で用いられた。ppm単位の量は白金金属の含有量に関連しており、白金6から20ppmの範囲にわたる(表3)。
【0140】
【0141】
表3による本発明による照射硬化性シリコーン組成物は、ダム用の即時使用可能な1成分パッケージとして使用され、次いで3J/cm2未満のUV強度で硬化された。本発明による照射硬化性シリコーン組成物(即時使用可能な1成分パッケージとして)の粘度、それらの硬化物のアスペクト比、およびそれらの硬度の測定値を表4に見出すことができる。
【0142】
【0143】
表4から、本発明のシリコーン組成物の実施例15-1から実施例15-6におけるUV活性化触媒C2)およびSiH架橋剤B)のような添加剤の濃度変化の、本発明によってダムに使用されるUV硬化シリコーン組成物の硬度に対する影響を看取することができる。ダムに適用し硬化した後に、本発明のシリコーン組成物はすべて約90%を超える透明度と低い黄色度(0.4未満)を有している。これらの性質は、ディスプレイに適用するために非常に有用である。
【0144】
本発明のシリコーン組成物の異なる実施例15-1から実施例15-6を、室温(25℃)から40℃または100℃の異なる温度において、また85℃/相対湿度85%(r.H)において、1000時間にわたって放置した。1000時間後の透過率(%)と黄色度(YI)を測定し、結果を表5aおよび5bのそれぞれに示している。
【0145】
【0146】
実施例15-1から実施例15-6の本発明の照射硬化性シリコーン組成物は、温度の上昇につれて、または85%の相対湿度の存在下に、黄色度YIの僅かな増大を示しているが、こうした本発明の1成分系の付加および照射硬化性シリコーン組成物についての安定性の試験結果は、それらが特性を喪失することなく長期にわたって使用可能であることを示している。予想されたように、本発明の照射硬化性シリコーン組成物の実施例15-5および実施例15-6は、上記条件下においてYIの最大の増加を示している。この原因は、UV触媒C2)に含まれるPt金属の量、すなわちこれらの実施例で使用されている20ppmが多いことにあると推測される。使用するPtの好ましい濃度は20ppm未満、好ましくは15ppm未満、より好ましくは10ppm以下、または10ppm未満であろう。
【0147】
本発明の照射硬化性シリコーン組成物の、ディスプレイに使用される液状光学的透明接着剤(LOCA)材料との相溶性を試験するために、モメンティブ社のInvisiSil
登録商標SN3001(軟質の粘着性のゲルから硬化剤の添加により室温において約30分間で指触乾燥状態になる、光学的結合用途に使用される2成分系高伸度シリコーンゲル)を用いて、本発明の照射硬化性シリコーン組成物の実施例15-1から15-6のそれぞれについて以下の実験を行った。これらの本発明の組成物の1つを使用したダムは最初にUV硬化される。例えば実施例15-1の組成物はガラス上に約1mmの厚さで吐出され、パナコール社のメタルハライドランプUV H255(3J/cm
2)でUV硬化された。LOCA材料として使用される製品InvisiSil
登録商標SN3001が上側に塗布され、2番目のガラスで覆われた。この試料の積層体は室温で1日放置された。これらの試料はエージング(異なる温度すなわち室温(25℃)、40℃、100℃または85℃/相対湿度85%で1000時間放置)の後に分析して、LOCAが存在する場合にダムが見えるか否かが判定された(以下の表6参照(ランク付けは以下の通り:目に見える(-)または目に見えない(++)))。
【表6】
【0148】
実施例15-1および15-2の本発明による照射硬化性シリコーン組成物は目に見えず、ディスプレイ用途に適している(光学的結合)。実施例15-5および15-6のような高含有量のPt触媒を用いた場合には、試験用に調製したダムの環は、InvisiSil登録商標SN3001製品でカプセル化した後に目に見える。これらの2つの他の組成物は、シーラント、ダムが周囲に適用される電子部品/部材、基板その他のような、ダム材料の非視認性の要請がない用途により適切である。
【0149】
実施形態
1.照射硬化性シリコーン組成物であって:
A1)少なくとも1つのアルケニル基、好ましくは2つのアルケニル基を有し、20℃および剪断速度D=10s-1で500Pa.sまでの粘度を有する少なくとも1つのポリオルガノシロキサン、
A2)少なくとも1000Pa.s、好ましくは少なくとも2500Pa.s、より好ましくは5000Pa.s(20℃で振動モードで測定)の複素粘度を有し、以下の群から選択される少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサン:
アルケニル基を有しない直鎖ポリジオルガノシロキサンA2-1)および
ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する直鎖ポリジオルガノシロキサンA2-2)
B)少なくとも1つのSiH基、好ましくは少なくとも2つのSiH基を有する少なくとも1つのポリオルガノハイドロジェンシロキサン、および
C)少なくとも1つの照射活性化触媒、
D)任意選択的に1つまたはより多くの補助的成分を含む、照射硬化性シリコーン組成物。
【0150】
2.A1)は式(Ia1)の少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサンであり、
【化20】
式中それぞれのRは独立して飽和または芳香族有機基から選択され、それぞれのR
1は独立してアルケニル基から選択され、そしてxは≧0である、実施形態1による照射硬化性シリコーン組成物。
【0151】
3.A2)は式(Ib)の少なくとも1つの直鎖ポリジオルガノシロキサンであり、
【化21】
式中RおよびR
1は上記で定義した通りであり;R
2はRまたはR
1から選択され、yは≧0、そしてz≧0である、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
成分A2)は直鎖ポリジオルガノシロキサンであり、ここで少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのR
2はR
1であり、好ましくはR
2=R
1はビニルである、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0152】
4.成分A1)は、20℃で5から300Pa・s、好ましくは10から200Pa・s、より好ましくは20から150Pa・sの粘度を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA11)を含む、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0153】
5.成分A1)は、20℃で5Pa・s未満、好ましくは0.1から3Pa・s、より好ましくは0.2から2Pa・sの粘度を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA12)を含む、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0154】
6.成分A1)は、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA11)および少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンA12)を含む、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0155】
7.成分A2)は、20℃および振動モードにおいて少なくとも1000Pa.sの複素粘度を有し、複素粘度は好ましくは1000から15000Pa.s、好ましくは2500から10000Pa.s、より好ましくは3000から8000Pa.sの範囲にある、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0156】
8.シリコーン組成物は20℃および10s-1の剪断速度Dで少なくとも150Pa.s、好ましくは少なくとも175Pa.s、より好ましくは少なくとも200Pa.sの粘度を有する、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0157】
9.シリコーン組成物は20℃および10s-1の剪断速度Dで最大700Pa.sの粘度を有する、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0158】
10.成分A11)は式Ia)においてxの値が200から2000、好ましくは500から1200である、実施形態2から10のいずれか1による照射硬化性シリコーン組成物。
【0159】
11.成分A2)は式Ib)においてyの値が2500から10000、好ましくは3000から8000である、実施形態3から11のいずれか1による照射硬化性シリコーン組成物。
【0160】
12.成分A2)は式Ib)においてzの値が0から350、好ましくは0から250、より好ましくは0から50である、実施形態3から12のいずれか1による照射硬化性シリコーン組成物。
【0161】
13.組成物の合計重量に基づいて成分A2)を少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも8重量%、より好ましくは少なくとも12重量%、さらにより好ましくは少なくとも15重量%含む、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0162】
14.組成物の合計重量に基づいて成分A11)を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%含む、実施形態5から14のいずれか1による照射硬化性シリコーン組成物。
【0163】
15.組成物の合計重量に基づいて成分A12)を、≧0から5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満含む、実施形態6から15のいずれか1による照射硬化性シリコーン組成物
【0164】
16.A11)およびA2)の合計100重量部に基づいて、50から95重量部のA11)および5から50重量部のA2)、好ましくは60から90重量部のA11)および10から40重量部のA2)、より好ましくは70から85重量部のA11)および15から35重量部のA2)を含む、実施形態5から16のいずれか1による照射硬化性シリコーン組成物
【0165】
17.A11)およびA2)の合計100重量部に基づいて:
0から5重量部の成分A12)、
0.01から20重量部の成分B)、
AおよびB)に基づいて1から100ppmの成分C)、および
0から10重量部の少なくとも1つの成分D)を含む、実施形態6から17のいずれか1による照射硬化性シリコーン組成物。
【0166】
18.3重量%未満のフィラー、好ましくは1%未満のフィラーを含み、より好ましくはフィラーを含まない、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0167】
19.T基(またはRSiO3/2)およびQ基(またはSiO4/2)から選択される少なくとも1つのシロキシ基を有する3重量%未満の樹脂状ポリオルガノシロキサン、好ましくは1重量%未満の前記樹脂状ポリオルガノシロキサンを含み、より好ましくは前記樹脂状ポリオルガノシロキサンを含まない、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0168】
20.照射活性化触媒C)は有機金属白金化合物、好ましくは任意選択的に置換されたシクロペンタジエニル白金化合物から選択され、最も好ましくは成分C)はトリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金(IV)である、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0169】
21.成分B)は直鎖ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、好ましくはその非末端シロキシ単位にSiH基を有する以下のような直鎖ポリオルガノハイドロジェンシロキサンから選択され、
【化22】
式中Rは上記で定義した通りであり、そしてR
3はRおよびHから選択され、またp≧0およびq≧1である、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0170】
22.成分D)は強化フィラー、非強化フィラー等、およびこれらの混合物の群から選択され、好ましくは非強化フィラーである、先の実施形態のいずれかによる照射硬化性シリコーン組成物。
【0171】
23.先の実施形態のいずれかによるシリコーン組成物をUV光により100から500nmから選択される波長で硬化することにより製造された硬化組成物。
【0172】
24.少なくとも0.5のアスペクト比(=高さ/幅)を有する実施形態23による硬化組成物。
【0173】
25.先の実施形態のいずれかによるシリコーン組成物の照射硬化により得られた硬化組成物。
【0174】
26.35から70のショア硬度針入度および5から70のショア00(ショア硬度針入度は規格DIN ISO2137によって測定され、ショア硬度00はASTM D2240-02bによって測定される)を有する、実施形態24または25による硬化組成物。
【0175】
27.≧65%の透明度を有する実施形態24による硬化組成物。
【0176】
28.電子部品の光学的結合におけるダムおよびシール材料としての、先の実施形態のいずれかによるシリコーン組成物の用途。
【0177】
29.実施形態24または25による硬化シリコーン組成物を含むディスプレイまたはシーラント。
【国際調査報告】