(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】単一部品のヒンジ並びに関連する方法及び使用
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20240822BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20240822BHJP
B65G 1/04 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
F16C11/04 Z
F16C11/10 Z
B65G1/04 555Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512149
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2022073624
(87)【国際公開番号】W WO2023025860
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】マトサグコス、アレクサンドロス
(72)【発明者】
【氏名】エスピノサ、ジーザス
(72)【発明者】
【氏名】ハルジェ、アルビド
【テーマコード(参考)】
3F022
3J105
【Fターム(参考)】
3F022EE05
3F022FF00
3F022JJ11
3F022MM01
3J105AA42
3J105AB02
3J105AB06
3J105AB17
3J105AC10
3J105BB45
3J105BC25
3J105DA50
(57)【要約】
単一部品のヒンジ、製造する方法、及び積み荷取り扱いデバイスが提供される。単一部品のヒンジは、第1の部分及び第2の部分と、第1の部分の第1の端部を第2の部分の第1の端部に接続する撓み構成体とを備え、単一部品のヒンジは、第1の部分の第1の端部における枢動点を中心として回転して移動可能であり、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、第1の位置では、回転は、第1の支持領域によって制限され、第2の位置では、回転は、第2の支持領域によって制限される。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一部品のヒンジであって、
第1の部分及び第2の部分と、
前記第1の部分の第1の端部を前記第2の部分の第1の端部に接続する撓み構成体と
を備え、前記単一部品のヒンジは、前記第1の部分の前記第1の端部における枢動点を中心として回転して移動可能であり、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の位置では、回転は、第1の支持領域によって制限され、
前記第2の位置では、回転は、第2の支持領域によって制限される、単一部品のヒンジ。
【請求項2】
前記第1の支持領域における前記第1の部分と前記第2の部分との間の接触部分は、相補的な形状を有する、請求項1に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項3】
前記第2の部分の形状は、前記第1の部分を前記第1の位置に案内する、請求項1又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項4】
前記第2の部分の前記第1の支持領域は、サメの歯形状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項5】
前記第2の支持領域における前記第1の部分と前記第2の部分との間の接触部分は、相補的な形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項6】
前記撓み構成体は、前記第1の支持領域によって横側面上に少なくとも部分的に境界付けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項7】
前記撓み構成体は、前記第1の部分の前記第1の端部内に少なくとも部分的に入れ子にされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項8】
前記撓み構成体は、前記第2の部分の前記第1の端部内に少なくとも部分的に入れ子にされる、請求項1~7のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項9】
前記第1の部分は、前記第1の部分の前記第1の端部においてロッカーを備え、前記第2の部分は、ソケットを備え、ここで、前記ロッカーは、前記ソケット内に位置する、請求項1~8のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項10】
前記撓み構成体は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に延在する1つ以上の材料ストリップを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項11】
少なくとも1つのストリップが、第1の方向に延在し、少なくとも1つのストリップが、前記第1の方向とは実質的に対向する第2の方向に延在する、請求項10に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項12】
前記撓み構成体は、第1の方向に延在する単一のストリップ、及び第2の方向に延在する2つのストリップを備え、前記第1の方向に延在する前記単一のストリップは、前記第2の方向に延在する前記2つのストリップの組み合わされた幅に等しい幅を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項13】
前記撓み構成体の各ストリップは、その長さに沿って各側面の間隙によって他の特徴部から分離される、請求項10~12のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項14】
前記第1の部分、前記第2の部分、及び前記撓み構成体は、単一の材料片から形成される、請求項1~13のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項15】
単一部品の機構は、3D印刷されるか、又は付加製造によって構築される、請求項1~14のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項16】
前記第1の部分は、余分な材料を除去するための窓を更に備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項17】
単一部品の機構は、水平力を垂直運動に変換するためのリンケージセットとして使用される、請求項1~16のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項18】
前記リンケージセットは、方向転換機構を備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項19】
第2の単一部品のヒンジが、前記第1の部分の前記第1の端部から遠位である、前記第1の部分の第2の端部に形成され、二重の単一部品のヒンジのリンケージを形成する、請求項1~18のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジを製造する方法であって、前記方法は、
付加製造装置を使用して前記単一部品のヒンジのデジタルモデルを印刷するステップと、
付加製造装置から、印刷された前記単一部品のヒンジを取り出すステップと、
前記単一部品のヒンジから余分な材料を除去するステップと
を備える、方法。
【請求項21】
グリッドフレームワーク構造中に積み重ねられた保管コンテナを持ち上げて移動させるための積み荷取り扱いデバイスであって、前記グリッドフレームワーク構造は、平行なレール又はトラックの第1のセットと、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、実質的に水平な平面内で前記平行なレール又はトラックの第1のセットに対して実質的に垂直に延在する平行なレール又はトラックの第2のセットとを備え、前記グリッドは、コンテナが前記複数のグリッド空間を通して垂直方向に直立材のセット間に積み重ねられ、直立材のセットによって案内されるように、前記グリッドの真下に複数の垂直保管ロケーションを形成するために、前記直立材のセットによって支持され、
前記積み荷取り扱いデバイスは、前記平行なレール又はトラックの第1のセットと係合するように構成された車輪の第1のセット、及び前記平行なレール又はトラックの第2のセットと係合するように構成された車輪の第2のセット上に据え付けられた本体と、前記本体に対して前記車輪の第1のセットを上昇若しくは下降及び/又は前記車輪の第2のセットを下降若しくは上昇させて、前記車輪を前記平行なレール又はトラックと係合及び係合解除させるように構成された方向転換アセンブリとを備え、前記方向転換アセンブリは、トラベラと固定ブレースとの間に配置された請求項1~19のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジの一連を備えるリンケージセットを備え、前記トラベラは、前記車輪が上昇又は下降することを可能にするために印加された力の下で移動するように構成される、積み荷取り扱いデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一部品のヒンジに関する。より具体的には、ただし限定的ではないが、本発明は、単一部品の撓みヒンジ機構及び製造の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット積み荷取り扱いデバイスは、英国特許出願第GB2520104A号(Ocado Innovation Limited)に説明されている。そのような積み荷取り扱いデバイスは、容器又はコンテナのスタックの上方にグリッドを形成するトラックシステム上を制御可能に移動される。所与の積み荷取り扱いデバイスは、スタックの最上部からターゲットコンテナを持ち上げ、ターゲットコンテナは、顧客の注文を履行するために必要とされる在庫アイテムを収容する。積み荷取り扱いデバイスは、x方向トラック及びy方向トラックとそれぞれ係合するための車輪の第1のセット及び車輪の第2のセットを備える。x方向に移動するために、x方向車輪は、トラックと係合され、その一方で、y方向車輪は、上昇される。同様に、y方向に移動させるために、y方向車輪は、トラックと係合され、その一方で、x方向車輪は、上昇される。x方向移動とy方向移動との間の移行は、方向転換機構によって制御される。方向転換機構は、頑丈で、信頼性があり、積み荷取り扱いデバイス及びターゲットコンテナの重量を支持することが可能であり、繰り返しの使用に耐えることが可能であることが必須である。
【0003】
本発明は、この背景に対して考案されたものである。
【発明の概要】
【0004】
単一部品のヒンジ
単一部品のヒンジが提供される。単一部品のヒンジは、第1の部分及び第2の部分と、第1の部分の第1の端部を第2の部分の第1の端部に接続する撓み構成体とを備え、単一部品のヒンジは、第1の部分の第1の端部における枢動点を中心として回転して移動可能であり、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、第1の位置では、回転は、第1の支持領域によって制限され、第2の位置では、回転は、第2の支持領域によって制限される。
【0005】
第1の部分及び第2の部分は、典型的なヒンジのリーフと比較され得る。
【0006】
撓み部は、特定の自由度に適合するように設計された可撓性要素又は要素の組み合わせである。典型的には、撓み部は、周囲の材料と比較してより容易に曲がり得る材料の薄いバー、シート、又は切り欠きを備える。特定の設計は、特定の自由度及び移動距離を有する複雑な運動プロファイルを可能にする。
【0007】
撓み構成体は、ヒンジの枢動軸又は先端であると考えられ得るが、「軸」は、第1の部分及び第2の部分に対して空間的に固定されない場合がある。
【0008】
いくつかの構成体では、単一部品のヒンジは、重量及び移動を支持するために実質的に円柱状の「脚」形状を有し得る。単一部品のヒンジが脚であると考えられる場合、第1の部分は、「脛」(膝と足首との間)であり得、ここで、脛の前部は、「向こう脛」であり、「踵」で終わり、第2の部分は、「足」であり得、撓み構成体は、「足首」であり得る。
【0009】
単一部品のヒンジは、2つの位置間を移動するように構成される。第1の位置では、脚又は踵は、足首又は第1の支持領域上に後方に載置され、第2の位置では、脚は、足の最上部又は第2の支持領域上に向こう脛と共に前方に載置される。ヒンジによって伝えられる負荷は、第1の位置では第1の支持領域(踵)を通過し、第2の位置では第2の支持領域(足の最上部の向こう脛)を通過する。このようにして、脚によって伝えられる力は、第1の支持領域及び第2の支持領域によって第1の位置及び第2の位置の両方において支持される。撓み構成体は、支持領域と比較して最小の負荷を伝えるか、又は実質的に負荷を伝えず、その一方で、第1の部分及び第2の部分は、単一部品のヒンジを通して伝えられる負荷の実質的に全てを伝える。
【0010】
このことから、支持領域は、第1の部分及び第2の部分が構造要素となることを可能にし得る。支持領域は、単一部品のヒンジが最小の力で第1の位置と第2の位置との間を移動することを可能にし得るが、これは、最小の力のみが撓み構成体によって伝えられ、従って、位置間で撓み構成体を移動させるために、克服すべき力が実質的にないからである。
【0011】
ヒンジが単一部品であるので、必要とされる部品の数が低減され得ることを認識されたい。
【0012】
典型的には、ヒンジは、ナックル(複数可)から横方向に延在する2つのリーフを必要とする。各リーフから延在するナックルは、交互に配置され、それらを貫通するピンとインターロックする。このことから、典型的には、ヒンジは、複数の部品、例えば、別個のリーフ、ピン、及び複数の軸受を備える8つの部品を備える。部品の数を1つに低減することは、組み立て時間が低減されることを意味し得る。更に、部品間に良好な公差を有する必要も、部品間に潤滑が適用される必要もない。それ故に、単一部品のヒンジをより複雑な構成体に組み立てる関連コストが低減され得る。
【0013】
更に、部品の数の低減は、単一部品のヒンジに必要とされる全重量の低減につながり得ることを認識されたい。例えば、単一部品のヒンジをトポロジ最適化することが可能であり得る。
【0014】
第1の支持領域における第1の部分と第2の部分との間の接触部分は、相補的な形状を有し得る。
【0015】
言い換えれば、第1の支持領域において、第1の部分の第1の端部は、第2の部分の第1の端部と対にされ、それらは、一致して交わるか又は当接して、共に嵌合又は固定される。場合によっては、形状が良好に一致することを確実にするために、ピース間にミシン目を入れて、ピースが共に製造され得る。次いで、使用する準備ができたときにミシン目が破られ得る。
【0016】
第1の支持領域における第1の部分と第2の部分との間の接合部は、少なくとも部分的にキャスタレートされ得る。キャスタレーションは、撓み構成体に対する任意の横方向の力又はねじり力を低減するのに役立ち得る。更に、キャスタレーションは、第1の位置に移動するときに、脚が足首に適切に着座することを確実にするのに役立ち得る。
【0017】
上述したように、負荷は、撓み構成体自体ではなく、第1及び第2の支持領域を通して実質的に受けられる。第1の部分及び第2の部分が交わる部分間に相補的な形状を有することは、力がより直接的に伝達されることを意味し得、力が領域にわたって分散されることを意味し得る。
【0018】
第2の部分の形状は、第1の部分を第1の位置に案内する。
【0019】
このようにして、単一部品のヒンジが第1の位置に移動するとき、第1の部分及び第2の部分が実質的に正確に且つ意図されたように一緒になることが確実にされ得る。形状によって提供されるそのような案内は、横方向の力又はねじれ力のリスクを更に低減し得、それによって、撓み構成体に少なくともいくらかの保護を提供し得る。
【0020】
別の利点は、ヒンジが位置間を移動するときに、案内が単一部品のヒンジの滑らかで均一な動作を確実にすることであり得る。
【0021】
更に、第1の部分と第2の部分との間の接合部又は接触部分の少なくとも一部分は、湾曲し得る。この場合も、これは、ヒンジが位置間を移動するときに、単一部品のヒンジの滑らかで均一な動作を確実にし得る。
【0022】
単一部品のヒンジは、第1の位置と第2の位置との間の実質的に全ての位置において第1の支持領域によって少なくとも部分的に支持され得る。このようにして、ヒンジは、その使用中ずっと実質的に支持される。
【0023】
第2の部分の第1の支持領域は、サメの歯形状を有する。
【0024】
前縁上及び後縁上の両方で、サメの歯形状が、同じ方向に湾曲している。前縁及び後縁は、先端で交わる。
【0025】
第1の位置では、「歯」の先端は、第2の部分の第1の端部から第1の部分の第1の端部の凹部中に突出する。第2の位置では、第1の部分の端部は、前方に揺動し、「歯」の先端は、凹部中に完全には着座されていないが、凹部と接触したままである。このことから、第2の位置では、第1の支持領域と第2の支持領域との間で負荷が分散され得、ここで、第1の支持領域において、第1の部分と第2の部分との間に部分的な接触がある。
【0026】
第2の支持領域における第1の部分と第2の部分との間の接触部分は、相補的な形状を有する。
【0027】
踵又は第1の支持領域と同様に、向こう脛の底部は、足の最上部と対にされて、一致して交わり得るか又は当接し得る。
【0028】
いくつかの構成体では、向こう脛の底部及び足の最上部は、実質的に平坦又は平面であり得る。第2の支持領域は、撓み構成体の遠位にあり得るので、撓み構成体に対する横方向の力又はねじり力に対して保護する必要性は実質的により少なくなり得る。実質的に平坦な接触部分を有することは、力が表面にわたってより均一に分散されること、製造がより容易であること、及び公差の問題が生じる可能性がより低いことを意味し得る。
【0029】
撓み構成体は、第1の支持領域によって横側面上に少なくとも部分的に境界付けられる。
【0030】
撓み構成体は、特別に設計された自由度に従って曲がることを要求されるため、第1及び第2の部分と比較して繊細又は脆弱であり得ることを認識されたい。
【0031】
第1の部分の端部は、撓み構成体の両側で第2の部分に向かって下向きに延在し、それによって撓み構成体を境界付けるか、又は撓み構成体の側面に位置し得る。第1の部分は、第2の部分と交わり得る。このようにして、有利には、第1の部分によって伝えられる力は、第2の部分に直接伝達され得、第1の支持領域中の撓み構成体を効果的に迂回し得る。
【0032】
撓み構成体は、第1の部分の第1の端部内に少なくとも部分的に入れ子にされる。撓み構成体は、第2の部分の第1の端部内に少なくとも部分的に入れ子にされる。
【0033】
言い換えれば、撓み構成体は、第1の部分と第2の部分との間に収容され得るか、又は取り囲まれ得る。有利には、撓み構成体は、4つの側面上の第1の部分と、2つの側面上の第2の部分とによって実質的に取り囲まれ得る。このことから、撓み構成体は、第1の部分及び第2の部分によって実質的に保護され得る。
【0034】
第1の支持領域は、第1の部分と第2の部分とが交わる第1の部分及び第2の部分の一部を備えることを認識されたい。
【0035】
第1の部分は、第1の部分の第1の端部においてロッカーを備え、第2の部分は、ソケットを備え、ここで、ロッカーは、ソケット内に位置する。
【0036】
第1の部分と第2の部分との間のロッカー及びソケット構成体は、第1の部分の端部が第2の部分中に「自己配置」することを確実にし得る。言い換えれば、第1の部分は、ボール端部を備え得、第2の部分はカップを備え得る。有利には、第1の位置と第2の位置との間の滑らかな移動があり得る。有利には、ロッカーとソケットとの間の摩擦は低くあり得る。
【0037】
撓み構成体は、第1の部分と第2の部分との間に延在する1つ以上の材料ストリップ(複数可)を備える。
【0038】
上述したように、撓み部は、典型的には、周囲の材料と比較してより容易に曲がり得る材料の薄いバー、シート、又は切り欠きを備える。撓み構成体は、1つ以上の撓み構成要素を備え得る。撓み構成要素は、材料ストリップ又はリボンであり得る。材料ストリップ(複数可)は、前後方向に曲がることを可能にするように、比較的長い長手方向寸法又は長さ寸法、短い深さ寸法又は厚さ寸法、及び中間の幅寸法を有し得る。撓み部は、ブレード型撓み部であり得る。各ストリップの第1の端部は、第1の部分に取り付けられ得、各ストリップの遠位端は、第2の部分に取り付けられ得る。
【0039】
少なくとも1つのストリップが、第1の方向に延在し、少なくとも1つのストリップが、第1の方向とは実質的に対向する第2の方向に延在する。
【0040】
撓み構成体は、2つ以上のストリップを備え得る。1つ以上の第1のストリップ(複数可)は、前方向、即ちヒンジの第1の位置からヒンジの第2の位置への移動の方向に延在し、1つ以上の第2のストリップ(複数可)は、逆方向又は後方向、即ちヒンジの第2の位置からヒンジの第1の位置への移動の方向に延在する。
【0041】
このようにして、2つ以上のストリップは、「X」を形成し得る。「X」の中間点は、単一部品のヒンジの枢動点であり得る。撓み構成体の中間点は、境界を成す第1の支持領域の1つ以上の縁部と一致するように構成され得る。このようにして、撓み構成体は、単一部品のヒンジの第1の位置と第2の位置との間のその移動全体にわたって第1の支持領域によって実質的に支持される。
【0042】
第1及び第2の方向に延在する撓みストリップを有することによって、単一部品のヒンジの移動は、移動の両方向、即ち、前及び逆に制御され得る。
【0043】
撓み構成体は、第1の方向に延在する単一のストリップ、及び第2の方向に延在する2つのストリップを備え、第1の方向に延在する単一のストリップは、第2の方向に延在する2つのストリップの組み合わされた幅に等しい幅を有する。
【0044】
第2の方向のストリップ(複数可)と比較して、第1の方向のストリップ(複数可)の幅を調整することにより、単一部品のヒンジを第1の方向又は前方向及び第2の方向又は逆方向に移動させるために必要とされる力を相応に調整することが可能であることを認識されたい。それ故に、一方向に移動するために逆方向に比べてより多くの力を必要とする単一部品のヒンジを設計することが可能である。このことから、ヒンジを、一方向に向かって付勢することができる。代替として、第1の方向のストリップの全幅が第2の方向のストリップの全幅と一致する場合、単一部品のヒンジは、実質的にバランスが取れ、いずれの方向に移動するためにもほぼ等しい力を必要とすることを認識されたい。
【0045】
撓み構成体の各ストリップは、その長さに沿って各側面の間隙によって他の特徴部から分離される。
【0046】
このようにして、各ストリップは、単一部品のヒンジの他の部品によって妨げられることなく自由に移動することができ得る。ストリップ(複数可)と他の構成要素との間の間隙の結果として、第1の位置と第2の位置との間で単一部品のヒンジを移動させる摩擦がほとんど又は実質的になく、逆もまた同様であることを認識されたい。その結果、位置間で単一部品のヒンジを移動させるために必要とされる力がより小さくなる。ヒンジがモータによって動作される場合、より小さいモータが用いられ得、それによって資本及びエネルギーのコスト節約を呈し得る。
【0047】
この移動の自由は、バックラッシュ及び/又は摩擦に起因する位置決めヒステリシスを示すことが多い従来の又は典型的なヒンジ、軸受、又はスライドとは対照的であり得る。それ故に、単一部品のヒンジは、高い予見性で位置決めするように移動可能であり得る。
【0048】
第1の部分、第2の部分、及び撓み構成体は、単一の材料片から形成される。
【0049】
単一部品のヒンジは、単一の連続した材料片から作られることを認識されたい。典型的には、材料は、適切な弾性、可撓性対剛性、弾力性、及び疲労特性を示すように選択されるであろう。いくつかの材料特性は製造モードに依存することを認識されたい。いくつかの材料特性は異方性であることを認識されたい。適切な材料は、プラスチック、ポリマープラスチック、熱硬化性プラスチック、熱可塑性プラスチック、金属、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、鋼、鋼合金、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、亜鉛、亜鉛合金、繊維強化複合材、炭素繊維、グラファイト繊維、ガラス繊維、天然繊維、植物繊維、プラスチック繊維、紙、厚紙、ゴム、エポキシ、又はナイロンであり得る。
【0050】
単一部品の機構は、3D印刷されるか、又は付加製造によって構築される。
【0051】
付加印刷又は3D印刷を用いることによって、より複雑な形状を製造することが可能であることが多い。付加プロセスは、異方性材料特性をもたらし得ることを認識されたい。いくつかの付加製造方法を使用して、1つよりも多くの材料を用い、材料間の移行を等級分けすることが可能である。これらの方法が予想される。
【0052】
第1の部分は、余分な材料を除去するための窓を更に備える。
【0053】
いくつかの付加製造方法は、粉末材料を焼結することを用いることを認識されたい。除去される必要がある余分な粉末は、焼結プロセスが完了した後に製品上に残され得る。単一部品のヒンジのセクション間に位置する余分な粉末は、除去するのが困難であり得ることを認識されたい。
【0054】
窓は、踵の背面に位置し得る。窓は、レターボックス形状の輪郭を有し得る。1つよりも多くの窓が用いられ得る。
【0055】
窓は、余分な材料の除去を補助するために有利に使用され得ることを認識されたい。
【0056】
更に、窓は、単一部品のヒンジの内部部品を検査するために使用され得ることを認識されたい。
【0057】
[使用]
単一部品の機構は、水平力を垂直運動に変換するためのリンケージセットとして使用され得る。
【0058】
リンケージセットは、方向転換機構を備え得る。
【0059】
第2の単一部品のヒンジが、第1の部分の第1の端部から遠位である、第1の部分の第2の端部に形成され、二重の単一部品のヒンジのリンケージを形成する。
【0060】
グリッドフレームワーク構造中に積み重ねられた保管コンテナを持ち上げて移動させるための積み荷取り扱いデバイスは、平行なレール又はトラックの第1のセットと、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、実質的に水平な平面内でレール又はトラックの第1のセットに対して実質的に垂直に延在する平行なレール又はトラックの第2のセットとを備え得、グリッドは、コンテナが複数のグリッド空間を通して垂直方向に直立材のセット間に積み重ねられ、直立材のセットによって案内されるように、グリッドの真下に複数の垂直保管ロケーションを形成するために、直立材のセットによって支持され、積み荷取り扱いデバイスは、平行なトラックの第1のセットと係合するように構成された車輪の第1のセット、及び平行なトラックの第2のセットと係合するように構成された車輪の第2のセット上に据え付けられた本体と、本体に対して車輪の第1のセットを上昇若しくは下降及び/又は車輪の第2のセットを下降若しくは上昇させて、車輪を平行なトラックと係合及び係合解除させるように構成された方向転換アセンブリとを備え、方向転換アセンブリは、トラベラと固定ブレースとの間に配置された一連の単一部品のヒンジを備えるリンケージセットを備え、トラベラは、車輪が上昇又は下降することを可能にするために印加された力の下で移動するように構成される。
【0061】
これらは、単一部品のヒンジの使用のいくつかの例である。
【0062】
単一部品のヒンジは、いくつかの異なるリンケージの一部として用いられ得ることを認識されたい。1つよりも多くの単一部品のヒンジがピースに組み込まれて、複雑な機構を作成し得ることを認識されたい。
【0063】
[製造]
単一部品のヒンジを製造する方法が提供される。本方法は、付加製造装置を使用して単一部品のヒンジのデジタルモデルを印刷するステップと、付加製造装置から、印刷された単一部品のヒンジを取り出すステップと、単一部品のヒンジから余分な材料を除去するステップとを備える。
【0064】
上述したように、単一部品のヒンジは、3D印刷又は付加製造によって製造され得る。特に、選択的レーザ焼結(SLS)3D印刷が使用され得る。SLS法は、印刷プロセス中に、構築中の部品がプロセス全体を通して未焼結粉末材料によって支持されるので、開示する単一部品のヒンジを印刷するのに特に有利であり得る。これは、いくつかの他の技法を使用してでは不可能な幾何学的形状が構築されることを可能にする。例えば、SLS技法を使用して、「入れ子にされる」要素を製作することが可能である。代替として、マルチジェットフュージョン(MJF)3D印刷は、別の粉末ベースの技法であり、ここで、注入アレイが、融剤及びディテーリング剤を適用し、それらが、次いで、加熱によって組み合わされて、固体層を作成する。任意の適切な付加製造技法又は装置が使用され得、本開示は本明細書で述べる技法に限定されないことを認識されたい。
【0065】
付加製造方法は、典型的には、「スライスされた」層に従ってピースを製作又は構築することを認識されたい。「スライス」の方向は、完成したピースの材料挙動に影響を及ぼし得ることを認識されたい。それ故に、製作の方向は、プロセスの終わりにピース結果についての意図された特性を確実にするように指定され得る。これは、撓み構成体が特定の方向に撓むことを要求されるので、本明細書で開示する単一部品のヒンジにとって特に重要であり得る。
【0066】
本明細書で開示する単一部品のヒンジの場合、特に粉末技法が使用される場合、構築チャンバ中での製作後に、余分な材料を除去することが必要であり得ることを認識されたい。余分な材料の除去は、手動で、又は自動若しくは半自動プロセスで実行され得る。他の後処理ステップが任意選択で実行され得る。
【0067】
上述したように、単一部品のヒンジの踵上の窓又はレターボックス特徴部は、余分な粉末の除去を補助するために使用され得る。窓はまた、内部部品、即ちヒンジの撓み構成体を検査して、部品が適切に配置されていることを確実にするために使用され得る。
【0068】
自動洗浄プロセスでは、印刷された部品がタンブリング機中に配置されて、印刷された部品から余分な材料が振り落とされ得る。部品は、部品の通常の使用中には存在しない力を受け得ることを認識されたい。単一部品のヒンジの場合、洗浄プロセス中、キャスタレーション特徴部は、撓み構成体などのより繊細な特徴部を保護するのを補助し得る。
【0069】
単一部品のヒンジは、次いで、より複雑な機構に組み立てる準備ができている場合がある。
【0070】
上述したように、第1の部分と第2の部分との間の接触部分は、相補的な形状を有し得る。付加製造技法を使用して、単一部品のヒンジは、部品間の薄い材料片で接合された第1の部分及び第2の部分を有するように設計され得る。製造後、接触部分は、第1の部分と第2の部分との間の移動を可能にするように分割され得る。このようにして、第1の部分と第2の部分との間の接触部分は、製造プロセスから生じる形状のいかなる歪み又は変化にもかかわらず、相補的であり得る。他の順序では、製造公差にかかわらず、第1の部分及び第2の部分は、実質的に相補的な形状を有するであろう。有利には、これは、拒絶される印刷された部品がより少ないということであり得る。
【0071】
本明細書で議論する例に従って、単一部品のヒンジは、方向転換機構用のリンケージセットに組み立てられ得る。
【0072】
一組の又は一連の単一部品のヒンジは、各単一部品のヒンジを上部ブレースから延在する対応するシャフト上に差し込むことによって上部ブレースに取り付けられ得る。同様に、各単一部品のヒンジは、下部ブレースから延在する対応するシャフト上に差し込まれ得る。キャッププレートが、次いで、部品を共に固定するために取り付けられ得る。このようにして、リンケージセットは、迅速且つ容易に組み立てられ得、より少ない部品及び簡単な組み立てプロセスを有し得る。方向転換アセンブリとして、積み荷取り扱いデバイスの各側に1つずつ、4つのリンケージセットが組み立てられ得る。方向転換アセンブリについての組み立て時間の低減は、各リンケージセットについての組み立て時間の低減の倍数であることを認識されたい。それ故に、単一部品のヒンジによって、大幅な節約が可能になり得る。
【0073】
他の変形形態例及び利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0074】
ここで、本発明のこれら及び他の態様を、例としてのみ、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図3】
図1に例示する保管構造の最上部のロボット積み荷取り扱いデバイスを例示する。
【
図4】ロボット積み荷取り扱いデバイス又はボットを例示する。
【
図5】ロボット積み荷取り扱いデバイス又はボットを例示する。
【
図6】積み荷取り扱いデバイス及び方向転換アセンブリを例示し、ここで、
図6aでは、積み荷取り扱いデバイスは駐車されており、
図6bでは、y方向に移動するために、x方向車輪が上昇され、その一方で、y方向車輪が下降され、
図6cでは、x方向に移動するために、y方向車輪が上昇され、その一方で、x方向車輪が下降されている。
【
図7】方向転換アセンブリ用のリンケージセットを例示し、
図7aでは、リンケージセットは駐車位置にあり、
図7bでは、車輪シャーシが横断方向に移動するために上昇しており、
図7cでは、車輪シャーシが平行方向に移動するために下降されている。
【
図8】撓み構成体を備える単一部品のヒンジを例示し、ここで、
図8aは、撓み構成体を切断する断面の等角図であり、
図8bは、撓み構成体を切断するXY平面図であり、
図8cは、ZY平面内の単一部品のヒンジの図であり、
図8dは、ZX平面内のヒンジの図である。
【
図9】撓み構成体を備える別の単一部品のヒンジを例示し、ここで、
図9aは、ZY平面内の図であり、
図9bは、ZX平面内の図である。
【
図10】撓み構成体を備える別の単一部品のヒンジを例示し、ここで、
図10aは、ZX平面内のヒンジの図であり、
図10bは、断面図である。
【
図11】
図10の単一部品のヒンジを例示し、ここで、
図11aは、ZY平面内のヒンジの図であり、
図11b~dは、断面図の詳細図であり、ここで、
図11bは、上昇位置にあり、
図11cは、駐車位置にあり、
図11dは、下降位置にある。
【
図12】撓み構成体の概略図であり、ここで、
図12aは静止しており、
図12bは撓んでいる。
【
図13】
図10及び11の単一部品のヒンジを例示し、ここで、
図13aは、ZX平面内のヒンジの図であり、
図13bは、断面の等角図であり、
図13cは、断面のYX図である。
【
図14】
図10、11、及び13の単一部品のヒンジの詳細を例示し、ここで、
図14aは、等角図であり、
図14bは、ZY平面である。
【
図15a-e】2つの単一部品のヒンジを使用する構成体を例示し、ここで、
図15aはZX正面図であり、
図15bはZY図であり、
図15cはZX背面図であり、
図15dはXY上面図であり、
図15eはZX断面図である。
【
図15f-i】2つの単一部品のヒンジを使用する構成体を例示し、ここで、
図15fは等角正面図であり、
図15gは等角背面図であり、
図15hはXY底面図であり、
図15iはZY断面図である。
【
図16】製造及び組み立てプロセスの図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図では、同様の特徴は、適切な場合には同様の参照符号によって示される。
【0077】
以下の実施形態は、本発明がどのように実施され得るかの好ましい例を表すが、それらは、必ずしもこれをどのように達成することができるかの唯一の例ではない。これらの例は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分な詳細で説明する。添付の特許請求の範囲に定義されたような本発明の範囲から逸脱することなく、他の例が利用され得、構造的な変更が成され得る。その上、方向についての言及と、暗黙の向きを有する任意の他の用語とは、本明細書で説明する特定の例の読者の理解を助けるために例として与えられる。それらは、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されていない限り、特に本発明の位置、向き、又は使用に関する要件又は限定であると読まれるべきではない。同様に、接続についての言及(例えば、取り付けられた、結合された、接続された、接合された、固定された、など)は、広く解釈されるべきであり、要素の接続間の中間部材と要素間の相対運動とを含み得る。そのため、接続についての言及は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されていない限り、2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを必ずしも暗示しない。同様に、nがx、y、及びzのうちの1つである場合の、「n方向への移動」などの言い回し及び任意の同等の言い回しは、いずれかの方向(即ち、n軸の正端に向かうか又はn軸の負端に向かう)への、n軸に実質的に沿った又はn軸に対して平行な移動を意味することを意図される。
【0078】
図1は、直立部材3と、直立部材3によって支持された水平部材5、7とを備える保管構造1を例示する。水平部材7は、互いに対して且つ例示するx軸に対して平行に延在し、それに対して、水平部材5は、互いに対して且つ例示するy軸に対して平行に、水平部材7に対して横断方向に延在する。直立部材3は、互いに対して且つ例示するz軸に対して平行に延在する。水平部材5、7は、複数のグリッドセルを画定するグリッドパターンを形成する。例示する例では、コンテナ9は、グリッドパターンによって画定されたグリッドセルの真下のスタック11中に配置され、グリッドセル毎にコンテナ9の1つのスタック11がある。
【0079】
図2は、水平部材5、7の最上部に位置し、
図1に例示する保管構造1の一部を形成するトラック構造13のセクションの大縮尺平面図を示す。トラック構造13は、水平部材5、7自体によって(例えば、水平部材5、7の表面内又は表面上に形成される)、又は水平部材5、7の最上部に据え付けられた1つ以上の追加の構成要素によって提供され得る。例示するトラック構造13は、x方向トラック17及びy方向トラック19を備える。この場合、トラックの第1のセット17は、x方向に延在し、トラックの第2のセット19は、トラックの第1のセット17を横断するy方向に延在する。トラック17、19は、グリッドセルの中心にアパーチャ15を画定する。アパーチャ15は、グリッドセルの真下に位置するコンテナ9がアパーチャ15を通って持ち上げられ、下降されることを可能にするようなサイズにされる。トラックの第1のセット17は、隆起部21によって分離された対で設けられ、トラックの第2のセット19は、隆起部23によって分離された対で設けられる。トラック構造の他の配置も可能であり得る。
【0080】
図3は、
図1に例示する保管構造1の最上部を移動する複数のロボット積み荷取り扱いデバイス31を示す。ロボット31又はボット31とも呼ばれ得る各積み荷取り扱いデバイス31は、ボット31がトラック構造13を横切って移動し、特定のグリッドセルに到達することを可能にするために、方向転換アセンブリ(図示せず)と、対応するx方向トラック17又はy方向トラック19と係合するための車輪のセットとを設けられる。述べたように、トラックのセット17、19は、一対のボット31が近隣するグリッドセルを占有するか、又は衝突することなく擦れ違うことを可能にする隆起部21、23によって分離される。
【0081】
図4に詳細に例示するように、ボット31は、ボット31がその意図された機能を実行することを可能にする1つ以上の構成要素がその中又は上に据え付けられた本体33を備える。これらの機能は、トラック構造13上で保管構造1を横切って移動することと、ボット31がグリッドパターンによって画定された特定のロケーション中にコンテナ9を置くか又は特定のロケーションからコンテナ9を取り出すことができるように、スタック11にコンテナ9を下降させるか又はスタック11からコンテナ9を上昇させることとを含み得る。
【0082】
前者の機能を実行するために、ボット31は、車輪の第1のセット35及び第2のセット37を備え、それらは、本体33上に据え付けられ、ボット31がトラック17及び19に沿ってx方向及びy方向にそれぞれ移動することを可能にする。特に、2つの車輪35が、
図4に見えるボット31のより短い側面上に設けられ、更なる2つの車輪35が、ボット31の反対側のより短い側面36上に設けられる。車輪35は、本体33上に回転可能に据え付けられ、ボット31がトラック17に沿って移動することを可能にするためにトラック17と係合するように構成される。同様に、2つの車輪37が、
図4に見えるボット31のより長い側面上に設けられ、更なる2つの車輪37が、ボット31の反対側のより長い側面38上に設けられる。車輪37は、トラック19と係合し、ボット31の本体33上に回転可能に据え付けられて、ボット31がトラック19に沿って移動することを可能にする。
【0083】
ボット31が第1及び第2の方向に異なる車輪35、37上で移動することを可能にするために、ボット31は、車輪の第1のセット35をトラックの第1のセット17と選択的に係合するか、又は車輪の第2のセット37をトラックの第2のセット19と選択的に係合するかのうちのいずれかを行うための車輪位置決め機構を含む。車輪位置決め機構は、本体33に対して車輪の第1のセット35及び/又は車輪の第2のセット37を上昇及び下降させるように構成され、それによって、積み荷取り扱いデバイス31が、保管構造1のトラック17、19を横切って第1の方向又は第2の方向のうちのいずれかに選択的に移動することを可能にする。
【0084】
車輪位置決め機構は、ボット31の本体33に対して車輪の少なくとも一方のセット35、37を上昇及び下降させて、車輪の少なくとも一方のセット35、37をトラック17、19から離し、トラック17、19と接触させるための1つ以上のリニアアクチュエータ、回転構成要素、又は他の手段を含み得る。いくつかの例では、車輪の一方のセットのみが上昇及び下降されるように構成され、車輪の一方のセットを下降させる行為は、車輪の他方のセットを効果的に持ち上げて、対応するトラックから離れさせ得、その一方で、車輪の一方のセットを上昇させる行為は、車輪の他方のセットを効果的に下降させて、対応するトラックと接触させ得る。他の例では、車輪の両方のセットが上昇及び下降され得、有利には、ボット31の本体33が実質的に同じ高さに留まり、従って、本体33及びその上に据え付けられた構成要素の重量が、車輪位置決め機構によって持ち上げられ、下降される必要がないことを意味する。
【0085】
後者の機能を促進するために、ボット31は、スタック11からボット31のコンテナ受け入れ空間又は空洞中にコンテナ9を上昇させ、コンテナ受け入れ空間からスタック11上にコンテナ9を下降させるように構成された、概して39によって示すコンテナ持ち上げ手段を更に備える。例示するコンテナ持ち上げ手段39は、4つのテープ又はリール41を備え、テープ又はリール41は、それらの下端でコンテナ係合アセンブリ43に接続される。テープ41は、必要に応じて、コンテナ係合アセンブリ43を上昇又は下降させるために巻き上げられ得るか又は巻き下げられ得る。テープ41の巻き上げ又は巻き下げをもたらすか又は制御するために、1つ以上のモータ又は他の手段が設けられ得る。
【0086】
図5に見ることができるように、例示するボット31の本体33は、上部45及び下部47を有する。上部45は、1つ以上の動作構成要素(図示せず)を収容するように構成される。下部47は、上部45の真下に配置され、コンテナ持ち上げ手段39によって上昇されたコンテナ9の少なくとも一部を収容するためのコンテナ受け入れ空間又は空洞を備える。コンテナ受け入れ空間は、コンテナ9の下側がトラック構造13又は保管構造1の別の部分に引っ掛かることなく、ボット31が保管構造1の最上部のトラック構造13を横切って移動することを可能にするために、十分なコンテナ9が空洞の内側に収まることができるようなサイズにされる。ボット31がその意図された目的地に到達すると、コンテナ持ち上げ手段39は、テープ41を制御して、コンテナ係合アセンブリ43及び対応するコンテナ9を下部47中の空洞から意図された位置に下降させる。意図された位置は、コンテナ9のスタック11又は保管構造1の出口点(又は、保管構造1中に保管するためのコンテナ9を収集するためにボット31が移動した場合は、保管構造1の入口点)であり得る。例示する例では、上部45及び下部47は物理的な仕切りによって分離されているが、他の実施形態では、上部45及び下部47は、ボット31の本体33の特定の構成要素又は部分によって物理的に分割されていない場合がある。
【0087】
いくつかの実施形態では、ボット31のコンテナ受け入れ空間は、ボット31の本体33内にない場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、コンテナ受け入れ空間は、(例えば、ボット31の本体33の重量が、持ち上げられるべきコンテナの重量と釣り合うカンチレバー構成で)ボット31の本体33に隣接し得る。そのような実施形態では、コンテナ持ち上げ手段39のフレーム又はアームは、ボット31の本体33から水平に突出し得、テープ/リール41は、突出するフレーム上のそれぞれのロケーションに配置され、本体33に隣接するコンテナ受け入れ空間中にコンテナを上昇及び下降させるために、それらのロケーションから上昇及び下降されるように構成され得る。フレームがボット31の本体33上に据え付けられ、そこから突出する高さは、所望の効果を提供するように選ばれ得る。例えば、フレームが、ボット31の本体33上で高いレベルで突出して、比較的より大きいコンテナ又は複数のコンテナがフレームの真下のコンテナ受け入れ空間中に上昇されることを可能にすることは好ましくあり得る。代替として、フレームは、ボット31がコンテナを積み込まれたときにボット31の質量中心をより低く保つために、本体33の下方により低く(しかし、フレームとトラック構造13との間に少なくとも1つのコンテナを収容するのに依然として十分に高く)突出するように配置され得る。
【0088】
示す実施形態では、コンテナ係合アセンブリ43は、テープ41の下端に取り付けられたグリッパプレート49と、コンテナ9にラッチするためにその上に据え付けられた1つ以上のグリッパアセンブリ(図示せず)とを備える。例えば、テープ41の近傍でグリッパプレート49の隅部に設けられ得るグリッパアセンブリは、コンテナ9中の凹部又は開口部と位置合わせされ、コンテナ9にラッチするために作動されると、コンテナ9中の凹部又は開口部と相互作用するように配置される。
【0089】
図6は、方向転換アセンブリ110を有する積み荷取り扱いデバイス102の斜視図を、3つの位置、即ち、駐車、y方向移動、及びx方向移動で例示する。
【0090】
図6aでは、x方向車輪シャーシ116及びy方向車輪シャーシ118の両方が下にあり、そのため、積み荷取り扱いデバイスが上記で説明したようにグリッド構造上に位置決めされた場合、全ての車輪がトラックと係合されるであろう。
図6bでは、y方向に移動するために、x方向車輪シャーシ116が上昇され、その一方で、y方向車輪シャーシ118が下降され、
図6cでは、x方向に移動するために、y方向車輪シャーシ118が上昇され、その一方で、x方向車輪シャーシ116が下降される。車輪シャーシ116、118の各々は、以下でより詳細に説明するように、方向転換アセンブリ110への接続によって垂直に移動される。車輪シャーシ116、118は、駐車位置において同じ垂直又はz方向のレベルにある。
【0091】
方向転換アセンブリは、積み荷取り扱いデバイス102の各側面にリンケージセットを備える。
図6では、リンケージセットが、可視のx方向側に示され、同様のリンケージセットが、反対側のx方向側(図示せず)に配置される。同様に、リンケージセットが、可視のy方向側に示され、同様のリンケージセットが、反対側のy方向側(図示せず)に配置される。各リンケージセットは、特定の側のための対応する車輪シャーシ116、118に接続される。
【0092】
図7は、方向転換アセンブリ110用のリンケージセット120を例示する。リンケージセット120は、上部ブレース又はトラベラ122と下部ブレース123との間に枢動可能に接続された一連の5つの同様のヒンジ121を備える。積み荷取り扱いデバイス上では、下部ブレース123は、車輪シャーシに固定して取り付けられるであろう。各ヒンジ121が脚の一部であると考えられる場合、ヒンジ121は、膝で上部ブレース122に、つま先で下部ブレース123に取り付けられ、ヒンジは、足首を中心として回転する。このことから、各ヒンジ121は、トラベラ122と下部ブレース123との間に延在する。
【0093】
図7では、
図7aと7bと7cとの間に基準を提供するために点線が描かれている。
【0094】
図7aでは、リンケージセット120は、駐車位置にある。この位置では、図面に示すように、ヒンジの下部又は足は、実質的に水平であり、ヒンジの上部又は脛は、正のx方向に僅かに前方に傾いている。
【0095】
図7aと比較して、
図7bでは、上部ブレース122は、正のx方向に移動される。これは、リンケージセットが実質的に時計回りに回転することを必要とする。
図7bに示す位置では、足は、足がつま先から遠位の踵又はヒンジ端において上昇されるように、つま先を中心として時計回りに回転される。脛は、脛が踵に戻り、足及び脛が実質的に垂直になるように、足首を中心として反時計回りに回転され、膝は、時計回りに回転される。結果として、上部ブレース122と下部ブレース123との間のz方向の距離が低減される。それによって、下部ブレース123が車輪シャーシに取り付けられると、車輪シャーシが上昇されるであろう。
【0096】
図7aと比較して、
図7cでは、上部ブレース122は、負のx方向に移動される。これは、リンケージセットが実質的に反時計回りに回転することを必要とする。
図7cに示す位置では、足は、実質的に水平のままである。脛は、脛が実質的に垂直であり、踵及び足に戻るように、足首を中心として反時計回りに回転される。このことから、足及び脛は、実質的に垂直である。膝は、反時計回りに回転される。位置決めの結果として、上部ブレース122と下部ブレース123との間のz方向の距離が増加する。それによって、下部ブレース123が車輪シャーシに取り付けられると、車輪シャーシは、x方向に移動するために車輪をトラックと係合させるように下降されるであろう。
【0097】
足首を中心とする時計回り及び反時計回り方向の回転は、以下で説明するように制限される。
【0098】
このことから、リンケージセットは、水平運動を垂直運動に変換し、3つの垂直位置、即ち、駐車又は中立、上昇、及び下降を提供する。
【0099】
ヒンジ121の脛及び足の相対的な長さは、設計された垂直運動を達成するように調整され得ることを認識されたい。
【0100】
図8は、撓み構成体を備える単一部品のヒンジ130を例示する。
図8cは、ZY平面内の単一部品のヒンジ130の図であり、
図8dは、ZX平面内の単一部品のヒンジ130の図である。例示するように、単一部品のヒンジ130は、下降位置にあり、足131は、実質的に水平であり、脛132は、実質的に垂直であり、足131に対して垂直である。撓み構成体133は、足首において脛132及び足131を接続する。
【0101】
図8dに見ることができるように、踵において、脛132は、脛132の各側に延在する支持体134を備えるように成形される。撓み構成体133は、支持領域の2つの分岐間に見られ得る。
【0102】
図8aは、足131の撓み構成体133を切断する断面の等角図であり、
図8bは、足131の撓み構成体133を切断するXY平面図である。図に見ることができるように、この単一部品のヒンジ130の場合、撓み構成体133は、つま先135に向かって前方又は時計回りに、及び踵に向かって後方又は反時計回りに撓むように構成された単一の材料ストリップである。
【0103】
脛端部136の両側は丸くされ、撓み構成体133の両側で足131に向かって下方に延在し、足131のカップ型窪み137中に載置され、撓み構成体133によって制御されるように脛132が足131上で揺動することを可能にする。撓み構成体は、脛端部136、支持領域134、及び足131の前方部分によって境界付けられる。
【0104】
単一部品のヒンジ130の回転は、支持領域134によって反時計回り方向に制限され、足131の最上部に載置される脛の向こう脛又は前部138によって時計回り方向に制限される。
【0105】
単一部品のヒンジ130を通して垂直方向に伝えられる負荷は、脛132、及び支持体134又は足131の最上部を通して方向付けられる。
【0106】
図9は、別の単一部品のヒンジ140を例示する。
図9aは、ZY平面内の単一部品のヒンジ140の図であり、
図9bは、ZX平面内の単一部品のヒンジ140の図である。単一部品のヒンジ140は、ここで説明する違いを除いて、
図8に関連して議論する単一部品のヒンジ130とほぼ同様である。支持体141は、足142から延在し、踵縁部に沿って反時計回り方向に角度が付けられ、その一方で、脛端部ロッカー143は、相補的な形状を有する。足142のソケット又はカップ146及び支持体141は、足首を中心とするより短い回転角度を可能にする。踵中の窓を通して見られ得るように、撓み構成体144は、脛145と足142とを接続する3つの材料ストリップを有する。
【0107】
第3の単一部品のヒンジ150が、
図10、11、13、及び14に例示されている。
【0108】
単一部品のヒンジ150は、撓み構成体153によって共に接続された脛151及び足152を有する。撓み構成体153は、Xを形成する前方に延在するストリップ154及び後方に延在するストリップ155を有する。撓み構成体153に力が印加されると、前方に延在するストリップ154及び後方に延在するストリップ155の両方が撓む。
【0109】
図12は、撓み構成体200の概略図であり、ここで、構成体は、静止しているか又は静的であり、即ち
図12aでは力が印加されていない無負荷であり、
図12bでは撓んでおり、ここでは、回転力が印加されている。図は、2つの材料ブロック203を接続し、それらの間に延在する、前方に延在するストリップ201及び後方に延在するストリップ202を有する。力が印加されると、前方に延在するストリップ201及び後方に延在するストリップ202の両方が撓んで、一方のブロック203を他方のブロック203を中心として回転させる。枢動点は、Xの中心にある。
【0110】
再び単一部品のヒンジ150を見ると、単一部品のヒンジ150がリンケージセットの上昇位置又は下降位置についての構成にあるとき、撓み構成体は無負荷であり、単一部品のヒンジ150がリンケージセットの駐車位置についての構成にあるとき、撓み構成体は撓む。
【0111】
図11b~dは、断面図での、
図11aのセクションAの詳細図である。
図11bは上昇位置にあり、撓み構成体153は無負荷であり、
図11cは駐車位置にあり、撓み構成体153は負荷が掛けられており、
図11dは下降位置にあり、撓み構成体153は再び無負荷である。
【0112】
図13aの線Fを通る断面を示す
図13b及び13cに示す詳細を特に参照すると、撓み構成体153は、2つの前方に延在するストリップ154と、1つの後方に延在するストリップ155とを備えることが分かり得る。前方に延在するストリップ154は、後方に延在するストリップ155の両側にあり、ストリップ154、155の各々の間、及びストリップ154と単一部品のヒンジ150の周囲エリアとの間には間隙がある。このようにして、位置間でヒンジを移動させるために克服すべき摩擦力は実質的にないはずである。
【0113】
単一部品のヒンジ150が、
図13aに示すように脛151が足152に対して垂直になるように構成されるとき、脛151は、支持領域と完全に係合される。脛151と足152との間の接触部分は、共に嵌合するように設計されている。支持領域は、足152から延在する背もたれ156及びサメの歯157から構成される。このことから、単一部品のヒンジ150を通して伝えられる負荷は、撓み構成体153の周りに方向付けられ、車輪が上昇又は下降されるときに単一部品のヒンジの構造部品によって伝えられる。踵の後部に沿って、背もたれ156の接触部分に沿って段又はキャスタレーション159があって、脛151及び足152が適切に且つ撓み構成体153をねじることなく一緒になることを確実にするのを補助する。
【0114】
単一部品のヒンジ130、140と同様に、単一部品のヒンジ150が駐車位置にあるとき、脛151の下部前部又は向こう脛面は、足152の最上部に対して載置される。
【0115】
上述したように、撓み構成体153の枢動点は、Xの中心にある。単一部品のヒンジ150の外部では、これは、脛151が先端で足152と交わる先端158に対応する。先端は、サメの歯157と前足との間の空間中の位置間で揺動し得る。
【0116】
単一部品のヒンジ150は、背もたれ156に起因して、反時計回り方向に垂線を越えて回転することができず、単一部品のヒンジ150は、時計回り方向に足の最上部を越えて回転することができない。
【0117】
レターボックス又は窓160が、キャスタレーション159の下方に配置されて、単一部品のヒンジの全重量を低減し、撓み構成体153へのより良好なアクセスを可能にする。例えば、窓160は、製造中の余分な材料の除去のために、及び検査のために使用され得る。
【0118】
積み荷取り扱いデバイス用の方向転換機構は、一連の単一部品のヒンジを用いる、本明細書で説明するタイプの異なるリンケージセットの組み合わせ、又は1つ以上の他のタイプ、例えば、コンプライアント機構、他の撓み構成体、若しくは固定ピン枢動点リンケージ機構の組み合わせを備えることができることを認識されたい。
【0119】
図16は、単一部品のヒンジ130、140、150を製造するための付加製造プロセス210と、単一部品のヒンジ130、140、150を積み荷取り扱いデバイス用のリンケージセット及び方向転換アセンブリに組み立てるための組み立てプロセス211との図を例示する。
【0120】
まず、特定の製造技法にかかわらず、特定の単一部品のヒンジ130、140、150が、デジタルモデルとして、例えばCADファイルとして設計される。デジタルモデルファイルは、互換性のあるフォーマットで付加製造装置にエクスポートされる212。
【0121】
最初に、付加製造装置は、装置の構築チャンバ中に部品が最適に配置されることを可能にするために、構築パッキング213ソフトウェアを使用する。印刷することが可能なピースのサイズ及び数は、付加製造装置の構築チャンバに依存することを認識されたい。部品は、構築パッキングソフトウェアによって自動的に配置され得る。しかしながら、設計者は、構築チャンバ内に特定の向きで部品を配置するために手動で介入し得る。
【0122】
配置が決定されると、構築物は、次いで、印刷ソフトウェアにアップロードされ得る214。SLS付加製造装置では、プリントは、「スライスされた」材料層として構成される。印刷215中、構築チャンバ中の粉末材料は、材料の融点の直下まで加熱される。レーザが、選択された領域を融点を超えて押して、材料を焼結するために使用される。プロセス中、未焼結粉末は、焼結された材料の周りの適所に残され、焼結された材料を支持するように作用する。
【0123】
次いで、全ての部品を収容する構築チャンバが取り出される216。任意選択では、構築チャンバは、それが取り出される前に、ある期間にわたって冷却するために製造装置中に残され得る。
【0124】
冷却されると、余分な又は望ましくない粉末が、部品から除去される217。余分は、未焼結支持材料である。余分は、タンブリング機中で除去される。更に、余分な材料は、手動で除去される。単一部品のヒンジ130、140、150は、次いで、組み立ての準備ができている。
【0125】
組み立てより前に、単一部品のヒンジ130、140、150が、踵接触部分において接合された第1の部分及び第2の部分を伴って製造されている場合、接合部は、単一部品のヒンジが第1の位置と第2の位置との間を移動することができるように、第1の部分と断面部分との間の移動を可能にするように分割される。
【0126】
リンケージセット120への組み立て211のために、上部ブレース123は、枢動点として作用するアルミニウムシャフトを伴って準備される。単一部品のヒンジ130、140、150が、アルミニウムシャフトの周りで上部ブレース122上に差し込まれる218。このプロセスは、5つの単一部品のヒンジ130、140、150を備えるリンケージセット120に対して5回繰り返される。リンケージセット120は、2つ以上の単一部品のヒンジ130、140、150であり得るが、本明細書では、5つの単一部品のヒンジ130、140、150を有するリンケージセット120が例示されていることを認識されたい。
【0127】
同様に、下部ブレース122が、枢動点として作用するアルミニウムシャフトを伴って準備される。単一部品のヒンジ130、140、150が、アルミニウムシャフトの周りで下部ブレース123上に差し込まれる219。このプロセスは、単一部品のヒンジ130、140、150の各々に対して繰り返される。
【0128】
最後に、実質的に
図7に関連して説明したように、キャッププレートが、上部ブレース122に取り付けられ220、キャッププレートが、下部ブレース123に取り付けられて220、完全に組み立てられたリンケージセットが提供される221。
【0129】
実質的に
図6に関連して説明したように、積み荷取り扱いデバイスの各側に1つずつ、4つのリンケージセット221が、方向転換アセンブリに組み立てられ得る。
【0130】
ここで説明する単一部品のヒンジの様々な構成は、機械的リンケージにおいて任意の数の用途に使用することができることを認識されたい。
図15は、2つの単一部品のヒンジを用いる単一部品のリンケージ170を例示する。上記で説明した例と同様に、第1の単一部品のヒンジ172が、第1の部分171の一端に形成され、第2の単一部品のヒンジ173が、第1の部分171の遠位端に形成される。このことから、単一部品のリンケージ170は、二重の単一部品のヒンジ又はリンケージであると考えられ得る。単一部品のヒンジ172、173の両方は、撓み構成体174を備える。
【0131】
単一部品のリンケージ170の様々な図及び断面を示す
図15a~iに例示するように、第1の単一部品のヒンジ172及び第2の単一部品のヒンジ173は、同じ方向に回転するように配置され、このことから、二重の単一部品のリンケージ170は、多関節(この場合、二関節)チェーンであり、指に似ている。2つの単一部品のヒンジ172、173が両方とも撓むと、単一部品のリンケージ170は、アーチを形成するであろう。
【0132】
任意の数の追加の単一部品のヒンジがチェーンの一端又は他端に追加され得ることを認識されたい。更に、多関節チェーン又は単一部品のリンケージ内で、チェーンの各部分間の撓み構成体は、異なる方向に撓むか又は曲がるように構成され得る。また更に、本明細書で説明及び例示する例では、部分は実質的に線形であるが、1つ以上の部分が湾曲した形状又は複雑な形状であり得ることが予想される。
【0133】
特に重要であると考えられる本発明のそれらの特徴に注意を引こうと前述の明細書において努めているが、本出願人は、特に強調されているか否かにかかわらず、本明細書で言及した及び/又は図面に示した任意の特許性のある特徴又は特徴の組み合わせに関して保護を主張することを理解されたい。
【0134】
単一部品のヒンジ又は単一部品のリンケージは、上記で説明したデバイス及び構成の様々な組み合わせを使用して特定の用途のために設計することができることを認識されたい。上記で説明した特徴は全て、単一のシステム中で共に使用され得ることを認識されたい。本発明の他の実施形態では、特徴のうちのいくつかが省略され得る。特徴は、任意の互換性のある構成で使用され得る。添付の特許請求の範囲に定義されたような本発明の範囲から逸脱することなく、上記で明示的に説明していない多くの変形形態及び修正形態が可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一部品のヒンジであって、
第1の部分及び第2の部分と、
前記第1の部分の第1の端部を前記第2の部分の第1の端部に接続する撓み構成体と
を備え、前記単一部品のヒンジは、前記第1の部分の前記第1の端部における枢動点を中心として回転して移動可能であり、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の位置では、回転は、第1の支持領域によって制限され、
前記第2の位置では、回転は、第2の支持領域によって制限される、単一部品のヒンジ。
【請求項2】
前記第1の支持領域における前記第1の部分と前記第2の部分との間の接触部分は、相補的な形状を有する、請求項1に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項3】
前記第2の部分の形状は、前記第1の部分を前記第1の位置に案内する、請求項1又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項4】
前記第2の部分の前記第1の支持領域は、サメの歯形状を有する、請求項
1又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項5】
前記第2の支持領域における前記第1の部分と前記第2の部分との間の接触部分は、相補的な形状を有する、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項6】
前記撓み構成体は、前記第1の支持領域によって横側面上に少なくとも部分的に境界付けられる、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項7】
前記撓み構成体は、前記第1の部分の前記第1の端部内に少なくとも部分的に入れ子にされる、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項8】
前記撓み構成体は、前記第2の部分の前記第1の端部内に少なくとも部分的に入れ子にされる、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項9】
前記第1の部分は、前記第1の部分の前記第1の端部においてロッカーを備え、前記第2の部分は、ソケットを備え、ここで、前記ロッカーは、前記ソケット内に位置する、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項10】
前記撓み構成体は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に延在する1つ以上の材料ストリップを備える、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項11】
少なくとも1つのストリップが、第1の方向に延在し、少なくとも1つのストリップが、前記第1の方向とは実質的に対向する第2の方向に延在する、請求項10に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項12】
前記撓み構成体は、第1の方向に延在する単一のストリップ、及び第2の方向に延在する2つのストリップを備え、前記第1の方向に延在する前記単一のストリップは、前記第2の方向に延在する前記2つのストリップの組み合わされた幅に等しい幅を有する、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項13】
前記撓み構成体の各ストリップは、その長さに沿って各側面の間隙によって他の特徴部から分離される、請求項1
0に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項14】
前記第1の部分、前記第2の部分、及び前記撓み構成体は、単一の材料片から形成される、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項15】
単一部品の機構は、3D印刷されるか、又は付加製造によって構築される、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項16】
前記第1の部分は、余分な材料を除去するための窓を更に備える、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項17】
単一部品の機構は、水平力を垂直運動に変換するためのリンケージセットとして使用される、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項18】
前記リンケージセットは、方向転換機構を備える、請求項
17に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項19】
第2の単一部品のヒンジが、前記第1の部分の前記第1の端部から遠位である、前記第1の部分の第2の端部に形成され、二重の単一部品のヒンジのリンケージを形成する、請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジ。
【請求項20】
請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジを製造する方法であって、前記方法は、
付加製造装置を使用して前記単一部品のヒンジのデジタルモデルを印刷するステップと、
付加製造装置から、印刷された前記単一部品のヒンジを取り出すステップと、
前記単一部品のヒンジから余分な材料を除去するステップと
を備える、方法。
【請求項21】
グリッドフレームワーク構造中に積み重ねられた保管コンテナを持ち上げて移動させるための積み荷取り扱いデバイスであって、前記グリッドフレームワーク構造は、平行なレール又はトラックの第1のセットと、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、実質的に水平な平面内で前記平行なレール又はトラックの第1のセットに対して実質的に垂直に延在する平行なレール又はトラックの第2のセットとを備え、前記グリッドは、コンテナが前記複数のグリッド空間を通して垂直方向に直立材のセット間に積み重ねられ、直立材のセットによって案内されるように、前記グリッドの真下に複数の垂直保管ロケーションを形成するために、前記直立材のセットによって支持され、
前記積み荷取り扱いデバイスは、前記平行なレール又はトラックの第1のセットと係合するように構成された車輪の第1のセット、及び前記平行なレール又はトラックの第2のセットと係合するように構成された車輪の第2のセット上に据え付けられた本体と、前記本体に対して前記車輪の第1のセットを上昇若しくは下降及び/又は前記車輪の第2のセットを下降若しくは上昇させて、前記車輪を前記平行なレール又はトラックと係合及び係合解除させるように構成された方向転換アセンブリとを備え、前記方向転換アセンブリは、トラベラと固定ブレースとの間に配置された請求項1
又は2に記載の単一部品のヒンジの一連を備えるリンケージセットを備え、前記トラベラは、前記車輪が上昇又は下降することを可能にするために印加された力の下で移動するように構成される、積み荷取り扱いデバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0134
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0134】
単一部品のヒンジ又は単一部品のリンケージは、上記で説明したデバイス及び構成の様々な組み合わせを使用して特定の用途のために設計することができることを認識されたい。上記で説明した特徴は全て、単一のシステム中で共に使用され得ることを認識されたい。本発明の他の実施形態では、特徴のうちのいくつかが省略され得る。特徴は、任意の互換性のある構成で使用され得る。添付の特許請求の範囲に定義されたような本発明の範囲から逸脱することなく、上記で明示的に説明していない多くの変形形態及び修正形態が可能である。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 単一部品のヒンジであって、
第1の部分及び第2の部分と、
前記第1の部分の第1の端部を前記第2の部分の第1の端部に接続する撓み構成体と
を備え、前記単一部品のヒンジは、前記第1の部分の前記第1の端部における枢動点を中心として回転して移動可能であり、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の位置では、回転は、第1の支持領域によって制限され、
前記第2の位置では、回転は、第2の支持領域によって制限される、単一部品のヒンジ。
[2] 前記第1の支持領域における前記第1の部分と前記第2の部分との間の接触部分は、相補的な形状を有する、[1]に記載の単一部品のヒンジ。
[3] 前記第2の部分の形状は、前記第1の部分を前記第1の位置に案内する、[1]又は[2]に記載の単一部品のヒンジ。
[4] 前記第2の部分の前記第1の支持領域は、サメの歯形状を有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[5] 前記第2の支持領域における前記第1の部分と前記第2の部分との間の接触部分は、相補的な形状を有する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[6] 前記撓み構成体は、前記第1の支持領域によって横側面上に少なくとも部分的に境界付けられる、[1]~[5]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[7] 前記撓み構成体は、前記第1の部分の前記第1の端部内に少なくとも部分的に入れ子にされる、[1]~[6]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[8] 前記撓み構成体は、前記第2の部分の前記第1の端部内に少なくとも部分的に入れ子にされる、[1]~[7]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[9] 前記第1の部分は、前記第1の部分の前記第1の端部においてロッカーを備え、前記第2の部分は、ソケットを備え、ここで、前記ロッカーは、前記ソケット内に位置する、[1]~[8]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[10] 前記撓み構成体は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に延在する1つ以上の材料ストリップを備える、[1]~[9]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[11] 少なくとも1つのストリップが、第1の方向に延在し、少なくとも1つのストリップが、前記第1の方向とは実質的に対向する第2の方向に延在する、[10]に記載の単一部品のヒンジ。
[12] 前記撓み構成体は、第1の方向に延在する単一のストリップ、及び第2の方向に延在する2つのストリップを備え、前記第1の方向に延在する前記単一のストリップは、前記第2の方向に延在する前記2つのストリップの組み合わされた幅に等しい幅を有する、[1]~[11]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[13] 前記撓み構成体の各ストリップは、その長さに沿って各側面の間隙によって他の特徴部から分離される、[10]~[12]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[14] 前記第1の部分、前記第2の部分、及び前記撓み構成体は、単一の材料片から形成される、[1]~[13]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[15] 単一部品の機構は、3D印刷されるか、又は付加製造によって構築される、[1]~[14]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[16] 前記第1の部分は、余分な材料を除去するための窓を更に備える、[1]~[15]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[17] 単一部品の機構は、水平力を垂直運動に変換するためのリンケージセットとして使用される、[1]~[16]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[18] 前記リンケージセットは、方向転換機構を備える、[1]~[17]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[19] 第2の単一部品のヒンジが、前記第1の部分の前記第1の端部から遠位である、前記第1の部分の第2の端部に形成され、二重の単一部品のヒンジのリンケージを形成する、[1]~[18]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジ。
[20] [1]~[19]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジを製造する方法であって、前記方法は、
付加製造装置を使用して前記単一部品のヒンジのデジタルモデルを印刷するステップと、
付加製造装置から、印刷された前記単一部品のヒンジを取り出すステップと、
前記単一部品のヒンジから余分な材料を除去するステップと
を備える、方法。
[21] グリッドフレームワーク構造中に積み重ねられた保管コンテナを持ち上げて移動させるための積み荷取り扱いデバイスであって、前記グリッドフレームワーク構造は、平行なレール又はトラックの第1のセットと、複数のグリッド空間を備えるグリッドパターンを形成するために、実質的に水平な平面内で前記平行なレール又はトラックの第1のセットに対して実質的に垂直に延在する平行なレール又はトラックの第2のセットとを備え、前記グリッドは、コンテナが前記複数のグリッド空間を通して垂直方向に直立材のセット間に積み重ねられ、直立材のセットによって案内されるように、前記グリッドの真下に複数の垂直保管ロケーションを形成するために、前記直立材のセットによって支持され、
前記積み荷取り扱いデバイスは、前記平行なレール又はトラックの第1のセットと係合するように構成された車輪の第1のセット、及び前記平行なレール又はトラックの第2のセットと係合するように構成された車輪の第2のセット上に据え付けられた本体と、前記本体に対して前記車輪の第1のセットを上昇若しくは下降及び/又は前記車輪の第2のセットを下降若しくは上昇させて、前記車輪を前記平行なレール又はトラックと係合及び係合解除させるように構成された方向転換アセンブリとを備え、前記方向転換アセンブリは、トラベラと固定ブレースとの間に配置された[1]~[19]のいずれか一項に記載の単一部品のヒンジの一連を備えるリンケージセットを備え、前記トラベラは、前記車輪が上昇又は下降することを可能にするために印加された力の下で移動するように構成される、積み荷取り扱いデバイス。
【国際調査報告】