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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】下顎管セグメント化の後処理
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240822BHJP
   A61B 6/51 20240101ALI20240822BHJP
   G06T 7/187 20170101ALI20240822BHJP
【FI】
A61B6/03 560J
A61B6/51 500
A61B6/03 560T
G06T7/187
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512202
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 FI2022050573
(87)【国際公開番号】W WO2023031520
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】20215916
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036309
【氏名又は名称】プランメカ オイ
【氏名又は名称原語表記】Planmeca Oy
【住所又は居所原語表記】Asentajankatu 6, 00880 Helsinki, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン ジユアン
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093DA05
4C093FF16
4C093FH07
5L096AA09
5L096CA02
5L096DA01
5L096DA02
5L096FA12
5L096FA13
5L096FA32
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA14
5L096GA15
5L096GA30
5L096GA51
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
実施形態によれば、下顎管セグメント化データの後処理方法は、複数の可能な下顎管ボクセルを含む下顎管セグメント化データを取得することと、可能な下顎管ボクセル内のプリコンフィグレーションされた確率値閾値を上回る確率値を有する隣接するボクセルを連結することにより、複数のボクセル構造体を形成することと、各ボクセル構造体をスケルトン化することによって複数のルートを形成することと、複数のルート内のルートペアごとに、ルートペアがコンカチネーション基準を満たすかどうかを検査することと、ルートペアがコンカチネーション基準を満たすことに応答して、ルートペアをコンカチネートすることにより、第二の複数のルートを形成することと、第二の複数のルート内の各ルートの少なくとも1つの空間特徴について少なくとも1回のチェックを実行し、少なくとも1回のチェックに基づいて第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下顎管セグメント化データの後処理のための方法であって、
下顎骨のコンピュータ断層撮影スキャン中に複数の可能な下顎管ボクセルを含む前記下顎管セグメント化データを取得することであって、前記複数の可能な下顎管ボクセル内の各ボクセルは前記ボクセルが下顎管を含む確率を定量化する確率値に関連付けられる、前記取得することと、
前記可能な下顎管ボクセル内のプリコンフィグレーションされた確率値閾値を上回る確率値を有する隣接するボクセルを連結することによって、複数のボクセル構造体を形成することと、
前記複数のボクセル構造体内の各ボクセル構造体をスケルトン化することによって複数のルートを形成することであって、前記複数のルート内の各ルートは前記複数のボクセル構造体内の対応するボクセル構造体の空間曲線を含む、前記形成することと、
前記複数のルート内のルートペアごとに、前記ルートペアがコンカチネーション基準を満たすかどうかを検査し、前記コンカチネーション基準を満たすルートペアに応答して、前記ルートペアをコンカチネートすることにより、第二の複数のルートを形成することと、
前記第二の複数のルート内の各ルートの少なくとも1つの空間特徴について少なくとも1回のチェックを実行し、前記少なくとも1回のチェックに基づいて前記第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記複数のルートを形成した後で、かつ前記複数のルート内のルートペアごとに、前記ルートペアが前記コンカチネーション基準を満たすかどうかを検査する前に、前記ルート内の各ボクセルの相対位置に応じて前記複数のルート内の各ルート内のボクセルをソートすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二の複数のルート内の各ルートの前記少なくとも1つの空間特徴についての前記少なくとも1回のチェックを実行し、前記少なくとも1回のチェックに基づいて前記第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することは、
前記ルートの第一セグメントの方向を決定することと、
前記ルートの前記第一セグメント以外の、前記ルートの複数のセグメント内のセグメントごとに、前記セグメントの方向が前記ルートの前記第一セグメントの前記方向からプリコンフィグレーションされた公差内であるかどうかを検査することと、
前記複数のセグメント内のセグメント数が前記公差内ではないことに基づいて単調性スコアを計算することと、
少なくとも前記単調性スコアに基づいて、前記第二の複数のルートから前記少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することと、
を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二の複数のルート内の各ルートの前記少なくとも1つの空間特徴についての前記少なくとも1回のチェックを実行し、前記少なくとも1回のチェックに基づいて前記第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することは、
前記第二の複数のルート内の少なくとも1つのルートペアについて、少なくとも1つのペアスコアを計算することであって、前記少なくとも1つのペアスコアは、
前記ルートペアの平均座標スコアであって、前記ルートペア内の各ルートの座標軸方向内の平均座標を比較することによって計算される、前記平均座標スコア、
前記ルートペアの空間対称性を定量化する前記ルートペアの対称性スコア、及び/または、
前記ルートペアの対称面スコア、
のうちの少なくとも1つを有する、前記計算することと、
前記ペアの前記少なくとも1つのペアスコアに基づいて前記第二の複数のルート内の前記少なくとも1つのルートペアの合計スコアを計算することと、
少なくとも前記合計スコアに基づいて、前記第二の複数のルートから前記少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することと、
を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第二の複数のルート内の各ルートの前記少なくとも1つの空間特徴についての前記少なくとも1回のチェックを実行し、前記少なくとも1回のチェックに基づいて前記第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することは、
各ルートの単調性スコアに基づいて前記第二の複数のルートからルートのサブセットを選択することと、
前記選択されたルートのサブセット内のルートペアごとに前記少なくとも1つのペアスコアを計算することと、
前記ルートペアの前記少なくとも1つのペアスコアに基づいて前記選択されたサブセット内のルートペアごとに前記合計スコアを計算することと、
前記選択されたルートのサブセット内で最高合計スコアを有するルートペアを前記候補の下顎管ペアとして選択することと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記座標軸方向は、前記下顎骨の前記コンピュータ断層撮影スキャンの幅方向と平行である、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記対称性スコア及び/または前記対称面スコアは、前記ルートペア内の前記ルートのダイジェストに基づいて計算され、前記ルートの前記ダイジェストは、前記ルートの開始位置、前記ルートの終了位置、及び前記ルートの平均位置を含む、請求項4~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記対称面スコアは、前記ルートペアの対称面が前記下顎骨の前記コンピュータ断層撮影スキャンの高さ方向とどの程度よくアライメントされるかを定量化する、請求項4~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記コンカチネーション基準は、プリコンフィグレーションされた最大閾値距離未満である、前記ルートペア内の第一ルートのエンドポイントと前記ルートペア内の第二ルートのエンドポイントとの間の距離を含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記複数のルート内のルートペアごとに、前記ルートペアが前記コンカチネーション基準を満たすかどうかを検査することは、
前記ルートペアのエンドポイント間の最小距離、
前記ルートペアの外挿されたエンドポイント間の最小距離であって、前記外挿されたエンドポイントはプリコンフィグレーションされたボクセル数によって前記エンドポイントを線形外挿することによって取得される、前記最小距離、及び/または、
前記ルートペアのスキュー距離、
のうちの少なくとも1つを計算することを含み、
前記コンカチネーション基準は、前記エンドポイント間の前記最小距離が満たす第一基準、前記外挿されたエンドポイント間の前記最小距離が満たす第二基準、及び/または、前記ルートペアの前記スキュー距離が満たす第三基準を含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記複数のボクセル構造体内の各ボクセル構造体は、連結成分アルゴリズムを使用して形成される、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記下顎管セグメント化データは、訓練済みニューラルネットワークの出力として取得される、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つのプロセッサ、及び、
コンピュータプログラムコードを有する少なくとも1つのメモリ、
を含むコンピューティングデバイスであって、
前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記コンピューティングデバイスに請求項1~12のいずれかに記載の方法を実行させるように構成される、前記コンピューティングデバイス。
【請求項14】
コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行される場合、請求項1~12のいずれかに記載の方法を実行するように構成されたプログラムコードを含む、前記コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯科イメージングに関し、さらに特に、下顎管セグメント化データの後処理方法、対応するコンピューティングデバイス、及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
下顎としても知られている、ヒトの下顎骨は解剖学的に複雑で、咀嚼、発声、及び顔の表情の機能を促進する、顔領域内で唯一可動な骨である。また下の歯列、筋付着部、側頭下顎関節、神経、及び血管の足場及びプラットフォームとしても機能する。重要な下顎構造は2本の下顎管であり、これら2本の下顎管は小臼歯領域及び大臼歯領域内の歯の下の両側に位置している。各管には動脈と静脈だけでなく、下歯槽神経が含まれ、下歯槽神経は三叉神経の下顎縁枝の一部であり、筋肉に運動神経支配を、そして歯、頤、及び下唇に知覚神経支配を与える。下顎内の下顎管の位置を正確に特定することは、歯科インプラント学において重要である。
【発明の概要】
【0003】
本概要は、下段の発明を実施するための形態にさらに記述されている単純化された形式で一連の概念を紹介するために提供されている。本概要は、主張されている主題の主要な特徴または重要な特徴を特定することが意図されておらず、主張されている主題の範囲を制限するために用いられることも意図するには値しない。
【0004】
下顎管セグメント化データの後処理方法を提供することを目的とする。上記及び他の目的は、独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実施態様形態は、従属請求項、説明及び図から明らかである。
【0005】
第一態様によれば、下顎管セグメント化データの後処理方法は、下顎骨のコンピュータ断層撮影スキャン中に複数の可能な下顎管ボクセルを含む下顎管セグメント化データを取得することであって、複数の可能な下顎管ボクセル内の各ボクセルはボクセルが下顎管を含む確率を定量化する確率値に関連付けられる、取得することと、可能な下顎管ボクセル内のプリコンフィグレーションされた確率値閾値を上回る確率値を有する隣接するボクセルを連結することによって、複数のボクセル構造体を形成することと、複数のボクセル構造体内の各ボクセル構造体をスケルトン化することによって複数のルートを形成することであって、複数のルート内の各ルートは複数のボクセル構造体内の対応するボクセル構造体の空間曲線を含む、形成することと、複数のルート内のルートペアごとに、ルートペアがコンカチネーション基準を満たすかどうかを検査し、ルートペアがコンカチネーション基準を満たすことに応答して、ルートペアをコンカチネートすることにより、第二の複数のルートを形成することと、第二の複数のルート内の各ルートの少なくとも1つの空間特徴について少なくとも1回のチェックを実行し、少なくとも1回のチェックに基づいて第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することと、を含む。方法は、例えば、向上した正確度によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0006】
第一態様の実装形態では、方法は、複数のルートを形成した後で、かつ複数のルート内のルートペアごとに、ルートペアがコンカチネーション基準を満たすかどうかを検査する前に、ルート内の各ボクセルの相対位置に応じて複数のルート内の各ルート内のボクセルをソートすることをさらに含む。方法は、例えば、ルートがソートされる場合、他の操作をより効率的に実行することができるため、向上した効率によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0007】
第一態様の別の実装形態では、第二の複数のルート内の各ルートの少なくとも1つの空間特徴について少なくとも1回のチェックを実行し、少なくとも1回のチェックに基づいて第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することは、ルートの第一セグメントの方向を決定することと、ルートの第一セグメント以外の、ルートの複数のセグメント内のセグメントごとに、セグメントの方向がルートの第一セグメントの方向からプリコンフィグレーションされた公差内であるかどうかを検査することと、公差内ではない複数のセグメント内のセグメント数に基づいて単調性スコアを計算することと、少なくとも単調性スコアに基づいて第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することとを含む。方法は、例えば、候補の下顎管ペアを選択する場合にルートの方向情報を利用することができるため、さらに向上した正確度によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0008】
第一態様の別の実装形態では、第二の複数のルート内の各ルートの少なくとも1つの空間特徴について少なくとも1回のチェックを実行し、少なくとも1回のチェックに基づいて第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することは、第二の複数のルート内の少なくとも1つのルートペアについて、少なくとも1つのペアスコアを計算することであって、少なくとも1つのペアスコアはルートペアの平均座標スコアであって、ルートペア内の各ルートの座標軸方向内の平均座標を比較することによって計算される、平均座標スコア、ルートペアの空間対称性を定量化するルートペアの対称性スコア、及び/またはルートペアの対称面スコアのうちの少なくとも1つを含む、計算することと、ペアの少なくとも1つのペアスコアに基づいて第二の複数のルート内の少なくとも1つのルートペアの合計スコアを計算することと、少なくとも合計スコアに基づいて第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することとを含む。方法は、例えば、候補の下顎管ペアを選択する場合にルートペアの対称性情報を利用することができるため、さらに向上した正確度によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0009】
第一態様の別の実装形態では、第二の複数のルート内の各ルートの少なくとも1つの空間特徴について少なくとも1回のチェックを実行し、少なくとも1回のチェックに基づいて第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することは、各ルートの単調性スコアに基づいて第二の複数のルートからルートのサブセットを選択することと、選択されたルートのサブセット内のルートペアごとに少なくとも1つのペアスコアを計算することと、ルートペアの少なくとも1つのペアスコアに基づいて選択されたサブセット内のルートペアごとに合計スコアを計算することと、選択されたルートのサブセット内で最高合計スコアを有するルートペアを候補の下顎管ペアとして選択することとを含む。方法は、例えば、候補の下顎管ペアを選択する場合にルートの方向情報及びルートペアの対称性情報を利用することができるため、さらに向上した正確度によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0010】
第一態様の別の実装形態では、第二の複数のルート内の各ルートの少なくとも1つの空間特徴について少なくとも1回のチェックを実行し、少なくとも1回のチェックに基づいて第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することは、空間単調性という観点から、その方向が実際の下顎管の方向と概してどの程度よくアライメントするかを定量化する、各ルートの単調性スコアに基づいて第二の複数のルートからルートのサブセットを選択することと、選択されたルートのサブセット内のルートペアごとに少なくとも1つのペアスコアを計算することと、ルートペアの少なくとも1つのペアスコアに基づいて選択されたサブセット内のルートペアごとに合計スコアを計算することと、選択されたルートのサブセット内で最高合計スコアを有するルートペアを候補の下顎管ペアとして選択することとを含む。方法は、例えば、候補の下顎管ペアを選択する場合にルートの方向情報及びルートペアの対称性情報を利用することができるため、さらに向上した正確度によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0011】
第一態様の別の実装形態では、座標軸方向は、下顎骨のコンピュータ断層撮影スキャンの幅方向と平行である。方法は、例えば、候補の下顎管ペアを選択する場合にルートの幅(左右)対称性情報を利用することができるため、さらに向上した正確度によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0012】
第一態様の別の実装形態では、対称性スコア及び/または対称面スコアは、ルートペア内のルートのダイジェストに基づいて計算され、ルートのダイジェストは、ルートの開始位置、ルートの終了位置、及びルートの平均位置を含む。方法は、例えば、ルートの対称性情報を効率的に利用することができるため、さらに向上した正確度及び効率によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0013】
第一態様の別の実装形態では、対称面スコアは、ルートペアの対称面が下顎骨のコンピュータ断層撮影スキャンの高さ方向とどの程度よくアライメントされるかを定量化する。方法は、例えば、ルートの対称面情報を利用することができるため、さらに向上した正確度によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0014】
第一態様の別の実装形態では、コンカチネーション基準は、プリコンフィグレーションされた最大閾値距離未満である、ルートペア内の第一ルートのエンドポイントとルートペア内の第二ルートのエンドポイントとの間の距離を含む。方法は、例えば、2つのルートをコンカチネートするべきかどうかを効率的に決定することができるため、さらに向上した正確度及び効率によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0015】
第一態様の別の実装形態では、複数のルート内のルートペアごとに、ルートペアがコンカチネーション基準を満たすかどうかを検査することは、ルートペアのエンドポイント間の最小距離、ルートペアの外挿されたエンドポイント間の最小距離であって、外挿されたエンドポイントはプリコンフィグレーションされたボクセル数によってエンドポイントを線形外挿することによって取得される、最小距離、及び/またはルートペアのスキュー距離のうちの少なくとも1つを計算することを含み、コンカチネーション基準は、エンドポイント間の最小距離が満たす第一基準、外挿されたエンドポイント間の最小距離が満たす第二基準、及び/またはルートペアのスキュー距離が満たす第三基準を含む。方法は、例えば、これらの基準に基づいて2つのルートをコンカチネートするべきかどうかを決定することができるため、さらに向上した正確度によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0016】
第一態様の別の実装形態では、複数のボクセル構造体内の各ボクセル構造体は、連結成分アルゴリズムを使用して形成される。方法は、例えば、連結成分アルゴリズムを使用してボクセル構造体を効率的に形成し、さらに連結成分のプロパティを利用することができるため、さらに向上した正確度及び効率によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0017】
第一態様の別の実装形態では、下顎管セグメント化データは、訓練済みニューラルネットワークの出力として取得される。方法は、例えば、下顎管セグメント化データを後処理することができるため、ニューラルネットワーク単独と比較して、向上した正確度によって少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することができる。
【0018】
第二態様によれば、コンピューティングデバイスは、少なくとも1つのプロセッサ、及びコンピュータプログラムコードを有する少なくとも1つのメモリを含み、少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサによって、コンピューティングデバイスに第一態様による方法を実行させるように構成される。
【0019】
第三態様によれば、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行される場合、第一態様による方法を実行するように構成されたプログラムコードを含む。
【0020】
付随する特徴の多くは、添付の図面に関連して考慮される以下の詳細な説明を参照することによって、よりよく理解されるようになるので、より容易に理解されるようになる。
【0021】
以下では、実施形態が、添付の図及び図面を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態による方法のフローチャート表現を示す。
図2】実施形態によるコンピューティングデバイスの概略図を示す。
図3】実施形態による、複数の可能な下顎管ボクセル及び対応するボクセル構造体の概略図を示す。
図4】実施形態による、ボクセル構造体及び対応するルートの概略図を示す。
図5】実施形態による連結成分としてのボクセル構造体の概略図を示す。
図6】実施形態によるコンカチネーションプロシージャのフローチャート表現を示す。
図7】実施形態による、ルート間の距離の概略図を示す。
図8】実施形態による、ルートセグメントの概略図を示す。
図9】実施形態による、対称性スコア計算の概略図を示す。
図10】実施形態による、候補の下顎管ペア選択プロシージャのフローチャート表現を示す。
図11】実施形態による、畳み込みニューラルネットワークの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、添付の図面において同様の部分を示すために同様の参照番号が使用される。
【0024】
本開示の以下の詳細な説明では、本開示の一部を形成し、本開示が配置され得る特定の態様が例示として示されている添付図面への参照が行われる。本開示の範囲から逸脱することなく、他の態様を利用することができ、構造的または論理的な変更を行うことができることが理解される。したがって、以下の詳細な説明は、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義されるため、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0025】
例えば、説明した方法に関連する開示は、その方法を実行するように構成された対応するデバイスまたはシステムにも当てはまり、その逆も成り立つことが理解される。例えば、特定の方法ステップが説明されている場合、対応するデバイスは、説明された方法ステップを実行するためのユニットを、そのようなユニットが図に明示的に記載または図示されていなくても含むことができる。その一方で、例えば、特定の装置が機能ユニットに基づいて説明されている場合、対応する方法は、説明された機能を実行するステップを、そのようなステップが明示的に記載または図示されていなくても含むことができる。さらに、特に断りのない限り、本明細書に記載の様々な例示的態様の特徴を互いに組み合わせることができることを理解されたい。
【0026】
図1は、実施形態による方法のフローチャート表現を示す。
【0027】
実施形態によれば、方法100は、下顎骨のコンピュータ断層撮影スキャン中に複数の可能な下顎管ボクセルを含む下顎管セグメント化データを取得する(101)ことを含み、複数の可能な下顎管ボクセル内の各ボクセルはボクセルが下顎管を含む確率を定量化する確率値に関連付けられる。
【0028】
下顎骨は、下顎、顎骨などと呼ばれることもある。
【0029】
本明細書では、ボクセルは、3次元空間内の規則的なグリッド上の値を表し得る。ボクセルは、規則的な間隔の3次元グリッド上にサンプルまたはデータ点を表す。ボクセルは、このグリッド上の単一点を表すことができる。データ点は、ボクセルが下顎管を有する確率を定量化する確率値のような単一データ、または複数のデータを含むことができる。確率値は確率そのものを含まない場合がある。むしろ、確率値は、確率を定量化する任意の量を含み得る。
【0030】
下顎管ボクセルは、下顎管を含むコンピュータ断層撮影スキャンの領域に対応するボクセルを指し得る。同様に、複数の可能な下顎管ボクセル内の任意のボクセルは、下顎管を含むコンピュータ断層撮影スキャンの領域に対応し得、各ボクセルに関連する確率は、ボクセルの領域が下顎管を含む確率を定量化する。
【0031】
本明細書では、コンピュータ断層撮影スキャン、下顎骨、及び/または下顎管の幾何学的形状は、奥行き、幅、及び高さの寸法/方向を参照することによって記述されることができる。また奥行き寸法/方向は、前後寸法/方向、z寸法などと呼ばれることもある。奥行き寸法/方向は、冠状面に垂直であることができる。幅寸法/方向は、左右寸法/方向、x寸法などと呼ばれることもある。幅寸法/方向は矢状面に垂直であることができる。高さ寸法/方向は、ボトムアップ寸法/方向、y寸法などと呼ばれることもある。高さ寸法/方向は、水平断面/軸位断面/横断面に垂直であることができる。x軸、y軸、及び/またはz軸のゼロ点は、下顎骨のスキャンの中央にあるように置かれ得る。
【0032】
方法100は、可能な下顎管ボクセル内のプリコンフィグレーションされた確率閾値を上回る確率値を有する隣接するボクセルを連結することによって、複数のボクセル構造体を形成する(102)ことをさらに含み得る。
【0033】
本明細書では、ボクセル構造体は、複数の連結されたボクセルを有する任意の構造体を含み得る。例えば、ボクセル構造体は、本明細書で開示されるような連結成分として実装されることができる。ボクセル構造体は、複数の連結ボクセルを含み得る。したがって、ボクセル構造体内の各ボクセルには、同じボクセル構造体内の少なくとも1つの他のボクセルが隣接している。
【0034】
プリコンフィグレーションされた確率閾値は、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、または0.9であってもよい。
【0035】
小さいボクセル構造体は、ボクセル構造体が形成された後に破棄されてもよい。例えば、ボクセル構造体は、そのサイズ(すなわち、ボクセル構造体内のボクセル数)が最大ボクセル構造体のプリコンフィグレーションされた割合よりも小さいため、破棄されてもよい。例えば、ボクセル構造体Cは、
【数1】
によって保たれ得、式中、Tは0.01、0.02、0.03、0.05、または0.1などの閾値である。より小さい閾値を選択し、より多くの候補ボクセルを含み得るため、小さいボクセル構造体を無視し得ない。
【0036】
方法100は、複数のボクセル構造体内の各ボクセル構造体をスケルトン化することによって複数のルートを形成する(103)ことをさらに含んでもよく、複数のルート内の各ルートは複数のボクセル構造体内の対応するボクセル構造体の空間曲線を含む。
【0037】
複数のルート内の各ルートは、複数のボクセル構造体内の対応するボクセル構造体をスケルトン化することによって取得されることができる。
【0038】
方法100は、複数のルート内のルートペアごとに、ルートペアがコンカチネーション基準を満たすかどうかを検査し、コンカチネーション基準を満たすルートペアに応答して、ルートペアをコンカチネートすることにより、第二の複数のルートを形成することをさらに含み得る。
【0039】
本明細書では、2つのルートをコンカチネートすることは、2つのルートをエンドツーエンドで結合することによって新しいルートを作成することを含んでもよい。
【0040】
方法100は、第二の複数のルート内の各ルートの少なくとも1つの空間特徴について少なくとも1回のチェックを実行し(105)、少なくとも1回のチェックに基づいて第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することをさらに含み得る。
【0041】
下顎管はほとんどが下方と内方に向いている。第二の複数のルート内の各ルートの少なくとも1つの空間特徴についての少なくとも1回のチェックは、この情報、及び下顎管の幾何学的形状に関する他の情報を使用して、第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することができる。
【0042】
方法100は、少なくとも1つの候補の下顎管ペアを提供することをさらに含み得る。提供することは、例えば、少なくとも1つの候補の下顎管ペアをユーザに提供することを含んでもよい。少なくとも1つの候補の下顎管ペアは、例えば対応するルートをユーザのディスプレイ上に表示することなどによって、ユーザに提供され得る。ルートは、例えば、下顎骨のコンピュータ断層撮影スキャンの上にオーバーレイされてもよい。いくつかの実施形態では、ルートのキーポイントはサンプルであることができ、キーポイントは提供されることができる。
【0043】
方法100の少なくともいくつかの実施形態は、本来であれば無視される小さいルートセグメントも考慮することができる。
【0044】
方法100の少なくともいくつかの実施形態は、抽出されたルートの形状を考慮することができるため、他の解剖学的構造体、及び誤ってラベル付けされたデータさえも無視することができる。
【0045】
方法100は、ギャップ及び偽陽性を含む可能性がある不完全なセグメント化データから下顎神経管の正しいセグメント化を構築することができる。方法100は、コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)及びコンピュータ断層撮影(CT)の両方のデータに作用することができる。方法100は、すべての可能な管を、構築することができると、例えばルート座標単調性及びペアワイズ対称性などに基づいて、スクリーニングすることができる。
【0046】
方法100は、まず、下顎管セグメント化データによって示唆されたすべての可能な下顎管を構築することができ、次にヒューリスティックな方法を使用して偽の管をスクリーニングして除くことができる。次に方法100は、チェックを使用して、下顎管ルートに対応する可能性が低いルート/ルートペアをスクリーニングして除くことができる。これらのようなチェックは、下顎管ルートの空間特性を考慮することができる。
【0047】
図2は、実施形態によるコンピューティングデバイス200の概略図を示す。
【0048】
実施形態によれば、コンピューティングデバイス200は、少なくとも1つのプロセッサ201、及びコンピュータプログラムコードを有する少なくとも1つのメモリ202を含む。
【0049】
少なくとも1つのメモリ202及びコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサ201によって、コンピューティングデバイス200に方法100を実行させるように構成され得る。
【0050】
少なくとも1つのプロセッサ201は、例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィカルプロセッシングユニット(GPU)、コプロセッサ、マイクロプロセッサ、処理ユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、付属DSPを有するかまたは有しない処理回路などの様々な処理デバイスのうちの1つ以上、あるいは特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロプロセッサユニット(MCU)、ニューラルネットワークアクセラレータなどのハードウェアアクセラレータ、専用コンピュータチップなどの集積回路を含む様々な他の処理デバイスを備えることができる。
【0051】
少なくとも1つのメモリ202は、例えば、コンピュータプログラムなどを格納するように構成され得る。少なくとも1つのメモリ202は、1つ以上の揮発性メモリデバイス、1つ以上の不揮発性メモリデバイス、及び/または1つ以上の揮発性メモリデバイスと不揮発性メモリデバイスの組み合わせを備えることができる。例えば、少なくとも1つのメモリ202は、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ、フロッピーディスク、磁気テープなど)、光磁気記憶装置、及び半導体メモリ(マスクROM、PROM(プログラマブルROM)など、EPROM(消去可能なPROM)、フラッシュROM、RAM(ランダムアクセスメモリ)など)。)として具現化することができる。
【0052】
コンピューティングデバイス200は、図2の実施形態には示されていない他のコンポーネントをさらに含み得る。コンピューティングデバイス200は、例えば、コンピューティングデバイス200を他のデバイスに接続するための入出力バスを含み得る。
【0053】
コンピューティングデバイス200がいくつかの機能を実装するように構成される場合、いくつかの構成要素、及び/または少なくとも1つのプロセッサ201及び/または少なくとも1つのメモリ202など、コンピューティングデバイス200の構成要素は、この機能を実装するように構成され得る。さらに、少なくとも1つのプロセッサ201が何らかの機能を実装するように構成されている場合、この機能は、例えば少なくとも1つのメモリ202に含まれるプログラムコードを使用して実装され得る。
【0054】
図3は、実施形態による、複数の可能な下顎管ボクセル及び対応するボクセル構造体の概略図を示す。
【0055】
複数のボクセル構造体は、可能な下顎管ボクセル内のプリコンフィグレーションされた確率閾値を上回る確率値を有する隣接するボクセルを連結することによって、形成されることができる。例えば、図3の実施形態では、確率閾値は0.5に設定される。したがって、図3の実施形態に示されるボクセル構造体302_1、302_2は、ボクセル構造体302_1、302_2内で確率値が0.5を上回っている、可能な下顎管ボクセル301内の隣接するボクセルを連結することによって形成される。
【0056】
2ボクセルが隣接しているかどうかに使用されるルールは、異なる実施形態では異なる場合がある。例えば、図3の実施形態では、ボクセルごとに、最も近い8ボクセルが隣接するボクセルであるとみなされる。最も近い4ボクセルのみが隣接するボクセルであるとみなされる場合、第二の302_2ボクセル構造体は形成されない。3次元では、ボクセルごとに、そのボクセルに接触する他の6ボクセル、または3×3×3ボクセル立方体内の他の26ボクセルは、例えば、隣接するボクセルであるとみなされ得る。
【0057】
図3の実施形態が2つのボクセル構造体302_1、302_2のみを示す単純化された例の2次元表現にすぎないことを理解されたい。
【0058】
図4は、実施形態による、ボクセル構造体及び対応するルートの概略図を示す。
【0059】
各ルートは、ボクセル構造体をスケルトン化し得ることで取得され得る。したがって、各ルートは、対応するボクセル構造体のスケルトンを含み得る。
【0060】
本明細書では、ボクセル構造体のスケルトンは、ボクセル構造体の境界から等距離にあるそのボクセル構造体の薄いバージョンを指し得る。したがって、ルートは、ボクセル構造体の幾何学的プロパティ及び位相幾何学的プロパティ、例えば、その連結性、トポロジー、長さ、方向、及び幅を強調することができる。形状境界までのその点の距離と合わせて、スケルトンはボクセル構造体の表現としても機能することができる。
【0061】
図4の実施形態では、各ルート303_1、303_2は、対応するボクセル構造体302_1、302_2をスケルトン化することによって取得される。
【0062】
実施形態によれば、方法は、複数のルートを形成した後で、かつ複数のルート内のルートペアごとに、ルートペアがコンカチネーション基準を満たすかどうかを検査する前に、ルート内の各ボクセルの相対位置に応じて複数のルート内の各ルート内のボクセルをソートすることをさらに含む。
【0063】
例えば、R内のボクセルに2つの最近傍グラフが構築されることができる。第一グラフGはルートトポロジーを維持するためにより小さい半径を有することができ、第二グラフGは傍探索に大きい半径を有することができる。ここで、半径は、所与のボクセルに隣接しているとみなされるボクセルを測定する。
【0064】
例えば、幅優先探索(BFS)を使用して、Gに基づいてルートR内の最長路
【数2】
を見つけることができる。ソートされたルートとして最長路
【数3】

を使用することができる。経路
【数4】
が十分な長さではない場合(例えば、
【数5】
の場合、式中、|・|は経路/ルートの長さであり、Tは閾値である)、最長路
【数6】
は、最長路
【数7】
が十分な長さになるまで繰り返し、Gに基づいて最も近い隣接するボクセルを追加することによって延長されることができる(例えば、
【数8】
の場合)。追加の制約を使用して、最も近い隣接するボクセルを追加することができる。例えば、追加されるボクセルのy成分vは、最長路
【数9】
内の最後のボクセルのy成分
【数10】
よりも大きくなる必要がある場合がある。式中、y軸は下顎骨のコンピュータ断層撮影スキャンの前後方向に沿い、y値が大きいほど後方向を指す。そのようなボクセルを見つけることができない場合、制約は、例えば
【数11】
などに緩和されることができ、式中、Tは閾値である。
【0065】
さらに、それらの隣接するボクセル数を調べることによって、順序付けされたルート内の最初と最後のボクセルが真のエンドポイントであることを確保することができる。
【0066】
図5は、実施形態による連結成分としてのボクセル構造体の概略図を示す。
【0067】
実施形態によれば、複数のボクセル構造体内の各ボクセル構造体は、連結成分アルゴリズムを使用して形成される。これは、連結成分ラベリング(CCL)または連結成分分析(CCA)と呼ばれることもある。
【0068】
連結成分アルゴリズムは、複数の可能な下顎管ボクセル301に基づいて、頂点321と、連結する辺320とを含むグラフ325を構築することができる。グラフ325内の各頂点はボクセルに対応することができる。辺320は、連結された隣接するボクセルを指示することができる。連結成分アルゴリズムは、複数の連結成分312_1、312_2を構築することができる。連結成分は、任意の2つの頂点321が経路によって相互に連結され、グラフ325の残りの追加の頂点に連結されていない部分グラフである。各連結成分は、連結されたボクセルのボクセル構造体に対応することができる。
【0069】
図5の実施形態は、図3及び図4の実施形態に示される、ボクセル構造体302_1、302_2にそれぞれ対応する連結成分312_1、312_2を示す。
【0070】
図6は、実施形態による、コンカチネーションプロシージャのフローチャート表現を示す。
【0071】
プロシージャを操作501で開始することができる。
【0072】
操作502では、複数のルート内のルートペアごとにスコアを計算することができる。このスコアは、コンカチネーションスコアなどと呼ばれる場合がある。
【0073】
操作503では、コンカチネートされるルートペアの有効な提案がスコア計算502によって提供されるかどうかをチェックすることができる。例えば、コンカチネーション基準を満たすルートペアがない場合、有効な提案は提供されない。有効な提案が提供されない場合、プロシージャは操作505に進むことができ、そこでプロシージャは終了する。有効な提案が提供される場合、プロシージャは操作504に進むことができる。
【0074】
実施形態によれば、コンカチネーション基準は、プリコンフィグレーションされた最大閾値距離未満である、ルートペア内の第一ルートのエンドポイントとルートペア内の第二ルートのエンドポイントとの間の距離を含む。
【0075】
例えば、操作502では、ルートペア内の第一ルートのエンドポイントとルートペア内の第二ルートのエンドポイントとの間の距離に基づいて、ルートペアごとにコンカチネーションスコアを計算することができる。加えてまたは代わりに、コンカチネーションスコアを計算する場合、本明細書に開示されるような他の基準が考慮されてもよい。次に、操作503では、任意のルートペアのコンカチネーションスコアがプリコンフィグレーションされた最小コンカチネーションスコアより大きいかどうか、すなわち、計算によってコンカチネートされるべきルートの有効な提案が提供されたかどうかをチェックすることができる。代替またはさらに、有効な提案が見つからず、この値が操作503で検出されることができる場合、スコア計算502自体は、ヌルなどの特別な値を返してもよい。
【0076】
操作504では、最高スコアを有するルートペアをコンカチネートすることができる。コンカチネーション後、プロシージャは操作502に戻ることができ、そこでルートペアごとにスコアを計算することができる。操作504で実行されるコンカチネーションにより、複数のルートは異なる複数のルートを含むことになる。したがって、有効なコンカチネーション提案が提供されなくなるまで、操作502~504を繰り返すことができる。
【0077】
プロシージャ104の結果として、第二の複数のルートを提供することができる。
【0078】
図7は、実施形態による、ルート間の距離の概略図を示す。
【0079】
実施形態によれば、複数のルート内のルートペアごとに、ルートペアがコンカチネーション基準を満たすかどうかを検査することは、ルートペアのエンドポイント間の最小距離、ルートペアの外挿されたエンドポイント間の最小距離であって、外挿されたエンドポイントはプリコンフィグレーションされたボクセル数によってエンドポイントを線形外挿することによって取得される、最小距離、及び/またはルートペアのスキュー距離のうちの少なくとも1つを計算することを含む。
【0080】
ルートペアごとに、ルートペア内の異なるルートに属するエンドポイント間の距離の最小値を計算することができる。合計で2×2=4ケースがある。最小距離はdとして表されることができる。
【0081】
ルートペアの外挿されたエンドポイント間の最小距離は、例えば、各ルートのエンドポイントをkボクセルによって線形外挿することによって取得されることができる。最小距離を計算し、dextとして表すことができる。
【0082】
ルートペアのスキュー距離は、ルートのエンドポイントをその外挿に連結することによって形成された線間の最短距離を指し得る。スキュー距離の目的の1つは、2つのルートが外挿されるときに交差するかどうかをチェックすることであり、他の2つの基準は2つのルートが反対方向に進んでいるかどうかを定量化する。スキュー距離はdスキューで示されることができる。
【0083】
コンカチネーション基準は、エンドポイント間の最小距離が満たす第一基準、外挿されたエンドポイント間の最小距離が満たす第二基準、及び/またはルートペアのスキュー距離が満たす第三基準を含むことができる。
【0084】
例えば、dext<T、d-dext>T、及びdスキュー<Tの場合(式中、Tはプリコンフィグレーションされた閾値である)、ルートをコンカチネートすることができる。これらの基準が満たされる場合、例えば図6の実施形態の操作502では、dextがコンカチネーションスコアとして提供され得る。これらの基準が満たされない場合、これを指示するためにヌルなどの特別な値が提供されることができる。次に、例えば図6の実施形態に開示されるように、各ルートペアのコンカチネーションスコアに基づいて、コンカチネートされるルートペアを選択することができる。
【0085】
図8は、実施形態による、ルートセグメントの概略図を示す。
【0086】
実施形態によれば、第二の複数のルート内の各ルート303の少なくとも1つの空間特徴について少なくとも1回のチェックを実行することは、ルート303の第一セグメント701の方向を決定することと、ルート303の第一セグメント701以外の、ルート303の複数のセグメント内のセグメント702ごとに、セグメント702の方向がルート303の第一セグメント701の方向からプリコンフィグレーションされた公差内であるかどうかを検査することと、公差内ではない複数のセグメント内のセグメント数に基づいて単調性スコアを計算することと、少なくとも単調性スコアに基づいて第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することと、を含む。
【0087】
第一セグメント701は、ルート303内の任意のセグメントに対応し得る。例えば、図8の実施形態では、第一セグメント701はルート303の一端に位置している。他の実施形態では、第一セグメント701は、ルート303に沿って任意の位置に置かれていてもよい。
【0088】
複数のセグメントは、任意の数のセグメントを含み得る。例えば、図8の実施形態では、複数のセグメントは、第一セグメント以外のすべてのセグメントを含む。他の実施形態では、複数のセグメントは、例えば、ルート303内のすべてのセグメントのより小さい1サブセットのみを含み得る。
【0089】
例えば、ルート303の開始点付近で、x(幅)、y(高さ)、及び/またはz(奥行き)の座標がどの方向に進んでいる(増加しているまたは減少している)か、をチェックすることができる。いくつかの実施形態では、これらの座標の一部のみが考慮され得る。例えば、x及びz成分のみが関心対象のものである場合がある。より堅牢性を得るために、いくつかの単純な投票戦略をここで適用することができる。次に、他のセグメント702ごとに、ルート303がこの方向に沿っているかどうかをチェックすることができる。ある程度の公差とある程度の違反回数は許容されることができる。
【0090】
図9は、実施形態による、対称性スコア計算の概略図を示す。
【0091】
実施形態によれば、第二の複数のルート内の各ルートの少なくとも1つの空間特徴について少なくとも1回のチェックを実行することは、第二の複数のルート内の少なくとも1つのルートペアについて、少なくとも1つのペアスコアを計算することを含み、少なくとも1つのペアスコアは、ルートペアの平均座標スコアであって、ルートペア内の各ルートの座標軸方向内の平均座標を比較することによって計算される、平均座標スコア、ルートペアの空間対称性を定量化するルートペアの対称性スコア、及び/またはルートペアの対称面スコアのうちの少なくとも1つを含む。
【0092】
ペアの少なくとも1つのペアスコアに基づいて第二の複数のルート内の少なくとも1つのルートペアの合計スコアを計算することができる。少なくとも合計スコアに基づいて、第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することができる。
【0093】
実施形態によれば、対称性スコア及び/または対称面スコアは、ルートペア内のルートのダイジェストに基づいて計算され、ルートのダイジェストは、ルートの開始位置、ルートの終了位置、及びルートの平均位置を含む。
【0094】
図9の実施形態では、第一ルートのダイジェスト801、第二ルートのダイジェスト802、及びダイジェスト801、802に基づいて決定された対称面803が示される。
【0095】
対称性スコアは、例えば対称面803からのダイジェスト801、802の変位804の平均に基づいて、計算されることができる。各変位804は、第一ダイジェスト801内の点から第二ダイジェスト802内の対応する点まで引かれた線805が対称面803に対してどの程度垂直であるかを定量化することができる。例えば、線805と対称面803との間の相対的な配置または鋭角の正弦値を使用することができる。線805が対称面803に垂直である場合、変位はゼロであり得る。他の実施形態では、対称性スコアは別の方法で計算されることができる。
【0096】
実施形態によれば、対称面スコアは、ルートペアの対称面803が下顎骨のコンピュータ断層撮影スキャンの高さ方向とどの程度よくアライメントされるかを定量化する。したがって、対称面スコアはルートペアの左右対称性を定量化することができる。
【0097】
実施形態によれば、座標軸方向は、下顎骨のコンピュータ断層撮影スキャンの幅方向と平行である。
【0098】
したがって、合計スコアは、ルートペアが下顎管ルートの正しいペアに関する以下の観察にどの程度よく従っているかを反映することができる:2つのルートのz座標は平均値で近い必要があり、2つのルートはほぼ対称である必要があり、対称面は高さ(y)方向に沿っている必要があり、対称面の法線ベクトルは幅(x)方向に沿っている必要がある。
【0099】
図10は、実施形態による、候補の下顎管ペア選択プロシージャのフローチャート表現を示す。
【0100】
実施形態によれば、少なくとも1回のチェックに基づいて第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することは、操作901~904の少なくとも一部を実行することを含む。
【0101】
操作901では、各ルートの単調性スコアに基づいて第二の複数のルートからルートのサブセットを選択することができる。
【0102】
単調性スコアは、本明細書に開示される方法では、第二の複数のルート内のルートごとに計算されることができる。サブセットは、例えば単調性スコアの閾値より大きい単調性スコアを有するすべてのルートを選択することに基づいて、選択されることができる。
【0103】
操作901の後に残っているルートが2つ未満である場合、例えば、単調性スコアの閾値より大きい単調性スコアを有するルートが2つ未満である場合、単調性が閾値を下回るいくつかのルートは次の操作のために選択され得る。ただし、スコアが最も高いルートが最初に選択される。
【0104】
操作902では、選択されたルートのサブセット内のルートペアごとに少なくとも1つのペアスコアを計算することができる。
【0105】
本明細書に開示された方法では、選択されたルートのサブセット内のルートペアごとに少なくとも1つのペアスコアを計算することができる。
【0106】
操作903では、ルートペアの少なくとも1つのペアスコアに基づいて選択されたサブセット内のルートペアごとに合計スコアを計算することができる。
【0107】
本明細書に開示された方法では、選択されたルートのサブセット内のルートペアごとに合計スコアを計算することができる。
【0108】
操作904では、選択されたルートのサブセット内で最高合計スコアを有するルートペアを候補の下顎管ペアとして選択することができる。
【0109】
したがって、図10の実施形態では、単調性スコアを使用してルートをフィルタリングすることができ、次いで候補の下顎管ペアを合計スコアに基づいて残りのルートのサブセットから選択することができる。したがって、図10の実施形態は、単調性スコア及び合計スコアに基づいて、第二の複数のルートから少なくとも1つの候補の下顎管ペアを選択することができる。
【0110】
図11は、実施形態による、畳み込みニューラルネットワークの概略図を示す。
【0111】
実施形態によれば、下顎管セグメント化データは、訓練済みニューラルネットワークの出力として取得される。
【0112】
本明細書では、「ニューラルネットワーク」という用語は、人工ニューラルネットワークを指すために使用される。
【0113】
図11の実施形態では、ニューラルネットワークは畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含む。CNNは4タイプの畳み込み層を含む。第一タイプ1001は、畳み込み、1のストライドを有するサイズ3×3×3の畳み込みカーネル、バッチ正規化(BN)、及び整流線形ユニット(ReLU)活性化関数を含む。第二タイプ1002は、畳み込み、2のストライドを有するサイズ3×3×3の畳み込みカーネル、BN、及びReLU活性化関数を含む。第三タイプ1003は、転置畳み込み、2のストライドを有するサイズ3×3×3の畳み込みカーネル、BN、及びReLU活性化関数を含む。第四タイプ1004は、畳み込み、1のストライドを有するサイズ1×1×1の畳み込みカーネル、及びシグモイド活性化関数を含む。CNNは、図11に示されるようにスキップ接続も含む。スキップ接続の一部は要素ごとの総和であり、一部は特徴のコンカチネーションである。各層内のチャネル数を図11に示す。
【0114】
図11の実施形態は、下顎管セグメント化データを提供することができるCNNの実装例にすぎない。代替に、下顎管セグメント化データは、適切に訓練された任意のタイプの機械学習モデル、またはデータによって訓練される必要があり得ない反復機械学習モデルなど、任意の他のタイプのデータ処理によって提供されてもよい。
【0115】
本明細書で与えられた任意の範囲またはデバイス値は、求められる効果を失うことなく拡張または変更することができる。また、明示的に禁止されていない限り、任意の実施形態を別の実施形態と組み合わせることができる。
【0116】
本主題は、構造的特徴及び/または行為に特有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲で定義される本主題が必ずしも上述の特定の特徴または行為に限定されないことを理解されたい。むしろ、上記の特定の特徴及び行為は、特許請求の範囲を実施する例として開示されており、他の同等の特徴及び行為は、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【0117】
上述の利益及び利点は、一実施形態に関連する場合もあれば、いくつかの実施形態に関連する場合もあることが理解されるであろう。実施形態は、記載された課題のいずれかまたは全てを解決するもの、あるいは記載された利益及び利点のいずれかまたは全てを有するものに限定されない。「ある」項目への言及は、それらの項目の1つ以上を指し得ることがさらに理解されるであろう。
【0118】
本明細書に記載の方法のステップは、任意の適切な順序で、または必要に応じて同時に実行することができる。さらに、個々のブロックは、本明細書に記載された主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、いずれの方法からも削除することができる。上述の実施形態のいずれかの態様を、記載されている他の実施形態のいずれかの態様と組み合わせて、求められる効果を失うことなく、さらなる実施形態を形成することができる。
【0119】
本明細書では、「備える」という用語は、識別された方法、ブロックまたは要素を含むことを意味するために使用されるが、そのようなブロックまたは要素は排他的リストを構成するものではなく、方法または装置は追加のブロックまたは要素を備えることができる。
【0120】
上記の説明は単なる例としてのみ与えられたものであり、当業者によって様々な変更がなされ得ることが理解されよう。上記の仕様、例、及びデータは、例示的な実施形態の構造及び使用に関する完全な説明を提供する。様々な実施形態が、ある程度の特殊性をもって、または1つ以上の個々の実施形態を参照して上記で説明されてきたが、当業者は、本明細書の趣旨または範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に対して多数の変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】