IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディスペリックス オサケ ユキチュアの特許一覧

特表2024-531487ディスプレイ構造体およびディスプレイデバイス
<>
  • 特表-ディスプレイ構造体およびディスプレイデバイス 図1
  • 特表-ディスプレイ構造体およびディスプレイデバイス 図2
  • 特表-ディスプレイ構造体およびディスプレイデバイス 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ディスプレイ構造体およびディスプレイデバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240822BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20240822BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240822BHJP
   G02C 11/00 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
H04N5/64 511A
G02C11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513125
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 FI2022050548
(87)【国際公開番号】W WO2023031507
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】20215929
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520184365
【氏名又は名称】ディスペリックス オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハッシネン、ティモ
(72)【発明者】
【氏名】オルッコネン、ユーソ
【テーマコード(参考)】
2H006
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H006CA00
2H199CA02
2H199CA12
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA82
2H249AA06
2H249AA16
2H249AA41
2H249AA62
(57)【要約】
ディスプレイ構造体(1000)およびディスプレイデバイスが開示される。ディスプレイ構造体(1000)は、第1の面(1110)および第2の面(1120)を備える導波路(1100)と、第1の面(1110)上に配置され、第2の面(1120)を介して光(1101)を外部に結合するように構成された出力結合回折格子(1200)とを備える。出力結合回折格子(1200)は、二次横方向(1202)を向いた第1の端部(1211)と、第1の端部(1211)から二次横方向(1202)とは反対の一次横方向(1201)に向かって延びる第1のリッジ部分(1213)と、一次横方向(1201)を向いた第2の端部(1212)と、第2の端部(1212)から二次横方向(1202)に向かって延びる第2のリッジ部分(1215)を備える一次リッジ(1210)を備える。第1のリッジ部分(1213)は、第1の高さhを有し、第2のリッジ部分(1215)は、第1の高さhより小さい第2の高さhを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路(1100)と、回折型の出力結合回折格子(1200)とを備えるディスプレイ構造体(1000)であって、
前記導波路(1100)は、全反射によって前記導波路(1100)内に光(1101)を閉じ込めるための第1の面(1110)および第2の面(1120)を備え、前記第2の面(1120)は、前記第1の面(1110)から厚さ方向(1102)に向かって配置され、
前記出力結合回折格子(1200)は、前記第1の面(1110)上に配置され、前記第2の面(1120)を介して前記導波路(1100)からの前記光(1101)を結合するように構成され、
前記出力結合回折格子(1200)は、一次リッジ(1210)と、前記一次リッジ(1210)に平行な二次リッジ(1220)とを備え、前記二次リッジ(1220)は、前記一次リッジ(1210)から一次横方向(1201)に向かって配置され、
前記一次リッジ(1210)は、前記一次横方向(1201)とは反対の二次横方向(1202)を向いた第1の端部(1211)と、前記第1の端部(1211)から前記一次横方向(1201)に向かって延びる第1のリッジ部分(1213)と、前記一次横方向(1201)を向いた第2の端部(1212)と、前記第2の端部(1212)から前記二次横方向(1202)に向かって延びる第2のリッジ部分(1215)とを備え、
前記第1のリッジ部分(1213)は、前記厚さ方向(1102)に沿って測定される第1の高さhを有し、前記第2のリッジ部分(1215)は、前記厚さ方向(1102)に沿って測定され、前記第1の高さhよりも小さい第2の高さhを有し、前記第2の高さhと第1の高さhとの高さ比rは0.45以上である、ディスプレイ構造体(1000)。
【請求項2】
前記第2の高さhと前記第1の高さhとの前記高さ比rは0.5以上、または0.55以上、または0.6以上、および/または0.9以下、または0.85以下、または0.8以下、または0.75以下である、請求項1に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項3】
前記ディスプレイ構造体(1000)は、前記第1の面(1110)上にコーティング(1300)を備え、前記出力結合回折格子(1200)は、前記コーティング(1300)内に形成される、請求項1または2に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項4】
前記導波路(1100)は、可視波長λVISで第1の屈折率nを有する第1の材料を含み、前記コーティング(1300)は、前記可視波長λVISで前記第1の屈折率nよりも高い第2の屈折率nを有する第2の材料を含む、請求項3に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項5】
前記可視波長λVISでの前記第2の屈折率nと前記第1の屈折率nとの屈折率差Δnは、0.3以上、または0.4以上、または0.5以上、または0.6以上、または0.7以上である、請求項4に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項6】
前記可視波長λVISは、450nm、460nm、470nm、480nm、490nm、500nm、510nm、520nm、530nm、540nm、550nm、560nm、570nm、580nm、590nm、600nm、610nm、620nm、630nm、640nm、および650nmからなる群から選択される、請求項4または5に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項7】
前記出力結合回折格子(1200)は、周期dと、前記一次リッジ(1210)と前記二次リッジ(1220)との間の前記一次横方向(1201)に沿って測定されたおよびリッジ間距離dirとを有し、前記リッジ間距離dirと前記周期dとの間の距離比rは0.25以下、または0.2以下、または0.15以下、または0.1以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項8】
前記第1のリッジ部分(1213)は、前記第2のリッジ部分(1215)に隣接し、前記一次リッジ(1210)は、前記第1のリッジ部分(1213)と前記第2のリッジ部分(1215)との間に配置された階段状構造体(1217)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項9】
前記第1のリッジ部分(1213)は、前記一次横方向(1201)に沿って測定される第1の幅wを有し、第2のリッジ部分(1215)は、前記第1の幅wよりも大きい、前記一次横方向(1201)に沿って測定される第2の幅wを有する、請求項8に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項10】
前記第1の幅wと前記第2の幅wとの幅比rは1.1以上、または1.2、以上、または1.3以上、または1.4以上、および/または3以下、または2.8以下、または2.6以下、または2.5以下、または2.4以下である、請求項9に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項11】
前記第1のリッジ部分(2213)は、前記第1の端部(2211)から延びる横方向の第1の外面(2214)を備え、前記第2のリッジ部分(2215)は、前記第2の端部(2212)から延びる横方向の第2の外面(2216)を備え、前記一次リッジ(2210)は、中間リッジ部分(2218)を備え、前記中間リッジ部分(2218)は、前記第1のリッジ部分(2213)から前記第2のリッジ部分(2215)まで延び、前記第1の外面(2214)と前記第2の外面(2216)を接続する傾斜中間外面(2219)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項12】
前記出力結合回折格子(1200)は、少なくとも前記一次横方向(1201)に沿った瞳複製によって射出瞳拡張を実行するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項13】
前記出力結合回折格子(1200)は、前記第1の面(1110)を介した前記導波路(1100)からの光(1101)の結合を最小限に抑えるように構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載のディスプレイ構造体(1000)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のディスプレイ構造体(3200)を備えるディスプレイデバイス(3000)。
【請求項15】
シースルーディスプレイデバイスとして実現される、請求項14に記載のディスプレイデバイス(3000)。
【請求項16】
ヘッドマウントディスプレイデバイスとして実現される、請求項14または15に記載のディスプレイデバイス(3000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスプレイデバイスに関するものである。特に、本開示は、回折型の出力結合回折格子を備えた導波路ベースのディスプレイデバイスおよびその構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
導波路ベースのディスプレイデバイスの出力結合回折格子は、通常、導波路からの光を使用者の目に向かう方向とそこから離れる方向の両方に結合する。多くのアプリケーション、例えば、ヘッドマウントシースルーディスプレイデバイス(例えば、スマートグラス)では、使用者の片目または両目から離れる方向、つまり外界側に向かう光の結合は、エネルギー効率、情報セキュリティ、美観を含む様々な理由から望ましくない可能性がある。
【0003】
従来、異なる出力結合回折格子による世界側への光の出力結合は、出力結合回折格子の下または上に配置された様々な薄膜スタックの使用によって低減される。このようなアプローチでは、ディスプレイデバイスに許容可能な出力結合効率特性を提供できるが、従来の解決策で示される光漏れは、特にTM偏光の入力光の場合に、過度になる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記を考慮すると、導波路ベースのディスプレイデバイスの出力結合回折格子に関連する新しい解決策を開発することが望ましい可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される、簡略化された形式で概念の選択を紹介するために提供されている。本概要は、特許請求された主題の主要な構成または本質的な構成を特定することを意図したものではなく、また、特許請求された主題の範囲を限定するために使用されることを意図したものでもない。
【0006】
第1の態様によれば、ディスプレイ構造体が提供される。ディスプレイ構造体は、全反射によって導波路内に光を閉じ込めるための第1の面および第2の面を備える導波路を備える。第2の面は、第1の面から厚さ方向に向かって配置される。ディスプレイ構造体は、第1の面上に配置された回折型の出力結合回折格子をさらに備える。出力結合回折格子は、第2の面を介して導波路からの光を結合するように構成される。出力結合回折格子は、一次リッジ(隆起部)と、一次リッジに平行な二次リッジとを備える。二次リッジは、一次リッジから一次横方向に向かって配置される。一次リッジは、一次横方向とは反対の二次横方向を向いた第1の端部と、第1の端部から一次横方向に向かって延びる第1のリッジ部分と、一次横方向を向いた第2の端部と、第2の端部から二次横方向に向かって延びる第2のリッジ部分とを備える。第1のリッジ部分は、厚さ方向に沿って測定される第1の高さを有し、第2のリッジ部分は、厚さ方向に沿って測定される第2の高さを有し、第2の高さは、第1の高さよりも小さい。
【0007】
第2の態様によれば、第1の態様に係るディスプレイ構造体を備えるディスプレイデバイスが提供される。
【0008】
本開示は、添付図面に照らして読まれる以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ディスプレイ構造体の断面図を示す。
図2】別のディスプレイ構造体の断面図を示す。
図3】ディスプレイデバイスを示す。
【0010】
特に反対の記載がない限り、前述の図面のうちのいずれの図面も、当該図面の実施形態の特定の構造的側面を強調するために、当該図面のいずれかの要素が当該図面の他の要素に対して不正確な比率で描かれている可能性があるように縮尺通りに描かれていない可能性がある。
【0011】
さらに、前述の図面のうちの任意の2つの図面の実施形態における対応する要素は、当該2つの図面の実施形態の特定の構造的側面を強調するために、当該2つの図面において互いに不均衡である場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、一実施形態に係るディスプレイ構造体1000の部分断面図およびディスプレイ構造体1000の一部の拡大図を示す。
【0013】
本明細書では、「ディスプレイデバイス」は、画像および/またはデータを視覚的に表示するための、操作可能な出力デバイス、例えば電子デバイスを指すことができる。ディスプレイデバイスは、一般的に、画像および/またはデータの視覚的表示に必要または有益な任意の部品または要素(例えば、電源ユニット、光学エンジン、コンバイナ光学ユニット(例えば、導波路ベースのコンバイナ光学ユニット)、視線追跡ユニット、頭部追跡ユニット、ジェスチャ感知ユニット、および/または深度マッピングユニット)を備えることができる。ディスプレイデバイスは、可搬型ディスプレイデバイス(例えば、ヘッドマウントディスプレイデバイスおよび/またはシースルーディスプレイデバイス)であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0014】
本明細書において、「ヘッドマウントディスプレイデバイス」とは、ヘッドギアの部品の一部として頭部に装着されるように、および/または目の上にまたは目の上を覆って装着されるように構成されたディスプレイデバイスを指すことができる。
【0015】
さらに、「シースルーディスプレイデバイス」または「透明ディスプレイデバイス」は、その使用者がディスプレイデバイスを通して見るだけでなく、ディスプレイデバイス上に表示される画像および/またはデータを見ることを可能にするディスプレイデバイスを指すことができる。
【0016】
本開示全体を通して、「ディスプレイ構造体」は、動作可能なディスプレイデバイスの少なくとも一部を指すことができる。追加的または代替的に、ディスプレイ構造体とは、ディスプレイデバイスでの使用に適した構造体を指すことができる。
【0017】
図1の実施形態では、ディスプレイ構造体1000は、導波路1100を備える。
【0018】
本開示では、「導波路」は、光導波路を指すことができる。追加的または代替的に、導波路は、二次元導波路を指すことができ、光を当該導波路の厚さ方向に沿って閉じ込めることができる。
【0019】
図1の実施形態の導波路1100は、全反射によって導波路1100内に光1101を閉じ込めるための第1の面1110および第2の面1120を備える。第2の面は、第1の面1110の反対側に、そこから厚さ方向1102に向かって配置される。
【0020】
本開示において、導波路の「面」は、特定の視線方向から見える、または特定の視線方向を向いた当該導波路の表面の一部を指すことができる。追加的または代替的に、導波路の面は、全反射によって当該導波路内に光を閉じ込めるのに適した、またはそのように構成された表面を指すことができる。
【0021】
図1の実施形態では、ディスプレイ構造体1000は、第1の面1110上に配置された回折型の出力結合回折格子1200も備える。
【0022】
本明細書において、「回折格子」は、その動作が可視光の回折に基づいている光学格子を指すことができる。一般的に、回折格子は、可視光の波長程度の少なくとも1つの寸法(例えば、1マイクロメートル未満の少なくとも1つの寸法)を有する1つまたは複数の構造的特徴を備えることができる。一般的に、回折格子は、単一領域回折格子として、または複数領域回折格子として実装することができる。回折格子は、一般的に、少なくとも表面レリーフ回折格子または体積ホログラフィック回折格子として実装することができ、透過型および/または反射型回折格子として機能するように構成することができる。当然のことながら、「回折型の出力結合回折格子」は、導波路からの光を結合するように構成された回折格子を指すことができる。一般的に、回折型の出力結合回折格子は、瞳複製によって射出瞳拡張を実行するようにさらに構成することができる。
【0023】
本明細書において、「射出瞳拡張」とは、光の出力結合が生じる当該導波路の部分を拡張するために、制御された方法で導波路内に光を分配するプロセスを指すことができる。さらに、「瞳複製」とは、複数の射出副瞳が結像系内に形成される射出瞳拡張プロセスを指すことができる。
【0024】
出力結合回折格子1200は、第2の面1120を介して導波路1100からの光1101を結合するように構成される。したがって、出力結合回折格子1200は、反射型回折格子として機能するように構成される。
【0025】
図1の実施形態の出力結合回折格子1200は、一次リッジ1210と、一次リッジ1210に平行な二次リッジ1220とを備える。図1において、一次リッジ1210および二次リッジ1220の各々は、図面の平面に対して垂直に長手方向に延び、二次リッジ1220は、一次リッジ1210から一次横方向1201に向かって配置される。
【0026】
図1の挿入図に示されているように、一次リッジ1210は、一次横方向1201とは反対の二次横方向1202を向いた第1の端部1211と、第1の端部1211から一次横方向1201に向かって延びる第1のリッジ部分1213とを備える。一次リッジ1210はまた、一次横方向1201を向いた第2の端部1212と、第2の端部1212から二次横方向1202に向かって延びる第2のリッジ部分1215とを備える。
【0027】
図1の実施形態では、第1のリッジ部分1213は、厚さ方向1102に沿って測定される第1の高さ(h)を有し、第2のリッジ部分1215は、厚さ方向1102に沿って測定される第2の高さ(h)を有し、第2の高さ(h)は、hよりも低い。一般的に、第1の高さを有する第1のリッジ部分と、第1の高さよりも低い第2の高さを有する第2のリッジ部分とにより、使用者の片目または両目への光の出力結合効率を高めること、および/または使用者の片目または両目への光の出力結合効率の、世界側への出力結合効率に対する比率を高めることが可能になり得る。使用者の片目または両目への光の出力結合効率は、TE偏光入力光とTM偏光入力光の両方でかなり大きくなる可能性がある。従来の解決策と比較して、このような出力結合効率の増加は、特にTM偏光入力光で観察される可能性がある。
【0028】
本明細書において、リッジ部分の「高さ」は、導波路の厚さ方向に沿った当該リッジ部分の範囲の尺度を指すことができる。出力結合回折格子が、一次リッジと二次リッジとを備える場合、当該出力結合回折格子は、当該一次リッジと当該二次リッジとの間に間隙を備えてもよく、当該一次リッジのリッジ部分の高さは、当該間隙の最も低い点から当該リッジ部分の最も高い点まで測定されてもよい。
【0029】
図1の実施形態では、出力結合回折格子1200は、光1101を出力結合するように特に構成されており、光1101は、全反射によって導波路1100内に閉じ込められ、一次横方向1201に向かって導かれる。他の実施形態では、出力結合回折格子は、導波路から一次横方向に導かれた光を、その第2の面を介して結合するように構成されていてもよいし、構成されていなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、出力結合回折格子は、任意の適切な方向、例えば、厚さ方向に垂直であり、一次横方向と鋭角(例えば、45°以下、または30°以下、または20°以下、または15°以下、または10°以下、または5°以下の角度)を形成する方向に導かれる光を結合するように構成することができる。
【0030】
図1の実施形態の出力結合回折格子1200は、一次横方向1201に沿った瞳複製によって射出瞳拡張を実行するように構成されている。他の実施形態では、出力結合回折格子は、少なくとも一次横方向に沿って、すなわち、一次横方向に沿って、および任意選択で厚さ方向に垂直な1つまたは複数の他の方向に沿って、瞳複製によって射出瞳拡張を実行するように構成されてもよいし、構成されなくてもよい。
【0031】
図1の実施形態では、hとhとの高さ比(r)は、約0.7とすることができる。他の実施形態では、任意の適切な高さ比(例えば、0.45以上、または0.5以上、または0.55以上、または0.6以上、および/または0.9以下、または0.85以下、または0.8以下、または0.75以下の高さ比)を使用できる。
【0032】
図1の実施形態では、hは、約65nmとすることができる。他の実施形態では、第1のリッジ部分は、任意の適切な第1の高さ(例えば、40nm以上、または45nm以上、または50nm以上、および/または200nm以下、または180nm以下、または160nm以下の第1の高さ)を有することができる。
【0033】
図1の実施形態では、hは、約45nmとすることができる。他の実施形態では、第2のリッジ部分は、任意の適切な第2の高さ(例えば、20nm以上、または25nm以上、または30nm以上、および/または150nm以下、または140nm以下、または120nm以下の第2の高さ)を有することができる。
【0034】
図1の実施形態のディスプレイ構造体1000は、第1の面1110上にコーティング1300を備え、出力結合回折格子1200は、コーティング1300内に形成される。一般的に、コーティング内に形成される出力結合回折格子は、ディスプレイ構造体の製造を容易にする、および/または導波路の屈折率を変えることなく出力結合回折格子の回折効率の調整を容易にすることができる。他の実施形態では、ディスプレイ構造体は、導波路の第1の面上にコーティングを備えてもよいし、備えなくてもよい。ディスプレイ構造体が導波路の第1の面上にコーティングを備える実施形態では、出力結合回折格子は、当該コーティング内に形成されてもよいし、形成されなくてもよい。いくつかの実施形態では、出力結合回折格子は、少なくとも部分的に(すなわち、部分的または全体的に)導波路に形成されてもよい。
【0035】
図1の実施形態の導波路1100は、可視波長(λVIS)で第1の屈折率(n)を有する第1の材料を含み、コーティング1300は、λVISでnよりも高い第2の屈折率(n)を有する第2の材料を含む。一般的に、当該第1の屈折率よりも高い第2の屈折率を有する第2の材料を含むコーティングは、第1のリッジ部分の第1の高さおよび第2のリッジ部分の第2の高さを低減することを可能にし、これにより、次いで、ディスプレイ構造体の製造を容易にすることができる、および/または使用者の片目または両目への出力結合効率の、世界側への出力結合効率に対する比を増加させることを可能にする。導波路が、可視波長で第1の屈折率を有する第1の材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる他の実施形態では、コーティングは、当該可視波長で当該第1の屈折率よりも高い第2の屈折率を有する第2の材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなってもよいし、それを含まないか、それから本質的になっていないか、またはそれからなっていなくてもよい。
【0036】
図1の実施形態では、λVISでnとnとの屈折率差(Δn)は、約0.7とすることができる。一般的に、より高い屈折率差は、使用者の片目または両目への光の出力結合効率をさらに増加させる、および/または使用者の片目または両目への出力結合効率の、世界側への出力結合効率に対する比を増加させることができる。他の実施形態では、第2の屈折率と第1の屈折率との任意の適切な屈折率差を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、0.3以上、または0.4以上、または0.5以上、または0.6以上、または0.7以上の屈折率差を使用することができる。
【0037】
図1の実施形態では、nは、λVISで約2とすることができる一方で、nは、λVISで約2.7とすることができる。他の実施形態では、任意の適切な屈折率が使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、nは、λVISで1.5以上または1.6以上、および/または2.1以下または2.0以下とすることができる。そのような実施形態では、nは、例えば、2.2以上、または2.3以上、および/または3以下、または2.8以下とすることができる。
【0038】
図1の実施形態の場合、n、n、およびΔnの値は、500nmのλVISで考慮することができる。他の実施形態では、n、n、およびΔnの値は、任意の適切な可視波長(すなわち、380nm~760nmに及ぶスペクトル範囲内の任意の波長)で考慮することができる。例えば、いくつかの実施形態では、関連する可視波長は、450nm、460nm、470nm、480nm、490nm、500nm、510nm、520nm、530nm、540nm、550nm、560nm、570nm、580nm、590nm、600nm、610nm、620nm、630nm、640nm、および650nmからなる群から選択することができる。
【0039】
図1の実施形態の導波路1100の第1の材料は、例えば、高屈折率ガラスとすることができ、コーティング1300の第2の材料は、例えば、二酸化チタン(TiO)とすることができる。他の実施形態では、任意の適切な材料(複数可)、例えば、ガラス(複数可)、酸化物材料(複数可)、および/または窒化物材料(複数可)などの無機材料(複数可)、または有機ポリマー(複数可)を、第1の材料および/または第2の材料として使用することができる。
【0040】
図1の実施形態では、図1に示すように、出力結合回折格子1200は、周期(d)と、一次リッジ1210と二次リッジ1220との間の一次横方向1201に沿って測定されるリッジ間距離(dir)とを有する。出力結合回折格子1200は、約0.1のdirとdとの距離比(r)を有することができる。一般的に、距離比が低いほど、使用者の片目または両目への光の出力結合効率が増加する、および/または使用者の片目または両目への出力結合効率の、世界側への出力結合効率に対する比が増加する可能性がある。他の実施形態では、任意の適切な距離比(例えば、0.25以下、または0.2以下、または0.15以下、または0.1以下の距離比)を使用することができる。
【0041】
図1の実施形態の場合、dは、約340nmとすることができる。他の実施形態では、任意の適切な周期(例えば、300nm以上、または310nm以上、または320nm以上、または325nm以上、および/または470nm以下、または460nm以下、または450nm以下、または440nm以下の周期)を使用することができる。
【0042】
図1の実施形態の場合、dirは、約30nmとすることができる。他の実施形態では、任意の適切なリッジ間距離(例えば、15nm以上、または20nm以上、または25nm以上、または30nm以上、および/または100nm以下、または80nm以下、または60nm以下、または50nm以下のリッジ間距離)を使用することができる。
【0043】
図1の実施形態の第1のリッジ部分1213は、第2のリッジ部分1215に隣接しており、一次リッジ1210は、第1のリッジ部分1213と第2のリッジ部分1215との間に配置された階段状構造体1217を備える。したがって、図1の実施形態の出力結合回折格子1200は、図1の回折格子は、3レベル(すなわち、2段)の階段状回折格子として実現される。一般的に、3レベルの階段状回折格子などの階段状回折格子をディスプレイ構造体に利用すると、当該ディスプレイ構造体の製造が容易になる可能性がある。他の実施形態では、一次リッジの第1のリッジ部分は、当該一次リッジの第2のリッジ部分に隣接してもよいし、隣接しなくてもよく、当該一次リッジは、当該第1のリッジ部分と当該第2のリッジ部分との間に配置された階段状構造体を備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0044】
図1の実施形態では、第1のリッジ部分1213は、第1の端部1211から延びる横方向の第1の外面1214を備え、第2のリッジ部分1215は、第2端壁から延びる横方向の第2の外面1216を備える。他の実施形態では、第1のリッジ部分は、そのような横方向の第1の外面を備えてもよいし、備えなくてもよく、および/または第2のリッジ部分は、そのような横方向の第2の外面を備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0045】
図1の実施形態では、第1のリッジ部分1213は、一次横方向1201に沿って測定される第1の幅(w)を有し、第2のリッジ部分1215は、一次横方向1201に沿って測定され、wよりも大きい第2の幅(w)を有する。第1のリッジ部分が第2のリッジ部分に隣接する他の実施形態では、第2のリッジ部分の第2の幅は、第1のリッジ部分の第1の幅よりも大きくてもよいし、大きくなくてもよい。いくつかの実施形態では、第2のリッジ部分は、第1のリッジ部分の第1の幅以下の第2の幅を有することができる。
【0046】
図1の実施形態では、wとwとの幅比(r)は、約1.4とすることができる。第1のリッジ部分が第2のリッジ部分に隣接する他の実施形態では、任意の適切な幅比を使用することができる。第2のリッジ部分の第2の幅が第1のリッジ部分の第1の幅よりも大きい他の実施形態では、例えば、1.1以上、または1.2以上、または1.3以上、または1.4以上、および/または3以下、または2.8以下、または2.6以下、または2.5以下、または2.4以下の幅比を使用することができる。
【0047】
図1の実施形態の場合、wは、約130nmとすることができる。第1のリッジ部分が第2のリッジ部分に隣接する他の実施形態では、第1のリッジ部分は、任意の適切な第1の幅(例えば、80nm以上、または100nm以上、または120nm以上、および/または300nm以下、280nm以下、または260nm以下の第1の幅)を有することができる。
【0048】
図1の実施形態では、wは、約180nmとすることができる。第1のリッジ部分が第2のリッジ部分に隣接する他の実施形態では、第2のリッジ部分は、任意の適切な第2の幅(例えば、100nm以上、または120nm以上、または140nm以上、および/または300nm以下、280nm以下、または260nm以下の第2の幅)を有することができる。
【0049】
図1の実施形態では、出力結合回折格子1200は、第1の面1110を介して導波路1100から出た光1101の結合を最小限に抑えるように構成される。特に、r、h、h、r、w、w、r、d、およびdirの各々は、導波路1100から世界側に向かう光1101の結合を最小限に抑えるように選択される。他の実施形態では、出力結合回折格子は、第1の面を介した導波路からの光の結合を最小限に抑えるように構成されてもよいし、構成されなくてもよい。出力結合回折格子が第1の面を介した導波路からの光の結合を最小限に抑えるように構成された実施形態では、高さ比、第1の高さ、第2の高さ、幅比、第1の幅、第2の幅、距離比、周期、およびリッジ間距離のうちの1つまたは複数は、当該第1の面を介した当該導波路からの光の結合を最小限に抑えるように選択することができる。
【0050】
図1の実施形態のディスプレイ構造体1000は、少なくとも部分的にナノインプリントリソグラフィを使用して形成された可能性がある。他の実施形態では、任意の適切な1つまたは複数の方法(例えば、ナノインプリントリソグラフィおよび/またはグレースケール電子ビームリソグラフィ)を使用することができる。
【0051】
図1の実施形態では、出力結合回折格子1200は、一次リッジ1210の断面形状と同一の断面形状を有する複数のリッジを備える。特に、二次リッジ1220は、一次リッジ1210の形状と同一の形状を有する。他の実施形態では、出力結合回折格子は、当該出力結合回折格子の一次リッジの断面形状と同一の断面形状を有する複数(すなわち、2つ以上、3つ以上、4つ以上など)のリッジを備えてもよいし、備えなくてもよい。出力結合回折格子が、当該出力結合回折格子の一次リッジの断面形状と同一の断面形状を有する複数のリッジを備える実施形態では、二次リッジは、当該一次リッジの形状と同一の形状を有してもよいし、有さなくてもよい。
【0052】
図2は、一実施形態に係るディスプレイ構造体2000を示す。図2の実施形態は、図1を参照して、および/または図1と併せて開示された実施形態のいずれかに従うことができる。追加的または代替的に、図2には明示的に示されていないが、図2の実施形態またはその任意の部分は、一般的に、図2では省略されている図1の実施形態の任意の構成および/または要素を備えることができる。
【0053】
図1の実施形態のディスプレイ構造体1000と同様に、図2の実施形態のディスプレイ構造体2000は、回折型の出力結合回折格子2200を備え、回折型の出力結合回折格子2200は、導波路1100の第1の面1110上に配置され、導波路1100の第2の面1120を介して光1101を導波路1100から結合するように構成される。しかしながら、出力結合回折格子2200の一次リッジ2210および二次リッジ2220の断面形状は、図1の実施形態の出力結合回折格子1200の一次リッジ1210および二次リッジ1220の断面形状とは異なる。
【0054】
図1の実施形態の一次リッジ1210と同様の方法で、図2の実施形態の一次リッジ2210は、一次横方向1201とは反対の二次横方向1202を向いた第1の端部2211と、第1の端部2211から一次横方向1201に向かって延びる第1のリッジ部分2213と、一次横方向1201を向いた第2の端部2212と、第2の端部2212から二次横方向1202に向かって延びる第2のリッジ部分2215とを備える。第1のリッジ部分2213は、厚さ方向1102に沿って測定される第1の高さ(h)を有する。第2のリッジ部分2215は、厚さ方向1102に沿って測定される第2の高さ(h)を有し、第2の高さ(h)は、hよりも低い。
【0055】
図1の実施形態とは反対に、第1のリッジ部分2213は、第1の端部2211から延びる横方向の第1の外面2214を備え、第2のリッジ部分2215は、第2の端部2212から延びる横方向の第2の外面2216を備え、一次リッジ2210は、中間リッジ部分2218を備え、中間リッジ部分2218は、第1のリッジ部分2213から第2のリッジ部分2215まで延び、第1の外面2214と第2の外面2216を接続する傾斜中間外面2219を備える。一般的に、そのような中間リッジ部分はさらに、使用者の片目または両目への光の出力結合効率を高める、および/または使用者の片目または両目への出力結合効率の、世界側への出力結合効率に対する比率を高めることができる。
【0056】
図2の実施形態では、hとhとの間のrは、約0.6とすることができる。例えば、hは、約90nmとすることができる一方、hは、約55nmとすることができる。
【0057】
図2の実施形態の出力結合回折格子2200は、約0.1の、dirとdとの間のrを有することができる。例えば、dは、約370nmとすることができ、dirは、約40nmとすることができる。
【0058】
図2の実施形態では、wとwとの間のrは、約0.9とすることができる。一次リッジが傾斜中間外面を備える中間リッジ部分を備える他の実施形態では、任意の適切な幅比(例えば、0.8以上、または0.9以上、または1.0以上、または1.1以上、および/または、2以下、または1.8以下、または1.6以下、または1.4以下の幅比)を使用することができる。
【0059】
図2の実施形態の場合、wは、約110nmとすることができる。一次リッジが傾斜中間外面を備える中間リッジ部分を備える他の実施形態では、第1のリッジ部分は、任意の適切な第1の幅(例えば、60nm以上、または80nm以上、または100nm以上、および/または300nm以下、または280nm以下、または260nm以下の第1の幅)を有することができる。
【0060】
図2の実施形態では、wは、約100nmとすることができる。一次リッジが傾斜中間外面を備える中間リッジ部分を備える他の実施形態では、第2のリッジ部分は、任意の適切な第2の幅(例えば、60nm以上、または80nm以上、または100nm以上、および/または300nm以下、または280nm以下、または260nm以下の第2の幅)を有することができる。
【0061】
図2の実施形態では、中間リッジ部分2218は、一次横方向1201に沿って測定される第3の幅(w)を有し、第3の幅(w)は、wおよびwのいずれよりも大きい。一次リッジが傾斜中間外面を備える中間リッジ部分を備える他の実施形態では、当該中間リッジ部分は、wおよび/またはwよりも大きい第3の幅を有してもよいし、有さなくてもよい。いくつかの実施形態では、中間リッジ部分は、wおよび/またはw以下の第3の幅を有してもよい。
【0062】
図2の実施形態では、wは、約120nmとすることができる。一次リッジが傾斜中間外面を備える中間リッジ部分を備える他の実施形態では、中間リッジ部分は、任意の適切な第3の幅(例えば、60nm以上、または80nm以上、または100nm以上、および/または300nm以下、または280nm以下、または260nm以下の第3の幅)を有することができる。
【0063】
上記では、主にディスプレイ構造体の構造的および材料関連の構成について説明した。以下では、ディスプレイデバイスに関連する構成に重点を置く。実装方法、定義、詳細、および利点について上で述べたことは、以下で説明するディスプレイデバイスの態様にも準用される。その逆も同様である。
【0064】
図3は、一実施形態に係るディスプレイデバイス3000を示す。図3の実施形態は、図1および図2のいずれかを参照して、および/または図1および図2のいずれかと併せて開示された実施形態のいずれかに従うことができる。追加的または代替的に、図3には明示的に示されていないが、図3の実施形態またはその任意の部分は、一般的に、図3では省略されている図1および図2の実施形態のいずれかの任意の構成および/または要素を備えることができる。
【0065】
図3の実施形態では、ディスプレイデバイス3000は、シースルーヘッドマウントディスプレイデバイスとして、より具体的には、シースルーディスプレイを備えた眼鏡として実装される。他の実施形態では、ディスプレイデバイスは、例えば、シースルーディスプレイデバイスおよび/またはヘッドマウントディスプレイデバイスとして、任意の適切な方法で実装することができる。
【0066】
図3の実施形態では、ディスプレイデバイス3000は、フレーム3100と、フレーム3100によって支持される第1の態様に係るディスプレイ構造体3200とを備える。他の実施形態では、ディスプレイデバイスは、そのようなフレームを備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0067】
図3の実施形態では、ディスプレイ構造体3200は、導波路3210と、光3201を導波路3210に結合するための入力結合回折格子3220と、入力結合回折格子3220からの光3201を受け取るように構成された中間瞳拡張構造体3230と、中間瞳拡張構造体3230から光3201を受け取るように構成された反射型出力結合回折格子3240とを備える。他の実施形態では、ディスプレイ構造体は、そのような入力結合回折格子および/またはそのような中間瞳拡張構造体を備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0068】
図5に示されるように、ディスプレイデバイス3000は、全反射によって導波路3210内を伝播させるために光3201を導波路3210内に導くように構成された光学エンジン3250をさらに備える。他の実施形態では、ディスプレイデバイスは、そのような光学エンジンを備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0069】
以下では、いくつかの例について説明する。
【0070】
第1の例では、第1の例のディスプレイ構造体、第1の参照ディスプレイ構造体、および第2の参照ディスプレイ構造体が、15°の視野(FOV)を提供するディスプレイデバイス内で約520nmのλVISの単色照明用に設計され最適化された。これら3つのディスプレイ構造体を最適化した後、それらの出力結合効率特性が計算され、比較された。
【0071】
第1の例のディスプレイ構造体は、導波路、入力結合回折格子、および回折型の3レベルの階段状出力結合回折格子を備えていた。参照ディスプレイ構造体は、例のディスプレイ構造体とほぼ同一であった。しかしながら、第1および第2の参照ディスプレイ構造体には、階段状出力結合回折格子の代わりに、それぞれバイナリ出力結合回折格子および傾斜出力結合回折格子が設けられていた。これらの出力結合回折格子の各々は、一次横方向に沿った瞳複製による一次元の射出瞳拡張用に構成され、中間瞳拡張構造体が存在しない場合に入力結合回折格子から直接光を受け取った。
【0072】
結果によると、第1の参照ディスプレイ構造体の目から世界への外部結合効率比(
【数1】

)は、TE偏光入力光の場合はFOV全体で約1.6であり、TM偏光入力光の場合はFOV全体で1.6~1.7であった。第2の参照ディスプレイ構造体の場合、
【数2】

は、TE偏波の場合は17~23、TM偏波の場合は3~30の範囲であった。
【0073】
第1の例のディスプレイ構造体の場合、
【数3】

は、TE偏光の場合は30~110、TM偏光の場合は25~110の範囲であった。このように、第1の例のディスプレイ構造体は、第1および第2の参照ディスプレイ構造体の
【数4】

よりもそれぞれ約2桁および1桁高い
【数5】

を示した。
【0074】
さらに、結果は、第1の参照ディスプレイ構造体の目側の外部結合効率(
【数6】

)が、TE偏光入力光の場合はFOV全体で3.2%~4.5%の範囲であり、TM偏光入力光の場合はFOV全体で1.6%~2.3%の範囲であったのに対して、第2の参照ディスプレイ構造体の
【数7】

は、TE偏光の場合は4.9%~6.4%の範囲であり、TM偏光の場合は0.4%~0.9%の範囲であったことを示していた。
【0075】
第1の例のディスプレイ構造体の場合、
【数8】

は、TE偏光の場合は4.4%~4.6%の範囲であり、TM偏光の場合は3.5%~6.8%の範囲であった。このように、第1の例のディスプレイ構造体は、TM偏光の場合、第1および第2の参照ディスプレイ構造体の
【数9】

よりも著しく高い
【数10】

を示した。
【0076】
第2の例では、第2の例のディスプレイ構造体が、15°のFOVを提供するディスプレイデバイス内で約520nmの
【数11】

の単色照明用に設計され最適化された。第2の例のディスプレイ構造体を最適化した後、その出力結合効率特性が計算され、第1の例の第1および第2の参照ディスプレイ構造体の出力結合効率特性と比較された。
【0077】
第2の例のディスプレイ構造体は、第1の例のディスプレイ構造体のものと同一の導波路および入力結合回折格子を備えていた。しかしながら、第2の例のディスプレイ構造体は、リッジを備えた回折型の出力結合回折格子を備え、傾斜中間外面を備える中間リッジ部分が、横方向の第1の外面を備える第1のリッジ部分から、横方向の第2の外面を備える第2のリッジ部分まで延びており、中間外面が第1の外面と第2の外面を接続していた。換言すれば、第2の例のディスプレイ構造体の出力結合回折格子のリッジは、図2の実施形態の出力結合回折格子2200のリッジと同様の形状を有していた。
【0078】
結果によると、第2の例のディスプレイ構造体の
【数12】

は、TE偏光の場合には30~100の範囲であり、TM偏光の場合には30~65の範囲であった。したがって、第2の例のディスプレイ構造体は、第1および第2の参照ディスプレイ構造体よりもそれぞれ約2桁および1桁高い
【数13】

を示した。
【0079】
さらに、第2の例のディスプレイ構造体の
【数14】

は、TE偏光の場合は3.8%~4%の範囲であり、TM偏光の場合は4.2%~8.3%の範囲であることを結果は示した。したがって、第2の例のディスプレイ構造体は、TM偏光の場合、第1および第2の参照ディスプレイ構造体の
【数15】

よりも著しく高い
【数16】

を示した。
【0080】
上述の第1および第2の例では、第1および第2の例のディスプレイ構造体、ならびに第1および第2の参照ディスプレイ構造体は、TE偏光およびTM偏光の両方の入力光で使用するために設計され、最適化された。当然のことながら、TE偏光およびTM偏光の入力光のうちの1つだけを使用するように最適化されたディスプレイ構造体の場合、より高い値の
【数17】

および
【数18】

を得られる場合がある。
【0081】
技術の進歩に伴い、本発明の基本的な考え方が様々な方法で実装することができることは、当業者には明らかである。したがって、本発明およびその実施形態は、上記の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で変更することができる。
【0082】
上記の恩恵および利点はいずれも、1つの実施形態に関連する場合もあれば、いくつかの実施形態に関連する場合もあることが理解されるであろう。実施形態は、記載された問題の一部またはすべてを解決するもの、あるいは記載された恩恵および利点のいずれかまたはすべてを有するものに限定されない。
【0083】
「備える」という用語は、本明細書では、1つまたは複数の追加の構成または活動の存在を排除することなく、その後に続く構成(複数可)または活動(複数可)を含むことを意味するために使用される。さらに、「1つの」項目への言及は、それらの項目のうちの1つまたは複数を指すことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0084】
第1の高さ
第2の高さ
=h/h 高さ比
d 周期
ir リッジ間距離
=dir/d 距離比
第1の幅
第2の幅
第3の幅
=w/w幅比
第1の屈折率
第2の屈折率
λVIS 可視波長
Δn=n-n 屈折率差
【数19】

外部結合効率比
【数20】

目側外部結合効率
1000 ディスプレイ構造体
1100 導波路
1101 光
1102 厚み方向
1110 第1の面
1120 第2の面
1200 出力結合回折格子
1201 一次横方向
1202 二次横方向
1210 一次リッジ
1211 第1の端部
1212 第2の端部
1213 第1のリッジ部分
1214 第1の外面
1215 第2のリッジ部分
1216 第2の外面
1217 階段状構造体
1220 二次リッジ
1300 コーティング
2000 ディスプレイ構造体
2200 出力結合回折格子
2210 一次リッジ
2211 第1の端部
2212 第2の端部
2213 第1のリッジ部分
2214 第1の外面
2215 第2のリッジ部分
2216 第2の外面
2218 中間リッジ部分
2219 中間外面
2220 二次リッジ
3000 ディスプレイデバイス
3100 フレーム
3200 ディスプレイ構造体
3201 光
3210 導波路
3220 入力結合回折格子
3230 中間瞳拡張構造体
3240 出力結合回折格子
3250 光学エンジン
図1
図2
図3
【国際調査報告】