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  • 特表-クッションが組み込まれたシート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】クッションが組み込まれたシート
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/12 20060101AFI20240822BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20240822BHJP
   A47C 27/08 20060101ALI20240822BHJP
   A47C 27/15 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61G5/12 707
A47C27/00 K
A47C27/00 Q
A47C27/08 G
A47C27/15 D
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513232
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 NZ2022050085
(87)【国際公開番号】W WO2023043321
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】2021236440
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520181906
【氏名又は名称】ロラパル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スカーレット、ロイドン
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA01
3B096AB08
3B096AD07
3B096AD08
(57)【要約】
姿勢に関する問題を抱える人々は、車椅子を使用するのが一般的である。車椅子で長時間を過ごすことにより、身体の特定の部分に対して圧力がもたらされ得ることが問題である。本発明は、クッションを備えるシートについて開示する。クッションは、複数のパッド及び液体を収容する可撓性袋を有する。クッションは、人間の使用者がクッション上に体重をかけた場合、液体がパッドの互いに対する移動を促進してクッションを成形するようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッションを備えるシートであって、前記クッションは、複数のパッド及び液体を収容する可撓性袋を有し、前記クッションは、人間の使用者が前記クッション上に体重をかけた場合、前記液体が前記パッドの互いに対する移動を促進して前記クッションを成形するようになっている、シート。
【請求項2】
前記可撓性袋は空気を含まず、前記パッドは前記可撓性袋の容積容量の80%未満、70%未満、60%未満、50%未満又は40%未満を占める、請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記可撓性袋は空気を含まず、前記パッド及び前記液体が前記可撓性袋の容積容量の100%を超えない限りにおいて、前記液体は前記可撓性袋の前記容積容量の少なくとも5%、10%、20%、30%又は40%を占める、請求項1に記載のシート。
【請求項4】
前記パッドはゲル切片を含む、請求項1に記載のシート。
【請求項5】
前記パッドはウレタンポリマーゲルを含む、請求項1に記載のシート。
【請求項6】
前記可撓性袋はウレタンを含む、請求項1に記載のシート。
【請求項7】
前記液体は前記パッド間に潤滑を提供する、請求項1に記載のシート。
【請求項8】
前記液体はプロピレングリコールを含む、請求項1に記載のシート。
【請求項9】
前記パッドは横断面において実質的に正方形である、請求項1から8のいずれか一項に記載のシート。
【請求項10】
前記パッドは横断面において実質的に円筒形である、請求項1から8のいずれか一項に記載のシート。
【請求項11】
前記パッドは直径又は幅が少なくとも5mmである、請求項1から8のいずれか一項に記載のシート。
【請求項12】
前記パッドは直径又は幅が約10mm、20mm、又は30mmである、請求項1から8のいずれか一項に記載のシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カスタマイズしたクッションが組み込まれたシートに関する。シートは、例えば、車椅子の一部であり得る。
【背景技術】
【0002】
姿勢に関する問題を抱える人々は、車椅子を使用するのが一般的である。車椅子で長時間を過ごすことにより、身体の特定の部分に対して圧力がもたらされ得ることが問題である。これにより褥瘡が生じ得、これは健康への深刻な影響を有し得る。車椅子のシートクッションを液体で充填して使用者にクッション作用を提供することが知られている。しかしながら、単独で使用される液体は圧力のポイントから離れるように移動する場合があり、そのため、不十分な緩衝を提供することが問題になり得る。これは、使用者が座ったとき又は位置をシフトしたとき、又は車椅子が傾いたときに生じ得る。
【0003】
[発明の目的]本発明の好ましい実施形態の目的は、上記の問題への対処に向けて少なくとも何らかの助けになることである。しかしながら、本発明の目的自体はそのように限定されるものではなく、それは単に、有用な選択肢を提供することである旨を理解されたい。従って、任意の好ましい実施形態の任意の目的又は利点は、より広範に表現される特許請求の範囲に対する限定として読まれるべきではない。
【0004】
定義1つ又は複数の特徴に関して使用される場合、「備える」又は「有する」という用語は、いずれの場合においても、存在する最小限の特徴を示すが、言及されていない更なる特徴があるという選択肢を排除するものではない。同じことが、例えば「備える(comprises)」等の派生語に適用される。「特徴」は、例えば、物理的な部分及び/又は動作段階であり得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様によれば、クッションを備えるシートが提供され、クッションは、複数のパッド及び液体を収容する可撓性袋を有し、クッションは、人間の使用者がクッション上に体重をかけた場合、液体がパッドの互いに対する移動を促進してクッションを成形するようになっている。
【0006】
好ましくは、袋は空気を含まず、パッドは袋の容積容量の80%未満、70%未満、60%未満、50%未満又は40%未満を占める。
【0007】
好ましくは、袋は空気を含まず、パッド及び液体が袋の容積容量の100%を超えない限りにおいて、液体は袋の容積容量の少なくとも5%、10%、20%、30%又は40%を占める。
【0008】
好ましくは、パッドはゲル切片を含む。
【0009】
好ましくは、パッドはウレタンポリマーゲルを含む。
【0010】
好ましくは、袋はウレタンを含む。
【0011】
好ましくは、液体はパッド間に潤滑を提供する。
【0012】
好ましくは、液体はプロピレングリコールを含む。
【0013】
好ましくは、パッドは横断面において実質的に正方形である。
【0014】
好ましくは、パッドは横断面において実質的に円筒形である。
【0015】
好ましくは、パッドは直径又は幅が少なくとも5mmである。
【0016】
好ましくは、パッドは直径又は幅が約10mm、20mm又は30mmである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここで、本発明の幾つかの好ましい実施形態が、添付の図面を参照しながら、例として説明される。
【0018】
図1】ゲルパックの正面図である。
図2】クッションの上面図である。
図3】クッションカバーの上面図である。
図4】クッションの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照すると、ゲルパック1は、多数のパッド3及び液体4で充填された可撓性袋2を含む。
【0020】
袋2は、好ましくは、非伸縮性ナイロン織物の継ぎ目5によって密封され、これで補強されたウレタンフィルムから作成される。ウレタンは、袋2が可撓であることを意味し、そのため、それは、人間の使用者、例えば、車椅子の使用者の荷重を受けて破裂することはなく、かつ、快適であるために十分な「弾力性」を有する。継ぎ目5は袋2に溶接されており、これは、経時的な任意の流体の減少を防止する助けとなる。代替的に、袋2は、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride:PVC)又は任意の他の好適な材料で作成され得る。
【0021】
パッド3は、好ましくは、ポリマー、例えば、伸縮性があるがしみ出すことのない半固体ゲルであるウレタンポリマーゲルから成るゲル切片である。パッド3は、好ましくは円筒形であり、かつ少なくとも直径が5mmである。しかしながら、パッド3は他の形状、例えば実質的に正方形又は実質的に長方形であり得、その場合、それぞれの幅は好ましくは少なくとも5mmである。パッドの直径又は幅が少なくとも5mmである場合、それらは、ゲルパック1が使用中であるとき、使用者に対する圧力の領域から離れて移動する可能性が低い。パッドは直径又は幅が約10mm、20mm又は30mmであり得る。パッド3は、ビーズ、ペレット、又は立方体の形態であり得、かつ横断面において実質的に円筒形又は正方形であり得る。
【0022】
好ましい実施形態において、ゲルパッド3は、ウレタンポリマーゲルのシートを取り、当該シートを袋2内に配置されるよう適合された切片へと切断することによって形成される。
【0023】
液体5は、好ましくは、滑りやすい潤滑剤であるプロピレングリコールであり、パッド3が袋2内で互いに対して自由に移動することを可能にする。これは、パッド3が自由に移動することを可能にしない場合がある水、及び、パッド3の完全性を損ねる場合がある油などの他の液体よりも好ましい。プロピレングリコールはまた、それが難燃性であり、かつ袋2が破裂することになった場合でもそれが使用者にとって有害ではないため、好ましい。
【0024】
ゲルパック1を形成するには、所望の量のパッド3及び液体4が袋2内に配置され、袋2内の空気が除去され、かつ袋の縁の周囲に織物の継ぎ目5を溶接することによって袋2が密封される。袋2が主にパッド2及び液体5を含む限りにおいて、少量の空気が残存することは許容可能である。空気の不在、又はごく少量の空気の存在により、パッド3の移動が促進され、袋2が破裂するリスクが低減される。液体5は、パッド3間に潤滑を提供する。
【0025】
空気が除去されることに先立つ好ましい実施形態において、袋2は、好ましくは袋2の容積容量の約60%を占めるパッド3で充填され、好ましくは袋2の容積容量の約10%を占める液体5で充填される。袋2の容積容量の残りは空気を含む。
【0026】
代替的な実施形態において、袋2が空気を含まない、又は、実質的に空気を含まない場合、パッド3及び液体5が袋の容積容量の100%を超えない限りにおいて、パッド3は袋2の容積容量の80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、又は40%未満を占める。
【0027】
代替的な実施形態において、袋2が空気を含まない、又は、実質的に空気を含まない場合、パッド3及び液体5が袋の容積容量の100%を超えない限りにおいて、液体5は袋2の容積容量の少なくとも5%、10%、20%、30%又は40%を占める。
【0028】
図2及び図3を参照すると、クッション6はクッションカバー7を有する。カバー7は、ジッパー9によって開閉され得るポケット8を含む。ポケット8は、クッション6の表面積の約2/3を構成する。表面積の残りの1/3は、発泡体で充填された一対の脚部10を構成する。そのパーセンテージは変化してよく、例えば、ポケット対脚部の比率は、3/4対1/4であり得る、又は、1/2対1/2であり得る。ストラップ11は、椅子(図示せず)、例えば車椅子に脚部8を固定するために、それらの各々に取り付けられる。
【0029】
好ましい実施形態において、ポケット8は、クッション6の各側上でゲルパック1を受け入れる。液体5は、使用者がクッション6上に体重をかけた場合、パッド3の互いに対する移動を促進してクッション6を成形する。カバー7内に2つのゲルパックを有することの利点は、使用者がクッション6に座ることによって生じるクッション作用の変位量が制限されることである。
【0030】
更なる実施形態において、1つのゲルパック1は、カバー7内に配置され得る。しかしながら、相対的に体重が重い使用者は、単一のパッド3を有するクッション6上に座るとき、パッド3のより高い割合をパック1の一方の側から他方の側へと変位させることになる。これにより、座ったとき、又は、体重が一方の側から別の側にシフトしたとき、使用者の臀部に対する圧力が増大する。臀部は、とりわけ使用者が長時間にわたり着座している場合、使用者にとって圧力関連の傷害のリスクが最も高い領域である。パック1が2つ存在する場合、パッドの変位は各パッド2内で制限され、使用者の体重のシフトが余りに多くのパッド3をクッション6の一方の側に移動させることによってもたらされる、臀部に対する圧力に伴う何らかの有害な影響を緩和する。
【0031】
代替的に、2つよりも多い、例えば4つ、6つ、又は8つのパッド3が、クッションカバー7と共に配置され得る。
【0032】
図4を参照すると、クッション6は、椅子に連結されるための手段を有する。好ましい実施形態において、連結手段は、椅子上の対応する一続きの面ファスナーに連結するよう適合された一続きの面ファスナー12を含む。面ファスナーは、Velcro(登録商標)を含み得る。
【0033】
本発明のクッション6は、車椅子の座席としての使用に特に好適である。しかしながら、ゲルパック1は、単体で、又は、肘掛け及び背もたれのクッション作用を提供するために、複数で使用され得る。
【0034】
本発明の幾つかの好ましい実施形態が例として説明されてきたが、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく修正及び改良が行われ得ることを理解されたい。
(他の可能な項目)
(項目1)
クッションを備えるシートであって、前記クッションは、複数のパッド及び液体を収容する可撓性袋を有し、前記クッションは、人間の使用者が前記クッション上に体重をかけた場合、前記液体が前記パッドの互いに対する移動を促進して前記クッションを成形するようになっている、シート。
(項目2)
前記袋は空気を含まず、前記パッドは前記袋の容積容量の80%未満、70%未満、60%未満、50%未満又は40%未満を占める、項目1に記載のシート。
(項目3)
前記袋は空気を含まず、前記パッド及び液体が前記袋の容積容量の100%を超えない限りにおいて、前記液体は前記袋の前記容積容量の少なくとも5%、10%、20%、30%又は40%を占める、項目1又は2に記載のシート。
(項目4)
前記パッドはゲル切片を含む、項目1、2又は3に記載のシート。
(項目5)
前記パッドはウレタンポリマーゲルを含む、前述の項目のいずれか一項に記載のシート。
(項目6)
前記袋はウレタンを含む、前述の項目のいずれか一項に記載のシート。
(項目7)
前記液体は前記パッド間に潤滑を提供する、前述の項目のいずれか一項に記載のシート。
(項目8)
前記液体はプロピレングリコールを含む、前述の項目のいずれか一項に記載のシート。
(項目9)
前記パッドは横断面において実質的に正方形である、前述の項目のいずれか一項に記載のシート。
(項目10)
前記パッドは横断面において実質的に円筒形である、前述の項目のいずれか一項に記載のシート。
(項目11)
前記パッドは直径又は幅が少なくとも5mmである、前述の項目のいずれか一項に記載のシート。
(項目12)
前記パッドは直径又は幅が約10mm、20mm、又は30mmである、前述の項目のいずれか一項に記載のシート。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッションを備える車椅子のシートであって、前記クッションは、複数のパッド及び液体を収容する可撓性袋を有し、
前記可撓性袋は空気を含まず、
前記パッドはポリマーを含むゲル切片であり、前記可撓性袋の容積容量の60%未満を占め、
前記液体は前記可撓性袋の前記容積容量の少なくとも5%を占め、前記クッションは、人間の使用者が前記クッション上に体重をかけた場合、前記液体が前記パッドの互いに対する移動を促進して前記クッションを成形するようになっている、車椅子のシート。
【請求項2】
記パッドは前記可撓性袋の容積容量50%未満又は40%未満を占める、請求項1に記載の車椅子のシート。
【請求項3】
記パッド及び前記液体が前記可撓性袋の容積容量の100%を超えない限りにおいて、前記液体は前記可撓性袋の前記容積容量の少なくと10%、20%、30%又は40%を占める、請求項1に記載の車椅子のシート。
【請求項4】
前記パッドはウレタンポリマーゲルを含む、請求項1に記載の車椅子のシート。
【請求項5】
前記可撓性袋はウレタンを含む、請求項1に記載の車椅子のシート。
【請求項6】
前記液体は前記パッド間に潤滑を提供する、請求項1に記載の車椅子のシート。
【請求項7】
前記液体はプロピレングリコールを含む、請求項1に記載の車椅子のシート。
【請求項8】
前記パッドは横断面において実質的に正方形である、請求項1からのいずれか一項に記載の車椅子のシート。
【請求項9】
前記パッドは横断面において実質的に円筒形である、請求項1からのいずれか一項に記載の車椅子のシート。
【請求項10】
前記パッドは直径又は幅が少なくとも5mmである、請求項1からのいずれか一項に記載の車椅子のシート。
【請求項11】
前記パッドは直径又は幅が約10mmある、請求項1からのいずれか一項に記載の車椅子のシート。
【請求項12】
前記パッドは直径または幅が約20mm、又は30mmである、請求項1から7のいずれか一項に記載の車椅子のシート。
【国際調査報告】