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特表2024-531501空気感染する病原体を消毒するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】空気感染する病原体を消毒するシステム
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/22 20210101AFI20240822BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20240822BHJP
   F24F 8/50 20210101ALI20240822BHJP
   B60H 3/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F24F8/22
A61L9/18
F24F8/50
B60H3/00 Z
A61L2/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513281
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 US2022042203
(87)【国際公開番号】W WO2023034414
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】17/462,386
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520384770
【氏名又は名称】サフラン キャビン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】スミスソン,タイラー
(72)【発明者】
【氏名】バーベック,ティム
(72)【発明者】
【氏名】トマセーナ,エティエンヌ
【テーマコード(参考)】
3L211
4C058
4C180
【Fターム(参考)】
3L211AA20
3L211BA10
3L211DA71
3L211DA76
4C058AA07
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK28
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA10
4C180AA13
4C180BB12
4C180BB15
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH19
4C180LL04
4C180MM01
4C180MM07
(57)【要約】
車両用化粧室モニュメントアセンブリは、化粧室内部を画定するために協働する複数の壁を有する筺体と、複数の壁のうちの1つに配置された入口ドアと、化粧室内部に配置された消毒アセンブリを含む。消毒アセンブリは、ダクト内部、入口、出口、および入口からダクト内部を通り、出口まで延びる空気経路を画定する内面を含むダクト部分を含む。ファンは、空気を入口から流入させ、出口から空気を排出するように配置される。少なくとも第1の空気消毒発光体を含む空気消毒発光システムは、入口と出口との間のダクト内部に配置される。反射コーティングは、内面の少なくとも一部に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁のうちの1つに入口ドアが配置され、化粧室内部を画定するために協働する複数の壁を含む筺体と、
前記化粧室内部に配置された消毒アセンブリであって、前記消毒アセンブリは、ダクト内部を画定する内面、入口、出口、および前記入口から前記ダクト内部を通って前記出口まで延びる空気経路を含むダクト部分を含み、ファンが、前記入口を通って空気を流入し、前記出口を通って空気を排出するよう配置され、少なくとも第1の空気消毒発光体を含む空気消毒発光システムが前記入口と前記出口との間の前記ダクト内部に配置され、反射コーティングが前記内面の少なくとも一部に配置される、消毒アセンブリと、
を備える、車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項2】
前記空気消毒発光システムは、前記ダクト部分の前記内面の周りに第1の円周アレイに配置された複数の空気消毒発光体を含む、請求項1に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項3】
前記化粧室内部に配置される洗面台をさらに備え、前記消毒アセンブリは、前記洗面台の上方に配置され、前記ダクト部分は、その中に画定された透明部分を含み、少なくとも第1の外部消毒発光体を含む外部消毒発光システムが前記ダクト内部に配置され、前記第1の外部消毒発光体は前記透明部分を通して前記ダクト部分の外部に光を導くように配置される、請求項2に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項4】
前記入口と前記出口との間の前記空気経路内に配置されたフレグランスディスペンサをさらに備える、請求項3に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項5】
前記ダクト部分の前記内面が半径を画定し、前記第1の円周アレイ内の前記空気消毒発光体は、光を半径方向内側に導くように配置される、請求項2に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の円周アレイ内の前記空気消毒発光体は、前記半径に対して非ゼロ角度で光を導くように配置される、請求項2に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の円周アレイ内の前記空気消毒発光体はらせん状に配置される、請求項2に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項8】
前記消毒アセンブリは、本体部分と、前記本体部分に連結された第1および第2のブラケット部材とを含み、前記第1および第2のブラケット部材は、それぞれ、それを貫通して画定された開口部を含み、前記ダクト部分は、前記第1および第2のブラケット部材の前記開口部を貫通して延びる、請求項1に記載の車両用トイレモニュメントアセンブリ。
【請求項9】
前記ダクト内部を移動する前記空気が前記第1の消毒発光体を冷却する、請求項1に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項10】
前記フレグランスディスペンサは、前記入口と前記透明部分との間の前記空気経路内に配置される、請求項4に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項11】
前記フレグランスディスペンサは、前記空気経路内かつ前記入口に隣接して配置される、請求項4に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項12】
前記フレグランスディスペンサは、前記空気経路内かつ前記出口に隣接して配置される、請求項4に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項13】
車両用化粧室モニュメントアセンブリであって、
化粧室内部を画定するために協働する複数の壁を含む筐体であって、入口ドアが前記複数の壁のうちの1つに配置され、洗面台が前記複数の壁のうちの1つに配置され、前記洗面台はバックスプラッシュを含み、鏡が前記洗面台の上方に配置される、筺体と、
前記鏡と前記バックスプラッシュとの間に配置された第1の消毒アセンブリであって、
ダクト内部、入口、出口、および前記入口から前記ダクト内部を通り、前記出口まで延びる空気経路を画定する内面を含むダクト部分であって、ファンが、空気を前記入口から流入させ、前記出口から前記空気を排出するように配置され、前記ダクト部分は前記入口と前記出口との間に画定された透明部分を含み、反射コーティングが前記内面の少なくとも一部に配置される、ダクト部分と、
前記入口と前記透明部分との間の前記ダクト内部に配置された前記ダクト部分の前記内面の周囲に第1の円周アレイに配列される、複数の空気消毒発光体を備える空気消毒発光システムであって、前記ダクト内部を通って移動する前記空気が前記第1の消毒発光体を冷却する、空気消毒発光システムと、
前記ダクト内部に配置され、前記透明部分を通して前記洗面台に光を導くように配置される複数の外部消毒発光体を含む外部消毒発光システムと、
前記透明部分と前記出口との間の前記空気経路内に配置されたフレグランスディスペンサと、
を含む、第1の消毒アセンブリと、
を備える、車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項14】
前記化粧室内部に配置された第2の消毒アセンブリであって、前記第2の消毒アセンブリは、ダクト内部、入口、出口、および前記入口から前記ダクト内部を通り、前記出口まで延びる空気経路を画定する内面を含むダクト部分を含み、反射コーティングが前記内面の少なくとも一部に配置され、前記入口と前記出口との間の前記ダクト内部に配置された前記ダクト部分の前記内面の周囲に第1の円周アレイに配置された複数の空気消毒発光体を含む空気消毒発光システムと、前記透明部分と前記出口との間の前記空気経路内に配置されるフレグランスディスペンサとを含む、第2の消毒アセンブリをさらに備える、請求項13に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項15】
前記洗面台は外側の側面を含み、前記鏡は外側の側面を含み、前記出口および前記ファンは前記外側の側面の外側に配置される、請求項14に記載の車両用化粧室モニュメントアセンブリ。
【請求項16】
ダクト内部、入口、出口、および前記入口から前記ダクト内部を通り、前記出口まで延びる空気経路を画定する内面を含むダクト部分と、
空気を前記入口から流入させ、前記出口から前記空気を排出するように配置されたファンと、
前記入口と前記出口との間の前記ダクト内部に配置された少なくとも第1の空気消毒発光体を含む空気消毒発光システムと、
前記内面の少なくとも一部に配置された反射コーティングと、
を備える、消毒アセンブリ。
【請求項17】
前記空気消毒発光システムは、前記ダクト部分の前記内面の周囲に第1の円周アレイに配置された複数の空気消毒発光体を含む、消毒アセンブリ。
【請求項18】
前記ダクト部分はその内部に画定された透明部分を含み、外部消毒発光システムは前記ダクト内部に配置された少なくとも第1の外部除消毒発光体を含み、前記第1の外部消毒発光体は前記透明部分を通して前記ダクト部分の外部に光を導くように配置される、請求項17に記載の消毒アセンブリ。
【請求項19】
前記ダクト内部を通って移動する前記空気が、前記空気消毒発光体を冷却する、請求項18に記載の消毒アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本発明は、一般に、空気消毒システムに関し、より具体的には航空機の化粧室用の空気消毒システムに関する
【背景技術】
【0002】
[0002] 民間航空会社のオペレーションは、COVID-19の危機によって混乱している。航空旅客の旅行は大幅に減少し、業界に金融危機をもたらしている。航空会社は、飛行前、飛行中、または飛行後に航空機内部を清浄化、衛生化、消毒、または殺菌さえする技術、製品、および解決策を開発し、展開することに興味を持っている。多くの解決策が提案され、業界内や一般メディアで議論されている。これらの解決策には、洗浄液で表面を拭く、接触頻度の高い場所で使用される材料と抗菌特性を持つ材料に置き換える、接触頻度の高い表面に抗菌特性を持つフィルムを追加する、または病原体を殺す装置としてUCVライトを使用するなどが含まれる。COVID-19は空気感染する病原体と考えられており、本発明は空気感染する病原体の消毒に関するものである。
【0003】
[0003] トイレを流すと、激しい空気交換が行われる。この事象により大腸菌やウイルス(SARS-COV-2など)が存在する可能性のある排泄物が化粧室に飛散する可能性がある。分散液は、非常に小さな粒子を含むことができ、これらの粒子には病原体が存在する可能性があり、そしてこれらの粒子は化粧室内に存在することができる。表面を殺菌洗浄しても、密閉された空間において空気感染する病原体の存在を排除し得ない。密閉空間の表面だけでなく、密閉空間内の空気の量も浄化する解決策が必要である。
【0004】
[0004] 民間航空機はスペースが限られている。そのような閉鎖空間の1つが化粧室であり、もう1つの閉鎖空間はギャレーである。飛行前、飛行中、および飛行後に、乗務員と乗客はこれらの限られたスペースを使用する。これらの限られた空間での活動の性質上、乗務員や乗客にとって不快な臭いや悪臭が存在する可能性がある。乗客は匂いと清潔さを関連付けることがよくある。UVライトや他の方法で空気を除菌しても、臭いや悪臭が消えない場合がある。また、このような狭い空間に心地よい匂いを発することが求められる。高品質の香りの生成は、今日、様々な形で入手することができる。例えば、香りのマーケティングは、小売店、飲食店、カジノ、ホテルでの顧客体験を向上させるために使用される。目的は通常、顧客を前向きな気分にさせたり顧客を快適に感じさせたりすることである。また、人々が清潔で新鮮な、または自然な環境を連想する香りを提供することも目的としている。本明細書に記載の消毒システムを香り演出機器と結合することにより、多くの有害な細菌およびウイルスが潜在的にない完全に清潔な環境を提供することができ、したがって、心地よい無臭または心地よい香りが増強された体験を提供することができる。
【0005】
[0005] 多くの消毒システムは、表面の洗浄を目標としているが、空気の量は対象としていない。これは、COVID-19のパンデミックが始まって以来、航空機の化粧室における重大な懸念事項となっている。空気感染する病原体を迅速かつ効果的に消毒できるシステムが必要である。
【0006】
[0006] 空気清浄化のための現在の最先端技術には、UVラジエータが含まれる。UVラジエータは、密閉されたハウジング(通常はシリンダ)の内部にUV光源を有する。ハウジング内部にはUV反射コーティングが施されている。空気がハウジングを通過すると、空気粒子にUV光が当たり閾値に達すると病原体が死滅する。
【0007】
[0007] 航空機の空気ろ過用の現在の最先端技術は、HEPAフィルタを使用する。HEPAフィルタは、不要な汚染物質や空気を除去するのに非常に効率的であるが、システム内の空気の流れを大幅に減らす。また、HEPAフィルタを使用するにあたりシステムが効果的に動作できる圧力制限が存在する。
【0008】
[0008] 典型的に、航空機のろ過システムは、空気中の汚染物および病原体をろ過するためにHEPAフィルタを使用する。HEPAフィルタは、システム内の空気の流れを大幅に制限する。UV空気消毒システムを使用することで、システム内の空気の流れを大幅に増やすことができる。
【0009】
[0009] 典型的に、HEPAフィルタは航空機内の中央の場所に設置され、空気がHEPAフィルタを出ると局所的な病原体と結合し得る。例えば、乗客が化粧室でくしゃみをすると、吐き出された空気には湿気をたくさん含む病原体が含まれ得る。現在、病原体が存在する局所的な状態になっている。同様に、乗客がトイレを使用したりトイレを流したりすると、望ましくない臭いや悪臭が発生する。中央のHEPAフィルタはこれを防ぐことはできない。
【発明の概要】
【0010】
[0010] 本発明は、空気感染する病原体を除去、殺滅、破壊または排除するために、密閉空間の内部の空気を消毒するために使用され得るエアダクトを含む。エアダクトには、空気感染する病原体を短時間で殺すのに十分なエネルギーを提供するために、空気内表面の周囲にパターン状に配置されたUV光源またはエミッタと、ダクト内側のUV反射コーティングを含む。HEPAフィルタではなくUVが空気の消毒に使用されているため、最適な滞留時間経路を強制するファンを使用することにより、システム内の空気の流れを大幅に増やすことができる。最後に、フレグランスディスペンサを空気消毒システムの出口または近くに配置して、きれいな空気にさわやかな香りを与えることができる。その結果、本発明は、乗員にとって安全で、乗員が望む香りを生成し、かつ、低電力要件を有する航空機の化粧室内に存在する空気感染する病原体を迅速に死滅させることができる消毒システムを作成する。
【0011】
[0011] 好ましい実施形態において、UVラジエータは、航空機の化粧室の天井またはその近くに配置される。UVラジエータは、化粧室の出入口近く、鏡の横、または化粧室のトイレの上に置かれる。UVラジエータは円筒形のダクト(または多角形、楕円形などの他の形状)を含む。円筒形ダクトの内面にUV光源が配置される。好ましくは、ダクト内部は開放的であり、空気の流れと反射率が最適化された性能を有するように、いかなる種類の中間内部アイテムがない状態である。ただし、これは制限ではない。UV光源は、シリンダ内のUV光波のカバレッジを最大化するためにらせんパターンまたは他の同様のパターンに配置できる。ダクトの内面は、UV反射材でコーティングされてもよい。さらに、ダクト内にファンを配置してもよい。ファンがダクトを通して空気を押し出し、UVC光源はUVエネルギーを空気粒子に照射する。UV反射コーティングは、病原体により吸収されるUVエネルギーの量を増やし、病原体を破壊する。
【0012】
[0012] 好ましい実施形態において、円筒状ダクトへの入口および出口が存在する。フレグランスディスペンサはダクトの出口または近くにあり、消毒された空気にさわやかな香りを加える。フレグランスディスペンサとUVシステムを並べて配置することで、追加のファンの必要性を低減することができる。センサ、コントローラ、その他の部品を共有することで、組み合わせたシステムの全体的な重量、複雑さ、およびコストを削減できる。
【0013】
[0013] 他の好ましい実施形態において、入口の端と出口の端に対向配置、または入口と出口に流れ方向転換面があり、空気をらせん状に循環させることで滞留時間を長くし消毒時間を短縮する。
【0014】
[0014] 他の好ましい実施形態において、化粧室に関して本明細書に記載されるものと同様の利益を有するように、本システムをギャレーの中、上、またはその近くに配置することができる。
【0015】
[0015] 他の好ましい実施形態において、UVは化粧室の鏡の下方に配置されてもよい。本実施形態において、円筒状のダクトの一部は洗面台の方を向いているUV透明レンズに置き換えられる。UV透明レンズにより、UV光波がシリンダから出て化粧室の洗面台表面に接触し、洗面台表面を消毒すると同時に、UVラジエータダクトを通過する空気も消毒する。再び、本実施形態において、UVラジエータダクトの出口に空気フレグランスディスペンサが配置され、消毒された空気に爽やかな香りを加える。
【0016】
[0016] この解決策において、1つまたは複数の実施形態(鏡の下、ドアの上、および/または洗面所の天井の近くに配置されるUVラジエータの組み合わせ)を使用できることを理解されたい。
【0017】
[0017] UV光の使用は、病原体を破壊する1つの方法である。特定の量のUVエネルギーが病原体に吸収されると、病原体は破壊される。UVエネルギーが病原体に吸収される速度を上げるためにエアダクト内面にUV反射コーティングを塗布することで、病原体の破壊に向けられるエネルギー量が増加し、熱として浪費されることがなくなる。内部に物体がないため、反射が高度に最適化される。
【0018】
[0018] 本発明によって対処される3つの異なる機能、すなわち、清潔な空気、香りが漂う空気、および清潔な表面があり、設計要素の組み合わせによって3つすべて、または2つ、または1つの機能に対処できることを理解されたい。
【0019】
[0019] 本発明の重要な実現要因の1つは、エアダクト内部に塗布され得るUV反射コーティング、およびダクト内面上のUV光源の位置である。これらの実現要因は、空気感染する病原体に向けられるエネルギーの量を大幅に増加させ、病原体が破壊されるのにかかる時間を短縮する。この反射面は装置内外に光路も作り出す。装置外側の光路は、表面をきれいにするために使用される。病原体が破壊される時間が短ければ短いほど、システム内の空気の流れは大きくなり得る。これにより化粧室の空気を全て消毒するのに必要な時間が短縮される。反射面のタイプと関連する反射率のパーセントは強度に指数関数的効果を与える。
【0020】
[0020] LED光源上の気流と、香り発生装置(例えば、香り液入りの吸水布、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願2017/0253338を参照)と香り発生装置上の気流とを組み合わせ、UV装置の上流に香り装置を用いることで単一のモータ駆動ファンを使用することができ、この気流をLEDの冷却に用いることもできる。
【0021】
[0021] 複数の消毒アセンブリもまた消毒システムの一部とすることができ、それは互いに無線または有線で通信し、および/または消毒アセンブリおよびファン、ライト、香りディスペンサなどの様々な構成要素を制御するコントローラと通信する(例えば、ファンのオンおよびオフ、ファンの速度を調整または変更する、ライトのオンとオフを切り替えたり、ライトの強度、方向、または持続時間を調整または変更したり、香りや消毒剤を分配したりする)。
【0022】
[0022] 動作中のLEDは熱を発生し、LED温度を上昇させる可能性があることを理解されたい。LEDの信頼性と寿命は温度の影響を受ける。LEDを使用する場合、製品の設計者は、対流経路、放射経路、または伝導経路を含む十分な冷却方法を確保する必要がある。LEDから熱を除去する必要があるため(重量と複雑さが増すため)顧客とって望ましくない結果が生じる可能性がある。そのため、周辺機器で発生する冷却経路を利用できることは製品設計上有益である。好ましい実施形態において、ダクト部分を通って移動する空気はファンから押し出されるかまたは送られ、LEDを冷却するのに十分であるかまたは可能な気流を有する。空気の動きは、消毒システムに空気を押し込むために使用されるのと同じファンによって作成される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
[0023] 本発明は、添付の図面を参照することでより容易に理解され得る。
図1】本発明の好ましい実施形態に従った複数の消毒アセンブリを含む化粧室モニュメントアセンブリの斜視図である。
図2】化粧室モニュメントアセンブリの一部を示す斜視図である。
図3】内外消毒アセンブリの断面斜視図である。
図4】内部消毒アセンブリの断面斜視図である。
図5A】円周アレイに配置された複数の発光体を含む消毒アセンブリの断面立面図である。
図5B】円周アレイに配置された複数の発光体を含む消毒アセンブリの断面立面図である。
図5C】円周状に配列された複数の発光体を含む消毒アセンブリの断面立面図である。
図5D】円周アレイに配置された複数の発光体を含む消毒アセンブリの断面立面図である。[0032] 図面のいくつかの図全体を通して、類似の数字は類似の部品を参照する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0033] 以下の説明および図面は例示であり、限定的なものとして解釈されるものではない。開示を完全に理解するために、多くの具体的な詳細が説明される。ただし、特定の例において、説明を曖昧にすることを避けるために周知または慣習的な詳細は説明されない。本開示において、あるまたは1つの実施形態への言及は、必ずしも同じ実施形態への言及であり得るが、必ずしも同じ実施形態への言及である必要はない。そのような言及は、実施形態の少なくとも1つを意味する。構成要素が図面に示されていない場合、その構成要素が「存在しない」と述べる特許請求の範囲において否定的な制限を裏付けることになる。しかしながら、上記の記述は限定的なものではなく、別の実施形態において欠落している構成要素を特許請求の範囲の実施形態に含めることができる。
【0025】
[0034] 本明細書において、「ある実施形態」、「一実施形態」、「好ましい実施形態」または「実施形態」という言葉に言及する任意の他のフレーズへの言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味し、また、1つの実施形態に関連して説明される任意の特定の特徴、構造、または特性を任意の実施形態に含めることができるか、または任意の実施形態から省略または除外できることを意味する。さらに、本明細書に記載される任意の特定の特徴、構造、または特性は、任意であり得る。
【0026】
[0035] ここで、本発明を説明する目的でありこれを限定する目的ではない図面を参照すると、図1図5Dは、1つまたは複数の消毒アセンブリ30を内部に含む車両用化粧室モニュメントアセンブリ10を示す。好ましい実施形態において、化粧室モニュメントアセンブリは、航空機において利用される。ただし、電車、バス等のいずれのタイプの車両も本発明の範囲内である。図1に示すように、一般的に、化粧室モニュメントアセンブリ10は化粧室内部22を画定するために協働する複数の壁(第1の壁14、第2の壁16、第3の壁18および第4の壁)(図示せず)を含む筺体12を含む。筺体12は、好ましくは、床24、天井26、および複数の壁のうちの1つに配置される入口ドア28も含む。図中、入口ドア28は、第2の壁16上に配置されるよう示されている。ただし、これは制限ではなく、ドアはどの壁にも配置できる。好ましい実施形態において、化粧室モニュメントアセンブリ10は、化粧室内部22に配置された1つまたは複数の消毒アセンブリ30を含む。
【0027】
[0036] 図1は、内部に3つの消毒アセンブリ30、鏡32の下方および洗面台34の上にある第1の消毒アセンブリ30、鏡32の隣の第3の壁の上にある第2の消毒アセンブリ30、およびドア28の上方にある第3の消毒アセンブリ30を示す。化粧室内の任意の数の消毒アセンブリは本発明の範囲内である。図1はまた、2つの異なるタイプの消毒アセンブリ30を示す。洗面台の上方に配置される第1のタイプの消毒アセンブリ30(図2および3参照)は、本明細書において一般に内部/外部消毒アセンブリとも呼ばれ、30aという番号が付けられている。第2のタイプの消毒アセンブリ30(図4参照)は、本明細書において内部消毒アセンブリと呼ばれ、30bと番号が付けられている。したがって、消毒アセンブリには一般的に30というラベル/番号が付けられ、内部/外部の消毒アセンブリには30aと具体的にラベル/番号が付けられ、内部の消毒アセンブリには30bというラベル/番号が具体的に付けられる。
【0028】
[0037] 図3および図4に示すように、消毒アセンブリ30はダクト内部40を画定する内面38を含むダクト部分36、入口42、出口44、入口42からダクト内部40を通り、出口44まで延びる空気経路(矢印P1参照)を含む。好ましい実施形態において、ファン46は、入口42を通って空気を流入し、出口44を通って空気を排出するように配置される。ファン46または他の空気移動部品は、ダクト部に対してダクト内部または外部に配置することができる。好ましい実施形態において、消毒アセンブリ30は、入口と出口との間のダクト内部40に配置された1つまたは複数の消毒発光体50を含む空気消毒ライトシステム48を含む。本明細書に記載されるように、消毒発光体50は、UV光、LED、または病原体等を消毒、殺傷または破壊する波長の光を放射する任意のタイプの発光装置であり得る。好ましくは、反射コーティング52(図5A図5D参照)は、ダクトの内面38の少なくとも一部に配置される。
【0029】
[0038] 図2に示すように、好ましい実施形態において、内部/外部消毒アセンブリ30aは、洗面台34と鏡32との間に配置される。好ましくは、洗面台34は、バックスプラッシュ54を含み、内部/外部消毒アセンブリ30aは、バックスプラッシュ54の上部と鏡32の下部の下方との間に配置される。好ましい実施形態において、内部/外部消毒アセンブリ30aのダクト部分36は、内部に画定された透明部分56を含む。例えば、透明部分56は、ダクト部分36に画定された開口部に固定または配置される透明カバーまたはレンズとすることができる。透明部分56は、消毒発光体50から放出された光の一部が透明部分を通過し、ダクト部分または消毒アセンブリの外部に通過することを可能にするため、光が消毒アセンブリ外側または外部部品、空気または同様のものを消毒できることを理解されたい。図3に示すように、好ましい実施形態において、特定の消毒用発光体50は、そこから放出された光が透明部分56を通して導かれるように配置することができる。これらの消毒光部材50は、本明細書において外部消毒光システム58と呼ばれ得る。図2に示すように、好ましい実施形態において、入口42および/またはファン46は、洗面台および鏡の外側の側面よりもさらに外側に延びている。当業者は、化粧室モニュメントアセンブリ10の第1の壁が、航空機の壁に対して(すなわち、第2の壁から外側に)配置されるように構成されることを理解するであろう。消毒アセンブリ30は、好ましくは、照明、ファン等に電力を供給するための電気またはバッテリへの有線接続などの電源を含む。
【0030】
[0039] 図1および図2に示す実施形態において、透明部分56を通して導かれた光は、洗面台およびその上の表面(例えば、蛇口、カウンター、ディスペンサ、洗面台ボウル等)に向けられ、それら表面を消毒する。したがって、内部/外部消毒アセンブリ30aは、ダクト部分を通って空気を移動させることにより、化粧室内部の空気を消毒するのに役立ち、また、洗面台上または洗面台付近の表面の消毒を助ける。透明部分を通して光を導いた外部消毒発光体は、ダクト内部の空気の一部も消毒することを理解するであろう。また、内部/外部消毒アセンブリ30aは、トイレの上やドアハンドルの上など、他の表面を消毒できるような他の場所に配置することもできる。
【0031】
[0040] 好ましい実施形態において、消毒アセンブリ30は、入口42と出口44との間の任意の点において、空気経路内に配置されたフレグランスディスペンサも含み得る。図3は、空気経路P1に沿って移動する空気の少なくとも一部が移動する吸水布として具現化されたフレグランスディスペンサ60を示す。ただし、出る空気に香りを与えるための任意のタイプのフレグランスディスペンサまたは部品は、本発明の範囲内である。
【0032】
[0041] 図4に示すように、好ましい実施形態において、内部消毒アセンブリ30bは、壁などの表面に接続または取り付けることができる本体部分64を含む取り付け部材62と、本体部分64から延びるおよび/または本体部分64に取り付けられる第1および第2のブラケット部材66とを含む。第1および第2のブラケット部材66は、それぞれ、その内部またはそれを通して画定された開口部68を含み、ダクト部分36は、開口部68の間および開口部68を貫通して延びる。透明な部材または部分を図4に示す消毒アセンブリ30bに追加することもできる。
【0033】
[0042] 図5A図5Dに示すように、好ましい実施形態において、消毒発光体50(内部空気または外部の消毒発光部材)のいずれかまたは全部が、ダクト部分30の内部または内面38の周囲に様々なパターンおよび/または1つまたは複数のアレイで配置されてもよい。好ましくは、ダクト部分30は、空気が流れるダクト内部40内の光波を反射するために、ダクトの内側にUV反射コーティング52も含み、空気経路P1が延びて、所望のまたは所定の時間内に空気感染する病原体を死滅させるのに十分なエネルギーを提供するのを助ける。例えば、図5A図5Dに示すように、消毒アセンブリ30、30aまたは30bのいずれかにおける空気消毒発光システム48は、ダクト部分の内面の周囲に円周状に配置された複数の消毒発光体50を含むことができる。図4は、消毒発光体50をらせんパターンまたはアレイで示す。ダクト部分またはその内面が円形でない実施形態において、消毒発光体50は、依然として円周方向に配置できること、すなわち、それらが内面の周囲またはその周囲に配置されることを意味することを理解されたい。
【0034】
[0043] 図5Aに示すように、ダクト部分36の内面38は、一実施形態において内面から円の中心まで延びる半径R1を画定し、ダクト部分は円形または円筒形である。ダクト部分の軸線は、ダクト部分の中心に沿って延びることを理解されたい。したがって、一実施形態において、ダクト部分またはその内面が円形でない場合、半径または線R1は、内面からダクト部分の軸線まで延びる。アレイ内の空気消毒発光体50は、図5Aおよび5Bに示すようにすべての光を半径R1に平行に、または半径R1に沿って(または半径方向内側に)導くように配置することができる。図5Aおよび図5Bにおいて、各発光体50は、発行体から照射または放射する光または光線を表す、そこから延びる複数または一組の線を含む。線のセットは、直接光が発光体から照射される角度を表すD1というラベルの付いた中心線または矢印を含む。図5Aおよび図5Bに示すように、直線D1は半径と一致、および/または平行である。R1は、光が半径R1に沿って、かつダクト部分またはダクト内部の軸線に向かって向けられることを示す。
【0035】
[0044] 別の実施形態において、アレイ内の空気消毒発光体は図5Cおよび図5Dに示すように、半径R1に対して非ゼロ角度θ(非平行または1°から89°の間の任意の角度)であるすべての直接光を配置することができる。換言すると、図5Cおよび図5Dに示すように、直矢印または線D1は半径R1に対して角度がついており、光が半径R1に対して非ゼロの角度θ(非平行)に向けられることを示す。線D1はまた、図5Cおよび図5Dにおいて反射コーティング52の反射として示される。反射コーティングは、ダクト部分の内面全体を被覆することができ、所定の領域に多数配置して各種発光体からの光を戦略的に反射させることができる。
【0036】
[0045] 別の実施形態において、空気消毒発光体50の一部は、半径と平行に光を導くように配置することができ、同じアレイ内の他の空気消毒発光体50は非ゼロ角度で光を導くように配置することができる。
【0037】
[0046] 本開示の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であることを意図したり、教示を上記に開示された正確な形態に限定したりすることを意図していない。本開示の具体的な実施形態および実施例は、例示の目的で上述したが、関連技術分野の当業者が認識するように本開示の範囲内において種々の同等の修正が可能である。さらに、本明細書に記述された任意の特定の数値は単なる例であり、限定するものではない。代替実装は、異なる値、測定値または範囲を採用してもよい。
【0038】
[0047] 添付の出願書類に列挙され得るものを含む上記の特許および出願およびその他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。



















図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
【国際調査報告】