(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】慣性センサーおよび電子デバイス
(51)【国際特許分類】
G01C 19/5642 20120101AFI20240822BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G01C19/5642
B81B3/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513429
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 CN2022111629
(87)【国際公開番号】W WO2023029927
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111016671.3
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲啓▼方
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 元▲遼▼
【テーマコード(参考)】
2F105
3C081
【Fターム(参考)】
2F105AA08
2F105AA10
2F105BB01
2F105BB13
2F105CC04
2F105CD03
2F105CD05
2F105CD13
3C081AA01
3C081AA11
3C081BA07
3C081BA22
3C081BA44
3C081BA48
3C081BA53
3C081EA02
(57)【要約】
慣性センサー(20)および電子デバイス(100)が提供される。Y軸を検出するための慣性センサー(20)の質量ブロック(312または315)は、X軸方向に変位成分を有するように駆動される。慣性センサー(20)がZ軸周りの角速度成分を受けると、Y軸を検出するための質量ブロック(312または315)が、Z軸を検出するための質量ブロック(313または316)を引っ張ることがあり、これにより、Z軸を検出するための質量ブロック(313または316)が、Y軸方向に変位成分を有することができる。慣性センサー(20)は、Y軸検出およびZ軸検出の間における原則的な減結合を実装することができ、それによって慣性センサー(20)のサイズおよび検出精度の両方を考慮することに貢献する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慣性センサーであって、
第一の質量ブロックおよび第一の検出電極であって、前記第一の質量ブロックは、前記第一の検出電極に対して相対的に移動可能であり、前記第一の質量ブロックおよび前記第一の検出電極は、第一の方向に配置されて第一のコンデンサを形成し、前記第一のコンデンサは、第二の方向周りの角速度を検出するように構成される、第一の質量ブロックおよび第一の検出電極と、
第二の質量ブロックおよび第二の検出電極であって、前記第二の質量ブロックは、前記第二の検出電極に対して相対的に移動可能であり、前記第二の質量ブロックおよび前記第二の検出電極は、前記第二の方向に配置されて第二のコンデンサを形成し、前記第二のコンデンサは、前記第一の方向周りの角速度を検出するように構成される、第二の質量ブロックおよび第二の検出電極と、
第一のコネクタであって、前記第一の質量ブロックの第一の端部と前記第二の質量ブロックの第一の端部との間に連結される、第一のコネクタと
を備え、
前記第一の質量ブロックは、第三の方向に変位成分を有するように駆動され、前記第一の方向、前記第二の方向、および前記第三の方向は、相互に直交しており、
前記第一の質量ブロックが前記第一の方向周りの角速度成分を有する場合、前記第一の質量ブロックが第二の方向に変位成分を有し、前記第一の質量ブロックは、前記第一のコネクタを使用することによって、前記第二の質量ブロックを引っ張って、前記第二の方向に移動させるように構成され、前記第二の方向における前記第二の質量ブロックの変位成分は、前記第二のコンデンサの静電容量値の変動に対応し、
前記第一の質量ブロックが前記第二の方向周りの角速度成分を有する場合、前記第一の質量ブロックは、前記第一の方向に変位成分を有し、前記第一の方向における前記第一の質量ブロックの前記変位成分は、前記第一のコンデンサの静電容量値の変動に対応する、
慣性センサー。
【請求項2】
前記第一のコネクタは、第一の弾性コネクタを含み、前記第一の弾性コネクタは、前記第一の質量ブロックに対して前記第一の方向および前記第三の方向に緩衝空間を提供するように構成され、これにより、前記第一の方向における前記第二の質量ブロックの前記第一の端部の変位成分は、前記第一の方向における前記第一の質量ブロックの前記第一の端の変位成分よりも小さくなり、かつ、前記第三の方向における前記第二の質量ブロックの前記第一の端部の変位成分は、前記第三の方向における前記第一の質量ブロックの前記第一の端部の変位成分よりも小さくなる、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項3】
前記第一のコネクタは、
第一の支持梁であって、前記第一の支持梁が、前記第一の弾性コネクタおよび前記第二の質量ブロックの間に連結される、第一の支持梁
をさらに含む、請求項2に記載の慣性センサー。
【請求項4】
前記第一のコネクタは、
第一の伝達梁であって、前記第一の伝達梁が、前記第三の方向に延在し、前記第一の伝達梁の一端部が、前記第一の弾性コネクタおよび前記第二の質量ブロックの間に連結され、前記第一の質量ブロックが前記第一の方向周りの角速度成分を有する場合、前記第一の伝達梁は、前記第一の方向周りに回転する、第一の伝達梁
をさらに含む、請求項2または3に記載の慣性センサー。
【請求項5】
前記第一の質量ブロックが前記第二の方向周りの角速度成分を有する場合、前記第二の方向周りの前記第一の伝達梁の回転角は、前記第二の方向周りの前記第一の質量ブロックの回転角よりも小さくなる、請求項4に記載の慣性センサー。
【請求項6】
前記第一の質量ブロックは、前記第二の質量ブロックの第一の端部から、前記第二の質量ブロックの第二の端部まで延在し、前記慣性センサーは、
第二のコネクタであって、前記第二のコネクタが前記第一の質量ブロックの第二の端部と、前記第二の質量ブロックの前記第二の端部との間に連結され、前記第二のコネクタおよび前記第一のコネクタは、前記第二の質量ブロックに関して対称である、第二のコネクタ
をさらに含む、請求項1ないし5の何れか一つに記載の慣性センサー。
【請求項7】
前記慣性センサーは、
駆動電極および駆動ブロックであって、前記駆動電極および前記駆動ブロックによって形成されるコンデンサは、前記駆動ブロックを駆動して、前記駆動電極に対して相対的に前記第三の方向に前後に移動させるように構成されて、駆動電極および駆動ブロックと、
第二の支持梁であって、前記第二の支持梁は、前記駆動ブロックおよび前記第一の質量ブロックの間に連結され、前記駆動ブロックは、前記第二の支持梁を使用することによって、前記第一の質量ブロックを駆動するように構成され、これにより、前記第一の質量ブロックが、前記第三の方向に前記変位成分を有する、第二の支持梁と
をさらに備える、請求項1ないし6の何れか一つに記載の慣性センサー。
【請求項8】
前記慣性センサーは、
第三の質量ブロックおよび第三の検出電極であって、前記第三の質量ブロックは、前記第三の検出電極に対して相対的に移動可能であり、前記第三の質量ブロックおよび前記第三の検出電極は、前記第一の方向に配置されて第三のコンデンサを形成し、前記第三のコンデンサは、前記第三の方向周りの角速度を検出するように構成され、前記第三の質量ブロックは、前記第二の方向に変位成分を有するように駆動され、前記第三の質量ブロックが前記第三の方向周りの角速度成分を有する場合、前記第三の質量ブロックは、前記第一の方向に変位成分を有し、前記第一の方向における前記第三の質量ブロックの前記変位成分は、前記第三のコンデンサの静電容量値の変動に対応する、第三の質量ブロックおよび第三の検出電極
をさらに備える、請求項1ないし7の何れか一つに記載の慣性センサー。
【請求項9】
前記第一の質量ブロックは、前記駆動ブロックによって駆動され、前記駆動ブロックは、前記第三の方向に前後に移動するように構成され、前記第三の質量ブロックおよび前記駆動ブロックの間には、操作梁が連結され、前記操作梁の端部であって、前記駆動ブロックに近接する端部は、前記第三の方向に前後に移動するように構成され、前記操作梁の端部であって、前記第三の質量ブロックに近接する端部は、前記第二の方向に前後に移動するように構成され、これにより、前記第三の質量ブロックは、前記第二の方向に前記変位成分を有する、請求項8に記載の慣性センサー。
【請求項10】
前記慣性センサーは、
第二の弾性コネクタであって、前記第二の弾性コネクタは、前記駆動ブロックおよび前記第一の質量ブロックの間に連結され、前記第三の質量ブロックに対して前記第一の方向に緩衝空間を提供するように構成される、第二の弾性コネクタ
をさらに備える、請求項8または9に記載の慣性センサー。
【請求項11】
前記慣性センサーは、
第二の伝達梁であって、前記第二の伝達梁は、前記第二の弾性コネクタおよび前記駆動ブロックの間に連結され、前記第二の伝達梁は、前記第三の方向周りに回転可能であり、前記第三の質量ブロックが前記第三の方向周りに回転する場合、前記第三の方向周りの第二の伝達梁の回転角度は、前記第三の方向周りの第三の質量ブロックの回転角度よりも小さくなる、第二の伝達梁
をさらに備える、請求項10に記載の慣性センサー。
【請求項12】
前記慣性センサーは、
第三の弾性コネクタであって、前記第三の弾性コネクタは、前記第三の質量ブロックに連結され、前記第三の弾性コネクタは、前記第三の質量ブロックに対して前記第一の方向に支持力を提供するように構成され、前記第三の質量ブロックに対して前記第二の方向に緩衝空間を提供するようにさらに構成される、第三の弾性コネクタ
をさらに備える、請求項8ないし11の何れか一つに記載の慣性センサー。
【請求項13】
前記第三の弾性コネクタは、前記第三の質量ブロックの側であって、前記第二の質量ブロックから離れている側に位置する、請求項12に記載の慣性センサー。
【請求項14】
前記慣性センサーは、機械構造層、被覆層、および基板層を備え、前記機械構造層は、前記被覆層および前記基板層の間に位置し、前記第一の質量ブロックおよび前記第二の質量ブロックは、前記機械構造層上に配置され、前記第一の検出電極は、前記基板層上に配置され、前記第二の検出電極は、前記基板層または前記機械構造層上に配置される、請求項8ないし13の何れか一つに記載の慣性センサー。
【請求項15】
前記慣性センサーは、前記第二の方向に関して対称であり、かつ、前記慣性センサーは、前記第三の方向に関して対称である、請求項1ないし14の何れか一つに記載の慣性センサー。
【請求項16】
請求項1ないし15の何れか一つに記載の慣性センサーを備える、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、慣性感知の分野および電子デバイスの分野に関し、より具体的には、慣性センサーおよび電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2021年8月31日に中国国家知識産権局に提出された「慣性センサーおよび電子デバイス」と題する中国特許出願第202111016671.3号に対する優先権を主張し、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
電子デバイスは、慣性センサー(慣性測定ユニット(IMU)とも呼ばれることがある)を使用することによって、電子デバイスの傾斜度のような動作状態を検出し得る。慣性センサーは、撮影中の手振れ補正、ナビゲーション、ゲームの方向性、および画面の回転などの、適用シナリオにおいて重要な役割を果たしている。
【0004】
慣性センサーは、複数の回転対称梁(rotationally symmetrical beams)に対する電子デバイスの角速度を検出するように構成され得る。回転対称梁Aに対する慣性センサーの動作が回転対称梁Bの角速度の検出に影響を与える場合、慣性センサーの検出結果が、不正確になることがある。慣性センサーにおいて、回転対称梁Aの角速度を検出するための部分と、回転対称梁Bの角速度を検出するための部分とが、別々に配置され、相互に干渉することがない場合、慣性センサーの全体サイズが大きくなることがある。そのため、慣性センサーのサイズおよび検出精度を如何に考慮するかは、解決すべき問題である。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、慣性センサーおよび電子デバイスを提供して、小型構造および高検出精度を有する慣性センサーを提供し、これにより、電子デバイスにおける慣性センサーの適用性能の改善に貢献する。
【0006】
第一の態様によれば、以下を含む慣性センサーが提供される。すなわち、
第一の質量ブロック(mass block)および第一の検出電極(detection electrode)であって、第一の質量ブロックは、第一の検出電極に対して相対的に移動可能であり、第一の質量ブロックおよび第一の検出電極は、第一の方向に配置されて第一のコンデンサを形成し、第一のコンデンサは、第二の方向周りの角速度を検出するように構成される、第一の質量ブロックおよび第一の検出電極。
第二の質量ブロックおよび第二の検出電極であって、第二の質量ブロックは、第二の検出電極に対して相対的に移動可能であり、第二の質量ブロックおよび第二の検出電極は、第二の方向に配置されて第二のコンデンサを形成し、第二のコンデンサは、第一の方向周りの角速度を検出するように構成される、第二の質量ブロックおよび第二の検出電極。および、
第一のコネクタであって、第一のコネクタは、第一の質量ブロックの第一の端部と第二の質量ブロックの第一の端部との間に連結される、第一のコネクタ。
ここで、第一の質量ブロックは、第三の方向に変位成分を有するように駆動され、第一の方向、第二の方向、および第三の方向は、相互に直交している。
また、第一の質量ブロックが第一の方向周りの角速度成分を有する場合、第一の質量ブロックが第二の方向の変位成分を有し、第一の質量ブロックは、第一のコネクタを使用することによって、第二の質量ブロックを引っ張って、第二の方向に移動させるように構成され、第二の方向における前記第二の質量ブロックの変位成分は、前記第二のコンデンサの静電容量値の変動に対応する。
さらに、第一の質量ブロックが第二の方向周りの角速度成分を有する場合、第一の質量ブロックは、第一の方向の変位成分を有し、第一の方向における第一の質量ブロックの変位成分は、第一の質量ブロックの静電容量値の変動に対応する。
【0007】
本出願では、第一の質量ブロックは、第二の質量ブロックを第二の方向に引っ張って、第一の方向周りの第二の質量ブロックの角速度を検出する。第一の質量ブロックが第二の方向周りの角速度を検出する場合、第一の質量ブロックは、第一の方向および第三の方向に変位成分を有し、第一の質量ブロックは、第二の方向に静止していると見做し得る。第二の質量ブロックが第一の方向周りの角速度を検出する場合、第二の質量ブロックは、第二の方向に変位成分を有する。検出原理に基づいて、第一の質量ブロックが第二の方向周りの角速度成分のみを有する場合、第一の質量ブロックは、第二の方向に変位成分を有しないことがある。そのため、第一の質量ブロックによる第二の方向周りの角速度の検出は、第二の質量ブロックによる第一の方向周りの角速度の検出にほとんど影響を与えない。これは、慣性センサーの差動減結合の適用を軽減することに貢献し、慣性センサーの検出精度の改善に貢献する。さらに、本出願に提供される慣性センサーは、一つの駆動源を使用することによって、第一の質量ブロックおよび第二の質量ブロックに対して電力を供給し得て、それによって慣性センサーの検出精度の改善に貢献する。
【0008】
第二の質量ブロックが第二の方向周りの角速度成分のみを有する場合、第一の質量ブロックは、第二の方向においてより小さい変位成分を有し、第一の質量ブロックは、第二の方向において第二の質量ブロックに及ぼすより小さい引張力を有する。そのため、これは、第一の質量ブロックおよび第二の質量ブロックの間の結合度の低減と、第一の質量ブロックおよび第二の質量ブロックとの間の相互影響の低減とに貢献する。
【0009】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、第一のコネクタは、第一の弾性コネクタを含む。第一の弾性コネクタは、第一の質量ブロックに対して第一の方向および第三の方向に緩衝空間を提供するように構成され、これにより、第一の方向における第二の質量ブロックの第一の端部の変位成分が、第一の方向における第二の質量ブロックの第一の端部の変位成分よりも小さくなり、かつ、第三の方向における第二の質量ブロックの第一の端部の変位成分は、第三の方向における第一の質量ブロックの第一の端部の変位成分よりも小さくなる。
【0010】
第一の弾性コネクタは、第一の質量ブロックおよび第二の質量ブロックの間に緩衝機能を有し得る。第一の質量ブロックが第二の方向周りの角速度を検出する場合、第一の方向における第一の質量ブロックの変位が大きくなることがある。第一の弾性コネクタは、第二の質量ブロックが第一の質量ブロックによって引っ張られた後、第一の方向における第二の質量ブロックの変位の低減に貢献する。第一の質量ブロックが第三の方向に前後に移動する場合、第三の方向における第一の質量ブロックの変位は大きくなることがある。第一の弾性コネクタは、第二の質量ブロックが第一の質量ブロックによって引っ張られた後、第三の方向における第二の質量ブロックの変位の低減に貢献する。第一の弾性コネクタは、第二の方向および第三の方向における第一の質量ブロックの変位成分が第二の質量ブロックに及ぼす影響の低減に貢献し得る。
【0011】
第二の方向における第一の弾性コネクタの剛性は、例えば、第一の方向における第一の弾性コネクタの剛性よりも低くなり得る。第三の方向における第一の弾性コネクタの剛性は、例えば、第一の方向における第一の弾性コネクタの剛性よりも低くなり得る。
【0012】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、第一のコネクタは、以下をさらに含む。すなわち、
第一の支持梁(support beam)であって、この第一の支持梁は、第一の弾性コネクタおよび第二の質量ブロックの間に連結される、第一の支持梁。
【0013】
第一の支持梁は、第一の弾性コネクタおよび第二の質量ブロックとの間に連結される。これは、第一の弾性コネクタによっては吸収しきることができない変位成分のさらなる吸収に貢献し、第二の質量ブロックが第一の質量ブロックによって引っ張られた後、第一の方向および/または第三の方向における第二の質量ブロックの変位の低減に貢献する。
【0014】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、第一のコネクタは、以下をさらに含む。すなわち、
第一の伝達梁(transmission beam)であって、この第一の伝達梁は、第三の方向に延在し、第一の伝達梁の一端部は、第一の弾性コネクタおよび第二の質量ブロックの間に連結され、第一の質量ブロックが第一の方向における第一の質量ブロックの角速度成分を有する場合、第一の伝達梁は、第一の方向周りに回転可能である、第一の伝達梁。
【0015】
換言すると、第一の質量ブロックが第一の方向周りの角速度成分を有する場合、第一の伝達梁は、第一の方向周りの回転角を有し得る。
【0016】
第一の伝達梁の一部の位置は固定され、第一の伝達梁の変形量は小さい。第一の質量ブロックが第一の方向にシフトする場合、第一の質量ブロックは、第二の質量ブロックを引っ張って第一の方向に移動させる傾向がある。第二の質量ブロックは、第一の伝達梁の第二の部分によって逆に引っ張られて、第二の質量ブロックが第一の質量ブロックによって引っ張られた後、第一の方向における第二の質量ブロックの変位をさらに低減し得る。
【0017】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、第一の質量ブロックが第二の方向周りの角速度成分を有する場合、第二の方向周りの第一の伝達梁の回転角は、第二の方向周りの第一の質量ブロックの回転角よりも小さくなる。
【0018】
第一の伝達梁は、第一の質量ブロックおよび第二の質量ブロックの間に連結され、第二の方向周りの第一の伝達梁の回転角は小さい。これは、第二の質量ブロックの変形量の低減に貢献する。
【0019】
一実施形態では、第一の伝達梁の長さは、大きくなり得る。例えば、第三の方向における第一の伝達梁の長さの半分は、第三の方向における第二の質量ブロックの長さよりも大きくなってもよい。
【0020】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、第一の質量ブロックは、第二の質量ブロックの第一の端部から第二の質量ブロックの第二の端部まで延在している。慣性センサーは、以下をさらに含む。すなわち、
第二のコネクタであって、この第二のコネクタは、第一の質量ブロックの第二の端部と、第二の質量ブロックの第二の端との間に連結され、第二のコネクタおよび第一のコネクタは、第二の質量ブロックに関して対称である、第二のコネクタ。
【0021】
第一の質量ブロックは、第二の質量ブロックの両端から第二の質量ブロックを引っ張り得て、第二の質量ブロックの両端にあるコネクタも対称である。これは、第一の方向における第二の質量ブロックの変位の対称性の改善に貢献し、慣性センサーの検出精度の改善にさらに貢献する。
【0022】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、慣性センサーは、以下をさらに含む。すなわち、
駆動電極および駆動ブロックであって、これらの駆動電極および駆動ブロックによって形成されるコンデンサは、駆動電極に対して相対的に第三の方向に前後に移動させるように駆動ブロックを駆動するように構成される、駆動電極および駆動ブロック。および、
第二の支持梁であって、この第二の支持梁は、駆動ブロックおよび第一の質量ブロックの間に連結され、駆動ブロックは、第二の支持梁を使用することによって、第一の質量ブロックを駆動するように構成され、これにより、第一の質量ブロックは、第三の方向に変位を有する、第二の支持梁。
【0023】
駆動ブロックは、第二の質量ブロックから離れている側から、第一の質量ブロックを駆動し得る。これは、駆動ブロックが第一の質量ブロックを引っ張る際に、第二の質量ブロックの移動に対して駆動ブロックによって引き起こされる影響の低減に貢献し、慣性センサーの検出精度の改善にさらに貢献する。
【0024】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、慣性センサーは、以下をさらに含む。すなわち、
第三の質量ブロックおよび第三の検出電極であって、この第三の質量ブロックは、第三の検出電極に対して相対的に移動可能であり、第三の質量ブロックおよび第三の検出電極は、第一の方向に配置されて第三のコンデンサを形成し、第三のコンデンサは、第三の方向周りの角速度を検出するように構成され、第三の質量ブロックは、第二の方向に変位成分を有するように駆動され、第三の質量ブロックが第三の方向周りの角速度成分を有する場合、第三の質量ブロックは、第一の方向に変位成分を有し、第一の方向における第三の質量ブロックの変位成分は、第三のコンデンサの静電容量値の変動に対応する、第三の質量ブロックおよび第三の検出電極。
【0025】
第三の質量ブロックが第二の方向に前後に移動し、第三の質量ブロックおよび第三の検出電極が第一の方向に配置されるため、第三の質量ブロックの移動および検出が第一の質量ブロックおよび第二の質量ブロックに及ぼす影響が小さくなり、これにより、慣性センサーは、三軸の角速度を検出しつつ、高精度を有することができる。
【0026】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、第一の質量ブロックは、駆動ブロックによって駆動される。駆動ブロックは、第三の方向に前後に移動するように構成され、第三の質量ブロックおよび駆動ブロックの間に操作梁(steering beam)が連結される。操作梁の端部であって、駆動ブロックに近接する端部は、第三の方向に前後に移動するように構成され、操作梁の端部であって、第三の質量ブロックに近接する端部は、第二の方向に前後に移動するように構成され、これにより、第三の質量ブロックは、第二の方向に変位成分を有する。
【0027】
第一の質量ブロックおよび第三の質量ブロックは、同一の駆動ブロックを使用することによって駆動される。これは、慣性センサーにおける部品点数の削減に貢献し、第一の質量ブロック、第二の質量ブロック、および第三の質量ブロックの結合度の向上に貢献し、慣性センサーの検出精度の改善に貢献する。
【0028】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、慣性センサーは、以下をさらに含む。すなわち、
第二の弾性コネクタであって、この第二の弾性コネクタは、駆動ブロックおよび第一の質量ブロックの間に連結され、第三の質量ブロックに対して第一の方向に緩衝空間を提供するように構成される、第二の弾性コネクタ。
【0029】
第三の質量ブロックが第三の方向周りの角速度を検出する場合、第三の質量ブロックは、第一の方向にシフトし得る。第二の弾性コネクタは、第一の方向における変位成分を吸収することに役立ち、それによって第三の質量ブロックが駆動ブロックに及ぼす影響を低減する。
【0030】
第二の方向における第二の弾性コネクタの剛性は、例えば、第一の方向における第二の弾性コネクタの剛性よりも大きくなり得る。第三の方向における第二の弾性コネクタの剛性は、例えば、第一の方向における第二の弾性コネクタの剛性よりも大きくなってもよい。
【0031】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、慣性センサーは、以下をさらに含む。すなわち、
第二の伝達梁であって、この第二の伝達梁は、第二の弾性コネクタおよび駆動ブロックの間に連結され、第二の伝達梁は、第三の方向周りに回転可能であり、第三の質量ブロックが第三の方向周りに回転する場合、第三の方向周りの第二の伝達梁の回転角度は、第三の方向周りの第三の質量ブロックの回転角度よりも小さくなる、第二の伝達梁。
【0032】
第二の伝達梁は、第三の質量ブロックと第三の質量ブロックの対称質量ブロックとの間に連結され得る。第二の伝達梁の変形量は小さい。第三の質量ブロックと第三の質量ブロックの対称質量ブロックとが第一の方向に逆にシフトされる場合、第二の伝達梁は、第三の質量ブロックと第三の質量ブロックの対称質量ブロックとの両方を逆に引っ張り得る。これは、第一の方向における第三の質量ブロックと第三の質量ブロックの対称質量ブロックとの変位の対称性の改善に貢献する。
【0033】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、慣性センサーは、以下をさらに含む。すなわち、
第三の弾性コネクタであって、この第三の弾性コネクタは、第三の質量ブロックに連結され、第三の弾性コネクタは、第三の質量ブロックに対して第一の方向における支持力を提供するように構成され、第三の質量ブロックに対して第二の方向に緩衝空間を提供するように構成される、第三の弾性コネクタ。
【0034】
第三の弾性コネクタは、第三の質量ブロックに対して捩り力および支持力を提供し得て、これにより、第三の質量ブロックは、予め設定された方式において移動する。
【0035】
第二の方向における第三の弾性コネクタの剛性は、例えば、第一の方向における第三の弾性コネクタの剛性よりも低くなってもよい。第三の方向における第三の弾性コネクタの剛性は、例えば、第一の方向における第三の弾性コネクタの剛性よりも低くなってもよい。第二の方向における第三の弾性コネクタの剛性は、例えば、第三の方向における第三の弾性コネクタの剛性よりも小さくなってもよい。
【0036】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、第三の弾性コネクタは、第三の質量ブロックの側であって、第二の質量ブロックから離れている側に位置する。
【0037】
本出願の実施形態では、慣性センサーの固有振動数モーダルは、例えば、剛性設計または減結合モード設計を使用することによって調整され、これにより、慣性センサーの有効モーダルは、慣性センサーの干渉モーダルから可能な限り遠くまで離れることができる。これは、慣性センサーのフィルタリング効果を改善し、慣性センサーのノイズレベルを低減する。さらに、慣性センサーの検出周波数および駆動周波数を調整することにより、慣性センサーの感度を向上させる。
【0038】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、慣性センサーは、機械構造層、被覆層、および基板層を含み、機械構造層は、被覆層および基板層の間に位置し、第一の質量ブロックおよび第二の質量ブロックは、機械構造層上に配置され、第一の検出電極は、基板層上に配置され、第二の検出電極は、基板層または機械構造層上に配置される。
【0039】
一実施形態では、第三の質量ブロックは、機械構造層上に配置され得て、第三の検出電極は、基板層上に配置され得る。
【0040】
本出願に提供される解決策は、微小電気機械システム(MEMS)シナリオに適用し得て、電子デバイスにおける別のコンポーネントと互換性がある。
【0041】
第一の態様に関して、第一の態様における幾つかの実装形態では、慣性センサーは、第二の方向に関して対称であり、慣性センサーは、第三の方向に関して対称である。
【0042】
機械構造層は、対称性を有し、材料歪および加工偏差などの、要因の影響を抑制する。機械構造層は、対称性を有し、差動原理を応用することによって、材料歪および加工偏差などによって引き起こされるコモンモードノイズの除去に役立ち、慣性センサーの温度ドリフト性能およびゼロドリフト性能などの向上に役立つ。
【0043】
第二の態様によれば、第一の態様の何れかの実装形態による慣性センサーを含む、電子デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本出願の一実施形態に係る、電子デバイスの構造を示す模式図である。
【
図2】本出願の一実施形態に係る、慣性センサーの構造を示す模式図である。
【
図3A】本出願の一実施形態に係る、慣性センサーの構造を示す模式図である。
【
図3B】本出願の一実施形態に係る、慣性センサーを示すモーション図である。
【
図4】本出願の一実施形態に係る、慣性センサーがX軸周りの角速度を検出する原理図である。
【
図5】本出願の一実施形態に係る、慣性センサーがY軸回りの角速度を検出する原理図である。
【
図6】本出願の一実施形態に係る、慣性センサーがZ軸周りの角速度を検出する原理図である。
【
図7A】本出願の一実施形態に係る、別の慣性センサーを示す立体図である。
【
図7B】本出願の一実施形態に係る、別の慣性センサーの構造を示す模式図である。
【
図7C】本出願の一実施形態に係る、別の慣性センサーを示すモーション図である。
【
図8A】本出願の一実施形態に係る、X軸周りの角速度を検出するための別の慣性センサーを示す立体図である。
【
図8B】本出願の一実施形態に係る、X軸周りの角速度を検出するための別の慣性センサーの構造を示す模式図である。
【
図9A】本出願の一実施形態に係る、Y軸周りの角速度を検出するための別の慣性センサーを示す立体図である。
【
図9B】本出願の一実施形態に係る、Y軸周りの角速度を検出するための別の慣性センサーの構造を示す模式図である。
【
図10A】本発明の一実施形態に係る、Z軸周りの角速度を検出するための別の慣性センサーを示す立体図である。
【
図10B】本発明の一実施形態に係る、Z軸周りの角速度を検出するための他の慣性センサーの構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に、添付の図面を参照して、本出願の技術的解決策を説明する。
【0046】
図1は、本発明の一実施形態に係る、電子デバイス100の構造を示す模式図である。電子デバイス100は、例えば、端末消費者製品または3C電子製品(コンピュータ(computer)電子製品、通信(communication)電子製品、または消費者(consumer)電子製品)など、例えば、携帯電話、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、電子書籍リーダー、ノートブックコンピュータ、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイス、ヘッドセット、時計、またはスタイラスのようなデバイスであり得る。
図1に示される実施形態では、電子デバイス100が携帯電話である例を使用して説明する。
【0047】
電子デバイス100は、ハウジング11、ディスプレイ12、および回路基板アセンブリ13を含み得る。具体的には、ハウジング11は、フレームおよび背面カバーを含み得る。このフレームは、ディスプレイ12および背面カバーの間に配置され得る。フレームは、ディスプレイ12の周囲および背面カバーの周囲を囲み得る。ディスプレイ12、フレーム、および背面カバーの間に形成された空洞は、回路基板アセンブリ13を収容するように構成され得る。回路基板アセンブリ13は、回路基板と、回路基板上に配置された慣性センサー20とを含み得る。この回路基板は、例えば、メイン基板またはサブ基板であり得る。
【0048】
図2は、慣性センサー20における二つの実施形態を示している。
図2に示される実施形態では、慣性センサー20は、ジャイロスコープであってもよいし、または加速度センサーおよびジャイロスコープを一体化してもよい。慣性センサー20が加速度センサーおよびジャイロスコープを一体化する実施形態では、慣性センサー20は、加速度センサーの機能およびジャイロスコープの機能の両方を実現することができるセンサーであってもよい。
【0049】
ジャイロスコープセンサーは、電子デバイス100の動作姿勢を決定するように構成され得る。幾つかの実施形態では、三軸(すなわち、X軸、Y軸、およびZ軸)の各々の周りにおける電子デバイス100の角速度が、ジャイロスコープセンサーを使用することによって決定され得る。ジャイロスコープセンサーは、撮影中の手ぶれ補正に使用され得る。例えば、シャッターが押されると、ジャイロスコープセンサーは、電子デバイス100が揺れる角度を検出し、その角度に基づいて、レンズモジュールが補償する必要がある距離を算出し、レンズが逆移動によって電子デバイス100の揺れをキャンセルすることを可能にして、手ぶれ補正を実装する。ジャイロスコープセンサーは、ナビゲーションおよび体感ゲームのシナリオにおいてもさらに使用され得る。
【0050】
加速度センサーは、電子デバイス100における種々の方向(通常は3軸)における加速度を検出し得る。電子デバイス100が静止している場合、重力の大きさおよび方向が検出され得る。加速度センサーは、電子デバイス100の姿勢を識別するように、さらに構成され得て、歩数計、ならびに横長モードおよび縦長モードの切り替えなどの用途に適用される。
【0051】
図2に示されるように、慣性センサー20は、チップ21と、一つまたは複数の検出部22とを含み得る。検出部22の一部または全部は、微小電気機械システム(MEMS)と呼ばれることもある。チップ21は、検出部22に電気的に連結され得る。
図2に示される実施形態では、慣性センサー20は、単一の検出部22を含み得る。チップ21は、検出部22を使用することによって、加速度および/または角速度に関する信号を取得し得る。他の実施形態では、慣性センサー20は、二つの検出部22を含み得る。チップ21は、一方の検出部22を使用することによって加速度関連の信号を取得し、他方の検出部22を使用することによって角速度関連の信号を取得し得る。
【0052】
図1および
図2を参照して、慣性センサー20を使用することによって、電子デバイス100の動作状態を取得する原理について、以下に説明する。
【0053】
検出部22は、基板層、機械構造層、および被覆層を含み得る。機械構造層は、機械構造層および被覆層の間において封止および連結され得る。機械構造層は、MEMS層と呼ばれることもある。機械構造層は、角速度検出を実装するための検出部22の主要部分となり得る。
【0054】
機械構造層は、回転子(rotor)および固定子(stator)を含み得る。固定子は、慣性センサー20内に固定され得る。例えば、固定子は、基板層に固定され得る。固定子および回転子の間には隙間が存在し、これにより、固定子および回転子は、コンデンサを形成することができる。固定子および回転子によって形成されるコンデンサは、回転子を駆動して、固定子に対して相対的に移動させるために使用され得る。例えば、回転子は、基板層の上方に吊り下げられ得て、基板層に対して相対的に移動することができる。一実施形態では、回転子および固定子の各々は、例えば、櫛構造(comb structure)を含み得る。この櫛形回転子は、可動櫛であり得る。櫛形固定子は、固定櫛であり得る。
【0055】
慣性センサー20は、検出電極をさらに含み得る。検出電極は、慣性センサー20に固定され得る。回転子および検出電極の間にコンデンサが形成され得る。回転子および検出電極によって形成されるコンデンサは、電子デバイス100の動作状態を検出するように構成され得る。
図2に示される実施形態では、例えば、検出電極は、基板層に固定され得る。
【0056】
X軸、Y軸、およびZ軸が相互に直交する、XYZ座標系が存在すると想定する。
図2に示される実施形態を、一例として使用する。検出電極および回転子は、Z軸に沿って配置され得て、検出電極および回転子の両方が、XY面に対して平行に配置され得る。チップ21は、検出部22に交流電流信号を送信して、検出部22の回転子を駆動して、予め設定された周波数でX軸に沿って固定子に対して並進様式において前後に移動させ得る。この移動は、検出電極および回転子の間におけるZ軸上の間隔をほとんど変化させない。Z軸に沿った検出電極および回転子の間の間隔は、検出電極および回転子によって形成されるコンデンサの静電容量値に対応し得る。そのため、検出電極および回転子によって形成されるコンデンサの静電容量値は、基本的に変化しないままであり得る。
【0057】
電子デバイス100が(並進および回転などを含む)移動を有しない場合、検出電極および回転子によって形成されるコンデンサの静電容量値は、基本的に変化しないままであり得る。
【0058】
電子デバイス100が移動を有する場合、例えば、電子デバイスが外力を受けてY軸周りに回転するための角速度成分を有する場合、すなわち電子デバイスの回転方向がY軸方向である場合、回転子も、Y軸周りに回転する傾向があり、付加的な作用力を負担する。この作用力は、コリオリ力と呼ばれることもある。作用力の方向(例えば、Z軸方向など)は、回転子の回転方向(例えば、Y軸方向など)、および回転子の移動方向(例えば、X軸方向など)の両方に対して直交し得る。そのため、作用力は、検出電極および回転子の間における間隔を変化させ、検出電極および回転子によって形成されるコンデンサの静電容量値を変化させ得る。チップ21は、検出電極および回転子によって形成されるコンデンサの静電容量値の変動を取得することにより、Y軸周りに回転するための電子デバイス100の角速度ωを取得し得る。
【0059】
検出電極および回転子の間における間隔の変動yは、静電容量値の変動ΔCに基づいて決定され得る。静電容量値の変動ΔCおよび間隔の変動yは、例えば、次式を満たし得る。すなわち、
【0060】
【0061】
である。
【0062】
回転子の剛性kおよび間隔の変動yに基づいて、回転子によって負担されるコリオリ力Fを決定することができる。コリオリの力F、剛性k、および間隔の変動yは、例えば、次式を満たし得る。すなわち、
【0063】
【0064】
である。
【0065】
回転子の角速度ωは、コリオリ力F、回転子質量m、および回転子が前後に移動する速度vに基づいて決定され得る。コリオリ力F、回転子の質量m、および回転子が前後に移動する速度v、および角速度ωは、例えば、次の式を満たし得る。すなわち、
【0066】
【0067】
である。
【0068】
電子デバイス100が実際に移動する場合、電子デバイス100は、X軸、Y軸、およびZ軸の三軸の周りに回転し得る。慣性センサーは、上述した原理を参照して、X軸、Y軸、およびZ軸周りの角速度を取得し得る。
【0069】
一例では、慣性センサーは、相互に独立した三つの検出システムを含み得る。三つの検出システムは、独立して駆動され得て、X軸、Y軸、およびZ軸の周りの角速度を検出するように構成される。ただし、この方法においては、慣性センサーによって占有されるスペースは大きくなる。
【0070】
別の例では、慣性センサーは、検出システムAを含み得る。構造設計において、検出システムAは、方向Aにおける角速度を検出するように構成され得て、方向Bにおける角速度を検出するようにさらに構成され、方向Aおよび方向Bの間の検出結合を実装し得る。ただし、検出システムAが方向A周りの角速度を検出する際に、検出システムAの移動が方向B周りの角速度の検出に影響を与える場合、慣性センサーの検出精度が悪化することがある。
【0071】
慣性センサーの検出精度を確保するために、慣性センサーの加工精度も高くする。
【0072】
上述した問題を解決するために、本出願の実施形態は、慣性センサーが種々の要件を満たすことを可能にし、電子デバイスにおける慣性センサーの用途性能を向上させることに役立つように、一連の技術的解決策を提供する。例えば、本出願の実施形態に提供される慣性センサーは、小型、優れた検出精度、および低い加工難易度などの特徴を有し得る。
【0073】
図3Aは、本出願の一実施形態に係る、機械構造層300の構造を示す模式図である。
図3Bは、機械構造層300が回転していない場合に、
図3Aに示される機械構造層300の回転子の移動を示す模式図である。説明を容易にするために、
図3Aおよび
図3Bに示されるように、XYZ座標系が存在し、XY平面が
図3Aおよび
図3Bにおける紙面に平行であり、Z軸が
図3Aおよび
図3Bの紙面に垂直であると仮定する。X軸、Y軸、およびZ軸は、相互に直交する。機械構造層300は、XY平面に対して平行に配置され得る。
【0074】
機械構造層300は、質量ブロック311、質量ブロック312、および質量ブロック313を含み得る。質量ブロック311は、X軸周りの角速度を検出するように構成される。質量ブロック312は、Y軸周りの角速度を検出するように構成される。質量ブロック313は、Z軸周りの角速度を検出するように構成される。
【0075】
機械構造層300は、支持梁3201をさらに含む。支持梁3201は、X軸方向における変位成分を有するように駆動される。慣性センサーが外力を受けていない場合、支持梁3201は、X軸に沿って前後に移動し得る。例えば、機械構造層300は、(
図3Aおよび
図3Bに図示されない)駆動ブロックをさらに含み、その駆動ブロックは、支持梁3201に連結され、これにより、駆動ブロックは、支持梁3201を駆動して、X軸に沿って前後に移動させるように構成され得る。
【0076】
本出願では、部品がX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向における変位成分を有し得る。X軸方向における部品の変位成分は、部品の変位をX軸上に投影したものであり得る。Y軸方向における部品の変位成分は、部品の変位をY軸上に投影したものであり得る。Z軸方向における部品の変位成分は、部品の変位をZ軸上に投影したものであり得る。部品の変位は、X軸方向における部品の変位成分、Y軸方向における部品の変位成分、およびZ軸方向における部品の変位成分におけるベクトル和であり得る。部品がX軸上にのみ変位成分を有する場合、部品は、X軸に沿って移動し得る。部品がY軸上にのみ変位成分を有する場合、部品は、Y軸に沿って移動し得る。部品がZ軸上にのみ変位成分を有する場合、部品は、Z軸に沿って移動し得る。
【0077】
一実施形態では、駆動ブロックは、駆動片1および駆動片2を含み得る。駆動片1は、固定子に属し得る。駆動片1および駆動片2は、コンデンサを形成し得る。駆動片1および駆動片2に交流電流信号を構成することにより、駆動片2は、駆動片1に対してX軸に沿って前後に移動し得る。支持梁3201は、駆動片2に連結され得て、支持梁3201は、駆動片2の駆動を受けて前後に移動し得る。
【0078】
支持梁3201の一端部は、質量ブロック311に近接して配置され得る。X軸方向における支持梁3201の変位成分は、質量ブロック311を駆動して、Y軸に沿って移動させるために使用される。機械構造層300は、操作梁351をさらに含む。操作梁351は、支持梁3201および質量ブロック311の間において並進駆動力を伝達し得て、これにより、質量ブロック311は、支持梁3201の駆動を受けて前後に移動する。さらに、操作梁351は、支持梁3201からのX軸に沿った並進駆動力を、Y軸に沿った並進駆動力に変換するようにさらに構成され、これにより、質量ブロック311は、操作梁351の作用を受けてY軸方向に変位成分を有する。慣性センサーが外力を受けていない場合、質量ブロック311は、Y軸に沿って前後に移動し得る。例えば、操作梁351は、支持梁3201および質量ブロック311の間に連結され得る。一実施形態では、操作梁351およびX軸の間における挟角は、約45°であり得て、操作梁351およびY軸の間における挟角は、約45°であり得る。
【0079】
機械構造層300は、アンカー341および弾性コネクタ3301をさらに含み得る。弾性コネクタ3301は、アンカー341および質量ブロック311の間に連結され得る。
【0080】
本出願では、アンカーは、固定子に属し得る。例えば、アンカーは、
図2に示される基板層に固定され得る。本出願では、支持梁と比較して、弾性コネクタは、より小さい剛性を有し得る。
【0081】
弾性コネクタ3301は、質量ブロック311を支持するように構成され得て、これにより、質量ブロック311は、
図2に示される基板層および被覆層の間に懸架される。弾性コネクタ3301は、質量ブロック311のZ軸に沿った懸架支持を提供するように構成され得て、これにより、質量ブロック311は、
図2に示される基板層および被覆層の間に懸架される。換言すると、弾性コネクタ3301は、Z軸方向に大きな剛性を有し得る。弾性コネクタ3301は、質量ブロック311およびアンカー34の間にY軸方向における緩衝空間を提供するようにさらに構成され得る。換言すると、弾性コネクタ3301は、Y軸方向に小さい剛性を有し得て、またはコネクタ3301は、Y軸方向に弾性を有し得る。
【0082】
図3Bは、支持梁3201の作用を受けて質量ブロック311がY軸に沿って移動する構造を示す模式図である。
図3Bにおける破線は、移動前の質量ブロック311の位置を示しており、
図3Bにおける実線は、移動後の質量ブロック311の位置を示している。
【0083】
質量ブロック311の移動を容易にするために、機械構造層300は、弾性コネクタ3302をさらに含み得る。弾性コネクタ3302は、X軸方向およびY軸方向において小さな剛性を有するか、または弾性を有して、予め設定された方向における支持梁3201および質量ブロック311の相対的な移動を容易にし得る。例えば、弾性コネクタ3302は、X軸に沿った変位を吸収して、X軸方向における質量ブロック311の変位成分を低減するように構成され得る。これは、Y軸に沿った質量ブロック311の移動を容易にする。弾性コネクタ3302は、Y軸に沿った変位を吸収して、Y軸方向における支持梁3201の変位成分を低減するように構成され得る。これは、支持梁3201のX軸に沿った移動を容易にする。
【0084】
機械構造層300は、支持梁3202をさらに含み得る。支持梁3202は、X軸方向に変位成分を有するように駆動される。慣性センサーが外力を受けていない場合、支持梁3202は、X軸に沿って前後に移動し得る。支持梁3202が前後に移動するように駆動される実施形態については、支持梁3201が前後に移動するように駆動される上述した実施形態を参照されたい。
図3Aに示される実施形態では、支持梁3202は、支持梁3201に連結され得る。支持梁3201および支持梁3202を駆動して、前後に移動させるための力の方向は、X軸に沿ってあり得て、同一であるため、支持梁3201および支持梁3202は、同じ駆動ブロックによって駆動され得る。
【0085】
支持梁3202は、質量ブロック312にさらに連結され得る。支持梁3202は、質量ブロック312を駆動して、X軸に沿って移動させるように、前後に移動し得る。
図3Bは、支持梁3202の作用を受けて質量ブロック312がX軸に沿って移動する構造を示す模式図である。
図3Bにおける破線は、移動前の質量ブロック312の位置を示しており、
図3Bにおける実線は、移動後の質量ブロック312の位置を示している。
【0086】
機械構造層300は、支持梁3203およびアンカー342をさらに含む。支持梁3203は、アンカー342および質量ブロック313の間に連結される。支持梁3203は、質量ブロック313を支持するように構成され、これにより、質量ブロック313は、
図2に示される基板層および被覆層の間に懸架される。支持梁3203は、質量ブロック313に懸架支持を提供するように構成され得る。
【0087】
機械構造層300は、弾性コネクタ3303をさらに含み得る。弾性コネクタ3303は、質量ブロック312および質量ブロック313の間に連結され得る。
図3Aおよび
図3Bに示されるように、質量ブロック312および質量ブロック313は、弾性コネクタ3303を使用することによって、支持梁3203に連結され得る。
【0088】
弾性コネクタ3303は、質量ブロック312に対してX軸に沿った緩衝空間を提供するように構成され得る。換言すると、弾性コネクタ3303は、X軸上に小さな剛性を有するか、または弾性を有し得る。上述されるように、質量ブロック312は、支持梁3202の作用を受けてX軸方向に変位成分を有し得る。慣性センサーが外力を受けていない場合、質量ブロック312は、X軸に沿って前後に移動し得る。弾性コネクタ3303は、
図3Bに示されるように、X軸に沿った変位を吸収して、質量ブロック312の引っ張りを受けてX軸方向における質量ブロック313の変位成分を低減させるように構成され得る。
【0089】
機械構造層300は、対称性を有して、材料歪みおよび加工偏差などの要因の影響を抑制する。機械構造層300は、対称性を有し、差動原理を適用することによって、材料歪みおよび加工偏差などによって引き起こされるコモンモードノイズの除去に役立ち、慣性センサーの温度ドリフト性能およびゼロドリフト性能などの向上に役立つ。
【0090】
機械構造層300は、対称軸xに関して対称であり得て、対称軸xに関して対称であり得る。対称軸xは、X軸に平行であり得て、対称軸xは、Y軸に平行であり得る。本出願において、対称軸xまたは対称軸yに関して対称である二つの構造体の移動方向は、対称であってもよいし、または逆になってもよい。
【0091】
図3Aおよび
図3Bに示される実施形態では、支持梁3202および支持梁3203は、機械構造層300の対称軸xに対応し得る。機械構造層は、対称梁371および対称梁372をさらに含み得る。対称梁371および対称梁371は、アンカー342の両側に位置し、対称梁371および対称梁372の両方が、アンカー342に連結される。対称梁371および対称梁372は、機械構造層の対称軸yに対応し得る。アンカー342は、対称軸xおよび対称軸xの交点位置に配置され得る。
【0092】
質量ブロック1は、対称軸yに関して対称である。質量ブロック2は、対称軸xに関して対称であり得る。質量ブロック3は、対称軸xに関して対称であり得る。機械構造層300は、質量ブロック314、質量ブロック315、および質量ブロック316をさらに含み得る。質量ブロック314は、X軸周りの角速度を検出するように構成される。質量ブロック315は、Y軸回りの角速度を検出するように構成される。質量ブロック316は、Z軸周りの角速度を検出するように構成される。質量ブロック4は、対称軸yに関して対称である。質量ブロック5は、対称軸xに関して対称であり得る。質量ブロック6は、対称軸xに関して対称であり得る。質量ブロック314および質量ブロック311は、対称軸xに関して対称に配置され得る。質量ブロック315および質量ブロック312は、対称軸yに関して対称に配置される。質量ブロック316および質量ブロック313は、対称軸yに関して対称に配置される。
【0093】
機械構造層300は、支持梁3204、支持梁3205、および支持梁3206をさらに含み得る。支持梁3204、支持梁3205、および支持梁3206は、X軸方向に変位成分をそれぞれ有するように駆動される。慣性センサーが外力を受けていない場合、支持梁3204、支持梁3205、および支持梁3206は、X軸に沿って前後に移動し得る。一実施形態では、支持梁3204および支持梁3201は、対称軸yに関して対称的に配置され得る。支持梁3205および支持梁3201は、対称軸xに関して対称に配置される。支持梁3206および支持梁3205は、対称軸yに関して対称に配置される。
【0094】
図3Aに示される実施形態では、支持梁3201および支持梁3205は、伝達梁361を使用することによって連結され得る。伝達梁361は、対称軸xに関して対称であり得る。支持梁3204および支持梁3206は、伝達梁362を使用することによって連結され得る。伝達梁362は、対称軸xに関して対称であり得る。伝達梁361および伝達梁2は、対称軸yに関して対称であり得る。
【0095】
支持梁3204および支持梁3201は、質量ブロック311の二つの端部にそれぞれ連結され得る。支持梁3201は、質量ブロック311の一方の端部を駆動して、Y軸に沿って移動させるように前後に移動し得て、支持梁3204は、質量ブロック311の他方の端部を駆動して、Y軸に沿って移動させるように前後に移動し得て、これにより、質量ブロック311は、支持梁3201および支持梁3204の作用を受けてY軸方向に変位成分を有し得る。X軸方向における支持梁3201の移動方向および支持梁3204の移動方向は、逆になり得る。支持梁3201および支持梁3204は、異なる駆動ブロックによって駆動され得る。そのため、質量ブロック311は、二つの異なる駆動ブロックによって駆動され得る。一実施形態では、支持梁3201を駆動するために使用される駆動ブロックと、支持梁3204を駆動するために使用される駆動ブロックは、対称軸yに関して対称であり得る。
【0096】
機械構造層300は、操作梁352をさらに含み得る。一実施形態では、操作梁352および操作梁351は、対称軸yに関して対称であり得る。操作梁351は、支持梁3201と質量ブロック311の一方の端部との間に並進駆動力を伝達し得て、操作梁352は、支持梁3204と質量ブロック311の他方の端部との間に並進駆動力を伝達し得て、これにより、質量ブロック311は、支持梁3201および支持梁3204の駆動を受けて前後に移動する。また、操作梁352は、支持梁3204からのX軸に沿った並進駆動力を、Y軸に沿った並進駆動力に変換するようにさらに構成され、これにより、質量ブロック311は、操作梁351および操作梁352の作用を受けてY軸方向に変位成分を有する。操作梁352の関連する実施形態については、操作梁351の関連する実施形態を参照されたい。
【0097】
支持梁3205および支持梁3206は、質量ブロック314の二つの端部にそれぞれ連結され得る。支持梁3205は、質量ブロック314の一方の端部を駆動して、Y軸に沿って移動させるように前後に移動し得て、支持梁3206は、質量ブロック314の他方の端部を駆動して、Y軸に沿って移動させるように前後に移動し得て、これにより、質量ブロック314は、支持梁3205および支持梁3206の作用を受けてY軸方向に変位成分を有し得る。
【0098】
X軸方向における支持梁3205の移動方向および支持梁3206の移動方向は、逆になり得る。支持梁3205および支持梁3206は、異なる駆動ブロックによって駆動され得る。質量ブロック314は、二つの異なる駆動ブロックによって駆動され得る。質量ブロック314を駆動するように構成された二つの駆動ブロックは、質量ブロック311を駆動するようにさらに構成され得る。
【0099】
対称性に基づいて、支持梁3205の移動方向は、支持梁3201の移動方向と同じであり得て、支持梁3205および支持梁3201は、同じ駆動ブロックによって駆動され得る。支持梁3206の移動方向は、支持梁3204の移動方向と同じであり得て、支持梁3206および支持梁3204は、同一の駆動ブロックによって駆動され得る。
【0100】
Y軸方向における質量ブロック314の移動方向および質量ブロック311の移動方向は、逆になる。質量ブロック314および質量ブロック311は、Y軸方向において相互に近接していてもよいし、または離れていてもよい。
【0101】
図3Bは、質量ブロック314がY軸に沿って移動する構造を示す模式図である。
図Bにおける破線は、移動前の質量ブロック314の位置を示しており、
図3Bにおける実線は、移動後の質量ブロック314の位置を示している。
【0102】
機械構造層300は、操作梁353および操作梁354をさらに含み得る。一実施形態では、操作梁353および操作梁354は、対称軸yに関して対称であり得る。操作梁353は、支持梁3205と質量ブロック314の一方の端部の間に並進駆動力を伝達し得て、操作梁354は、支持梁3206と質量ブロック314の他方の端部との間に並進駆動力を伝達し得て、これにより、質量ブロック314は、支持梁3205および支持梁3206の駆動を受けてY軸方向に変位成分を有する。また、操作梁353は、支持梁3205からのX軸に沿った並進駆動力を、Y軸に沿った並進駆動力に変換するようにさらに構成され、操作梁354は、支持梁3206からのX軸に沿った並進駆動力を、Y軸に沿った並進駆動力に変換するようにさらに構成される、これにより、質量ブロック314は、操作梁353および操作梁354の作用を受けてY軸に沿った変位成分を有する。操作梁353および操作梁354の関連する実施形態については、操作梁351および操作梁352の関連する実施形態を参照されたい。
【0103】
機械構造層300は、アンカー343および弾性コネクタ3304をさらに含む。アンカー343およびアンカー341は、対称軸xに関して対称であり得る。弾性コネクタ3304および弾性コネクタ3301は、対称軸xに関して対称であり得る。弾性コネクタ3304は、アンカー343および質量ブロック314の間に連結され得る。弾性コネクタ3304は、質量ブロック314に対してZ軸に沿った懸架支持を提供するように構成され得る。弾性コネクタ3304は、質量ブロック314とアンカー34との間にY軸上の緩衝空間を提供するようにさらに構成され得る。
【0104】
機械構造層300は、弾性コネクタ3305、弾性コネクタ3306、および弾性コネクタ3307をさらに含み得る。一実施形態では、弾性コネクタ3305および弾性コネクタ3302は、対称軸yに関して対称であり得る。弾性コネクタ3306および弾性コネクタ3302は、対称軸xに関して対称であり得る。弾性コネクタ3307および弾性コネクタ3305は、対称軸xに関して対称であり得る。
【0105】
弾性コネクタ3305は、小さい剛性を有するか、またはX軸方向およびY軸方向に弾性を有し得て、これにより、支持梁3204は、X軸に沿って移動し、質量ブロック311は、Y軸に沿って移動する。弾性コネクタ3306は、小さい剛性を有するか、またはX軸方向およびY軸方向に弾性を有し得て、これにより、支持梁3205は、X軸に沿って移動し、質量ブロック314は、Y軸に沿って移動する。弾性コネクタ3307は、小さい剛性を有するか、またはX軸方向およびY軸方向に弾性を有し得て、これにより、支持梁3206は、X軸に沿って移動し、質量ブロック314は、Y軸に沿って移動する。
【0106】
機械構造層300は、支持梁3207をさらに含み得る。支持梁3207は、X軸方向に変位成分を有するように駆動される。慣性センサーが外力を受けていない場合、支持梁3207は、X軸に沿って前後に移動し得る。X軸方向における支持梁3207の移動方向および支持梁3202の移動方向は、逆になり得る。一実施形態では、支持梁3207および支持梁3202は、対称軸yに関して対称であり得る。
図3Aに示される実施形態では、支持梁3207は、伝達梁362に連結され得る。支持梁3207は、質量ブロック315を駆動するように前後に移動し得て、これにより、質量ブロック315は、X軸方向に変位成分を有するように駆動される。
【0107】
X軸方向における質量ブロック315の移動方向および質量ブロック312の移動方向は、逆になり得る。質量ブロック315および質量ブロック312は、X軸方向において相互に近接していてもよいし、または離れていてもよい。質量ブロック315および質量ブロック312は、異なる駆動ブロックによって駆動され得る。一実施形態では、質量ブロック315および質量ブロック312を駆動するように構成された二つの駆動ブロックは、質量ブロック311を駆動するようにさらに構成され得る。
【0108】
図3Bは、質量ブロック315がX軸に沿って移動する構造を示す模式図である。
図3Bにおける破線は、移動前の質量ブロック315の位置を示しており、
図3Bにおける実線は、移動後の質量ブロック315の位置を示している。
【0109】
機械構造層300は、支持梁3208、支持梁3209、および支持梁3210をさらに含み得る。一実施形態では、支持梁3208および支持梁3203は、対称軸xに関して対称であり得る。支持梁3209および支持梁3203は、対称軸yに関して対称であり得る。支持梁3210および支持梁3208は、対称軸yに関して対称であり得る。
【0110】
支持梁3203は、質量ブロック313の第一の端部に連結され得る。支持梁3208は、アンカー342と質量ブロック313の第二の端部との間に連結され得る。支持梁3208および支持梁3203は、質量ブロック313を支持するように構成され、これにより、質量ブロック313は、
図2に示される基板層および被覆層の間に懸架される。支持梁3208および支持梁3203は、質量ブロック313に対してZ軸に沿った懸架支持を協働して提供し得る。
【0111】
支持梁3209は、アンカー342と質量ブロック316の第一の端部との間に連結され得る。支持梁3210は、アンカー342と質量ブロック316の第二の端部との間に連結され得る。支持梁3209および支持梁3210は、質量ブロック316に対してZ軸に沿った懸架支持を協働して提供し得る。
【0112】
機械構造層300は、伝達梁363および伝達梁364をさらに含み得る。伝達梁363は、対称軸yに関して対称であり得る。伝達梁364は、対称軸yに関して対称であり得る。伝達梁363および伝達梁364は、対称軸xに関して対称であり得る。伝達梁363は、支持梁3203および支持梁3208の間に連結され得る。伝達梁363は、支持梁3208および支持梁3210の間に連結され得る。伝達梁363は、支持梁3203および支持梁3209に対してZ軸に沿った懸架支持を提供し得る。伝達梁364は、支持梁3208および支持梁3210に対してZ軸に沿った懸架支持を提供し得る。
【0113】
機械構造層300は、対称梁371および対称梁372をさらに含み得る。対称梁371および対称梁372は、アンカー342の両端に固定され得る。対称梁371は、伝達梁363およびアンカー342の間に連結され得る。対称梁372は、伝達梁364およびアンカー342の間に連結され得る。対称梁371は、対称軸yに関して対称であり得る。対称梁372は、対称軸yに関して対称であり得る。対称梁371および対称梁372は、対称軸xに関して対称であり得る。
【0114】
機械構造層300は、弾性コネクタ3308、弾性コネクタ3309、および弾性コネクタ3310をさらに含む。一実施形態では、弾性コネクタ3308および弾性コネクタ3303は、対称軸xに関して対称であり得る。弾性コネクタ3309および弾性コネクタ3303は、対称軸yに関して対称であり得る弾性コネクタ3310および弾性コネクタ3308は、対称軸yに関して対称であり得る。
【0115】
質量ブロック312は、質量ブロック313の第一の端部から質量ブロック313の第二の端部まで延在し得る。弾性コネクタ3303は、質量ブロック312の第一の端部と質量ブロック313の第一の端部との間に連結され得る。弾性コネクタ3308は、質量ブロック312の第二の端部と質量ブロック313の第二の端部との間に連結され得る。
図3Aおよび
図3Bに示されるように、質量ブロック312の第一の端部および質量ブロック313の第一の端部は、弾性コネクタ3303を使用することによって、支持梁3203に連結され得る。質量ブロック312の第二の端部および質量ブロック313の第二の端部は、弾性コネクタ3308を使用することによって、支持梁3208に連結され得る。
【0116】
弾性コネクタ3303は、X軸方向に小さな剛性を有するか、または弾性を有して、質量ブロック312の第一の端部と質量ブロック313の第一の端部との間に、X軸に沿った緩衝空間を提供し得る。弾性コネクタ3308は、X軸方向に小さな剛性を有するか、または弾性を有して、質量ブロック312の第二の端部と質量ブロック313の第二の端部との間にX軸に沿った緩衝空間を提供し得る。そのため、これは、X軸方向における質量ブロック313の変位の低減に貢献する。
【0117】
質量ブロック315は、質量ブロック316の第一の端部から質量ブロック316の第二の端部まで延在し得る。弾性コネクタ3309は、質量ブロック315の第一の端部と質量ブロック316の第一の端部との間に連結され得る。弾性コネクタ3310は、質量ブロック315の第2端と質量ブロック316の第2端との間に連結され得る。
図3Aおよび
図3Bに示されるように、質量ブロック315の第一の端部および質量ブロック316の第一の端部は、弾性コネクタ3309を使用することによって、支持梁3209に連結され得る。質量ブロック315の第二の端部および質量ブロック316の第二の端部は、弾性コネクタ3310を使用することによって支持梁3210に連結され得る。
【0118】
弾性コネクタ3309の具体的な実施形態については、弾性コネクタ3303の具体的な実施形態を参照されたい。弾性コネクタ3310の具体的な実施形態については、弾性コネクタ3308の具体的な実施形態を参照されたい。
【0119】
質量ブロック312は、弾性コネクタ3303および支持梁3203を使用することによって、質量ブロック313を引っ張り、これにより、質量ブロック313は、Y軸方向に変位成分を有する。質量ブロック31および質量ブロック313が弾性コネクタ3303を使用することによってのみ連結される実施形態と比較して、弾性コネクタ3303および支持梁3203は、質量ブロック312および質量ブロック313を連結するために使用される実施形態は、弾性コネクタ3303の不安定な変形量によって引き起こされる機械構造層300の非対称性に及ぼす影響の軽減に役立ち、機械構造層300の加工要件の軽減にさらに役立つ。Y軸に沿った支持梁3203は、弾性コネクタ3303よりも大きな幅を有し得る。
【0120】
図4に示される構造の模式図は、
図3Bに示される機械構造層300をX+方向に観察することによって取得され得る。
図3Bおよび
図4を参照して、質量ブロック311および質量ブロック314を使用することによって、X軸周りの角速度を検出する原理について、以下に説明する。
【0121】
慣性センサーは、検出電極231および検出電極234を含み得る。例えば、検出電極231および検出電極234は、
図2に示される基板層上に配置され得る。
【0122】
検出電極231は、質量ブロック311に対向して配置され得て、検出電極234は、質量ブロック314に対向して配置され得る。検出電極231および質量ブロック311は、Z軸に沿って配置され得る。検出電極231および質量ブロック311は、XY平面に対して平行に配置され、これにより、検出電極231および質量ブロック311は、コンデンサ1を形成し得る。検出電極234および質量ブロック314は、Z軸に沿って配置され得る。検出電極234および質量ブロック314は、XY平面に対して平行に配置され、これにより、検出電極234および質量ブロック314は、コンデンサ4を形成し得る。
【0123】
質量ブロック311および質量ブロック314は、Y軸方向に変位成分をそれぞれ有し得る。外力の作用を受けて、慣性センサーが全体としてX軸周りに回転する角速度成分を有する場合、質量ブロック311および質量ブロック314は、Z軸に沿ったコリオリ力を受けることがある。質量ブロック311および質量ブロック314は、Z軸方向に変位成分をそれぞれ有し得る。そのため、質量ブロック311および検出電極231の間における間隔が変化され得て、質量ブロック311および検出電極231によって形成されるコンデンサ1の静電容量値が変化され得る。質量ブロック314および検出電極234の間における間隔が変化され得て、質量ブロック314および検出電極234によって形成されるコンデンサ4の静電容量値が変化され得る。質量ブロック311および検出電極231によって形成されるコンデンサ1の静電容量値の変動は、Z軸方向における質量ブロック311の変位成分に対応し得る。質量ブロック314および検出電極234によって形成されるコンデンサ4の静電容量値の変動は、Z軸方向における質量ブロック314の変位成分に対応し得る。
【0124】
本出願において、慣性センサーは、外力によって回転され、慣性センサーは、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向周りの角速度成分を有し得る。慣性センサーの角速度方向をX軸方向に投影したものは、X軸方向周りの慣性センサーの角速度成分であり得る。慣性センサーの角速度方向をY軸方向に投影したものは、Y軸方向周りの慣性センサーの角速度成分であり得る。慣性センサーの角速度方向をZ軸方向に投影したものは、Z軸方向周りの慣性センサーの角速度成分であり得る。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向周りの慣性センサーの角速度成分のベクトル和は、慣性センサーの角速度方向であり得る。
【0125】
図3Bおよび
図4を参照して、質量ブロック311の駆動方向がY+であり、質量ブロック314の駆動方向がY-であると仮定する。外力の作用を受けると、質量ブロック311は、アンカー341の周囲に存在し得て、X軸周りに回転するための角速度成分を有する。質量ブロック314は、アンカー343の周囲に存在し得て、X軸周りに回転するための角速度成分を有する。そのため、質量ブロック311は、Z+方向に変位成分を有し得て、質量ブロック314は、Z-方向に変位成分を有し得る。質量ブロック311は、検出電極231から離れる傾向にあり、質量ブロック314は、検出電極234に近づく傾向にある。
【0126】
検出電極231および検出電極234の検出結果は、コモンモードノイズを共に含むため、検出電極231および検出電極234によって出力される検出結果を組み合わせることにより、相対的にコモンモードノイズを効果的に除去することができる。これは、慣性センサーの温度ドリフト性能およびゼロドリフト性能などの向上に貢献する。
【0127】
図4に示されるように、伝達梁361は、弾性コネクタ3302および弾性コネクタ3306との間に連結される。
図3Bを参照すると、伝達梁361は、支持梁3201および支持梁3205との間に連結され得る。Z軸方向における質量ブロック311および質量ブロック312の変位成分の方向が逆になるため、伝達梁361は、アンカー342に対して対称軸x周りに回転するために使用される。弾性コネクタ3302および弾性コネクタ3306が緩衝機能を有するため、伝達梁361の傾斜度は、小さくなり得る。例えば、Y軸に対する伝達梁361の傾斜度は、Y軸に対する弾性コネクタ3302の傾斜度より小さくなり得る。
【0128】
図3Bを参照すると、駆動ブロックは、伝達梁362をさらに含み得る。伝達梁362および伝達梁361は、対称軸yに関して対称である。伝達梁362は、弾性コネクタ3305および弾性コネクタ3307の間に連結され得る。伝達梁362は、アンカー342に対して対称軸x周りに回転するために使用され得る。X軸周りの伝達梁361および伝達梁362の回転方向は、逆になり得る。伝達梁362の具体的な実施形態については、伝達梁361の具体的な実施形態を参照されたい。
【0129】
図5に示される構造の模式図は、
図3Bに示される機械構造層300をY+方向に観察することによって取得され得る。
図3Bおよび
図5を参照して、質量ブロック312および質量ブロック315を使用することによって、Y軸周りの角速度を検出する原理について、以下に説明する。
【0130】
慣性センサーは、検出電極232および検出電極235を含み得る。例えば、検出電極232および検出電極235は、
図2に示される基板層上に配置され得る。
【0131】
検出電極232は、質量ブロック312に対向して配置され得て、検出電極235は、質量ブロック315に対向して配置され得る。検出電極232および質量ブロック312は、Z軸に沿って配置され得る。検出電極232および質量ブロック312は、XY平面に対して平行に配置され、これにより、検出電極232および質量ブロック312は、コンデンサ2を形成し得る。検出電極235および質量ブロック315は、Z軸に沿って配置され得る。検出電極235および質量ブロック315は、XY平面に対して平行に配置され得て、これにより、検出電極235および質量ブロック315は、コンデンサ5を形成し得る。
【0132】
質量ブロック312および質量ブロック315は、X軸方向に変位成分をそれぞれ有し得る。外力の作用を受けて、慣性センサーが全体としてY軸周りに回転するための角速度成分を有する場合、質量ブロック312および質量ブロック315は、Z軸に沿ったコリオリ力を受けることがある。質量ブロック312および質量ブロック315は、Z軸方向に変位成分をそれぞれ有する。そのため、質量ブロック312および検出電極232の間における間隔が変化され得て、質量ブロック312および検出電極232によって形成されるコンデンサ2の静電容量値が変化され得る。質量ブロック315および検出電極235の間における間隔が変化され得て、質量ブロック315および検出電極235によって形成されるコンデンサ5の静電容量値が変化され得る。質量ブロック312および検出電極232によって形成されるコンデンサ2の静電容量値の変動は、Z軸方向における質量ブロック312の変位成分に対応し得る。質量ブロック315および検出電極235によって形成されるコンデンサ5の静電容量値の変動は、Z軸方向における質量ブロック315の変位成分に対応し得る。
【0133】
図3Bおよび
図5を参照して、質量ブロック312の駆動方向がX-であり、質量ブロック315の駆動方向がX+であると仮定する。外力の作用を受けると、質量ブロック312は、アンカー342の周囲に存在し得て、Y軸周りに回転するための角速度成分を有する。質量ブロック315は、アンカー342の周囲に存在し得て、Y軸周りに回転するための角速度成分を有する。そのため、質量ブロック312は、Z-方向に変位成分を有し得て、質量ブロック315は、Z+方向に変位成分を有し得る。質量ブロック312は、検出電極232に近づく傾向にあり、質量ブロック315は、検出電極235から離れる傾向にある。
【0134】
検出電極232および検出電極235の検出結果は、コモンモードノイズを共に含むため、検出電極232および検出電極235によって出力される検出結果を組み合わせることにより、相対的にコモンモードノイズを効果的に除去することができる。これは、慣性センサーの温度ドリフト性能およびゼロドリフト性能などの向上に貢献する。
【0135】
図5に示されるように、伝達梁364は、弾性コネクタ3308および弾性コネクタ3310の間に連結される。
図3Bを参照すると、伝達梁364は、アンカー342に連結され得る。Z軸方向における質量ブロック312および質量ブロック315の変位成分の方向が逆になるため、伝達梁364は、アンカー342に対して対称軸y周りに回転する傾向にある。弾性コネクタ3308および弾性コネクタ3310が緩衝機能を有し、伝達梁364がアンカー342に固定されるため、伝達梁364の傾斜度は、小さくなり得る。換言すると、弾性コネクタ3308および弾性コネクタ3310は、X軸に対する伝達梁364の傾斜度の低減に役立ち得て、伝達梁364の剛性は、X軸に対する伝達梁364の傾斜度の低減にさらに役立ち得る。これは、Y軸周りの質量ブロック313の回転量の低減に貢献する。
【0136】
X軸方向における弾性コネクタ3308および弾性コネクタ3310の変位成分の方向が逆になる場合、伝達梁364は、X軸に沿った弾性コネクタ3308および弾性コネクタ3310の変形反力をさらに提供して、X軸方向における質量ブロック313および質量ブロック316の変位成分の低減に役立ち得る。
【0137】
図3Bを参照すると、駆動ブロックは、伝達梁364をさらに含み得る。伝達梁364および伝達梁363は、対称軸xに関して対称である。伝達梁364は、弾性コネクタ3303および弾性コネクタ3309の間に連結され得る。伝達梁364の具体的な実施形態については、伝達梁363の具体的な実施形態を参照されたい。
【0138】
図6に示される構造の模式図は、
図3Bに示される機械構造層300の局所的な部分をZ-方向に観察することによって取得され得る。
図3Bおよび
図6を参照して、質量ブロック312、質量ブロック313、質量ブロック315、および質量ブロック316を使用することによって、Z軸周りの角速度を検出する原理について、以下に説明する。
【0139】
慣性センサーは、検出電極233および検出電極236を含み得る。検出電極233および検出電極236は、
図3に示される基板層上に配置されてもよいし、または機械構造層300上に配置されてもよい。検出電極233および検出電極236が機械構造層300上に配置される場合、検出電極233および検出電極236は、機械構造層300の固定子に属し得る。
【0140】
検出電極233は、質量ブロック313に対向して配置され得て、検出電極236は、質量ブロック316に対向して配置され得る。検出電極233および質量ブロック313は、Y軸に沿って配置され得る。検出電極233および質量ブロック313は、XZ平面に対して平行に配置され得て、これにより、検出電極233および質量ブロック313は、コンデンサ3を形成し得る。検出電極236および質量ブロック316は、Y軸に沿って配置され得る。検出電極236および質量ブロック316は、XZ平面に対して平行に配置され得て、これにより、検出電極236および質量ブロック316は、コンデンサ6を形成し得る。
【0141】
質量ブロック312および質量ブロック315は、X軸方向に変位成分をそれぞれ有するように駆動され得る。外力の作用を受けて、慣性センサーが全体としてZ軸回りに回転するための角速度成分を有する場合、質量ブロック312および質量ブロック315は、Y軸に沿ったコリオリ力を受けることがある。質量ブロック312および質量ブロック315は、Y軸に沿って移動する傾向にある。質量ブロック312および質量ブロック313が支持梁3203および支持梁3208を使用することによって連結されるため、質量ブロック312の引っ張りを受けて、質量ブロック313は、Y軸方向に変位成分を有し得る。そのため、質量ブロック313および検出電極233の間における間隔が変化され得て、質量ブロック313および検出電極233によって形成されるコンデンサ3の静電容量値が変化され得る。質量ブロック313および検出電極233によって形成されるコンデンサ3の静電容量値の変動は、Y軸方向における質量ブロック313の変位成分に対応し得る。質量ブロック315および質量ブロック316が支持梁3209および支持梁3210を使用することによって連結されるため、質量ブロック315の引っ張りを受けて、質量ブロック316は、Y軸方向に変位成分を有し得る。そのため、質量ブロック316および検出電極236の間における間隔は変化され得て、質量ブロック316および検出電極236によって形成されるコンデンサ6の静電容量値は変化され得る。質量ブロック316および検出電極236によって形成されるコンデンサ6の静電容量値の変動は、Y軸方向における質量ブロック316の変位成分に対応し得る。
【0142】
図3Bおよび
図6を参照して、質量ブロック312の駆動方向がX-であり、質量ブロック315の駆動方向がX+であると仮定する。外力の作用を受けると、質量ブロック312および質量ブロック313は、アンカー342の周囲に存在し得て、Z軸周りに回転するための角速度成分をそれぞれ有し得る。質量ブロック315および質量ブロック316は、アンカー342の周囲に存在し得て、Z軸周りに回転するための角速度成分をそれぞれ有し得る。そのため、質量ブロック312および質量ブロック313は、Z-方向に変位成分をそれぞれ有し得て、質量ブロック315および質量ブロック316は、Z+方向の変位成分をそれぞれ有し得る。例えば、質量ブロック313は、検出電極233に近づく傾向にあり得て、例えば、質量ブロック316は、検出電極236から離れる傾向にある。
【0143】
質量ブロック313の一方の端部は、伝達梁363を使用することによって、質量ブロック316の一方の端部に連結され得る。伝達梁363は、X方向に平衡力を提供して、X方向における質量ブロック313および質量ブロック316の変位の低減に役立ち得る。伝達梁363は、質量ブロック312および質量ブロック313に対して、Z軸周りに回転する捩り支持をさらに提供し得る。同様に、質量ブロック313の他方の端部は、伝達梁364を使用することによって、質量ブロック316の他方の端部に連結され得る。伝達梁364は、質量ブロック313および質量ブロック316に対して、X方向にバランス力と、Z軸周りの回転の捩り支持とを提供し得る。
【0144】
検出電極233および検出電極236の検出結果は、コモンモードノイズを共に含むため、検出電極233および検出電極236によって出力される検出結果を組み合わせることにより、相対的にコモンモードノイズを効果的に除去することができる。これは、慣性センサーの温度ドリフト性能およびゼロドリフト性能などの向上に貢献する。
【0145】
本出願の実施形態に提供される解決策の有利な効果の説明を容易にするために、三つの減結合タイプ、すなわち機械的減結合、原理的減結合、および差動減結合について、最初に説明する。
【0146】
機械的減結合とは、部品Aおよび部品Bが別々に配置されること、および部品Aの動作(この動作には、チップによって駆動される動作と、外力の作用を受けた回転とが含まれる)が、部品Aの動作に影響を与えないことを意味し得る。
【0147】
原理的減結合とは、部品Aおよび部品Bが別々に配置されないこと、部品Aが軸aの方向に静電容量の変化を検出すること、部品Bが軸a上に移動しないこと、または軸a上における部品Bの移動量が無視され得ることを意味し得る。換言すると、部品Bの共振は、部品Aの検出に影響を与えない。原理的減結合とは、検出原理の観点から二つの部品間の影響を回避または軽減することである。
【0148】
差動減結合とは、部分Aおよび部分Bが対称であること、および部分Aおよび部分Bの動作モードが差動動作に属することを意味し得る。対称構造の差動動作は、コモンモードの影響を排除して、部品Aおよび部品Bの間の影響の軽減に役立てることができる。差動減結合とは、対称性に強く依存しており、慣性センサーに対する高い加工要件を有している。
【0149】
上述した用語の説明を参照して、本出願の実施形態に提供される機械構造層300の部品間における減結合モードについて、以下に説明する。
【0150】
質量ブロック311は、駆動ブロックの作用を受けてY軸方向に変位成分を有し得て、検出方向は、Z軸方向になる。そのため、質量ブロック311および駆動ブロックの減結合モードは、原理的減結合であり得る。質量ブロック312は、駆動ブロックの作用を受けてX軸方向に変位成分を有し得て、検出方向は、Z軸方向になる。そのため、質量ブロック312および駆動ブロックの減結合モードは、原理的減結合であり得る。質量ブロック313および駆動ブロックは、独立して配置されると見做され得て、すなわち、駆動ブロックの作用を受けて、質量ブロック313は、近似的に移動しないと見做され得る。そのため、質量ブロック313および駆動ブロックの減結合モードは、機械的減結合であり得る。
【0151】
質量ブロック311の動作および質量ブロック312の動作は、相互に干渉しない。そのため、質量ブロック311および質量ブロック312の減結合モードは、機械的減結合であり得る。質量ブロック311の動作および質量ブロック313の動作は、相互に干渉しない。そのため、質量ブロック311および質量ブロック313の減結合モードは、機械的減結合であり得る。
【0152】
質量ブロック312を使用することによって、Y軸角速度が検出される場合、質量ブロック312の検出方向は、Z軸方向であり、質量ブロック313は、Z軸方向に移動し得ない。そのため、この観点から、質量ブロック312および質量ブロック313の減結合モードは、機械的減結合であり得る。質量ブロック313を使用することによって、Z軸角速度が検出される場合、質量ブロック313の検出方向は、Y軸方向になり、質量ブロック312は、Y軸方向に変位成分を有し得て、質量ブロック312の検出方向は、Z軸方向になる。そのため、この観点から、質量ブロック313および質量ブロック312の減結合モードは、原理的減結合であり得る。
【0153】
表1は、
図3Aに示される機械構造層300の減結合モードを示している。
【0154】
【0155】
本出願の実施形態に提供される機械構造層は、差動減結合モードの適用を減らすことができ、慣性センサーの加工精度要件の軽減に役立ち、慣性センサーの検出精度の向上にさらに役立つ。慣性センサーが同軸に駆動され得るため、それは、慣性センサーにおける駆動ブロックの数量を減らし、慣性センサーの集積度を向上させ、さらに慣性センサーの小型化にさらに役立つ。
【0156】
図7Aは、本出願の一実施形態に係る、別の機械構造層300を示す立体図である。
図7Bに示される平面図は、機械構造層300を、
図7Aに示されるZ-方向に観察することによって取得され得る。
図7Cは、機械構造層300が回転していない場合における、
図7Bに示される機械構造層300の回転子の動作を示す模式図である。説明を容易にするために、
図7A、
図7B、および
図7Cに示されるように、X軸、Y軸、Z軸が相互に直交する、XYZ座標系が存在すると仮定する。機械構造層300は、XY平面に対して平行に配置され得る。
【0157】
図3Aないし
図6に示される実施形態と同様に、
図7Aないし
図7Cに示される実施形態では、機械構造層300は、アンカー341、アンカー342、アンカー343、質量ブロック311、質量ブロック312、質量ブロック313、質量ブロック314、質量ブロック315、質量ブロック316、支持梁3201、支持梁3202、支持梁3203、支持梁3204、支持梁3205、支持梁3206、支持梁3207、支持梁3208、支持梁3209、支持梁3210、弾性コネクタ3301、弾性コネクタ3302、弾性コネクタ3303、弾性コネクタ3304、弾性コネクタ3305、弾性コネクタ3306、弾性コネクタ3307、弾性コネクタ3308、弾性コネクタ3309、弾性コネクタ3310、伝達梁361、伝達梁362、伝達梁363、および伝達梁364を含み得る。機械構造層300における質量ブロック311、質量ブロック312、質量ブロック313、質量ブロック314、質量ブロック315、および質量ブロック316は、慣性センサーにおける検出電極231、検出電極232、検出電極233、検出電極234、検出電極235、および検出電極236をそれぞれ有するコンデンサ1、コンデンサ2、コンデンサ3、コンデンサ4、コンデンサ5、およびコンデンサ6を形成して、コンデンサ1およびコンデンサ4を使用することによってX軸周りの角速度を検出し、コンデンサ2およびコンデンサ5を使用することによってY軸周りの角速度を検出し、コンデンサ3およびコンデンサ6を使用することによってZ軸周りの角速度を検出し得る。
【0158】
機械構造層300は、アンカー344および駆動ブロック381をさらに含み得る。アンカー344は、機械構造層300の固定子に属し得る。駆動ブロック381は、機械構造層300の回転子に属し得る。駆動ブロック381は、アンカー344に対してX軸に沿って移動することができる。
【0159】
一実施形態では、機械構造層300は、固定櫛39291および可動櫛396をさらに含み得る。固定櫛39291は、アンカー344に固定され得る。可動櫛は、駆動ブロック381に固定され得る。固定櫛39291および可動櫛396は、間隔を置いて交差して配置され得る。
【0160】
本出願において、固定櫛は、機械構造層300の固定子に属し得て、可動櫛は、機械構造層300の回転子に属し得る。固定櫛は、複数の固定櫛フィンガーを含み、可動櫛は複数の固定櫛フィンガーを含み得る。櫛は、複数の可動櫛フィンガーを含み得る。固定櫛および可動櫛が間隔を置いて交差して配置されるということは、隣接する二つの固定櫛フィンガーの間に一つの可動櫛フィンガーが存在すること、二つの隣接する可動櫛フィンガーの間に一つの固定櫛フィンガーが存在すること、および相互に隣接する固定櫛フィンガーおよび可動櫛フィンガーが間隔を置いて配置されることを意味し得る。
【0161】
駆動ブロック381およびアンカー344に交流電流を供給することにより、可動櫛396および固定櫛39291の間の相互作用力が、可動櫛396を駆動して、固定櫛39291に対してX軸に沿って移動させ得て、これにより、駆動ブロック381は、アンカー344に対してX軸に沿って移動する。Y軸方向およびZ軸方向における駆動ブロック381の変位は、小さくなり得るか、または無視すらされ得る。例えば、駆動ブロック381は、基板層またはアンカー34に取り付けられ得て、X軸に沿った移動に限定される。
【0162】
機械構造層300は、アンカー345および駆動ブロック382をさらに含み得る。アンカー345およびアンカー344は、対称梁371または対称梁372に関して対称であり得る。駆動ブロック381および駆動ブロック382は、対称梁371または対称梁372に関して対称であり得る。駆動ブロック382は、アンカー345に対してX軸に沿って移動することができる。駆動ブロック382の移動方向は、駆動装置の移動方向と逆になり得る。駆動ブロック382の具体的な実施形態については、駆動ブロック381の具体的な実施形態を参照されたい。アンカー345の具体的な実施形態については、アンカー344の具体的な実施形態を参照されたい。
【0163】
機械構造層300は、対称梁373をさらに含み得る。対称梁373は、
図3Aに示される対称軸xに関して対称であり得る。対称梁373は、駆動ブロック381の側であって、駆動ブロック382から離れている側に連結され得る。対称梁373は、X軸方向に延在し得る。駆動ブロック381は、対称梁373に関して対称であり得る。アンカー344は、対称梁373に関して対称であり得る。
【0164】
対称梁373の端部であって、駆動ブロック381から離れる端部は、伝達梁361に連結され得る。伝達梁361は、Y軸方向に延在し得る。そのため、駆動ブロック381は、対称梁373を使用することによって伝達梁361を駆動し得て、これにより、伝達梁361は、X軸方向に変位成分を有する。伝達梁361の両端は、支持梁3201および支持梁3205にそれぞれ連結される。支持梁3201および支持梁3205は、伝達梁361の作用を受けてX軸方向に変位成分を有する。
【0165】
支持梁3201の端部であって、伝達梁361から離れる端部は、操作梁および弾性コネクタ3302を使用することによって、質量ブロック311の第一の端部に連結され、質量ブロック311の第一の端部は、Y軸方向に変位成分を有するように駆動され得る。
【0166】
質量ブロック311の側であって、質量ブロック314から離れている側では、アンカー341および弾性コネクタ3301は、質量ブロック311の第一の端部に近接して配置される。弾性コネクタ3301は、質量ブロック311の第一の端部とアンカー341との間に連結される。弾性コネクタ3301は、質量ブロック311に対してY軸方向に緩衝空間を提供し得る。さらに、弾性コネクタ3301は、質量ブロックに対してZ方向に支持をさらに提供し得る。換言すると、Z軸に沿った弾性コネクタ3301の剛性は大きくなり得て、Y軸に沿った弾性コネクタ3301の剛性は小さくなり得る。
【0167】
一実施形態では、
図7Bの局所的な模式図に示されるように、弾性コネクタ3301は、質量ブロック311に対してX軸方向に緩衝空間をさらに提供し得る。X軸方向における質量ブロック311の変位成分がアンカー341に及ぼす引張力は、小さくなり得る。これは、X軸方向における質量ブロック311の変位成分が基板層に与える応力影響の低減に貢献する。
【0168】
シミュレーション結果に基づいて、アンカー341は、質量ブロック311の端部に配置され、質量ブロック311に少なくとも一方向に柔らかく連結され(すなわち、弾性コネクタ3301は、少なくとも一方向に弾性を有する)、これにより、機械構造層300の干渉モードを調整することができる。このようにして、機械構造層300の有効モードは、機械構造層300の干渉モードから離れることができる。
【0169】
機械構造層300は、アンカー346および弾性コネクタ3311をさらに含み得る。アンカー346およびアンカー341は、対称梁371に関して対称であり得る。弾性コネクタ3311および弾性コネクタ3301は、対称梁371に関して対称であり得る。アンカー346および弾性コネクタ3301は、質量ブロック311の側であって、質量ブロック314から離れている側に配置され、質量ブロック311の第二の端部に近接している。コネクタ3311は、質量ブロック314の第二の端部とアンカー346との間に連結される。弾性コネクタ3311の具体的な実施形態については、弾性コネクタ3301の具体的な実施形態を参照されたい。アンカー346の具体的な実施形態については、アンカー341の具体的な実施形態を参照されたい。
【0170】
支持梁3205の端部であって、伝達梁361から離れる端部は、操作梁および弾性コネクタ3306を使用することによって、質量ブロック314の第一の端部に連結され、質量ブロック314の第一の端部は、質量ブロック314がY軸方向に変位成分を有するように駆動される。質量ブロック311の第一の端部の変位成分は、質量ブロック314の第一の端部の変位成分とは方向が逆になり得る。
【0171】
質量ブロック314の側であって、質量ブロック311から離れている側では、アンカー343および弾性コネクタ3304は、質量ブロック314の第一の端部に近接して配置される。弾性コネクタ3304は、質量ブロック314の第一の端部とアンカー343との間に連結される。弾性コネクタ3304の具体的な実施形態については、弾性コネクタ3301の具体的な実施形態を参照されたい。
【0172】
機械構造層300は、対称梁374をさらに含み得る。対称梁374は、
図3Aに示される対称軸xに関して対称であり得る。対称梁374および対称梁373は、対称梁371または対称梁372に関して対称であり得る。対称梁374は、駆動ブロック382の側であって、駆動ブロックから離れている側に連結され得る。対称梁374の具体的な実施形態については、対称梁371の具体的な実施形態を参照されたい。
【0173】
アンカー345は、対称梁374に関して対称であり得る。駆動ブロック382は、対称梁374に関して対称であり得る。対称梁374の端部であって、駆動ブロック382から離れている端部は、伝達梁362に連結され得る。そのため、駆動ブロック382は、対称梁374を使用することによって伝達梁362を駆動し得て、これにより、駆動梁362は、X軸方向に変位成分を有する。伝達梁362の変位成分は、伝達梁361の変位成分とは方向が逆になり得る。伝達梁362の両端は、支持梁3204および支持梁3206にそれぞれ連結される。支持梁3204および支持梁3206は、伝達梁362の作用を受けてX軸方向に変位成分をそれぞれ有し得る。伝達梁362の具体的な実施形態については、伝達梁361の具体的な実施形態を参照されたい。
【0174】
支持梁3204の端部であって、伝達梁362から離れている端部は、操作梁および弾性コネクタ3305を使用することによって、質量ブロック311の第二の端部に連結され、質量ブロック311の第二の端部は、Y軸方向に変位成分を有するように駆動され得る。
【0175】
支持梁3206の端部であって、伝達梁362から離れている端部は、操作梁および弾性コネクタ3307を使用することによって、質量ブロック314の第二の端部に連結され、質量ブロック314の第二の端部は、Y軸方向に変位成分を有するように駆動される。質量ブロック311の第二の端部の変位成分は、質量ブロック314の第二の端部の変位成分とは方向が逆になり得る。
【0176】
機械構造層300は、アンカー347および弾性コネクタ3312をさらに含み得る。アンカー347およびアンカー343は、対称梁372に関して対称であり得る。弾性コネクタ3312および弾性コネクタ3304は、対称梁372に関して対称であり得る。アンカー347およびアンカー346は、対称梁374に関して対称であり得る。弾性コネクタ3312および弾性コネクタ3311は、対称梁374に関して対称であり得る。アンカー347および弾性コネクタ3312は、質量ブロック314の側であって、質量ブロック311から離れている側に配置され、質量ブロック314の第二の端部に近接している。弾性コネクタ3312は、質量ブロックの第二の端部とアンカー347との間に連結される。弾性コネクタ3312の具体的な実施形態については、弾性コネクタ3311または弾性コネクタ3304の具体的な実施形態を参照されたい。アンカー347の具体的な実施形態については、アンカー346またはアンカー343の具体的な実施形態を参照されたい。
【0177】
図7Cは、質量ブロック311および質量ブロック314がY軸に沿って逆方向に移動する構造を示す模式図である。
図7Cにおける破線は、移動前の質量ブロック311および質量ブロック314の位置を示しており、
図7Cにおける実線は、移動後の質量ブロック311および質量ブロック314の位置を示している。
【0178】
機械構造層300は、複数の支持梁3202をさらに含み得る。複数の支持梁3202は、対称梁373に関して対称であり得る。
【0179】
駆動ブロック381の側であって、駆動ブロック382に近接している側は、支持梁3202に連結され得る。一方の支持梁3202は、駆動ブロック381の端部であって、駆動ブロック382に近接している端部に連結され得て、他方の支持梁3202は、駆動ブロック381の端部であって、質量ブロック314に近接している端部に連結され得る。一方の支持梁3202の端部であって、駆動ブロック381から離れている端部は、質量ブロック312の端部であって、質量ブロック311に近接している端部に連結され得る。他方の支持梁3202の端部であって、駆動ブロック381から離れている端部は、質量ブロック312の端部であって、質量ブロック314に近接している端部に連結され得る。駆動ブロック381は、支持梁3202を使用することによって、質量ブロック312を駆動するように構成され得て、これにより、質量ブロック312は、X軸方向に変位成分を有する。
【0180】
機械構造層300は、複数の支持梁3207をさらに含み得る。複数の支持梁3207は、対称梁374に関して対称であり得る。複数の支持梁3202および複数の支持梁3207は、対称梁372に関して対称であり得る。
【0181】
駆動ブロック382の側であって、駆動ブロック381に近接している側は、支持梁3207に連結され得る。支持梁3207の側であって、駆動ブロック382から離れている側は、質量ブロック315に連結され得る。駆動ブロック382は、支持梁3207を使用することによって質量ブロック315を駆動するように構成され得て、これにより、質量ブロック315は、X軸方向に変位成分を有する。X軸方向における質量ブロック315の変位成分は、X軸方向における質量ブロック312の変位成分とは方向が逆になり得る。X軸方向における支持梁3207の変位成分は、X軸方向における支持梁3202の変位成分とは方向が逆になり得る。支持梁3207の具体的な実施形態については、支持梁3202の具体的な実施形態を参照されたい。
【0182】
図7Cは、質量ブロック312および質量ブロック315がX軸に沿って逆方向に移動する構造を示す模式図である。
図7Cにおける破線は、移動前の質量ブロック312および質量ブロック315の位置を示しており、
図7Cにおける実線は、移動後の質量ブロック312および質量ブロック315の位置を示している。
【0183】
機械構造層300は、アンカー348をさらに含み得る。アンカー348は、対称梁373に関して対称であり得る。固定櫛392は、アンカー348に固定される。可動櫛397は、質量ブロック313に固定される。固定櫛392は、対称梁373に対して対称であり得る。可動櫛397は、対称梁373に関して対称であり得る。固定櫛392および可動櫛397は、間隔を置いて交差して配置される。固定櫛392上には、検出電極が配置される。可動櫛397および検出電極は、コンデンサを形成することができる。Z軸周りの質量ブロック313の角速度成分は、可動櫛397および検出電極によって形成されるコンデンサの静電容量値の変動を検出することによって決定され得る。
【0184】
機械構造層300は、アンカー349をさらに含み得る。アンカー349は、対称梁374に関して対称であり得る。アンカー348およびアンカー349は、対称梁371または対称梁372に関して対称であり得る。質量ブロック316とアンカー349上の検出電極とは、コンデンサを形成し得る。Z軸周りの質量ブロック316の角速度成分は、コンデンサの静電容量値の変動を検出することによって決定され得る。アンカー349の具体的な実施形態については、アンカー348の具体的な実施形態を参照されたい。質量ブロック316の具体的な実施形態については、質量ブロック313の具体的な実施形態を参照されたい。
【0185】
図8Aは、X軸周りの角速度を検出するための機械構造層300の構造を示す構造図である。
図8Bに示される構造の模式図は、
図8Aに示される機械構造層300をX+方向に観察することによって取得され得る。
図8Aおよび
図8Bを参照して、質量ブロック311および質量ブロック314を使用することによって、X軸周りの角速度を検出する原理について、以下に説明する。
【0186】
上述されるように、慣性センサーがX軸回りに回転するための角速度成分を有する場合、質量ブロック311および質量ブロック314は、Z軸方向に変位成分をそれぞれ有しており、Z軸方向における質量ブロック311および質量ブロック314の変位成分は、方向が逆になる。質量ブロック311がZ+方向に変位成分を有し得て、質量ブロック314がZ-方向に変位成分を有し得ると仮定する。質量ブロック311は、検出電極231から離れる傾向にあり、質量ブロック314は、検出電極234に近づく傾向にある。
【0187】
質量ブロック311が弾性コネクタ3301を使用することによってアンカー341に連結され得るため、質量ブロック311の他方の端部は、弾性コネクタ3311を使用することによって、アンカー346に連結され得る。質量ブロック311の側であって、アンカー341およびアンカー346に近接している側は、Z軸方向に小さい変位を有しており、質量ブロック311の側であって、アンカー341およびアンカー346から離れている側は、Z軸方向に大きい変位を有している。質量ブロック311は、Y軸に対して第一の方向に向かって傾斜し得る。同様に、質量ブロック314は、Y軸に対して第二の方向に向かって傾斜し得て、第一の方向は、第二の方向とは逆である。換言すると、質量ブロック311および質量ブロック314は、X軸周りに回転するための角速度成分をそれぞれ有し得て、X軸周りに回転するための質量ブロック311および質量ブロック314の角速度成分の方向は、逆になり得る。弾性コネクタ3301および弾性コネクタ3311は、Y軸周りを回転するように、質量ブロック311に対して捩り支持を提供し得る。弾性コネクタ3304および弾性コネクタ3312は、Y軸周りに回転するように、質量ブロック314に対して捩り支持を提供し得る。
【0188】
質量ブロック311および質量ブロック314が引っ張られると、伝達梁361は、対称梁371の周りを回転する傾向にある。弾性コネクタ3302は、伝達梁361および質量ブロック311の間に連結され得る。伝達梁361の剛性が弾性コネクタ3302の剛性よりも大きいことがあるため、Z軸方向における弾性コネクタ3302の弾性は、質量ブロック311に対してZ軸方向に緩衝空間を提供するように、大きくなり得る。Y軸に対する弾性コネクタ3302の傾斜角度は、Y軸に対する伝達梁361の傾斜角度よりも大きくなり得る。一実施形態では、Y軸に対する質量ブロック311の傾斜角度は、Y軸に対する伝達梁361の傾斜角度よりも大きくなり得る。換言すると、X軸周りの伝達梁361の回転角度は、X軸周りの質量ブロック311の回転角度よりも小さくなる。
【0189】
Y軸方向における弾性コネクタ3302の幅は、Y軸方向における質量ブロック311の幅より小さくなり得る。Y軸に対する弾性コネクタ3302および弾性コネクタ3306の各々の傾斜角度は、Y軸に対する質量ブロック311の傾斜角度より大きくなり得る。
【0190】
同様に、Y軸に対する弾性コネクタ3306の傾斜角度は、Y軸に対する伝達梁361の傾斜角度より大きくなり得る。弾性コネクタ3306の具体的な実施形態については、弾性コネクタ3302の具体的な実施形態を参照されたい。伝達梁362と伝達梁362に連結された弾性コネクタとの具体的な実施形態については、伝達梁361と伝達梁361に連結された弾性コネクタとの具体的な実施形態を参照されたい。
【0191】
図9Aは、Y軸周りの角速度を検出するための機械構造層300の構造を示す構造図である。
図9Bに示される構造の模式図は、
図9Aに示される機械構造層300をY+方向に観察することによって取得され得る。
図9Aおよび
図9Bを参照して、質量ブロック312および質量ブロック315を使用することによって、Y軸周りの角速度を検出する原理について、以下に説明する。
【0192】
上述されるように、慣性センサーがY軸回りに回転するための角速度成分を有する場合、質量ブロック312および質量ブロック315は、Z軸方向に変位成分をそれぞれ有しており、Z軸方向における質量ブロック312および質量ブロック315の変位成分は、方向が逆になる。質量ブロック312がZ+方向に変位成分を有し得て、質量ブロック315がZ-方向に変位成分を有し得ると仮定する。質量ブロック312は、検出電極232から離れる傾向にあり、質量ブロック315は、検出電極235に近づく傾向にある。
【0193】
質量ブロック312が支持梁3202を使用することによって駆動ブロック381に連結され得るため、駆動ブロック381は、Z軸方向に移動し得ない。質量ブロック312の側であって、駆動ブロック381に近接している側は、Z軸方向に小さい変位を有しており、質量ブロック312の側であって、駆動ブロック381から離れている側は、Z軸方向に小さい変位を有している。質量ブロック312は、X軸に対して第一の方向に向かって傾斜し得る。同様に、質量ブロック315は、X軸に対して第二の方向に向かって傾斜し得て、第一の方向は、第二の方向とは逆になる。換言すると、質量ブロック312および質量ブロック315は、Y軸回りに回転するための角速度成分をそれぞれ有し得る。 Y軸回りに回転するための質量ブロック312および質量ブロック315の角速度成分の方向は、逆になり得る。
【0194】
弾性コネクタ3303は、伝達梁363および質量ブロック312の間に連結され得る。弾性コネクタ3303は、Z軸方向に外側に伸長し、かつ引き戻して、Z軸方向における伝達梁363の変位成分を低減し、質量ブロック312に対してZ軸方向における緩衝空間と、Y軸周りに回転するための捩り剛性を提供し、質量ブロック312および質量ブロック315が伝達梁363に及ぼす影響を低減し得る。伝達梁363は、Y軸回りに回転するためのトルクの一部をさらに吸収して、Z軸に沿った質量ブロック313および質量ブロック316の変位を低減し得る。伝達梁363の剛性は、弾性コネクタ3303の剛性よりも大きくなり得て、X軸に対する弾性コネクタ3303の傾斜角度は、X軸に対する伝達梁363の傾斜角度よりも大きくなり得る。一実施形態では、X軸に対する質量ブロック312の傾斜角度は、X軸に対する伝達梁363の傾斜角度よりも大きくなり得る。換言すると、Y軸周りの伝達梁363の回転角度は、Y軸周りの質量ブロック312の回転角度よりも小さくなる。
【0195】
X軸方向における弾性コネクタ3303の幅は、X軸方向における質量ブロック312の幅よりも小さくなり得る。X軸に対する弾性コネクタ3303の傾斜角度は、X軸に対する質量ブロック312の傾斜角度よりも大きくなり得る。
【0196】
同様に、X軸に対する弾性コネクタ3309の傾斜角度は、X軸に対する伝達梁363の傾斜角度よりも大きくなり得る。弾性コネクタ3309の具体的な実施形態については、弾性コネクタ3303の具体的な実施形態を参照されたい。伝達梁364と伝達梁364に連結された弾性コネクタとの具体的な実施形態については、伝達梁363と伝達梁363に連結された弾性コネクタとの具体的な実施形態を参照されたい。
【0197】
図10Aは、Y軸周りの角速度を検出するための機械構造層300の構造を示す構造図である。
図10Bに示される構造の模式図は、
図10Aに示される機械構造層300をY+方向に観察することによって取得され得る。
図10Aおよび
図10Bを参照して、質量ブロック313および質量ブロック316を使用することによって、Z軸周りの角速度を検出する原理について、以下に説明する。
【0198】
上述されるように、慣性センサーがZ軸回りに回転するための角速度成分を有する場合、質量ブロック312および質量ブロック315は、Y軸方向に変位成分をそれぞれ有しており、Y軸方向における質量ブロック312および質量ブロック315の変位成分の方向は、質量ブロック313および質量ブロック316を駆動して、Y軸方向に変位成分を有するように逆になり、Y軸方向における質量ブロック313および質量ブロック316の変位成分は、逆になる。質量ブロック313がY+方向に変位成分を有し得て、質量ブロック316がY-方向に変位成分を有し得ることを仮定する。質量ブロック313は、検出電極から離れる傾向にあり、質量ブロック316は、検出電極に近づく傾向にある。
【0199】
質量ブロック312が支持梁3202を使用することによって駆動ブロック381に連結されるため、駆動ブロック381は、Y軸方向に移動し得ない。質量ブロック312の側であって、駆動ブロック381に近接している側は、Y軸方向に小さい変位を有しており、質量ブロック312の側であって、駆動ブロック381から離れている側は、Y軸方向に大きい変位を有している。質量ブロック312は、X軸に対して第一の方向に向かって傾斜し得る。同様に、質量ブロック315は、X軸に対して第二の方向に向かって傾斜し得て、第一の方向は、第二の方向とは逆になる。換言すると、質量ブロック312および質量ブロック315は、Z軸周りに回転するための角速度成分をそれぞれ有して得て、Z軸周りに回転するための質量ブロック312および質量ブロック315の角速度成分の方向は、逆になり得る。伝達梁363は、質量ブロック313および質量ブロック316に対して、Z軸周りに回転する捩り支持を提供し得る。
【0200】
質量ブロック312は、質量ブロック313の一方の端部から質量ブロック313の他方の端部まで延在し得る。弾性コネクタ3303は、質量ブロック312の一方の端部と質量ブロック313の一方の端部との間に連結され得る。コネクタ3308は、質量ブロック312の他方の端部と質量ブロック313の他方の端部との間に連結され得る。
【0201】
弾性コネクタ3303および弾性コネクタ3308は、Y軸方向に外側に伸長し、かつ引き戻され得て、弾性コネクタ3303および弾性コネクタ3308の弾性力は、相互に相殺し合い得て、これにより、質量ブロック313は、Y軸方向に沿っている変位成分であって、質量ブロック312に追従するための第一の方向を向いている変位成分を有し得る。弾性コネクタ3303および弾性コネクタ3308は、Y軸方向における質量ブロック313の変位成分を低減し、質量ブロック312に対してY軸方向に緩衝空間を提供するように、Y軸方向に弾性を有し得る。Y軸に沿った質量ブロック312の変位成分は、Y軸に沿った質量ブロック313の変位成分よりも大きくなり得る。同様に、Y軸に沿った質量ブロック315の変位成分は、Y軸に沿った質量ブロック316の変位成分よりも大きくなり得る。
【0202】
一実施形態では、X軸方向における支持梁3203の幅は、X軸方向における質量ブロック312の幅よりも小さくなり得る。X軸に対する支持梁3202の傾斜角度は、X軸に対する質量ブロック312の傾斜角度よりも大きくなり得る。
【0203】
別の実施形態では、X軸方向における支持梁3202の幅は、X軸方向における伝達梁363の幅の半分未満であり得る。X軸に対する支持梁3202の傾斜角度は、X軸に対する伝達梁363の傾斜角度よりも大きくなり得る。
【0204】
支持梁3202と対称的に配置された別の支持梁の具体的な実施形態については、支持梁3202の具体的な実施形態を参照されたい。
【0205】
本出願の実施形態において、慣性センサーの固有振動数モーダルは、例えば、剛性設計または減結合モード設計を使用することによって調整され、これにより、慣性センサーの有効モーダルは、可能な限り遠くまで、慣性センサーの干渉モーダルから離れることができる。これは、慣性センサーのフィルタリング効果を向上させ、慣性センサーのノイズレベルを低減させる。さらに、慣性センサーの検出周波数および駆動周波数を調整することにより、慣性センサーの感度が改善される。
【0206】
上述した説明は、単に本出願の具体的な実装に過ぎないが、本出願の保護範囲を限定することが意図されていない。本出願に開示された技術的範囲内において当業者によって容易に考え出されるあらゆる変形または置換は、本出願の保護範囲内に含まれるものとする。そのため、本出願の保護範囲は、請求項の保護範囲に従うものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慣性センサーであって、
第一の質量ブロックおよび第一の検出電極であって、前記第一の質量ブロックは、前記第一の検出電極に対して相対的に移動可能であり、前記第一の質量ブロックおよび前記第一の検出電極は、第一の方向に配置されて第一のコンデンサを形成し、前記第一のコンデンサは、第二の方向周りの角速度を検出するように構成される、第一の質量ブロックおよび第一の検出電極と、
第二の質量ブロックおよび第二の検出電極であって、前記第二の質量ブロックは、前記第二の検出電極に対して相対的に移動可能であり、前記第二の質量ブロックおよび前記第二の検出電極は、前記第二の方向に配置されて第二のコンデンサを形成し、前記第二のコンデンサは、前記第一の方向周りの角速度を検出するように構成される、第二の質量ブロックおよび第二の検出電極と、
第一のコネクタであって、前記第一の質量ブロックの第一の端部と前記第二の質量ブロックの第一の端部との間に連結される、第一のコネクタと
を備え、
前記第一の質量ブロックは、第三の方向に変位成分を有するように駆動され、前記第一の方向、前記第二の方向、および前記第三の方向は、相互に直交しており、
前記第一の質量ブロックが前記第一の方向周りの角速度成分を有する場合、前記第一の質量ブロックが第二の方向に変位成分を有し、前記第一の質量ブロックは、前記第一のコネクタを使用することによって、前記第二の質量ブロックを引っ張って、前記第二の方向に移動させるように構成され、前記第二の方向における前記第二の質量ブロックの変位成分は、前記第二のコンデンサの静電容量値の変動に対応し、
前記第一の質量ブロックが前記第二の方向周りの角速度成分を有する場合、前記第一の質量ブロックは、前記第一の方向に変位成分を有し、前記第一の方向における前記第一の質量ブロックの前記変位成分は、前記第一のコンデンサの静電容量値の変動に対応する、
慣性センサー。
【請求項2】
前記第一のコネクタは、第一の弾性コネクタを含み、前記第一の弾性コネクタは、前記第一の質量ブロックに対して前記第一の方向および前記第三の方向に緩衝空間を提供するように構成され、これにより、前記第一の方向における前記第二の質量ブロックの前記第一の端部の変位成分は、前記第一の方向における前記第一の質量ブロックの前記第一の端の変位成分よりも小さくなり、かつ、前記第三の方向における前記第二の質量ブロックの前記第一の端部の変位成分は、前記第三の方向における前記第一の質量ブロックの前記第一の端部の変位成分よりも小さくなる、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項3】
前記第一のコネクタは、
第一の支持梁であって、前記第一の支持梁が、前記第一の弾性コネクタおよび前記第二の質量ブロックの間に連結される、第一の支持梁
をさらに含む、請求項2に記載の慣性センサー。
【請求項4】
前記第一のコネクタは、
第一の伝達梁であって、前記第一の伝達梁が、前記第三の方向に延在し、前記第一の伝達梁の一端部が、前記第一の弾性コネクタおよび前記第二の質量ブロックの間に連結され、前記第一の質量ブロックが前記第一の方向周りの角速度成分を有する場合、前記第一の伝達梁は、前記第一の方向周りに回転する、第一の伝達梁
をさらに含む、請求
項3に記載の慣性センサー。
【請求項5】
前記第一の質量ブロックが前記第二の方向周りの角速度成分を有する場合、前記第二の方向周りの前記第一の伝達梁の回転角は、前記第二の方向周りの前記第一の質量ブロックの回転角よりも小さくなる、請求項4に記載の慣性センサー。
【請求項6】
前記第一の質量ブロックは、前記第二の質量ブロックの第一の端部から、前記第二の質量ブロックの第二の端部まで延在し、前記慣性センサーは、
第二のコネクタであって、前記第二のコネクタが前記第一の質量ブロックの第二の端部と、前記第二の質量ブロックの前記第二の端部との間に連結され、前記第二のコネクタおよび前記第一のコネクタは、前記第二の質量ブロックに関して対称である、第二のコネクタ
をさらに含む、請求項
1に記載の慣性センサー。
【請求項7】
前記慣性センサーは、
駆動電極および駆動ブロックであって、前記駆動電極および前記駆動ブロックによって形成されるコンデンサは、前記駆動ブロックを駆動して、前記駆動電極に対して相対的に前記第三の方向に前後に移動させるように構成されて、駆動電極および駆動ブロックと、
第二の支持梁であって、前記第二の支持梁は、前記駆動ブロックおよび前記第一の質量ブロックの間に連結され、前記駆動ブロックは、前記第二の支持梁を使用することによって、前記第一の質量ブロックを駆動するように構成され、これにより、前記第一の質量ブロックが、前記第三の方向に前記変位成分を有する、第二の支持梁と
をさらに備える、請求項1ないし
5の何れか一つに記載の慣性センサー。
【請求項8】
前記慣性センサーは、
第三の質量ブロックおよび第三の検出電極であって、前記第三の質量ブロックは、前記第三の検出電極に対して相対的に移動可能であり、前記第三の質量ブロックおよび前記第三の検出電極は、前記第一の方向に配置されて第三のコンデンサを形成し、前記第三のコンデンサは、前記第三の方向周りの角速度を検出するように構成され、前記第三の質量ブロックは、前記第二の方向に変位成分を有するように駆動され、前記第三の質量ブロックが前記第三の方向周りの角速度成分を有する場合、前記第三の質量ブロックは、前記第一の方向に変位成分を有し、前記第一の方向における前記第三の質量ブロックの前記変位成分は、前記第三のコンデンサの静電容量値の変動に対応する、第三の質量ブロックおよび第三の検出電極
をさらに備える、請求項1ないし
5の何れか一つに記載の慣性センサー。
【請求項9】
前記第一の質量ブロックは、前記駆動ブロックによって駆動され、前記駆動ブロックは、前記第三の方向に前後に移動するように構成され、前記第三の質量ブロックおよび前記駆動ブロックの間には、操作梁が連結され、前記操作梁の端部であって、前記駆動ブロックに近接する端部は、前記第三の方向に前後に移動するように構成され、前記操作梁の端部であって、前記第三の質量ブロックに近接する端部は、前記第二の方向に前後に移動するように構成され、これにより、前記第三の質量ブロックは、前記第二の方向に前記変位成分を有する、請求項8に記載の慣性センサー。
【請求項10】
前記慣性センサーは、
第二の弾性コネクタであって、前記第二の弾性コネクタは、前記駆動ブロックおよび前記第一の質量ブロックの間に連結され、前記第三の質量ブロックに対して前記第一の方向に緩衝空間を提供するように構成される、第二の弾性コネクタ
をさらに備える、請求項
8に記載の慣性センサー。
【請求項11】
前記慣性センサーは、
第二の伝達梁であって、前記第二の伝達梁は、前記第二の弾性コネクタおよび前記駆動ブロックの間に連結され、前記第二の伝達梁は、前記第三の方向周りに回転可能であり、前記第三の質量ブロックが前記第三の方向周りに回転する場合、前記第三の方向周りの第二の伝達梁の回転角度は、前記第三の方向周りの第三の質量ブロックの回転角度よりも小さくなる、第二の伝達梁
をさらに備える、請求項10に記載の慣性センサー。
【請求項12】
前記慣性センサーは、
第三の弾性コネクタであって、前記第三の弾性コネクタは、前記第三の質量ブロックに連結され、前記第三の弾性コネクタは、前記第三の質量ブロックに対して前記第一の方向に支持力を提供するように構成され、前記第三の質量ブロックに対して前記第二の方向に緩衝空間を提供するようにさらに構成される、第三の弾性コネクタ
をさらに備える、請求項
8に記載の慣性センサー。
【請求項13】
前記第三の弾性コネクタは、前記第三の質量ブロックの側であって、前記第二の質量ブロックから離れている側に位置する、請求項12に記載の慣性センサー。
【請求項14】
前記慣性センサーは、機械構造層、被覆層、および基板層を備え、前記機械構造層は、前記被覆層および前記基板層の間に位置し、前記第一の質量ブロックおよび前記第二の質量ブロックは、前記機械構造層上に配置され、前記第一の検出電極は、前記基板層上に配置され、前記第二の検出電極は、前記基板層または前記機械構造層上に配置される、請求項
8に記載の慣性センサー。
【請求項15】
前記慣性センサーは、前記第二の方向に関して対称であり、かつ、前記慣性センサーは、前記第三の方向に関して対称である、請求項1ないし
5の何れか一つに記載の慣性センサー。
【請求項16】
請求項1ない
し5の何れか一つに記載の慣性センサーを備える、電子デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
第二の質量ブロックが第二の方向周りの角速度成分のみを有する場合、第一の質量ブロックは、第二の方向においてより小さい変位成分を有し、第一の質量ブロックは、第二の方向において第二の質量ブロックに及ぼすより小さい引張力を有する。そのため、これは、第一の質量ブロックおよび第二の質量ブロックの間の結合度の向上と、第一の質量ブロックおよび第二の質量ブロックとの間の相互影響の低減とに貢献する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
機械構造層300は、対称軸xに関して対称であり得て、対称軸yに関して対称であり得る。対称軸xは、X軸に平行であり得て、対称軸xは、Y軸に平行であり得る。本出願において、対称軸xまたは対称軸yに関して対称である二つの構造体の移動方向は、対称であってもよいし、または逆になってもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
図3Aに示される実施形態では、支持梁3201および支持梁3205は、伝達梁361を使用することによって連結され得る。伝達梁361は、対称軸xに関して対称であり得る。支持梁3204および支持梁3206は、伝達梁362を使用することによって連結され得る。伝達梁362は、対称軸xに関して対称であり得る。伝達梁361および伝達梁
362は、対称軸yに関して対称であり得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0139
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0139】
慣性センサーは、検出電極233および検出電極236を含み得る。検出電極233および検出電極236は、図2に示される基板層上に配置されてもよいし、または機械構造層300上に配置されてもよい。検出電極233および検出電極236が機械構造層300上に配置される場合、検出電極233および検出電極236は、機械構造層300の固定子に属し得る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0146
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0146】
機械的減結合とは、部品Aおよび部品Bが別々に配置されること、および部品Aの動作(この動作には、チップによって駆動される動作と、外力の作用を受けた回転とが含まれる)が、部品Bの動作に影響を与えないことを意味し得る。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0159
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0159】
一実施形態では、機械構造層300は、固定櫛391および可動櫛396をさらに含み得る。固定櫛391は、アンカー344に固定され得る。可動櫛は、駆動ブロック381に固定され得る。固定櫛391および可動櫛396は、間隔を置いて交差して配置され得る。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0161
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0161】
駆動ブロック381およびアンカー344に交流電流を供給することにより、可動櫛396および固定櫛391の間の相互作用力が、可動櫛396を駆動して、固定櫛391に対してX軸に沿って移動させ得て、これにより、駆動ブロック381は、アンカー344に対してX軸に沿って移動する。Y軸方向およびZ軸方向における駆動ブロック381の変位は、小さくなり得るか、または無視すらされ得る。例えば、駆動ブロック381は、基板層またはアンカー344に取り付けられ得て、X軸に沿った移動に限定される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0173
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0173】
アンカー345は、対称梁374に関して対称であり得る。駆動ブロック382は、対称梁374に関して対称であり得る。対称梁374の端部であって、駆動ブロック382から離れている端部は、伝達梁362に連結され得る。そのため、駆動ブロック382は、対称梁374を使用することによって伝達梁362を駆動し得て、これにより、伝達梁362は、X軸方向に変位成分を有する。伝達梁362の変位成分は、伝達梁361の変位成分とは方向が逆になり得る。伝達梁362の両端は、支持梁3204および支持梁3206にそれぞれ連結される。支持梁3204および支持梁3206は、伝達梁362の作用を受けてX軸方向に変位成分をそれぞれ有し得る。伝達梁362の具体的な実施形態については、伝達梁361の具体的な実施形態を参照されたい。
【国際調査報告】