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特表2024-531518肉製品及び肉類似物のテクスチャーを改善するためのマメ科デンプン及びその架橋誘導体の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】肉製品及び肉類似物のテクスチャーを改善するためのマメ科デンプン及びその架橋誘導体の使用
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/00 20160101AFI20240822BHJP
   A23L 13/60 20160101ALI20240822BHJP
   A23J 3/00 20060101ALI20240822BHJP
   A23J 3/14 20060101ALI20240822BHJP
   A23L 11/00 20210101ALI20240822BHJP
【FI】
A23L13/00 A
A23L13/60 Z
A23J3/00 505
A23J3/14
A23L11/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513539
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2022075477
(87)【国際公開番号】W WO2023041553
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】21306273.0
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21306446.2
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 護一
(72)【発明者】
【氏名】堀 紗矢香
【テーマコード(参考)】
4B020
4B042
【Fターム(参考)】
4B020LB24
4B020LC04
4B020LG09
4B020LK05
4B020LK07
4B020LK15
4B020LP06
4B020LP15
4B020LP19
4B042AC05
4B042AD20
4B042AG02
4B042AG03
4B042AH01
4B042AK09
4B042AK13
4B042AP04
4B042AP10
4B042AP18
(57)【要約】
本発明は、肉製品又は肉を含まない製品のための食品テクスチャー改良剤としての天然又は架橋マメ科デンプンの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉製品又は肉を含まない製品のための食品テクスチャー改良剤としての天然又は架橋マメ科デンプンの使用。
【請求項2】
前記マメ科デンプンが、エンドウマメデンプン、ファヴァビーンデンプン、リョクトウデンプン、インゲンマメデンプン、ブロードビーンデンプン、及びホースビーンデンプンからなる群から選択され、より好ましくはエンドウマメデンプン又はファヴァビーンデンプンであることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記マメ科デンプンが、エンドウマメデンプン又はリョクトウデンプンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記マメ科デンプンが、エンドウマメデンプンであることを特徴とする、請求項1又は3に記載の使用。
【請求項5】
前記マメ科デンプンが、リョクトウデンプンであることを特徴とする、請求項1又は3に記載の使用。
【請求項6】
前記デンプンが、天然デンプンであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記デンプンが、架橋デンプンであることを特徴とする、請求項1又は5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記架橋デンプンが、高架橋デンプンであることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記高架橋デンプンが、リン酸架橋デンプンであることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記高架橋デンプンが、粗デンプン1kg当たり130~150mgのリン含有量を有することを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記肉製品又は前記肉を含まない製品中のマメ科天然デンプン又は架橋デンプンの量が、前記製品の総重量の1%~25%、好ましくは3~12%、例えば5%に相当することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然マメ科デンプン又は架橋マメ科デンプンの食品テクスチャー改良剤としての使用に関する。より詳細には、本発明は、「肉製品」及び「肉類似物」の硬さの改善に関する。
【0002】
先行技術
本発明は、「肉製品」及び「肉類似物」のテクスチャーの改善に関する。
【0003】
挽肉によって製造され、通常は赤身肉と脂肪との混合物である「肉製品」の場合、当業者は、赤身肉と脂肪との比が、消費者にとってはテクスチャーのために、及び生産者にとってはコストのために重要であることを知っている。
【0004】
挽肉中の脂肪含量が高い場合、最終製品の硬さは低下し、コストも低下する。
【0005】
一方、挽肉中の脂肪含量が少ない場合、最終製品の硬さが増して美味しく、コストも高くなる。したがって、脂肪含有率は、製品のテクスチャーとコストとのバランスをとるための重要なコントロールポイントである。
【0006】
ミートボール及びハンバーガーステーキなどの肉製品を製造するために、肉の内部に水を保持することができる結合剤としての副成分として天然デンプンが一般に使用される。更に、デンプンの添加はまた、肉部分の割合が相対的に低減されるので、製品のコストを低減する。
【0007】
したがって、できるだけ多くのデンプンを添加することは、最終製品生産者にとって良好である。
【0008】
しかしながら、デンプンの添加量が多すぎると、最終製品の硬さが低下し、粘着性が増加する。
【0009】
「肉類似物」又は「肉を含まない製品」は、畜肉の使用を除外し、時には乳製品などの派生動物製品の使用も除外する、菜食主義者用成分から作られた食品を意味する。多くの類似物は、ダイズベース(例えば、豆腐、テンペ)又はグルテンベースであるが、現在ではエンドウマメタンパク質ベースもあり得る。肉類似物の市場には、菜食主義者、完全菜食主義者、肉消費を減らそうとする非菜食主義者、及び宗教的な食事法に従う人々が含まれる。
【0010】
タンパク質構造は、肉類似製品のテクスチャー及び食感に影響を与える最も決定的な要因であることが一般に認められている。多くの新製品開発努力は、植物性タンパク質のテクスチャー化を更に改善することを目的としている。しかしながら、肉類似物は、脂肪及び繊維などの他の成分を含有する場合があり、結合構造を提供し、他の成分が粘着性塊を形成することを可能にする結合剤の存在を必要とし、特に、結合剤は、製品中に脂肪、水及びタンパク質を含めるのに役立つ。多数の適切な食物結合剤が当技術分野で公知である。典型的には、いくつかの結合剤を組み合わせて使用して、完全な製品において結合構造を形成する。
【0011】
肉類似物において、結合剤は、例えば国際公開第2021/098966号に記載されているように、デンプン、グルテン、ピューレ、複数のデンプン、ガム、及び多糖類から選択される。
【0012】
当該技術分野で公知の一般的な結合剤は、マメピューレ、ジャガイモピューレ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、エンドウマメデンプン、小麦グルテン、トウモロコシグルテン、米グルテン、キサンタンガム、グアーガム、イナゴマメガム、ジェランガム、アラビアガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、マルトデキストリン、及びカラギーナンを含む。したがって、これら全ての用途において、デンプンは、粘着性のような副作用を回避するために、レシピにおいて中程度の濃度で使用される結合剤としてのみ考慮されている。
【0013】
この技術分野における他の作業グループは、脂肪を化工デンプンで置き換えるための解決策を提案している。
【0014】
脂肪は人体に栄養を提供するが、脂肪の摂取過剰は肥満、高血圧、冠動脈心疾患などの疾患を引き起こす恐れがある。
【0015】
脂肪は食物中の主要なエネルギー源であり、9kcal/gのエネルギーを提供することができるが、タンパク質及び炭水化物は4kcal/gのエネルギーを提供する。
【0016】
アメリカの食生活指針は、各個人の1日のカロリー源では脂肪が30%を超えてはならず、飽和脂肪が10%を超えてはならないことを推奨している。
【0017】
したがって、多くの国が脂肪代替物に取り組んでいる。
【0018】
脂肪代替物は、同じタイプの全脂肪食品と類似又は同一の感覚刺激効果を有するが、総カロリー数が減少するように、脂肪を置換するために食品に添加されるある種の物質である。
【0019】
脂肪代替物は、部分又は全脂肪の特性を有し、より少ないカロリーを生成することができ、安定で、無色で、無味であり、食品に添加された場合に他の成分との有害な反応を有さず、代謝プロセスにおいて吸収されないか又は不完全に吸収され、0カロリー又は低カロリーを生成しなければならない。
【0020】
最も一般的な脂肪代替物の中には、デキストリン及び加工デンプンがあり、これらは水と結合して、多量の水を捕捉する三次元網目構造を有するゲルを形成し、これは流動性並びに脂肪様のテクスチャー及び食感を有する。
【0021】
脂肪代替物はまた、拡散特性を有し、脂肪の擬塑性を示さなければならない。脂肪代替物は、脂肪のようになめらかで粘着性がある必要があり、その味は、脂肪がとどまるのと同じくらい長く口腔ないにとどまる必要がある。
【0022】
例えば、中国特許第112314937号は、トウモロコシ、小麦又はエンドウマメのデンプンを原料として使用することによって、食品の感覚特性に影響を与えることなく、最良の脂肪代替物を調製する方法を教示している。本特許出願において特許請求されているデンプンの化学的変性は、2つのエステル化工程に続く架橋である。
【0023】
肉又は肉類似物に基づく食品調製物の製造の技術分野では、消費者にとって満足のいくテクスチャー及び官能特性を保証する成分が必要とされている。
【0024】
実際、これらの調製物の組成に依存して、噛んだときの食品の柔らかさ及びジューシーさが変化することがあり、粘着性の外観又は他の不自然なテクスチャー特性が生じることがある。
【0025】
このことは、必要な粘度(硬さ及び堅さの点で)を有する加工肉又は肉類似食品を製造することを困難にする。
【0026】
このため、キサンタンガム、カラギーナンなどの親水コロイドなどの化合物が多くの場合添加される。
【0027】
上記の全てから、及び当業者の一般的知識から、デンプンは最良の候補ではないことが理解される。
【0028】
実際、デンプンは、結合剤(米国特許第10 477 882号及び特開2008011727号の教示も参照されたい)又は脂肪代替物として一般に使用されるが、テクスチャー改良剤などの加工肉のために意図された調製物において機能特性を有する「それ自体」とは決して見なされない。
【0029】
本出願人の知る限りでは、本出願人は、テクスチャー改良剤としてのデンプンの役割について言及したばかりであるが、デンプンは油及び/又は脂肪と組み合わせて使用されている。換言すれば、油脂加工デンプンの使用のみが開示されているようである(国際公開第2020/218055号及び欧州特許第3858147号の教示を参照)。
【0030】
しかしながら、本出願人は、エンドウマメデンプン又はその架橋誘導体、より具体的にはリン酸網目状エンドウマメデンプンなどのマメ科デンプンが、当業者の意見に反して、他のデンプンと比較して、肉又は肉を含まない製品の硬さを維持し、場合によっては増加させることができることを見出した。
【0031】
更に、このタイプのエンドウマメデンプンから調製された製品は、他のデンプンとは異なり、粘着性を発現しないことが見出された。
【0032】
そのような製品におけるエンドウマメデンプン又は架橋デンプンの使用は、他の植物源からのデンプンを用いて製造された製品よりも硬いテクスチャーを有する最終製品をもたらす。更に、テクスチャーは、より高い比率、より高い割合の赤身肉で製造された製品のテクスチャーと同様である。したがって、エンドウマメデンプン又はその架橋誘導体は、この目的のために通常使用されるより高価な成分を有利に模倣することができる。
【発明の概要】
【0033】
本発明は、肉製品又は肉を含まない製品のための食品テクスチャー改良剤としての天然又は架橋マメ科デンプンの使用に関する。
【0034】
マメ科デンプンは、エンドウマメデンプン、ファヴァビーンデンプン、リョクトウデンプン、インゲンマメデンプン、ブロードビーンデンプン、及びホースビーンデンプンからなる群から選択され、より好ましくはエンドウマメ、ファヴァビーンデンプン及びリョクトウデンプンである。好ましくは、マメ科デンプンはエンドウマメデンプン又はリョクトウデンプンである。
【0035】
マメ科デンプン、好ましくはエンドウマメ又はリョクトウデンプンは、天然デンプンであってもよい。用途が何であれ、すなわち、加工肉又は肉類似物であれ、天然エンドウマメ又はリョクトウデンプンは、他の植物源由来のデンプンと比較して、最終製品の硬さを維持し、更に増加させるために使用することができる。
【0036】
マメ科デンプン、好ましくはエンドウマメ又はリョクトウデンプンは、架橋デンプンであってもよい。架橋エンドウマメデンプンは、調理中に高温にさらされる場合がある肉製品の調製に特に有利である。典型的には、調理中に肉製品が80℃を超える場合、製品は天然エンドウマメデンプンではなく架橋エンドウマメデンプンを含むことが好ましい。
【0037】
いずれにしても、変性(架橋)が高いほど、エンドウマメデンプンを含有する製品(加工された肉又は肉類似物)のテクスチャーは硬くなる。
【0038】
架橋デンプン、特にエンドウマメ又はリョクトウの架橋デンプンは、好ましくは高架橋デンプンであり、より好ましくはリン酸架橋デンプンである。この高架橋デンプンは、好ましくは粗デンプン1kg当たり130~150mgのリン含有量を有する。
【0039】
天然リョクトウ若しくはエンドウマメデンプン又は架橋リョクトウ若しくはエンドウマメデンプンの量は、最終製品(肉製品又は肉を含まない製品のいずれか)の総重量の1%~25%、好ましくは3~12%、例えば5%に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】最終製品のピーク硬さ、プレミックス肉調製物へのデンプンの添加。
図2】異なる種類のデンプンを使用することによるハンバーガーステーキの硬さ、再構成されたレシピへのデンプンの添加。
図3】異なる種類のデンプンを使用することによるハンバーガーステーキの硬さ、再構成されたレシピへのデンプンの添加、再構成されたレシピへのデンプンの添加、「脂肪」に対する「赤身肉」の比率が変動する場合のハンバーガーステーキに対するエンドウマメデンプンの異なる種類のデンプンの影響の研究。
図4】異なる種類のデンプンを用いたハンバーガーステーキの硬さ、再構成されたレシピへのデンプンの添加、「赤身肉」対「脂肪」の比が変動する場合のハンバーガーステーキに対する異なる種類のデンプン(エンドウマメ対タピオカ)の影響の研究。
図5】異なるデンプンを用い、異なる加熱条件(異なる長さの焼成条件)でのハンバーガーステーキの硬さ。
図6】異なるエンドウマメデンプンを用い、異なる加熱条件(異なる長さの焼成条件)でのハンバーガーステーキの硬さ、異なる焼成条件下でのハンバーガーステーキのテクスチャーの変化の研究。
図7】異なるエンドウマメデンプン及び異なる加熱条件(製品の中心における異なる温度)を用いた、ハンバーガーステーキの硬さ、異なる焼成条件下でのハンバーガーステーキのテクスチャーの変化の研究。
図8】異なる量のエンドウマメデンプンを用いたハンバーガーステーキの硬さ。
図9】異なる種類のデンプンを用いた肉を含まないパティの硬さ。
図10】異なる種類のデンプンを用いた肉を含まないパティの硬さ。
図11】肉を含まないパティの硬さ、パティの変性レベル及び含水量の影響の研究。
図12】歩留まり率(異なる種類のデンプンを用いた肉類似物の比(調理後の重量)/(調理前の重量)、スチームオーブンを使用した焼成。
図13】高アセチル化エンドウマメデンプンを用いた肉を含まないパティの硬さ、デンプンの量の影響の研究。
図14】低アセチル化エンドウマメデンプンを用いた肉を含まないパティの硬さ、デンプンの量の影響の研究。
図15】低アセチル化エンドウマメデンプンを用いた肉を含まないパティの硬さ、デンプンの量の影響の研究。
図16】高架橋エンドウマメデンプンを用いた肉を含まないパティの硬さ、デンプンの量の影響の研究。
図17】低架橋ジャガイモデンプンを用いた肉を含まないパティの硬さ、デンプンの量の影響の研究。
図18】肉を含まないパティの硬さ、デンプンの特質及び量の特質の影響の研究。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、肉製品又は肉を含まない製品のための食品テクスチャー改良剤としての天然又は架橋マメ科デンプンの使用に関する。
【0042】
本出願人は、天然エンドウマメ又はリョクトウデンプン及び架橋エンドウマメ又はリョクトウデンプンが、肉製品及び肉類似物の調製に有利に使用できることを見出した。
【0043】
上述したように、「肉製品」は、挽肉によって製造された製品を意味し、通常は赤身肉と脂肪との混合物であり、「肉を含まない製品」又は「肉肉を含まない製品」は、畜肉の使用を除外し、時には乳製品などの派生動物製品の使用も除外除外する、菜食主義者用成分から作られた食物を意味する。多くの類似物は、大豆ベース(例えば、豆腐、テンペ)又はグルテンベースであるが、現在ではエンドウマメタンパク質ベースもあり得る。
【0044】
天然マメ科デンプンの使用
本発明の目的のための「マメ科植物」とは、ネムノキ科又はパピリオナセアエの科に属する任意の植物、特に、パピリオナセアエの科に属する任意の植物、例えば、エンドウマメ、リョクトウ、インゲンマメ、ブロードビーン、ホースビーン、レンズマメ、アルファルファ、クローバー、又はルピナスを意味すると理解される。
【0045】
この定義は、特に、R.HOOVERらによる論文、題名「Composition,Structure,Functionality and Chemical Modification of Legume Starches:a review」(Can.J.Physiol.Pharmacol.1991.69 pp.79-92)に含まれる表のうちのいずれか1つに記載される全ての植物を含む。
【0046】
好ましくは、本発明に有用なデンプンは、天然マメ科デンプンである。
【0047】
好ましくは、マメ科植物は、エンドウマメ、ファヴァビーン、リョクトウ、インゲンマメ、ブロードビーン、及びホースビーンからなる群から選択され、より好ましくはエンドウマメ、ファヴァビーン、及びリョクトウである。
【0048】
有利には、それはエンドウマメであり、「エンドウマメ」という用語は本明細書においてその最も広い意味で考慮され、具体的には、
-「丸エンドウマメ」の全ての野生種、及び
-当該品種の一般に意図されている用途(食用、家畜栄養及び/又は他の用途)に関係なく、「丸エンドウマメ」と「しわエンドウマメ」の全ての変異品種が含まれる。
【0049】
当該変異品種は、C-L HEYDLEYらによる論文、題名「Developing novel pea wrinkled pea」,Proceedings of the isgri Symposium of the Industrial Biochemistry and Biotechnology Group of the Biochemical Society,1996,pp.77-87に記載されているように、特に、「rは変異体である」、「Rb変異体」、「rug3変異体」、「rug変異体4」、「rug変異体5」及び「LAM変異体」として知られるものである。
【0050】
別の有利な変異株では、マメ科植物は、例えば、エンドウマメ又はホースビーンの品種は、少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも40重量%のデンプン(乾燥/乾燥)を含む種子を与える植物である。
【0051】
「マメ科植物デンプン」という表現は、どんな方法の場合でも、マメ科植物から、特にパピリオナセアエから抽出される任意の組成物を意味することが理解され、そのデンプン含有量は、40%超、好ましくは50%超、更により好ましくは75%超であり、ここでこれらのパーセンテージは、当該組成物の乾燥重量に対する乾燥重量として表される。
【0052】
有利には、このデンプン含有量は90%超(乾燥/乾燥)である。具体的には95重量%超であり、98重量%超を含む。
【0053】
「天然」デンプンという用語は、いかなる化学的変性も受けていないデンプンを意味すると理解される。
【0054】
架橋デンプンの使用
天然デンプンは、一般に、低い剪断抵抗及び酸耐性、低い熱安定性及び高い老化傾向などの乏しい機能特性を有するので、新しい機能性食品成分及び機能性食品を開発するために、所望の消化耐性などの特定の機能特性を調整するためにデンプンの加工が必要であることが知られている。
【0055】
デンプンの加工は、デンプンの構造を変える古典的な手段であり、通常、望ましい物理的特性を大きく変化させる。
【0056】
しかしながら、変性レベルが低い場合でも、ペーストの粘度、ゲル化、離水、透明性、付着性及び乳化性などのデンプンの物理的特性を著しく変えることが可能である。
【0057】
架橋デンプンは、架橋デンプンが由来する天然デンプンと比較して、酸、熱及び剪断安定性を提供する。
【0058】
デンプンの安定化は、例えば、置換基を導入することによって老化を防ぐことを目的としている。置換基を導入することによりデンプン顆粒内のグルカン鎖の相互作用が弱められ、その結果、より低い温度で調理した場合にもデンプンの水和及び糊化を達成することが可能になる。
【0059】
安定化の効果は、置換基の数及び性質に依存する。アセチル化及びヒドロキシプロピル化は、食品の安定化の主なタイプである。本発明に有用なデンプンは、典型的にはリン酸架橋デンプンである。
【0060】
デンプンのリン酸架橋
架橋変性は、一般に、多官能性試薬を使用して、隣接するデンプン鎖のヒドロキシル基間にエーテル又はエステルの分子間又は分子内架橋を形成する。
【0061】
トリメタリン酸ナトリウム(STMP)、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)、塩化ホスホリル(オキシ塩化リン:POCl3)、エピクロロヒドリン(EPI)、及び混合アジピック-アセチックアンハイドライドは、架橋デンプンを生成するために用いられる一般的な薬剤である。最適な反応条件及びスキームは、試薬のタイプによって異なる。STMP及び/又はSTPPとの反応のために、デンプンは、典型的には、顆粒の水性スラリー中の試薬及び触媒塩基の両方で含浸される。
【0062】
最も一般的に用いられるデンプン用の食品グレードの架橋試薬は、その高いリン酸化効果のために99:1(w/w)のSTMP/STPPである。
【0063】
食品グレードの加工デンプンのリン含有量は、米国食品医薬品局の連邦規制基準(CFR,2001)又はEECの指令(2000)によって規制されている。STMP/STPPが食品用途でデンプンをリン酸化するために使用される場合、加工デンプンは0.4%を超えるリンを含有することができない。
【0064】
リン含量に基づいて、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルについての置換度(DS)を適切に計算することができる。
【0065】
架橋デンプン中のリン含有量は、エネルギー分散型蛍光X線分光法(EDXRF)及び誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-OES)によっても測定することができる。
【0066】
本発明の目的のための「高架橋デンプン」は、リン含有量が、粗デンプン1kg当たり130mg~150mgであるように、古典的に製造された架橋デンプン(例えば、0.6%w/wのSTMPで処理されたデンプンスラリー)を意味し、デンプン1kg当たり最大608mgのリンを有する。その糊化温度は典型的には95℃である。
【0067】
「低架橋デンプン」は、リン含量が粗デンプン1kg当たり5mg~10mgであるように、古典的に製造された架橋エンドウマメデンプン(例えば、0.0385%w/wのSTMPで処理されたデンプンスラリー)を意味し、デンプン1kg当たり最大39mgのリンを有する。その糊化温度は典型的には75.4℃である。
【0068】
本発明に有用なデンプンは、有利には、リン酸架橋デンプンである。天然リョクトウ若しくはエンドウマメデンプン、又は架橋リョクトウ若しくはエンドウマメデンプン(例えば、本出願人によって市販されているCLEARAM(登録商標)LI4000など)のいずれかを用いた肉製品及び肉類似物は、他の植物源由来の天然若しくは加工デンプン(ジャガイモデンプン又はタピオカデンプンなど)、又はアセチル化エンドウマメデンプンを用いた同様の製品よりも著しく硬いテクスチャーを示す。
【0069】
本発明の目的のための「アセチル化デンプン」又は「アセチル化エンドウマメデンプン」は、希水酸化ナトリウムの存在下でデンプンを無水酢酸と反応させることによって調製されるデンプンを意味すると理解される。別の方法として、触媒としての炭酸ナトリウムの存在下で、水性懸濁液中で酢酸ビニルを使用してアセチル化を行うこともできる。
【0070】
天然の又は架橋した、リョクトウ又はエンドウマメデンプンのいずれかから調製された製品は、他のデンプンを用いて調製された製品とは異なり、粘着性を発現しないことが見出された。そのような製品における天然エンドウマメ若しくはリョクトウデンプン、又は架橋エンドウマメ若しくはリョクトウデンプンの使用は、他の植物源由来のデンプンを用いて製造された製品よりも硬いテクスチャーを有する最終製品をもたらす。
【0071】
更に、肉製品の場合、テクスチャーは、より高い比率、より高い割合の赤身肉で製造された製品のテクスチャーと同様である。天然リョクトウ若しくはエンドウマメデンプン又はそれらの架橋誘導体は、この目的のために通常使用されるより高価な成分を有利に模倣することができる。したがって、天然及び架橋リョクトウ及びエンドウマメデンプンは、肉製品のコストを変えることなく、より良好なテクスチャーを提供することができる。
【0072】
肉製品の場合、本出願人は、81℃を超えて調理される製品について、天然リョクトウ及びエンドウマメデンプンよりも良好な架橋リョクトウ及びエンドウマメデンプンが機能性成分として推奨されることを示した。
【0073】
肉を含まない製品の場合、本出願人はまた、架橋したリョクトウ及びエンドウマメデンプンの使用が、肉を含まない製品のテクスチャーを改善することができ、プレミアムレシピに従って製造され、より少ない水を使用した、肉を含まない製品を模倣することができることを示した。
【0074】
天然エンドウマメ若しくはリョクトウデンプン又は架橋エンドウマメ若しくはリョクトウデンプンの量は、最終製品(肉製品又は肉を含まない製品のいずれか)の総重量の1%~25%、好ましくは3~12%、例えば5%に相当する。
【0075】
本発明は、以下に示す実施例に照らし、より十分に理解されることになるが、実施例は、例示のみを目的とし、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0076】
実施例1:肉製品の成分としての天然及び化工デンプン(様々な植物源由来)の特性の比較-プレミックス肉調製物へのデンプンの添加
ここで、異なるデンプン(天然及び化学的に変性した)を市販のハンバーガープレミックスに添加する。
【0077】
試験した成分
-TOYATAKAHASHIによって生産された天然ジャガイモデンプン。
-本出願人によりPea Starch N-735の名称で市販されている天然エンドウマメデンプン。
-MATSUTANY社によりSAKURAの名称で市販されている低アセチル化タピオカデンプン。そのアセチル価は0.52であり、その置換度は0.020であり、その糊化温度は69.95℃である。
-CLEARAM(登録商標)LG0020の名称で本出願人によって市販されている高アセチル化エンドウマメデンプン。そのアセチル価は1.9であり、その置換度は0.071であり、その糊化温度は67.9℃である。
-65.9℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)PI10の名称で本出願人によって市販されている低架橋ジャガイモデンプン。
-95℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)LI 4000の名称で本出願人によって市販されている高架橋エンドウマメデンプン。
【0078】
レシピ及びプロセス
【0079】
【表1】
【0080】
ハンバーガーステーキプレミックスペーストの組成は、「牛肉、豚肉、パン粉、乾燥タマネギ、塩、砂糖、植物タンパク質加水分解物、タマネギ粉末、コショウ、全脂粉乳、パプリカ、チキンエキス、ローストニンニク粉末、ナツメグ、ローストタマネギ粉末、スパイス粉末、ショウガ粉末、全卵粉末、唐辛子、タマネギ、トレハロース、調味粉末、ビタミンC」からなる古典的なものである。
【0081】
プロセス
-ハンバーガーパティとデンプンを1分間混合する。
-ペーストを100gの型に分割する。
-このポーションをスチームコンベクションオーブン内で200℃で10分間焼成する。
-個別急速冷凍(IQF):噴射冷凍機、-40℃、1.5時間。
【0082】
分析方法
肉パティの歩留まり率
-焼成後
焼成後、パティを秤量する(Weight)。歩留まり率を計算する:焼成後の重量/100g(焼成前の重量)×100
-マイクロ波処理後
マイクロ波処理の前後にパティを秤量する。歩留まり率を計算する:マイクロ波処理後の重量/マイクロ波処理前の重量の比
【0083】
肉パティのテクスチャー(硬さ)
テクスチャーアナライザ:Shimadzu EZ-SX
肉パティを電子レンジ内で500Wで2分間温める。
【0084】
厚さ2cmのハンバーガーステーキパティを切断し、断面を上に向けてステージ上に置き、以下の条件でシリンダーチップで押す。
【0085】
条件:
プランジャー:2cmシリンダーチップ
速度:1mm/秒、2回。
サンプルサイズ:2cm厚ハンバーガーステーキ[100g/ハンバーガーステーキ型]
【0086】
官能評価方法
官能試験員数:3
全てのサンプル、7つのサンプルを一度に評価し、議論することによって結論を出す。
【0087】
分析結果
各デンプンによるパティの歩留まり率
焼成プロセスの前後で重量変化。
マイクロ波再加熱プロセスの前後での重量変化。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
これらの異なるデンプンの間に有意差はない。
【0092】
最終製品のテクスチャー(ニュートン(N)での硬さ)
結果を以下の表に示し、図1に示す。
【0093】
【表5】
【0094】
天然エンドウマメデンプン及びCLEARAM(登録商標)LI4000は、試験した他のデンプンよりも有意に硬いテクスチャーを示す。
【0095】
【表6】
【0096】
天然及び架橋エンドウマメデンプン以外のデンプンは、貧弱なテクスチャーと考えられ、最終製品の価値を低下させる、弱くて粘着性のあるテクスチャーを与える。
【0097】
したがって、エンドウマメデンプン、特に天然及び架橋エンドウマメデンプンは、肉製品に興味深いテクスチャーを付与することが見出された。
【0098】
製造歩留まりを増加させるために、デンプンの使用は、食品産業において一般的な手段である。しかしながら、ジャガイモ及びタピオカデンプンなどの一般的に使用されるデンプンは、最終製品の硬さの低下及び粘度の増加をもたらす。
【0099】
ここで、天然又は架橋加工エンドウマメデンプンを使用することによって、最終製品の粘着性を増加させることなく、製造歩留まりを最適化することができることが実証される。
【0100】
実施例2:肉製品の成分としての天然及び化工デンプン(様々な植物源由来)の特性の比較-再構成されたレシピへのデンプンの添加
ここで、異なるデンプン(天然及び化学的に変性した)を再構成されたベースの肉レシピに添加する。
【0101】
試験した成分:
-TOYATAKAHASHIによって生産された天然ジャガイモデンプン。
-本出願人によりPea Starch N-735の名称で市販されている天然エンドウマメデンプン。
-UFCによってアジアで生産された天然タピオカデンプン。
-CLEARAM(登録商標)LG0020の名称で本出願人によって市販されている高アセチル化エンドウマメデンプン。そのアセチル価は1.9であり、その置換度は0.071であり、その糊化温度は67.9℃である。
-65.9℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)PI10の名称で本出願人によって市販されている低架橋ジャガイモデンプン。
-リン含有量が粗デンプン1kg当たり5mg~10mgとなるように、0.0385%w/wのSTMPで処理されたデンプンスラリーから古典的に製造された低架橋エンドウマメデンプン。その糊化温度は75.4℃である。
-95℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)LI 4000の名称で本出願人によって市販されている高架橋エンドウマメデンプン。
【0102】
レシピ及びプロセス
異なる種類のデンプンの効果を判定するためのレシピ(「赤身肉」と「脂肪」の比を一定に維持する)。
【0103】
【表7】
【0104】
「赤身肉」対「脂肪」の比率が変化する場合の異なる種類のエンドウマメデンプン(天然及び化学的に変性した)の効果を判定するためのレシピ。
【0105】
【表8】
【0106】
プロセス:
-再水和NUTRALYS(登録商標)T70S。
-水とNUTRALYS(登録商標)T70Sを混合し、室温で60分間保存する。
-60分後、再水和したNUTRALYS T70SをROBOT COUPEに入れ、次いで、開始ボタンを約40秒間押す。
-肉パティの製造。
-HOBART N-50を使用して、相A、牛挽肉及び牛脂肪挽肉及び塩を混合する。139rpmで1.5分+1.5分、合計3分間混合する。
-相B及びTPP部分を加え、139rpmで5分間混合する。
-混合プロセスの直後に得られた製品の温度を14℃に調節する。
-製品を100gのポーションに分け、そのポーションをハンバーガーステーキの形状に成形する。
-ハンバーガーステーキの中心の温度が80℃になるまで、180℃のスチームコンベクションオーブンで焼成する。約10.5分、90%乾燥条件。
-IQF:噴射冷凍機、-40℃、1.5時間。
【0107】
分析方法
肉パティの歩留まり率
-焼成後
焼成後、パティを秤量する。歩留まり率を計算する:焼成後の重量/100g(焼成前)×100
-マイクロ波処理後
マイクロ波処理の前後にパティを秤量する。歩留まり率を計算する:マイクロ波処理後の重量/マイクロ波処理前の重量
【0108】
肉パティのテクスチャー
テクスチャーアナライザ:(Shimadzu EZ-SX)
パティを電子レンジで500Wで2分間温める。
【0109】
ハンバーガーステーキパティをステージ上に置き、下記の条件下で歯形チップで押す。
【0110】
条件:
プランジャー:歯形チップ
速度:1mm/秒、20mm厚
サンプルサイズ:ハンバーガーステーキ1個[100g/ハンバーガーステーキ型]。
【0111】
分析結果
ハンバーガーステーキに対する異なる種類のデンプンの影響。結果を以下の表に示し、図2に示す。
【0112】
【表9】
【0113】
【表10】
【0114】
【表11】
【0115】
エンドウマメデンプン及びその誘導体は、対照及び他の種類のデンプンよりも高いゲル化特性を示す。したがって、エンドウマメデンプンは独特の特徴を有する。
【0116】
更に、特に架橋エンドウマメデンプンは、より良好なテクスチャーを示す。
【0117】
「赤身肉」対「脂肪」の比率が変化する場合のハンバーガーステーキに対する異なる種類のエンドウマメデンプンの影響
天然及び化工デンプンを用いたハンバーガーステーキのテクスチャーの比較の結果を以下の表に示し、図3に示す(硬さ)。
【0118】
【表12】
【0119】
焼成プロセスの前後で比較した製造歩留まりの結果を以下の表に示す。
【0120】
【表13】
【0121】
調理プロセス[マイクロ波装置]の歩留まりの結果を以下の表に示す。
【0122】
【表14】
【0123】
製造歩留まり及び調理歩留まりを用いて計算した全歩留まりは以下の通りである。
【0124】
【表15】
【0125】
最終製品の硬さは、赤身肉及び脂肪の割合によって影響される。赤身肉の割合が高いほど、牛の挽肉のテクスチャー/硬さが改善される。しかしながら、赤身肉の市場価格は脂肪の市場価格よりも高い。したがって、赤身肉の割合を増加させることは、コストを増加させる。
【0126】
本発明者らは、ここで、エンドウマメデンプン又は特定の加工エンドウマメデンプンの使用が、最終製品の硬さを増加させることも可能にすることを見出した。
【0127】
エンドウマメデンプン又はその架橋誘導体を用いて得られた製品のテクスチャーは、より高い割合の赤身肉を用いて製造された製品のテクスチャーと同様である。このことは、エンドウマメデンプン及びその架橋誘導体が、製品中の赤身肉及び脂肪の割合を変化させる必要なくテクスチャーを改善することができることを明確に示す。
【0128】
「赤身肉」対「脂肪」の比が変化する場合のハンバーガーステーキに対する異なる種類のデンプン(エンドウマメ対タピオカ)の影響。
天然及び化工デンプンを用いたハンバーガーステーキのテクスチャーの比較の結果を以下の表に示し、図4に示す(硬さ)。
【0129】
【表16】
【0130】
タピオカデンプンを用いると、タピオカデンプンはエンドウマメデンプン特有の性質を持たないため、赤身肉と脂肪の比率を変えることによってのみ、ハンバーガーステーキのテクスチャーを改善することができる。天然タピオカデンプンの場合、天然エンドウマメデンプンを用いた挽肉ステーキと同じテクスチャーを達成するために、赤身肉の割合を約10%増加させることが必要である。
【0131】
これは、エンドウマメデンプン及びその架橋誘導体がタピオカデンプンよりも顕著に有利であることを示している。
【0132】
したがって、エンドウマメデンプン、特に天然又は架橋エンドウマメデンプンは、肉製品に興味深いテクスチャーを付与するということができる。
【0133】
製造の歩留まりを増加させるために、デンプンの使用が一般的な方法である。
【0134】
しかしながら、一般的に使用されるデンプン、ジャガイモ及びタピオカは、最終製品テクスチャーの硬さの低下及び粘度の増加を引き起こす。したがって、この場合、最終製品のテクスチャー品質は不十分である。
【0135】
これに反して、天然又は架橋加工エンドウマメデンプンを使用することによって、最終製品の粘着性を増加させることなく、製造歩留まりを増加させることができる。
【0136】
優れたテクスチャーを有する優れた製品を製造するためには、全肉成分中の赤身肉の割合を増加させなければならない。
【0137】
対照的に、エンドウマメデンプン及びその誘導体は、赤身肉の割合を増加させることなく、テクスチャーを改善することができる。したがって、エンドウマメデンプンは、肉成分のコストを変えることなく、より良好なテクスチャーを提供することができる。
【0138】
実施例3:肉製品において天然エンドウマメデンプンの代わりに架橋デンプンを使用することの技術的利点
試験した成分:
-TOYATAKAHASHIによって生産された天然ジャガイモデンプン。
-65.9℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)P110の名称で本出願人によって市販されている低架橋ジャガイモデンプン。
-本出願人によりPea Starch N-735の名称で市販されている天然エンドウマメデンプン。
-0.0385%w/wのSTMPで処理されたデンプンスラリーから古典的に製造され、リン含有量が粗デンプン1kg当たり5mg~10mgである、低架橋エンドウマメデンプン。その糊化温度は75.4℃である。
-95℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)LI 4000の名称で本出願人によって市販されている高架橋エンドウマメデンプン。
【0139】
レシピ
デンプンの種類の影響をチェックすることを目的とするもの。
【0140】
【表17】
【0141】
プロセス:
-再水和NUTRALYS(登録商標)T70S。
-水とNUTRALYS(登録商標)T70Sとを混合し、室温で60分間保存する。
-60分後、再水和したNUTRALYS(登録商標)T70SをROBOT COUPEに入れ、次いで、開始ボタンを約40秒押す。
-肉パティの製造。
-HOBART N-50を使用して、相A、牛挽肉及び牛脂肪挽肉及び塩を混合する。139rpmで1.5分+1.5分[合計3分]間混合する。
-相B及びTPP部分を加え、139rpmで5分間混合する。
-混合プロセスの直後に得られた製品の温度を14℃に調節する。
-製品を100gのポーションに分け、そのポーションをハンバーガーステーキの形状に成形する。
-スチームコンベクションオーブンを用いて、180℃で、指定された長さ8.5分間、10分間、10.5分間、11分間、11.5分間、15分間又は20分間焼成する。
-IQF:噴射冷凍機、-40℃、1.5時間
【0142】
分析方法
肉パティの歩留まり率
-焼成後
焼成後、パティを秤量する。歩留まり率を計算する:焼成後の重量/100g(焼成前)×100
-マイクロ波処理後
マイクロ波処理の前後にパティを秤量する。歩留まり率を計算する:マイクロ波処理後の重量/マイクロ波処理前の重量
【0143】
肉パティのテクスチャー
テクスチャーアナライザ:(Shimadzu EZ-SX)
パティを電子レンジで500Wで2分間温める。
【0144】
ハンバーガーステーキパティをステージ上に置き、下記の条件で歯形チップで押す。
【0145】
条件:
プランジャー:歯形チップ
速度:1mm/秒、20mm厚
サンプルサイズ:ハンバーガーステーキ1個[100g/ハンバーガーステーキ型]
【0146】
分析結果
異なる種類のデンプンのハンバーガーステーキへの影響
硬さの結果を以下の表に示し、図5に示す。
【0147】
【表18】
【0148】
焼成条件の影響。
硬さの結果を以下の表に示し、図6(焼成プロセスの長さに依存する)及び図7(ハンバーガーステーキの温度に依存する)に示す。
【0149】
【表19】
【0150】
したがって、挽肉ステーキの硬さは、調理プロセスの延長とともに変化する。言い換えれば、挽肉ステーキのテクスチャーは、温度の変化によって影響を受ける。
【0151】
更に、テクスチャーにおけるこの変化は、使用されるデンプンの種類によって影響される。
【0152】
架橋デンプンは、天然デンプンとは異なり、挽肉ステーキのテクスチャーを維持するか、又は更に改善することができる。
【0153】
天然エンドウマメデンプンの場合、天然エンドウマメデンプンはその機能を失い、これは、サンプルの温度が80℃を超える温度に上昇すると、挽肉ステーキの硬さが低下することを意味する。
【0154】
反対に、CLEARAM(登録商標)LI4000高架橋エンドウマメデンプン又は低架橋エンドウマメデンプンを用いた挽肉ステーキの硬さは、挽肉ステーキの温度とともに増加する。
【0155】
更に、温度が81℃を超えた後、CLEARAM(登録商標)LI4000及び低架橋エンドウマメデンプンの挽肉ステーキの硬さは、天然エンドウマメデンプンのテクスチャーよりも優れており、その機能を継続的に示すことに留意することは興味深い。
【0156】
結論として、81℃を超えて加工される製品については、架橋エンドウマメデンプンが、天然エンドウマメデンプンよりも良好な機能性成分として推奨される。
【0157】
実施例4:異なる量の架橋エンドウマメデンプンを用いた肉製品レシピの比較
【0158】
1.肉製品中の成分としての架橋エンドウマメデンプンの最大取り込み量の決定。
試験した成分:
95℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)LI 4000の名称で本出願人によって市販されている高架橋エンドウマメデンプン。
【0159】
【表20】
【0160】
プロセス:
-再水和NUTRALYS(登録商標)T70S:
-水とNUTRALYS(登録商標)T70Sを混合し、室温(RT)で60分間保存する。
-60分後、再水和したNUTRALYS(登録商標)T70SをROBOT COUPEに入れ、次いで、開始ボタンを約40秒間押す。
-肉パティの製造:
-HOBART N-50を使用して、相A、牛挽肉及び牛脂肪挽肉及び塩を混合する。139rpmで1.5分+1.5分[合計3分]間混合する。
-相B及びTPP部分を加え、139rpmで5分間混合する。
-混合プロセスの直後に得られた製品の温度を14℃に調節する。
-製品を100gのポーションに分け、そのポーションをハンバーガーステーキの形状に成形する。
-スチームコンベクションオーブンを用いて180℃で10.5分間焼成する。[90%乾燥条件]
-IQF噴射冷凍機、-40℃、1.5時間
【0161】
分析方法
テクスチャーアナライザ:(Shimadzu EZ-SX)
パティを電子レンジで500Wで2分間温める。
【0162】
ハンバーガーステーキパティをステージ上に置き、下記の条件下で歯形チップで押す。
【0163】
条件:
プランジャー:歯形チップ
速度:1mm/秒、20mm厚
サンプルサイズ:ハンバーガーステーキ1個[100g/ハンバーガーステーキ型]
【0164】
分析結果
硬さの結果を以下の表及び図8に示す。
【0165】
【表21】
【0166】
したがって、パティの製造のためのデンプンの最大添加量は25%である。デンプンが50%のハンバーガーでは、パティを製造することができない。
【0167】
2.肉製品中の成分としての架橋エンドウマメデンプンの有効取り込みレベルの決定。
試験した成分:
-95℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)LI 4000の名称で本出願人によって市販されている高架橋エンドウマメデンプン。
-本出願人によりPea Starch N-735の名称で市販されている天然エンドウマメデンプン。
-TOYATAKAHASHIによって生産された天然ジャガイモデンプン。
【0168】
【表22】
【0169】
【表23】
【0170】
【表24】
【0171】
プロセス:
-再水和NUTRALYS(登録商標)T70S
-水とNUTRALYS(登録商標)T70Sを混合し、室温で60分間保存する。
-60分後、再水和したNUTRALYS(登録商標)T70SをROBOT COUPEに入れ、次いで、開始ボタンを約40秒押す。
-肉を含まないパティの製造
-HOBART N-50を使用して、相A、牛挽肉及び牛脂肪挽肉及び塩を混合する。139rpmで1.5分+1.5分[合計3分]間混合する。
-相B及びTPP部分を加え、139rpmで5分間混合する。
-混合プロセス直後の製品の温度を12℃に調整する。
-それぞれ100gに分け、ハンバーガーステーキ形状に成形する。
-スチームコンベクションオーブンを用いて180℃で10.5分間焼成する。[90%乾燥条件。]
-IQF[噴射冷凍機、-40℃ 1.5時間]
【0172】
分析方法
この実施例3で上述したものと同じ
【0173】
分析結果
硬さの結果を以下の表に示す。
【0174】
【表25】
【0175】
【表26】
【0176】
結論:
パティを製造するためのデンプンの最大添加量は25%であり、デンプンの最小添加量は1%である。
【0177】
天然エンドウマメデンプン又はCLEARAM(登録商標)LI4000などの架橋エンドウマメデンプンを含むバーガーと、天然ジャガイモデンプンを含むバーガーとの間には、バーガー中のデンプン含量が1重量%超である場合テクスチャーに有意差(σ1)が存在する。
【0178】
実施例5:肉類似物中の成分としての天然デンプン及び化工デンプン(様々な植物源由来)の特性の比較
試験した成分:
-TOYATAKAHASHIによって生産された天然ジャガイモデンプン。
-本出願人によりPea Starch N-735の名称で市販されている天然エンドウマメデンプン。
-UTCによって製造された天然タピオカデンプン
-同じ名称で本出願によって市販されている天然トウモロコシデンプン。
-CLEARAM(登録商標)LG0005の名称で本出願人によって市販されている低アセチル化エンドウマメデンプン。そのアセチル価は、0.25%~0.5%である。その糊化温度は72.95℃である。
-CLEARAM(登録商標)LG0020の名称で本出願人によって市販されている高アセチル化エンドウマメデンプン。そのアセチル価は1.9であり、その置換度は0.071であり、その糊化温度は67.9℃である。
-65.9℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)PI10の名称で本出願人によって市販されている低架橋ジャガイモデンプン。
-リン含有量が粗デンプン1kg当たり5mg~10mgとなるように、0.0385%w/wのSTMPで処理されたデンプンスラリーから古典的に製造された低架橋エンドウマメデンプン。その糊化温度は75.4℃である。
-95℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)LI 4000の名称で本出願人によって市販されている高架橋エンドウマメデンプン。
【0179】
レシピ及びプロセス
【0180】
【表27】
【0181】
NUTRALYS(登録商標)F85Fは、本出願人によって市販されている機能性黄エンドウマメタンパク質である。
【0182】
【表28】
【0183】
【表29】
【0184】
プロセス:
-再水和NUTRALYS(登録商標)T70S。
-水とNUTRALYS(登録商標)T70Sを混合し、室温で60分間保存する。
-60分後、再水和したNUTRALYS(登録商標)T70SをROBOT COUPEに入れ、次いで、開始ボタンを約40秒押す。
-肉を含まないパティの製造。
-再水和したTPP、油部分、水及びメチルセルロースを含まない粉末部分をミキサー、HOBARTに加え、冷却室で5分間混合する。
-その間、メチルセルロースと砕いた氷を混合し、冷凍庫で5分間保存する。
-メチルセルロースを添加し、冷却室で3.5分間混合する。
-ペーストを80グラムの型に入れる。
-このポーションを98℃で10分間蒸気処理する。
-IQF噴射冷凍機、-40℃ 1.5時間
【0185】
分析方法
肉を含まないパティの歩留まり率
-焼成後
焼成後、パティを秤量する。歩留まり率を計算する:焼成後の重量/100g(焼成前)×100
-マイクロ波処理後
マイクロ波処理の前後にパティを秤量する。歩留まり率を計算する:マイクロ波処理後の重量/マイクロ波処理前の重量
【0186】
肉を含まないパティのテクスチャー
テクスチャーアナライザ:(Shimadzu EZ-SX)
パティを電子レンジで500Wで2分間温める。
【0187】
厚さ2cmのハンバーガーステーキパティを切断し、断面を上に向けてステージ上に置き、以下の条件でシリンダーチップで押す。
【0188】
条件:
プランジャー:2cmシリンダーチップ
速度:1mm/秒、2回。
サンプルサイズ:2cm厚ハンバーガーステーキ[100g/ハンバーガーステーキ型]
【0189】
パティーテクスチャーの官能評価
官能試験員数:3
【0190】
全てのサンプルを一度に試験し、スコア化した。最低スコアは-3であり、最高スコアは3である。
【0191】
【表30】
【0192】
分析結果
肉を含まない製品におけるデンプンの植物起源の影響の結果を、以下の表及び図9に示す。
【0193】
【表31】
【0194】
【表32】
【0195】
【表33】
【0196】
エンドウマメデンプンを用いた製品は、他の起源のデンプンを用いた製品と比較して、最も高い硬さを示した。
【0197】
更に、天然エンドウマメを用いた製品のみが、「0」より高いスコアを得た。肉を含まない製品におけるデンプンの変性の影響の結果を、以下の表及び図10に示す。
【0198】
【表34】
【0199】
【表35】
【0200】
架橋は、より硬いテクスチャーを得るために好ましく、歩留まりに著しい悪影響を与えない。
【0201】
架橋エンドウマメデンプンを用いた製品は、ジャガイモデンプンを用いた製品よりも有意に高い硬さを有する。
【0202】
肉を含まないパティのデンプンの変性レベル及び含水量の影響の結果を、以下の表及び図11に示す。硬さの評価結果
【0203】
【表36】
【0204】
【表37】
【0205】
架橋エンドウマメデンプンを用いた製品は、天然エンドウマメデンプンを用いた製品よりも有意に良好な硬さを示した。
【0206】
更に、架橋エンドウマメデンプンを含有する肉を含まないパティ、及び含水量が低減された肉を含まないパティについて同じテクスチャーが観察された。
【0207】
このことは、架橋エンドウマメデンプンの添加が、より低い含水量を有する肉を含まない製品のテクスチャーを模倣することができることを明確に示す。
【0208】
したがって、架橋エンドウマメデンプンの使用は、肉を含まない製品のテクスチャーを改善することができ、プレミアムレシピに従って製造され、より少ない水を使用した、肉を含まない製品を模倣することができる。
【0209】
実施例6:肉類似物中の成分としての2つの異なる化工エンドウマメデンプンの比較
ここでは、架橋変性が最良の結果を達成する最良の方法であることを確認するために、肉類似物中の成分としてのアセチル化及び架橋エンドウマメデンプンの効果を試験した。
【0210】
従うべき最良の添加量を決定するための要素も与えられる。
【0211】
試験した成分:
-CLEARAM(登録商標)LG0005の名称で本出願人によって市販されている低アセチル化エンドウマメデンプン。そのアセチル価は、0,25%~0,5%である。その糊化温度は72.95℃である。
-CLEARAM(登録商標)LG0020の名称で本出願人によって市販されている高アセチル化エンドウマメデンプン。そのアセチル価は1.9であり、その置換度は0.071であり、その糊化温度は67.9℃である。
-65.9℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)PI10の名称で本出願人によって市販されている低架橋ジャガイモデンプン。
-リン含有量が粗デンプン1kg当たり5mg~10mgとなるように、0.0385%w/wのSTMPで処理されたデンプンスラリーから古典的に製造された低架橋エンドウマメデンプン。その糊化温度は75.4℃である。
-95℃の糊化温度を有する、CLEARAM(登録商標)LI 4000の名称で本出願人によって市販されている高架橋エンドウマメデンプン。
【0212】
レシピ
エマルジョンカードのレシピ
【0213】
【表38】
【0214】
再水和したNUTRALYS(登録商標)T70Sのレシピ
肉を含まない(組織化されたエンドウマメタンパク質)パティのレシピ
【0215】
【表39】
【0216】
肉を含まない(組織化されたエンドウマメタンパク質)パティのレシピ
【0217】
【表40】
【0218】
【表41】
【0219】
プロセス:
-エマルジョンレシピ
-メチルセルロースを液体植物油に分散させる。
-ミキサー、ROBOT COUPE内で氷+水を調製する。
-混合中に、その混合した油をROBOT COUPEに添加する。
-これをHobartと1分間混合し、スパチュラでよく混合する。その後、1分間混合し、スパチュラで混合し、合計混合時間として3分間混合する。
-そのエマルジョンを冷蔵庫に保存する。
-再水和NUTRALYS(登録商標)T70S
-水とNUTRALYS(登録商標)T70Sを混合し、室温で60分間保存する。
-60分後、再水和したNUTRALYS(登録商標)T70SをROBOT COUPEに入れ、次いで、NUTRALYS(登録商標)T70Sを切断するために、開始ボタンを約40回押す。
-肉を含まないパティの製造。
-エンドウマメタンパク質粉末、エマルジョン、再水和したNUTRALYS(登録商標)T70S、NaCl、MAG及びデンプンを、ミキサー、HOBARTに添加する。
-それらをダイヤル1で3分間混合する。
-ペーストを80グラムの型に入れる。
-これを98℃で10分間蒸気処理する。
-IQF
【0220】
分析方法
テクスチャーアナライザ:(Shimadzu EZ-SX)
パティを電子レンジで500Wで2分間温める。
【0221】
ハンバーガーステーキパティをステージ上に置き、下記の条件でボール型チップで押す。
【0222】
条件:
プランジャー:1/2inc(1.27cm)ボール形状チップ
速度:1mm/秒
サンプルサイズ:1食[80g/ハンバーガーステーキ型]
【0223】
分析結果
デンプンの種類及び量の影響[プロセス歩留まり]
LG0020と、LG0005と、低アセチル化エンドウマメデンプンと、LI4000と、PI10との間で差異を比較した。
蒸気処理プロセスの前後での重量変化。
マイクロ波再加熱プロセスの前後での重量変化。
【0224】
蒸気後の歩留まりの結果を以下の表及び図12に示す。
【0225】
【表42】
【0226】
【表43】
【0227】
デンプン添加量が高いほど、歩留まりが高いことが見出された。
【0228】
【表44】
【0229】
【表45】
【0230】
デンプン添加量が高いほど、歩留まりが高いことが見出された。
【0231】
デンプンの種類及び添加量の影響を以下の表及び図13図18に示す。
【0232】
【表46】
【0233】
【表47】
【0234】
したがって、デンプン添加量が>0.5%である場合、デンプンの種類は、肉を含まない野菜製品の場合には最終製品のテクスチャーに直接影響を及ぼすことが見出された。パティに対する最良のデンプン添加量は5%である。
【0235】
デンプンの変性に関して、架橋デンプンを用いた製品は、アセチル化デンプンを用いたものよりも硬く、粘着性が低い。
【0236】
架橋デンプンに関しては、変性が高いほど、このデンプンを含有する製品のテクスチャーが硬くなる。
【0237】
アセチル化デンプンについては、変性が高いほど、デンプン製品の硬さは低くなる。
【0238】
したがって、肉を含まない製品の技術分野では、CLEARAM(登録商標)LI4000デンプンが最良の選択である。
【0239】
更に、CLEARAM(登録商標)P110と低架橋エンドウマメデンプンとの比較はまた、エンドウマメデンプンを含有する製品の硬さが、初めにジャガイモデンプンを用いた製品の硬さよりも高いことを示し、このことはエンドウマメデンプンを推奨する利点を強固にする。
【0240】
実施例7:肉類似物中の成分としての天然及び化工リョクトウデンプンの特性の比較
試験した成分:
-市販の天然リョクトウデンプン(SITTINAN Co.Ltd,Thailand)
-0.0385%w/wのSTMPで6時間処理したデンプンスラリーから古典的に製造された低架橋リョクトウデンプン。
-0.6%w/wのSTMPで6時間処理したデンプンスラリーから古典的に製造された高架橋リョクトウデンプン。
【0241】
【表48】
【0242】
プロセス:
-再水和したNUTRALYS T70S。
-水とNUTRALYS T70Sとを混合し、室温で60分間保存する。
-60分後、再水和したNUTRALYS T70SをROBOT COUPEに入れ、次いで、開始ボタンを約40秒間押す。
-肉を含まないパティの製造。
-HOBART N-50を使用して、相A、牛挽肉及び牛脂肪挽肉及び塩を混合する。139rpmで1.5分+1.5分間混合する。[合計3分]
-相B及びTPP部分を加え、139rpmで5分間混合する。
-混合プロセス直後の製品の温度を14℃に調整する。
-それぞれ100gに分け、ハンバーガーステーキ形状に成形する。
-スチームコンベクションオーブンを用いて180℃で10.5分間焼成する[90%乾燥条件。]
-IQF[噴射冷凍機、-40℃ 1.5時間]
【0243】
分析方法
肉を含まないパティの歩留まり率
-焼成後
焼成後、パティを秤量する。歩留まり率を計算する:焼成後の重量/100g(焼成前)×100
-マイクロ波処理後
マイクロ波処理の前後にパティを秤量する。歩留まり率を計算する:マイクロ波処理後の重量/マイクロ波処理前の重量
【0244】
肉を含まないパティのテクスチャー
テクスチャーアナライザ:(Shimadzu EZ-SX)
パティを電子レンジで500Wで2分間温める。
【0245】
ハンバーガーステーキパティをステージ上に置き、下記の条件で歯形チップで押す。
条件:プランジャー:歯形チップ
速度:1mm/秒、20mm厚
サンプルサイズ:ハンバーガーステーキ1個[100g/ハンバーガーステーキ型]。
【0246】
分析結果
デンプンを用いた肉パティ
【0247】
【表49】
【0248】
【表50】
【0249】
【表51】
【0250】
コメント:天然リョクトウ及び架橋リョクトウの歩留まり率は、対照よりも高い。
【0251】
結果は、天然及び架橋リョクトウデンプンの使用が製造及び調理歩留まりに対する正の影響を有することを示す。
【0252】
【表52】
【0253】
更に、天然リョクトウ及び低架橋リョクトウデンプンと対照との間の比較はまた、リョクトウデンプンを含有する製品の硬さがより高いことを示し、このことは、この用途のためにリョクトウデンプンを推奨する利点を強固にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】