(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】光保護パーソナルケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20240822BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20240822BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/40
A61K8/44
A61K8/49
A61K8/46
A61K8/33
A61Q17/04
A61K8/86
A61K8/36
A61K8/34
A61K8/891
A61K8/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513705
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2022073446
(87)【国際公開番号】W WO2023030963
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ,アディティ・ジェイアヴァント
(72)【発明者】
【氏名】クンドゥ,プージャ・ブペシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラホルカール,プラフル・グラブ・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】パワル,アンキタ・ルトゥ
(72)【発明者】
【氏名】ペルマル,ラージクマール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイディア,アシシュ・アナント
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB171
4C083AB172
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC341
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC511
4C083AC512
4C083AC532
4C083AC551
4C083AC642
4C083AC781
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD111
4C083AD151
4C083AD352
4C083AD531
4C083BB04
4C083CC04
4C083CC19
4C083DD23
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は光保護パーソナルケア組成物に関し、この組成物は、高い日焼け防止因子を提供すると共に、非常に良好な光安定性、およびこのような組成物が皮膚に塗布されたときに消費者が期待する感覚特性を提供する。これは油溶性日焼け止め剤と、水溶性日焼け止め剤と、9から20の範囲のHLB値を有する非イオン性界面活性剤と、脂肪酸と、保湿剤と、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーおよび疎水性修飾シリカのうちの1つ以上から選択されるポリマーとの組み合わせを含む組成物によって達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)0.1から10重量%の油溶性日焼け止め剤と、
(ii)0.2から5重量%の水溶性日焼け止め剤と、
(iii)9から20の範囲のHLB値を有する0.1から5重量%の非イオン性界面活性剤と、
(iv)3から25重量%の脂肪酸と、
(v)0.4から10重量%の保湿剤と、
(vi)(a)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーおよびb)疎水性修飾シリカのうちの1つ以上から選択される0.25から5重量%のポリマーと
を含む、光保護組成物。
【請求項2】
前記油溶性日焼け止め剤が、オクチルサリチラート、3,3,5トリメチルクロヘキシル2-ヒドロキシ安息香酸、エチルヘキシルサリチラート、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエート、2-エチルヘキシル-4-メトキシシンナメートおよびオクチルメトキシシンナメートのうちの1つ以上から選択されるUV-B日焼け止め剤、またはジベンゾイルメタン化合物、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートおよびアントラニル酸メチルのうちの1つ以上から選択されるUV-A日焼け止め剤から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ジベンゾイルメタン化合物が、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチル-ジベンゾイルエタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンおよび2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタンのうちの1つ以上から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水溶性日焼け止め剤が、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、ベンゾフェノン-4およびベンジリデンカンファースルホン酸の1つ以上から選択されるUV-B日焼け止め剤、または、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウムおよびテレフタリリデンジカンファースルホン酸のうちの1つ以上から選択される水溶性UV-A日焼け止め剤から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記非イオン性界面活性剤が、12から20の範囲のHLB値を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記非イオン性界面活性剤が、脂肪アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、およびポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルのうちの1つ以上、好ましくは脂肪アルコールエトキシレートまたは脂肪酸エトキシレートから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記保湿剤が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、グリセロール、エトキシル化グリセロール、およびプロポキシ化グリセロールの1つ以上から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記脂肪酸が、ステアリン酸およびパルミチン酸の1つ以上、好ましくはステアリン酸およびパルミチン酸の混合物から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも15のインビトロ日焼け防止指数(SPF)を提供する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を所望の皮膚表面に塗布するステップを含む、少なくとも15の日焼け防止指数(SPF)を有する光保護を提供する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光保護パーソナルケア組成物に関し、この組成物は、高い日焼け防止因子を提供し、光安定性であると共に、このような組成物が皮膚に塗布されたときに消費者が期待する非常に良好な感覚特性を提供する。
【背景技術】
【0002】
太陽放射線は、約5%の紫外線(UV)を含み、その波長は200nm~400nmである。これは、320から400nm(UV-A)、280から320nm(UV-B)および200から280nm(UV-C)の3つの領域にさらに分割される。UV-C放射線のかなりの部分がオゾンによって吸収される。科学的研究は、UV-AおよびUV-B放射線への短期間の曝露が、色素沈着、皮膚の発赤および局所的な刺激を引き起こす一方で、継続的または長期的曝露が、日焼け、黒色腫、しわおよび加齢斑の形成をもたらし得ることを示している。UV放射線はまた、毛髪に著しい損傷を引き起こすと考えられている。したがって、人体の皮膚および他のケラチン基質をUV-AおよびUV-B放射線の両方の有害な影響から保護することが望ましい。これは、高いSPF(日焼け防止指数)を提供する化粧品組成物を介して実行される。
【0003】
紫外線の有害な影響から皮膚を予防および/または保護するための様々な化粧品が報告されている。UV-A線を吸収することができる多数の有機日焼け止め剤が化粧品の分野で報告されており、その中で特に有用な日焼け止め剤はt-ブチルメトキシジベンゾイルメタンである(アボベンゾンとしても知られ、Parsol(登録商標)1789として販売されている)。様々なUV-B日焼け止め剤が、UV-B放射線から保護するためのパーソナルケア組成物に使用されている。多くの化粧品製造業者は、UV放射線の全範囲にわたって保護を提供するために、UV-AおよびUV-B日焼け止め剤を光保護組成物に含めることを好む。
【0004】
本出願人からの1つのそのような特許は、欧州特許第2575748号として公開されており、高いSPFをもたらす組成物を開示している。この刊行物は、特定の油溶性日焼け止め剤の使用のみを開示している。この特許における日焼け防止の有効性は、脂肪酸および場合によりある特定のポリマーと組み合わせて、特定の非イオン性界面活性剤を含めることによって増強される。多くの水溶性日焼け止め剤の出現により、本発明者らは、より良好なSPFをもたらすために、油溶性および水溶性日焼け止め剤の組み合わせを実験した。広範な実験の過程で、本発明者らは、光安定性を確実にしながら、かつ同時に、皮膚に組成物を塗布するときに所望の感覚的感触で消費者を満足させながら、このアプローチで高いSPFをもたらすことが、困難な作業であることに気付いた。この研究の過程における1つの発見は、水溶性日焼け止め剤が組成物に含まれる場合、特定の保湿剤を含むことによってのみ、所望の高いSPFが達成され得ることであった。この高いSPFは、皮膚の黒ずみを確実に防ぎ、しみや暗い斑が減少することを確実にした。
【0005】
しかしながら、このようにして調製された組成物は、光安定性が不十分であり、感覚的にも不十分であることが分かった。良好な感覚とは、組成物が過度に油状になることなく皮膚に良好な保湿感を与えることを意味する。言い換えれば、消費者は、艶消し(非油性)の外観を楽しみながら、皮膚上の湿った感触を期待する。また、広がりやすさ、皮膚上の穏やかで優しい感触など、他の属性も期待される。水溶性および油溶性日焼け止め剤の両方を有する組成物において、特定の非イオン性界面活性剤、脂肪酸および特定の保湿剤を含めることによって高いSPFを確保したが、本発明者らは依然として所望の感覚的属性に難儀していた。本発明者らは、いくつかの選択肢を実験した後、高いSPFを維持することを確実にするだけでなく、所望の感覚的属性が達成される、ある特定のクラスのポリマーに行き当たった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、高いSPFを与えるだけでなく光安定性でもある、油溶性および水溶性日焼け止め剤の両方を含む光保護パーソナルケア組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、光安定性であり、高いSPFを与え、また、保湿、艶消し感、広がりやすさ、および皮膚上の穏やかで優しい感触のような皮膚に塗布したときの所望の感覚的属性をもたらす、光保護パーソナルケア組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、
(i)0.1から10重量%の油溶性日焼け止め剤と、
(ii)0.2から5重量%の水溶性日焼け止め剤と、
(iii)9から20の範囲のHLB値を有する0.1から5重量%の非イオン性界面活性剤と、
(iv)3から25重量%の脂肪酸と、
(v)0.4から10重量%の保湿剤と、
(vi)(a)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーおよびb)疎水性修飾シリカのうちの1つ以上から選択される0.25から5重量%のポリマーと
を含む光保護組成物に関する。
【0009】
本発明の別の態様は、第1の態様の組成物を所望の皮膚表面に塗布するステップを含む、少なくとも15のインビトロ日焼け防止指数(SPF)による光保護を提供する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
これらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことによって当業者には明らかになるであろう。誤解を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴は、本発明の任意の他の態様で利用することができる。「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙されたステップまたは選択肢は網羅的である必要はない。以下の説明で与えられる実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図していないことに留意されたい。同様に、別段の指示がない限り、全てのパーセンテージは重量/重量パーセンテージである。動作および比較例を除いて、または他に明示的に示されている場合を除いて、材料の量もしくは反応の条件、材料の物理的特性および/または使用を示す本明細書および特許請求の範囲の全ての数字は、「約」という語によって修飾されると理解されるべきである。「xからy」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「xからy」の形式で記載されている場合、異なる終点を組み合わせた全ての範囲も企図されることが理解される。
【0011】
本発明の光保護組成物は、パーソナルケアまたは化粧品用途に使用されることを意図しており、パーソナルケア組成物または化粧品組成物とも呼ばれ得る。本明細書で使用される「パーソナルケア組成物」とは、ヒトの皮膚および/または毛髪の日光に曝された領域に局所適用するための組成物を含むことを意味する。そのような組成物は、リーブオンまたはリンスオフとして分類され得、外観、クレンジング、臭気制御または一般的な審美性を改善するために人体に適用される任意の製品を含む。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スティックまたはゲルの形態であり得る。そのような日焼け止め組成物の非限定的な例としては、リーブオンスキンローション、クリーム、制汗剤、デオドラント、ファンデーション、マスカラ、日焼け止めローションおよびウォッシュオフシャンプー、コンディショナーおよびシャワージェルが挙げられる。本発明の組成物は、好ましくはリーブオン組成物である。
【0012】
本明細書で使用される「皮膚」は、顔および身体の皮膚(例えば、首、胸、背中、腕、脇の下、手、脚および頭皮)および特にその日光に曝された部分を含むことを意味する。本発明の組成物はまた、皮膚以外の人体の任意の他のケラチン性基質、例えば、光保護を改善するという特定の目的で製品が処方され得る毛髪への適用にも関連する。
【0013】
本発明の組成物は、0.1から10重量%の油溶性日焼け止め剤を含む。油溶性とは、10g/l未満、好ましくは5g/l未満、より好ましくは2g/l未満の水への溶解度を有する有機日焼け止め剤を意味する。油溶性日焼け止め剤は、UV-B型またはUV-A型であり得る。本発明による組成物は、1から8重量%のそのような日焼け止め剤を含むことが好ましい。
【0014】
油溶性UVB日焼け止め剤が含まれる場合、それは好ましくは、オクチルサリチラート、3,3,5トリメチルクロヘキシル2-ヒドロキシ安息香酸、エチルヘキシルサリチラート、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエート(オクトクリレンとしても知られる)、2-エチルヘキシル-4-メトキシシンナメートまたはオクチルメトキシシンナメート、エチルヘキシルトリアゾン、3-ベンジリデンカンファー、シノキセート、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、パラアミノ安息香酸(PABA)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート、イソアミルp-メトキシシンナメート、イソペンチルトリメトキシシンナメートトリシロキサン、イソプロピルベンジルサリチラート、イソプロピルメトキシシンナメート、4-メチルベンジリデンカンファー、PEG-25 PABA、およびペンチルジメチルPABAのうちの1つ以上である。より好ましい油溶性UVB日焼け止め剤は、オクチルサリチラート、3,3,5トリメチルクロヘキシル2-ヒドロキシ安息香酸、エチルヘキシルサリチラート、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエートおよび2-エチルヘキシル-4-メトキシシンナメートのうちの1つ以上から選択され、さらにより好ましくは、2-エチルヘキシル-4-メトキシシンナメート、エチルヘキシルサリチラートおよび2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエートのうちの1つ以上から選択される。上記日焼け止め剤が販売されている周知のブランドのいくつかは、Octisalate(登録商標)、Homosalate(登録商標)、Neo Heliopan(登録商標)、Neo Heliopan(登録商標)AV、Neo Heliopan(登録商標)OS、Octocrylene(登録商標)およびParsol(登録商標)MCXである。油溶性UV-B日焼け止め剤は、280から320nmのλmaxを有する。
【0015】
本発明の組成物は、有機油溶性UVA日焼け止め剤を含み得る。含まれる場合、それはジベンゾイルメタン化合物、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートおよびアントラニル酸メチルの1つ以上から選択される。油溶性UVA日焼け止め剤には、ジベンゾイルメタン化合物が最も好ましい。適切なジベンゾイルメタン化合物は、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチル-ジベンゾイルエタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンおよび2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタンのうちの1つ以上から選択される。最も好ましいジベンゾイルメタン化合物は、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンである。Parsol 1789として市販されている。
【0016】
本発明の組成物は、有機油溶性UVBおよび有機UVA日焼け止め剤の両方を含み得る。あるいは、UVAおよびUVBの両方のスクリーニング効力を有する特定の油溶性日焼け止め剤が存在する。これは、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ベンゾフェノンおよびその誘導体の1つ以上から選択される。最も好ましいものは、Tinosorb Sとして市販されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンである。
【0017】
本発明の組成物は、0.2から5重量%の水溶性日焼け止め剤を含む。
【0018】
水溶性日焼け止め剤とは、UVA型であろうとUVB型であろうと、日焼け止め剤の水への溶解度が25℃で10g/lより高く、好ましくは50g/lより高いことを意味する。
【0019】
本発明で使用するための好ましい水溶性UVB日焼け止め剤は、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(PBSA)、ベンゾフェノン-4またはベンジリデンカンファースルホン酸、好ましくはPBSAである。エンスリゾールとしても知られているPBSAは、Eusolex 232(Merck KGaA製)として市販されている。PBSAは、Neo Heliopan Hydro(Symrise製)、Parsol HS(DSM製)およびSunsafe ES(Uniproma製)の商品名でも入手可能である。UVAスクリーニング効力およびUVBスクリーニング効力の両方を有する特定の水溶性日焼け止め剤が存在する。そのような日焼け止め剤は、UVAおよびUVBの両方の保護を提供し、例えば、ベンゾフェノン-4が挙げられる(Sulisobenzoneとして販売されている)。しかしながら、本発明の目的のために、ベンゾフェノン-4は、水溶性UV-B日焼け止め剤として含まれてもよい。
【0020】
本発明で使用するための好ましいUVA日焼け止め剤は、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(Neoheliopan AP)またはテレフタリリデンジカンファースルホン酸(TDSA)の1つ以上である。フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウムは、ビスジスリゾール二ナトリウムとしても知られている。これは、Neo heliopan AP(Symrise Shanghai Ltd製)またはSunsafe DPDT(Uniproma製)として市販されている。
【0021】
テレフタリリデンジカンファースルホン酸(TDSA)は、エカムスールとしても知られている。これは、L’OrealによるMexoryl SX(US4585597)、またはSunsafe TDSA(Uniproma製)として市販されている。これは、所望の利益をもたらすための親酸またはその塩として使用することができる。
【0022】
組成物は、好ましくは0.1から5重量%、より好ましくは1から3重量%の水溶性UVA日焼け止め剤を含む。組成物は、好ましくは0.1から5重量%、より好ましくは1から4重量%の水溶性UVB日焼け止め剤を含む。
【0023】
本発明の組成物に含めるための水溶性日焼け止め剤は、一般に酸形態で市販されている。酸形態(予備中和形態)、すなわちスルホン酸基(-SO3H)を有する組成物に含まれる場合、組成物は、酸形態を塩形態に変換する中和剤をさらに含み、その形態では、中和の有無にかかわらず日焼け止めとして作用することができるMexoryl SXを除いて、日焼け止めとして活性であることが知られている。含まれる場合、中和剤は、好ましくは組成物の0.05重量%から4重量%、より好ましくは0.2重量%から2重量%である。中和剤としては、無機アルカリまたは有機アルカリが好ましい。有機アルカリとしては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミンが好ましい。本発明者らが観察したところ、無機アルカリが特に好ましい。アルカリ金属水酸化物が好ましい。本発明の組成物中に中和剤として含めるための最も好ましい金属水酸化物は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
【0024】
本発明の組成物は、9から20の範囲のHLB値を有する非イオン性界面活性剤を含む。より好ましくは、非イオン性界面活性剤は、12から20、さらに好ましくは12から18の範囲のHLB値を有するものから選択される。
【0025】
HLBは、グリフィン法を用いて計算され、HLB=20×Mh/Mであり、Mhは分子の親水性部分の分子質量であり、Mは分子全体の分子質量であり、0から20の任意のスケールの結果を与える。
【0026】
好ましくは、9から20の範囲のHLB値を有する非イオン性界面活性剤は、脂肪アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、およびポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルのうちの1つ以上から選択される。
組成物中の非イオン性界面活性剤として使用され得る脂肪アルコールエトキシレートの例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=16.9;Brij(登録商標)35として市販)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(HLB=16;Brij(登録商標)58として市販)、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル(HLB=18.8;Brij(登録商標)700として市販)およびラウレス-9(C12EO9;HLB=14.3;Brij(登録商標)L9として市販)が挙げられる。
【0027】
組成物中の非イオン性界面活性剤として使用され得るアルキルフェノールエトキシレートの例としては、オクチルフェノールエトキシレート(HLB=15.5;Triton(商標)X165として市販)、オクチルフェノールエトキシレート(HLB=17.6;Triton(商標)X405として市販)およびオクチルフェノールエトキシレート(HLB=18.4;Triton(商標)X705として市販)が挙げられる。
【0028】
組成物中の非イオン性界面活性剤として使用され得るポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの例としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=13.3;Tween(登録商標)21として市販)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=16.7;Tween(登録商標)20として市販)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(HLB=15.6;Tween(登録商標)40として市販)およびポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(HLB=14.9;Tween(登録商標)60として市販)が挙げられる。
【0029】
脂肪酸エトキシレートは、Myrjクラスで入手可能である。このクラスの組成物に使用するための市販の非イオン性界面活性剤の適切な例は、Myrj S40(ステアリン酸PEG-40)、Myrj S50(ステアリン酸PEG-50)またはMyrj 59(ステアリン酸PEG-100)である。
【0030】
好ましくは、組成物は、9から20の範囲のHLBを有する0.2から5重量%、より好ましくは0.5から4重量%、さらにより好ましくは1から3重量%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0031】
多価アルコール型の保湿剤は、化粧品として許容される担体として使用することができる。好ましくは、保湿剤は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、グリセロール、エトキシル化グリセロール、およびプロポキシ化グリセロールのうちの少なくとも1つである。好ましい保湿剤は、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコールおよび1,3-ブチレングリコールの1つ以上から選択される。グリセロールが最も好ましい保湿剤である。保湿剤の量は、組成物の1から10重量%、より好ましくは2から8重量%、さらにより好ましくは2から5重量%であることが好ましい。
【0032】
本発明の組成物は、(a)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーおよび(b)疎水性修飾シリカのうちの1つ以上から選択される0.25から5重量%のポリマーを含む。ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーは、シリカの有無にかかわらず存在し得る。上記の種類の様々なポリマーを本発明で使用することができる。本発明による好ましいポリマーであるジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーは、KM-9729、DOWSIL(商標)EP-9215、SeraSnowSP 13、DOWSIL(商標)9506粉末、SpecsilSPDとして入手可能である。本発明によるさらにより好ましいポリマーは、DOWSIL(商標)9701化粧品粉末として入手可能なジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(および)シリカである。使用され得る他の適切なポリマーを以下に列挙する:
DOWSIL(商標)EP-9801ハイドロ化粧品粉末として入手可能なジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(および)シリカ(および)ブチレングリコール、
DOWSIL(商標)9576スムーズアウェイエラストマーとして入手可能なジメチコン(および)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(および)ジメチコンクロスポリマー(および)蜜蝋(および)シリカ(および)シリカシリレート、
SSP100として入手可能ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(および)ポリメチルシルセスキオキサン(および)シリカジメチルシリレート、
DOWSIL(商標)EP-9289 LLとして入手可能なジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(および)ラウロイルリジン、
DOWSIL(商標)VM-2270 AerogelFine粒子、HDK(登録商標)H2000として入手可能なシリカシリレートから好ましくは選択される疎水性修飾シリカ、および
HDK(登録商標)H15、HDK(登録商標)H20、HDK(登録商標)H30、HDK(登録商標)H18として入手可能なシリカジメチルシリレート。
【0033】
ポリマーは、組成物の0.25から5重量%、好ましくは0.5から4重量%、より好ましくは1から3重量%で含まれる。
【0034】
組成物は、3から25重量%の脂肪酸を含む。脂肪酸としては、C10からC22脂肪酸が好ましく、C16からC18脂肪酸がより好ましい。最も好ましくは、脂肪酸は、ステアリン酸もしくはパルミチン酸またはそれらの混合物である。脂肪酸は、多くの場合ヒストリン酸(hystric acid)であり、これは実質的に(一般に約90から95%)、ステアリン酸とパルミチン酸との混合物である。好ましいヒストリン酸は、40~65%のC16脂肪酸および34~58%のC18脂肪酸を有するもの、または52~58%のC16脂肪酸および40~47%のC18脂肪酸を有するものである。
【0035】
組成物は、組成物の4から23重量%、より好ましくは5から20重量%、さらにより好ましくは6から17重量%の脂肪酸を含むことが特に好ましい。
【0036】
水は、組成物の35から90重量%、より好ましくは50から85重量%、さらに好ましくは50から80重量%で含まれることが好ましい。
【0037】
組成物は、球状微孔性粒子としてポリマーを含んでもよい。このタイプの好ましい粒子は、アクリレートクロスポリマータイプのものである。特に好ましい粒子の1つは、Ganzpearl 820 GMPとして入手可能である。これは、滑らかなクリーミーな感触を得て、高い油吸収性を達成するために組成物に含まれる。含まれ得る他のポリマー粒子はスチレン/アクリレートコポリマーであり、SunSpheres(商標)粉末、SunSpheres(商標)PGLおよびSunSpheres(商標)LCGの商品名でDowから入手可能である。
【0038】
先に開示した成分に加えて、組成物は、本発明の1つ以上の機能を実施するために他の成分を含んでもよく、好ましくは含み、化粧品として許容される担体も含む。皮膚軟化剤材料は、化粧品として許容される担体として役立ち得る。これらは、シリコーン油、天然または合成エステル、および炭化水素の形態であり得る。皮膚軟化剤の量は、組成物の0.1から25重量%、好ましくは1から10重量%のいずれかの範囲であり得る。シリコーン油は、揮発性および不揮発性の種類に分けることができる。本明細書で使用される「揮発性」という用語は、周囲温度で測定可能な蒸気圧を有する材料を指す。揮発性シリコーン油は、3から9個、好ましくは5から6個のケイ素原子を含有する環状(シクロメチコン)または線状ポリジメチルシロキサンから選択されることが好ましい。
【0039】
皮膚軟化剤材料として有用な不揮発性シリコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。本明細書で有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンとしては、例えば、25℃で5×106から0.1m2/sの粘度を有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。本組成物において有用な好ましい不揮発性皮膚軟化剤の中には、25℃で1×105から4×104m2/sの粘度を有するポリジメチルシロキサンがある。
【0040】
別のクラスはエステル皮膚軟化剤であり、これは10から24個の炭素原子を有する飽和脂肪酸のアルキルエステルである。例えば、ネオペンタン酸ベヘニル、イソナノ酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチルなどが挙げられる。あるいは、それらはエーテルエステル、例えばエトキシル化飽和脂肪アルコールの脂肪酸エステルである。さらに代替的には、それらは多価アルコールエステルであり、例えば、エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200~6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリプロピレングリコール2000、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3-ブチレングリコールモノステアレート、1,3-ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、満足できる多価アルコールエステルである。C1-C30アルコールのペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンおよびネオペンチルグリコールエステルが特に有用である。さらに代替的には、それらは蜜蝋、鯨ろうおよびトリベヘニンワックスなどのワックスエステルである。さらに代替的には、それらは、スクロースポリベヘネートおよびスクロースポリコットンシーデートなどの脂肪酸の糖エステルである。さらに代替的には、それらは、モノ-、ジ-およびトリ-グリセリドに主に基づく天然エステル皮膚軟化剤である。代表的なグリセリドには、ヒマワリ種子油、綿実油、ルリジサ油、ルリジサ種子油、プリムローズ油、ヒマシ油および水素化ヒマシ油、米ぬか油、大豆油、オリーブ油、ベニバナ油、シアバター、ホホバ油ならびにそれらの組み合わせが含まれる。動物由来の皮膚軟化剤は、ラノリン油およびラノリン誘導体によって代表される。天然エステルの量は、組成物の0.1から20重量%の範囲であり得る。
【0041】
適切な化粧品として許容される担体である炭化水素には、ワセリン、鉱油、C8-C18イソパラフィン、ポリブテン、および特にイソヘキサデカンが含まれ、Presperse Inc.からPermethyl(登録商標)101Aとして市販されている。
【0042】
10から30個の炭素原子を有する脂肪アルコールは、化粧品として許容される担体の別の有用なカテゴリーである。このカテゴリーの実例は、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコールおよびセチルアルコールならびにそれらの混合物である。増粘剤は、本発明による組成物の化粧品として許容される担体の一部として利用することができる。典型的な増粘剤としては、架橋アクリレート(例えば、Carbopol(登録商標)982およびCarbopol(登録商標)Ultrez 10)、疎水性修飾アクリレート(例えば、Carbopol 1382(R))、ポリアクリルアミド(例えば、Sepigel(登録商標)305)、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸/塩ポリマーおよびコポリマー(例えば、Aristoflex(登録商標)HMBおよびAVC)、セルロース誘導体および天然ゴムが挙げられる。有用なセルロース誘導体の中には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメトセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースがある。本発明に適した天然ガムには、グアー、キサンタン、スクレロチウム、カラギーナン、ペクチン、およびこれらのガムの組み合わせが含まれる。また無機物を増粘剤として利用してもよく、特に、ベントナイトおよびヘクトライト、ヒュームドシリカ、タルク、炭酸カルシウムなどの粘土、ならびにケイ酸マグネシウムアルミニウム(Veegum(登録商標))などのケイ酸塩が挙げられる。増粘剤の量は、組成物の0.0001から10重量%、通常は0.001から2.5重量%、最適には0.01から1重量%の範囲であり得る。感覚特性を改善するために、特に顔に適用されることを意図した製品に使用することができ、12HSAで堅いゲルを形成しない油の群から選択される皮膚軟化剤が好ましい。これらには、Tegosoft(登録商標)PBEとして別様に知られているポリプロピレングリコール-14ブチルエーテル、またはTegosoft(登録商標)EなどのPPG15ステアリルエーテル、エステルなどの他の油、具体的にはミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルが含まれ、他の油はヒマシ油およびその誘導体を含み得る。
【0043】
本発明の組成物は、好ましくは、皮膚美白化合物を含む。例示的な物質は、胎盤抽出物、乳酸、ナイアシンアミド、アルブチン、コウジ酸、フェルラ酸、ヒドロキノン、レゾルシノール、ならびに4-置換レゾルシノールを含む誘導体およびそれらの組み合わせである。より好ましくは、このような皮膚美白化合物は、置換モノアミンのメラニン形成阻害活性を補完するためのチロシナーゼ阻害剤、最も好ましくはコウジ酸、ヒドロキノンおよび4-置換レゾルシノールからなる群から選択される化合物である。また、式HOOC-(CxHy)-COOH(式中、x=4から20およびy=6から40)で表されるジカルボン酸、例えばアゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、オクタデセン二酸またはそれらの塩またはそれらの混合物、最も好ましくはフマル酸またはその塩、特に二ナトリウム塩が挙げられる。
【0044】
12HSAとフマル酸またはその塩との組み合わせが、特に皮膚美白配合物に特に好ましい。これらの薬剤の量は、組成物の0.1から10重量%、好ましくは0.5から2重量%の範囲であり得る。本発明による皮膚美白共活性物質は、ビタミンB3またはその誘導体であり、ナイアシンアミド、ニコチン酸エステル、ニコチン酸の非血管拡張性エステル、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N-オキシド、ナイアシンアミドN-オキシドおよびそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0045】
本発明の組成物の別の好ましい成分はレチノイドである。本明細書で使用される場合、「レチノイド」は、ビタミンAの全ての天然および/または合成類似体、または皮膚においてビタミンAの生物学的活性を有するレチノール様化合物、ならびにこれらの化合物の幾何異性体および立体異性体を含む。レチノイドは、好ましくはレチノール、レチノールエステル(例えば、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニルを含むレチノールのC2~C22アルキルエステル)、レチナール、および/またはレチノイン酸(全トランス型レチノイン酸および/または13シス型レチノイン酸を含む)であり、より好ましくはレチノイン酸以外のレチノイドである。これらの化合物は当技術分野で周知であり、いくつかの供給元、例えば、Sigma Chemical Company(ミズーリ州セントルイス)およびBoerhinger Mannheim(インディアナ州インディアナポリス)から市販されている。好ましいレチノイドは、レチノール、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、レチナールおよびそれらの組み合わせである。レチノイドは、好ましくは実質的に純粋であり、より好ましくは本質的に純粋である。
【0046】
着色剤、乳白剤および研磨剤も本発明の組成物に含まれ得る。これらの物質の各々は、組成物の0.05から5重量%、好ましくは0.1~3重量%の範囲であり得る。
【0047】
潜在的に有害な微生物の増殖から保護するために、本発明の組成物に防腐剤を組み込むことができる。本発明の組成物に適した伝統的な防腐剤は、パラ-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。使用されるようになった他の防腐剤としては、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、および種々の第4級アンモニウム化合物が挙げられる。化粧品化学者は、適切な防腐剤に精通しており、防腐剤負荷試験を満たし、製品の安定性を提供するためにそれらを日常的に選択する。特に好ましい防腐剤は、ヨードプロピニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール、カプリリルグリコール、C1-6パラベン(特に、メチルパラベンおよび/またはプロピルパラベン)、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびベンジルアルコールである。防腐剤は、組成物の使用および防腐剤とエマルジョン中の他の成分との間の起こり得る不適合性を考慮して選択されるべきである。
【0048】
防腐剤は、好ましくは、組成物の0.01重量%から2重量%の範囲の量で使用され、その中に包含される全ての範囲を含む。カプリリルグリコールがUVAおよびUVB保護を増強することが開示されているので、特に好ましい組み合わせは、オクトクリレンおよびカプリリルグリコールである。本発明の組成物は、広範囲の他の任意の成分を含むことができる。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、スキンケア産業において一般的に使用される多種多様な非限定的な化粧品および医薬成分を記載しており、これらは本発明の組成物における使用に適している。例としては、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色剤、収斂剤、芳香剤、乳白剤、コンディショナー、剥離剤、pH調整剤、天然抽出物、精油、皮膚感覚剤、皮膚鎮静剤、および皮膚治癒剤が挙げられる。
【0049】
本発明の組成物は、好ましくは非固体である。本発明の組成物は、好ましくはリーブオン組成物である。そのような組成物は皮膚に塗布され、長時間その上に留まる。むしろ、リーブオン組成物はすすぎ落とされることを意図していないので、それらは非刺激性である必要があり、したがって、リーブオン組成物中の界面活性剤の総レベルおよびアニオン性界面活性剤の総レベルを最小限に抑えることが必要であろう。本発明の組成物中のアニオン性界面活性剤の総レベルは、好ましくは10%以下、より好ましくは8%未満、最も好ましくは最大5%、最適には最大3%である。
【0050】
本発明の組成物は、好ましくはローション形式である。本発明の組成物は、少なくとも15の日焼け防止指数(SPF)を提供する。
【0051】
組成物の使用方法
本発明による組成物は、主に、ヒトの皮膚への局所適用のための製品、特に太陽放射線から保護し、色素沈着、しわのあるもしくは老化した皮膚の外観、または加齢斑を予防または低減するための薬剤として意図される。
【0052】
使用時に、少量、例えば1から5mlの組成物を、適切な容器またはアプリケータから皮膚の露出領域に適用し、次いで、必要に応じて、手または指または適切な装置を使用して皮膚上に広げるおよび/または皮膚に擦り込む。
【0053】
別の態様によれば、本発明の組成物を塗布するステップを含む光保護を提供する方法が開示され、方法は、少なくとも15、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも25、理想的には少なくとも30の日焼け防止指数を提供する。
【0054】
各対象に対する個々の日焼け防止指数(SPF)は、保護された皮膚に最小の紅斑を生じさせるのに必要なエネルギー量(J/m
2単位または曝露時間の秒単位の線量)対、未処置の皮膚に最小の紅斑を生じさせるのに必要なエネルギー量の比として定義され、以下のように計算される。
【数1】
【0055】
製品のSPFは、全対象の個々のSPF値の算術平均をとることによって計算される。
上記は本発明を要約しているが、本明細書に記載され特許請求される本発明の範囲および精神から逸脱することなく修正、変形および変更を行うことができることは当業者には明らかであろう。ここで、以下の非限定的な実施例において本発明をさらに説明する。
【0056】
[実施例]
例A、B、1、2:非常に光安定性でありながらSPFおよび感覚特性を送達する際の既存の組成物と比較した場合の本発明の組成物の効果。
表1は、調製した各種組成物(ローション)を示す。
【0057】
【0058】
表1の組成物を調製するための手順は以下の通りである。
ポリマーUltrez 10およびキサンタンガムを別個のビーカー中の水中に予備分散させた。油相成分、例えば、脂肪酸ミックス、非イオン性界面活性剤、皮膚軟化剤および油溶性日焼け止め剤をガラスビーカーに加え、75℃で溶融した。必要に応じて、感覚剤DC 9701およびGanzpearl 820を、乳化プロセスに添加する前に溶融油相に予め分散させた。水溶性日焼け止め剤を、水中のアルカリ(NaOHまたはKOH)を使用して別個のビーカー中で予備中和した。主容器内で、グリセリンおよび水を75℃で均質化した。中和前の水溶性日焼け止め剤を添加し、均質化した。均質化後、溶融油相を主容器に添加し、均質化を続けた。完全に混合した後、予備分散させたポリマーを添加し、必要に応じて中和させた。完全に混合した後、他の成分を45℃で添加した。
【0059】
表1の組成物のインビトロSPFおよび光安定性値を以下の表2に要約する。これらは以下の手順を用いて測定した。
【0060】
薄膜透過率測定は、Labsphereの紫外線透過率分析器を使用して行った。この研究では、Schonberg GmbH&Co製の約6μmの粗さを有する70×70mmのPMMAプレートを使用した。種々の組成物の透過率パーセントを、以下に概説する手順を用いて測定した。2mg/cm2のサンプルをPMMAプレートに適用し、シリンジを用いて均一に分配し、均一に広げた。PMMAプレートの乾燥時間は30分であった。乾燥時間後、サンプルプレートをUV光に曝露し、透過率走査を記録した。この走査は、所与のサンプルの波長(290~400nm)の関数として透過率を与える。単一プレートについて、6から9個の異なる箇所を走査した。同じことを2つまたは3つのプレートについて繰り返した。したがって、報告されるデータは、12~18回の読み取りの平均である。参照透過率走査は、グリセリンを広げたPMMAプレート上にサンプルを置かないブランクプレートを使用して得た。透過率値を使用して、機器を備えたUV-2000sアプリケーションを使用してSPF値に到達した。
【0061】
透過率(したがって、SPF)のパーセンテージをインビトロSPFで、0時間(0分線)で測定した。同じプレートを太陽模擬光に曝露し、0分および60分から指定の時間間隔で透過率%を測定した。310nmおよび355nmでの平均吸光度を記録して、%UVBおよびUVA光安定性をそれぞれ測定した。UVは、550Wm-2の放射照度を用いて約20cmの距離でソーラーシミュレータ(Atlas kWシステム)を使用して生成した。
【0062】
【0063】
表2のデータは、本発明による組成物(例1および例2)が、本発明以外の例(低い光安定性を有する例A)および例B(低いSPFを有する)によって達成されない高いSPFおよび高い光安定性の両方を提供することを示す。
【0064】
SPFの測定に加えて、組成物を消費者のパネルによって使用して、触覚的感覚性能を評価した。試験は以下のように行った。
【0065】
この研究は、25歳から45歳の範囲の合計24人の女性対象で行った。彼らは、試験製品の触覚的性能を評価する臨床試験に参加した。この研究は、逐次的な単項設計を有する。この研究は、製品の好み、黒ずみからの皮膚の保護、顔のしみ/暗い斑の減少、斑の外観の目に見える減少、皮膚への迅速かつ容易な吸収、製品の広がり、保湿、皮膚の艶消し感、および発汗防止の性質を含む、製品の性能、主要な好き嫌いを把握するためのオフラインの自己記入構造化定量的アンケートおよび15~20分間のインタビューを含む。各パネリストは、対照サンプル(例A)および本発明のサンプル(例1および例2)をそれぞれ3日間評価した。試験集団を2つの群/パネルに分け、各群に女性12人が存在した。
【0066】
データを表3に要約する。
【0067】
【0068】
全体的な好みを以下の表4に要約する。
【0069】
【0070】
表3および表4のデータは、本発明による組成物(例1および例2)が、例Aと比較して、多くの感覚属性に関して消費者によってより好ましいことを示している。2つのうち、例1は、例2と比較してより好まれるようである。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)0.1から10重量%の油溶性日焼け止め剤と、
(ii)0.2から5重量%の水溶性日焼け止め剤と、
(iii)9から20の範囲のHLB値を有する0.1から5重量%の非イオン性界面活性剤と、
(iv)3から25重量%の脂肪酸と、
(v)0.4から10重量%の
少なくとも1つの保湿剤と、
(vi)(a)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーおよびb)疎水性修飾シリカのうちの1つ以上から選択される0.25から5重量%のポリマーと
を含む、光保護組成物。
【請求項2】
前記油溶性日焼け止め剤が、オクチルサリチラート、3,3,5トリメチルクロヘキシル2-ヒドロキシ安息香酸、エチルヘキシルサリチラート、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエート、2-エチルヘキシル-4-メトキシシンナメートおよびオクチルメトキシシンナメートのうちの1つ以上から選択されるUV-B日焼け止め剤、またはジベンゾイルメタン化合物、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートおよびアントラニル酸メチルのうちの1つ以上から選択されるUV-A日焼け止め剤から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ジベンゾイルメタン化合物が、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチル-ジベンゾイルエタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンおよび2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタンのうちの1つ以上から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水溶性日焼け止め剤が、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、ベンゾフェノン-4およびベンジリデンカンファースルホン酸の1つ以上から選択されるUV-B日焼け止め剤、または、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウムおよびテレフタリリデンジカンファースルホン酸のうちの1つ以上から選択される水溶性UV-A日焼け止め剤から選択される、請求項
1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記非イオン性界面活性剤が、12から20の範囲のHLB値を有する、請求項
1または2に記載の組成物。
【請求項6】
前記非イオン性界面活性剤が、脂肪アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、およびポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルのうちの1つ以上、好ましくは脂肪アルコールエトキシレートまたは脂肪酸エトキシレートから選択される、請求項
1または2に記載の組成物。
【請求項7】
前記保湿剤が、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、グリセロール、エトキシル化グリセロール、およびプロポキシ化グリセロールの1つ以上から選択される、請求項
1または2に記載の組成物。
【請求項8】
前記脂肪酸が、ステアリン酸およびパルミチン酸の1つ以上、好ましくはステアリン酸およびパルミチン酸の混合物から選択される、請求項
1または2に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも15のインビトロ日焼け防止指数(SPF)を提供する、請求項
1または2に記載の組成物。
【請求項10】
請求項
1または2に記載の組成物を所望の皮膚表面に塗布するステップを含む、少なくとも15の日焼け防止指数(SPF)を有する光保護を提供する方法。
【国際調査報告】