(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】デュアルルーメンポートのための側部アクセス
(51)【国際特許分類】
A61M 39/02 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A61M39/02 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513810
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 US2021049922
(87)【国際公開番号】W WO2023038634
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】アンダーセン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フィウメフレッド、ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、イアン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ホイ、ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】デンスリー、ブライオン レイ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066LL30
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、中心ポート軸に沿って配置される第1リザーバおよび第2リザーバを区画する本体を有する、デュアルインラインポートを対象とする。ポートは、中心ポート軸に沿って、切開部位を通じて配置することが可能で、並列デュアルポートより小さい切開部位で済むので、デュアルインラインポートは、有利になり得る。さらに、ポートは、第1リザーバと第2リザーバとの間で本体の側面から延在するステムを含んでよく、ステムは、カテーテルの軸が中心ポート軸に対して平行に延在するように傾斜されてよい。傾斜されたサイドステムは、第1リザーバおよび第2リザーバとそれぞれのカテーテルルーメンとの間の流体経路および流体抵抗の差を軽減することができる。実施形態は、ステムの軸を中心ポート軸に対して再配置されることを可能にするように構成される、傾動可能なステムを含んでよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下埋込型アクセスポートであって、
第1リザーバおよび第2リザーバを区画する本体であって、前記第1リザーバおよび前記第2リザーバの間に中心ポート軸が延在する、本体と、
前記中心ポート軸に対して傾斜した第1ステム軸に沿って前記本体から延在する基部と、第2ステム軸に沿って前記基部から延在するとともに、前記第1ステム軸に対して傾斜したノズルとを有するステムであって、前記基部は、前記第1リザーバと前記第2リザーバとの間で前記本体から延在し、前記ステムは、前記第1リザーバと流体連通する第1ステムルーメンと、前記第2リザーバと流体連通する第2ステムルーメンとを区画する、ステムと、
を備える皮下埋込型アクセスポート。
【請求項2】
前記中心ポート軸は、前記第1リザーバの直径中心点および前記第2リザーバの直径中心点を通って水平に延在する、請求項1に記載の皮下埋込型アクセスポート。
【請求項3】
前記第1ステム軸は、前記中心ポート軸に対して垂直に延在する、請求項1または2に記載の皮下埋込型アクセスポート。
【請求項4】
前記第2ステム軸は、前記中心ポート軸に対して平行に延在する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の皮下埋込型アクセスポート。
【請求項5】
前記基部は、前記第1リザーバの前記直径中心点および前記第2リザーバの前記直径中心点の間で前記本体から延在する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の皮下埋込型アクセスポート。
【請求項6】
前記本体は、第1端部と第2端部との間で前記中心ポート軸に沿って延在し、前記第1リザーバは、前記第1端部に近接して配置され、前記第2リザーバは、前記第2端部に近接して配置され、前記ステムの前記基部は、前記第1端部に近接して配置された前記第2リザーバの第1縁部と、前記第2端部に近接して配置された前記第1リザーバの第2縁部との間で前記本体から延在する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の皮下埋込型アクセスポート。
【請求項7】
皮下埋込型アクセスポートシステムであって、
第1カテーテルルーメンおよび第2カテーテルルーメンを区画するカテーテルと、
第1リザーバおよび第2リザーバを区画する本体を有するポートであって、前記第1リザーバおよび前記第2リザーバの間に中心ポート軸が延在する、ポートと、
前記中心ポート軸に対して傾斜した第1ステム軸に沿って前記本体から延在するとともに前記本体に傾動可能に連結された基部と、第2ステム軸に沿って前記基部から延在するノズルとを有するステムであって、前記基部は、前記第1リザーバと前記第2リザーバとの間で前記本体から延在し、前記ステムは、前記第1リザーバと前記第1カテーテルルーメンとの間に流体連通を提供するように構成された第1ステムルーメンと、前記第2リザーバと前記第2カテーテルルーメンとの間に流体連通を提供するように構成された第2ステムルーメンとを区画する、ステムと、
を備える皮下埋込型アクセスポートシステム。
【請求項8】
前記第2ステム軸は、第1位置と第2位置との間で前記第1ステム軸に対して傾斜可能である、請求項7に記載の皮下埋込型アクセスポートシステム。
【請求項9】
前記第2ステム軸は、前記第1ステム軸に対して0°~90°の間で傾斜可能である、請求項7または8に記載の皮下埋込型アクセスポートシステム。
【請求項10】
前記第2ステム軸は、水平面、垂直面、または前記水平面および前記垂直面の間に一定の角度で延在する平面に沿って、前記第1ステム軸に対して傾斜可能である、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の皮下埋込型アクセスポートシステム。
【請求項11】
前記本体の外面に配置されるとともに、その中に前記カテーテルの一部を受容するように構成されたチャネルをさらに含む、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の皮下埋込型アクセスポートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデュアルルーメンポートのための側部アクセスに関する。
【発明の概要】
【0002】
簡単に要約すると、本明細書に開示される実施形態は、側部アクセスステムを有するデュアルインラインポート、および関連する方法を対象とする。デュアルインラインポートは、縦軸に沿って配列された2つ以上のリザーバを含み、縦軸は、皮下挿入の軸に平行に延在する。有利には、並列デュアルポート設計、すなわち、2つ以上のリザーバが縦軸に対して一定の角度で、例えば、垂直に配列されるポートと比較して、デュアルインラインポートは、小さい切開部位で済む。一般的に、ポートステムは、ポートが皮下に配置される際に、切開部位に近接するポートの側面から延在する。しかしながら、インラインポートの場合、カテーテルとステムから最も遠いリザーバとの間の流体経路は、蛇行し得る。これにより、ステムに隣接するリザーバからの流体経路よりも、流体経路が長くなり得るとともに、流体流れおよび圧力に影響を及ぼし得るので、2つの流体経路間の不一致につながりかねない。
【0003】
本明細書に開示されるのは、皮下埋込型アクセスポートであって、第1リザーバおよび第2リザーバを区画する本体であって、第1リザーバおよび第2リザーバの間に中心ポート軸が延在する、本体と、中心ポート軸に対して傾斜した第1ステム軸に沿って本体から延在する基部と、第2ステム軸に沿って基部から延在するとともに、第1ステム軸に対して傾斜したノズルとを有するステムであって、基部は、第1リザーバと第2リザーバとの間で本体から延在し、ステムは、第1リザーバと流体連通する第1ステムルーメンと、第2リザーバと流体連通する第2ステムルーメンとを区画する、ステムと、を備える皮下埋込型アクセスポートである。
【0004】
いくつかの実施形態では、中心ポート軸は、第1リザーバの直径中心点および第2リザーバの直径中心点を通って水平に延在する。いくつかの実施形態では、第1ステム軸は、中心ポート軸に対して垂直に延在する。いくつかの実施形態では、第2ステム軸は、中心ポート軸に対して平行に延在する。いくつかの実施形態では、基部は、第1リザーバの直径中心点および第2リザーバの直径中心点の間で本体から延在する。
【0005】
いくつかの実施形態では、本体は、第1端部と第2端部との間で中心ポート軸に沿って延在し、第1リザーバは、第1端部に近接して配置され、第2リザーバは、第2端部に近接して配置され、ステムの基部は、第1端部に近接して配置された第2リザーバの第1縁部と、第2端部に近接して配置された第1リザーバの第2縁部との間で本体から延在する。
【0006】
本明細書にさらに開示されるのは、皮下埋込型アクセスポートシステムであって、第1カテーテルルーメンおよび第2カテーテルルーメンを区画するカテーテルと、第1リザーバおよび第2リザーバを区画する本体を有するポートであって、第1リザーバおよび第2リザーバの間に中心ポート軸が延在する、ポートと、中心ポート軸に対して傾斜した第1ステム軸に沿って本体から延在するとともに本体に傾動可能に連結された基部および第2ステム軸に沿って基部から延在するノズルを有するステムであって、基部は、第1リザーバと第2リザーバとの間で本体から延在し、ステムは、第1リザーバおよび第1カテーテルルーメンの間に流体連通を提供するように構成された第1ステムルーメンと、第2リザーバおよび第2カテーテルルーメンの間に流体連通を提供するように構成された第2ステムルーメンとを区画する、ステムと、を備える皮下埋込型アクセスポートシステムである。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2ステム軸は、第1位置と第2位置との間で第1ステム軸に対して傾斜可能である。いくつかの実施形態では、第2ステム軸は、第1ステム軸に対して0°~90°の間で傾斜可能である。いくつかの実施形態では、第2ステム軸は、水平面、垂直面、または水平面および垂直面の間に一定の角度で延在する平面に沿って、第1ステム軸に対して傾斜可能である。いくつかの実施形態では、皮下埋込型アクセスポートシステムは、本体の外面に配置されるとともに、その中にカテーテルの一部を受容するように構成されたチャネルをさらに含む。
【0008】
本明細書にさらに開示されるのは、カテーテル及びポートシステムを皮下に配置する方法であって、方法は、切開部位を形成する工程と、カテーテルをポートのステムに結合する工程であって、ステムは、第1ステムルーメンおよび第2ステムルーメンを区画する、工程と、中心ポート軸に沿って切開部位を通じてポートを挿入する工程であって、ポートは、中心ポート軸に沿って配置される第1リザーバおよび第2リザーバと、ステムであって、第1リザーバと第2リザーバとの間の第1ステム軸に沿ってポートから延在する基部と、第1ステム軸に対して傾斜した第2ステム軸に沿って基部から延在するノズルとを有するステムと、を含む、工程と、を備える方法。
【0009】
いくつかの実施形態では、方法は、切開部位を通じてポートの第1端部、続いて第1端部の反対側に配置されたポートの第2端部を挿入する工程をさらに含み、第1端部は第1リザーバに近接して配置され、第2端部は第2リザーバに近接して配置される。いくつかの実施形態では、方法は、第1ステムルーメンが、第1リザーバと第1カテーテルルーメンとの間の流体連通を提供し、第2ステムルーメンが、第2リザーバと第2カテーテルルーメンとの間の流体連通を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1ステム軸は、中心ポート軸に対して垂直に延在し、第2ステム軸は、第1ステム軸に対して垂直に延在する。
【0010】
いくつかの実施形態では、第2ステム軸は、中心ポート軸に対して平行に延在する。いくつかの実施形態では、方法は、ノズルの第2ステム軸を、第1位置と第2位置との間で、基部の第1ステム軸に対して傾動させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ノズルの第2ステム軸を、水平面、垂直面、または水平面および垂直面の間に一定の角度で延在する平面のうちの1つに沿って、基部の第1ステム軸に対して傾動させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ノズルの第2ステム軸を、基部の第1ステム軸に対して0°~90°の角度で傾動させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ポート本体の表面内に区画されたチャネル内にカテーテルの一部分を固定する工程をさらに含む。
【0011】
添付の図面に示される特定の実施形態を参照することによって、本開示はより詳細に説明される。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を使用してさらに具体的かつ詳細に、記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本明細書に開示される実施形態による、デュアルインラインポート、カテーテル、および傾斜したサイドステムの斜視図。
【
図1B】本明細書に開示される実施形態による、デュアルインラインポート、カテーテル、および傾斜したサイドステムの水平断面図。
【
図1C】本明細書に開示される実施形態による、チャネルを有するデュアルインラインポートの垂直横断面図。
【
図2A】本明細書に開示される実施形態による、傾動可能なステムを有するデュアルインラインポートの平面図。
【
図2B】本明細書に開示される実施形態による、傾動可能なステムを有するデュアルインラインポートのステム側面図。
【
図2C】本明細書に開示される実施形態による、傾動可能なステムを有するデュアルインラインポートの第2端部図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に切り離すことができ、本明細書に開示される複数の他の実施形態のうちの任意の実施形態の特徴と任意選択で組み合わせまたは置換してよい特徴を有する場合があることも理解されたい。
【0014】
本明細書で使用する用語に関しては、各用語はいくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないということも理解されたい。序数(たとえば、第1、第2、第3等)は、一般的に、複数の特徴または工程の群の中で互いに異なる特徴または工程を区別または識別するために使用され、順番の限定または数的な限定を加えるものではない。たとえば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴または工程は、必ずしもこの順序で現れる必要はなく、またそのような特徴または工程を含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴または工程に限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表記は、便宜的に使用されており、たとえば、いかなる特定の固定的な位置、向き、または方向も意味するものではない。むしろ、こうした表記は、たとえば相対的な位置、向き、または方向を示すために使用される。文脈からそうでないことが明らかに示されていなければ、「a」、「an」、および「the」で表す単数形は、複数形を含む。
【0015】
「近位」に関しては、たとえば本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルのうち、カテーテルを患者に使用するときに医師の近くにあるものである部分を含む。同様に、たとえばカテーテルの「近位長」は、カテーテルを患者に使用するときに医師の近くにあるものであるカテーテルの長さを含む。たとえばカテーテルの「近位端部」は、カテーテルを患者に使用するときに医師の近くにあるものである、カテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長は、カテーテルの近位端部を含んでもよいが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長は、カテーテルの近位端部を含む必要はない。つまり、文脈からそうでないことが示唆されていなければ、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長は、カテーテルの終端部分や終端長ではない。
【0016】
「遠位」に関しては、たとえば本明細書に開示されるカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルのうち、カテーテルを患者に使用するときに患者の近くまたは中にあるものである部分を含む。同様に、たとえばカテーテルの「遠位長」は、カテーテルを患者に使用するときに患者の近くまたは体内にあるものであるカテーテルの長さを含む。たとえばカテーテルの「遠位端部」は、カテーテルを患者に使用するときに患者の近くまたは体内中にあるものである、カテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの遠位端部を含んでもよいが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの遠位端部を含む必要はない。つまり、文脈からそうでないことが示唆されていなければ、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの終端部分や終端長ではない。
【0017】
本明細書に記載の実施形態の説明を補助するため、
図1Aおよび
図1Bに示すように、縦軸は、皮下挿入70の軸に対して実質的に平行に延在する。横軸は縦軸に対して垂直に延在しており、横断軸は縦軸および横軸の両方に対して垂直に延在する。本明細書で使用される場合、水平面は、横軸および縦軸に沿って延在する。垂直面は、水平面に対して垂直に延在する。
【0018】
別段の定義がない限り、本明細書に用いるあらゆる技術的用語および科学的用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
図1Aおよび
図1Bは、皮下血管アクセスデバイスシステムまたは「ポート」100の一実施形態を示す。一実施形態では、ポート100は、1つまたは複数のリザーバ112を区画する本体110を含んでよい。本体110は、第1端部102と第2端部104との間で縦軸に沿って延在してよい。
図1Aおよび
図1Bに示すように、一実施形態では、ポート100は、「デュアルインライン」ポート100であってよいとともに、2つ以上のリザーバ、例えば第1リザーバ112Aおよび第2リザーバ112Bを含んでよい。一実施形態では、第1リザーバ112Aおよび第2リザーバ112Bは、中心ポート軸80が縦軸に対して平行に延在するとともに、第1リザーバ112Aの直径中心点86および第2リザーバ112Bの直径中心点88を通って延在するように、縦軸に沿って配置されてよい。
【0019】
一実施形態では、リザーバ112は、ポート100の第1端部102に近接して配置された第1縁部132と、ポート100の第2縁部104に近接して配置された第2縁部134とを含んでよい。例えば、第1リザーバ112Aは、第1縁部132Aと、第1リザーバ112Aの直径中心点86を挟んで第1縁部132Aの反対側に配置された第2縁部134Aとを含んでよい。第2リザーバ112Bは、第1縁部132Bと、第2リザーバ112Bの直径中心点88を挟んで第1縁部132Bの反対側に配置された第2縁部134Bとを含んでよい。
【0020】
使用時に、ポート100は、第1端部102、続いて第2端部104が切開部位を通過する状態で、切開部位を通して第1方向70に皮下配置されてよい。したがって、第1リザーバ112Aおよび第2リザーバ112Bは、縦軸に対して平行に延在する皮下配置の軸と「インライン」であり得る。
【0021】
ポート100は、リザーバ112の上に配置されるとともに、経皮的アクセスを提供するように構成された1つまたは複数のセプタム114をさらに含んでよい。例えば、第1セプタム114Aは、第1リザーバ112Aの上に配置されてよく、第2セプタム114Bは、第2リザーバ112Bの上に配置されてよい。セプタム114およびリザーバ112の他の構成も考えられることが理解されるであろう。例えば、第1セプタム114Aは、第1リザーバ112Aおよび第2リザーバ112Bの両方の上に配置されてよい。セプタム114およびリザーバ112のこれらおよび他の構成は、本発明の範囲内にあることが企図される。一実施形態では、アクセス針は、針が貫通可能なセプタム114を通ってリザーバ112内に経皮的に延在することで、流体連通を提供してよい。
【0022】
一実施形態では、ポート100は、ポート本体110の表面から延在するステム120をさらに含んでよい。一実施形態では、ステム120は、ポート本体110から第1ステム軸82に沿って延在する基部122と、第2ステム軸84に沿って延在するノズル124とを含んでよい。一実施形態では、第1ステム軸82は、中心ポート軸80に対して一定の角度で延在してよい。一実施形態では、第1ステム軸82は、中心ポート軸80に対して1°~180°の角度で延在してよい。一実施形態では、第1ステム軸82は、中心ポート軸80に対して45°~135°の角度で延在してよい。一実施形態では、第1ステム軸82は、中心ポート軸80に対して垂直に延在してよい。
【0023】
一実施形態では、第2ステム軸84は、第1ステム軸82に対して一定の角度で延在してよい。一実施形態では、第2ステム軸84は、第1ステム軸82に対して1°~180°の角度で延在してよい。一実施形態では、第2ステム軸84は、第1ステム軸82に対して45°~135°の角度で延在してよい。一実施形態では、第2ステム軸82は、第1ステム軸82に対して垂直に延在してよい。一実施形態では、第2ステム軸82は、中心ポート軸80に対して平行に延在してよい。
【0024】
一実施形態では、ステム120の基部122は、ポート本体110の第1端部102と第2端部104との間で縦軸方向に配置された点において、ポート本体110から延在してよい。一実施形態では、ステム120の基部122は、第1リザーバ112Aの直径中心点86と第2リザーバ112Bの直径中心点88との間で縦軸方向に配置された点において、ポート本体110から延在してよい。一実施形態では、ステム120の基部122は、第1リザーバ112Aの第2端部134Aと第2リザーバ112Bの第1端部132Aとの間で縦軸方向に配置された点において、ポート本体110から延在してよい。一実施形態では、ステム120の基部122は、第1リザーバ112Aの直径中心点86と第2リザーバ112Bの直径中心点88との間で縦軸方向に配置された中間点において、ポート本体110から延在してよい。
【0025】
一実施形態では、ステム120は、第1リザーバ112Aと流体連通する第1ステムルーメン126Aと、第2リザーバ112Bと流体連通する第2ステムルーメン126Bとを区画してよい。一実施形態では、ステムノズル124は、第1ステムルーメン126Aの一部を区画する第1ステムノズル124Aと、第2ステムルーメン126Bの一部を区画する第2ステムノズル124Bとを含んでよい。第1ステムノズル124Aは、第1ルーメン96Aに対して、第2ステムノズル124Bは、第2ルーメン96Bに対して、締まり嵌め、圧入、またはスナップ嵌め係合、あるいはこの組み合わせで、係合してよい。
【0026】
一実施形態では、カテーテル90は、1つまたは複数のカテーテルルーメン96、例えば第1カテーテルルーメン96Aおよび第2カテーテルルーメン96Bを区画するとともに、遠位先端と近位端部94との間に延在するカテーテル本体92を含んでよい。一実施形態では、カテーテル90の近位端部94は、ステムノズル124上でカテーテルを軸方向に付勢することによって、ステムノズル124に結合されてよい。一実施形態では、カテーテル90の近位端部94は、カテーテル90をステム80と結合する前にトリミングされてよい。一実施形態では、カテーテル90は、径方向外側に弾性的に変形するとともに、締まり嵌めでステムノズル124に係合するように構成された可撓性または柔軟性を有する材料で形成されてよい。一実施形態では、カテーテル90は、プラスチック、ポリマー、エラストマー、ゴム、シリコーンゴム、この組み合わせなどで形成されてよい。
【0027】
図1Bに示すように、ステム基部122が、第1リザーバ112Aの直径中心点86と第2リザーバ112Bの直径中心点88との間の縦軸方向中間点においてポート本体110の側部から延在する状態で、第1ステムルーメン126Aおよび第2ステムルーメン126Bは、同様の距離を区画してよい。例えば、第1リザーバ112Aの直径中心点86と第1ノズル124Aの先端との間の距離は、第2リザーバ112Bの直径中心点88と第2ノズル124Bの先端との間の距離と実質的に同じでよい。
【0028】
一実施形態では、第1ステムルーメン126Aおよび第2ステムルーメン126Bは、同程度の蛇行性を区画してよい。例えば、第1リザーバ112Aの直径中心点86と第1ノズル124Aの先端との間の第1ステムルーメン126Aの湾曲点の数は、第2リザーバ112Bの直径中心点88と第2ノズル124Bの先端との間の第2ステムルーメン126Bの湾曲点の数と実質的に同じでよい。したがって、一実施形態では、第1ステムルーメン126Aの流動抵抗は、第2ステムルーメン126Bの流動抵抗と等しくてよい。別の言い方をすれば、第1ステムルーメン126Aと第2ステムルーメン126Bとの間の流動抵抗の差は、ゼロであってもよく、または流動抵抗における最小限の差を有してもよい。
【0029】
一実施形態では、ステムノズル124の第2ステム軸84は、ポート100を挿入部位を通じて第1方向70に挿入する際に減少した横軸方向の形状を提供するために、中心ポート軸80に対して実質的に平行に延在してよい。一実施形態では、
図1Cに示すように、ポート本体110は、その中にカテーテル90の一部を受容するように構成されたチャネル118を区画してよい。
図1Cは、第2リザーバ112Bを通って横軸方向に延在するポート100の断面図を示す。チャネル118は、中心ポート軸80に対して平行に延在してよいとともに、ポート本体110によって区画される空間内にカテーテル90の一部を受容することで、実質的に連続した外側形状を有してよい。さらに、チャネル118は、実質的に第2ステム軸84におけるカテーテルの軸は、ポート100によって区画される空間に隣接するのではなく、ポート100によって区画される空間内に延在し得るので、減少した横軸方向の形状を提供し得る。一実施形態では、チャネル118は、締まり嵌め、圧入、またはスナップ嵌め係合でカテーテル90の一部を保持してよい。例えば、横断軸に沿って延在する、チャネル118への開口部の直径(d1)は、カテーテル90の外径(d2)未満であってよい。したがって、チャネル118は、ポート本体110の表面に沿って延在するカテーテル90の一部を保持するとともに、さらに安定させてよい。一実施形態では、ポート100は、ステムノズル124から延在するカテーテル90の一部を保持するとともに安定させるように構成された1つまたは複数のクリップまたは同様の構造を含んでよい。
【0030】
図2A乃至
図2Cに示すように、一実施形態では、ポート100は、第1ステム軸82に沿ってポート本体110から延在する基部222を有する傾動可能なステム220を含んでよい。ステムはさらに、基部222から延在するとともに、第2ステム軸84を区画する、ノズル224を含んでよい。基部222は、第2ステム軸84に沿って延在するノズル224が第1ステム軸82に対して傾動することができるように、ポート本体110に傾動可能に結合してよい。一実施形態では、基部222は、ステムルーメン226A、226Bはカテーテル90とリザーバ112A、112Bとの間の流体連通を維持することができる一方で、ステム220がポート本体110に対して傾動することを可能にするように構成された、ヒンジ、玉継手、可性部、または同様の機構を含んでよい。一実施形態では、第2ステム軸84は、水平面、垂直面、またはそれに対して傾斜した面上で傾動してよい。一実施形態では、第2ステム軸84は、第1ステム軸82に対して0°~90°の角度(θ)で傾動してよい。上述のように、ステムルーメン226は、各方向および各角度(θ)で流体連通を維持してよい。
【0031】
例えば、
図2Aは、ポート100の平面図を示し、第2ステム軸84を区画するノズル224は、水平面上の角度(θ)で傾動してよい。したがって、ノズル224の第2ステム軸84は、第1端部102または第2端部104側に方向付けられてよく、すなわち、中心ポート軸80に対して平行に配列されてよく、または中心ポート軸80に対して一定の角度で位置決めされてよい。
【0032】
図2Bは、ポート100のステム側面図を示し、第2ステム軸84を区画するノズル224は、水平面、垂直面、またはそれに対して傾斜した平面上の角度(θ)で傾動してよい。したがって、第2ステム軸84は、第1ステム軸84に対して傾斜してよく、ノズル224は、第1端部102側、第2端部104側、上側、底側に方向付けられてよく、またはその間の角度で位置決めされてよい。
【0033】
図2Cは、ポート100の第2端部断面図を示し、第2ステム軸84を区画するノズル224は、垂直平面または垂直平面に対して傾斜した平面上の角度(θ)で傾動してよい。したがって、第2ステム軸84は、第1ステム軸82に対して傾斜してよく、ノズル224は、上側、底側のいずれかに方向付けられてよく、またはその間の角度で位置決めされてよい。本明細書で使用される場合、ポート100の上側は、ポート100が皮下配置される際に、皮膚表面に近接して配置されてよい。
【0034】
例示的な使用方法では、本明細書に記載されるように、傾動可能なステム220を含むポート100が提供され得る。カテーテル90は、ノズル224をカテーテル90のルーメン内に付勢することによって、ステムノズル224に結合されてよい。例えば、第1ノズル124Aは、第1ルーメン96Aに係合してよく、第2ノズル124Bは、第2ルーメン96Bに係合してよい。ノズル224は、本明細書に説明されるように、締まり嵌めでルーメン96に係合してよい。次いで、ノズルの第2ステム軸84、つまりノズルに結合されたカテーテル90の軸は、第1ステム軸82に対して傾斜されてよい。例えば、カテーテル90は、ポート100の側面に沿って位置決めされることで、ポート100およびカテーテルアセンブリ90の横軸方向の断面形状を最小限にすることができる。次いで、ポート100およびカテーテルアセンブリ90は、第1端部102、続いて第2端部104が切開部位を通過する状態で、縦軸方向のポート軸80に沿って皮下配置されてよい。
【0035】
有利には、傾動可能なステム220によって、ユーザが、皮下配置を行うように、第1位置と第2位置との間でポート100に対してカテーテル90の軸(すなわち、第2ステム軸84)を再配置することが可能になる。ステムルーメン226は、第1位置および第2位置のそれぞれにおいて、リザーバ112とカテーテルルーメン96との間の流体連通を維持してよい。ポート100は、並列ポート設計と比較して、より小さい切開部位で済むとともに、第1ステムルーメン226Aおよび第2ステムルーメン226Bの両方に改良された流体経路を提供するので、同様の流体経路距離、同程度に蛇行した経路、すなわち、同様の湾曲点を提供するとともに、第1ステムルーメン226Aおよび第2ステムルーメン226Bの両方を通じて同様の流体抵抗を提供する。
【0036】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、本明細書で提供される概念の範囲を特定の実施形態が制限することを意図しない。追加的な適応および/または変更は、当業者に理解され得る。より広い態様では、これらの適応および/または変更もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱してよい。
【国際調査報告】