(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ハウジングユニット
(51)【国際特許分類】
H01M 50/24 20210101AFI20240822BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/233 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240822BHJP
【FI】
H01M50/24
H01M50/249
H01M50/224
H01M50/242
H01M50/204 401H
H01M50/244 A
H01M50/233
H01M50/271 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513867
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 EP2022074447
(87)【国際公開番号】W WO2023031396
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021122902.2
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596179058
【氏名又は名称】ムール ウント ベンダー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Muhr und Bender KG
【住所又は居所原語表記】Mubea-Platz 1, D-57439 Attendorn,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ムーア
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ アイケ エレンド
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン ショーレマン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン コッホ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ベーゲマン
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン デ ルカ
(72)【発明者】
【氏名】エリーザベト ダンガー
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA01
5H040AA33
5H040AS07
5H040AY03
5H040AY10
5H040CC01
5H040CC20
(57)【要約】
本発明は、電気的な蓄え手段用のハウジングユニットであって、底部(7)と、金属材料から変形加工により一体に製造された、環状に閉じられたトレイフレーム(6)とを備えた底部トレイ(3)と、複数のフレーム部材(8,9,10,11)と複数の補強部材(12)とを有する構造フレーム(4)とを含み、フレーム部材(8,9,10,11)と補強部材(12)とはそれぞれ、鋼材料から製造されておりかつ互いに結合されて構造フレームを形成しており、構造フレーム(4)は、底部トレイ(3)内に挿入されて、底部トレイ(3)に結合されており、構造フレーム(4)の鋼材料の降伏強さは、トレイフレーム(6)の金属材料の降伏強さより少なくとも10%大きくなっており、ハウジングユニットはさらに、トレイフレーム(6)に取外し可能に結合可能な蓋(5)を含み、トレイフレーム(6)と蓋(5)とが、電気的な蓄え手段用の収容空間を包囲している、ハウジングユニットに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に駆動可能な自動車の電気駆動装置用の電気的な蓄え手段を収容するハウジングユニットであって、
底部(7)と、金属材料から変形加工により製造された、環状に閉じられたトレイフレーム(6)とを備えた底部トレイ(3)と、
1つの環状のフレームを形成するように互いに結合された複数のフレーム部材(8,9,10,11)と、2つの前記フレーム部材(8,9)の間に延びる複数の補強部材(12)とを有する構造フレーム(4)とを含み、前記フレーム部材(8,9,10,11)と前記補強部材(12)とはそれぞれ、鋼材料から製造されておりかつ互いに結合されて前記構造フレーム(4)を形成しており、該構造フレーム(4)は、前記底部トレイ(3)に結合されており、
前記フレーム部材(8,9,10,11)および前記補強部材(12)の前記鋼材料の降伏強さは、前記トレイフレーム(6)の前記金属材料の降伏強さより少なくとも10%大きくなっており、
当該ハウジングユニットはさらに、前記トレイフレーム(6)に取外し可能に結合可能な蓋(5)を含み、前記トレイフレーム(6)と前記蓋(5)とが、電気的な蓄え手段用の収容空間を包囲している、ハウジングユニットにおいて、
前記構造フレーム(4)は、前記底部トレイ(3)において前記トレイフレーム(6)の内側に配置されていることを特徴とする、ハウジングユニット。
【請求項2】
前記底部トレイ(3)は、2つの部分から製造されており、前記トレイフレーム(6)は、前記底部(7)に封止式に結合されており、前記底部(7)は、冷却媒体が通流することができる、一体化された冷却構造を有しており、
前記底部(7)は、ロールボンディングにより互いに結合された複数のアルミニウム薄板(16,17)から製造されており、該アルミニウム薄板(16,17)は、圧延により結合領域(18)では互いに結合されておりかつ前記冷却構造を形成する中空領域(19)では互いに離間されている、
請求項1記載のハウジングユニット。
【請求項3】
前記トレイフレーム(6)は、横断面で見てZ字形の断面を有しており、前記トレイフレーム(6)は、下部フランジ領域(14)から出発して該下部フランジ領域(14)に続く壁領域(13)を経て上部フランジ領域(15)に向かって拡張している、請求項1または2記載のハウジングユニット。
【請求項4】
前記上部フランジ領域(15)は、前記蓋(5)の対応面に封止式に結合する平らな封止面を形成しており、かつ/または
前記下部フランジ領域(14)は、前記底部(7)の対応面に封止式に結合する平らな封止面を形成している、
請求項3記載のハウジングユニット。
【請求項5】
前記トレイフレーム(6)は、450MPa未満の降伏強さ(Rp0.2)を有する金属材料、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金から製造されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項6】
前記底部トレイ(3)は、変形加工により、特に深絞り加工により、トレイフレーム(6)と底部(7)とから一体に製造されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項7】
前記補強部材(12)のうちの少なくともいくつかは、前記蓋(5)および/または前記補強部材(12)の間に挿入可能なバッテリモジュールの取付け用に加工されたねじ山(33)を有しており、加工成形された該ねじ山(33)は、特に穿孔プロセス、深絞りプロセス、エンボスプロセスおよび/または切断プロセスにより製造されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項8】
当該ハウジングユニット(2)を車体に取り付けるために、複数の貫通ねじユニット(35)が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項9】
前記補強部材(12)のうちの少なくともいくつかは、各補強部材の最長の長さにわたり可変の金属薄板厚さを有しており、該金属薄板厚さは、特に加工された前記ねじ山(33)の領域および/または端部側の取付け部分において増大されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項10】
前記構造フレーム(4)の前記フレーム部材(8,9,10,11)のうちの少なくともいくつかは、熱間変形加工によりマルテンサイト状に硬化可能な鋼から、特に22MnB5から製造されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項11】
前記構造フレーム(4)の前記フレーム部材(8,9,10,11)のうちの少なくともいくつかは、特にアルミニウム合金から成る防食層を備えている、請求項1から10までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項12】
前記構造フレーム(4)の前記フレーム部材(8,9,10,11)のうちの少なくともいくつかは、各フレーム部材の最長の長さにわたり可変の金属薄板厚さを有している、請求項1から11までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項13】
前記構造フレーム(4)の前記補強部材(12)のうちの少なくともいくつかは、冷間変形加工により、最大550MPaの降伏強さを有する冷間圧延鋼から製造されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項14】
前記構造フレーム(4)の前記補強部材(12)のうちの少なくともいくつかは、特に亜鉛合金から成る防食層を備えている、請求項1から13までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項15】
前記構造フレーム(4)の前記フレーム部材(8,9,10,11)のうちの少なくともいくつかは、C字形の外側成形材(40)と、該外側成形材(40)に結合されたC字形の内側成形材(41)とから成る中空成形材の形態で形成されている、請求項1から14までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【請求項16】
前記トレイフレーム(6)は、少なくとも15%の破断伸び(A50)と、3.0mm未満、特に1.4mm未満の平均的な金属薄板厚さとを有する金属薄板材料から製造されている、請求項1から15までのいずれか1項記載のハウジングユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電動モータにより駆動可能な自動車用の電気的な蓄え手段を収容するハウジングユニットに関する。
【0002】
電気自動車は、とりわけ電気的な蓄え手段に電気的に接続された駆動源としての電気機械を有している。駆動モードにおいて、電気機械は電気エネルギを、車両を駆動するための機械エネルギに変換する。バッテリまたは蓄電池とも呼ばれる電気的な蓄え手段は、通常、車体を含む車両下面に取り付けられたバッテリボックス内に収容されている。
【0003】
上位概念を形成する特開2021-64448号公報から公知のバッテリハウジングは、開口を備えたフレームと、フレーム内に挿入されたトレイとを有している。フレームは、上部カバーにより上方から閉鎖されていると共に、下部カバーにより下方から閉鎖されている。フレームは、骨格として、アルミニウム合金またはマグネシウム合金製の複数の押出し成形された成形材から組み立てられている。択一的に、フレームは、高張力鋼から製造されていてもよい。トレイは、アルミニウム合金またはマグネシウム合金から成っている。
【0004】
独国特許出願公開第102016121247号明細書から、バッテリを収容するトレイと、このトレイを閉鎖する蓋とを備えたバッテリ支持体が公知である。トレイは、変形加工により一体に製造された薄壁の金属薄板構成部材であり、この金属薄板構成部材は、Rp0.2が250MPaを上回る弾性限界を有するアルミニウム合金から製造されている。トレイの外側には補強支柱が配置されていると共に、成形材から成る環状のフレームが配置されている。
【0005】
独国特許出願公開第102019203400号明細書から、トレイを備えたバッテリハウジングが公知である。環状のトレイ壁に沿って、硬化された鋼材料から成る成形材の形態の補強部が配置されている。
【0006】
国際公開第2021/009256号から公知の、フレームと底部と蓋とを備えたハウジングユニットは、電気的な蓄え手段用の収容空間を形成している。フレームは、長さにわたり金属薄板厚さが可変の金属材料から成る複数のフレーム部材を有している。底部はフレームに結合されており、これにより、密閉されたトレイが形成されている。底部は、冷却媒体が通流することができる、一体化された冷却構造を有していてよい。
【0007】
独国特許出願公開第102018106399号明細書から、トレイユニットと蓋ユニットとを備えたハウジングユニットが公知である。トレイユニットは、第1の成形部分と第2の成形部分とを有しており、これらの成形部分は、フレキシブルに圧延された金属材料から製造されていて、互いに結合されているため、各成形部分の長手方向において可変の金属薄板厚さを有している。
【0008】
独国特許出願公開第102016120826号明細書から、電動モータにより駆動される車両用のバッテリハウジングが公知である。このバッテリハウジングは、底部と、底部に一体成形された側壁とを備えたトレイ部分と、トレイ部分を外側において包囲する、中空室を形成するフレーム構造体とを有している。
【0009】
本発明の根底を成す課題は、良好な密閉特性、高い耐食性および低重量を有する、電気的な蓄え手段を収容するハウジングユニットを提案することにある。
【0010】
本発明に基づき提案する、電気的に駆動可能な自動車の電気駆動装置用の電気的な蓄え手段を収容するハウジングユニットは、底部と、金属材料から変形加工により製造された、環状に閉じられたトレイフレームとを備えた底部トレイと、1つの環状のフレームを形成するように互いに結合された複数のフレーム部材と、互いに反対側に位置する2つのフレーム部材の間に延びる複数の補強部材とを有する構造フレームとを含み、フレーム部材と補強部材とはそれぞれ、鋼材料から製造されておりかつ互いに結合されて構造フレームを形成しており、構造フレームは、底部トレイ内に挿入されて、この底部トレイに結合されており、構造フレームの鋼材料の降伏強さは、トレイフレームの金属材料の降伏強さより少なくとも10%大きくなっており、ハウジングユニットはさらに、トレイフレームに取外し可能に結合可能な蓋を含み、トレイフレームと蓋とが、電気的な蓄え手段用の収容空間を包囲している。
【0011】
1つの利点は、ハウジングユニットの個々のコンポーネントを、その構成に関して様々な技術的な要求に良好に適合させることができる、という点にある。例えばトレイフレームは、変形可能な材料から変形加工式に製造されることに基づき、特に良好な封止機能および防食機能を有している。それというのも、トレイフレームは、ハウジングユニットの外側領域を形成するため、ここでは他のコンポーネントを取り付けるためのさらなる溶接シームが必要とされていないからである。よって、トレイフレームの内側に位置する他の全てのコンポーネント、特に構造フレームは、腐食から可能な限り最良に保護されている。トレイフレームの平均的な金属薄板厚さは、この技術的な要求に必要とされる最小値にまで低減され得る。一般に、特に1.0mm~3.0mmのトレイフレームの平均的な金属薄板厚さが可能であり、この場合、減じられた金属薄板厚さは、例えば1.4mm未満、またはそれどころか1.2mm未満であってよい。トレイフレームは、構造フレームから機能的に分離されており、ひいては構造機械的な役割を引き受けずに済む。これにより、底部トレイの材料品質、金属薄板厚さ、および場合によりコーティングが、封止機能および防食機能に最適化され得る。このようにして、この大型の、ひいては特に重量に関連する部品の良好な機能充足と低重量とが達成され得る。
【0012】
これに対して、構造フレームもしくはその少なくとも個々の部材は、防食性に基づく妥協をする必要なしに、構造機械的な役割または強度および/または剛性に関して最適化され得る。個々のフレーム部材および/または補強部材の寸法設定は、予想される荷重に応じて個別に行われてよい。低荷重領域においてフレーム部分および/または補強部材の厚さを的確に減少させることにより、材料を節約することができ、これにより、ハウジングユニットは最終的に、機械的な特性に関する損失なしに低重量を有することになり、ひいては安価に製造され得る。より高い荷重が加えられる領域において、特に衝突に関連する領域において、フレーム部分および/または補強部材の厚さを的確に増大させることにより、より高い強度が達成され得、その結果、ハウジングユニットは、破壊されることなしに高荷重を吸収することができる。
【0013】
本開示の文脈において、可変の厚さを有する部品の「平均的な厚さ」とは、例えば各部品の長さにわたり累積された平均的な厚さか、または部品の最大絶対厚さと最小絶対厚さとの間の平均的な厚さであってよい。長さにわたり一定の厚さを有する部品の場合、平均的な厚さは公称厚さに等しい。
【0014】
トレイフレームの金属薄板材料は、好適には少なくとも15%の破断伸びを有していてよい。この値は、原材料、つまり金属薄板材料をトレイフレームへと変形加工する前、または完成製品として変形加工されたトレイフレームに関するものであってよい。本開示の文脈において、破断伸びAは、初期測定長さL0に対して、試料の破断後に残る長さ変化(Lu-L0)を表し、すなわちA=(Lu-L0)/L0*100%である。トレイフレームの材料の破断伸びAは、好適には構造フレームの材料の破断伸びよりも大きい。破断伸びを求めかつ試験を実施する手段は、例えばDIN EN ISO 6892-1もしくはASTM E8/E8Mに記載されている。特に、矩形の横断面を有するもしくは平形製品用の引張り試料が使用され得る。指定された15%以上の破断伸びAが少なくとも適用される試料の初期測定長さL0は、例えば50mmであってよく、この場合、DIN EN ISO 6892-1またはASTM E8/E8Mに基づく別の試料長さも同様に可能である。
【0015】
トレイフレームは、例えば良好に変形可能な鋼材料、またはアルミニウムもしくはアルミニウム合金等の軽金属から一体の変形加工部品として製造され得る。この場合、使用される材料は特に、450MPa未満の引張り強さおよび/または降伏強さ(Rp0.2)を有している。トレイフレームの製造は、好適には一体の金属薄板素材から行われ、この金属薄板素材は、変形加工作業、特に深絞り加工、および場合により切断作業により加工され、トレイフレームを形成する。特に大きなトレイフレームの場合には、場合により複数の個々の金属薄板部材がまず別個に製造され、互いに材料結合式に、例えば溶接により結合されてよく、その後、この素材複合体が次いで1つの部品としてトレイフレームに変形加工される。変形加工の枠内で、トレイフレームは、引抜き斜面を形成する傾斜を付けられた壁領域を備えて製造される。
【0016】
第1の実施形態では、トレイフレームは、統合された底部と一体に製造されていてよい。この場合、トレイフレームと底部とは、相応して気密かつ液密な一体の底部トレイを形成している。底部トレイは、任意には冷却構造を有していてよい。冷却構造が一体化された底部トレイの製造は、例えば2つのアルミニウム帯材をロールボンディングし、次いで個別化して素材複合体を形成し、特に深絞り加工によりトレイ形に変形加工し、中空空間を膨らませることにより行われてよい。この構成では、トレイフレームと底部とは、同じ材料から成る一体の底部トレイを形成している。
【0017】
1つの変化実施形態では、トレイフレームと底部とがまず別個に製造され、次いで互いに封止式に結合されていてもよい。この場合、底部は、冷却媒体が通流することができる統合された冷却構造を有している。トレイフレームと冷却底部とは、例えば液密かつ気密に互いに結合され得、このことは例えば、摩擦溶接またはリベット留めを伴う接着から成るハイブリッド結合技術を用いて行われてよい。この実施形態では、トレイフレームと冷却底部とが異なる材料から製造され得、例えばトレイフレームは冷間変形可能な鋼から製造され得、冷却底部はアルミニウムまたはアルミニウム合金から製造され得る。
【0018】
冷却底部もしくは冷却構造は、ロールボンディングにより互いに結合された複数のアルミニウム帯材から製造されていてよい。アルミニウム帯材は、結合領域における加熱および圧延により互いに結合され、個々の素材へと短くされる。次いで、結合領域の外側に位置する領域が加圧され、これにより、この領域が変形して中空空間を形成することにより、中空領域が製造される。冷却底部の中空領域は、好適には互いに重なり合う2つのアルミニウム薄板のうちの一方にのみ形成されている、すなわち、一方の金属薄板部材は平らであるのに対し、他方の金属薄板部材は変形されている。この場合、平らな金属薄板部材と、この平らな金属薄板部材に結合された変形加工された金属薄板部材とは、例えば0.8mm~2.0mmであってよい同じまたは異なる金属薄板厚さを有していてよい。冷却底部は、一体のロールボンディング部材または互いに結合された複数のロールボンディング部材から製造されていてよい。
【0019】
トレイフレームは、横断面で見てZ字形の断面形状を有していてよく、底部に移行するかまたは底部に結合された下部フランジ領域と、底部から離反する方向に拡張する環状の壁領域と、この壁領域に接続していて蓋の取付けに用いられる上部フランジ領域とを備えている。上部フランジ領域に向かう壁領域の拡張部は、変形加工工具用の引抜き斜面として用いられる。
【0020】
上部フランジ領域は、特に蓋の対応面に封止式に結合する平らな封止面を形成しており、蓋はトレイフレームに、特に取外し可能に結合可能である。下部フランジ領域は、一体の構成では底部に一体的に移行している、または2つの部分から成る構成では、冷却底部の対応面に封止式に結合する平らな封止面を形成している。
【0021】
構造フレームは、1つの環状フレームに組み立てられた複数のフレーム部材と、2つの側方フレーム部材の間に延在するかもしくはこれらを互いに支持する複数の補強部材とを含んでいる。フレーム部材および/または補強部材は、その強度および剛性に関して、その時々の技術的な要求に適合させられてよい。例えばフレーム部材のうちの少なくともいくつかおよび/または補強部材のうちの少なくともいくつかは、それぞれの部材の長さにわたり可変の金属薄板厚さを有していてよい。
【0022】
特別な技術的な要求に応じて、フレーム部材は、C字形の外側成形材と、これに結合されたC字形の内側成形材との2つの部分から成る中空成形材の形態で形成されているか、または一体の成形材の形態で形成されていてよい。2つの部分から成るもしくは中空の成形材の使用により、材料および金属薄板厚さに応じて例えば6500mm3を上回っていてよい、特に高い曲げ抵抗モーメントが達成され得る。
【0023】
フレーム部材と補強部材とは、同じまたは異なる鋼材料から製造されていてよい。例えば、構造フレームの少なくともいくつかのまたは全てのフレーム部材は、マルテンサイト状に硬化可能な鋼、特にマンガン・ボロン合金熱処理鋼、例えば17MnB3、22MnB5、26MnB5または34MnB5等から製造されていてよく、この場合、別の性質の鋼も同様に可能である。構造フレームの少なくともいくつかの、好適には全てのフレーム部材は、特にアルミニウム合金から成る防食層を備えていてよい。防食層は、腐食に対する良好な保護手段を提供する。マルテンサイト状に硬化可能な鋼材料から製造される部品の最終的な形状は、好適には、プレス硬化と呼ばれることもある熱間変形加工の過程で生ぜしめられる。このためには、少なくとも500MPaの引張り強さを有していてよい予めコーティングされた出発部材を、まずオーステナイト化温度に加熱し、次いで高温状態で熱間成形型内に挿入し、その中で変形加工し、かつ急速に冷却し、これにより、マルテンサイト組織を生ぜしめる。製造が完了した、すなわち変形加工されかつ硬化された部品は、少なくとも900MPa、好適には少なくとも1300MPaの最終引張り強さを有していてよい。
【0024】
補強部材は、特に冷間圧延鋼、例えばHC420等のマイクロ合金鋼、DP800またはDP1000等の二相鋼、または複相鋼から製造されていてよい。これらの鋼は、冷間変形加工の過程において、素材から完成部品へと変形加工される。冷間成形鋼は良好に変形加工され得るため、補強部材の、より複雑な幾何学形状を生ぜしめることもできる。補強部材はさらに、特に亜鉛合金から成る防食層を備えていてよい。しかしまた、フレーム部材に関連して説明したように、熱間成形鋼を使用することも可能である。この場合、好適にはアルミニウム合金が防食層として使用される。
【0025】
補強部材は、フレーム部材の間に配置されていて、フレーム部材に例えば溶接により固く結合された横方向支持体および/または長手方向支持体を含んでいてよい。補強部材を介して、補強部材に結合されたフレーム部材が相互に支持されている。このようにして全体的に、予め製造された構成ユニットとして底部トレイに挿入可能でありかつ底部トレイに結合可能な丈夫な構造フレームが形成されている。
【0026】
1つの可能な実施形態では、補強部材のうちの少なくともいくつかは、加工されたねじ山を有していてよく、これらのねじ山は、特に穿孔プロセス、深絞りプロセス、エンボスプロセスおよび/または切断プロセスにより製造されていてよい。ねじ山は、蓋部分および/または補強部材の間に挿入可能なバッテリモジュールの取付けに用いることができるか、もしくはこの目的のために形成されていてよい。
【0027】
ハウジングユニットを車体に取り付けるために、複数の貫通ねじユニットが設けられていてよく、これらの貫通ねじユニットはそれぞれ、補強部材を貫通する封止された支持スリーブを有していてよい。ハウジングユニットの貫通ねじ部の数は、例えば補強部材毎に2~5であってよい。
【0028】
技術的な要求に応じて、少なくともいくつかの補強部材は、最長の長さにわたり可変の金属薄板厚さを有していてよく、この場合、金属薄板厚さは、特に加工成形されたねじ山の領域において、かつ/または貫通ねじ部の領域において、かつ/またはフレームに結合された端部側の取付け部分の領域において、増大されていてよい。
【0029】
蓋は、一体にまたは複数の部分から、それぞれ任意には可変のまたは均一な材料厚さを備えて形成されていてよい。
【0030】
蓋がトレイフレーム・底部ユニットに結合された状態では、閉じられたハウジングユニットが形成されており、ハウジングユニット自体が封止されている。ハウジングユニットからのバッテリ液の流出もしくはハウジングユニット内への汚れの侵入が効果的に回避される。
【0031】
以下に、好適な実施形態を図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】本発明による、電気的な蓄え手段を収容するハウジングユニットの第1の実施形態を示す斜視分解図である。
【
図1B】
図1Aに示したハウジングユニットの詳細を示す横断面図である。
【
図2A】本発明によるハウジングユニット用の補強部材を単独で示す斜視図である。
【
図3B】
図3Aに示したハウジングユニットの詳細を示す拡大図である。
【
図3C】
図3Bに示した断面線3C-3Cに沿って断面したハウジングユニットを示す図である。
【
図4A】本発明によるハウジングユニットの1つの別の実施形態を示す斜視分解図である。
【
図4B】
図4Aに示したハウジングユニットの詳細を示す横断面図である。
【
図5】本発明による、電気的な蓄え手段を収容するハウジングユニットの1つの別の実施形態を示す斜視分解図である。
【
図6】本発明によるハウジングユニット用の底部トレイおよび構造フレームの1つの変化実施形態を示す斜視分解図である。
【
図7A】本発明によるハウジングユニットの1つの別の実施形態を示す斜視分解図である。
【
図7B】
図7Aに示した底部トレイを下から見たところを単独で示す斜視図である。
【0033】
まとめて
図1とも表される
図1Aおよび
図1Bには、電気的な蓄え手段(図示せず)が収容され得る本発明によるハウジングユニット2の第1の実施形態が示されている。このようなハウジングユニット2は、自動車の車体に結合され得る。電気的な蓄え手段は、電気的に駆動可能な自動車の電動モータに電流を供給することができる電気エネルギを蓄えるために使用され、バッテリモジュールと呼ばれることもある。
【0034】
ハウジングユニット2は、底部トレイ3と、構造フレーム4と、蓋5とを有している。本実施形態では、底部トレイ3は2つの部分から構成されていて、変形加工式に製造された一体のトレイフレーム6と、トレイフレーム6に封止式に結合された底部7とを含んでいる。結合は、例えば溶接および/または接着により行われてよい。接合状態において、底部7とトレイフレーム6とは共に、構造フレーム4と蓄え手段とを収容する底部トレイ3を形成している。構造フレーム4は、環状のフレームを形成するように互いに結合された複数のフレーム部材8,9,10,11と、反対側に位置する2つのフレーム部材8,9の間に延在する複数の補強部材12とを含む。フレーム部材8,9,10,11および補強部材12は、鋼材料から製造されており、互いに結合されて構造フレーム4を形成している。結合は、例えば溶接および/またはねじ締結により行われてよい。構造フレーム4は、底部トレイ3内に挿入され、底部トレイ3に結合される。蓋5は、例えばねじ締結により、トレイフレーム6に取外し可能に結合可能である(図示せず)。全体として、内側に位置する構造フレーム4を備えたハウジングが達成され、内側に位置する構造フレーム4は、外側に位置する底部トレイ3もしくは蓋5により、環境影響から保護されている。
【0035】
以下に、底部トレイ3、構造フレーム4および蓋5から成る構成群をさらに詳しく説明する。
【0036】
トレイフレーム6は、金属薄板素材を例えば深絞り加工してから切断することによる変形加工により、一体に製造されている。この場合、トレイフレーム6の壁領域13は、特に変形加工工具用の引抜き斜面を備えて製造される。トレイフレームは、例えば良好に変形可能な鋼材料、またはアルミニウムもしくはアルミニウム合金等の軽金属から製造され得、この場合、使用される金属材料は、少なくとも15%の破断伸び(A50)を有していることが望ましい。引張り強さおよび/または降伏強さ(Rp0.2)は、好適には450MPa未満である。トレイフレーム6の平均的な金属薄板厚さd6は、好適には1.4mm未満、特に1.2mm未満である。平均的な厚さは、例えばトレイフレームの延在長さ全体にわたり累積された平均的な厚さか、またはトレイ部分の最大絶対厚さと最小絶対厚さとの間の平均的な厚さに関係していてよい。
【0037】
特に
図1Bに認められるように、トレイフレーム6は、横断面で見てZもしくはS字形の断面を有しており、この断面では、下部フランジ領域14と上部フランジ領域15とが、壁領域13から互いに反対の方向に折り曲げられている。この場合、下部フランジ領域14は内側に折り曲げられており、特に底部7に封止式に結合する平らな封止面を有している。上部フランジ領域15は外側に折り曲げられており、特に蓋5の対応面に封止式に結合する平らな封止面を有しており、蓋5はトレイフレーム6に、全周にわたり分散された複数のねじ締結部を介して取外し可能に結合可能である。
【0038】
底部7は、一体化された冷却構造を有しており、この点において冷却底部と呼ばれることもある。接合状態において、底部7とトレイフレーム6とは共に、液密かつ気密な底部トレイ3を形成している。冷却底部は、ロールボンディングにより互いに結合された、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金から成る複数の金属薄板部材16,17から製造されている。ロールボンディングでは、互いに重ねられた2つの金属帯材のうちの1つに分離剤が施され、2つの金属帯材は、加熱および圧延により結合領域18において互いに結合される。スクリーン印刷法で被着され得る分離剤は、後の中空空間の幾何学的形状を表している。分離剤が施されていない領域では、2つの金属薄板層は材料結合式に互いに結合されている。互いに結合されていない領域は加圧され、その結果、これらの領域が変形して中空領域19を形成する。この場合、中空領域19は、互いに重ねられた金属薄板部材のうちの下側の金属薄板部材にのみ形成されている。上側の金属薄板部材16は平らなままであり、これにより、相応してバッテリモジュール用の平らな接触面が形成されている。金属薄板部材16,17の金属薄板厚さは、例えば0.8~2.0mmであってよい。高い冷却出力のために、金属薄板部材16,17は、特に100W/mKを上回る高い熱伝導率を有していてよい。
【0039】
特に
図1Aから判るように、底部7は複数の冷却領域22を有しており、これらの冷却領域22は、組立て状態では補強部材12により空間的に互いに隔てられている。冷却領域22の数は、蓄え部材の数に適合されていてよい。補強部材12はそれぞれ、隣り合う2つの冷却領域22の間の結合領域23において底部7に結合されている。さらに、中空領域19を通じて冷却媒体を循環させる接続部24,25が認められる。本構成では、底部7は、互いに結合された、ロールボンディングされた2つの底部部材20,20’から構成されており、相応して2つの冷却構造を有している。しかしまた、1つの冷却構造を備えた、ロールボンディングされた単一の底部部材から成る構成も可能である。
【0040】
補強部材12は、互いに反対側に位置する2つのフレーム部材8,9の間の結合ウェブを形成しており、フレーム部材8,9は、フレーム部材8,9に対して横方向に延在する端部側のフレーム部材10,11と共に、閉じたフレームを形成している。補強部材12の数は、蓄え部材の数に適合されていてよい。この場合、補強部材12は、ハウジングの最長の長さに対して横方向に延在しており、ひいては横方向支持体または横方向支柱と呼ばれることもある。長手方向支持体を備えた構成も可能である。
【0041】
特に
図1Bにおいて認められるように、フレーム部材8,9,10,11またはこれらのうちの少なくとも一部は、本実施形態では横断面がC字形の断面を有している。この場合、上部フランジ部分26と下部フランジ部分27とは両方共同じ方向に、壁部分28から内側に折り曲げられている。補強部材12は、底部トレイ3に取り付ける底部側のフランジと、側方のフレーム部材8,9に結合する端部側のフランジとを備えた、横断面で見てU字形の断面を有していてよい。補強部材12はその両端部でもって、フレーム部材8,9のC字形の断面により形成された、内向きに開いた中空空間内に係合して、フレーム部材8,9に取り付けられている、例えば溶接されている。
【0042】
フレーム部材8,9,10,11またはこれらのうちの少なくとも一部は、好適には熱間成形可能な鋼から、特に17MnB3,22MnB5,26MnB5または34MnB5等のマルテンサイト状に硬化可能な熱処理鋼から製造される。この場合、素材が完成部品へと熱間変形加工される過程において変形加工されかつ硬化されることにより、部材の特に高い強度が達成されることになる。
【0043】
補強部材12、またはこれらのうちの少なくとも一部は、好適には冷間成形可能な鋼、特にHC420等の冷間圧延されたマイクロ合金鋼、DP800またはDP1000等の二相鋼、または複相鋼から製造されている。これらの鋼は、冷間変形加工の過程において、素材から完成部品へと変形加工される。択一的に、補強部材12は、上述のように熱間成形可能な鋼から製造されてもよい。
【0044】
特に良好な耐食性のために、構造フレーム4のフレーム部材8,9,10,11および/または補強部材12は、特に冷間成形鋼の場合には亜鉛を基礎とした合金または熱間成形鋼の場合にはアルミニウムを基礎とした合金から成る防食層を有していてよい。防食層は、好適には変形加工プロセスの前に鋼帯材に被着される。
【0045】
フレーム部材8,9,10,11と補強部材12とは別個に製造されてから、例えば溶接により互いに結合され得る。フレーム部材8,9,10,11と補強部材12とは共に、この場合ははしご状の構造を有する構造フレーム4を形成しているが、これに限定されるものではない。技術的な要求に応じて、少なくともいくつかの補強部材12および/または少なくともいくつかのフレーム部材8,9,10,11が、それぞれの長さにわたり異なる金属薄板厚さを有していてよい。構造フレーム4は、特に予め製造されたもしくは自立式の構成ユニットとして底部トレイ3内に挿入され、例えば溶接またはねじ締結により底部トレイ3に結合され得る。
【0046】
図2Aおよび
図2Bには、補強部材12の1つの可能な実施形態が示されている。特に
図2Bにおいて認められるように、補強部材12は、底部トレイ3に取り付けるように側方に張り出した2つのフランジ部分29,29’を備えるU字形の断面を有している。補強部材は互いに反対の側の端部に、長手方向に延在するフレーム部材8,9に取り付けるように側方に折り曲げられた端部フランジ30,30’を有している。任意には、補強部材12は、底部部分32に形成された複数のねじ山33を有していてよく、この場合、ねじ山は、穿孔プロセス、深絞りプロセス、エンボスプロセスおよび/または切断プロセスにより製造されていてよい。ねじ山33は、蓋5および/またはバッテリモジュールの取付けに用いられる。横方向支持体の金属薄板厚さは、特に、加工成形されたねじ山および/または端部フランジ30,30’の領域において好適には増大されている。さらに、補強部材12は、任意には底部部分32に複数の貫通開口34を有していてよく、これらの貫通開口34を介して、蓋から底部にねじを貫通させることが可能になり、これについて、以下で
図3に基づき、より詳しく説明する。
【0047】
まとめて
図3とも表される
図3A、
図3Bおよび
図3Cには、本発明によるハウジングユニット2を車体に取り付けるための1つの可能な実施形態が示されているが、これに限定されるものではない。本実施形態では、複数の貫通ねじユニット35が設けられてよく、これらの貫通ねじユニット35を介して、各1つのねじを底部から蓋に向かって、ハウジングユニット2を貫通して案内することができ、これにより、ハウジングユニット2を車体に取り付けることができる。
【0048】
貫通ねじユニット35は、各1つの内側スリーブ36を有しており、内側スリーブ36は、補強部材12の貫通開口34内に差し込まれており、2つの脚部31,31’の間に配置されている。内側スリーブ36は、下方に対して底部7に支持されており、下部取付けスリーブ37を介して底部7に取り付けられている。補強部材12は、取付けスリーブ37の領域に、内側に引き込まれた支持フランジ21を備えた複数の開口を有していてよい。内側スリーブ36は、上端部において対応する取付けスリーブ38を介して蓋5にねじ締結されている。内側スリーブ36と底部7との間の結合部および内側スリーブ36と蓋5との間の結合部は封止されているため、ハウジング内部空間39内に湿分または汚れが侵入することはない。横方向支持体毎の貫通ねじユニット35の数は、例えば最大5つである。
【0049】
まとめて
図4とも表される
図4Aおよび
図4Bには、本発明によるハウジングユニット2の1つの変化実施形態が示されている。この変化実施形態は、
図1~
図3に示した実施形態に概ね相当するため、共通点については上述の説明を参照されたい。この場合、同一の部品もしくは互いに対応する部品には、上述の
図1~
図3の場合と同一の符号を付してある。
【0050】
図4に示す本実施形態の唯一の相違点は、フレーム部材8,9の構成にあり、これらのフレーム部材8,9は、C字形の外側成形材40と、この外側成形材40に結合されたC字形の内側成形材41との2つの部分から成る中空成形材の形態で形成されている。外側成形材40と内側成形材41とは、これらの上部フランジ部分26,42と下部フランジ部分27,43とでもって互いに重なり合うように方向付けられており、これにより、横断面で見て中空空間が生じている。内側成形材41は、その長さにわたり複数の重量低減開口44を有していてよい。全体としてフレーム部材8,9は、2つの成形材において、より高い強度、剛性もしくは特に高い曲げ抵抗モーメントを有している。
【0051】
図5には、本発明によるハウジングユニット2の1つの別の実施形態が示されている。この実施形態は、大部分において
図4に示した実施形態に相当するため、この点で、共通点に関しては
図4の説明を参照されたい。この場合、同一の部品もしくは互いに対応する部品には、上述の
図1~
図4の場合と同一の符号を付してある。
【0052】
図5に示す本実施形態の特徴は、底部トレイ3が一体に製造されている、すなわち、トレイフレーム6と底部7とが、変形加工法の過程で素材または素材複合体から特に深絞り加工により製造された1つの部品を形成している点にある。底部7は、この構成では冷却構造を有しておらず、深絞り加工された金属薄板により形成される。それでもなお、バッテリモジュール用の冷却機能を提供するために、構造フレーム4上に載置されるか、もしくは構造フレーム4と蓋5との間に配置された上部冷却底部45が設けられている。一体に製造された底部トレイ3は、結合箇所が存在しない、という利点を有している。ハウジングユニット2の車体への取付けは、本構成では例えばトレイフレーム6の周方向に延在するフランジを介して行われてよく、この場合、択一的に、
図3に示した、ねじを貫通させることも可能である。
【0053】
図6は、構造フレーム4が変更された実施形態を示す。蓋は、ここでは簡単にするために図示されていない。本実施形態は、大部分において
図5に示した実施形態に相当するため、この点で、共通点に関しては
図5の説明を参照されたい。この場合、同一の部品もしくは互いに対応する部品には、上述の
図1~
図5の場合と同一の符号を付してある。
【0054】
図6に示す実施形態の特徴は、構造フレーム4が、横方向に延在する補強部材12と長手方向に延在する補強部材12’とを有しており、これらの補強部材12,12’は、フレーム部材8,9,10,11の間に延在しており、これにより、全体として窓状の支持体構造が形成されている点にある。底部トレイ3は一体に製造されており、この場合、トレイフレーム6と底部7とが、変形加工により、特に深絞り加工により素材または素材複合体から製造された1つの部品を形成している。底部7は、この構成では冷却構造を有しておらず、
図5に示したように、上部に位置する冷却底部が備えられてもよい。ただし、例えば
図7に示すように、底部7が冷却構造を有していてもよい、ということは自明である。
【0055】
まとめて
図7とも表される
図7Aおよび
図7Bには、本発明によるハウジングユニット2の1つの別の実施形態が示されている。この実施形態は、
図4に示した実施形態に概ね相当するため、共通点については上述の説明を参照されたい。この場合、同一の部品もしくは互いに対応する部品には、上述の
図1~
図6の場合と同一の符号を付してある。
【0056】
図7に示す本実施形態の特徴は、底部トレイ3が一体に製造されている、すなわち、トレイフレーム6と底部7とが、変形加工法の過程でロールボンディングされた2つの底部部材20,20’から成る素材複合体から特に深絞り加工により製造された1つの部品を形成している点にある。底部7とトレイフレーム6とは、この構成ではこれらの間に結合箇所が存在しない一体の底部トレイ3を形成している。特に
図7Bにおいて認められるように、底部トレイ3は、互いに結合された、ロールボンディングされた2つの底部部材20,20’と、相応する、上述のような2つの冷却構造46,46’とを有している。しかしまた、1つの冷却構造を備える、ロールボンディングされた単一の素材複合体から成る構成も可能である。
【0057】
全体として、変形加工式に製造されたトレイフレーム6を備えた上述のハウジングユニット2は、高い封止性の利点を有している。それというのも、濡れ領域において溶接シームが回避され、ひいては安全性が高められるからである。純粋な封止・防食機能と、純粋な構造機械的な機能との間で機能分離を行うことができる。この場合、封止・防食機能は、金属薄板厚さおよび重量を最小に低減することができる底部トレイ3により引き受けられる。構造機械的な機能は、底部トレイ3と蓋5とにより封止されて包囲されており、場合により荷重最適化され、可変の金属薄板厚さを備えて形成されていてよい、例えばテーラーロールドブランクから成る構造フレーム4により引き受けられる。
【符号の説明】
【0058】
2 ハウジングユニット
3 底部トレイ
4 構造フレーム
5 蓋
6 トレイフレーム
7 底部
8 フレーム部材
9 フレーム部材
10 フレーム部材
11 フレーム部材
12 補強部材
13 壁領域
14 フランジ領域
15 フランジ領域
16 金属薄板部材
17 金属薄板部材
18 結合領域
19 中空領域
20,20’ 底部部材
21 支持フランジ
22 冷却領域
23 結合領域
24 接続部
25 接続部
26 フランジ部分
27 フランジ部分
28 壁部分
29,29’ フランジ部分
30,30’ 端部フランジ
31,31’ 脚部
32 底部部分
33 ねじ山
34 貫通開口
35 貫通ねじユニット
36 内側スリーブ
37 取付けスリーブ
38 取付けスリーブ
39 ハウジング内部空間
40 外側成形材
41 内側成形材
42 フランジ部分
43 フランジ部分
44 開口
45 冷却底部
46,46’ 冷却構造
d6 厚さ
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に駆動可能な自動車の電気駆動装置用の電気的な蓄え手段を収容するハウジングユニットであって、
底部(7)と、金属材料から変形加工により製造された、環状に閉じられたトレイフレーム(6)とを備えた底部トレイ(3)と、
1つの環状のフレームを形成するように互いに結合された複数のフレーム部材(8,9,10,11)と、2つの前記フレーム部材(8,9)の間に延びる複数の補強部材(12)とを有する構造フレーム(4)とを含み、前記フレーム部材(8,9,10,11)と前記補強部材(12)とはそれぞれ、鋼材料から製造されておりかつ互いに結合されて前記構造フレーム(4)を形成しており、該構造フレーム(4)は、前記底部トレイ(3)に結合されており、
前記フレーム部材(8,9,10,11)および前記補強部材(12)の前記鋼材料の降伏強さは、前記トレイフレーム(6)の前記金属材料の降伏強さより少なくとも10%大きくなっており、
当該ハウジングユニットはさらに、前記トレイフレーム(6)に取外し可能に結合可能な蓋(5)を含み、前記トレイフレーム(6)と前記蓋(5)とが、電気的な蓄え手段用の収容空間を包囲している、ハウジングユニットにおいて、
前記構造フレーム(4)は、前記底部トレイ(3)において前記トレイフレーム(6)の内側に配置されていることを特徴とする、ハウジングユニット。
【請求項2】
前記底部トレイ(3)は、2つの部分から製造されており、前記トレイフレーム(6)は、前記底部(7)に封止式に結合されており、前記底部(7)は、冷却媒体が通流することができる、一体化された冷却構造を有しており、
前記底部(7)は、ロールボンディングにより互いに結合された複数のアルミニウム薄板(16,17)から製造されており、該アルミニウム薄板(16,17)は、圧延により結合領域(18)では互いに結合されておりかつ前記冷却構造を形成する中空領域(19)では互いに離間されている、
請求項1記載のハウジングユニット。
【請求項3】
前記トレイフレーム(6)は、横断面で見てZ字形の断面を有しており、前記トレイフレーム(6)は、下部フランジ領域(14)から出発して該下部フランジ領域(14)に続く壁領域(13)を経て上部フランジ領域(15)に向かって拡張して
おり、
前記上部フランジ領域(15)は、前記蓋(5)の対応面に封止式に結合する平らな封止面を形成しており、かつ
前記下部フランジ領域(14)は、前記底部(7)の対応面に封止式に結合する平らな封止面を形成している、
請求項1または2記載のハウジングユニット。
【請求項4】
前記トレイフレーム(6)は、450MPa未満の降伏強さ(Rp0.2)
と、少なくとも15%の破断伸び(A50)と、3.0mm未満の平均的な金属薄板厚さとを有する金属
薄板材料
から製造されている、請求項1
または2記載のハウジングユニット。
【請求項5】
前記底部トレイ(3)は、変形加工により、特に深絞り加工により、トレイフレーム(6)と底部(7)とから一体に製造されている、請求項1
または2記載のハウジングユニット。
【請求項6】
前記補強部材(12)のうちの少なくともいくつかは、前記蓋(5)および/または前記補強部材(12)の間に挿入可能なバッテリモジュールの取付け用に加工されたねじ山(33)を有しており、
かつ当該ハウジングユニット(2)を車体に取り付けるために、複数の貫通ねじユニット(35)が設けられている、請求項1
または2記載のハウジングユニット。
【請求項7】
前記補強部材(12)のうちの少なくともいくつかは、各補強部材の最長の長さにわたり可変の金属薄板厚さを有して
いる、請求項1
または2記載のハウジングユニット。
【請求項8】
前記構造フレーム(4)の前記フレーム部材(8,9,10,11)のうちの少なくともいくつかは、熱間変形加工によりマルテンサイト状に硬化可能な鋼から
製造されており
、
前記構造フレーム(4)の前記フレーム部材(8,9,10,11)のうちの少なくともいくつかは、アルミニウム合金から成る防食層を備えている、
請求項1
または2記載のハウジングユニット。
【請求項9】
前記構造フレーム(4)の前記フレーム部材(8,9,10,11)のうちの少なくともいくつかは、各フレーム部材の最長の長さにわたり可変の金属薄板厚さを有しており、
かつ/または
前記構造フレーム(4)の前記フレーム部材(8,9,10,11)のうちの少なくともいくつかは、C字形の外側成形部材(40)と、該外側成形部材(40)に結合されたC字形の内側成形部材(41)とから成る中空成形材の形態で形成されている、
請求項1
または2記載のハウジングユニット。
【請求項10】
前記構造フレーム(4)の前記補強部材(12)のうちの少なくともいくつかは、冷間変形加工により、最大550MPaの降伏強さを有する冷間圧延鋼から製造されて
おり、
前記構造フレーム(4)の前記補強部材(12)のうちの少なくともいくつかは、亜鉛合金から成る防食層を備えている、
請求項1
または2記載のハウジングユニット。
【国際調査報告】