(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置
(51)【国際特許分類】
B60L 58/26 20190101AFI20240822BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240822BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240822BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240822BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20240822BHJP
【FI】
B60L58/26
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6554
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513868
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2022074461
(87)【国際公開番号】W WO2023031406
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021122913.8
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596179058
【氏名又は名称】ムール ウント ベンダー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Muhr und Bender KG
【住所又は居所原語表記】Mubea-Platz 1, D-57439 Attendorn,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ムーア
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ アイケ エレンド
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン ショーレマン
(72)【発明者】
【氏名】ビュニャミン エズカン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ベーゲマン
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン デ ルカ
(72)【発明者】
【氏名】エリーザベト ダンガー
【テーマコード(参考)】
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
5H031KK08
5H125AA01
5H125FF24
(57)【要約】
電気車両に設けられた電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置において、バッテリ冷却装置が、調温流体を循環させるための、実質的に閉鎖された流れ室を形成しており、流れ室内に多数の流れエレメントが配置されており、これらの流れエレメントが、流れ室を通る調温流体の流れに影響を与える、電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両に設けられた電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置において、
該バッテリ冷却装置が、調温流体を循環させるための、外部に対して閉鎖された流れ室(1)を有し、
該流れ室(1)が、ロールクラッディングにより所定の領域で互いに接合された2つのプレートの間に形成されており、該プレート(23,25)が、接合領域(3)では材料接続式に接合されていて、接合されていない中空領域(4)では前記流れ室(1)を形成するために拡張されており、
前記接合領域(3)によって流れエレメント(5)が形成されており、
前記流れ室(1)を通る調温流体の流れに影響を与える多数の流れエレメント(5)が前記流れ室(1)内に配置されており、
前記流れエレメント(5)の少なくとも一部が、少なくとも1つのヘッド領域(7)を備えた、すべての側で流れによって流過される細長いウェブ(6)として形成されており、
該ウェブの、長手方向(L)における長さ(d)が、長手方向(L)に対して直交する方向における前記ウェブの幅よりも大きく、
前記ヘッド領域(7)が、長手方向(L)に対して直交する方向において、前記ウェブ(6)の最小幅(b)よりも大きな、増大させられた幅(B)を有する、
電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置。
【請求項2】
前記増大させられた幅(B)が、前記ウェブの最小幅(b)よりも少なくとも1.05倍だけ大きいことを特徴とする、請求項1記載のバッテリ冷却装置。
【請求項3】
前記ヘッド領域(7)が、1つまたは複数の丸みを有し、該丸みの最小半径(R)が、前記ヘッド領域(7)を取り囲む中空領域(4)における前記プレート(23,25)の最大間隔よりも少なくとも1.3倍だけ大きいことを特徴とする、請求項1または2記載のバッテリ冷却装置。
【請求項4】
前記流れエレメント(5)の一部が、3つの側で流れによって流過される分離ウェブ(8)として形成されており、前記流れ室(1)が、前記分離ウェブ(8)の1つによって互いに分離された少なくとも2つのコンパートメント(9)を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のバッテリ冷却装置。
【請求項5】
前記2つのコンパートメント(9)が、調温流体のための往路部(11)と復路部(12)とを形成していることを特徴とする、請求項4記載のバッテリ冷却装置。
【請求項6】
前記分離ウェブ(8)が、前記コンパートメント(9)を接続する貫通路(17)を有し、該貫通路が、前記分離ウェブに沿って、総和で見て前記分離ウェブ(8)の全長の5%よりも少ない長さを有することを特徴とする、請求項4または5記載のバッテリ冷却装置。
【請求項7】
前記流れエレメント(5)の一部が、前記バッテリ冷却装置をバッテリハウジングまたは車両に接続するための、すべての側で流れによって流過される取付け領域(18)として形成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のバッテリ冷却装置。
【請求項8】
前記バッテリ冷却装置がパン形状を有し、前記流れ室(1)が、パン形状を形成する底領域(53)と、該底領域に接続された少なくとも1つの壁領域(52)とにわたって延びていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のバッテリ冷却装置。
【請求項9】
前記流れ室(1)が、前記2つのプレートのうちの第1のプレート(23)に設けられた、拡張された中空領域(4)により形成されており、前記2つのプレートのうちの第2のプレート(25)が、バッテリモジュール用の少なくとも1つの当付け面(14)を有し、該当付け面(14)が、1mmよりも小さな平坦度を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のバッテリ冷却装置。
【請求項10】
前記第2のプレート(25)が、前記当付け面(14)外に、拡張された中空領域(4)を有することを特徴とする、請求項9記載のバッテリ冷却装置。
【請求項11】
前記バッテリ冷却装置が、少なくとも1つの押込み加工部(20)を有し、該押込み加工部が、前記流れ室(1)を拡張させる前または後に導入されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のバッテリ冷却装置。
【請求項12】
前記流れ室(1)が少なくとも1つの通路(10)を有し、該通路(10)内で前記中空領域(4)が、前記バッテリ冷却装置の縁部にまで到達しており、前記通路(10)に、平行な流体接続部(2)が接続されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のバッテリ冷却装置。
【請求項13】
前記プレート(23)の1つが、少なくとも1つの開口(24)を有し、該開口を介して、折り曲げられた流体接続部(2)が前記流れ室(1)に接続されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のバッテリ冷却装置。
【請求項14】
電気車両に設けられた電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置において、
該バッテリ冷却装置が、調温流体を循環させるための、外部に対して閉鎖された流体通路(51)を有し、
該流体通路が、ロールクラッディングにより所定の領域で接合された2つのプレートの間に形成されており、該プレートが、接合領域(3)では材料接続式に接合されていて、接合されていない中空領域(4)では前記流体通路を形成するために拡張されており、
前記バッテリ冷却装置が、実質的に平坦な底領域(53)と、複数の壁領域(52)とを備えたパン形状に形成されており、
前記冷却通路(51)が、前記底領域(53)から前記壁領域(52)のうちの少なくとも1つにまで延びている、
電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置。
【請求項15】
請求項11または14記載のバッテリ冷却装置を製造する方法において、
まず2つのプレートを、接合領域(3)においてロールクラッディングにより所定の領域で材料接続式に接合し、
所定の領域で材料接続式に接合された前記プレートを、その後のステップで変形させ、しかも前記バッテリ冷却装置を、前記バッテリ冷却装置が、実質的に平坦な底領域(53)と複数の壁領域(52)とを備えたパン形状に形成されるように変形させ、かつ/または前記バッテリ冷却装置が少なくとも1つの押込み加工部(20)を有するように変形させ、
変形後に、前記プレートの間の接合されていない中空領域(4)を拡張させて、流れ室(1)および/または流体通路(51)を形成する、
バッテリ冷却装置を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車両に設けられた電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置に関する。
【0002】
電気車両は、とりわけ駆動源として電気機械を含み、この電気機械は、蓄電手段である電気的なバッテリモジュールに電気的に接続されている。駆動モードにおいて、電気機械は電気的なエネルギを、電気車両を駆動するための機械的なエネルギに変換する。簡潔にバッテリまたはアキュムレータとも呼ばれる電気的なバッテリモジュールは、一般にバッテリ冷却装置を用いて冷却される。
【0003】
刊行物独国特許出願公開第102016120826号明細書に基づき、電気モータ駆動式の車両用のバッテリハウジングが公知である。このバッテリハウジングは、底部とこの底部に一体成形された側壁とを備えたパン部分と、このパン部分を外側で取り囲むフレーム構造体とを含み、このフレーム構造体は中空室を形成している。
【0004】
刊行物独国特許出願公開第102018106399号明細書に基づき、電気式に駆動可能な自動車用の電気的な蓄電手段を収容するためのハウジングアッセンブリが公知である。このハウジングアッセンブリは、パンアッセンブリとカバーアッセンブリとを含む。パンアッセンブリおよび/またはカバーアッセンブリは、第1の成形部分と第2の成形部分とを有し、第1の成形部分と第2の成形部分とは、フレキシブルに圧延された金属の材料から製造されていて、互いに接合されているので、第1の成形部分と第2の成形部分とは、各成形部分の長手方向に可変の金属薄板厚さを有する。
【0005】
刊行物独国特許発明第102016108849号明細書に基づき、自動車用のバッテリホルダが公知である。このバッテリホルダは、底部金属薄板と、側方で全周にわたって延びるフレームと、カバーとを有する。底部金属薄板とフレームとは、3層の層複合鋼から金属薄板変形加工部品として一体に、かつパン形に製造されている。内側の層は、耐酸性の鋼合金から形成されており、外側の層は、ステンレス鋼合金から形成されている。
【0006】
刊行物独国特許出願公開第102016115037号明細書に基づき、側方の補強部を備えたバッテリボックスが公知である。このバッテリボックスは、このバッテリボックスを自動車に接続するための接続プロファイルを備えた側壁構造を含む。
【0007】
刊行物独国特許発明第102014226566号明細書に基づき、電気作動式の車両のトラクションバッテリ用のバッテリボックスが公知である。このバッテリボックスは、ステー構造から形成されている側壁を含む。
【0008】
刊行物中国特許出願公開第109361037号明細書には、膨張成形されている液体冷却されたプレートを備えた電気車両用のバッテリパックが開示されている。
【0009】
刊行物欧州特許出願公開第3026753号明細書に基づき、自動車用のバッテリ冷却アッセンブリが公知である。このバッテリ冷却アッセンブリは、第1の金属薄板と第2の金属薄板とを有し、両金属薄板はロールボンディングによって互いに接合されている。この場合、両金属薄板は、所定の部分領域において互いに接合されており、別の部分領域では、互いに間隔を置いて配置されて中空室を形成しており、これにより冷却通路を形成している。
【0010】
刊行物独国特許出願公開第102016205237号明細書には、バッテリモジュールの調温装置が開示されている。この調温装置は、多数のスペーサエレメントを備えた、実質的に閉鎖された流れ室を有する。この場合、スペーサエレメントはこの流れ室の内部に配置されている。さらに、この調温装置は、流れ室の内部に配置された流れ変向ユニットを有する。この流れ変向ユニットは、第1の端部と第2の端部とを有し、この場合、流れ変向ユニットは、この流れ変向ユニットに沿って第1の端部から第2の端部にまで延びる長手方向を有する。
【0011】
国際公開第2021/009256号に基づき、電気的な蓄電手段のための収容室を形成するフレームと底部とカバーとを備えたハウジングアッセンブリが公知である。フレームは、長さにわたって可変の金属薄板厚さを有する金属の材料から成る複数のフレームエレメントを含む。底部は、密なパンが形成されるようにフレームに接合されている。底部は、組み込まれた冷却構造体を有していてよく、この冷却構造体を通って冷却剤が通流し得る。冷却構造体は、複数の平行な接合領域と、これらの間に位置する線状の通路とを有していてよいか、またはこれらの接合領域は、点により形成されているので、格子状の冷却構造体が得られる。
【0012】
課題は、改善された冷却出力を有するバッテリ冷却装置を提供することにある。
【0013】
この課題は、請求項1の対象により解決される。従属形式の各請求項には、有利な構成が記載されている。
【0014】
本発明によるバッテリ冷却装置は、電気車両の電気駆動装置用の電気的なバッテリモジュールを調温するために用いられ、この場合、バッテリ冷却装置は、調温流体を循環させるための、外部に対して閉鎖された流れ室を形成し、流れ室には、流れ室を通る調温流体の流れに影響を与える多数の流れエレメントが配置されている。流れエレメントの少なくとも一部は、少なくとも1つのヘッド領域を備えた、すべての側で流れによって流過される細長いウェブとして形成されており、この場合、長手方向におけるウェブの長さは、長手方向に対して直交する方向におけるウェブの幅よりも大きく、ヘッド領域は、長手方向に対して直交する方向において、ウェブの最小幅よりも大きな、増大させられた幅を有する。
【0015】
利点は、流れ室内の、調温流体によって濡らされる表面を増大させるために、ウェブの幅が、高い調温需要を有する領域において最小値にまで減じられ得る点にある。たとえばアルミニウム薄板の場合には、1mmの最小ウェブ幅を得ることができる。ヘッド領域の増大させられた幅に基づき、寿命にわたって加えられる作動負荷による負荷、たとえば周期的な負荷に基づいて生じる、この領域における過剰肉薄化が回避される。こうして、ウェブ幅が有利に最小限に抑えられているにもかかわらず、所要の寿命が達成され得る。増大させられた幅はこの場合、ウェブの最小幅よりも少なくとも1.05倍だけ大きくてよい。ウェブは、有利には流れ案内のためにも、意図的な構造機械的な補剛のためにも成形されていてよく、この場合、増大させられた幅は、ウェブの最小幅よりも最大5倍だけ大きくてよい。ウェブは、有利には長手方向における両端部に、それぞれ1つのヘッド領域を有していてよく、この場合、1つのウェブのこれらのヘッド領域は、形状および寸法の点で互いに異なっていてよい。「外部に対して閉鎖された流れ室」とは、流体密に取り囲まれた室であって、調温流体を供給するか、または導出することができるようにするために、外部に対する1つまたは複数の接続口を有していてよい室であると解される。
【0016】
流れ室は、ロールクラッディングにより所定の領域で接合された2つのプレートの間に形成されており、この場合、プレートは、接合領域では材料接続式に接合されていて、接合されていない中空領域では拡張されており、流れエレメントは接合領域により形成されている。ロールクラッディングは、「ロールボンディング」とも呼称され得る。材料接続式の接合は、中空領域においてはロールクラッディングの前に被覆を施すことにより回避される。ヘッド領域の増大させられた幅に基づき、プレートの間の流れ室の中空領域を拡張させる際に、この領域における肉薄化が有利に回避される。中空領域を拡張させることは、たとえばプレートの間の、材料接続式に接合されていない領域に圧縮空気を導入することにより行われる。中空領域は、片側で両プレートのうちの1つのプレートにおいて拡張されているか、または両側で両プレートにおいて拡張されていてよい。バッテリ冷却装置は、両者の場合とも、バッテリセル用の平坦な当付け面を有していてよい。
【0017】
ヘッド領域は、T字形、Y字形、クローバ形、ハート形または円形の形状のうちの1つを有していてよく、この場合、これらの呼称は、可能となる形状を概略的に説明するものであるに過ぎない。ヘッド領域は、たとえば1つまたは複数の丸みを有し、この場合、丸みの最小半径は、ヘッド領域を取り囲む中空領域におけるプレートの最大間隔よりも少なくとも1.3倍だけ大きい。この間隔は、プレートの主延在平面に対して垂直方向におけるプレートの間隔であると解される。ヘッド領域の形状の丸みは、ウェブと一緒になって一種の骨形状とみなされ得る。
【0018】
1実施態様では、流れエレメントの一部が、3つの側で流れによって流過される分離ウェブとして形成されていてよく、この場合、流れ室は、分離ウェブの1つによって互いに分離された少なくとも2つのコンパートメントを有し、これらのコンパートメントは、たとえば調温流体のための往路部と復路部とを形成している。全流れ室の通流は、往路部と復路部とにより保証される。分離ウェブは、コンパートメントを接続する貫通路を有していてよく、この場合、貫通路は、分離ウェブに沿って、総和で見て分離ウェブの全長の5%よりも少ない長さを有する。これらの貫通路は、往路部と復路部との間のある程度の補償を可能にし、これにより一層均一な調温出力が可能となるので有利である。
【0019】
別の実施態様では、流れエレメントの一部が、バッテリ冷却装置をバッテリハウジングまたは車両に接続するための、すべての側で流れによって流過される取付け領域として形成されていてよい。取付け領域は、たとえばこの取付け領域が、ロールクラッディングの際に使用された圧延方向において、この圧延方向に対して直交する方向におけるよりも大きな延在長さを有する場合に、流れへの影響付与に対して付加的に形成されていてよい。取付け領域は、5mmを超える半径を有する。
【0020】
さらに別の実施態様では、流れ室が、2つのプレートのうちの第1のプレートにのみ設けられた、拡張された中空領域により形成されていてよく、この場合、2つのプレートのうちの第2のプレートは、バッテリモジュール用の少なくとも1つの当付け面を有する。当付け面は、バッテリモジュールとバッテリ冷却装置との間の熱伝達を有利に促進するために、特に1mmよりも小さな平坦度を有していてよい。第2のプレートは、たとえば調温流体の流れに影響を与えるために、当付け面外に、拡張された中空領域を有していてよい。
【0021】
さらに別の実施態様では、バッテリ冷却装置がパン形状を有していてよく、この場合、流れ室は、パン形状を形成する底領域と、この底領域に接続された少なくとも1つの壁領域とにわたって延びている。付加的にまたは択一的に、流れ室に接続された通路が、パン形状を形成する壁領域に延びていてよい。中空領域を拡張させることは、この場合、パン形状への変形の後に行われる。パン形のバッテリ冷却装置は、バッテリハウジングの一部として、たとえば収容機能を持つ底部パンまたはカバーとして形成されていてよい。
【0022】
バッテリ冷却装置は、少なくとも1つの押込み加工部を有していてよく、この場合、押込み加工部は、プレートを拡張させる前または後に導入されている。押込み加工部は、補強エレメントを収容するために用いられ得る。押込み加工部内に補強エレメントを収容することにより、たとえばバッテリセル用の当付け面としての平坦な面が提供され得るので有利である。流れ室の領域における押込み加工部は、特にプレートを拡張させる前に導入されている。押込み加工部は、流れ室外にシールエンボス加工部を形成するために用いられ得る。流れ室外の押込み加工部は、拡張の後に導入されていてよい。
【0023】
流れ室は、少なくとも1つの通路を有していてよく、この通路内で中空領域は、バッテリ冷却装置の縁部にまで到達しているので、流れ室は外部に対して開いている。この通路には、有利には、冷却流体を導入するか、または導出するために、通路の長手方向に向けられた流体接続部が接続されていてよい。通路の長手方向に向けられた流体接続部と通路自体とを通る流体流は、有利には変向なしに、プレートの主延在方向により規定された平面に対してほぼ平行に流れ室内に流入するか、または流れ室から流出する。プレートの1つは、択一的または付加的に、少なくとも1つの開口を有していてよく、この場合、この開口を介して、垂直の流体接続部が流れ室に接続されている。「垂直の流体接続部」とは、接続部の流体流が、プレートの主延在方向により規定された平面に対して直交する方向に流れる接続部であるとみなされるが、ただし、たとえばこの平面に対して必ずしも直角ではない。開口は、たとえば第1のプレートに配置されており、この場合、第2のプレートは、開口に向かい合ってドーム形の中空領域を有していてよく、これにより垂直の流体接続部から流れ室内への流れが促進される。
【0024】
流れ室の外部では、両プレートのうちの一方のプレートが、重量の節約のために他方のプレートを越えて突出していてよい。バッテリ冷却装置は、耐食性の高強度のアルミニウムから成っていてよく、これによって有利には構造機械的な役割を引き受けることができる。バッテリ冷却装置は、ロールクラッディングの途中で導入された、補剛性の中空プロファイルを有していてよい。
【0025】
冒頭で述べた課題を解決する本発明の別の対象は、請求項14に記載の、電気車両に設けられた電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置にある。このバッテリ冷却装置は、調温流体を循環させるための、外部に対して閉鎖された流体通路を有し、この場合、この流体通路は、ロールクラッディングにより所定の領域で接合された2つのプレートの間に形成されており、これらのプレートは、接合領域では材料接続式に接合されていて、接合されていない中空領域では流体通路を形成するために拡張されている。このバッテリ冷却装置は、実質的に平坦な底領域と、複数の壁領域とを備えたパン形に形成されており、冷却通路は、底領域から壁領域のうちの少なくとも1つにまで延びている。冷却通路は、底領域から壁領域を介してフランジ領域にまで延びていてよい。
【0026】
本発明のさらに別の対象は、バッテリ冷却装置を製造する方法において、まず2つのプレートを、接合領域においてロールクラッディングにより所定の領域で材料接続式に接合し、所定の領域で材料接続式に接合されたプレートを、その後のステップで変形させ、しかもバッテリ冷却装置を、バッテリ冷却装置が、実質的に平坦な底領域と複数の壁領域とを備えたパン形状に形成されるように変形させ、かつ/またはバッテリ冷却装置が少なくとも1つの押込み加工部を有するように変形させ、変形後に、プレートの間の接合されていない中空領域を拡張させて、流れ室および/または流体通路を形成する、バッテリ冷却装置を製造する方法に関する。ロールクラッディングはこの場合、たとえば1つの帯材料においてプレートを個別化する前に行われ得る。この場合、変形および拡張は、個別化の後に行われる。
【0027】
バッテリ冷却装置を製造するための製作方法であるロールクラッディングまたはロールボンディングは種々の利点を提供する。たとえば用途に応じて、軟質ないし高強度質の種々のアルミニウム合金が使用され得る。より高い番手の場合には、強度利点が得られ、このことはクラッシュ特性に好都合に作用する。ロールクラッディングは、材料、厚さバリエーションおよび幾何学的形状に応じて、10バールよりも上で、かつ/または最大20バールまでの極めて高いバースト圧を可能にする。別の利点は、バッテリ冷却装置の強度が温度に依存しないことである。さらに、バッテリ冷却装置の設計時には高い自在性が存在し、バッテリ冷却装置は、上下それぞれ1つのプレートだけを用いて単一部分として形成され得るか、または上下それぞれ複数のプレートのグループから複数部分として形成され得る。この場合、流れ室は、片側に、または両側にも導入され得る。接合技術においては、たとえば摩擦溶接要素および/または接着剤の使用により、鋼混合構造も可能である。拡張によって形成された流れ室は、きれいな内側の表面を有し、このことは寿命に好都合に作用する。パン形のバッテリ冷却装置において壁領域を取り入れることにより、改善された調温が達成される。
【0028】
以下に、添付図面につき、バッテリ冷却装置の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明によるバッテリ冷却装置の1実施形態を示す図である。
【
図2】
図1に示した実施形態の細部を示す図である。
【
図3】本発明によるバッテリ冷却装置の別の実施形態を示す図である。
【
図4】
図3に示した実施形態の細部を示す図である。
【
図6】
図5に示した実施形態の概略的な部分断面図である。
【
図7】本発明によるバッテリ冷却装置のさらに別の実施形態の細部を示す図である。
【
図8】
図7に示した実施形態を別の方向から見た図である。
【
図10】本発明によるバッテリ冷却装置のさらに別の実施形態の細部を示す図である。
【
図13】本発明によるバッテリ冷却装置のさらに別の実施形態の細部を示す概略的な部分断面図である。
【
図14】本発明によるバッテリ冷却装置のさらに別の実施形態を示す図である。
【
図15】別の発明対象によるバッテリ冷却装置の1実施形態を示す図である。
【
図16】
図15に示したバッテリ冷却装置の部分断面図である。
【0030】
図1には、本発明によるバッテリ冷却装置の1実施形態が平面図で示されている。
図2には、
図1の細部Aが拡大されて図示されている。以下において、
図1および
図2を一緒に説明する。電気車両の電気駆動装置用の電気的なバッテリモジュール(図示しない)を収容するためのバッテリ冷却装置は、調温流体(図示しない)を循環させるための、実質的に閉鎖された流れ室1を有する。「実質的に閉鎖された」とは、流れ室1が、調温流体のための供給部と共に、かつ戻し部として用いられる、外部へ案内された接続部2を有することを意味する。この点を除けば、この流れ室はガス密に閉じられている。流れ室1は、ロールクラッディングにより所定の領域で接合された2つのプレートの間に形成されており、この場合、これらのプレートは、接合領域3においては材料接続式に互いに接合されており、接合されていない中空領域4においては拡張されている。ロールボンディングとも呼ばれるロールクラッディングの際には、あとで中空領域4を形成する領域がプレートの圧延の前に被覆されるので、未被覆の領域だけが圧延プロセスによって材料接続式に接合されて接合領域を形成する。接合されなかった中空領域4は、たとえば圧縮空気の導入により拡張される。この場合、両プレートの一方だけが拡張され得るか、または両プレートが拡張され得る。
【0031】
流れ室1には、多数の流れエレメント5が配置されている。これらの流れエレメント5は、流れ室1を通る調温流体の流れに影響を与える。流れエレメント5はこの場合、接合領域3によって形成されている。流れエレメント5の少なくとも一部は、少なくとも1つのヘッド領域7を備えた、すべての側で流れによって流過される細長いウェブ6として形成されている。この細長いウェブにおいて、ウェブの長手方向Lにおける長さdは、長手方向Lに対して直交する方向におけるその幅bよりも大きい。すべての側で流れによって流過される細長いウェブ6は、調温流体の流れを適当に、もしくは所望通りに案内するか、もしくは変向させるために特に好適である。実質的に一次元の流れしか許さない流れ通路とは異なり、流れ室1は、二次元の流れフィールドで調温流体を混合する手段を提供する。このことは、流体内での一層均質な温度分布をもたらすとともに、調温出力を高める。さらに、流れ室1の、調温流体で濡らされる内面は、たとえばメアンダ状に延びる通路の場合よりも大きい。
【0032】
ウェブ6のヘッド領域7は、基本的に、このヘッド領域7が、長手方向Lに対して直交する方向に、ウェブ6の最小幅bよりも大きな、増大させられた幅Bを有することにより特徴付けられている。本実施例では、ウェブ6の幅bがほぼ一定であり、したがって最小幅にも相当している。ヘッド領域7の、増大させられた幅Bは、自動車の作動中に、接合領域3に所属するヘッド領域7と、隣接した中空領域4との間の移行領域におけるプレートの過剰肉薄化を阻止する。プレートの肉薄化は、寿命の経過中に自動車の作動時における周期的な負荷に基づいて生じ得る。既に中空領域4の拡張の際に、接合領域3への移行領域においてプレートの肉薄化が生じる。ヘッド領域7における半径Rと、中空領域4の最大に達成可能な高さとの間の比は、少なくとも1.3である。したがって、増大させられた幅Bを有するヘッド領域は、バッテリ冷却装置の寿命を減少させることなしにウェブ6の幅bを最小限に抑えることができるようにウェブ6を加工成形することを可能にする。最小限に抑えられた幅bを有するウェブ6により、中空領域4の、調温流体によって濡らされる内面は増大させられ、これにより調温出力は向上させられる。
【0033】
図示の実施例では、分離ウェブ8により互いに分離された3つのコンパートメント9内に、互いに異なる長さdおよびヘッド領域7の互いに異なる形状のウェブ6が配置されている。調温流体は、それぞれ1つの通路10を介してコンパートメント9に向かって流れ、かつ復路部へ戻る。この場合、1つの通路10が、場合によっては複数のコンパートメント9に往路部または復路部として供給を行うことができる。すべてのウェブ6は、図示の実施例では2つのヘッド領域7を有する。各コンパートメント9において、それぞれ短い方のウェブ6が、一定の半径Rを有するヘッド領域7を備えている。したがって、このヘッド形状は、円形状とみなされ得る。それに対して、各コンパートメント9のそれぞれ長い方のウェブ6は、各ヘッド領域7に、2つの半径Rを有する2つの丸みを有する。これらウェブ6は、T字形状またはY字形状とみなされ得る。ウェブ6は、骨形状ともみなされ得る特徴的な形状を有する。
【0034】
これら3つのコンパートメント9は、たとえばバッテリモジュール用のそれぞれ1つの当付け面を形成することができる。当付け面は、良好な熱伝達を保証するために、できるだけ平坦な表面、たとえば1mmよりも小さな平坦度を有する表面を有する。
【0035】
図3には、バッテリ冷却装置の別の実施形態が平面図で示されている。
図4には、
図3に示した細部Aが拡大図で示されている。
図5には、
図3に示した実施形態が斜視図で示されている。
図6には、
図3に示したバッテリ冷却装置を収容するための支持体の概略的な部分断面図が示されている。以下において、
図3~
図6を一緒に説明する。
図5の斜視図から判るように、バッテリモジュール(図示しない)を立て置くために用いられ得る平坦な当付け面14が設けられている。平坦な当付け面14は、バッテリ収容ハウジングの内側を形成するか、もしくはバッテリ収容ハウジングの内室に配置されている。ロールクラッディングと拡張とにより形成された接合領域3と中空領域4とは、
図3および
図4に示されているバッテリ冷却装置の、当付け面14とは反対の側に位置する外側に設けられていることが判る。バッテリ冷却装置の図示の実施形態は、実質的に閉鎖された2つの流れ室1を示しており、これらの流れ室1は、それぞれ外部へ案内された一対の接続部2を有し、これらの接続部2は、それぞれ1つの流れ室1につき1つの供給部11と復路部12とに接続されている。図示の実施例の流れ室1は、同一に形成されているか、もしくは中心線に対して鏡像対称的に形成されている。特に拡大図で見ると、互いに異なる多数の流れエレメント5が設けられていることが判る。以下において、これらの流れエレメント5について説明する。
【0036】
流れエレメント5の一部は、この実施形態においても、少なくとも1つのヘッド領域7を備えた、すべての側で流れによって流過される細長いウェブ6として形成されている。拡大図で見ると、ヘッド領域7が、長手方向Lに対して直交する方向に、ウェブ6の最小幅bよりも大きな、増大させられた幅Bを有することが判る。増大させられた幅Bは、たとえばウェブ6の最小幅bよりも少なくとも1.05倍だけ大きい。図示の実施例では、1つのウェブ6につき2つのヘッド領域7が設けられており、これらのヘッド領域7は半径Rを有する円形状を有する。最小の半径Rは、中空領域4におけるプレートの最大間隔よりも少なくとも1.3倍だけ大きい。ウェブ6は、グループ毎に互いに平行に配置されており、この場合、互いに異なるグループのウェブ6の長手方向Lは、互いに種々の角度を成していてよい。これにより、調温出力に有利に影響を与えるために、流れ室1内の流れに意図的に影響が与えられる。
【0037】
流れエレメント5の別の部分は、3つの側で流れによって流過される分離ウェブ8として形成されている。これにより、本実施例では、各流れ室1が、各分離ウェブ8により互いに分離された2つのコンパートメント9に分割されている。2つのコンパートメント9は、それぞれ1つの接続部2に接続されており、これらのコンパートメント9は、流れ室1の、接続部2とは反対の側で互いに接続されている。分離ウェブ8の第1の端部15は、流れ室1を画定する接合領域3に接合されており、それに対して、分離ウェブ8の第2の端部16は、流れによって流過され得るように流れ室1内に位置している。こうして、2つのコンパートメント9は、有利には調温流体のための往路部11と復路部12とを形成している。分離ウェブ8は、コンパートメント9を接続する貫通路17を有していてよい。この場合、貫通路17は、分離ウェブ8に沿って、総和で見て分離ウェブ8の全長の5%よりも少ない長さとなる。貫通路17は、調温出力に意図的に影響を与えるために、往路部11と復路部12とからの調温流体の、局所的に限定された混合を可能にする。
【0038】
流れエレメント5のさらに別の部分は、すべての側で流れによって流過される取付け領域18として形成されている。この場合、取付け領域18は、バッテリ冷却装置を支持構造体、たとえばバッテリハウジングまたは車両(図示しない)の1構成部分に接続するために形成されている。取付け領域18は、ロールクラッディングの際に使用された圧延方向において、この圧延方向に対して直交する方向よりも大きな延在長さを有していてよい。これにより、取付け領域18は、調温流体の流れに影響を与えるために寄与することができる。取付け領域18には、接続要素として、たとえば孔19が設けられていてよい。図示の実施例では、互いに異なる大きさの取付け領域18が、6つのグループに分けられて配置されており、この場合、これらのグループは、往路部11および復路部12の主流れ方向に対して直交する方向で平行なストライプを成してバッテリ冷却装置全体にわたって延びている。
図5に示した、バッテリモジュール用の当付け面14の斜視図からも、ストライプ状に配置された、取付け領域18のグループが設けられていることが判る。この場合、孔19は、これらのストライプの一部においてしか、しかも幾つかの取付け領域18においてしか、設けられていない。当付け面14の側では、バッテリ冷却装置が、取付け領域18を有するストライプに沿って、それぞれ補強エレメント21を収容するための押込み加工部20を有する。押込み加工部20は、ロールクラッディングおよび拡張の前または後に、バッテリ冷却装置もしくは流れ室1に導入されていてよい。
図6には、たとえばバッテリ冷却装置の横方向補剛のために用いられる補強エレメント21を備えた押込み加工部20の領域において、当付け面14を形成するプレート23の半割断面図が概略的に示されている。押込み加工部20の深さは、補強エレメント21のフランジ区分22の厚さに相当する。これにより、バッテリモジュール用の当付け面14は、押込み加工部20の領域においてはフランジ区分22によって形成される。これにより、存在する構成スペースの最適な利用と同時に良好な熱伝達が与えられているので有利である。
【0039】
説明した流れエレメント5の他に、円形または細長い、完全または部分的に流れによって流過される別の接合領域3が流れ室1に設けられていてよく、これらの接合領域3は、流れに影響を与えるために寄与し、かつ/またはバッテリ冷却装置の強度を保証する。中空領域4に隣接した、流れによって流過される流れエレメント5もしくは接合領域3の丸みのすべての半径は、中空領域4におけるプレートの最大間隔よりも少なくとも1.3倍だけ大きい。たとえば、これらの丸みは、少なくとも5mmの半径を有していてよい。
【0040】
図7には、本発明によるバッテリ冷却装置のさらに別の実施形態の細部が斜視図で示されており、この場合、バッテリ冷却装置の一部しか見えていない。図示の実施形態は、前で説明した実施形態と組み合わされ得る。
図8には、この実施形態の平面図が示されている。
図9には、
図8のA-A線に沿った部分断面図が示されている。以下において、
図7~
図9を一緒に説明する。流れ室1は通路10を有し、この通路10は、バッテリ冷却装置の縁部にまで案内されているので、プレート23の間に形成された中空領域4は、外部に対する開口を有する。通路10には、調温流体の導入または導出のための接続部2がガス密に接続されている。通路10の長手方向に向けられた流体接続部2は、有利には変向なしに、プレート23,25の主延在方向により規定された平面に対してほぼ平行に流体流を流れ室1内に導入するか、または流れ室1から導出する。図面に示されているように、平行な流体接続部2は、折り曲げられていてよい。
【0041】
図10には、本発明によるバッテリ冷却装置のさらに別の実施形態の細部が斜視図で示されており、この場合、バッテリ冷却装置の一部しか見えていない。図示の実施形態は、前で説明した実施形態と組み合わされ得る。
図11には、この実施形態の平面図が示されている。
図12には、
図11のA-A線に沿った部分断面図が示されている。以下において、
図10~
図12を一緒に説明する。プレート23のうちの一方のプレートは2つの開口24を有し、これらの開口24は流れ室1を外部に対して開放している。開口24の領域には、それぞれ1つの接続部2が、プレート23の表面にガス密に接続されており、これにより調温流体は流れ室1内に導入されるか、もしくは流れ室1から導出される。流体流は、プレート23,25の主延在方向により規定された平面に対して直交する方向に流れる。開口は、たとえば第1のプレートに配置されており、この場合、第2のプレートは開口に向かい合ってドーム形の中空領域を有していてよく、これにより垂直の流体接続部から流れ室内への流れが促進される。
【0042】
図13には、本発明によるバッテリ冷却装置のさらに別の実施形態を示す概略的な部分断面図が示されている。この部分断面図には、垂直な流体接続部2の択一的な別の構成が示されている。開口24の領域では、垂直な流体接続部2が、第1のプレート23の表面にガス密に接続されており、これにより調温流体は流れ室1内に導入されるか、もしくは流れ室1から導出される。流体流は、プレート23,25の主延在方向により規定された平面に対して直交する方向に流れる。第2のプレート25は開口24に向かい合ってドーム形の中空領域4を有し、これにより垂直の流体接続部2から流れ室1内への流れ(矢印P)が促進される。ドーム形の中空領域4は、拡張の際に、相応する成形工具によって製作される。流れ室1は、第1のプレート23にしか形成されていない、拡張された中空領域4によって形成されていてよいので、第2のプレート25は、バッテリモジュール用の当付け面14を形成することができ、これによりバッテリモジュールとバッテリ冷却装置との間の熱伝達が有利に促進される。それにもかかわらず、第2のプレート25は、当付け面外に、たとえばここで図示されているドーム形の中空領域4を有していてよく、これにより局所的に調温流体の流れに影響を与えることができる。
【0043】
図14には、本発明によるバッテリ冷却装置のさらに別の実施形態が斜視図で示されている。バッテリ冷却装置は、このバッテリ冷却装置がパン形状を有することにより特徴付けられており、この場合、流れ室1は、少なくともパン形状を形成する底領域53にわたって延びている。流れ室1は、パン形状を形成する底領域53から、底領域53に接続された少なくとも1つの壁領域52にまで延びていてもよい。付加的に、流れ室1には、壁領域52を通って延びる少なくとも1つの流体通路が接続されていてよい。パン形のバッテリ冷却装置の流れ室1は、
図3に示した実施例に比較可能に形成されていてよい。流れ室1はこの場合、たとえば以下の流れエレメント5を有する:ヘッド領域7を備えた、すべての側で流れによって流過される細長いウェブ6、3つの側で流れによって流過される分離ウェブ8および取付け領域18。通路10は往路部11と復路部12とに接続されている。往路部11において、ウェブ6は、図面から判るように、バッテリ冷却装置の縁部から分離ウェブ8に向かって方向付けられているか、もしくは流体流が縁部から分離ウェブ8の方向に導かれるように方向付けられている。なぜならば、縁領域では、流れ室1の中央の領域におけるよりも小さな調温出力しか必要とされないからである。流れ室1の、通路10とは反対の側の端部では、流体流が往路部11から復路部12へ変向される。この変向も、ウェブ6の相応する方向付けにより促進される。取付け領域は、流れ方向に対して直交する方向でストライプを成して往路部11と復路部12とに配置されている。
【0044】
図15には、本発明の別の対象が斜視図で示されている。電気車両に設けられた電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置は、調温流体を循環させるための実質的に閉鎖された流体通路51を有する。この流体通路51は、ロールクラッディングにより所定の領域で接合された2つのプレートの間に形成されており、この場合、これらのプレートは接合領域3においては材料接続式に接合されていて、接合されていない中空領域4においては流体通路51を形成するために拡張されている。バッテリ冷却装置はパン形状を有し、ロールクラッディング後に変形させられた冷却通路51は、パンの底領域53からパンの壁領域52へ延び、かつ再び戻る。流体通路51は、パン形のバッテリ冷却装置に設けられたフランジ領域54にまで案内されていてもよい。図示の実施例では、接続部2がフランジ領域54において流体通路51の始端部と終端部とに接続されている。
図14には、
図13のA-A線に沿った部分断面図が示されている。この部分断面図は、フランジ領域54における押込み加工により、両プレート23に、全周にわたって延びる2つのシールエンボス加工部55が設けられているような実施形態の詳細を示す。シールエンボス加工部55の押込み加工は、冷却通路51を拡張させた後に行われ得る。
【符号の説明】
【0045】
1 流れ室
2 接続部
3 接合領域
4 中空領域
5 流れエレメント
6 すべての側で流れによって流過される細長いウェブ
7 ヘッド領域
8 分離ウェブ
9 コンパートメント
10 通路
11 往路部
12 復路部
14 当付け面
15 第1の端部
16 第2の端部
17 貫通路
18 取付け領域
19 孔
20 押込み加工部
21 補強エレメント
22 フランジ区分
23 第1のプレート
24 開口
25 第2のプレート
51 流体通路
52 壁領域
53 底領域
54 フランジ領域
55 シールエンボス加工部
L 長手方向
d 長さ
b 最小幅
B 増大させられた幅
R 半径
P 矢印
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両に設けられた電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置において、
該バッテリ冷却装置が、調温流体を循環させるための、外部に対して閉鎖された流れ室(1)を有し、
該流れ室(1)が、ロールクラッディングにより所定の領域で互いに接合された2つのプレートの間に形成されており、該プレート(23,25)が、接合領域(3)では材料接続式に接合されていて、接合されていない中空領域(4)では前記流れ室(1)を形成するために拡張されており、
前記接合領域(3)によって流れエレメント(5)が形成されており、
前記流れ室(1)を通る調温流体の流れに影響を与える多数の流れエレメント(5)が前記流れ室(1)内に配置されており、
前記流れエレメント(5)の少なくとも一部が、少なくとも1つのヘッド領域(7)を備えた、すべての側で流れによって流過される細長いウェブ(6)として形成されており、
該ウェブの、長手方向(L)における長さ(d)が、長手方向(L)に対して直交する方向における前記ウェブの幅よりも大きく、
前記ヘッド領域(7)が、長手方向(L)に対して直交する方向において、前記ウェブ(6)の最小幅(b)よりも大きな、増大させられた幅(B)を有する、
電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置。
【請求項2】
前記増大させられた幅(B)が、前記ウェブの最小幅(b)よりも少なくとも1.05倍だけ大きいことを特徴とする、請求項1記載のバッテリ冷却装置。
【請求項3】
前記ヘッド領域(7)が、1つまたは複数の丸みを有し、該丸みの最小半径(R)が、前記ヘッド領域(7)を取り囲む中空領域(4)における前記プレート(23,25)の最大間隔よりも少なくとも1.3倍だけ大きいことを特徴とする、請求項1または2記載のバッテリ冷却装置。
【請求項4】
前記流れエレメント(5)の一部が、3つの側で流れによって流過される分離ウェブ(8)として形成されており、前記流れ室(1)が、前記分離ウェブ(8)の1つによって互いに分離された少なくとも2つのコンパートメント(9)を有することを特徴とする、請求項1
または2記載のバッテリ冷却装置。
【請求項5】
前記2つのコンパートメント(9)が、調温流体のための往路部(11)と復路部(12)とを形成していることを特徴とする、請求項4記載のバッテリ冷却装置。
【請求項6】
前記分離ウェブ(8)が、前記コンパートメント(9)を接続する貫通路(17)を有し、該貫通路が、前記分離ウェブに沿って、総和で見て前記分離ウェブ(8)の全長の5%よりも少ない長さを有することを特徴とする、請求項
4記載のバッテリ冷却装置。
【請求項7】
前記流れエレメント(5)の一部が、前記バッテリ冷却装置をバッテリハウジングまたは車両に接続するための、すべての側で流れによって流過される取付け領域(18)として形成されていることを特徴とする、請求項1
または2記載のバッテリ冷却装置。
【請求項8】
前記バッテリ冷却装置がパン形状を有し、前記流れ室(1)が、パン形状を形成する底領域(53)と、該底領域に接続された少なくとも1つの壁領域(52)とにわたって延びていることを特徴とする、請求項1
または2記載のバッテリ冷却装置。
【請求項9】
前記流れ室(1)が、前記2つのプレートのうちの第1のプレート(23)に設けられた、拡張された中空領域(4)により形成されており、前記2つのプレートのうちの第2のプレート(25)が、バッテリモジュール用の少なくとも1つの当付け面(14)を有し、該当付け面(14)が、1mmよりも小さな平坦度を有することを特徴とする、請求項1
または2記載のバッテリ冷却装置。
【請求項10】
前記第2のプレート(25)が、前記当付け面(14)外に、拡張された中空領域(4)を有することを特徴とする、請求項9記載のバッテリ冷却装置。
【請求項11】
前記バッテリ冷却装置が、少なくとも1つの押込み加工部(20)を有し、該押込み加工部が、前記流れ室(1)を拡張させる前または後に導入されていることを特徴とする、請求項1
または2記載のバッテリ冷却装置。
【請求項12】
前記流れ室(1)が少なくとも1つの通路(10)を有し、該通路(10)内で前記中空領域(4)が、前記バッテリ冷却装置の縁部にまで到達しており、前記通路(10)に、平行な流体接続部(2)が接続されていることを特徴とする、請求項1
または2記載のバッテリ冷却装置。
【請求項13】
前記プレート(23)の1つが、少なくとも1つの開口(24)を有し、該開口を介して、折り曲げられた流体接続部(2)が前記流れ室(1)に接続されていることを特徴とする、請求項1
または2記載のバッテリ冷却装置。
【請求項14】
電気車両に設けられた電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置において、
該バッテリ冷却装置が、調温流体を循環させるための、外部に対して閉鎖された流体通路(51)を有し、
該流体通路が、ロールクラッディングにより所定の領域で接合された2つのプレートの間に形成されており、該プレートが、接合領域(3)では材料接続式に接合されていて、接合されていない中空領域(4)では前記流体通路を形成するために拡張されており、
前記バッテリ冷却装置が、実質的に平坦な底領域(53)と、複数の壁領域(52)とを備えたパン形状に形成されており、
前記冷却通路(51)が、前記底領域(53)から前記壁領域(52)のうちの少なくとも1つにまで延びている、
電気駆動装置の電気的なバッテリモジュール用のバッテリ冷却装置。
【請求項15】
請求項11または14記載のバッテリ冷却装置を製造する方法において、
まず2つのプレートを、接合領域(3)においてロールクラッディングにより所定の領域で材料接続式に接合し、
所定の領域で材料接続式に接合された前記プレートを、その後のステップで変形させ、しかも前記バッテリ冷却装置を、前記バッテリ冷却装置が、実質的に平坦な底領域(53)と複数の壁領域(52)とを備えたパン形状に形成されるように変形させ、かつ/または前記バッテリ冷却装置が少なくとも1つの押込み加工部(20)を有するように変形させ、
変形後に、前記プレートの間の接合されていない中空領域(4)を拡張させて、流れ室(1)および/または流体通路(51)を形成する、
バッテリ冷却装置を製造する方法。
【国際調査報告】