(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】タイヤカーカス部分用ゴムコンパウンド
(51)【国際特許分類】
C08L 7/00 20060101AFI20240822BHJP
C08K 3/06 20060101ALI20240822BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240822BHJP
C08K 5/44 20060101ALI20240822BHJP
C08K 5/42 20060101ALI20240822BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C08L7/00
C08K3/06
C08K3/04
C08K5/44
C08K5/42
B60C1/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514002
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2022074471
(87)【国際公開番号】W WO2023031412
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518333177
【氏名又は名称】ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ
【氏名又は名称原語表記】BRIDGESTONE EUROPE NV/SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225060
【氏名又は名称】屋代 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ロンバルディ
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA04
3D131AA19
3D131BA04
3D131BA05
3D131BA12
3D131BA18
3D131BC02
3D131BC13
4J002AC011
4J002DA036
4J002DA047
4J002EV238
4J002EV279
4J002FD016
4J002FD147
4J002FD159
4J002FD208
4J002GN01
(57)【要約】
天然ゴムをポリマーベースの少なくとも50重量%含む架橋可能不飽和鎖ポリマーベースと、カーボンブラックを含む充填剤と、および硫黄を含む加硫系とを、少なくとも含むタイヤカーカス部分用ゴムコンパウンドに関する。加硫系は、少なくとも1種の加硫促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の混合物であって、混合物の25~80重量%が少なくとも1種のスルフェンアミド系加硫促進剤、および混合物の75~20重量%が少なくとも1種の加硫戻り防止剤からなる、該混合物を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴムをポリマーベースの少なくとも50重量%含む架橋可能不飽和鎖ポリマーベースと、カーボンブラックを含む充填剤と、および硫黄を含む加硫系とを、少なくとも含む、タイヤカーカス部分用ゴムコンパウンドであって、
前記加硫系は、少なくとも1種の加硫促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の混合物であって、前記混合物の25~80重量%が少なくとも1種のスルフェンアミド系加硫促進剤、および前記混合物の75~20重量%が少なくとも1種のスルフェンアミド系加硫促進剤からなる、該混合物を含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項2】
請求項1に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の加硫促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の40~70重量%が少なくとも1種のスルフェンアミド系加硫促進剤、および前記混合物の60~30重量%が少なくとも1種の加硫戻り防止剤からなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記スルフェンアミド系加硫促進剤は、N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(TBBS)および/またはn-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)であることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記加硫戻り防止剤は、ヘキサメチレンビスチオ硫酸ナトリウム(HTS)であることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項5】
請求項3および4に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の加硫促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の0~40重量%がCBS、前記混合物の15~55重量%がTBBS、並びに前記混合物の20~75重量%がHTSからなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項6】
請求項5に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の加硫促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、HTSを前記混合物の30~60重量%含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項7】
請求項6に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の加硫促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、HTSを前記混合物の30~55重量%含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の加硫促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の45~55重量%がTBBS、前記混合物の45~55重量%がHTSからなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項9】
請求項8に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の加硫促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の約50重量%がTBBS、および前記混合物の約50重量%がHTSからなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のゴムコンパウンドにおいて、前記加硫系は、1.5~3.5phrの遊離硫黄と、並びに1~3phrの少なくとも1種の加硫促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の混合物とを含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のゴムコンパウンドにおいて、架橋可能不飽和ポリマーベースは、天然ゴムを前記ポリマーベースの少なくとも65重量%含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載のゴムコンパウンドにおいて、架橋可能不飽和ポリマーは、天然ゴムとおよびブタジエンの共重合体との混合物からなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のゴムコンパウンドにおいて、単一充填剤としてカーボンブラックを含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載のゴムコンパウンドで製造されたタイヤカーカス部分。
【請求項15】
請求項14に記載のタイヤカーカス部分において、アンダートレッド、またはトレッドプライインサート、またはベースコンパウンドであることを特徴とする、タイヤカーカス部分。
【請求項16】
請求項14または15に記載の部分を含むタイヤ。
【請求項17】
カーボンブラックの含有量を増加させずにタイヤの特性を両立するためのタイヤカーカス部分用ゴムコンパウンドにおける加硫系の使用であって、
前記加硫系は、混合物の25~80重量%が少なくとも1種のスルフェンアミド系加硫促進剤、および混合物の75~20重量%が少なくとも1種の加硫戻り防止剤とからなる、該混合物を含むことを特徴とする、加硫系の使用。
【請求項18】
請求項17に記載のゴムコンパウンドにおける使用において、少なくとも1種の加硫促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の40~70重量%がスルフェンアミド系加硫促進剤、および前記混合物の60~30重量%が加硫戻り防止剤よりなることを特徴とする、ゴムコンパウンドにおける使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤカーカス部分用ゴムコンパウンド(配合物)、ゴムコンパウンドで製造するカーカス部分、該カーカス部分からなるタイヤ、およびタイヤカーカス部分に使用するゴムコンパウンドにおける加硫系の利用に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのカーカスに使用するコンパウンドは、主にハンドリング性能、転がり抵抗性能、耐亀裂進展性の面で良好な性能を確保する必要がある。さらに、当業者であれば容易に理解できるように、例えば、粘弾性や加硫戻りなどの処理関連特性は確保する必要がある。
【0003】
当業者であれば知っているように、一般的に、前記の性能の1つを改善する解決策は他の性能の悪化を伴う。
【0004】
例えば、ハンドリング性能を向上させるためにはタイヤのカーカス部分の剛性を高める必要があり、これは一般的にコンパウンド中のカーボンブラックの含有量を増やすことで得ることができる。
【0005】
しかし、この解決方法は、剛性が上昇するにしたがってハンドリング性能が改善する一方で、転がり抵抗性能の低下をもたらす。転がり抵抗性能はタイヤ全体の評価に極めて重要であるため、カーボンブラックの量のみを変えて剛性を向上させるのは適当ではない。
【0006】
さらに、コンパウンド中のカーボンブラック含有量の増加は、粘弾性の上昇、ひいてはコンパウンドの加工条件の悪化にもつながる。
【0007】
コンパウンド中のカーボンブラック含有量の増加により、加硫工程での加硫戻り(リバージョン)に関する別の問題も生じる。この現象は特に天然ゴム系のコンパウンドで発生し、加硫工程中のコンパウンドの劣化につながる。加硫戻りはゴムの劣化をもたらすうえ、加硫工程での精密な制御が必然的に必要となるため、それにより、生産性において明らかな欠点が生じる。
【0008】
したがって、ハンドリング性能、転がり抵抗性能、粘弾性、加硫戻り特性の適切なバランスが確保できる手法が必要となる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の発明者は、成分の種類および量の点で、特定の加硫系組成物を使用することにより、前述の必要性を満たすことができることを見出した。
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、天然ゴムをポリマーベースの少なくとも50重量%含む架橋可能不飽和鎖によるポリマーベースと、カーボンブラックを含む充填剤と、および硫黄を含む加硫系とを、少なくとも備えるタイヤカーカス部分用のゴムコンパウンド(配合物)に関するものであり、このコンパウンドは、加硫系が少なくとも1種以上の加硫促進剤および少なくとも1種以上の加硫戻り防止剤の混合物を含み、混合物の25~80重量%がスルフェンアミド系加硫促進剤、および混合物の75~20%が加硫戻り防止剤からなることを特徴とする。
【0011】
少なくとも1種以上の加硫促進剤および少なくとも1種以上の加硫戻り防止剤の混合物は、好ましくは、40~70重量%が少なくとも1種以上のスルフェンアミド系加硫促進剤と、および60~30重量%が少なくとも1種以上の加硫戻り防止剤とからなる。
【0012】
実験により、ポリマーベースの少なくとも50重量%が天然ゴムからなるポリマーベースの存在は、本発明の効果にとって不可欠な特徴であることが示されている。天然ゴムの量が少ないと、特にハンドリング性能と転がり抵抗性能のバランスにおいて、利点が得られないことが示されている。
【0013】
本明細書および以下において、用語「ポリマー架橋可能不飽和鎖(polymer cross-linkable unsaturated chain)」は、架橋(加硫)の際にエラストマーによって典型的に想定される化学的-物理的および機械的特徴のすべてを想定することができる天然または合成の未架橋ポリマーを意味する。
【0014】
本明細書および以下において、用語「加硫系(vulcanization system)」は、少なくとも硫黄、および1種または複数の加硫促進剤を含む成分の集合体を示し、これらはコンパウンドの調製において最終混合工程で添加され、コンパウンドが加硫温度に晒されると、ポリマーベースの加硫を補助するという目的を果たす。
【0015】
スルフェンアミド系加硫促進剤は、好ましくは、N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(TBBS:N-tert-butylbenzothiazole-2-sulfenamide)および/またはn-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS:n-cyclohexyl-2-benzothiazole-sulfenamide)である。
【0016】
加硫戻り防止剤は、好ましくは、ヘキサメチレンビスチオ硫酸ナトリウム(HTS:hexamethylene bis(thiosulfate))である。
【0017】
少なくとも1種以上の加硫促進剤および少なくとも1種以上の加硫戻り防止剤の混合物は、好ましくは、CBSが0~40重量%、TBBSが15~55重量%、およびHTSが75~20重量%からなるものとする。
【0018】
少なくとも1種以上の加硫促進剤および少なくとも1種以上の加硫戻り防止剤との混合物は、好ましくは、HTSを混合物の30~60重量%、より好ましくは混合物の30~55重量%含む。
【0019】
少なくとも1種以上の加硫促進剤および少なくとも1種以上の加硫戻り防止剤との混合物は、好ましくはTBBSが混合物の45~55重量%およびHTSが混合物の45~55重量%からなり,より好ましくは,TBBSが混合物の約50重量%およびHTSが混合物の約50重量%からなる。
【0020】
加硫系は、好ましくは、1.5~3.5phrの遊離硫黄と、並びに1~3phrの加硫促進剤および加硫戻り防止剤の混合物とを含む。
【0021】
架橋可能不飽和鎖によるポリマーベースは、好ましくは、天然ゴムをポリマーベースの少なくとも65重量%含む。
【0022】
ポリマーベースは、好ましくは、天然ゴムとおよびブタジエンのコポリマー(共重合体)との混合物からなる。
【0023】
本発明によるコンパウンドは、好ましくは、単独充填剤としてカーボンブラックを含む。
【0024】
第2の態様によれば、本発明は、本発明によるコンパウンドを用いて製造されたタイヤカーカス部分に関する。
【0025】
カーカス部分は、好ましくは、アンダートレッドまたはトレッドプライインサートまたはベースコンパウンドである。
【0026】
第3の態様によれば、本発明は、本発明によるコンパウンドを用いて製造されたカーカス部分を含むタイヤに関する。
【0027】
第4の態様によれば、本発明は、カーボンブラックの含有量を増加させることなくタイヤの特性を両立するための、タイヤカーカス部分用ゴムコンパウンドにおける加硫系の活用に関連する。加硫系は、少なくとも1種以上の加硫促進剤および少なくとも1種以上の加硫戻り防止剤の混合物であって、25~80重量%が少なくとも1種以上のスルフェンアミド系加硫促進剤および75~20重量%が少なくとも1種以上の加硫戻り防止剤からなる、該混合物を含む。
【0028】
以下に例示的かつ非限定的な例をいくつか挙げる。
【実施例】
【0029】
2組の実験を用意した(実験1および実験2)。2組の実験では、使用するカーボンブラックの量が互いに異なる。それぞれの実験は、先行技術のカーカス部分のゴムコンパウンドによる参照コンパウンド(Ref.1およびRef.2)、参照コンパウンドにカーボンブラックを追加添加して得られた比較コンパウンド(Comp.1およびComp.2)、および本発明による3つのコンパウンド(A~CおよびD~F)からなる。
【0030】
ポリマーベースの50重量%以上が天然ゴムからなるポリマーベースの存在が本発明の効果にとって必須の特徴であることを示すために、さらなる実験を用意した(実験3)。実験3は、天然ゴムをポリマーベースの40重量%、40phrのCB含むタイヤカーカス部分に関する参照コンパウンド(Ref.3)と、参照コンパウンド3にカーボンブラックを添加して得られる比較コンパウンド(Comp.3)と、特許請求した発明に関して天然ゴムの量を少なくし、特許請求した発明の加硫系を含む、3つのさらなる比較用コンパウンド(Comp.4~Comp.6)からなり、これらは天然ゴムの量の違いの点のみから、実施例A~Cと直接比較できる。
【0031】
実施例の化合物は標準的な手順に従って調製したが、これは本発明の目的には関係ない。
【0032】
-化合物の調製-
(第1混合ステップ)
混合の開始前に、接線方向ローターを備えた230~270リットルの内容積を有するミキサーに、架橋可能ポリマーベースおよびカーボンブラックを投入し、66~72%の充填率に達するようにした。
【0033】
ミキサーを40~60回転/分間の速度で操作し、こうして形成された混合物を、140~160℃の温度に達した後に排出した。
【0034】
(第2混合ステップ)
前のステップから得られた混合物は、40~60回転/分間の速度で操作するミキサーで再び処理し、その後、130~15℃の温度に達した後に排出した。
【0035】
(最終混合工程)
加硫系(硫黄、加硫促進剤、加硫戻り防止剤、酸化防止剤/アンチオゾン剤、酸化亜鉛)を前のステップから得られた混合物に添加し、63~67%の充填率に達するようにした。
【0036】
混合の操作は20~40回転/分間の速度で行い、こうして形成された混合物を、100~110℃の温度に達した後に排出した。
【0037】
表1、2および3は、前記15種類のコンパウンドのphr組成を示している。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
NRは天然由来のシスー1,4ーポリイソプレンゴムを表す。
【0042】
BRはポリブタジエンからなるポリマーベースを表す。
【0043】
カーボンブラック(CB)は、N330に分類される。
【0044】
TBBSは、加硫促進剤として使用するN-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドを表す。
【0045】
CBSは、加硫促進剤として使用されるN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルホンアミドを表す。
【0046】
HTSは、加硫戻り防止剤として使用されるヘキサメチレンビスチオ硫酸ナトリウムを表す。
【0047】
前記各コンパウンドは、その粘弾性を評価するための試験と、加硫後に、その機械的特性および動的機械的性質を評価するための試験に供した。
【0048】
粘弾性はASTM規格1646によって測定し、機械的特性はASTM規格D412Cによって測定し、動的機械的性質はISO規格4664によって測定し、耐亀裂進展性はISO規格27727に準拠して測定した。
【0049】
特に、加硫戻り(リバージョン)値の評価も計算した。加硫戻り指数は、(MH-S’24分/(MH-ML))で求められる。ここで、MHはレオロジー曲線のピークにおけるトルク値であり、S’は試験の一般的な瞬間に測定されたトルク値である。S’24分は、24分後に測定されたトルク値である。加硫戻り指数が小さいほど、より良い結果が得られる。
【0050】
表4、5、および6は、前記の試験から得られた結果を示す。参照コンパウンド1、2および3は比較例および本発明例の挙動を示すために100に正規化した。本発明のコンパウンドの利点をより明確に示すため、異なる特性の値を参照コンパウンドそれぞれに対して指数化した。各単一特性の横にある矢印↓および↑は、それぞれ、値が小さいほど優れた特性、値が大きいほど優れた特性であることを示す。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
当業者であれば既知のとおり、TanD値は転がり抵抗性能と密接に関連し、E’は剛性と密接に関連する。
【0055】
表4および表5に示す結果によれば、本発明の解決策は、考慮に入れるすべての特性が、そのうち一つが大幅に改善される場合であっても、許容範囲内に維持可能であることを保証することができる。表6は、特許請求項された加硫系は、特許請求された量の天然ゴムが存在する場合にのみ、性能の最適なバランスを得られることが保証できることを示している。
【0056】
比較コンパウンドである比較1、比較2、および比較3の結果から、カーボンブラックの含有量を増やすと剛性は向上するが、同時に転がり抵抗性能、粘弾性、加硫戻り指数は悪化することがわかる。
【0057】
別様に、本発明のコンパウンド(A~CおよびD~F)の結果は、本発明の加硫系の使用により、転がり抵抗性能、粘弾性および加硫戻り性を悪化させることなく剛性を改善できることを示している。A~Cと直接比較した参照コンパウンド4~6の結果は、ゴム混合物中の天然ゴムの量が少ないと、これが得られないことを示している。この点において、いくつかの例について、本発明の加硫系は剛性を改善するだけでなく、転がり抵抗性能、粘弾性および加硫戻り指数も改善することを強調することが重要である。
【0058】
最後に、表4および表5に示す結果は、本発明の加硫系が異なるカーボンブラック量においても有効であることを示している。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴムをポリマーベースの少なくとも50重量%含む架橋性不飽和鎖を有するポリマーベースと、カーボンブラックを含む充填剤と、硫黄を含む加硫系とを、少なくとも含む、タイヤカーカス部分用ゴムコンパウンドであって、
前記加硫系は、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の混合物であって、前記混合物の25~80重量%であるスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および前記混合物の75~20重量%である加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなる、前記混合物を含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項2】
請求項1に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の40~70重量%であるスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および前記混合物の60~30重量%である加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項3】
請求項
1に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記スルフェンアミド系促進剤は、N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(TBBS)および/またはn-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)であることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項4】
請求項
1に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記加硫戻り防止剤は、ヘキサメチレンビス(チオスルファート)(HTS)であることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項5】
請求項
1に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、
前記スルフェンアミド系促進剤は、N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(TBBS)および/またはn-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)であり、
前記加硫戻り防止剤は、ヘキサメチレンビス(チオスルファート)(HTS)であり、
前記混合物の0~40重量%であるCBS、前記混合物の15~55重量%であるTBBSおよび前記混合物の20~75重量%であるHTSからなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項6】
請求項5に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の30~60重量%であるHTSを含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項7】
請求項6に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の30~55重量%であるHTSを含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項8】
請求項
1に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の45~55重量%であるTBBS、前記混合物の45~55重量%であるHTSからなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項9】
請求項8に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の約50重量%であるTBBSおよび前記混合物の約50重量%であるHTSからなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項10】
請求項
1に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記加硫系は、遊離硫黄1.5~3.5phrと、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の混合物1~3phrとを含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項11】
請求項
1に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記架橋性不飽和鎖を有するポリマーベースは、天然ゴムを前記ポリマーベースの少なくとも65重量%含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項12】
請求項
1に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記架橋性不飽和鎖を有するポリマーベースは、天然ゴムおよびブタジエンの共重合体の混合物からなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項13】
請求項
1に記載のゴムコンパウンドにおいて、唯一の充填剤としてカーボンブラックを含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドで製造されたタイヤカーカス部分。
【請求項15】
請求項14に記載のタイヤカーカス部分は、アンダートレッドまたはトレッドプライインサートまたはベースコンパウンドであることを特徴とする、タイヤカーカス部分。
【請求項16】
請求項
14に記載の部分を含むタイヤ。
【請求項17】
カーボンブラックの含有量を増加させずにタイヤの特性をバランスさせるためのタイヤカーカス部分用ゴムコンパウンドにおける加硫系の使用であって、
前記加硫系は、混合物の25~80重量%であるスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および混合物の75~20重量%である加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなる前記混合物を含むことを特徴とする、加硫系の使用。
【請求項18】
請求項17に記載のゴムコンパウンドにおける使用において、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の40~70重量%であるスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および前記混合物の60~30重量%である加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなることを特徴とする、ゴムコンパウンドにおける使用。
【誤訳訂正書】
【提出日】2024-05-21
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤカーカス部分用ゴムコンパウンド(配合物)、該ゴムコンパウンドを用いて製造するカーカス部分、該ゴムコンパウンドを用いて製造されたカーカス部分を含むタイヤ、およびタイヤカーカス部分用のゴムコンパウンドにおける加硫系の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのカーカスに使用するコンパウンドは、主にハンドリング、転がり抵抗、耐亀裂進展性の面で良好な性能を確保する必要がある。さらに、当業者であれば容易に理解できるように、例えば、粘性や加硫戻りなどの処理関連特性を確保する必要がある。
【0003】
当業者であれば知っているように、一般的に、前記の性能の1つを改善する解決策は他の性能の悪化を伴う。
【0004】
例えば、ハンドリング性能を向上させるためにはタイヤのカーカス部分の剛性を高める必要があり、これは一般的にコンパウンド中のカーボンブラックの含有量を増やすことで得ることができる。
【0005】
しかし、この解決方法は、剛性を上昇させてハンドリング性能を改善する一方で、転がり抵抗性能の点で欠点をもたらす。転がり抵抗性能はタイヤ全体の肯定的な評価に極めて関連するため、カーボンブラックの量のみに働きかけて剛性を向上させるのには不都合がある。
【0006】
さらに、コンパウンド中のカーボンブラック含有量の増加は、粘性の上昇、ひいてはコンパウンドの加工条件の悪化にもつながる。
【0007】
コンパウンド中のカーボンブラック含有量の増加により生じる別の問題は、加硫工程での加硫戻り(reversion)現象に関する。この現象は特に天然ゴムベースのコンパウンドで発生し、加硫工程中のコンパウンドの劣化につながる。加硫戻り現象はゴムの劣化の程度を意味することに加えて、加硫工程での精密な制御を必然的に必要とし、そこから生じる生産性における明らかな欠点がある。
【0008】
したがって、ハンドリング、転がり抵抗、粘性、加硫戻り特性の適切なバランスが確保できる解決手法が必要となる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の発明者は、成分の種類および量の点で、特定の加硫系組成物を使用することにより、前述の必要を満たすことができることを見出した。
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、天然ゴムをポリマーベースの少なくとも50重量%含む架橋性不飽和鎖を有するポリマーベースと、カーボンブラックを含む充填剤と、硫黄を含む加硫系とを、少なくとも含むタイヤカーカス部分用のゴムコンパウンド(配合物)に関するものであり、該コンパウンドは、加硫系が少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の混合物であって、混合物の25~80重量%であるスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および混合物の75~20%である加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなる混合物であることを特徴とする。
【0011】
少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の混合物は、好ましくは、混合物の40~70重量%であるスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および60~30重量%である加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなる。
【0012】
実験により、ポリマーベースの少なくとも50重量%が天然ゴムからなるポリマーベースの存在は、本発明の効果にとって必須の構成であることが示されている。天然ゴムの量が少ないと、特にハンドリング性能と転がり抵抗性能のバランスにおいて、利点が得られないことが示されている。
【0013】
以下、用語「ポリマー架橋性不飽和鎖(polymer cross-linkable unsaturated chain)」は、架橋(加硫)の際にエラストマーによって典型的に想定される化学的-物理的および機械的特徴のすべてを担うことができる、任意の天然または合成の未架橋ポリマーを意味する。
【0014】
以下、用語「加硫系(vulcanization system)」は、少なくとも硫黄、および1種または複数の促進剤を含む成分の集合体を示し、これらはコンパウンドの調製において最終混合工程で添加され、コンパウンドが加硫温度に晒されると、ポリマーベースの加硫を補助するという目的を果たす。
【0015】
スルフェンアミド系促進剤は、好ましくは、N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(TBBS:N-tert-butylbenzothiazole-2-sulfenamide)および/またはn-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS:n-cyclohexyl-2-benzothiazole-sulfenamide)である。
【0016】
加硫戻り防止剤は、好ましくは、ヘキサメチレンビス(チオスルファート)(HTS:hexamethylene bis(thiosulfate))である。
【0017】
少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の混合物は、好ましくは、混合物の0~40重量%であるCBS、混合物の15~55重量%であるTBBS、および混合物の75~20重量%であるHTSからなる。
【0018】
少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤との混合物は、好ましくは、混合物の30~60重量%、より好ましくは混合物の30~55重量%であるHTSを含む。
【0019】
少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤との混合物は、好ましくは混合物の45~55重量%であるTBBSおよび混合物の45~55重量%であるHTSからなり、より好ましくは、混合物の約50重量%であるTBBSおよび混合物の約50重量%であるHTSからなる。
【0020】
加硫系は、好ましくは、遊離硫黄1.5~3.5phr、促進剤および加硫戻り防止剤の混合物1~3phrを含む。
【0021】
架橋性不飽和鎖を有するポリマーベースは、好ましくは、天然ゴムをポリマーベースの少なくとも65重量%含む。
【0022】
ポリマーベースは、好ましくは、天然ゴムおよびブタジエンのコポリマー(共重合体)の混合物からなる。
【0023】
本発明によるコンパウンドは、好ましくは、唯一の充填剤としてカーボンブラックを含む。
【0024】
第2の態様によれば、本発明は、本発明によるコンパウンドを用いて製造されたタイヤカーカス部分に関する。
【0025】
カーカス部分は、好ましくは、アンダートレッド(UNDERTREAD)またはトレッドプライインサート(TREAD PLY INSERT)またはベースコンパウンド(BASE COMPOUND)である。
【0026】
第3の態様によれば、本発明は、本発明によるコンパウンドを用いて製造されたカーカス部分を含むタイヤに関する。
【0027】
第4の態様によれば、本発明は、カーボンブラックの含有量を増加させることなくタイヤの特性をバランスさせるための、タイヤカーカス部分用ゴムコンパウンドにおける加硫系の使用に関連し、加硫系は、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の混合物であって、混合物の25~80重量%がスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および混合物の75~20重量%が加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなる該混合物を含み、好ましくは、混合物の40~70重量%がスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および混合物の60~30重量%が加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなる、混合物を含む。
【0028】
以下に例示的かつ非限定的な例をいくつか挙げる。
【実施例】
【0029】
2組の実験を用意した(実験1および実験2)。2組の実験では、使用するカーボンブラックの量が互いに異なる。各組の実験は、先行技術のカーカス部分のゴムコンパウンドに関する参照コンパウンド(参照1および参照2)、参照コンパウンドにカーボンブラックを追加添加して得られた比較コンパウンド(比較1および比較2)、および本発明による3つのコンパウンド(A~CおよびD~F)を含む。
【0030】
ポリマーベースの50重量%以上が天然ゴムからなるポリマーベースの存在が本発明の効果にとって必須の構成であることを示すために、さらなる実験を用意した(実験3)。実験3は、ポリマーベースの40重量%の天然ゴムおよび40phrのCBを含むタイヤカーカス部分に関する参照コンパウンド(参照3)と、参照コンパウンド3にカーボンブラックを添加して得られた比較コンパウンド(比較3)と、特許請求した発明の加硫系を含むが、特許請求した発明に関して天然ゴムの量を少なくした、3つのさらなる比較コンパウンド(比較4~比較6)(これらは天然ゴムの量の違いの点のみから、実施例A~Cと直接比較できる)とを含む。
【0031】
実施例のコンパウンドは標準的な手順に従って調製したが、これは本発明の目的には関係ない。
【0032】
-コンパウンドの調製-
(第1混合ステップ)
混合の開始前に、接線方向ローターを備えた230~270リットルの内容積を有するミキサーに、架橋性ポリマーベースおよびカーボンブラックを投入し、66~72%の充填率に達するようにした。
【0033】
ミキサーを40~60回転/分の速度で操作し、そこから得られた混合物を、140~160℃の温度に達した後に取り出した。
【0034】
(第2混合ステップ)
前のステップから得られた混合物を、40~60回転/分の速度で操作するミキサーで再び処理し、その後、130~15℃の温度に達した後に取り出した。
【0035】
(最終混合ステップ)
加硫系(硫黄、加硫促進剤、加硫戻り防止剤、酸化防止剤/オゾン劣化防止剤、酸化亜鉛)を、前のステップから得られた混合物に添加し、63~67%の充填率に達するようにした。
【0036】
混合は20~40回転/分間の速度で行い、こうして形成された混合物を、100~110℃の温度に達した後に取り出した。
【0037】
表I、IIおよびIIIは、前記15種類のコンパウンドのphr組成を示している。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
NRは天然由来のシス-1,4-ポリイソプレンゴムを表す。
【0042】
BRはポリブタジエンからなるポリマーベースを表す。
【0043】
カーボンブラック(CB)は、N330に分類される。
【0044】
TBBSは、加硫促進剤として使用するN-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドを表す。
【0045】
CBSは、加硫促進剤として使用されるN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルホンアミドを表す。
【0046】
HTSは、加硫戻り防止剤として使用されるヘキサメチレンビス(チオスルファート)を表す。
【0047】
前記各コンパウンドは、その粘性を評価するための試験と、加硫後に、その機械的特性および動的機械的性質を評価するための試験に供した。
【0048】
粘性はASTM 1646によって測定し、機械的特性はASTM D412Cによって測定し、動的機械的特性はISO4664によって測定し、耐亀裂進展性はISO27727に準拠して測定した。
【0049】
特に、加硫戻り(reversion)値の評価も計算した。加硫戻り指数は、(MH-S’24分/(MH-ML))で与えられる。ここで、MHはレオロジー曲線のピークにおけるトルク値であり、S’は試験の一般的な瞬間に測定されたトルク値である。S’24分は、24分後に測定されたトルク値である。加硫戻り指数が小さいほど、より良い結果が得られる。
【0050】
表IV、V、およびVIは、前記の試験から得られた結果を示す。比較例および本発明例の挙動を示すために参照コンパウンド1、2、および3を100に正規化した。本発明によるコンパウンドの利点をより明確に示すため、異なる特性の値を参照コンパウンドそれぞれに対して指数化した。個々の特性のそれぞれの横にある矢印↓および↑は、それぞれ、値が小さいほど優れた特性、値が大きいほど優れた特性であることを示す。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
当業者であれば既知のとおり、TanDは転がり抵抗と直接相関しており、E’は剛性と直接相関している。
【0055】
表IVおよび表Vに示す結果によれば、本発明の解決策は、考慮に入れるすべての特性が、そのうち一つが大幅に改善される場合であっても、許容範囲内に維持されることを保証するようにできる。表VIは、特許請求項された加硫系は、特許請求された量の天然ゴムが存在する場合にのみ、性能の最適なバランスを得られることが保証できることを示している。
【0056】
比較コンパウンドである比較1、比較2、および比較3の参照結果から、カーボンブラックの含有量を増やすと剛性は向上するが、同時に転がり抵抗、粘性、加硫戻り指数の点では悪化することがわかる。
【0057】
別様に、本発明のコンパウンド(A~CおよびD~F)の結果は、本発明の加硫系の使用により、転がり抵抗、粘性および加硫戻り性を悪化させることなく剛性を改善できることを示している。A~Cと直接比較し得る参照コンパウンド4~6の結果は、ゴムブレンド中の天然ゴムの量が少ないと、これが得られないことを示している。この点において、いくつかの例について、本発明の加硫系は剛性を改善するだけでなく、転がり抵抗、粘性および加硫戻り性も改善することを強調することが重要である。
【0058】
最後に、表IVおよび表Vに示す結果は、本発明の加硫系が異なるカーボンブラック量においても有効であることを示している。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴムをポリマーベースの少なくとも50重量%含む架橋性不飽和鎖を有するポリマーベースと、カーボンブラックを含む充填剤と、硫黄を含む加硫系とを、少なくとも含む、タイヤカーカス部分用ゴムコンパウンドであって、
前記加硫系は、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の混合物であって、前記混合物の25~80重量%であるスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および前記混合物の75~20重量%である加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなる、前記混合物を含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項2】
請求項1に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の40~70重量%であるスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および前記混合物の60~30重量%である加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記スルフェンアミド系促進剤は、N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド(TBBS)および/またはn-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)であることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記加硫戻り防止剤は、ヘキサメチレンビス(チオスルファート)(HTS)であることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項5】
請求項3および4に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の0~40重量%であるCBS、前記混合物の15~55重量%であるTBBSおよび前記混合物の20~75重量%であるHTSからなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項6】
請求項5に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の30~60重量%であるHTSを含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項7】
請求項6に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の30~55重量%であるHTSを含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の45~55重量%であるTBBS、前記混合物の45~55重量%であるHTSからなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項9】
請求項8に記載のゴムコンパウンドにおいて、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の約50重量%であるTBBSおよび前記混合物の約50重量%であるHTSからなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記加硫系は、遊離硫黄1.5~3.5phrと、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の混合物1~3phrとを含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記架橋性不飽和鎖を有するポリマーベースは、天然ゴムを前記ポリマーベースの少なくとも65重量%含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドにおいて、前記架橋性不飽和鎖を有するポリマーベースは、天然ゴムおよびブタジエンの共重合体の混合物からなることを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドにおいて、唯一の充填剤としてカーボンブラックを含むことを特徴とする、ゴムコンパウンド。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドで製造されたタイヤカーカス部分。
【請求項15】
請求項14に記載のタイヤカーカス部分は、アンダートレッドまたはトレッドプライインサートまたはベースコンパウンドであることを特徴とする、タイヤカーカス部分。
【請求項16】
請求項14または15に記載の部分を含むタイヤ。
【請求項17】
カーボンブラックの含有量を増加させずにタイヤの特性をバランスさせるためのタイヤカーカス部分用ゴムコンパウンドにおける加硫系の使用であって、
前記加硫系は、混合物の25~80重量%であるスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および混合物の75~20重量%である加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなる前記混合物を含むことを特徴とする、加硫系の使用。
【請求項18】
請求項17に記載のゴムコンパウンドにおける使用において、少なくとも1種の促進剤および少なくとも1種の加硫戻り防止剤の前記混合物は、前記混合物の40~70重量%であるスルフェンアミド系促進剤の少なくとも1種および前記混合物の60~30重量%である加硫戻り防止剤の少なくとも1種からなることを特徴とする、ゴムコンパウンドにおける使用。
【国際調査報告】