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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】共結晶
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/14 20060101AFI20240822BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240822BHJP
   A61K 47/16 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240822BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240822BHJP
   C07C 215/10 20060101ALI20240822BHJP
   C07C 213/10 20060101ALI20240822BHJP
   C07C 50/04 20060101ALI20240822BHJP
   C07C 39/08 20060101ALI20240822BHJP
   C07C 37/84 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C07D487/14 CSP
A61K47/18
A61K47/16
A61K47/22
A61K47/10
A61K31/519
A61P43/00 111
A61P9/00
A61P9/12
A61P35/02
A61P13/12
C07C215/10
C07C213/10
C07C50/04
C07C39/08
C07C37/84
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514007
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022075902
(87)【国際公開番号】W WO2023034965
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/260,873
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ-セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA-CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】リ,ポン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H006
【Fターム(参考)】
4C076CC11
4C076CC17
4C076CC27
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD50
4C076DD51
4C076DD54
4C076DD55
4C076DD60
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB05
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA81
4C086ZB27
4C086ZC20
4H006AA01
4H006AA02
4H006AD15
4H006BC51
4H006BN10
4H006BU32
4H006FC52
4H006FE13
(57)【要約】
本発明は、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オンと共結晶形成剤との共結晶、それを含む組成物、ならびに該共結晶の製造および使用の関連方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン(化合物1);および
B)共結晶形成剤
を含む、共結晶。
【請求項2】
化合物1が、遊離塩基形態または塩形態である、請求項1に記載の共結晶。
【請求項3】
化合物1が、遊離塩基形態である、請求項1または2に記載の共結晶。
【請求項4】
共結晶が、無水であるか、または溶媒和している、前記請求項のいずれかに記載の共結晶。
【請求項5】
共結晶形成剤が、アラニン、グルタミン酸、2-アミノ酪酸、尿素、チロシン、グリシン、アルギニン、6-ヒドロキシニコチンアミド、ジエタノールアミン、3-ニトロ-フタルイミド、イソロイシン、ヒスチジン、ビスアセチル化エチレンジアミド、ニコチンアミド、アセトアニリド、ロイシン、リジン、イソニコチンアミド、レゾルシノール、4-ニトロフタルイミド、プロリン、セリン、ピリジノフタルイミド、4-アセトアミドフェノール ベンズアミド、バリン、スレオニン、トロメタミン、ヒドロキノン、カルバマゼピン、フェニルアラニン、システイン、3-アミノ酪酸、ピペラジン、4-アセトアミドフェノール、トリプトファン、メチオニン、6-メチルピリジン-3-カルボキサミド、スクシンイミド、アスパラギン酸、アスパラギン、モノアセチル化エチレンジアミン、4-メチルアセトアニリド、グルタミン、2-ピリドン、ピロメリト酸ジイミド、1,2-ジヒドロキシベンゼン、アミノ-4,6-ジメチルニコチンアミドおよびそれらの塩から選択される、前記請求項のいずれかに記載の共結晶。
【請求項6】
共結晶形成剤が、チロシン、3-ニトロ-フタルイミド、ピリジノフタルイミド、ジエタノールアミン、レゾルシノール、ヒドロキノン、スレオニンおよびそれらの塩から選択される、前記請求項のいずれかに記載の共結晶。
【請求項7】
共結晶形成剤が、3-ニトロ-フタルイミド、ジエタノールアミン、レゾルシノール、ヒドロキノンおよびそれらの塩から選択される、前記請求項のいずれかに記載の共結晶。
【請求項8】
共結晶形成剤が3-ニトロ-フタルイミドである、前記請求項のいずれかに記載の共結晶。
【請求項9】
共結晶が、7.8°、16.3°、17.0°、17.4°、18.6°、19.1°、19.6°、20.8°、21.4°および21.5°からなる群から選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、請求項8に記載の共結晶。
【請求項10】
共結晶が、16.3°、17.0°、17.4°、18.6°および19.1°の2θ角値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、請求項8または9に記載の共結晶。
【請求項11】
共結晶が、11.32Å、5.45Å、5.21Å、5.09Å、4.77Å、4.65Å、4.52Å、4.27Å、4.14Åおよび4.12Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項8~10のいずれかに記載の共結晶。
【請求項12】
共結晶が、5.45Å、5.21Å、5.09Å、4.77Åおよび4.65Åのd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項8~11のいずれかに記載の共結晶。
【請求項13】
共結晶が、約110℃~111℃、例えば、約110.5℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項8~12のいずれかに記載の共結晶。
【請求項14】
共結晶が、約86℃~87℃、例えば、約86.5℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項8~13のいずれかに記載の共結晶。
【請求項15】
共結晶形成剤がジエタノールアミンである、請求項1~7のいずれかに記載の共結晶。
【請求項16】
共結晶が、7.29°、7.70°、7.80°、9.987°、13.78°、16.59°、16.93°、18.84°、20.66°および20.68°からなる群から選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、請求項15に記載の共結晶。
【請求項17】
共結晶が、7.29°、7.70°、7.80°、13.78°および18.84°の2θ角値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、請求項15または16に記載の共結晶。
【請求項18】
共結晶が、12.12Å、11.49Å、11.33Å、8.85Å、6.42Å、5.34Å、5.23Å、4.71Å、4.30Å、4.29Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項15~17のいずれかに記載の共結晶。
【請求項19】
共結晶が、12.12Å、11.49Å、11.33Å、6.42Åおよび4.71Åのd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項15~18のいずれかに記載の共結晶。
【請求項20】
共結晶が、約121℃~122℃、例えば、約121.7℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項15~19のいずれかに記載の共結晶。
【請求項21】
共結晶形成剤がレゾルシノールである、請求項1~7のいずれかに記載の共結晶。
【請求項22】
共結晶が、7.3°、7.4°、10.0°、14.1°、17.0°、18.7°、19.0°、19.7°、22.9°および23.7°からなる群から選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、請求項21に記載の共結晶。
【請求項23】
共結晶が、7.3°、7.4°、17.0°、19.0°および22.9°の2θ角値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、請求項21または22に記載の共結晶。
【請求項24】
共結晶が、12.14Å、12.00Å、8.88Å、6.27Å、5.21Å、4.74Å、4.68Å、4.50Å、3.88Åおよび3.75Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項21~23のいずれかに記載の共結晶。
【請求項25】
共結晶が、12.14Å、12.00Å、5.21Å、4.68Åおよび3.88Åのd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項21~24のいずれかに記載の共結晶。
【請求項26】
共結晶が、約160℃~162℃、例えば、約161℃、および約167℃~168℃、例えば、約167.4℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項21~25のいずれかに記載の共結晶。
【請求項27】
共結晶形成剤がヒドロキノンである、請求項1~7のいずれかに記載の共結晶。
【請求項28】
共結晶が、7.26°、7.42°、9.94°、17.21°、18.41°、18.38°、19.44°、19.47°、23.08°および23.73°からなる群から選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、請求項27に記載の共結晶。
【請求項29】
共結晶が、7.26°、7.42°、9.94°、17.21°および23.08°の2θ角値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、請求項27または28に記載の共結晶。
【請求項30】
共結晶が、17.74Å、12.16Å、11.91Å、8.89Å、5.32Å、5.15Å、4.82Å、4.56Å、3.85Åおよび3.75Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項27~29のいずれかに記載の共結晶。
【請求項31】
共結晶が、12.16Å、11.91Å、8.89Å、5.15Åおよび3.85Åのd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項27~30のいずれかに記載の共結晶。
【請求項32】
共結晶が、約209℃~210℃、例えば、約209.2℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項27~31のいずれかに記載の共結晶。
【請求項33】
共結晶が、約128℃~129℃、例えば、約128.6℃;約148℃~150℃、例えば、約149℃;および約200℃~201℃、例えば、200.4℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項27~32のいずれかに記載の共結晶。
【請求項34】
エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン(化合物1)と、共結晶形成剤とを含む共結晶の製造方法であって、化合物1を共結晶形成剤と反応させる工程および得られた共結晶を単離する工程を含む、方法。
【請求項35】
さらに、アルコールおよび/または水を含む第1の溶媒に化合物1を溶解させる工程を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
第1の溶媒が、エタノール、メタノール、水、およびそれらの組み合わせ(例えば、メタノールと水)から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
さらに、第2の溶媒に共結晶形成剤を溶解させる工程を含む、請求項34~36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
第2の溶媒が、エタノール、メタノールおよび水から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
さらに、第1の溶媒中の化合物1を含む得られた溶液を、共結晶形成剤および第2の溶媒を含む得られた溶液と混合することを含む、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
共結晶形成剤が、アラニン、グルタミン酸、2-アミノ酪酸、尿素、チロシン、グリシン、アルギニン、6-ヒドロキシニコチンアミド、ジエタノールアミン、3-ニトロ-フタルイミド、イソロイシン、ヒスチジン、ビスアセチル化エチレンジアミド、ニコチンアミド、アセトアニリド、ロイシン、リジン、イソニコチンアミド、レゾルシノール、4-ニトロフタルイミド、プロリン、セリン、ピリジノフタルイミド、4-アセトアミドフェノール ベンズアミド、バリン、スレオニン、トロメタミン、ヒドロキノン、カルバマゼピン、フェニルアラニン、システイン、3-アミノ酪酸、ピペラジン、4-アセトアミドフェノール、トリプトファン、メチオニン、6-メチルピリジン-3-カルボキサミド、スクシンイミド、アスパラギン酸、アスパラギン、モノアセチル化エチレンジアミン、4-メチルアセトアニリド、グルタミン、2-ピリドン、ピロメリト酸ジイミド、1,2-ジヒドロキシベンゼン、アミノ-4,6-ジメチルニコチンアミドおよびそれらの塩から選択される、請求項34~39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
共結晶形成剤が、チロシン、3-ニトロ-フタルイミド、ピリジノフタルイミド、ジエタノールアミン、レゾルシノール、ヒドロキノン、スレオニンおよびそれらの塩から選択される、請求項34~40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
共結晶形成剤が、3-ニトロ-フタルイミド、ジエタノールアミン、レゾルシノール、ヒドロキノンおよびそれらの塩から選択される、請求項34~41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
さらに、化合物1および共結晶形成剤を含有する反応混合物を、例えば、30℃~80℃の温度に、例えば、約50℃の温度に加熱する工程を含む、請求項34~42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
さらに、反応混合物を、例えば、0℃~20℃の温度に、例えば、約5℃の温度に乾燥させる工程を含む、請求項34~43のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オンの共結晶、それを含む組成物、ならびに該共結晶の製造および使用の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オンは、国際公開第2009/075784(米国特許出願公開第2010/0273754号)に開示されている。この化合物は、ホスホジエステラーゼ1(PDE1)を発現する細胞における低いレベルのcAMPおよび/またはcGMP、ならびに/または、ドパミンD1受容体シグナル伝達活性の低下を特徴とする障害(例えば、パーキンソン病などの神経変性障害;統合失調症の認知障害;心肥大、心不全および高血圧症などの心血管障害;神経膠腫および白血病などの癌;ならびに腎疾患(kidney disease)などの腎障害(renal disorder));ならびに/または、プロゲステロンシグナル伝達の増強によって寛解し得る疾患もしくは状態の治療または予防に有用な、強力な選択的PDE1阻害剤であることが分かっている。この障害のリストは例示であり、網羅的であることを意図したものではない。
【0003】
国際公開第2009/075784は、遊離塩基形態および一般的には薬学的に許容される塩形態の(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オンを開示しているが、特定の安定性または所望の特性を有する特定の塩は示されなかった。多くの医薬化合物は、薬物の安定性、溶解度、生物学的利用能または薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄など)および/または生物学的同等性を変化させることができる異なる物理的形態(例えば、異なる結晶形態、非晶形態、多形形態、水和物形態または溶媒和物形態の液体または固体)で存在し得るので、最適な物理的形態(例えば、固体形態、液体形態、結晶形態、水和物形態、溶媒和物形態、非晶形態または多形形態の遊離塩基または塩)の医薬化合物を同定することは医薬開発において極めて重要である。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様において、本開示は、
A)エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン(化合物1);および
B)共結晶形成剤(co-crystal former)
を含む共結晶[共結晶1]を対象とする。
【0005】
したがって、該第1の態様において、本開示は、以下のものを提供する:
【0006】
1.1 化合物1が、遊離塩基形態または塩形態である、共結晶1。
【0007】
1.2 化合物1が、遊離塩基形態である、共結晶1または1.1。
【0008】
1.3 共結晶が、無水であるか、または溶媒和している、前記共結晶のいずれか。
【0009】
1.4 共結晶が、無水である、前記共結晶のいずれか。
【0010】
1.5 共結晶が、溶媒和している、共結晶1.1~1.3のいずれか。
【0011】
1.6 化合物1対共結晶形成剤の比率が、1:0.5~1:3(例えば、1:0.5、1:0.7、1:1または1:2)である、前記共結晶のいずれか。
【0012】
1.7 共結晶形成剤が、アラニン、グルタミン酸、2-アミノ酪酸、尿素、チロシン、グリシン、アルギニン、6-ヒドロキシニコチンアミド、ジエタノールアミン、3-ニトロフタルイミド、イソロイシン、ヒスチジン、ビスアセチル化エチレンジアミド、ニコチンアミド、アセトアニリド、ロイシン、リジン、イソニコチンアミド、レゾルシノール、4-ニトロフタルイミド、プロリン、セリン、ピリジノフタルイミド、4-アセトアミドフェノール ベンズアミド、バリン、スレオニン、トロメタミン、ヒドロキノン、カルバマゼピン、フェニルアラニン、システイン、3-アミノ酪酸、ピペラジン、4-アセトアミドフェノール、トリプトファン、メチオニン、6-メチルピリジン-3-カルボキサミド、スクシンイミド、アスパラギン酸、アスパラギン、モノアセチル化エチレンジアミン、4-メチルアセトアニリド、グルタミン、2-ピリドン、ピロメリト酸ジイミド、1,2-ジヒドロキシベンゼン、アミノ-4,6-ジメチルニコチンアミドおよびそれらの塩から選択される、前記共結晶のいずれか。
【0013】
1.8 共結晶形成剤が、チロシン、3-ニトロ-フタルイミド、ピリジノフタルイミド、ジエタノールアミン、レゾルシノール、ヒドロキノン、スレオニンおよびそれらの塩から選択される、前記共結晶のいずれか。
【0014】
1.9 共結晶形成剤が、3-ニトロ-フタルイミド、ジエタノールアミン、レゾルシノール、ヒドロキノンおよびそれらの塩から選択される、前記共結晶のいずれか。
【0015】
1.10 共結晶形成剤が、3-ニトロ-フタルイミドである、前記共結晶のいずれか。
【0016】
1.11 共結晶が、7.8°、16.3°、17.0°、17.4°、18.6°、19.1°、19.6°、20.8°、21.4°および21.5°からなる群から選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、共結晶1.10。
【0017】
1.12 共結晶が、16.3°、17.0°、17.4°、18.6°および19.1°の2θ角値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、共結晶1.10または1.11のいずれか。
【0018】
1.13 共結晶が、下記の表:
【表1】
に記載されるものから選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で測定される、共結晶1.10~1.12のいずれか。
【0019】
1.14 共結晶が、共結晶1.13の表に記載されるものから選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.10~1.13のいずれか。
【0020】
1.15 共結晶が、11.32Å、5.45Å、5.21Å、5.09Å、4.77Å、4.65Å、4.52Å、4.27Å、4.14Åおよび4.12Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.10~1.14のいずれか。
【0021】
1.16 共結晶が、5.45Å、5.21Å、5.09Å、4.77Åおよび4.65Åのd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.10~1.15のいずれか。
【0022】
1.17 共結晶が、共結晶1.13の表または図1に示されるものに相当するかまたはそれに実質的に示される粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.10~1.16のいずれか。
【0023】
1.18 共結晶が、約110℃~111℃、例えば約110.5℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.10~1.17のいずれか。
【0024】
1.19 共結晶が、図2に示されるものに相当するかまたはそれに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.10~1.18のいずれか。
【0025】
1.20 共結晶が、約86℃~87℃、例えば約86.5℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.10~1.19のいずれか。
【0026】
1.21 共結晶が、図3に示されるものに相当するかまたはそれに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.10~1.20のいずれか。
【0027】
1.22 共結晶が、針形状を有し、例えば、長さ50~200μmの針形状を有する、共結晶1.10~1.21のいずれか。
【0028】
1.23 共結晶が、遊離塩基形態の化合物1と共結晶形成剤を1:0.5および/または1:1(例えば、1:0.7)の比率で含む、共結晶1.10~1.22のいずれか。
【0029】
1.24 共結晶形成剤が、ジエタノールアミンである、共結晶1.1~1.9のいずれか。
【0030】
1.25 共結晶が、7.29°、7.70°、7.80°、9.987°、13.78°、16.59°、16.93°、18.84°、20.66°および20.68°からなる群から選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、共結晶1.24。
【0031】
1.26 共結晶が、7.29°、7.70°、7.80°、13.78°および18.84°の2θ角値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、共結晶1.24~1.25のいずれか。
【0032】
1.27 共結晶が、下記の表:
【表2】
に記載されるものから選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを含み、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で測定される、共結晶1.24~1.26のいずれか。
【0033】
1.28 共結晶が、共結晶1.27の表に記載されるものから選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.24~1.27のいずれか。
【0034】
1.29 共結晶が、12.12Å、11.49Å、11.33Å、8.85Å、6.42Å、5.34Å、5.23Å、4.71Å、4.30Åおよび4.29Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.24~1.28のいずれか。
【0035】
1.30 共結晶が、12.12Å、11.49Å、11.33Å、6.42Åおよび4.71Åのd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.24~1.29のいずれか。
【0036】
1.31 共結晶が、共結晶1.24の表または図4に示されるものに相当するかまたはそれに実質的に示される粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.24~1.30のいずれか。
【0037】
1.32 共結晶が、約121℃~122℃、例えば約121.7℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.24~1.31のいずれか。
【0038】
1.33 共結晶が、図5に示されるものに相当するかまたはそれに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.24~1.32のいずれか。
【0039】
1.34 共結晶が、針形状を有し、例えば、長さ5~40μmの針形状を有する、共結晶1.24~1.33のいずれか。
【0040】
1.35 共結晶が、遊離塩基形態の化合物1と共結晶形成剤を1:1の比率で含む、共結晶1.24~1.34のいずれか。
【0041】
1.36 共結晶形成剤が、レゾルシノールである、共結晶1.1~1.9のいずれか。
【0042】
1.37 共結晶が、7.3°、7.4°、10.0°、14.1°、17.0°、18.7°、19.0°、19.7°、22.9°および23.7°からなる群から選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、共結晶1.36。
【0043】
1.38 共結晶が、7.3°、7.4°、17.0°、19.0°および22.9°の2θ角値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、共結晶1.36~1.37のいずれか。
【0044】
1.39 共結晶が、下記の表:
【表3】
に記載されるものから選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを含み、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で測定される、共結晶1.36~1.38のいずれか。
【0045】
1.40 共結晶が、共結晶1.39の表に記載されるものから選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.36~1.39のいずれか。
【0046】
1.41 共結晶が、12.14Å、12.00Å、8.88Å、6.27Å、5.21Å、4.74Å、4.68Å、4.50Å、3.88Åおよび3.75Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.36~1.40のいずれか。
【0047】
1.42 共結晶が、12.14Å、12.00Å、5.21Å、4.68Åおよび3.88Åのd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.36~1.41のいずれか。
【0048】
1.43 共結晶が、共結晶1.39の表または図6に示されるものに相当するかまたはそれに実質的に示される粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.36~1.42のいずれか。
【0049】
1.44 共結晶が、約160℃~162℃、例えば約161℃、および約167℃~168℃、例えば約167.4℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.36~1.43のいずれか。
【0050】
1.45 共結晶が、図7に示されるものに相当するかまたはそれに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.36~1.44のいずれか。
【0051】
1.46 共結晶が、針形状を有し、例えば、長さ20~100μmの針形状を有する、共結晶1.36~1.45のいずれか。
【0052】
1.47 共結晶が、遊離塩基形態の化合物1と共結晶形成剤を2:1の比率で含む、共結晶1.36~1.46のいずれか。
【0053】
1.48 共結晶形成剤が、ヒドロキノンである、共結晶1.1~1.9のいずれか。
【0054】
1.49 共結晶が、7.26°、7.42°、9.94°、17.21°、18.41°、18.38°、19.44°、19.47°、23.08°および23.73°からなる群から選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、共結晶1.48。
【0055】
1.50 共結晶が、7.26°、7.42°、9.94°、17.21°および23.08°の2θ角値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、測定される、共結晶1.48~1.49のいずれか。
【0056】
1.51 共結晶が、下記の表:
【表4】
に記載されるものから選択される2θ角値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを含み、該XRPDパターンが、銅アノードを用いた回折計で1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で測定される、共結晶1.48~1.50のいずれか。
【0057】
1.52 共結晶が、共結晶1.51の表に記載されるものから選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.48~1.51のいずれか。
【0058】
1.53 共結晶が、17.74Å、12.16Å、11.91Å、8.89Å、5.32Å、5.15Å、4.82Å、4.56Å、3.85Åおよび3.75Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.48~1.52のいずれか。
【0059】
1.54 共結晶が、12.16Å、11.91Å、8.89Å、5.15Åおよび3.85Åのd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.48~1.53のいずれか。
【0060】
1.55 共結晶が、共結晶1.51の表または図8に示されるものに相当するかまたはそれに実質的に示される粉末X線回折パターンを示す、共結晶1.48~1.54のいずれか。
【0061】
1.56 共結晶が、約209℃~210℃、例えば約209.2℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.48~1.55のいずれか。
【0062】
1.57 共結晶が、図9に示されるものに相当するかまたはそれに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.48~1.56のいずれか。
【0063】
1.58 共結晶が、約128℃~129℃、例えば約128.6℃;約148℃~150℃、例えば約149℃;および約200℃~201℃、例えば200.4℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.48~1.57のいずれか。
【0064】
1.59 共結晶が、図10に示されるものに相当するかまたはそれに実質的に示される示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、共結晶1.48~1.58のいずれか。
【0065】
1.60 共結晶が、針形状を有し、例えば、長さ2~30μmの針形状を有する、共結晶1.48~1.59のいずれか。
【0066】
1.61 共結晶が、遊離塩基形態の化合物1と共結晶形成剤を2:1の比率で含む、共結晶1.48~1.60のいずれか。
【0067】
1.62 共結晶が、単結晶形態であり、他の形態を含まないかまたは実質的に含まず、例えば、非晶形態を、10重量%未満、好ましくは、約5重量%未満、より好ましくは、約2重量%未満、さらに好ましくは、約1重量%未満、さらに好ましくは、約0.1%未満、最も好ましくは、約0.01重量%未満しか含まない、前記共結晶のいずれか。
【0068】
1.63 共結晶が、単結晶形態であり、他の形態を含まないかまたは実質的に含まず、例えば、他の結晶形態を、10重量%未満、好ましくは、約5重量%未満、より好ましくは、約2重量%未満、さらに好ましくは、約1重量%未満、さらに好ましくは、約0.1%未満、最も好ましくは、約0.01重量%未満しか含まない、前記共結晶のいずれか。
【0069】
1.64 共結晶が、単結晶形態であり、他の形態を含まないかまたは実質的に含まず、例えば、非晶形態および他の結晶形態を、10重量%未満、好ましくは、約5重量%未満、より好ましくは、約2重量%未満、さらに好ましくは、約1重量%未満、さらに好ましくは、約0.1%未満、最も好ましくは、約0.01重量%未満しか含まない、前記共結晶のいずれか。
【0070】
1.65 共結晶が、方法1以降に従って形成される、前記共結晶のいずれか。
【0071】
さらなる態様において、本開示はまた、エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン(化合物1)と共結晶形成剤とを含む共結晶の製造方法であって、化合物1を共結晶形成剤と反応させる工程、および、得られた共結晶を単離する工程を含む、方法[方法1]を提供する。
【0072】
様々な実施態様において、本開示は、以下のものを提供する:
【0073】
1.1 化合物1が、遊離塩基形態または塩形態である、方法1。
【0074】
1.2 化合物1が、遊離塩基形態である、方法1または1.1。
【0075】
1.3 共結晶が、無水であるか、または溶媒和している、前記方法のいずれか。
【0076】
1.4 共結晶が、無水である、前記方法のいずれか。
【0077】
1.5 共結晶が、溶媒和している、前記方法のいずれか。
【0078】
1.6 得られる共結晶中の化合物1対共結晶形成剤の比率が、1:0.5~1:3(例えば、1:0.5、1:0.7、1:1または1:2)である、前記方法のいずれか。
【0079】
1.7 さらに、アルコールおよび/または水を含む第1の溶媒に化合物1を溶解する工程を含む、前記方法のいずれか。
【0080】
1.8 さらに、エタノール、メタノール、水、およびそれらの組み合わせから選択される溶媒に化合物1を溶解する工程を含む、前記方法のいずれか。
【0081】
1.9 さらに、メタノールおよび水を含む溶媒に化合物1を溶解する工程を含む、前記方法のいずれか。
【0082】
1.10 メタノールおよび水のモル比が5:1~15:1である、前記方法。
【0083】
1.11 メタノールおよび水のモル比が9:1である、前記方法。
【0084】
1.12 さらに、第2の溶媒に共結晶形成剤を溶解する工程を含む、前記方法のいずれか。
【0085】
1.13 第2の溶媒が、アルコールまたは水である、前記方法。
【0086】
1.14 さらに、エタノール、メタノールまたは水を含む第2の溶媒に共結晶形成剤を溶解する工程を含む、前記方法のいずれか。
【0087】
1.15 第2の溶媒が、メタノールまたは水である、前記方法。
【0088】
1.16 第2の溶媒が、メタノールである、方法1.12。
【0089】
1.17 第2の溶媒が、水である、方法1.12。
【0090】
1.18 さらに、第1の溶媒中の化合物1を含む得られた溶液を、共結晶形成剤および第2の溶媒を含む得られた溶液と混合することを含む、方法1.12~1.17のいずれか。
【0091】
1.19 共結晶形成剤が、アラニン、グルタミン酸、2-アミノ酪酸、尿素、チロシン、グリシン、アルギニン、6-ヒドロキシニコチンアミド、ジエタノールアミン、3-ニトロフタルイミド、イソロイシン、ヒスチジン、ビスアセチル化エチレンジアミド、ニコチンアミド、アセトアニリド、ロイシン、リジン、イソニコチンアミド、レゾルシノール、4-ニトロフタルイミド、プロリン、セリン、ピリジノフタルイミド、4-アセトアミドフェノール ベンズアミド、バリン、スレオニン、トロメタミン、ヒドロキノン、カルバマゼピン、フェニルアラニン、システイン、3-アミノ酪酸、ピペラジン、4-アセトアミドフェノール、トリプトファン、メチオニン、6-メチルピリジン-3-カルボキサミド、スクシンイミド、アスパラギン酸、アスパラギン、モノアセチル化エチレンジアミン、4-メチルアセトアニリド、グルタミン、2-ピリドン、ピロメリト酸ジイミド、1,2-ジヒドロキシベンゼン、アミノ-4,6-ジメチルニコチンアミドおよびそれらの塩から選択される、前記方法のいずれか。
【0092】
1.20 共結晶形成剤が、チロシン、3-ニトロ-フタルイミド、ピリジノフタルイミド、ジエタノールアミン、レゾルシノール、ヒドロキノン、スレオニンおよびそれらの塩から選択される、前記方法のいずれか。
【0093】
1.21 共結晶形成剤が、3-ニトロ-フタルイミド、ジエタノールアミン、レゾルシノール、ヒドロキノンおよびそれらの塩から選択される、前記方法のいずれか。
【0094】
1.22 化合物1が、遊離塩基形態であり、共結晶形成剤が、3-ニトロ-フタルイミドである、前記方法のいずれか。
【0095】
1.23 さらに、モル比9:1のメタノールと水との混合物に化合物1を溶解すること、メタノールに3-ニトロ-フタルイミドを溶解すること、およびこれら2つの得られた溶液を混合して反応混合物を形成することを含む、前記方法。
【0096】
1.24 化合物1が、遊離塩基形態であり、共結晶形成剤が、ジエタノールアミンである、前記方法のいずれか。
【0097】
1.25 さらに、モル比9:1のメタノールと水との混合物に化合物1を溶解すること、水にジエタノールアミンを溶解すること、およびこれら2つの得られた溶液を混合して反応混合物を形成することを含む、前記方法。
【0098】
1.26 化合物1が、遊離塩基形態であり、共結晶形成剤が、レゾルシノールである、前記方法のいずれか。
【0099】
1.27 さらに、モル比9:1のメタノールと水との混合物に化合物1を溶解すること、水にレゾルシノールを溶解すること、およびこれら2つの得られた溶液を混合して反応混合物を形成することを含む、前記方法。
【0100】
1.28 化合物1が、遊離塩基形態であり、共結晶形成剤が、ヒドロキノンである、前記方法のいずれか。
【0101】
1.29 さらに、モル比9:1のメタノールと水との混合物に化合物1を溶解すること、水にヒドロキノンを溶解すること、およびこれら2つの得られた溶液を混合して反応混合物を形成することを含む、前記方法。
【0102】
1.30 化合物1と共結晶形成剤とをモル比2:1~1:2で反応させる、前記方法のいずれか。
【0103】
1.31 化合物1と共結晶形成剤とをモル比1:1で反応させる、前記方法。
【0104】
1.32 さらに、化合物1および共結晶形成剤を含有する反応混合物を、例えば30℃~80℃の温度、例えば約50℃の温度に加熱する工程を含む、前記方法のいずれか。
【0105】
1.33 さらに、反応混合物を、例えば0℃~20℃の温度、例えば約5℃の温度に乾燥させる工程を含む、前記方法のいずれか。
【0106】
1.34 共結晶が、共結晶1以降の共結晶である、前記方法のいずれか。
【0107】
本開示は、さらに、下記の障害:
A.パーキンソン病、レストレスレッグス、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬物誘発性運動障害を含む、神経変性疾患;
B.うつ病、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、双極性疾患、不安、睡眠障害、例えばナルコレプシー、認知障害、例えば統合失調症の認知障害、認知症、トゥレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、精神刺激薬離脱、および薬物依存症を含む、精神障害;
C.脳血管疾患、脳卒中、うっ血性疾患、高血圧症、肺高血圧症、例えば肺動脈性高血圧症、および性機能障害を含み、国際出願第PCT/US2014/16741号に記載されている心血管疾患および関連障害を含む(記載内容は出典明示により本明細書の記載とする)、循環および心血管障害;
D.喘息、慢性閉塞性肺疾患、およびアレルギー性鼻炎を含む、呼吸器および炎症性障害、ならびに自己免疫および炎症性疾患;
E.女性性機能障害などのプロゲステロンシグナル伝達の増強によって軽減され得る疾患;
F.精神病、緑内障、または眼内圧亢進などの疾患または障害;
G.外傷性脳損傷;
H.癌または腫瘍、例えば、脳腫瘍、神経膠腫(例えば、上衣腫、星細胞腫、乏突起神経膠腫、脳幹神経膠腫、視神経膠腫、または混合膠腫、例えば、乏突起星細胞腫)、星細胞腫(例えば、多形神経膠芽腫)、骨肉腫、黒色腫、白血病、神経芽細胞腫または白血病;
I.腎障害、例えば、腎線維症、慢性腎疾患、腎不全、糸球体硬化症および腎炎;
J.PDE1を発現する細胞における低いレベルのcAMPおよび/またはcGMP(または、cAMPおよび/またはcGMPシグナル伝達経路の阻害)を特徴とする疾患または状態;および/または
K.ドパミンD1受容体シグナル伝達活性の低下を特徴とする疾患または状態
から選択される障害に罹患している、患者、例えば、ヒトの予防方法または治療方法であって、該予防または治療を必要とする患者に、
i.エナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン(化合物1);および
ii.共結晶形成剤
を含む共結晶[共結晶1]
例えば、本開示の共結晶1以降
の治療有効量を投与することを含む、
予防方法または治療方法[方法2]を提供する。
【0108】
2.1 医薬として用いるための、例えば方法2に記載されている疾患の治療または予防のための医薬の製造において用いるための、共結晶1以降を含む医薬組成物。
【0109】
2.2 方法2に記載されている疾患の治療または予防における共結晶1以降の使用。
【0110】
2.3 共結晶が、患者に、1日にあたり化合物1 1~300mgに相当する量で投与される、方法2。
【0111】
2.4 共結晶が、患者に、1日あたり化合物1 15~180mg、例えば、1日あたり化合物1 30~90mg、例えば、1日あたり化合物1 30~60mgに相当する量で投与される、前記方法のいずれか。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1図1は、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン(化合物1)と3-ニトロ-フタルイミドとの共結晶の粉末X線回折パターンを示す。
図2図2は、化合物1と3-ニトロ-フタルイミドとの共結晶の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフを示す。
図3図3は、化合物1と3-ニトロ-フタルイミドとの共結晶の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフを示す。
図4図4は、化合物1とジエタノールアミンとの共結晶の粉末X線回折パターンを示す。
図5図5は、化合物1とジエタノールアミンとの共結晶の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフパターンを示す。
図6図6は、化合物1とレゾルシノールとの共結晶の粉末X線回折パターンを示す。
図7図7は、化合物1とレゾルシノールとの共結晶の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフパターンを示す。
図8図8は、化合物1とヒドロキノンとの共結晶の粉末X線回折パターンを示す。
図9図9は、化合物1とヒドロキノンとの共結晶の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフを示す。
図10図10は、化合物1とヒドロキノンとの共結晶の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0113】
本明細書で使用する場合、「結晶(crystal)」または「結晶(crystals)または「結晶性(crystalline)」または「結晶の(crystallinic)」という用語は、固定格子配列において分子、原子またはイオンの短距離秩序または長距離秩序を有する固体を指す。本開示の共結晶は、単結晶形態であってもよい。したがって、本開示の共結晶は、三斜晶系結晶形態、単斜晶系結晶形態、斜方晶系結晶形態、正方晶系結晶形態、菱面体晶系(rhobohedral)結晶形態、六方晶系結晶形態、立方晶系結晶形態、またはそれらの混合物の結晶形であってもよい。特に、本開示の共結晶は、乾燥結晶形態である。別の実施態様において、本開示の共結晶は、針形態である。特定の実施態様において、本開示の共結晶は、他の形態を実質的に含まず、例えば、非晶形態または他の結晶形態を含まない。
【0114】
他の結晶形態を「実質的に含まない」という用語は、他の形態または他の結晶形態、例えば非晶形態または他の結晶形態が、約10重量未満%、好ましくは、約5重量%未満、より好ましくは、約2重量%未満、さらに好ましくは、約1重量%未満、さらに好ましくは、約0.1%未満、最も好ましくは、約0.01重量%未満であることを指す。
【0115】
特定の実施態様において、本開示の結晶は、例えば溶媒和物形態で、微量の溶媒を含有することができるか、または、例えば水和物形態で、微量の水を含有することができる。本開示の共結晶は、非溶媒和物形態である。いくつかの実施態様において、本開示の結晶は、非溶媒和物および非水和物形態である。いくつかの実施態様において、本開示の共結晶は、無水形態である。
【0116】
本開示の共結晶は、約5:1~1:5の化合物1対共結晶形成剤比を有し得る。例えば、様々な実施態様において、化合物1対共結晶形成剤の比率は、1:2~2:1、例えば、1:1、1:0.5、1:0.7または1:>1、例えば、1:1.3または1:2などであってよい。例えば、本開示の化合物1と3-ニトロ-フタルイミドとの共結晶は、化合物1および3-ニトロ-フタルイミドを1:0.5および/または1:1(例えば、1:0.7)の比率で含み得る。本開示の化合物1とジエタノールアミンとの共結晶は、化合物1およびジエタノールアミンを1:1の比率で含み得る。本開示の化合物1とレゾルシノールとの共結晶は、化合物1およびレゾルシノールを2:1の比率で含み得る。本開示の化合物1とヒドロキノンとの共結晶は、化合物1およびヒドロキノンを2:1の比率で含み得る。
【0117】
「溶媒和物」という用語は、結晶構造内に組み込まれた化学量論的量または非化学量論的量の溶媒を含有する結晶性固体付加物を指す。したがって、本明細書における「非溶媒和物」形態という用語は、本開示の結晶構造内に溶媒分子を含まないかまたは実質的に含まない共結晶を指す。同様に、本明細書における「非水和物」形態は、本開示の結晶構造内に水分子を含まないかまたは実質的に含まない共結晶を指す。
【0118】
「非晶」形態という用語は、分子の無秩序な配列の固体を指し、識別可能な結晶格子を有しない。
【0119】
さらに改変しない限り、「化合物1」は、下記の構造:
【化1】
を有する、遊離塩基形態の(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オンを指す。
【0120】
本開示の共結晶の結晶化度または形態は、単結晶X線回折、粉末X線回折、偏光光学顕微鏡、熱顕微鏡、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、赤外吸着分光法およびラマン分光法を含むがこれらに限定されない多数の方法によって決定され得る。溶媒和物または水和物またはその欠如の特徴付けもまた、DSCおよび/またはTGAによって決定することができる。
【0121】
与えられた試料の粉末X線回折パターンまたは示差走査熱量測定パターンは、使用した装置、測定時の試料の時間および温度、ならびに標準的な実験誤差に依存してわずかに(標準偏差)変化する場合があることを理解すべきである。したがって、本明細書の表または図に記載されている、温度、またはピークの2θ値、d間隔値、高さおよび相対強度は、許容可能なレベルの偏差を有する。例えば、値は、例えば、約20%、15%、10%、5%、3%、2%または1%の許容可能な偏差を有してもよい。特定の実施態様において、本開示の結晶のXRPDパターンの2θ値またはd間隔値は、±0.2°および/または±0.2Åの許容可能な偏差を有してもよい。さらに、本開示の結晶のXRPDパターンは、当業者によって認識されるような特徴的なピークによって同定され得る。例えば、本開示の結晶は、本明細書に記載のXRPDパターンに記載されているように、例えば、少なくとも5つの特性ピーク、例えば、少なくとも3つまたは少なくとも5つのピーク、例えば、少なくとも3つまたは少なくとも5つの2θ値、および/または少なくとも3つまたは少なくとも5つのd間隔値によって同定され得る。したがって、表のいずれかに記載されるかまたは図のいずれかに示されるもの「に相当するかまたはそれに実質的に」示されるという用語は、表/図に記載されるような主要ピークまたは特徴的ピークを有するXRPDを有する結晶を指す。
【0122】
数値の前にある「約」という用語は、該数値自体±その数値の20%、±その数値の15%、±その数値の10%、好ましくは、±その数値の5%、好ましくは、±その数値の3%、好ましくは、±その数値の2%、好ましくは、±その数値の1%を指す。温度を参照する場合、「約」という用語は、該温度値自体±該参照温度の10℃、好ましくは±該参照温度の5℃、より好ましくは±該参照温度の3℃であることを指す。別の例においては、2θ角値を参照する場合、「約」という用語は、数値2θ角値自体±参照2θ角値の0.2°である。さらに別の例においては、d間隔値を参照する場合、「約」という用語は、数値2θ角値自体±該参照d間隔値の0.2Åを指す。
【0123】
本開示の結晶は、選択的PDE1阻害剤である。したがって、本開示の結晶は、例えば、国際公開第2014/151409号、国際公開第2018/049417号、国際公開第2019/227004号、国際公開第2019/152697号、国際公開第2009/075784号、国際公開第2010/132127号、国際公開第2006/133261号および国際公開第2011/153129号(各記載内容は出典明示により全体として本願明細書の記載とする)に記載されているPDE1関連障害の治療に有用である。
【0124】
「患者」という用語は、ヒトおよび非ヒトを含む。一実施態様において、患者は、ヒトである。別の実施態様において、患者は、非ヒトである。
【実施例
【0125】
実施例1: 遊離塩基結晶
化合物(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オンの製造方法は、一般に国際公開第2009/075784に記載されている(出典明示により全体として本明細書の記載とする)。この化合物はまた、下記の反応スキーム1および2に要約されているかまたはそれと同様に要約されているように調製することができる。
【0126】
【化2】
【0127】
【化3】
【0128】
結晶性(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン(化合物1)遊離塩基は、例えば、国際公開第2014205354号A1(出典明示により全体として本明細書の記載とする)に記載されている方法に従って、生成することができる。
【0129】
実施例2: 3-ニトロ-フタルイミド共結晶
化合物1遊離塩基100mgをバイアルに添加し、メタノールおよび水の9:1混合物(2000μl)に溶解する。3-ニトロ-フタルイミド共形成剤(化合物1遊離塩基に対するモル比1:1)をメタノールに溶解し、遊離塩基溶液に添加する。次いで、該バイアルを50℃で3時間振盪した。得られた透明溶液を、5℃に冷却した冷却プレートに移し、この温度で約16時間保存した。残った液体を濾紙に吸収させ、完全に乾燥するまで、真空保存する。
【0130】
得られた固体を真空乾燥させ、まず、XRPDによって特徴づける。Bragg-Brentano型Bruker AXS D2 PHASERを使用して、粉末X線回折試験を実施する。X線源は30kV、10mAでのCuアノードである。得られたXRPDを図1に示し、下記の表1に要約する。観察された結晶はメタノール溶媒和物として溶媒和しており、約50~200μmの大きさの針状である。
【0131】
【表5】
【0132】
XRPDデータは、結晶性構造が形成されたことを示している。34ポジションオートサンプラを備えたMettler Toledo TGA/DSC-3+ STARe Systemで示差走査熱量測定を実施する。サンプル5~10mgを、予め重量測定したアルミニウムるつぼに入れ、20℃で5分間保持した後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱する。サンプル上で40ml/分の窒素パージを維持する。測定にはSTARe Software v15.00 build 8668を使用する。得られたDSC曲線を図2に示しており、これは、111℃で吸熱ピークを示している。
【0133】
共結晶形成を1H-NMRおよびFT-IRにより確認した。
【0134】
実施例3: 3-ニトロ-フタルイミド共結晶
化合物1遊離塩基20mgをバイアルに添加し、メタノールと水の9:1混合物(400μl)に溶解する。3-ニトロ-フタルイミド共形成剤(化合物1遊離塩基に対するモル比1:1)をメタノール(400μl)に溶解し、遊離塩基溶液に添加する。次いで、該バイアルを50℃で3時間振盪する。得られた透明溶液を、5℃に冷却した冷却プレートに移し、この温度で約16時間保存する。残った液体を濾紙に吸収させ、完全に乾燥するまで、真空保存する。
【0135】
34ポジションオートサンプラを備えたMettler Toledo TGA/DSC-3+ STARe Systemで示差走査熱量測定を実施する。サンプル5~10mgを、予め重量測定したアルミニウムるつぼに入れ、20℃で5分間保持した後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱する。サンプル上で40ml/分の窒素パージを維持する。測定にはSTARe Software v15.00 build 8668を使用する。得られたDSC曲線を図3に示しており、これは、87℃で吸熱ピークを示している。
【0136】
実施例4: ジエタノールアミン共結晶
化合物1遊離塩基100mgをバイアルに添加し、メタノールと水の9:1混合物(2000μl)に溶解する。ジエタノールアミン共形成剤(化合物1遊離塩基に対するモル比1:1)を水に溶解し、遊離塩基溶液に添加する。次いで、該バイアルを50℃で3時間振盪する。得られた透明溶液を、5℃に冷却した冷却プレートに移し、この温度で約16時間保存する。残った液体を濾紙に吸収させ、完全に乾燥するまで、真空保存する。
【0137】
得られた固体を真空乾燥させ、まず、XRPDによって特徴づける。Bragg-Brentano型Bruker AXS D2 PHASERを使用して、粉末X線回折試験を実施する。X線源は30kV、10mAでのCuアノードである。得られたXRPDを図4に示し、下記の表2に要約する。観察された結晶は、無水であり、約5~40μmの大きさの針状である。
【0138】
【表6】
【0139】
XRPDデータは、結晶性構造が形成されていることを示している。34ポジションオートサンプラを備えたMettler Toledo TGA/DSC-3+ STARe Systemで示差走査熱量測定を実施する。サンプル5~10mgを、予め重量測定したアルミニウムるつぼに入れ、20℃で5分間保持した後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱する。サンプル上で40ml/分の窒素パージを維持する。測定にはSTARe Software v15.00 build 8668を使用する。得られたDSC曲線を図5に示しており、これは、122℃で吸熱ピークを示している。
【0140】
共結晶形成を1H-NMRおよびFT-IRにより確認する。1H-NMRは、共結晶が遊離塩基と共形成剤を1:1の比率で含んでいることを示している。
【0141】
実施例5: レゾルシノール共結晶
化合物1遊離塩基100mgをバイアルに添加し、メタノールと水の9:1混合物(2000μl)に溶解する。レゾルシノール共形成剤(化合物1遊離塩基に対するモル比1:1)を水に溶解し、遊離塩基溶液に添加する。次いで、該バイアルを50℃で3時間振盪する。得られた透明溶液を、5℃に冷却した冷却プレートに移し、この温度で約16時間保存する。残った液体を濾紙に吸収させ、完全に乾燥するまで、真空保存する。
【0142】
得られた固体を真空乾燥させ、まず、XRPDによって特徴づける。Bragg-Brentano型Bruker AXS D2 PHASERを使用して、粉末X線回折試験を実施する。X線源は30kV、10mAでのCuアノードである。得られたXRPDを図6に示し、下記の表3に要約する。観察された結晶は、無水であり、約20~100μmの大きさの針状である。
【0143】
【表7】
【0144】
XRPDデータは、結晶性構造が形成されていることを示している。34ポジションオートサンプラを備えたMettler Toledo TGA/DSC-3+ STARe Systemで示差走査熱量測定を実施する。サンプル5~10mgを、予め重量測定したアルミニウムるつぼに入れ、20℃で5分間保持した後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱する。サンプル上で40ml/分の窒素パージを維持する。測定にはSTARe Software v15.00 build 8668を使用する。得られたDSC曲線を図7に示しており、これは、161℃および167℃で吸熱ピークを示している。
【0145】
共結晶形成を1H-NMRおよびFT-IRにより確認する。1H-NMRは、共結晶が遊離塩基と共形成剤を2:1の比率で含んでいることを示している。
【0146】
実施例6: ヒドロキノン共結晶
化合物1遊離塩基100mgをバイアルに添加し、メタノールと水の9:1混合物(2000μl)に溶解する。ヒドロキノン共形成剤(化合物1遊離塩基に対するモル比1:1)を水に溶解し、遊離塩基溶液に添加する。次いで、該バイアルを50℃で3時間振盪する。得られた透明溶液を、5℃に冷却した冷却プレートに移し、この温度で約16時間保存する。残った液体を濾紙に吸収させ、完全に乾燥するまで、真空保存する。
【0147】
得られた固体を真空乾燥させ、まず、XRPDによって特徴づける。Bragg-Brentano型Bruker AXS D2 PHASERを使用して、粉末X線回折試験を実施する。X線源は30kV、10mAでのCuアノードである。得られたXRPDを図8に示し、下記の表4に要約する。観察された結晶は、無水であり、約2~30μmの大きさの針状である。
【0148】
【表8】
【0149】
XRPDデータは、結晶性構造が形成されていることを示している。34ポジションオートサンプラを備えたMettler Toledo TGA/DSC-3+ STARe Systemで示差走査熱量測定を実施する。サンプル5~10mgを、予め重量測定したアルミニウムるつぼに入れ、20℃で5分間保持した後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱する。サンプル上で40ml/分の窒素パージを維持する。測定にはSTARe Software v15.00 build 8668を使用する。得られたDSC曲線を図9に示しており、これは、208℃で吸熱ピークを示している。
【0150】
共結晶形成を1H-NMRおよびFT-IRにより確認する。1H-NMRは、共結晶が遊離塩基と共形成剤を2:1の比率で含んでいることを示している。
【0151】
実施例7: ヒドロキノン共結晶
化合物1遊離塩基20mgをバイアルに添加し、メタノールと水の9:1混合物(400μl)に溶解する。ヒドロキノン共形成剤(化合物1遊離塩基に対するモル比1:1)を水(400μl)に溶解し、遊離塩基溶液に添加する。次いで、該バイアルを50℃で3時間振盪する。得られた透明溶液を、5℃に冷却した冷却プレートに移し、この温度で約16時間保存する。残った液体を濾紙に吸収させ、完全に乾燥するまで、真空保存する。
【0152】
34ポジションオートサンプラを備えたMettler Toledo TGA/DSC-3+ STARe Systemで示差走査熱量測定を実施する。サンプル5~10mgを、予め重量測定したアルミニウムるつぼに入れ、20℃で5分間保持した後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱する。サンプル上で40ml/分の窒素パージを維持する。測定にはSTARe Software v15.00 build 8668を使用する。得られたDSC曲線を図10に示しており、これは、129℃、149℃および200℃で吸熱ピークを示している。
【0153】
実施例8: 共結晶溶解度比較
水中に個々の共結晶を含有する飽和溶液を調製することによって共結晶の水溶解度を決定する。飽和溶液を室温で24時間振盪する。2つの時点(2時間および24時間)でサンプルを採取し、ろ過し、希釈(アセトニトリル/水 1:1)した後、液体クロマトグラフィーで測定する。結果を下記の表5に要約する。
【0154】
【表9】
【0155】
24時間後のジエタノールアミンおよびレゾルシノールの溶解度は非常に低い。ヒドロキノンは全く溶解しないことが示されている。遊離塩基 - 3-ニトロフタルイミド共結晶だけが、24時間に1.10mg/mLの溶解度を示した。これは遊離塩基の溶解度0.001mg/mLと比較して有意に増加している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】