(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】凍結乾燥した成分を含む組成物ならびにその作製方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
A23F 5/10 20060101AFI20240822BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20240822BHJP
A23F 5/36 20060101ALI20240822BHJP
A23L 3/44 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A23F5/10
A23L19/00 102Z
A23F5/36
A23L3/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514026
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 US2022042392
(87)【国際公開番号】W WO2023034536
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524077896
【氏名又は名称】ホルセム ブランズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファルハット,ムナ
(72)【発明者】
【氏名】スレイマン,サルピ
【テーマコード(参考)】
4B016
4B022
4B027
【Fターム(参考)】
4B016LG01
4B016LG05
4B016LK01
4B016LK06
4B016LK12
4B016LK13
4B016LK20
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4B022LA05
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4B027FK15
4B027FK20
4B027FQ02
4B027FQ04
4B027FQ20
(57)【要約】
【解決手段】粉砕または凍結乾燥されて調製された焙煎コーヒー豆と、凍結乾燥させた果実成分および凍結乾燥させた野菜成分のうち少なくとも1つと、有効量の少なくとも1つの中和剤とを含むドライミックス組成物である。さらに、凍結乾燥させた果実成分および凍結乾燥させた野菜成分からなる群から選択された少なくとも1つの要素を含むドライミックス組成物とともにコーヒーを焙煎する新規な生産または加工の方法であって、本プロセスにより、pHを補正するとともに当該技術分野で一般的に見られる凝固の問題を解決するように、乳製品を加えたコーヒー、果実、および野菜の様々なレベルの酸性度が補正される、方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライミックス組成物であって、
粉砕または凍結乾燥により調製された焙煎コーヒー豆と、
少なくとも1つの凍結乾燥させた果実成分と、
少なくとも1つの凍結乾燥させた野菜成分と、
有効量の少なくとも1つの中和剤と
を含むドライミックス組成物。
【請求項2】
乳成分をさらに含む、請求項1に記載のドライミックス組成物。
【請求項3】
前記焙煎コーヒー豆は粉砕により調製される、請求項1に記載のドライミックス組成物。
【請求項4】
前記焙煎コーヒー豆は凍結乾燥により調製される、請求項1に記載のドライミックス組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの中和剤は、麦芽、麦芽乳、炭酸水素ナトリウム、オーツミルク粉末、ココナッツミルク粉末、ダッチプロセスココア、および中鎖脂肪酸(MCT)油からなる群から選択される、請求項1に記載のドライミックス組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの凍結乾燥させた果実成分は、約2.7~7.8のpHを有する、請求項1に記載のドライミックス組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの凍結乾燥させた野菜成分は、約4.5~6.0のpHを有する、請求項1に記載のドライミックス組成物。
【請求項8】
前記焙煎コーヒー豆は、4.5~5.0のpHで調製される、請求項1に記載のドライミックス組成物。
【請求項9】
凍結乾燥させたコーヒーと果実との組成物を調合する方法であって、
(a)複数の果実および野菜を得ること、
(b)複数の果実および野菜を凍結乾燥すること、
(c)(b)の凍結乾燥させた産物を粉砕して細かい粉末にすること、
(d)望ましいpHに基づいて選択されたコーヒー豆を得ること、
(e)前記コーヒー豆を焙煎して前記望ましいpHにすること、
(f)焙煎された前記コーヒー豆を粉砕すること、
(g)焙煎され粉砕された前記コーヒー豆を凍結乾燥すること、
(h)凍結乾燥させた前記コーヒー豆と、前記果実および野菜の凍結乾燥させた粉末とを、ミキサーの中で配合することによって組み合わせて、配合調合物を形成すること、
(i)前記配合調合物のpHを測定すること、
(j)望ましいpHを維持するために前記配合調合物に中和剤を添加すること
を含む方法。
【請求項10】
(k)乳成分を添加すること
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記中和剤は、麦芽、麦芽乳、炭酸水素ナトリウム、オーツミルク粉末、ココナッツミルク粉末、ダッチプロセスココア、および中鎖脂肪酸(MCT)油からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記pHは、前記方法を通じて少なくとも3回測定される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
凍結乾燥させた果実成分および凍結乾燥させた野菜成分からなる群から選択された少なくとも1つの要素を含むドライミックス組成物とともにコーヒーを抽出する方法であって、
(a)最適なpHに基づいて最初の原材料を選択すること、
(b)一定量のコーヒー豆を焙煎して最適なpHとすること、
(c)前記一定量のコーヒー豆を粉砕して最適なpHとすること、
(d)前記一定量のコーヒー豆から一定量のコーヒーを抽出することで抽出コーヒーを作り出すこと、
(e)前記ドライミックス組成物を前記抽出コーヒーとともに混合すること、
(f)少なくとも1つの中和剤の成分を添加すること
を含む方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの要素は、凍結乾燥させた果実成分である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの要素は、凍結乾燥させた野菜成分である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記中和剤は、麦芽、麦芽乳、炭酸水素ナトリウム、オーツミルク粉末、ココナッツミルク粉末、ダッチプロセスココア、および中鎖脂肪酸(MCT)油からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年9月1日に出願された米国特許仮出願第63/239,840号に対する優先権の利益を主張する国際特許出願である。
【0002】
本発明は、乳成分と組み合わせられた、焙煎および粉砕されたコーヒーならびに凍結乾燥させた形態で存在する特定の果実を含む新しいコーヒー組成物とともに、それらに関連する新しい生産/加工プロセスに関連する。
【背景技術】
【0003】
コーヒーは世界中で何世紀もの間消費され続けており、特定の文化圏では古くからの伝統の中に浸透している、確立された抽出方法がある。地域によって、熱い飲み物として非常に濃いコーヒーを好む文化もあれば、コーヒー豆を低温で濃く抽出したものを好む人もいる。実際、一部の地域(特に東南アジアのあらゆるところ)では、とうもろこし、豆、えんどう豆、および米を含むさらなる原材料とともに、焙煎および粉砕されたコーヒーの特定の混合物を抽出してコーヒーが調製される。
【0004】
コーヒーとコーヒー混合物が長い間知られている一方で、すべてのそのような組み合わせは最終産物における同様の課題に対応するよう調整しなければならない。コーヒーは、もともと、水で抽出された最終の形態ではとても酸味が強い。通常の(すなわち、粉砕されたコーヒー豆以外は何も含まないものを熱湯で抽出した)形態でコーヒーを飲む時、コーヒーはとても酸味が強い。他にミルクなどのより塩基性の成分を加えることによって、酸味が少なくなる。しかし、コーヒーとミルクにさらなる成分を加えることにより、味やpH平衡等にさらに負の影響を及ぼす危険性が生じる。
【0005】
先行技術は、最終形である飲用可能なコーヒーを抽出するためのコーヒーミックスを形成するために、コーヒーの中に他の組成物を組み合わせる特定の例を含む。
【0006】
マニーシュ(Maneesh)の特許文献1は、焙煎および粉砕されたコーヒーを特定の凍結乾燥させた果実とともに含むドライミックス組成物を開示しており、凍結乾燥させた果実成分ならではの栄養のある一杯のコーヒーを提供する。しかし、他に酸味を改善する技術がなければ、そのような組成物はpH(コーヒーと果実の両方に起因する強い酸味)および味(特定の果実はビタミン含有量により相殺されているに違いない)の問題に悩まされることになり、そのことについては上記開示では言及されていない。
【0007】
ジルら(Gil et al)の特許文献2は、凍結乾燥させた南アメリカ産の果実入りの類似のタイプの混合物を開示している。凍結乾燥は果実成分の栄養の質を保つ場合があるが、ビタミン、カロテノイド、およびポリフェノールの多くは、一旦熱湯で抽出されると劣化するおそれがある。加えて、そのような混合物の酸性のプロファイルの均衡を保つとともに、最終の抽出されたコーヒー産物に対して優れた味を提供して一貫性のある風味のプロファイルを維持するという課題が依然として存在する。
【0008】
市場での代替のコーヒーの混合物は、人工または天然の風味を使用した油やエキスを用いているので、本物の果実や野菜に由来する自然の恩恵を損なっている。凍結乾燥させた果実の組成物は今日市場にあるが、スムージーや「スーパーフードラテ」を作ることに限定されている。しかし、そのような「ラテ」はコーヒーを含まず、そのようなスムージー組成物が実際に本物のミルクと混合されると、最終産物は凝固し、満足できない味および不健康な最終産物をもたらしてしまう。
【0009】
当該技術分野において、コーヒーと凍結乾燥させた果実および/または野菜とともにミルクを組み合わせ、最終産物において優れた味を維持するとともにミルクの凝固を防ぐのを可能にする必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際特許公開番第WO2021/005429A1
【特許文献2】カナダ特許第3,010,363号
【発明の概要】
【0011】
本発明は、粉砕または凍結乾燥して調製された焙煎コーヒー豆と、凍結乾燥させた果実成分および凍結乾燥させた野菜成分のうち少なくとも1つと、麦芽、炭酸水素ナトリウム、オーツ麦、およびコーンスターチからなる群から選択された有効量の少なくとも1つの中和剤とを含む、ドライミックス組成物を提供する。任意選択で、少なくとも1つの凍結乾燥させた野菜成分とともに、少なくとも1つの凍結乾燥させた果実成分が添加される。好ましくは、上記組成物に乳成分が添加される。代替的に、ドライミックス組成物は、凍結乾燥させた野菜成分なしで凍結乾燥させた果実成分を含む。代替的な実施形態では、ドライミックス組成物は、凍結乾燥させた果実成分なしで凍結乾燥させた野菜成分を含む。
【0012】
他の態様では、本発明は、凍結乾燥させた果実成分および凍結乾燥させた野菜成分からなる群から選択された少なくとも1つの要素を含むドライミックス組成物とともにコーヒーを抽出する方法であって、
(a)最適なpHに基づいて最初の原材料を選択すること、
(b)一定量のコーヒー豆を焙煎して最適なpHとすること、
(c)一定量のコーヒー豆を粉砕して最適なpHとすること、
(d)一定量のコーヒー豆から一定量のコーヒーを抽出することで抽出コーヒーを作り出すこと、
(e)ドライミックス組成物を抽出コーヒーとともに混合すること、
(f)少なくとも1つの中和剤の成分を添加すること
を含む、方法を開示する。
【0013】
任意選択で、ドライミックス組成物とともにコーヒーを抽出する方法において乳成分が添加される。
【0014】
さらに他の実施形態では、本発明は、凍結乾燥させたコーヒーと果実との組成物を調合する方法であって、(1)複数の果実および野菜を得ること、(2)複数の果実および野菜を凍結乾燥すること、(3)(2)の凍結乾燥させた産物を粉砕して細かい粉末にすること、(4)望ましいpHに基づいて選択されたコーヒー豆を得ること、(5)コーヒー豆を焙煎して望ましいpHにすること、(6)焙煎されたコーヒー豆を粉砕すること、(7)焙煎され粉砕されたコーヒー豆を凍結乾燥すること、(8)凍結乾燥させたコーヒー豆と、果実および野菜の凍結乾燥させた粉末とを、ミキサーの中で配合することによって組み合わせて、配合調合物を形成すること、(9)配合調合物のpHを測定すること、(10)望ましいpHを維持するために、配合調合物に中和剤を添加することを含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の新しい特徴は、本発明の特許請求の範囲の形で具体化されて本明細書中に示される。本発明の特徴と利点は、以下の発明の詳細な説明を参照し、本発明の例示的な実施形態および好ましい特徴とともに、以下の付随する図面を説明することによって最良に理解され得る。
【0016】
【
図1】本発明に記載された組成物を製造する方法の好ましい実施形態を示す。
【
図2A】本発明によって調製された焙煎プロファイルの例を示す。
【
図2B】本発明によって調製された焙煎プロファイルの例を示す。
【
図2C】本発明によって調製された焙煎プロファイルの例を示す。
【
図3A】本発明によって調製された焙煎プロファイルの例を示す。
【
図3B】本発明によって調製された焙煎プロファイルの例を示す。
【
図3C】本発明によって調製された焙煎プロファイルの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
果実または野菜のあらゆる種類の異なるレベルの酸性度の組み合わせは、そのような成分を人間が消費可能な最終混合物へと開発する時に考慮に入れなければならない。具体的に、果実や野菜の中の酸が抽出コーヒーの中に存在する酸度と組み合わせられると、そのような酸味はミルクの中の脂質、タンパク質、および乳酸の集合体に影響し、凝固作用を引き起こし、それはなんとしても避けたいことである。この課題は、ラテなどの様々な種類のコーヒー飲料においてはさらに複雑である。
【0018】
本発明は、抽出されたコーヒー産物の中の果実および野菜の組み合わせに対するそのような有害な影響を避け、スタンダードコーヒーまたはラテ飲料の味の価値基準を作り出すために多様なpHレベルに適応して飲用可能な最終産物を生み出す新規なプロセスを提供する。本発明はpHを補正し、当該技術分野ではあまりにも一般的である凝固の問題を解決する方法で、乳製品とともにコーヒー、果実および野菜の多様なレベルの酸味を配合する最終組成物を作り出す。
【0019】
一態様では、本発明は酸を中和するプロセスを提供し、そのプロセスは、熱と組み合わされたミルクに付随する問題を軽減するためにコーヒー/果実/野菜の組成物に加えられる中和成分を含む。その中和成分は、麦芽、麦芽乳、炭酸水素ナトリウム、オーツミルク粉末、ココナッツミルク粉末、ダッチプロセスココアおよび中鎖脂肪酸(MCT)油からなる群から選択された少なくとも1つの成分である。代替の実施形態では、その中和成分は抽出プロセス中にコーヒー/果実/野菜の組成物中の酸性のpHレベルを相殺するか、または釣り合いを取らせる塩基性のpHレベルを提供する成分である。
【0020】
図1に示されたように、本発明で開示された新規なプロセスは、多様な酸性レベルの釣り合いを取らせ、熱が加えられた時のミルクの凝固の問題を防ぐ最終産物に到達するために抽出プロセスにおいて特定の工程を必要とする。好ましくは、凍結乾燥させた成分を作る前に、コーヒーの粉砕および抽出はpHに対してプラス効果を与えるように調整される。
【0021】
酸性レベルはコーヒーを抽出するプロセスのすべての焙煎工程を通して影響する。豆の天然の性質はプロセスの初期段階においてさえ酸性度に影響する。当該技術分野では抽出プロセスの特定の要素によって、コーヒーのpHレベルは4.85から5.10の範囲をとることができることが知られている。酸性であるコーヒーは、飲み物が抽出プロセス中の低抽出または高抽出の工程に起因して「酸」味を持つことに関連しうる。特定のコーヒーは単に豆そのものの特性に基づいて自然の弱酸性レベルまたは強酸性レベルを持つ。例えば、グリーンコーヒー(または焙煎前の状態のコーヒー豆)は実際の味よりもコーヒーの渋みやpHに言及して、よく「軽い酸味」または「明るい酸味」を持つと表現される。
【0022】
コーヒー中の酸性レベルは、焙煎、粉砕、および抽出という異なる段階の3要素に主に影響される。焙煎段階中は、豆の色が濃いほど、酸性レベルが低い。浅い焙煎はより酸味がある傾向にあるが、これは多くの場合焙煎段階中の微細な調整により改善されうる。
【0023】
本発明は焙煎段階においては一般的なやり方を提供するが、それは延べ時間に従って、乾燥時間、褐変段階および展開段階という豆の変化の3段階に細分化される。特定のコーヒーの望ましい「なめらかさ」を達成するために、上記のやり方は最終的なコーヒー産物の甘さを作り出し酸性レベルを減らすために利用される。特に、焙煎プロセス中では、異なる時間における熱とガスの調節は、焙煎段階を通して、好ましい実施形態中の豆に対する特定のパラメーターの維持を可能にする。室温、湿度および器具の清潔さを含む追加要素も優先的に調節される。
【0024】
粉砕段階は本発明の好ましい実施形態を作り出すには極めて重要である。特に、より細かく粉砕されたコーヒーはより長い抽出時間という結果をもたらし、より酸味の強いコーヒーとなる。より粗く粉砕されたコーヒーは(抽出段階中に)水がより速く流れて通過するという結果になり、抽出時間の短縮をもたらし、味がなめらかになり、最終的なコーヒー産物により水で薄めた味をもたらす。本発明によって抽出されたコーヒーは好ましくは上記の範囲の両極端の間のどこかに該当する粉砕段階を持つ。
【0025】
最後に、抽出段階は本発明において必須である。コーヒーがより時間をかけて抽出されると、コーヒーはより酸味が少なくなる。例えば、人が飲むことができる一番酸味が少ないスタンダードコーヒーは、24時間かけて低温抽出されたコーヒーである。本発明の抽出段階中の好ましい実施形態において考慮された重要な要素は特定の水質および器具の清潔さを含み、それらは求められた望ましいパラメーター次第でコーヒーをより酸味が強いまたは弱い味わいにする。
【0026】
好ましい実施形態では、凍結乾燥させた果実成分のpHの範囲は約2.7から約7.8である。同様に、凍結乾燥させた野菜成分の好ましいpHの範囲は約4.5から約6.0である。好ましくは、本発明に使用されるコーヒーの品種のpHの範囲は約4.5から約5.0である。
【0027】
最も好ましい実施形態および
図1に示されたように、本発明のプロセスは次の工程を含む。
1.組成物に選択された果実および野菜は凍結乾燥され、その後細かい粉末に粉砕される。
2.最適なpHを伴った様々なコーヒーはその後選択され独自の焙煎プロファイルに従って焙煎される。これはpHの上げ下げに役立ち、焙煎プロセス中に熱がさらに加えられると、焙煎プロセス中に油の抽出をもたらす。
3.コーヒーの焙煎に続き、pHが測定される。
4.必要であれば、pHは望ましい値に補正される。
5.コーヒーは濃縮するために粉砕され、抽出され、pHが測定される。代替としては、コーヒーは粉砕され、抽出されずにpHが測定される。
6.粉砕および/または抽出されたコーヒーを凍結乾燥させる。
7.この工程で、凍結乾燥させた果実および野菜の粉末が凍結乾燥させたコーヒー粉末に加えられる。
8.混合物のpHが測定される。
9.配合された凍結乾燥粉末はミキサーでしっかりと混ぜ合わされ、その後pHが測定される。
10.次に中和剤が混合物に加えられ、pHが測定される。
11.pHの値によっては、包装に先立ちpHが補正されるか、追加の中和剤が加えられ、続いて再度pHが測定される。
【0028】
コーヒーのpHおよび酸味を弱めるために、調達、焙煎および抽出時に特定の処置が取られる。生豆の形態では、乾式処理あるいは湿式と乾式の混成で処理されたコーヒーは、水にさらされるのが少なくなることにより生じる、より少ない発酵に伴う、より少ない酸性度という特性により選択される。豆は、芳醇でなめらかな味のする酸味がより少ないコーヒーが特徴として知られる標高の低い領域より調達されている。
【0029】
焙煎技術は酸味を減少するために実施される。焙煎のサイクルの間にはモジュレーションフェーズと呼ばれる3つのフェーズまたは時間間隔がある。最初のフェーズは、乾燥フェーズとして知られるが、生豆が焙煎機に投入されることからなり、冷たい豆が熱いドラムにあたることにより温度が急激に低下する。その短時間後に、豆とドラムは豆とドラムが同じ温度に達する点である「転換点」に達する。次のフェーズは豆の中のアミノ酸と減少する糖の間で起こり豆が「褐色」になる、非酵素反応であるメイラードフェーズを含む。メイラードフェーズの長さは望ましい味と焙煎プロファイルを達成するうえで極めて重要である。3つ目のフェーズは、展開フェーズとしても知られるが、焙煎の深さが決定されるフェーズである。
【0030】
焙煎プロセスのすべての工程を踏まえることにより、それらのフェーズに作用し酸性度に影響を与える。モジュレーションフェーズに作用するそのような可変要素の例として、乾燥フェーズを短縮するために高温に豆を投入すること、80%~100%にガスを増加し焙煎機の中に高い熱エネルギーを起こすことによりすばやく水分を焼き飛ばすこと、メイラードフェーズを長くし甘味を増加させること、および展開フェーズの時間を長くしなめらかさと甘味をさらに際立たせることがある。より深い方に焙煎することにより、酸味を中和し酸性度をさらに軽減する。焙煎に作用するさらなる可変要素は湿度、室温、生豆の温度、生豆の水分含有量および焙煎機の清潔さを含む。
【0031】
図2A~2Cを参照すると、示されているのは本発明に沿って加工されたコーヒーの焙煎プロファイルの例である。
図2Aは焙煎プロセス中の様々な温度成分の相対的変化を示す。例えば、乾燥フェーズの初期段階の最初の温度低下後、周囲の温度は時間とともに安定する。周囲の温度は室温、ガスおよび空気流等の可変要素により制御されている。予想されるように、豆の温度はドラムに入ると劇的に低下するが、プロセスが続くにしたがって、転換点の後、温度が安定して上昇する。豆の温度は主に焙煎機のガスによって制御される。温度上昇率(RoR)曲線は時間表現と呼ばれる、一定期間の豆の温度のその時点の上昇率を表示する。さらに
図2Aはどのように温度の変化がモジュレーションフェーズに対応するかを示す。
図2Bは焙煎プロセス中を通してのガスの変化を示す。最後に、
図2Cはそのプロセスが各モジュレーションフェーズにとどまる時間の長さに伴う焙煎プロファイルの内訳を示す。
【0032】
弱い酸性度のグリーンコーヒーを示す表1および強い酸性度のグリーンコーヒーを例示する表2を含む下記の表はコーヒーのpHに基づく焙煎に最適な範囲を示す。
【0033】
【0034】
【0035】
モジュレーションチャートは、各レシピのpHおよび選択された原材料の組み合わせに基づいて正確な割合が決定され調節された範囲を含む。
【0036】
図3A~3Cを参照すると、示されているのは本発明に沿って加工されたコーヒーの焙煎プロファイルの例であり、焙煎プロセス中の可変要素はモジュレーションフェーズを調節するために変更されている。
図3Aは、
図2Aに示された最適な焙煎プロファイルの値と比較した、焙煎プロセス中の様々な温度成分の相対的変化を示す。例えば、乾燥フェーズの初期段階の最初の温度低下後、周囲の温度は時間とともに安定する。周囲の温度は室温、ガスおよび空気流等の可変要素により制御されている。予想されるように、豆の温度はドラムに入ると劇的に低下するが、プロセスが続くにしたがって、転換点の後、温度が安定して上昇し、
図2Aでは転換点は208.4度で起きたのと比較して、転換点は190.4度で起きたにもかかわらず、それぞれの例での豆の最初のハゼは互いの1度以内で起きた。温度上昇率(RoR)曲線は時間表現と呼ばれる、一定期間の豆の温度のその時点の上昇率を示す。
図2Aはどのように温度の変化がモジュレーションフェーズに対応するかを示す一方、
図3Aはいずれか1つの温度の可変要素における最小限の変化のみに対してどのように焙煎プロファイルが影響されるのを示す。最後に、
図3Cは、温度の可変要素における少しの変化が、
図2Cの参照プロファイルのモジュレーションフェーズと比較してどのようにそれぞれのモジュレーションフェーズの長さをさらに変化させるのかを示す。
【0037】
水温もまた酸性度において重要な役割を果たす。より高い水温はより多くの酸を抽出する一方で、より低い温度はより少ない酸を抽出し、選択された低温抽出方法は他の抽出方法よりも酸味が少ないことを説明づけている。室温の水を使用することは、コーヒーの微粒子の酸化と分解の速度を落とし、酸の抽出を制限するのに役立つ。この段階では、特定の低温抽出されたコーヒーの濃縮物が形成され、凍結乾燥されることで、望ましいpH値のインスタントコーヒーのセットが作り上げられる。
【0038】
コーヒー成分の特定の酸性度を考慮して、pHを最も望ましいレベルまで上げながら味を維持するために、原材料は中和剤成分の存在下で混合される。好ましくは、中和剤は、限定はされないが、麦芽、ダッチココア、炭酸水素ナトリウム、オーツミルク粉末、および中鎖脂肪酸(MCT)油のうちの少なくとも1つを含む。麦芽はpHを上げる塩基性効果を作り出す。麦芽の発芽プロセスでは、最も理想的な中和効果を持つ最適な発芽のレベルがある。ほとんどのチョコレートが酸性なのに対しダッチココアはより塩基性のpHプロファイルを持つため、ダッチココアは類似の効果を持つ。炭酸水素ナトリウムはベーキングパウダーと同様に組成物を中和する。オーツミルク粉末は非常に塩基性で、上記と同様に組成物および酸性のプロファイルを中和するのに役立つ。
【0039】
本明細書に開示されているすべての特徴はどのような組み合わせによってでも組み合わせることができる。本明細書に開示されるそれぞれの特徴は、同じ、同等の、または類似した用途を提供する代替の特徴に置き換えることができる。ゆえに、別途、特別に明記していない限り、開示されたそれぞれの特徴は、包括的な一連の同等または類似の特徴の1つの例に過ぎない。本明細書および添付された特許請求の範囲において使用されている場合、単数形は複数形を含む。内容において別途明確に述べられていない限り、例えば、「1つの(a、an)」や「その(the)」という用語は複数への言及を含む。加えて、一連の要素の前の「少なくとも」という用語は、その一連の要素すべてに言及していると理解される。本明細書に例示的に記載されている発明は、本明細書で具体的に開示されないいかなる1つのあるいは複数の要素、1つのあるいは複数の限定なしで適宜実施されうる。ゆえに、例えば、「含む(comprising、including、containing)」等の用語は拡張的におよび限定なく読み取られるべきである。加えて、本明細書で使用されている用語と表現は、限定でなく説明の観点から使用されており、そのような用語および表現を使用するにあたり、将来示されおよび記述されるあらゆる同等物またはそのあらゆる部分を排除する意図はなく、本発明の請求の範囲内で様々な修正が可能であると解釈される。ゆえに、本発明は好ましい実施形態や任意選択の特徴において具体的に開示されているが、本明細書に開示される発明の修正や変更は当該技術分野における当業者に依存すると理解され、そのような修正や変更は本明細書に開示する発明の範囲内であると考慮されると理解される。本発明は本明細書に広く包括的に記述されている。包括的な開示の範囲に入る狭い種類や亜族の群のそれぞれもこれらの発明の一部を形成する。それは、本明細書中に切り取られた題材が具体的に存在するか否かに関わらず、その類からあらゆる主題を削除するただし書きまたは負の限定を伴う各々の発明の包括的な記述を含む。加えて、ある発明の特徴または態様がマーカッシュ群の観点から記述されても、当業者は、本発明はマーカッシュ群のあらゆる個々の要素や亜群の要素であるという観点から本明細書に記述されていると認識するであろう。上記の記述は限定的ではなく、例示的であると意図されると理解される。上記の記述を閲覧する当業者にとって、多くの実施形態が明白であろう。本発明の範囲はそれゆえに上記の記述を参照して決定するのではなくその代わりに、添付された特許請求の範囲の他に、そのような特許請求の範囲が権利を有する同等物の全範囲を参照して決定するべきである。当業者は通常の実験以上のことを用いることなく、記載された発明の具体的な実施形態の多くの同等物を認識するまたは確認できるであろう。そのような同等物は以下の特許請求の範囲に含まれると意図される。
【国際調査報告】