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特表2024-531555アスファルトミックス組成物の調製方法、アスファルトミックス組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】アスファルトミックス組成物の調製方法、アスファルトミックス組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 95/00 20060101AFI20240822BHJP
   C08G 18/64 20060101ALI20240822BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C08L95/00
C08G18/64 076
C08L75/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514065
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2022074537
(87)【国際公開番号】W WO2023031441
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/240,423
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21201650.5
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】サマンサ・オー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・オール
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ル
(72)【発明者】
【氏名】バーニー・ルイス・マロンソン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・レワンドフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデマール・シャッツ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4J002AA01Y
4J002AC03Y
4J002AC06Y
4J002AC08Y
4J002AG00W
4J002BB15Y
4J002BB18Y
4J002BP01Y
4J002CK01X
4J002CK02X
4J002GL00
4J034BA03
4J034EA16
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HB06
4J034HB08
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC44
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034JA32
4J034PA03
4J034RA10
(57)【要約】
本発明は、アスファルトミックス組成物の調製方法であって、(1)アスファルト組成物を110~190℃の範囲の温度に加熱して、第1の入力流を得るステップと;(2)1つ以上の熱硬化性反応性化合物を提供して、第2の入力流を得るステップと;(3)第1のインペラが取り付けられた少なくとも第1のタンク中で(1)および(2)の流れを均質化するステップと、を含み、インペラが、>0.4 m/sの軸方向速度、>0.65 m/sの半径方向速度、および>3.5 s-1のせん断速度を可能にし、(3)の均質化が、<3 W/kgの混合出力で実施される、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルトミックス組成物の調製方法であって、
(1)アスファルト組成物を110~190℃の範囲の温度まで加熱して、第1の入力流を得るステップと;
(2)1つ以上の熱硬化性反応性化合物を提供して、第2の入力流を得るステップと;
(3)第1のインペラが取り付けられた少なくとも第1のタンク中で(1)および(2)の流れを均質化するステップと、を含み、
前記インペラが、>0.4m/sの軸方向速度、>0.65m/sの半径方向速度、および>3.5s-のせん断速度を可能にし;
(3)の均質化が、<3W/kgの混合出力で実施される、方法。
【請求項2】
前記(3)の均質化が、0.1~10時間の範囲の期間にわたって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(3)の均質化が、400~9000rpmの範囲の速度で実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記(1)および(2)の流れを均質化するステップが、前記第1のタンクの上流に位置し、前記第1のタンクと流体連通する第2のインペラが取り付けられた第2のタンク中で生じる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2の入力流が、第1または第2のタンクに同時に供給される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のタンクが、第1のタンクよりも高い混合出力で作動される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2のインペラが、ピッチ付きブレードタービン、フラットブレードタービン、シェブロン、リボン、アンカー、ラシュトンタービン、またはそれらの組合せから互いに独立して選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および/または第2のタンクが、少なくとも1つのバッフルをさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第1および/または第2のインペラが、少なくとも1つの軸流ブレードおよび少なくとも1つの半径流ブレードを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1および/または第2のインペラが、ピッチ付きブレードタービンとフラットブレードタービンとの組合せである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1および/または第2のインペラが、アンカーである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(2)の熱硬化性反応性化合物の総量と前記(1)のアスファルト組成物との重量比が、0.1:99.9~25:75の範囲にある、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記アスファルトミックス組成物中の熱硬化性反応性化合物の総量が、前記ミックス組成物の総重量に基づいて、0.1~10.0重量%である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記熱硬化性反応性化合物が、イソシアネート、エポキシ樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記熱硬化性反応性化合物が、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物から選択される1つ以上の化合物を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記脂肪族イソシアネートが、1,12-ドデカンジイオシアネート、2-エチルテトラメチレンジイソシアネート-1,4、2-メチルペンタメチレンジイソシアネート-1,5、テトラメチレンジイソシアネート-1,4、ヘキサメチレンジイソシアネート-1,6、トリメチルジイソシアネート、テトラメチルジイソシアネート、ペンタメチルジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、ヘプタメチルジイソシアネート、オクタメチルジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン-1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、ブチレン-1,4-ジイソシアネート、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記脂肪族イソシアネートが、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-および/または-2,6-シクロヘキサンジイソシアネートならびに4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の脂環式化合物を含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記芳香族イソシアネートが、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記熱硬化性反応性化合物が、ポリマーMDIであり、前記ポリマーMDI中の4,4’-MDIの総量が、前記熱硬化性反応性化合物の100重量%に基づいて、26~98重量%の範囲にある、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記熱硬化性反応性化合物が、2.1~3.5の平均イソシアネート官能価を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記(1)の流れが、粒状材料をさらに含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記粒状材料が、第1の入力流(1)に導入される前に、110~240℃の範囲で予熱される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記粒状材料が、砂利、再生アスファルト舗装、砂、1つ以上の充填材料、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の粒状材料を含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
(3)で得られた前記アスファルトミックス組成物と前記粒状材料との重量比が、0.5:99.5~25:75の範囲にある、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記(1)のアスファルト組成物が、20~30、30~45、35~50、40~60、50~70、70~100、100~150、160~220、および250~330からなるリストから、より好ましくは30~45、35~50、40~60、50~70、70~100、100~150、および160~220からなるリストから、より好ましくは40~60、50~70、70~100、および100~150からなるリストから選択される針の針入度(needle penetration)を有し、より好ましくは前記(1)のアスファルト組成物が、50~70または70~100の針の針入度を有し、前記針の針入度が、DIN EN 1426に従って決定される、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
(1)のアスファルト組成物が、熱可塑性エラストマー、ラテックス、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物で改質されたビチューメンを含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記熱可塑性エラストマーが、スチレンブタジエンエラストマー(SBE)、スチレンブタジエンスチレン(SBS)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンスチレン(SIS)、スチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS)、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDT)、イソブテンイソプレンコポリマー(IIR)、ポリイソブテン(PIB)、ポリブタジエン(PBD)、ポリイソプレン(PI)、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記(1)のアスファルト組成物が、1つ以上の添加剤を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1から28のいずれか一項に記載の方法に従って得られるか、または得ることができる、アスファルトミックス組成物。
【請求項30】
舗装用途のための、請求項29に記載のアスファルトミックス組成物の使用。
【請求項31】
耐候性用途のための、請求項29に記載のアスファルトミックス組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルトミックス組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルトは、舗装および道路敷設用途に主に使用が見出されるアスファルテンおよびマルテンを含有する材料の黒タール状骨材である。熱可塑性および粘弾性を有するアスファルトは、温度範囲にわたる広い変動性、例えば、寒冷時の亀裂および高温時の軟化を示す。
【0003】
アスファルトの熱安定性を高めるために、熱硬化性反応性化合物、例えば、イソシアネートの導入がアスファルトに導入されている。
【0004】
国際公開第01/30911号パンフレットは、組成物の総重量に基づく重量で、約1~8%のポリマーMDIを含むアスファルト組成物を開示しており、ポリマーMDIは、少なくとも2.5の官能価を有する。本発明はまた、2時間未満の反応時間を使用する前記アスファルト組成物の調製方法に関する。
【0005】
国際公開第01/30912号パンフレットは、アスファルトおよび水に加えて、乳化性ポリイソシアネートを含む水性アスファルト乳剤を開示している。本発明はまた、前記乳剤を含む骨材組成物、および前記組成物を調製する方法に関する。
【0006】
一方、国際公開第2018/228840号パンフレットは、温度範囲にわたってより一定であるという点で改善された物理的特性を示す改善されたアスファルト組成物を開示しており、前記アスファルト組成物は、アスファルトと熱硬化性反応性化合物とを混合し、混合物を少なくとも2.5時間撹拌することを伴う方法によって得られる。
【0007】
前記方法のさらなる改善は、改善された反応器および装置の改質によって実施することができる。ここで、米国再発行特許出願第39289明細書は、アスファルトを製造するための装置および方法を明らかにしている。
【0008】
米国特許第8201986号明細書は、既存のホットミックスアスファルトプラントをデュアルモードのアスファルトプラントに変換することができる可動部のないアスファルトエキスパンダーを備えた、向流回転ドラム装置を備えるウォームミックスアスファルトプラントを明らかにしている。
【0009】
さらに、米国特許第10695769号明細書は、溶解容器、その中に配置されたタンブラー、および少なくとも1つの溶媒分配器を伴う、ビチューメン含有材料の少なくとも一部を再循環させるための装置および関連する方法を明らかにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第01/30911号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/30912号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2018/228840号パンフレット
【特許文献4】米国再発行特許出願第39289号明細書
【特許文献5】米国特許第8201986号明細書
【特許文献6】米国特許第10695769号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
最新技術は、アスファルトミックス組成物を得るためのいくつかの方法を開示しているが、時間およびコスト/エネルギー効率が高い方法に対するニーズは満たされていない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、アスファルト組成物および熱硬化性反応性化合物が、第1のインペラが取り付けられたタンク中で均質化され、インペラが、>0.4 m/sの軸方向速度、>0.65 m/sの半径方向速度、および>3.5 s-1のせん断速度を可能にし;(3)の均質化が、<3 W/kgの混合出力で実施される、以下に記載のアスファルトミックス組成物としての調製方法を提供することによって、上記の目的が満たされることが見出された。具体的に選択されたインペラを伴う前記方法は、混合出力の劇的な減少をもたらし、それにより、低い反応時間を確保しながら、コストおよびエネルギーの必要性の大幅な減少をもたらすことが注目される。
【0013】
したがって、一態様では、現在特許請求されている発明は、アスファルトミックス組成物の調製方法であって、(1)アスファルト組成物を110~190℃の範囲の温度に加熱して、第1の入力流を得るステップと;(2)1つ以上の熱硬化性反応性化合物を提供して、第2の入力流を得るステップと;(3)第1のインペラが取り付けられた少なくとも第1のタンク中で(1)および(2)の流れを均質化するステップと、を含み、インペラが、>0.4 m/sの軸方向速度、>0.65 m/sの半径方向速度、および>3.5 s-1のせん断速度を可能にし、(3)の均質化が、<3 W/kgの混合出力で実施される、方法を対象とする。
【0014】
別の態様では、現在特許請求されている発明は、上述の方法に従って得られるか、または得ることができるアスファルトミックス組成物を対象とする。
【0015】
さらに別の態様では、現在特許請求されている発明は、舗装および耐候性用途のためのアスファルトミックス組成物の使用を対象とする。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明の組成物および配合物を記載する前に、そのような組成物および配合物は当然変化し得るため、本発明は記載される特定の組成物および配合物に限定されないことを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は限定を意図するものではないことも理解されたい。
【0017】
本明細書で使用される「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「からなる(comprising of)」という用語は、「含む(including)」、「含む(includes)」または「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていないメンバー、要素または方法ステップを除外するものではない。本明細書で使用される「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「からなる(comprised of)」という用語は、「からなる(consisting of)」、「からなる(consists)」、および「からなる(consists of)」という用語を含むことが理解されよう。
【0018】
さらに、明細書および特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」、または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」などの用語は、類似の要素間の区別のために使用され、必ずしも連続的または時系列的な順序を記載するためのものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載または例示されている以外の順序でも実施可能であることを理解されたい。「第1」、「第2」、「第3」、または「(A)」、「(B)」、および「(C)」、または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」などの用語が方法または使用またはアッセイのステップに関する場合、ステップ間に時間または時間間隔の一貫性はない。すなわち、ステップは、本出願において本明細書の上記または下記に別段の指示がない限り、このようなステップは同時に実施されてもよく、またはステップ間に秒、分、時間、日、週、月、あるいはさらに年の時間間隔があってもよい。
【0019】
以下の節では、本発明の様々な態様が、より詳細に定義される。そのように定義された各態様は、そうでないことが明確に示されていない限り、あらゆる他の1つ以上の態様と組み合わせてもよい。特に、好ましいまたは有利であると示されたあらゆる特徴は、好ましいまたは有利であると示されたあらゆる他の1つ以上の特徴と組み合わせてもよい。
【0020】
本明細書全体を通して「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所において「一実施形態では(in one embodiment)」または「一実施形態では(in an embodiment)」という語句が出現した場合、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではないが、そうである場合もある。さらに、特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な様式で組み合わせることができる。さらに、当業者には理解されるように、本明細書に記載のいくつかの実施形態には、他の実施形態に含まれる他の特徴ではない特徴がいくつか含まれるが、様々な実施形態の特徴の組合せは本発明の範囲内であり、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれも、あらゆる組合せで使用することができる。
【0021】
さらに、本明細書全体を通して定義される範囲は、終点の値も含む。すなわち「1~10の範囲」または「1~10の間」は、1と10の両方がその範囲に含まれることを意味する。さらに、1.1、1.2などの範囲内に入る非整数値も含まれると見なされる。疑義を避けるため付言すると、出願人は、適用法に従って同等の権利を有するものとする。
【0022】
本特許請求の態様は、アスファルトミックス組成物の調製方法であって、(1)アスファルト組成物を110~190℃の範囲の温度に加熱して、第1の入力流を得るステップと;(2)1つ以上の熱硬化性反応性化合物を提供して、第2の入力流を得るステップと;(3)第1のインペラが取り付けられた少なくとも第1のタンク中で(1)および(2)の流れを均質化するステップと、を含み、インペラが、>0.4 m/sの軸方向速度、>0.65 m/sの半径方向速度、および>3.5 s-1のせん断速度を可能にし、(3)の均質化が、<3 W/kgの混合出力で実施される、方法を対象とする。
【0023】
好ましくは、インペラは、>0.45 m/s、または>0.5 m/s、または>0.6 m/s、またはより好ましくは>0.75 m/sの軸方向速度を可能にする。
【0024】
好ましくは、インペラは、>0.67 m/s、>0.69 m/s、またはより好ましくは>0.7 m/s、または>0.75 m/s、または>1 m/sの半径方向速度を可能にする。
【0025】
好ましくは、インペラは、>3.8 s-1、またはより好ましくは>4.0 s-1または>4.1 s-1または>4.2 s-1のせん断速度を可能にする。
【0026】
好ましくは、(3)の均質化は、<2.9 W/kg、または<3 W/kg、またはより好ましくは<2.5 W/kgの混合出力で実施される。
【0027】
本発明によれば、(1)のアスファルト組成物を110~190℃の範囲の温度に加熱して、第1の入力流を得る。好ましくは、(1)のアスファルト組成物は、120~190℃、または130~190℃、または150~190℃、または175~190℃、より好ましくは180~185℃の範囲の温度に加熱される。好適なアスファルト組成物を以下に記載する。
【0028】
本発明によれば、1つ以上の熱硬化性反応性化合物を提供して、(2)の第2の入力流を得る。好適な熱硬化性反応性化合物を以下に記載する。
【0029】
任意選択で、ヒーターまたは加熱装置は、第1の入力流に入る前にアスファルトを加熱することができるように配置され、かつ/または第1の入力流が加熱されるように配置される。好ましくは、第1の入力流は、連続的または断続的に加熱される。
【0030】
本発明によれば、(1)および(2)の流れを均質化するステップは、第1のインペラが取り付けられた少なくとも第1のタンク中で生じる。好ましくは、(1)および(2)の流れを均質化するステップは、専ら第1のタンク中、または第1のタンクと組み合わせた1つ以上の追加のタンク中のいずれかで生じる。前記1つ以上のタンクは、第1のタンクの上流に位置し、第1のタンクと流体連通している。
【0031】
本発明の1つの好ましい実施形態では、(1)および(2)の流れを均質化するステップは、専ら第1のタンク中で生じる。
【0032】
代替の実施形態では、溶融アスファルトまたは1つ以上の熱硬化性反応性化合物のいずれかが第1のタンク中に既に存在し、他の反応物のための1つの流れのみが供給される。好ましい実施形態では、本明細書で指定されるインペラが取り付けられた第1のタンクは、溶融アスファルトを収容し、1つ以上の熱硬化性反応性化合物を導入するための入力流が提供される。
【0033】
本発明の別の好ましい実施形態では、(1)および(2)の流れを均質化するステップは、第1のタンクと組み合わせて1つ以上の追加のタンク中で生じる。より好ましくは、(1)および(2)の流れを均質化するステップは、第1のタンクの上流に位置し、第1のタンクと流体連通する第2のインペラが取り付けられた第2のタンク中で生じる。
【0034】
好ましくは、(3)の均質化は、20~7000 rpm、または20~3000 rpm、20~1000 rpm、または20~500 rpm、30~350 rpm、または30~250 rpm、または30~200 rpmの範囲の速度で実施される。より好ましくは、(3)の均質化は、40~100 rpmの範囲の速度で実施される。
【0035】
好ましくは、(3)の均質化は、0.1~10時間の範囲の期間にわたって実施される。より好ましくは、(3)の均質化は、0.5~9、または1~8.5の範囲の期間にわたって実施される。さらにより好ましくは、(3)の均質化は、または1.5~8、または1.5~7.5、または1.5~7、または1.5~6.5時間の範囲の期間にわたって実施される。さらにより好ましくは、(3)の均質化は、0.1~6時間の範囲の期間にわたって実施される。
【0036】
好ましくは、(3)の均質化を110~190℃の範囲の温度で行って、第1の入力流を得る。好ましくは、(3)の均質化は、120~190℃、または130~190℃、または150~190℃、または175~190℃、より好ましくは180~185℃の範囲の温度で行われる。
【0037】
好ましくは、第1のタンクの底部から引き出された出力流は、輸送タンカーまたはトラックに導かれる。任意選択で、再循環流は、第1または第2のタンクに接続され、再循環流は、第1のタンクの底部から得られた出力流と流体連通している。再循環は、アスファルトミックス組成物がループを通過するときに追加の混合を可能にし、タンク中での自由な混合を可能にする。好ましくは、再循環流は、第1および第2の入力流とは無関係に第1のタンクに供給される。再循環流速度の比は、入力流速度の最大10%の範囲にある。
【0038】
好ましくは、ポンプは、プラントを通る安定した流れを確実にするように適切に配置される。好ましくは、前記ポンプには、コントローラの流れを確実にするために好適な制御装置が設けられ得る。好ましくは、入力流および出力流の速度を制御するために、流量制御器、例えば、質量流量制御器が好適な点に提供され得る。ここで、ポンプは、作動要件に応じた速度に設定される。
【0039】
好ましくは、第2のタンクは、第1のタンクよりも高い混合出力で作動される。より好ましくは、第2のタンクは、第1のタンクの1.2倍~10倍の混合出力で作動される。さらにより好ましくは、第2のタンクは、第1のタンクの1.5~8.5倍、または1.5~6倍、または1.5~5倍、または1.5~4.5倍、または2~4倍の混合出力で作動される。
【0040】
第1のタンクは、加えられる混合出力に基づいて保持タンクまたは混合タンクとして機能し得る。好ましくは、第1のタンクは、第2のタンクが混合タンクである場合、保持タンクとして機能する。好ましくは、混合出力は、要求に基づいて変化する。
【0041】
好ましくは、第2のタンクは、第1のタンクの容量の2倍~50倍のより高い容積を有する。より好ましくは、第2のタンクは、第1のタンクの5倍~40倍、または10倍~35倍、または15倍~30倍の容量で作動される。
【0042】
第1および第2の入力流は、第1のタンクおよび/または第2のタンク中で均質化される。好ましくは、第1および第2の入力流は、第1のタンクに導入される前に、1つ以上の追加のタンク中で同時に均質化される。より好ましくは、第1および第2の入力流は、第1のタンクに導入される前に第2のタンク中で同時に均質化される。あるいは、第1および第2の入力流は、第1のタンクのみで同時に均質化される。
【0043】
第1および第2の入力流は、第1または第2のタンクに同時にまたは順次供給されてもよい。
【0044】
好ましくは、第1および第2の流れを第1のタンクに直接導入するためにバイパス流が提供される。バイパス流速度の比は、入力流速度の最大10%の範囲にある。
【0045】
好ましくは、第1および/または第2のタンクは、少なくとも1つのバッフルをさらに備える。
【0046】
好ましくは、プロセスは、バッチプロセスまたは連続プロセスとして実施される。より好ましくは、プロセスは、連続プロセスとして実施される。プロセスが連続プロセスとして実施される場合、好ましくは再循環流が用いられる。
【0047】
インペラ
本発明によれば、インペラが、>0.4 m/sの軸方向速度、>0.65 m/sの半径方向速度および>3.5 s-1のせん断速度を可能にする、第1のインペラが取り付けられた少なくとも第1のタンク中の(1)および(2)の流れを均質化するステップ。
【0048】
好ましくは、第1および第2のインペラは、ピッチ付きブレードタービン、フラットブレードタービン、シェブロン、リボン、アンカー、ラシュトンタービンまたはそれらの組合せから選択される。より好ましくは、第1および第2のインペラは、リボン、アンカー、またはピッチ付きブレードタービンとフラットブレードタービンとの組合せから選択される。より好ましくは、第1および第2のインペラは、アンカーである。
【0049】
より好ましくは、第2のインペラは、ピッチ付きブレードタービン、フラットブレードタービン、シェブロン、リボン、アンカー、ラシュトンタービン、ロータステータ、またはそれらの組合せから選択される。さらにより好ましくは、第2のインペラは、ロータステータである。
【0050】
好ましくは、第1および/または第2のインペラは、少なくとも1つの軸流ブレードおよび少なくとも1つの半径流ブレードを備える。より好ましくは、第1および/または第2のインペラは、ピッチ付きブレードタービンとフラットブレードタービンとの組合せである。
【0051】
アスファルト組成物
本発明によれば、方法で用いられるアスファルト組成物は、既知の任意のアスファルトであってもよく、一般に任意の瀝青化合物を包含する。それは、瀝青またはアスファルトと呼ばれる材料のいずれか、例えば、蒸留、ブローン、高真空、およびカットバック瀝青であってよく、また例えばアスファルトコンクリート、キャストアスファルト、アスファルトマスチック、天然アスファルトまたはそれらの混合物であってよい。例えば、80/100または180/200の針入度を有する直接蒸留されたアスファルトを使用することができる。別の実施形態では、アスファルトはフライアッシュを含まなくてもよい。
【0052】
アスファルトの様々な物理的特性は、当技術分野で公知の様々な試験によって測定され、実験の項で詳細に説明される。例えば、弾性応答および回復不可能なクリープコンプライアンス(Jnr)は、アスファルトが一定時間一定の荷重を受ける多重応力クリープ回復(MSCR)試験で計算される。特定の期間の総変形は%で示され、結合剤の弾性の尺度に対応する。さらに、改質結合剤の弾性応答の改善(位相角の減少)を示す位相角を測定することもできる。
【0053】
ベンディング・ビーム・レオメーター(BBR)は、低温でのアスファルトの剛性を決定するために使用され、通常、アスファルトの曲げ剛性を参照する。この試験では、2つのパラメータが決定される:クリープ剛性は、一定の荷重に対する瀝青の抵抗の尺度であり、クリープ速度(またはm値)は、荷重が加えられたときにアスファルト剛性がどのように変化するかの尺度である。クリープ剛性が高すぎると、アスファルトが脆く挙動し、亀裂が発生しやすくなる。温度変化および熱応力が蓄積するので、剛性は比較的急速に変化するため、高いm値が望ましい。高いm値は、アスファルトが、そうでなければ低温割れが発生し得るレベルまで蓄積する応力を分散させる傾向があることを示す。
【0054】
アスファルトの様々な特性は、当業者に知られている標準的な技術を使用して決定することができる。例えば、軟化点はDIN EN 1427に準拠し、ローリング薄膜オーブン(RTFO)試験は、DIN EN 12607-1に準拠して決定することができ、動的せん断レオメーター(DSR)はDIN EN 14770-ASTM D7175に準拠し、多重応力クリープ回復(MSCR)試験はDIN EN 16659-ASTM D7405に準拠し、ベンディング・ビーム・レオメーターはDIN EN 14771-ASTM D6648に準拠して決定することができる。
【0055】
本発明によれば、アスファルトは、好ましくは20~30、30~45、35~50、40~60、50~70、70~100、100~150、160~220、250~330または300~400から選択される針入度(penetration)、かつ/あるいは52~16、52~22、52~28、52~34、52~40、58~16、58~22、58~28、58~34、58~40、64~16、64~22、64~28、64~34、64~40、67~22、70~16、70~22、70~28、70~34、70~40、76~16、76~22、76~28、76~34または76~40から選択される性能グレードを有する。より好ましくは、針入度は、70~100、100~150、160~220、250~330または300~400から選択され、かつ/あるいは性能グレードは、52~16、52~22、52~28、52~34、52~40、58~16、58~22、58~28、58~34、58~40、64~16、64~22、64~28、64~34、67~22、70~16、70~22、70~28、76~16、76~22、76~28、76~34または76~40から選択される。さらにより好ましくは、針入度は、100~150、160~220、250~330、または300~400から選択され、かつ/あるいは性能グレードは、52~16、52~22、52~28、52~34、52~40、58~16、58~22、58~28、58~34、64~16、64~22、64~28、67~22、70~16、70~22、76~16、または76~22から選択される。さらにより好ましくは、針入度は、100~150、160~220、250~330、または300~400から選択され、かつ/あるいは性能グレードは、58~28、58~34、64~16、64~22、64~28、67~22、70~16、70~22、76~16、または76~22から選択される。最も好ましくは、アスファルトは、70~16、70~22、64~16、67~22、または64~22から選択される性能グレードを有する。AASHTO-M320は、性能等級付きアスファルトの標準仕様を記載しており、AASHTO-M20は針入度グレードを記載している。
【0056】
一般に、様々な供給業者からのアスファルトは、原油がどの貯留層から来たのか、また製油所での蒸留プロセスに応じて、その組成が異なる。ただし、反応性基の累積総量は、3.1~4.5 mg KOH/gの範囲内であることが好ましい。例えば、針入度指数が50~70または70~100のアスファルトは、pMDIの化学量論量が0.8重量%~1.2重量%になる。アスファルト組成物の調製中の高温下でのアスファルトの酸化感受性のため、新たに形成された官能基と反応させるために、さらに過剰のイソシアネートが使用される。
【0057】
熱硬化性反応性化合物
本発明によれば、1つ以上の熱硬化性反応性化合物を提供して、(2)の第2の入力流を得る。
【0058】
好ましくは、熱硬化性反応性化合物は、イソシアネート、エポキシ樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0059】
好ましくは、組成物中の熱硬化性反応性化合物の総量は、組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%である。
【0060】
一般に、熱硬化性反応性化合物を使用してアスファルトを改質することにより、異なる物理的特性に関する性能を改善することができ、例えば弾性応答の向上を達成することができる。
【0061】
理論に束縛されるものではないが、熱硬化性反応性化合物は、アスファルト組成物中の異なる分子種と化学的に反応して、コロイド構造の特定の形態を生成すると考えられる。そのようにして得られたアスファルトミックス組成物では、アスファルトの物理的特性は、広範囲の温度にわたってより一定のままであり、かつ/またはアスファルトミックス組成物が供される温度範囲にわたって改善さえされる。
【0062】
好ましくは、熱硬化性反応性化合物は、イソシアネートである。一般に、1または複数のイソシアネートは、モノマー形態、ポリマー形態、またはモノマー形態とポリマー形態の混合物として存在することができる。「ポリマー」という用語は、二量体、三量体、高級同族体および/またはオリゴマーを含む、脂肪族、芳香族イソシアネートまたはそれらの混合物のポリマーグレードを指す。
【0063】
好ましくは、イソシアネートは、本発明のアスファルトミックス組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の1~100重量%の量である。より好ましくは、イソシアネートは、アスファルトミックス組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の10~100重量%の量である。さらにより好ましくは、イソシアネートは、アスファルトミックス組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の30~100重量%の量である。
【0064】
好ましくは、1または複数のイソシアネートは、少なくとも2.0、または少なくとも2.3、または少なくとも2.5、または少なくとも2.7の官能価を有する。より好ましくは、1または複数のイソシアネートは、2.3~4.5、または2.5~4.3、または2.5~4.0の範囲の官能価を有する。
【0065】
好ましくは、1または複数のイソシアネートは、変性および/または未変性イソシアネートから選択される。
【0066】
未変性イソシアネートは、好ましくは芳香族および/または脂肪族未変性イソシアネートから選択される。
【0067】
好ましくは、イソシアネートは、変性または未変性芳香族イソシアネートである。芳香族イソシアネートには、2つ以上のイソシアネート基が芳香環に直接および/または間接的に結合しているものが含まれる。芳香族イソシアネートは、モノマー形態、ポリマー形態、またはモノマー形態とポリマー形態の混合物であり得る。
【0068】
好ましい未変性芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマーMDI、トルエンジイソシアネート、ポリマートルエンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート;1,5-ナフタレンジイソシアネート;1,3-フェニレンジイソシアネート;2,4,6-トルイレン(toluylene)トリイソシアネート、1,3-ジイソプロピルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1-メチル-3,5-ジエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリイソプロプリ(triisoproply)-フェニレン-2,4-ジイソシアネート;3,3’-ジエチル-ビスフェニル-4,4’-ジイソシアネート;3,5,3’,5’-テトラエチル-ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;3,5,3’,5’-テトライソプロピルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;1-エチル-4-エトキシ-フェニル-2,5-ジイソシアネート;1,3,5-トリエチルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート;1-エチル-3,5-ジイソプロピルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、および1,3,5-トリイソプロピルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。一実施形態では、モノマー混合物(その異性体を含む)および/またはポリマーグレードの上記芳香族イソシアネートを熱硬化性反応性化合物として使用することもできる。
【0069】
より好ましい未変性芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマーMDI、トルエンジイソシアネート、ポリマートルエンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート;1,5-ナフタレンジイソシアネート;1,3-フェニレンジイソシアネート;2,4,6-トルイレン(toluylene)トリイソシアネート、1,3-ジイソプロピルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1-メチル-3,5-ジエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリイソプロプリ(triisoproply)-フェニレン-2,4-ジイソシアネート;3,3’-ジエチル-ビスフェニル-4,4’-ジイソシアネート;および3,5,3’,5’-テトラエチル-ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。
【0070】
さらにより好ましい未変性芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(モノマーMDI)、ポリマーMDI、トルエンジイソシアネート、ポリマートルエンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート;1,5-ナフタレンジイソシアネート;1,3-フェニレンジイソシアネート;および2,4,6-トルイレン(toluylene)トリイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。
【0071】
さらにより好ましい未変性芳香族イソシアネートは、モノマーMDI、ポリマーMDI、トルエンジイソシアネート、ポリマートルエンジイソシアネート、および1,5-ナフタレンジイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。
【0072】
さらにより好ましい未変性芳香族イソシアネートは、モノマーMDIおよび/またはポリマーMDIである。モノマーMDIは、好ましくは、4,4’-MDI、2,2’-MDIおよび2,4’-MDI、または上記の2以上の組合せから選択することができる。
【0073】
好ましい実施形態では、1または複数の未変性芳香族イソシアネートはポリマーMDIである。好ましくは、ポリマーMDIは、様々な量の異性体、例えば4,4’-、2,2’-および2,4’-MDIを含み得る。4,4’MDI異性体の量は、異性体に対して26重量%から98重量%、または30重量%から95重量%、または35重量%から92重量%である。より好ましくは、ポリマーMDIの2環含有量は、異性体に対して20%~62%、または26%~48%、または26%~42%である。
【0074】
一般に、ポリマーMDIまたはpMDIの純度はいかなる値にも限定されない。好ましくは、本発明に従って使用されるpMDIは、ポリマーMDIの総量に基づいて、1~100 ppm、または1~70 ppm、または1~80 ppm、または1~60 ppmの鉄含有量を有する。
【0075】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるpMDIは、pMDIの総重量に基づいて、22~40重量%、または25~37重量%、または28~35重量%、または30~33重量%の範囲のNCO含有量を有する。
【0076】
別の好ましい実施形態では、pMDIは、アスファルトミックス組成物の総重量に基づいて、0.1~10重量%、または0.1重量%~9.5重量%、または0.1重量%~9.0重量%、または0.1重量%~8.5重量%、または0.1重量%~8.0重量%、または0.1重量%~7.5重量%、または0.1重量%~7.0重量%で存在する。
【0077】
好ましくは、pMDIは、少なくとも2.3、または少なくとも2.5、または少なくとも2.7の官能価を有する。より好ましくは、pMDIは、2.3~4.5、または2.5~4.3、または2.5~4.0の範囲の官能価を有する。
【0078】
好ましくは、イソシアネートは、変性または未変性脂肪族イソシアネートである。脂肪族イソシアネートは、モノマー形態、ポリマー形態、またはモノマー形態とポリマー形態の混合物であり得る。
【0079】
好ましい未変性脂肪族イソシアネートは、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、1,2-、1,3-または1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、2,4-または2,6メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-または2,4’-ジシクロヘキシルジイソシアネート、1,3,5-シクロヘキサントリイソシアネート、イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート、イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-または2,4’-ビス(イソシアナト-メチル)ジシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジイソシアナトジシクロ-ヘキシルメタン(H12MDI)、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。
【0080】
より好ましい未変性脂肪族イソシアネートは、2,4-または2,6メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-または2,4’-ジシクロヘキシルジイソシアネート、1,3,5-シクロヘキサントリイソシアネート、イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート、イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-または2,4’-ビス(イソシアナト-メチル)ジシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジイソシアナトジシクロ-ヘキシルメタン(H12MDI)、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。
【0081】
さらにより好ましい未変性脂肪族イソシアネートは、4,4’-または2,4’-ビス(イソシアナト-メチル)ジシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジイソシアナトジシクロ-ヘキシルメタン(H12MDI)、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、および2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネートである。さらにより好ましくは、脂肪族イソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジイソシアナトジシクロ-ヘキシルメタン(H12MDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、または上記の2以上の組合せから選択される。
【0082】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物は、未変性イソシアネートであり、イソシアネートの総量は、アスファルトミックス組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の1~100重量%、または10~99重量%、または30~99重量%になる。
【0083】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物は、未変性芳香族または脂肪族イソシアネートであり、イソシアネートの総量は、アスファルトミックス組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の1~100重量%、または10~99重量%、または30~99重量%になる。
【0084】
変性イソシアネート、特に変性モノマーMDIは、好適な熱硬化性反応性化合物として変性されたプレポリマー、ウレトンイミンおよびカルボジイミドから選択することができる。
【0085】
変性イソシアネートは、好ましくは芳香族および/または脂肪族の変性イソシアネートから選択される。
【0086】
好ましい変性芳香族イソシアネートは、カルボジイミド変性モノマーMDI、ウレトンイミン変性モノマーMDI、またはそれらの組合せである。
【0087】
より好ましい1または複数の芳香族イソシアネートは、カルボジイミド変性モノマーMDIである。
【0088】
好ましい実施形態では、カルボジイミド変性モノマーMDIは、65重量%~85重量%の4,4’-MDIと15重量%~35重量%のカルボジイミドを含み、前記重量%は、カルボジイミド変性モノマーMDIの総重量に基づく。
【0089】
別の好ましい実施形態では、カルボジイミド変性モノマーMDI中の4,4’-MDIの量は、70重量%~80重量%の範囲内であり、カルボジイミドの量は、20重量%~30重量%の範囲内である。
【0090】
別の好ましい実施形態では、ポリマーMDIまたはpMDIは、カルボジイミド基、ウレトンイミン基、イソシアヌレート基、ウレタン基、アロファネート基、尿素基またはビウレット基を含有する修飾変異体を含んでいてもよい。以下では、これらすべてをpMDIと呼ぶ。
【0091】
さらに別の好ましい実施形態では、モノマーMDIは、少なくとも2.0、または少なくとも2.1、または少なくとも2.15、例えば2.2、2.3または2.4の官能価を有する。より好ましくは、モノマーMDIは、2.3~4.5、または2.5~4.3、または2.5~4.0の範囲の官能価を有する。以下では、これらすべてをモノマーMDIと呼ぶ。
【0092】
好ましくは、イソシアネートは、変性脂肪族イソシアネートである。変性脂肪族イソシアネートは当技術分野で公知である。用途に応じて、それらは、1以上の上記1または複数の未変性脂肪族イソシアネートを適切な1または複数の反応性基と反応させることを含む周知の方法によって得ることができる。
【0093】
より好ましい変性脂肪族イソシアネートは、ビウレット変性HDIである。
【0094】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物は、変性イソシアネートであり、イソシアネートの総量は、アスファルトミックス組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の1~100重量%、または10~99重量%、または30~99重量%になる。
【0095】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物は、変性芳香族または脂肪族イソシアネートであり、イソシアネートの総量は、アスファルトミックス組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の1~100重量%、または10~99重量%、または30~99重量%になる。
【0096】
上記のように、熱硬化性反応性化合物は主にイソシアネートである。しかしながら、任意選択で、イソシアネートとは異なる熱硬化性反応性化合物がアスファルトミックス組成物中に存在する可能性もある。好ましくは、熱硬化性反応性化合物は、エポキシ樹脂および/またはメラミンホルムアルデヒド樹脂から選択される。そのような場合、熱硬化性反応性化合物中のイソシアネートの最小総量は、アスファルトミックス組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、または10重量%、または20重量%、または30重量%または40重量%または50重量%または60重量%または70重量%、または80重量%、または85重量%、または88重量%、または90重量%、92重量%または94重量%または96重量%、または98重量%、99重量%である。そのような場合、熱硬化性反応性化合物中のイソシアネートの最大総量は、アスファルトミックス組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の総重量に基づいて、多くとも99.9重量%、または98重量%、または97重量%、または95重量%または92重量%または90重量%または85重量%または80重量%、または70である。好ましくは、熱硬化性反応性化合物中のイソシアンテート(isocyantates)の総量は、アスファルトミックス組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の総重量に基づいて、1~99.9重量%、または10~99重量%、または30~99重量%の範囲である。
【0097】
適切なエポキシ樹脂は当技術分野で公知であり、本発明に従って使用されるエポキシ樹脂の化学的性質は特に限定されない。好ましい実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAビスグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールFビスグリシジルエーテル、環水素化ビスフェノールAビスグリシジルエーテル、環水素化ビスフェノールFビスグリシジルエーテル、ビスフェノールSビスグリシジルエーテル(DGEBS)、テトラグリシジルメチレンジアニリン(TGMDA)、エポキシノボラック(エピクロロヒドリンとフェノール樹脂(ノボラック)の反応生成物)、脂環式エポキシ樹脂、例えば3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびジグリシジルヘキサヒドロフタレートなどから選択される1以上の芳香族エポキシ樹脂および/または脂環式エポキシ樹脂である。好ましくは、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAビスグリシジルエーテルおよび/またはビスフェノールFビスグリシジルエーテルならびにこれら2つのエポキシ樹脂の混合物から選択され得る。
【0098】
適切なメラミンホルムアルデヒド樹脂は当技術分野で公知であり、主にメラミンとホルムアルデヒドの縮合生成物である。所望の用途に応じて、例えば多価アルコールとの反応によってこれらを変性させることができる。本発明に従って使用されるメラミンホルムアルデヒド樹脂の化学的性質は特に限定されない。好ましい実施形態では、メラミンホルムアルデヒド樹脂は、樹脂含有量が水性メラミン樹脂混合物に基づいて50重量%~70重量%の範囲である水性メラミン樹脂混合物に関し、樹脂中に存在するメラミンとホルムアルデヒドのモル比は1:3~1:1、または1:1.3~1:2.0、または1:1.5~1:1.7の範囲である。
【0099】
メラミンホルムアルデヒド樹脂は、多価アルコール、例えばC2~C12ジオールを、1.0重量%~10.0重量%、または3.0重量%~6.0重量%の量で含有していてもよい。適切なC2~C12ジオールは、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオールおよび/またはヘキサンジオールから選択することができる。
【0100】
さらなる添加剤として、メラミンホルムアルデヒド樹脂は、それぞれ水性メラミン樹脂混合物に基づいて0重量%~8.0重量%のカプロラクタムと、0.5重量%~10重量%の、平均分子量が200 g/mol~1500 g/molの2-(2-フェノキシエトキシ)-エタノールおよび/またはポリエチレングリコールを含むことができる。
【0101】
好ましくは、熱硬化性反応性化合物は、アスファルトミックス組成物の総重量に基づいて、0.1~10.0重量%の量で存在する。熱硬化性反応性化合物は、組成物の総重量に基づいて総量0.1~10.0重量%で存在する。ここで、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物がイソシアネートであると、驚くことに、アスファルトミックス組成物のASTM D312に概説されているような屋根ふき用途の基準の順守が確実になる。
【0102】
より好ましくは、熱硬化性反応性化合物は、0.1重量%~9.5重量%、または0.1重量%~9.0重量%、または0.1重量%~8.5重量%、または0.1重量%~8.0重量%、または0.1重量%~7.5重量%、または0.1重量%~7.0重量%で存在する。別の実施形態では、熱硬化性反応性化合物は、0.1重量%~6.5重量%、0.1重量%~6.0重量%、または0.1重量%~5.0重量%、または0.1重量%~5.5重量%、または0.1重量%~4.5重量%、または0.1重量%~4.0重量%、または0.1重量%~3.5重量%で存在する。さらに別の実施形態では、それは0.1重量%~3.0重量%、または0.5重量%~5.0重量%、または0.5重量%~3.0重量%、または1.0重量%~5.0重量%、または1.0重量%~4.5重量%、または1.0重量%~4.0重量%、または1.5重量%~4.0重量%、または1.0重量%~3.0重量%で存在する。
【0103】
好ましい実施形態では、(1)のアスファルト組成物は、ポリマーをさらに含んでもよい。本発明による適切なポリマーは、スチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBS)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ネオプレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレン、エチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマー、エチルビニルアセテート(EVA)およびポリリン酸(PPA)から選択される。
【0104】
スチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBS)は当技術分野で公知である。SBSは、スチレンとブタジエンの2種類のモノマーから作製された熱可塑性エラストマーである。したがって、SBSは、プラスチックの特性とゴムの特性を同時に示す。これらの特性により、アスファルト改質剤および接着剤としての使用をはじめとする様々な分野で広く使用されている。SBSコポリマーは、ゴム中心ブロックと2つのポリスチレン末端ブロックを有するブロックコポリマーをベースにしており、トリブロックコポリマーA-B-Aとも呼ばれる。SBSエラストマーは、熱可塑性樹脂の特性とブタジエンゴムの特性とを併せ持つ。硬質でガラス質のスチレンブロックは機械的強度を提供し、耐摩耗性を向上させる。一方、ゴムの中間ブロックは可撓性および靭性を提供する。SBSゴムは、その性能を高めるために他のポリマーとブレンドされることが多い。多くの場合、コストを下げたり、特性をさらに変更するために、油および充填剤が添加される。これらの熱可塑性物質の様々な特性は、様々な分子量からAおよびBを選択することによって得ることができる。
【0105】
(1)のアスファルト組成物と適合するものであれば、既知のSBSコポリマーのいずれも使用することができる。適切なSBSコポリマーは、その構造に限定されず、分枝状であっても直鎖状であってもよい。好適なSBSコポリマーのスチレン含有量は特に限定されない。一実施形態では、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)コポリマーのスチレン含有量は、ポリマーの総重量に基づいて10重量%~50重量%、あるいはポリマーの総重量に基づいて15重量%~45重量%、または20重量%~42重量%、または22重量%、または23重量%、または26重量%、または28重量%、または30重量%、または32重量%、または34重量%、または36重量%、または38重量%、または39重量%である。「スチレン含有量」という用語は、SBSポリマーに重合されたスチレンの量を指す。
【0106】
好ましくは、SBSコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して、10,000 g/mol~1,000,000 g/mol、または30,000 g/mol~300,000 g/mol、または70,000 g/mol~300,000 g/mol、または75,000 g/mol~210,000 g/molの範囲内である。
【0107】
適切なスチレン-ブタジエンまたはスチレン-ブタジエンゴム(SBR)は当技術分野で公知であり、スチレンおよびブタジエンから誘導される合成ゴムのファミリーとして記載されている。スチレン/ブタジエン比は、ポリマーの特性に影響を及ぼす。スチレン含有量が高いと、ゴムは硬くなり、ゴム状ではなくなる。一般に、(1)のアスファルト組成物と適合するものであれば、既知のSBRコポリマーのいずれも使用することができる。適切なSBRコポリマーは、その構造に限定されず、分枝状であっても直鎖状であってもよい。好適なSBRコポリマーのスチレン含有量は特に限定されない。一実施形態では、SBRコポリマーのスチレン含有量は、ポリマーの総重量に基づいて10重量%~50重量%、あるいはポリマーの総重量に基づいて15重量%~45重量%、または20重量%~42重量%、または22重量%、または23重量%、または26重量%、または28重量%、または30重量%、または32重量%、または34重量%、または36重量%、または38重量%、または39重量%である。
【0108】
好ましくは、SBRコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して、10,000 g/mol~500,000 g/mol、または50,000 g/mol~250,000 g/mol、または70,000 g/mol~150,000 g/mol、または75,000 g/mol~135,000 g/molの範囲内である。
【0109】
一般に、ネオプレンは当技術分野で公知であり、クロロプレンから合成されたポリマーの総称である。それはラテックスの形で供給される場合が多い。それは、乳化重合によって調製されたクロロプレンポリマーのコロイド分散液であってもよい。ネオプレン構造は極めて規則的であるが、その結晶化傾向は重合温度を変えることによって制御することができる。最終ポリマーは、クロロプレンのトランス1,4付加重合から誘導されるトランス-3-クロロ-2-ブチレン単位の直鎖配列で構成される。
【0110】
既知のネオプレンのいずれも使用することができるが、アスファルトと適合することを条件とする。一実施形態では、ネオプレンラテックスが使用される。適切なネオプレンラテックスの固形分は、ラテックスの総重量に基づいて30重量%~60重量%、または30重量%~60重量%、または30重量%~60重量%である。
【0111】
適切なポリエチレンおよびポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、ならびに変性ポリエチレンおよびポリプロピレンポリマー、例えば低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンは当技術分野で公知であり、それぞれのモノマーに基づくポリマー/コポリマーのファミリーとして記載されている。分子量および結晶化度は、これらのポリマーの特性に大きく影響する。ポリエチレンおよびポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、ならびに高レベルの構造化を有する修飾ポリエチレンおよびポリプロピレンポリマーは、高い引張強さを示すが、破損前に変形する能力はほとんどない。構造化の程度が低いと、材料の流動能力が増加する。例えば、ポリエチレンは、パラフィン系材料に典型的であるように、ほとんどの溶媒と比較的反応しない。分子量および結晶化度に加えて、密度も、それぞれのポリマーの特性に大きな影響を及ぼす。これは、密度が低いほど分子の充填が少なく、したがって構造化の程度が低いためである。低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンは、一般に、ASTM D792に従って測定して、それぞれ約0.915~0.94および約0.96の比重を有するものとして定義される。また、コポリマーとして組み込まれた変性剤は、例えばポリエチレンなどの未変性ポリマーの結晶性を破壊するために使用され、これにより、より弾性のある非晶質添加剤が得られる。アスファルトミックス組成物内のこれらのポリマーの機能は、ネットワークを形成することではなく、マトリックス内にプラスチック含有物を提供することである。低温では、これらの含有物は、亀裂の伝播を抑制することによって熱亀裂に対する結合剤の耐性を直接改善することを意図している。高温では、粒子含有物は、結合剤の粘度を高め、したがって混合物のわだち掘れに対する耐性を高めるはずである。
【0112】
(1)のアスファルト組成物と適合するものであれば、既知のポリエチレンおよびポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、ならびに変性ポリエチレンおよびポリプロピレンポリマーのいずれもアスファルトミックス組成物に使用することができる。ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンなどの適切なポリマーは、それらの分子量において特に限定されない。好ましくは、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンはそれぞれ、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して、800 g/mol~50,000 g/mol、または1000 g/mol~45,000 g/mol、または2000 g/mol~42,000 g/mol、または1,000 g/mol~5,000 g/mol、または5,000 g/mol~約10,000 g/mol、または10,000 g/mol~20,000 g/mol、または20,000 g/mol~30,000 g/mol、または30,000 g/mol~40,000 g/mol、または40,000 g/mol~約50,000 g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する。そのようなポリマーは、アスファルトミックス組成物中のプラストマーとして使用され得る。
【0113】
さらに、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンなどの適切なポリマーは、それらの結晶化度において特に限定されない。一実施形態では、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンはそれぞれ、記載されているポリマーの総重量に基づいて50%を超える、または52%~99%、または55%~90%の範囲の結晶化度を有する。前記ポリマーの結晶化度は、当技術分野で公知の技術である示差走査熱量測定(DSC)によって求められる。
【0114】
また、複合ポリエチレンコポリマーは、例えば3つの異なるモノマーに基づくエチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマーとして当技術分野で公知である。このコポリマーのファミリーは、可撓性および靭性を改善する可塑剤樹脂として知られている。例えば、これらのコポリマーは、Elvaloy(登録商標)ターポリマーの名称でDuPontから市販されている。
【0115】
(1)のアスファルト組成物と適合するものであれば、公知のエチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマーのいずれもアスファルトミックス組成物に使用することができる。エチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマーなどの適切なポリマーは、その分子量において特に限定されない。好ましくは、エチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して、800 g/mol~150,000 g/mol、または1500 g/mol~120,000 g/mol、または5000 g/mol~90,000 g/molである。
【0116】
適切なエチレンおよびビニルアセテートコポリマー(EVA)は当技術分野で公知であり、それぞれのモノマーに基づくコポリマーのファミリーとして記載されている。酢酸ビニルの含有は、エチレン構造の結晶化度を低下させ、プラストマーを(1)のアスファルト組成物との適合性を高めるために使用される。30パーセント酢酸ビニルを有するコポリマーは、トルエンおよびベンゼンに可溶な可撓性樹脂として分類される。酢酸ビニルの比率を45パーセントまで高めると、得られる生成物はゴム状となり加硫することができる。
【0117】
公知のEVAコポリマーのいずれも使用することができるが、(1)のアスファルト組成物と適合することを条件とする。適切なEVAコポリマーは、その構造に限定されず、分枝状であっても直鎖状であってもよく、好ましくはEVAコポリマーは直鎖状である。好適なEVAコポリマーの酢酸ビニル含有量は特に限定されない。好ましくは、EVAコポリマーの酢酸ビニル含有量は、ポリマーの総重量に基づいて、20重量%~60重量%、または25重量%~50重量%、または30重量%~45重量%である。
【0118】
一般に、ポリリン酸(PPA)は当技術分野で公知であり、一般式(Hn+2PnO3n+1)のオルトリン酸(H3PO4)のポリマーである。ポリリン酸は、オルトリン酸とピロリン酸、三リン酸およびそれより高い酸との混合物であり、H3PO4の計算された含有量に基づいて特徴付けられることが多い。スーパーリン酸は、H3PO4の含有量が異なる同様の混合物であり、本発明の文脈においてPPAの定義に含めることができる。一般に、アスファルトと適合するものであれば、既知のポリリン酸のいずれも使用することができる。本発明による適切なポリリン酸は、オルトリン酸とピロリン酸、三リン酸およびそれ以上の酸との構造および組成に限定されず、好ましくはPPAは水を含まない。一実施形態では、ポリリン酸(PPA)は、100%~120%、または103%~118%、または104%~117%の計算されたH3PO4含有量を有する。
【0119】
ポリリン酸は、例えば製品の軟化点を上昇させるために、(1)のアスファルト組成物の追加の添加剤として従来の量で使用することができる。リン酸は、異なる形態のリン酸の混合物をはじめとする任意の適切な形態で提供することができる。例えば、リン酸のいくつかの適切な異なる形態としては、リン酸、ポリリン酸、スーパーリン酸、ピロリン酸および三リン酸が挙げられる。
【0120】
好ましくは、(1)の流れは、粒状材料をさらに含む。
【0121】
より好ましくは、粒状材料は、砂利、再生アスファルト舗装、砂、1つ以上の充填材料、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の粒状材料を含む。
【0122】
好ましくは、粒状材料は、第1の入力流(1)に導入される前に、110~240℃の範囲で予熱される。
【0123】
好ましくは、(3)で得られたアスファルトミックス組成物と粒状材料との重量比は、0.5:99.5~25:75の範囲にある。
【0124】
それぞれの用途に応じてアスファルトミックス組成物の特性を適合させるために、当技術分野で公知のさらなる任意の添加剤を本発明による(1)のアスファルト組成物に添加してもよい。添加剤は、例えばワックスであってもよい。アスファルト結合剤組成物中の追加の添加剤として使用される場合、これらのワックスは、官能化または合成ワックス、または天然ワックスであってもよい。さらに、ワックスは酸化されていてもよいし、酸化されていなくてもよい。合成ワックスの非排他的な例としては、エチレンビスステアラミド(EBS)、フィッシャー・トロプシュワックス(FT)、酸化フィッシャー・トロプシュワックス(FTO)、ポリオレフィンワックス、例えばポリエチレンワックス(PE)、酸化ポリエチレンワックス(OxPE)、ポリプロピレンワックス、ポリプロピレン/ポリエチレンワックスアルコールワックス、シリコーンワックス、石油ワックス、例えばマイクロクリスタリンワックスまたはパラフィン、およびその他の合成ワックスが挙げられる。官能化されたワックスの非排他的な例としては、アミンワックス、アミドワックス、エステルワックス、カルボン酸ワックス、およびマイクロクリスタリンワックスが挙げられる。天然に存在するワックスは、植物、動物、または鉱物、または他の供給源に由来し得る。天然ワックスの非排他的な例には、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、木蝋およびホホバ油などの植物ワックス;蜜ろう、ラノリンおよび鯨蝋などの動物ワックス;および、モンタンワックス、オゾケライト(ozokerit)およびセレシンなどのミネラルワックスが挙げられる。前述のワックスの混合物も適しており、例えば、ワックスには、フィッシャー・トロプシュ(FT)ワックスとポリエチレンワックスとのブレンドが含まれていてもよい。
【0125】
可塑剤はまた、アスファルトミックス組成物の可塑性または流動性を高めるために、追加の添加剤として従来の量で使用されてもよい。適切な可塑剤としては、他の可塑剤の中でも、炭化水素油(例えば、パラフィン、芳香族およびナフテン油)、長鎖 炭素ジエステル(例えば、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル、およびアジピン酸ジオクチルなどのアジピン酸エステル)、セバシン酸エステル、グリコール、脂肪酸、リン酸エステルおよびステアリン酸エステル、エポキシ可塑剤(例えば、エポキシ化ダイズ油)、ポリエーテルおよびポリエステル可塑剤、アルキルモノエステル(例えば、オレイン酸ブチル)、長鎖部分エーテルエステル(例えば、オレイン酸ブチルセロソルブ)が挙げられる。
【0126】
酸化防止剤は、アスファルト結合剤組成物の追加の添加剤として、これらの材料の強度および柔軟性の損失を引き起こすポリマーの酸化分解を防止するために、従来の量で使用することができる。
【0127】
任意選択の添加剤に関する従来の量は、(1)のアスファルト組成物の総量に基づいて、0.1重量%~5.0重量%の範囲にある。
【0128】
耐候性用途などの特定の用途への適合性を識別するには、様々なパラメータが重要である。アスファルトミックス組成物の特性、例えば、有用な温度間隔の増加、弾性応答の増加、良好な接着性および定格加重の増加、ならびに恒久的なアスファルト変形の可能性の低下は、特定の沈降係数を有する粒子濃度に依存する可能性があり、これは、対応する組成物の粒子サイズに直接相関する。本発明によれば、アスファルトミックス組成物は、ホワイトスピリット溶媒中で5000 Svedを超える沈降係数を有する組成物粒子の総重量に基づいて、少なくとも18重量%を有する。
【0129】
好ましくは、アスファルトミックス組成物は、ホワイトスピリット溶媒中で5000 Svedを超える沈降係数を有する組成物粒子の総重量に基づいて、少なくとも20重量%、または少なくとも23重量%を有する。ホワイトスピリット溶媒中で5000 Svedを超える沈降係数を有するこれらの粒子は、組成物の総重量に基づいて、99.9重量%まで、または組成物の総重量に基づいて95重量%未満、または90重量%未満、または80重量%未満であり得る。例えば、ホワイトスピリット溶媒中で15000~170000 Svedの範囲の沈降係数を有する組成物粒子の総重量に基づいて18%~75重量%、またはホワイトスピリット溶媒中で25000~140000 Svedの範囲の沈降係数を有する組成物粒子の総重量に基づいて23%~65重量%、またはホワイトスピリット溶媒中で22000~95000 Svedの範囲の沈降係数を有する組成物粒子の総重量に基づいて30%~52重量%。
【0130】
本文脈において、ホワイトスピリット溶媒は、18%の芳香族ベースと180℃~220℃の沸点を有する、CAS番号:64742~82-1を有するホワイトスピリット高沸点石油を指す。沈降係数は、吸収光学デバイスと組み合わせた超遠心分離によって検出することができる。各成分の沈降および濃度は、350 nmの波長で測定される。アスファルトミックス組成物中の粒子を決定するための例示的な測定技術を以下に記載する。
【0131】
アスファルトミックス組成物中の粒子の決定は、分析的超遠心分離を用いた分別実験によって実施される。Beckman Optima XL-I(Beckman Instruments、Palo Alto、米国)を使用して沈降速度分析を行うことができる。一体型走査UV/VIS吸光度光学系が使用される。350 nmの波長を選択し、サンプルをホワイトスピリット溶媒(CAS番号:64742-82-1)で希釈後、約0.2 g/lの濃度で測定する。可溶性部分および不溶性部分を検出するために、遠心分離速度を1000 rpmから55,000 rpmまで変化させる。sとs+dsの間の沈降係数を有する種の重量分率として定義される沈降係数の分布、および1つの沈降画分の濃度は、標準的な分析ソフトウェア(例えばSEDFIT)を使用して決定される。半径方向濃度プロファイル全体の経時変化が記録され、沈降係数g(s)の分布に変換される。沈降係数の単位は、Sved(1 Sved=10~13秒)である。アスファルトミックス組成物中の粒子は、使用波長での高速および低速沈降画分の光吸収を定量することによって決定される。
【0132】
使用
さらに別の態様では、現在特許請求されている発明は、舗装用途のためのアスファルトミックス組成物の使用を対象とする。
【0133】
さらに別の態様では、現在特許請求されている発明は、耐候性用途のためのアスファルトミックス組成物の使用を対象とする。
【0134】
好ましくは、耐候性用途は屋根ふき用途である。
【0135】
耐候性用途に使用するための(1)のアスファルト組成物は、耐候性材料を形成するために、適切な周知の添加剤、例えば、充填剤、結合剤、防腐剤、顔料で再配合されることが好ましい。前記材料は、好ましくは
-塗料およびコーティング、特に防水用、
-接合部を充填し、亀裂を封止するためのマスチック、
-道路、飛行場、スポーツ競技場などの表面を舗装するためのグラウトおよび熱間注入面、
-アスファルト乳剤、
-上記のような舗装用ホットコーティング、
-舗装用表面コーティング、
-屋根板
から選択される。
【0136】
または、上記のうちの2つ以上の任意の組合せ。
【0137】
より好ましくは、耐候性材料は屋根ふき用途用の屋根板である。屋根ふきの屋根板は、個々の重なり合う要素で構成される屋根の覆いである。これらの要素は、屋根の下端から上にコース上に配置された平らな長方形の形状であってよく、連続する各コースは下の接合部と重なり合っている。
【0138】
本発明によるプロセスは、添付の図面によってより詳細に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0139】
図1】計算流体力学シミュレーションを使用して得られた反応速度に対する様々なインペラの影響を示す図である。反応時間対平均軸方向速度、平均半径方向速度、および平均せん断のグラフ描写が本明細書に提供される。測定は、1.5 W/kgの混合出力で、バッフルを装備したタンクで行った。
図2】本発明のプロセスを実施するためのプラントの概略図である。プラントは、インペラ(図2に示すアンカーインペラ)が取り付けられた第1のタンクを備える。 図2に示すように、(1)のアスファルト組成物は、185℃の温度に加熱され、溶融アスファルトは、ポンプ(108)によってインペラ(104)(第1の入力流102)が取り付けられた第1のタンク(103)に導入される。溶融アスファルトは、(1)のアスファルト組成物を加熱して得られる。熱硬化性反応性化合物(またはTRC)も、ポンプ(107)によってタンク(第2の入力流101)に導入される。第1および第2の入力流は、第1のタンク(103)中で均質化される。第1のタンクの底部から引き出された出力流(106)は、ポンプ(108)によって輸送トラックに直接導入される。再循環流(105)は、ポンプ(109)によって第1のタンクの底部から得られた出力を第1のタンクに導入するために提供される。本明細書において、ポンプは、作動要件に応じた速度に設定される。
図3】各々が2段インペラが取り付けられた第1および第2のタンクを備える、本発明のプロセスを実施するためのプラントの概略図である。 図3に示すように、(1)のアスファルト組成物は、185℃の温度に加熱され、溶融アスファルトは、ポンプ(208)によってインペラ(212)(第1の入力流202)が取り付けられた第2のタンク(211)に導入される。溶融アスファルトは、(1)のアスファルト組成物を加熱することによって得られる。熱硬化性反応性化合物はまた、ポンプ(207)によって第2のタンク(第2の入力流201)に導入される。第1および第2の入力流は、第2のタンク(211)で均質化される。第2のタンクの底部から引き出された第1の出力流(213)は、ポンプ(215)によってインペラ(204)が取り付けられた第1のタンク(203)に導入される。バイパス流(214)は、ポンプ(216)によって第1および第2の流れを第1のタンクに直接導入するために提供される。第1のタンクは、第2のタンクの容積容量の20倍を有し、第2のタンクの混合出力の1/3で作動される。第1のタンクの底部からの出力流(206)は、ポンプ(209)によって輸送トラックに直接導入される。再循環流(205)は、ポンプ(210)によって第1のタンクの底部から得られた出力を第2のタンクに導入するために提供される。本明細書において、ポンプは、作動要件に応じた速度に設定される。
【発明を実施するための形態】
【0140】
現在特許請求されている発明は、対応する依存関係の参照およびリンクから生じる以下の実施形態および実施形態の組合せによって、より詳細に説明される。
I.アスファルトミックス組成物の調製方法であって、
(1)第1のインペラが取り付けられた少なくとも第1のタンク中で溶融アスファルトおよび1つ以上の熱硬化性反応性化合物を均質化するステップ、を含み、
インペラが、>0.4 m/sの軸方向速度、>0.65 m/sの半径方向速度、および>3.5 s-1のせん断速度を可能にし;
(3)の均質化が、<3 W/kgの混合出力で実施される、方法。
II.均質化が、110~190℃の範囲の温度で実施される、実施形態Iに記載の方法。
III.方法が、アスファルト組成物を110~190℃の範囲の温度に加熱することによって得られた第1の入力流を含む、実施形態IまたはIIに記載の方法。
IV.方法が、1つ以上の熱硬化性反応性化合物を含む第2の入力流を含む、実施形態I~IIIのいずれか1つに記載の方法。
V.アスファルトミックス組成物の調製方法であって、
(1)アスファルト組成物を110~190℃の範囲の温度まで加熱して、第1の入力流を得るステップと;
(2)1つ以上の熱硬化性反応性化合物を提供して、第2の入力流を得るステップと;
(3)第1のインペラが取り付けられた少なくとも第1のタンク中で(1)および(2)の流れを均質化するステップと、を含み、
インペラが、>0.4m/sの軸方向速度、>0.65m/sの半径方向速度、および>3.5s-のせん断速度を可能にし;
(3)の均質化が、<3W/kgの混合出力で実施される、方法。
VI.(3)の均質化が、0.1~10時間の範囲の期間にわたって実施される、実施形態I~Vのいずれか1つに記載の方法。
VII.(3)の均質化が、400~9000rpmの範囲の速度で実施される、実施形態I~VIのいずれか1つに記載の方法。
VIII.(1)および(2)の流れを均質化するステップが、第1のタンクの上流に位置し、第1のタンクと流体連通する第2のインペラが取り付けられた第2のタンク中で生じる、実施形態I~VIIのいずれか1つに記載の方法。
IX.第1および第2の入力流が、第1または第2のタンクに同時に供給される、実施形態I~VIIIのいずれか1つに記載の方法。
X.第2のタンクが、第1のタンクよりも高い混合出力で作動される、実施形態VIII~IXに記載の方法。
XI.第1および第2のインペラが、ピッチ付きブレードタービン、フラットブレードタービン、シェブロン、リボン、アンカー、ラシュトンタービンまたはそれらの組合せから互いに独立して選択される、実施形態I~Xのいずれか1つに記載の方法。
XII.第1および/または第2のタンクが、少なくとも1つのバッフルをさらに備える、実施形態I~XIのいずれか1つに記載の方法。
XIII.第1および/または第2のインペラが、少なくとも1つの軸流ブレードおよび少なくとも1つの半径流ブレードを備える、実施形態I~XIIのいずれか1つに記載の方法。
XIV.第1および/または第2のインペラが、ピッチ付きブレードタービンとフラットブレードタービンとの組合せである、実施形態I~XIIIのいずれか1つに記載の方法。
XV.第1および/または第2のインペラが、アンカーである、実施形態I~XIVのいずれか1つに記載の方法。
XVI.熱硬化性反応性化合物の総量と(1)のアスファルト組成物との重量比が、0.1:99.9~25:75の範囲にある、実施形態I~XVのいずれか1つに記載の方法。
XVII.アスファルトミックス組成物中の熱硬化性反応性化合物の総量が、ミックス組成物の総重量に基づいて、0.1~10.0重量%である、実施形態I~XVIのいずれか1つに記載の方法。
XVIII.熱硬化性反応性化合物が、イソシアネート、エポキシ樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物を含む、実施形態I~XVIIのいずれか1つに記載の方法。
XIX.熱硬化性反応性化合物が、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物から選択される1つ以上の化合物を含む、実施形態I~XVIIIのいずれか1つに記載の方法。
XX.脂肪族イソシアネートが、1,12-ドデカンジイオシアネート、2-エチルテトラメチレンジイソシアネート-1,4、2-メチルペンタメチレンジイソシアネート-1,5、テトラメチレンジイソシアネート-1,4、ヘキサメチレンジイソシアネート-1,6、トリメチルジイソシアネート、テトラメチルジイソシアネート、ペンタメチルジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、ヘプタメチルジイソシアネート、オクタメチルジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン-1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、ブチレン-1,4-ジイソシアネート、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物を含む、実施形態XIXに記載の方法。
XXI.脂肪族イソシアネートが、1-イソシアネート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアネートメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンおよび/または1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-および/または-2,6-シクロヘキサンジイソシアネートならびに4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物を含む、実施形態XIXまたはXXIに記載の方法。
XXII.芳香族イソシアネートが、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルタンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物を含む、方法実施形態XIX。
XXIII.熱硬化性反応性化合物が、ポリマーMDIであり、ポリマーMDI中の4,4’-MDIの総量が、1つ以上の熱硬化性反応性化合物の100重量%に基づいて、26~98重量%の範囲にある、実施形態I~XIIのいずれか1つに記載の方法。
XXIV.熱硬化性反応性化合物が、2.1~3.5の平均イソシアネート官能価を有する、実施形態I~XXIIIのいずれか1つに記載の方法。
XXV.(1)の流れが、粒状材料をさらに含む、実施形態I~XXIVのいずれか1つに記載の方法。
XXVI.粒状材料が、第1の入力流(1)に導入される前に110~240℃の範囲で予熱される、実施形態XXVIに記載の方法。
XXVII.粒状材料が、砂利、再生アスファルト舗装、砂、1つ以上の充填材料、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の粒状材料を含む、実施形態XXVIまたはXXVIIに記載の方法。
XXVIII.(3)で得られたアスファルトミックス組成物と粒状材料との重量比が、0.5:99.5~25:75の範囲にある、実施形態XXVI~XXVIIIに記載の方法。
XXIX.(1)のアスファルト組成物が、20~30、30~45、35~50、40~60、50~70、70~100、100~150、160~220、および250~330からなるリストから、より好ましくは30~45、35~50、40~60、50~70、70~100、100~150、および160~220からなるリストから、より好ましくは40~60、50~70、70~100、および100~150からなるリストから選択される針の針入度を有し、より好ましくは(1)のアスファルト組成物が、50~70または70~100の針の針入度を有し、針の針入度が、DIN EN 1426に従って決定される、実施形態I~XXIXのいずれか1つに記載の方法。
XXX.(1)のアスファルト組成物が、熱可塑性エラストマー、ラテックス、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物で改質されたビチューメンを含む、実施形態I~XXIXのいずれか1つに記載の方法。
XXXI.熱可塑性エラストマーが、スチレンブタジエンエラストマー(SBE)、スチレンブタジエンスチレン(SBS)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンスチレン(SIS)、スチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS)、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDT)、イソブテンイソプレンコポリマー(IIR)、ポリイソブテン(PIB)、ポリブタジエン(PBD)、ポリイソプレン(PI)、またはそれらの2つ以上の混合物から選択される、実施形態XXXに記載の方法。
XXXII.(1)のアスファルト組成物が、1つ以上の添加剤を含む、実施形態I~XXXIのいずれか1つに記載の方法。
XXXIII.実施形態I~XXXIIのいずれか1つに記載の方法に従って得られるか、または得ることができるアスファルトミックス組成物。
XXXIV.舗装用途のための実施形態XXXIIIによるアスファルトミックス組成物の使用。
XXXV.耐候性用途のための実施形態XXXIIIによるアスファルトミックス組成物の使用。
【0141】
実施例
現在特許請求されている発明は、以下の非限定的な例によって説明される。
【0142】
【表1】
【0143】
計算流体力学を使用するインペラ選択
計算流体力学的方法(COMSOLバージョン5.6の使用)を用いて、タンク内の流体のインペラに基づく混合に関連する重要な態様を特定した。
【0144】
均質化中のアスファルトと熱硬化性反応性化合物との間の適切な反応は、タンク内のマクロおよびマイクロ混合事象によって決定される。本明細書において、混合速度(マクロ混合)およびせん断速度(マイクロ混合)は、反応時間を改善するための重要な態様として特定された。結果は、様々なインペラ、例えば、ピッチ付きブレードタービン(PBT)、フラットブレードタービン(FBT)、PBTとFBTとを組み合わせた2段インペラ、図1のアンカーおよびリボンについて特定し、以下の表1にもまとめられている。評価の均一性および業界標準の順守を確実にするために、すべての値はバッフルが取り付けられたタンクに基づいて計算される。
【0145】
【表2】
【0146】
上記の表および図1から、反応時間の改善を開始するためには、軸方向混合速度の0.2~0.5 m/sの閾値を満たさなければならないことが留意された。さらに、最適なマクロ混合は、それぞれ>0.4 m/sの軸方向速度ならびに半径方向速度および>0.65 m/sで達成可能であることに留意されたい。ここで、PBT(バッフルの非存在下で単独で用いられる場合)は、異常に低い軸方向速度を有する高い半径方向速度をもたらすことが特定された。>3.5 s-1のせん断速度で最適なマイクロ混合が達成可能である。最適な消費電力(<3 W/kg)を確実にするために、上記範囲に留意した。したがって、前記範囲は、最適な反応時間を達成するための好適なインペラを選択するために重要であると特定された。
【0147】
反応時間の分析
アスファルト組成物(第1の入力流)を2重量%熱硬化性反応性化合物(第2の入力流)と混合し、以下の表1に規定される温度まで急上昇させる。より高い温度(190℃を超える)は、望ましくない臭気およびVOCの生成をもたらすことが特定された。すべての実験室実験は、以下の表2に列挙されるような好適なインペラを装備したバッチ式パール反応器(第1のタンク)で完了した。作動条件、例えば、混合出力は、以下の表1に概説されている。NCO濃度を定期的に確認し、終点はNCOが<0.1%であると特定した。バッフルの組み込みは、半径方向の混合を改善することが注目された。様々なインペラの実験結果を以下の表2に示す。
【0148】
【表3】
【0149】
反応時間は、多くの要因、例えば、混合出力、温度、およびrpmによって影響される。これらの因子のうちの1つ以上の増加は、より短い反応時間をもたらすことが特定された。反応器内の高いせん断速度および全混合が反応速度にとって重要であるため、混合出力は、温度よりもはるかに反応速度に影響を及ぼすことが見出された。しかしながら、消費電力(<4 W/kg混合出力)を最小限に抑える努力において、驚くべきことに、インペラを慎重に選択することにより、反応時間のさらなる短縮(≦6時間)が可能であることが見出された。上記の表2から、リボンインペラは、最小の消費電力、すなわち低い混合出力で反応器中の全混合運動に起因して最良の混合時間および反応時間を提供することに留意されたい。例えば、反応時間は、3 W/kgの混合出力で3時間であった。アンカーインペラも有望な結果をもたらし、それを使用して、0.85 W/kgの比較的低い混合出力で4.5時間で反応を完了することができた。さらに、それは、粘性溶液用にも設計されている。さらに、インラインミキサは、高粘度液体、例えば、アスファルトと適合しないことが見出された。また、場合によっては、表2の矢印で示す10分後に混合出力を変化させ、例えば、68→1.9は、68 W/kg出力、続いて1.9 W/kgでの10分レジームを指す。前記段階的混合レジームは、上述のマルチタンクシステムのための例示的な支持を提供し、第2のタンクは、より大きな(第1の)タンクの上流にある低容積の高出力(第2の)タンクである。
【0150】
さらに別の代替案は、複数のインペラシステム、例えば、2段インペラを有することである。多段階PBTは、単一段階PBTよりも多くの循環およびエネルギー散逸を与えることができる。2つのPBTは、1.5 W/kgの混合出力で7時間の反応時間を与える。しかしながら、底部インペラをFBTと交換した場合、驚くべきことに、この組合せは、せん断速度が改善された全体的な循環の増加をもたらした。その結果、同じ混合出力(1.5 W/kg)では、反応時間が短くなる(4時間)ことが見出された。さらに、PBT/FBTを使用して、バッフルなしで176.7℃のより低い温度で反応を完了させた。さらに、二重PBTおよびPBT/FBTの両方は、大規模な実施のための経済的に実現可能な選択肢を提示する。
【0151】
ロータステータミキサは、高強度および高せん断混合を可能にする。最も高いせん断を有するが最も低い流量を有する角孔のワークヘッドを用いて実験を完了した。結果として、ロータステータは、液体の局所的な移動のみを提供した。混合速度を高めても(4000~8000 rpm)、反応時間に差はなく、リボンインペラほど反応性能は良好ではなかった。驚くべきことに、汎用ワークヘッド(低せん断だが高流量)は、混合時間を2.5時間に改善した。これらは、好ましくは第2のタンクの一部として用いられ得る。
【符号の説明】
【0152】
101 第2の入力流
102 第1の入力流
103 第1のタンク
104 インペラ
105 再循環流
106 出力流
107 ポンプ
108 ポンプ
109 ポンプ
201 第2の入力流
202 第1の入力流
203 第1のタンク
204 インペラ
205 再循環流
206 出力流
207 ポンプ
208 ポンプ
209 ポンプ
210 ポンプ
211 第2のタンク
212 インペラ
213 第1の出力流
214 バイパス流
215 ポンプ
216 ポンプ
図1
図2
図3
【国際調査報告】