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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】医療用内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240822BHJP
   A61B 1/05 20060101ALI20240822BHJP
   A61B 1/12 20060101ALI20240822BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61B1/00 713
A61B1/05
A61B1/12 521
A61B1/06 531
A61B1/00 622
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514075
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 CN2022117377
(87)【国際公開番号】W WO2023036150
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,175
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517012545
【氏名又は名称】チェン シェシャオ
【氏名又は名称原語表記】Chen,Chieh Hsiao
【住所又は居所原語表記】No. 500-5, Sec. 2, Xiangshun Rd., Beitun Dist., Taichung City 406, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100125450
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 広明
(72)【発明者】
【氏名】チェン シェシャオ
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161BB06
4C161CC06
4C161FF36
4C161FF40
4C161FF42
4C161FF43
4C161FF45
4C161GG15
4C161HH57
4C161LL02
4C161QQ06
(57)【要約】
本開示は、端部を有するシース装置と、シース装置内に延在するように配置され、端部に固定された光センシング装置とを含む、医療用内視鏡システムを提供する。光センシング装置は、伝送部を有し、伝送部を介して光センシング装置によって受信された光信号を伝送する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部を有するシース装置と、
前記シース装置内に延在して配置され、前記端部に固定された光センシング装置と、を備え、
前記光センシング装置は伝送部を有し、前記光センシング装置が受信した光信号を該伝送部を介して伝送する、
医療用内視鏡システム。
【請求項2】
前記シース装置の前記端部が透明な管状要素である、
請求項1に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項3】
前記シース装置内に延在して配置され、通路口を有する液体通路部をさらに備え、
前記液体通路部の前記通路口は、前記シース装置の前記端部に配置され、該医療用内視鏡システムによって、前記液体通路部に沿って前記端部から液体を流出させることを可能にする、
請求項1に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項4】
前記光センシング装置が光センシング部を有し、該医療用内視鏡システムによって、前記端部に前記液体を流して前記光センシング部に接触させることを可能にする、
請求項3に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項5】
前記光センシング部がCMOSセンサである、
請求項4に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項6】
前記光センシング装置が前記光センシング部の周囲に配置された照明部を有する、
請求項5に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項7】
前記光センシング装置が、
前記端部に配置され、第1の光信号を受信するために第1の方向に向く第1の光センシング部と、
前記端部に配置され、第2の光信号を受信するために第2の方向に向く第2の光センシング部と、を備え、
前記第1の方向は、前記第2の方向と平行ではない、
請求項1に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項8】
前記シース装置が、前記シース装置の制御端部に配置された第1の固定機構を有し、
前記光センシング装置が第2の固定機構を有し、該第2の固定機構を前記第1の固定機構に連結固定させることにより、前記光センシング装置が前記端部に固定され、
前記第2の固定機構が、前記第1の固定機構に着脱可能に接続され固定される、
請求項1に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項9】
前記シース装置が、前記端部に配置された固定部を有し、前記光センシング装置が、前記固定部に着脱可能に固定される、
請求項1に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項10】
前記固定部が磁石である、
請求項9に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項11】
前記シース装置が、前記シース装置の内壁面に延在するように配置された溝を有し、前記光センシング部が、前記溝に接続され、前記溝に沿って移動可能である、
請求項1に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項12】
前記端部が開放端部を含み、前記光センシング装置と該開放端部との間に後退距離が設けられている、
請求項1に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項13】
前記端部の外面に固定された電気焼灼装置をさらに備える、
請求項1に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項14】
前記シース装置内に延在するように移動可能に配置された電気焼灼装置をさらに備え、
前記電気焼灼装置は、固定機構と電気焼灼部とを有し、該電気焼灼部が前記シース装置の外部に露出するように、該電気焼灼装置は、前記固定機構を介して前記シース装置の前記端部に着脱可能に固定されている、
請求項1に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項15】
前記シース装置内に延在するように移動可能に配置されたシャッタ装置をさらに備え、
前記シャッタ装置は、シャッタ部を有し、前記シャッタ装置は、該シャッタ部を介して前記端部の開口部を閉塞する、
請求項1に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項16】
前記シャッタ部が膨張可能要素である、
請求項15に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項17】
前記シース装置内に配置された外科用装置をさらに備える、
請求項1に記載の医療用内視鏡システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用内視鏡システムに関し、より詳細には、操作方法を簡略化して、医療用内視鏡システムのシース装置と光センシング装置とを別々の手で同時に保持する負担からユーザを解放することを可能にする、医療用内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の医療用内視鏡システムでは、シース装置内に光センシング装置(すなわち、内視鏡装置)が延在するように配置されているが、実際には2つの装置は別体であり、光センシング装置はシース装置に固定されていない。このため、従来の医療用内視鏡システムの配置では、ユーザ(例えば、医療専門家)が、光センシング装置とシース装置とを別々に2つの手で保持して操作する必要がある。手術中、ユーザは、一方の手でシース装置を保持して操作し、他方の手でシース装置内に配置された光センシング装置を保持して操作しなければならない。このような操作方法は、ユーザが従来の医療用内視鏡システムを操作することの困難さを大幅に増大させる。ユーザは、光センシング装置を通して観察しながら、シース装置とシース装置内の他の医療装置とを一緒に正確に制御することは困難である。このため、操作方法を簡略化して、ユーザが医療用内視鏡システムのシース装置および光センシング装置を別々の手で同時に保持する負担から解放されることを可能にする、医療用内視鏡システムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
従来技術の前述の欠点を改善するために、本開示の目的は、操作方法を簡略化して、ユーザが医療用内視鏡システムのシース装置および光センシング装置を別々の手で同時に保持する負担から解放されることを可能にする、医療用内視鏡システムを提供することである。
【0004】
上記の着想に基づいて、本開示は、端部を有するシース装置と、シース装置内に延在して配置され、端部に固定された光センシング装置とを備える医療用内視鏡システムであって、光センシング装置が、伝送部を有し、伝送部を介して光センシング装置によって受信された光信号を伝送する、医療用内視鏡システムを提供する。
【0005】
本開示の好ましい実施形態では、シース装置の端部は透明な管状要素である。
【0006】
本開示の好ましい実施形態では、医療用内視鏡システムは、シース装置内に延在して配置され、通路口を有する、液体通路部をさらに備え、液体通路部の通路口は、シース装置の端部に配置されており、医療用内視鏡システムは、液体が液体通路部に沿って端部から流出することを可能にする。
【0007】
本開示の好ましい形態では、光センシング装置は、光センシング部を有し、医療用内視鏡システムは、液体が端部に流れて光センシング部に接触するのを可能にする。
【0008】
本開示の好ましい実施形態では、光センシング部はCMOSセンサである。
【0009】
本開示の好ましい実施形態では、光センシング装置は、光センシング部の周囲に配置された照明部を有する。
【0010】
本開示の好ましい実施形態では、光センシング装置は、端部に配置され、第1の光信号を受信するために第1の方向を向く第1の光センシング部と、端部に配置され、第2の光信号を受信するために第2の方向を向く第2の光センシング部とを備え、第1の方向は第2の方向と平行ではない。
【0011】
本開示の好ましい実施形態では、シース装置は、シース装置の制御端部に配置された第1の固定機構を有し、光センシング装置は、第2の固定機構を有し、第2の固定機構を第1の固定機構に連結して固定させることにより、光センシング装置が端部に固定され、第2の固定機構は、第1の固定機構に着脱可能に接続され固定される。
【0012】
本開示の好ましい実施形態では、シース装置は、端部に配置された固定部を有し、光センシング装置は、固定部に着脱可能に固定される。
【0013】
本開示の好ましい実施形態では、固定部は磁石である。
【0014】
本開示の好ましい実施形態では、シース装置は、シース装置の内壁面に延在するように配置された溝を有し、光センシング部は、溝に接続され、溝に沿って移動可能である。
【0015】
本開示の好ましい実施形態では、端部は開放端部を備え、光センシング装置と開放端部との間に後退距離が設けられている。
【0016】
本開示の好ましい実施形態では、医療用内視鏡システムは、端部の外面に固定された電気焼灼装置をさらに備える。
【0017】
本開示の好ましい実施形態では、医療用内視鏡システムは、シース装置内に延在するように移動可能に配置された電気焼灼装置をさらに備え、電気焼灼装置は、固定機構と電気焼灼部とを有し、電気焼灼装置は、固定機構を介してシース装置の端部に着脱可能に固定され、そのため電気焼灼部はシース装置の外部に露出する。
【0018】
本開示の好ましい実施形態では、医療用内視鏡システムは、シース装置内に延在するように移動可能に配置されたシャッタ装置をさらに備え、シャッタ装置はシャッタ部を有し、シャッタ装置はシャッタ部を介して端部の開口部を閉塞する。
【0019】
本開示の好ましい実施形態では、シャッタ部は膨張可能要素である。
【0020】
本開示の好ましい実施形態では、医療用内視鏡システムは、シース装置内に配置された外科用装置をさらに備える。
【0021】
上述した本開示の様々な態様は、本開示の他の態様と共に、後述の非限定的な実施形態の詳細な説明およびそれらの添付図面に基づいて、以下でさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの構成を示す模式図である。
【0023】
図1B】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの概略図である。
【0024】
図2】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの概略図である。
【0025】
図3】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの概略図である。
【0026】
図4A】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの概略図である。
【0027】
図4B】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの概略図である。
【0028】
図5A】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの概略図である。
【0029】
図5B】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの概略図である。
【0030】
図6】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの概略図である。
【0031】
図7】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの概略図である。
【0032】
図8A】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの概略図である。
【0033】
図8B】本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1Aは、本開示の一実施形態に係る医療用内視鏡システムの構成を示す模式図である。図1Aに示す実施形態では、医療用内視鏡システム100は、シース装置110および光センシング装置120を備える。シース装置110は、端部112を有し、光センシング装置120は、伝送部122および光センシング部124を備える。光センシング装置120は、シース装置110内に延在するように配置され(「延在するように配置される」という記述は、光センシング装置120がシース装置110の長さ方向に沿ってシース装置110内に延在することを意味し、例えば、光センシング装置120の光センシング部124をシース装置110の端部112に配置することができる一方で、光センシング装置120の伝送部122は、シース装置110の内部に沿って光センシング部124からシース装置110の他端まで延在し得る)、光センシング装置120は端部112に固定される。したがって、ユーザ(例えば、医療専門家)は、シース装置110および光センシング装置120を2つの別々の手で保持または操作する必要なく、医療用内視鏡システム100を同時に保持および操作することができ、その結果、医療用内視鏡システム100の操作の難易度を大幅に低減することができる。一実施形態では、別の外科用装置130(例えば、医療用クランプ装置または医療用カッティング装置を含むが、これらに限定されない)がシース装置110内に配置され、人体の標的病変に対して医学的治療(例えば、小手術を含むが、これに限定されない)を行う。特に、外科用装置130は、必要に応じてシース装置110に接続され、および/またはその中に固定されるか、あるいは外科用装置130は、必要に応じてシース装置110内に移動可能に配置されてもよい。好ましくは、医療用内視鏡システム100では、シース装置110の端部112に光センシング装置120の光センシング部124が固定される。光センシング装置120は、光センシング部124を介して光信号を受信し、伝送部122を介して光信号を伝送することができる。例えば、シース装置110の端部112が人体内の標的病変に置かれると、端部112の光センシング部124は、標的病変の光信号を受信(または検出)し、その後、当該光信号を人体外のディスプレイ装置に伝送することができる。その結果、ユーザは、ディスプレイ装置に表示された標的病変の画像を観察することができる。好ましくは、シース装置110の端部112は、透明な管状要素とすることができる。例えば、シース装置110は、透明な管状の装置である。これにより、シース装置110が光センシング部124の視界を遮るかもしれないという問題を回避することができる。一実施形態では、光センシング装置120の光センシング部124は、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサである。しかしながら、光センシング装置120の光センシング部124はCMOSセンサに限定されず、必要に応じて他のタイプのセンサとすることができることを理解されたい。一実施形態では、光センシング装置120は、光センシング部124に接続された照明部を有し、光センシング部124の前方の手術野の視界に照明を提供することができる。照明部は、例えば、LED(発光ダイオード)装置であってもよい。好ましくは、照明部は、光センシング部124の周囲に配置される。
【0035】
図1Bを参照すると、本開示の一実施形態による医療用内視鏡システムの概略図が示されている。図1Bに示す実施形態では、医療用内視鏡システム100Bは、シース装置110Bおよび光センシング装置120Bを備える。シース装置110Bは、端部112Bと、制御端部114Bと、第1の固定機構116Bとを有し、第1の固定機構116Bは、シース装置110Bの制御端部114Bに配置される。光センシング装置120Bは、第2の固定機構128Bと、伝送部122Bと、光センシング部(「一次光センシング部」と呼ぶ場合もある)124Bとを備える。第2の固定機構128Bは伝送部122Bに接続され、伝送部122Bは光センシング部124Bに接続される。光センシング装置120Bは、シース装置110B内に延在するように配置される(「延在するように配置される」という記述は、光センシング装置120Bがシース装置110Bの長さ方向に沿ってシース装置110B内に延在することを意味し、例えば、光センシング装置120Bの光センシング部124Bをシース装置110Bの端部112Bに配置することができる一方で、光センシング装置120Bの伝送部122Bは、光センシング部124Bからシース装置110Bの制御端部114Bまで延在することができる)。好ましくは、光センシング装置120Bの第2の固定機構128Bが第1の固定機構116Bに接続され固定されることにより、光センシング装置120Bがシース装置110Bの端部112Bに固定される。したがって、ユーザ(例えば、医療専門家)は、シース装置110Bと光センシング装置120Bを2つの別々の手で保持したり操作したりする必要なしに、医療用内視鏡システム100Bを同時に保持して操作することができ、医療用内視鏡システム100Bの操作の難易度を大幅に低減することができる。
【0036】
第1の固定機構116Bおよび第2の固定機構128Bは、必要に応じて、スナップ係合機構、係合機構、ねじ込み機構、結合機構、または接着機構を含むが、これらに限定されないことを理解されたい。したがって、第2の固定機構128Bは、必要に応じて、スナップ係合、係合、螺合、拘束、接着等によって、第1の固定機構116Bに接続して固定することができる。好ましくは、第2の固定機構128Bは、第1の固定機構116Bに着脱可能に接続され固定される。好ましくは、上述したように、光センシング装置120Bがシース装置110Bの端部112Bに固定されることは、光センシング装置120Bの光センシング部124Bがシース装置110Bの端部112Bに固定されることを意味するものとする。好ましくは、光センシング装置120Bがシース装置110Bの端部112Bに固定されることは、光センシング装置120B(または光センシング装置120Bの光センシング部124B)がシース装置110Bの端部112Bに固定されることを意味するものとし、光センシング装置120B(または光センシング装置120Bの光センシング部124B)は、必ずしもシース装置110Bの端部112Bに直接接続される必要はない。好ましくは、伝送部122Bの外側部(またはハウジング)は、硬質材料で作られる。その結果、光センシング部124Bが端部112Bに接続されているか否かにかかわらず(例えば、詳しく説明すると、磁石などの機構を介して)、光センシング装置120Bの第2の固定機構128Bが第1の固定機構116Bに接続され固定された場合、光センシング装置120Bの光センシング部124Bは、伝送部122Bによって駆動されたままであり、よってシース装置110Bの端部112Bに固定される。
【0037】
図2を参照すると、本開示の一実施形態による医療用内視鏡システムの概略図が示されている。図2に示す実施形態では、医療用内視鏡システム200のシース装置210は溝214を有し、溝214はシース装置210の内壁面に延在するように配置され(「延在するように配置される」という記述は、溝214がシース装置210の長さ方向に沿ってシース装置210内を延在することを意味する)、光センシング部224は、溝214に接続され、溝214に沿って移動可能(またはスライド可能)である。これにより、ユーザは、必要に応じて医療用内視鏡システム200の光センシング装置を溝214に沿ってシース装置210内に設置したり、または必要に応じて光センシング装置を溝214に沿ってシース装置210から取り外したりすることができる。
【0038】
一実施形態では、シース装置は固定部を有することができ、固定部はシース装置の端部に配置され、光センシング装置は固定部に着脱可能に固定される。例えば、図3を参照すると、本開示の一実施形態による医療用内視鏡システムの概略図が示されている。図3に示す実施形態では、医療用内視鏡システム300のシース装置310は、固定部316を有し、固定部316は、シース装置310の端部312の内壁面に配置されている。これにより、医療用内視鏡システム300の光センシング装置を、ユーザが必要に応じて端部312に固定したり、必要に応じて端部312から取り外したりすることができる。好ましくは、固定部316は磁石であり、固定部316と光センシング装置の光センシング部324とが磁力によって着脱可能に固定され、それによって光センシング装置の光センシング部324が端部312に固定される。
【0039】
図4Aおよび図4Bを参照すると、本開示の一実施形態による医療用内視鏡システムの概略図が示されている。図4Aおよび図4Bに示す実施形態では、医療用内視鏡システム400は、シャッタ装置430をさらに備え、シャッタ装置430は、シース装置410内に延在するように移動可能に配置される(「延在するように配置される」という記述は、シャッタ装置430がシース装置410の長さ方向に沿ってシース装置410内に延在することを意味する)。ユーザは、必要に応じてその長さ方向に沿ってシャッタ装置430をシース装置410内に設置することができ、または必要に応じてその長さ方向に沿ってシャッタ装置430をシース装置410から取り外すことができる。シャッタ装置430は、シャッタ部432を有しており、ユーザは、医療用内視鏡システム400を患者の体内に留置した状態で、シャッタ部432を介してシース装置410の開口部418(開口部418は、シース装置410の端部412に位置する)を閉塞することができる。
これにより、シース装置410の開口部418による人体組織の損傷を防止することができる。好ましくは、シャッタ部432の容積は、ユーザによって制御され得る。このようにして、シャッタ装置430をシース装置410に沿って移動させる前に、シャッタ部432の容積を減少させることができ、これは、光センシング装置(特に光センシング装置の光センシング部424)を誤った位置に移動させること、またはシャッタ部432の移動中に光センシング部424を損傷させることを回避するのに役立つ。一実施形態では、シャッタ部432は膨張可能要素であり、ユーザは、シャッタ部432を膨張させてシャッタ部432の容積を必要に応じて増大させることができ(図4A参照)、またはシャッタ部432を収縮させてシャッタ部432の容積を必要に応じて減少させることができる(図4B参照)。好ましくは、シャッタ部432は、特定の形状を有するように構成することができ(例えば、シャッタ部432が切欠部434を有し、シャッタ部432が膨張したときに切欠部434が光センシング部424と接触しないようにしてもよい)、それによって、シャッタ部432が膨張したときに光センシング装置(特に、光センシング装置の光センシング部424)を押圧しないことを確実にする。一実施形態では、シャッタ装置の動作プロセスを単純化するために、またはシャッタ装置の製造コストを下げるために、シャッタ装置のシャッタ部は、固定形状を有することができ、例えばプラスチック材料で作ることができるが、これに限定されない。一実施形態では、光センシング装置とシース装置とを必要に応じて相互に分離することができるので(すなわち、光センシング装置はシース装置に着脱可能に固定されている)、シャッタ部は切欠部を有していなくてもよい。シャッタ装置を使用するとき、ユーザは光センシング装置をシース装置に取り付ける必要がないため、シャッタ装置は光センシング装置と接触したり、光センシング装置を押圧したりすることはない。
【0040】
図5Aおよび図5Bを参照すると、本開示の一実施形態による医療用内視鏡システムの概略図が示されている。図5Aおよび図5Bに示す実施形態では、医療用内視鏡システム500は、電気焼灼装置540をさらに備える。電気焼灼装置540は、シース装置510内に延在するように移動可能に配置される(「延在するように配置される」という記述は、電気焼灼装置540がシース装置510の長さ方向に沿ってシース装置510内に延在することを意味する)。ユーザは、必要に応じてその長さ方向に沿って電気焼灼装置540をシース装置510内に設置することができ、または必要に応じてその長さ方向に沿って電気焼灼装置540をシース装置510から取り外すことができる。電気焼灼装置540は、固定機構542および電気焼灼部544を有する。電気焼灼装置540は、固定機構542を介してシース装置510の端部512に着脱可能に固定されており、電気焼灼部544は、シース装置510の外部に露出している。これにより、ユーザは、電気焼灼装置540の電気焼灼部544を用いて標的組織に対して電気焼灼を行うことができる(例えば、出血を止めるために標的血管または組織に電気焼灼器を適用することができる)。図5Aおよび図5Bに示す実施形態では、固定機構542はフック形状機構であり、ユーザは、固定機構542をシース装置510の開口部に引っ掛けて固定し、電気焼灼部544をシース装置510の外部に露出させることができる。しかしながら、固定機構は、フック形状機構に限定されず、固定機構は、固定機能を提供することができるのであれば、他の形状の機構であってもよいことを理解されたい。図6を参照すると、本開示の一実施形態による医療用内視鏡システムの概略図が示されている。図6に示す実施形態では、医療用内視鏡システム600は、電気焼灼装置640をさらに備え、電気焼灼装置640は、シース装置610の端部612の外面に固定されている。ユーザは、電気焼灼装置640を使用して標的組織に電気焼灼を行うことができる(例えば、出血を止めるために標的血管または組織に電気焼灼器を適用することができる)。好ましくは、電気焼灼装置640は、電力が供給される回路642を介して電気焼灼を実現する電極である。電気焼灼装置640が電極で構成される場合、電極の数はユーザのニーズに左右され、例えば、電気焼灼装置640は、1つの電極、2つの電極(デュアル電極)、または3つの電極で構成され得るが、これらに限定されないことを理解されたい。
【0041】
図7を参照すると、本開示の一実施形態による医療用内視鏡システムの概略図が示されている。図7に示す実施形態では、医療用内視鏡システム700は、シース装置710内に延在するように配置される液体通路部750をさらに備え(「延在するように配置される」とは、シース装置710内において液体通路部750がシース装置710の長さ方向に沿って延在することを意味する)、液体通路部750は、通路口752を有する。液体通路部750の通路口752は、シース装置710の端部に配置されており、ユーザは、液体通路部750に沿ってシース装置710の端部から液体(例えば、水)が流出するように、医療用内視鏡システム700を制御して、標的組織を洗浄したり異物を洗い流したりすることができる。一実施形態では、通路口752は、光センシング装置720の光センシング部723、724に近接して配置される。したがって、ユーザは、液体(例えば、水)が液体通路部750に沿って光センシング装置720の光センシング部723、724に流れて標的組織を洗浄することを可能にするように、医療用内視鏡システム700を制御することができる。
【0042】
図8Aを参照すると、本開示の一実施形態による医療用内視鏡システムの概略図が示されている。図8Aに示す実施形態では、光センシング装置の光センシング部(「一次光センシング部」と呼ぶ場合もある)820は、第1の光センシング部823および第2の光センシング部825を有する。第1の光センシング部823は、シース装置810の端部812に配置され、第1の光信号を受信するために第1の方向910を向いている。第2の光センシング部825は、シース装置810の端部812に配置され、第2の光信号を受信するために第2の方向920を向いている。第1の方向910は、第2の方向920と平行ではなく、したがって、第1の光センシング部823の視界と第2の光センシング部825の視界とは重ならず、徐々に離れていく。このようにして、様々な角度からの画像データを得ることができるので、より多様な視界の画像を生成することができる。一実施形態では、シース装置810の端部812は開放端部813を含み、光センシング部823、825と開放端部813との間には後退距離930がある。様々なニーズに応じて、光センシング部823、825と開放端部813との間に後退距離がなくてもよく、代わりに、光センシング部823、825を開放端部813に配置してもよいし、あるいは光センシング部823、825を開放端部813からわずかに突出させて配置してもよいことを理解されたい。
【0043】
図8Bを参照すると、本開示の一実施形態による医療用内視鏡システムの概略図が示されている。図8Bに示す実施形態では、光センシング装置の光センシング部(「一次光センシング部」と呼ぶ場合もある)820Bは、第1の光センシング部823Bおよび第2の光センシング部825Bを有する。第1の光センシング部823Bは、シース装置810Bの端部812Bに配置され、第1の光信号を受信するために第1の方向910Bを向いている。第2の光センシング部825Bは、シース装置810Bの端部812Bに配置され、第2の光信号を受信するために第2の方向920Bを向いている。第1の方向910Bは第2の方向920Bと平行ではなく、第1の光センシング部823Bの視界と第2の光センシング部825Bの視界とは互いに重なり合っている。これにより、様々な角度からの画像データを得ることができる。一実施形態では、3次元画像は、第1の光センシング部823Bおよび第2の光センシング部825Bを介して得られる。一実施形態では、シース装置810Bの端部812Bは開放端部813Bを含み、光センシング部823B、825Bと開放端部831Bとの間に後退距離がある。様々なニーズに応じて、光センシング部823B、825Bと開放端部813Bとの間に後退距離がなくてもよく、代わりに、光センシング部823B、825Bを開放端部813Bに配置してもよいし、あるいは光センシング部823B、825Bを開放端部813Bからわずかに突出させて配置してもよいことを理解されたい。
【0044】
以上、本開示の医療用内視鏡システムについて説明し、図面に示した。本開示の実施形態は、本質的に単なる例示であることを理解されたい。本開示の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の実施形態に様々な変更を加えることができ、そのような変更は本開示の特許請求の範囲によって包含されるものとする。したがって、本開示の実施形態は、本開示を減縮することを意図するものではなく、本開示の実際の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲に開示される。

図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
【国際調査報告】