(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】クロロフィル蛍光を測定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024514082
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 GB2022052237
(87)【国際公開番号】W WO2023031612
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524078701
【氏名又は名称】ガーディン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GARDIN LTD
【住所又は居所原語表記】99 Park Drive, Milton Park, Abingdon, Oxfordshire OX14 4RY , Great Britain
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100216150
【氏名又は名称】香山 良樹
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン モヴショヴィッヒ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード オスタロー
(72)【発明者】
【氏名】ファビリッツィオ ティッチアレーリ
(72)【発明者】
【氏名】サマンタ タールクダール
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043CA05
2G043EA01
2G043HA01
2G043HA05
2G043HA09
2G043JA03
2G043KA02
2G043KA08
2G043KA09
2G043LA02
2G043NA01
(57)【要約】
クロロフィル蛍光を測定するためのシステムが提供される。本システムは、エリアに光を照射するために、実質的にコリメート又は収束合焦された光を放出するように構成された少なくとも1つの光源と、光源が複数の異なるエリアに光を照射することを可能にするために、光源からの光を制御可能に向けるように構成されたアクチュエータと、光を照射された各エリアからクロロフィル蛍光を検出するように構成された光学センサとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロフィル蛍光を測定するためのシステムであって、
エリアに光を照射するために、実質的にコリメート又は収束合焦された光を放出するように構成された少なくとも1つの光源と、
前記光源が複数の異なるエリアに光を照射することを可能にするために、前記光源からの前記光を制御可能に向けるように構成されたアクチュエータと、
光を照射された各エリアからクロロフィル蛍光を検出するように構成された光学センサと、
を含む、
システム。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記光源からの前記光を向けるために前記光源を移動させるように構成され、及び/又は、
前記アクチュエータは、前記光源からの前記光を向けるために、前記光源に対してミラー等の1つ若しくは複数の光学要素を移動させるように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学センサが、光を照射された各エリアからクロロフィル蛍光を検出することを可能にするために、前記光学センサを移動させ、且つ/又は前記光学センサに対してミラー等の1つ若しくは複数の光学要素を移動させるように構成されたアクチュエータを含む、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記光学センサを移動させ、且つ/又は前記光学センサに対して1つ若しくは複数の光学要素を移動させるように構成された前記アクチュエータは、前記光源からの前記光を向けるように構成された前記同じアクチュエータである、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記光学センサは、前記少なくとも1つの光源による照射のためにアクセス可能な全空間よりも小さい、好ましくは前記光源による照射のためにアクセス可能な前記全空間の10%未満、より好ましくは5%未満、更に好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満の視野を有する、
請求項3又は4に記載のシステム。
【請求項6】
前記光学センサは、400平方度以下、好ましくは200平方度以下、より好ましくは50平方度以下、最も好ましくは25平方度以下の視野を有する、
請求項3~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源及び光学センサは、互いに対して固定して取り付けられる、
請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記光学センサは、カメラ等の撮像センサを含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
測定画像において、前記少なくとも1つの光源からの光を照射された前記エリアを含むターゲットエリアと、少なくとも1つの背景エリアとを区別するように構成されたコントローラを更に含み、
前記コントローラは、前記背景エリアにおける検出された強度に基づいて、前記ターゲットエリアにおける検出された強度を調整するように更に構成される、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記背景エリアは、前記ターゲットエリア外の前記測定画像の実質的に全体を含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、好ましくは、前記測定画像にわたる前記検出された強度に基づいて、前記ターゲットエリア外の前記測定画像の一部を前記背景エリアとして選択するように構成される、
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記背景エリアにわたる平均背景強度を計算し、且つ前記平均背景強度を前記ターゲットエリアにおける前記検出された強度から減算することにより、前記背景エリアにおける前記検出された強度に基づいて、前記ターゲットエリアにおける前記検出された強度を調整するように構成される、
請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの光源は、レーザを含み、
前記システムは、前記撮像センサの測定画像におけるターゲットエリアを識別するように構成されたコントローラを更に含み、
前記ターゲットエリアは、前記レーザによって照射される前記エリアの一部分であり、
好ましくは、前記レーザは、スポット形エリアに光を照射するように構成され、
前記ターゲットエリアは、前記照射されるスポット形エリアの中央部分である、
請求項8~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記光学センサは、非撮像光学センサであり、
前記システムは、光を照射されている前記エリアの画像を撮影するように構成された撮像光学センサを更に含み、
好ましくは、前記撮像光学センサは、前記非撮像光学センサよりも広い視野を有する、
請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの光源からの反射光を遮り、且つ前記光学センサが、クロロフィル蛍光から生じた光を検出することを可能にするように配置された光学フィルタを更に含む、
請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記光学フィルタは、好ましくは、約650nm以下の波長を有する光を遮るように構成されたロングパスフィルタ、又は好ましくは650nm~750nmの範囲外、好ましくは650nm~700nm若しくは700nm~750nmの範囲外の光を遮るように構成されたバンドパスフィルタ、を含む、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記光学フィルタは、干渉フィルタである、
請求項15又は16に記載のシステム。
【請求項18】
前記光学フィルタは、前記少なくとも1つの光源からの反射光を選択的に遮るために、前記光学センサに衝突する光の光路に対して移動可能であり、
好ましくは、前記光学フィルタは、好ましくは、複数の異なるフィルタを含むフィルタホイール上に位置する、
請求項15~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記光学センサの前記視野内の前記照射エリアの位置、サイズ及び/又は形状に基づいてターゲット距離を特定するように構成されたコントローラを更に含む、
請求項1~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの光源が2次元にわたる異なるエリアに光を照射することを可能にするために2自由度を有する、
請求項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの光源が2次元にわたる異なるエリアに光を照射することを可能にするために可変のヨー及びピッチを有する、
請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの光源及び光学センサは、透明窓を含む囲まれた筐体内に取り付けられ、
前記少なくとも1つの光源及び光学センサは、前記透明窓を通して動作し得る、
請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの光源は、レーザ、好ましくは出力調整可能なレーザを含む、
請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記レーザは、スポット形エリアに光を照射するように構成される、
請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つの光源は、1つ又は複数のLEDを含む、
請求項1~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つの光源は、発散光源と、前記発散光源から放出された前記光を実質的にコリメート又は収束合焦するための合焦光学系とを含む、
請求項1~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
それぞれ実質的にコリメート又は収束合焦された光を放出するように構成され、且つ共通エリアに光を照射するように配置された複数の光源を含む、
請求項1~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記複数の光源の第1のものは、レーザ、好ましくは出力調整可能なレーザを含み、
前記複数の光源の第2のものは、発散光源と、前記発散光源から放出された前記光を実質的にコリメート又は収束合焦するための合焦光学系とを含む、
請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記複数の光源の第3のものは、発散光源と、前記発散光源から放出された前記光を実質的にコリメート又は収束合焦するための合焦光学系とを含む、
請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記レーザは、出力調整可能なレーザであり、
前記システムは、ターゲット距離に基づいて且つ/又は前記第2の光源の出力及び/若しくは前記第2の光源のビーム発散度に基づいて前記レーザの出力を調整するように構成されたコントローラを更に含む、
請求項28又は29に記載のシステム。
【請求項31】
前記複数の光源は、前記光学センサの周囲にリングアレイで配置される、
請求項27~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
複数の光源を含み、
前記複数の光源の少なくとも2つは、互いに異なる波長又は波長範囲を有する光を放出する、
請求項1~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記又はそれぞれの光源は、0.1m~20mの範囲、好ましくは0.1m~10mの範囲、より好ましくは0.1m~5mの範囲、最も好ましくは0.5m~1mの範囲の少なくとも1つの作動距離において、50cm
2未満、好ましくは25cm
2未満、より好ましくは5cm
2未満、更により好ましくは1cm
2未満、最も好ましくは5mm
2未満のエリアを照射するように構成される、
請求項1~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記光源は、10°以下、好ましくは5°以下、より好ましくは2°以下、更により好ましくは1°以下、最も好ましくは0.1°以下のビーム発散度を有する実質的にコリメートされた光を放出するように構成される、
請求項1~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
a)前記少なくとも1つの光源を使用して、第1のエリアに光を照射することと、
b)前記光学センサを使用して、前記第1のエリアからクロロフィル蛍光を検出することと、
c)前記アクチュエータを使用して、前記少なくとも1つの光源からの前記光を向け直すことと、
d)前記少なくとも1つの光源を使用して、第2のエリアに光を照射することと、
e)前記光学センサを使用して、前記第2のエリアからクロロフィル蛍光を検出することと、
を行うように構成されたコントローラを更に含む、
請求項1~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記コントローラは、前記光源を使用して異なるエリアに光を連続的に照射し、且つ測定位置の2次元アレイにわたって前記エリアからクロロフィル蛍光を検出するように構成される、
請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
異なる強度及び/又は持続時間の光の複数のパルスで各エリアを照射するように構成されたコントローラを含む、
請求項1~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
ビームスプリッタ又は光結合器を更に含み、
前記光源は、前記ビームスプリッタ又は光結合器を通して第1の光路に沿って前記エリアを照射するように配置され、
前記光学センサは、前記ビームスプリッタ又は光結合器を通して、前記第1の光路と異なる第2の光路に沿って前記エリアから放出されたクロロフィル蛍光を受け取るように配置され、
前記光源及び前記光学センサは、前記光路が前記ビームスプリッタ又は光結合器と前記エリアとの間で実質的に同軸であるように配置される、
請求項1~37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記光学フィルタは、前記ビームスプリッタ又は光結合器と前記光学センサとの間に配置される、
請求項15~18のいずれか一項に従属する場合の請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記ビームスプリッタを含み、
前記ビームスプリッタと、前記照射されるエリアとの間に合焦光学系を更に含み、
前記合焦光学系は、前記光源からの光を実質的にコリメート又は収束合焦し、且つ前記エリアから前記光学センサに向かうクロロフィル蛍光をコリメート又は収束合焦するように構成される、
請求項38又は39に記載のシステム。
【請求項41】
前記光結合器を含み、
前記光源は、光を第1の光ファイバの第1の端部に放出するように構成され、
前記光学センサは、第2の光ファイバの第1の端部から光を受け取るように構成され、
前記第1及び第2の光ファイバは、前記第1又は第2の光ファイバのいずれかの第2の端部が前記光源からの光を放出して、前記エリアを照射し、及び前記第2の端部が前記エリアからクロロフィル蛍光を受け取るように前記光結合器によって一緒に結合され、
好ましくは、前記アクチュエータは、前記第1又は第2の光ファイバのいずれかの前記第2の端部を移動させることにより、前記光源からの前記光を制御可能に向けるように構成される、
請求項38又は39に記載のシステム。
【請求項42】
前記光学センサは、非撮像光学センサである、
請求項38~41のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
第1の測定フェーズにおいて、光が、低い平均強度を有する光の1つ又は複数のパルスを規定するように強度において変調され、及び第2の測定フェーズにおいて、前記光が、一緒に高い平均強度を有する複数の離散した異なるパルスタイプを規定するように強度において変調されるように、各エリアに前記光を照射するように前記少なくとも1つの光源を制御するように構成されたコントローラを更に含む、
請求項1~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
前記コントローラは、各エリアにおける照射された光の前記強度が各パルスタイプ間で実質的にゼロに戻るように前記少なくとも1つの光源を制御する、
請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
第1の測定フェーズにおいて、光が、前記第1の測定フェーズの第1の割合を構成し、且つ低い平均強度を有する光の1つ又は複数の離散パルスを規定するように強度において変調され、及び第2の測定フェーズにおいて、前記光が、前記第1の測定フェーズの前記第1の割合よりも大きい前記第2の測定フェーズの第2の割合を構成し、且つ高い平均強度を有する複数の離散パルスを規定するように強度において変調されるように、各エリアに前記光を照射するように前記少なくとも1つの光源を制御するように構成されたコントローラを更に含む、
請求項1~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1の測定フェーズにおける前記パルスは、第1の周波数を有し、
前記第2の測定フェーズにおける前記パルスは、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数を有し、
好ましくは、前記第1及び第2の測定フェーズにおける前記パルスは、同じ強度及び持続時間を有する、
請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
クロロフィル蛍光を測定する方法であって、
a)実質的にコリメート又は収束合焦された光を放出するように構成された少なくとも1つの光源を使用して、第1のエリアに光を照射することと、
b)光学センサを使用して、前記第1のエリアからクロロフィル蛍光を検出することと、
c)アクチュエータを使用して、前記少なくとも1つの光源からの前記光を向け直すことと、
d)前記少なくとも1つの光源を使用して、第2のエリアに光を照射することと、
e)前記光学センサを使用して、前記第2のエリアからクロロフィル蛍光を検出することと、
を含む、
方法。
【請求項48】
前記第1及び第2のエリアに光を照射することは、異なる強度及び/又は持続時間の光の複数のパルスで前記エリアの各々を照射することを含む、
請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記光学センサが、光を照射された各エリアからクロロフィル蛍光を検出することを可能にするために、アクチュエータを使用して前記光学センサを移動させ、且つ/又は前記光学センサに対して1つ若しくは複数の光学要素を移動させることを更に含む、
請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
前記光学センサを移動させ、且つ/又は前記光学センサに対して前記1つ若しくは複数の光学要素を移動させるために使用される前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの光源からの前記光を向け直すために使用される前記同じアクチュエータである、
請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記光学センサは、前記少なくとも1つの光源による照射のためにアクセス可能な全空間よりも小さい、好ましくは前記光源による照射のためにアクセス可能な前記全空間の10%未満、より好ましくは5%未満、更に好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満の視野を有する、
請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記光学センサは、400平方度以下、好ましくは200平方度以下、より好ましくは50平方度以下、最も好ましくは25平方度以下の視野を有する、
請求項49~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つの光源及び光学センサは、互いに対して固定して取り付けられる、
請求項47~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記光学センサは、カメラ等の撮像センサを含む、
先請求項47~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
クロロフィル蛍光を検出することは、前記撮像センサからの測定画像において、前記少なくとも1つの光源からの光を照射されるエリアを含むターゲットエリアと、少なくとも1つの背景エリアとを識別することと、前記背景エリアにおける検出された強度に基づいて、前記ターゲットエリアにおける検出された強度を調整することとを含む、
請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記背景エリアは、前記ターゲットエリア外の前記測定画像の実質的に全体を含む、
請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1つの背景エリアを識別することは、好ましくは、前記測定画像にわたる前記検出された強度に基づいて、前記ターゲットエリア外の前記測定画像の一部を選択することを含む、
請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記背景エリアにおける前記検出された強度に基づいて、前記ターゲットエリアにおける前記検出された強度を調整することは、前記背景エリアにわたる平均背景強度を計算することと、前記平均背景強度を前記ターゲットエリアにおける前記検出された強度から減算することとを含む、
請求項55~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの光源は、レーザを含み、
前記方法は、前記撮像センサの測定画像においてターゲットエリアを識別することを更に含み、
前記ターゲットエリアは、前記レーザによって照射される前記エリアの一部分であり、
好ましくは、前記レーザは、スポット形エリアに光を照射するように構成され、
前記ターゲットエリアは、前記照射されるスポット形エリアの中央部分である、
請求項54~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記光学センサは、非撮像光学センサであり、
前記方法は、撮像光学センサを用いて、光を照射された前記エリアの画像を撮影することを更に含み、
好ましくは、前記撮像光学センサは、前記非撮像光学センサよりも広い視野を有する、請求項47~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
クロロフィル蛍光を検出する前記ステップは、光学フィルタが、光の光路において、前記ターゲットエリアと前記光学センサとの間に位置して、前記少なくとも1つの光源からの反射光を遮る間に行われる、
請求項47~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記光学フィルタは、好ましくは、約650nm以下の波長を有する光を遮るように構成されたロングパスフィルタ、又は好ましくは650nm~750nmの範囲外の光を遮るように構成されたバンドパスフィルタを含む、
請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記光学フィルタは、干渉フィルタである、
請求項61又は62に記載の方法。
【請求項64】
好ましくは前記光学フィルタをフィルタホイール上で移動させることにより、前記光路に対して前記光学フィルタを選択的に移動させることを含む、
請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記光学センサの前記視野内の前記照射エリアの位置、サイズ及び/又は形状に基づいて、前記照射された第1のエリア及び/又は前記照射された第2のエリアまでの距離を特定することを含む、
請求項47~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの光源が2次元にわたる異なるエリアに光を照射することを可能にするために2自由度を有する、
請求項47~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの光源が2次元にわたる異なるエリアに光を照射することを可能にするために可変のヨー及びピッチを有する、
請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記少なくとも1つの光源及び光学センサは、透明窓を含む囲まれた筐体内に取り付けられ、
前記少なくとも1つの光源及び光学センサは、前記透明窓を通して動作し得る、
請求項47~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つの光源は、レーザ、好ましくは出力調整可能なレーザを含む、
請求項47~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記レーザは、スポット形エリアに光を照射するように構成される、
請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つの光源は、1つ又は複数のLEDを含む、
請求項47~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも1つの光源は、発散光源と、前記発散光源から放出された前記光を実質的にコリメート又は収束合焦するための合焦光学系とを含む、
請求項47~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
各エリアは、それぞれ実質的にコリメート又は収束合焦された光を放出して、共通エリアに光を照射する複数の光源からの光を照射される、
請求項47~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記複数の光源の第1のものは、レーザ、好ましくは出力調整可能なレーザを含み、
前記複数の光源の第2のものは、発散光源と、前記発散光源から放出された前記光を実質的にコリメート又は収束合焦するための合焦光学系とを含む、
請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記複数の光源の第3のものは、発散光源と、前記発散光源から放出された前記光を実質的にコリメート又は収束合焦するための合焦光学系とを含む、
請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記レーザは、出力調整可能なレーザであり、
前記方法は、前記照射される第1又は第2のエリアまでの距離に基づいて且つ/又は前記第2の光源の出力及び/若しくは前記第2の光源のビーム発散度に基づいて、各エリアを照射するときの前記レーザの出力を調整することを更に含む、
請求項74又は75に記載の方法。
【請求項77】
前記複数の光源は、前記光学センサの周囲にリングアレイで配置される、
請求項73~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記複数の光源の少なくとも2つは、互いに異なる波長又は波長範囲を有する光を放出する、
請求項73~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記又はそれぞれの光源は、0.1m~20mの範囲、好ましくは0.1m~10mの範囲、より好ましくは0.1m~5mの範囲、最も好ましくは0.5m~1mの範囲の少なくとも1つの距離において、50cm
2未満、好ましくは25cm
2未満、より好ましくは5cm
2未満、更により好ましくは1cm
2未満、最も好ましくは5mm
2未満のエリアを照射するために使用される、
請求項47~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記光源は、10°以下、好ましくは5°以下、より好ましくは2°以下、更により好ましくは1°以下、最も好ましくは0.1°以下のビーム発散度を有する実質的にコリメートされた光を放出するように構成される、
請求項47~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記少なくとも1つの光源を使用して異なるエリアに光を連続的に照射することと、測定位置の2次元アレイにわたって前記エリアからクロロフィル蛍光を検出することとを含む、
請求項47~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
ビームスプリッタ又は光結合器を更に含み、
前記光源は、前記ビームスプリッタ又は光結合器を通して第1の光路に沿って前記第1又は第2のエリアを照射するように配置され、
前記光学センサは、前記ビームスプリッタ又は光結合器を通して、前記第1の光路と異なる第2の光路に沿って前記第1又は第2のエリアから放出されたクロロフィル蛍光を受け取るように配置され、
前記光源及び前記光学センサは、前記光路が前記ビームスプリッタ又は光結合器と前記第1又は第2のエリアとの間で実質的に同軸であるように配置される、
請求項47~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記光学フィルタは、前記ビームスプリッタ又は光結合器と前記光学センサとの間に配置される、
請求項61~64のいずれか一項に従属する場合の請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記ビームスプリッタを含み、
前記ビームスプリッタと、前記照射されるエリアとの間に合焦光学系を更に含み、
前記合焦光学系は、前記光源からの光を実質的にコリメート又は収束合焦し、且つ前記エリアから前記光学センサに向かうクロロフィル蛍光をコリメート又は収束合焦するように構成される、
請求項82又は83に記載の方法。
【請求項85】
前記光結合器を含み、
前記光源は、光を第1の光ファイバの第1の端部に放出するために使用され、及び前記光学センサは、第2の光ファイバの第1の端部から光を受け取るために使用され、
前記第1及び第2の光ファイバは、前記第1又は第2の光ファイバのいずれかの第2の端部が前記光源からの光を放出して、前記第1又は第2のエリアを照射し、及び前記第2の端部が前記エリアからクロロフィル蛍光を受け取るように前記光結合器によって一緒に結合され、
好ましくは、前記アクチュエータは、前記第1又は第2の光ファイバのいずれかの前記第2の端部を移動させることにより、前記光源からの前記光を向け直すように構成される、
請求項82又は83に記載の方法。
【請求項86】
前記光学センサは、非撮像光学センサである、
請求項82~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
1つ又は複数の更なるエリアに対してステップc)、d)及びe)を繰り返すことと、前記検出されたクロロフィル蛍光の経時変化を監視することとを含む、
請求項47~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記検出されたクロロフィル蛍光又は前記検出されたクロロフィル蛍光の経時変化に基づいて、照明、温度、水、湿度、CO
2又はO
2濃度、土壌栄養分濃度及び土壌pHの1つ又は複数に対する変更を推奨することを更に含む、
請求項47~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
第1の測定フェーズにおいて、光が、低い平均強度を有する光の1つ又は複数のパルスを規定するように強度において変調され、及び第2の測定フェーズにおいて、前記光が、一緒に高い平均強度を有する複数の離散した異なるパルスタイプを規定するように強度において変調されるように、各エリアに前記光を照射することを含む、
請求項47~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
各エリアにおける照射された光の前記強度は、各パルスタイプ間で実質的にゼロに戻る、
請求項89に記載の方法。
【請求項91】
第1の測定フェーズにおいて、光が、前記第1の測定フェーズの第1の割合を構成し、且つ低い平均強度を有する光の1つ又は複数の離散パルスを規定するように強度において変調され、及び第2の測定フェーズにおいて、前記光が、前記第1の測定フェーズの前記第1の割合よりも大きい前記第2の測定フェーズの第2の割合を構成し、且つ高い平均強度を有する複数の離散パルスを規定するように強度において変調されるように、各エリアに前記光を照射することを含む、
請求項47~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記第1の測定フェーズにおける前記パルスは、第1の周波数を有し、
前記第2の測定フェーズにおける前記パルスは、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数を有し、
好ましくは、前記第1及び第2の測定フェーズにおける前記パルスは、同じ強度及び持続時間を有する、
請求項91に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロフィル蛍光を測定するためのシステム及び方法に関する。特に、本発明は、光学分析を使用して、ターゲットエリアにわたって位置する植物のクロロフィル蛍光を測定するために商業的温室、垂直農法農場又は野外農場での使用に適した設備に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の生長において、クロロフィル蛍光とは、吸収された光が、脱励起中に植物中のクロロフィル分子によって再放出される現象である。植物によって吸収された光は、一般に、電子伝達、熱又は蛍光に寄与し得、これらの比率は、環境要因及び植物生理学と関連する要因に基づいて変化し得る。クロロフィル蛍光の測定は、光合成(光化学系を通した電子伝達)を介した植物によるCO2吸収率、生物的又は非生物的ストレス及び環境変化(例えば、温度、湿度、灌漑、二酸化炭素濃度)が植物の生長効率に与える影響を含めて、植物生長の幾つかの側面のインジケータとして使用することができる。したがって、クロロフィル蛍光は、農作物の収量、栄養及び品質を評価するのに有用な技法である。
【0003】
クロロフィル蛍光は、通常、まず暗順応した植物を高強度の光の短いフラッシュに露出させて、植物において、蛍光レベルを最大に到達させることができる光化学過程を飽和させることで査定される。次いで、蛍光は、暗順応状態で最小レベルに戻る。続けて、化学光が適用され、飽和パルスが再び適用される。蛍光は、パルスに応答して新たな光順応最大まで上昇し、それから光順応最小に下がる。これらの蛍光レベルの比率は、効率、即ち有用な電子伝達に寄与している入射光の割合を含めて、植物の状態の種々の指標を提供する。
【0004】
クロロフィル蛍光分析の背後にある理論の説明は、E.Murchie及びT.Lawson著、「Chlorophyll fluorescence analysis:a guide to good practice and understanding some new applications」、Journal of experimental botany、64 13(2013):3983-98、DOI:10.1093/jxb/ert208に見出すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
商業的な植物生長では、苗床に光を浴びさせ、蛍光について植物を光学的に監視することが知られている。光のパルス及びそれに続く蛍光が、関心領域近くに把持又は保持された光ファイバを通して行われる近接測定技法も知られている。これらの技法は、両方とも解消されることが望ましい問題を有する。特に、前者の技法は、定期的な明るい光のパルスが必要であることに起因して、非常にエネルギーを必要とすると共に、一般に蛍光への感度が比較的低い。他方では、近接技法は、典型的には、手動動作を必要とし、測定中の植物にダメージを与える恐れがある。本発明は、既知のクロロフィル測定システムと関連する上記の欠点がない、商業設定でクロロフィル蛍光分析を実行するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、クロロフィル蛍光を測定するためのシステムが提供され、本システムは、エリアに光を照射するために、実質的にコリメート又は収束合焦された光を放出するように構成された少なくとも1つの光源と、光源が複数の異なるエリアに光を照射することを可能にするために、光源からの光を制御可能に向けるように構成されたアクチュエータと、光を照射された各エリアからクロロフィル蛍光を検出するように構成された光学センサとを含む。
【0007】
このシステムは、作物の群落の小さいエリアを照射するために、実質的にコリメート又は収束合焦された光を放出する作動光源を使用する。本システムは、典型的には、作物の上方に取り付けられ、測定ターゲット位置に対応する小さいエリア内の群落を上から照射する。一度に群落の小さいエリアを照射することにより、群落に光パルスを浴びせるシステムよりもはるかに低い全体エネルギーコストで飽和の光強度閾値及び測定パルスに到達することができる。この指向性光源を作動させることにより、作物群落のより広いエリアにわたって関心領域を測定することができ、作物生長の大規模な画像を依然として生成し得ることを保証する。更に、垂直軸外、即ち幾らかの水平成分を有するターゲットエリアを照明するような光源の作動により、群落下のターゲットの等しく正確な測定を行うことも可能になる。このターゲットを定めた測定得システムは、植物と接触することなく、且つ手動オペレータの必要なく実施することができ、したがって植物蛍光を測定する既知のシステムと比べて大きい利点を提供することができる。
【0008】
本システムは、光源の精密なコリメートを必要としないことが理解され、実際に、市販のレーザは、幾らかの程度のビーム発散を有する。「実質的にコリメートされた」という用語は、10°以下のビーム発散度を有する光源を包含するものとして理解されるであろう。当然のことながら、より厳密にコリメートされた光が好ましく、実際にビーム発散度が5°以下、より好ましくは2°以下、更により好ましくは1°以下、最も好ましくは0.1°以下であることが好ましい。市販のレーザは、典型的には、0.1°よりもはるかに低いビーム発散度を有するが、更に以下で説明するように、本システムは、はるかに緩くコリメートされた光を有する光源を用いて実施することができる。
【0009】
上述したように、本システムは、光源が複数の異なるエリアに光を照射することを可能にするために、光源からの光を制御可能に向けるように構成されたアクチュエータを含む。これは、典型的には、光源からの光を受けるために光源を移動させるように構成されたアクチュエータを伴い得る。即ち、光源全体を移動させることにより、その光源からの光を照射されるエリアを変更することが可能である。代わりに又は加えて、アクチュエータは、光源からの光を向けるために、光源に対してミラー等の1つ又は複数の光学要素を移動させるように構成され得る。例えば、走査ミラー又は光操縦マイクロ電子機械システムの使用により、光源を移動させることなく、光源からの光を異なるエリア間に向けることができる。
【0010】
本システムは、光学センサが、光を照射された各エリアからクロロフィル蛍光を検出することを可能にするために、光学センサを移動させ、且つ/又は光学センサに対してミラー等の1つ若しくは複数の光学要素を移動させるように構成されたアクチュエータを含むことが特に好ましい。これは、より詳細に後述するように、光学センサの狙いを測定点に直接定められるようにすると共に、視野のより小さいセンサの使用を可能にするために好ましい。これが好ましいが、代わりに、例えば可動光源がアクセス可能な空間全体をカバーする視野を有する固定された光学センサが使用され得る。
【0011】
典型的には、光学センサを移動させ、且つ/又は光学センサに対して1つ若しくは複数の光学要素を移動させるように構成されたアクチュエータは、光源からの光を向けるように構成された同じアクチュエータであり、即ち1つのアクチュエータが光源及び光学センサの両方を向ける。例えば、光源及び光学センサは、両方とも同じ本体又はフレームに取り付けられ得、光源及び光学センサの両方を異なるターゲットに同時に向けるように本体又はフレームがアクチュエータによって移動される。代わりに、アクチュエータは、光源からの光を向け、光学センサに光を向けるために使用される光学要素の組を制御し得る。これが好ましいが、異なるアクチュエータを光源及び光学センサに使用することもできる。これは、追加のアクチュエータを使用して、例えば可変測定距離に適応するように光源及び光学センサを互いに対して移動させることを除外しないが、典型的には少なくとも1つの光源及び光学センサが互いに対して固定される方が簡単であり、したがって好ましいことに留意されたい。
【0012】
上述したように、可動光学センサを有することにより、より小さい視野のセンサの使用が可能になる。特に、光学センサは、少なくとも1つの光源による照射のためにアクセス可能な全空間よりも小さい、好ましくは光源による照射のためにアクセス可能な全空間の10%未満、より好ましくは5%未満、更に好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満の視野から光を受け取り得る。光源がアクセス可能な全空間は、作動エリアを画定し、立体角であり得、その内部で測定を行うように光を向けることができる、作物群落の異なるエリアを照射するようにアクチュエータが光源からの光を向けることが可能な経路を指す。絶対的には、光学センサは、400平方度以下、好ましくは200平方度以下、より好ましくは50平方度以下、最も好ましくは25平方度以下の視野から光を受け取り得る。光学センサとして使用され得る典型的なカメラは、18°×12°以下の視野又はより好ましくは6°×4°の視野を有し得る。比較的小さい視野の光学センサの使用は、幾つかの理由のために特に好ましい。意義深いことに、これは、クロロフィル蛍光測定の信号対雑音比を下げ、なぜなら、即ち照射エリアがセンサの視野のより大きい割合をカバーするためである。更に、視野がより小さいことは、クロロフィル蛍光測定を分析する場合、転送し、処理するデータがより少ないことを意味し、本システムの動作を加速させ、電力使用を制限する。
【0013】
多くの実施形態では、光学センサは、カメラ等の撮像センサを含むことが好ましい。これは、幾つかの理由で好ましい。第1に、これにより、センサの視野内の照射エリアの位置を特定することができ、それにより以下で説明するように測定ターゲットまでの距離を特定することができる。更に、これにより、本システムは、群落の画像を構築することも可能になり、群落の画像は、作物の状態を査定し、且つ関心点を識別するために有用であり得る。撮像センサが好ましいが、本システムは、非撮像センサを使用することもでき、それでもなお許容可能なクロロフィル蛍光測定を得ることができる。実際に、以下で説明するように、一部の状況では非撮像センサが好ましいことがある。
【0014】
場合により、照射光に対するターゲットの応答曲線のより精密な測定を可能にする、高測定周波数が可能な光学センサを提供することが好ましいこともある。これに関して、高測定周波数は、少なくとも1kHz、好ましくは少なくとも10kHz、より好ましくは少なくとも100kHz、最も好ましくは少なくとも1MHzの周波数を意味し得、これらは、最大で1ms、好ましくは最大で100μs、より好ましくは最大で10μs、最も好ましくは最大で1μsの測定時間間隔に対応する。一般に、より高い測定周波数が好ましく、なぜなら、それは、よりよい解像度を蛍光応答曲線に提供するためである。カメラは、典型的には、1秒当たりのフレーム数が低いことが多いため、これに関してあまり好ましくない。代わりに、非撮像であり、且つ/又はアナログ信号を出力する光学センサを使用し得、なぜなら、これらは、典型的には、より高い測定周波数を達成可能であるためである。適した光学センサは、シリコン光検出器及び/又はフォトダイオードを含み得る。
【0015】
クロロフィル蛍光測定システムが直面する1つの問題は、これらが、多くの場合、パルス幅変調グロー光を使用する設定で設置されることである。そのようなグロー光は、一般に、クロロフィル蛍光と関連する同じ遠赤波長の光を含み、この光源のパルス幅変調は、フリッカーを植物の任意の撮影画像に生じさせる。この背景フリッカーは、任意の1つの画像において、クロロフィル蛍光からの光の割合及び単にグロー光から反射されたのみの割合の特定を難しくする。従来、これは、全ての画像でいかなる背景も一定であるように、パルス幅変調の使用をなくすようにグロー光を変更することによって対処されてきた。しかしながら、撮像センサを使用するシステムは、測定画像において、少なくとも1つの光源からの光を照射されたエリアを含むターゲットエリアと、少なくとも1つの背景エリアとを区別するように構成されたコントローラを更に含み得、コントローラは、背景エリアにおける検出された強度に基づいて、ターゲットエリアにおける検出された強度を調整するように更に構成される。ターゲットエリアは、典型的には、その明るさ並びに位置及び形状に基づいて識別することができ、即ち典型的にはターゲットまでの距離に応じて特定のエリアに限られる位置を有する、画像における明るい点である。コンピュータビジョン技法が使用されて、ターゲット領域の輪郭をより正確に描くことができ、これは、画像減算、輪郭描画、平均化又はノイズ除去を含み得る。画像におけるこのエリア外のいかなる点も、グロー光からの反射光を主に含むと予想され得、したがってターゲットエリアにおける背景強度レベルを確立するために使用され得る。この技法の利点は、システムがターゲットの小さいエリアのみを照射する方法によって可能になり、ターゲットに光を浴びさせる既知の技法は、照明されない背景エリアとの瞬時比較を得られないことに留意されたい。
【0016】
これらの実施形態では、背景エリアは、ターゲットエリア外の測定画像の実質的に全体であり得る。これにより、背景補償の計算が簡単になり得る。代わりに、コントローラは、好ましくは、測定画像にわたる検出された強度に基づいて、ターゲットエリア外の測定画像の一部を背景エリアとして選択するように構成され得る。例えば、これは、ターゲットエリアにおけるのと同じ植物又は同じ葉のエリアを識別することに注目するコンピュータビジョン技法を含み得るか、強度及びターゲットエリアへの画像における近接性に基づき得るか、又は例えばローリングシャッタによって生じる背景差を避けるために画像の特定の垂直若しくは水平部分をターゲットとし得る。
【0017】
ターゲットエリアにおける検出された強度を調整することは、典型的には、コントローラが背景エリアにわたる平均背景強度を計算することと、平均背景強度をターゲットエリアにおける検出された強度から減算することとを含み得る。例えば、平均背景強度は、背景エリアにおける各ピクセルの強度を合算し、ピクセル数で除することによって計算することができる。代わりに、50パーセンタイルをメジアン背景ピクセル強度として採用することができる。次いで、ターゲットエリアにおける各ピクセルから背景値を減算して、アーチファクト背景照明を補償し得る。
【0018】
特に、光源がレーザを含むシステムに関して、撮像センサを使用する別の利点は、これが、レーザ照射プロファイルを補償することによってクロロフィル蛍光測定の品質を改良し得ることである。好ましくは、本システムは、撮像センサの測定画像におけるターゲットエリアを識別するように構成されたコントローラを更に含み、ターゲットエリアは、1つ又は複数の光源によって照射されるエリアの一部分であり、好ましくは、レーザは、スポット形エリアに光を照射するように構成され、及びターゲットエリアは、照射されるスポット形エリアの中央部分である。レーザは、典型的には、フラットトップ照射プロファイルを有さないため、レーザ光を照射されたエリアの幾つかの部分は、飽和閾値に達しない可能性がある。したがって、撮像センサは、コントローラが、この閾値が満たされる光を照射されたエリアの部分を分離できるようにし得、クロロフィル蛍光測定値は、このエリアから検出され得る。ターゲットエリアは、レーザの特性に基づいて事前に決定され得るか、又は反射レーザ光の検出若しくは検出されたクロロフィル蛍光プロファイルに基づいて測定画像から直接決定され得る。
【0019】
上述したように、撮像センサ及び非撮像センサの両方を使用することには、種々の利点がある。したがって、幾つかの実施形態では、撮像センサ及び非撮像センサの両方を使用することが好ましいことがある。好ましくは、上記の光学センサ、即ちクロロフィル蛍光を検出する、好ましくはアクチュエータによって作動する光学センサは、フォトダイオード等の非撮像センサであり、本システムは、カメラ等の非撮像センサを更に含む。非撮像センサは、好ましくは、アナログ信号を出力し、且つ/又は少なくとも1kHz、好ましくは少なくとも10kHz、より好ましくは少なくとも100kHz、最も好ましくは少なくとも1MHzの定周波数を有する。この実施形態では、非撮像センサは、好ましくは、先に規定したように、小さい視野を有する。非撮像センサに関して、視野とは、そこからの光がセンサに衝突するエリアを指し、これは、非撮像センサと関連する、レンズ等の1つ又は複数の光学要素によって制御することができる。好ましくは、非撮像センサ又は非撮像センサと関連するミラー等の1つ若しくは複数の光学要素は、光学センサが、光を照射された各エリアからクロロフィル蛍光を検出することを可能にするために、アクチュエータ(好ましくは光源からの光を向ける同じアクチュエータ)によって移動可能である。撮像センサは、好ましくは、非撮像センサよりも広い視野を有し、光源による照射のためにアクセス可能な空間内の照射エリア、例えば作物群落を見つけ、作物の視覚的査定を実行するために使用され得る。例えば、非撮像光学センサは、400平方度以下、好ましくは200平方度以下、より好ましくは50平方度以下、最も好ましくは25平方度以下の視野を有し得る一方、撮像光学センサは、少なくとも1000平方度、好ましくは少なくとも2000平方度、より好ましくは少なくとも5000平方度、最も好ましくは少なくとも10000平方度の視野を有し得る。撮像センサは、例えば、作物群落の固定画像を提供するために本システム内で実質的に固定することができる。しかしながら、代わりに、撮像センサ及び非撮像センサの両方又はそれと関連する光学要素は、光を照射された各エリアに向けられるように、同じ又は異なるアクチュエータによって作動され得る。撮像センサは、後述するように、視野内の光を照射されたエリアの位置に基づいて測定ターゲットまでの距離を特定するために使用され得る。
【0020】
好ましくは、本システムは、少なくとも1つの光源からの反射光を遮り、且つ光学センサが、クロロフィル蛍光から生じた光を検出することを可能にするように配置された光学フィルタを更に含む。これは、フィルタを光学センサの前(即ち光学センサと、光源によって照射されるエリアとの間)又は他の場合にはターゲットエリアと光学センサとの間の光路に配置することによって実行され得る。典型的には、光源は、クロロフィル蛍光として再放出されるものと異なる波長又は波長範囲を有する光を放出する。例えば、光源は、450nmであり得、蛍光は、650nm~750nmの範囲であり得る。光源によって放出された波長又は波長範囲を濾波するための光学フィルタを提供することにより、クロロフィル蛍光のより正確な測定が可能になる。蛍光で再放出される波長は、光源によって放出されるものよりも長い波長であり、したがって、好ましくは、フィルタは、好ましくは、約650nm以下の波長を有する光を遮るように構成されるか、又は好ましくは650nm~750nmの範囲外の光、好ましくは650nm~700nm若しくは700nm~750nmの範囲外の光を遮るように構成されたロングパスフィルタであり得る。センサの光路に独立して移動可能な650nm~700nm及び700nm~750nmの別個のバンドパスフィルタの使用により、PSI及びPSII蛍光測定を別個に行うことが可能になり得る。特定の好ましいタイプのフィルタは、干渉フィルタである。干渉フィルタは、安価であるが、濾波される波長は、入射角に依存する。小さいエリアのみが光を照射されるため、このエリア内からの光は、フィルタに入射することになり、実質的に同じ入射角、干渉フィルタが部分的に有効であり得ることを意味する。これは、特に光学センサが可動である場合に該当し、なぜなら、センサを照射エリアに向けることは、光が、測定が群落で行われている場所を問わず、常に実質的に同じ方向からセンサに入射することを意味することになるためである。
【0021】
幾つかの場合、フィルタを選択的に使用可能であることが好ましいことがある。例えば、光学フィルタは、少なくとも1つの光源からの反射光を選択的に遮るために、光学センサに衝突する光の光路に対して移動可能であり得、好ましくは、光学フィルタは、フィルタホイール上に位置し得る。これにより、システムは、作物の状態を査定するために追加の測定を行うことができるようになる。例えば、作物の状態についてより多く推測するために、ターゲット位置から反射される入射光の量を検出するか又は群落の正確なカラー写真を構築することが望ましいことがある。代わりに、上述したように、650nm~700nm及び700nm~750nmのバンドパスフィルタ等の異なるフィルタを切り替えることが好ましいことがある。
【0022】
先に示唆したように、本システムの別の利点は、作物群落の高さの画像を構築し得ることである。これは、光学センサの視野内の照射エリアの位置、サイズ及び/又は形状に基づいてターゲット距離を特定するように構成されたコントローラを提供することによって達成され得る。例えば、光源が、3mmスポットサイズを有するレーザである場合、これは、光学センサの視野内のスポットのサイズに基づいてレーザスポットまでの距離を推測するために使用され得る。代わりに又は加えて、光学センサの視野におけるスポットの位置は、視差の結果としてのものに基づいてターゲットまでの距離に応じて変化し得、ターゲットまでの距離の特定に使用することもできる。例えば、光源の作動により、光源及び光学センサが指している相対方向が変わった場合、測定ターゲットまでの距離を特定するためにアクチュエータの位置も特定する必要があり得る。最後に、スポットの形状は、ターゲットエリアにわたる距離変動、例えばビーム方向に対するターゲットの角度を特定するために使用され得る。例えば、円形スポットは、ビームに対して垂直なターゲットを示唆し得る一方、楕円形スポットは、ターゲットの片側が逆側よりも光源から遠い状態での傾斜を示唆し得、この傾斜の大きさは、スポットの伸長度によって特定され得る。距離が長くなるか又は傾斜が大きくなるにつれて、検出された強度が下がることを補償し、且つ植物生長の別の測定として又は群落の3Dモデルを構築するために、この距離及び傾斜は、クロロフィル蛍光測定に織り込まれ得る。更に、好ましくは、光源の出力は、光学センサの視野内の照射エリアの位置、サイズ及び/又は形状に基づいて調整される。これにより、本システムは、距離が長くなるにつれて又は傾斜角が急になるにつれて光のエネルギー密度が下がることを補償することが可能になり得る。
【0023】
好ましくは、アクチュエータは、少なくとも1つの光源(アクチュエータによって光学センサも向けられる場合、光学センサも)が2次元にわたる異なるエリアに光を照射することを可能にするために2自由度を有する。本システムは、好ましくは、測定位置の2次元アレイにわたってクロロフィル蛍光測定を行うことによって動作する。他の実施形態は、一方向のみに沿ってエリアを測定するか又は群落にわたって線合焦レーザ掃引を使用することにより、1つのみの移動方向を有することができる。
【0024】
本システムは、光源(及び任意に光学センサ)を例えば直交方向に沿って並進させるアクチュエータを用いて動作することができるが、アクチュエータが1つ又は複数の方向の周りで光源を回転させるように構成される方がはるかに好ましい。例えば、好ましくは、アクチュエータは、少なくとも1つの光源が2次元にわたる異なるエリアに光を照射することを可能にするために可変のヨー及びピッチを有する。即ち、アクチュエータは、好ましくは、光が放出される方向に実質的に直交する2つの異なる、好ましくは直交する回転軸の周りで光源を回転させ得る。アクチュエータが光源を直接回転させなくてよく、光源(及び光学センサ)が取り付けられた本体を回転させ得ることが理解されるであろう。この形態のアクチュエータは、比較的広いエリアからクロロフィル測定を依然として行いながら、システムを固定位置に取り付けられるようにする。代わりに、本システムは、2次元エリアから測定を行うために、光源の並進運動の一方向及び回転運動の一方向を有し得る。
【0025】
幾つかの特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの光源及び光学センサは、透明窓を含む囲まれた筐体内に取り付けられ、少なくとも1つの光源及び光学センサは、透明窓を通して動作し得る。幾つかの実施形態では、アクチュエータは、筐体内部に取り付けられ得るか、又は代わりに、アクチュエータは、光源及び光学センサが内部にある筐体を移動させ得る。この配置は、例えば、高湿度であり得る環境及びシステム付近の他の機器又は作業者による接触からシステムを保護するのに役立つ。これは、特にアクチュエータが光源を回転させる場合に好ましく、なぜなら、これにより、光源の移動量がわずかな状態で光源が広いエリアから測定を行うことが可能になるためである。そのような実施形態では、透明窓が筐体の少なくとも部分的に透明なドーム形要素によって提供されることが好ましいことがある。「部分的に透明」という用語は、ドーム形筐体部の少なくとも一部が透明であり、それにより光源及び光学センサがそれを通して動作し得ることを意味するものと理解することができる。ドーム形筐体要素は、光源(及び光学センサ)が向けられる実質的にあらゆる方向において、ドーム形筐体要素の一部に実質的に直交する方向に光源からの光がドーム形筐体要素のその一部を透過するように配置され得る。これは、窓による光の歪みを最小限にすることができると共に、特に光学センサが比較的小さい視野を使用する場合、光学センサが受け取る光の歪みを最小限にすることもできる。
【0026】
上述したように、好ましくは、少なくとも1つの光源は、レーザを含む。好ましくは、レーザは、スポット形エリアを照射するように構成されるが、代わりに線形エリアを照射するように構成された線合焦レーザが使用され得る。レーザは、緊密にコリメートされた光を生成すると共に、典型的には非常に小さいエリアを照射し、所望の波長の光を使用するように選択することができるため、特に有用である。したがって、これは、比較的小量の出力を使用しながら、照射エリアに求められるエネルギー密度閾値を満たすことが可能であると共に、広範囲の距離にわたって機能することも可能である。好ましくは、レーザは、出力調整可能なレーザである。これは、同じレーザが飽和パルス及び測定パルスの両方を実行できるようにする。代わりに又は加えて、これにより、レーザは、測定ターゲットまでの距離及び/又はターゲットが傾斜方向に対して傾斜することに起因した照射エリアにおけるばらつきを補償するように出力を調整することができ得る。例えば、異なる波長の光を使用して別個の測定を行うことが望ましい場合、光源が2つ以上のレーザを含み得ることが理解されるであろう。レーザが使用される場合、好ましくは、本システムは、ホログラフィック拡散器等の少なくとも1つのビーム成形光学要素を更に含む。そのようなビーム成形器は、レーザの所望のスポットサイズ、形状及び均一性を達成するように構成され得、したがってクロロフィル蛍光測定を改善し得る。
【0027】
レーザの代わりに又はそれに加えて使用される別の好ましいタイプの光源は、1つ又は複数のLED(発光ダイオード)である。LEDは、典型的には、より安価であり、安全性の懸念がより少ないというレーザよりも優れた利点を有する。より詳細に以下で説明するように、幾つかの好ましい実施形態は、1つ又は複数のLED及び1つ又は複数のレーザの両方を使用し得る。補足的なLEDの使用は、レーザの所要出力を低減し得、なぜなら、即ちレーザから飽和パルス及び測定パルスに必要なエネルギー密度に達するために必要な出力がより少なく、したがってそれにより作業者の周囲での本システムの使用をより安全にすることができるためである。それでもなお、本システムは、使用出力がより少ないという恩恵を依然として受け得る。
【0028】
実際に、少なくとも1つの光源は、LEDが一例であり得る発散光源と、発散光源から放出された光を実質的にコリメート又は収束合焦するための合焦光学系とを含み得る。LED電球等の発散光源は、最初に広い角度範囲にわたって放出されたその光の少なくとも一部を1つ又は複数のレンズ等の合焦光学系によって合焦させて、測定ターゲットにおけるエネルギー密度を増大させ得る。光が合焦光学系によって実質的にコリメートされることが好ましいであろう。合焦光学系によってコリメートされた光は、典型的には、例えばレーザよりも緩くコリメートされ、したがって測定ターゲットまでの距離に応じて照射エリアサイズのより大きいばらつきを有し得ることが理解されるであろう。場合により、光を収束合焦することが好ましいことがある。これは、所定の距離におけるレーザスポットと同等の小さいエリアを照射するのに有用であり得る。他の場合、合焦光学系は、調整可能であり得、測定ターゲットまでの距離に応じて光の合焦を変更し得る。
【0029】
使用される光源のタイプを問わず、好ましくは、光源は、出力調整可能な光源であり、それにより、光源は、飽和パルス及び測定パルスの両方を実行することができると共に、ターゲットまでの距離に基づいて出力を調整することができる。
【0030】
上述したように、本システムは、それぞれ実質的にコリメート又は収束合焦された光を放出するように構成され、且つ共通エリアに光を照射するように配置された複数の光源を含み得る。「共通エリア」の照射は、2つの光源が、少なくとも部分的に、ターゲットに衝突する場所で重なることを意味するものとして理解されるであろう。光源は、必ずしも厳密に同じエリアを照射する必要があるわけではないことに留意されたい。例えば、合焦LEDからのスポットがレーザからのスポットよりも大きいことが一般であり得、それでもなお同じターゲットに向けることができ、両方の光源によって照射される共通エリアを画定する。本システムが有する全ての光源は、全く同一の共通エリアを照射することを必ずしも求められるわけではないことに留意されたい。例えば、本システムは、第1の測定タイプのための、第1の波長の光を放出する第1のレーザ及び1つ又は複数のLEDと、第2の測定タイプのための、異なる第2の波長の光を放出する第2のレーザ及び/又は1つ又は複数のLEDとを含み得、これらの光源からの光は、必ずしも重なる必要はなく、実際に重ならないことが好ましいことがある。
【0031】
先に示唆したように、異なるタイプの光源には、それ自体の利点があり、したがって各々の強みから恩恵を受けるために異なるタイプを同じシステムに統合することが好ましいことがある。したがって、好ましくは、複数の光源の第1のものは、レーザ、好ましくは出力調整可能なレーザを含み、複数の光源の第2のものは、発散光源(例えば、1つ又は複数のLED)と、発散光源から放出された光を実質的にコリメート又は収束合焦するための合焦光学系とを含む。上述したように、このタイプの1つ又は複数の合焦光源でレーザを補足することで、飽和パルス及び測定パルスに必要なエネルギー密度に達するために必要なレーザ出力を低減することができ、したがって作業者の周囲での本システムの使用をより安全にすることができる。実際に、大半の場合、2つのみではなく、3つ以上の光源が使用されることになる。好ましくは、複数の光源の第3のものは、発散光源と、発散光源から放出された光を実質的にコリメート又は収束合焦するための合焦光学系とを含む。これらの好ましい場合、発散光源及び合焦光学系のアレイ並びに少なくとも1つのレーザを有し得、これらの全ては、クロロフィル蛍光を測定するために共通エリアに光を照射するように構成される。複数の光源、特に複数の発散光源(例えば、LED)及び関連する合焦光学系は、光学センサの周囲にリングアレイで配置され得る。リングアレイの光源は、異なる照射方向での測定ターゲットへの光の均一性を改善するために有利である。
【0032】
レーザが、発散光源(例えば、1つ又は複数のLED)及び発散光源から放出された光を実質的にコリメート又は収束合焦するための合焦光学系と併せて使用される場合、好ましくは、レーザは、出力調整可能なレーザであり、本システムは、ターゲット距離に基づいて且つ/又は第2の光源の出力及び/若しくは第2の光源のビーム発散度に基づいてレーザの出力を調整するように構成されたコントローラを更に含む。上述したように、収束光学系を用いた発散光源は、典型的には、測定ターゲットまでの距離の関数として照明エリアにおいてより大きい変動を有することになる。調整可能なレーザを使用することにより、これに適応するためにレーザ出力を変更することができる。例えば、ターゲットが近く、合焦光学系を用いた発散光源からの光が小さいエリアに集中される場合、飽和パルス又は測定パルスに必要なエネルギー密度に達するためにより低出力のレーザスポットのみでよい。他方では、ターゲットが離れている場合、コリメートが完全ではないことがあるか又はターゲットが収束合焦の焦点を越えるため、光は、より大きいエリアにわたって拡散し得、したがって必要とされるエネルギーに達するためにレーザからより大きい出力が必要になり得る。レーザの調整は、先に説明したように、ターゲットまでの距離及びその傾斜の指標であり得る、光学センサの視野内の照射エリア(レーザ又は発散光源及び合焦光学系による)の位置、サイズ及び/又は形状にも基づき得る。
【0033】
上述したように、本システムを使用して行われる測定において、異なる波長又は波長範囲の光を使用することが望ましいことがあり、したがって、複数の光源を有するシステムは、互いに異なる波長又は波長範囲の光を放出する複数の光源の少なくとも2つの光源を含み得る。これは、可能であるが、1つの波長又は1つの波長範囲の光のみを使用したシステムを有することも可能である。
【0034】
本システムの多くの利点は、任意のある測定中、小さいターゲットエリアに対して作用するようにシステムを制限することから生じる。好ましくは、その又はそれぞれの光源は、所定の作動距離において、50cm2未満、好ましくは25cm2未満、より好ましくは5cm2未満、更により好ましくは1cm2未満、最も好ましくは5mm2未満のエリアを照射するように構成される。例えば、合焦されたLEDは、レーザよりも大きいエリアを照射し得、レーザは、典型的には、1cm2未満、多くの場合に5mm2未満のスポットサイズを有することが理解されるであろう。一般に、より小さい照射エリアが好ましく、なぜなら、より小さい照射エリアによってより小さい視野のセンサの使用が可能になり、それによりノイズ及びデータ処理要件が下がると共に、ターゲットエネルギー密度に達するときに光源によって使用されるエネルギーも下がるためである。所定の作動距離は、0.1m~20mの範囲、好ましくは0.1m~10mの範囲、より好ましくは0.1m~5mの範囲、最も好ましくは0.5m~1mの範囲であり得る。
【0035】
照射エリアのサイズは、放出される光のコリメート又は収束及び光源からの、光がターゲットに衝突する距離によって決まる。典型的には、本システムは、ある範囲の距離にわたって機能するように構成されることになり、したがってターゲット照射エリアサイズが全作動範囲にわたって達成されることが好ましいことがあり、全作動範囲は、0.1m~20m、好ましくは0.1m~10m、より好ましくは0.1m~5m、最も好ましくは0.5m~1mであり得る。これは、単に、実質的にコリメートされた光源が作動範囲の両端でターゲット照射エリアサイズを満たすことを保証することによって達成され得る。顕著な一例では、その又はそれぞれの光源は、0.1m~20mの範囲内の少なくとも1つの作動距離において、好ましくは全作動距離にわたって50cm2未満のエリアを照射するように構成される。レーザが使用される場合、照射されるエリアは、0.1~20mの全範囲にわたって1cm2未満であり得る。しかしながら、長い距離における蛍光の検出への限界の結果として、本システムは、より小さい作動距離を有することになる可能性が高く、その結果、達成可能な照射エリアは、より小さくなる。そのような一例では、その又はそれぞれの光源は、0.1m~10mの範囲内の少なくとも1つの作動距離において、好ましくは上記の範囲全体にわたって25cm2未満のエリアを照射するように構成される。別の例では、その又はそれぞれの光源は、0.1m~5mの範囲内の少なくとも1つの作動距離において、好ましくは上記の範囲全体にわたって10cm2未満のエリアを照射するように構成される。個々でも、レーザは、特に0.1m~10m又は0.1m~5mの作動範囲にわたって1cm2未満のエリアを照射し得る。当然のことながら、作動範囲及び照射エリアは、光源及び光学センサの適宜選択により、特定の設置に向けて必要に応じて構成可能であることが明らかになるであろう。
【0036】
多くの実施形態では、a)少なくとも1つの光源を使用して、第1のエリアに光を照射することと、b)光学センサを使用して、第1のエリアからクロロフィル蛍光を検出することと、c)アクチュエータを使用して、少なくとも1つの光源を向け直すことと、d)少なくとも1つの光源を使用して、第2のエリアに光を照射することと、e)光学センサを使用して、第2のエリアからクロロフィル蛍光を検出することとを行うように構成されたコントローラも提供される。コントローラは、典型的には、即ち光源を使用して異なるエリアに光を連続的に照射し、且つ測定位置の2次元アレイにわたって上記のエリアからクロロフィル蛍光を検出することにより、更なる測定ターゲットに対してステップc)、d)及びe)を繰り返すことになる。これにより、本システムは、限られた数の測定で作物の群落にわたる植物生長の画像を構築することができる。
【0037】
本システムは、ネットワーク、好ましくはインターネットを介してコントローラ並びに/又はデータ処理及び/若しくは記憶装置に接続され得る。例えば、本システムによって収集されたデータは、インターネットを介してクラウド処理及び/又は記憶ネットワークに通信され得る。本システムは、例えば、そのようなネットワークに接続するために、WiFi又はEthernet接続モジュールを含み得る。
【0038】
異なるエリアでの植物のクロロフィル蛍光を測定するために、それぞれ上述したような複数のシステムが提供され得る。これらのシステムの各々は、制御及び/又は測定データの収集のために同じネットワークに接続され得る。
【0039】
測定は、1つ若しくは複数のシステムに接続されたディスプレイ等のインタフェースを通してオペレータ、例えば生育者に報告することができか、又はAPIを介してオペレータのデバイスに報告することができる。複数のシステムが提供される場合、測定は、検出が行われた各システムに報告され、寄与し得る。
【0040】
本システムの利点は、同じ光源を飽和パルス及び測定パルスの両方に使用し得ることである。好ましくは、コントローラは、異なる強度及び/又は持続時間の光の複数のパルスで第1及び第2のエリアの各々を照射するように構成される。特に、これは、少なくとも1つのパルス、好ましくはより低い強度、より低い周波数及び/又はより短い持続時間(第2の測定フェーズと比べて)を有する複数の測定パルスで各エリアを照射して、いわゆるF0測定を提供することを含む第1の測定フェーズを含み得る。この第1の測定フェーズにおいて、光は、典型的には、低い平均強度(ここでも第2のフェーズと比べて)を有する強度で変調されることになる。これは、典型的には、提供オン状態とオフ状態との間での変調を含むことになるが、両方とも第2の測定フェーズでのパルスよりも低い強度であり得る2つの異なる強度間で変化し得る。次いで、第2の測定フェーズは、典型的には、第1の測定フェーズでのパルスよりも高い強度、高い周波数及び/又は長い持続時間を有する少なくとも1つの飽和パルスで上記のエリアを照射して、いわゆるFm測定を提供することを含み得る。この第2の測定フェーズにおいて、光は、典型的には、第1のフェーズよりも高い平均強度を有する強度で変調されることになる。これは、両方とも典型的には第1の測定フェーズで使用される強度のいずれよりも高い2つの異なる強度間で光を変更することを含み得る。第2の測定フェーズを実行した後、典型的には第3のフェーズが続き、第3のフェーズにおいて、より低い強度、より低い周波数及び/又はより短い持続時間の測定パルスが再開され、例えば、光は、典型的には、低強度オン状態とオフ状態との間等、低い平均強度(第2の測定フェーズと比べて)を有する強度で変調されることになる。
【0041】
特に好ましい一実施形態では、コントローラは、第1の測定フェーズにおいて、光が、低い平均強度(第2の測定フェーズと比べて)を有する光の1つ又は複数のパルスを規定するように強度において変調され、及び第2の測定フェーズにおいて、光が、一緒に高い平均強度を有する複数の離散した異なるパルスタイプを規定するように強度において変調されるように、各エリアに光を照射するように少なくとも1つの光源を制御するように構成される。飽和パルス(即ち本用語での第2の測定フェーズ)は、典型的には、幾つかの異なる光パルスの重ね合わせによって形成される単一の光パルスを含むため、従来の測定プロセスにおいて飽和パルスを用いて行われる測定と異なる。
【0042】
好ましくは、ターゲットエリアにおける照射光の強度は、各パルスタイプ間で実質的にゼロに戻る。各パルスタイプ間で光強度がゼロに戻ることが好ましく、なぜなら、これは、光源の線形性要件に役立つためである。しかしながら、代わりに、強度は、パルス間で低いベースライン強度に戻ることができる。
【0043】
本例では、好ましくは、第2の測定フェーズは、第1のパルスタイプの複数の光パルスと、第2のパルスタイプの複数の光パルスとを含み、第2のパルスタイプの光パルスは、第1のパルスタイプの光パルス間で生じ、好ましくは、第1及び第2のパルスタイプは、交互になる。第1のパルスタイプは、好ましくは、上記の第1のパルスタイプが、低値に戻る前に第1の強度及び持続時間を有するように、光が低値、好ましくはオフ値から第1の高値に変調されることを含み、第2のパルスタイプは、好ましくは、第2のパルスタイプの強度及び持続時間の少なくとも一方、好ましくは両方が第2の測定フェーズにおける第1のパルスタイプのものと異なるように、光が同じ低値、好ましくはオフ状態から第2の高値(第1の高値と同じであるか又は異なり得る)に変調されることを含む。実際に、典型的には、パルスの持続時間は、数桁異なることになる。第2の測定フェーズは、ここでは、従来の飽和パルスに類似するが、本例では、ターゲットは、飽和パルスで照射され、飽和パルスは、短時間にわたってオフに切り替えられ、飽和パルスがオフであるこの期間中、ターゲットは、測定パルスで照射される。
【0044】
上記の測定プロファイルには、幾つかの利点がある。パルスプロファイルは、立ち上がり時間又は立ち下がり時間の影響を受けにくく、振幅、即ち強度の影響をそれほど受けない。光源の線形性要件が低下し、スイッチオン電流の影響の受けやすさが下がる。2つのレーザパルスが重ならないため、レーザ安全性も改善する。
【0045】
別の好ましい実施形態では、コントローラは、第1の測定フェーズにおいて、光が、第1の測定フェーズの第1の割合を構成し、且つ低い平均強度(第2の測定フェーズと比べて)を有する光の1つ又は複数の離散パルスを規定するように強度において変調され、及び第2の測定フェーズにおいて、光が、第1の割合よりも大きい第2の測定フェーズの第2の割合を構成し、且つ高い平均強度を有する複数の離散パルスを規定するように強度において変調されるように、各エリアに光を照射するように少なくとも1つの光源を制御するように構成される。測定フェーズの割合は、光が低値である、例えば光がオフである時間量と比べて光強度が高値である、例えば光がオンである時間量を指す。第2の測定フェーズは、より高い平均強度を提供するために、第1の測定フェーズよりも高強度値において高い割合を有するべきである。例えば、これらの異なる割合は、第1の測定フェーズにおいて、第2の測定フェーズにおけるパルスよりも低い周波数を有するパルスを提供することによって提供され得る。好ましくは、第2の測定フェーズにおけるパルスは、作物の生物学的応答が光周波数による影響を受けず、平均強度のみに応答するように、5~1000kHz、好ましくは10~1000kHz、より好ましくは10~500kHzの周波数を有する。
【0046】
好ましくは、第1の測定フェーズでの光パルスは、第2の測定フェーズでの光パルスと同じ強度を有する。好ましくは、第1の測定フェーズでの光パルスは、第2の測定フェーズでの光パルスと同じ持続時間を有する。好ましくは、第1の測定フェーズでの光パルスは、第2の測定フェーズでの光パルスと同じであり、異なる平均強度を提供するために周波数が異なる。
【0047】
この実施形態では、従来の飽和パルス(本第2の測定フェーズと均等)は、一連の高周波数パルスで置き換えられる。これらのパルスは、F0測定(本用語での第1の測定フェーズ)で使用される測定パルスと同じであり得る。第1の測定フェーズ中のパルス振幅、持続時間及びデューティサイクルは、光合成がトリガーされないように第1の測定フェーズ中に低平均照明を達成し、且つ第2の測定フェーズ中に反応中心の飽和を達成するように計算され得る。
【0048】
本実施形態のように1つのみのパルスタイプを使用することの利点は、パルス生成する駆動回路が単純であり得ることである。パルスプロファイルは、立ち上がり時間又は立ち下がり時間の影響も受けにくく、パルスの振幅の影響をそれほど受けない。光源の線形性要件が低下し、スイッチオン電流の影響の受けやすさが下がる。この技法は、検出器がロックオン増幅器を使用し得ることを意味する。典型的な飽和パルスで必要とされるピーク振幅よりも低い振幅であり得る単一の振幅が使用可能であるため、レーザ安全性が改善し得る。最後に、この測定技法の重要な利点は、高周波パルスにより、特に非撮像センサを用いて高周波数で測定を行い得ることである。これにより、OJIP等のクロロフィル蛍光動力学の測定が可能になる。
【0049】
検出器システムによって捕捉された光強度のクロロフィル蛍光測定(Fo,Fm)への変換は、植物の葉から代表的な蛍光強度を得るために、追加の処理ステップを必要とし得る。これは、ガウス分布の出力強度を有する典型的なレーザスポットプロファイルに起因し、中央領域のみが測定に十分な光強度を有することになる。したがって、蛍光強度を計算するために分離される領域は、中央領域に制限されるべきである。各励起強度で検出器によって返される蛍光強度のために重ならない対称の正規分布を保証するように領域が計算されるべきである。イメージセンサの場合、コンピュータビジョン技法を使用して、まず関心領域を検出し、次いで正確な測定を保証するために、関心のある特定のピクセルを改良することができる。
【0050】
多くの実施形態では、その又はそれぞれの光源とターゲットとの間の光路及びターゲットと光学センサとの間の光路は、異なる角度でターゲットエリアに衝突する。これは、光源及び光学センサの間隔が離れており、それらが同じターゲットに狙いを定めることの結果であり得る。一部の状況では、そのような配置が有利であり、実際に、この示唆をどのように使用してターゲットまでの距離の特定に役立ち得るかを既に説明している。しかしながら、一部の状況では、同軸配置を有し、それにより光路がターゲットにおいて実質的に同じであることが好ましいことがある。したがって、幾つかの実施形態は、ビームスプリッタ又は光結合器を更に含み、光源は、ビームスプリッタ又は光結合器を通して第1の光路に沿って上記のエリア、即ちターゲットエリアを照射するように配置され、光学センサは、ビームスプリッタ又は光結合器を通して、第1の光路と異なる第2の光路に沿って上記のセリアから放出されたクロロフィル蛍光を受け取るように配置され、光源及び光学センサは、光路がビームスプリッタ又は光結合器と上記の照射エリアとの間で実質的に同軸、即ち同じであるように配置される。換言すれば、ターゲットにおける照射方向は、センサの検知方向と実質的に同じである。ビームスプリッタ及び光結合器は、両方とも各入力方向を2つの出力方向に変換し、本配置は、光源からの2つの出力の一方を使用して入力として蛍光を受け取り、光学センサは、この蛍光の使われていない出力に配置される。これにより、ビームスプリッタ又は光結合器を介して光学センサを効率的に光源の軸上に提供することができる。これは、ターゲットエリアからの蛍光が常に、例えばターゲットの性質を問わず同じ平面において光学センサに入射することを提供し得、ターゲットを識別する必要性をなくすことによって測定をより高速にし得る。
【0051】
これらの実施形態では、光学フィルタが使用される場合、フィルタは、ビームスプリッタ又は光結合器と光学センサとの間に配置されるべきであり、したがって、即ち、第1の光路は、フィルタを通らない。このようにして、照射光は、フィルタによって影響されず、光学センサに向かう蛍光のみが濾波される。
【0052】
ビームスプリッタ使用の1つの利点は、これが、ビームスプリッタと、照射される上記のエリアとの間に合焦光学系を更に含み得、合焦光学系は、光源からの光を実質的にコリメート又は収束合焦すると共に、上記のエリアからのクロロフィル蛍光を光学センサに向けてコリメート又は収束合焦するように構成される。したがって、センサに向けられる光の成形に使用されるのと同様に、光学系の組は、光源からの光の成形に使用することができる。これにより、本システムは、製造がより安価になり得る。
【0053】
光結合器使用の1つの利点は、光源が第1の光ファイバの第1の端部に光を放出するように構成され得、及び光学センサが第2の光ファイバの第1の端部から光を受け取るように構成され、上記の第1及び第2の光ファイバが、第1又は第2の光ファイバのいずれかの第2の端部が光源からの光を放出して、上記のエリアを照射し、及び上記の第2の端部が上記のエリアからクロロフィル蛍光を受け取るように光結合器によって一緒に結合されることであり、好ましくは、アクチュエータは、第1又は第2の光ファイバのいずれかの上記の第2の端部を移動させることにより、光源からの光を制御可能に向けるように構成される。特に、この配置は、光源及び光学センサが静止したままであり得、光の方向付け及び光学センサの照準合わせが光ファイバの移動によって実行されることを意味する。そのような実施形態では、放出された光を第1又は第2の光ファイバのいずれかの第2の端部からターゲットに向けてコリメート又は収束合焦すると共に、クロロフィル蛍光を合焦して光ファイバに合焦するための合焦光学系を含むことが好ましいことがある。
【0054】
上記の実施形態は、非撮像光学センサと併用される場合、特に有利である。これは、クロロフィル蛍光が常に光学センサに同じ平面で入射することになり、視野内のターゲットエリアを識別するために撮像が必要ないためである。上述したように、非撮像センサは、典型的には、より高い測定周波数が可能であり、パルス応答曲線の測定に有用であり得る。
【0055】
本発明の第2の態様によれば、クロロフィル蛍光を測定する方法が提供され、本方法は、a)実質的にコリメート又は収束合焦された光を放出するように構成された少なくとも1つの光源を使用して、第1のエリアに光を照射することと、b)光学センサを使用して、第1のエリアからクロロフィル蛍光を検出することと、c)アクチュエータを使用して、少なくとも1つの光源を移動させることと、d)少なくとも1つの光源を使用して、第2のエリアに光を照射することと、e)光学センサを使用して、第2のエリアからクロロフィル蛍光を検出することとを含む。
【0056】
本方法は、本発明の第1の態様によるシステムを使用してクロロフィル蛍光を測定する方法に対応し、本方法において、光源は、テストのために異なるエリアを選択的に照射するようにアクチュエータによって移動可能である。本発明の第1の態様による上述した有利な各特徴は、この態様による本方法でも同様に実施することができる。
【0057】
ステップc)、d)及びe)が1つ又は複数の更なるエリアに対して繰り返され得ることが理解されるであろう。これらの将来のエリアは、第1及び第2のエリアと異なるエリアを含み得るが、クロロフィル蛍光の経時変化を検出するために、例えば後に実質的に同じ第1及び/又は第2のエリアにおいて測定を繰り返すことも含み得る。本方法は、クロロフィル蛍光を経時測定し、変化をオペレータ、例えば生育者に報告することにより、植物光合成効率、即ち光化学課程における励起電子状態への光子の変換のリアルタイム監視を提供するために使用され得る。
【0058】
本方法は、検出されたクロロフィル蛍光から、Fv/Fm等の一般的なクロロフィル蛍光メトリックを特定するために使用され得る。本方法は、植物生長及び生産性の監視及び報告に使用することもできる。例えば、クロロフィル蛍光メトリックが経時測定され得、変化が識別され、オペレータ、例えば生育者に報告され得る。これらの監視されたメトリックから、測定された植物の環境に対する変更を推奨することが可能であり得る。例えば、本方法は、検出されたクロロフィル蛍光又は検出されたクロロフィル蛍光の経時変化に基づいて、照明、例えば人工照明、温度、水、湿度、CO2又はO2濃度、土壌栄養分濃度及び土壌pHの1つ又は複数に対する変更を推奨することを含み得る。
【0059】
本発明の更なる態様によれば、クロロフィル蛍光を測定する方法が提供され、本方法は、少なくとも1つの光源を使用して、第1のエリアに光を照射することであって、第1のエリアを照射することは、第1の測定フェーズにおいて、光が、低い平均強度を有する光の1つ又は複数のパルスを規定するように強度において変調され、及び第2の測定フェーズにおいて、光が、一緒に高い平均強度を有する複数の離散した異なるパルスタイプを規定するように強度において変調されるように、第1のエリアを照射することを含み、好ましくは、ターゲットエリアにおける照射光の強度は、第2の測定フェーズにおける各パルスタイプ間で実質的にゼロに戻る、照射することと、光学センサを使用して、第1のエリアからクロロフィル蛍光を検出することとを含む。好ましくは、第2の測定フェーズは、第1のパルスタイプの複数の光パルスと、第2のパルスタイプの複数の光パルスとを含み、第2のパルスタイプの光パルスは、第1のパルスタイプの光パルス間で生じ、好ましくは、第1及び第2のパルスタイプは、交互になる。第1のパルスタイプは、好ましくは、上記の第1のパルスタイプが、低値に戻る前に第1の強度及び持続時間を有するように、低値、好ましくは実質的にオフ状態から第1の高値に変調される光パルスを含み、第2のパルスタイプは、好ましくは、第2のパルスタイプの強度及び持続時間の少なくとも一方、好ましくは両方が第2の測定フェーズにおける第1のパルスタイプのものと異なるように、同じ低値、好ましくは実質的にオフ状態から第2の高値(第1の高値と同じであるか又は異なり得る)に変調される光を含む。
【0060】
本発明の別の態様によれば、クロロフィル蛍光を測定する方法が提供され、本方法は、少なくとも1つの光源を使用して、第1のエリアに光を照射することを含み、第1のエリアを照射することは、第1の測定フェーズにおいて、光が、第1の測定フェーズの第1の割合を構成し、且つ低い平均強度を有する光の1つ又は複数のパルスを規定するように強度において変調され、及び第2の測定フェーズにおいて、光が、第1の測定フェーズの第1の割合と異なる第2の測定フェーズの第2の割合を構成し、且つ高い平均強度を有する複数の離散パルスを規定するように強度において変調されるように第1のエリアを照射することを含む。ここでも、測定フェーズの割合は、光が低値である、例えば光がオフである時間量と比べて光強度が高値である、例えば光がオンである時間量を指す。第2の測定フェーズは、より高い平均強度を提供するために、第1の測定フェーズよりも高強度値において高い割合を有するべきである。例えば、これらの異なる割合は、第1の測定フェーズにおいて、第2の測定フェーズにおけるパルスよりも低い周波数を有するパルスを提供することによって提供され得る。好ましくは、第2の測定フェーズにおけるパルスは、植物の生物学的応答が光の周波数によって影響されず、平均強度に対してのみ応答するように、5~1000kHz、好ましくは10~1000kHz、より好ましくは10~500kHzの周波数を有する。好ましくは、第1の測定フェーズにおける光パルスは、第2の測定フェーズにおける光パルスと同じ強度を有する。好ましくは、第1の測定フェーズにおける光パルスは、第2の測定フェーズにおける光パルスと同じ持続時間を有する。好ましくは、第1の測定フェーズにおける光パルスは、第2の測定フェーズにおける光パルスと同じであり、異なるデューティサイクル比率、したがって異なる平均強度を提供するために周波数が異なる。この実施形態では、従来の飽和パルス(本第2の測定パルスに等しい)は、一連の高周波パルスで置換される。これらのパルスは、F0測定(本用語では第1の測定フェーズ)で使用される測定パルスと同じであり得る。
【0061】
ここで、本発明について添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるシステムを概略的に示す。
【
図2】本発明の第1の実施形態によるシステムの斜視図を示す。
【
図3】本発明の第1の実施形態によるシステムの一部の斜視図を示す。
【
図4】本発明の第1の実施形態によるシステムの一部の側面図を示す。
【
図6】システムの動作中に撮影された測定画像である。
【
図7】本発明の第2の実施形態によるシステムを概略的に示す。
【
図8】本発明の第3の実施形態によるシステムを概略的に示す。
【
図9】本発明の第4の実施形態によるシステムを概略的に示す。
【
図10】本発明の第5の実施形態によるシステムを概略的に示す。
【
図11】本発明の第6の実施形態によるシステムを概略的に示す。
【
図12】クロロフィル蛍光を測定する第1の方法の経時光強度を示すグラフである。
【
図13】クロロフィル蛍光を測定する第2の方法の経時光強度を示すグラフである。
【
図14】クロロフィル蛍光を測定する第3の方法の経時光強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
ここで、本発明の第1の実施形態について
図1~
図4を参照して説明する。
【0064】
図1は、主要構成要素及び測定を行う際のそれらの使用を示すシステムを概略的に示す。システム1は、ドーム形筐体10を含み、ドーム形筐体10は、支持体40に取り付けられるレーザ20及びカメラ30を囲む。支持体は、アクチュエータ50に接続され、アクチュエータ50は、レーザ20及びカメラ30が向けられる方向を変えるように筐体10内で支持体40を移動させる。筐体は、コントローラ60も囲み、コントローラ60は、アクチュエータ、レーザ及びカメラの動作を制御する。
【0065】
図1に示されるように、ドーム形筐体10は、実質的に平坦な基部により、筐体のドーム部が下方に突出するように、下のエリアにおける生長中の植物の群落Cの上方に取り付けられる。この配置では、支持体40は、レーザ20及びカメラ30を下方の群落C内のターゲットに向けるように、アクチュエータ50によって操作される。レーザ20は、エリア21に光を照射し、行われている測定のタイプに従って飽和パルス又は測定パルスを放出するようにコントローラ60によって制御される。ターゲットは、システム1から0.5~1メートルであり得、この距離でのレーザスポットサイズは、直径約2mmであり得る。カメラ30は、レーザ光を照射されるエリア21を包含する群落の視野31を有する。カメラは、0.5~1メートルの距離で約20cm
2の群落のエリアに対応する視野を有し得る。フィルタ35は、クロロフィル蛍光としてターゲットから放出された光がカメラ30によって検出され、レーザスポット21からの反射光がフィルタ35によって濾波されるように、カメラ30とターゲットとの間に位置する。
【0066】
図2は、カメラ30が省かれた状態のシステムをより詳細に示し、ドーム形筐体10が透明ドーム形カバー11を含むことを示し、透明ドーム形カバー11は、周縁においてリムが隆起した状態で円形基部12に取り付けられる。カバー11は、ねじ(図示せず)によって円形基部12に取り付けられ、ねじは、カバー11の周縁リップのねじ穴13を通してカバー11を基部12に接続して留め付ける。システムの残りの構成要素は、次いで、様体内に囲まれ、基部12とカバー11との間に含まれ、光学構成要素、即ちレーザ20及びカメラ30は、依然として透明カバー11を通して動作することが可能である。システム1の全体は、ねじ穴(図示せず)又は基部12の他の取り付け手段を介して、天井等の群落の上方の表面に基部12を取り付けることによって群落の上方に取り付けられ得る。
【0067】
筐体10内に制御電子回路60がある。これは、アクチュエータ50のコントローラ、レーザ20のコントローラ及びカメラ30のコントローラを含み、これらは、協働してシステムの下方の群落C内の異なるターゲットの一連の測定を行う。これらの制御電子回路は、使用中に静止するように筐体10の基部12に取り付けられる。
【0068】
述べたように、筐体10内には、レーザ20、カメラ30、支持体40及びアクチュエータ50があり、これらは、
図3及び
図4では分離されて示されている。アクチュエータ50は、リング形基部51を含み、その内部には、基部51で受けられる円形部と搭載部とを有するプラットフォーム52が取り付けられる。搭載部には、パンサーボモータ53が配置され、これは、プラットフォームを通る中心軸を通して動作し、好ましくはプラットフォームを360°回転させることが可能である。同様に、軸54を介してプラットフォーム52に取り付けられるのは、チルトサーボモータ55である。チルトサーボモータは、好ましくは、この構成では、プラットフォーム52に対して90°回転することが可能である。可変のヨー及びピッチを有するこのタイプのアクチュエータは、レーザ及びカメラを広いエリアにわたって指向させることが可能であり、したがって小さいフットプリントで大きい群落を調査することが可能である。ドーム形筐体は、レーザ及びカメラが指す場所を問わず、レーザ及びカメラが常にそれらとターゲットとの間の筐体の領域に実質的に垂直であることを保証する。
【0069】
支持体40は、アクチュエータ50のチルトモータ55の筐体に取り付けられ、レーザ20及びカメラ30の両方をフィルタ35と共に支持する成形プラスチックである。支持体40は、特にカメラ保持部41及びレーザ保持部42を含む。これらは、レーザ20及びカメラ30の両方が同じ方向に沿って、即ち互いに平行に向けられ、レーザ20がカメラ30の上方数センチメートルに離間されるように配置される。
【0070】
カメラ筐体部41は、後板41aを含み、カメラ30は、後板41aに取り付けられ、後板から離れてターゲットを指す。カメラ保持部41は、2つのアーム41bも含み、これらは、後板41aから前方にカメラ鏡筒の下に延びる。2つのアームは、それらの前端部でフィルタアセンブリ33に接続する。フィルタアセンブリは、アーム41bの端部に取り付けられたフィルタモータ36に接続されたフィルタホイール34を含む。フィルタモータ36は、フィルタホイール内のフィルタ35又はフィルタ37の全体をカメラ30の前に置くことができるように、フィルタホイール34を回転させるように動作する。フィルタ35は、カメラレンズの前方に保持され、650nm未満の波長を有する垂直入射光を濾波して除外し、カメラ30が650~750nmの範囲の蛍光を測定できるようにするロングパス干渉フィルタであり得るか、又は650~750nmの範囲外の全て光を遮るバンドパスフィルタであり得る。フィルタ37は、PSI又はPSII蛍光を別個に取得するために、650~700nm又は700nm~750nmのバンドパスフィルタ等の異なるフィルタであり得る。代わりに、システムがPSI及びPSII蛍光の両方を互いから独立して測定できるようにするために、フィルタ35は、650~700nmのバンドパスフィルタであり得、フィルタ37は、700nm~750nmのバンドパスフィルタであり得る。
【0071】
支持体40のレーザ保持部42は、両端部が開かれた実質的に円筒形のスリーブであり、前端部における開口は、より小さく、それを通してレーザビームが放出される。レーザ保持部42は、開かれた後端部において、実質的に円柱形のレーザを受け、レーザは、開かれた前端部を通して前方を指す。
【0072】
レーザ20自体は、ビーム直径3mmで約450nmの波長を有するコリメート光を放出するように構成され、8000μmolm-2s-1の平均光合成光子束密度(PPFD)を有する、約1秒続く飽和パルスをターゲットまで送達することが可能であるべきである。レーザは、1μs~10ms続く測定パルスを送達することも可能であるべきである。
【0073】
カメラ30は、米国カリフォルニア州95054サンタクララ市バートンドライブ4275に所在のOmniVision(登録商標)製のOV9281であり得る。このカメラには、信号におけるノイズを低減し、レーザによって照射されたエリアへの感度を上げる、6°×4°の比較的小さい視野が構成され得る。上述したように、カメラの視野は、レーザスポットがシステムの作動範囲にわたって可視であるために十分に大きくなければならない。レーザ20及びカメラ30が互いに平行に向けられる実施形態では、レーザスポットは、無限視野の中央にあり、ターゲットがシステムに近いほど、視野の上部に近くなる。実際に、上述したように、カメラの視野におけるレーザの位置及びスポットサイズは、ターゲットまでの距離の特定に使用され得る。他の実施形態では、レーザ及びカメラは、平行でなくてもよく、代わりにレーザスポットがシステムの作動範囲のおよそ中央でカメラの視野の中央にあるように、向けられた方向に小さいが、一定の角度をなし得る。これにより、ターゲットまでの距離に応じてカメラの全視野にわたってスポットを移動させることができ、したがってターゲットまでの距離の測定感度を上げることができる。約8°の角度がカメラとレーザとの典型的な分離距離及び0.5~1mの範囲の作動距離に適することがわかっているが、これらは、作動距離及びカメラとレーザとの間隔を含む特定のシステム設置に応じて、必要に応じて構成され得ることが理解されるであろう。他の実施形態では、レーザとカメラとの間の角度は、調整可能であり得る。制御システムは、スポットが視野の中央にくるまでレーザ20とカメラ30との間の角度を調整し得、スポットが視野の中央にきた場合、レーザスポットのこのセンタリングを達成するために必要なカメラとレーザとの間の角度により、ターゲットまでの距離を特定することができる。
【0074】
図5は、この実施形態によるシステムの基本動作を示す流れ図である。測定プロセスが開始されると、ステップS100でアクチュエータ50が使用されて、光源、即ちレーザ20及びセンサ、即ちカメラ30を下の群落C内の新たなターゲットに向ける。このターゲットは、例えば、制御電子回路60内に格納されたメモリからのものであり得、典型的には下の群落内の2次元アレイになったターゲットの1つである。これは、ターゲットの規則正しいアレイであり得、例えばシステムから0.75mの距離にある平面における規則正しい正方形格子での2次元において5cm毎に1つのターゲットであり得る。代わりに、ターゲットは、群落内の関心のある予めプログラムされたポイントであり得る。
【0075】
レーザ及びカメラがターゲットに向けられると、ステップS200において、レーザを使用してターゲットに光を照射する。典型的には、第1の測定(いわゆるF0測定)は、一連のパルスを含み、一例では、一連のパルスは、6000μmolm-2s-1までの振幅、0.1μs~100μsのパルス幅及び10sまでの周期を有し、測定間隔にわたって約0.1μmolm-2s-1の低い平均PPFDをターゲットに送達する。飽和(いわゆるFm測定)を測定するために、代わりに飽和パルスが送達される。飽和パルスの強度は、可変であるが、一例では、これは、約0.8s間隔にわたって約8000μmolm-2s-1の平均PPFDをターゲットに提供するように構成される。飽和パルスは、それ自体、両方とも8000~14000μmolm-2s-1の範囲内であり、0.1μs~10msのパルス幅及び10~100msの周期を有する低振幅から高振幅までの一連のパルスを含み得る。
【0076】
上述したように、必要とされる照射プロファイルを実行する前に、コントローラは、最初にターゲットを照射し、センサの視野内の光源の位置を検出することによってターゲットまでの距離を特定し得、それから、ビーム発散の結果としての距離に伴うスポットサイズの任意の既知の変動を考慮に入れると共に、ビームに対するターゲットの傾斜角を考慮に入れて正しいPPFDに達するように、光源の出力を調整し得る。
【0077】
ステップS300では、カメラを使用してターゲットからの蛍光が検出される。このステップは、ステップS200後に示されているが、これらのステップがおよそ並行して実行され、照射ステップの過程中、時間の経過に伴ってカメラが蛍光レベルを連続的に検出することが理解されるであろう。カメラは、このステップ中、ターゲットの一連の画像を撮影し得、これは、異なる測定タイプに対応し得る。例えば、光源は、最初にターゲットをF0測定のために低エネルギーパルスで照射し得、その時間中、カメラは、一連の画像を撮影し、次いで、光源は、Fm測定のために高エネルギーパルスでターゲットを照射し得、その時間中、ここでも、カメラは、一連の測定画像を撮影し得る。
【0078】
図6は、上述したように、バンドパスフィルタを通してカメラを使用して撮影された1つの測定画像Mを示す。幾つかの実施形態では、コントローラは、各測定画像Mに対して背景補償技法を実行し得る。特に、この技法は、パルス誘導蛍光を含むターゲットエリアM
Tを識別することを含む。このエリアは、典型的には、光源の予想される外形に準拠した最も明るいエリアとして識別され、この場合、ターゲットは、およそ円形のスポットであると予想される。次いで、コントローラは、測定画像Mにおいて背景エリアM
Bを識別する。幾つかの実施形態では、背景は、単にターゲットエリアM
T外の全エリアであり得るが、この実施形態では、コントローラは、背景エリアとして機能するものとしてターゲットエリア外の測定画像の一部のみを識別する。これは、例えば、ターゲットエリアに隣接する同等の形状及びサイズのエリアであり得るか、又はコンピュータビジョン技法を使用してターゲットエリアに含まれるものと同じ植物若しくは葉の一部を選択することを含み得る。クロロフィル蛍光に起因しないあらゆる背景光を補償するために、コントローラは、背景エリアM
Bにおける各ピクセルの平均強度を特定する。コントローラは、次いで、この平均背景強度をターゲットエリアM
Tにおける各ピクセルから減算して、クロロフィル蛍光の背景調整済み測定を取得し得る。
【0079】
方法は、
図6に示されるもの等の画像から、クロロフィル蛍光が測定される画像の一部を識別することも含み得る。上述したように、使用される光源は、典型的には、フラットトップ照射プロファイルを有さないため、レーザ光を照射されたエリアの幾つかの部分は、飽和閾値に達しないことがある。したがって、ターゲットエリアM
Tのエッジ領域は、蛍光測定データをスキューさせ得る。したがって、カメラ画像から、これらは、必要とされる閾値が満たされる光を照射されたエリアの中央部分を分離し得、クロロフィル蛍光測定は、任意に、上述したように背景光を補償するように調整されたこのエリアからのみ検出することができる。例えば、カメラによって見られる照射スポットの中央50%がクロロフィル蛍光の測定に選択され得る。
【0080】
ステップS400では、コントローラは、測定が必要な任意の追加のターゲットがあるか否かをチェックする。ある場合、プロセスは、ステップS100に戻り、コントローラは、光源及びセンサを新たなターゲットに向け、それからステップS200及びS300を繰り返す。ターゲットが残っていない場合、プロセスは、終了する。
【0081】
図7は、図形式で本発明の別の実施形態を示す。この実施形態は、特に、異なるタイプの複数の光源の使用を示すと共に、それらによる共通ターゲットエリアの照射を示す。簡潔にするために、
図7は、支持体40、カメラ30、フィルタ35及び複数の光源のみを示す。この図は、実質的に上述の通りであり得る筐体10、アクチュエータ50及びコントローラ60を省いている。
【0082】
この実施形態では、光源は、第1の実施形態に関連して上述したものと実質的に同様であるレーザ20を3つの更なる光源22a、22b及び22cと共に含む。3つのみの更なる光源がこの実施形態では示されているが、より多数の光源が使用され得ることが理解されるであろう。
【0083】
これらの更なる光源の各々は、関連する合焦光学系が一緒のLEDである。各LEDは、同じ測定プロセスで一緒に使用されることが意図される場合、レーザ20と同じ波長、この場合には約450nmの光を放出すべきである。合焦光学系は、この場合、各光源22a、22b、22cが、実質的にコリメートされた光を放出するようにコリメートレンズを含むが、作動範囲の中央を焦点の的とする収束光を放出するための集光レンズ又はターゲット距離に光を調整可能に収束するための調整可能なレンズセットを含むこともできる。
【0084】
更なる光源は、中央に配置されたカメラ30からそれぞれ等距離であるように、カメラ30を囲むリングアレイに配置される。幾つかの実施形態では、交互になった各LEDは、2つの波長又は波長範囲の一方を有し得、それにより、更なる光源は、2つの異なる波長の光を使用して測定を実行することができる。そのような実施形態では、これは、第2の波長を有する第2のレーザによって補足することができ、調整可能なフィルタホイール35を提供して、関心のある異なる波長を利用する異なるタイプの測定に適応することもできる。
【0085】
各光源22a、22b、22cは、下の群落内の各エリア23a、23b、23cを照射する。大半の測定では、照射エリアは、部分的にのみ重なり、これは、
図7に誇張されて示されている。光源は、互いに平行に向けられ得、その場合、スポットの隔たり、したがって重なりは、光源の間隔及びビーム発散度によって決まることになる。代わりに、光源は、システムから所定の距離で完全に重なるように内側に向けられ得るが、そのような場合、光源は、この所定の距離の両側で部分的にのみ重なることになる。更なる代替として、光源は、スポットが各測定距離で整列することができるように調整可能であり得る。
【0086】
図7に示されるように、レーザ20は、レーザスポット21が、光源22a、22b、22cによって照射されるエリア23a、23b、23cの各々と重なるように向けられる。したがって、群落のエリアは、光源20、22a、22b、22cの各々からの光を照射され、この共通エリアは、カメラがクロロフィル蛍光を検出することになる測定ターゲットである。
【0087】
光源22a、22b、22cは、典型的には、レーザ20よりも大きいビーム発散度を有する。その結果、スポットサイズは、ターゲットまでの距離が長くなるにつれて大きくなり、したがって、ターゲットにおけるエネルギー密度は、より密にコリメートされたレーザよりも大きく、距離に伴って低下することになる。これを補償するために、制御電子回路は、ターゲット、即ちレーザスポットのエリアにけるエネルギー密度が、行われている測定に望ましいレベルのままであるようにレーザの出力を調整し得る。各光源のエネルギー出力は、既知であり、ビーム発散度を知ることにより、いずれかの特定の距離で照射されるエリアのサイズを各光源で特定することが可能であり、それによりターゲットにおけるエネルギー密度を特定することが可能である。上述したように、ターゲットまでの距離は、カメラの視野内の照射エリアの位置及び/又はサイズによって特定することができ、レーザスポット21は、距離の特定のために特に好ましい。したがって、制御システムは、通常、ターゲットまでのより長い距離、したがって光源22a、22b、22cのより大きいスポットサイズが付随する低エネルギー密度を補償するように、レーザの出力を上げることが可能である。したがって、制御システムは、作動距離内のいずれの距離で行われている測定でもターゲットエネルギー密度を達成することができる。
【0088】
ここで、更なる実施形態について
図8を参照して説明する。この実施形態は、特に、光源及び光学センサの同軸配置を可能にするビームスプリッタの使用を示す。簡潔にするために、
図8は、支持体40及び支持体上にある要素のみを示す。この図は、実質的に上述の通りであり得る筐体10、支持体40を移動させるアクチュエータ50及びコントローラ60を省いている。
【0089】
この実施形態は、ここでもレーザの形態の光源20を含む。このレーザは、ビーム直径3mmで約450nmの波長を有するコリメート光を放出するように構成され、16000μmolm-2s-1の平均光合成光子束密度(PPFD)を有する、約1秒続く飽和パルスをターゲットまで送達することが可能であるべきである。レーザは、1μs~1ms続く測定パルスを送達することも可能であるべきである。この実施形態では、レーザは、ビームスプリッタの使用に起因して前の実施形態よりも強力であることに留意されたい。
【0090】
レーザは、同様に支持体40上にあるビームスプリッタ70を照射するため、高出力のレーザが必要とされる。図では、レーザは、垂直軸に沿って光を放出し、ビームは、ミラーに45°の角度で入射する。ビームスプリッタは、例えば、半透鏡であり得る。ビームスプリッタは、可能な限り、入射光の50%がビームスプリッタを透過し、入射光の50%が反射されるように構成されるべきである。本配置では、ビームスプリッタを透過したレーザ20からの光は、ターゲットエリア21の照射に使用され、したがって、スプリッタビームが、ターゲットにおいて必要とされるエネルギー密度に達するために、2倍の照射出力が必要とされる。この例では、ビームスプリッタによって水平軸に反射されるレーザ20からの光は、使用されない。
【0091】
同様に支持体40上にあるのは、フォトダイオード等の非撮像光学センサ30、第1の実施形態に関して実質的に説明した通りのフィルタホイールであり得る光学フィルタ35及び集光レンズ38を含む光学センサ機構である。これらの構成要素は、ビームスプリッタの別の側、即ち図中の水平軸上及びレーザ光のいずれも向けられないビームスプリッタ70の側に配置される。集光レンズ38は、好ましくは、サンプルまでの可変距離を補償するために、光学センサ30に向かい且つ離れる方向に移動可能であるように電動化される。これは、検出器の作動距離を増大させ、生成される信号を改善する。電動化集光レンズは、例えば、カメラの一部として又は本実施形態でのように非撮像検出器から離間されて、本明細書に記載の実施形態のいずれで使用され得る。この配置により、検出器エリア31内のクロロフィル蛍光は、垂直軸上でビームスプリッタ70に入射し、ビームスプリッタによって水平軸に反射された光は、光学センサ30に向けられる。この水平軸に反射された光は、最初に集光レンズ38に入射し、集光レンズ38は、ビームスプリッタ70から反射された光を光学センサ30に向けて合焦するように配置される。光が集光レンズ38から光学センサ30に向けて合焦されるにつれて、光学フィルタ35を通り、光学フィルタ35は、例えば、650nm~750nmの範囲外の全ての光を濾波して除外し得る。したがって、光学センサ30において受け取られる光の強度は、ターゲットエリア21におけるクロロフィル蛍光のレベルを示すことになる。この実施形態では、集光レンズ38は、必須ではなく、光学センサ30及びフィルタ35がエリア31から十分な光を受け取るために十分に大きい場合に省かれ得ることに留意されたい。更に、非撮像センサが使用されるが、カメラ等の撮像センサを使用することも可能である。しかしながら、示唆に起因したスポットの奥行き知覚が失われる。
【0092】
図8に見ることができるように、ビームスプリッタ70を介在させてレーザ20及び光学センサ機構を垂直軸上に取り付けることにより、ビームスプリッタ70とターゲット21との間で放射方向及び検知方向を同軸にすることができ、ターゲットまでの距離を問わず、光がセンサ30によって検出されるエリア31は、ターゲット21でセンタリングされる。レーザ20、センサ30がフィルタ35、集光レンズ38及びビームスプリッタ70と共に支持体40上に互いに対して固定して取り付けられた状態で、例えばアクチュエータ(この実施形態には示されず)による支持体の移動により、撮像される異なるターゲットにシステムを向けることができ、ターゲットエリアからの光は、ターゲットの距離を問わず、センサ30に同じように入射することになる。代わりに、同軸照射及びセンサ方向は、例えば、同軸光路に配置された走査ミラー機構等の操縦光学系により、支持体40を固定したままで異なるターゲットに向けることができる。
【0093】
図9は、
図8に示される実施形態の一変形形態を示す。
図8では、レーザからの光は、ビームスプリッタ70に入射するときに既にコリメートされているが、この実施形態では、レーザは、発散光源22で置換されており、即ち、この光をコリメートするための集光レンズ38は、ビームスプリッタを透過する光路においてビームスプリッタ70の下流に配置される。したがって、このレンズ38は、ターゲットエリア21からのクロロフィル蛍光をビームスプリッタ37に合焦するためにも使用され、ビームスプリッタ37において、光の約半分は、フィルタ35を通して光学センサ30に反射される。光源をレンズ38の透過焦点に位置決めし、光学センサをレンズ38の反射焦点に位置決めすることにより、このレンズは、光源から光をコリメートし、ターゲットからの光を光学センサに合焦するという二重目的を果たす。
【0094】
図10は、この場合、光ファイバ81、82及び光ファイバ結合器71を使用して、軸上照明及び検出を達成するシステムの別の実施形態を示す。
【0095】
この実施形態は、レーザ光源20を含み、レーザ光源20は、ここでも、ビーム直径3mmで約450nmの波長を有するコリメート光を放出するように構成されるべきであり、少なくとも16000μmolm-2s-1の平均光合成光子束密度(PPFD)を有する、約1秒続く飽和パルスをターゲットまで送達することが可能であるべきである。光ファイバからの損失に応じて、より大きい出力が必要であり得る。このレーザは、光ファイバ81の第1の端部81aに光を注入する。この光ファイバは、光を光ファイバ結合器71に伝達し、光ファイバ結合器71は、可能な限り、50%が第1のファイバ81の第2の端部81bに向かって続き、50%が第2の光ファイバ82に向けられ、向けられると直ちに第2の光ファイバ82の第2の端部82bに向かって移動するようにこの入力光を分割する。第2の光ファイバ82の第2の端部82bに向けられた光は、この実施形態ではそれ以上使用されない。
【0096】
第1の光ファイバの第2の端部は、可動プラットフォーム40に取り付けられる。このファイバの第2の端部は、ファイバコリメータ81cに結合され、ファイバコリメータ81cは、ファイバから放出された光が、ターゲット21に向けることができる実質的にコリメートされた光ビームに収束することを保証する。このファイバコリメータ81cは、ファイバの端部に取り付けられる別個の構成要素であり得るか、又は第1の光ファイバ81の第2の端部81bに一体化され得る。好ましくは、光ファイバ81、82は、100nmのオーダの直径を有して、低開口数アパーチャを有する。比較的狭い光ファイバ及び低開口数アパーチャは、出力光の密なコリメートをより容易に達成し得ることを保証する。可動プラットフォームは、アクチュエータによって移動することができ、したがって光を異なるターゲットエリアに制御可能に向けるように光ファイバの端部及びコリメータを移動させ得る。
【0097】
ターゲット21からのクロロフィル蛍光は、ファイバコリメータ81cに入射し、ファイバコリメータ81cは、この光を光ファイバの第2の端部81bに結合するように作用し、結合されると、光は、光ファイバ結合器71に透過されることになる。したがって、光ファイバ結合器は、可能な限り、50%が第1のファイバ81の第1の端部81aに向かって続き、50%が第2の光ファイバ82に向けられ、向けられると直ちに第2の光ファイバ82の第1の端部82aに向かって移動するようにクロロフィル蛍光を分離する。
【0098】
第2の光ファイバの第1の端部82aに向かって移動するクロロフィル蛍光は、ファイバブラッグ格子又は薄膜フィルタ35を透過し、ファイバブラッグ格子又は薄膜フィルタ35は、650nm~750nmの範囲の光のみを透過して、レーザからの光を濾波して除外するように構成されるべきである。最後に、濾波された光は、結合された光学センサ30において受け取られ、光学センサ30は、クロロフィル蛍光の強度を検出する。
【0099】
図11は、
図8に示される実施形態の更なる変形形態を示す。非撮像光学センサ30に加えて、この実施形態は、撮像光学センサ32、即ちカメラを含む。非撮像光学センサ30は、同軸照射及び第2の方向を規定するように、光スプリッタ70と共に配置されるが、カメラ32は、照射方向に対して異なる角度で配置される。この実施形態のカメラ32は、非撮像光学センサ30よりも広い視野を有し、非撮像光学センサ30の視野31を方眼する視野33を規定する。例えば、非撮像光学センサ30は、200平方度以下のエリアから光を受け取り得る一方、カメラ32は、少なくとも2000平方度のエリアから光を受け取り得る。この実施形態では、カメラ32も支持体40に取り付けられ、レーザ20及び非撮像光学センサ30と一緒に移動する。しかしながら、カメラは、広い視野を有し得るため、光源及び光学センサがアクチュエータによってカメラに対して移動するように、カメラが固定して取り付けられることも可能である。この実施形態では、カメラは、幾つかの機能のために使用され得る。第1に、カメラは、上述したものと同じ視差技法を使用してターゲットまでの距離を特定し得る。第2に、カメラは、例えば、背景ではなく、作物を照射することを保証し、群落の画像を構築して、例えばクロロフィル蛍光が測定されているエリアの性質についての情報を提供するようにレーザを向けるために使用され得る。したがって、この実施形態は、撮像センサ及び非撮像センサの両方の利点を提供する。上記の実施形態のいずれもクロロフィル蛍光測定に非撮像センサを使用し、カメラ等の別個の撮像センサを有するように変更可能であることが理解されるであろう。
【0100】
図12~
図14は、特に、クロロフィル蛍光測定を行うために作物の照射に使用される光源の駆動に関して、上述した実施形態を動作させる幾つかの異なる方法を示す。
【0101】
図12は、第1の測定技法を示すグラフである。y軸は、PPFD、即ちターゲットエリアを照射する光の振幅又は強度をμmolm
-2s
-1単位で示し、x軸は、時間を示す。グラフで見ることができるように、第1の測定フェーズにおいて、ターゲットは、一連の測定パルス(ML)で照射されて、いわゆるF0測定を行う。各測定パルスは、光を初期オフ状態から、F0測定に指定された強度を有するオン状態に変えることによって形成される。これらの測定パルスは、第1の測定フェーズで一連の回数繰り返すことができる。各測定パルスは、約6000μmolm
-2s
-1のPPFD及び約1μs~10msの持続時間を有する。各パルス間の期間は、0.1s~10sであり得る。第2の測定フェーズにおいて、植物に飽和パルスが照射される。飽和パルスは、約0.8sに設定される。飽和パルスにおいて、光は、最初に約8000μmolm
-2s
-1の第1の振幅でオンになり、光は、約14000μmolm
-2s
-1のより高い振幅にパルスされる。8000μmolm
-2s
-1パルスに重ねられたこれらのパルスは、約1μs~10msの持続時間及び約10ms~100msの周期を有する。これは、上述した測定プロセスに対応する。
【0102】
図13は、第2の測定技法を示すグラフである。ここでも、y軸は、PPFDを示し、x軸は、時間を示す。この測定プロセスは、ここでも、F0を測定する第1の測定フェーズで始まり、これは、
図12に関して上述したものと同じであり得、約6000μmolm
-2s
-1のPPFD及び約1μs~10msの持続時間の1つ又は複数の測定パルスを含む。各パルス間の期間は、0.1s~10sであり得る。しかしながら、この方法は、飽和パルスが異なり、飽和パルスは、この場合、一連の離散した異なるパルスに分割される。特に、飽和パルスは、0.1ms~100msの範囲の持続時間及び約2000~8000μmolm
-2s
-1の振幅をそれぞれ有する一連の第1のパルス並びに0.01μs~100μsの範囲、典型的には10μsの持続時間及び8000~24000μmolm
-2s
-1の範囲の振幅をそれぞれ有する一連の第2のパルスで置換される。振幅、持続時間及びこれらのパルスの間隔は、第2の測定フェーズにおける平均PPFDが8000μmolm
-2s
-1であるように設定される。第1及び第2のパルスは、約0.8s続く第2の測定フェーズ内で交互になる。第2のパルスは、測定パルス(ML)であり、第1のパルスが終わった後に100μsで生じる。この実施形態では、第1のパルスは、ターゲットエリアにおける植物の反応中心を飽和させ、次いで、第2のパルスは、いわゆるFm測定を可能にする。
【0103】
図14は、第3の測定技法を示すグラフである。ここでも、y軸は、PPFDを示し、x軸は、時間を示す。この測定プロセスは、ここでも、F0を測定する第1の測定フェーズで始まる。パルスの強度及びタイミングは、ターゲットに送達される平均PPFDがこの第1の測定フェーズにおいて0.1μmolm
-2s
-1未満であるように選択される。
図14に示されるように、これは、第1の周波数を有する測定パルスを用いて達成され得るが、場合により、第1の測定フェーズにおいて1つのみの測定パルスが存在し得る。第2の測定フェーズは、第1の測定フェーズにおけるパルスと同じ強度及び持続時間を有する一連のパルスで構成される。しかしながら、ここでは、パルスの周波数は、ターゲットに送達される平均PPFDが約8000μmolm
-2s
-1であるように第1の測定フェーズから上げられる。第1及び第2の測定フェーズにおけるパルスは、同じ強度及び持続時間を有するように設定され、周波数のみが異なり、それによりシステムの製造及び制御が簡易化される。
【国際調査報告】