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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】広帯域線形化差動増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/32 20060101AFI20240822BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20240822BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H03F1/32
H03F3/45
H03F3/68 220
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514445
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022037796
(87)【国際公開番号】W WO2023038721
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】17/471,535
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガネヴァティ、マヌチェフル
(72)【発明者】
【氏名】シッディーキー、マンスール、ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、デヴィッド、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハーンドン、マイケル
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA21
5J500AC21
5J500AC81
5J500AF08
5J500AF10
5J500AF15
5J500AF19
5J500AH12
5J500AH24
5J500AH25
5J500AH29
5J500AK15
5J500AK16
5J500AK68
5J500AM19
5J500AT01
5J500CK06
5J500CK07
5J500NG02
(57)【要約】
RF増幅器(100)は、差動増幅器構成で第1及び第2の主増幅器(105、110)を利用し、第1及び第2の補助増幅器(115、120)は各々、第1及び第2の主増幅器(105、110)の両端に並列に接続される。主増幅器及び補助増幅器は、結合された出力電流における3次非線形成分が低減されるようにバイアスされる。共通又は独立したバイアス制御回路は、補助増幅器のDC動作バイアスを制御し、正の傾きを有する(主増幅器の対応する傾きとは反対の)ドレイン電流内の3次非線形成分を表す曲線上のDC動作点を確立する。これは、出力における合成電流における全体的な3次非線形成分の低減をもたらす。別の実施形態では、1つの補助増幅器への入力の位相シフトを使用して、位相シフトに関連する周波数でピークの最小化を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の主増幅器と、
入力RF(無線周波数)信号を第1及び第2の信号に分割し、第1の信号の位相と異なる位相となるよう前記第2の信号をシフトする入力カプラと、
前記第1の信号及び位相シフトされた前記第2の信号を各々受信する、前記第1及び第2の主増幅器の入力と、
増幅された前記第1の信号及び増幅された位相シフトされた前記第2の信号を各々提供する前記第1及び第2の主増幅器の出力と、
増幅された前記第1の信号をシフトして、増幅された位相シフトされた前記第2の信号の位相と実質的に同相である第3の信号を形成する出力カプラであって、増幅された位相シフトされた前記第2の信号と前記第3の信号とを組み合わせて、単一の統合RF出力信号とする、出力カプラと、
前記第1及び第2の主増幅器の各々の両端に並列に接続された第1及び第2の補助増幅器と、
前記第1及び第2の主増幅器の各々は、正及び負の傾きのうちの一方を有する3次非線形成分を各々含む、増幅された第1の信号及び増幅された位相シフトされた第2の信号を有し、
前記第1及び第2の補助増幅器に結合されたバイアス制御回路であって、前記バイアス制御回路は、前記第1及び第2の補助増幅器の各々からの増幅された出力の各々について、正及び負の傾きの他方である3次非線形成分を含むように、前記第1及び第2の補助増幅器のDC動作バイアスを制御し、前記第1及び第2の補助増幅器からの出力信号における3次非線形成分が前記第1及び第2の主増幅器からの出力信号における対応する3次非線形成分と相殺的に結合し、単一の統合RF出力信号における3次非線形成分を最小化させる、バイアス制御回路と、
を備える、RF増幅器。
【請求項2】
前記第1及び第2の補助増幅器の出力における3次非線形成分の傾きと、前記第1及び第2の主増幅器の出力における3次非線形成分の傾きとが異なることから、前記単一の統合RF出力信号における3次非線形成分の最小化を高めるために、前記第1及び第2の補助増幅器は、前記第1及び第2の主増幅器の出力における3次非線形成分の大きさと、前記第1及び第2の主増幅器の出力における3次非線形成分の大きさとが、実質的に等しくなるような利得を有する、請求項1に記載のRF増幅器。
【請求項3】
前記第1及び第2の補助増幅器及び前記第1及び第2の主増幅器は、20~30GHzの間の周波数で利得を提供し、DCゲート電圧がDCドレイン電流の対応する量を制御するHEMTトランジスタを有し、
ゲート電圧対ドレイン電流特性の第3導関数は、各々の増幅器の全ドレイン電流に存在する3次非線形成分の大きさを決定し、
第1の電圧源は、ゲート電圧対ドレイン電流特性の3次導関数を制御し、正及び負の傾きの一方を有するように、第1及び第2の主増幅器内のHEMTトランジスタのためのDCゲート電圧を供給し、
第2の電圧源は、ゲート電圧対ドレイン電流特性の3次導関数を制御し、正及び負の傾きの他方を有するように、第1及び第2の補助増幅器内のHEMTトランジスタのためのDCゲート電圧を供給する、
請求項1に記載のRF増幅器。
【請求項4】
前記第1及び第2の主増幅器は、各々の出力において、3次非線形成分の第1及び第2の傾きを有し、
各々の出力に第3及び第4の傾きを有する3次非線形成分を有するように、前記バイアス制御回路は、第1の補助増幅器に1つのバイアス電圧を供給し、第2の補助増幅器に他のバイアス電圧を供給し、
出力において第3の傾きを有する3次非線形成分は、出力において第1の傾きを有する3次非線形成分を実質的に相殺するように結合され、
第4の傾きを有する出力の3次非線形成分は、第2の傾きを有する出力の3次非線形成分を実質的に相殺するように結合される、
請求項1に記載のRF増幅器。
【請求項5】
第1及び第2の主増幅器と、
入力RF信号を第1及び第2の信号に分割し、第1の信号の位相と異なる位相となるよう第2の信号をシフトする入力カプラと、
前記第1の信号及び位相シフトされた前記第2の信号を各々受信する、前記第1及び第2の主増幅器の入力と、
増幅された前記第1の信号及び増幅された位相シフトされた前記第2の信号を各々提供する前記第1及び第2の主増幅器の出力と、
増幅された前記第1の信号をシフトして、増幅された位相シフトされた前記第2の信号の位相と実質的に同相である第3の信号を形成する出力カプラであって、増幅された位相シフトされた前記第2の信号と前記第3の信号とを組み合わせて、単一の統合無線周波数(RF)出力信号とする、出力カプラと、
前記第1及び第2の主増幅器の各々の出力の両端に並列に接続された出力を有する第1及び第2の補助増幅器であって、第1の補助増幅器は、第1の主増幅器の入力に結合された入力を有し、
第2の主増幅器の入力に結合された入力と、第2の補助増幅器の入力に結合された出力とを有する位相制御装置であって、前記位相制御装置は、前記位相制御装置の出力における信号の位相を、位相制御装置の入力における信号の位相とは異なる位相にシフトさせる、位相制御装置と、
前記第1及び第2主増幅器は、前記増幅された第1信号及び前記増幅された位相シフトされた第2信号の各々において3次非線形成分を有し、前記第1及び第2主増幅器のためのDCバイアスが、3次非線形成分のための正及び負の傾きの一方の傾きを有する動作領域を確立し、
前記第1及び第2の補助増幅器に結合されたバイアス制御回路であって、前記バイアス制御回路は、前記第1の補助増幅器の出力における3次非線形成分が前記第1の主増幅器の出力における3次非線形成分を最小化し、前記第2の補助増幅器の出力における3次非線形成分が前記第2の主増幅器の出力における3次非線形成分を最小化するよう、前記第1及び第2の補助増幅器の各々の増幅出力における3次非線形成分が正及び負の傾きの他方の傾きを有する動作領域を確立するよう、前記第1及び第2の補助増幅器の直流動作バイアスを制御する、バイアス制御回路と、
前記位相制御装置は、前記第2の補助増幅器への入力信号の3次非線形成分する最小化のピークの増加を引き起こす所定の帯域幅内における所定の周波数において実質的に90度の位相シフトを提供する、
周波数の意図された帯域幅内で信号を増幅するRF増幅器。
【請求項6】
前記第1及び第2の補助増幅器の出力における3次非線形成分の傾きと、前記第1及び第2の主増幅器の出力における3次非線形成分の傾きとが異なることから、前記単一の統合RF出力信号における3次非線形成分の最小化を高めるために、前記第1及び第2の補助増幅器は、前記第1及び第2の主増幅器の出力における3次非線形成分の大きさと、前記第1及び第2の主増幅器の出力における3次非線形成分の大きさとが、実質的に等しくなるような利得を有する、請求項5に記載のRF増幅器。
【請求項7】
前記第1及び第2の補助増幅器及び前記第1及び第2の主増幅器は、20~30GHzの間の周波数で利得を提供し、DCゲート電圧がDCドレイン電流の対応する量を制御するHEMTトランジスタを有し、
ゲート電圧対ドレイン電流特性の第3導関数は、各々の増幅器の全ドレイン電流に存在する3次非線形成分の大きさを決定し、
第1の電圧源は、ゲート電圧対ドレイン電流特性の3次導関数を制御し、正及び負の傾きの一方を有するように、第1及び第2の主増幅器内のHEMTトランジスタのためのDCゲート電圧を供給し、
第2の電圧源は、ゲート電圧対ドレイン電流特性の3次導関数を制御し、正及び負の傾きの他方を有するように、第1及び第2の補助増幅器内のHEMTトランジスタのためのDCゲート電圧を供給する、
請求項5に記載のRF増幅器。
【請求項8】
前記位相制御装置は、少なくとも2つの位相変更装置を含み、
前記位相変更装置の各々は、前記意図された帯域内の各々の第1及び第2の周波数において実質的に90度の位相シフトを提供し、
前記第1及び第2の周波数において3次非線形成分を最小化において、対応する増加した第1及び第2のピークを引き起こす、
請求項5に記載のRF増幅器。
【請求項9】
前記位相制御装置は、少なくとも2つの位相変更装置を含み、
前記位相変更装置の各々は、前記意図された帯域内の各々の第1及び第2の周波数において実質的に90度の位相シフトを提供し、
前記第1及び第2の周波数において3次非線形成分を最小化において、対応する増加した第1及び第2のピークを引き起こす、
請求項6に記載のRF増幅器。
【請求項10】
前記位相制御装置は、90度位相シフトが生じる周波数が、意図された周波数帯域における任意の周波数に調整され得るように調整可能である、請求項5に記載のRF増幅器。
【請求項11】
前記第1及び第2の主増幅器は、各々の出力において、3次非線形成分の第1及び第2の傾きを有し、
各々の出力に第3及び第4の傾きを有する3次非線形成分を有するように、前記バイアス制御回路は、第1補助増幅器に1つのバイアス電圧を供給し、第2補助増幅器に他のバイアス電圧を供給し、
出力において第3の傾きを有する3次非線形成分は、出力において第1の傾きを有する3次非線形成分を実質的に相殺するように結合され、
第4の傾きを有する出力の3次非線形成分は、第2の傾きを有する出力の3次非線形成分を実質的に相殺するように結合される、
請求項5に記載のRF増幅器。
【請求項12】
20GHzと30GHzとの間の帯域幅における増幅が提供される、請求項1に記載のRF増幅器。
【請求項13】
20GHzと30GHzとの間の帯域幅における増幅が提供される、請求項5に記載のRF増幅器。
【請求項14】
前記RF増幅器の性能指数(FoM)は、DC電力消費に対するOIP3の比として定義され、15より大きい、請求項1に記載のRF増幅器。
【請求項15】
前記RF増幅器の性能指数(FoM)は、DC電力消費に対するOIP3の比として定義され、15より大きい、請求項5に記載のRF増幅器。
【請求項16】
周波数の動作帯域幅において信号を増幅する無線周波数増幅器の出力信号における3次非線形成分を最小化する方法であって、
入力RF信号を第1及び第2の信号に分割し、第2の信号は、第1の信号の位相とは異なる位相を有し、
増幅された第1及び第2の信号を各々生成するために、第1及び第2の主増幅器によって第1及び第2の信号を各々増幅することであって、第1及び第2の主増幅器は、増幅された第1及び第2の信号の各々における3次非線形成分の傾きが正及び負の傾きのうちの一方を有するDC動作領域を有し、
前記第1及び第2の信号の各々を、第1及び第2の補助増幅器によって増幅し、増幅された第3及び第4の信号を各々生成し、
前記増幅された第3及び第4の信号の各々を、前記増幅された第1及び第2の信号と加算し、第5及び第6の信号を各々生成し、
第6の信号の位相をシフトして、第5の信号の位相と実質的に同相である第7の信号を形成し、第7及び前記第5の信号を加算して単一の統合RF出力信号にし、
前記第1及び第2の補助増幅器の直流バイアスを、前記増幅された第3及び第4の信号における3次非線形成分の傾きが正及び負の傾きの他方である直流動作領域を各々有するように制御することにより、前記増幅された第3及び第4の増幅信号における3次非線形成分が、前記増幅された第1及び第2の信号における対応する3次非線形成分を各々最小化する、
方法。
【請求項17】
前記第3及び第4の信号における3次非線形成分の大きさは、前記増幅された第1及び第2の信号における3次非線形成分の大きさと実質的に等しく、前記第3及び第4の信号における前記3次非線形成分の傾きは、前記増幅された第1及び第2の信号における前記3次非線形成分の傾きと異なるので、前記単一の集積RF出力信号における前記3次非線形成分の最小化を向上させるような利得を有する、前記第1及び第2の補助増幅器をさらに備える、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の信号が前記第2の補助増幅器に結合される前に、前記第2の信号の位相を変更する、ことをさらに含み、
前記位相を変更することは、動作帯域幅内の所定の周波数において実質的に90度であり、
動作帯域幅内の他の周波数における最小化に対応する、所定の周波数における3次非線形成分の最小化にピークを生じさせる、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の信号を少なくとも第1及び第2の分割信号に分割し、
前記少なくとも第1及び第2の分割信号を前記第2の補助増幅器に結合する前に、前記少なくとも第1の分割信号の位相を前記第2の分割信号とは異なる位相に変更する、
ことをさらに含み、
前記少なくとも第1及び第2の分割信号の各々についての位相を変更することは、意図された帯域幅内の少なくとも2つの対応する周波数において実質的に90度であり、
前記少なくとも2つの周波数における3次非線形成分の最小化の第1及び第2のピークを生じさせる、
請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、差動増幅器に関し、より具体的には、広帯域にわたって線形化が望まれる差動増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
線形増幅器及び高電力増幅器には、特に、増幅器の線形性及び効率の両方を改善するために、様々な線形化方式が適用されてきた。例えば、単一の能動増幅器は、利得が特定の周波数範囲、及び入力電力レベルにわたって変化する出力を有することができる。この利得の変化を補償する試みでは、周波数範囲内の増幅器の線形性を改善するために、周波数とともに変化する回路を使用して、周波数による能動装置の利得変化を補償することができる。例えば、回路は、能動装置の非補償利得が減少している間、入力電力が増加することにつれて、増幅器の利得を増加させることができる。したがって、全体的な増幅器利得は、補償が使用されない場合よりも広い入力電力範囲にわたって比較的一定となる。
【0003】
差動増幅器は、良好な入出力整合、及び周波数安定性を有する傾向がある。さらに、1つの増幅器が故障したとしても、全体的な増幅器は、最適レベルよりも低いレベルで機能し続けるので、より高い信頼性が達成される。差動増幅器を使用しても、所望の帯域幅にわたる線形性は達成できない場合がある。したがって、広い帯域幅にわたって線形性が改善された差動増幅器が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の必要性に対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、RF増幅器は、第1及び第2の主増幅器を差動増幅器構成で利用し、第1及び第2の補助増幅器は各々、第1及び第2の主増幅器の両端に並列に接続される。主増幅器及び補助増幅器は、主増幅器からの出力における3次非線形成分が正及び負の傾きの一方を有し、補助増幅器からの出力における3次非線形成分が正及び負の傾きの他方を有するように動作領域においてバイアスされ、3次非線形成分が破壊的に結合して、3次非線形成分の総量を低減する。バイアス制御回路は、補助増幅器のDC動作領域を制御する。
【0006】
別の実施形態では、1つの補助増幅器への入力の位相シフトを使用して、位相シフトに関連する周波数における3次非線形成分のピークの最小化を提供する。更なる実施形態では、1つの補助増幅器への入力の1つ又は複数の位相シフトを使用して、1つ又は複数の位相シフトに関連する周波数に対応する1つ又は複数のピークの最小化を提供する。
【0007】
記載された装置及び回路によって実装される方法も提供される。
【0008】
本発明の例示的な実装形態の特徴は、説明、特許請求の範囲、及び添付の図面から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による線形化が組み込まれた差動増幅器の例示的な実施形態の図である。
図2】本発明による線形化が組み込まれた差動増幅器の別の例示的な実施形態の図である。
図3図2の実施形態で利用できる選択可能な移相器の図である。
図4】本発明による線形化改善を組み込んでいない差動増幅器の例示的な概略図である。
図5図4の差動増幅器の例示的なRF性能を示す。
図6】同調可能なシングルモード動作を有する線形化差動増幅器の実施形態の簡略化された例示的な概略図である。
図7】本発明の一実施形態における主装置及び補助装置の動作バイアス点を示す。
図8】-30dBmの入力電力レベルにおける線形化差動増幅器の実施形態の例示的なRF性能を示す。
図9】-30dBm及び0dBmの入力電力レベルにおける線形化差動増幅器の実施形態の例示的なRF性能を示す。
図10】25~29GHzの周波数範囲、及び入力電力レベル-10~+20dBmにわたる線形差動増幅器の実施形態の入力電力対出力電力(PIPO)のグラフを示す。
図11】線形化されていない差動増幅器に対する、線形化された差動増幅器の実施形態の雑音指数性能を示すグラフである。
図12】同調可能なデュアルモード動作を有する線形化差動増幅器の実施形態の簡略化された概略図である。
図13】補助増幅器のためのゲート制御電圧に対するシングルモード線形化ピークを有する線形化差動増幅器の実施形態のRF性能のグラフを示す。
図14】補助増幅器のためのゲート制御電圧に対するデュアルモード線形化ピークを有する線形化差動増幅器の実施形態のRF性能のグラフを示す。
図15】デュアルモード線形化ピーク、対、補助装置のゲート制御電圧を有する線形化差動増幅器の実施形態のRF性能のグラフを示し、ここで、能動装置は、線形化性能をさらに向上させるために異なるサイズにされる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による線形化を伴わない、20~30GHz間の動作に適した差動増幅器を説明し、その性能を図5に示し、本発明による線形化差動増幅器の実施形態の性能と比較するための性能を確立する。線形化差動増幅器の実施形態は、差動増幅器回路に関連する回路の一部として組み込まれる、一定及び/又は可変ゲートバイアス制御及び物理的サイジングを有する補助装置を利用する。補助増幅器は、好ましくは差動増幅器回路の主増幅器とは異なってバイアスされる。主増幅器及び補助増幅器の電流は、全体的な増幅器の線形性を高めるために、出力/負荷において合計される。特定の入力電力レベルでは、補助増幅器の利得は増加するが、主増幅器の利得は減少し始める。したがって、差動増幅器回路全体の利得は、広範囲の入力電力にわたって実質的に一定のままであり、増幅器の線形化をもたらす。
【0011】
図1は、補助増幅器115及び120を組み込むことによって、差動増幅器105及び110を有する差動増幅器回路100を線形化する概念を示す。差動増幅器回路100は、入力RFポート130からのRF入力信号を分配するための入力ランゲカプラ(Lange coupler)125と、同一の増幅器105、110とを含み、好ましくは、ランゲカプラ125の2つの出力ポートと差動増幅器105、110の各々の入力との間をRFが遷移する。好ましくは、実質的に同一のRFの遷移が差動増幅器105、100の各々の出力から、出力ランゲカプラ135の2つのポートに提供される。ランゲカプラは、4ポート装置であるが、そのポートの各々の1つは50オーム負荷140、145によって絶縁されているので、3ポート装置と見なされ得る。ポート130における入力RF信号は、ランゲカプラ125の入力に入り、90度の位相差でポート150と155との間で等しく分割される。これら分割された信号は、分割された各々の信号の増幅を提供する差動増幅器105、100各々への入力である。増幅された分割信号は、ランゲカプラ入力160、165への入力を提供する。入力165における信号は、このシフトされた信号が入力160における信号と同相になるように、90度位相シフトされる。これらの同相信号は、パワーコンバイナとして機能するランゲカプラの出力ポート170で合成される。
【0012】
また、図1は、各々主増幅器105及び110の両端に並列に接続された補助増幅器A1 115及びA2 120を示す。主増幅器105、110への入力RF信号は、補助増幅器115、120の入力としても機能する。主増幅器と補助増幅器との対は、同一の負荷を共有し、それらの出力電流は、負荷において結合する。補助増幅器115、120を通るDCバイアス電流は、Vcontrol1 175及びVcontrol2 180を調整することによって制御され、各々調整可能なDC電源であってもよい。メイン増幅器105を含む上アーム(経路)と、差動増幅器のメイン増幅器110を含む下アームとは、位相が直交(90位相差)している。入力160における信号は、カプラ135によって90度位相シフトされた信号165と結合され、その結果、同相信号は、出力170において前向きに結合される。この線形化スキームは、動作の周波数帯域内で単一モード線形化をもたらす。単一モードは、単一周波数と呼ばれる。
【0013】
弱非線形装置の場合、主()増幅器と副()増幅器の出力ドレイン電流は、次のように記述できる。
【数1】

ここで、
は、主増幅器の出力ドレイン電流であり、
は、補助増幅器の出力ドレイン電流であり、
gsは、装置のゲート・ソース間電圧であり、
total=i+iは、主増幅器及び補助増幅器のドレイン電流の合計であり、
1M、及びg1Aは、Vgsに対するドレイン電流の導関数であり、
2M、及びg2Aは、Vgsに対するドレイン電流の第2の導関数であり、
3M、及びg3Aは、Vgsに対するドレイン電流の第3の導関数である。
【0014】
IIP3/OIP3(入力/出力三次インターセプトポイント)を改善するには、導関数の重ね合わせは、合計のg=g3+g3が最小限に抑えられるべきであることを示唆している。ここで、
【数2】

ここで、C1、C2、C3は一定量である。
【0015】
したがって、g3M及びg3A対Vgsの傾きは、3次非線形成分をできるだけ多く相殺するために、逆であるべきであると推定される(即ち、Vgs )。図7に見られるように、グラフ720は、Vgsに対するId(ドレイン電流)の3次導関数であるg3M及びg3Aのグラフである。全体のg3が低減される場合、3次相互変調積が低減され、OIP3又はIIP3が改善される。主増幅器及び補助増幅器は、g3M及びg3Aの傾きが反対、即ち、反対の傾きを有するVgsの領域にバイアスされることが好ましい。図1を参照すると。
【数3】
【0016】
本発明の例示的な実施形態は、差動増幅器の各ブランチにおける各々の主増幅器との補助増幅器の統合を利用する。線形化に寄与する要因は、各々の主増幅器に対する補助増幅器のサイズ決定、g対g3Aのできるだけ多くの相殺を達成するためのダイナミックバイアス制御、マルチバイアス化、即ち、3次非線形成分の相殺を最大にするために各々の補助装置に対する独立したゲートバイアス制御を使用すること、及び、差動増幅器の1つの分岐のみにおいて入力信号の位相を1つの補助増幅器に変更するために伝送線路、例えば、1/4波伝送線路の利用を含む。線形化技法は、周波数範囲にわたって、入力RF電力駆動の関数として示される。
【0017】
図2は、動作の全帯域幅内の2つのモード(周波数)が線形化される、差動増幅器の線形化の別の実施形態200を示す。実施形態200は、実施形態100と非常に類似しており、同様の要素が同様に機能することは明らかであろう。したがって、これらの実施形態間の相違点のみを説明する。実施形態200では、伝送線路、例えばλ/4伝送線路185が意図された動作周波数範囲内の選択された周波数で90度の位相シフトを提供し、補助増幅器のうちの1つへの入力と直列に接続される。これは、他方のアームに対する一方のアームの荷重における90の結果として生じる位相に起因して、2つの動作態様をもたらす。90位相線185は、遅延線として機能する伝送線路、ディジタル領域におけるシフトレジスタなどの位相シフタ、又は他の既知の位相シフト技術を使用することによって得ることができる。図2を参照すると
【数4】
【0018】
図14のグラフ1405には、2つのモードに対する3次非線形成分の最小化ピークが示されている。
【0019】
図3は、90度の位相シフトが生じる選択可能な周波数を提供するために、図2の遅延線185の代わりに利用することができる装置190を示す。これは、同調可能なマルチモード動作を有する差動増幅器の能力を提供する。選択可能な(切替可能な)遅延装置190は、図2の伝送線路(λ/4線路又は移相器185)に取って代わる。この構成は、選択された周波数において90位相を有する遅延素子のうちの1つを選択することによって、ダイナミックマルチモード動作を可能にする。入力191は、遅延されるべき信号を受信し、出力192は、補助増幅器に結合される遅延された信号の出力である。各々が意図された動作レンジ内の様々な周波数で90の位相シフトを有する遅延素子193a、193b、…、193nのうちの1つのみが、所与の時点で選択され、選択された周波数で所望の位相シフトを提供する。図1について上述したように、補助増幅器に異なるゲート制御電圧を使用して、3次非線形性積の相殺を強化することは、選択可能な遅延190による周波数同調と組み合わせて、線形化差動増幅器の線形化におけるピークを提供することができる。
【0020】
図4は、20~30GHz動作のために0.15umのGaAs HEMT技術を使用する非線形差動増幅器400(補助増幅器なし)の簡略化された概略図を示す。上側及び下側能動HEMT装置Qは、同一の大きさ(全周360μM)であり、同一のバイアス状態を有する。入力電力分割器及びカプラは、ランゲカプラである。コンデンサCCとCCoutは、各々の機器Qの入出力に使用される直流阻止コンデンサである。トランジスタQmは、制御ゲート電圧VGMに結合されたゲート抵抗RbiasMを使用して、ゲートにおいてバイアスされる。主ドレイン/ソースチャネルのバイアスは、DC電圧VD及びDC電流制限抵抗RSを使用して達成される。無線周波数チョーク(RFインピーダンス)RFCは、装置の出力において適切なRF電圧スイングを提供する。コンデンサCSはRS用のRFバイパスコンデンサであり、動作帯域幅におけるRF周波数でRSを短絡する。
【0021】
図5は、差動増幅器400の全体的な性能を示す。20GHz~30GHzの周波数帯域にわたって7dBを超える利得(Gain)505が達成された。示されるような良好な入力リターンロス(IRL)510及び出力リターンロス(ORL)515は、設計の帯域幅周波数にわたって達成される。模擬OIP3520は、約33dBmである。
【0022】
図6は、シングルモード動作のための線形化差動増幅器の本発明による一実施形態600を示す。実施形態600は、実施形態100の一実装形態の例示的表現である。トランジスタQAは、主装置QMと並列に接続される補助装置である。トランジスタQAは、直流阻止コンデンサCCを使用して、トランジスタQMとは異なったゲートバイアスを可能にし、各々のQMと出力においてドレインバイアス線及びRFCを共有する。トランジスタQAは、主増幅器QMのバイアスとは異なるゲート(即ち、RbiasA及びVGA)をバイアスするために、別個のゲートバイアス線及び制御電圧を使用する。各素子の全周は、補助素子では120um、主増幅器では360umである。
【0023】
図7は、実施形態600の主装置及び補助装置の動作バイアス点を示すグラフ700を示す。補助装置及び主装置の両方のId対Vgs(図示せず)プロットは、既知であると仮定されるか、又は試験によって決定することができる。Id対Vgs、gm1の導関数を取ることによって、プロット705が得られる。図7の全てのグラフにおいて、暗い線は補助装置のgmを表し、明るい線は主装置のgmを表す。gm2 710及びgm3 715のプロットは、プロット705の連続導関数を取ることによって決定される。主装置及び補助装置のためのDC動作点vgsは、主装置のためのgm3ライン730、及び補助装置のためのライン740上の領域725及び735において選択される。主装置の領域725におけるgm3Mは、補助装置の領域735におけるgm3Aとは反対の傾きを有するので、gm3による主装置と補助装置との複合出力電流は最小化される。したがって、主装置及び補助装置のgm3は、gm3に起因する各々の出力電流Idを相殺し、したがって、望ましくない3次非線形性積を最小限にする。
【0024】
各gm3ゲインは、実質的に等しくなるように主装置及び補助装置のゲインを選択して、3次非線形性積の相殺を強化することによって、相殺のさらなる改善を達成することができる。グラフ720に示す例では、主装置の領域725におけるgm3利得が、補助装置の領域735におけるgm3利得よりも小さい。したがって、改善されたgm3の相殺のために、主装置及び補助装置の各々の利得は、gm3による各々のId電流の成分が同じであり、したがって、gm3傾きが異なるので相殺を促進するように調整されるべきである。装置の物理的サイズは一般に、装置の利得に比例することから、主装置及び補助装置は、相殺するgm3に起因する出力電流を有する要望を満たすサイズ、したがって利得を有するように設計され得る。
【0025】
図8は、-30dBmのRF入力信号を有する線形化増幅器600の性能のグラフ800を示す。グラフ805は、OIP3が帯域の上側周波数端、例えば、約28.5GHzで約42dBmにピークを有し、20GHzから26GHzまで33~35dBmの間に留まることを示す。示されるような優れた入力RL 810及び出力RL 815が達成された。周波数範囲にわたって3.35より大きいシミュレートされた安定係数、K、820が示されている。利得、S21、825は、20GHzで7dBから30GHzで約6dBに徐々に減少する。
【0026】
図9は、RF入力信号が0dBmに増加した線形化増幅器の線形性パラメータのグラフ900を示す。OIP3 905は、0dBmの対応する入力電力に対して約28GHzで約44dBmである。-30dBmの入力に対するOIP3 907が、比較のために示される。主装置が利得圧縮に入るにつれて、より高い電力でのOIP3の増加が予想され、補助装置は利得拡張を示し始める。0dBmの入力電力では、DC電力消費は、約659mWであり、OIP3は、42dBmより大きい(>15849mW)。示されるような優れた入力RL 910及び出力RL 915が達成された。周波数範囲にわたって3.15より大きいシミュレートされた安定係数(STABILITY FACTOR)920が示されている。利得S21、925は、20GHzでの7dBから30GHzでの約6dBに徐々に減少する。増幅器のための技術関連性能指数(FoM)、即ち、直流電力消費に対するOIP3の比は、以下のように計算することができる。
【数5】

これは、GaAs技術について報告された最も高い比率、すなわち約10よりも高く、2倍よりも高い。この実施形態によって達成され、それを上回る15を超えるFoMは、有意な改善であろう。
【0027】
図10は、標準差動増幅器、例えば増幅器400、及び線形差動増幅器、例えば実施形態100、600について、25GHz~29GHzの異なる周波数における出力電力対入力電力PIPOのグラフ1000を示す。入力RF信号レベルは、-10dBmから20dBmまでスイープされる。プロット1005(暗線)は、線形化された差動増幅器を示し、プロット1010(より明るい線)は、入力電力変動にわたる様々な周波数での非線形化された差動増幅器を示す。非線形化増幅器の出力RF電力は、約14dBmにおいて、飽和、即ち、電力入力を増加させるための追加の電力出力をほとんど又は全く示さないが、線形化増幅器は、20dBmの入力RFレベルにおいてさえ、出力電力飽和を示さない。
【0028】
図11は、NF 1105によって示される非線形化差動増幅器、及びNF 1110によって示される線形化差動増幅器の雑音係数NF性能のグラフである。示されるように、約0.1dBの無視できる劣化が、線形化のために観察される。
【0029】
図12は、図2の要素185に対応する、90度位相シフトライン(又は遅延用シフトレジスタ)1205を用いてデュアルモード動作を達成するための線形化増幅器200の例示的な簡略化された概略図1200を示す。主増幅器は、Qmであり、補助増幅器は、Qaである。実施形態1200は、別個のDCゲート電圧(Vga1及びVga2)を使用して、主増幅器の動作点(DCゲート電圧)を設定する電圧Vgmを有する2つの補助増幅器に対して、異なる動作点を設定できることを示す。調整可能な直流電圧源は、Vga1及びVga2を提供することができる。上記で説明したように、補助増幅器のバイアス点を設定して、主増幅器によって出力されるのと同じ3次出力電流を生成するが、3次非線形性積の相殺を達成するために反対の傾きを有することが有利であり得る。また、シフト要素1205は、図2に関して説明したように、2つの直交成分の出力を生じさせる。
【0030】
図13は、図12の実施形態1200の性能のグラフ1300を示す。同じ全周サイズの補助装置が使用され、グラフ1305のプロットに示されるように、1GHz帯域幅(約22.5GHz~23.5GHz)にわたるOIP3の最小化を動的に調整するために、単一の可変DC制御電圧(両方の補助増幅器のゲートのための)が利用され、各プロットは異なるゲート電圧を表す。これはグラフ1310、1315、及び1320に示されるように、増幅器の小さな信号性能に悪影響を及ぼすことなく達成され、プロットは異なるゲート電圧を表す。
【0031】
図14は、2つの異なる動作モード(周波数)を有するグラフ1400を示す。この能力を達成するために、異なる全周(面積)及び異なる調整されたゲート制御バイアスを有する補助装置が使用された。この構成では、帯域幅の極端な縁部(22GHz及び28GHz)に近いところで、約40dBmの最小化ピークを有するOIP3を改善することができる。見られるように、帯域幅内で最小化されたOIP3の2つの別個のピークが達成される。各ピークが生じる周波数は、補助増幅器のためのゲートバイアス電圧選択と、主増幅器の利得に対する補助増幅器の利得とによって制御することができる。このような利得は、補助増幅器の周辺部を制御して利得を生成することによって選択することができ、その結果、Idにおけるgm3電流成分は、関連する主増幅器によって生成されるものと同じになる。主装置は、300umの全周を有する。本実施形態のための技術関連FoMは、下記によって得られる。
【数6】
【0032】
図15は、主装置のサイズ(全周領域)がより高い周波数で寄生を低減するように最適化された、デュアルモード線形化増幅器1200の性能のグラフ1500を示す。装置全体の全周が186umであるものを使用し、グラフ1410に示されるように、7dBを超える利得が30GHzまで達成された。グラフ1405に見られるように、42dBmを超える最小化されたOIP3の最大ピークは、22GHz及び28GHzで同時に達成された。装置の寄生容量及び抵抗を低減することは、より高い周波数で利得を維持するのに役立つ。120um~280umのサイズの補助装置が使用されている。
【0033】
差動増幅器の広帯域線形化を提供する実施形態が説明される。本発明の一実施形態では、主増幅器と一体化された補助増幅器が、全体的な差動増幅器回路の効率及び線形性を改善するためにバイアスされる。一実施形態は、単一モード動作(線形化がピークとなる1つの選択可能な周波数)を提供する。本発明の別の実施形態では、差動増幅器を線形化するためのデュアルモード方式及びマルチモード方式、即ち、線形化ピークが生じる複数の選択可能な周波数が提示される。0.15um GaAs HEMTトランジスタを使用する、20~30GHzの間の動作に適した例示的な線形化差動増幅器について説明する。この線形化された差動増幅器は、非線形化された差動増幅器と比較して、線形性及び効率の著しい改善を実証する。20GHz~30GHz帯における単一周波数と10GHz帯域幅(BW)における同時二重周波数における同調可能線形化ピークについて述べた。DC電力消費に対するOIP3(出力における3次切片)の比として定義される性能指数(FoM)は、一実施形態では24を超え、これはGaAs HEMTでは10という報告された比を上回る。PIPO(出力RF電力対入力RF電力)は、動作帯域内の線形性を示す。
【0034】
上記の例示的な実施形態を、差動増幅器の各ブランチに主増幅器を備えた補助増幅器と統合することで実現すると、好ましくは、最適な装置サイジング、動的バイアス制御、マルチバイアス、及び差動増幅器の1つのアームに印加される時間遅延又は位相シフトの実施が全体的な差動増幅器の動的線形化をもたらす。
【0035】
本発明の例示的な実施形態が記載され、示される。当業者は、以下の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内にある実施形態に対する修正及び置換がなされ得ることを理解するのであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】