(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】基板処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
C23C16/44 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514599
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 FI2022050612
(87)【国際公開番号】W WO2023041844
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510275024
【氏名又は名称】ピコサン オーワイ
【氏名又は名称原語表記】PICOSUN OY
【住所又は居所原語表記】Tietotie 3, FI-02150 Espoo, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】クイトゥネン アンッティ
(72)【発明者】
【氏名】ブロムバリ トム
(72)【発明者】
【氏名】キヴィオヤ ヤニ
(72)【発明者】
【氏名】ポウティアイネン ユホ
(72)【発明者】
【氏名】アラコスキー ヘイッキ
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030KA06
4K030KA09
4K030KA10
4K030KA11
(57)【要約】
基板処理装置(100)であって、少なくとも1つの基板を処理する反応チャンバ(20)と;互いに対して移動可能な上側部分(70)及び下側部分(80)を有し、リアクタントが反応チャンバの方に流れやすくなる、縦方向に伸ばされた状態と、基板が装填できるようになる、縦方向に縮められた状態との間で変形するように構成される、変形可能なインフィードアセンブリ(85)と;前記変形可能なインフィードアセンブリの前記上側部分に結合された弾性チューブ管(150)と;を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの基板を処理する反応チャンバと;
互いに対して移動可能な上側部分及び下側部分を有し、リアクタントが反応チャンバの方に流れやすくなる、縦方向に伸ばされた状態と、基板が装填できるようになる、縦方向に縮められた状態との間で変形するように構成される、変形可能なインフィードアセンブリと;
前記変形可能なインフィードアセンブリの前記上側部分に結合された弾性チューブ管と;
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記弾性チューブ管は前記インフィードアセンブリに前記リアクタントを供給するように構成される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記弾性チューブ管は、前記上側部分と、前記装置の固定要素との間に結合される、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記弾性チューブ管は、内部に蓄積された機械的ポテンシャルエネルギーを用いて、前記インフィードアセンブリに機械的な力を生成するように構成される、請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記弾性チューブ管は、機械的な力を生成することによって、前記上側部分の位置を安定させ調整するように構成される、請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリにより生成された機械的な力の下で伸縮するように構成される、請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記下側部分は、前記反応チャンバに前記リアクタントの流れを供給すべく、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸びた状態において前記反応チャンバに対して密封される、請求項1から6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記インフィードアセンブリが縦方向に伸びた状態において、前記下側部分と前記上側部分との間に密封された境界面を有する、請求項1から7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記インフィードアセンブリが縦方向に縮んだ状態において、前記下側部分と前記上側部分とは入れ子になるように構成される、請求項1から8のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記弾性チューブ管が伸張させられていない状態に戻ることを妨げることによって前記弾性チューブ管を予め緊張させるプレテンション機構を備える、請求項1から9のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記プレテンション機構は前記弾性チューブ管を介して前記インフィードアセンブリに機械的な力を生成するように構成される、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記弾性チューブ管と前記プレテンション機構は、機械的な力を生成することによって、前記インフィードアセンブリを安定させ漏れを防ぐように構成される、請求項10又は11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記下側部分に取り付けられた駆動機構であって、縦方向に伸ばされた状態と縦方向に縮められた状態との間で前記インフィードアセンブリを変形させるように構成される駆動機構を備える、請求項1から12のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記駆動機構は前記下側部分にバネにより付勢されたアタッチメントにより取り付けられている、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記駆動機構は少なくとも1つの可動シャフトを有し、該可動シャフトは、バネにより付勢されたアタッチメントにより前記下側部分に結合されている、請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記弾性チューブ管は、前記下側部分と、前記装置の固定要素との間に結合される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記固定要素は前記上側部分である、請求項16に記載の基板処理装置。
【請求項18】
少なくとも1つの基板を処理するための反応チャンバと、互いに対して移動可能な上側部分及び下側部分を有する変形可能なインフィードアセンブリとを準備することと;
前記インフィードアセンブリを、縦方向に縮んだ状態へと変形させ、前記反応チャンバ内に基板を装填することと;
前記インフィードアセンブリを、縦方向に伸びた状態へと変形させることと;
前記上側部分に結合された弾性チューブ管を通じてリアクタントを流し、前記弾性チューブ管から前記インフィードアセンブリを通じて前記反応チャンバへと前記リアクタントを流すことと;
を含む、方法。
【請求項19】
少なくとも1つの基板を処理するための反応チャンバと、互いに対して移動可能な上側部分及び下側部分を有する変形可能なインフィードアセンブリとを準備することと;
前記インフィードアセンブリを、縦方向に縮んだ状態へと変形させ、前記反応チャンバ内に基板を装填することと;
前記インフィードアセンブリを、縦方向に伸びた状態へと変形させることと;
前記弾性チューブ管に入れ子になっている前記上側部分を通じてリアクタントを流し、前記上側部分から前記下側部分を通じて前記反応チャンバへと前記リアクタントを流すことと;
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、プラズマ源を備える基板処理リアクターに関する。より詳細には、本発明は、逐次的な自己飽和表面反応によって材料が表面に堆積される堆積反応器(堆積リアクタ)、又は逐次的な自己飽和表面反応によって材料が表面から除去されるエッチング反応器(エッチングリアクター)に関する。
【背景】
【0002】
このセクションは、有用な背景情報を説明するが、ここで説明されている技術が技術水準を示していることを認めている訳ではないことに注意されたい。
【0003】
原子層堆積(ALD)や原子層エッチング(ALE)のような化学堆積及びエッチング法において、表面反応のために必要な追加のエネルギーを提供するために、プラズマが使用されることができる。ALDリアクターやALEリアクターは数十年前から存在するが、プラズマを利用したリアクター(Plasma-Enhanced Reactor)は近年出現した技術である。このため、より優れたプラズマ利用型ALD(PEALD)やプラズマ利用型ALE(PEALE)を開発すること、又は少なくとも既存のソリューションに代わるものの提供が、現在も求められている。
【0004】
一般に、基板処理リアクターは、少なくとも基板の装填と取り出し、及び部品の位置調整を可能にするために、可動部品を有する必要がある。しかし、リアクター内の可動部品には、ある種の欠点が伴う。一般的な問題は、リアクターの部品間の不要な接触であり、これによりリアクター内で不要な粒子が発生し、この粒子が基板に付着して汚染を生じる可能性がある。この問題は、基板の装填位置と処理位置との間でリアクター部品を動かす際の課題として現れることが多い。従って、基板処理リアクター、特にプラズマ源を使用するリアクターにおいて、不要な粒子を低減するための優れた解決策についてのニーズが今も存在する。
【摘要】
【0005】
本発明のある実施形態の課題は、改良された基板処理装置を提供すること、又は、少なくとも既存技術に対する代替手段を提供することである。
【0006】
第1の例示的な捉え方によれば、次のような基板処理装置が提供される。この装置は、
少なくとも1つの基板を処理する反応チャンバと;
互いに対して移動可能な上側部分及び下側部分を有し、リアクタントが反応チャンバの方に流れやすくなる、縦方向に伸ばされた状態と、基板が装填できるようになる、縦方向に縮められた状態との間で変形するように構成される、変形可能なインフィードアセンブリと;
前記変形可能なインフィードアセンブリの前記上側部分に結合された弾性チューブ管と;
を備える。
【0007】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分は第1の部分であり、前記インフィードアセンブリの前記下側部分は第2の部分であり、前記第1の部分は、前記インフィードアセンブリがその縦方向に伸ばされた状態にあるとき、反応チャンバにより近くに存在し、前記第2の部分は、反応チャンバから遠くに存在する。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリは、反応チャンバを、(縦方向に伸ばされた状態において、)頂部から閉鎖又は密封するように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリは、弾性チューブ管によって頂部から支持される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの上側部分に固定的に取り付けられる。
【0008】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリにリアクタントの流れを供給するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、リアクタントの流れをインフィードアセンブリの上側部分に供給する管路となる。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、リアクタントをインフィードアセンブリの上側部分に上から下への流れとして供給するように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの上側部分及び下側部分は、反応チャンバに向かう上から下への流れとしてリアクタントの流れを導くか、又はそのような動きを促進するように構成される。実施形態によっては、前記装置は、変形可能なインフィードアセンブリを縦方向に縮んだた状態に変形させて、基板の取り出しを可能にするように構成される。
【0009】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの上側部分と装置の固定要素との間に結合される。実施形態によっては、前記固定要素は外側チャンバである。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、反応チャンバを少なくとも部分的に取り囲む外側チャンバと変形可能なインフィードアセンブリの上側部分との間に結合される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、外側チャンバ蓋と変形可能なインフィードアセンブリの上側部分との間に結合される。外側チャンバは、少なくとも部分的に反応チャンバを取り囲む。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの上側部分とシール部材との間に結合される。このシール部材は、決まった位置を有する、装置の固定要素に結合される。
【0010】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、装置の固定要素におけるその取り付け点に関して、固定された位置に配置される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、外側チャンバへのその取り付け点に関して固定された位置に配置される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリは、弾性チューブ管を介して外側チャンバに結合され、反応チャンバ内の空間にリアクタントの流れを供給する。
【0011】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリのすべての部分の位置は調節可能である。
【0012】
実施形態によっては、前記基板処理装置はプラズマエンハンスト原子層堆積装置(PEALDリアクター)である。実施形態によっては、前記基板処理装置は原子層堆積装置(ALDリアクター)である。実施形態によっては、前記基板処理装置はプラズマエンハンスト原子層エッチング装置(PEALEリアクター)である。実施形態によっては、前記基板処理装置は原子層エッチング装置(ALEリアクター)である。実施形態によっては、前記装置は、反応チャンバの上側にプラズマ源を備える。実施形態によっては、前記堆積装置は、外側チャンバの上側にプラズマ源を備える。実施形態によっては、前記プラズマ源は誘導結合(inductively coupled)プラズマ源である。実施形態によっては、前記プラズマ源は、反応チャンバ内でリアクタントとして使用されるラジカルを生成するように構成される。
【0013】
実施形態によっては、前記装置は、リアクタントの流れのための上から下への流路を提供する。リアクタントはプラズマ源から弾性チューブ管を通って変形可能なインフィードアセンブリに入り、反応チャンバに入る。実施形態によっては、リアクタントは、反応チャンバの底部の出口を通じて反応チャンバから排出される。
【0014】
実施形態によっては、前記リアクタントの流れは、リアクタントを含むガスで構成される。実施形態によっては、前記リアクタントは、流体リアクタント、気体リアクタント、及び/又はプラズマリアクタントを含む。実施形態によっては、前記リアクタントは、弾性チューブ管によって提供される管路内を流れる。実施形態によっては、前記プラズマ源において生成された励起種を含むリアクタントは、弾性チューブ管の内側管路を通って反応チャンバへと流れる。実施形態によっては、前記励起種を含むリアクタントは、前記インフィードアセンブリを通って、反応チャンバ内に存在する(1つ又は複数の)基板へと流れ、表面反応を生成する。
【0015】
実施形態によっては、反応チャンバと外側チャンバとの間に、反応チャンバを少なくとも部分的に囲む中間空間が形成される。実施形態によっては、外側チャンバは反応チャンバを完全に囲む。実施形態によっては、反応チャンバと外側チャンバとの間に形成された中間空間は、反応チャンバを完全に囲む。この点における「完全に」関し、基板が処理される反応チャンバは、反応チャンバへの入口位置及び反応チャンバからの出口位置を除いて外側チャンバによって取り囲まれているため、反応チャンバは、外側チャンバ及び/又は中間空間によって完全に取り囲まれていると考えられる。実施形態によっては、前記弾性チューブ管及び前記インフィードアセンブリは、同じ空間内に配置される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管及び前記インフィードアセンブリは、前記外側チャンバ内の前記中間空間内に配置される。
【0016】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、例えばフランジを介して前記インフィードアセンブリの前記上側部分に結合される。
【0017】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、その内部に蓄積された機械的ポテンシャルエネルギーを用いて前記インフィードアセンブリに機械的な力を生成するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、その内部に蓄積された弾性エネルギーを用いて、前記インフィードアセンブリに機械的な力を生成するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記上側部分に機械的な力を生成するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記上側部分及び前記下側部分に機械的な力を生成するように構成される。
【0018】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記上側部分を安定させるために、前記インフィードアセンブリに機械的な力を生成するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記上側部分の位置を調整するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリに機械的な力を生成することによって、前記インフィードアセンブリの前記上側部分の位置を安定させ、調整するように構成される。
【0019】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、機械的ポテンシャルエネルギーを蓄えるように構成された弾性体である。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、予め緊張させられるように構成されている。実施形態によっては、予め緊張させられた前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記上側部分に結合され、前記インフィードアセンブリにリアクタントの流れを供給するように構成される。
【0020】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記上側部分の縦方向位置及び/又は横方向位置及び/又は角度位置を調整するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記上側部分を、前記弾性チューブ管の方へ、及び/又は、前記インフィードアセンブリの前記下側部分の垂直中心軸と一直線上に、引っ張るか引き込む。それによって、前記インフィードアセンブリの前記上側部分の位置を調整するように構成される。
【0021】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記上側部分を反応チャンバから引き離すか又は引き込むように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記上側部分及び前記下側部分を反応チャンバから引き離すか、又は引き込むように構成される。
【0022】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管によって生成される機械的な力は、前記上側部分を前記弾性チューブ管の方へ、及び/又は前記下側部分の垂直中心軸と一直線上に、引っ張るか又は引き込む。それによって、前記インフィードアセンブリの前記上側部分の位置を調整するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管によって発生する機械的な力は、前記インフィードアセンブリの前記下側部分の位置を調整するようにはされていない。実施形態によっては、前記弾性チューブ管によって発生される機械的な力は、前記下側部分の位置を調整するのに十分ではない。
【0023】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管によって生成される機械的力は、前記下側部分と前記上側部分とを同心にする。それによって、前記上側部分と前記下側部分との間の望ましくない接触を防止する。この点での不要な接触とは、前記上側部分と前記下側部分との間の接触であって、当該接触の結果として望ましくない粒子が発生してしまうような接触を意味する。
【0024】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管内の機械的エネルギーは、前記インフィードアセンブリの変形中、及び、縦方向に伸長及び/又は収縮した状態において、前記上側部分と前記下側部分とを同心にするように構成される。実施形態によっては、同心にする手段と、前記上側部分と前記下側部分とは、同じ垂直中心軸に整列され、それにより、前記上側部分と前記下側部分との間の望ましくない接触を防止する。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの変形中に、前記上側部分と前記下側部分とを同芯にするように構成され、それにより、前記上側部分の外面と前記下側部分の内面の間の望ましくない接触を防止する。
【0025】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリを安定させるように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの動きを安定させるように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの動きを安定させることは、不要な粒子の発生を低減する。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、主に前記インフィードアセンブリが移動している間、前記インフィードアセンブリの振動及び不要な粒子の発生を防止するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリが静止している間にも、前記インフィードアセンブリの振動及び不要な粒子の発生を防止するように構成される。
【0026】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管内の機械的エネルギーは、前記インフィードアセンブリの変形中、及び、縦方向に伸長及び/又は収縮した状態において、前記インフィードアセンブリの前記上側部分を反応チャンバから上方に引き離すか又は引き込むように構成される。
【0027】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、常に引き伸ばされている。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの縦方向の変形の間に縦方向に伸張されるように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記上側部分に対する前記下側部分の変位の下で伸張されるように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリにより生成された機械的な力の下で伸縮するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸ばされた状態において、伸張又は圧縮するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、縦方向に伸ばされた前記インフィードアセンブリの縦方向の移動下で、伸張又は圧縮するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、縦方向に伸ばされた前記インフィードアセンブリが反応チャンバの方に動くとき、縦方向に更に伸長するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、縦方向に伸ばされた前記インフィードアセンブリが反応チャンバから離れるように動かされるとき、縦方向に圧縮するように構成される。
【0028】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、水平方向及び/又は縦方向及び/又は角度方向に弾力性を有するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、複数の軸において弾力性を有するように構成される。
【0029】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、弾力性のある管状導管である。実施形態によっては、弾性チューブ管はベローズ(蛇腹)状の物体である。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、管状の金属ベローズである。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、管状のバネ状の物体である。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、ニッケルベースの合金で構成される。例えば、AISI304、AISI304L、AISI316又はAISI316Lと、インコネル及び/又はチタンとを含む合金で構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、周囲の部品の材料が有する熱膨張係数と同様の熱膨張係数を有する材料で構成される。
【0030】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、機械的な力が加えられると変形するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、機械的な力が加えられると、圧縮され、又は引き込まれ、及び/又は引き伸ばされるように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、加えられた力が解放されるか除去されると、その元の位置に戻るように構成される。
【0031】
実施形態によっては、熱膨張又は熱収縮は、前記弾性チューブ管を構成する構成要素間の大きな相対移動を引き起こさない。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、温度変化に応じて大きく変形しないように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、周囲空間の圧力変化に応じて著しく変形しないように構成されている。
【0032】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、その内側の管路空間と、弾性チューブ管を外側から取り囲む空間(これは、典型的には、外側チャンバ内の中間空間である)との間に、密封されたバリアを形成するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの上側部分との間で、及び、外側チャンバのような装置の固定要素との間で、密封された接続を形成するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、弾性チューブ管から外側チャンバ内の中間空間のような周囲空間へのリアクタントの漏出を防止するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管はまた、外部の周囲空間から弾性チューブ管の内部空間へのガスの侵入を防止するように構成される。
【0033】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの上側部分と下側部分との間の接合部において、前記インフィードアセンブリの漏れを防止するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの遠位端部(装置の他の部分に結合された接合部)においても、変形可能なインフィードアセンブリの漏れを防止するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの部分又はモジュール間の漏れを防止するように変形するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸ばされた状態において、前記インフィードアセンブリの漏れを防止するように変形するように構成される。
【0034】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記下側部分は、複数の部分から構成される。
【0035】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記下側部分は、反応チャンバにリアクタントの流れを供給するために、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸ばされた状態において、反応チャンバに対して密封されるように構成される。実施形態によっては、縦方向に伸ばされた前記インフィードアセンブリは、反応チャンバ空間を形成するように反応チャンバに対して位置決めされるように構成され、反応チャンバに基板処理のためのリアクタントの流れを供給する。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記下側部分は、漏れ防止位置である、反応チャンバに対する前記位置を使うように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの下側リムは、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸ばされた状態において、反応チャンバの開口部の縁部に対して密封されるように構成される。
【0036】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸ばされた状態において、前記インフィードアセンブリと反応チャンバとの間に面シールが提供される。実施形態によっては、反応チャンバは、縦方向に伸長した状態において、前記下側部分にぴったり適合するフランジ又はカラーを備える。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリは、該インフィードアセンブリが縦方向に伸ばされた状態において反応チャンバのフランジに適合するインフィードアセンブリフランジに結合される。
【0037】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリは、反応チャンバに向かって広がる。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリは、縦方向に伸張した状態において、反応チャンバに向かって広がる。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリは、その円筒形状の上側部分及び下側部分により、広がる又は拡大する空間を画定し、その空間は、反応チャンバに向かって広がる又は拡大する。
【0038】
実施形態によっては、前記装置は、変形可能なインフィードアセンブリが縦方向に伸ばされた状態において、その下側部分と上側部分との間に密封された境界面を備える。実施形態によっては、前記密封された境界面は、前記インフィードアセンブリの漏れを防止するように構成される。
【0039】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分の下部リム、及び前記下側部分の上部リムは、水平カラーを構成し、前記上側部分及び前記下側部分の前記水平カラーは、前記インフィードアセンブリの伸長状態において、互いに重なり合う。実施形態によっては、これらの重なり合うカラーは、フック構造を形成し、下側部分の重なり合うカラーが上側部分のカラーに掛かり、又は上側部分のカラーから吊り下げられることを可能にする。実施形態によっては、これらの重なり合うカラーは、縦方向に伸びた変形可能なインフィードアセンブリの漏れを防止するように構成される。
【0040】
実施形態によっては、変形可能なインフィードアセンブリの上側部分と下側部分との間にシールが設けられ、それにより、上側部分と下側部分との間の望ましくない接触を防止し、変形可能なインフィードアセンブリの漏れを防止する。実施形態によっては、前記シールは、周囲の空間から前記インフィードアセンブリ内部の空間へのガスの漏れを防止する。実施形態によっては、前記シールは、前記インフィードアセンブリから周囲の空間へのリアクタントの漏れを防止する。
【0041】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリが縦方向に縮んだ状態において、前記下側部分と前記上側部分とは入れ子になるように構成される。
【0042】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記下側部分は、前記上側部分に重なるようにスライドするように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分は、前記インフィードアセンブリが縦方向に縮められた状態において、前記下側部分の内側に入れ子になるように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリは、互いの内部をスライド及び/又は入れ子になるように構成された、円筒状、切頭円錐状、又はリング状の部材で形成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリは、中空の内部空間を有する伸縮構造を形成する。
【0043】
実施形態によっては、変形可能なインフィードアセンブリの部品が収縮・伸長中に移動する縦方向距離は、装置やインフィードアセンブリ部品のサイズに依存する。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分は、前記インフィードアセンブリが反応チャンバに対して密封されることを可能にするために、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸長した状態においてのみ、縦方向に移動するように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分は、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸長した状態において、縦方向に3~20mm、好ましくは5~10mm上方及び/又は下方に移動するように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記下側部分は、縦方向に伸長した状態において、及び、前記インフィードアセンブリが収縮状態と伸長状態との間で縦方向に変形しているときに、縦方向に移動するように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記下側部分が移動する縦方向距離は、100~300mmである。
【0044】
実施形態によっては、前記装置は、前記弾性チューブ管が伸張していない位置に戻ることを防止することによって該弾性チューブ管を予め緊張させる、プレテンション機構を備える。実施形態によっては、前記装置は、前記弾性チューブ管の周囲にプレテンション機構を備える。このプレテンション機構は、前記弾性チューブ管が伸張していない状態又は弛緩した状態に戻るのを防止することによって、前記弾性チューブ管に機械的な力を生成するように構成される。実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記弾性チューブ管の周囲にある。実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記弾性チューブ管に連続的に予張力を発生させるように構成されており、前記プレテンション機構は常に、前記弾性チューブ管が伸張していない状態又は弛緩した状態に戻るのを防止する。
【0045】
実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記弾性チューブ管を介して前記インフィードアセンブリに機械的な力を生成するように構成される。実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記インフィードアセンブリの上側部分に機械的な力を生成するように構成される。実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記インフィードアセンブリの上側部分及び下側部分に機械的な力を生成するように構成される。
【0046】
実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記弾性チューブ管の位置を調整するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記プレテンション機構を構成する部品の間の調整の下で変形するように構成されている。
【0047】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管及び前記プレテンション機構は、前記インフィードアセンブリに機械的な力を生成することによって、前記インフィードアセンブリを安定化させ、漏れを防止するように構成される。実施形態によっては、前記プレテンション機構によって生成される機械的な力は、前記インフィードアセンブリの変形中、及び、縦方向に伸長及び/又は収縮した状態において、前記インフィードアセンブリの上側部分を上方に(反応チャンバから引き離すように)、及び/又は前記インフィードアセンブリの下側部分の垂直中心軸と一直線上に、連続的に引っ張るか、又は引き込む。実施形態によっては、前記プレテンション機構によって生成される機械力は、前記インフィードアセンブリの変形中、及び、縦方向に伸長及び/又は収縮した状態において、常に、前記インフィードアセンブリの下側部分と上側部分を同心にするように構成される。
【0048】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管及び/又は前記プレテンション機構は、前記インフィードアセンブリの動きを安定させるように構成される。
【0049】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管及び/又は前記プレテンション機構は、特に、前記インフィードアセンブリが動いている間、前記インフィードアセンブリの振動及び不要な粒子の発生を防止するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管及び/又は前記プレテンション機構は、前記インフィードアセンブリが動いておらず、従って、本質的に静止している間にも、前記インフィードアセンブリの振動及び不要な粒子の発生を防止するように構成される。
【0050】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管及び/又は前記プレテンション機構は、前記上側部分と前記下側部分との間の結合部において、前記インフィードアセンブリからの(反応種を含有する)ガスの漏出を防止するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管及び/又は前記プレテンション機構は、前記インフィードアセンブリの遠位端部(装置の他の部分に結合された接合部)においても、前記インフィードアセンブリからの(反応種を含有する)ガスの漏出を防止するように構成される。実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記上側部分と前記下側部分との間の結合部において、前記インフィードアセンブリからの(反応種を含有する)ガスの漏出を防止するように構成される。実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記インフィードアセンブリの遠位端部(装置の他の部分に結合された接合部)においても、変形可能なインフィードアセンブリの漏れを防止するように構成される。
【0051】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管及び/又は前記プレテンション機構は、周囲空間又は中間空間内のガスが、縦方向に伸びたインフィードアセンブリ内及び反応チャンバ内に漏れるのを防止するように構成されている。実施形態によっては、前記弾性チューブ管及び/又は前記プレテンション機構は、縦方向に伸びたインフィードアセンブリ内のいかなるリアクタントも、周囲の空間又は中間空間へ漏出するのを防止するように構成される。
【0052】
実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記弾性チューブ管の下縁又は下部リムの周縁付近に固定される。前記弾性チューブ管の下縁又は下部リムは、前記プレテンション機構を通して伸張又は圧縮するように構成される。実施形態によっては、前記プレテンション機構を通した弾性チューブ管の下縁又は下部リムの伸張又は圧縮は、制限される。実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記弾性チューブ管の上縁又は上部リムに剛性的に結合される。実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記弾性チューブ管に間接的に結合され、1つ以上の部品が前記プレテンション機構と前記弾性チューブ管とを分離している。
【0053】
実施形態によっては、前記プレテンション機構は、縦方向及び/又は水平方向及び/又は斜め方向及び/又は角度方向に調整可能に構成される。実施形態によっては、前記プレテンション機構は、容易にアクセス可能かつ容易に調整可能に構成される。
【0054】
実施形態によっては、熱膨張は、前記プレテンション機構を構成する構成要素間の大きな相対移動を引き起こさない。実施形態によっては、前記プレテンション機構はニッケルベースの合金、例えば、AISI304、AISI304L、AISI316、AISI316Lと、インコネル及び/又はチタンを含む合金で構成される。実施形態によっては、前記プレテンション機構は、周囲の部品の材料が有する熱膨張係数と同様の熱膨張係数を有する材料で構成される。
【0055】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記プレテンション機構の間又はその内部で、伸張された状態に配置される。実施形態によっては、前記プレテンション機構は、前記弾性チューブ管がその平衡状態、弛緩状態及び/又は未伸張状態にあることを防止する。実施形態によっては、前記弾性チューブ管の上方に向いた変形運動を駆動する復元力は、前記インフィードアセンブリの伸長及び収縮運動の間、及び、前記インフィードアセンブリが縦方向に収縮した状態又は伸長した状態にある間、前記プレテンション機構によって阻止又は防止されるように構成される。
【0056】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分は、前記プレテンション機構と接触するように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分は、その外側の空間又は前記中間空間に面する側面に結合された、フランジ状、リング状、又は円筒状の物体のような突起を有する。前記突起は、前記弾性チューブ管がその平衡状態、静止状態、又は伸張していない状態に戻ることを阻止又は防止するように構成されている。実施形態によっては、前記突起は、前記プレテンション機構の下側平面に対してブロック又は停止されるように構成されている。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記突起が前記プレテンション機構の下側平面に突き当たると、その伸張していない状態へと更に垂直上方に戻ることができない。実施形態によっては、前記突起は、前記弾性チューブ管を予め緊張させるように構成される。
【0057】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分の側面に結合された前記突起は、前記プレテンション機構に対するその表面の間の接触から生じる不要な粒子の発生をできるだけ少なくするように構成される。実施形態によっては、前記突起は、前記プレテンション機構に対するその表面の摩擦から生じる粒子発生をできるだけ少なくすることを可能にする材料で作られるか、又はそのような材料でコーティングされる。実施形態によっては、前記突起は、摩擦係数が低く、温度耐性が高い材料で作られるか、又はそのような材料でコーティングされる。実施形態によっては、前記材料はフルオロカーボン、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)などのフルオロポリマーを含む。実施形態によっては、前記材料は、ポリイミド(例えば、カプトン)などの高性能プラスチックを含む。実施形態によっては、前記材料は、ポリアリールエーテルケトン(例えば、PAEK)などの熱可塑性ポリマーを含む。
【0058】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分の側面に結合された前記突起は、前記上側部分を前記インフィードアセンブリの前記下側部分と同心にするように構成され、それによって、前記インフィードアセンブリの前記上側部分と前記下側部分との間の望ましくない接触を防止する。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分の側面に結合された前記突起は、前記インフィードアセンブリの変形中、及び縦方向に伸長及び/又は収縮した状態において、前記上側部分を前記インフィードアセンブリの前記下側部分と同芯にするように構成される。
【0059】
実施形態によっては、前記変形可能なインフィードアセンブリの動きは、前記プレテンション機構から前記上側部分を分離する。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリが、縦方向に伸ばされた状態において反応チャンバに対して密封されている場合、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸ばされているが前記反応チャンバに対して密封されていない場合よりも、伸張した状態にされる。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリが反応チャンバに対して密封される位置において、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリが縦方向に縮められた状態であるときよりも伸張した状態にされる。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリが反応チャンバに対して密封される位置において、前記インフィードアセンブリの前記上側部分の前記突起は、反応チャンバの方へと前記プレテンション機構から引き離される。この構成は、装置の使用中に起こる装置部品の熱膨張を補償する。
【0060】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸ばされた状態において、前記インフィードアセンブリが反応チャンバに対して密封され、前記弾性チューブ管が更に伸長される場合、前記インフィードアセンブリの上側部分の側面に結合された前記突起は、前記プレテンション機構の下側の面に対して行く手が遮られるように構成される。そのような実施形態では、前記突起は、前記プレテンション機構の下側の面から離間するように構成され、間に隙間を残す。
【0061】
実施形態によっては、前記下側部分に取り付けられた駆動機構であって、縦方向に伸ばされた状態と縦方向に縮められた状態との間で前記インフィードアセンブリを変形させるように構成される駆動機構を備える。実施形態によっては、前記駆動機構は、前記インフィードアセンブリを縦方向に縮められた状態に変形させるように構成される。この状態において、インフィードアセンブリは、反応チャンバに対して開いた状態になる。実施形態によっては、前記駆動機構は、反応チャンバの上側から反応チャンバ内に少なくとも1つの基板を装填することを可能にする。実施形態によっては、前記駆動機構はまた、反応チャンバの上側から少なくとも1つの基板を取り出すことを可能にする。実施形態によっては、前記駆動機構は、前記インフィードアセンブリを縦方向に伸長した状態に変形させるように構成される。この状態において、インフィードアセンブリは、反応チャンバとの間が密封された状態になる。すなわち反応チャンバに対して閉じた状態にある。
【0062】
実施形態によっては、前記駆動機構は、前記インフィードアセンブリのサイズを可逆的に変更するように構成される。
【0063】
実施形態によっては、前記駆動機構は、前記インフィードアセンブリの下側部分にバネで付勢されたアタッチメントで取り付けられる。実施形態によっては、前記駆動機構は、前記インフィードアセンブリの下側部分に、バネで付勢されたアタッチメントで結合された少なくとも1つの可動シャフトを有する。実施形態によっては、前記駆動機構は、バネ付きアタッチメントを有する前記下側部分に結合された少なくとも2つの可動シャフトを備える。実施形態によっては、前記可動シャフトの数は2本である。実施形態によっては、前記可動シャフトの数は3本又は4本である。実施形態によっては、1本又は複数の可動シャフトが、前記インフィードアセンブリの下側部分の上半分に結合されている。実施形態によっては、1本又は複数の可動シャフトが、前記インフィードアセンブリの下側部分の上縁又は上部リムに結合される。
【0064】
実施形態によっては、前記駆動機構は少なくとも1つのアクチュエータを備える。ここで、前記アクチュエータは、少なくとも1つの可動シャフトを通じて前記装置の動きを生成するように構成されたデバイスである。実施形態によっては、前記駆動機構は、少なくとも2つ、3つ又は4つのアクチュエータを有する。実施形態によっては、前記駆動機構は複数のアクチュエータを有する。実施形態によっては、1つ又は複数のアクチュエータが、それぞれ1つの可動シャフトのみに結合される。実施形態によっては、1つ又は複数のアクチュエータが、それぞれ2つの可動シャフトに結合される。実施形態によっては、全てのシャフトと、シャフトに結合された全てのアクチュエータとは、変形可能なインフィードラインの外周に対して対称に配置される。実施形態によっては、前記駆動機構は、各々が自身のシャフトに結合された2つのアクチュエータを有する。実施形態によっては、前記駆動機構は、2つのシャフトに結合された1つのアクチュエータを有する。
【0065】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリは、1つ又は複数のアクチュエータと1本又は複数本のシャフトによって発生する力で変形するように構成されている。
【0066】
実施形態によっては、前記駆動機構はまた、前記インフィードアセンブリの上側部分に結合された前記弾性チューブ管を変形させるように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、1つ又は複数のアクチュエータ及び1本又は複数の可動シャフトによって生成される機械的な力の下で変形するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、縦方向に伸長した状態と縦方向に収縮した状態との間でインフィードアセンブリを可逆的に押したり引いたりする1本又は複数の可動シャフトによって発生する機械的な力の下で変形するように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸張し、反応チャンバに隙間なく接している状態において、前記弾性チューブ管及び前記インフィードアセンブリの前記上側部分に与えられる機械的な力は、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸張しているが反応チャンバに隙間なく接してはいない状態や、前記インフィードアセンブリが縦方向に収縮している状態よりも、大きくなる。
【0067】
実施形態によっては、1本又は複数本の可動シャフトの前記下側部分の上半分への結合は、変形可能なインフィードアセンブリの振動を低減し、その動きを安定させるように構成される。実施形態によっては、1本又は複数本の可動シャフトの、前記下側部分の上縁又は上部リムの面への結合は、変形可能なインフィードアセンブリの振動を低減し、その動きを安定させるように構成される。実施形態によっては、前記下側部分の質量中心よりも上方で、1本又は複数の可動シャフトが前記下側部分に結合することは、変形可能なインフィードアセンブリの振動を低減し、その動きを安定させる。
【0068】
実施形態によっては、1本又は複数の可動シャフトは、変形可能なインフィードアセンブリを、縦方向に伸張した状態から縦方向に収縮した状態まで可逆的に変形させるように構成される。縦方向に収縮した状態において、反応チャンバへの少なくとも1つの基板の装填が可能となる。実施形態によっては、可動シャフトは、インフィードアセンブリを縦方向に収縮した状態から縦方向に伸張した状態に可逆的に変形させるように構成される。縦方向に伸張した状態において、反応チャンバ内での少なくとも1つの基板の処理が可能となる。
【0069】
実施形態によっては、前記装置は、変形可能なインフィードアセンブリの外周に対称的に結合された複数の可動シャフトを備える。実施形態によっては、前記可動シャフトの数は2本であり、2本のシャフトは変形可能なインフィードアセンブリのそれぞれ反対側に配置される。他の実施形態によっては、可動シャフトの数は3本、4本又はそれ以上であるが、いずれの場合も、可動シャフトは変形可能なインフィードアセンブリの周縁部に対称に配置される。
【0070】
実施形態によっては、前記バネ付きアタッチメントは、前記駆動機構を前記インフィードアセンブリに弾性的に結合し、前記インフィードアセンブリの動きを安定させるように構成される。実施形態によっては、前記バネ付きアタッチメントは、前記インフィードアセンブリの下側部分と、1本又は複数の可動シャフトとを結合する。実施形態によっては、前記バネ付きアタッチメントは、前記インフィードアセンブリの下側部分の角度及び/又は垂直及び/又は水平位置を調節するように構成される。実施形態によっては、前記バネ付きアタッチメントは、前記インフィードアセンブリ全体の縦方向の調節を容易にする。
【0071】
実施形態によっては、前記バネ付きアタッチメントは、複数の弾性部品、好ましくは少なくとも3つの弾性部品、例えば3つ又は4つの弾性部品を含む。実施形態によっては、1本又は複数本の可動シャフトは、弾性部品を介して変形可能なインフィードアセンブリの下側部分に結合される。実施形態によっては、前記バネ付きアタッチメント内の各弾性部品は、変形可能なインフィードアセンブリの縦方向の動きに抵抗して、変形可能なインフィードアセンブリの動きを安定させるように構成される。実施形態によっては、可動シャフトの数は2本であり、弾性部品の数は3つ又は4つである。
【0072】
実施形態によっては、各弾性部品は、機械的ポテンシャルエネルギーを蓄えるように構成された弾性体である。実施形態によっては、各弾性部品は、予め緊張させられるように構成されている。実施形態によっては、各弾性部品は、バネ付きアタッチメントを構成する部品間で予め緊張させられるように構成される。実施形態によっては、各弾性部品はバネである。実施形態によっては、各弾性部品は、その内部に蓄積された機械的ポテンシャルエネルギーを用いて、前記インフィードアセンブリの垂直、水平、及び斜めの動きに抵抗し、それによって前記インフィードアセンブリの動きを安定させるように構成される。実施形態によっては、各弾性部品は、その内部に蓄積された機械的ポテンシャルエネルギーを用いて、前記インフィードアセンブリの縦方向に延びた状態への変形に抵抗し、それによって当該変形を安定させるように構成される。実施形態によっては、各弾性部品は、その内部に蓄積された機械的エネルギーで、前記インフィードアセンブリの縦方向に縮んだ状態への変形に抵抗し、それによって当該変形を安定させるように構成される。実施形態によっては、各弾性部品は、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸張した状態において、前記インフィードラインの反応チャンバに対する角度を調整するように構成される。
【0073】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記中間空間に面する表面からの、前記バネ付きアタッチメント内の各弾性部品の距離が、水平面内で大きくなると、前記インフィードアセンブリの前記下側部分の位置調整の精度が向上する。
【0074】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸張した状態において、縦方向の隙間が、前記インフィードアセンブリの前記下側部分を反応チャンバから分離する。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記下側部分と反応チャンバとの間の前記隙間は、前記駆動機構が前記弾性部品の各々を更に圧縮することによって閉じられる。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記下側部分と反応チャンバとの間の前記隙間は、前記駆動機構が前記弾性チューブ管を更に伸張させることによって閉じられる。
【0075】
実施形態によっては、前記駆動機構は、前記弾性チューブ管を縦方向に更に伸張させることによって、縦方向に伸張した前記インフィードアセンブリを反応チャンバに向かって縦方向に更に押圧し、前記インフィードアセンブリと前記反応チャンバとの間を密封する。実施形態によっては、前記駆動機構は、各弾性部品を更に圧縮することによって、縦方向に伸張した前記インフィードアセンブリを反応チャンバに向かって押圧し、前記インフィードアセンブリと前記反応チャンバとの間を密封する。実施形態によっては、各弾性部品は、前記インフィードアセンブリの縦方向に伸長した状態への変形よりも、前記インフィードアセンブリの縦方向に伸長した状態における前記更なる圧縮に抵抗するように構成される。実施形態によっては、各弾性部品は、前記インフィードアセンブリが縦方向に延びた状態において、前記インフィードアセンブリの縦方向の変形に最も抵抗するように構成される。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリが縦方向に伸張した状態における前記更なる圧縮に対する各弾性部品の抵抗は、前記インフィードアセンブリの動きを安定させ、望ましくない粒子の発生を防止する。
【0076】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記下側部分と前記装置の固定要素との間に結合される。実施形態によっては、前記固定要素は、前記インフィードアセンブリの前記上側部分である。このような実施形態では、前記インフィードアセンブリの前記上側部分は、変前記インフィードアセンブリにおいて動かない部分であり、前記装置に固定的に取り付けられている。実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分は、外側チャンバの内面、又は外側チャンバに結合されるフランジのような固定された位置を有する、前記装置の別の固定要素に結合される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記上側部分に直接結合されるか、又は外側チャンバなどの装置の別の固定部分を介して間接的に結合される。
【0077】
実施形態によっては、前記インフィードアセンブリの前記上側部分は、前記弾性チューブ管の内側に入れ子になっている。実施形態によっては、前記変形可能なインフィードアセンブリが縦方向に伸張した状態において、前記弾性チューブ管は、該インフィードアセンブリの前記上側部分の縦方向の全長を取り囲む。実施形態によっては、変形可能なインフィードアセンブリの縦方向に縮んだ状態では、弾性チューブ管は、変形可能なインフィードアセンブリの上側部分の縦方向の長さの一部のみを取り囲み、一方、上側部分の一部は、変形可能なインフィードアセンブリの下側部分の内側に入れ子になっている。
【0078】
実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記下側部分の位置を調整するように構成され、前記インフィードアセンブリの前記上側部分は、前記下側部分にリアクタントの流れを供給するように構成される。実施形態によっては、前記弾性チューブ管は、前記インフィードアセンブリの前記上側部分に対する前記下側部分の位置を調整するように構成され、漏れのない、変形可能なインフィードアセンブリを提供する。
【0079】
第2の捉え方によれば、次の方法が提供される。この方法は、
少なくとも1つの基板を処理するための反応チャンバと、互いに対して移動可能な上側部分及び下側部分を有する変形可能なインフィードアセンブリとを準備することと;
前記インフィードアセンブリを、縦方向に縮んだ状態へと変形させ、前記反応チャンバ内に基板を装填することと;
前記インフィードアセンブリを、縦方向に伸びた状態へと変形させることと;
前記上側部分に結合された弾性チューブ管を通じてリアクタントを流し、前記弾性チューブ管から前記インフィードアセンブリを通じて前記反応チャンバへと前記リアクタントを流すことと;
を含む。
【0080】
第3の捉え方によれば、次の方法が提供される。この方法は、
少なくとも1つの基板を処理するための反応チャンバと、互いに対して移動可能な上側部分及び下側部分を有する変形可能なインフィードアセンブリとを準備することと;
前記インフィードアセンブリを、縦方向に縮んだ状態へと変形させ、前記反応チャンバ内に基板を装填することと;
前記インフィードアセンブリを、縦方向に伸びた状態へと変形させることと;
前記弾性チューブ管に入れ子になっている前記上側部分を通じてリアクタントを流し、前記上側部分から前記下側部分を通じて前記反応チャンバへと前記リアクタントを流すことと;
を含む。
【0081】
様々な捉え方や実施形態を紹介してきたが、これらは発明の範囲を限定するために提示されたものではない。上述の実施形態は、本発明の実施にあたり使用され得る特定の態様やステップを説明するために用いられたに過ぎない。実施形態によっては、特定の例示的側面を参照してのみ提示されるかもしれない。いくつかの実施形態は他の実施形態にも適用可能であることが理解されるべきである。特に、前記第1の捉え方に関連して説明した実施形態は、別の捉え方についても適用可能である。これらの実施形態は適宜組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
次に、本発明を、添付図面を参照しながら例示的にのみ説明する。
【
図1】或る実施形態による基板処理装置の特定の部分の概略断面図である。変形可能なインフィードアセンブリが縦方向に伸ばされた状態にある。
【
図2】或る実施形態による基板処理装置の特定の部分の別の概略断面である。変形可能なインフィードアセンブリが縦方向に縮められた状態にある。
【
図3】或る実施形態による弾性チューブ管の拡大断面図である。
【
図4】或る実施形態による弾性チューブ管の別の拡大断面図である。
【
図5】或る実施形態による変形可能なインフィードアセンブリの概略断面図である。
【
図6】或る実施形態による変形可能なインフィードアセンブリの別の概略断面図である。
【
図7】或る実施形態による変形可能なインフィードアセンブリの更に別の概略断面図である。
【
図8】或る実施形態による
図5の変形可能なインフィードアセンブリの別の概略断面である。
【
図9】或る実施形態による
図6の変形可能なインフィードアセンブリの別の概略断面である。
【
図10】或る実施形態による
図7の変形可能なインフィードアセンブリの別の概略断面である。
【
図11】或る実施形態による基板処理装置の特定の部分の代替的な概略断面図である。変形可能なインフィードアセンブリが縦方向に伸ばされた状態にある。
【
図12】或る実施形態による基板処理装置の特定の部分の別の概略断面である。変形可能なインフィードアセンブリが縦方向に縮められた状態にある。
【詳細説明】
【0083】
以下の説明において、一例として、原子層堆積(Atomic Layer Deposition,ALD)技術及び原子層エッチング(Atomic Layer Etching,ALE)技術が用いられる。
【0084】
ALD成長メカニズムの基本は当業者の知るところである。ALDは、少なくとも2種類の反応性前駆体種を少なくとも1つの基板に連続的に導入することに基づく、特殊な化学的堆積法である。基本的なALD堆積サイクルは4つの逐次的工程、すなわち、パルスA、パージA、パルスB、及びパージB、から構成される。パルスAは第1の前駆体蒸気から構成され、パルスBは別の前駆体蒸気から構成される。パージAおよびパージBでは、反応空間から気体の反応副産物や残留リアクタント分子をパージ(除去)するために、不活性ガスと真空ポンプが用いられる。堆積シーケンスは少なくとも1回の堆積サイクルにより構成される。所望の厚さの薄膜またはコーティングが生成されるまで堆積サイクルが繰り返されるように、堆積シーケンスが組まれる。堆積サイクルは、簡単にすることも、さらに複雑にすることもできる。例えば、堆積サイクルは、パージステップによって区切られた3回以上のリアクタント蒸気パルスを含むことができる。また、パージステップのいくつかは省略することもできる。PEALD(Plasma-Enhanced Atomic Layer Deposition,プラズマALD) のようなプラズマアシスト型ALDや、光アシストALD(Photon-Assisted ALD)においては、表面反応に必要な追加のエネルギーをプラズマ又は光子の供給を通じて提供することにより、1つ又は複数の堆積ステップを補助する。または、反応前駆体のいずれかがエネルギー(例えば単なる光)によって代替されることができ、単一前駆体によるALDプロセスに繋がる。従って、パルスシーケンス及びパージシーケンスは個々のケースに応じて異なりうる。これらの堆積サイクルは、論理演算装置またはマイクロプロセッサによって制御される、時間的な堆積シーケンスを形成するものである。ALDによって成長した薄膜は緻密でピンホールがなく、かつ均一の厚さを有する。
【0085】
基板処理工程に関して述べると、通常少なくとも1枚の基板が、時間的に離間した複数の前駆体パルスに反応器(又は反応チャンバ)内で曝される。それによって、連続自己飽和表面反応で材料が基板表面に堆積される。本出願の記述において、ALDという用語は、ALDを基盤とする全ての利用可能な技術を含み、また、これらに等価な技術やこれらに密接に関連したあらゆる技術を含む。例えば次のようなALDの亜種を含む。MLD(Molecular Layer Deposition,分子層堆積)、例えばPEALD(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition,プラズマALD)のようなプラズマアシスト型ALD(plasma-assisted ALD)、フラッシュ改良型ALD(flash enhanced ALD)又は光ALDとして知られる光アシスト型ALD(Photon-Assisted ALD))又は光改良型ALD(photon-enhanced ALD)。
【0086】
しかし、本発明はALD技術に限定されない。本発明は広く様々な基板処理装置に生かすことができ、例えば、化学蒸着(CVD)リアクターのような化学堆積リアクターや、原子層エッチング(ALE)リアクターのような化学エッチングリアクターに利用することもできる。
【0087】
ALEエッチングメカニズムの基本は当業者の知るところである。ALEにおいては、自己制御的(self-limiting)な連続反応ステップを用いて表面から物質層が除去される。典型的なALEエッチングサイクルは、反応層を形成する改質(modification)ステップと、反応層だけを取り除く除去(removal)ステップとを有する。除去ステップは、層の除去のためにプラズマ種(特にイオン)を用いる。
【0088】
ALD技術及びALE技術に関して、自己飽和表面反応(self-saturating surface reaction)とは、表面反応場が完全に使い果たされると、表面反応層における表面反応が停止し自己飽和することを意味する。
【0089】
以下の説明において、一例として、原子層堆積(ALD)技術が用いられる。
【0090】
図1は、装置100の概略断面図である。装置100は、例えばプラズマエンハンストALD成膜反応やプラズマエンハンスト原子層エッチング反応を行うのに適した、基板処理装置やリアクターである。
【0091】
装置100は反応チャンバ20を備える。反応チャンバ20は、基板が処理される空間60の境界を部分的に定める。また装置100は、変形可能なインフィードアセンブリ85を備える。インフィードアセンブリ85は、少なくとも上側部分70と下側部分80とを有する。インフィードアセンブリ85は、伸長することによって下降し、収縮することによって上昇するように構成されている。上側部分70と下側部分80は互いに対して移動可能であり、それによってインフィードアセンブリ85は、縦方向に伸ばされた状態と縦方向に縮められた状態との間で変形するように構成されている。
図2に示されるように、上側部分70と下側部分80の直径は一定ではない。また、インフィードアセンブリ85が伸縮する際に、互いに重なるようにスライドするように構成されている。上側部分70と下側部分80はテレスコープ構造を形成している。
【0092】
変形可能なインフィードアセンブリ85の伸縮は、下側部分80に取り付けられた駆動機構によって行われるように構成されている。この駆動機構は、変形可能なインフィードアセンブリ85が縦方向に縮んだ状態になるように、少なくとも下側部分80を上昇させるように構成される。また、変形可能なインフィードアセンブリ85が縦方向に伸びた状態になるように、少なくとも前記下側部分80を下降させるように構成されている。駆動機構はまた、縦方向に伸長した変形可能なインフィードアセンブリ85全体を更に引き下げるように構成され、インフィードアセンブリ85が反応チャンバ20の開口部の縁において密封されるようにする。実施形態によっては、変形可能なインフィードアセンブリ85は、反応チャンバ20の開口部を取り囲むフランジ40に対して実施形態によっては、変形可能なインフィードアセンブリ85はインフィードアセンブリフランジ45に結合される。インフィードアセンブリフランジ45は、変形可能なインフィードアセンブリ85が縦方向に伸びた状態において、反応チャンバのフランジ40に対して密封される。
【0093】
上記駆動機構は、
図1及び
図2に示すように、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80にバネにより付勢されたアタッチメント90で結合された少なくとも1つの可動シャフト120(
図5~
図10では1つのみを示す)を有する。好ましくは、バネ付きアタッチメント90は、変形可能なインフィードアセンブリ85が振動せずに安定して動くことを可能にするために、下側部分80の上半分に結合されている。理想的には、バネ付きアタッチメント90は、変形可能なインフィードアセンブリ85の移動安定性を最適化するために、下側部分80の上端又は上縁に結合される。変形可能なインフィードアセンブリ85の十分に安定した振動のない移動が、装置100の他の又は追加の構造的解決策で達成される実施形態によっては、バネ付きアタッチメント90は、下側部分80の下半分に結合され得る。
【0094】
変形可能なインフィードアセンブリ85が縮められた状態で上昇させられると、1つ又は複数の基板が反応チャンバ20内へと側面から装填され、及び/又は、反応チャンバ20から(側面から)取り出され得る。インフィードアセンブリ85は伸長状態に下げられ、基板処理のために反応チャンバ20に対して密封される。
【0095】
本明細書で使用される場合、「上」、「下」、又は「水平」、「垂直」、「上側」、「下側」という用語は、図に示されるような方向を説明するために使用されている。ここで方向は単に、互いに対する部品の位置及び動きを示すことを目的としている。装置100が図に示されているのとは異なる向きに配置されることもあり得るので、方向を説明する上述の用語はそれに応じて調整することができる。
【0096】
典型的には、反応チャンバ20及びインフィードアセンブリ85は、これらの間に中間空間10を残して、外側チャンバ30によって取り囲まれている。ある実施形態では、外側チャンバ30は反応チャンバ20全体とインフィードアセンブリ85内を取り囲むが、実施形態によっては、反応チャンバ20及び/又はインフィードアセンブリ85の一部のみが外側チャンバ30によって取り囲まれる。外側チャンバ30は真空チャンバとすることができるが、それでもその圧力は、反応チャンバ20内の圧力やインフィードアセンブリ85内の圧力よりも高く保たれる。これは、中間空間への化学物質の漏出を防止するためである。
【0097】
装置100は、変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70に結合された弾性チューブ管150を備える。弾性チューブ管150の上端は、外側チャンバ30の内面に結合されてもよい。または、装置において位置が固定されている他の要素(例えば外側チャンバ30に結合されるフランジ153)に結合されてもよい。弾性チューブ管150の内部には中空の管路が形成されている。弾性チューブ管150の下端は、変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70に結合されている。リアクタントは弾性チューブ管150の中空内部管路の第一端に供給され、他端から放出され、上側部分70にリアクタントの流れを供給する。弾性チューブ管150は弾力性のある要素であり、変形可能なインフィードアセンブリ85の少なくとも上側部分70をそれ自身の方へ引っ張ることによって、機械的な力を生成するように構成されている。
【0098】
弾性チューブ管150の上流側にはプラズマ源160が設けられている。プラズマ源160はプラズマ形成部を有する。実施形態によっては、プラズマ源160は、弾性チューブ管150の上流側において弾性チューブ管150に直接接続している。実施形態によっては、プラズマ源160は弾性チューブ管150の上流に配されているが、弾性チューブ管150とは直接に接続されてはおらず、両者は離れている。気相化学物質がプラズマ源160を通って流れ、当該化学物質はプラズマ状態に活性化される。プラズマ源160で生成された励起種を含むこれらの化学リアクタントは、弾性チューブ管150を通って下流に流れ、縦方向に伸ばされたインフィードアセンブリ85を通って反応チャンバ20に向かう。そして励起種を含むリアクタントは、反応チャンバ20の空間60内に存在する基板に流れ、基板表面に自己飽和表面反応を発生させる。
【0099】
処理される基板は、どのような形態又は形状でもよいが、好ましくは、各基板はウェハのような平坦な基板である。いくつかの実施形態では、反応チャンバ20内の空間60内で複数の基板を同時に処理することができる。1つ又は複数の基板は、空間60内で、基板支持体上に載置されることができる。図示されていないが、基板支持体は、反応チャンバ20の底部にある反応チャンバ出口50を通っている。あるいは、基板支持体(図示せず)は、インフィードアセンブリ85の(例えば下側部分80の)内面に繋げられるか、そこから吊り下げられる。
【0100】
図3及び
図4は、弾性チューブ管150とその周囲の部品の構造をより詳細に示している。弾性チューブ管150の周囲又は外周には、プレテンション機構(予め緊張を与えておく機構)130が設けられている。プレテンション機構130は、弾性チューブ管150が伸張していない位置に戻るのを防止し、それによって、弾性チューブ管150を連続的に伸張させ、弛緩されていない状態にすることを強制する。これにより、プレテンション機構130は、弾性チューブ管150に予め緊張を付与するように構成される。プレテンション機構130は、弾性チューブ管150を介して、変形可能なインフィードアセンブリ85の少なくとも上側部分70に間接的に機械的な力を生成するように構成されている。予め緊張させられた弾性チューブ管150は、変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70を、弾性チューブ管150の方へ、及び/又は、下側部分80の垂直中心軸と一直線上に、連続的に引っ張るか又は引き込む。それによって、上側部分70の位置を調整し変更するように構成されている。弾性チューブ管150とプレテンション機構130とによって発生する機械的な力は、変形可能なインフィードアセンブリ85の少なくとも上側部分70の動きを安定させ、それによって、装置100の構成要素からの不要な粒子の形成を防止する。この不要な粒子は、金属粒子又は非金属粒子であり得る。この不要な粒子は、(1つ又は複数の)基板と接触すると、基板の処理を妨害し、処理された(1つ又は複数の)基板の品質を著しく低下させる可能性がある。
【0101】
変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70の下縁、及び下側部分80の上縁は、
図5~10に示すように、水平カラー81を有する。上側部分70と下側部分80のこれらの水平カラー81は、変形可能なインフィードアセンブリ85が縦方向に伸びた状態で、互いに重なり合うように構成される。インフィードアセンブリ85の伸長状態において、予め張力をかけられた弾性チューブ管150が上側部分70を上方に引っ張ると、上側部分70と下側部分80は互いに押し付け合い、密封された接合部を形成する。これにより、弾性チューブ管150とプレテンション機構130は、インフィードアセンブリ85が縦方向に伸ばされた状態において、漏れのないインフィードアセンブリ85の形成を可能にするように構成されている。
【0102】
プレテンション機構130は、装置100の要素のうち位置が固定されている要素に結合される。好ましくは弾性チューブ管150の上方に結合される。実施形態によっては、プレテンション機構130の上側部分133'は、外側チャンバ30、又は外側チャンバ30に結合されたフランジ153に結合される。実施形態によっては、弾性チューブ管150の上端は、プレテンション機構130の上側部分133'と同じ固定要素、例えばフランジ153に結合される。プレテンション機構130は、弾性チューブ管150を超えて下方に延びている。プレテンション機構130の下側部分133は、弾性チューブ管150の下縁付近又は下方に配置されている。プレテンション機構130の上側部分133'及び下側部分133部分は、調整可能な支持体132、132'によって互いに連結されている。調整可能な支持体132、132'は、プレテンション機構130の構造を安定させるように構成されている。調整可能な支持体132、132'は、ナット及び/又はワッシャのような調整部材131、131'を含む。これら調整部材131、131'は、上側部分133'の下側部分133からの近さの調整を可能にするように構成されている。これにより、調整可能な支持体132、132'は、弾性チューブ管150に予め印加される緊張の程度を調節するように構成される。
【0103】
プレテンション機構130の下側部分133は、弾性チューブ管150と上側部分70とが下側部分133を通って移動及び/又は伸張できるように、弾性チューブ管150の下縁部又は弾性チューブ管150の下方に配置されている。下側部分133は開口76を有し、この開口76を通して弾性チューブ管150が縦方向及び/又は水平方向及び/又は斜め方向に移動及び/又は伸張することができる。実施形態によっては、変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70の一部も、インフィードアセンブリ85の縦方向の伸縮の間、下側部分133の開口76を通って縦方向に移動するように構成されている。
【0104】
変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70は、上側部分70の外周面に結合された、フランジ状、リング状、又は円筒状の物体のような突起71を備え、弾性チューブ管150が平衡状態又は伸張していない状態に戻るのを阻止するように構成されている。幾つかの他の実施形態では、中間空間10に面する上側部分70の表面は、上側部分70の外周面の周りに対称的に配置されたピン又はプラグのような幾つかの突起71を有する。従って、突起71という用語は、複数の突起71も意味することができる。弾性チューブ管150は、プレテンション機構130の間で縦方向に伸張された、予緊張印加状態に置かれる。突起71は、プレテンション機構130の下側部分133の下面によって行く手を阻まれるように構成され、それによって、弾性チューブ管がその伸張されていない状態に戻るのを阻止する。突起71は、変形可能なインフィードアセンブリ85の縦方向の伸長/収縮の間、及び、
図4に示すように変形可能なインフィードアセンブリ85が縦方向に収縮した状態にあるときに、プレテンション機構130の下側部分133によって、行く手を阻まれるように構成されている。
【0105】
突起71は、変形可能なインフィードアセンブリ85の縦方向に伸ばされた状態においても、プレテンション機構130の下側部分133によって行く手を阻まれるように構成されている。縦方向に伸ばされたインフィードアセンブリ85が更に引き下げられ、弾性チューブ管150が縦方向に更に伸ばされて、インフィードアセンブリ85が反応チャンバ20に嵌め込まれ得るようになると、突起71は、プレテンション機構130の下側部分133から離脱するように構成されている。突起71が下側部分133から離脱すると、
図3に示すように、突起71は上側部分70と共に更に下方に移動する。駆動機構は、変形可能なインフィードアセンブリ85の状態変化の際に、すなわち縦方向に伸びた状態から縦方向に縮んだ状態へと(またはその逆へと)変化する際に、インフィードアセンブリ85の下側部分80を移動させるように構成されている。変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80の移動は、上側部分70も移動させ、それによって突起71をプレテンション機構130から切り離す。
【0106】
開口76の大きさは、好ましくは突起71の直径に合わせて調節される。実施形態によっては、弾性チューブ管150と上側部分70の上側部分とが移動できる下側部分133の開口76は、斜めにカットされている。つまり、開口76の縁77は、装置の上側部分に向かって傾斜しており、プレテンション機構130の下側部分133の水平面に対して直交していない。実施形態によっては、突起71の外縁72の形状も、突起71の水平面に対して斜めにカットされており、縁72はそれによって開口76の上記斜めにカットされた縁77に適合する。突起71の縁部72と開口76の縁部77の斜めの形状により、突起71は、プレテンション機構130の下側部分133の下方から上方へと突き抜けることができないようにされている。また、縁部72及び77の斜めの形状により、突起71が下側部分133に対して滑らかに上方に移動することができ、不要な粒子の形成を防止することができる。突起71の縁部72と開口76の縁部77との間の表面間接触における不要な粒子形成は、突起71及び/又はプレテンション機構130の下側部分133材料を適切に選択することによって、更に防止される。実施形態によっては、突起71は、摩擦係数が低く、温度耐性が高い材料で作られているか、又は、そのような材料でコーティングされている。突起71がプレテンション機構130を突き抜けることを防止する機構は、不要な粒子の形成が最小化される任意の代替的な方法で構成することもできる。
【0107】
弾性チューブ管150は、インフィードアセンブリ85が反応チャンバ20に接触しているとき(
図7,10参照)、インフィードアセンブリ85が縦方向に伸張しているものの反応チャンバ20に接触していないとき(
図6,9参照)に比べて、更に伸ばされている。変形可能なインフィードアセンブリ85が反応チャンバ20に接触しているとき、変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70の周りの突起71は下方に引っ張られ、突起71はプレテンション機構130の下側部分133に押し付けられない。変形可能なインフィードアセンブリ85が反応チャンバ20に接触しているとき、弾性チューブ管150は、インフィードアセンブリ85の他の状態にあるときよりも、縦方向に、例えば3~20mm更に引き伸ばされることができる。そして、対応する長さの隙間が突起71をプレテンション機構130の下側部分133から分離する。駆動機構が、縦方向に伸びたインフィードアセンブリ85の下側部分80を1本又は複数本のシャフト120と共に持ち上げ始め、下側部分80を反応チャンバ20から分離すると、突起71は、最終的に、プレテンション機構130の下側部分133によって行く手を阻まれるまで、上側部分70と共に上方に移動する。弾性チューブ管150は、それ以上その伸張していない状態に戻ることができず、従って弾性チューブ管150は、予張されたままである。弾性チューブ管150は、その伸張していない状態に戻ろうとして、上側部分70を自身の方へ連続的に引っ張るように構成されている。
【0108】
可動シャフト120を含む駆動機構は、
図1-2及び
図5-10に示すように、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80に、バネにより付勢されたアタッチメント90で結合されている。バネ付きアタッチメント90は、1本又は複数本のシャフト120を変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80に結合するための上側結合部品92及び下側結合部品93を有する。上側結合部品92及び下側結合部品93は、いずれも複数の部品で構成されてもよい。例えば、
図8~
図10の例示的な実施形態に示されるように、バネ付きアタッチメント90は、2つ以上の下側結合部品93から構成されてもよい。別の例示的な実施形態では、各可動シャフト120は、個別に専用の上側結合部品92に結合される。バネ付勢アタッチメント90の設計にかかわらず、1本又は複数の可動シャフト120は、少なくとも1つの上側結合部品92に連結され、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80は、少なくとも1つの下側結合部品93に連結される。すべての可能な実施形態において、上側結合部品92は、下側結合部品93に調節可能かつ移動可能に結合される。
【0109】
バネ付きアタッチメント90は、上側結合部品92と下側結合部品93を結合する弾性部品122を更に備える。実施形態によっては、弾性部品122は、
図5~
図10に示すように、上側結合部品92と下側結合部品93の間に配置され、実施形態によってはコネクタ91の周囲に配置される。各弾性部品122は、少なくとも、1本又は複数本のシャフト120がアセンブリ85を動かす方向に弾性を有する。各弾性部品122は、機械的ポテンシャルエネルギーを蓄えるように構成されている。各弾性部品122は、例えばバネであり、変形可能なインフィードアセンブリ85の垂直、水平、及び斜めの動きに抵抗するように構成され、それによって変形可能なインフィードアセンブリ85の動きを安定させる。各弾性部品122は、上側結合部品92と下側結合部品93の間に予緊張がかかるように構成されている。
【0110】
実施形態によっては、上側結合部品92及び/又は下側結合部品93はコネクタ91に結合されており、各コネクタ91は弾性部品122に結合されている。コネクタ91は、変形可能なインフィードアセンブリ85の動きを支持し安定させるように構成されている。実施形態によっては、各コネクタ91は、上側結合部品92にのみ可動・調整可能に結合されている。例えば、各コネクタ91は、下側部分結合部93に固定された取り付け点を有する一方、上側部分結合部92は、コネクタ91の外縁に可動に配置される。コネクタ91は、ファスナータイプの構造を形成する形状にすることができ、上側結合部品92がコネクタ91から外れるのを防止しつつ、上側結合部品92がコネクタ91の少なくとも垂直面に沿って移動できるようにする。コネクタ91の垂直面に沿った上側結合部品92の縦方向の移動は、1つ又は複数の弾性部品122によって制限される。コネクタ91に対する上側結合部品92の垂直位置は、変形可能なインフィードアセンブリ85の垂直位置に依存する。すべてのコネクタ91は、すべての可動シャフト120に関して、変形可能なインフィードアセンブリ85の周辺部に対称的に配置されている。
【0111】
実施形態によっては、各可動シャフト120は、上側部分結合部92を介して、少なくとも2つのコネクタ91及び/又は少なくとも2つの弾性部品122に結合されている。実施形態によっては、各可動シャフト120に結合されるコネクタ91及び/又は弾性部品122の数は、3つ又は4つである。実施形態によっては、1本又は複数本の可動シャフト120は、単一の上側結合部品92を介して、装置の少なくとも3つ、好ましくは4つのコネクタ91及び/又は少なくとも3つ、好ましくは4つの弾性部品122に連結される。
【0112】
図5及び
図8の代替実施形態に示されているように、変形可能なインフィードアセンブリ85が縦方向に縮んだ状態において、1本又は複数の可動シャフト120、バネ付勢アタッチメント90及び下側部分80は、上方位置へと持ち上げられる。変形可能なインフィードアセンブリ85が縦方向に縮められた状態において、下側部分80が持ち上げられると、上側部分70は少なくとも部分的に下側部分80の内側に入れ子になり、下側部分80の下端と反応チャンバ20との間に隙間Aが生じる。この隙間Aにより、反応チャンバ20の内部空間60にアクセスすることができ、基板を反応チャンバ20に装填したり、反応チャンバ20から取り出したりすることができる。変形可能なインフィードアセンブリ85が縦方向に縮められた状態において、各弾性部品122は、上側結合部品92と下側結合部品93との間において、予め緊張させられている。
図5及び
図8の代替実施形態に詳細に示されている装置の部品は、
図2に示されている実施形態を表している。
【0113】
駆動機構は、1本又は複数の可動シャフト120で下側部分80を反応チャンバ20に向かって移動させ、変形可能なインフィードアセンブリ85を縦方向に伸びた状態にするように構成される。反応チャンバ20に向かう上記移動の間、1本又は複数の可動シャフト120は、上側結合部品92を押すように構成され、ひいては、ばね付きアタッチメント90の他の部分及び下側部分80を反応チャンバ20の方に押すように構成される。上側結合部品92は、上記移動の間、弾性部品122に押し付けられるように構成され、弾性部品122は圧縮に抵抗するように構成され、それによって上記移動を安定させる。上側結合部品92は、弾性部品122を押圧するように構成され、弾性部品122は、インフィードアセンブリ85が縦方向に伸ばされた状態になるまで、一定の力で、弾性部品122に印加される圧力に抵抗するように構成される。
【0114】
変形可能なインフィードアセンブリ85が縦方向に伸長した状態では、変形可能なインフィードアセンブリ85は完全に伸長している。
図6と
図9の代替実施形態に示されているように、上側部分70と下側部分80のリムの水平カラー81は互いに重なり合い、密封されたインフィードアセンブリ85を形成する。上側部分70と下側部分80との間のシール75は、境界面を密封し、上側部分70と下側部分80との間の不要な接触を防止する。シール75は、変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70の下側リム及び/又は水平カラー上方に設けることができる。シール75はまた、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80の上側リム及び/又は水平カラー下方に設けることもできる。実施形態によっては、シール75はOリングシールであり、丸みを帯びたプロファイル又は角張った輪郭を有することができる。いずれにしても、シール75は、粒子の付着を助長せず、清潔に保つことができる形状及び形態を有する。シール75は、装置の作動中に不要な粒子の発生を最小限に抑える材料で作られている。シール75は、金属シール又は非金属シールとすることができる。
【0115】
駆動機構がインフィードアセンブリ85を縦方向に伸長した状態へと変形させると、
図6及び
図9に示すように、下側部分80の下端と反応チャンバ20との間にわずかな隙間Bが残る。隙間Bは、駆動機構が、基板処理の前に、インフィードアセンブリ85の下側部分80を反応チャンバ20の表面に押し付けることによって閉じられる。隙間Bは、駆動機構が上側結合部品92を反応チャンバ20の方に押圧することによっても閉じられる。駆動機構が上側結合部品92を反応チャンバ20の方に押圧することによって、各弾性部品122は、縦方向に伸ばされた状態への変形中よりも圧縮される。これは
図7と
図10の代替実施形態に示されている。圧縮された弾性部品122は、縦方向に伸ばされた状態への変形中よりも、インフィードアセンブリ85の動きに強く抵抗する。これにより、変形可能なインフィードアセンブリ85の変形移動が更に安定化され、不要な粒子の形成が防止される。
【0116】
弾性チューブ管15の反応チャンバ20の方への縦方向の伸張も、隙間Bを閉じることに寄与している。駆動機構は、変形可能なインフィードアセンブリ85を反応チャンバ20に向けて更に押しつける際に、
図3に示すように、突起71をプレテンション機構130の下側部分133から引き離し、突起71を上側部分70とともに更に下方に移動させるように構成される。このため、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80の移動は、上側部分70をプレテンション機構130から乖離させる。上に述べた、弾性チューブ管150の更なる縦方向の伸張は、変形可能なインフィードアセンブリ85の漏れを安定化及び/又は防止するように構成される。
図3及び
図7及び
図10の代替実施形態に詳細に示されている装置部品は、
図1に示されている実施形態を表している。
【0117】
従って、インフィードアセンブリ85の下側部分80が反応チャンバ20に対して閉じるために、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80と反応チャンバ20との間の隙間Bの幅は、インフィードアセンブリ85の縦方向に伸びた位置において弾性チューブ管150が更に延ばされなければならない長さにほぼ対応するように構成される。実施形態によっては、前記装置は、熱膨張によって引き起こされる装置100の構成要素間の相対的な動きや、装置の構成要素の位置のずれを補償するために、前記機構を用いて隙間Bを閉じるように構成される。
【0118】
図11は、別の実施形態による装置100の概略断面図である。この例において、変形可能なインフィードアセンブリ85は縦方向に伸ばされた状態にあり、反応チャンバ20にリアクタントの流れを供給するように構成されている。この実施形態によれば、変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70は、装置の静的構成要素であり、少なくとも部分的に弾性チューブ管150の内部に配置される。
図11の構成では、変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70は、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80と、外側チャンバ30のような装置の固定要素との間に結合されている。弾性チューブ管150の頂部は、変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70及び/又は外側チャンバ30のような装置の固定要素に結合され、一方、弾性チューブ管150の底部は、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80に結合される。弾性チューブ管150の頂部は、上側部分70に直接又は間接的に結合されてもよい。変形可能なインフィードアセンブリ85が縦方向に伸びた状態では、弾性チューブ管150も縦方向に伸びており、変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70の、縦方向の全長(又は大部分)を取り囲んでいる。弾性チューブ管150は、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80を下降させ、反応チャンバ20の開口部の縁に対して密封することが可能なように、縦方向に伸張される。このような実施形態では、弾性チューブ管150は、要求される弾力性、移動長、及び剛性を有する性能を把持していなければならない。実施形態によっては、弾性チューブ管150の材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフルオロカーボン又はフルオロポリマーを含み、及び/又は、弾性チューブ管150はPTFEのベローズ(蛇腹部品)である。弾性チューブ管150はまた、下側部分80の上縁が下降して上側部分70の下縁に対して密封され、それにより、変形可能なインフィードアセンブリ85の縦方向に伸ばされた状態において部分70、80の間に漏れのない境界面を提供することができるようにも、縦方向に十分に伸張される。
【0119】
本装置の
図11の構成は、リアクタントがプラズマ源160から変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70に直接流入し、そこから変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80に流入し、反応チャンバ20に向かうことを可能にする。その結果、このような構成では、弾性チューブ管150は、変形可能なインフィードアセンブリ85へのリアクタントの流入に直接関与しない。従って、弾性チューブ管150は、この場合、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80の位置を安定させ調整するようにのみ構成され、一方、上側部分70は固定位置にあるように構成される。更に、弾性チューブ管150は、内部に蓄積された機械的ポテンシャルエネルギーを用いて、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80にのみ機械的な力を生成するように構成されている。
【0120】
図12は、
図11に提示された装置100の別の形態を示す。この形態において、変形可能なインフィードアセンブリ85は、縦方向に縮められた状態にある。すなわち、変形可能なインフィードアセンブリ85は開いており、基板の装填を可能にしている。
図11及び
図12に示される実施形態による装置100は、変形可能なインフィードアセンブリ85の下側部分80を、下側部分80に取り付けられた駆動機構で持ち上げるように構成され、それによってまた、弾性チューブ管150をその収縮状態及び/又は未伸張状態まで縮める。下側部分80は、変形可能なインフィードアセンブリ85の上側部分70の上を少なくとも部分的にスライドするように構成されている。実施形態によっては、
図11及び
図12による装置は、弾性チューブ管150のためのプレテンション機構130を備えていない。
図11及び
図12に示される、簡略化されたインフィードアセンブリ構造は、より少ない部品で構成され得るので設置が容易であり、上側部分70の位置精度及び角度調整の必要性が回避されるので、有益である。更に、上側部分70の位置が固定されることにより、変形可能なインフィードアセンブリ85全体の漏れ密閉性が向上する。
【0121】
請求項に係る発明の技術的範囲及び解釈を制限することなく、本明細書に開示された例示的な実施形態の1つ又は複数の技術的効果を以下に列挙する。技術的効果の1つは、装置の部品からの不要な粒子の発生を防止することである。更なる技術的効果は、変形可能なインフィードアセンブリの収縮及び伸長時に、インフィードアセンブリの動きを安定させることである。さらなる技術的効果は、変形可能なインフィードアセンブリが実質的に静止している間の構造を安定させることである。さらなる技術的効果は、縦方向に伸ばされた変形可能なインフィードアセンブリからの漏れを防止することである。
【0122】
上の説明は、本発明の特定の実装形態および実施形態の非限定的な例によって、本発明を実施するために本発明者らが現在考えている最良の形態の完全かつ有益な説明を提供したものである。しかしながら、当業者には明らかであるように、上述の実施形態の詳細は本発明を限定するものではなく、本発明の特徴から逸脱することなく同等の手段を用いて、他の実施形態に実装することができる。
【0123】
さらに、以上に開示した本発明の実施形態の特徴は、対応する他の特徴を用いることなく用いられてもよい。然るに、以上の説明は、本発明の原理を説明するための例に過ぎず、それを限定するものではないと捉えるべきである。よって、本発明の範囲は添付の特許請求のみによって制限されるものである。
【国際調査報告】