(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ベーパーチャンバおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20240822BHJP
F28D 15/04 20060101ALI20240822BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F28D15/02 106Z
F28D15/02 101H
F28D15/02 L
F28D15/04 F
H05K7/20 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514640
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 KR2022013408
(87)【国際公開番号】W WO2023038415
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0118742
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0112729
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒョン リ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ソク キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン グン イム
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322AB01
5E322DB06
5E322DB12
5E322FA01
(57)【要約】
【課題】熱伝導性が向上したべーパーチャンバを提供する。
【解決手段】ベーパーチャンバは、一面が発熱素子の発熱面に密着配置され、他面側には開口し、内部に冷媒が充填される冷媒充填空間が所定の厚さに形成されたチャンバボディプレートと、前記チャンバボディプレートの開口した他面側を遮蔽するように結合されるチャンバカバープレートと、前記チャンバボディプレートと前記チャンバカバープレートとの間の空間である前記冷媒充填空間に形成され、少なくとも前記冷媒充填空間に充填された冷媒が流動する多数の気孔を含むように形成されたウィック部とを含む。前記ウィック部は、前記冷媒充填空間に満たされたアルミニウム粉末が粒子単位で結合された外面にメッキされたNiメッキ層を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が発熱素子の発熱面に密着配置され、他面側には開口し、内部に冷媒が充填される冷媒充填空間が所定の厚さに形成されたチャンバボディプレートと、
前記チャンバボディプレートの開口した他面側を遮蔽するように結合されるチャンバカバープレートと、
前記チャンバボディプレートと前記チャンバカバープレートとの間の空間である前記冷媒充填空間に形成され、少なくとも前記冷媒充填空間に充填された冷媒が流動する多数の気孔を含むように形成されたウィック部と、を含み、
前記ウィック部は、アルミニウム粉末が粒子単位で結合された外面にメッキされたNiメッキ層、を含む、ベーパーチャンバ。
【請求項2】
前記チャンバボディプレートおよび前記チャンバカバープレートは、前記ウィック部の無電解Niメッキ工程前の素材と同一の材質であるアルミニウム素材からなる、請求項1に記載のベーパーチャンバ。
【請求項3】
前記チャンバボディプレートと前記ウィック部、または前記チャンバカバープレートと前記ウィック部とは、前記無電解Niメッキ工程により所定の結合力で結合される、請求項2に記載のベーパーチャンバ。
【請求項4】
前記ウィック部は、前記Niメッキ層の外面にメッキされたCuメッキ層、をさらに含む、請求項2に記載のベーパーチャンバ。
【請求項5】
前記チャンバボディプレートの内側面と前記ウィック部との間の前記所定の結合力は、前記Cuメッキ層を形成する湿式Cuメッキ工程の追加によりさらに増加する、請求項4に記載のベーパーチャンバ。
【請求項6】
前記ウィック部に形成される前記多数の気孔は、前記湿式Cuメッキ工程によりメッキされるCuメッキ層によって、前記冷媒が毛細管現象によって流動可能な程度の大きさを形成する、請求項5に記載のベーパーチャンバ。
【請求項7】
内部に冷媒が充填される冷媒充填空間が形成されたチャンバボディプレート、前記チャンバボディプレートとともに前記冷媒充填空間を形成するように開口した面を遮蔽するチャンバカバープレート、および前記冷媒充填空間に形成されるウィック部、の各原材料を準備する材料準備工程と、
前記材料準備工程により準備された前記チャンバボディプレートまたは前記チャンバカバープレートが形成する前記冷媒充填空間に相当する部位に、前記ウィック部の原材料であるアルミニウム粉末を所定量位置させた後、無電解Niメッキを行う無電解Niメッキ工程と、を含む、ベーパーチャンバの製造方法。
【請求項8】
前記無電解Niメッキ工程により形成された前記ウィック部にCuメッキを追加的に行う湿式Cuメッキ工程、をさらに含む、請求項7に記載のベーパーチャンバの製造方法。
【請求項9】
前記材料準備工程は、前記冷媒充填空間に前記ウィック部が形成されるようにアルミニウムプレート形態で準備した前記チャンバボディプレートおよび前記チャンバカバープレートの少なくともいずれか1つをエッチングさせて、前記冷媒充填空間に相当する空き空間を形成した後、ジンケート処理過程を先行する、請求項7に記載のベーパーチャンバの製造方法。
【請求項10】
前記無電解Niメッキ工程は、前記アルミニウム粉末を結合させながら前記多数の気孔を形成すると同時に、前記ウィック部と同一の材質であるアルミニウム素材からなる前記チャンバボディプレートまたは前記チャンバカバープレートの内側面に、前記ウィック部を所定の結合力で結合させる工程である、請求項7に記載のベーパーチャンバの製造方法。
【請求項11】
前記湿式Cuメッキ工程は、
前記無電解Niメッキ工程により形成された前記ウィック部の表面に銅層がメッキされて、前記多数の気孔を前記冷媒充填空間に充填された冷媒が毛細管現象によって流動可能な程度の大きさを形成する工程である、請求項8に記載のベーパーチャンバの製造方法。
【請求項12】
前記湿式Cuメッキ工程は、
前記無電解Niメッキ工程により行われた前記ウィック部の前記チャンバボディプレートまたは前記ウィック部の前記チャンバカバープレートに対する前記所定の結合力をさらに増加させる工程である、請求項8に記載のベーパーチャンバの製造方法。
【請求項13】
前記無電解Niメッキ工程および前記湿式Cuメッキ工程は、前記チャンバボディプレートおよび前記チャンバカバープレートに対してそれぞれ別個に行われた後、前記チャンバボディプレートと前記チャンバカバープレートの各ウィック部とが面接するように前記チャンバボディプレートと前記チャンバカバープレートとを溶接結合させる結合工程が追加的に行われる、請求項8に記載のベーパーチャンバの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーパーチャンバおよびその製造方法(VAPOR CHAMBER AND MAKING METHOD FOR THE SAME)に関し、より詳しくは、複雑な焼結工程を経なくても簡便に所望する気孔の大きさを有するウィック部(wick)を形成することができ、熱伝導性能が向上したベーパーチャンバおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の電子装置は、性能の向上に関連して目覚ましい成長が行われているが、性能の向上とともに装置内のシステム発熱量も相対的に大きく増加した。それだけでなく、大きさの縮小も持続的に追求されて、より小さな限られた空間内に回路を集中させることにより、このような高集積部品(発熱素子)からの発熱は装置の性能を低下または停止させかねず、電子装置製造業界ではシステム熱を効果的に放熱させることが、次第に大きな問題として浮上している。
【0003】
このような問題点を解決するために、ヒートシンク(heat sink)が一般的に用いられており、基本的には、冷却しようとする熱源と直接接触して熱を受ける基底板(base plate)と、基底板から伝達された熱を周辺の空気に伝達するために、基底板から突出した多数の冷却フィン(fin)とで構成される。このようなヒートシンクは、使用目的によって素材やデザインにおける活発な研究が行われているが、共通して、ヒートシンクの効果的な放熱のために冷却フィンの表面積を極大化させて、空気と接触する面積を増加させる方向に開発が行われているのが現状である。
【0004】
ところが、ヒートシンクは、直接的な発熱素子と表面熱接触するのではなく、電子装置の内部のシステム熱を外部に放出することを主な機能とする放熱機構の一つであって、発熱素子が基底板から遠く離隔している場合には効果的な熱伝導が難しいことから、発熱素子の表面に直接表面熱接触して熱を伝達する熱伝導体としてのヒートパイプおよびベーパーチャンバがよく採用される。
【0005】
ヒートパイプおよびベーパーチャンバは、外観形状がパイプ形状なのか、またはプレート形状なのかによって区分され、特に、ベーパーチャンバは、一面は発熱素子の発熱面に直接表面熱接触し、他面は外気またはヒートシンクのような放熱機構に表面熱接触し、内部には多数の気孔が形成されたウィック部が設けられて、充填された冷媒がウィック部を通して毛細管現象で移動しながら、前記一面と他面との間で熱伝導方式で発熱素子の熱を伝達する熱伝達媒介体である。
【0006】
ここで、冷媒を毛細管現象で移動させるためのウィック部の多数の気孔は、一般的に所定の温度でCu粉末(Powder)を焼結する焼結工程により形成されるが、焼結工程により形成されたウィック部の粒子間間隔が狭くて気孔の大きさが小さいことから、毛細管力が要求される値より少ない問題点がある。
【0007】
また、ウィック部の原材料も焼結工程の焼結温度に適したCu粉末に限られるという点で、熱伝導性に優れた他の材料の採用が難しい問題点がある。
【0008】
これとともに、チャンバボディプレートおよびチャンバカバープレートとウィック部の原材料が異なる場合、相互間の焼結結合力が低下して離隔することにより、熱伝導性を低下させる問題点につながることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、複雑でエネルギー消耗の多い焼結工程を完全排除し、冷媒の毛細管現象による流動適合性を有する多数の気孔の大きさを形成することができ、熱伝導性が向上したベーパーチャンバおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるベーパーチャンバの一実施例は、一面が発熱素子の発熱面に密着配置され、他面側には開口し、内部に冷媒が充填される冷媒充填空間が所定の厚さに形成されたチャンバボディプレートと、前記チャンバボディプレートの開口した他面側を遮蔽するように結合されるチャンバカバープレートと、前記チャンバボディプレートと前記チャンバカバープレートとの間の空間である前記冷媒充填空間に形成され、少なくとも前記冷媒充填空間に充填された冷媒が流動する多数の気孔を含むように形成されたウィック部とを含み、前記ウィック部は、アルミニウム粉末が粒子(パーティクル)単位で結合された外面にメッキされたNiメッキ層を含む。
【0012】
ここで、前記チャンバボディプレートおよび前記チャンバカバープレートは、前記ウィック部の前記無電解Niメッキ工程前の素材と同一の材質であるアルミニウム素材からなってもよい。
【0013】
また、前記チャンバボディプレートと前記ウィック部、または前記チャンバカバープレートと前記ウィック部とは、前記無電解Niメッキ工程により所定の結合力で結合される。
【0014】
また、前記ウィック部は、前記Niメッキ層の外面にメッキされたCuメッキ層をさらに含むことができる。
【0015】
また、前記チャンバボディプレートの内側面と前記ウィック部との間の前記所定の結合力は、前記Cuメッキ層を形成する湿式Cuメッキ工程の追加によりさらに増加できる。
【0016】
また、前記ウィック部に形成される前記多数の気孔は、前記湿式Cuメッキ工程によりメッキされるCuメッキ層によって、前記冷媒が毛細管現象によって流動可能な程度の大きさを形成することができる。
【0017】
本発明によるベーパーチャンバの製造方法の一実施例は、内部に冷媒が充填される冷媒充填空間が形成されたチャンバボディプレート、前記チャンバボディプレートとともに前記冷媒充填空間を形成するように開口した面を遮蔽するチャンバカバープレート、および前記冷媒充填空間に形成されるウィック部、の各原材料を準備する材料準備工程と、前記材料準備工程により準備された前記チャンバボディプレートまたは前記チャンバカバープレートが形成する前記冷媒充填空間に相当する部位に、前記ウィック部の原材料であるアルミニウム粉末を所定量位置させた後、無電解Niメッキを行う無電解Niメッキ工程とを含む。
【0018】
ここで、前記無電解Niメッキ工程により形成された前記ウィック部にCuメッキを追加的に行う湿式Cuメッキ工程をさらに含むことができる。
【0019】
また、前記材料準備工程は、前記冷媒充填空間に前記ウィック部が形成されるようにアルミニウムプレート形態で準備した前記チャンバボディプレートおよび前記チャンバカバープレートの少なくともいずれか1つをエッチングさせて、前記冷媒充填空間に相当する空き空間を形成した後、ジンケート処理過程を先行する工程であってもよい。
【0020】
また、前記無電解Niメッキ工程は、前記アルミニウム粉末を結合させながら前記多数の気孔を形成すると同時に、前記ウィック部と同一の材質であるアルミニウム素材からなる前記チャンバボディプレートまたは前記チャンバカバープレートの内側面に、前記ウィック部を所定の結合力で結合させる工程であってもよい。
【0021】
また、前記湿式Cuメッキ工程は、前記無電解Niメッキ工程により形成された前記ウィック部の表面に銅層がメッキされて、前記多数の気孔を前記冷媒充填空間に充填された冷媒が毛細管現象によって流動可能な程度の大きさを形成する工程であってもよい。
【0022】
また、前記湿式Cuメッキ工程は、前記無電解Niメッキ工程により行われた前記ウィック部の前記チャンバボディプレートまたは前記ウィック部の前記チャンバカバープレートに対する前記所定の結合力をさらに増加させる工程であってもよい。
【0023】
また、前記無電解Niメッキ工程および前記湿式Cuメッキ工程は、前記チャンバボディプレートおよび前記チャンバカバープレートに対してそれぞれ別個に行われた後、前記チャンバボディプレートと前記チャンバカバープレートの各ウィック部とが面接するように前記チャンバボディプレートと前記チャンバカバープレートとを溶接結合させる結合工程が追加的に行われる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるベーパーチャンバおよびその製造方法によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0025】
第一、ウィック部の多数の気孔を形成するに際して焼結工程を完全排除可能なため、エネルギー消耗を最小化できる効果を有する。
【0026】
第二、無電解Niメッキ工程および湿式Cuメッキ工程により結合されるアルミニウム粉末間の粒子間隔を増加させて、焼結工程により形成された気孔より相対的にさらに大きな気孔の形成を可能にすることで毛細管力を増加させる効果を有する。
【0027】
第三、毛細管力の増加による充填冷媒の流動性を向上させることが可能なため、全体的に熱伝導性が向上する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例によるベーパーチャンバの製造方法を手順に示す手順ブロック図である。
【
図2】
図1の工程のうち材料準備段階を細分化した手順ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施例によるベーパーチャンバの放熱原理を示す断面図である。
【
図4】焼結工程によるCuパウダー焼結品(a)と、本発明の一実施例の製造方法により製造されたAlパウダー焼結品(b)の粒子の大きさおよびクラスタの大きさと気孔の大きさを比較するための顕微鏡比較写真である。
【
図5】焼結工程によるCuパウダー焼結品(a)と、本発明の一実施例の製造方法により製造されたAlパウダー焼結品(b)の全体的な粒子間距離を比較するための顕微鏡比較写真である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施例によるベーパーチャンバおよびその製造方法を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0031】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または手順などが限定されない。また、他に断らない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0032】
図1は、本発明の一実施例によるベーパーチャンバの製造方法を手順に示す手順ブロック図であり、
図2は、
図1の工程のうち材料準備段階を細分化した手順ブロック図であり、
図3は、本発明の一実施例によるベーパーチャンバの放熱原理を示す断面図である。
【0033】
まず、
図3を参照して、本発明の一実施例によるベーパーチャンバの放熱原理を説明すれば、次の通りである。
【0034】
本発明の一実施例による製造方法により生産されたベーパーチャンバ10は、圧縮機による冷媒の相変化誘導を除く概念の放熱方式を適用できる放熱部品の一つであって、圧縮機を用いずに大気圧状態でもっぱら外部から供給される熱によって相変化を起こしながら熱を伝達することにより、電気的に駆動されて発熱する特定の発熱素子を冷却させるように設計された代表的な放熱器である。
【0035】
より詳しくは、ベーパーチャンバ10は、
図3に示されるように、内部に冷媒が充填される冷媒充填空間を形成しかつ、中間部位に所定の厚さの真空層19が形成され、一面が電子装置の内部に結合された印刷回路基板5の一面に実装された発熱素子7の発熱面に密着配置され、他面側には開口したチャンバボディプレート11と、チャンバボディプレート11の開口した他面側を遮蔽するように結合されるチャンバカバープレート12と、チャンバボディプレート11およびチャンバカバープレート12の間の空間である冷媒充填空間のうち真空層19の周辺に所定の厚さ層に形成され、少なくとも冷媒充填空間に充填された冷媒が毛細管力によって流動する多数の気孔(Pore)を含むように形成されたウィック部(wick、14)とを含む。
【0036】
図3に示されるように、チャンバボディプレート11の厚さ方向の一側面に備えられた発熱素子7(すなわち、熱源)によって熱がチャンバボディプレート11を通して内側の液相冷媒に伝達されると、液相冷媒は、真空層19に到達する過程中に気相冷媒に相変化を起こしながらチャンバカバープレート12に近いウィック部14側に流動して、チャンバカバープレート12側(すなわち、放熱側)のウィック部14で液相冷媒に相変化を起こし、液相冷媒は、多数の気孔が形成されたウィック部14に沿って、毛細管力(capillary force)によって発熱素子7側(すなわち、熱源側)に近い部位に流動することを繰り返すように循環流動する。
【0037】
この時、チャンバボディプレート11側(すなわち、放熱側)に流動した気相冷媒は、前記チャンバカバープレート12側の相対的に低い温度を有するウィック部14と熱交換する動作により液相冷媒に相変化すると同時に、熱交換された熱は順次にウィック部14とチャンバカバープレート12に移動し、チャンバカバープレート12に伝達された熱は外部に直接放熱されたり、外部に露出するようにチャンバカバープレート12に一体に形成された、図示しないヒートシンクに伝達して、最終的に外部に放熱させることができる。
【0038】
ここで、ウィック部14に形成された多数の気孔は、流入する冷媒が気相冷媒の場合には、直ちに通過させ、気相冷媒の流動過程中に外部(例えば、チャンバカバープレート12)から伝達される相対的に低い熱と交換する時、熱伝達面積を上昇させる機能を行うことはもちろん、流入する冷媒が液相冷媒の場合には、液相冷媒との熱伝達面積を上昇させながら気相冷媒への状態変化を迅速に誘導し、これとともに、気孔の大きさによって液相冷媒の表面張力性質による毛細管現象を誘導して、より活発に液相冷媒の流動を誘導する機能を行うことができる。
【0039】
参照として、チャンバボディプレート11とチャンバカバープレート12との間である冷媒充填空間(すなわち、ウィック部14)に充填される冷媒は、アセトン、アンモニア、蒸留水のいずれか1つを含むことができる。
【0040】
ウィック部14に形成される多数の気孔の大きさは、
図3に示されるように、気相冷媒が流動して集まるチャンバカバープレート12側のウィック部14で液相冷媒に相変換した後、真空層19の周辺に沿って再びチャンバボディプレート11の内側面のうち発熱素子7に近接したウィック部14側に流動し、液相冷媒が自体の表面張力または毛細管力によってその移動が円滑な大きさに形成されることが好ましい。
【0041】
ここで、ウィック部14のうちチャンバボディプレート11およびチャンバカバープレート12の内側面と接する部位に形成された多数の気孔は、アルミニウム粉末を後述の無電解Niメッキ工程により形成されたNiメッキ層の間の気孔と連通するように備えられるとともに、熱交換後の液相冷媒が表面張力により発熱素子7側に再び毛細管力によって流動するために設けられた、図示しない毛細管パターン流路と連通するように備えられる。
【0042】
一方、ウィック部14を含むチャンバボディプレート11およびチャンバカバープレート12は、放熱が必要な電子装置のケース16またはヒートシンクに締結ねじ15を用いて締結させることができる。
【0043】
ここで、本発明の一実施例は、ベーパーチャンバ10の内部に備えられるウィック部14の形成方法の重要な技術的特徴を開示する。
【0044】
より詳しくは、
図1および
図2を参照すれば、本発明の一実施例によるベーパーチャンバの製造方法は、内部に冷媒が充填される冷媒充填空間および所定の厚さ層の真空層19が形成されたチャンバボディプレート11、チャンバボディプレート11とともに冷媒充填空間を形成するように開口した面を遮蔽するチャンバカバープレート12、および冷媒充填空間に形成されるウィック部14、の各原材料を準備する材料準備工程S10を含む。
【0045】
材料準備工程S10により準備されたチャンバボディプレート11またはチャンバカバープレート12が形成する冷媒充填空間に相当する部位に、ウィック部14の原材料であるアルミニウム粉末(Al Powder)を所定量位置させた後、無電解Niメッキを行う無電解Niメッキ工程S20と、無電解Niメッキ工程S20により形成されたウィック部14にCuメッキを追加的に行って所定の厚さにコーティングさせる湿式Cuメッキ工程S30と、ウィック部14が生成されたチャンバボディプレート11を洗浄および乾燥する洗浄および乾燥工程S40とを含むことができる。
【0046】
ここで、材料準備工程S10は、
図2に示されるように、脱脂(油分除去)過程S11-アルカリエッチング過程S12-デスマット(Desmut)過程S13-ジンケート処理過程S14を行うことにより、チャンバボディプレート11、チャンバカバープレート12、およびウィック部14の原材料を準備することができる。
【0047】
脱脂(油分除去)過程S11は、超音波機器を用いて、ウィック部14の原材料であるアルミニウム粉末(Al Powder)から異物および有機物を除去する過程であってもよい。ここで、脱脂(油分除去)過程S11は、温度45±5℃の雰囲気で1分間行われる条件が与えられてもよい。このような脱脂(油分除去)過程S11は、チャンバボディプレート11およびチャンバカバープレート12の原材料であるアルミニウムプレートにも同一の条件下で行われる。
【0048】
一方、アルカリエッチング過程S12は、脱脂過程S11を経たアルミニウム粉末またはアルミニウムプレートをアルカリ性混合液に浸漬させて、アルミニウム製品の表面をアルカリ処理する過程と定義される。ここで、アルカリエッチング過程S12は、温度15±5℃の雰囲気で10±5秒間行われ、アルカリ性混合液の濃度は15±5g/Lであってもよい。このようなアルカリエッチング過程S12は、特に、チャンバボディプレート11の場合、その内側に冷媒充填空間に対応する部位を化学的に腐食形成する過程と定義される。この時、温度条件は60±5℃であってもよく、アルカリ性混合液の濃度は50±5g/Lであってもよい。
【0049】
また、デスマット過程S13は、純水(H2O)溶液に硝酸(HNO3)型ベースの特殊添加物が入った薬品と硫酸(H2SO4)原液とを混合してスマット(SMUT)除去を実施する過程と定義される。特に、アルミニウム素材を上述したアルカリ性混合液を用いてエッチングする場合、合金成分であるMg、Cu、Si、Mnなどの成分が母材のエッチング速度との差によって表面に黒色のスマット(SMUT)が形成されることから、それの除去のために、高濃度硝酸および硫酸原液を使用する上述したデスマット過程S13は欠かせない。
【0050】
ここで、硫酸(H2SO4)はその濃度が100±10ml/L、硝酸(HNO3)はその濃度が60±10ml/Lとなるように混合することが好ましい。
【0051】
一方、ジンケート処理過程S14は、一般的にアルミニウム合金製品に無電解Niメッキを適用する場合の前処理過程であって、亜鉛を置換するジンケート1次過程と、酸化被膜除去および活性化処理するジンケート剥離過程および再び亜鉛を置換するジンケート2次過程と、を経ることができる。
【0052】
前記のような材料準備工程S10により準備されたチャンバボディプレート11の内部に、ウィック部14の原材料として上述した材料準備工程S10により準備されたアルミニウム粉末(Al Powder)を冷媒充填空間に相当する部位に圧縮充填した後、専用ジグ(jig)を用いて、予め準備されたニッケル塩水溶液に浸漬させると、ウィック部14の原材料であるアルミニウム粉末が粒子(パーティクル単位)および粒子(パーティクル)の群集単位であるクラスタ単位で結合しながら多数の気孔を形成する無電解Niメッキ工程S20が行われる。
【0053】
同じく、前記のような材料準備工程S10により準備されたチャンバカバープレート12の上側に、所定の厚さ(または所定量)のウィック部14の原材料であるアルミニウム粉末(Al Powder)を位置させた後、専用ジグを用いて、予め準備されたニッケル塩水溶液に浸漬させて、無電解Niメッキ工程S20を行うことができる。この時、チャンバボディプレート11とチャンバカバープレート12の無電解Niメッキ工程S20は、類似する大きさの気孔および類似する程度の結合力を有するようにすべて同一の条件下で行われることが好ましい。
【0054】
ここで、無電解Niメッキ工程S20は、ウィック部14の原材料であるアルミニウム粉末を粒子(パーティクル)単位で結合させながら多数の気孔を形成する工程と定義される。
すなわち、粒子(パーティクル)単位のアルミニウム粉末の外面には所定の厚さのNiメッキ層が形成され、Niメッキ層が形成される過程で周りの他の多数の粒子(パーティクル)単位のアルミニウム粉末とも結合されて、いわゆるクラスタ単位の大きさに群集形成され、粒子(パーティクル)と粒子との間には前記多数の気孔が形成されるのである。
【0055】
これとともに、無電解Niメッキ工程S20は、ウィック部14と同一の材質であるアルミニウム素材からなるチャンバボディプレート11またはチャンバカバープレート12の内側面に、ウィック部14を所定の結合力で結合させる工程と定義される。
【0056】
すなわち、無電解Niメッキ工程S20により粒子(パーティクル)単位およびクラスタ単位で形成されたアルミニウム粉末の外面に上述したNiメッキ層を形成すると同時に、チャンバボディプレート11またはチャンバカバープレート12に粒子単位およびクラスタ単位の前記アルミニウム粉末が前記Niメッキ層によって結合される。
【0057】
この時、冷媒充填空間が形成されたチャンバボディプレート11の内部には、上述した真空層19が形成されるように膜処理または遮蔽処理することが好ましい。また、チャンバカバープレート12に形成されるウィック部14が真空層19を形成する体積を一部占める場合にも、チャンバボディプレート11と同一の膜処理または遮蔽処理を必要とするであろう。
【0058】
より詳しくは、チャンバボディプレート11の内部空間側に上述した真空層19が形成できるように処理した後、真空層19の周辺にウィック部14が所定の厚さ層に形成されるようにアルミニウム粉末を満たし、上述した無電解Niメッキ工程S20および後述の湿式Cuメッキ工程S30を行って、所望する仕様の多数の気孔を含むウィック部14を製造することができる。
【0059】
また、必要に応じて、チャンバカバープレート12にも真空層の形成が必要な場合、真空層19の形成のための膜処理または遮蔽処理後、真空層19の周辺に相当するチャンバカバープレート12の内側面に、ウィック部14が所定の厚さ層に形成されるようにアルミニウム粉末を位置させ、上述した無電解Niメッキ工程S20および後述の湿式Cuメッキ工程S30を行って、チャンバボディプレート11に形成されたものと類似する大きさの気孔が形成されたウィック部14を形成することができる。
【0060】
特に、チャンバカバープレート12は、ウィック部14とは別に製造された後、前記無電解Niメッキ工程S20および湿式Cuメッキ工程S30の後、チャンバボディプレート11の開口した部位を遮蔽するように結合しなければならないという点で、遮蔽結合時に当接するウィック部14の部分を研磨方式で削り出して、ウィック部14の外側断面が面対面接触するようにして、チャンバボディプレート11の開口した部分を遮蔽するようにチャンバカバープレート12を溶接結合させ、内部に液相冷媒を充填させることができる。
【0061】
この場合、チャンバボディプレート11に対するチャンバカバープレート12の結合方式は溶接結合方式に限定するものではなく、内部に充填された冷媒が漏れない方式であれば、いかなる結合方式の採用も可能と言える。
【0062】
一方、無電解Niメッキ工程S20により製造されたウィック部14は、上述のように、所定の結合力でチャンバボディプレート11またはチャンバカバープレート12の内側面に結合されるが、焼結工程によりウィック部14を製造する場合と比較して前記結合力が小さいことがあるので、本発明の一実施例によるベーパーチャンバの製造方法は、湿式Cuメッキ工程S30をさらに含むことができる。
【0063】
湿式Cuメッキ工程S30は、一般的な電気メッキ方式でウィック部14およびチャンバボディプレート11と、ウィック部14およびチャンバカバープレート12の内側面に、Cuメッキ層をメッキさせる工程であって、無電解Niメッキ工程S20により形成されたウィック部14の表面のNiメッキ層にCuメッキ層が追加的にメッキされて、前記多数の気孔を冷媒充填空間に充填された冷媒が毛細管現象によって流動可能な程度の大きさを形成するようにする工程と定義される。
【0064】
また、湿式Cuメッキ工程S30は、無電解Niメッキ工程S20により行われたウィック部14のNiメッキ層によるチャンバボディプレート11に対する前記所定の結合力、およびウィック部14のチャンバカバープレート12に対する前記所定の結合力を、Cuメッキ層によってそれぞれさらに増加させる工程と理解することができる。すなわち、湿式Cuメッキ工程S30は、無電解Niメッキ工程S20によってもまだ粒子(パーティクル)単位で残っている粒子のNiメッキ層の外面にCuメッキ層を追加形成することにより、クラスタ単位で群集させる結合に関与したり、Niメッキ層の外面にCuメッキ層を追加メッキされる動作によりチャンバボディプレート11またはチャンバカバープレート12の内側面に対する結合力を追加させることができるのである。
【0065】
ウィック部14のチャンバボディプレート11に対する前記所定の結合力、およびウィック部14の前記チャンバカバープレート12に対する前記所定の結合力の増加は、ウィック部14とチャンバボディプレート11、およびウィック部14とチャンバカバープレート12との分離および離脱を最小化することができ、これによって発熱素子7から伝達されたチャンバボディプレート11の熱がウィック部14に高い熱伝導性を有して伝達できることから、全体的な熱伝導性が大きく上昇するという利点がある。
【0066】
そのため、上述のような製造方法で製造された本発明の一実施例によるベーパーチャンバ10は、それぞれ次のように定義することができ、このような定義は本発明の真の権利範囲を解釈する上で重要な基準とならなければならない。
【0067】
すなわち、本発明の一実施例によるベーパーチャンバ10は、一面が発熱素子の発熱面に密着配置され、他面側には開口し、内部に冷媒が充填される冷媒充填空間が所定の厚さに形成されたチャンバボディプレート11と、チャンバボディプレート11の開口した他面側を遮蔽するように結合されるチャンバカバープレート12と、チャンバボディプレート11とチャンバカバープレートとの間の空間である冷媒充填空間のうち真空層19の周辺に所定の厚さ層に形成され、少なくとも冷媒充填空間に充填された冷媒(特に、液相冷媒)が適正な毛細管力で流動する多数の気孔を含むように形成されたウィック部14とを含む。
ここで、ウィック部14は、冷媒充填空間に満たされたアルミニウム粉末が無電解Niメッキ工程S20により多数の気孔が形成され、ウィック部14に形成される多数の気孔(Pore)は、粒子(パーティクル単位)またはクラスタ単位のアルミニウム粉末の外面に形成されたNiメッキ層によって形成され、上述のように、湿式Cuメッキ工程S30により冷媒が毛細管現象によって流動可能な程度の大きさを形成するようにNiメッキ層の外面にCuメッキ層が追加的にメッキされて形成されたものと定義することができる。
【0068】
また、チャンバボディプレート11およびチャンバカバープレート12は、ウィック部14の無電解Niメッキ工程S20前の素材と同一の材質であるアルミニウム素材(プレート形態)からなり、上述のように、無電解Niメッキ工程S20により前記ウィック部14が所定の結合力でチャンバボディプレート11およびチャンバカバープレート12の内側面に結合される。
【0069】
さらに、チャンバボディプレート11の内側面とウィック部14との間、およびチャンバカバープレート12の内側面とウィック部14との間の前記所定の結合力は、湿式Cuメッキ工程S30の追加によりさらに増加できる。したがって、上述のように、発熱素子7から生成された熱がより高い熱伝導性を維持したまま外部に円滑に放熱されるという利点を奏することができるのである。
【0070】
一方、図示しないが、無電解Niメッキ工程S20および湿式Cuメッキ工程S30は、チャンバボディプレート11およびチャンバカバープレート12に対してそれぞれ別個に行われた後、チャンバボディプレート11とチャンバカバープレート12の各ウィック部14が面接するようにチャンバボディプレート11とチャンバカバープレート12とを溶接結合させる結合工程が追加的に行われてもよいことは言うまでもない。
【0071】
ただし、ウィック部14は、チャンバボディプレート11の内部に満たされた後、上述した無電解Niメッキ工程S20および湿式Cuメッキ工程S30により相互結合されることがさらに有利であることから、チャンバカバープレート12のみ溶接結合させる結合工程が採用されても良いであろう。
【0072】
この場合、図面に示さないが、チャンバカバープレート12の内側面と接するウィック部14の部分は、単純にNiメッキ工程S20によってのみ多数の気孔が形成されるという点で、その外部表面がデコボコに形成できることから、ウィック部14の外側部分を平らに切開加工後、チャンバカバープレート12の内側面と接する部位を、レーザ加工機(図示せず)を用いて、多数の気孔と連通する所定の毛細管パターン流路(図示せず)を形成することができる。
【0073】
毛細管パターン流路は、多数の気孔と連通しながらも、チャンバカバープレート12の内側面とウィック部14の外側面との間にレーザ加工形成されて、チャンバボディプレート11の内部に充填された冷媒の熱交換による液相冷媒への相変化の際、発熱素子が備えられた反対方向への毛細管力による移動経路を提供することができる。
【0074】
毛細管パターン流路がレーザ加工機によりウィック部14の外側面に加工された後には、チャンバカバープレート12の内側面と毛細管パターン流路が加工されたウィック部14の外側面とが相互面接するようにチャンバボディプレート11の開口した外側面を覆うように、チャンバカバープレート12を上述した溶接結合方式および多様な結合方式のいずれか1つの方式で結合させることができる。
【0075】
図4は、焼結工程によるCuパウダー焼結品(a)と、本発明の一実施例の製造方法により製造されたAlパウダー焼結品(b)の粒子の大きさおよびクラスタの大きさと気孔の大きさを比較するための顕微鏡比較写真であり、
図5は、焼結工程によるCuパウダー焼結品(a)と、本発明の一実施例の製造方法により製造されたAlパウダー焼結品(b)の全体的な粒子間距離を比較するための顕微鏡比較写真である。
【0076】
図4の(a)は、一般的な焼結工程によるCuパウダー焼結品を顕微鏡により300倍率拡大した写真であって、各パーティクル(粒子)間で溶融結合されていることを視覚的に確認することができ、これとともに、パーティクル(粒子)の大きさおよびパーティクル(粒子)の組合せからなるクラスタの大きさが
図4の(b)に比べて相対的に大きいことを確認することができる。パーティクル間の溶融結合によってクラスタ内の気孔が大部分閉じられていることから、毛細管力の低下要因になり、これによって全体的な熱伝導性能が低下する問題点がある。
【0077】
これに対し、
図4の(b)は、本発明の一実施例による製造方法により製造されたウィック部14を300倍率拡大した写真であって、各パーティクル(粒子)間で化学結合されており、クラスタ内の気孔が開かれており、クラスタ間の空隙も開かれていて、毛細管力が相対的に向上していることを視覚的に確認することができる。
【0078】
すなわち、本発明の一実施例の製造方法により製造されたウィック部14は、
図5の(b)に示されるように、約100μmのサイズであって、
図5の(a)に示された焼結品の粒子の大きさ(約130μm)に形成されて、大体、クラスタを形成する時、より大きな気孔を形成して毛細管力を向上させることを確認することができる。
【0079】
このように、本発明の一実施例によるベーパーチャンバおよびその製造方法によれば、気孔率の制御がやや難しいというデメリットがあるが、焼結工程により形成されたウィック部より毛細管力が向上した多数の気孔を形成することはもちろん、チャンバボディプレート11またはチャンバカバープレート12に対する結合力を向上させることにより、全体的な熱伝導性能を大きく向上させることができる。
【0080】
以上、本発明の一実施例によるベーパーチャンバおよびその製造方法を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した一実施例により限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは言うまでもない。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、複雑でエネルギー消耗の多い焼結工程を完全排除し、冷媒の毛細管現象による流動適合性を有する多数の気孔の大きさを形成することができ、熱伝導性が向上したベーパーチャンバおよびその製造方法を提供する。
【符号の説明】
【0082】
5:印刷回路基板 7:発熱素子
10:ベーパーチャンバ 11:チャンバボディプレート
12:チャンバカバープレート 14:ウィック部
15:締結ねじ 16:ケース
S10:材料準備工程 S11:脱脂過程
S12:アルカリエッチング過程 S13:デスマット過程
S14:ジンケート処理過程 S20:無電解Niメッキ工程
S30:湿式Cuメッキ工程 S40:洗浄および乾燥工程
【国際調査報告】