(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】バッテリーシステムの健全度監視システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/392 20190101AFI20240822BHJP
G01R 31/367 20190101ALI20240822BHJP
G01R 31/3842 20190101ALI20240822BHJP
G01R 31/388 20190101ALI20240822BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G01R31/392
G01R31/367
G01R31/3842
G01R31/388
H02J7/00 Y
H02J7/00 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514693
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2022073000
(87)【国際公開番号】W WO2023030894
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520054770
【氏名又は名称】デューコシ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド スライマン ブハリ
(72)【発明者】
【氏名】ジム ダロック
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
【Fターム(参考)】
2G216BA01
2G216BA26
2G216BA34
2G216CB34
2G216CB52
5G503BA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA17
5G503CB11
5G503DA07
5G503EA05
5G503EA08
5G503GD03
(57)【要約】
バッテリーシステムの健全度監視システム。1つ以上のバッテリーセル(110)を備えるバッテリーシステム(110)用の監視システム(120)。監視システム(120)は、充電又は放電操作の間に、バッテリーシステム(110)と関連する特性を測定するための1つ以上のセンサ(125)と、1つ以上のセンサ(125)と通信可能に連結された処理デバイス(130)と、を備える。処理デバイス(130)は、少なくとも1つのセンサ(125)から測定データを受信するように構成されるプリプロセッサ(135)と、プリプロセッサ(135)から、処理されたデータを受信するように構成されるニューラルネットワーク(140)と、を備える。受信した測定データに基づき、プリプロセッサ(135)は、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性、又は、充電若しくは放電操作の間に測定された、バッテリーシステム(110)と関連する第2の測定された特性の、正規化された変化率を決定し、ここで、第2の測定された特性は、第1の測定された特性とは異なる。ニューラルネットワーク(140)は、プリプロセッサ(135)からの、正規化された、決定された変化率を入力として用い、バッテリーシステム(110)の健全度(SOH)を決定するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のバッテリーセルを備えるバッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するための監視システムであって、前記システムは、
充電又は放電操作中に、前記バッテリーシステムと関連する少なくとも1つの特性を測定するための少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサと通信可能に連結された処理デバイスであって、前記処理デバイスは、
前記少なくとも1つのセンサから測定データを受信し、
前記受信した測定データに基づき、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性、又は、前記充電若しくは放電操作の間に測定された、前記バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性の、正規化された変化率を決定するように構成され、前記第2の測定された特性は、前記第1の測定された特性とは異なる、プリプロセッサ、及び
前記決定された、正規化された変化率を用いて、前記バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するように構成されるニューラルネットワーク、
を備える、前記処理デバイスと、
を備える、前記システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサは、温度センサ、電圧センサ、電流センサ、又は、前記電圧センサ、前記電流センサ、及び/若しくは前記温度センサの組み合わせのうちの少なくとも1を備える、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記第1の測定される特性は、電圧、充電、又は充電状態のうちの1つを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項4】
前記第2の測定される特性は、充電、充電状態、又は温度のうちの1つを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記第1の測定される特性は電圧であり、前記第2の測定される特性は充電状態である、先行請求項のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記第1の測定される特性は電圧であり、前記第2の測定される特性は充電である、請求項1~3のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記ニューラルネットワークは複数の層を備え、前記処理デバイスは、前記複数の層の各層を連続して発火させて、前記バッテリーシステムの前記健全度を決定する、先行請求項のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項8】
先行請求項のいずれか一項に記載の監視システムを備える、バッテリーシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の監視システムで使用するための処理デバイスであって、前記処理デバイスは、
少なくとも1つのセンサにより、充電又は放電操作中に、前記バッテリーシステムと関連する少なくとも1つの特性を示す測定データを受信する、及び
前記受信した測定データに基づき、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性、又は、前記充電若しくは放電操作の間に測定された、前記バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性の、正規化された変化率を決定するように構成され、前記第2の測定された特性は、前記第1の測定された特性とは異なる、プリプロセッサと、
前記決定された、正規化された変化率を用いて、前記バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するように構成されるニューラルネットワークと、
を備える、前記処理デバイス。
【請求項10】
バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するための、コンピュータ利用方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのセンサにより、充電又は放電操作中に、前記バッテリーシステムと関連する少なくとも1つの特性を示す測定データを受信することと、
前記受信した測定データに基づき、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性、又は、前記充電若しくは放電操作の間に測定された、前記バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性の、正規化された変化率を決定することであって、前記第2の測定された特性は、前記第1の測定された特性とは異なる、前記決定することと、
ニューラルネットワークを用いて、前記ニューラルネットワークに入力データとして、前記正規化された、決定された変化率を用い、前記バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定することと、
を含む、前記方法。
【請求項11】
前記決定された変化率を正規化することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ニューラルネットワークは複数の層を備え、前記方法は、前記複数の層の各層を連続して発火させて、前記バッテリーシステムの前記健全度を決定することを更に含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の測定される特性は、電圧、充電、又は充電状態のうちの1つを含み、前記第2の測定される特性は、充電、充電状態、温度のうちの1つを含み、好ましくは、前記第1の測定される特性は電圧であり、前記第2の測定される特性は充電又は充電状態である、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサにより実行される際に、前記プロセッサに、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法を実施させる命令を含む、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリー技術、エネルギーセル、並びに、バッテリーシステムの健全度(SoH)を測定するための及びバッテリー監視システム及び解決策の分野に関する。具体的には、本開示の実施形態は、バッテリーシステムの健全度を決定するための監視システム、処理デバイス、方法、及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーシステムは、広範囲の現代の電力用途において用いられる。例えば、バッテリーシステムは、電気自動車に給電するのに用いられ、工業的電力用途、運搬、エネルギー貯蔵、及び、現代の電子デバイスの給電といった商業的用途で用いられる。このような用途における、比較的多くの電力需要を考慮すると、バッテリーシステムは多くの場合、必要とされる電力出力を達成するために、互いに連結された複数のバッテリーセルを備える。バッテリーセルは互いに連結され、バッテリーパックを形成することができ、バッテリーシステムは、1つ以上のバッテリーパックを備え得る。
【0003】
バッテリーパック内の、バッテリーセルの電圧及び電流を監視して、バッテリーセルの作動状態を測定することは一般的である。典型的には、バッテリーシステムは、バッテリーセルの現在の作動状態を示すシグナルを受けるバッテリー管理システムに接続され、バッテリーシステムが、その安全な作動限界(即ち、バッテリーシステムが自己損傷を伴わずに作動することが予測される、電圧、電流、及び温度条件の組み合わせ)の中で作動することが保証される。更なる詳細については、興味がある読者は以下のWikipediaのウェブサイト:https://en.wikipedia.org/wiki/Battery_management_systemを参照されたい。
【0004】
監視が非常に望まれるバッテリーシステムの一態様は、バッテリーシステムの健全度、即ちSoHである。バッテリーシステムのSoHは、製造時におけるバッテリーシステムの充電容量と比較した、年数が経ったバッテリーシステムの充電容量の割合の尺度として定義することができる。典型的には、SoHは、製造時には100%であり、時間の経過、及び使用と共に低下する。バッテリーシステムのSoHを監視することにより、製造時からのバッテリーシステムの劣化が可視化され、これを用いて、バッテリーシステムの効果的な運用及び維持を実施することができる。しかし、温度、電圧、又は電流とは違って、SoHは直接測定することができない。SoHはむしろ、充放電操作中でのバッテリーシステムの挙動に基づき決定される必要がある。
【0005】
バッテリーシステムのSoHを決定するための従来の方法は通常、バッテリーシステムにおいて、完全低速(低C速度)充放電サイクルを行って、バッテリーシステムの充電容量を測定することと、次いで、測定した充電容量の、最初の製造時におけるバッテリーシステムの充電容量に対する比率を決定することと、を伴う。しかし、このようなアプローチは、少なからず常に実現可能でも実行可能でもあるわけではない。それは、電池システムのいくつかは、バッテリーシステムの寿命に悪影響を及ぼす、又はバッテリー給電用途における通常の操作を妨げ得るので、決して完全に充放電されないからである。
【0006】
SoHを直接測定することは多くの場合、実用的ではなく、他の方法が提案されている。
【0007】
提案されている一アプローチは、バッテリーシステムの挙動に対応する挙動を示すモデルを設計することである。このようなモデルは典型的には、ソフトウェアを用いて実施されるものの、いくつかの非常に単純なモデルは、専用ハードウェアを用いて計算することができる。モデルは、等価回路モデルであり得、ここでは、充電保持能力は、例えば、カルマンループによる、予測される開放電圧において誤差を低減するために変化された状態変数である。
【0008】
しかし、モデルベースの方法を用いると、バッテリーシステムの充電状態、又はSoCと多くの場合呼ばれる、バッテリーシステムの残りの充電容量の、バッテリーの完全充電容量に対する比率、及び、内部抵抗などの他の状態変数から、計算された充電保持能力を切り離すのが困難である。さらに、モデルが、充電容量がセルの物理的特性により決定され、変化が可能となる物理的モデルである場合、正確なモデリングには、多くの異なるセルパラメーター、並びに、使用に伴いセルから喪失される、利用可能なリチウムなどの、他に寄与する因子の知識が必要とされ、これらの大部分は、直接測定することができず、それ故に、モデルベースの方法の実用性は限定されている。
【0009】
異なるアプローチが、CN110824364Aに開示されており、この明細書は、SoH予測を行うために深層ニューラルネットワークを用いることを提案している。深層ニューラルネットワークは、入力層と出力層との間に複数の隠れ層を備え、入力層と出力層との間に、より少ない(典型的には、10個未満の)隠れ層を含む、同様の性能を発揮する浅層ニューラルネットワークよりも、より少ないデータユニットで、複雑な非線形関係をモデリングすることが可能である。
【0010】
しかし、CN110824364Aに記載されているものなどの深層ニューラルネットワークは、集中的な処理能力を必要とし、深層ニューラルネットワークを実装するのに必要な処理要件が、電気自動車でのバッテリーシステムといった、バッテリーシステムのその場での監視をもたらすために用いられ得る、組み込みシステムでのチップの処理能力を超過するため、このようなアプローチを、実世界で実施するには適さないものにする。
【0011】
クラウド処理能力の進歩は、深層ニューラルネットワークを実施するための処理活動のいくつかをクラウドで実施することができることを意味しているものの、深層ニューラルネットワークを遠隔で実施すると、他の問題が生じる。特に、SoH予測の場合、深層ニューラルネットワークによるデータを遠隔処理するには、バッテリー監視システムが、遠隔処理システムと常時接続されることを必要とし、システムが、リアルタイムでデータを安全に伝達することを可能にするための、追加のハードウェアを含む必要がある。深層ニューラルネットワークに基づく、実用的な観点でのSoH予測は、これらの問題を回避することができる実験室環境に限られていることを、これらの必要性は意味している。
【0012】
別のアプローチは、DE 10 2015 016 987 A1に提示されており、これは、充電又は放電プロセスの間に、バッテリーセルの端子電圧を検出することと、充電プロセスの間に流れたであろうSoC、又は充電測定値に基づき、端子電圧を数学的に導出することと、導出したデータセットから、ピーク値の高さを特定することと、を伴う。しかし、本アプローチはまた、いくつかの欠点がある。開示されたシステムは、充電又はSoC値を導出するための正確なモデルの提供に依存し、後のデータセットと後で比較するために、以前に導出したデータセットを記憶するためのメモリを必要とする。さらに、DE 10 2015 016 987 A1で論じられているアプローチは、SoHの絶対測定値ではなく、バッテリーシステムの劣化の相対的な程度に関する情報を提供するのみである。
【0013】
上記の観点において、バッテリーシステムのSoHの監視についての代替のアプローチが必要とされている。
【0014】
本開示の少なくともいくつかの実施形態の目的は、先行技術のシステムにおける1つ以上の欠点に対処することである。
【発明の概要】
【0015】
本開示の一態様は、1つ以上のバッテリーセルを備えるバッテリーシステム用の監視システムを提供する。監視システムは、充電又は放電操作の間に、バッテリーシステムと関連する特性を測定するための1つ以上のセンサと、1つ以上のセンサと通信可能に連結された処理デバイスと、を備える。処理デバイスは、少なくとも1つのセンサから測定データを受信するように構成されるプリプロセッサと、プリプロセッサから、処理されたデータを受信するように構成されるニューラルネットワークと、を備える。受信した測定データに基づき、プリプロセッサは、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性、又は、充電若しくは放電操作の間に測定された、バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性の、正規化された変化率を決定し、ここで、第2の測定された特性は、第1の測定された特性とは異なる。ニューラルネットワークは、プリプロセッサからの、決定された、正規化された変化率を入力として用い、バッテリーシステムの健全度(SOH)を決定するように構成される。
【0016】
本開示の別の態様は、バッテリー監視システムで用いるための処理デバイスを提供する。処理デバイスは、少なくとも1つのセンサから測定データを受信するように構成されるプリプロセッサと、プリプロセッサから、処理されたデータを受信するように構成されるニューラルネットワークと、を備える。受信した測定データに基づき、プリプロセッサは、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性、又は、充電若しくは放電操作の間に測定された、バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性の、正規化された変化率を決定し、ここで、第2の測定された特性は、第1の測定された特性とは異なる。ニューラルネットワークは、プリプロセッサからの、決定された、正規化された変化率を入力として用い、バッテリーシステムの健全度(SOH)を決定するように構成される。
【0017】
本開示の別の態様は、バッテリーシステムの健全度(SOH)を決定する方法を提供する。本方法に従うと、充電又は放電操作の間に、バッテリーシステムと関連する1つ以上の特性を示す測定データが受信される。受信した測定データに基づき、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性、又は、充電若しくは放電操作の間に測定された、バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性の、正規化された変化率が決定され、ここで、第2の測定された特性は、第1の測定された特性とは異なる。次いで、決定された、正規化された変化率を、ニューラルネットワークに対する入力として用い、バッテリーシステムの健全度(SOH)を決定する。
【0018】
本開示の更なる態様は、処理デバイス又は監視システムを構成するための、非一過性コンピュータ可読媒体を提供する。
【0019】
本開示の他の特徴は、従属請求項、及び、後続の記載から明らかとなろう。本開示の更なる特徴は、添付図面を参照しながら、例示的実施形態の後の説明から明らかとなろう。
【0020】
更なる態様及び実施形態は、以下の説明及び添付図面から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の実施形態に従った、バッテリーシステム、及び、バッテリーシステムの健全度を決定するための監視システムの概略図である。
【
図2】A及びBは、電圧による、充電の変化率(dQ/dV)が、例示的なバッテリーシステムの健全度と共に変化する様子を示す例示的なグラフである。
【
図3】A及びBは、正規化された、電圧による、充電の変化率(dQ/dV)が、例示的なバッテリーシステムの健全度と共に変化する様子を示す例示的なグラフである。
【
図4】
図1の監視システムを用いて、バッテリーシステムの健全度を決定する方法を示すプロセスフローチャートである。
【
図5】A及びBは、充放電サイクルにて測定した、充電による、電圧の変化率(dV/dQ)が、例示的なバッテリーシステムの健全度と共に変化する様子の例示的なグラフである。
【
図6】A及びBは、充放電サイクルにて測定した、充電状態による、電圧の変化率(dV/dSoC)が、例示的なバッテリーシステムの健全度と共に変化する様子の例示的なグラフである。
【
図7】充放電サイクルにて測定した、充電状態による、電圧の変化率(dV/dSoC)、及び、複数の異なる充電速度で充電したバッテリーシステムの健全度が変化する様子の例示的なグラフである。
【
図8】ニューラルネットワークをトレーニングさせて、本開示の実施形態に従い測定した特性微分に基づき、バッテリーシステムの健全度を決定する方法を示すプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本開示の実施形態に従った、バッテリーシステム110、及び、バッテリーシステム110のSoHを決定するための監視システム120の概略図である。
【0023】
バッテリーシステム110は、単一のバッテリーセルを備えてよい。あるいは、他の実施形態では、バッテリーシステム110は、複数のバッテリーセルを備えるバッテリーパックであってよい。バッテリーシステム110が単一のバッテリーセルを備える実施形態では、監視システム120は、当該バッテリーセルのSoHを決定するように構成される。バッテリーシステム110が複数のバッテリーセルを備える他の実施形態では、監視システム120は、複数のバッテリーセルの総体的なSoHを決定するように構成されてよい。
【0024】
監視システム120は、充電及び/又は放電操作中に、バッテリーシステム110の特性を測定するための、1つ以上のセンサ125を備える。センサ125は、充電及び/又は放電操作中に、バッテリーシステム110の電圧及び/又は電流を測定するように構成される1つ以上のセンサを備えてよい。いくつかの実施形態では、センサ125は、バッテリーシステム110の温度を測定するように構成される1つ以上のセンサもまた備えてよい。
【0025】
監視システム120は、バッテリーシステム110の、測定された特性を表す、センサ125からのシグナル及び/又はデータ(例えば、電圧、電流、温度などを示すシグナル及び/又はデータ)を受信するように構成される処理デバイス130を更に備える。いくつかの実施形態では、処理デバイス130は、受信したセンサデータにタイムスタンプを付与し、バッテリーシステムの特性の時系列分析を促進するように構成されてよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、処理デバイス130は、センサ125に連結されてよい。他の実施形態では、通信性連結が処理デバイス130とセンサ125との間に存在し、バッテリーシステムのセンサデータを、処理デバイス130に中継して伝えることが可能となる。
【0027】
バッテリーシステムの測定された特性から、SoHの測定値を導出するために必要なニューラルネットワークの複雑さは、測定された特性を前処理することで、充電、電圧、及び温度などの、そのままの測定値を処理する代わりに、正規化された微分データ(即ち、変化データの正規化割合)が処理されることにより、大きく低減することができることを、出願人らは理解している。このような簡便化の程度は、過去に提案されている深層ニューラルネットワークを用いてSoH測定値を導出するのではなく、浅層ニューラルネットワークを用いてSoH測定値を導出することが可能であるものである。これにより、処理デバイス130が、バッテリーシステム110のSoHを決定するための演算負荷が軽減され、SoH測定値を、例えば、組み込みシステムで利用可能となり得る、限定的な処理能力で決定することが実現可能となる。浅層ニューラルネットワークを提供することによって、ニューラルネットワークがトレーニングを受ける際に、トレーニングデータに過剰適合して、確認時に誤差に繋がり得る可能性もまた低下する。
【0028】
さらに、SoHの測定を、正確性を著しく失うことなく、限定的な部分の充放電サイクルに対する、このような決定された微分データに基づき行うことができることを、出願人らは理解している。したがって、測定した特性を代表するデータを前処理して、このような特性の変化率の微分データを決定して正規化することにより、バッテリーセル又はバッテリーパックが決して完全に充電又は放電されないバッテリーシステムを含む、広範囲のバッテリーシステムに対するSoHの測定値を決定することができる。
【0029】
そのために、本実施形態では、処理デバイス130は、センサ125から受信する、測定された特性のデータ変化率を決定し、正規化するように構成されるプリプロセッサ135と、プリプロセッサ135により処理されている、測定されたバッテリーシステムの特性から、SoHを決定するようにトレーニングを受けたニューラルネットワーク140と、を備える。
【0030】
測定された特性のデータ変化率を正規化し、このような、正規化されたデータ変化率を、適切にトレーニングを受けたニューラルネットワーク140に供給することには、ニューラルネットワークがそのままのデータを処理するシステムに優る、いくつかの利点がある。正規化されたデータ変化率を利用することは、予測の正確性を改善し、SoHを決定するために必要なニューラルネットワークのサイズを更に低減し、ニューラルネットワークをトレーニングするためのトレーニングデータ要件を低減し、また、より広範囲のバッテリーセル及びセルタイプに対するSoHを導出することができる、トレーニングを受けたシステムを補助する可能性を有する。
【0031】
図2A、2B、並びに3A及び3Bは、そのままのデータ変化率ではなく、正規化されたデータ変化率を利用することが、なぜ有利となり得るのかを示す。
【0032】
図2A及び2Bは、2個の18650 LFP化学セルの、電圧による、充電の変化率(dQ/dV)が様々な充電方式及び劣化方式の下で変化した様子を示す、一対のグラフである。一方で、
図3A及び
図3Bは、対応する、電圧による、正規化した充電の変化率(dQ/dV)が変化することが決定された様子を示す、対応する一対のグラフである。
【0033】
理解されるように、
図2A及び2Bのグラフは、バッテリーのSoHに対応する、電圧による、充電の変化率(dQ/dV)における特徴的な変動を示す。しかし、電圧による、正規化された充電の変化率(dQ/dV)が、セルにまたがって、より高レベルの一貫性を示すことを、
図3A及び
図3Bのグラフは示す。
【0034】
例えば、
図3A及び
図3Bは、電圧による、正規化された充電の変化率(dQ/dV)のピークの位置が、バッテリーの年数が経つにつれ、グラフ中で右に移動する様子を、はっきりと示している。対照的に、
図2A及び2Bに示す、電圧による、そのままの充電の変化率(dQ/dV)の場合、パターンは存在するものの、さほどはっきりとはしていない。
【0035】
データ変化率を前処理し、正規化されたデータ変化率をニューラルネットワークに供給することにより、必要とされるニューラルネットワークの複雑性、及び、ニューラルネットワークをトレーニングさせて健全度の測定値を導出するために必要な、トレーニングデータのレベルが低減される。なぜなら、このようなデータを正規化することで、ピーク値における変動(例えば、
図2A及び2Bに示すピーク値において、7.2~6.5の変動)が取り除かれ、代わりに、水平シフトと振幅変化ではなく、水平シフトのみに基づき、SoH値を導出するタスクを、ニューラルネットワークに提供するからである。
【0036】
さらに、SoH値を導出するために必要なニューラルネットワークの複雑性を低減することに加えて、バッテリーシステムが、トレーニングを受けたデータセットに匹敵する、同様の放物線状の微分特性を示すという事実によって、複数のセルタイプにまたがって、正規化されたデータ変化率の変動パターンが比較的一定であることを、出願人らは発見した。これは、SoHと、異なるバッテリーシステムの変形例で正規化された特性微分との関係が正確であるにもかかわらず生じている。
【0037】
簡単に言えば、正規化により、絶対的な微分値に基づく処理と比較して、改善されたパターン認識が可能となる。絶対的な微分値は、あるセル変形例と、別のセル変形例とで顕著に異なっており、それ故、絶対的な微分値を用いてトレーニングを受けたモデルは、一種類のセル変形例に対してSoHを導出することが制限される。しかし、セルの劣化に関する大部分の情報は、このようなピークの絶対値ではなく、ピーク値の位置から導出されるため、正確性を著しく失うことなく、正規化された微分データに基づくトレーニングにより、満足のいく結果がもたらされることが理解されている。
【0038】
それ故、上記全の理由により、そのままのセンサ測定値を処理してデータ変化率を導出することに加えて、その後、このようなデータを、SoHの決定された測定値に変換するために、データをニューラルネットワークに供給する前に正規化又はリスケールすることが有利であることが結論づけられており、これは、必要とされるニューラルネットワークの複雑性が低減されるだけでなく、正規化されたデータ変化率の変化パターンを内挿可能であり、複数の化学セルタイプ間で比較されるため、このようなネットワークをトレーニングするための訓練データの要求も軽減されるからである。
【0039】
したがって、記載するアプローチは、新規の、又は未知のセル変形例に対して、SoH予測モデルを生成するのに好適である。モデルを、新規の、又は未知のセルタイプで用いるために適合させる際には、まず、前処理への適切な変化により、新規のセルの規格-例えば、電圧、容量、及び、容量に対する電流などの閾値などに対応するように適合されることにより、既存の一般的な予測モデルを利用することができる。必要とされる適合は、セルの規格シートから入手可能なデータに基づき特定することができる。このようなモデルの性能は、いくつかの用途に対しては十分正確であり得るものの、このようなモデルの正確性は続いて、セル特異的な試験データ、及び/又は、同様のセルからの試験データに基づき、システムを更に修正することにより、改善することができる。有利には、このようなアプローチによって、新規のセル及び新規のシステムを開発する際の、セルの利用可能性の初期段階の間に、SoHモデルを利用可能とすることができるようになる。
【0040】
図1に戻ると、センサデータを処理し、このようなセンサデータを、正規化されたデータ変化率に変換するためのプリプロセッサ135は、限定されるものではないが、マイクロプロセッサ、組み込みプロセッサなどの形態を取ることができ、又は、システムオンチップ(SoC)で組み込まれることができる。いくつかの実施形態では、プリプロセッサ135は、固定関数デジタル論理回路を備えてよい。さらに、いくつかの実施形態によれば、プリプロセッサ135は、Intel(登録商標)、AMD(登録商標)、Qualcomm(登録商標)、Apple(登録商標)、NVIDIA(登録商標)などにより製造されるプロセッサのファミリーに由来してよい。プリプロセッサ135はまた、ARMアーキテクチャ、モバイルプロセッサ、又は、グラフィックス処理ユニットなどをベースにしてもよい。開示される実施形態は、特定の種類のプリプロセッサに限定されるものではない。
【0041】
一実施形態では、ニューラルネットワーク140は、後述する方式でトレーニングを受けた、監視されるバッテリーシステム110のSoHを決定し、特定の正規化されたバッテリーシステムの特性微分からSoHを決定するための、複数の処理層を備える、フィードフォワードニューラルネットワークである。
【0042】
好ましくは、ニューラルネットワーク140は、限定的な数のノード及び層を備える、浅層フィードフォワードニューラルネットワークである。一実施形態では、ニューラルネットワーク140は、入力層、隠れ層、及び出力層を備えてよい。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワーク140は、複数の隠れ層を備えてよい。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワーク140は、4~6個の隠れ層を備えてよい。上述のように、浅層ニューラルネットワークにより導出されるSoHの測定値の信頼度は、プリプロセッサ135により行われ、入力データにおける入力変動の低減をもたらし、このような入力値を、導出されるSoHの測定値に変換して、ニューラルネットワーク140のタスクの複雑性を低減し、タスクを、浅層ニューラルネットワークの能力に適したものにする、データの前処理により増加する。
【0043】
いくつかの実施形態では、処理デバイス130は、ニューラルネットワーク140の複数の層の各層を連続して発火させて、バッテリーシステム110のSoHを決定するように構成されてよい。この方法で、ニューラルネットワーク140の層を発火させることで、ニューラルネットワーク140内の層の数に等しい倍数でSoHを決定するために必要な処理リソースが更に低減する。センサ125により生成される測定値から、正規化されたデータ変化率を導出するプリプロセッサ135を提供することと、これを組み合わせることによって、処理能力が制限されている可能性がある監視システム120によるSoHの決定が、更に促進される。さらに、このことは、SoH決定の正確性を脅かすことなく達成することができる。ニューラルネットワーク140の層をこのように連続して発火させることは、処理デバイス130上のソフトウェアにより開始することができる。有利には、開示した技術を用いるバッテリーシステムのSOH決定は、所与の充放電サイクルに対して収集されるデータを用いる、ニューラルネットワーク140の単回実行において実施することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、処理デバイス130は更に、ニューラルネットワークの出力から、ノイズ又は予想外の値を取り除くように構成される、後処理手段を備えてよい。一実施形態では、後処理手段は、ローパスフィルタ又は平滑化フィルタの少なくとも1つを備えてよい。
【0045】
処理デバイス130は、決定されたバッテリーシステムのSoH、並びに、任意選択的に、バッテリー管理システム(BMS)(図示されない)に対して、バッテリーシステムの、任意の追加の、測定された特性を報告することができる。BMSは、複数のバッテリーシステム(又は、バッテリーセル)の性能を比較することができる。バッテリーシステムの性能が、他のバッテリーシステムとは、所定の量を超えて異なること見いだされる場合、これは、バッテリーシステムの欠陥を示し得、特定されたバッテリーシステムに対する欠陥フラグを立てるようにBMSに促す。所定の量は最初、製造時に設定されるデフォルトのバインドに設定してよい。所定の量は、以前のバッテリーシステムで学習した挙動に対応して選択してよい。いくつかの実施形態では、BMSは、収集したデータを、連続した/規則的な/不規則なスケジュールで、クラウドに送信することができる。バッテリーシステム性能の、特定された相違を使用して、バッテリーシステムの操作及び/又は維持を最適化することができる。
【0046】
図4は、
図1に示す監視システム120を用いてバッテリーシステム110の健全度を決定する方法200を示すプロセスフローチャートである。
【0047】
初期ステップ210として、バッテリーシステム110は、少なくとも部分的な充放電サイクルを受け、その間に、センサ125は、ステップ220において、バッテリーシステム110が充電/放電される際の、バッテリーシステム110と関連する特性を示す測定データを収集する。
【0048】
一実施形態では、収集した測定データは、電流及び電圧データを含んでよい。いくつかの実施形態では、バッテリーシステム110の温度もまた、測定することができる。
【0049】
実施形態では、測定データは、バッテリーシステム110における、完全充放電サイクルのサブ範囲にわたり、センサ125により収集されることができる。例えば、測定データは、バッテリーシステム(SoC)の最大充電容量の20~80%で収集されることができる。他の実施形態では、測定データは、30~70%SoC(又は70~30%SoC)、40~60%SoC(又は60~40%SoC)のうちの1つの充放電範囲の間に収集することができる。一実施形態では、測定データが収集される充放電操作の範囲は、SoCの、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の変化のうちの1つである。記載する方法は、より小さな範囲の充放電データを用いて十分なSoH測定値を提供することができる一方で、バッテリーシステムの変形例(例えば、異なる設計又はセルの化学的性質を有するバッテリーシステム)における、これらの方法の正確性及び有効性は、測定データが収集される充放電操作の範囲を延ばすことにより、改善することができる。いくつかの実施形態では、充放電範囲は、バッテリーシステムの用途で自然に発生する範囲であってよい。他の実施形態では、サブ範囲は、バッテリーシステムの過充電又は過放電を回避して、バッテリーシステムの寿命を延ばすように、バッテリーシステムの性質に基づいて測定することができる。本開示の実施形態は、単一の充放電範囲に限定されない。いくつかの実施形態では、監視システム120は、異なる充放電サイクルに対して、異なる充放電範囲を測定することができる。
【0050】
ステップ220において、プリプロセッサ135は、センサ125から、バッテリーシステム110に関連する特性を示す測定データを受信する。次に、プリプロセッサは、ステップ230において、受信した測定データに基づき、いずれかの時間に対する特性、又は、充放電操作中における、バッテリーシステム110の別の特性の変化率を決定する。
【0051】
一実施形態では、プリプロセッサ135は、センサ125から受信した測定データに基づき、バッテリーシステム110の、充電に対する電圧の変化率(dV/dQ)を決定するように構成されてよい。上記実施形態では、受信した測定データは、充放電操作の期間にまたがる、バッテリーシステム110と関連する電流及び電圧測定データを含んでよい。
【0052】
図5A及びBは、充放電サイクルにて測定した、充電による、電圧の変化率(dV/dQ)が、例示的なバッテリーシステムの健全度と共に変化する様子の例示的なグラフである。バッテリーシステムが充電又は放電される速度は、C速度として知られている。充放電操作のC速度は、バッテリーシステムが、1時間に公称定格容量を送達する、理論上の引き込み電流により除した、バッテリーシステムを通過する充放電電流に基づき決定することができる。
図5Aは、3.6のC速度による充電操作中に、バッテリーシステム110で測定したdV/dQを示す一方で、
図5Bは、4.8のC速度による充電操作中に、バッテリーシステム110で測定したdV/dQを示す。示した図に見られるように、バッテリーシステム110が100%から85% SoHまで劣化するにつれ、明らかな傾向が識別可能である。図示するグラフを用いて、例えば、内挿/外挿により、バッテリーシステムのSoH値を予測するために、未知のSoHのバッテリーシステムが、グラフ内で適合する箇所を特定することができる。図のx軸は、バッテリーシステム110からの電流測定データを用いて、Vminにおける、開放電圧から開始する範囲にまたがるクーロンカウンティングにより導出される充電を表す。開示される方法において、dV/dQ分析を用いて入手した、計算されたSoH結果は、非常に正確であることが証明されており、0.35Ah~0.70Ahの充電範囲にまたがり収集した測定データから決定される、絶対的なdV/dQの関係を用いて、1%未満のRMSEを実現する。したがって、先行技術とは異なり、開示される解決策は、より速いC速度において、部分的な充放電サイクルから、測定データを用いて、SoHを正確に決定することができる。
【0053】
別の実施形態では、プリプロセッサ135は、センサ125から受信した測定データに基づき、バッテリーシステム110の、SoCに対する電圧の変化率(dV/dSoC)を決定するように構成される。上記実施形態では、受信した測定データは、充放電操作の持続期間にまたがる、バッテリーシステム110と関連する電流及び電圧データを含んでよい。プリプロセッサ135は、当該技術分野において周知の好適な方法のいずれかを用いて、受信した測定データからSoCを決定するように構成されてよい。
【0054】
図6A及びBは、充放電サイクルにて測定した、充電状態による、電圧の変化率(dV/dSoC)が、例示的なバッテリーシステムの健全度と共に変化する様子の例示的なグラフである。
図6Aは、3.6のC速度による充電操作中に、バッテリーシステム110で測定したdV/dSoCを示す一方で、
図6Bは、4.8のC速度による充電操作中に、バッテリーシステム110で測定したdV/dQを示す。図のx軸は、各充電サイクルの終了時に達成した最大Q Ahに対する、利用可能なA Ahの割合として計算した、バッテリーシステム110のSOCを表す。上述したdV/dQ法により、示す図は、バッテリーシステム110が100%から85% SoHまで劣化するにつれ、識別可能な傾向を示す。記載する方法でdV/dSoCを用いるSoHシミュレーションは、25~80%SoCの充電範囲にまたがり収集した測定データを用いて、1%未満のRMSEを達成した。
【0055】
多くの用途において、バッテリーシステムのSoCに基づき、充放電操作のC速度を変化させるのが望ましい。例えば、場合によっては、バッテリーシステム110は、SoCが50%を下回るときに高C速度で、続いて、SoCが80%を上回ると低C速度充電で充電してよい。充電速度が、高C速度から低C速度に移行するときに、電圧の非連続性、又はステップ応答が、内部抵抗、及び、バッテリーシステムの化学的性質の充電特性により、バッテリーシステム110にまたがり確認することができる。これにより、
図7に示すように、dV/dSOC測定値において非連続性がもたらされる。先行技術のSoH技術とは異なり、開示した方法により用いられる、バッテリーシステムの特性微分分析と、トレーニングを受けたニューラルネットワークパターン認識とを組み合わせることが、複数の異なる充電速度を含む充放電サイクルにまたがり収集した測定データから、バッテリーシステムのSoHの決定において効果的であることが証明されている。
【0056】
図7は、充放電サイクルにて測定した、充電状態による、電圧の変化率(dV/dSoC)、及び、複数の異なる充電速度で充電したバッテリーシステムの健全度が変化する様子の例示的なグラフである。グラフは、C速度6で40%のSoCまで充電し、続いて、C速度4で80%まで充電したバッテリーシステム110に対する、決定されたdV/dSoCを示す。固定された閾値(バッテリーシステムの構成に基づくものであり得る)を下回る、絶対的なdV/dSOC値をマスクする、追加の処理ステップを用いることにより、単回充電サイクルの間に複数の充電速度を含む測定データを用いる、SoHの決定が可能となる。したがって、得られるバッテリーシステムの特性微分データを更に処理することによって、SoHの決定が、充電速度どうしのスワップにより引き起こされる干渉により歪められないことが保証される。
【0057】
別の実施形態では、プリプロセッサ135は、dV/dt、dV/dT、dQ/dT、dQ/dSoC、dQ/dt、dSoC/dTのうちの少なくとも1つを含む変化率を決定するように構成される。時間に対する、バッテリーシステムの特性の変化率が決定される実施形態に関して、プリプロセッサ135はまず、充放電操作の時間に対する、バッテリーシステムの特性を分析するために、受信した測定データにタイムスタンプを付与し得る。各バッテリーシステムの特性微分は、その特性微分と関連する、独自の利点及び欠点を有する。
【0058】
例えば、dV/dtは、単一のバッテリーシステムデザインに対して高度なSoHの正確性をもたらすことが見いだされているものの、dV/dtは、バッテリーシステムの変形例で用いる場合、他の微分(dV/dQ及びdV/dSoC)ほど性能を発揮しない(例えば、セル化学的特徴Aでトレーニングを受けたdV/dtは、トレーニングを受けていないセル化学的特徴Bほど、正確なSoH予測をもたらすことができない可能性がある)。有利には、dV/dtを用いることで、タイムスタンプが付与されたそのままの電圧測定値を、更にデータを操作することなく直接サンプリングすることができるため、より簡便な実装もまた生み出される。開示された方法で用いられる、具体的なバッテリーシステムの特性微分はそれ故、具体的な用途に基づき選択することができる。
【0059】
ステップ240において、決定された変化率を次に、リスケールする/正規化する。リスケール及び/又は正規化は、当該技術分野において周知の好適な方法のいずれかを用いて、変化率に対して実施することができる。既に前述したように、決定された変化率をリスケールする/正規化することによって、バッテリーシステムの変形例と関連する測定データからのSoH決定の有効性が改善される。
【0060】
例として、
図6A及び6Bに示すように、決定されたdV/dSoCに関する範囲を、範囲1~-1にリスケールし、例えば、32ビットを用いて、そのままの値の代わりに1~-1で表すことにより、一層容易な重み付けを促進し、より高い解像を支えることができる。さらに、センサ125からの測定データの正確性の低さは、dV/dSOCを決定するために用いられる測定データのサンプリング間隔を減らすことにより、相殺することができる。一実施形態では、0.5~5% SOCのサンプリング間隔を用いることができる。
【0061】
ステップ250では、処理した(即ち、リスケールした/正規化した)変化率を、ニューラルネットワーク140への入力として用い、これは、受信した、正規化された変化率におけるパターン一致分析を用いて、ステップ260において、バッテリーシステム110に対するSoHを出力する。
【0062】
いくつかの実施形態では、決定された、正規化された変化率に加えて、充放電操作の持続時間にまたがり、バッテリーシステムによって測定した、真の平均電流もまた、ニューラルネットワーク140への入力として用いることができる。平均電流を含めることにより、SoHの正確性、及び、バッテリーシステムの変形例の適応性を改善することができる。これは、dV、dt、dT、及びdQを独立して含む正規化された微分が、所与のステップに対する変化率の指標をもたらさないからである。回転電流の平均を、いくつかの実施形態では用いることができるものの、これは、充放電速度が、充放電サイクルの間に変化する場合には誤差を導入する可能性がある。正規化された微分係数の値に基づき、機械学習モデルに平均電流を含めることでもまた、正規化ステップから生じる、正確性の何らかの喪失を相殺することができ、ニューラルネットワークが、正規化された微分係数の値ではなく、絶対値から情報を導出することが防がれる。
【0063】
いくつかの実施形態では、決定された、正規化された変化率に加えて、充放電操作の持続時間にまたがるバッテリーシステムの温度もまた、ニューラルネットワーク140への入力として用いることができる。一実施形態では、充放電操作の間にまたがる、バッテリーシステムの真の平均温度もまた、ニューラルネットワーク140への入力として用いることができる。温度を含めることによってもまた、温度差から生じるバッテリーシステム挙動の変化を補正することにより、SoHの正確性を改善することができる。具体的には、温度の変動は、バッテリーシステムの内部抵抗、及び、バッテリーシステムから充電が可能な程度の両方に影響を及ぼす。
【0064】
いくつかの実施形態では、後処理を、異常値及び予想外のノイズスパイクを取り除くために、ニューラルネットワーク140の出力において実施することができる。いくつかの実施形態では、予想されるパラメーター外の値を取り除く。SoH曲線のトラフが、予想される40~60%SoCの外にある一実施形態では、
図6Bに示すように、後処理段階を実装し、曲線からこのデータを取り除くことができる。この方法でSoH出力を後処理することによって、部分的な充放電範囲にまたがり収集した測定データを用いることで生じる、正確性の喪失を相殺することができる。後処理ステップは、標準偏差分析、閾値レベル、及び、特定の際の歴史的/トレーニングデータとの比較、並びに、決定されたデータセットからの異常値/ノイズの除去もまた実施することができることが理解されよう。
【0065】
バッテリーシステム110の、決定されたSoHをその後用いて、バッテリーシステム110の効果的な操作を変更することができ(例えば、充放電操作を変更し、バッテリーシステム110の寿命を維持することができ)、かつ、バッテリーシステム110(又は、その構成要素の1つ以上)の交換がいつ必要かを決定することができる。
【0066】
図8は、ニューラルネットワークをトレーニングさせて、本開示の実施形態に従い測定した、正規化された特性微分に基づき、バッテリーシステムの健全度を決定する方法600を示すプロセスフローチャートである。ステップ610では、充放電操作の間に、バッテリーシステムと関連するバッテリーシステムの特性を示す測定データを含むトレーニングデータを取得する。トレーニングデータは、フィールドアプリケーションで予測される変化率を含むことができる。
【0067】
一実施形態では、ニューラルネットワーク140は、MITデータセットからサンプリングされる、正規化されたバッテリーシステムの特性を用いてトレーニングを受けることができる。トレーニングデータのセットは、パブリックドメイン-MIT-https://data.matr.io/1/から入手することができる。
【0068】
入手したトレーニングデータを用いて、ステップ620において、充放電操作にまたがり観察される、時間、又は、バッテリーシステムの別の特性に対する、バッテリーシステムの特性の変化率を決定する。次に、決定された変化率を、ステップ630で、既知の技術を使用してリスケール/正規化し、トレーニングプロセスを標準化させ、バッテリーシステムの変形例におけるニューラルネットワーク140の効率を改善する。具体的には、既に論じたように、リスケーリングは、ニューラルネットワーク140を、決定した変化率のパターンにフォーカスするようにトレーニングさせ、実装において大きな値を用いることを減らし、これによって、より解像度の高い、固定小数点変換を可能にする。いくつかの実施形態では、フィルターステップを実装して、上述したように、予想外の値/異常値を取り除いてよい。
【0069】
ステップ640では、決定された、正規化された変化率を用いてニューラルネットワーク140をトレーニングさせ、変化率を処理するためのパラメーターを重み付けし、設定して、バッテリーシステムのSoHを決定する。いくつかの実施形態では、パラメーターのトレーニングは、ベイズ規則化の誤差逆伝播法により設定することができる。
【0070】
ニューラルネットワーク140は、適用要件に基づく構成サイズを有することができる。一実施形態では、ベースネットワークの構成は、[18 15 10 10 5 3]であってよい。一実施形態では、ニューラルネットワーク140は、Tanh関数を利用して、バッテリーシステムのSoHを決定する。活性化/伝達関数:Tanh-限定的なノード数での迅速な収束を可能にするが、他の既知の活性化関数を用いてよい。勾配消失性は、トレーニングを受けていないデータセットにおける、指数関数的な誤差のリスクを軽減する。正規化線形ユニット(ReLU)関数などの、回帰問題で用いられる代替の活性化関数では、Tanhから得られる予測の正確性に一致するために、一桁大きなノード数を有する、複雑なニューラルネットワークを必要とする。同様の問題が、Leaky ReLU及びスイッチ活性化関数において予想される。Tanhの限定的な範囲(-1~1)は、固定小数点操作における、非常に正確な変換を可能にする。
【0071】
次に、トレーニングを受けたニューラルネットワークの結果は、ステップ650において、当該技術分野において既知の技術を使用するバッテリーシステムデータに対して、検証及び試験することができる。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワーク140の確認は、MITデータセット全体の一部分(例えば、15%)において実施することができる。試験及び確認ステップの後、ニューラルネットワーク140は、ステップ660において、重み付け及び/又はパラメーターを調製し、バッテリーシステムSoH決定における誤差を最小限に抑えることにより最適化することができる。
【0072】
dV/dQ値でトレーニングを受けた、実装済みアルゴリズムは、0.35Ah~0.70Ahの範囲のQ Ahから取得される、絶対dV/dQ計算値を用いて、RMSEが1%未満のリン酸鉄リチウム(LFP)セル(A123 APR18650M1A 1.1Ah)のSoHを予測することが証明されている。リスケールしたdV/dSoC v SoCデータを用いる、同一のMITデータセットで再トレーニングされたアルゴリズムによって、他のLFPセル(LithiumWerks APR18650M1B 1.2Ah)において正確なSoH予測が可能となり、予測誤差は3%未満のRMSEとなった。リスケールしたdV/dQ又はdV/dSoCは、全ての種類のバッテリーシステムにまたがり一層正確であったが故に、より一般的な解決策をもたらす。
【0073】
有利には、上記の様式で生成されたモデルは、DE 10 2015 016 987 A1などの、先行技術のシステムのいくつかにおいて必要とされる、バッテリーの以前の状態を知る必要なく、SoHの測定値を導出することができる。これにより、システムが、このような状態データ、又は、モデルをアップデートするために必要な他の状態変数を記憶するための、不揮発性メモリを含む要件が軽減される。歴史的データはトレーニングで使用されない。むしろ、正規化されたデータが、必要とされる場合に平均電流値及び/又は温度と共に、直接、SoH値と結びつく。
【0074】
一実施形態では、ニューラルネットワークのトレーニングは、クラウドで行うことができる。トレーニングを受けたニューラルネットワーク140は、組み込みデバイスに移され、クラウドに依存することなく機能することができる。このようにニューラルネットワーク140をトレーニングさせることで、SoH決定を行うためにクラウドと連続して接続する、という要件が除かれるものの、ある特定の実施形態では、クラウド接続を利用して、SoH決定を支援することができる。
【0075】
上記実施形態は、容量に対して画定されるバッテリーシステムSOHを決定するための技術について説明しているものの、このような技術は、当該技術分野において周知のSOHの他の定義にも等しく当てはまることが理解されよう。具体的には、いくつかの実施形態では、SOHは、以下のうちの1つとして定義することができる:
-電力に関する健全度を、製造時にセルが送達することができる最大電力に対して、所与の時間の間にセルが送達することができる現在の最大電力の割合として定義することができる;
-急速充電能力に関する健全度を、新規のセルの最大充電速度に対する、現在の最大充電速度の比率として定義することができる;及び
-セルの内部抵抗に関する健全度を、セルの製造時の内部抵抗に対する、経年により増加した内部抵抗の比率として定義することができる。
【0076】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されてきており、これらは、本開示の範囲に対して排他的なものである、又は、範囲を限定するものであることを意図するものではない。開示される実施形態の多くの修飾及び変形は、本明細書で開示される実施形態から、本開示の範囲を逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本開示の実施形態を開示するために本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出された技術に対する実用的な用途若しくは技術的改善を最もよく表現するために、又は当業者が本明細書で開示されている実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【0077】
明確にするために別々の実施形態の文脈において記載される本開示のある特定の特徴はまた、単一の実施形態の組み合わせで提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈において記載される本開示の様々な特徴はまた、別個に、若しくは任意の好適なサブコンビネーションで、又は本開示の任意の他の、記載される実施形態で好適なものとして提供され得る。様々な実施形態の文脈で記載されるある特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされるべきではない。
【0078】
本開示を、その特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替、修正及び変形が当業者には明らかとなることが明示的である。したがって、添付の請求項の趣旨及び広い範囲に入るすべてのこのような代替、修正、及び変形を包含することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
本開示を、その特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替、修正及び変形が当業者には明らかとなることが明示的である。したがって、添付の請求項の趣旨及び広い範囲に入るすべてのこのような代替、修正、及び変形を包含することが意図されている。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
[態様1]
1つ以上のバッテリーセルを備えるバッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するための監視システムであって、
充電又は放電操作中に、前記バッテリーシステムと関連する少なくとも1つの特性を測定するための少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサと通信可能に連結された処理デバイスであって、
前記少なくとも1つのセンサから測定データを受信する、及び
前記受信した測定データに基づき、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性の、正規化された変化率、又は、前記充電若しくは放電操作の間に測定された、前記バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性を決定するように構成され、前記第2の測定された特性は、前記第1の測定された特性とは異なる、プリプロセッサを、
を備える、前記処理デバイスと、
前記決定された、正規化された変化率を用いて、前記バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するように構成されるニューラルネットワークと、
を備える、監視システム。
[態様2]
前記少なくとも1つのセンサは、温度センサ、電圧センサ、電流センサ、又は、前記電圧センサ、前記電流センサ、及び/若しくは前記温度センサの組み合わせのうちの少なくとも1を備える、態様1に記載の監視システム。
[態様3]
前記第1の測定される特性は、電圧、充電、又は充電状態のうちの1つを含む、態様1~2のいずれか一項に記載の監視システム。
[態様4]
前記第2の測定される特性は、充電、充電状態、又は温度のうちの1つを含む、態様1~3のいずれか一項に記載の監視システム。
[態様5]
前記第1の測定される特性は電圧であり、前記第2の測定される特性は充電状態である、態様1~4のいずれか一項に記載の監視システム。
[態様6]
前記第1の測定される特性は電圧であり、前記第2の測定される特性は充電である、態様1~3のいずれか一項に記載の監視システム。
[態様7]
前記ニューラルネットワークは複数の層を備え、前記処理デバイスは、前記複数の層の各層を連続して発火させて、前記バッテリーシステムの前記健全度を決定する、態様1~6のいずれか一項に記載の監視システム。
[態様8]
態様1~7のいずれか一項に記載の監視システムを備える、バッテリーシステム。
[態様9]
態様1~7のいずれか一項に記載の監視システムで使用するための処理デバイスであって、
少なくとも1つのセンサにより、充電又は放電操作中に、前記バッテリーシステムと関連する少なくとも1つの特性を示す測定データを受信する、及び
前記受信した測定データに基づき、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性、又は、前記充電若しくは放電操作の間に測定された、前記バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性の、正規化された変化率を決定するように構成され、前記第2の測定された特性は、前記第1の測定された特性とは異なる、プリプロセッサと、
前記決定された、正規化された変化率を用いて、前記バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するように構成されるニューラルネットワークと、
を備える、前記処理デバイス。
[態様10]
バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するための、コンピュータ利用方法であって、
少なくとも1つのセンサにより、充電又は放電操作中に、前記バッテリーシステムと関連する少なくとも1つの特性を示す測定データを受信することと、
前記受信した測定データに基づき、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性、又は、前記充電若しくは放電操作の間に測定された、前記バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性の、正規化された変化率を決定することであって、前記第2の測定された特性は、前記第1の測定された特性とは異なる、前記決定することと、
ニューラルネットワークを用いて、前記ニューラルネットワークに入力データとして、前記正規化された、決定された変化率を用い、前記バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定することと、
を含む、方法。
[態様11]
前記決定された変化率を正規化することを更に含む、態様10に記載の方法。
[態様12]
前記ニューラルネットワークは複数の層を備え、前記方法は、前記複数の層の各層を連続して発火させて、前記バッテリーシステムの前記健全度を決定することを更に含む、態様10又は11に記載の方法。
[態様13]
前記第1の測定される特性は、電圧、充電、又は充電状態のうちの1つを含み、前記第2の測定される特性は、充電、充電状態、温度のうちの1つを含み、好ましくは、前記第1の測定される特性は電圧であり、前記第2の測定される特性は充電又は充電状態である、態様10~12のいずれか一項に記載の方法。
[態様14]
プロセッサにより実行される際に、前記プロセッサに、態様10~13のいずれか一項に記載の方法を実施させる命令を含む、コンピュータ可読媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のバッテリーセルを備えるバッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するための監視システムであって
、
充電又は放電操作中に、前記バッテリーシステムと関連する少なくとも1つの特性を測定するための少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサと通信可能に連結された処理デバイスであって
、
前記少なくとも1つのセンサから測定データを受信する、及び
前記受信した測定データに基づき、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性の、正規化された変化率、又は、前記充電若しくは放電操作の間に測定された、前記バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性を決定するように構成され、前記第2の測定された特性は、前記第1の測定された特性とは異なる、プリプロセッサを、
を備える、前記処理デバイスと、
前記決定された、正規化された変化率を用いて、前記バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するように構成されるニューラルネットワークと、
を備える、
監視システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサは、温度センサ、電圧センサ、電流センサ、又は、前記電圧センサ、前記電流センサ、及び/若しくは前記温度センサの組み合わせのうちの少なくとも1を備える、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記第1の測定される特性は、電圧、充電、又は充電状態のうちの1つを含む、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項4】
前記第2の測定される特性は、充電、充電状態、又は温度のうちの1つを含む、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項5】
前記第1の測定される特性は電圧であり、前記第2の測定される特性は充電状態である、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項6】
前記第1の測定される特性は電圧であり、前記第2の測定される特性は充電である、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項7】
前記ニューラルネットワークは複数の層を備え、前記処理デバイスは、前記複数の層の各層を連続して発火させて、前記バッテリーシステムの前記健全度を決定する、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の監視システムを備える、バッテリーシステム。
【請求項9】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の監視システムで使用するための処理デバイスであって
、
少なくとも1つのセンサにより、充電又は放電操作中に、前記バッテリーシステムと関連する少なくとも1つの特性を示す測定データを受信する、及び
前記受信した測定データに基づき、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性、又は、前記充電若しくは放電操作の間に測定された、前記バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性の、正規化された変化率を決定するように構成され、前記第2の測定された特性は、前記第1の測定された特性とは異なる、プリプロセッサと、
前記決定された、正規化された変化率を用いて、前記バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するように構成されるニューラルネットワークと、
を備える、前記処理デバイス。
【請求項10】
バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定するための、コンピュータ利用方法であって
、
少なくとも1つのセンサにより、充電又は放電操作中に、前記バッテリーシステムと関連する少なくとも1つの特性を示す測定データを受信することと、
前記受信した測定データに基づき、時間のうちの1つに対する、第1の測定された特性、又は、前記充電若しくは放電操作の間に測定された、前記バッテリーシステムと関連する第2の測定された特性の、正規化された変化率を決定することであって、前記第2の測定された特性は、前記第1の測定された特性とは異なる、前記決定することと、
ニューラルネットワークを用いて、前記ニューラルネットワークに入力データとして、前記正規化された、決定された変化率を用い、前記バッテリーシステムの健全度、即ちSOHを決定することと、
を含む、
方法。
【請求項11】
前記決定された変化率を正規化することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ニューラルネットワークは複数の層を備え、前記方法は、前記複数の層の各層を連続して発火させて、前記バッテリーシステムの前記健全度を決定することを更に含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の測定される特性は、電圧、充電、又は充電状態のうちの1つを含み、前記第2の測定される特性は、充電、充電状態、温度のうちの1つを含み、好ましくは、前記第1の測定される特性は電圧であり、前記第2の測定される特性は充電又は充電状態である、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサにより実行される際に、前記プロセッサに、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法を実施させる命令を含む、コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】