(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】エキノキャンディン核の調製方法
(51)【国際特許分類】
C12P 21/02 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
C12P21/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515091
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 IB2022058392
(87)【国際公開番号】W WO2023037252
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202141040608
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506292941
【氏名又は名称】バイオコン・リミテッド
【住所又は居所原語表記】20th KM,Hosur Road,Electronic City,Karnataka Bangalore 560 100,India
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パイ,オムカー ブーシャン
(72)【発明者】
【氏名】バジャジ,イシュワル
(72)【発明者】
【氏名】クルカニ,アーディティヤ
【テーマコード(参考)】
4B064
【Fターム(参考)】
4B064AG21
4B064CA31
4B064DA02
(57)【要約】
本発明は、架橋細胞凝集体における固定化デアシラーゼ、その調製方法、およびエキノキャンディンの脱アシル化におけるその使用に関する。架橋細胞凝集体におけるデアシラーゼの固定化は、
●発酵によるデアシラーゼの産生
●細胞の凝集
●細胞の架橋
のステップを含む。本発明はまた、エキノキャンディン中間体の脱アシル化における、デアシラーゼの架橋細胞凝集体の使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望のエキノキャンディン母核を生産するために、架橋されたデアシラーゼ細胞をエキノキャンディンで処置することによって、エキノキャンディンをエキノキャンディン母核へ変換するための方法であって、ここでデアシラーゼ細胞の架橋が、次:
a.デアシラーゼ細胞の凝集
b.凝集細胞の架橋
c.架橋細胞の単離
を伴う、前記方法。
【請求項2】
所望のエキノキャンディン母核を生産するために、架橋されたデアシラーゼ細胞をエキノキャンディンで処置することによって、ミカファンギンI中間体(FR901379)をミカファンギンII中間体(FR179642)へ変換するための方法であって、ここでデアシラーゼ細胞の架橋が、次:
a.デアシラーゼ細胞の凝集
b.凝集細胞の架橋
c.架橋細胞の単離
を伴う、前記方法。
【請求項3】
所望のエキノキャンディン母核を生産するために、架橋されたデアシラーゼ細胞をエキノキャンディンで処置することによって、エキノキャンディンBをエキノキャンディンB核へ変換するための方法であって、ここでデアシラーゼ細胞の架橋が、次:
a.デアシラーゼ細胞の凝集
b.凝集細胞の架橋
c.架橋細胞の単離
を伴う、前記方法。
【請求項4】
凝集ステップが、ポリエチレンイミンを使用して実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
架橋ステップが、グルタルアルデヒドを使用して実施される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願:
本出願は、2021年9月7日に出願されたインド特許出願IN 202141040608の優先権の利益を主張するものであり、前記特許出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、架橋細胞凝集体(Cross-linked cell aggregates)における固定化デアシラーゼ、その調製方法、およびエキノキャンディン(echinocandins)の脱アシル化(deacylation)におけるその使用に関する。架橋細胞凝集体におけるデアシラーゼ(deacylase)の固定化は、
●発酵によるデアシラーゼの産生
●細胞の凝集
●細胞の架橋
のステップを含む。
本発明はまた、エキノキャンディン(Echinocandin)中間体の脱アシル化における、デアシラーゼの架橋細胞凝集体の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
本開示の背景および先行技術
エキノキャンディンは、N連結型アシル脂質側鎖のある半合成環状リポペプチドの一群である。エキノキャンディンは、哺乳動物には存在しない真菌細胞壁の必須構成要素であるβ-(1,3)-D-グルカンシンターゼの非競合的インヒビターとして作用する。生物がβ-(1,3)-D-グルカンを合成できないと、浸透圧の不安定性と細胞死に繋がる。そのクラスの薬物は次:カスポファンギン(Caspofungin)、ミカファンギン(Micafungin)、およびアニデュラファンギン(Anidulafungin)である。
【0004】
FR901379に由来するミカファンギンは、高度に選択性のある抗真菌剤であり、かつ1,3-β-グルカン合成のインヒビターである。しかしながら、ミカファンギンI中間体(FR901379)は、パルミチン酸のアシル側鎖が長いことに起因し、溶血活性を有することが知られている。したがって、FR901379をアシラーゼ酵素によって脱アシル化することでミカファンギンII中間体(FR179642)が与えられ、次いで遊離アミノ基にて(化学合成ルートによって)再アシル化することでFR131535が生産された。これは、ほとんどのCandidaおよびAspergillusの種(species)に対して活性のある化学修飾によってミカファンギンへ変換される。
【0005】
【0006】
エキノキャンディンB(ECB)またはアニデュラファンギン中間体-Iは、Aspergillusのいくつかの種によって産生されるリポペプチド抗真菌剤である。ECBは、酵素による脱アシル化によって修飾されることで、リノレオイル側鎖のない環状ヘキサペプチドになり、その後の化学的再アシル化によってアニデュラファンギンが生成され得る。
【化2】
【0007】
Actinoplanes utahensisは、ミカファンギンまたはアニデュラファンギンの中間体-Iのアミノ末端からアシル単位を除去することで、生物不活性環状ペプチドのコアまたは「核」(ミカファンギンまたはアニデュラファンギンの中間体-II)を生産するデアシラーゼまたはアシルトランスフェラーゼを産生することが知られている。Actinoplanes utahensisは、ペニシリン、リポペプチド、糖ペプチド、カプサイシンなどの多くの抗菌薬の様々な脂肪族アシル側鎖を加水分解するデアシラーゼを産生できるグラム陽性糸状性細菌である。酵素(Actinoplanes utahensisによって産生される)は、63-kDaおよび18-~20-kDaのサブユニットから構成される膜結合性のヘテロ二量体である。
【0008】
脱アシル化の分野における既存の技術は、より低い変換率、より高いコスト、大量生産への不適性等々の多くの問題点に悩まされている。
【0009】
米国特許第7,785,826 B2号は、ECBNのECB変換のためのプロセスを開示する。プロセスの主な流れは、次のステップを含む:ECB発酵、遠心分離することで菌糸体を得ること、菌糸体を水に再懸濁すること、次いで変換のためにデアシラーゼを加えること。この方法では、ECBデアシラーゼを1回だけ利用する。しかしながら、方法は操作するのが複雑であり、プロセス変換時間は20~30時間で、変換率が低く、モル変換率はわずか30%である。
【0010】
CN 102618606は、放線菌の全細胞または発酵ブロスを触媒として使用するエキノキャンディンの生物変換のための方法を開示する。方法は、その変換系において基質の可溶性が改善するという利点を有し、共溶媒はベータ-シクロデキストリンまたはその誘導体である。方法は、変換スピードおよび変換率が改善されること、欠陥が完全細胞形質転換(full cell transformation)であること、系が多数の葉状体を有すること、酵素および基質の接触効率が極めて低いこと、その後の分離および精製ステップが複雑であること、よって費用が高いことという利点、ならびに酵素が、使用される有機溶媒系で不活性化されやすいことという問題を有する。
【0011】
CN103387975は、固定化された脂環式ペプチドアシルトランスフェラーゼを調製するための方法を開示し、ここで脂環式ペプチドアシルトランスフェラーゼは、担体上に固定化されている;脂環式ペプチドアシルトランスフェラーゼは、天然もしくは人工の突然変異体またはバリアントに由来し、外来の環状アシルトランスフェラーゼ遺伝子を導入することによって形質転換される。固定化された脂環式ペプチドアシルトランスフェラーゼは、ECBNをアニデュラファンギンへ変換するために使用される。この方法を通して変換率は高いものの、操作が複雑でありかつ費用が高く、固定化プロセスの化学反応は容易に、酵素の部分的な不活化に至る。
【0012】
2000年に、オランダのデルフト工科大学(Delft University of Technology)のCaoらは、架橋酵素および架橋酵素結晶に基づく新しいタイプの固定化酵素技術、架橋酵素凝集体(CLEA)を提案した。これによって、酵素分子を近づけて凝集体を形成させ、これらを溶媒から濾別し、次いで凝集体を架橋して架橋酵素凝集体を形成させるという特性が変化する。架橋酵素ポリマーは、担体としての酵素それ自身に固定化された酵素である。単位体積あたりの酵素濃度は高く、安定しており、再生利用可能で、触媒活性が高く、産生費用が低く、潜在的に応用展望を有する。
【0013】
CLEA技術を使用するCN108676831Aは、エキノキャンディンBについてエキノキャンディンB核への約85%変換率を報告する。本発明の不利な点は、下のとおりである:
●微生物細胞から酵素を単離し、これに続き架橋酵素凝集体を調製する必要がある。
●発酵ブロスから単離された酵素の精製が実施される必要がある。
●酵素活性部位での架橋に起因する酵素活性の阻害は、CLEAのケースにおいては制限である。
●プロセスは、調製および精製のための複数ステップを伴うところ、費用対効果が良くない。
●CLEAの再使用は、CLCAルートと比較すると限定的である。
【発明の概要】
【0014】
本発明の概要
デアシラーゼ媒介の生体内転換は、様々な抗真菌剤の合成への胸躍る潜在性を有するものの、これが産業上使用され得る前にはいくつかの課題が残っている。具体的に、その安定性および再使用可能性は、多くの他の産業用酵素と比較して相対的に劣っている。これらの障害は、酵素の固定化によって回避され得る。架橋細胞凝集体(CLCA)は、担体フリーの全細胞固定化方法として、工業的応用に大きな潜在性を有する。捕捉、吸着、および化学結合などの、担体に結合した固定化技術と比較して、担体フリーのCLCAの活性は、担体において希釈されない。その上、細胞の溶解および精製のステップが不要であると、固定化の費用が低減され、製造プロセスが簡略化されるであろう。
【0015】
本発明は、架橋細胞凝集体(CLCA)における固定化デアシラーゼの調製のための方法および生物変換のための同デアシラーゼの使用を開示する。本発明の利点は主に、次を包含するが、これらに限定されない:
●デアシラーゼCLCAは繰り返し使用され得るところ、産生費用が低減され、工業産生が容易になる。
●本発明の脱アシル化産物の純度は著しく改善される。
●プロセスは、安価かつ容易に入手可能な原材料のみを固定化に使用し、いずれの高価な樹脂も固定化には使用しない。ゆえに、経済的である。
●CLCAは、再使用のために長期間保管され得る。
●CLCAを使用する生物変換は、発酵したブロスの生物変換のケースとは違い、滅菌条件/無菌条件を必要とせずに実施され得る。
【0016】
架橋酵素凝集体(CLEA)と比較した本発明の利点:
●CLEA技術は、微生物細胞から酵素を単離し、これに続き架橋酵素凝集体(CLEA)を調製する必要がある。
●直接、架橋細胞凝集体(CLCA)が調製され得、発酵ブロスからの酵素の単離に複数の精製ステップは要されない。
●架橋細胞凝集体(CLCA)は、生物変換の複数のサイクルに再使用され得る。
●CLCAは細胞表面タンパク質の架橋を伴うため、酵素活性部位での架橋に起因する酵素活性の阻害が克服される。これはCLEAのケースにおいては制限であったものである。
●CLCAは、微生物細胞が酵素のための支持マトリックスとして作用するため、CLEAと比較してpH、温度、混合に起因するせん断応力等々などの反応条件下での酵素の安定性を増強させる。
●CLEAの調製は、架橋に先立ちその溶液からの酵素の沈殿を伴うため、酵素活性の部分的な喪失は、CLCAのケースにおいて克服され得る一般的な制限である。
【0017】
略語:
PCV: 血中血球容積(Packed Cell Volume)
CLCA: 架橋細胞凝集体
CLEA: 架橋酵素凝集体
DMH: デキストロース一水和物
SF: 種(Seed)フラスコ
IF: 接種源(Inoculum)フラスコ
K2HPO4: リン酸水素二カリウム
PEI: ポリエチレンイミン
GA: グルタルアルデヒド
EOF - 発酵の終了
EOR - 反応の終了
L - リットル
KL - キロリットル
【0018】
本発明の一態様は、エキノキャンディンの、エキノキャンディン母核への変換を開示する。方法は、デアシラーゼ細胞を架橋すること、およびエキノキャンディンで処置して所望のエキノキャンディン母核へ変換することを伴う。
ここで架橋デアシラーゼ細胞の調製方法は、次を伴う:
a.デアシラーゼ細胞の凝集
b.凝集細胞の架橋
c.架橋細胞の単離。
【0019】
本発明の別の態様は、ミカファンギンI中間体(FR901379)の、ミカファンギンII中間体(FR179642)への変換を開示する。方法は、デアシラーゼ細胞を架橋すること、およびミカファンギンI中間体(FR901379)で処置することで所望のミカファンギンII中間体(FR179642)へ変換することを伴う。
ここで架橋デアシラーゼ細胞の調製方法は、次を伴う:
a.デアシラーゼ細胞の凝集
b.凝集細胞の架橋
c.架橋細胞の単離。
【0020】
本発明の別の態様は、エキノキャンディンBの、エキノキャンディンB核への変換を開示する。方法は、デアシラーゼ細胞を架橋すること、およびエキノキャンディンBで処置して所望のエキノキャンディンB核へ変換することを伴う。
ここで架橋デアシラーゼ細胞の調製方法は、次を伴う:
a.デアシラーゼ細胞の凝集
b.凝集細胞の架橋
c.架橋細胞の単離。
【0021】
本発明のもう1つの態様は、架橋デアシラーゼ細胞をエキノキャンディンで処置することで所望のエキノキャンディン母核を生産することによって、エキノキャンディンの、エキノキャンディン母核への変換のための方法を提供する。
ここでデアシラーゼ細胞の架橋は、次を伴う:
a.デアシラーゼ細胞の凝集
b.凝集細胞の架橋
c.架橋細胞の単離。
【0022】
本発明の別の態様は、架橋デアシラーゼ細胞をエキノキャンディンで処置することで所望のエキノキャンディン母核を生産することによって、ミカファンギンI中間体(FR901379)の、ミカファンギンII中間体(FR179642)への変換のための方法を提供する。
ここでデアシラーゼ細胞の架橋は、次を伴う:
a.デアシラーゼ細胞の凝集
b.凝集細胞の架橋
c.架橋細胞の単離。
【0023】
本発明の別の態様は、架橋デアシラーゼ細胞をエキノキャンディンで処置することで所望のエキノキャンディン母核を生産することによって、エキノキャンディンBの、エキノキャンディンB核への変換のための方法を提供する。
ここでデアシラーゼ細胞の架橋は、次を伴う:
a.デアシラーゼ細胞の凝集
b.凝集細胞の架橋
c.架橋細胞の単離。
【0024】
本発明のもう1つの態様は、先行する態様のいずれかに従う方法を提供するが、ここで凝集ステップはポリエチレンイミンを使用して実施される。
【0025】
本発明の別の態様は、先行する態様のいずれかに従う方法を提供するが、ここで架橋ステップがグルタルアルデヒドを使用して実施される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の詳細な記載
本発明の態様はここで、特定例を使用して後にさらに記載される。例は、本発明のある態様のより良好な理解のために提供されるものであって、形はどうあれ、その範囲を限定するものではない。本明細書の教示および本発明の分野における一般技術を使用すれば当業者にも明らかである実行可能な修飾および均等物もまた、本明細書の一部を形成するものとし、その範囲内に包含されることを意図する。
【0027】
例:
例-1:
ステップ-1: 種(Seed)発酵
SF、IF、種発酵槽ステージのための種培地組成
【表1-1】
【表1-2】
【0028】
種発酵培地は、上の表-1に述べられた成分を含む。成分すべてを混合し、滅菌前に20%水酸化ナトリウム(NaOH)または20%オルトリン酸(OPA)でpHを6.0±0.1まで調整した。接種(Inoculation)は、発酵槽においてよく成長した~10%の接種源で実施した。発酵培地を、齢おおよそ(age- approx.)96±24h、PCV≧15にて、かつpHがほぼ7.3~7.5まで上昇したとき、産生発酵槽へ移した。
【0029】
ステップ-2: 産生発酵
産生ステージのための産生培地組成
【表2】
【0030】
培地は、上の表-2に述べられた成分を含む。成分すべてを混合し、10%水酸化ナトリウム(NaOH)または20%オルトリン酸(OPA)でpHを6.0±0.2まで調整した。発酵槽を25℃±2℃の温度まで冷却した。接種を、よく成長した~10%の接種源で実施した。スクロースを、これに続きDMHを、および6hから始めて30g/hにて酵母抽出物を供給した。バッチは96~120h、PCV≧15%で稼働することが予想される。
【0031】
ステップ-3: 細胞の凝集
発酵後、ポリエチレンイミン(PEI)(0.2%)を、絶えず混合しながら発酵槽へ直接加え、ブロスのpHを6.8±0.2にて保った。培地を25±2℃にて20~30分間100rpmにてインキュベートした。
【0032】
ステップ-4: 細胞の架橋
細胞凝集ステップの後、グルタルアルデヒド(GA)(0.4%)を、絶えず混合しながら発酵槽へ直接加えた。培地を25±2℃にて20~30分間100rpmにてインキュベートして、架橋細胞凝集体(CLCA)を形成した。
【0033】
ステップ-5: 架橋細胞凝集体(CLCA)の濾過および洗浄
CLCAの濾過を実施し、CLCAをRO水で2度洗浄することで過剰なPEI&GAならびに発酵ブロスを除去した。CLCAを濾別して乾燥させることで、過剰の水を除去した。
【0034】
CLCA活性テストのためのプロトコル
K2HPO4の50mM溶液をpH5.5~6.0で調製する。同緩衝溶液を使用して、ミカファンギン中間体-Iの10g/L溶液を調製する。所望される分量のCLCA固体を円錐フラスコへ加える。上で調製されたミカファンギン中間体-I溶液を、反応混合物中のCLCAの最終希釈率がほぼ10%w/wになるように、円錐フラスコへ移す。上の混合物を40℃にて約60分間インキュベートする。o-リン酸を加えることによって反応をクエンチする。要される希釈を適切な溶媒で実施し、ミカファンギン中間体-II含量についてHPLCによって分析する。CLCA活性は1.5から2.5mg/gまで及ぶ可能性がある。
【0035】
ステップ-6a: ミカファンギンIのIIへの生物変換
0.05M K2HPO4緩衝剤(pH5.8±0.3)において20g/LミカファンギンI中間体溶液(アッセイベース)を調製した。デアシラーゼCLCAを反応器へ移し、反応器においてミカファンギンI中間体溶液と混合した。RPMを300±50にて維持し、プロセスを通してずっと温度を25±3℃にて保った。反応完了後、反応混合物を収集し、CLCAを濾過によって分離した。CLCAを0.05M K2HPO4緩衝剤(pH5.8±0.3)で洗浄し、濾過して乾燥させた。
【0036】
【0037】
(あるいは)
ステップ-6b: アニデュラファンギンIのIIへの生物変換
デアシラーゼCLCAを反応器へ移し、0.05M K2HPO4緩衝剤(pH5.8±0.3)と混合した。アニデュラファンギンI中間体を加えて12g/Lとした。RPMを300±50にて維持し、プロセスを通してずっと温度を25±3℃にて保った。反応完了後、反応混合物を収集し、CLCAを濾過によって分離した。CLCAを0.05M K2HPO4緩衝剤(pH5.8±0.3)で洗浄し、濾過して乾燥させた。
【0038】
アヌデュラファンギンIのIIへの生物変換
【表4-1】
【表4-2】
【0039】
例-2:
CLCAの調製のための上のプロセス、CLCAを使用するミカファンギンIのIIへの生物変換、およびアニデュラファンギンIのIIへの生物変換をキロリットル規模までその規模を拡大した。下は、同プロセス/生物変換に係る規模拡大データである。
【0040】
架橋細胞凝集体(CLCA)の調製
CLCAの調製プロセスを発酵槽において1KL規模にて実施し、そのプロセスを検証した。CLCA調製を、上述したプロトコルに従い例1(ステップ1~ステップ5)において行った。固体のCLCAの出力詳細は以下のとおりであった。
【表5】
【0041】
ミカファンギンIのIIへの生物変換をキロリットル規模にて実施し、そのプロセスを検証した。下に、同生物変換に係る結果を一覧にする。
【表6-1】
【表6-2】
【0042】
アニデュラファンギンIのIIへの生物変換をより大きな規模にて実施した。下にこれらの結果を一覧にする。
【表7】
【国際調査報告】