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特表2024-531611回転式霧化器用電極組立体およびその操作方法
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  • 特表-回転式霧化器用電極組立体およびその操作方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】回転式霧化器用電極組立体およびその操作方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/04 20060101AFI20240822BHJP
   B05B 3/10 20060101ALI20240822BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240822BHJP
   B05B 15/555 20180101ALN20240822BHJP
【FI】
B05B5/04 A
B05B3/10 B
B08B3/02 A
B05B15/555
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515094
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 EP2022074310
(87)【国際公開番号】W WO2023036679
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021123081.0
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】ヘルレ、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ゾンマー、ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】メルヒャー、ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント、サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ホイサーマン、パトリック
【テーマコード(参考)】
3B201
4D073
4F033
4F034
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201BB22
3B201BB92
4D073AA01
4D073BB03
4D073CC04
4D073CC17
4F033PA11
4F033PB16
4F033PD06
4F034BA23
4F034BA27
4F034BB15
(57)【要約】
本発明は、回転式霧化器(1)において塗料を静電的に外部帯電させるための電極組立体(6)に関するものであり、この電極組立体(6)は、好ましくはベルカップ(2)に向かって回転式霧化器(1)の回転軸(3)と同軸に延びる端面管(5)を備えた霧化器ハウジングを有する。本発明による電極組立体(6)は、回転式霧化器の霧化器ハウジングに電極組立体(6)を取り付けるための取付リング(8)と、同様に回転式霧化器(1)によって噴霧された塗料の静電的な外部帯電のための少なくとも1つの帯電電極(7)とを有し、少なくとも1つの帯電電極(7)は、好ましくは電極組立体(6)から突出している。本発明はさらに、取付リング(8)の終端面から突出し、回転式霧化器(1)の外側で回転式霧化器(1)の管の少なくとも一部をオーバースプレーから遮蔽するために、取付状態で回転式霧化器(1)の回転軸(3)に沿って回転式霧化器(1)の管(5)まで延びる封止された管遮蔽体(9)を備える。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式霧化器における塗料の静電外部帯電のための電極組立体(6)であって、前記電極組立体(6)は端面に管(5)を有する霧化器ハウジング(4)を有し、前記管(5)は、好ましくは、ベルカップ(2)に向かって前記回転式霧化器(1)の回転軸(3)と同軸に延び、
a)前記回転式霧化器(1)の前記霧化器ハウジング(4)に前記電極組立体(6)を取り付けるための取付リング(8)と、
b)前記回転式霧化器によって噴霧された塗料の静電外部帯電のための少なくとも1つの帯電電極(7)であって、好ましくは前記電極組立体(6)から突出している少なくとも1つの前記帯電電極(7)と、
を備え、
c)前記取付リング(8)の端面から突出し、前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の外側に前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の少なくとも一部をオーバースプレーから遮蔽するために、前記回転式霧化器(1)の前記回転軸(3)に沿って取り付けられた状態で、前記回転式霧化器(1)の前記管(5)まで延びる封止された管遮蔽体(9)、
によって特徴付けられる、
電極組立体(6)。
【請求項2】
a)前記回転式霧化器(1)の前記管(5)は、洗浄装置(12)による自動洗浄プロセスにおいて、前記洗浄装置(12)内に位置し、それゆえに前記洗浄装置(12)によって洗浄し得る遠位洗浄領域(16)を有し、
b)前記回転式霧化器(1)の前記管(5)は、前記洗浄装置(12)による洗浄プロセス中に、前記洗浄装置(12)の外側に位置し、それにより前記洗浄装置(12)よって洗浄することができない近位残留領域(17)を有し、
c)前記管遮蔽体(9)は、前記管(5)の前記近位残留領域(17)を少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆う、
ことを特徴とする、
請求項1に記載の電極組立体(6)。
【請求項3】
前記管遮蔽体(9)と前記回転式霧化器(1)の前記管(5)との間の環状ギャップ(10)を封止するために、前記管遮蔽体(9)がその遠位端にシール(11)を有する、
ことを特徴とする、
請求項1または2に記載の電極組立体(6)。
【請求項4】
前記シール(11)は、シールリング(11)を有する、
ことを特徴とする、
請求項3に記載の電極組立体(6)。
【請求項5】
前記管遮蔽体(9)は電気絶縁材料、特にポリテトラフルオロエチレンで構成する、
ことを特徴とする、
請求項1から4の何れか一項に記載の電極組立体(6)。
【請求項6】
a)前記管遮蔽体(9)は、前記電極組立体(6)の前記取付リング(8)に一体的に形成され、前記取付リング(8)と同じ材料から構成され、または、
b)前記管遮蔽体(9)は、前記電極組立体(6)の前記取付リング(8)に固定される独立した部品であり、任意で前記取付リング(8)とは異なる材料から構成される、
ことを特徴とする、
請求項1から5の何れか一項に記載の電極組立体(6)。
【請求項7】
a)前記管遮蔽体(9)は、前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の外輪郭と原則として相補的に整形された内輪郭を有し、組み立てられた状態において、前記管遮蔽体(9)が前記管(5)に対して完全に嵌合し、または前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の外輪郭と円周方向に環状ギャップを囲み、および/または、
b)前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の外輪郭と前記管遮蔽体(9)との間の環状の円周方向の前記環状ギャップ(10)が、基本的に一定のギャップ幅を有し、前記管遮蔽体(9)の軸方向の長さにわたる環状ギャップ(10)のギャップ幅が、好ましくは、±30%、±20%、±10%または±5%未満の偏差を有し、および/または、
c)前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の外輪郭と前記管遮蔽体(9)との間の前記環状ギャップ(10)は、電気絶縁媒体、特にワセリンで充填されており、および/または、
d)前記管遮蔽体(9)が、実質的に回転対称に成形されており、および/または、
e)前記管遮蔽体(9)が少なくとも3cm、5cm、7cm、9cm、11cmまたは13cmの長さにわたって、前記回転式霧化器(1)の前記回転軸(3)に沿って軸方向に延びており、および/または、
f)前記管遮蔽体(9)は、遠位方向に、特に円錐状に先細になっており、および/または、
g)前記管遮蔽体(9)はスリーブ形状であり、および/または、
h)前記電極組立体(6)が前記回転式霧化器(1)に交換可能に取り付けられる、
ことを特徴とする、
請求項1から6の何れか一項に記載の電極組立体(6)。
【請求項8】
a)装着状態の前記管遮蔽体(9)は、その外面に、高電圧電位にある前記帯電電極(7)と接地された前記ベルカップ(2)との間に電気的沿面距離を形成し、
b)前記管遮蔽体(9)の外面は、沿面距離を延長するための、特に外面の波形またはラビリンスとして形成される沿面距離延長部(19)を有する、
ことを特徴とする、
請求項1から7の何れか一項に記載の電極組立体(6)。
【請求項9】
前記回転式霧化器(1)の前記管(5)が好ましくは、
a)回転対称であり、
b)円形の断面を有し、および/または、
c)その遠位端に向かって、特に円錐状に先細になっている、
ことを特徴とする、
請求項1から8の何れか一項に記載の電極組立体(6)を備える回転式霧化器。
【請求項10】
請求項9に記載の回転式霧化器(1)を洗浄装置(12)で洗浄するための洗浄方法であって、
a)前記回転式霧化器(1)を前記洗浄装置(12)に挿入口(13)から挿入するステップ、
b)前記回転式霧化器が前記洗浄装置(12)に挿入されている間、シール(14;18)によって前記挿入口(13)を封止するステップ、
c)前記洗浄装置(12)内で前記回転式霧化器(1)を、特に洗浄剤または洗浄混合物を前記回転式霧化器(1)に噴霧し、および/または前記洗浄装置(12)内で前記回転式霧化器(1)をブラッシングすることにより、洗浄するステップ、
を含む、
洗浄方法。
【請求項11】
前記回転式霧化器(1)の挿入後の前記洗浄装置(12)の前記挿入口(13)の封止が、前記回転式霧化器(1)の前記電極組立体(6)の前記管遮蔽体(9)の外側に留まるシールリング(18)によって実現するステップ、
を特徴とする、
請求項10に記載の洗浄方法。
【請求項12】
a)洗浄プロセス中の封止状態における前記洗浄装置(12)の前記シールリング(18)が、前記管遮蔽体(9)の前記シールリング(11)から前記回転式霧化器(1)の前記回転軸(3)に対して軸方向にオフセットして、特に前記管遮蔽体(9)のシールリングの前方に近接して配置されるステップ、または、
b)前記洗浄装置(12)の前記シールリング(18)と前記管遮蔽体(9)の前記シールリング(11)とが、前記回転式霧化器(1)の前記回転軸(3)に対する洗浄プロセスの間、封止状態で軸方向に合致して一方が他方の上にあるステップ、
を特徴とする、
請求項11に記載の洗浄方法。
【請求項13】
前記回転式霧化器(1)挿入後の前記洗浄装置(12)の前記挿入口(13)の封止は、特にブラストエアリング(14)を用いて非接触で行われるステップ、
を特徴とする、
請求項10に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式霧化器における塗料を静電的に外部帯電させるための電極組立体に関する。本発明はさらに、本発明による電極組立体を備えた回転式霧化器を含んでいる。さらに、本発明は、その操作方法も含んでいる。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の回転式霧化器1を示しており、この回転式霧化器1は、例えば、塗装設備において自動車の車体部品を塗装するためのモーターとして使用することができ、この目的のために、回転軸3を中心に回転可能なベルカップ2を有している。回転式霧化器1は、図面の左側に位置するその末端部において、従来技術から知られているように、塗装用ロボットの取付フランジに取り付けることができる角度の付いた霧化器ハウジング4を有している。回転式霧化器1は、その遠位端に、ベルカップ2の回転軸3に沿って、ベルカップ2に向かって先細りになる回転対称の管5を有する。塗布効率を高め、厄介なオーバースプレーを減らすために、この場合、塗布された塗料は静電的に帯電される。このために、従来技術で知られているように、取付リング8から斜め外向きに突出し、塗布された塗料を静電的に帯電させる、複数の指状の帯電電極7を有する電極組立体6が使用される。取付リング8は、回転式霧化器1への電極組立体6の交換可能な取り付けのために使用される。このため、取付リング8は、回転式霧化器1の管5に配置され、図面に示す位置で回転式霧化器1に固定される。取付リング8は、管5をほとんど自由な状態にする。このため、塗装中に発生するオーバースプレーが、回転式霧化器1の管5に付着する可能性がある。したがって、付着したオーバースプレーを除去するために、回転式霧化器の管5を定期的に洗浄する必要がある。この管5の洗浄には時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、回転式霧化器の管の汚れの問題をできるだけ簡単に解決するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、主請求項による電極組立体によって解決される。
【0005】
本発明による電極組立体は、好ましくは回転式霧化器の回転軸と同軸にベルカップに向かって延びる前側管を有する霧化器筐体を有する回転式霧化器における塗料の静電外部帯電のために使用される。
【0006】
従来技術に従って、本発明による電極組立体はまた、本発明による電極組立体を回転式霧化器に取り付けるために使用される取付リングを有する。この目的のために、電極組立体の取付リングは、回転式霧化器の霧化器筐体、好ましくは回転式霧化器の管に配置される。
【0007】
また、本発明による電極組立体において、少なくとも1つの帯電電極が配置され、この帯電電極は、回転式霧化器によって噴霧された塗料の静電外部帯電のために機能し、少なくとも1つの帯電電極は、好ましくは電極組立体から、例えば取付リングから突き出ている。好ましい実施形態では、ここでは、複数の指状の帯電電極が設けられ、これらは、好ましくは、取付リングの円周上に等間隔に分散して配置される。例えば、3つ、4つ、6つまたは8つの帯電電極を、円周上に分散して配置することができる。
【0008】
本発明による電極組立体は、ここでは、取付リングの端面から突き出して取り付けられた状態において、回転式霧化器の管の少なくとも一部をその外側においてオーバースプレーから遮蔽するために、回転式霧化器の回転軸に沿って回転式霧化器の管まで延びる管遮蔽体によって特徴付けられる。このように、管遮蔽体は、塗装中に発生するオーバースプレーによる汚れから管の被覆部分を保護するため、管の被覆部分を洗浄する必要がない。むしろ、オーバースプレーで汚された電極組立体を、きれいな電極組立体と交換すれば十分である。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態において、回転式霧化器の管は、洗浄装置を使用する自動洗浄プロセスにおいて、洗浄装置内に位置し、それゆえに洗浄装置によって洗浄され得る、遠位洗浄領域を有する。さらに好ましい実施の形態において、回転式霧化器の管は、遠位洗浄領域に隣接する近位残留領域を有し、近位残留領域は、洗浄装置の洗浄プロセス中、洗浄装置の外側にあり、それゆえに洗浄装置によって洗浄されない。好ましい実施の形態では、管遮蔽体は、管の近位残留領域を少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆う。近位残留領域は洗浄装置で洗浄できないため、管遮蔽体によってオーバースプレーによる汚れから防御されるべきであるため、管の近位残留領域を完全に覆うことがここでは有利である。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、管遮蔽体は、その遠位端に管遮蔽体と回転式霧化器の管との間の環状ギャップを密閉するシールを有する。これは、塗装中にオーバースプレーが管遮蔽体と回転式霧化器の管との間の環状ギャップに入り込み、この領域における管の汚れにつながるのを防ぐのに有利である。
【0011】
管遮蔽体と回転式霧化器の管との間のこのシールは、好ましくは、管の外側に載るシールリップをその遠位端に有することができるシールリングによって実現される。シールリングは、例えば、管遮蔽体の端面の環状溝に挿入することができる。
【0012】
管遮蔽体は、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの電気絶縁材料で作られている。
【0013】
本発明の1つの変形例では、管遮蔽体は、電極組立体の取付リングに一体成形されており、したがって電極組立体の取付リングと同じ材料で構成されている。しかし、本発明の別の変形例では、管遮蔽体は、電極組立体の取付リングに取り付けられる独立した部品であり、任意に取付リングとは異なる材料で構成される。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態では、管遮蔽体は、回転式霧化器の管の外輪郭と原則として相補的な形状の内輪郭を有し、そのため、管遮蔽体は、取り付けられたときに、管に対して完全に嵌合するか、回転式霧化器の管の外輪郭と環状ギャップを囲む。回転式霧化器の外管が円錐形の場合、管遮蔽体の内輪郭も円錐形であることが好ましい。
【0015】
一方の回転式霧化器の管の外輪郭と他方の管遮蔽体の内輪郭との間の、前述の環状方向の環状ギャップは、好ましくは、管遮蔽体の軸方向の長さにわたって基本的に一定である半径方向のキャップ幅を有する。これは、好ましくは、管遮蔽体の軸方向全長にわたって半径方向に測定されたギャップ幅が、±30%、±20%、±10%または±5%未満の偏差を有することを意味する。
【0016】
また、一方の回転式霧化器の管の外輪郭と他方の管遮蔽体の内輪郭との間の環状ギャップは、電気絶縁媒体(例えば、ワセリン)で充填することができることにも言及すべきである。
【0017】
管遮蔽体に関しては、一般的に、管遮蔽体は、好ましくは実質的に回転対称の形状であり、オーバースプレーによる汚れから管のできるだけ大きな部分を防御するために、回転式霧化器の回転軸に沿った軸方向の長さが、少なくとも3cm、5cm、7cm、9cm、11cmまたは13cmの長さを有することができることが言及されるべきである。ここで、管遮蔽体は、好ましくは、遠位方向に、例えば円錐状に先細になっている。一般的に、管遮蔽体は、好ましくはスリーブ状に管を取り囲むことも言及されるべきである。電極組立体に関しては、一般的に、これが好ましくは回転式霧化器に交換可能に取り付けられることも言及されるべきである。
【0018】
塗装中、一方では高電圧電位にある近接配置された充電電極と、他方では電気的に接地されたベルカップとの間に、管遮蔽体に沿って電気的沿面経路が形成される。この沿面距離は、回転式霧化器の必要な長さを延長させることなく、可能な限り長くする必要がある。従って、管遮蔽体の外面は、好ましくは、帯電電極とベルカップとの間の電気的沿面距離を延長するための、特に外面の波形またはラビリンスとして形成される沿面距離延長部を有する。
【0019】
さらに、本発明は、上述した本発明による電極組立体の保護のみを主張するものではないことに言及すべきである。むしろ、本発明は、本発明によるこのような電極組立体を備えた回転式霧化器の保護も主張する。
【0020】
最後に、本発明は、このような回転式霧化器を洗浄するための洗浄方法の保護も主張する。従って、本発明による洗浄方法は、まず、回転式霧化器を挿入口から洗浄装置に挿入することを提供する。その後、本発明による洗浄方法は、挿入口がシールによって封止されることを提供する。次のステップでは、回転式霧化器が洗浄装置内で、例えば、洗浄剤または洗浄混合物を回転式霧化器に噴霧することによって、および/または、洗浄装置内で回転式霧化器をブラシ洗浄することによって、洗浄されることを提供する。
【0021】
回転式霧化器の挿入後の洗浄装置の挿入口の封止は、例えば、回転式霧化器の電極組立体の管遮蔽体の外側に留まるシールリング、または管遮蔽体のシールリングまたは管遮蔽体のシールリップによって実現することができる。
【0022】
本発明の一変形例では、洗浄装置のこのシールリングは、管遮蔽体のシールリングの上に軸方向に位置する。その結果、洗浄装置のシールリングは、管遮蔽体を外側から軸方向に押圧し、管遮蔽体のシールリングの半径方向の接触圧力を増加させる。
【0023】
一方、本発明の別の変形例では、洗浄装置のシールリングは、密閉状態で管遮蔽体のシールリングから軸方向にオフセットされており、これも可能である。
【0024】
管のリングの挿入口の前述のシールは、例えば、接触シール(例えば、シールリング)またはブラストエアリングのような非接触シールで達成することができる。
【0025】
本発明の他の優位なさらなる実施の形態は従属請求項に示されるか、または図を参照した本発明の好ましい実施の形態の説明と共に、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、外部静電帯電のための従来の電極組立体を備えた従来の回転式霧化器の側面図である。
図2図2は、洗浄装置における洗浄プロセス中の、本発明による電極組立体を有する本発明による回転式霧化器を示す断面図である。
図3A図3Aは、図2の変形例である。
図3B図3Bは、洗浄装置のシールリングの領域における図3Aの拡大詳細図である。
図4図4は、沿面距離を延長した図2図3Aおよび図3Bの変形例を示している。
図5図5は、本発明による洗浄方法を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、図2に示す本発明による実施の形態について説明するが、この実施の形態は、冒頭で説明した従来の回転式霧化器1に概ね対応するものであるため、繰り返しを避けるために上記の説明を参照することとし、これにより、対応する詳細部分については同じ参照符号を使用する。
【0028】
本実施の形態の特別な特徴は、電極組立体6の取付リング8上に管遮蔽体9が形成されていることであり、この管遮蔽体9は、電極組立体6の取付リング8から遠位側に突出し、回転式霧化器1の管5を覆い、それによってオーバースプレーによる汚れから保護する。
【0029】
ここで、管遮蔽体9の内輪郭は管5の外輪郭に相補的に適合しており、管遮蔽体9は管5との環状ギャップ10を取り囲み、そのギャップ幅はベルカップ2の回転軸3に沿って実質的に一定であることを述べておく。外側の管遮蔽体9と内側の管5との間の環状ギャップ10は、絶縁媒体(例えばワセリン)で満たされている。
【0030】
その遠位端において、スリーブ形状の管遮蔽体9は、前部に円周状の環状溝を有し、その中にシールリング11が挿入され、その遠位に突出したシールリップと共に管5の外面に留まりシールを形成する。
【0031】
図面は、洗浄装置12内の洗浄位置にある回転式霧化器1を示している。回転式霧化器1は、洗浄装置12の上部にある挿入口13に挿入される。
【0032】
管遮蔽体9の外郭と洗浄装置12の挿入口13の周縁との間には、環状ギャップが形成され、この環状ギャップはブラストエアリング14によって封止されている。
【0033】
洗浄装置12には、洗浄剤を管5に噴霧することによって、遠位洗浄領域16で回転式霧化器1の管5を洗浄する役割を果たす洗浄用ノズル15がある。この場合、遠位洗浄領域16は洗浄装置12内に位置するため、洗浄装置12内で洗浄することができる。遠位洗浄領域16に隣接して近位残留領域17があり、近位残留領域17は、洗浄プロセス中、洗浄装置12の外部にあるため、洗浄装置12内で洗浄することができない。管5を洗浄領域16と残留領域17に分割することは、管遮蔽体9にとって重要である。したがって、管遮蔽体9は、近位残留領域17内で回転式霧化器1の管5を完全に覆う。近位残留領域17内では、管5は管遮蔽体9によって覆われているため、それゆえにオーバースプレーによって管5が汚されることがないため、管5の清掃は必要ない。一方、遠位洗浄領域16は、洗浄装置12の内部で容易に洗浄できるため、管遮蔽体9で覆う必要はない。
【0034】
図3Aおよび図3Bは、図2による実施の形態の変更例を示しており、繰り返しを避けるために、上記の説明を参照し、それによって、対応する詳細部分には同じ参照符号が使用されている。
【0035】
この実施の形態の特別な特徴は、洗浄装置12の挿入口13の封止が、図2におけるブラストエアリング14ではなく、管遮蔽体9のシールリング11に接触して留まり、それによりシールリング11のシールリップを管5の外面に対して半径方向に押圧するシールリング18によって行われることである。
【0036】
図4は、図2図3Aおよび図3Bによる上述の実施形態のさらなる変形例を示す。ここでは、追加の波形の沿面距離延長部19が概略的に示されており、この沿面距離延長部19は、帯電電極7と電気的に接地されたベルカップ2との間の電気的沿面距離を、管5の外面に沿って延長する。図面では、沿面距離延長部19は、波形として示されている。しかし、沿面距離延長部19をラビリンスとして形成することも可能である。
【0037】
図5は、本発明による洗浄方法を説明するためのフロー図である。
【0038】
第1のステップS1において、塗装ロボットが挿入口13を通じて回転式霧化器1を洗浄装置12に挿入する。
【0039】
第2のステップS2において、洗浄装置12の挿入口13は、任意に、図2に示すようにブレストエアリング14によって、または図3A図3Bに示すようにシールリング18によって、封止される。
【0040】
次のステップS3において、回転式霧化器1に洗浄剤または洗浄混合物を噴霧することにより、洗浄装置12内で回転式霧化器1を洗浄する。
【0041】
さらなるステップS4において、回転式霧化器1は、例えば圧縮空気で吹き付けることによって、洗浄装置12内で乾燥させられる。
【0042】
最後のステップS5において、回転式霧化器1を再び洗浄装置12から引き出す。
【0043】
本発明は、上述の好ましい実施の形態に限定されるものではない。むしろ、本発明は、本発明思想を利用し、それにより保護範囲に属する多数の変形例および変更例も包含する。特に、本発明は、各場合に参照される特許請求の範囲から独立して、特に、主請求項の特徴なしでも、従属請求項の主題および特徴の保護も請求する。したがって、本発明は、互いに独立して保護を享受する本発明の様々な態様からなる。
【0044】
(付記)
(付記1)
回転式霧化器における塗料の静電外部帯電のための電極組立体(6)であって、前記電極組立体(6)は端面に管(5)を有する霧化器ハウジング(4)を有し、前記管(5)は、好ましくは、ベルカップ(2)に向かって前記回転式霧化器(1)の回転軸(3)と同軸に延び、
a)前記回転式霧化器(1)の前記霧化器ハウジング(4)に前記電極組立体(6)を取り付けるための取付リング(8)と、
b)前記回転式霧化器によって噴霧された塗料の静電外部帯電のための少なくとも1つの帯電電極(7)であって、好ましくは前記電極組立体(6)から突出している少なくとも1つの前記帯電電極(7)と、
を備え、
c)前記取付リング(8)の端面から突出し、前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の外側に前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の少なくとも一部をオーバースプレーから遮蔽するために、前記回転式霧化器(1)の前記回転軸(3)に沿って取り付けられた状態で、前記回転式霧化器(1)の前記管(5)まで延びる封止された管遮蔽体(9)、
によって特徴付けられる、
電極組立体(6)。
【0045】
(付記2)
a)前記回転式霧化器(1)の前記管(5)は、洗浄装置(12)による自動洗浄プロセスにおいて、前記洗浄装置(12)内に位置し、それゆえに前記洗浄装置(12)によって洗浄し得る遠位洗浄領域(16)を有し、
b)前記回転式霧化器(1)の前記管(5)は、前記洗浄装置(12)による洗浄プロセス中に、前記洗浄装置(12)の外側に位置し、それにより前記洗浄装置(12)よって洗浄することができない近位残留領域(17)を有し、
c)前記管遮蔽体(9)は、前記管(5)の前記近位残留領域(17)を少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆う、
ことを特徴とする、
付記1に記載の電極組立体(6)。
【0046】
(付記3)
前記管遮蔽体(9)と前記回転式霧化器(1)の前記管(5)との間の環状ギャップ(10)を封止するために、前記管遮蔽体(9)がその遠位端にシール(11)を有する、
ことを特徴とする、
付記1または2に記載の電極組立体(6)。
【0047】
(付記4)
前記シール(11)は、シールリング(11)を有する、
ことを特徴とする、
付記3に記載の電極組立体(6)。
【0048】
(付記5)
前記管遮蔽体(9)は電気絶縁材料、特にポリテトラフルオロエチレンで構成する、
ことを特徴とする、
付記1から4の何れか一つに記載の電極組立体(6)。
【0049】
(付記6)
a)前記管遮蔽体(9)は、前記電極組立体(6)の前記取付リング(8)に一体的に形成され、前記取付リング(8)と同じ材料から構成され、または、
b)前記管遮蔽体(9)は、前記電極組立体(6)の前記取付リング(8)に固定される独立した部品であり、任意で前記取付リング(8)とは異なる材料から構成される、
ことを特徴とする、
付記1から5の何れか一つに記載の電極組立体(6)。
【0050】
(付記7)
a)前記管遮蔽体(9)は、前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の外輪郭と原則として相補的に整形された内輪郭を有し、組み立てられた状態において、前記管遮蔽体(9)が前記管(5)に対して完全に嵌合し、または前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の外輪郭と円周方向に環状ギャップを囲み、および/または、
b)前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の外輪郭と前記管遮蔽体(9)との間の環状の円周方向の前記環状ギャップ(10)が、基本的に一定のギャップ幅を有し、前記管遮蔽体(9)の軸方向の長さにわたる環状ギャップ(10)のギャップ幅が、好ましくは、±30%、±20%、±10%または±5%未満の偏差を有し、および/または、
c)前記回転式霧化器(1)の前記管(5)の外輪郭と前記管遮蔽体(9)との間の前記環状ギャップ(10)は、電気絶縁媒体、特にワセリンで充填されており、および/または、
d)前記管遮蔽体(9)が、実質的に回転対称に成形されており、および/または、
e)前記管遮蔽体(9)が少なくとも3cm、5cm、7cm、9cm、11cmまたは13cmの長さにわたって、前記回転式霧化器(1)の前記回転軸(3)に沿って軸方向に延びており、および/または、
f)前記管遮蔽体(9)は、遠位方向に、特に円錐状に先細になっており、および/または、
g)前記管遮蔽体(9)はスリーブ形状であり、および/または、
h)前記電極組立体(6)が前記回転式霧化器(1)に交換可能に取り付けられる、
ことを特徴とする、
付記1から6の何れか一つに記載の電極組立体(6)。
【0051】
(付記8)
a)装着状態の前記管遮蔽体(9)は、その外面に、高電圧電位にある前記帯電電極(7)と接地された前記ベルカップ(2)との間に電気的沿面距離を形成し、
b)前記管遮蔽体(9)の外面は、沿面距離を延長するための、特に外面の波形またはラビリンスとして形成される沿面距離延長部(19)を有する、
ことを特徴とする、
付記1から7の何れか一つに記載の電極組立体(6)。
【0052】
(付記9)
前記回転式霧化器(1)の前記管(5)が好ましくは、
a)回転対称であり、
b)円形の断面を有し、および/または、
c)その遠位端に向かって、特に円錐状に先細になっている、
ことを特徴とする、
付記1から8の何れか一つに記載の電極組立体(6)を備える回転式霧化器。
【0053】
(付記10)
付記9に記載の回転式霧化器(1)を洗浄装置(12)で洗浄するための洗浄方法であって、
a)前記回転式霧化器(1)を前記洗浄装置(12)に挿入口(13)から挿入するステップ、
b)前記回転式霧化器が前記洗浄装置(12)に挿入されている間、シール(14;18)によって前記挿入口(13)を封止するステップ、
c)前記洗浄装置(12)内で前記回転式霧化器(1)を、特に洗浄剤または洗浄混合物を前記回転式霧化器(1)に噴霧し、および/または前記洗浄装置(12)内で前記回転式霧化器(1)をブラッシングすることにより、洗浄するステップ、
を含む、
洗浄方法。
【0054】
(付記11)
前記回転式霧化器(1)の挿入後の前記洗浄装置(12)の前記挿入口(13)の封止が、前記回転式霧化器(1)の前記電極組立体(6)の前記管遮蔽体(9)の外側に留まるシールリング(18)によって実現するステップ、
を特徴とする、
付記10に記載の洗浄方法。
【0055】
(付記12)
a)洗浄プロセス中の封止状態における前記洗浄装置(12)の前記シールリング(18)が、前記管遮蔽体(9)の前記シールリング(11)から前記回転式霧化器(1)の前記回転軸(3)に対して軸方向にオフセットして、特に前記管遮蔽体(9)のシールリングの前方に近接して配置されるステップ、または、
b)前記洗浄装置(12)の前記シールリング(18)と前記管遮蔽体(9)の前記シールリング(11)とが、前記回転式霧化器(1)の前記回転軸(3)に対する洗浄プロセスの間、封止状態で軸方向に合致して一方が他方の上にあるステップ、
を特徴とする、
付記11に記載の洗浄方法。
【0056】
(付記13)
前記回転式霧化器(1)挿入後の前記洗浄装置(12)の前記挿入口(13)の封止は、特にブラストエアリング(14)を用いて非接触で行われるステップ、
を特徴とする、
付記10に記載の洗浄方法。
【符号の説明】
【0057】
1 回転式霧化器
2 ベルカップ
3 ベルカップの回転軸
4 霧化器ハウジング
5 霧化器ハウジングの管
6 吹きつける塗料の静電外部帯電のための電極組立体
7 電極組立体の帯電電極
8 電極組立体の取付リング
9 電極組立体の管遮蔽体
10 管遮蔽体と管との間の環状ギャップ
11 電極組立体の管遮蔽体のシールリング
12 洗浄装置
13 洗浄装置の挿入口
14 洗浄装置の挿入口におけるブラストエアリング
15 回転式霧化器を洗浄するための洗浄用ノズル
16 洗浄装置で洗浄可能な管の洗浄領域
17 自動洗浄できない管の残留領域
18 洗浄装置の挿入口におけるシールリング
19 波形の沿面距離延長部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】