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特表2024-531614水分バリア機能及び酸素バリア機能を有するカプセル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】水分バリア機能及び酸素バリア機能を有するカプセル
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240822BHJP
   A47J 31/06 20060101ALI20240822BHJP
   B65D 85/72 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B65D65/40 D
A47J31/06 320
B65D85/72 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515111
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2022074276
(87)【国際公開番号】W WO2023041331
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】21196477.0
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ハイデル, クリストフ セバスチャン ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヨーキム, アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】タロン, クリスティアン
【テーマコード(参考)】
3E035
3E086
4B104
【Fターム(参考)】
3E035AA03
3E035BA05
3E035BC01
3E035BC02
3E035BD02
3E035CA04
3E086AB01
3E086AD06
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB05
3E086BB51
3E086CA11
3E086DA08
4B104AA19
4B104AA20
4B104BA35
4B104BA44
4B104EA38
4B104EA39
(57)【要約】
本発明は、飲料調製マシンにおいて飲料を調製するためのカプセル(100)に関する。カプセルは、側壁(111)及び底壁(120)を有するカプセル本体(110)を備える。側壁と底壁とは、飲料を調製するために用いられる物質のためのチャンバ(150)を境界画定する。チャンバは、チャンバに関して底壁とは反対側に開口部(151)を有する。側壁及び/又は底壁は、水分バリア機能及び酸素バリア機能を有する堆肥化可能な多層シート材料(200)から作製される。シート材料は、成形可能なセルロース系材料で作製された一次シート層(210)を備える。シート材料は、水分バリア機能のための水分バリア層(221)を少なくとも備える1つ以上の二次層(220)を更に備える。本発明はまた、当該カプセルを製造するための方法に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調製マシンにおいて飲料を調製するためのカプセル(100)であって、前記カプセル(100)が、前記飲料を調製するための物質を収容するためのチャンバ(150)を境界画定する側壁(111)及び底壁(120)を有するカプセル本体(110)を備え、前記チャンバ(150)が、前記チャンバ(150)に関して前記底壁(120)とは反対側に開口部(151)を有し、前記側壁(111)及び/又は前記底壁(120)が、水分バリア機能及び酸素バリア機能を有する堆肥化可能な多層シート材料(200)から作製され、前記シート材料(200)が、
成形可能なセルロース系材料で作製された一次シート層(210)と、
前記水分バリア機能を提供する水分バリア層(221)を少なくとも備える1つ以上の二次層(220)と、
を備える、カプセル(100)。
【請求項2】
前記一次シート層(210)が、クラフト紙などの紙系材料で作製され、好ましくは、前記一次シート層(210)が、100g/m~400g/m、より好ましくは100g/m~224g/m、更により好ましくは100g/m~130g/mの坪量を有し、及び/又は、好ましくは、前記一次シート層(210)が、その破断点において少なくとも2%、好ましくは2%~20%、より好ましくは5%~10%の伸び率を有するように構成される、請求項1に記載のカプセル(100)。
【請求項3】
前記水分バリア層(221)が、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナノセルロース、マイクロセルロース、窒化ケイ素、酸化ケイ素、アルミニウム、及び/又は酸化アルミニウムを含み、好ましくは、前記水分バリア層(221)が、ラミネート、吹き付け、ラッカー加工、プラズマコーティングによって、又は、例えば物理蒸着プロセスにおけるメタライゼーションによって設けられ、好ましくは、前記水分バリア層(221)が、前記一次シート層(210)に直接適用される、請求項1又は2に記載のカプセル(100)。
【請求項4】
前記一次シート層(210)が前記酸素バリア機能を備え、好ましくは、前記酸素バリア機能が、前記一次シート層(210)の前記セルロース系材料によって、例えば、その組成又は緻密度によって、あるいは、前記セルロース系材料を化学的プロセスにおいて、例えば酸を使用して、及び/又は、機械的プロセス、例えばカレンダー加工プロセスにおいて処理することによって、提供される、請求項1~3のいずれか一項に記載のカプセル(100)。
【請求項5】
前記二次層(220)が、好ましくは前記水分バリア層(221)に関して前記一次シート層(210)とは反対側に設けられる、前記酸素バリア機能を提供するための酸素バリア層(222)を備え、好ましくは、前記酸素バリア層(222)が、ポリビニルアルコール(PVOH)又はブテンジオールビニルアルコールコポリマー(BVOH)で作製され、好ましくは、前記酸素バリア層(222)が、コーティング又はフィルムとして、好ましくはラミネート、吹き付け、ラッカー加工、プラズマコーティング又はメタライゼーションプロセスで設けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載のカプセル(100)。
【請求項6】
前記二次層(220)が、好ましくは前記酸素バリア層(222)をマスクするための、少なくとも1つのマスク層(223)を備え、好ましくは、前記マスク層(223)が、好ましくは堆肥化可能なプラスチック材料、例えばポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)又はポリ乳酸(PLA)で作製され、好ましくは、前記酸素バリア層(222)が、2つのマスク層(223)の間に挟まれている、請求項1~5のいずれか一項に記載のカプセル(100)。
【請求項7】
前記一次シート層(210)又は前記二次層(220)が少なくとも1つのベース層(224)を備え、前記ベース層(224)が、前記ベース層(224)が適用される前記シート材料(200)の別の層と比較して、低減された孔径、透気度及び/又は表面粗さを提供するように構成され、好ましくは、前記ベース層(224)が、前記水分バリア層(221)及び/又は存在する場合には前記マスク層(223)に直接適用され、並びに/あるいは、好ましくは、前記水分バリア層(221)が、2つのベース層(224)の間に挟まれている、請求項1~6のいずれか一項に記載のカプセル(100)。
【請求項8】
前記ベース層(224)が、
前記一次シート層(210)の前記セルロース系材料によって、例えば、前記セルロース系材料を化学的プロセスにおいて、例えば酸を使用して、及び/又は、機械的プロセス、例えばカレンダー加工プロセスにおいて処理することによって、あるいは、
好ましくは堆肥化可能なプラスチック材料又はフィルム、例えばポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)又は再生セルロースとして、
設けられる、請求項7に記載のカプセル(100)。
【請求項9】
前記カプセル本体(110)の外面及び/又は前記チャンバ(150)が、前記一次シート層(210)又は前記二次層(220)によって、好ましくは存在する場合には前記マスク層(223)によって境界画定される、請求項1~8のいずれか一項に記載のカプセル(100)。
【請求項10】
前記底壁(120)が前記側壁(111)とは別個であり、及び/又は
前記カプセル本体(110)が、前記開口部(151)から離れるように横方向に突出するリム部分(114)を前記開口部(151)に備え、前記リム部分(114)が、好ましくは前記側壁(111)と一体的に設けられる、
請求項1~9のいずれか一項に記載のカプセル(100)。
【請求項11】
前記側壁(111)が、例えばヒートシール又は折り曲げによって前記底壁(120)を前記側壁(111)に取り付けるための取り付け部分(117)を備え、前記取り付け部分(117)が、前記チャンバ(150)に関して前記開口部(151)とは反対側にある前記側壁(111)の長手方向端部部分(118)に設けられる、請求項1~10のいずれか一項に記載のカプセル(100)。
【請求項12】
前記底壁(120)が、前記チャンバ(150)に関して前記開口部(151)とは反対側の前記側壁(111)の長手方向端部部分(118)と面一である、又は、前記側壁(111)の長手方向端部部分(118)が、前記底壁(120)から前記開口部(151)とは反対の方向に突出する、請求項1~11のいずれか一項に記載のカプセル(100)。
【請求項13】
前記側壁(111)が、前記シート材料(200)の相反する側にある端部部分(201、202)を、
前記端部部分(201、202)を重ね合わせ、前記端部部分(201、202)のうちの一方に別個のストリップ(300)を取り付け、前記ストリップを前記一方の端部部分の前面(211、212)に折り返すこと、又は
前記端部部分(201、202)をそれぞれの前面(211、212)で突き合わせ、突き合わされている前記前面(211、212)にわたって前記ストリップ(300)を延ばすように、前記チャンバ(150)に関して同じ側で前記端部部分(201、202)の各々に別個のストリップ(300)を取り付けること、
によって、互いに固定することによって形成される、請求項1~12のいずれか一項に記載のカプセル(100)。
【請求項14】
飲料調製マシンにおいて飲料を調製するためのカプセル(100)を製造するための方法であって、前記カプセル(100)が、前記飲料を調製するための物質を収容するためのチャンバ(150)を境界画定する側壁(111)及び底壁(120)を有するカプセル本体(110)を備え、前記チャンバ(150)が、前記チャンバ(150)に関して前記底壁(120)とは反対側に開口部(151)を有し、前記方法が、
水分バリア機能及び酸素バリア機能を有する堆肥化可能な多層シート材料(200)を用意するステップであって、前記シート材料(200)が、
成形可能なセルロース系材料で作製された一次シート層(210)と、
前記水分バリア機能を提供するための水分バリア層(221)を少なくとも備える1つ以上の二次層(220)と、
を備える、用意するステップと、
前記カプセル本体(110)の前記側壁(111)及び/又は前記底壁(120)を形成するように、前記シート材料(200)を形成するステップと、
前記底壁(120)及び前記側壁(111)が、前記チャンバ(150)を取り囲む前記カプセル本体(110)を形成するように、前記底壁(120)を前記側壁(111)に取り付けるステップと、
前記開口部(151)を通して、前記飲料を調製するための物質を前記チャンバ(150)に充填するステップと、
前記チャンバ(150)を閉鎖するように膜(400)を用いて前記開口部(151)を封止するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記シート材料(200)を形成する前記ステップにおいて、前記シート材料(200)が、前記二次層(220)が前記カプセル本体(110)の外部を形成するように、又は前記チャンバ(150)の内部を向くように曲げられる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料調製マシンにおいて飲料を調製するためのカプセルに関する。本発明はまた、当該カプセルを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において、カプセル又はポッドなど、使い捨て飲料容器が知られている。これらの飲料容器は、一般に、コーヒー、茶又はホットチョコレートのような飲料を一杯ごとに注出するための飲料調製マシンに使用され、新鮮な味、風味の可変性、及び飲料調製の利便性に起因して人気を博している。
【0003】
通常、飲料容器は、飲料成分を封入し、飲料調製マシンの容器受容器(例えば、カプセルホルダ)に挿入される。容器受容器は閉じられ、飲料調製が開始される。熱水又はミルクなどの流体が飲料容器に注入されて、飲料容器内の飲料成分と相互作用して、所望の飲料を製造する。十分な量の流体が飲料容器を満たすと、飲料容器は、飲料容器内で上昇した流体の圧力を受けて開き、調製された飲料を放出する。このような飲料調製は、ユーザが自分の好みの飲料を決定し、所望の風味の飲料容器をマシンに入れ、飲料調製プロセスを開始させ、直ぐに飲料を消費することができるので、便利である。
【0004】
従来技術では、そのような飲料容器は、通常、プラスチック及び/又はアルミニウムで作製される。そのような飲料容器が1回だけ使用されるように構成されていることを考慮すると、そのような材料の再利用及びリサイクルは困難なので、飲料容器の処分は管理されなければならない。したがって、これらの材料を、処分及び/又はリサイクルに伴う既存の問題を克服する代替材料で置き換える試みがなされている。
【0005】
飲料容器にセルロースを使用することによって、使用後の飲料容器の処分に関する問題を克服することができる。なぜなら、セルロースは堆肥化可能であり、飲料調製プロセスにおいて必要とされる剛性を容器に提供するのに十分な材料強度を有するからである。しかしながら、従来技術で使用される前述の材料とは異なり、セルロースは本質的には、酸素バリア性又は水分バリア性を有しない。一般に、酸素バリア性及び/又は水分バリア性は、飲料容器の内部の成分を劣化から保護し、成分の風味を保持するために必要である。したがって、酸素バリア性及び水分バリア性は、飲料容器の貯蔵寿命にとって重要である。したがって、バリア特性を有するセルロース系飲料容器が必要とされている。
【0006】
一般に、セルロース系の本体にプラスチックフィルムを、例えばラミネートすることによって、設けることが知られている。残念ながら、バイオポリマーのようなほとんどの堆肥化可能な材料は、2つの必要とされるバリア特性の一方のみ、又は他方のみを有する。例えば、堆肥化可能な材料が食品包装用途に必要とされる酸素バリア特性を有する場合、典型的には、比較的低い水分バリア特性を呈し、逆もまた同様である。バリア性能を改善するために異なる複数の堆肥化可能な材料を単に組み合わせる手法は、食品包装には不十分であることが証明された。また、それぞれのバリア特性を有する材料間の接着は、複雑な製造プロセスなしに達成することが困難であり、そのことによりそのような材料の組み合わせは非実用的なものになる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、酸素バリア性及び水分バリア性を有する、カプセル又はポッドなどの堆肥化可能な飲料容器を提供することである。更に、本発明の目的は、そのような飲料容器の製造を容易にする方法を提供することである。ここで、本発明の特定の目的は、貯蔵寿命が長くなった堆肥化可能な飲料容器の製造を改善することである。
【0008】
説明を読むことで明らかとなるこれらの目的及び他の目的は、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態に言及する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様は、飲料調製マシンにおいて飲料を調製するためのカプセルに関する。カプセルは、側壁及び底壁を有するカプセル本体を備える。側壁及び底壁は、チャンバを境界画定する。チャンバは、飲料を調製するための物質を収容するのに好適である。チャンバは、チャンバに関して底壁とは反対側に開口部を有する。側壁、底壁、あるいは、側壁及び底壁は、堆肥化可能な多層シート材料から作製される。シート材料は、水分バリア機能及び酸素バリア機能を有する。シート材料は、成形可能なセルロース系材料で作製された一次シート層を備える。シート材料は、水分バリア機能のための水分バリア層を少なくとも備える1つ以上の二次層を更に備える。
【0010】
換言すれば、飲料調製マシンにおいて飲料を調製するための物質のための受容器としてのカプセルを提供することができる。例えば、カプセルは、容器及び/又はポッドであり得る。カプセルは、区画、(中空の)空間及び/又はキャビティを(一緒に)取り囲む側壁及び底壁を有するカプセル本体を備える。したがって、カプセルは、チャンバ(及び/又はカプセル)の境界及び/又は輪郭を画定する三次元体を有し得る。三次元体は、(第1の)壁がカプセルの側部を形成し、別の(第2の及び/又は異なる)壁がカプセルの下部を形成し得る位置を有するように構成され得る。チャンバは、チャンバ(及び/又は側壁)に関して底壁とは反対側に開口部を有する。したがって、三次元体は、前述の位置において、開口部がカプセルの上部にあり得るように構成され得る。
【0011】
チャンバは、飲料を調製するための物質を収容し得る。物質とは、特定の又は明確な化学構造を有する、任意のタイプの(固体、液体、少なくとも部分的に可溶性及び/若しくは浸透性の)物質であり得る。飲料調製プロセス中にチャンバに流体を注入することは、湿潤、浸出、抽出、溶解、及び/又は飲料製品を製造する任意の他の種類の対応する相互作用など、物質と流体との間の任意の種類の化学反応及び/又は物理的反応を含み得る、流体と物質との相互作用をももたらし得る。
【0012】
側壁及び/又は底壁は、堆肥化可能な材料で作製される(からなる)。ここで、EU 13432又はUS ASTM D6400などの国際標準は、材料の生分解性及び堆肥化可能性を決定するための技術的要件及び手順を規定している。例えば、試験のうちの1つは、材料が「(工業的に)堆肥化可能」であるとみなされるためには、対象となる材料の少なくとも90%が、制御された条件下で6ヶ月以内に生物学的に分解されることを必要とする。また、家庭での堆肥化可能性を証明するための同様の試験スキームが存在する。
【0013】
側壁及び/又は底壁の材料は、複数の層(layers)、複数のプライ(plies)、複数のスラット(slats)、複数の段(tiers)又は複数の階層(strata)によって形成され得る構造(構成)を有し得る。好ましくは、複数の層は、それらの層によって被覆されたそれぞれの表面に対して垂直な方向で互いにスタックされ得る。更に、側壁及び/又は底壁は、シート材料で作製される。したがって、材料は、(それぞれの寸法に関して)比較的大きく、薄く、かつ平坦であり、好ましくは可撓性の(例えば、自重によって(弾性的に)変形し得る/曲がり得る)部品として設けられ(構成され)得る。
【0014】
シート材料は、水分バリア機能及び酸素バリア機能を備えており、すなわち、シート材料は、酸素などの気体が、また、流体(すなわち、液体物質及び/又はガス状物質)が、飲料容器の(キャビティ)内部に入る及び/又はそこから出るのを、好ましくは食品用途に好適な程度まで、防止又は阻止し得る構成を備え得る。当然ながら、積層構造体は、酸素以外の気体、例えば香味物質又は二酸化炭素に対するバリア機能を提供するように構成されてもよい。シート材料は、成形可能なセルロース系材料のものであり得る(からなり得る)一次シート層を備える。ここで、「形成可能(formable)」という用語は、例えば、好ましくは追加のツールのサポートの有無にかかわらず、並びに/あるいは、好ましくは熱及び/又は水の適用の有無にかかわらず、可鍛性である、柔軟である及び/又は成形可能である材料の特徴として理解され得る。シート材料は、水分バリアの機能を提供する少なくとも1つの層を有する追加の更なる層を更に備える。
【0015】
カプセル本体の(全ての)部分を形成するために成形可能である堆肥化可能なシート材料を使用することによって、水分バリア性及び酸素バリア性を有する堆肥化可能な材料からカプセルを提供することが可能である。なぜなら、シート材料をカプセル本体と同じ形状にする前に、それぞれの機能を提供する層をシート材料に適用することができるためである。それによって、必要とされるバリア機能を出発材料が既に含み、カプセルを形成した後に更なる処理が必要とされないので、カプセルの製造プロセスを著しく単純化することが可能である。結果として、三次元カプセル本体の幾何学的形状又は食品安全性の側面に起因する制約を考慮する必要なしに、それぞれの材料の個々のニーズにバリア適用プロセスを合わせることができるので、それぞれの材料間の接着も改善することができる。例えば、プラスチック材料の、セルロース本体及び/又は別のプラスチック材料への接着は、均一な圧力を印加することによって改善し得る。三次元体を用いてそのような条件を保証することは、シート材料と比較してより困難である。したがって、本発明を用いると、従来技術の飲料容器に関する上述の問題を克服することが可能である。
【0016】
好ましい実施形態によれば、シート材料は、5cc/(m・day)未満の酸素透過率(oxygen transmission rate、OTR)を有する酸素バリアを設ける酸素バリア機能を有し得る。好ましくは、OTRは、5・10-5~5・10-3cc/(m・day)の範囲であり得る。ここで、OTRは、規定された期間にわたって物質を通過する酸素ガスの量の尺度であり得る。例えば、OTRは、DIN53380-3、ASTM D1434又はISO2872などの工業規格において定められている既知の方法を使用して測定され得る。
【0017】
更に好ましい実施形態によれば、シート材料は、1g/m/日未満の水分透過率(moisture transmission rate、MTR)を有する水分バリアを設ける水分バリア機能を有し得る。好ましくは、MTRは、0.001~0.1g/m/日の範囲であり得る。ここで、MTRは、カプセルの壁を通る水分(例えば、水蒸気)の通過の尺度であり得る。例えば、MTRは、ASTM E96などの工業規格において指定されている既知の方法を使用して測定され得る。
【0018】
それによって、カプセルは、水分及び酸素に対する高いバリアを備えることができ、これは、食品包装に特に好適であり得る。加えて、シート材料は、気体及び水分のバリアとして作用するだけでなく、カプセルの印刷適性、UV耐性及び抗菌特性も提供し得る。
【0019】
好ましい実施形態によれば、一次シート層は紙系材料で作製され得る。例えば、一次シート層はクラフト紙であってもよい。ここで、クラフト紙は、「クラフトプロセス」で製造されたパルプからなる紙又は厚紙であり得る。クラフト紙及びその稠度は、当該技術分野において一般に知られている。クラフトプロセスにおいて、木材は、ほぼ純粋なセルロース繊維からなる木材パルプに変換される。
【0020】
それによって、他の紙シートと比較して高い引張強度、例えば100MPaを有する堆肥化可能な材料からカプセルを提供することが可能である。
【0021】
好ましくは、一次シート層は、100g/m~400g/m、より好ましくは100g/m~224g/m、更により好ましくは100g/m~130g/mの坪量を有し得る。代替的に又は追加的に、一次シート層は、破断点において、少なくとも2%、好ましくは2%~20%、より好ましくは5%~10%の伸び率を有するように構成され得る。代替的に又は追加的に、側壁及び/又は底壁は、(例えば、一次シート層材料の成形性に応じて)5%を超える、より好ましくは1%~5%の範囲内の(最大)ひずみ量を維持することを可能にする形状を有し得る。
【0022】
一次シート層のこの構成により、側壁及び/又は底壁へのシート材料の転換プロセス(例えば、形成、曲げ加工、又は成形)中に生じるひずみ(例えば、基準長さに対する材料中の粒子間の変位)を低減することが可能になる。したがって、カプセル本体のそれぞれの部分は、伸張率又は工学ひずみなど、特定の程度を超えて伸張されない。好ましくは、(工学)ひずみ量は、5%を超えてもよく、より好ましくは1%~5%の範囲であってもよい。それによって、水分バリア機能及び/又は酸素バリア機能を提供する(先の)シート材料の層が(過度の)せん断力又は塑性変形に曝露されないので、水分バリア機能及び酸素バリア機能の完全性を保証することができる。したがって、シート材料の水分バリア及び酸素バリアの完全性を保証しながら、カプセルの製造を改善することができる。
【0023】
更なる好ましい実施形態によれば、水分バリア層は、一次シート層に直接(すなわち、直接物理的に接触して)適用され得る。例えば、水分バリア層は、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナノセルロース、マイクロセルロース、窒化ケイ素、酸化ケイ素、アルミニウム、及び/又は酸化アルミニウムを含み得る。水分バリア層は、例えば、ラミネート、吹き付け、ラッカー加工、プラズマコーティング又はメタライゼーション(例えば、物理蒸着)によって、コーティング又はフィルムとして設けられ得る。
【0024】
それによって、カプセルは、カプセルの堆肥化可能性を失うことなく、高バリア材料によって実効化された水分バリア層を備えることができる。更に、セルロースと他のプラスチック層との間の良好な接着は、水分バリア層を設けるために使用されるそれぞれのプロセスを用いて達成され得る。
【0025】
好ましい実施形態によれば、一次シート層は、酸素バリア機能を備え得る。ここで、酸素バリア機能は、一次シート層のセルロース系材料によって提供され得る。例えば、セルロース系材料は、酸素バリア機能を提供し得る組成又は緻密度を有し得る。代替的又は追加的に、酸素バリア機能を提供するために、セルロース系材料を化学的プロセスにおいて処理してもよい。例えば、セルロース系材料を酸で処理してもよい。代替的又は追加的に、セルロース系材料を機械的プロセスにおいて処理してもよい。例えば、セルロース系材料をカレンダー加工プロセスにおいて処理してもよい。
【0026】
したがって、酸素バリア機能は、一次シート層によって、その表面及びその下方の領域を適合させることによって提供することができる。加えて、一次シート層の表面構造の改変は、一次シート層と他の異種材料(例えば、二次層の材料)との間の接合(接着)の改善をもたらし得る。例えば、カレンダー加工プロセスにおいて、セルロース材料は、表面テクスチャが変化するように、熱及び圧力に曝露され得る。表面テクスチャの同様の改変は、一次シート層の表面を化学的に処理することによって導き出され得る。表面テクスチャの変化は、表面上で、及び/又は、それぞれのプロセスにおいて処理された表面の下方の特定の深さまで観察され得る。例えば、孔径、透気度及び/又は表面粗さが、そのようなプロセスにおいて変化され得る。
【0027】
好ましい実施形態によれば、二次層は、酸素バリア機能を提供するための酸素バリア層を備え得る。酸素バリア層は、水分バリア層に関して一次シート層のとは反対側に設けられ得る。好ましくは、水分バリア層は、酸素バリア層と一次シート層との間に挟まれ得る。酸素バリア層は、ポリビニルアルコール(Polyvinyl Alcohol、PVOH)又はブテンジオールビニルアルコールコポリマー(Butenediol Vinyl Alcohol Co-polymer、BVOH)で作製され得る。酸素バリア層は、コーティング又はフィルムであり得る。酸素バリア層は、ラミネートプロセス、吹き付けプロセス、ラッカー加工プロセス、プラズマコーティングプロセス又はメタライゼーションプロセスにおいて、設けられ得る。
【0028】
それによって、カプセルは、カプセルの堆肥化可能性を失うことなく、高バリア材料によって実効化された酸素バリア層を備えることができる。更に、セルロースと他のプラスチック層との間の良好な接着は、水分バリア層を設けるために使用されるそれぞれのプロセスを用いて達成され得る。
【0029】
好ましい実施形態によれば、二次層は、少なくとも1つのマスク層を備え得る。マスク層は、ヒートシール用のシーラントであり得る。好ましくは、マスク層は、酸素バリア層をマスクするのに好適であり得る(及び/又はマスクするように構成され得る)。好ましくは、酸素バリア層は2つのマスク層の間に挟まれ得る。例えば、マスク層は、(堆肥化可能な)プラスチック材料で作製され得る。例えば、マスク層を形成するために、ポリヒドロキシアルカン酸(Polyhydroxyalkanoic acid、PHA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(Polybutylene Adipate Terephthalate、PBAT)又はポリ乳酸(Polylactic acid、PLA)が使用され得る。
【0030】
それによって、例えば、引っ掻き傷又は他の環境的影響(温度、気体への曝露、又はUV劣化)から、それぞれのバリアを形成する層の完全性を保護するために、他の層を覆う又は遮るための層を設けることができる。これは、特に、それぞれの層が、メタライゼーションプロセスにおいて導き出されるような比較的薄いコーティング層として形成され、したがって、機械的損傷をより受けやすい場合に関連し得る。
【0031】
更なる好ましい実施形態によれば、一次シート層又は二次層は、少なくとも1つのベース層を備え得る。例えば、水分バリア層が2つのベース層の間に挟まれ得る。ベース層は、ベース層が適用されるシート材料の別の層と比較して、低減された孔径、透気度及び/又は表面粗さを提供するように構成され得る。好ましくは、ベース層は、水分バリア層に直接適用され得る。代替的に又は追加的に、ベース層は、(存在する場合)マスク層に直接適用され得る。好ましくは、ベース層は、一次シート層のセルロース系材料によって設けられ得る。例えば、ベース層は、セルロース系材料を化学的プロセスにおいて(酸を適用して)、又は機械的(カレンダー加工)プロセスにおいて処理することによって、設けられ得る。代替的に又は追加的に、ベース層は、(堆肥化可能な)プラスチック材料又はフィルムとして設けられ得る。例えば、材料又はフィルムは、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)又は再生セルロースを含み得る。
【0032】
それによって、一次シート層とそれに続く二次層との間(又は二次層間)の接着性を改善することができる。例えば、ベース層によって被覆されたそれぞれの表面の凹凸、空隙又は孔を平らに充填することができる。それによって、層の間の均一な連結を改善することができる。
【0033】
更なる好ましい実施形態によれば、カプセル本体の外面、チャンバ、又はその両方は、一次シート層によって境界画定され得る。
【0034】
それによって、一次シート層を介して、環境的影響から二次層を遮蔽することが可能である。また、セルロース本体が、チャンバへと注入された流体のいずれも吸収しないことを保証することができる。更に、カプセルへの印刷を改善することができる。
【0035】
代替的に又は追加的に、カプセル本体の外面、チャンバ、又はその両方は、二次層によって境界画定され得る。好ましくは、存在する場合、マスク層は、カプセル本体の外面、チャンバ、又は前述の構造体の両方を境界画定し得る。
【0036】
カプセルの外部に二次層を設けることによって、飲料調製マシンの容器受容器の内部で飲料容器が固着すること又は溶解することを回避することができる。
【0037】
好ましい実施形態によれば、底壁は、側壁とは別個であり得る。
【0038】
それによって、カプセル本体の底壁及び側壁が2つの分離した(接続されていない/異なる/別個の)部分として設けられるので、シート材料の機械的ひずみを更に低減することができる。したがって、それぞれの壁に設けられた水分バリア及び酸素バリアの完全性を保証することができる。加えて、カプセルの製造プロセスを単純化し、高速化することができる。
【0039】
更なる好ましい実施形態によれば、カプセル本体は、開口部にリム部分を備え得る。好ましくは、リム部分は、開口部から離れるように横方向に突出し得る。リム部分は、側壁と一体的に設けられ得る。
【0040】
したがって、チャンバを封止し、閉鎖するために、カプセルに膜又は蓋を設けることができる。
【0041】
好ましい実施形態によれば、側壁は、底壁を側壁に取り付けるための取り付け部分を備え得る。例えば、側壁は、ヒートシール又は折り曲げによって、取り付け部分において底壁に取り付けられ得る。取り付け部分は、チャンバに関して開口部とは反対側にある、側壁の長手方向端部に設けられ得る。
【0042】
それによって、2つの別個の構成要素間に信頼性の高い封止接続を提供することができ、したがって、チャンバの内部に収容された物質の完全性を保証することができる。
【0043】
好ましい実施形態によれば、底壁は、チャンバに関して開口部とは反対側にある側壁の端部部分と面一であり得る。したがって、チャンバから離れるように向いている底壁の表面は、底壁と同じ方向を向いた側壁の端部部分の表面と共に単一の表面を形成してもよい、開口部から同じ高さ又は距離にあり得る。それによって、カプセルを底壁に載置することが可能である。
【0044】
代替的に、(チャンバに関して開口部とは反対側にある)側壁の端部は、開口部とは反対側の(傾斜した)方向に(かつ、カプセル内部に向かう方向又はカプセル内部から離れる方向に)底壁から突出し得る。
【0045】
それによって、カプセルは、その下端部にスカート部分を備えてもよく、その上に、底壁が地下に接触することなく、保管のためにカプセルが載置され得る。したがって、そのように構成されたカプセルを用いると、飲料調製の衛生状態を改善することができる。
【0046】
更に好ましい実施形態によれば、側壁は、シート材料の相反する側にある端部部分を互いに固定することによって形成され得る。このために、好ましくは、シート材料の相反する側にある端部部分を重ね合わせてもよく、端部部分のうちの一方に別個のストリップを取り付け、(そのストリップを)その一方の端部部分の前面に折り返してもよい。代替的に、シート材料の端部部分は、端部部分をそれらのそれぞれの前面で突き合わせ、突き合わされている前面にわたってストリップが延びるように、チャンバに関して同じ側で端部部分の各々に別個のストリップを取り付けることによって、互いに固定され得る。
【0047】
それによって、側壁が、シート材料の2つの部分が接合され得る接合部において信頼性の高い酸素バリア性及び水分バリア性を提供することを保証することができる。多くの場合、材料の厚さは、2つの部分を接合すると増大し、これにより、チャンバ内の入口を形成する部分によって取り囲まれた間隙及び中空空間をもたらすことがある。したがって、上述の構成では、そのような間隙又は中空空間を閉鎖するためにバリア特性を有する別個の要素が設けられるので、チャンバの内部に収容された物質の完全性が保証され得る。
【0048】
本発明の更なる態様は、詳細に上述したカプセルを製造するための方法に関する。この方法は、堆肥化可能な多層シート材料に水分バリア機能及び酸素バリア機能を提供するステップを含む。シート材料は、カプセル本体の側壁及び/又は底壁を形成するように形成される。例えば、側壁は、上述したような別個のストリップを用いて形成され得る。底壁は、底壁及び側壁がチャンバを取り囲むカプセル本体を形成するように、側壁に取り付けられる(例えば、接続/接合/接着/封止される)。開口部を通して、飲料を調製するための物質をチャンバに充填する。開口部は、チャンバを閉鎖するように膜を用いて封止される。したがって、チャンバは、蓋、底壁、及び/又は側壁によって覆われてもよく、それにより、気体、液体、又は固体などの物質が通過してチャンバ内へと入る、又はそこから出ることが防止され得る。好ましくは、シート材料を形成するステップにおいて、シート材料は、二次層がカプセル本体の外部を形成するように、又はチャンバ(150)の内部を向くように曲げられ得る。好ましくは、側壁と底壁とは、チャンバに対して一次シート層及び二次層の異なる配向を有しても、あるいは同じ配向を有してもよい。
【0049】
それによって、カプセルについて詳細に上述した利点の全てを示す水分バリア及び酸素バリアを有する堆肥化可能なカプセルを製造することが可能である。特に、カプセルに信頼性の高い酸素バリア及び水分バリアを提供することを容易にしながら、堆肥化可能なカプセルの製造プロセスを単純化することが可能である。ここで、シート材料を使用することは、同じプロセスの一部として容器を形成及びフィルム化することができ、カプセルの製造に関する更なるプロセスステップが必要とされない(例えば、追加のコーティングステップを必要としない)ので、特に有利である。
【0050】
本発明の更なる態様は、飲料調製マシンにおいて飲料を調製するための、上述したカプセルの使用に関する。
【0051】
本発明の更なる特徴、利点、及び目的は、添付の図面と併せて本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。数字が例えば明確にするために図から省略されている場合であっても、対応する特徴は依然として図に存在し得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の一実施形態による、カプセルの一部分の概略断面図を示す。
図2】本発明の更なる実施形態による、カプセルの断面図を示す。
図3図2のカプセルの斜視図を示す。
図4】本発明の更なる実施形態による、カプセルの断面図を示す。
図5】本発明の更なる実施形態による、カプセルの斜視図を示す。
図6】本発明の更なる実施形態による、カプセルの斜視断面図を示す。
図7図6のカプセルの断面図を示す。
図8】本発明の更なる実施形態による、カプセルの斜視断面図を示す。
図9図8のカプセルの断面図を示す。
図10】本発明の更なる実施形態による、カプセルの底壁の斜視図を示す。
図11】本発明の更なる実施形態による、開口部におけるカプセルの分解詳細図を示す。
図12】従来技術のカプセルの封止について存在する問題を示す。
図13】本発明の更なる実施形態による、封止されたカプセルの詳細図を示す。
図14A】本発明の更なる実施形態による、カプセルの側壁を通る断面図を示す。
図14B図14Aのカプセルの一部分の詳細図を示す。
図15A】本発明の更なる実施形態による、カプセルの側壁を通る断面図を示す。
図15B図15Aのカプセルの一部分の詳細図を示す。
図15C図15Aの改変されたカプセルの一部分の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図12を除く全ての図面は、本発明による、カプセル100の異なる複数の実施形態の異なる複数の図及び態様を示す。図1は、本発明のカプセル100の一部分の断面の概略図を示す。図2図10は、本発明のカプセル100の異なる複数の実施形態の異なる複数の図を示す。図11及び図13は、閉鎖されたカプセル100の一実施形態を封止する複数の態様を示す。図12は、従来技術の飲料容器に伴う既存の問題を視覚化する。図14及び図15は、異なる方法で本発明のカプセル100を形成する態様を示す。
【0054】
カプセル100は、飲料調製マシンにおいて飲料を調製するのに好適である。例えば、カプセル100は、飲料調製マシンのカプセルホルダの内部に配置され得る。飲料調製マシンは、例えば、カプセルマシンであり得る。飲料を調製するために、カプセル100の内部に流体が注入され得る。流体は、熱(40℃~100℃)水又はミルクであってもよく、圧力(1~10バール)を受けて注入され得る。このために、飲料調製マシンは、流体を注入するためにカプセル100にアクセスする穿孔要素を有し得る。カプセル100は、飲料調製マシンのようなマシンを用いて飲料を調製するのに好適であり得る任意の形状又は形態を有し得る。例えば、カプセル100は、丸い(円形の)基部を有してもよく、及び/又は円筒若しくは円錐台の形状を有してもよい。これは、図2図10に例示的に示されている。カプセル100は、2つの相反する側にある端部の間、すなわち、流体がカプセル100に入るための第1の端部101と、調製された飲料がカプセル100から出るための第2の端部102との間で長手方向に延び得る。これは、図2及び図5に例示的に示されているが、他の図にも当てはまり得る。好ましくは、カプセル100は、(全て)堆肥化可能な材料(単数又は複数)で作製されてもよく、及び/又は堆肥化可能な物質を含有してもよい。好ましくは、カプセル100は、飲料調製マシンにおいて圧力下で飲料を生成するために必要とされる硬さ(例えば、外力を受けたときに、変形に対して規定の抵抗をもたらすカプセル材料とカプセル設計との組み合わせ)を有し得る。
【0055】
カプセル100はカプセル本体110を備える。例えば、カプセル本体110は、三次元体を有してもよい。これは、図2図11に例示的に示されている。好ましくは、カプセル本体110は、(材料及び構造設計に関して)例えば、ブランクから製造される場合には、カプセル100の内部を向いた表面の50%以上、好ましくは少なくとも90%が、カプセル本体110の形成プロセス中に、多くとも10%、好ましくは多くとも1%~5%だけ伸ばされ得るように構成され得る。
【0056】
カプセル本体110は、側壁111を有し得る。好ましくは、側壁111は、閉じたプロファイルを有してもよく、連続面を形成し得る。これは、図2図11並びに図14及び図15に例示的に示されている。
【0057】
側壁111は、堆肥化可能な多層シート材料200から作製される。図1は、シート材料200の異なる複数の層を通る例示的な断面を示す。しかしながら、以下に明示的に記載されていないが、(カプセル本体110の少なくとも1つの壁部分がシート材料200で作製される限り)側壁111は、シート材料200とは異なる堆肥化可能な材料で形成されることもまた想到される。シート材料200は、実質的に矩形の形態を有するシート又はブランクであり得る。しかしながら、これは完全な列挙ではなく、リング形状などの他の形状が想到される。
【0058】
シート材料200は、セルロース系材料で作製された一次シート層210を備える。例えば、一次シート層210は、クラフト紙などの紙系材料で作製され得る。したがって、一次シート層210は、パルプ繊維セルロース、バガスパルプ、竹材パルプ、及び/又は木材パルプのような生分解性パルプ材料を含み得る。したがって、使用されるパルプ繊維に応じて、一次シート層210の硬さは変動し得る。例えば、一次シート層210は、100g/m~400g/mの坪量を有し得る。
【0059】
一次シート層210の材料もまた、成形可能である。ここで、例えば、一次シート層210は、破断点において、少なくとも2%、好ましくは2%~20%、より好ましくは5%~10%の伸び率を有するように構成され得る。したがって、側壁111は、成形及び/又はパルプ成形によって作製され得る。ここで、パルプは、側壁111へと(熱を印加して、又は熱を印加せずに)プレス加工され得る。しかしながら、これらは例に過ぎず、他の成形方法が想到される。
【0060】
側壁111を設けるために、成形可能である一次シート層210が使用され得る。図14及び図15は、シート材料200からどのように側壁111が作製され得るかを例示的に示す。シート材料200は、曲げられても、折り返されても、又は成形されてもよい。ここで、シート材料200の2つの相反する側にある自由端部部分201、202は、側壁111を形成するために互いにごく近接して位置決めされ得ることが想到される。これは、図14及び図15に例示的に示されている。例えば、図14Aにおいて、2つの端部部分201、202は、互いに重なり合うように配置され得る。2つの端部部分201、202は、2つの端部部分201、202が重なり合う領域213内で2つの端部部分201、202を接合することによって、互いに固定され得る。これは、図3図13及び図14に例示的に示されている。このために、例えば、ヒートシール又は接着剤が使用され得る。代替的に又は追加的に、別個のストリップ300が端部部分201、202のうちの一方に取り付けられ、端部部分211、212のその一方のそれぞれの前面211、212に折り返され得る。図14A及び図14Bでは、これは、カプセル100の内部に半径方向により近い端部部分201について例示的に示されている。しかしながら、これは一例に過ぎず、ストリップ300は他方の端部部分202に取り付けられてもよい。図15では、2つの端部部分201、202は、それらのそれぞれの前面211、212に突き合わせるものとして例示的に示されている。側壁111は、端部部分201、202の各々にストリップ300を同じ側に取り付けて、突き合わされている前面211、212にわたってストリップ300が延びるようにすることにより、端部部分201、202を互いに固定することによって形成され得る。
【0061】
しかしながら、シート材料200から側壁111を作製する他の方法も存在し、これはシート材料200の形状に依存し得る。例えば、側壁111は、シート材料200の自由端部を互いに接着しなければならないことを回避するために、リング形状を有するシート材料200から形成可能であり得る。
【0062】
好ましくは、カプセル本体110又は側壁111は、リム部分114を備え得る。リム部分114は、側壁111と一体的に設けられ得る。これは、図2図13に例示的に示されている。リム部分114の異なる設計が想到される。例えば、リム部分114の半径方向端部部分は、側壁111に対して内向きに丸められ得る(図4図6図9)。代替的に、リム部分114の径方向端部部分は平坦であってもよい(図2図3図5及び図11)。
【0063】
更に、シート材料200は、水分バリア機能及び酸素バリア機能を備える。したがって、シート材料200は、側壁111を通過する水分及び酸素をある程度まで低減するように構成され得る。例えば、シート材料200は、5cc/(m・day)未満のOTRを有する酸素バリアと、1g/m/日未満のMTRを有する水分バリアとを提供し得る。シート材料200の積層構造体は、その個々の層を通じて酸素バリア機能及び水分バリア機能を提供することができる。好ましくは、シート材料200の個々の層は、一次シート層210などの層によって被覆された表面に対して垂直な方向にスタックされ得る。好ましくは、シート材料200の個々の層は、平面内で連続的に延びてもよく、及び/又は互いに並んで均一に延びてもよい。これは、例えば、図1に示されている。
【0064】
シート材料200は、少なくとも1つの二次層220を備える。図1は、複数の二次層220を示している。以下において、全般的に「(複数の)二次層220(secondary layers 220)」について言及しているが、その説明は単一の二次層220にも等しく当てはまる。
【0065】
二次層220は、水分バリア機能を提供する水分バリア層221を少なくとも備える。これは、図1に例示的に示されている。水分バリア層221は、コーティング又はフィルムとして設けられ得る。例えば、水分バリア層221は、PVDC、ナノセルロース、マイクロセルロース、窒化ケイ素、酸化ケイ素、アルミニウム、及び/又は酸化アルミニウムを含み得る。これらは、ラミネート、吹き付け、ラッカー加工、プラズマコーティングによって、又はメタライゼーションによって、水分バリア層221として適用され得る。例えば、物理蒸着プロセスが使用され得る。好ましくは、水分バリア層221は、一次シート層210(図示せず)に直接適用され得る。
【0066】
二次層220は、以下に記載する追加の層を含み得る。
【0067】
例えば、二次層220は、少なくとも1つのベース層224を備え得る。これは、図1に例示的に示されている。図1の例では、水分バリア層221及び一次シート層210に直接適用されるための2つのベース層224が設けられる。したがって、水分バリア層221は、2つのベース層224の間に挟まれ得る。ベース層224は、好ましくは、様々な他の層、例えば、フィルム及び/又はコーティングが接着され得る、ベースとしての表面を設け得る。このために、ベース層224は、ベース層224が適用されるシート材料200の別の層と比較して、低減された孔径、透気度及び/又は表面粗さを提供するように構成され得る。例えば、ベース層224は、一次シート層210よりも小さい孔径又は低い表面粗さを有し得る。代替的に又は追加的に、ベース層224は、30~800Bendsten ml/分(Bendsten法)の範囲に含まれる表面粗さを有する表面を形成し得る。ベース層224は、フィルム又はコーティングとして設けられ得る。例えば、ベース層224は、PBAT、PLA又は再生セルロースのような(堆肥化可能な)プラスチック材料であり得る。
【0068】
代替的又は追加的に、一次シート層210が(1つの)ベース層224(又は複数のベース層224のうちの1つ)を備え得ることも想到される。ここで、ベース層224は、一次シート層210のセルロース系材料によって設けられ得る。例えば、一次シート層210は、ベース層224の機能性を提供するために機械的又は化学的に処理され得る。このために、一次シート層210の表面を酸で処理してもよく、及び/又は、カレンダー加工プロセスにおいて圧力及び熱に曝露してもよい。
【0069】
酸素バリア機能は、この機能を提供するために酸素バリア層222を更に備え得る二次層220によって提供され得る。図1に示す例では、酸素バリア層222は、水分バリア層221に関して一次シート層210とは反対側に設けられるものとして示されている。しかしながら、酸素バリア層222の他の配置も想到される。酸素バリア層222は、コーティング又はフィルムとして設けられ得る。例えば、酸素バリア層222は、PVOH又はBVOHで作製され得る。ここで、酸素バリア層222は、ラミネート、吹き付け、ラッカー加工、プラズマコーティングによって、又はメタライゼーションプロセスにおいて、二次層220のうちの1つとして提設けられ得る。
【0070】
代替的に又は追加的に、酸素バリア機能は、一次シート層210によって提供され得る。ここで、例えば、酸素バリア機能は、一次シート層210自体のセルロース系材料によって提供され得る。例えば、一次シート層210は、上記で指定された酸素バリア機能性を提供することを可能にする構成又は組成を有し得る。例えば、一次シート層210は、多量の繊維を含んでもよく、及び/又は高い緻密度を有してもよい。代替的又は追加的に、一次シート層210は、酸素バリア機能を確立するために機械的又は化学的に処理され得る。このために、一次シート層210の表面を酸で処理してもよく、及び/又は、カレンダー加工プロセスにおいて圧力及び熱に曝露してもよい。
【0071】
二次層220は、酸素バリア層222をマスクするための少なくとも1つのマスク層223を更に備え得る。図1において、酸素バリア層222は、2つのマスク層223の間に挟まれているものとして例示的に示されている。図1は、マスク層223がベース層224に直接適用され得ることを更に示す。マスク層223は、フィルム又はコーティングとして設けられ得る。例えば、マスク層223は、PHA、PBAT又はPLAのような(堆肥化可能な)プラスチック材料であり得る。
【0072】
好ましくは、上述のストリップ300は、水分バリア機能及び酸素バリア機能を備え得る。例えば、ストリップ300は、水分バリア層及び酸素バリア層を備える積層構造体を有し得る。これは、図14及び図15に例示的に示されている。例えば、ストリップは、(例えば、水分バリアを提供するための)堆肥化可能なプラスチックで作製された2つの層301の間に挟まれ得る(例えば、酸素バリアを提供するための)カレンダー加工された紙層302を備え得る。しかしながら、ストリップ300が、単に追加のシーラント材料を設ける単層フィルム303として設けられることも想到される。
【0073】
カプセル本体110は、底壁120を更に備える。これは、例えば図2図11に示されている。特に、図10は、底壁120の設計の一例を示す。底壁120は、上述した多層シート材料200で作製され得る。したがって、図1は、側壁111及び/又は底壁120について例示的な断面を示し得る。しかしながら、底壁120が(例えば、側壁111がシート材料200で既に作製されている場合)紙のような異なる堆肥化可能な材料で作製されることも想到される。底壁120は、任意の形状又は形態を有し得る。例えば、底壁120は、円形の板状の形態を有し得る。
【0074】
側壁111と底壁120とは一緒に、飲料を調製するための物質を収容するためのチャンバ150を境界画定する。したがって、側壁111と底壁120とは、チャンバ150の形状及び輪郭を画定し得る。同様に、側壁111と底壁120とは、カプセル100の形状及び輪郭を決定し得る。これは、図2図11に例示的に示されている。
【0075】
チャンバ150は、チャンバ150に関して底壁120とは反対側にある開口部151を有する。例えば、側壁111は、カプセル本体110の開口部151を画定して(取り囲んで)もよく、好ましくは、リム部分114は、開口部151から離れるように横方向に突出し得る。チャンバ150は、飲料調製のための物質を封入し得る。例えば、飲料調製のためにカプセル100の内部に流体を注入するとき、物質は、所望の飲料を製造するためにチャンバ150内に注入された流体と相互作用し得る。したがって、飲料調製プロセスにおいて、チャンバ150(又はより一般的にはカプセル100)は、飲料調製マシンの淹出チャンバを構成し得る。物質の例は、焙煎挽きコーヒー、インスタントコーヒー、茶葉、シロップ濃縮物、果実抽出物濃縮物、チョコレート、脱水食用物質、及び/又はそれらの組み合わせであり得る。
【0076】
好ましくは、チャンバ150は、一次シート層210又は二次層220によって境界画定され得る。例えば、マスク層223が存在する場合、チャンバ150は、マスク層223によって被覆されてもよく、したがって、物質と接触する表面を形成し得る。代替的又は追加的に、カプセル本体110の外面は、一次シート層210又は二次層220(存在する場合、特にマスク層223)によって境界画定され得る。しかしながら、これらは例に過ぎず、完全な列挙ではない。特に、シート材料200の層のいずれも、カプセル100の最も外側の表面又は最も内側の表面を形成し得る。
【0077】
好ましくは、底壁120は、側壁111とは別個の要素であり得る。これは、図2図10に例示的に示されている。底壁120は、ヒートシール又は糊付けによって、側壁111に接合され得る。このために、側壁111は、底壁120を側壁111に取り付けるための取り付け部分117を備え得る。
【0078】
例えば、図2及び図4において、底壁120の一部分は、側壁111によって2つの相反する側にある側部で覆われている。例えば、取り付け部分117は、底壁120の端部部分127が側壁111の長手方向端部部分118と取り付け部分117との間に挟まれるように、底壁120の端部部分127の上に折り返された側壁111の部分であり得る。側壁111の長手方向端部部分118は、チャンバ150に関して開口部151とは反対側の端部(第1の端部101)にあり得る。底壁120の端部部分127は、そこから突出する底壁120の一部分であり得る。当然ながら、側壁111の一部分は、底壁120によって2つの相反する側にある側部を覆われ得ることも想到される。図6図10には、別の構成の一例が示されている。ここで、側壁111の一部分は、一方の側部を底壁120の一部分によって覆われ得る。例えば、側壁111の取り付け部分117は、底壁120の端部部分127と重なり得る。図10において、底壁120は、傾斜面122及び平坦面121を有して例示的に示されている。この例の側壁111と底壁120とを接合するとき、傾斜面122の端部部分127と側壁111の長手方向端部部分118との間に重なりが存在する。側壁111及び底壁120は、重なった領域内でヒートシール又は糊付けされ得る。当然ながら、底壁120の一部分は、一方の側部を側壁111によって覆われ得ることも想到される。
【0079】
底壁120は、底壁120が側壁111の長手方向端部部分118と面一になるように、側壁111に対して配置され得る。これは、図6図9に例示的に示されている。しかしながら、他の構成も想到される。例えば、底壁120は、側壁111の長手方向端部部分118(及び取り付け部分117)が底壁120から開口部151と反対の方向に突出するように、側壁111に接続され得る。これは、図2図5に例示的に示されている。
【0080】
本発明の更なる態様は、カプセル100を製造するための方法に関する。この方法は、シート材料200で作製されたシートを用意するステップを含む。好ましくは、一次シート層210は、二次層220の個々の層を有して用意(例えば、コーティング又はラミネート)され得る。シート材料200は、側壁111に形成される。ここで、シート材料200は、好ましくは、二次層220がカプセル本体110の外部を形成するように、又はチャンバ150の内部を向くように曲げられ得る。更に、追加的に又は代替的に、底壁120は、シート材料200(例えば、当該シートの別個の部分又は別個のシート)から形成される。底壁120は側壁111に、底壁120及び側壁111がチャンバ150を取り囲むカプセル本体110を形成するように取り付けられる。開口部151を通して、物質がチャンバに充填される。開口部151は、チャンバ150を閉鎖するように膜400を用いて封止される。膜400は、堆肥化可能な(プラスチック)フィルムであり得る。封止ステップが、図11に例示的に示されている。
【0081】
図12及び図13は、従来技術を考慮して、カプセル100を製造する上記方法の利点を例示的に示す。例えば、図13において、膜400は、カプセル100のリム114の輪郭に正確に適合することができる。それと比較して、図12では、従来技術の飲料容器900は、膜400によって完全に閉鎖することができない。これは、飲料容器900が、特定のバリア特性を提供するために、その本体に使用される材料がより厚いことを必要とする場合があるからである。容器リム914では、材料がより厚いことにより、膜400は容器側壁の重なり合う端部部分914A、914Bを完全に覆うことができない。したがって、膜400と端部部分914A、914Bとの間に間隙又は中空空間が形成され、これは、飲料容器900の貯蔵寿命にとって有害であり得る。
【0082】
本発明は、添付の特許請求の範囲によって包含される限り、上述した実施形態によって限定されない。上述した実施形態の全ての特徴は、任意の可能な方法で組み合わせることができ、交換可能に提供することができる。
例えば、一次シート層210は、上述の二次層220を有してどちら側にも設けられてもよく、したがって、二次層220の間に挟まれ得ることも想到される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
【手続補正書】
【提出日】2024-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調製マシンにおいて飲料を調製するためのカプセル(100)であって、前記カプセル(100)が、前記飲料を調製するための物質を収容するためのチャンバ(150)を境界画定する側壁(111)及び底壁(120)を有するカプセル本体(110)を備え、前記チャンバ(150)が、前記チャンバ(150)に関して前記底壁(120)とは反対側に開口部(151)を有し、前記側壁(111)及び/又は前記底壁(120)が、水分バリア機能及び酸素バリア機能を有する堆肥化可能な多層シート材料(200)から作製され、前記シート材料(200)が、
成形可能なセルロース系材料で作製された一次シート層(210)と、
前記水分バリア機能を提供する水分バリア層(221)を少なくとも備える1つ以上の二次層(220)と、
を備える、カプセル(100)。
【請求項2】
前記一次シート層(210)が、クラフト紙などの紙系材料で作製され、好ましくは、前記一次シート層(210)が、100g/m~400g/m、より好ましくは100g/m~224g/m、更により好ましくは100g/m~130g/mの坪量を有し、及び/又は、好ましくは、前記一次シート層(210)が、その破断点において少なくとも2%、好ましくは2%~20%、より好ましくは5%~10%の伸び率を有するように構成される、請求項1に記載のカプセル(100)。
【請求項3】
前記水分バリア層(221)が、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナノセルロース、マイクロセルロース、窒化ケイ素、酸化ケイ素、アルミニウム、及び/又は酸化アルミニウムを含み、好ましくは、前記水分バリア層(221)が、ラミネート、吹き付け、ラッカー加工、プラズマコーティングによって、又は、例えば物理蒸着プロセスにおけるメタライゼーションによって設けられ、好ましくは、前記水分バリア層(221)が、前記一次シート層(210)に直接適用される、請求項1又は2に記載のカプセル(100)。
【請求項4】
前記一次シート層(210)が前記酸素バリア機能を備え、好ましくは、前記酸素バリア機能が、前記一次シート層(210)の前記セルロース系材料によって、例えば、その組成又は緻密度によって、あるいは、前記セルロース系材料を化学的プロセスにおいて、例えば酸を使用して、及び/又は、機械的プロセス、例えばカレンダー加工プロセスにおいて処理することによって、提供される、請求項1又は2に記載のカプセル(100)。
【請求項5】
前記二次層(220)が、好ましくは前記水分バリア層(221)に関して前記一次シート層(210)とは反対側に設けられる、前記酸素バリア機能を提供するための酸素バリア層(222)を備え、好ましくは、前記酸素バリア層(222)が、ポリビニルアルコール(PVOH)又はブテンジオールビニルアルコールコポリマー(BVOH)で作製され、好ましくは、前記酸素バリア層(222)が、コーティング又はフィルムとして、好ましくはラミネート、吹き付け、ラッカー加工、プラズマコーティング又はメタライゼーションプロセスで設けられる、請求項1又は2に記載のカプセル(100)。
【請求項6】
前記二次層(220)が、好ましくは前記酸素バリア層(222)をマスクするための、少なくとも1つのマスク層(223)を備え、好ましくは、前記マスク層(223)が、好ましくは堆肥化可能なプラスチック材料、例えばポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)又はポリ乳酸(PLA)で作製され、好ましくは、前記酸素バリア層(222)が、2つのマスク層(223)の間に挟まれている、請求項1又は2に記載のカプセル(100)。
【請求項7】
前記一次シート層(210)又は前記二次層(220)が少なくとも1つのベース層(224)を備え、前記ベース層(224)が、前記ベース層(224)が適用される前記シート材料(200)の別の層と比較して、低減された孔径、透気度及び/又は表面粗さを提供するように構成され、好ましくは、前記ベース層(224)が、前記水分バリア層(221)及び/又は存在する場合には前記マスク層(223)に直接適用され、並びに/あるいは、好ましくは、前記水分バリア層(221)が、2つのベース層(224)の間に挟まれている、請求項1又は2に記載のカプセル(100)。
【請求項8】
前記ベース層(224)が、
前記一次シート層(210)の前記セルロース系材料によって、例えば、前記セルロース系材料を化学的プロセスにおいて、例えば酸を使用して、及び/又は、機械的プロセス、例えばカレンダー加工プロセスにおいて処理することによって、あるいは、
好ましくは堆肥化可能なプラスチック材料又はフィルム、例えばポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)又は再生セルロースとして、
設けられる、請求項7に記載のカプセル(100)。
【請求項9】
前記カプセル本体(110)の外面及び/又は前記チャンバ(150)が、前記一次シート層(210)又は前記二次層(220)によって、好ましくは存在する場合には前記マスク層(223)によって境界画定される、請求項1又は2に記載のカプセル(100)。
【請求項10】
前記底壁(120)が前記側壁(111)とは別個であり、及び/又は
前記カプセル本体(110)が、前記開口部(151)から離れるように横方向に突出するリム部分(114)を前記開口部(151)に備え、前記リム部分(114)が、好ましくは前記側壁(111)と一体的に設けられる、
請求項1又は2に記載のカプセル(100)。
【請求項11】
前記側壁(111)が、例えばヒートシール又は折り曲げによって前記底壁(120)を前記側壁(111)に取り付けるための取り付け部分(117)を備え、前記取り付け部分(117)が、前記チャンバ(150)に関して前記開口部(151)とは反対側にある前記側壁(111)の長手方向端部部分(118)に設けられる、請求項1又は2に記載のカプセル(100)。
【請求項12】
前記底壁(120)が、前記チャンバ(150)に関して前記開口部(151)とは反対側の前記側壁(111)の長手方向端部部分(118)と面一である、又は、前記側壁(111)の長手方向端部部分(118)が、前記底壁(120)から前記開口部(151)とは反対の方向に突出する、請求項1又は2に記載のカプセル(100)。
【請求項13】
前記側壁(111)が、前記シート材料(200)の相反する側にある端部部分(201、202)を、
前記端部部分(201、202)を重ね合わせ、前記端部部分(201、202)のうちの一方に別個のストリップ(300)を取り付け、前記ストリップを前記一方の端部部分の前面(211、212)に折り返すこと、又は
前記端部部分(201、202)をそれぞれの前面(211、212)で突き合わせ、突き合わされている前記前面(211、212)にわたって前記ストリップ(300)を延ばすように、前記チャンバ(150)に関して同じ側で前記端部部分(201、202)の各々に別個のストリップ(300)を取り付けること、
によって、互いに固定することによって形成される、請求項1又は2に記載のカプセル(100)。
【請求項14】
飲料調製マシンにおいて飲料を調製するためのカプセル(100)を製造するための方法であって、前記カプセル(100)が、前記飲料を調製するための物質を収容するためのチャンバ(150)を境界画定する側壁(111)及び底壁(120)を有するカプセル本体(110)を備え、前記チャンバ(150)が、前記チャンバ(150)に関して前記底壁(120)とは反対側に開口部(151)を有し、前記方法が、
水分バリア機能及び酸素バリア機能を有する堆肥化可能な多層シート材料(200)を用意するステップであって、前記シート材料(200)が、
成形可能なセルロース系材料で作製された一次シート層(210)と、
前記水分バリア機能を提供するための水分バリア層(221)を少なくとも備える1つ以上の二次層(220)と、
を備える、用意するステップと、
前記カプセル本体(110)の前記側壁(111)及び/又は前記底壁(120)を形成するように、前記シート材料(200)を形成するステップと、
前記底壁(120)及び前記側壁(111)が、前記チャンバ(150)を取り囲む前記カプセル本体(110)を形成するように、前記底壁(120)を前記側壁(111)に取り付けるステップと、
前記開口部(151)を通して、前記飲料を調製するための物質を前記チャンバ(150)に充填するステップと、
前記チャンバ(150)を閉鎖するように膜(400)を用いて前記開口部(151)を封止するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記シート材料(200)を形成する前記ステップにおいて、前記シート材料(200)が、前記二次層(220)が前記カプセル本体(110)の外部を形成するように、又は前記チャンバ(150)の内部を向くように曲げられる、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】