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特表2024-531619音響信号を用いた空間監視装置のノイズ回避方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】音響信号を用いた空間監視装置のノイズ回避方法
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
G01H17/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515141
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 KR2022014236
(87)【国際公開番号】W WO2023048494
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】17/483,525
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523439378
【氏名又は名称】キム、チェ ファン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、チェ ファン
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB16
2G064CC02
2G064CC11
2G064CC43
(57)【要約】
本発明は、音響信号を用いた空間監視装置のノイズ回避方法であって、音響信号を用いて空間状況を監視する空間監視装置において監視対象空間上のノイズを回避して空間状況を正確に把握することができる技術を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間に音響信号を放出する音響信号放出ステップと、
前記対象空間の音響信号を受信する音響信号受信ステップと、
受信音響信号のノイズ区間を判断するノイズ評価ステップと、
前記受信音響信号から前記ノイズ区間を除いた区間を状況判断区間として抽出する状況判断区間抽出ステップと、を含むことを特徴とする、空間監視装置のノイズ回避方法。
【請求項2】
前記ノイズ評価ステップは、
前記受信音響信号を予め設定された複数の判断区間別に区分してノイズを評価し、
前記状況判断区間抽出ステップは、
複数の判断区間のうち、ノイズがない或いは相対的にノイズが少ないと判断される区間を状況判断区間として抽出することを特徴とする、請求項1に記載の空間監視装置のノイズ回避方法。
【請求項3】
前記ノイズ評価ステップは、
受信音響信号を特定した基準信号との比較を介して前記受信音響信号のノイズを評価することを特徴とする、請求項1に記載の空間監視装置のノイズ回避方法。
【請求項4】
前記ノイズ評価ステップは、
放出される音響信号周波数以外の他の周波数成分の受信強度を把握して前記受信音響信号のノイズを評価することを特徴とする、請求項1に記載の空間監視装置のノイズ回避方法。
【請求項5】
前記音響信号を放出するステップは、
周期的に音響信号を放出し、
前記音響信号受信ステップは、
音響信号が放出される活性化時間区間と、音響信号が放出されない休止時間区間とを含む時間区間で前記対象空間の音響信号を受信し、
前記ノイズ評価ステップは、
活性化時間区間の前後の休止時間区間で受信された受信音響信号に基づいて前記活性化時間区間の受信音響信号に対するノイズを評価することを特徴とする、請求項1に記載の空間監視装置のノイズ回避方法。
【請求項6】
前記ノイズ評価ステップは、
前記受信音響信号を周波数ドメイン上におけるスペクトルに変換し、
前記受信音響信号のスペクトルに基づいてノイズを評価することを特徴とする、請求項1に記載の空間監視装置のノイズ回避方法。
【請求項7】
前記ノイズ評価ステップは、
前記受信音響信号に対する包絡線と前記基準信号に対する包絡線とを対比してノイズを評価することを特徴とする、請求項3に記載の空間監視装置のノイズ回避方法。
【請求項8】
抽出された状況判断区間で受信された音響信号を用いて前記対象空間に対する空間状況を判断する状況判断ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の空間監視装置のノイズ回避方法。
【請求項9】
抽出された複数の状況判断区間を組み合わせる状況判断区間組み合わせステップと、
組み合わせられた状況判断区間の音響信号を用いて前記対象空間に対する空間状況を判断する状況判断ステップと、をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の空間監視装置のノイズ回避方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響信号を用いて空間状況を監視する空間監視装置において、監視対象空間上のノイズを回避しながら空間状況を正確に把握することができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
室内空間内の外部人の侵入、火災発生、ガス漏れなどを感知するために、CCTV、IRカメラ、振動感知センサ、ガス感知センサなどが適用されている。従来技術の場合、侵入、火災、ガスなどのそれぞれの状況別にそれに応じた個別のセンシング装置が要求されるので、様々な室内空間状況を監視するためには、その分多くのセンシング装置が要求され、それにより設備の構築に多くのコストが消費され、電力消費量も相当であるという問題がある。
【0003】
かかる諸般問題を解決するために、最近では、音響信号を放出し、受信された音響信号の変化に基づいて室内空間状況を把握する技術が提示されている。
【0004】
音響信号に基づいて空間状況を把握する技術の一つとして音場センサが挙げられるが、音場センサ(SOFIS)は、いろいろの周波数の音(音響信号)を放出し、一定空間に形成された音場(sound field)の変化を分析して一定空間内で事物の動き、空気の流れ、温度の変化などを測定する装備である。
【0005】
このような音場センサを用いて空間状況を把握する際に、空間で一時的または持続的に発生するノイズが音響信号に混ざって受信される場合、空間状況の把握にエラーが発生するという問題がある。
【0006】
例えば、ノイズにより、実際に発生していない特定の状況が当該空間で発生したと誤って判断するエラーが誘発されるか、或いは緊急な状況が発生した状態でもノイズによりこれが認識できないエラーが誘発されるおそれがある。
【0007】
このような認識エラーは、音場センサの空間監視動作に対する信頼性を完全に低下させる可能性がある。よって、より正確で信頼度の高い空間状況感知のためには、ノイズを処理することができる方案が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するために案出されたもので、監視対象空間で一時的または持続的に発生するノイズが音響信号に混ざって受信される場合、空間状況の把握にエラーが発生する問題を解決しようとする。
【0009】
特に、ノイズにより、実際に発生していない特定の状況が当該空間で発生したと誤って判断するエラーが誘発される問題を解消し、緊急の状況が発生した状態でノイズによりそれが認識できないエラーが誘発される問題を解消しようとする。
【0010】
本発明の目的は、上述したものに限定されず、上述していない本発明の他の目的および利点は、以降の説明によって理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による空間監視装置のノイズ回避方法の一実施形態は、対象空間に音響信号を放出する音響信号放出ステップと、前記対象空間の音響信号を受信する音響信号受信ステップと、受信音響信号のノイズ区間を判断するノイズ評価ステップと、前記受信音響信号から前記ノイズ区間を除いた区間を状況判断区間として抽出する状況判断区間抽出ステップとを含むことができる。このとき、音響信号受信ステップで、適切な周波数フィルタを用いて、特定区間の周波数に該当する音響信号を選択的に受信することもでき、或いは異なる周波数帯域を音響信号を区別して受信することもできる。
【0012】
一例として、前記ノイズ評価ステップは、前記受信音響信号を予め設定された複数の判断区間別に区分してノイズを評価し、前記状況判断区間抽出ステップは、複数の判断区間のうち、ノイズがない或いは相対的にノイズが少ないと判断される区間を状況判断区間として抽出することができる。
【0013】
一例として、前記ノイズ評価ステップは、受信音響信号を特定の基準信号との対比を介して前記受信音響信号のノイズを評価することができる。
【0014】
このとき、受信された音響信号を基準信号と比較する方法は、前記受信音響信号に対する包絡線と前記基準信号の包絡線とを対比してノイズを評価することができる。或いは、時間ドメイン上で受信される受信音響信号をフーリエ変換または高速フーリエ変換を介して周波数ドメイン上のスペクトルに変換した後、受信音響信号のスペクトルに基づいてノイズを評価することもできる。
【0015】
別の実施形態として、前記ノイズ評価ステップは、受信された音響信号のうち、放出される音響信号周波数以外の他の周波数成分の受信強度を把握することにより、前記受信音響信号のノイズを評価することができる。
【0016】
別の実施形態として、前記音響信号放出ステップは、周期的に音響信号を放出し、前記音響信号受信ステップは、音響信号が放出される活性化時間区間と、音響信号が放出されない休止時間区間とを含む時間区間で前記対象空間の音響信号を受信し、前記ノイズ評価ステップは、活性化時間区間の前後の休止時間区間で受信された受信音響信号に基づいて前記活性化時間区間の受信音響信号に対するノイズを評価することができる。
【0017】
状況判断区間抽出ステップの次のステップとして、抽出された状況判断区間で受信された音響信号を用いて前記対象空間に対する空間状況を判断することができる。このとき、抽出された状況判断区間で受信された音響信号全部を用いてもよく、その一部を用いてもよい。
【0018】
さらには、抽出された複数の状況判断区間を組み合わせて新たに状況判断区間を作り、新たに作られた状況判断区間の音響信号を用いて前記対象空間に対する空間状況を判断することもできる。
【発明の効果】
【0019】
このような本発明によれば、受信音響信号におけるノイズ区間を回避して監視対象空間の空間状況を判断することができるので、空間監視装置の精度と信頼性をさらに高めることができる。
【0020】
さらに、受信音響信号に対して包絡線分析や帯域フィルタリングなどの様々なノイズ評価方式を選択的に適用するか或いは複合的に適用して、より精密に受信音響信号上でノイズ区間を回避することができる。
【0021】
本発明の効果は、上述したものに限定されず、上述していない別の効果は、以降の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明が適用される空間監視装置の一実施形態に対する構成図を示す。
図2】本発明が適用される空間監視装置におけるノイズ回避部に対する一実施形態の構成図を示す。
図3】本発明による空間監視装置のノイズ回避による対象空間監視方法に対する一実施形態のフローチャートを示す。
図4】本発明におけるノイズが含まれた音響信号を回避する過程に対する一実施形態のフローチャートを示す。
図5】本発明によるノイズ回避方法において複合音受信音響信号を複数の判断区間に分割する一例を示す。
図6】本発明によるノイズ回避方法において複合音受信音響信号を複数の判断区間に分割する一例を示す。
図7】本発明によるノイズ回避方法において複合音受信音響信号を複数の判断区間に分割する一例を示す。
図8】本発明によるノイズ回避方法において複合音受信音響信号を複数の判断区間に分割する一例を示す。
図9】本発明によるノイズ回避方法において複合音受信音響信号を複数の判断区間に分割する一例を示す。
図10】本発明によるノイズ回避方法において時間に応じて周波数が変わる単一音の受信音響信号を複数の判断区間に分割する一例を示す。
図11】本発明によるノイズ回避方法において時間に応じて周波数が変わる単一音の受信音響信号を複数の判断区間に分割する一例を示す。
図12】本発明によるノイズ回避方法において時間に応じて周波数が変わる単一音の受信音響信号を複数の判断区間に分割する一例を示す。
図13】本発明によるノイズ回避方法における基準信号の一例を示す。
図14】本発明によるノイズ回避方法における基準信号の一例を示す。
図15】本発明によるノイズ回避方法において持続的なノイズが存在する受信音響信号に対してノイズを回避する一例を示す。
図16】本発明によるノイズ回避方法において持続的なノイズが存在する受信音響信号に対してノイズを回避する一例を示す。
図17】本発明によるノイズ回避方法において持続的なノイズが存在する受信音響信号に対してノイズを回避する一例を示す。
図18】本発明によるノイズ回避方法において一時的なノイズが存在する受信音響信号に対してノイズを回避する一例を示す。
図19】本発明によるノイズ回避方法において一時的なノイズが存在する受信音響信号に対してノイズを回避する一例を示す。
図20】本発明によるノイズ回避方法において一時的なノイズが存在する受信音響信号に対してノイズを回避する一例を示す。
図21】本発明によるノイズ回避方法において活性化時間区間と休止時間区間を有する受信音響信号を分割してノイズを回避する一例を示す。
図22】本発明によるノイズ回避方法において活性化時間区間と休止時間区間を有する受信音響信号を分割してノイズを回避する一例を示す。
図23】本発明によるノイズ回避方法において活性化時間区間と休止時間区間を有する受信音響信号を分割してノイズを回避する一例を示す。
図24】本発明によるノイズ回避方法においてノイズ評価によって抽出した複数の判断区間を合成して状況判断区間を生成する一例を示す。
図25】本発明によるノイズ回避方法においてノイズ評価によって抽出した複数の判断区間を合成して状況判断区間を生成する一例を示す。
図26】本発明によるノイズ回避方法においてノイズ評価によって抽出した複数の判断区間を合成して状況判断区間を生成する一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明するが、本発明は、実施形態によって限定または制限されるものではない。
【0024】
本発明、本発明の動作上の利点、および本発明の実施によって達成される目的を説明するために、以下では、本発明の好適な実施形態を例示し、これを参照して説明する。
【0025】
まず、本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定するものではなく、単数の表現は、文脈上明らかに別段の意味を持たない限り、複数の表現を含むことができる。また、本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、本明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0026】
本発明の説明において、関連する公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にするおそれがあると判断された場合には、その詳細な説明は省略する。
【0027】
本発明は、監視対象区間上のノイズを回避して空間状況を正確に把握することができる空間監視装置の対象区間監視方法を提示する。
【0028】
本発明が適用される空間監視装置は、監視対象空間へ音響信号を放出し、前記監視対象空間の音響信号を受信して、測定された空間の周波数応答に基づいて空間状況を把握することができる。
【0029】
本発明で言及する空間の周波数応答(frequency response)は、次のように説明できる。対象空間を一種の閉回路と見なし、ここに入力信号として音響信号を放出した後、出力信号として音響信号を受信する場合、このとき、受信音響信号の周波数別音圧または周波数別位相などの要素を「空間の周波数応答」と定義することができる。
【0030】
このような空間の周波数応答を表現する一例として、周波数を横軸とし、受信音響の音圧を縦軸としてグラフ的に表示することができ、音圧要素の代わりに位相要素を縦軸に表示することもできる。
【0031】
空間の周波数応答は、空間の物理的特性に応じて変わるので、空間の周波数応答を用いて空間の物理的状況を推論することができ、ひいては、空間の周波数応答が変化するパターンを用いて空間の物理的特性の変化を把握することができる。このような空間の物理的特性の変化を把握することにより、対象空間で発生する空間状況を判断することができる。
【0032】
本発明が適用される空間監視装置は、上述した空間の周波数応答に基づいて空間状況を把握することができるが、空間監視装置を介して空間状況を監視する際に、監視対象空間上のノイズにより空間監視装置の感知信頼性は低下する可能性がある。特に、隣接空間上に複数の空間監視装置が配置された場合に他の空間監視装置から放出される音響信号は、特定の空間監視装置にノイズとして作用することができる。このように、監視対象空間をより綿密に監視するために配置された複数の空間感知装置がむしろ監視性能を低下させる原因となり得る。
【0033】
したがって、本発明では、監視対象空間上のノイズを回避して監視対象空間の空間状況を把握することができる方案を提示することにより、空間監視装置の精度と信頼性をさらに高めようとする。
【0034】
図1は、本発明が適用される空間監視装置の一実施形態に対する構成図を示す。
【0035】
本発明が適用される空間監視装置100は、音響信号放出部110、音響信号受信部130、音響信号処理部150、状況判断部170、ノイズ回避部200などを含むことができる。
【0036】
音響信号放出部110は、スピーカ111などを含むことにより、対象空間へ音響信号を放出することができる。音響信号放出部110は、時間に応じて周波数が変わる単一音の音響信号を放出することもでき、複数の周波数成分を有する複合音の音響信号を放出することもでき、時間に応じて周波数が変化する複数の周波数成分を有する複合音の音響信号を放出することもでき、単一音と複合音とが交番する音響信号を放出することもできる。
【0037】
また、音響信号放出部110は、一つのスピーカを介して音響信号を放出することもでき、複数のスピーカを介して音響信号を放出することもできる。複数のスピーカを介して音響信号を放出する場合、同じ音響信号を放出することもでき、それぞれ異なる音響信号を放出することもできる。
【0038】
音響信号受信部130は、マイクロホン131などを含むことにより、対象空間上の音響信号を受信することができる。音響信号受信部130は、1つのマイクロホンを介して音響信号を受信することもでき、複数のマイクロホンを介して音響信号を受信することもできる。
【0039】
音響信号受信部130は、音響信号放出部110と一つの装置として同一の位置に配置されてもよく、或いは音響信号放出部110とは離隔して他の位置に配置されてもよい。
【0040】
音響信号処理部150は、対象空間へ放出する音響信号を音響信号放出部110に提供することができる。また、音響信号処理部150は、音響信号受信部130が受信した音響信号に基づいて空間の周波数応答を測定することができる。一例として、音響信号処理部150は、受信された音響信号をフーリエ変換(FT)または高速フーリエ変換(FFT)を介して周波数ドメインに変換して空間の周波数応答を測定することができる。
【0041】
状況判断部170は、空間の周波数応答に基づいて対象空間の状況を判断することができる。対象空間で物体移動、温度変化、空気移動などの様々な状況変化が発生すると、それにより受信される音響信号も変化し、受信される音響信号に基づいて測定した空間の周波数応答も変化する。したがって、空間の周波数応答が時間に応じて変化するパターンを分析すると、対象空間にどんな状況変化が発生したかを把握することができる。状況判断部170は、空間の周波数応答の変化有無、変化の程度、変化パターンなどを把握して監視対象空間上の状況変化を判断することができる。
【0042】
ノイズ回避部200は、音響信号受信部130から受信音響信号の伝達を受けてノイズ区間を判断し、受信音響信号からノイズのない区間または相対的にノイズの少ない区間を状況判断区間として抽出することができる。
【0043】
例えば、ノイズ回避部200は、受信音響信号を特定の基準信号と対比して受信音響信号におけるノイズ区間を判断することができる。ここで、基準信号は、例えば、ノイズのない状態で受信される音響信号に設定されることができる。
【0044】
そして、ノイズ回避部200は、受信音響信号からノイズを回避して抽出した状況判断区間を音響信号処理部150に提供することができる。
【0045】
このように、本発明では、ノイズ回避部200を介して受信音響信号からノイズのない区間または相対的にノイズの少ない区間を抽出し、これに基づいて対象空間の空間状況を判断するので、空間監視装置の精度と信頼性が向上することができる。
【0046】
ノイズ回避部200に関連して、図2は、本発明が適用される空間監視装置のノイズ回避部に対する一実施形態の構成図を示す。
【0047】
ノイズ回避部200は、音響信号前処理部210、ノイズ評価部230、状況判断区間抽出部250などを含むことができる。
【0048】
音響信号前処理部210は、音響信号受信部130から受信音響信号の伝達を受けてノイズ区間判断のために受信音響信号を加工処理することができる。音響信号前処理部210は、受信音響信号におけるノイズ区間を判断するために、受信音響信号を複数の判断区間に分割することができる。
【0049】
一実施形態として、音響信号前処理部210は、受信音響信号の周期に基づいて受信音響信号を複数の判断区間に分割することができる。或いは、音響信号前処理部210は、予め設定された時間単位に基づいて受信音響信号を複数の判断区間に分割することができる。
【0050】
他の実施形態として、音響信号放出部110が周期的に音響信号を放出し、音響信号受信部130が、音響信号が放出される活性化時間区間と、音響信号が放出されない休止時間区間とを含む全体時間区間で監視対象空間の音響信号を受信する場合、音響信号前処理部210は、音響信号が放出される活性化時間区間と音響信号が放出されない休止時間区間とを区分して複数の判断区間を分割することができる。
【0051】
別の実施形態として、音響信号前処理部210は、時間ドメイン上で受信される受信音響信号を複数の判断区間に区分して分割し、各判断区間をフーリエ変換または高速フーリエ変換を介して周波数ドメイン上のスペクトルに変換することができる。
【0052】
ノイズ評価部230は、受信音響信号に対するノイズ程度を評価することができる。ノイズ評価部230は、受信音響信号全体をスキャンしながら任意区間のノイズ程度を評価することもでき、或いは音響信号前処理部210で受信音響信号を分割した複数の判断区間を対象としてノイズ程度を評価することができる。
【0053】
ノイズ評価部230は、複数の判断区間のそれぞれに対して、基準信号に基づいて受信音響信号のノイズを評価することができる。例えば、前記基準信号は、ノイズのない状態で音響信号放出部110で音響信号を放出し、音響信号受信部130で受信した音響信号に設定されることができ、受信音響信号を基準信号と対比することにより、受信音響信号にノイズが含まれた区間を評価することができる。
【0054】
受信音響信号を基準信号と対比する方法の1つとして、受信音響信号に対する包絡線分析(envelope analysis)を介してノイズを評価することができる。例えば、複数の判断区間のそれぞれに対する包絡線を検出し、検出された包絡線の形態と大きさを基準信号の包絡線と対比してノイズを評価することができる。
【0055】
受信音響信号を基準信号と対比する別の実施形態として、複数の判断区間のそれぞれに対して、受信音響信号をフーリエ変換または高速フーリエ変換を介して周波数ドメイン上でスペクトルに変換し、受信音響信号のスペクトルに基づいてノイズを評価することもできる。
【0056】
例えば、受信音響信号のスペクトル上に放出される音響信号の周波数成分以外の周波数成分が一定のレベル以上の音圧で表される場合、これは、ノイズが存在すると評価することができる。或いは、基準信号を周波数ドメイン上で変換した基準スペクトルと受信音響信号のスペクトルとを対比することにより、ノイズを評価することができる。
【0057】
ノイズ評価部230がノイズを評価する他の実施形態として、周波数フィルタを用いて、放出される音響信号周波数以外の他の周波数成分の受信強度を測定することにより、ノイズを評価することができる。例えば、ノイズが全くない状況では、放出される音響信号周波数帯域以外の他の周波数領域では音が受信されてはならないが、もし放出される音響信号周波数帯域以外の他の周波数領域で一定レベル以上の強度で音が受信される場合、これをノイズと見なすことができる。
【0058】
このような方法は、放出される音響信号の周波数とは異なる周波数成分のノイズが測定される場合には、そのノイズは、放出される音響信号の周波数と同じ周波数成分のノイズも含まれているか、或いはたとえそうでないとしても、空間の状況把握過程でエラーを招く蓋然性が高いという仮定から出発する。
【0059】
このとき、放出される音響信号周波数以外の他の周波数成分の受信強度を把握するために、適切な周波数フィルタを用いて、放出される周波数とそれ以外の周波数とを分離して受信し、分離された後者の周波数成分音響の受信強度を測定する方法を使用することができる。或いは、時間ドメイン上で受信される音響信号をフーリエ変換または高速フーリエ変換を介して周波数ドメイン信号に変換した後、放出周波数以外の周波数の受信強度を把握することもできる。
【0060】
ノイズ評価部230がノイズを評価する別の実施形態として、音響信号放出の有無による活性化時間区間と休止時間区間に判断区間が分割された場合、ノイズ評価部230は、特定活性化時間区間の前と後の休止時間区間に対するノイズを評価して、これに基づいて特定活性化時間区間に対するノイズを評価することができる。例えば、特定活性化時間区間前の休止時間区間または特定活性化時間区間後の休止時間区間に対してノイズレベルを算出してノイズを評価し、前記休止時間区間がノイズ区間と評価される場合、前記特定活性化時間区間をノイズ区間と判断することができる。
【0061】
上記実施形態では、説明の便宜上、音響信号の受信ステップが完了した後に、はじめてノイズ評価ステップが開始される場合を基準としてノイズ評価過程を説明した。しかし、必ずしも音響信号受信ステップが完了した後にノイズ評価ステップが開始される必要はない。
【0062】
例えば、特定区間の受信音響信号を高速フーリエ変換して周波数応答を測定し、測定された周波数応答を、基準となる周波数応答と比較することにより、特定区間のノイズを評価する場合には、必然的に特定区間の音響信号受信が完了した後にその区間のノイズ評価ステップが開始されなければならない。
【0063】
しかし、例えば、特定区間の受信音響信号の包絡線を検出し、これを基準信号の包絡線と比較してノイズを評価する場合には、その特定区間の音響信号の受信が完了した後に包絡線を比較するステップを開始してもよいが、その特定区間の音響信号の受信が完了する前から包絡線比較ステップを開始することがさらに好ましい。例えば、特定区間の音響信号を受信するステップは、t1で始まりt2で終了するとし、その特定区間のノイズを評価するステップは、t3で始まりt4で終了するとする。このとき、論理必然的に特定区間のノイズ評価完了時点t4は、特定区間の音響信号受信完了時点t2よりも以後の時間になるしかない。しかし、特定区間のノイズ評価開始時点t3は、その音響信号の受信完了時点t2よりも以後の時点である必要はない。むしろ、t3はt2よりも早い時間であって、t1直後の時間となることがさらに好ましい。結局、この場合は、音響信号の受信ステップとノイズ評価ステップは、時間的にほぼ重なり合うことができる。すなわち、論理的には、音響信号受信ステップがノイズ評価ステップよりも先立つことは当然であるが、物理的には、音響信号受信ステップとノイズ評価ステップが時間的にほぼ同時に行われることができる。これは、論理的には、音響信号放出ステップが音響信号受信ステップよりも先立つが、物理的には、音響信号放出ステップと音響信号受信ステップの時間が事実上重なるのと同様である。すなわち、特定区間の音響信号放出ステップがt5から始まりt6に終了するとするとき、t1は事実上t5と重なり、t2は事実上t6と等しくなる。結局、t1、t3、t5がほぼ同じ時間となり、t2、t4、t6がほぼ同じ時間となる。言い換えれば、(1)音響信号の放出と(2)音響信号の受信と(3)ノイズ評価は、論理的には順次行われるが、物理的にはほぼ同時に行われることができる。
【0064】
しかし、以下では、説明の便宜上、特定区間の音響信号受信ステップが完了した後に、はじめてその区間のノイズ評価ステップが開始される実施形態に基づいて説明する。
【0065】
図2において、状況判断区間抽出部250は、ノイズ評価部230のノイズ評価結果に基づいて、受信音響信号からノイズのない区間または相対的にノイズの小さい区間を状況判断区間として抽出することができる。
【0066】
一例として、ノイズ評価部230が複数の判断区間のそれぞれに対してノイズレベルを算出した場合、状況判断区間抽出部250は、基準値以下のノイズレベルを有する判断区間を状況判断区間として抽出することができる。或いは、状況判断区間抽出部250は、相対的に最も低いノイズレベルを有する判断区間を状況判断区間として抽出することもできる。
【0067】
このように抽出された状況判断区間は、対象空間の状況を判断する資料として使用できる資格を得る。したがって、状況判断区間抽出ステップの次のステップとして、抽出された状況判断区間で受信された音響信号を用いて前記対象空間に対する空間状況を判断するときに、抽出された状況判断区間で受信された音響信号全部が用いられてもよく、そのうちの一部のみ用いられてもよい。
【0068】
ノイズ回避部200を介して受信音響信号におけるノイズ区間を除外させた状況判断区間に基づいて、状況判断部170が監視対象空間の状況変化を判断することができるので、空間監視装置100の精度と信頼性が向上できる。
【0069】
本発明では、上述した空間監視装置100においてノイズ区間を回避して対象空間を監視する方法を提示するが、以下では、本発明に係るノイズ回避を通じた対象空間監視方法を、前述した本発明が適用される空間監視装置100の実施形態を一緒に参照して説明する。
【0070】
図3は、本発明による空間監視装置のノイズ回避を通じた対象空間監視方法に対する一実施形態のフローチャートを示す。
【0071】
空間監視装置100は、監視対象空間に音響信号を放出(S110)ことができる。ここで、空間監視装置100は、監視対象空間に、時間に応じて周波数が変わる単一音の音響信号を放出してもよく、複数の周波数成分を有する複合音の音響信号を放出してもよく、時間に応じて周波数が変化する複数の周波数成分を有する複合音の音響信号を放出してもよく、単一音と複合音が交番する音響信号を放出してもよい。
【0072】
そして、空間監視装置100は、監視対象空間の音響信号を受信(S130)することができる。
【0073】
空間監視装置100のノイズ回避部200は、受信音響信号のノイズを評価(S150)して受信音響信号からノイズのない区間または相対的にノイズの少ない区間を状況判断区間として抽出(S170)することができる。
【0074】
空間監視装置100は、ノイズの少ない状況判断区間に基づいて監視対象空間の状況を判断(S190)することができる。空間監視装置100の状況判断部170は、前記状況判断区間の音響信号に基づいて空間の周波数応答を測定して監視対象空間の状況変化を判断することができる。
【0075】
ノイズ回避部200が受信音響信号のノイズを評価して状況判断区間を抽出する過程を、図4に示された実施形態のフローチャートを参照してより詳細に考察する。上述したように、(1)音響信号の放出と(2)音響信号の受信と(3)ノイズ評価は、論理的には必ず順次行われなければならないが、物理的にはほぼ同時間に行われてもよい。しかし、説明の便宜上、図3および図4では、特定区間の音響信号受信ステップが完了した後に、はじめてその区間のノイズ評価ステップが開始される実施形態を示した。
【0076】
ノイズ回避部200の音響信号前処理部210は、音響信号受信部130から受信音響信号の伝達を受けて加工することができる。
【0077】
音響信号前処理部210は、受信音響信号を区間別に区分して複数の判断区間に分割することができる(S151)。
【0078】
ノイズ回避部200の音響信号前処理部210が受信音響信号を複数の判断区間に分割する過程と関連して、図5図12に示された本発明によるノイズ回避方法において受信音響信号を複数の判断区間に分割する一例を参照して考察する。
【0079】
中心周波数4KHzおよび周波数間隔4Hzの17個の周波数で構成された複合音の音響信号を放出して、前記図5のような受信音響信号310が受信された場合を仮定する。
【0080】
一実施形態として、音響信号前処理部210は、受信音響信号の周期に基づいて各区間を区分して複数の判断区間に分割することができる。例えば、前記図6のように受信音響信号310の周期を基に0.25秒の時間単位で区分して4つの区間S11(311)、S12(312)、S13(313)、S14(314)を判断区間として分割することができる。受信音響信号の分割は、周期の倍数に適宜設定できる。
【0081】
他の実施形態として、音響信号前処理部210は、予め設定された時間単位で受信音響信号の各区間を区分して複数の判断区間に分割することができる。例えば、前記図7のように、受信音響信号310を0.5秒の時間単位で区分して2つの区間S21(311、312)、S22(313、314)を判断区間として分割することができる。
【0082】
別の実施形態として、音響信号前処理部210は、音響信号の一部分が重複する区間に区分して複数の判断区間を分割することもできる。例えば、前記図8のように受信音響信号310を0.5秒の時間単位で区分するが、一部の区間が重複して3つの区間S23(311、312)、S24(312、313)、S25(313、314)を判断区間として分割することもできる。また、前記図9のように受信音響信号310を0.75秒の時間単位で区分するが、一部の区間が重複して2つの区間S26(311、312、313)、S27(312、313、314)を判断区間として分割することもできる。
【0083】
受信音響信号の全長、および個別判断区間の長さは、必要に応じて適宜設定できる。例えば、受信音響信号の全長は、5分であっても、24時間であってもよい。
【0084】
音響信号前処理部210は、受信音響信号を複数の判断区間に区分して分割し、各判断区間をフーリエ変換または高速フーリエ変換を介して周波数ドメイン上のスペクトルに変換することもできる。
【0085】
さらに、時間に応じて周波数が変わる単一音の音響信号を放出して、前記図10のように1.5秒間受信音響信号410が受信された場合を仮定する。
【0086】
音響信号前処理部210は、前記図11のように音響信号の周期を基に0.5秒の時間単位で区分して3つの区間S31(411)、S32(412)、S33(413)を判断区間として分割することができる。
【0087】
或いは、音響信号前処理部210は、前記図12のように音響信号の周期を問わず、0.25秒の時間単位で区分して6つの区間S34(414)、S35(415)、S36(416)、S37(417)、S38(418)、S39(419)を判断区間として分割することができる。
【0088】
音響信号前処理部210が受信音響信号を必要に応じて加工して複数の判断区間に分割した状態で、ノイズ回避部200のノイズ評価部230は、受信音響信号の各判断区間に対してノイズ程度を評価してノイズレベルを算出(S153)することができる。
【0089】
ノイズ評価部230は、判断区間を基準信号と対比してノイズレベルを算出することができる。ここで、基準信号は、ノイズのない状態で音響信号放出部110から放出される音響信号を音響信号受信部130で受信した受信音響信号に基づいて設定できる。
【0090】
一例として、図13は、本発明によるノイズ回避方法における基準信号の一例を示す。
【0091】
前記図5のような受信音響信号310に対して、前記図6のように受信音響信号の周期に基づいて判断区間を分割した場合、これに対応して前記図13のような基準信号320を設定することができる。ノイズ評価部230は、このような基準信号320をそれぞれの判断区間と対比してそれぞれの判断区間に対するノイズを評価することができる。
【0092】
また、前記図14のような基準信号に対する包絡線を抽出して基準包絡線325として設定することができる。ノイズ評価部230は、このような基準包絡線325をそれぞれの判断区間の包絡線と対比してそれぞれの判断区間に対するノイズを評価することができる。
【0093】
一例として、ノイズ評価部230は、それぞれの判断区間と基準信号320とを対比するか、或いはそれぞれの判断区間に対する包絡線と基準包絡線325とを対比して、その差異程度に応じてノイズレベルを算出することができる。
【0094】
一例として、音響信号前処理部210で各判断区間を周波数ドメイン上のスペクトルに変換した場合、ノイズ評価部230は、受信音響信号のスペクトル上に放出される音響信号の周波数成分以外の周波数成分が一定レベル以上の音圧で表されるかを判断してノイズレベルを算出してもよく、或いは、基準信号を周波数ドメイン上で変換した基準スペクトルと受信音響信号のスペクトルとを対比してノイズレベルを算出してもよい。
【0095】
そして、ノイズ回避部200の状況判断区間抽出部250は、ノイズ評価部230の評価結果に基づいて、受信音響信号からノイズのない区間または相対的にノイズの小さい区間を状況判断区間として選択(S155)して抽出(S170)することができる。
【0096】
受信音響信号に対してノイズを評価して状況判断区間を抽出する過程に関連して、図15図23を参照して説明する。
【0097】
図15および図16は、本発明によるノイズ回避方法において持続的なノイズが存在する受信音響信号に対してノイズを回避する一例を示す。
【0098】
前記図15のように1秒間受信された受信音響信号330を音響信号前処理部210が周期0.25秒を基に複数の判断区間S41(331)、S42(332)、S43(333)、S44(334)に分割することができる。
【0099】
それぞれの判断区間S41(331)、S42(332)、S43(333)、S44(334)に対して、ノイズ評価部230が基準信号に基づいてノイズを評価すると、前記図16のように判断区間S41(331)に持続的なノイズ335が存在し、判断区間S43(333)とS44(334)にわたって持続的なノイズ336が存在すると評価できる。
【0100】
ここで、各判断区間S41(331)、S42(332)、S43(333)、S44(334)に対するノイズ評価は、周波数フィルタを用いて、放出される音響信号の周波数帯域以外の他の周波数領域で受信される音の強度を測定することにより、各判断区間S41(331)、S42(332)、S43(333)、S44(334)に対するノイズを評価することができる。
【0101】
或いは、基準信号に対する包絡線を抽出した基準包絡線と、各判断区間S41(331)、S42(332)、S43(333)、S44(334)の包絡線とを対比して、各判断区間S41(331)、S42(332)、S43(333)、S44(334)に対するノイズを評価することができる。
【0102】
または、各判断区間に対して、受信音響信号をフーリエ変換または高速フーリエ変換して周波数ドメイン上でスペクトルとして表現し、各判断区間のスペクトル上に放出される音響信号の周波数成分以外の周波数成分が一定レベル以上の音圧で表されるかを判断してノイズを評価することもできる。或いは、基準信号を周波数ドメイン上で変換した基準スペクトルと各判断区間のスペクトルとを対比することにより、ノイズを評価することもできる。
【0103】
さらに、各判断区間に対して、上述した複数の評価方式を選択的に重畳適用してノイズを評価することもできる。
【0104】
このようなノイズ評価部230の評価結果に基づいて、状況判断区間抽出部250は、ノイズがない或いは相対的にノイズが最も少ない判断区間S42(332)を状況判断区間として選択することができる。
【0105】
そして、前記図17のように、状況判断区間抽出部250は、受信音響信号330から状況判断区間にS42(332)を抽出することができる。
【0106】
他の実施形態として、図18図20は、本発明によるノイズ回避方法において一時的なノイズが存在する受信音響信号に対してノイズを回避する一例を示す。
【0107】
前記図18のように、1秒間受信された受信音響信号340を音響信号前処理部210が周期0.25秒を基に複数の判断区間S51(341)、S52(342)、S53(343)、S54(344)に分割することができる。
【0108】
それぞれの判断区間S51(341)、S52(342)、S53(343)、S54(344)に対してノイズ評価部230がノイズを評価すると、前記図19のように判断区間S51(341)に一時的ノイズ345が存在し、判断区間S54(343)に一時的ノイズ346が存在すると評価できる。
【0109】
ここで、各判断区間S51(341)、S52(342)、S53(343)、S54(344)に対するノイズ評価は、前記図8によって前述した方式が適用できる。
【0110】
このようなノイズ評価部230の評価結果に基づいて、状況判断区間抽出部250は、ノイズのない或いは相対的にノイズの最も少ない判断区間S52(342)とS53(343)を状況判断区間として選択することができる。
【0111】
そして、前記図20のように、状況判断区間抽出部250は、受信音響信号330から状況判断区間としてS52(342)とS53(343)のいずれか一方または両方を抽出することができる。
【0112】
別の実施形態として、図21図23は、本発明によるノイズ回避方法において活性化時間区間と休止時間区間を有する受信音響信号を分割してノイズを回避する一例を示す。
【0113】
前記図21のように、1.5秒間受信された受信音響信号350が活性化時間区間と休止時間区間とを含む場合、音響信号前処理部210は、受信音響信号の周期を考慮して活性化時間区間S62(352)、S64(354)、S66(356)と休止時間区間S61(351)、S63(353)、S65(355)を区分して判断区間を分割することができる。
【0114】
そして、前記図22のように、ノイズ評価部230は、休止時間区間である判断区間S61(351)、S63(353)、S65(355)を抽出し、これを対象としてノイズを評価することができる。このときは、音響信号放出部110が音響信号を放出しない休止時間区間であるので、この区間では、音響信号が受信されないか、或いは音響信号が受信されても、その大きさが十分に小さいか、或いはその音響信号の周波数が放出音響信号の周波数とは異なり空間の状況判断に影響を与える程度が基準以下に小さい場合、全体としてノイズがないか小さいと評価することができる。
【0115】
状況判断区間抽出部250は、ノイズ評価部230の評価結果に基づいて状況判断区間を抽出することができるが、活性化時間区間の前または後の休止時間区間がノイズ区間と評価される場合、当該活性化時間区間をノイズ区間として評価することができる。すなわち、活性化時間区間前の休止時間区間または活性化時間区間後の休止時間区間にノイズが存在する場合には、これは、当該活性化時間区間にもノイズが存在する可能性が高いので、当該活性化時間区間をノイズ区間とみなすことができる。
【0116】
前記図22の場合、休止時間区間S61(351)とS63(353)は、ノイズが存在しないか或いは一定レベル以下のノイズが存在すると評価できるが、休止時間区間S65(355)は、ノイズ357が存在すると評価できる。
【0117】
休止時間区間S65(355)がノイズ区間として評価されるので、休止時間区間S65(355)前の活性化時間区間S64(354)は、ノイズ区間と見なされることができ、或いは、休止時間区間S65(355)後の活性化時間区間S66(356)もノイズ時間区間と見なされることができる。
【0118】
活性化時間区間S62(352)は、前の休止時間区間S61(351)と後の休止時間区間S63(353)の両方が、ノイズが存在しないか或いは一定レベル以下のノイズが存在すると評価できるので、状況判断区間抽出部250は、活性化時間区間S62(352)を状況判断区間として選択することができる。
【0119】
そして、前記図23のように、状況判断区間抽出部250は、受信音響信号350から状況判断区間としてS62(352)を抽出することができる。
【0120】
前記図15図23を参照して説明した実施形態は、放出される音響信号が複合音である場合を対象として説明したが、音響信号放出部110で、時間に応じて周波数が変わる単一音の音響信号を放出する場合でも、前記図15~前記図23のノイズ評価方式を適用してノイズ区間を評価することができる。
【0121】
例えば、前記図10のような時間に応じて周波数が変わる単一音の受信音響信号410に対してノイズを評価する場合、前記図11または前記図12のように判断区間を区分して分割し、それぞれの判断区間に対して上述したノイズ評価方式を導入してノイズを評価することができる。そして、ノイズがないか或いは相対的に少ない判断区間を状況判断区間として抽出することができる。
【0122】
さらに、複数の判断区間に対するノイズ評価によって、ノイズがない或いは相対的に少ない複数の判断区間を抽出し、抽出された複数の判断区間を組み合わせて新たな受信音響信号に合成した状況判断区間を生成することができるが、これに関連して図24図26を参照して説明する。
【0123】
前記図24のような時間に応じて周波数が変わる単一音の受信音響信号420を取得した場合、受信音響信号420を、前述したように複数の判断区間S71(421)~S76(426)に区分して分割することができる。
【0124】
それぞれの判断区間S71(421)~S76(426)に対して、前述したようなノイズ評価を介して前記図25のようにノイズのない或いは相対的にノイズの少ない判断区間S72(422)、S75(425)を抽出することができる。
【0125】
そして、抽出された判断区間S72(422)、S75(425)を音響信号の周期に合わせて組み合わせることにより、前記図26のような受信音響信号430として状況判断区間S77(431、432)を生成することができる。
【0126】
このようにノイズのない或いは相対的にノイズの少ない判断区間を抽出し、合成して新しい状況判断区間を生成することにより、効果的にノイズを回避した音響信号を得ることができる。
【0127】
一方、受信音響信号の全長、個別判断区間の間隔、そして全体受信音響信号から抽出する状況判断区間の数は、必要に応じて調節することができる。
【0128】
一方、上記では、一定の判断区間間隔を予め設定した後に、各判断区間別にノイズ評価を行い、その一部を状況判断区間として選定する方法を例示したが、これとは異なり、最初から判断区間を指定せず、受信された音響信号を全体的にスキャンしてノイズのない任意の間隔の区間を抽出して状況判断区間として設定することもできる。
【0129】
以上のように、本発明では、受信音響信号におけるノイズ区間を回避して監視対象空間の空間状況を判断することができるので、空間監視装置の精度と信頼性をさらに高めることができる。
【0130】
さらに、受信音響信号に対して包絡線分析や帯域フィルタリングなどの様々なノイズ評価方式を選択的に適用するか、或いは複合的に適用してより精密に受信音響信号上でノイズ区間を回避することができる。
【0131】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱することなく多様な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明に記載された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものである。これらの実施形態によって本発明の技術思想が限定されない。本発明の保護範囲は、以下の請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は、発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
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【国際調査報告】