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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】油冷式排気タービン装置
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20240822BHJP
   F02B 37/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F02B39/00 N
F02B37/00 302D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515161
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2022075421
(87)【国際公開番号】W WO2023037008
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】21196319.4
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21210804.7
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522066067
【氏名又は名称】ターボ システムズ スウィツァーランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】モスジエン モリッツ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ガンテルト シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヨース ウォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】マラ ダヴィデ
【テーマコード(参考)】
3G005
【Fターム(参考)】
3G005EA16
3G005FA32
3G005FA33
3G005GB61
3G005GB91
3G005GB93
(57)【要約】
明細書において説明する実施形態によれば、油冷式排気タービン装置(100)が提供される。油冷式排気タービン装置は、タービンホイール(106)付きの回転可能なシャフト(105)と、軸受(112)を備えた支承部材(110)と、第1の封止装置(132)をタービンホイールと支承部材との間に軸方向に提供するための封止ブッシュ部分(130)を備えた軸受箱(120)と、軸受箱の内面(122)を冷却するオイル冷却チャンバ(140)と、オイルをオイル冷却チャンバ(140)中に提供するオイルチャネル(114)と、支承部材(110)と封止ブッシュ部分(130)との間に軸方向に配置されたオイル排出チャンバ(150)と、オイル排出チャンバの半径方向外側を、少なくとも垂直方向頂側円周方向線分を描いて、包囲していて、オイル冷却チャンバからオイル排出チャンバを覆うオイル遮断壁(160)とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油冷式排気タービン装置(100)であって、前記排気タービン装置は、
タービンホイール(106)を備えた回転可能なシャフト(105)を有し、
前記シャフトを回転可能に支持する軸受(112)を備えた支承部材(110)を有し、
前記支承部材(110)を受け入れた軸受箱(120)を有し、前記軸受箱は、前記タービンホイール(106)と前記支承部材(110)との間の軸方向位置で前記シャフトに向かって半径方向内方に延びていて、第1の封止装置(132)を前記タービンホイールと前記支承部材との間で軸方向に提供する封止ブッシュ部分(130)を有し、
前記軸受箱の内面(122)を冷却するオイル冷却チャンバ(140)を有し、
前記排気タービン装置は、オイルを前記オイル冷却チャンバ(140)中に提供し、前記オイルを冷却媒体として用いて前記軸受箱の前記内面を冷却するオイルチャネル(114)を有し、
前記支承部材(110)と前記封止ブッシュ部分(130)との間で軸方向に配置されたオイル排出チャンバ(150)を有し、
前記排気タービン装置は、前記オイル排出チャンバの半径方向外側を、少なくとも垂直方向頂側円周方向線分を描いて、包囲していて、前記オイル冷却チャンバから前記オイル排出チャンバを覆うオイル遮断壁(160)をさらに有し、
前記オイル遮断壁(160)は、前記封止ブッシュ部分(130)および前記支承部材(110)のうちの一方と一体に形成され、
前記オイル遮断壁(160)は、前記封止ブッシュ部分(130)および前記支承部材(110)のうちの他の一方と軸方向にオーバーラップした壁先端部(162)をさらに有する、油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項2】
前記オイル排出チャンバ(150)は、前記シャフト(105)および/または前記支承部材(110)の軸受ブッシュから半径方向外方に延びる、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項3】
前記オイル遮断壁(160)は、前記封止ブッシュ部分(130)および前記支承部材(110)のうちの前記一方のところで壁基部から軸方向に延びる軸方向壁部分を有する、請求項1または2記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項4】
前記オイル遮断壁(160)は、特に前記壁先端部のところで前記壁部分から半径方向外方に延びる半径方向壁部分(164)をさらに有する、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項5】
前記オイル排出チャンバ(150)は、少なくとも、前記支承部材(110)のタービンに向いた側壁および前記封止ブッシュ部分(130)の支承部材に向いた側壁によってさらにオプションとして前記シャフトによって形成されている、請求項1~4のうちいずれか一に記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項6】
前記オイル冷却チャンバ(140)は、前記軸受箱(120)および前記支承部材(110)によって軸方向に画定され、前記封止ブッシュ部分(130)は、少なくとも部分的に半径方向内方からかつ前記タービンホイール(106)から軸方向に前記オイル冷却チャンバ(140)を画定している、請求項1~5のうちいずれか一に記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項7】
前記オイル排出チャンバ(150)は、前記オイル排出チャンバ(150)の垂直方向底側のところにオイル排出開口部(152)を有し、特に前記オイル排出開口部は、0°超の角度から少なくとも180°の角度までの範囲にある円周方向開き角度(α)を定めている、請求項1~6のうちいずれか一に記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項8】
前記オイル冷却チャンバ(140)は、前記オイル冷却チャンバ(140)からオイルを受け入れるオイル凹部(142)を有し、前記オイル凹部(142)は、排出チャネル(144)を形成し、前記排出チャネル(144)は、冷却用オイルを前記回転可能シャフト回りで前記オイル排出チャネル(144)に沿って下方に案内するために少なくとも部分的に円周方向に延びている、請求項1~7のうちいずれか一に記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項9】
オイル排出部が前記シャフト(105)の下に垂直方向に配置され、前記排出チャネル(144)は、前記オイル冷却チャンバ(140)および/または前記オイル遮断壁(160)から受け取ったオイルを前記オイル排出部に案内するよう構成されている、請求項1~8のうちいずれか一に記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項10】
前記第1の封止装置(132)は、封止要素を有し、前記シャフト(105)は、前記封止要素を支持する空所(570)を有し、特に、前記封止要素は、ピストンリング(572)である、請求項1~9のうちいずれか一に記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項11】
第2の封止装置(166)が前記オイル遮断壁(160)と前記支承部材(110)との間および/または前記オイル遮断壁(160)と前記封止ブッシュ部分(130)との間に設けられている、請求項1~10のうちいずれか一に記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項12】
前記オイル遮断壁(160)は、前記オイルチャネル(114)の半径方向内方に配置され、特に、前記支承部材(110)は、前記オイルチャネル(114)を有する、請求項1~11のうちいずれか一に記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項13】
前記第2の封止装置(166)は、封止ギャップ、封止リング、ラビリンスシール、接触シール、シール空気および/またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11または12記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項14】
前記支承部材(110)は、前記支承部材(110)の前記タービンの向いた側壁のところにオイル偏向プレート(170)を有し、前記オイル遮断壁(160)は、前記オイル偏向プレートと軸方向にオーバーラップする、請求項1~13のうちいずれか一に記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項15】
前記油冷式排気タービン装置(100)は、ターボチャージャまたはパワータービンである、請求項1~14のうちいずれか一に記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、排気タービン装置、例えばターボチャージャ、特に、油冷式排気タービン装置に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、半径方向支承および封止装置を有する油冷式排気タービン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排気タービン装置、例えば排ガスターボチャージャが内燃エンジンの出力を増大させるために用いられることが知られている。かかる排ガスターボチャージャでは、タービンが内燃エンジンの排ガス経路内に設けられ、コンプレッサが内燃エンジンの上流側に配置され、このコンプレッサは、共通のシャフトを介してタービンに連結される。シャフトは、典型的には、軸受箱内に支持されたシャフト軸受によって支持される。かくして、排ガスターボチャージャは、一般に、ロータ、シャフト用の軸受組立体、流れ案内ハウジング区分(コンプレッサハウジングおよびタービンハウジング)および軸受箱によって構成される。ロータは、シャフト、インペラおよびタービンホイールを含む。
【0003】
排気タービン装置は、内燃エンジンの排ガス内に蓄えられたエネルギーを回転エネルギーに変換させることができる。内燃エンジンに給気する(加圧新気を供給する)ためにこの回転エネルギーを用いるターボチャージャの場合、シリンダ内のキャパシティおよびかくして燃料混合気が増大し、それにより、内燃エンジンのための顕著な出力増大が得られる。パワータービンの場合、回転エネルギーを電気的または機械的エネルギーに変換することができる。この場合、排ガスターボチャージャの場合のようなコンプレッサではなく、例えば、発電機または機械的消費装置がタービンシャフトに連結される。
【0004】
排気タービン装置のシャフト軸受は、典型的には、潤滑油(オイル)によって潤滑される。
【0005】
タービン側および圧縮機側流れ領域内におけるプロセス圧力が高いために、排ガスターボチャージャのシャフトは、軸受箱に対して適当な封止手段で封止される。軸受箱内の内圧は、通常、大気圧に一致する。しかしながら、コンプレッサ側およびタービン側の流れ通路内のガス圧力は、排ガスターボチャージャの現在の作動点に依存し、そして、作動点は、軸受箱の空所内の圧力をせいぜい上回る程度である。しかしながら、あるいくつかの場合、負圧もまた、例えば部分負荷作動または休止状態においては考慮に入れられるべきである。
【0006】
給気システムのシャフト軸受に供給される潤滑油は、典型的には、各種コンポーネントのガス経路中へのオイルの漏れを回避するためにシャフトシールによって封止される必要がある。しかしながら、油冷式給気システムでは、給気システム内のオイル負荷は、互いに異なる圧力条件に起因してはなはだしく増大する場合があり、その結果、オイルの漏れが例えばシャフトシールのところでたやすく起こる場合がある。特に、潤滑油が軸受箱を冷却するためにも用いられる場合のある油冷式システムでは、高いオイル負荷によりオイルの漏れが増大する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、オイルの漏れを防止するための改良型封止性能を備えた給気システムが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述したことに照らして、油冷式排気タービン装置が提供される。油冷式排気タービン装置は、タービンホイールを備えた回転可能なシャフトと、シャフトを回転可能に支持する軸受を備えた支承部材と、支承部材を受け入れた軸受箱とを有し、軸受箱は、タービンホイールと支承部材との間の軸方向位置でシャフトに向かって半径方向内方に延びていて、第1の封止装置をタービンホイールと支承部材との間で軸方向に提供する封止ブッシュ部分を有し、油冷式排気タービン装置は、軸受箱の内面を冷却するオイル冷却チャンバをさらに有する。排気タービン装置は、オイルをオイル冷却チャンバ中に提供し、オイルを冷却媒体として用いて軸受箱の内面を冷却するオイルチャネルと、支承部材と封止ブッシュ部分との間で軸方向に配置されたオイル排出チャンバとをさらに有する。排気タービン装置は、オイル排出チャンバの半径方向外側を、少なくとも垂直方向頂側円周方向線分を描いて、包囲していて、オイル冷却チャンバからオイル排出チャンバを覆うオイル遮断壁をさらに有する。
【0009】
諸実施形態はまた、上述の装置を作動させる方法に関する。かかる方法は、排気タービン装置のあらゆる機能を実行するための方法観点を含む。
【0010】
本発明の上述の列記した特徴を深く理解することができるよう、上記において概要説明した本発明のより具体的な説明を諸実施形態に関して行うものとする。添付の図面は、本発明の諸実施形態に関しており、かかる添付の図面について以下のように説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書において説明する実施形態としての排気タービン装置の断面正面図である。
図2】本明細書において説明する実施形態としての排気タービン装置の断面側面図である。
図3】本明細書において説明する実施形態としての排気タービン装置の断面側面図である。
図4】本明細書において説明する実施形態としての排気タービン装置の断面側面図である。
図5A】本明細書において説明する実施形態としての排気タービン装置の断面側面図である。
図5B】本明細書において説明する実施形態としての排気タービン装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
今、本発明の種々の実施形態を詳細に参照するが、これら実施形態のうちの1つ以上の実施例が図面に示されている。図面の以下の説明の範囲内において、同一の参照符号は、同一のコンポーネントを指している。一般に、個々の実施形態に関する相違点のみを説明する。各実施例は、開示の説明のために設けられており、したがって、本発明を限定と受け取られるべきではない。さらに、1つの実施形態の一部として図示しまたは説明する特徴を他の実施形態に用いることができまたは他の実施形態と関連して用いることができることにより、さらに別の実施形態が得られる。本発明は、かかる改造例および変形例を含むものである。
【0013】
図面の以下の説明の範囲内において、同一の参照符号は、同一または類似のコンポーネントを指している。一般に、個々の実施形態に関する相違点のみを説明する。別段の指定がなければ、1つの実施形態の一部または一観点の説明は、別の実施形態の対応の部分または観点にも当てはまる。
【0014】
本明細書において説明する任意他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、油冷式排気タービン装置が提供される。排気タービン装置は、ターボチャージャまたはパワータービンであるのがよい。排気タービン装置は、タービンホイールを備えた回転可能なシャフトを有する。タービンは、ラジアルタービン(タービンホイールの上流側に実質的に半径方向の流れコンポーネントを備え、この半径方向流れコンポーネントはまた、混合流または斜め流れタービンを含む)であるのがよい。シャフトは、回転軸線特に水平方向回転軸線回りに回転するのがよい。シャフトは、このシャフトの互いに反対側の軸方向側部でタービンホイールとコンプレッサホイール(または、別の負荷、例えば発電機)を連結するのがよい。
【0015】
諸実施形態によれば、タービン装置は、シャフトの回転可能を支持する軸受を含む支承部材を有する。シャフトは、軸受内で回転することができる。軸受は、平(滑り)軸受または転がり軸受であるのがよい。軸受は、ラジアル軸受および/またはアキシャル軸受であるのがよい(を含むのがよい)。軸受は、軸受内でのシャフトの回転を可能にする軸受ブッシュを含むのがよい。支承部材は、軸受箱内に支承部材を取り付ける軸受フランジを含むのがよい。
【0016】
本明細書において説明する任意他の実施形態を組み合わせることができる諸実施形態によれば、タービン装置は、軸受箱を有するのがよい。軸受箱は、支承部材を収容しまたは受け入れるよう構成されているのがよい。支承部材は、軸受箱とは別体であるのがよく、また、軸受箱の中央空所中に取り外し可能に挿入可能であるのがよい。支承部材は、軸受フランジを介して軸受箱に取り付けられるのがよい。軸受箱は、軸受を含む支承部材を少なくとも部分的に半径方向に包囲するのがよい。
【0017】
諸実施形態によれば、軸受箱は、タービンホイールに向かって軸方向に延びるのがよい。軸受箱は、支承部材とタービンホイールとの間にバリヤをもたらすことができ、すなわち、軸受箱は、支承部材をタービンホイール寄りで画定するのがよい。特に、軸受箱は、支承部材を軸方向に画定するのがよい。
【0018】
諸実施形態によれば、軸受箱は、タービンホイールと支承部材との間の軸方向位置のところでシャフトに向かって半径方向内方に延びる封止ブッシュ部分を有する。封止ブッシュ部分は、軸受箱のタービンに向いた壁であるのがよい。例えば、封止ブッシュ部分は、軸受箱と一体に形成されるのがよい。変形例として、封止ブッシュ部分は、軸受箱の別個のコンポーネントであってもよい。追加的にまたは代替的に、封止ブッシュ部分と支承部材は、互いに対して別々のコンポーネントであるのがよく、すなわち、封止ブッシュ部分と支承部材は、互いに対して非一体的に形成されるのがよい。さらに、支承部材は、軸受箱の別個のコンポーネントであるのがよい。したがって、封止ブッシュ部分と支承部材の両方は、軸受箱とは別個のコンポーネントであるのがよく、すなわち、封止ブッシュ部分と支承部材は両方とも、軸受箱と非一体的に形成されるのがよい。追加的にまたは代替的に、封止ブッシュ部分は、軸受箱とは別体であってもよく(非一体的であってもよく)、他方、支承部材は軸受箱と一体に形成されてもよい。変形例として、封止ブッシュ部分は、軸受箱と一体に形成されてもよく、支承部材は、軸受箱と別体であってもよい(非一体的に形成されてもよい)。
【0019】
本明細書において説明する任意他の実施形態と組み合わせることができる諸実施形態によれば、排気タービン装置は、オイル供給システムを有するのがよい。オイル供給システムは、軸受を潤滑するために、オイル、特に潤滑油を、支承部材、特に軸受にもたらすことができる。オイル供給システムは、オイル、例えば冷却用オイルをオイルチャネルに、そしてこれを通ってオイル冷却チャンバにもたらすよう構成されているのがよい。したがって、オイル供給システムは、軸受箱を冷却するため、特に軸受箱のタービンに向いた壁を冷却するために、オイルを支承部材およびオイル冷却チャンバにもたらすよう構成されているのがよい。
【0020】
本明細書において説明する任意他の実施形態と組み合わせることができる諸実施形態によれば、タービン装置、特に軸受箱は、軸受箱の内面を冷却するオイル冷却チャンバを有するのがよい。軸受箱の内面は、封止ブッシュ部分の内側、すなわち支承部材に向いた封止ブッシュ部分の側を含むのがよい。追加的にまたは代替的に、軸受箱の内面は、軸受箱のタービンに向いた壁の内側であってもよい。オイル冷却チャンバは、支承部材と軸受箱および/または封止ブッシュ部分との間の空間であるのがよい。換言すると、オイル冷却チャンバは、軸受箱および支承部材によって構成されるのがよい。さらに、オイル冷却チャンバは、シャフトおよび/または軸受によって少なくとも部分的に画定されるのがよい。
【0021】
諸実施形態によれば、オイル冷却チャンバは、シャフトを少なくとも部分的に包囲するのがよい。オイル冷却チャンバは、シャフトを(少なくとも部分的)に包囲するのがよく、特に、オイル冷却チャンバは、シャフトの垂直方向頂側領域のところに配置されるのがよい。オイル冷却チャンバは、軸受箱および支承部材によって軸方向に画定されるのがよい。さらに、封止ブッシュ部分は、少なくとも部分的に半径方向内方からかつタービンホイールから軸方向にオイル冷却チャンバを画定するのがよい。
【0022】
諸実施形態によれば、オイル冷却チャンバは、オイル冷却チャンバの内面を冷却するためオイルを備えるのがよい。オイル冷却チャンバは、オイルチャネルからオイル、特に潤滑油を受け入れるのがよい。オイルチャネルは、タービン装置内に配置されるのがよい。換言すると、排気タービン装置は、オイルチャネルを有するのがよい。特に、支承部材、例えば軸受フランジは、オイルチャネルを有するのがよい。オイルチャネルは、タービン装置の壁に設けられたボアであるのがよい。オイルチャネルは、オイルを軸受箱の内面および/またはオイル冷却チャンバに向かってスプレーするよう軸受箱の内面および/またはオイル冷却チャンバの方へ差し向けられるのがよい。オイルチャネルは、オイル冷却チャンバの内面を冷却するため、およびかくして軸受箱を冷却するために、オイルをオイル冷却チャンバの内面に向かってスプレーするボアおよび/またはノズルであるのがよい。冷却は、冷却用オイルが軸受箱の内面に沿って下って流れることによって起こるのがよい。
【0023】
諸実施形態によれば、オイル冷却チャンバは、オイルをオイル冷却チャンバから受け入れるオイル凹部を有するのがよい。オイル凹部は、支承部材および/または封止ブッシュ部分のところに配置されるのがよい。例えば、オイル凹部は、支承部材および/または封止ブッシュ部分のうちの一方と一体に形成されるのがよい。オイル冷却チャンバの内面は、オイルを内面の凹部まで案内するためにオイル凹部まで半径方向内方に延びるのがよい。オイル凹部は、排出チャネルを形成するのがよい。排出チャネルは、冷却用オイルを回転可能なシャフト回りに排出チャネルに沿って下方に案内するために少なくとも部分的に円周方向に延びるのがよい。排出チャネルは、冷却用オイルをオイル排出チャネルに向かって案内するよう構成されているのがよい。オイル凹部および/または排出チャネルは、オイルチャネルの位置と比較して、半径方向内方の位置に配置されるのがよい。
【0024】
諸実施形態によれば、排気タービン装置は、オイル排出部(オイルドレン)を有するのがよい。オイル排出部は、シャフトの下に垂直方向に配置されるのがよい。オイル排出部は、オイルをオイル冷却チャンバから受け入れるよう構成されているのがよい。オイル排出部はさらに、受け入れたオイルをオイル供給システムに戻すよう構成されているのがよい。かくして、オイルを潤滑および/または冷却のために再使用することができる。
【0025】
本明細書において説明する任意他の実施形態と組み合わせることができる諸実施形態によれば、封止ブッシュ部分は、第1の封止装置をタービンホイールと支承部材との間に軸方向に提供するよう構成されている。封止装置は、封止ブッシュ部分とシャフトとの間に半径方向に設けられるのがよい。特に、シャフトは、回転するのがよく、封止装置は、封止ブッシュ部分に対して静止状態に配置されるのがよい。第1の封止装置は、軸受側からの(例えば、軸受および/または排出チャンバからの)オイル(潤滑油または冷却用オイル)がタービンホイールに向かって、すなわち、排気タービン装置のガス通路に向かって流入するのを阻止することができる。加うるに、第1の封止装置は、タービンホイールからの高温ガスが軸受側に向かって流入するのを阻止することができる。本明細書において、「阻止」という用語は、第1の封止装置がオイルおよび/または高温ガスに対して実質的な封止効果を有し、その結果、例えば、圧力降下が封止装置によって実質的に持続されるようになっていること(軸受側を本質的に、タービン側のところが過剰圧力下にあっても大気圧に保つことができるようになっていること)を意味している。他方、「阻止する」という用語は、例えば、少ない残留量のオイルおよび/または高温ガス(「ブローバイ(blowby)」)が第1の封止装置を通過することを排除することはない。
【0026】
諸実施形態によれば、第1の封止装置は、オイルがタービンホイールに達するのを阻止するよう複数の封止要素を含むのがよい。封止要素は、1つ以上のオイル捕捉チャンバ、ピストンリング、封止リング、封止隙間、ラビリンスシール、シール空気および/またはこれらの組み合わせを含むのがよい。有利には、複数の封止要素が第1の封止装置内に設けた結果として、タービンホイールに達する恐れのあるオイル負荷が減少する。
【0027】
本明細書において説明する任意他の実施形態と組み合わせることができる諸実施形態によれば、第1の封止装置は、1つの封止要素、例えばピストンリングであるのがよく、またはこれを含むのがよい。追加的にまたは代替的に、第1の封止装置は、2つ(または3つ以上)の封止要素であってもよくあるいはこれらを含んでもよい。特に、2つの封止要素は、オイル捕捉チャンバおよびピストンリングであるのがよい。タービンに向かう方向において軸方向に、オイル捕捉チャンバおよびピストンリングが列をなして配置されるのがよく、すなわち、ピストンリングは、オイル捕捉チャンバと比較してタービン側に軸方向により近くに設けられるのがよい。追加的に、第1の封止装置は、例えば2つのピストンリングを互いに隣り合って有することによって、別のピストンリングを含むのがよい。かくして、封止装置は、全部で2つの封止要素(例えば、1つのピストンリングおよび1つのオイル捕捉チャンバ)または3つの封止要素(例えば、2つのピストンリングおよびオイル捕捉チャンバ)を有するのがよい。全部で2つまたは3つの封止要素をこのように封止装置について選択することによって、第1の封止装置は、(軸方向)空間要件と封止機能の良好なバランスを提供するよう適切に寸法決めされるのがよい。
【0028】
本明細書において説明する任意他の実施形態と組み合わせることができる諸実施形態によれば、シャフトは、ピストンリングを支持するため、例えば、ピストンリングをシャフトと(静止)封止ブッシュ部分との間にクランプするための空所を提供することができる。さらに、ピストンリングは、油冷式排気タービン装置が作動状態にあるとき、シャフトの空所に軸方向に圧接されるのがよい。空所は、軸方向反対側に設けられた第1の壁および第2の壁を有するのがよい。第1の壁は、空所の軸受側に配置されるのがよく、第2の壁は、空所のタービン側に配置されるのがよい。かくして、ピストンリングは、空所の第1の壁に軸方向に圧接されるのがよい。第1の壁は、軸受側の凹部をさらに有するのがよい。凹部の半径方向外方に、封止ブッシュ部分は、ピストンリングに隣接して、すなわち、ピストンリングに対して軸受側に半径方向くぼみを有するのがよい。追加的にまたは代替的に、ピストンリングは、このくぼみのところに設けられるのがよく、すなわち、くぼみは、ピストンリングをシャフトのところに提供するよう、特にこのピストンリングを作動中にシャフトに圧接することができることを支援するよう軸方向に延びるのがよい。
【0029】
諸実施形態によれば、空所は、ピストンリングを空所の第1の壁に向かって軸方向に押圧することができるようピストンリングのタービンに向いた側に空間を提供するのがよい。空間は、空所の第2の壁とピストンリングとの間に設けられるのがよい。第2の壁は、テーパしているのがよい。かくして、比較的少量の排気ガス、すなわち、いわゆる「ブローバイ」が第1の封止装置、すなわち封止要素を通ることができる。
【0030】
諸実施形態によれば、封止ブッシュ部分は、切欠きを有するのがよい。切欠きは、封止ブッシュ部分のタービン側に向かって延びるのがよい。したがって、比較的高い圧力がピストンリングに作用することができ、かくして、キャビティの第1の壁に対するピストンリングの圧接具合が向上する。したがって、第1の封止装置のガス密性を向上させるとともに改善することができる。切欠きは、ブローバイが第1の封止装置または第1の封止装置の封止要素を通るのをさらに制止することができる。
【0031】
本明細書において説明する任意他の実施形態と組み合わせることができる諸実施形態によれば、排ガスタービンシステムは、支承部材と封止ブッシュ部分との間に軸方向に配置されたオイル排出チャンバを有する。オイル排出チャンバは、支承部材と封止ブッシュ部分との間に軸方向に形成された空間であるのがよい。したがって、オイル排出チャンバの軸方向延長度が、支承部材と封止ブッシュ部分との間の距離に依存するのがよい。
【0032】
諸実施形態によれば、オイル排出チャンバは、シャフトおよび/または軸受、例えば支承部材の支承ブッシュから半径方向外方に延びるのがよい。したがって、オイル排出チャンバは、半径方向底側がシャフト、封止ブッシュ部分によって、かつ/あるいは軸受によって画定されるのがよい。例えば、軸受は、オイル排出チャンバ中に入り込むのがよく、かくして、オイル排出チャンバを半径方向内側のところで画定することができる。オイル排出チャンバは、垂直方向頂側がオイル遮断壁によって画定されるのがよい。特に、オイル排出チャンバは、少なくとも、支承部材のタービンに向いた側壁および封止ブッシュ部分の軸受部材に向いた側壁によって、そしてオプションとして、シャフトによって少なくとも形成されるのがよい。
【0033】
諸実施形態よれば、オイル排出チャンバは、シャフトを少なくとも部分的に包囲するのがよい。オイル排出チャンバは、オイルがオイル排出チャンバを出ることができるようにするためにシャフトの下に垂直方向に開いているのがよい。例えば、オイル排出チャンバは、オイルを軸受から受け取ることができ、そしてこのオイルをシャフトの下に垂直方向に配置されたオイル排出部に向かって案内するのがよい。換言すると、オイル排出チャンバは、シャフトの垂直方向に位置するオイル排出チャンバの垂直方向底側のところが開いたオイル排出部を有するのがよい。特に、この開口部は、0°を超える角度から少なくとも180°の角度までの範囲にある円周方向開き角度αを定めるのがよい。開き角度は、垂直方向下方の方向に向かって開いているのがよい。
【0034】
本明細書において説明する任意他の実施形態と組み合わせることができる諸実施形態によれば、排気タービン装置は、オイル排出チャンバの半径方向外側を、少なくとも垂直方向頂側円周方向線分を描いて、包囲していて、オイル冷却チャンバからオイル排出チャンバを覆うオイル遮断壁をさらに有する。したがって、オイル遮断壁は、オイル排出チャンバを画定するよう構成されているのがよい。オイル遮断壁は、オイルがオイル排出チャンバに入るのを回避しまたは阻止するよう構成されているのがよい。半径方向の視点から見て、すなわち、正面図で見て、オイル遮断壁は、シャフトをシャフトの頂側のところで少なくとも部分的に包囲するのがよい。
【0035】
本明細書全体を通じて用いられる「覆われ」という用語は、オイル冷却チャンバとオイル排出チャンバとの間に直接的な直線経路が存在しない場合があるということとして理解されるのがよい。オイル冷却チャンバとオイル排出チャンバは、互いに流体連通状態にあるのがよいが、これらの間に位置する直接的な直線経路によって結合されないのがよい。
【0036】
諸実施形態によれば、オイル排出チャンバの開口部は、オイル遮断壁が垂直方向底側の円周方向セグメントのところに存在しないということによって設けられるのがよい。垂直方向底側の円周方向セグメントは、垂直方向頂側の円周方向セグメントとは反対側に位置するのがよい。したがって、オイル遮断壁は、シャフトの回転軸線回りに配置された(部分)半円に、特にシャフトの垂直方向頂側のところに配置された(部分)半円に見えると言える。
【0037】
諸実施形態によれば、オイル遮断壁は、オイルチャネルの半径方向内方に配置されるのがよい。特に、支承部材は、オイルチャネルを含むのがよく、オイル遮断壁は、オイルチャネルの半径方向内方に配置されるのがよい。
【0038】
諸実施形態によれば、オイル遮断壁は、オイルがオイル冷却チャンバからオイル排出チャンバに入るのを阻止するよう構成されているのがよい。かくして、排出チャンバ内のオイル負荷を減少させることができ、それにより第1の封止装置のところでのオイルの量が減少する。したがって、第1の封止装置のところでのオイルの漏れを阻止することができ、回避することができ、かつ/あるいは減少させることができる。
【0039】
諸実施形態によれば、第2の封止装置がオイル遮断壁と支承部材との間および/またはオイル遮断壁と封止ブッシュ部分との間に設けられるのがよい。第2の封止装置は、封止隙間、封止リング、ラビリンスシール、接触シール、シール空気および/またはこれらの組み合わせからなる群から選択されるのがよい。第2の封止装置は、半径方向または軸方向に延長部を有するのがよい。例えば、オイル遮断壁が支承部材および封止ブッシュ部分のうちの一方とオーバーラップすると、第2の封止装置は、オイル遮断壁と支承部材および封止ブッシュ部分のうちの一方との間に半径方向に配置されるのがよい。もう1つの実施例では、オイル遮断壁が支承部材および封止ブッシュ部分のうちの一方と面一をなしたとき、第2の封止装置は、オイル遮断壁と支承部材および封止ブッシュ部分のうちの一方との間に軸方向に配置されるのがよい。
【0040】
諸実施形態によれば、オイル遮断壁は、封止ブッシュ部分および支承部材のうちの一方と一体に形成されるのがよい(しかも、封止ブッシュ部分および支承部材のうちの他の一方と別々に形成され、すなわち、非一体的に形成されるのがよい)。例えば、オイル遮断壁は、封止ブッシュ部分および支承部材のうちの一方の軸方向延長部、すなわち、シャフトの回転軸線の方向に平行な延長部であるのがよい。オイル遮断壁は、封止ブッシュ部分および支承部材のうちの一方のところで壁基部から軸方向に延びる軸方向壁区分を有するのがよい。
【0041】
諸実施形態によれば、オイル遮断壁は、封止ブッシュ部分および支承部材のうちの他の一方と軸方向にオーバーラップした壁先端部をさらに有するのがよい。特に、壁先端部は、それぞれの壁基部とは反対側に位置するのがよい。変形例として、壁先端部は、封止ブッシュ部分および支承部材のうちの他の一方と面一をなしてもよい。加うるに、オイル遮断壁は、特に壁先端部のところで壁部分から半径方向外方に延びる半径方向壁区分を有するのがよい。半径方向壁区分は、封止ブッシュ部分および支承部材のうちの他の一方と面一をなすのがよくまたはこれと軸方向にオーバーラップするのがよい。したがって、オイル冷却壁からのオイルの流れをよりいっそう効果的に阻止することができる。
【0042】
諸実施形態によれば、オイル遮断壁は、オイル凹部に連結されるのがよい。例えば、オイル遮断壁が支承部材および封止ブッシュ部分のうちの一方と一体的に形成されている場合、オイル凹部は、オイル遮断壁と支承部材および封止ブッシュ部分のうちの一方の移行部のところに形成されるのがよい。したがって、排出チャネルは、オイル冷却チャンバおよび/またはオイル遮断壁から受け取ったオイルをオイル排出部に案内するよう構成されているのがよい。
【0043】
有利には、本明細書において提供される油冷式排気タービン装置は、有益には、冷却用オイル排出部の冷却の保証に起因してタービン側の軸受箱の適正な冷却を依然として保証しながら、軸受またはシャフトからの冷却用オイルおよび/または2次オイル、すなわち旋回または反射オイルがオイル排出チャンバ、すなわち支承部材と第1の封止装置との間の空所に直接的に入るのを阻止する。したがって、オイル密性が向上し、オイルの漏れを阻止するとともに/あるいは回避することができる。有益には、第1の封止装置のところのオイル負荷が減少し、第1の封止装置のところの封止性能が高められる。
【0044】
図1は、例示として、本明細書において説明する実施形態としての排気タービン装置100をタービンの軸線に沿う視点方向で見た場合の断面正面図である。図1の断面平面は、以下において説明する図2のA‐Aとして指示されている。排気タービン装置100は、回転可能なシャフト105、およびオイル冷却チャンバ140を有する。排気タービン装置100は、軸受、特に平軸受をさらに有するのがよい。オイル遮断壁160がオイル冷却チャンバ140とシャフトとの間に設けられていて、オイル排出チャンバ150を画定している。オイル排出チャンバは、オイル排出開口部を有する。この開口部は、円周方向開き角度αを定めている。オイル遮断壁は、シャフトを少なくとも部分的に包囲しており、このオイル遮断壁は、シャフト105の垂直方向底側に配置されているオイル排出開口部152をさらに備えている。オイル遮断壁160は、オイル冷却チャンバからの冷却用オイルがシャフトに達するのを阻止することができ、それによりオイル冷却チャンバからシャフトに到達する冷却用オイルの量が減少する。
【0045】
図2は、例示として、本明細書で説明する実施形態としての排気タービン装置100の断面側面図である。図2は、軸受箱120および支承部材110の一部分を示している。排気タービン装置100は、軸受箱120および軸受112を含む支承部材110を有し、タービンホイール106に連結されたシャフトが軸受112内に設けられている。シャフトは、タービンホイール106と連結状態にあり、このシャフトは、軸受112内で回転することができる。支承部材110は、全体として軸受箱120から取り外し可能なモジュールとして設けられるのがよい。
【0046】
排気タービン装置100は、軸受箱120のタービン側の壁を冷却するために、冷却用オイルをオイル冷却チャンバ140、すなわちオイル冷却チャンバ140の内面122にもたらすオイルチャネル114をさらに有する。冷却用オイルは、支承部材110のオイル潤滑システムから得ることができる。オイル排出チャンバ150は、支承部材110と封止ブッシュ部分130との間に軸方向に設けられている。オイル排出チャンバ150は、シャフト105の半径方向外側部分、特に垂直方向頂部分のところがオイル遮断壁160によって画定されている。
【0047】
図2に示される実施形態では、オイル遮断壁160は、封止ブッシュ部分130と一体になって形成された状態で支承部材110とオーバーラップしている。オイル遮断壁は、壁先端部分162および半径方向外方に延びる半径方向壁部分164を有する。第2の封止装置166、例えば封止隙間がオイル遮断壁と支承部材との間に設けられている。第1の封止装置132が封止ブッシュ部分130とシャフト105との間に半径方向に配置されている。図2の実施形態では、第1の封止装置は、オイル捕捉チャンバおよび封止作用をタービンホイール106に向かって(オイル排出チャンバ150とタービンホール106との間に軸方向)すなわち、タービンホイール106と流体連通状態にあるガス通路に向かって提供するピストンリングを有する。
【0048】
オイル冷却チャンバは、オイル凹部142およびオイル冷却チャンバ140からの冷却用オイルをシャフト105回りで円周方向に案内する排出チャネル144を有する。オイル排出チャンバ150は、シャフトの垂直方向下に、オイル排出チャンバに達した場合のあるオイルがオイル排出チャンバを出ることができるようにするオイル排出開口部152を有する。
【0049】
理解されるべきこととして、諸実施形態によれば、第1の封止装置は、2つ以上のオイル捕捉チャンバ、例えば2個~5個のオイル捕捉チャンバ、特に2個~3個のオイル捕捉チャンバ、さらにより具体的には、1個~2個のオイル捕捉チャンバを有するのがよい。例えば、シャフトに向かう方向にかつオイル捕捉チャンバに隣接して封止ブッシュ部分によって半径方向に提供された1つ以上の追加のウェブが追加のオイル捕捉チャンバを形成するのがよい。2つ以上のオイル捕捉チャンバが存在する場合、それぞれのオイル捕捉チャンバは、列をなして、特に互いに隣接して軸方向に設けられるのがよい。
【0050】
図3は、例示として、本明細書において説明する諸実施形態としての排気タービン装置100の側面図である。シャフトの頂部領域のところの一部だけが図示されていることは理解されるべきである。図3の実施形態では、オイル遮断壁160は、支承部材110と、例えば、支承部材の支承フランジと一体に形成された状態で示されている。特に、オイル遮断壁160は、オイルチャネル114の下に半径方向に配置されるのがよい。オイル遮断壁は、封止ブッシュ部分130の方へ延びるのがよい。特に、オイル遮断壁は、オイル(冷却用オイル)がオイル排出チャンバに達するのを阻止するよう封止ブッシュ部分とオーバーラップするのがよい。この実施形態では、図3に例示的に示すように、第2の封止装置166は、例えば、封止ブッシュ部材130からの突出部であるのがよい。理解できるように、追加的にまたは代替的に、第2の封止装置166はまた、本明細書において説明するような第2の封止装置から選択されるのがよい。例えば、封止隙間は、この突出部とオイル遮断壁との間に設けられるのがよい。オイル冷却チャンバからの冷却用オイルは、オイル凹部142に提供されるのがよく、この冷却用オイルは、本明細書において説明するように排出チャネルを経てオイル排出開口部に案内されるのがよい。
【0051】
本明細書において説明する任意他の実施形態と組み合わせることができる諸実施形態によれば、そして、図4に例示的に示すように、支承部材は、支承部材のタービンに向いた側壁のところにオイル偏向プレート170を有するのがよい。オイル遮断壁は、オイル偏向プレート170と軸方向にオーバーラップするのがよく、あるいは、オイル偏向プレートと面一をなしてもよい。諸実施形態によれば、オイル偏向プレートは、オイルバッフルプレートであるのがよい。オイル偏向プレート170は、オイル排出部152まで半径方向に延びるのがよい。オイル偏向プレートは、予備排出チャンバをもたらすよう構成されているのがよい。予備排出チャンバは、支承部材110のタービンに向いた壁およびオイル偏向プレートによって形成されるチャンバであるのがよい。特に、予備排出チャンバは、潤滑用オイルがオイル排出チャンバ150に入るのを阻止するのがよい。さらに、オイル偏向プレートは、支承部材110を冷却用オイルから遮蔽するのがよい。さらに、オイル偏向プレートは、軸受からのオイル(潤滑油)がオイル排出チャンバに入るのを阻止するよう構成されているのがよい。
【0052】
本明細書において説明する任意他の実施形態と組み合わせることができる諸実施形態によれば、そして、図5Aおよび図5B(これは、図5Aの拡大図である)に例示的に示すように、第1の封止装置132は、オイル捕捉チャンバ571およびピストンリング572を含むのがよくまたはこれらからなるのがよい。特に、第1の封止装置は、1つの(たった1つの)ピストンリング572を有するのがよい。図5Bの拡大図に例示的に示すように、ピストンリングは、封止ブッシュ部分132とシャフト105との間に設けられるのがよい。特に、ピストンリング572は、シャフトの空所570内に設けられるのがよい。空所は、凹部574を含む軸受側の第1の壁を有するのがよい。空所は、軸方向反対側のところに、タービン側の方にテーパしているのがよい第2の壁を有するのがよい。くぼみが封止ブッシュ部分のところで軸受側の凹部の半径方向外方に設けられるのがよい。ピストンリングは、封止ブッシュ部分のくぼみのところに設けられるのがよい。作用を説明すると、ピストンリングを空所570の側壁に(シャフト壁、例えばシャフト内の空所の壁に)圧接させるのがよい。ピストンリングのタービンに向いた側で、切欠き578が封止ブッシュ部分のところで設けられるのがよく、それにより高い圧力をピストンリングに提供することができ、それによりその封止能力が向上する。追加的にまたは代替的に、切欠きは、半径方向力を減少させることによってピストンリングの軸方向運動を容易にすることができ、その結果、ピストンリングを空所側壁(軸受側の第1の壁)に軸方向に圧接させることを容易にすることができ、しかもピストンリングの封止能力を向上させるようになっている。
【0053】
他の観点では、図1および図2の説明は、それぞれ、図3図4図5Aおよび図5Bに当てはまる。
【0054】
本明細書において説明した実施形態は、有益には、オイル密挙動が増大しまたは向上ししかもシャフトとタービン側のガス通路との間の移行部のところにおけるオイル負荷が減少した油冷式排気タービン装置を提供することができる。
【0055】
上記説明は、本発明の諸実施形態に関するが、本発明の他の実施形態および別実施形態を本発明の基本的な範囲から逸脱することなく想到することができ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の記載によって定められる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油冷式排気タービン装置(100)であって、前記排気タービン装置は、
タービンホイール(106)を備えた回転可能なシャフト(105)を有し、
前記シャフトを回転可能に支持する軸受(112)を備えた支承部材(110)を有し、
前記支承部材(110)を受け入れた軸受箱(120)を有し、前記軸受箱は、前記タービンホイール(106)と前記支承部材(110)との間の軸方向位置で前記シャフトに向かって半径方向内方に延びていて、第1の封止装置(132)を前記タービンホイールと前記支承部材との間で軸方向に提供する封止ブッシュ部分(130)を有し、
前記軸受箱の内面(122)を冷却するオイル冷却チャンバ(140)を有し、
前記排気タービン装置は、オイルを前記オイル冷却チャンバ(140)中に提供し、前記オイルを冷却媒体として用いて前記軸受箱の前記内面を冷却するオイルチャネル(114)を有し、
前記支承部材(110)と前記封止ブッシュ部分(130)との間で軸方向に配置されたオイル排出チャンバ(150)を有し、
前記排気タービン装置は、前記オイル排出チャンバの半径方向外側を、少なくとも垂直方向頂側円周方向線分を描いて、包囲していて、前記オイル冷却チャンバから前記オイル排出チャンバを覆うオイル遮断壁(160)をさらに有し、
前記オイル遮断壁(160)は、前記封止ブッシュ部分(130)および前記支承部材(110)のうちの一方と一体に形成され、
前記オイル遮断壁(160)は、前記封止ブッシュ部分(130)および前記支承部材(110)のうちの他の一方と軸方向にオーバーラップした壁先端部(162)をさらに有する、油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項2】
前記オイル排出チャンバ(150)は、前記シャフト(105)および/または前記支承部材(110)の軸受ブッシュから半径方向外方に延びる、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項3】
前記オイル遮断壁(160)は、前記封止ブッシュ部分(130)および前記支承部材(110)のうちの前記一方のところで壁基部から軸方向に延びる軸方向壁部分を有する、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項4】
前記オイル遮断壁(160)は、前記壁部分から半径方向外方に延びる半径方向壁部分(164)をさらに有する、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項5】
前記オイル排出チャンバ(150)は、少なくとも、前記支承部材(110)のタービンに向いた側壁および前記封止ブッシュ部分(130)の支承部材に向いた側壁によってさらにオプションとして前記シャフトによって形成されている、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項6】
前記オイル冷却チャンバ(140)は、前記軸受箱(120)および前記支承部材(110)によって軸方向に画定され、前記封止ブッシュ部分(130)は、少なくとも部分的に半径方向内方からかつ前記タービンホイール(106)から軸方向に前記オイル冷却チャンバ(140)を画定している、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項7】
前記オイル排出チャンバ(150)は、前記オイル排出チャンバ(150)の垂直方向底側のところにオイル排出開口部(152)を有する、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項8】
前記オイル冷却チャンバ(140)は、前記オイル冷却チャンバ(140)からオイルを受け入れるオイル凹部(142)を有し、前記オイル凹部(142)は、排出チャネル(144)を形成し、前記排出チャネル(144)は、冷却用オイルを前記回転可能シャフト回りで前記オイル排出チャネル(144)に沿って下方に案内するために少なくとも部分的に円周方向に延びている、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項9】
オイル排出部が前記シャフト(105)の下に垂直方向に配置され、前記排出チャネル(144)は、前記オイル冷却チャンバ(140)および/または前記オイル遮断壁(160)から受け取ったオイルを前記オイル排出部に案内するよう構成されている、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項10】
前記第1の封止装置(132)は、封止要素を有し、前記シャフト(105)は、前記封止要素を支持する空所(570)を有する、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項11】
第2の封止装置(166)が前記オイル遮断壁(160)と前記支承部材(110)との間および/または前記オイル遮断壁(160)と前記封止ブッシュ部分(130)との間に設けられている、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項12】
前記オイル遮断壁(160)は、前記オイルチャネル(114)の半径方向内方に配置される、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項13】
前記第2の封止装置(166)は、封止ギャップ、封止リング、ラビリンスシール、接触シール、シール空気および/またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11または12記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項14】
前記支承部材(110)は、前記支承部材(110)の前記タービンの向いた側壁のところにオイル偏向プレート(170)を有し、前記オイル遮断壁(160)は、前記オイル偏向プレートと軸方向にオーバーラップする、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【請求項15】
前記油冷式排気タービン装置(100)は、ターボチャージャまたはパワータービンである、請求項1記載の油冷式排気タービン装置(100)。
【国際調査報告】