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▶ キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフトの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】自動車用ロック
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/30 20140101AFI20240822BHJP
   E05B 81/42 20140101ALI20240822BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20240822BHJP
   E05B 81/14 20140101ALN20240822BHJP
【FI】
E05B81/30
E05B81/42
B60J5/00 N
E05B81/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515357
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 DE2022100619
(87)【国際公開番号】W WO2023036363
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021123328.3
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スゼジェニー, ピーター
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ10
2E250JJ42
2E250LL01
2E250PP04
2E250PP05
2E250QQ10
2E250RR13
2E250RR34
2E250RR46
(57)【要約】
本発明は、ロック機構(11)と、回転可能なトリガレバーと(15)と、トリガレバー(15)を作動するための電動駆動ユニット(16)とを有する自動車用ロック、特に、自動車ドア用ロックであって、ロック機構(11)は、、回転ラッチ(12)及び爪部(13)、特に、単一の爪部を含み、回転ラッチ(12)は爪部(13)によって少なくとも1つのラッチ位置(I)にラッチ可能であり、トリガレバー(15)によってロック機構(11)は、少なくとも1つのラッチ位置(I)から開放位置(II)に移動可能であり、電動駆動装置(16)は、少なくとも電気モータ(17)と伝達段(18)とにより形成され、伝達段(18)は、作動レバー(19)を有し、爪部(13)とトリガレバー(15)と作動レバー(19)とは、自動車用ロック(10)内に同一回転軸(R)を中心に旋回可能に収容され、少なくとも前記作動レバー(19)とトリガレバー(15)とは、相補的に設計された接続ジオメトリ(20)を介して互いに係合し、作動レバー(19)の運動をトリガレバー(15)に伝達することができるようになっている。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック機構(11)と、回転可能なトリガレバー(15)と、前記トリガレバー(15)を作動するための電動駆動ユニット(16)とを有する自動車用ロック(10)、特に、自動車ドア用ロックであって、
前記ロック機構(11)は、、回転ラッチ(12)及び爪部(13)、特に、単一の爪部を含み、前記回転ラッチ(12)は前記爪部(13)によって少なくとも1つのラッチ位置(I)にラッチ可能であり、前記回転可能なトリガレバー(15)によって、前記ロック機構(11)は、前記少なくとも1つのラッチ位置(I)から開放位置(II)に移動可能であり、前記電動駆動装置(16)は、少なくとも電気モータ(17)と伝達段(18)とにより形成され、前記伝達段(18)は、作動レバー(19)を有し、前記爪部(13)と前記トリガレバー(15)と前記作動レバー(19)とは、前記自動車用ロック(10)内に同一回転軸(R)を中心に旋回可能に収容され、少なくとも前記作動レバー(19)と前記トリガレバー(15)とは、相補的に設計された接続ジオメトリ(20)を介して互いに係合し、前記作動レバー(19)の運動を前記トリガレバー(15)に伝達することができるようになっていることを特徴とする、自動車用ロック(10)。
【請求項2】
前記接続ジオメトリ(20)は、噛合い部(21)として設計されており、特に、前記噛合い部(21)は、1本から10本の歯部、好ましくは4本の歯部から8本の歯部、特に好ましくは6本の歯部を有し、前記歯部は、対応して実質的に相補的に設計された凹部(22)と噛み合うことを特徴とする、請求項1に記載の自動車用ロック(10)。
【請求項3】
前記作動レバー(19)又は前記トリガレバー(15)は、回転軸(R)の領域の少なくとも一部分に延びるカラー(23)を有し、少なくとも前記作動レバー(19)と前記トリガレバー(15)とが係合しているときに、前記噛合い部(21)は少なくとも一部分が覆われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車用ロック(10)。
【請求項4】
前記トリガレバー(15)は、略板状の接続部(25)の第1の側から第1の方向に延びる外噛合い部(24)を有し、前記接続部分(25)の他方の側には、爪部(13)の軸受ピン(27)の装着点(26)が形成され、特に、前記装着点(26)が前記トリガレバー(15)のレセプタクルとして設計されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車用ロック(10)。
【請求項5】
前記トリガレバー(15)は、前記爪部(13)に係合する又は係合可能なトリガアーム(15.1)を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車用ロック(10)。
【請求項6】
前記単一トリガアーム(15.1)は、前記接続部分(25)から径方向に延びていることを特徴とする、請求項5に記載の自動車用ロック(10)。
【請求項7】
前記トリガレバー(15)は、爪ホルダ(15.2)を有し、ここで、前記爪部(13)が少なくとも部分的に配置され、特に、締結されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【請求項8】
前記爪部(13)は、前記爪ホルダ(15.2)内に少なくとも部分的に正嵌合および/または非正嵌合で配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の自動車用ロック(10)。
【請求項9】
前記爪部(13)は、少なくとも2つの爪アーム(13.1,13.2)を有し、少なくとも1つの第1の爪アーム(13.1)は、前記回転ラッチ(12)と係合するためのラッチ表面(13.3)を有し、前記トリガレバー(15)には、少なくとも一部分、特に、前記2つの爪アーム(13.1,13.2)が前記回転軸(R)から略反対方向に径方向に延びるように、第2の爪アーム(13.2)が配置されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の自動車用ロック(10)。
【請求項10】
前記爪ホルダ(15.2)は、前記爪部(13)、特に前記第2の爪アーム(13.2)に対してクリップ、ラッチ、クリンプ、またはスナップ接続を有することを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の自動車用ロック(10)。
【請求項11】
前記作動レバー(19)、特に、前記作動アーム(19.1)は、前記伝達段(18)、特に、前記伝達段(18)のギヤホイール(18.1)を少なくとも部分的に囲む、および/または、被覆することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の自動車用ロック(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、車両ロックシステムの分野に関するものであり、回転ラッチおよび単一爪部を備えたロック機構と、回転可能なトリガレバーと、トリガレバーを作動させる為の電動駆動装置とを有する自動車用ロック、特に、自動車ドア用ロックに関し、回転ラッチは、爪部によって少なくとも1つのラッチ位置にラッチすることができ、トリガレバーによってロック機構は、少なくともラッチ位置から開放位置へと移動可能であり、電動駆動ユニットは、少なくとも、電気モータおよび伝達段から形成され、伝達段は、トリガレバーを作動する為の作動レバーを有する。
【0002】
[0002]自動車ロックの分野における課題は、自動車内の自動車ロックの設置スペース要件をさらに削減することである。加えて、自動車のロックの重量をさらに減少させるべきである。
【0003】
[0003]電動車両ロックは、電動車両ロックのロック機構を電気的に開放/ラッチ解除することができるように、電気的な開放機構によって爪部をラッチ位置から外に作動させることができる従来技術から知られている。この目的のために必要とされる開放運動学は、電気モータおよびトリガレバーから作られた電気駆動装置を用いて、通常、この目的のために無視できない自動車用ロック内の設置スペースを必要とし、その結果、必要な作動力が電気モータからトリガレバーへ、およびトリガレバーから爪部へ伝達できる。トリガレバーおよび残りの作動運動学は、多くの場合、大きなレバーを備えているので、レバーアームによって十分な作動力を達成することができる。さらに、爪部、トリガレバーおよび残りの作動運動学のための構成部品は、ロック内で互いに操作接続されなければならず、これは、多数のレバーアセンブリまたはケーブル駆動装置を介して実現される。
【0004】
[0004]DE 10 2015 110 639 A1は、自動車用ロックを開示しており、自動車用ロックは、回転ラッチ及び少なくとも1つの爪部を備えたロック機構と、電気的開放駆動装置とを有する。この場合の駆動ユニットは、電気モータと、レバー運動学を介して爪部に作用するトリガレバーとから構成され、これにより、トリガレバー及びレバー運動学を介して爪部をラッチ位置から移動させることができる。ここに開示された配置において、開放運動学全体、ひいてはトリガレバーおよび駆動ユニットの配置が自動車用ロック内の大きな設置スペースを占めるという欠点がある。この目的のために、電気駆動装置は、電気モータおよび伝達段を備えて設計され、作動レバーが第1の平面内の第1の回転軸の周りに配置され、トリガレバーが第2の軸の周りに配置され、爪部はさらに第3の軸の周りに回転可能に配置される。多数の軸を介したこの配置は、対応する設置スペースを必要とし、組み立てが複雑である。
【0005】
【概要】
【0006】
[0005]本発明の目的は、従来技術から知られている欠点を少なくとも部分的に除去することである。特に、本発明の目的は、ロック機構の簡単で静かな開放を可能にするように十分な作動力を提供することができる、特にコンパクトな設計を有する自動車用ロック装置を提供することである。
【0007】
[0006]本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の自動車ドア用ロック、特に、自動車ドア用ロックによって達成される。
【0008】
[0007]さらなる有利な実施形態は、特に、従属請求項および明細書において特定される。特許請求の範囲に列挙される特徴は、任意の技術的に合理的な方法で互いに組み合わせることができ、本発明のさらなる実施形態を示すことができることを指摘しておくべきである。
【0009】
[0008]請求項1に記載の自動車用ロックは、回転ラッチ、特に、単一爪部を備えたロック機構を有し、回転ラッチは、爪部によって少なくとも1つのラッチ位置にラッチ可能である。加えて、自動車用ロックは、トリガレバーを有し、このトリガレバーによって、ロック機構を少なくとも1つのラッチ位置から開放位置に移動させることができる。また、トリガレバーを作動させる為の電動駆動ユニットを備え、駆動ユニットは、少なくとも電気モータと伝達段とから構成され、伝達段は作動レバーを有する。
【0010】
[0009]本発明によれば、上記目的を達成するために、作動レバーと同様に爪部とトリガレバーも自動車用ロック内に同一の単一の回転軸を中心として旋回可能に収容され、少なくとも作動レバーとトリガレバーは相補的に設計された接続ジオメトリによって連動して作動レバーの運動をトリガレバーに伝達することができるようにすることが提案されている。したがって、本発明によれば、爪部、トリガレバーおよび作動レバーは、同一の回転軸を有し、この回転軸を中心に旋回できるように自動車用ロック内に収容される。特に、爪部、トリガレバーおよび/または作動レバーは、少なくとも1つのロック本体に締結される。作動レバーおよび少なくともトリガレバーは、相補的に設計された接続ジオメトリを有し、接続ジオメトリは、少なくとも2つの前述の構成部品の正嵌合および/または非正嵌合を可能にする。これらの相補的に設計された接続ジオメトリは、互いに係合することができ、特に、駆動ユニットから作動レバーに伝達される回転運動を作動レバーからトリガレバーに伝達することができ、その結果、トリガレバーは、爪部を少なくとも1つのラッチ位置、特に、メインラッチ位置および/またはプレラッチ位置から移動させることができる。本発明による接続ジオメトリは、プラグ接続(たとえば、プラグイン軸接続)としても理解することができる。これにより、少なくとも作動レバーとトリガレバーとを組み付けて/プラグ接続することができる。これにより、コンパクトな設計が可能となり、特にロック機構を開放するための力の伝達が確保される。
【0011】
[0010]本発明に従って相補的に設計された接続ジオメトリは、好ましくは、一つ又は複数の歯部(teeth)または歯状ジオメトリを有することができる噛合い部(toothing)として設計される。したがって、作動レバーまたはトリガレバーは好ましくは外噛合い部を有することができ、対応する他の構成部品は内噛合い部を有することができ、またはその逆も可能である。本発明によれば、作動レバーまたはトリガレバーの第1の接続ジオメトリの負の形状は、それに対して相補的に設計されたジオメトリに対応する。視覚的には、1つの接続ジオメトリの外噛合い部の歯元面(flanks)の負の形状が、原理的には内歯付き構成部品の歯元面の形状に対応し、したがって、別の構成部品の接続ジオメトリに対応するように設計することができる。したがって、トリガレバーが外噛合い部を有し、作動レバーが内噛合い部を有するか、またはその逆であることが考えられ、これらの噛合い部は、特に互いに接続される。
【0012】
[0011]この相補的に設計された接続および同一回転軸を中心とした爪部、トリガレバーおよび作動レバーの共有された装着ジオメトリの利点は、少なくとも3つの構成部品(爪部、トリガレバーおよび作動レバー)が自動車のロック内に特にコンパクトに配置可能であることである。したがって、本発明によれば、爪部、トリガレバーおよび作動レバーは、少なくとも回転軸の共有された区域において互いに係合し、特に回転軸の共有された区域において、3つの構成部品は、特定の方法で互いに入れ子になるように配置される。これにより、自動車用ロックに必要とされる据付け空間の深さが大幅に低減される。従って、爪部を回転ラッチから解除するためにそれ自体に対してある角度で配置された作動機構は、必ずしも必要ではない。また、本発明によれば、据付け空間に悪影響を及ぼすケーブル構造を省略することも可能である。むしろ、駆動ユニットおよび作動レバー、トリガレバー、およびロック機構、特に爪部への接続からなる作動機構は、特にコンパクトに設計することができる。
【0013】
[0012]有利なことに、少なくとも1つの接続ジオメトリは、軸の区域内に完全な/周方向の噛合い部を有することができ、この噛合い部は、1本から10本の歯部、好ましくは、14本から18本の歯部、特に好ましくは、16本の歯部を有し、これらの歯部は、対応して実質的に相補的に設計された凹部と相互作用する。このようにして、作動レバーおよび/またはトリガレバーに内部または外部の噛合い部が設けられる。いわゆるポカヨーク接続を設けることができるので、特に有利であり、これにより、特に簡単かつ確実な組立を行うことができる。したがって、少なくとも1つの噛合い部ジオメトリ/1つの歯部は、残りの歯部/噛合い部ジオメトリとは異なるように設計することができ、対応する歯部/ジオメトリに相補的に形成された凹部は、同様に、接続される構成部品において異なるように設計される。したがって、特に、1つの接続ジオメトリ/1つの歯部は、残りの歯部とは異なるように設計され、接続される構成部品上の関連する凹部は、同様に、異なるように設計され、1つの異なる歯部/ジオメトリと相補的であることが考えられる。
【0014】
[0013]たとえば、トリガレバーがより広い歯部表面を有する歯部を備え、作動レバーが単一のものより大きく、より広い凹部を有し、その中に1つのより広い噛合い部を作動レバー上に配置することができることが考えられる。したがって、不正確な組立は事実上不可能である。
【0015】
[0014]さらに、回転軸の区域内の作動レバーまたはトリガレバーが、少なくとも部分的に周方向に延びるカラーを有することが提供できる。特に好ましくは、カラーは、接続ジオメトリ、特に、噛合い部が少なくとも部分的に、少なくとも互いに係合された作動レバーおよびトリガレバーに対して覆われるように設計される。この周方向のカラーは、一方で、コンパクトな設計をさらに最適化することを可能にし、さらに、カラーは、バネのための装着点を形成することができ、その結果、作動レバーおよび/またはトリガレバーは、バネによって予荷重を受けることができる。したがって、バネは、トリガレバーおよび/または作動レバー上にコンパクトに配置することもでき、不必要に更なる据付けスペースを必要としない。
【0016】
[0015]さらに、カラーは、汚れおよび/または水分の浸透を低減することができるように、接続ジオメトリ、特に噛合い部を覆うことができる。また、トリガレバーは、実質的に板状の接続部分の第1の側から第1の方向に延びる外噛合い部を有し、接続部分の他方(反対側)に爪部の軸受ピンの装着点が形成され、特に装着点がトリガレバーのレセプタクルとして設計されることが考えられる。
【0017】
[0016]有利なことに、トリガレバーは、作動レバーの内噛合い部と相互作用する外噛合い部を有する。しかしながら、本発明によれば、トリガレバーが内噛合い部を有し、作動レバーが対応して相補的に設計された外噛合い部を有することも考えられる。従って、作動レバーについて上述したようにトリガレバーを設計することもできる。
【0018】
[0017]トリガレバーは、有利なことに、実質的に板状の接続部分、特に装着点の区域を有しており、ここで、噛合い部、特に外噛合い部は、板状の接続部分から延びている。噛合い部の反対側、特に外噛合い部には、爪部の軸受ピンのための接続点/装着点がトリガレバーに形成される。この軸受ピンは、爪部を自動車用ロックのロック用ハウジングに装着する役割を果たす。装着点は、特に、トリガレバー内のレセプタクルとしても設計される。従って、爪部とトリガレバーは、爪部の軸受ピン上に一緒に配置することができる。これにより、コンパクトな設計を更に改善できる。
【0019】
[0018]このように、好ましい実施形態によれば、本発明のように、軸受ピンが爪部とトリガレバーとを収容し、トリガレバーと駆動レバーとが互いに係合する。このようにして、これらの3つの構成部品のコンパクトな装着を達成することができる。
【0020】
[0019]さらに、トリガレバーは、特に、爪部と係合させることができる単一のトリガアームを有することが好ましい。このトリガアームは、実質的に板状の接続部分から特に延びており、爪部を作動させるためのレバーアームが形成されている。その結果、有利なことに、特に単一のトリガアームが接続部分から径方向に延びることができる。
【0021】
[0020]軸方向および径方向という用語は、特に、爪部、トリガレバー、および作動レバーの回転軸に関連し、したがって、軸方向という表現は、特に、回転軸に平行または同軸に延びる方向を示す。さらに、径方向という表現は、回転軸に対して垂直に続く方向を具体的に示す。径方向延長部は、径方向に沿った又は平行な延長部として特に理解されるべきであり、軸方向延長部は、軸方向に沿った又は平行な延長部として特に理解されるべきである。
【0022】
[0021]さらに、トリガレバーが爪ホルダを有することが有利に提供できる。爪ホルダは、爪部の少なくとも一部分を配置することができる凹部でもよい。爪ホルダは、トリガレバーのトリガアームの区域に配置されることが特に好ましい。爪ホルダは、たとえば、少なくとも爪部を部分的に配置することができるポケットとして設計することができる。これにより、トリガレバーから爪部に力を特に確実に伝達することができる。さらに、これにより、コンパクトな形状が更に最適化され、したがって、爪部をトリガレバー内に配置することができ、または、少なくとも部分的に配置することができる。
【0023】
[0022]特に有利なことに、爪部が少なくとも部分的に正嵌合および/または非正嵌合で爪ホルダ内に配置されるように、爪ホルダを設計することができる。
【0024】
[0023]特に有利なことに、爪ホルダは、爪部、特に、爪アームのためのクリップ、ラッチ、クリンプ、またはスナップ接続を有することができる。従って、組立が簡単になるだけでなく、トリガレバーにおける爪部の確実な受容が可能になり、コンパクトな構造が悪影響を受けることがない。
【0025】
[0024]特に好ましくは、爪部は、少なくとも2つの爪アームを有し、少なくとも1つの第1の爪アームは、回転ラッチと係合するためのラッチ表面を有し、第2の爪アームは、トリガレバー内またはトリガレバー上の少なくとも一部分に配置され、特に、2つの爪アームは、回転軸から実質的に反対方向に径状に延びる。コンパクトな設計と、簡単かつ容易な作動、即ち、ロック機構の簡単な開放のためには、爪部が2つの爪アームだけを有し、第1の爪アームが回転ラッチと係合するように設けられ、第2の爪アームが上述のようにトリガレバーの少なくとも一部分に配置されて、爪部がコンパクトに設計されるのであれば十分である。
【0026】
[0025]特に、第2の爪アームは、トリガアーム及び作動レバーの作動アームのジオメトリと重なるように自動車用ロック内に配置される。従って、本発明によれば、回転ラッチに係ラッチするために、爪アームのみが第2の爪アームに対して反対方向に延びることができる。作動レバーの作動アーム、第2の爪アーム、トリガアームは、それぞれ反対方向に同じ方向に延びる。
【0027】
[0026]コンパクトな設計を更に最適化するために、本発明によれば、作動レバー、特に作動レバーの作動アームが、少なくとも部分的に伝達段、特に伝達段のギアホィールを囲むおよび/または覆うことが考えられる。この目的のために、作動レバーは実質的にU字形または湾曲した形状に設計され、作動レバーは伝達段、特に伝達段のギアホィールを包含することができる。つまり、作動アーム又は作動レバーは、そのレバー又はアームの両端点が、それぞれ、ギアホィールの一方の側に配置された形状を実質的に有する。従って、本実施形態によれば、作動レバーと伝達段とを少なくとも部分的に重複させることにより、据付けスペースが不必要に無駄にならないようにすることができるので、作動レバーと伝達段とを特にコンパクトに設計することができる。
【0028】
[0027]特に有利なことは、少なくとも1つのシールが、作動レバーとトリガレバーとの間および/またはトリガレバーと爪部との間に配置され、特に、シールがシールリングとして設計されていることが提供されることである。このようにして、作動レバー、トリガレバー、または爪部の区域に入り込む環境の影響、特に埃および/または水を少なくとも低減することができる。
【0029】
[0028]特に有利に提供可能なことは、作動レバーおよび駆動ユニット(即ち、伝達段を含む)が自動車ロック用ハウジングの第1の部に配置され、トリガレバー、爪部および他のロック機構が自動車用ロックとは異なる別の部品に配置されることである。従って、伝達段及び作動レバーを備えた駆動ユニット、好ましくは、ロック用電子回路及び/又は電源が、自動車ロック用ハウジングのドライスペースの少なくとも一部分に配置され、ロック機構(少なくとも一部分)にトリガレバーが自動車用ロックのウェットスペースに配置されることが考えられる。先に説明したシールが、トリガレバー、作動レバーおよび爪部などの個々の構成部品の間に設けられることが特に好ましい。このようにして、異なるロックハウジング部品と構成部品、爪部、トリガレバーおよび作動レバーの接続部との間に密封/密封接続を達成することができる。
【0030】
[0029]可能な限りコンパクトな自動車用ロックの設計を確保するために、少なくとも爪部と回転ラッチとを有するロック機構が、特に簡単な方法でラッチを解除することができ、即ち、容易に開放するか、または、ほとんど力を加えずに開放するように設計されていれば、特に有利である。本発明によれば、回転ラッチは、回転ラッチに移動可能に装着されたブロック要素を有し、ブロック要素は、回転ラッチおよび/またはロック用ハウジングまたはロック用カートリッジの少なくとも一部分において回転可能に配置される。従って、ブロック要素は、特に、少なくとも部分的に、回転ラッチおよび/または爪部上で転動することができる。この特に有利なロック機構は、作動力が爪部を少なくとも1つのラッチ位置、即ち、メインラッチおよび/またはプレラッチ位置から持ち上げることを可能にする。これにより、爪部は、トリガレバーによって加えられるトリガ力によって作用され、ブロック要素が最初に回転ラッチ内に、特に低い開放力が必要とされるような方法で、回転ラッチ内で移動または転動する。したがって、作動運動学のレバーは、より小さく設計することができ、したがって、コンパクトな設計とすることができる。
【0031】
[0030]本発明の文脈において自動車用ロックに言及する場合、可動部品を自動車に対して相対的な位置に固定する全てのロック用システムが含まれる。ロックは、たとえば、側部扉、スライドドア、後部扉、カバー、さらには、たとえば、リアシートベンチに配置することができる。これは、可動部品が、少なくとも爪部と回転ラッチとを備えたロック機構からなるロックシステムによって使用される場合にも当てはまる。本発明に係るロックは、可動部(側部扉、スライドドア、後部扉、カバー、リアシートベンチ)に設けてもよいし、車両/車両本体に設けてもよい。
【0032】
[0031]本発明を改良する更なる手段は、図に概略的に示す本発明の一部の例示的な実施形態の以下の説明から明らかである。構造的詳細、空間的配置、及び方法ステップを含む、クレーム、明細書又は図面から生じる特徴及び/又は利点の全ては、それ自体及び最も多様な組合せの両方において、発明に不可欠である。図は説明的な性質のものに過ぎず、いかなる方法でも本発明を制限することを意図するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
[0032]図中、特に断らない限り、同一の参照符号は同一または機能的に同一の構成要素を示す。
[0033]
図1A図1Aは、ラッチ位置にある自動車用ロックの本発明による実施形態のカットアウトを概略的に示す。
図1B図1Bは、開放位置における自動車用ロックの本発明による実施形態のカットアウトを概略的に示す。
図2A図2Aは、第2の斜視から見た自動車用ロックの本発明による実施形態のカットアウトを概略的に示す。
図2B図2Bは、第3の斜視から見た自動車用ロックの本発明による実施形態のカットアウトを概略的に示す。
図3A図3Aは、自動車用ロックの発明による実施形態の作動レバーを概略的に示す。
図3B図3Bは、自動車用ロックの発明に係る実施形態のトリガレバーを概略的に示す。
図3C図3Cは、本発明に係る自動車用ロックの実施形態の爪部を概略的に示す。
図4図4は、ウェットスペース及びドライスペースを有する本発明に係る自動車用ロックの実施形態を概略的に示す。
【0034】
【詳細な説明】
【0035】
[0034]図1Aは、本発明による自動車用ロック10の可能な実施形態を示しており、ここでは部分的にのみ示されているロック用ハウジング30を有し、さらに、回転ラッチ12を少なくとも1つのラッチ位置I、特にメインラッチ位置Iおよび/またはプレラッチ位置に移動させるための爪部13を備えたロック機構11を有する。ラッチ位置Iには、例えば、自動車のドア等の車両の可動部が閉鎖位置に保持されて非意図的な開放が阻止されるように、ロックホルダ40が回転ラッチ12によって固定されている。このために、爪部13は、ラッチ位置Iにおいて回転ラッチ12のブロック要素14と係合するラッチ表面13.3を有し、これにより回転ラッチ12が開放方向に移動しないようにブロックする。ブロック要素14は、移動可能に、特に、回転ラッチ12および/またはロック用プレート/ロック用ハウジングに(図1Aおよび図1Bの組合せによって示されるように)旋回できるように装着される。また、爪部13、特に、ラッチ表面13.3は、爪部13が閉鎖する傾向を有するように又はそのようなジオメトリを有するように設計されている。本発明によれば、中立の設計を提供することもできる。閉鎖傾向がある場合、爪部13、特に、ラッチ表面13.3は、回転ラッチ12の開放方向への押圧により、爪部13を独立して押し出すこと/アンブロックができないように、幾何学的に設計されている。したがって、回転ラッチ12によって爪部13に加えられた力は、開放トルクが発生しないように爪軸を通過する。むしろ、爪部13は回転ラッチ12に向かって押される。
【0036】
[0035]爪部13は回転軸Rを中心に回転可能であり、そのために爪部13は軸受ピン27に配置/装着されている。示された例示的な実施形態において、爪部13は、第1の爪アーム13.1および第2の爪アーム13.2を有する。図示された実施形態において、第1の爪アーム13.1および第2の爪アーム13.2は、図示された例示的な実施形態では、回転軸Rおよび/または軸受ピン27から正反対の方向に延びる。第1の爪アーム13.1には、ブロック要素14とラッチするためのラッチ表面13.3、したがって、回転ラッチ12が設けられている。爪部13は、第2の爪アーム13.2のトリガレバー15に配置されている。この目的のために、爪ホルダ15.2がトリガレバー15内に形成され、ここで、爪ホルダの第2の爪アーム13.2アーム2が配置され、特に、正嵌合および/または非正嵌合で保持される。
【0037】
[0036]トリガレバー15もまた、爪部13と同一回転軸Rに回転可能に装着されている。作動レバー19も同様であり、作動レバー19は回転軸Rを中心に回転可能に配置されている。トリガレバー15および作動レバー19は、本発明に係る接続ジオメトリ20を有する。
【0038】
[0037]自動車用ロック10はまた、電気モータ17と少なくとも1つの伝達段18とを備えた電動駆動ユニット16を有する。電動駆動ユニット16は、作動レバー19を介在させた状態で、ロック機構11を開放し、特に、トリガレバー15によって爪部13を持ち上げる。
【0039】
[0038]ロック機構11の電動開放のために、電動モータ17は、電気モータ17の出力シャフトにウォームを駆動し、このウォームは、ギア/ウォームホイール18.1の噛合い部により動作し、ギア/ウォームホイール18.1を駆動する。図において、ギアホイール18.1は、平歯ウォームホイール18.1として設計されている。本発明によれば、エボロイド噛合い部も考えられる。ウォームギア18.1には、略ランプ状(ウォーム状)の外形18.3がその回転軸を中心に形成され、作動レバー19の接触表面19.2が当接して、それを、回転軸Rを中心に回転させる。従って、作動レバー19の接触表面19.2は、ウォームギア18.1が回転すると、外形部18.3に沿って移行し、それによって、作動レバー19は、回転軸Rを中心に回転する。本発明によれば、作動レバー19およびトリガレバー15は相補的に設計された接続ジオメトリ20を有し、それにより作動レバー19の運動がトリガレバー15に伝達される。これにより、作動レバー19の電動回転運動がトリガレバーに伝達され、トリガレバー15が作動レバー19とトリガレバー15と爪部13との共通の回転軸Rを中心として移動する。
【0040】
[0039]ロック機構11を開放するために、特に、爪部13を持ち上げるために、トリガレバー15のトリガアーム15.1内/上の爪部13の配置により、トリガレバー15の特定の回転運動が爪部13に伝達されて、回転ラッチ12から持ち上げることができる。トリガレバー15のトリガアーム15.1は、第2の爪アーム13.2が爪13を回転軸R/軸受ピン27を中心に回転可能に配置された爪ホルダ15.2を有している。
【0041】
[0040]図1Bは、爪部13が回転ラッチ12から持ち上げられる開放位置IIにある自動車用ロックを示し、その結果、爪部13のラッチ表面13.3はもはや回転ラッチ12のブロック要素14とのブロック係合状態にない。図1Aに示すように、爪部13が閉鎖傾向を有することに基づいて、爪部13は、上述の作動機構を介して回転ラッチ12によって、駆動ユニット16、作動レバー19およびトリガレバー15から持ち上げられる。従って、ブロック要素14は、その装着によって、少なくともそれに沿った部分で移動し、したがって、少なくとも回転ラッチ12のラッチ表面の区域で回転ラッチ12から持ち上げられる。この運動により、閉鎖傾向から開放傾向が実現されるので、回転ラッチ12から爪部に作用する力により、爪部13がさらに開放位置IIに向かって押され、ロック機構11の開放/ロック解除が支持/容易にされる。その結果、ロック機構11を開放/ロック解除するためのトリガ力も全体的に低減される。
【0042】
[0041]図1Bは、偏向したブロック要素14を示す。ブロック要素14は、回転ラッチ12内に、好ましくはさらにロック用ハウジング上に装着される。この目的のために、図1Aおよび図1Bに示すボルトを設けることができ、これはまた、ロック用ハウジングに装着することもできる。
【0043】
[0042]図1Aおよび図1Bは、本発明によって可能な自動車用ロックのコンパクトな設計を明確に示す。この目的のために、爪部13およびトリガレバー15および作動レバー19は、同一回転軸Rを中心に旋回可能に自動車用ロック10内に収容され、ここで、少なくとも作動レバー19およびトリガレバー15は、相補的に設計された接続ジオメトリ20によって互いに係合し、トリガレバー15上の作動レバー19の運動が伝達されて、ロック機構11を開放/ロック解除することができる。図示の実施形態において、トリガレバー15は、回転軸R上で爪部13と作動レバー19との間に配置されている。爪部13、トリガレバー15および作動レバー19は、さらに別の意味で、互いに入れ子になっているか、または少なくとも部分的に互いにプラグ接続されている。
【0044】
[0043]換言すれば、爪部13、トリガレバー15、および作動レバー19は、少なくとも1つ、好ましくは複数のプラグ接続および/または接続ジオメトリ20によって互いに接続される。特に有利には、爪部13は、上述のように、爪アーム13.2と爪ホルダ15.2とから作られたプラグ接続によってトリガレバー15と噛み合わされ、トリガレバー15は、以下にさらに説明される接続ジオメトリ20によって噛み合わされる。特に、本実施形態によれば、コンパクトな設計が可能となる。
【0045】
[0044]爪部13の装着点26、特にトリガレバー15上の爪部13の軸受ピン27によって、さらなる改良を達成することができる。装着点26は、軸受ピン27および/または少なくとも部分的には爪部13がトリガレバー15内/上に配置されるように、凹部または窪みとして設計することができる。図1Bでは、トリガレバー15上にカラー23が形成され、このカラーはまた、装着点26および/または軸受ピン27上の爪部13の担持が外部環境の影響から保護されることに寄与するか、またはトリガレバー15に全体的により機械的な安定を与えることに寄与することができる。
【0046】
[0045]図2Aおよび図2Bは、作動機構および爪部13をさらなる斜視図で示す。図2Aでは、トリガレバー15と作動レバー19との接続ジオメトリ20を明確に見ることができる。全体的に、図2Aは、同一回転軸R上の構成部品13、15、19の入れ子/差込み設計を示している。また、ギアホイール/ウォームホイール18.1を少なくとも部分的に回転軸Rに平行に配置することができるため、回転軸Rの方向に必要な据え付けスペースをさらに小さくすることができるという点でも、小型化を図ることができることがわかる。
【0047】
[0046]図2A内の接続ジオメトリ20は、トリガレバー15上に噛合い部21を有し、この噛合い部21は、それに対応して補完するように設計された凹部に、作動レバー19上に配置/差し込まれる。また、本発明によれば、作動レバー19にも噛合い部を形成することができ、トリガレバーに凹部を形成することができる。いずれの場合も、トリガレバー15と作動レバー19は、相補的に設計された接続ジオメトリ20によって互いに噛み合うことができ、それによって、作動レバー19の運動をトリガレバー15に伝達することができる。本実施形態において、軸受ピン27、爪部13、トリガレバー15、トリガレバー用バネ15.3、及び作動レバー19が回転軸Rに沿って配置されている。この場合、構成部品27、13、15、15.3、19は、少なくとも部分的に入れ子状になっているか、あるいは一緒に差し込まれているので、コンパクトな設計が可能となる。
【0048】
[0047]トリガレバー用バネ15.3は、トリガレバーを開放方向または閉鎖方向に作用させるように予荷重をかけることができる。従って、バネ力は、トリガレバー15に作用することができ、トリガレバー15と爪部13との接続により、回転ラッチ12/ラッチ位置Iの方向に、または回転ラッチから開放位置の方向に離れる方向に力を及ぼすことができる。トリガレバー15、したがって爪部13は、好ましくはラッチ位置の方向に荷重がかけられ、したがって回転ラッチ12のラッチ位置への爪部13の落下を容易にする。この目的のために、トリガレバー用バネ15.3の一方の脚部は、一方ではトリガレバー15に寄りかかり、他方ではロック用ハウジング又はロック用ケースに寄りかかることができる。トリガレバー用バネ15.3およびトリガレバー15は、トリガレバー用バネ15.3がトリガレバーに装着されるように設計されており、二つの脚部を有するバネとして設計されたトリガレバー用バネ15.3の脚部をトリガレバーおよびロック用ハウジングまたはロック用ケースで支持することができる。バネ15.3の一方の脚部は、トリガレバー15のトリガアーム15.1のレセプタクルに係合する。これにより、トリガレバー用バネ15.3の巻線がトリガレバー15上に配置され、据付けスペースをコンパクトに保つことができる。この目的のために、トリガレバー15は、トリガレバー用バネ15.3、特に巻線が装着されるバネ座を有することが好ましい。
【0049】
[0048]図2Aに見られるように、図示された例示的な実施形態において、トリガレバー15は、トリガアーム15.1を備えて設計され、トリガアーム15.1は傾斜している。図2Aにおいて、トリガアーム15.1は、トリガレバー15の他の部分に対して直角に配置されている。爪ホルダ15.2は、角度付トリガアーム15.1上に形成されており、そこには、爪部13の第2のロック用アーム13.2が配置/差し込まれている。これにより、トリガレバー15の運動を爪部13に伝達することができ、コンパクトな設計を同時に実現することができる。この運動により、第1の爪アーム13.1を回転ラッチまたはロック要素から持ち上げることができる。
【0050】
[0049]図2Bは、作動機構18.1、19、15及び爪部13を更に斜視で示す。コンパクトな設計も見られる。先に述べたように、これは、特に、接続ジオメトリと、とりわけ、共有回転軸Rに沿ってこのようにして達成された爪部13、トリガレバー15、および作動レバー19の連動との成果である。図示の実施形態において、爪部13は、トリガレバー13のトリガアーム15.1の爪ホルダ15.2内に第2の爪アーム15.2とともに配置される。爪アーム13.2は、爪ホルダ15.2に少なくとも部分的に正嵌合又は非正嵌合で保持されている。このため、トリガレバー15の爪ホルダ15.2には、爪アーム13.2の延長部を固定するクリンプリブが形成されている。これにより、爪部13は爪ホルダ15.2内に遊びなく配置され、トリガレバー15の運動により爪部13が運動する。
【0051】
[0050]トリガレバー15は、トリガレバー用バネ15.3によって予圧され、バネ15.3は、好ましくは、トリガレバー15、したがって爪部13を回転ラッチの方向に予荷重をかける。このため、トリガレバースプリング15.3は、二つの脚部を有するバネとして設計されており、一方の脚部がトリガレバー15.1に装着され、他方の脚部がロック用ハウジング又はロック用ケースに装着されている。
【0052】
[0051]また、図2Bは、軸受ピン27が収容された軸受ピン用レセプタクル13.4を示しており、そこを中心に爪部13が回転可能となっている。また、爪部13は、バッファ用ポケット13.5を有している。バッファ用ポケット13.5は、回転ラッチおよび/またはロック用ハウジングまたはロック用ケースと接触するための停止バッファとして機能する。
【0053】
[0052]図3Aは、作動レバー19を詳細に示している。それは、U字型になっている。U字形状は、作動レバー19がウォームギア18.1を少なくともその作動アーム19.1と共に少なくとも区域で囲むことを可能にし、その結果、コンパクトな設計が更に最適化される。これにより、ウォームホイールの一方の側に凹部22を配置することができ、ウォームホイールの他方の側に接触表面19.2を配置することができ、そこに、勾配形状の外形が形成される。
【0054】
[0053]作動アーム19.1の一方の端部には、凹部22、ひいてはトリガレバーの噛合い部用のレセプタクルが配置され、作動アーム19.1の他方の端部には、ウォームギア18.1との相互作用のための接触表面19.2、特にウォームギア18.1の外形部が配置される。凹部22は、ここでは、トリガレバーの外噛合い部のための受けジオメトリとして設計されている。その結果、凹部22は、複数の歯部のジオメトリに対して幾つかの刻み目(indentations)を有する。したがって、この場合には、トリガレバー上の1つの接続ジオメトリの外噛合い部の歯元面の負の形状は、内歯付き作動レバー19の歯元面の形状に対応し、したがって、別の構成部品の接続ジオメトリの歯元面の形状に対応する。こうして、作動レバー19とトリガレバー15とは、相補的に設計された接続ジオメトリ20によって噛み合うことができ、作動レバー19の運動をトリガレバー15に伝達することができる。また、ポカヨーク用凹部22.1が設けられているので、トリガレバー15と作動レバー19との誤組み付け/誤差込みが防止されていることがわかる。ポカヨーク用凹部22.1は、凹部外形22の残りの凹部/刻み目よりも全体的に大きく/広く設計されている。その結果、トリガレバーのより幅の広い歯部、すなわちポカヨーク歯部は、ポカヨーク凹部22.1のみに差し込むことができる。従って、不正確な組立ては除外される。また、レバー19の重量を軽減することができるように、作動レバーには具体的な凹部が形成されている。十分な機械的安定を同時に提供するために、作動レバー19は、作動アーム19.1の区域に補強/剛性化リブ19.4を有する。
【0055】
[0054]図3Bは、本発明の好適な実施形態に係るトリガレバー15を示す。トリガレバー15は、トリガアーム15.1を有し、このトリガアーム15.1は、残りのトリガレバー15に対して実質的に一定の角度で、好ましくは、直角に配置されている。トリガアーム15.1は、爪ホルダ15.2を有し、この爪ホルダ内には爪部が遊びなく配置されていることが好ましい。トリガレバー15の軸の区域において、外噛合い部24は、少なくとも作動レバーとトリガレバー15との共有接続ジオメトリのために設計されている。外噛合い部は、複数の歯部のジオメトリとして設計され、図示の実施形態では、ポカヨーク歯部24.1を有する。噛合い部24は、プラグシャフトと呼ぶことができ、作動レバーの対応する凹部に挿入することができる。したがって、作動レバー19とトリガレバー15とは、相補的に設計された接続ジオメトリ20によって互いに係合し、作動レバー19の運動をトリガレバー15に伝達することができる。
【0056】
[0055]外噛合い部24またはそれとともに形成されたプラグシャフトの周囲には、たとえば、トリガレバー用バネのためのバネ座として機能することができるカラー23が形成されている。また、トリガレバー15は、実施的に板状の接続部分25を有している。外噛合い部24/プラグシャフトは、接続部分25の一方の側に延び、接続部分25の他方の側に装着点26が形成されている。この装着点26において、たとえば、爪部の軸受ピンを少なくとも部分的に受けることができる。これは、コンパクト設計にもプラスの影響を与える。挿入された状態において、カラー23はトリガレバー15及び作動レバー19の接続ジオメトリを囲む。たとえば、2つのレバー15,19の偏向/傾斜を防止することができ、妨害となる環境の影響の普及をより困難にすることができる。したがって、トリガレバーの円筒形カラー23は、作動レバー19の凹部22の同様に円筒形の部分を特に囲むか又は覆う。このようにして、トリガレバーおよび作動レバーの歯付き接続ジオメトリは、全体的に囲まれ/覆われ、したがって、外部環境の影響に対してより安定性および保護を与える。
【0057】
[0056]図3Cは爪13を詳細に示している。爪部13は、2つの爪アーム13.1、13.2を有し、第1の爪アーム13.1は、回転ラッチ12と係合するためのラッチ表面13.3を有し、第2の爪アーム13.2は、トリガレバー15内の少なくとも一部分に配置可能である。2つの爪アーム13.1、13.2は、軸受レセプタクル13.4から径方向に実質的に反対の方向に延びる。先に述べたバッファ用ポケット13.5に加えて、爪部13はスイッチまたはセンサのための少なくとも1つの作動外形部13.6を有する。第2の爪アーム13.2の端部には、トリガレバーの爪ホルダに挿入可能な延長部が設けられている。
【0058】
[0057]図4は、ウェットスペース32及びドライスペース31を備えたロックハウジング30を有する、本発明に係る自動車用ロック10の実施形態を示す。これらは実質的に互いに直角に配置される。ドライスペース31は、作動機構の大部分を囲む。実際には、ウォーム18.2及びウォームギア18.1から構成される電気モータ17及び伝達段18を備えた電動駆動装置16がドライスペース31内に収容されている。また、駆動レバー19は、ドライスペース31内に配置され、ウェットスペース32とのインターフェースを有している。シール19.5が作動レバー19上に配置され、トリガ又は作動レバー19のための通路の区域内のドライスペース31をウェットスペース32から密封するように働く。回転軸は、ドライスペースからウェットスペース32への通路を通って続く。本発明による接続ジオメトリは、好ましくは、通路の区域内にも配置され、シール19.5によって密封されて閉鎖される。
【0059】
[0058]これにより、実質的には、ロック機構11とトリガレバーの一部のみがウェットスペース32に配置される。作動機構の他の部品はドライスペース31内に配置され、従って破壊的な環境の影響から保護される。いずれにしても、図4におけるコンパクトな設計は、本発明に係る接続ジオメトリと、それに応じて実現される作動レバー19とトリガレバー15との噛み合いによって達成され、爪部、トリガレバー、および作動レバーが同一の回転軸R上に配置されることによって、明確に見ることができる。
【符号の説明】
【0060】
10…自動車用ロック、
11…ロック機構、
12…回転ラッチ、
13…爪部、
13.1…第1の爪アーム、
13.2…第2の爪アーム、
13.3…ラッチ表面、
13.4…軸受ピン用レセプタクル、
13.5…バッファ用ポケット、
13.6…作動外形部、
14…ブロック要素、
15…トリガレバー、
15.1…トリガアーム、
15.2…爪ホルダ、
15.3…トリガレバー用バネ、
16…電動駆動ユニット、
17…電気モータ、
18…伝達段、
18.1…ギアホィール/ウォームホィール、
18.2…ウォーム、
18.3…外形部、
19…作動レバー、
19.1…作動アーム、
19.2…接触表面、
19.3…作動レバー内の凹部、
19.4…作動レバー内の補強リブ、
19.5…シール、
20…接続ジオメトリ、
21…噛合い部、
22…凹部、
22.1…ポカヨーク凹部、
23…カラー、
24…外噛合い部、
24.1…ポカヨーク歯部、
25…接続部分、
26…装着点、
27…軸受ピン、
30…ロック用ハウジング、
31…ドライスペース、
32…ウェットスペース、
40…ロック用ホルダ、
I…ラッチ位置、
II…、開放位置、
R…回転軸。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】