IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特表-基板処理方法 図1
  • 特表-基板処理方法 図2
  • 特表-基板処理方法 図3
  • 特表-基板処理方法 図4
  • 特表-基板処理方法 図5
  • 特表-基板処理方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 5/12 20060101AFI20240822BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240822BHJP
   C25D 7/12 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C25D5/12
H01L21/304 643A
C25D7/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515384
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 CN2022107507
(87)【国際公開番号】W WO2023035790
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202111050183.4
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ウー モン
(72)【発明者】
【氏名】ル チェンホア
(72)【発明者】
【氏名】ジャア ジャオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ チュェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホイ
【テーマコード(参考)】
4K024
5F157
【Fターム(参考)】
4K024AA03
4K024AA07
4K024AA09
4K024AA10
4K024AA11
4K024AB02
4K024AB03
4K024BB12
4K024DA10
4K024GA01
5F157BB11
5F157BE12
(57)【要約】
【課題】電解めっきチャンバ内での電解めっき前に水フィルム層を形成することにより、2つの金属層間の剥離を防止し、製品の凹み異常を解決する。
【解決手段】次のステップを含む基板処理方法。S1:第一めっきチャンバから第二めっきチャンバにめっきされた基板を移送する。S2:基板を第二めっきチャンバに移送した後、基板の表側に水フィルム層を形成する。S3:第一金属層の上に第二金属層を電解めっきする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップからなることを特徴とする、基板処理方法。
S1:第一金属層でめっきされた基板を第一めっきチャンバから第二めっきチャンバに移す。
S2:前記基板を前記第二めっきチャンバに移送した後、前記基板の表側に水フィルム層を形成する。
S3:前記第一金属層の上に第二金属層を電解めっきする。
【請求項2】
前記ステップS2は以下のステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
S21:基板チャックを使用して、前記基板をクランプし、前記基板を回転させ、前記第二めっきチャンバで噴霧装置を使用して、前記基板の表側に水フィルム形成液を噴霧し、水フィルム層を形成するための、前記基板チャックの回転速度、前記噴霧装置の噴霧時間および噴霧流量を設定する。
S22:設定された回転速度で前記基板を回転させ、同時に前記第二めっきチャンバの前記噴霧装置が設定された噴霧時間および噴霧流量に従って、前記基板の表側に水フィルム形成液を噴霧し、水フィルム層を形成する。
【請求項3】
前記噴霧装置によって噴射される前記水フィルム形成液の形状は扇状であり、前記水フィルム形成液は脱イオン水であることを特徴とする、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記ステップS1は以下のステップを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
S11:その表側が下向きである前記基板を前記第一めっきチャンバ内に配置し、前記基板の表側に前記第一金属層を電解めっきする。
S12:前記第一めっきチャンバから前記基板を取り出し、前記基板が前記第二めっきチャンバに移送されるまで、前記基板の表側を下向きのまま保持する。
【請求項5】
前記ステップS11は以下のステップを含むことを特徴とする、請求項4に記載の基板処理方法。
S101:前記基板が前記第一めっきチャンバに移送された後、前記第一めっきチャンバ内の噴霧装置から前記基板の表側に水フィルム形成液を噴霧する必要があるかどうかを選択し、必要な場合は前記第一めっきチャンバ内の前記噴霧装置を使用して前記基板の表側に水フィルム形成液を噴霧し、その後ステップS102に進み、必要ない場合は直接ステップS102に進む。
S102:前記基板の表側に前記第一金属層を電解めっきする。
【請求項6】
前記ステップS1の前に、さらに以下のステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
S01:前記基板をその表側を上にして一時保管場所から取り出す。
S02:前記基板を前記第一めっきチャンバに移送し、移送処理中に前記基板の表側を上向きから下向きに変更する。
【請求項7】
さらに以下のステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
S4:前記第二めっきチャンバから前記基板を取り出し、前記基板が第三めっきチャンバに移されるまで、前記基板の表側を下に向けたまま保持する。
S5:前記基板が前記第三めっきチャンバに移送された後、前記第二金属層の上に第三金属層を電解めっきする。
【請求項8】
前記ステップS5は以下のステップを含むことを特徴とする、請求項7に記載の基板処理方法。
S501:前記基板を前記第三めっきチャンバに移送した後、前記第三めっきチャンバ内の噴霧装置から前記基板の表側に水フィルム形成液を噴霧する必要があるかどうかを選択し、必要な場合は前記第三めっきチャンバ内の噴霧装置を使用して前記基板の表側に前記水フィルム形成液を噴霧し、その後、ステップS502に進み、必要ない場合は、直接ステップS502に進む。
S502:前記第二金属層の上に第三金属層を電解めっきする。
【請求項9】
さらに以下のステップを含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の基板処理方法。
S6:前記基板を前記第三めっきチャンバから、前記基板の表側を下にして取り出す。
S7:前記基板を洗浄チャンバに移送し、移送処理中に前記基板の表側を下向きから上向きに変える。
S8:前記洗浄チャンバで前記基板を洗浄および乾燥する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、半導体のめっき技術の分野に関し、より詳細には基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造の分野では、通常、金属層は電解めっき処理によって作られる。例えば、ウェハに化学蒸着やスパッタリングなどの処理を通じて金属のシード層が形成された後、フォトリソグラフィ処理が行われる。すなわち、フォトレジストのコーティング、露光、現像を行い、金属のシード層を露出させるパターンを形成し、その後、電解めっき処理が行われ、銅層、ニッケル層、金層などの金属層が順番に形成される。電解めっき処理では、フォトレジストの厚さとパターンの開口サイズにより、電解めっき前にプリウェット処理が行われる。その目的は、パターンが水で満たされるようにすることで、基板が電解めっき液と接触した際に、電解めっき液がよりスムーズにパターン内に入り込み、イオンの輸送効率を向上させることである。
【0003】
プリウェット処理は、通常、銅めっきの前に行われ、またパッケージの電解めっきでは異なる金属層を異なるめっきチャンバでめっきする必要があるため、基板は複数の移送を経る必要がある。その間に水分が蒸発して失われる可能性がある。
【0004】
例えば、銅めっき後にニッケルめっきを行う場合、基板表面やパターン上の水分が蒸発して乾燥すると、ニッケルめっき液がパターンに入りにくくなり、ニッケル層と銅層の剥離が発生して、製品不良となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、異なるめっき金属層間で剥離が発生し、製品不良を生じさせる、という従来技術の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下のステップからなる基板処理方法を提案する。
S1:第一金属層でめっきされた基板を第一めっきチャンバから第二めっきチャンバに移送する。
S2:基板を第二めっきチャンバに移した後、基板の表側に水フィルム層を形成する。
S3:第一金属層の上に第二金属層を電解めっきする。
【0007】
上記の技術的解決手段を採用することにより、基板が第二めっきチャンバに入った後、最初に第一金属層でめっきされた基板の表側に水フィルム層が形成され、基板の移送処理中における水分の蒸発による影響を排除し、その後に第一金属層の上面に第二金属層が電解めっきされる。この時、第二金属層の電解めっき液はパターンにスムーズに入り、第一金属層と完全に接触することができ、第二金属層と第一金属層の層間剥離が避けられる。したがって、この基板処理方法は、電解めっき前に水フィルム層を形成するステップにより、2つの金属層間の剥離を回避し、製品の凹み異常を解決する利点がある。
【0008】
さらに、上記技術的解決手段では、基板が第二めっきチャンバに入る後、基板の表側に水フィルム層が形成されるため、追加のプリウェットチャンバで基板をプリウェットする必要がない。そのため、基板をプリウェットチャンバから第二めっきチャンバに移送する処理ステップを省略することができる。これにより、設備スペースを節約し、処理待ち時間を短縮し、生産効率を向上させることができる。
【0009】
さらに、本発明で提案される基板処理方法におけるステップS2は、以下のように構成される。
S21:基板チャックを使用して基板をクランプし、基板を回転させ、第二めっきチャンバで噴霧装置を使用して基板の表側に水フィルム形成液を噴霧し、水フィルム層を形成させるための、基板チャックの回転速度と噴霧装置の噴霧時間と噴霧流量を設定する。
S22:設定された回転速度で基板を回転させ、同時に第二めっきチャンバ内の噴霧装置が設定された噴霧時間と噴霧流量に従って、基板の表側に水フィルム形成液を噴霧し、水フィルム層を形成する。
【0010】
上記の技術的解決手段を採用することにより、第二めっきチャンバ内の噴霧装置は、予め設定された噴霧時間と噴霧流量に従って、基板の表側に水フィルム形成液を噴霧する。一方で、基板の表側における前回の電解めっき処理の電解めっき液の残留物を洗浄することで、クロスコンタミネーションを防止することができる。他方で、水フィルム層の形成により、電解めっき前に基板の表側が乾燥するのを防ぎ、水の蒸発が電解めっき処理に与える悪影響を排除することができる。対応する噴霧流量を設定することで、流量が小さすぎて基板の表側に電解めっき液の残留物が洗浄されず、クロスコンタミネーションが発生することを避けることができる。同時に、流量が大きすぎて均一な水フィルムが形成されにくくなることも避けることができる。対応する回転速度を設定することで、基板の回転速度が小さすぎて落下水量が多くなることを避けることができる。また、回転速度が大きすぎて、基板表面の水分が乾燥して水フィルム層の形成に振りになることを避けることができる。
【0011】
さらに、噴霧装置によって噴霧される水フィルム形成液の形状は扇状であり、水フィルム形成液は脱イオン水である。
【0012】
上記の技術的解決手段を採用することで、水フィルム形成液が基板の表面を均一に覆うことができる。
【0013】
さらに、本発明で提案される基板処理方法におけるステップS1は、以下のように構成される。
S11:基板を第一めっきチャンバに配置し、基板の表側に第一金属層を電解めっきする。ここで、基板の表側は下向きである。
S12:第一めっきチャンバから基板を取り出し、基板が第二めっきチャンバに移送されるまで、基板の表側を下向きのまま保持する。
【0014】
上記の技術的解決手段を採用することにより、既存の基板移送方法が改善され、第一めっきチャンバから第二めっきチャンバへの基板移送処理中に基板の表側方向が常に変わらず保たれるため、第一めっきチャンバから第二めっきチャンバへの基板の移送時間が短縮され、時間の節約と生産効率の向上の利点がある。
【0015】
さらに、上記のステップS11は以下のように構成される。
S101:基板を第一めっきチャンバに移送した後、第一めっきチャンバ内の噴霧装置から基板の表側に水フィルム形成液を噴霧する必要があるかどうかを選択する。必要な場合は第一めっきチャンバ内の噴霧装置を介して基板の表側に水フィルム形成液を噴霧し、その後ステップS102に進む。必要ない場合は直接ステップS102に進む。
S102:基板の表側に第一金属層を電解めっきする。
【0016】
上記の技術的解決手段を採用することにより、実際の処理要求に応じて、第一めっきチャンバで噴霧装置によって基板の表側に水フィルム形成液を噴霧する必要があるかどうかを選択することで、より良好な電解めっき効果が確保される。
【0017】
本発明によって提案される基板処理方法は、ステップS1の前に以下のステップをさらに含む。
S01:基板をその表側を上にして一時保管場所から取り出す。
S02:基板を第一めっきチャンバに移送する。基板の移送処理中に基板の表側を上向きから下向きに変更する。
【0018】
上記の技術的解決手段を採用することにより、基板の一時的保管場所から第一めっきチャンバへの移送処理中に、移送しながら反転する移送方法が採用され、基板が一時的保管場所から第一めっきチャンバへの移送にかかる時間(Q時間)が効果的に短縮される。
【0019】
さらに、本発明で提案された基板処理方法は、以下のステップをさらに含む。
S4:第二めっきチャンバから基板を取り出し、基板が第三めっきチャンバに移送されるまで、基板の表側を下に向けたまま保持する。
S5:基板が第三めっきチャンバに移送された後、第二金属層の上に第三金属層を電解めっきする。
【0020】
上記の技術的解決手段は、既存の基板移送方法を改善するために採用されており、第二めっきチャンバから第三めっきチャンバへの基板の移送処理中に、基板の表側の方向が常に不変に保たれ、第二めっきチャンバから第三めっきチャンバへの基板の移送に必要な時間(Q時間)を効果的に短縮する。
【0021】
さらに、上記のステップS5は以下のように構成される。
S501:基板を第三めっきチャンバに移送した後、第三めっきチャンバ内の噴霧装置から基板の表側に水フィルム形成液を噴霧する必要があるかどうかを選択する。必要な場合は第三めっきチャンバ内の噴霧装置により、基板の表側に水フィルム形成液を噴霧し、その後、ステップS502に進む。必要ない場合は、直接ステップS502に進む。
S502:第二金属層に第三金属層を電解めっきする。
【0022】
さらに、本発明で提案された基板処理方法は、以下のステップをさらに含む。
S6:基板を第三めっきチャンバから、基板の表側を下にして取り出す。
S7:基板を洗浄チャンバに移送し、移送処理中に基板の表側を下向きから上向きに変える。
S8:洗浄チャンバで基板を洗浄および乾燥する。
【発明の効果】
【0023】
上記の技術的解決手段を採用することにより、基板を第三めっきチャンバから洗浄チャンバへの移送処理中に、移送しながら反転する移送方法が採用され、基板が第三めっきチャンバから洗浄チャンバへの移送に必要な時間(Q時間)が効果的に短縮され、生産能力が向上する利点がある。
【0024】
本発明の他の特徴および対応する有益な効果は、本明細書の以下の部分で説明され、有益な効果の少なくとも一部は、本発明の明細書の記載から明らかになることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の基板処理方法のフローチャートを示す。
図2図2は、本発明の基板処理方法の別のフローチャートを示す。
図3図3は、本発明の基板処理方法の別のフローチャートを示す。
図4図4は、本発明の基板処理方法の別のフローチャートを示す。
図5図5は、本発明の基板処理方法の別のフローチャートを示す。
図6図6は、本発明の基板処理方法のステップS5のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、具体的な実施形態により本発明の実施態様を説明するが、当業者であれば、本明細書に開示された内容から本発明の他の利点および効果を容易に理解することができる。本発明の説明は、好ましい実施形態とともに示されるが、これは本発明の特徴がこの実施形態に限定されることを意味するものではない。逆に、実施形態に基づいて本発明を紹介する目的は、本発明の請求項に基づいて拡張される可能性のある他の選択肢や変形をカバーすることである。以下の説明には、本発明の理解を深めるために、多くの具体的な詳細を含んでいる。これらの詳細なしでも、本発明は実施可能である。また、本発明の要旨の混同や不明瞭さを避けるため、いくつかの具体的な詳細については説明を省略する。本発明の実施形態およびその実施形態の特徴は、矛盾がない場合、相互に組み合わせることができることに留意すべきである。
【0027】
本明細書において、類似の数字および文字は、以下の図面において類似の項目を示し、したがって、1つの図面において項目が定義されると、後続の図面において定義および説明する必要はないことに留意すべきである。
【0028】
以下、本発明の技術的解決手段は、添付図面と共に明確かつ完全に説明する。明らかに、説明された実施形態は本発明の一部の実施形態であり、すべての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づき、当業者が創造的な努力を必要とせずに得られた他の実施形態は、本発明の技術的範囲に属する。
【0029】
本発明の説明において、「中央」、「上部」、「下部」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」等の用語は、図面に示された向きまたは位置関係に基づく向きまたは位置関係を示すものであり、参照される装置または要素が特定の向き、または特定の向きでなければならないことを示す、または暗示するものではなく、本発明を説明し、説明を簡略化するための便宜的なものにすぎないことに留意されたい。したがって、構造および動作は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、「第一」、「第二」、および「第三」という用語は、記述的な目的で使用されており、相対的な重要性を示すものとして解釈されるべきではない。
【0030】
本発明の記載において、特に指定および制限がない限り、「設置」、「接続」という用語は広義で理解されるべきであり、例えば、固定接続、着脱可能、あるいは一体的な接続でもよい。また、機械的な接続、あるいは電気的な接続でもよい。また、直接接続、あるいは仲介物を介した間接的に接続でもよい。また、2つのコンポーネント間の内部通信でもよい。当業者であれば、特定の状況において、本発明における上記の用語の特定の意味を理解することができる。
【0031】
本発明の目的、技術的解決手段、および利点をより明確にするために、図面と共に本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0032】
図1に示すように、本発明は以下のステップを含む基板処理方法を提供する。
S1:第一金属層でめっきされた基板を、第一めっきチャンバから第二めっきチャンバに移送する。
S2:基板を第二めっきチャンバに移送した後、基板の表側に水フィルム層を形成する。
S3:第一金属層の上に第二金属層を電解めっきする。
【0033】
この実施形態では、第一金属層は銅層またはニッケル層であり、第二金属層はニッケル層またはスズ銀層であってもよい。
【0034】
この実施形態では、基板が第二めっきチャンバに入った後、まず、第一金属層でめっきされた基板の表側に水フィルム層を形成し、移送処理中に基板表面の水分の蒸発による影響を排除し、その後に第一金属層の上面に第二金属層を電解めっきする。この時点で、第二金属層の電解めっき液はパターンにスムーズに入り、第一金属層と完全に接触することができ、第二金属層と第一金属層の層間剥離が回避される。したがって、この基板処理方法は、電解めっき前に水フィルム層を形成するステップを通じて、二つの金属層間の剥離を回避し、製品の凹部異常を解決する利点がある。
【0035】
さらに、本実施形態では、基板が第二めっきチャンバに入った後に基板の表側に水フィルム層が形成されるため、追加のプリウェットチャンバで基板をプリウェットさせる必要がなく、そのためプリウェットチャンバから第二めっきチャンバへの基板の移送工程を省くことができ、装置スペースの節約、処理待ち時間の短縮、生産効率の向上が可能となる。
【0036】
図2に示すように、上記のステップS2はさらに以下のように構成される。
S21:基板チャックの回転速度、第二めっきチャンバ内の噴霧装置の噴霧時間および噴霧流量を設定する。この実施形態では、基板チャックを使用して基板をクランプし、基板を回転させる。基板チャックの回転速度は、100rpm/min、200rpm/min、300rpm/minなどに設定することができる。噴霧装置の噴霧時間は、10秒と20秒に設定することができる。噴霧装置の噴霧流量は1.5lpm/minに設定することができる。さらに、基板チャックの回転速度、噴霧時間および噴霧装置の噴霧流量の設定ステップは、この実施形態における基板処理に関連するパラメータの設定の最初のステップであり、具体的な値は実際のニーズに応じて設定することができる。基板チャックの回転速度、噴霧装置の噴霧時間および噴霧流量は、基板の表側に水フィルム層が形成される限り、特に制限されない。
S22:設定された回転速度で基板を回転させ、同時に第二めっきチャンバ内の噴霧装置が設定された噴霧時間と噴霧流量に従って、基板の表側に水フィルム形成液を噴霧し、水フィルム層を形成する。この実施形態では、噴霧装置は第二めっきチャンバ内の本来の洗浄アセンブリである。基板が電解めっきされた後、本来の洗浄アセンブリを使用して基板の表側の電解めっき液を洗浄する。この実施形態では、洗浄アセンブリは、電解めっき前に基板の表側に水フィルム層を形成するために使用され、基板をプリウェットする。洗浄アセンブリには、洗浄ノズルがあり、洗浄ノズルは基板の表側に水フィルム形成液を噴射して、基板の表側に水フィルム層を形成し、電解めっき前に基板をプリウェットするために使用される。さらに、水フィルム形成液は脱イオン水であってよい。洗浄ノズルから噴出される水フィルム形成液の形状は扇形であり、基板の表面を均等にカバーすることができる。基板が回転すると、基板上の電解めっきする領域に水フィルム層が形成される。
【0037】
この実施形態では、第二めっきチャンバ内の噴霧装置を使用して、予め設定された噴霧時間と噴霧流量に基づいて、基板の表側に水フィルム形成液を噴霧する。一方で、基板の表側における前回の電解めっき処理の電解めっき液の残留物を洗浄することで、クロスコンタミネーションを防止することができる。他方で、水フィルム層の形成により、電解めっき前に基板の表側が乾燥するのを防ぎ、水蒸発が電解めっき処理に与える悪影響を排除することができる。
【0038】
対応する噴霧流量を設定することで、流量が小さすぎて基板表面に電解めっき液の残留物が清掃されず、クロスコンタミネーションが発生することを回避することができる。同時に、噴霧流量が大きすぎて均一な水フィルム層を形成しにくいことも回避することができる。
【0039】
対応する回転速度値を設定することで、基板の回転速度が小さすぎて落下水量が多くなることを避けることができる。同時に、回転速度が大きすぎて基板の表面の水分が乾燥し、水フィルム層の形成に不利になることも避けることができる。
【0040】
当業者であれば、他の代替実施形態では、第二めっきチャンバに追加の噴霧装置を設置して基板に水フィルム形成液を噴霧することができ、これにより、装置スペースを節約し、処理待ち時間を短縮し、生産効率を向上させることが理解できる。
【0041】
図3に示すように、上記のステップS1はさらに以下のように構成されている。
S11:基板を第一めっきチャンバに配置し、基板の表側に第一金属層を電解めっきする。ここで、基板の表側は下向きになる。
S12:第一めっきチャンバから基板を取り出し、基板が第二めっきチャンバに移送されるまで、基板の表側を下向きのまま保持する。
【0042】
第一めっきチャンバから第二めっきチャンバへ基板を移送する移送処理中、基板の表側は常に同じ方向を向いている。
【0043】
基板の表側に第一金属層が電解めっきされた後、基板が第一めっきチャンバから取り出される前に、第一めっきチャンバ内の洗浄装置を使用して、基板の表側に脱イオン水を噴霧し、基板の表側を清掃し、基板の表側にある電解めっき液が第二めっきチャンバに入り込むことを防ぎ、第二めっきチャンバでの電解めっき処理に影響を与えるのを防ぐ。
【0044】
第一金属層で電解めっきされた基板が第二めっきチャンバに入った後、まず、第二めっきチャンバ内の洗浄アセンブリを使用して、基板の表側に脱イオン水を噴霧し、水膜層を形成する。次に、第二金属層を電解めっきする。最後に、第二金属層を電解めっきした後、第二めっきチャンバの洗浄アセンブリを使用して、基板の表側に脱イオン水を噴霧し、基板の表側を洗浄し、基板の表側の電解めっき液が第三めっきチャンバに入り、第三めっきチャンバの電解めっきプロセスに影響を与えるのを防ぐ。
【0045】
第一めっきチャンバは、銅またはニッケルの電解めっきに使用することができる。第二めっきチャンバは、ニッケル、錫銀、または金の電解めっきに使用することができる。第三めっきチャンバは、金または錫銀の電解めっきに使用することができる。
【0046】
基板の移送処理中、ある1つのめっきチャンバから別のチャンバへの移動には一定の時間がかかる。この時間をQ時間と呼ぶ。Q時間が長すぎると、基板の表面の水分が容易に蒸発するだけでなく、生産性にも影響を与える。
【0047】
従来技術では、基板をある1つのめっきチャンバから別のめっきチャンバに移送する工程では、ある1つのめっきチャンバから基板を取り出す際に、基板の表側が上になるように基板を反転させてから基板を移送し、基板を別のめっきチャンバに移送する際に、次の電解めっき工程に進むために、基板の表側が下になるように基板を再び反転させる。その結果、Qタイムは50秒から60秒と長くなる。
【0048】
したがって、この実施形態では、上記の基板移送方法が改良されており、第一めっきチャンバから第二めっきチャンバへの基板の移送処理中において、基板の表側の方向が常に変わらず保たれ、これにより、第一めっきチャンバから第二めっきチャンバへの基板の移送時間(つまり、Q時間)が短縮され、時間を節約し、生産効率が向上する。
【0049】
図4に示すように、ステップS11はさらに次のように構成されている。
S101:基板が第一めっきチャンバに移送された後、実際の処理要求に従って、第一めっきチャンバ内の噴霧装置から基板の表側に水フィルム形成液を噴霧する必要があるかどうかを選択する。必要な場合は第一めっきチャンバ内の噴霧装置が基板の表側に水フィルム形成液を噴霧し、その後、ステップS102に進む。必要ない場合は、直接ステップS102に進む。
S102:基板の表側に第一金属層を電解めっきする。
【0050】
ここで、第一めっきチャンバ内の噴霧装置によって基板の表側の前側に水フィルム形成液を噴霧する具体的なステップは、第二めっきチャンバ内の噴霧装置による基板の表側への水フィルム形成液の噴霧のステップ(すなわち、ステップS21、S22)と類似しており、ここでは繰り返しての説明は省略する。
【0051】
この実施形態では、実際の処理要求に応じて、第一めっきチャンバ内の噴霧装置から水フィルム形成液を基板の表側に噴霧するかどうかを選択することで、より良好な電解めっき効果を確保することができる。
【0052】
図5に示すように、ステップS1の前に、基板処理方法はさらに次のように構成される。
S01:基板をその表側を上にして一時保管場所から取り出す。
S02:基板を第一めっきチャンバに移送し、移送処理中に基板の表側を上向きから下向きに変更する。
【0053】
すなわち、基板を一時保管場所から第一めっきチャンバへの移送処理中、基板を反転させながら移送する。
【0054】
従来技術では、基板は一時保管場所から第一めっきチャンバに到着した後に反転されるが、移送中には反転されず、結果としてQ時間が長くなる。この実施形態では、移送中に反転する移送モードが採用されており、Q時間が効果的に短縮されている。一時保管場所は、プリウェットチャンバであってもよいし、プリウェットチャンバでのプリウェット後の基板の一時保管場所であってもよい。
【0055】
さらに、基板処理方法は、以下のステップをさらに含む。
S4:第二めっきチャンバから基板を取り出し、基板が第三めっきチャンバに移されるまで、基板の表側を下に向けたまま保持する。
S5:基板が第三めっきチャンバに移送された後、この時点では基板の表側はまだ下向きのままで、第二金属層の上に第三金属層を電解めっきする。
【0056】
この実施形態では、既存の基板移送方法が改善され、第二めっきチャンバから第三めっきチャンバへの基板の移送処理中に、基板の表側が常に下向きに保たれるようになっており、Q時間を効果的に短縮することができる。
【0057】
図6に示すように、ステップS5は以下のように構成されている。
S501:基板を第三めっきチャンバに移送した後、実際の処理要求に従って、第三めっきチャンバ内の噴霧装置から基板の表側に水フィルム形成液を噴霧する必要があるかどうかを選択する。必要な場合は第三めっきチャンバ内の噴霧装置を介して基板の表側に水フィルム形成液を噴霧し、その後、ステップS502に進む。必要ない場合は、直接ステップS502に進む。
S502:第二金属層の上に第三金属層を電解めっきする。
【0058】
この実施形態では、第三金属層は金層であってもよい。実際の電解めっき処理では、実際の処理要求に応じて、水フィルム形成液を噴霧するかしないかを選択することがある。第三めっきチャンバ内の噴霧装置を介して基板の表側に水フィルム形成液を噴霧する具体的なステップは、第二めっきチャンバ内の噴霧装置を介して基板の表側に水フィルム形成液を噴霧するステップ(すなわち、ステップS21、S22)と類似しており、ここでは繰り返しの説明は省略する。
【0059】
さらに、図5に示すように、基板処理方法は以下のステップをさらに含む。
S6:基板を第三めっきチャンバから、基板の表側を下にして取り出す。
S7:基板を洗浄チャンバに移送し、移送処理中に基板の表側を下向きから上向きに変える。
S8:洗浄チャンバで基板を洗浄および乾燥する。この時点で基板の表側が上向きである。
【0060】
従来の技術では、基板は第三めっきチャンバから洗浄チャンバに到着した後に、基板を反転して、基板の表側を上にし、洗浄および乾燥されるため、Q時間が長くなる。この実施形態では、基板を第三めっきチャンバから洗浄チャンバへの移送処理中に、反転させながら移送する移送方法を採用することにより、Q時間を短縮することができ、例えば、従来の40秒から30秒に時間を短縮することができる。
【0061】
この実施形態では、既存の電解めっき設備において、ロボットによって複数回の基板の移送と反転がロボットによって実現される。
【0062】
当業者であれば、電解めっき処理フローにおいて、1層、2層、3層、4層、あるいはそれ以上の層の金属を電解めっきすることが可能であることを理解できる。4層以上の金属層を電解めっきする場合、対応するめっきチャンバ内の噴霧装置から基板の表側に水フィルム形成液を噴霧して水フィルム層を形成する必要があるかどうか、実際の処理要求に応じて設定することもできる。これにより、めっき液がパターンによりスムーズに入るようになる。
【0063】
最後に、以下のことに留意されたい。上記実施形態は、本発明の技術的解決策を限定するのではなく、説明するために使用されているに過ぎない。本発明は、上記実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者であれば、以下のことを理解すべきである。上記実施形態に記載された技術的解決手段を修正すること、または技術的特徴の一部または全部に対して同等の置換を行うことは依然として可能であり、これらの修正または置換は、対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施形態の技術的解決手段の範囲から外れるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】