(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】最適化された外側複合構造を有する圧力容器
(51)【国際特許分類】
F17C 1/08 20060101AFI20240822BHJP
F16J 12/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F17C1/08
F16J12/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515475
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2022074886
(87)【国際公開番号】W WO2023036833
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521525527
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・ニュー・エナジーズ・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・クリエル
(72)【発明者】
【氏名】カン-フン・グエン
(72)【発明者】
【氏名】ヘールト・ナウエン
(72)【発明者】
【氏名】ドリース・デヴィスシェ
【テーマコード(参考)】
3E172
3J046
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC04
3E172BD03
3E172CA13
3E172DA36
3E172EA02
3E172EB02
3J046AA01
3J046AA20
3J046BA03
3J046CA04
3J046EA02
(57)【要約】
本発明は、圧力容器(4、4’)であって、内部流体貯蔵チャンバ(3)と、強化用繊維のヘリカル層(20a)とフープ層(20b)との両方を含む厚さ(T)を有する外側複合構造(20)と、を備え、すべてのヘリカル層(20a)の合計厚さのうちの少なくとも20%が、外側複合構造(20)の25%最内厚さ(T)内に位置する、圧力容器(4、4’)に関する。内部流体貯蔵チャンバ(3)は、第1の中間部分(13)を有する第1のドーム形長手方向端部(12)を備えるライナ(6)によって画定される。
圧力容器(4、4’)は、第1のドーム形長手方向端部(12)およびその第1の中間部分(13)の形状と相補的な形状を有する第1のドーム強化シェル(16)をさらに備え、第1のドーム強化シェル(16)は、第1のドーム形長手方向端部(12)およびその第1の中間部分(13)上でのみライナ(6)上に嵌め合わされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器(4、4’)であって、
内部流体貯蔵チャンバ(3)と、
前記内部流体貯蔵チャンバ(3)を密閉するかまたは包み込む外側複合構造(20)と、を備え、
前記外側複合構造(20)は、強化用繊維のヘリカル層(20a)とフープ層(20b)との両方を含む厚さ(T)を有し、すべてのヘリカル層(20a)の合計厚さのうちの少なくとも20%は、前記外側複合構造(20)の25%最内厚さ(T)内に位置し、
前記内部流体貯蔵チャンバ(3)は、ライナ(6)によって画定され、前記ライナ(6)は、
第1の長手方向端部(8a)において第1の外径D1を有する略円筒形の中央部分(8)と、
ベース部分(12a)を有する第1のドーム形長手方向端部(12)と、前記略円筒形の中央部分(8)と前記ベース部分(12a)との間に位置し、前記略円筒形の中央部分(8)の前記第1の長手方向端部(8a)を前記第1のドーム形長手方向端部(12)の前記ベース部分(12a)に接続する第1の中間部分(13)と、を備える、圧力容器(4、4’)において、
前記圧力容器は、前記第1のドーム形長手方向端部(12)およびその第1の中間部分(13)の形状と相補的な形状を有する第1のドーム強化シェル(16)をさらに備え、前記第1のドーム強化シェル(16)は、前記第1のドーム形長手方向端部(12)およびその第1の中間部分(13)上でのみ前記ライナ(6)上に嵌め合わされることを特徴とする、圧力容器(4、4’)。
【請求項2】
前記第1のドーム強化シェル(16)は、前記ライナ(6)と同一平面上に位置する、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項3】
すべてのヘリカル層(20a)の合計厚さのうちの少なくとも30%は、前記外側複合構造(20)の20%最内厚さ(T)内に位置する、請求項1および2のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項4】
前記ベース部分(12a)は、第2の外径D2を有し、前記第2の外径D2は、前記第1の外径D1よりも小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項5】
前記ライナ(6)の前記第1のドーム形長手方向端部(12)は、ジオデシックドーム外形部分を有するドーム形長手方向端部よりも、前記内部流体貯蔵チャンバ(3)に向かう凹度が低いドーム外形部分(12b)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項6】
前記第1のドーム形長手方向端部(12)の前記ドーム外形部分(12b)とジオデシックドーム外形部分を有するドーム形長手方向端部の前記ドーム外形部分との間の最大距離は、前記第1の外径D1の0.1%から5%の間に含まれる、請求項5に記載の圧力容器。
【請求項7】
前記第1のドーム強化シェル(16)は、ジオデシックドーム外形部分を有するドーム強化シェルよりも、前記内部流体貯蔵チャンバ(3)に向かう凹度が低いドーム外形部分を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項8】
前記ライナ(6)の前記第1の中間部分(13)は、円筒形、円錐台形、湾曲形状、およびそれらの組合せからなる群から選択される外周面を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項9】
前記第1の中間部分(13)の前記外周面は、第1の円錐台形面(9)と第1の円筒面(11)との組合せである、請求項8に記載の圧力容器。
【請求項10】
前記第1のドーム強化シェルは、繊維強化複合材料の層の巻き線からなる、請求項1から9のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項11】
前記ライナ(6)は、
前記略円筒形の中央部分(8)の前記第1の長手方向端部(8a)の軸方向反対側にある第2の長手方向端部における第3の外径と、
ベース部分を有する第2のドーム形長手方向端部と、前記略円筒形の中央部分(8)と前記ベース部分との間に位置し、前記略円筒形の中央部分(8)の前記第2の長手方向端部を前記第2のドーム形長手方向端部の前記ベース部分に接続する第2の中間部分と、をさらに備え、
前記圧力容器は、前記第2のドーム形長手方向端部およびその第2の中間部分の形状と相補的な形状を有する第2のドーム強化シェルをさらに備え、前記第2のドーム強化シェルは、前記第2のドーム形長手方向端部およびその第2の中間部分上でのみ前記ライナ(6)上に嵌め合わされる、請求項1から10のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の圧力容器(4、4’)を備える車両(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の圧力容器に関する。より正確には、本発明は、圧力容器およびそのような圧力容器を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の高圧容器は一般に、中空の筐体を備える。この筐体は、ライナとも呼ばれ、2つのドーム形長手方向端部を備えた略円筒形を有し、軽量で製造費が安いために選択されるプラスチック材料、または金属(たとえば、アルミニウム)などの他の材料で作られる。この筐体は、電源などの多様な機能のための圧力容器を備えた車両によって使用される加圧下のガス、たとえば、二水素を貯蔵することを目的としている。加圧下のガスは、筐体の内面に対して強い拘束を及ぼし、それによって筐体の完全性を損ない、特に二水素のような燃焼ガスの場合に危険な漏れを生じさせる場合がある。
【0003】
筐体の機械的特性を改善するために、強化用繊維、たとえば炭素繊維で作られたフィラメントを筐体の外面の全体にわたって巻き付けることが知られている。フィラメントは、巻付けを容易にし、筐体の外面の各部片が確実に覆われるように樹脂に埋め込まれる。
【0004】
たとえば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3において開示されているように、筐体の外面に強化用繊維のヘリカル層およびフープ層の両方を巻き付けて外側複合構造を形成することが知られている。圧力容器が高圧下のガスを含むときに筐体の略円筒形とドーム形長手方向端部との間の境界における外側複合構造の最内層内の過度の機械的応力を回避するために、ヘリカル層の厚さを増すことが知られている。この解決策は、圧力容器の重量が大きくなるので満足の行くものではない。
【0005】
筐体のドーム形長手方向端部については、筐体とは独立にフィラメントの巻き線を備えるドーム強化部またはドーム強化シェルを製造し、その後のステップにおいて、ドーム強化シェルを筐体上に嵌め合わせられることが知られている。特許文献4は、そのようなドーム強化シェルの例を提示している。そのようなドーム強化シェルを使用すると、筐体の略円筒形とドーム形長手方向端部との間の境界における外側複合構造の最内層は、圧力容器が高圧下のガスを含むときにやはり過度の機械的応力を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第2020/116304号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2012/048862号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2017/241591号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10 2017 208 492明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Stuart M. Lee、「Handbook of Composite Reinforcements」、ISBN: 0-471-18861-1、244~245頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のことに鑑みて、使用される強化繊維の量を低減させつつ良好な機械的特性を維持することによって圧力容器を最適化する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内部流体貯蔵チャンバと、内部流体貯蔵を密閉するかまたは包み込む外側複合構造とを備える圧力容器であって、外側複合構造が、強化繊維のヘリカル層とフープ層の両方を含む厚さを有し、すべてのヘリカル層の合計厚さのうちの少なくとも20%が、外側複合構造の25%最内厚さ内に位置し、好ましくは、すべてのヘリカル層の合計厚さのうちの少なくとも30%が、外側複合構造の20%最内厚さ内に位置する、圧力容器を提供する。
【0010】
本発明によって、外側複合構造厚さにおけるヘリカル層の分布が最適化される。実際、従来技術と比較して、すべてのヘリカル層の合計厚さのうちの少なくとも20%を外側複合構造の25%最内厚さ内に配置することによって、圧力容器が高圧下のガスを含むときに外側複合構造の最内層内の機械的応力を低下させるために外側複合構造の厚さ、特にすべてのヘリカル層の合計厚さを増すことはもはや不要になる。本発明の利益は、すべてのヘリカル層の合計厚さのうちの少なくとも30%が外側複合構造の20%最内厚さ内に配置されるときにさらにいっそう明白になる。これによって、外側複合構造を製造するために使用する繊維が少なくなる一方、良好な機械的特性を維持することが可能になる。これによって、得られる圧力容器の軽量化が可能になる。さらに、この場合、外側複合構造をライナ上に巻き付ける時間が短くなるので製造時間が短縮される。
【0011】
「強化繊維のヘリカル層」という表現は、強化部としてヘリカル方向に配置された、すなわち、圧力容器の長手方向軸に対して5°から85°の間の角度に配置された、繊維の連続フィラメントを意味する。
【0012】
「強化繊維のフープ層」という表現は、強化部としてフープ方向に配置された、すなわち、圧力容器の長手方向軸に対して85°から90°の間の角度に配置された、繊維の連続フィラメントを意味する。
【0013】
「すべてのヘリカル層の合計厚さ」という表現は、外側複合構造のすべてのヘリカル層を積層することによって形成された層の積層構造の厚さを意味する。
【0014】
「外側複合構造厚の最内厚さ」という表現は、内部流体貯蔵チャンバに最も近い外側複合構造の厚さを意味する。
【0015】
本発明によれば、内部流体貯蔵チャンバは、ライナによって画定され、ライナは、
- 第1の長手方向端部において第1の外径D1を有する略円筒形の中央部分と、
- ベース部分を有する第1のドーム形長手方向端部と、略円筒形の中央部分と第1のドーム形長手方向端部との間に位置し、略円筒形の中央部分の第1の長手方向端部を第1のドーム形長手方向端部のベース部分に接続する第1の中間部分とを備え、
圧力容器は、第1のドーム形長手方向端部およびその第1の中間部分の形状と相補的な形状を有する第1のドーム強化シェルをさらに備え、前記第1のドーム強化シェルは、第1のドーム形長手方向端部およびその第1の中間部分上でのみライナ上に嵌め合わされる。
【0016】
「略円筒形の中央部分」という表現は、中央部分がその外面から見たときに円筒形に見え、空間内に概ね円筒形を形成することを意味する。
【0017】
第1のドーム強化シェルの補助形状に起因して、圧力容器の機械的特性は、第1のドーム形長手方向端部およびその第1の中間部分を強化することによって改善される。特に、外側複合構造内部、特に外側複合構造の最内厚さ内部において、機械的応力が低減する。これによって、良好な機械的特性を維持しつつ外側複合構造の製造に使用する繊維を少なくすることが可能になる。これによって、得られる圧力容器の重量が低減する。さらに、これによって、ライナおよび第1のドーム強化シェルに外側複合構造を巻き付ける時間が短くなるので製造時間を短縮することが可能になる。
【0018】
好ましくは、ベース部分は、第2の外径D2を有し、第2の外径D2は、第1の外径D1よりも小さい。したがって、第1の外径D1と第2の外径D2との間の直径の差に起因して、第1の中間部分に挿入領域が形成され、それによって、第1のドーム強化シェルがライナと同一平面上に位置するか、または過度に突き出ることがなくなり、それによって、第1のドーム強化シェルが突き出る点において外側複合構造内部に過度の機械的応力が加わることが回避される。好ましい実施形態において、第1の外径D1および第2の外径D2は、第1のドーム強化シェルがライナと同一平面上に位置するような外径である。したがって、圧力容器の外面は特に平滑である。これによって、外側複合構造の取付けが改善され、圧力容器内の機械的応力レベルが低下する。
【0019】
好ましい実施形態では、第1のドーム強化シェルは、ライナ、より好ましくは、ライナの略円筒形の中央部分、と同一平面上に位置する。第1のドーム強化シェルは、第1のドーム強化シェルがライナと同一平面上に位置する点において外側複合構造内部に過度の機械的応力が加わるのを回避する。したがって、圧力容器の外面は特に平滑である。これによって、外側複合構造の取付けが改善され、圧力容器内の機械的応力レベルが低下する。
【0020】
「第1のドーム強化シェルがライナと同一平面上に位置する」という表現は、ライナの外面が第1のドーム強化シェルの外面と幾何学的に一体化することを意味する。
【0021】
好ましくは、第1のドーム強化シェルの外面は、ライナの略円筒形の中央部分の外面と同一平面上に位置する。したがって、第1のドーム強化シェルの外面は、ライナの略円筒形の中央部分の外面と幾何学的に一体化しているので、第1のドーム強化シェルは、ライナの略円筒形の中央部分の第1の外径D1から突き出ていない。したがって、圧力容器の外面は特に平滑である。これによって、外側複合構造の取付けが改善され、圧力容器内の機械的応力レベルが低下する。
【0022】
好ましい実施形態では、ライナは熱可塑性材料で作られたプラスチック製ライナである。これにより、タイプIVの圧力容器の製造が可能となる。
【0023】
好ましい実施形態では、ライナの第1のドーム形長手方向端部は、ジオデシックドーム外形部分を有するドーム形長手方向端部よりも、内部流体貯蔵チャンバに向かう凹度が低いドーム外形部分を有する。
【0024】
ジオデシックドームは、半球の表面における大円のネットワークに基づくドーム構造を言うものである。ジオデシックは交差して、局所的な三角剛性を有し、また構造全体にわたって応力を分散させる三角形要素を形成する。ジオデシックドーム外形は、非特許文献1に記載された技法によって生成することができる。ジオデシックドーム外形は、フィラメントの等張力装填を可能にする。
【0025】
「等張力」という用語は、ライナおよび第1のドーム強化シェルの周りに巻かれた外側複合構造の各フィラメントがその経路内のすべての点において一定の圧力を受ける、完全に巻付けが施された圧力容器の特性を指す。この構成では、圧縮された内部流体によって容器に課される応力の実際上すべてが、外側複合構造のフィラメントによって負担され、ライナによって負担される応力は非常に少なくなる。
【0026】
好ましくは、第1のドーム形長手方向端部のドーム外形部分とジオデシックドーム外形部分を有するドーム形長手方向端部のドーム外形部分との間の最大距離は、第1の外径の0.1%から5%の間、好ましくは第1の外径の0.5%から2.5%の間に含まれる。これらの値は、第1のドーム形長手方向端部に適しており、ライナの製造において容易に実施され、ライナおよび第1のドーム強化シェルを密閉するかまたは包み込む外側複合構造内の応力をより適切に低減させるのを可能にする。応力がこのように低減すると、使用される複合構造を減らす(すなわち、材料を減らす)ことが可能になる。
【0027】
第1のドーム強化シェルは、ライナの第1のドーム形長手方向端部の形状と相補的な形状を有するので、第1のドーム強化シェルはまた、ジオデシックドーム外形部分を有するドーム強化シェルよりも、内部流体貯蔵チャンバに向かう凹度が低いドーム外形部分を有する。
【0028】
好ましい実施形態では、ライナの第1の中間部分は、円筒形、円錐台形、湾曲形状、およびそれらの組合せからなる群から選択される外周面を有する。したがって、第1のドーム強化シェルを備えるライナの外面は特に平滑である。これによって、外側複合構造の取付けが改善され、圧力容器内の応力レベルが低下する。
【0029】
好ましくは、第1の中間部分の外周面は、第1の円錐台形面と第1の円筒面の組合せである。したがって、ライナは、略円筒形の中央部分と第1のドーム形長手方向端部との間に第1の先細り状外側ショルダを備える段付きライナと見なすことができる。
【0030】
好ましい実施形態では、第1のドーム強化シェルは、巻付け技法、外装技法、編組技法、およびテープ配置技法からなる群から選択される技法のうちの少なくとも1つを使用して製作される。有利には、テープ配置技法は、レーザー自動テープ配置(LATPとも呼ばれる)技法である。
【0031】
特に好ましい一実施形態では、第1のドーム強化シェルは、巻付け技法を使用して製作された繊維強化複合材料の層の巻き線からなる。
【0032】
好ましい実施形態では、繊維強化複合材料のマトリックスは、熱硬化性樹脂および熱可塑性ポリマーからなる群から選択される。好ましくは、繊維強化複合材料のマトリックスは熱硬化性樹脂である。
【0033】
熱硬化性樹脂は、反応性熱硬化性前駆体を形成する2つ以上の反応性成分を混合することによって形成され、反応性熱硬化性前駆体は、硬化条件(たとえば、熱、UV、もしくは他の放射、または単に互いに接触させることによる)への曝露に反応して熱硬化性樹脂を形成する。熱硬化性樹脂は、高性能複合物を生成するように完全に硬化しなければならない。硬化後、熱硬化性樹脂は固体になり、樹脂がもはや流動することができなくなるのでそれ以上加工または再成形することはできなくなる。熱硬化性樹脂の例には、不飽和ポリエステル、エポキシ、ビニルエステル、ポリ尿素、イソシアヌレート、およびポリウレタン樹脂が含まれる。粘着性を有するが、依然として柔らかいように部分的にのみ硬化された反応性樹脂を含浸させた繊維で作られた熱硬化性プリプレグを作製することが可能である。このプリプレグを貯蔵しておき、後で、加熱するかまたは樹脂をUVに露光させることによって加圧下でさらに加工して、プリプレグの硬化および固化を完了することができる。
【0034】
熱可塑性ポリマーは、それぞれ温度を上げるかまたは下げることによって、固体状態(または非流動状態)から液体状態(または流動状態)に変化し、液体状態から固体状態に変化することができる。半結晶ポリマーの場合、熱可塑性物質の温度を低下させると、結晶が形成され、熱可塑性物質が凝固する。逆に、半結晶ポリマーをその融点を超える温度まで加熱すると、結晶が融解し、熱可塑性物質が流動することができる。半結晶熱可塑性物質の例には、PEEK、PEKK、PEKKEKなどのポリエーテルケトン、PA6、PA66、PA10、PA11、PA12などのポリアミド、PE、PPなどのポリオレフィンなどが含まれる。不定形熱可塑性物質は、結晶を形成せず、融点を有さない。不定形熱可塑性物質は、物質温度がそのガラス転移温度を上回るかそれとも下回るかに応じて凝固するかまたは流動性を有する。不定形熱可塑性物質の例には、PEI、PSU、PES、PC、PS、TPUなどが含まれる。したがって、半結晶と不定形熱可塑性物質はどちらも、その融点またはガラス転移温度を上回る温度で加熱することによって再成形することができ、融点またはガラス転移温度に応じて温度を低下させることによって凍結させて新しい形状にすることができる。物理的な観点からは厳密に正しくはないが、説明を簡単にするために、液体状態の半結晶と不定形熱可塑性物質の両方を本明細書において「熱可塑性溶解物」と呼ぶ。
【0035】
好ましい実施形態では、繊維強化複合材料の繊維は、炭素繊維、アラミド繊維、およびガラス繊維からなる群から選択される繊維である。これによって、繊維強化複合材料の軽量化と機械的強度との適切な兼ね合わせが可能になる。より好ましくは、繊維強化複合材料の繊維は炭素繊維である。
【0036】
好ましい実施形態では、第1のドーム強化シェルを製作するために使用される繊維強化複合材料の繊維は、高弾性率、たとえば、250GPaを有する連続繊維である。これによって、繊維強化複合材料の機械的強度がさらに向上する。
【0037】
好ましい実施形態では、ライナは、
- 略円筒形の中央部分の第1の長手方向端部の軸方向反対側にある第2の長手方向端部における第3の外径と、
- 好ましくは第4の外径の、ベース部分を有する第2のドーム形長手方向端部であって、第4の外径が、第3の外径よりも小さい、第2のドーム形長手方向端部と、略円筒形の中央部分とベース部分との間に位置し、略円筒形の中央部分の第2の長手方向端部を第2のドーム形長手方向端部のベース部分に接続する第2の中間部分とをさらに備え、
圧力容器は、第2のドーム形長手方向端部およびその第2の中間部分の形状と相補的な形状を有する第2のドーム強化シェルをさらに備え、前記第2のドーム強化シェルは、第2のドーム形長手方向端部およびその第2の中間部分上でのみライナ上に嵌め合わされる。
【0038】
この構成では、ライナの略円筒形の中央部分の各長手方向端部は、本発明の有利な機械的特性を提示するドーム形長手方向端部を有する。
【0039】
好ましい実施形態では、第2のドーム強化シェルは、ライナ、より好ましくは、ライナの略円筒形の中央部分と同一平面上に位置する。
【0040】
好ましくは、第2のドーム強化シェルの外面は、ライナの略円筒形の中央部分の外面と同一平面上に位置する。
【0041】
好ましい実施形態では、ライナの第2のドーム形長手方向端部は、ジオデシックドーム外形部分を有するドーム形長手方向端部よりも、内部流体貯蔵チャンバに向かう凹度が低いドーム外形部分を有する。
【0042】
好ましくは、第2のドーム形長手方向端部のドーム外形部分とジオデシックドーム外形部分を有するドーム形長手方向端部のドーム外形部分との間の最大距離は、第3の外径の0.1%から5%の間、好ましくは第3の外径の0.5%から2.5%の間に含まれる。これらの値は、第2のドーム形長手方向端部に適しており、ライナの製造において容易に実施され、ライナおよび第2のドーム強化シェルを密閉するかまたは包み込む外側複合構造内の応力をより適切に低減させるのを可能にする。応力がこのように低減すると、使用される複合構造を減らすことが可能になる。
【0043】
第2のドーム強化シェルは、ライナの第2のドーム形長手方向端部の形状と相補的な形状を有するので、第2のドーム強化シェルはまた、ジオデシックドーム外形部分を有するドーム強化シェルよりも、内部流体貯蔵チャンバに向かう凹度が低いドーム外形部分を有する。
【0044】
有利には、第3の外径は、第1の外径D1に概ね等しい。
【0045】
好ましくは、第4の外径は、第2の外径D2に概ね等しい。
【0046】
有利には、ライナの第2の中間部分は、円筒形、円錐台形、湾曲形状、およびそれらの組合せからなる群から選択される外周面を有する。したがって、第2の強化シェルを備えるライナの外面は、特に平滑である。これによって、外側複合構造の取付けが改善され、圧力容器内の応力レベルが低下する。
【0047】
好ましくは、第2の中間部分の外周面は、第2の円錐台形面と第2の円筒面の組合せである。したがって、ライナは、略円筒形の中央部分と第2のドーム形長手方向端部との間に第2の先細り状外側ショルダを備える段付きライナと見なすことができる。
【0048】
好ましい実施形態では、第2のドーム強化シェルは、巻付け技法、外装技法、編組技法、およびテープ配置技法からなる群から選択される技法のうちの少なくとも1つを使用して製作される。有利には、テープ配置技法は、レーザー自動テープ配置(LATP)技法である。
【0049】
特に好ましい一実施形態では、第2のドーム強化シェルは、巻付け技法を使用して製作された繊維強化複合材料の層の巻き線からなる。
【0050】
好ましい実施形態では、強化用繊維のヘリカル層およびフープ層の強化用繊維を保護するために、外側複合構造上にガラス繊維層が設けられ得る。
【0051】
好ましくは、強化用繊維は炭素繊維である。
【0052】
本発明は、本発明による圧力容器を備える車両にさらに関する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図2】本発明の第1の実施形態による圧力容器の断面図である。
【
図3】
図2においてFによって示されている部分の詳細図である。
【
図4】外側複合構造の最内厚さ内のそれぞれに異なるヘリカル層構成についての外側複合構造の第1のヘリカル層内の機械的応力を比較するシミュレーショングラフィックスである。
【
図5】本発明の第2の実施形態の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明について、特定の実施形態に関していくつかの図面を参照しながら説明するが、本発明は実施形態および図面に制限されず、特許請求の範囲によってのみ制限される。説明される図面は、概略図に過ぎず、非制限的である。図面では、いくつかの要素のサイズが誇張されることがあり、図示の目的上縮尺通りに描かれないことがある。寸法および相対寸法は、本発明を実施するための実際の縮小に対応していない。
【0055】
特許請求の範囲において使用される「備える」という用語は、その後に列挙される手段に限定されるものと解釈すべきではなく、他の要素またはステップを除外しないことに留意されたい。したがって、この用語は、参照され記載された特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を言うものと解釈すべきであるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、もしくは構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を除外しない。したがって、「手段Aおよび手段Bを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素Aおよび構成要素Bのみからなるデバイスに限定すべきではない。この表現は、本発明に関して、デバイスの関連する構成要素がAおよびBのみであることを意味する。
【0056】
図1は、高圧下のガスを含むように構成された圧力容器4、4’を備える車両2を表す。たとえば、圧力容器4、4’は、車両の燃料電池を駆動するための二水素を含んでもよい。「圧力容器」という表現は、ガスを加圧下で貯蔵することを目的としており、700バールまでの内圧に耐えることができる容器を意味する。たとえば、圧力容器は、国連によって発行された“Agreement Concerning the Adoption of Uniform Technical Prescriptions for Wheeled Vehicles, Equipment and Parts which can be Fitted and/or be Used on Wheeled Vehicles and the Conditions for Reciprocal Recognition of Approvals Granted on the Basis of these Prescriptions”(車輪付き乗物、機器、および車輪付き乗物上に取り付けることができ、かつ/または車輪付き乗物上で使用することができる部品用の統一技術規定の採用ならびにこれらの規定に基づいて与えられる承認を相互認識するための条件に関する協定)のAddendum 133 - Regulation No. 134(補遺133-規則第134号)に準拠してもよい。
【0057】
図2は、本発明の第1の実施形態による圧力容器4の半分を表す。圧力容器4は、ライナ6によって画定された内部流体貯蔵チャンバ3を備える。ライナ6は、長手方向軸10に沿って延びる略円筒形の中央部分8と、2つの同様なドーム形長手方向端部、すなわち、第1のドーム形長手方向端部12および第2のドーム形長手方向端部とを備える。2つの同様なドーム形長手方向端部について、
図2には、第1のドーム形長手方向端部12のみが示されている。ライナ6は、長手方向軸10に垂直であり、ライナ6の体積の中心を通過する対称面を有する。他の実施形態では、ライナ6は、1つのドーム形長手方向端部12のみを有してもよい。
【0058】
要素の各対について、対称面に対する対称性によって第2の要素を推定することができることがわかっているので、以下では第1の要素のみについて説明する。
【0059】
略円筒形の中央部分8は、ライナ6の第1の長手方向端部8aにおいて第1の外径D1を有する。第1のドーム形長手方向端部12は、長手方向軸10と同軸の中心軸と、第2の外径D2のベース部分12aとを有する。D2はD1よりも小さい。ライナ6は、より正確には、第1のドーム形長手方向端部12は、略円筒形の中央部分8とベース部分12aとの間に位置する第1の中間部分13をさらに備える。第1の中間部分13は、略円筒形の中央部分8の第1の長手方向端部8aを第1のドーム形長手方向端部12のベース部分12aに接続する。
【0060】
圧力容器4は、ライナ6と第1のドーム強化シェル16の両方を密閉するかまたは包み込む外側複合構造20を備える。外側複合構造20は、ベース部分21aを有するドーム形部分21を備える。第1のドーム強化シェル16は、第1のドーム形長手方向端部12およびその第1の中間部分13の形状と相補的な形状を有する。第1のドーム強化シェル16は、第1のドーム形長手方向端部12およびその第1の中間部分13上でのみライナ6上に嵌め合わされる。実際、第1の外径D1と第2の外径D2との間の直径の差は、第1のドーム強化シェル16がライナ6と同一平面上に位置するように第1の中間部分13に第1の先細り状外側ショルダの形をした挿入領域が形成されるような差である。この位置では、第1の先細り状外側ショルダは、第1のドーム強化シェル16の先端27を収容する。したがって、第1のドーム強化シェル16は、ライナ6、より好ましくは、ライナ6の略円筒形の中央部分8と同一平面上に位置する。より正確には、第1のドーム強化シェル16の外面は、ライナ6の略円筒形の中央部分8の外面と同一平面上に位置する。
【0061】
有利には、ライナ6の第1のドーム形長手方向端部12は、ジオデシックドーム外形部分を有するドーム形長手方向端部よりも、内部流体貯蔵チャンバ3に向かう凹度が低いドーム外形部分12bを有する。
【0062】
好ましくは、第1のドーム形長手方向端部12のドーム外形部分12bとジオデシックドーム外形部分を有するドーム形長手方向端部のドーム外形部分との間の最大距離は、第1の外径D1の0.1%から5%の間、好ましくは第1の外径D1の0.5%から2.5%の間に含まれる。
【0063】
第1のドーム強化シェル16は、ライナ6の第1のドーム形長手方向端部12の形状と相補的な形状を有するので、第1のドーム強化シェル16はまた、ジオデシックドーム外形部分を有するドーム強化シェルよりも、内部流体貯蔵チャンバ3に向かう凹度が低いドーム外形部分を有する。
【0064】
本実施形態では、ライナ6の第1の中間部分13は、第1の円錐台形面9と第1の円筒面11との組合せからなる外周面を有する。
【0065】
圧力容器4は、流体をライナ6に注入しライナ6から排出するためのボス14を備える。ボス14は、ベース部分12aの軸方向反対側にあるライナ6の第1のドーム形長手方向端部12に位置する孔に嵌め込まれる。
【0066】
第1のドーム強化シェル16は、繊維強化複合材料の層の巻き線からなる。繊維強化複合材料については、事前に含浸させ、より合わせた後に硬化するか、または事前に含浸させず、たとえば、樹脂注入プロセスまたは一般的にはRTMプロセスと呼ばれる樹脂トランスファー成形プロセスによって含浸させてもよい。そのようなプロセスの間、複合材料の硬化は、複合材料が樹脂注入器具または樹脂トランスファー型内部に残存する間に行われる。RTMプロセスは、内部応力を低減させつつ第1のドーム強化シェル16の特別に平滑な外面を得るのを可能にすることに留意されたい。第1のドーム強化シェル16は、ベース部分22aと、ライナ6の長手方向軸10と同軸の中心軸とを含むドーム形部分22を有する。繊維強化複合材料の繊維は、炭素繊維、アラミド繊維、およびガラス繊維からなる群から選択される。好ましくは、繊維強化複合材料の繊維は炭素繊維である。
【0067】
さらに、強化用繊維のヘリカル層20aおよびフープ層20bの強化用繊維を保護するために、外側複合構造20上にガラス繊維層が設けられてもよい。
【0068】
図3は、
図2においてFによって示されている部分の詳細図を示す。本発明による圧力容器の外側複合構造20は、強化用繊維のヘリカル層20aとフープ層20bの両方を含む厚さTを有し、すべてのヘリカル層20aの合計厚さのうちの少なくとも20%は、外側複合構造20の25%最内厚さT内に位置する。本実施形態では、強化用繊維は炭素繊維である。好ましくは、すべてのヘリカル層20aの合計厚さのうちの少なくとも30%は、外側複合構造20の20%最内厚さT内に位置する。本実施形態では、外側複合構造20は、15個の層、すなわち、9つのヘリカル層20aおよび6つのフープ層20bとを備える。
【0069】
図4は、ライナ6とドーム強化シェル16の両方を密閉するかまたは包み込む外側複合構造20内のそれぞれ異なる応力を比較するABAQUS 2017用Wound Composite Modeler(WCMとも呼ばれる)と組み合わされたABAQUS 2017ソフトウェアによるシミュレーション結果を示す。応力比較は、外側複合構造20の9つのヘリカル層20aのうちの第1のヘリカル層における、ライナ6の体積の中心から距離ゼロと距離21a’との間の部分において実施され、距離ゼロは、長手方向軸10に沿ったライナ6の体積の中心の軸方向位置に対応し、距離21a’は、圧力容器の長手方向軸10に沿ったベース部分21aの軸方向位置に対応する。
【0070】
この後者の図では、連続線28は、すべての9つのヘリカル層20aの合計厚さの20%未満が、外側複合構造20の25%最内厚さT内に位置するときに、外側複合構造20の第1のヘリカル層内の内部応力が、ベース部分21aの近くの、第1の中間部分13の領域において3500MPa以上に達することがあることを示す。短破線29は、すべての9つのヘリカル層20aの合計厚さのうちの少なくとも20%が、外側複合構造20の25%最内厚さT内に位置するときに、外側複合構造20の第1のヘリカル層内の内部応力が、ベース部分21aの近くの、第1の中間部分13の領域において3500MPaを下回ることを示す。長破線30は、すべての9つのヘリカル層20aの合計厚さのうちの少なくとも30%が、外側複合構造20の20%最内厚さT内に位置するときに、外側複合構造20の第1のヘリカル層内の内部応力が、ベース部分21aの近くの、第1の中間部分13の領域において2500MPaを下回ることを示す。このシミュレーションでは、外側複合構造20の第1のヘリカル層内の内部応力は、実際には外側複合構造20の第1のヘリカル層の繊維の方向における薄膜応力である。
【0071】
後者の図から、また、外側複合構造20の最内厚さT内により多くのヘリカル層20aを位置させることによって外側複合構造20の第1のヘリカル層内の内部応力を著しく低減させることができることがわかる。
【0072】
図5は、本発明の変形実施形態を示す。この実施形態では、圧力容器4’は、ライナ6の第1の中間部分13が曲面からなる外周面を有する点で圧力容器4とは異なる。
【0073】
本発明の圧力容器は、当技術分野においてすでに公知であり、ここではこれ以上説明しない手段によって製造されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
2 車両
3 内部流体貯蔵チャンバ
4、4’ 圧力容器
6 ライナ
8 略円筒形の中央部分
8a 第1の長手方向端部
9 第1の円錐台形面
10 長手方向軸
11 第1の円筒面
12 ライナの第1のドーム形長手方向端部
12a 第1のドーム形長手方向端部のベース部分
12b 第1のドーム形長手方向端部のドーム外形部分
13 第1の中間部分
14 ボス
16 第1のドーム強化シェル
20 外側複合構造
20a ヘリカル層
20b フープ層
21 外側複合構造のドーム形部分
21a 外側複合構造のドーム形部分のベース部分
21a’ 第2の軸方向位置
22 第1のドーム強化シェルのドーム形部分
22a 第1のドーム強化シェルのドーム形部分のベース部分
27 第1のドーム強化シェルの先端
28 連続線
29 短破線
30 長破線
【手続補正書】
【提出日】2024-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器(4、4’)であって、
内部流体貯蔵チャンバ(3)と、
前記内部流体貯蔵チャンバ(3)を密閉するかまたは包み込む外側複合構造(20)と、を備え、
前記外側複合構造(20)は、強化用繊維のヘリカル層(20a)とフープ層(20b)との両方を含む厚さ(T)を有し、すべてのヘリカル層(20a)の合計厚さのうちの少なくとも20%は、前記外側複合構造(20)の25%最内厚さ(T)内に位置し、
前記内部流体貯蔵チャンバ(3)は、ライナ(6)によって画定され、前記ライナ(6)は、
第1の長手方向端部(8a)において第1の外径D1を有する略円筒形の中央部分(8)と、
ベース部分(12a)を有する第1のドーム形長手方向端部(12)と、前記略円筒形の中央部分(8)と前記ベース部分(12a)との間に位置し、前記略円筒形の中央部分(8)の前記第1の長手方向端部(8a)を前記第1のドーム形長手方向端部(12)の前記ベース部分(12a)に接続する第1の中間部分(13)と、を備える、圧力容器(4、4’)において、
前記圧力容器は、前記第1のドーム形長手方向端部(12)およびその第1の中間部分(13)の形状と相補的な形状を有する第1のドーム強化シェル(16)をさらに備え、前記第1のドーム強化シェル(16)は、前記第1のドーム形長手方向端部(12)およびその第1の中間部分(13)上でのみ前記ライナ(6)上に嵌め合わされることを特徴とする、圧力容器(4、4’)。
【請求項2】
前記第1のドーム強化シェル(16)は、前記ライナ(6)と同一平面上に位置する、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項3】
すべてのヘリカル層(20a)の合計厚さのうちの少なくとも30%は、前記外側複合構造(20)の20%最内厚さ(T)内に位置する、
請求項1に記載の圧力容器。
【請求項4】
前記ベース部分(12a)は、第2の外径D2を有し、前記第2の外径D2は、前記第1の外径D1よりも小さい、
請求項1に記載の圧力容器。
【請求項5】
前記ライナ(6)の前記第1のドーム形長手方向端部(12)は、ジオデシックドーム外形部分を有するドーム形長手方向端部よりも、前記内部流体貯蔵チャンバ(3)に向かう凹度が低いドーム外形部分(12b)を有する、
請求項1に記載の圧力容器。
【請求項6】
前記第1のドーム形長手方向端部(12)の前記ドーム外形部分(12b)とジオデシックドーム外形部分を有するドーム形長手方向端部の前記ドーム外形部分との間の最大距離は、前記第1の外径D1の0.1%から5%の間に含まれる、請求項5に記載の圧力容器。
【請求項7】
前記第1のドーム強化シェル(16)は、ジオデシックドーム外形部分を有するドーム強化シェルよりも、前記内部流体貯蔵チャンバ(3)に向かう凹度が低いドーム外形部分を有する、
請求項1に記載の圧力容器。
【請求項8】
前記ライナ(6)の前記第1の中間部分(13)は、円筒形、円錐台形、湾曲形状、およびそれらの組合せからなる群から選択される外周面を有する、
請求項1に記載の圧力容器。
【請求項9】
前記第1の中間部分(13)の前記外周面は、第1の円錐台形面(9)と第1の円筒面(11)との組合せである、請求項8に記載の圧力容器。
【請求項10】
前記第1のドーム強化シェルは、繊維強化複合材料の層の巻き線からなる、
請求項1に記載の圧力容器。
【請求項11】
前記ライナ(6)は、
前記略円筒形の中央部分(8)の前記第1の長手方向端部(8a)の軸方向反対側にある第2の長手方向端部における第3の外径と、
ベース部分を有する第2のドーム形長手方向端部と、前記略円筒形の中央部分(8)と前記ベース部分との間に位置し、前記略円筒形の中央部分(8)の前記第2の長手方向端部を前記第2のドーム形長手方向端部の前記ベース部分に接続する第2の中間部分と、をさらに備え、
前記圧力容器は、前記第2のドーム形長手方向端部およびその第2の中間部分の形状と相補的な形状を有する第2のドーム強化シェルをさらに備え、前記第2のドーム強化シェルは、前記第2のドーム形長手方向端部およびその第2の中間部分上でのみ前記ライナ(6)上に嵌め合わされる、
請求項1に記載の圧力容器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の圧力容器(4、4’)を備える車両(2)。
【国際調査報告】