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特表2024-531657配電系統における異常状態を監視するための方法
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  • 特表-配電系統における異常状態を監視するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】配電系統における異常状態を監視するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/54 20200101AFI20240822BHJP
   H02H 3/40 20060101ALI20240822BHJP
   G01R 31/58 20200101ALI20240822BHJP
【FI】
G01R31/54
H02H3/40 D
G01R31/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515529
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 US2022043261
(87)【国際公開番号】W WO2023039265
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/243,138
(32)【優先日】2021-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517077810
【氏名又は名称】アストロニクス アドバンスド エレクトロニック システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ポッター フレッド ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ミルズ パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ワムズガンス ウォーレン ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァジリ マスード
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA13
2G014AB33
2G014AC18
(57)【要約】
電気システムの装置間及び装置内における故障動作状態及び相互接続不良を、迅速かつ正確に検出可能にする方法である。本方法によって、配線及びコンポーネントにおけるアーク、高抵抗の接続、コンポーネントの緩み等を検出できる。導体の各端部における、若しくは、システムのコンポーネントの各側における、電圧または電流が、あるいは、コンポーネントを通過する電流が、検出及び分析され得る。該電圧または電流が予期されたレベルを超える場合に、故障または異常状態が示される。あるいは、抵抗を検出及び分析して、該抵抗が予期されたレベルを超える場合に、故障状態が示されてもよい。該システムに既に関連付けられた既存の検出または計算機器を、上記検出及び分析のために使用してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムにおける異常な電気状態を監視する方法であって、
前記システムの複数の箇所における電圧または電流の情報を取得することと、
前記複数の箇所のうちの2箇所間の電力損失を測定することと、
所定の電力損失閾値を超えている測定された電力損失を、異常な電気状態の兆候として特定することと
を備えている、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
電力損失を測定する前記工程は、前記システムにおける第1の装置の出力と前記システムにおける第2の装置の入力との間の電圧差を測定する工程を含み、さらに、前記測定された電圧差が前記第1の装置と前記第2の装置との間の予期された抵抗及び予期された電流に基づく所定の電圧差を超える場合に、前記異常な電気状態を示している、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記所定の電圧差は、絶対電圧差として設定される、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記所定の電圧差は、前記第1の装置と前記第2の装置との間の前記取得した電流情報に基づき設定される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
電力損失を測定する前記工程は、前記システムにおける第1の装置の入力と前記システムにおける前記第1の装置の出力との間の電圧差を測定する工程を含み、さらに、前記測定された電圧差が前記入力及び前記出力における予期された電流に基づく所定の電圧差を超える場合に、前記異常な電気状態を示している、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記所定の電圧差は、絶対電圧差として設定される、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記所定の電圧差は、前記第1の装置と前記第2の装置との間の前記取得した電流情報に基づき設定される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
電力損失を測定する前記工程は、前記システムにおける第1の装置の出力と前記システムにおける第2の装置の入力との間の抵抗を測定する工程を含み、さらに、前記測定された抵抗が、前記第1の装置と前記第2の装置との間の予期された抵抗に基づく所定の抵抗を超える場合に、前記異常な電気状態を示している、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記所定の抵抗差は、絶対抵抗差として設定される、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、
前記所定の抵抗差は、前記取得した電流情報に基づき設定される、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
電力損失を測定する前記工程は、前記システムにおける第1の装置の入力と前記システムにおける前記第1の装置の出力との間の抵抗差を測定する工程を含み、さらに、前記測定された抵抗差が、前記入力及び前記出力における予期された電流に基づく所定の抵抗差を超える場合に、前記異常な電気状態を示している、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記所定の抵抗差は、絶対抵抗差として設定される、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、
前記所定の抵抗差は、前記入力または前記出力における前記取得した電流情報に基づき設定される、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記取得する工程は、前記システムに関連付けられた既存のデータ収集機器を用いて実行される、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記測定する工程または前記特定する工程は、前記システムに関連付けられた既存の計算装置を用いて実行される、方法。
【請求項16】
請求項2に記載の方法であって、
前記取得する工程は、前記システムに関連付けられた既存のデータ収集機器を用いて実行され、そして、前記測定する工程または前記特定する工程は、前記システムに関連付けられた既存の計算装置を用いて実行される、方法。
【請求項17】
請求項5に記載の方法であって、
前記取得する工程は、前記システムに関連付けられた既存のデータ収集機器を用いて実行され、そして、前記測定する工程または前記特定する工程は、前記システムに関連付けられた既存の計算装置を用いて実行される、方法。
【請求項18】
請求項8に記載の方法であって、
前記取得する工程は、前記システムに関連付けられた既存のデータ収集機器を用いて実行され、そして、前記測定する工程または前記特定する工程は、前記システムに関連付けられた既存の計算装置を用いて実行される、方法。
【請求項19】
請求項11に記載の方法であって、
前記取得する工程は、前記システムに関連付けられた既存のデータ収集機器を用いて実行され、そして、前記測定する工程または前記特定する工程は、前記システムに関連付けられた既存の計算装置を用いて実行される、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、
前記異常な電気状態は、配線におけるアーク、圧着の緩み、配線の損傷、コネクタの部分的な外れ、または、ねじの緩みを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本開示は、2021年9月11日に出願された米国仮特許出願第63/243,138号の優先権の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に援用される。
[技術分野]
本発明の分野は、概して、異常な電気状態の検出に関する。
[本開示の背景]
本開示は、配電系統における異常な動作状態の存在と、それらの異常な動作状態が何に起因するのかとを、簡易に、迅速かつ正確に検出するためのシステム及び方法に関する。そのような異常な動作状態は、配電系統のコンポーネント間またはコンポーネント内のいずれにも生じ得る相互接続の問題に起因することがある。例えば、配線接続が高抵抗化すること、配線内またはコンポーネント内でアークが発生することなどである。例えば前述の相互接続の問題などに起因する、そのような異常な動作状態は、それらが速やかに位置を突き止められて修正されなければ、システムに故障や過度の電力損失をもたらし得る。本開示によれば、システム内の電圧及び電流を適切に監視及び比較することで、上記故障は容易に検出され得り、修正の工程が実行されて当該システムの損傷が避けられ得る。
【0002】
具体的には、本開示により、配電系統のコンポーネント間及びコンポーネント内における故障動作状態及び相互接続不良を、迅速かつ正確に検出することができる。例として、本開示により、配線及びコンポーネントにおけるアーク、高抵抗の接続、及び、電力システムにおける過度の電力損失の他の原因、を検出することができる。本開示によれば、導体の各端部における、あるいは、システムのコンポーネントの各側における電圧を比較する、及び/または、それを通過する電流を比較するのに簡易な規則が用いられ得り、簡易な規則は電力レベルが予期したレベルを超える場合に故障を宣言することになる。
【0003】
システムのコンポーネント間の電圧を、及び/または、当該コンポーネントの入力から出力の電圧を比較することで、本明細書に開示された方法は、実施が容易であり、ACまたはDC電源で機能し、そして、いかなる電圧または電流レベルにおいても機能する。
[本開示の概要]
本開示は、添付の図面とともになされる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】例示的な故障を有する相互接続を示す。
図2】デジタルバス上の電圧及び電流データの収集を図示している。
図3】データ取得カードを用いた電圧及び電流データの収集を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0005】
電力相互接続の配線における、及び、配電系統に接続された負荷内における故障接続は、高抵抗、アーク、及び、許容できない電力損失を引き起こす可能性がある。安全性に関することが重要な航空機用電力システムなどのような極めて重要な用途において、上記故障接続が検出されず、迅速に修正されない場合は、当該故障接続によって、重大な運用上及び安全上の問題が生じ得る。
【0006】
電圧源と負荷との間における故障接続の例が、図1に示されている。図示されるように、電源と負荷との間の配線における抵抗の望ましくない上昇によって、上記故障接続が現れることがある。導通経路における所望の抵抗よりもそのように高い抵抗は、様々に生じ得る。例えば、圧着の緩み、配線の損傷、コネクタの部分的な外れ、あるいは、振動によるねじの緩みは、導通経路における予期しない高抵抗を引き起こし得るありふれた事象の例である。負荷内においても、これら同様の問題がある。さらに、粗悪な半田付けや電子装置の損傷が、ときには、そのような故障をもたらすこともある。
【0007】
負荷で消費された電流は、当該負荷の健全性に関する多くの事を示す。過大電流または過小電流のいずれも、何かが間違っていることを示す事象である。例として、そして、本開示によれば、サーキットブレーカのトリップ事象は、トリップの発生を引き起こした、可能性の高い故障モードを特定するのに分析され得る。例えば、瞬時のサーキットブレーカのトリップ事象が典型的に発生するのは、ブレーカの定格の10倍を超える電流スパイクが発生したときである。非常に高い電流が遮断されたことを示すこの種の事象は、配線故障によって引き起こされた可能性が最も高い。それに対して、サーキットブレーカ過電流トリップ事象が発生するのは、過電流が長時間生じた後に、電流によってブレーカのトリップが引き起こされたときである。そのような過電流トリップ事象が発生した場合は、配線故障ではなく、負荷内の故障の兆候である可能性が最も高い。
【0008】
図2に示されるように、典型的な配電系統では、前述した事象のいずれの発生も分析及び特定するために必要な電圧及び電流データは、配電系統の通常動作の一部として、データ収集装置によって収集され得るし、そして、そのようなデータは、デジタルデータバス上で利用可能にされ得る。仮に、上記データ収集装置が配電系統に既存でない場合には、上記データ収集装置は、当業者によって容易に追加可能である。
【0009】
本開示によれば、電圧及び電流データは、計算装置によって収集及び分析され得る。計算装置は、該システムに既存であることも多く、他の目的のために使用され得る、あるいは、計算装置は、必要であれば、当業者によって容易に追加され得る。
【0010】
本開示によれば、異常な動作状態の特定を補助するために、上記データは、ソフトウエアに実装され得る一連の簡素な規則を用いて、リアルタイムで分析される。当該規則は、システムが正常に動作しているときには存在するはずがない電力損失を、迅速に特定及び位置を突き止めるように設計される。
【0011】
例として、実際の電流使用状態が、予め設定された最大及び最小の電流レベルと比較され得る。そのような最大及び最小の電流もまた、事前に記憶されたデータに基づいて調整される(平均と比較する)ことが可能であり、あるいは、動作プロファイルに基づいて変化し得る。別の例として、高抵抗の配線接続または直列アーク故障を発見するための規則を設定して、ある1つの装置の出力と別の装置の入力との間のデルタ電圧制限を特定してもよい。そのような電圧制限は、例えば、配線電圧降下の規定要件(例えば、最大2%の電圧降下)に基づき絶対的となり得るし、あるいは、予期された配線抵抗及び測定された電流によって設定され得る。
【0012】
さらに別の例として、電力が供給されているときのコンポーネントの最小及び最大の電流引き込みについての電流制限を設定して監視することで、電力供給システムにおける故障機器を発見するように規則が定義されてもよく、そのような電流制限は、絶対制限であってもよいし、あるいは、時間で平均化された電流の流れに基づいていてもよい。
【0013】
別の例示的な規則は、電子保護装置をトリップさせる、可能性の高い故障モードを発見するのに使用されてもよい。この場合には、そのような規則は、(長時間にわたる過電流の後に電流がブレーカをトリップさせる)過電流トリップ事象と、(例えば、ブレーカの定格の10倍を超える電流スパイクによって引き起こされる)瞬時トリップ事象とを区別し得る。過電流トリップは、装置の故障を示している可能性があると思われるが、それに対して、瞬時トリップは、配線故障を示している可能性があると思われる。
【0014】
電圧及び電流データがデータバス上で利用可能ではないときに用いられ得る、代替的な電圧または電流の測定方法が、図3に示されている。本例では、データ取得カードがシステムに追加され得る。あるいは、システムに既存の可能性がある、他のアナログデータ取得装置が用いられ得る。データ取得カードは、アナログ回線データを取得してデジタル化し、そのデジタルデータを上述のように利用可能にして、故障接続の原因の位置を突き止めて分析するのに使用される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】