(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】モジュール式構造部品、モジュール式構造システム、並びにモジュール式構造部品の引張り要素及び/又は圧縮要素を製造する方法
(51)【国際特許分類】
E04C 3/29 20060101AFI20240822BHJP
E04C 3/08 20060101ALI20240822BHJP
E04C 3/36 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
E04C3/29
E04C3/08
E04C3/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515552
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022075077
(87)【国際公開番号】W WO2023036916
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524090035
【氏名又は名称】シストロン イノベーションズ エスアーエールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス,クロード オーギュスト ローラン
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA12
2E163FB23
2E163FF02
2E163FF11
2E163FF21
(57)【要約】
架橋部材によって接合される柱及び/又は梁としてのモジュール式構造部品を含むモジュール式構造システムが開示される。各モジュール式構造部品は、対向面、及び貫通開口部のメッシュを含む少なくとも一つの細長い引張り要素と、細長い圧縮要素の少なくとも第一のペアであって、各圧縮要素は、上記の又は各引張り要素のそれぞれの面に固定するためのものである、細長い圧縮要素の少なくとも第一のペアとからなっている。各圧縮要素の面は、スタッドのパターンを含み、メッシュのそれぞれの貫通開口部に係合するように各パターンが形成され、その各スタッドが成形されている。架橋部材は、長手方向の表裏反対の取り付け部のセットを含み、使用時、いずれの取り付け部もモジュール式構造部品の端部分に固定可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向面、及び貫通開口部のメッシュを含む細長い引張り要素と、
各々が前記引張り要素のそれぞれの面に固定するためのものである、細長い圧縮要素のペアと、
を備え、
各圧縮要素の面は、スタッドのパターンを含み、
前記メッシュのそれぞれの貫通開口部を係合するように各パターンが形成され、その各スタッドが成形されている、モジュール式構造部品。
【請求項2】
前記貫通開口部は、少なくとも二つの異なる幾何学的形状を含む、請求項1に記載のモジュール式構造部品。
【請求項3】
前記ペアのうちの第一の圧縮要素のスタッドが第一の幾何学的形状を含み、前記ペアのうちの第二の圧縮要素のスタッドが第二の幾何学的形状を含む、請求項2に記載のモジュール式構造部品。
【請求項4】
前記引張り要素の少なくとも一つの貫通開口部及び少なくとも一つの圧縮要素の少なくとも一つのスタッドが、前記要素の長手方向の主軸と一致する頂点を有する二等辺三角形を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のモジュール式構造部品。
【請求項5】
前記モジュール式構造部品は、梁又は柱である、請求項1から4のいずれか一項に記載のモジュール式構造部品。
【請求項6】
前記引張り要素はさらに、同じ長手方向のエッジから延在し、そこと直交する細長い孔のペアを含み、各細長い孔は前記引張り要素のそれぞれの端に隣接して設置されている、請求項5に記載のモジュール式構造部品。
【請求項7】
前記柱は、少なくとも三つの引張り要素を含み、各引張り要素は他の引張り要素と平行にかつそれらから等距離に、共通の長手方向軸を中心に対称に配置されている、請求項5に記載のモジュール式構造部品。
【請求項8】
四つの引張り要素を備え、各引張り要素は、別の引張り要素に対して非同一平面にあり、これにより、平行かつオフセットの引張り要素の二つのペアが画定され、各ペアは他のペアと直交する、請求項7に記載のモジュール式構造部品。
【請求項9】
各引張り要素の少なくとも一つの端は、前記引張り要素と同一平面の取り付け部が構成され、これにより、他のモジュール式構造部品に、前記共通の長手方向軸と直交して固定させる、請求項8に記載のモジュール式構造部品。
【請求項10】
各引張り要素の長方形部分が、前記共通の長手方向軸に隣接して、前記引張り要素の高さ(h)に相当する第一の寸法だけ、及び前記引張り要素の厚さ(w1)に相当する第二の寸法だけ切り抜かれ、前記部品に箱型のスペースを画定し、前記スペースは、前記共通の長手方向軸及び引張り要素を中心にしている、請求項8又は9に記載のモジュール式構造部品。
【請求項11】
少なくとも一つのモジュール式構造部品を備えるモジュール式構造システムであって、前記モジュール式構造部品は、
対向面、及び貫通開口部のメッシュを含む細長い引張り要素と、
各々が前記引張り要素のそれぞれの面に固定するためのものである、細長い圧縮要素のペアと、を含み、
各圧縮要素の面は、スタッドのパターンを含み、
前記メッシュのそれぞれの貫通開口部を係合するように各パターンが形成され、その各スタッドが成形され、
前記モジュール式構造システムはさらに、
前記又は各モジュール式構造部品を別のモジュール式構造部品に接続するように構成された少なくとも一つの実質的に平面的な架橋部材、及び/又は
ベースプレートから、その主軸に沿って直交して延在する少なくとも一つの取り付け部を含み、使用時に、前記モジュール式構造部品の下側と前記モジュール式構造部品の下にある表面との中間に設置される、少なくとも一つの足部材、
を備える、モジュール式構造システム。
【請求項12】
前記架橋部材は、取り付け面のセットを含み、使用時、いずれの取り付け面も前記モジュール式構造部品の端部分に固定可能である、請求項11に記載のモジュール式構造システム。
【請求項13】
前記架橋部材は、対称的な取り付けプレートのペアを含み、各取り付けプレートはそれぞれの取り付け面を含む、請求項12に記載のモジュール式構造システム。
【請求項14】
前記架橋部材の各取り付け面の長手方向の対向するエッジにフランジが付けられ、各フランジは、前記圧縮部品の厚さに相当する寸法だけ前記部材の外方へ延在している、請求項12又は13に記載のモジュール式構造システム。
【請求項15】
前記架橋部材は、歯車部材を含み、前記又は各モジュール式構造部品の前記引張り要素は、前記歯車部材を挟むために特定の寸法で形成された貫通開口部を含み、前記歯車部材の横方向の寸法は、前記引張り要素の横方向の寸法の実質的に2倍である、請求項11に記載のモジュール式構造システム。
【請求項16】
前記ベースプレートは、下にある表面へと締め具を係合させるための複数の貫通穴を含み、各貫通穴は、係合された締め具に対して、前記ベースプレートに水平方向の並進の制限された自由度を与えるように構成されている、請求項11に記載のモジュール式構造システム。
【請求項17】
請求項1に記載のモジュール式構造部品の引張り要素及び/又は圧縮要素を製造する方法であって、
製品の構成を表す電子ファイルを取得するステップであって、前記電子ファイルには、前記製品の表面構成又は体積構成が含まれ、前記製品は前記引張り要素及び/又は前記圧縮要素である、ステップと、
一つ以上の付加製造ステップで、前記電子ファイルに表された前記製品の前記構成に従って前記製品を製造するために付加製造装置を制御するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造建設の分野に属し、特に、建物の建設又は改修に使用されるモジュール式構造梁及び構造柱に属する。
【背景技術】
【0002】
構造ブレース(筋かい)材(bracings)、特に構造梁又は構造桁及び構造柱を配置したものは、さまざまな規模の他の多くの用途に加えて、建物、橋、及び類似の構造物の建設並びに改修に一般的に使用されている。
【0003】
建物の建設に使用する構造部品には、天然木に比べて剛性が高く、全体の体積が少なく、不燃性が高い構造鋼が広く採用されている。既知の構造部品は、天然木から切り出されたものであれ、金属合金から鋳造されたものであれ、依然として一体型構造の変わらない歴史的なパラダイムに従っている。鋼の材料特性と鋳造技術は、有機代替物に比べてより複雑で大幅に薄い断面を可能にしている。
【0004】
その結果、構造部品の設計の進歩は、同じ体積以下の材料で剛性レベルを維持又は向上させるための新しい合金の処方や断面形状の変化に比べて、比較的少ない。
【0005】
第一の、そして、長く続いている欠点は、そのような部品の重量が、相当な機械的リフティング及び動力ハンドリングのリソースを必要とすることである。例えば、住宅の建設に一般的に使用される12インチ×40フィートの鋼梁は、900キログラムを超える重量がある。これらのリソースは、クレーンを立てるための作業ベースなど、独自のさらなるかつ間接的要件や、かなりの手動ハンドリングリスクなどの欠点を引き付ける。
【0006】
第二の欠点は、このような長年にわたる設計の耐荷重能力が、構造設計の自由を制限していることである。例えば、梁の重量が構造物の強度及び/又は高さを制限し、同様に架橋用途での長さ(span)も制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、不可欠な部品(integral components)の構造ブレース機能(structural bracing function)を維持しながらも、機械的リフティング及び動力ハンドリング要件を大幅に緩和する構造部品の改良が長年、実質的に求められている。非一体型設計に対する長年の偏見によってソリューションの開発が妨げられている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、架橋部材によって接合することが可能な柱及び/又は梁としてのモジュール式構造部品であって、二つ以上の材料からなり、その各々が異なる特性を有し、また、本明細書に開示するやり方で組み合わせると、互いに機械的及び機能的に協働して均一な構造物を形成する、モジュール式構造部品を提供することによって、構造ブレース材の汎用性及びハンドリングを向上させる。
【0009】
本発明の一態様によれば、モジュール式構造部品は、対向面(opposed faces)、及び貫通開口部(through-apertures)のメッシュを含む細長い引張り要素と、各々が引張り要素のそれぞれの面に固定するためのものである、細長い圧縮要素のペアと、を備え、各圧縮要素の面は、スタッドのパターン(a pattern of studs)を含み、メッシュのそれぞれの貫通開口部を係合するように各パターンが形成され、その各スタッド(stud)が成形されている。
【0010】
引張り要素は、引張力及び応力に耐えるのに特に適した特性を有する材料で作られている。一方、圧縮要素は、圧縮力及び応力に耐えるのに特に適した特性を有する別の材料で作られている。したがって、引張り要素は、鋼、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛、鉛、真鍮、青銅、錫、クロム、チタン、タングステン、ビスマス、及びニオブから、ステンレス鋼、硬化鋼、炭素鋼、工業用鋼、錬鉄、ニチノール、及びエリンバーなどのそれらの合金から、並びに関連の特性を有する複合材料から選択される一つ以上の材料で作られ得る。
【0011】
さらにしたがって、各圧縮要素は、例えば、合板である天然若しくは集成材(laminated wood)、圧縮おがくず、繊維強化複合材、天然繊維複合材、コンクリート、繊維強化コンクリート、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)ゴム、及び粘土などの一つ以上の有機材料、複合材料、及び/又は加工済み材料で作られ得る。
【0012】
モジュール式構造部品の実施形態は、引張り要素内のメッシュの有用領域を最大化するために、少なくとも二つの異なる幾何学的形状の貫通開口部を企図する。好ましい実施形態では、ペアのうちの第一の圧縮要素のスタッドが第一の幾何学的形状を含み得、第二の圧縮要素のスタッドが第二の幾何学的形状を含み得るが、置換及び組み合わせが考慮される。例えば、第一の幾何学的形状はひし形であり得、第二の幾何学的形状は三角形であり得る。
【0013】
本明細書に開示する発明原理から、モジュール式構造部品は、モジュール式構造システムの梁又は柱のいずれかとして使用できることが明らかであろう。
【0014】
モジュール式構造部品の梁実施形態では、細長い引張り要素は、フランジ部分から延在するウェブ部分を含み得、このウェブ(web)はメッシュを有する対向面を含む。各細長い圧縮要素の下側は、使用時に、そのスタッドがウェブの貫通開口部を係合する際の支持を強化するために、使用時に、ウェブ部分のそれぞれの側のフランジ部分の上に設置される。
【0015】
この実施形態の変形例では、ウェブ部分が部品の主軸に沿ってフランジ部分を越えて等距離に突出し得、引張り要素はさらに、同じ長手方向のエッジから、そこと直交して延在する細長い孔(slots)のペアを含み、各細長い孔(slot)は、フランジ部分のそれぞれの端に隣接して設置されている。この実施形態における細長い孔は、本明細書に開示する架橋部材及び/又は柱としてのモジュール式構造部品の実施形態との重力ベースの機械的組み立てを容易にするための単純な接合部分を提供する。
【0016】
モジュール式構造部品の柱実施形態は、少なくとも三つの引張り要素を含み得、各引張り要素は他の引張り要素と平行にかつそれらから等距離に、共通の長手方向軸を中心に対称に配置されている。この配置により、部品のその半径を中心とした耐荷重能力及び引張り強度の均等な分配が有効にもたらされる。
【0017】
好ましい実施形態は、上記の基本原理に従って配置されている四つの引張り要素を含んでいるが、各引張り要素は、別の引張り要素に対して非同一平面にあり、これにより、平行かつオフセット(offset)の引張り要素の二つのペアが画定され、各ペアは他のペアと直交する。この配置により、耐荷重能力の均等な分配が維持され、追加の引張り要素を有する柱の引張り強度が向上する。
【0018】
この実施形態の変形例では、共通の長手方向軸に隣接して、各引張り要素の長方形の端部分が切り抜かれ、これにより、開いた箱型の(box-sectioned)スペースが部品の端に画定される。このスペースは共通の長手方向軸を中心にしている。この構成は、梁として使用される横方向のモジュール式構造部品の端部分のための、この梁部品の各引張り要素の平面にそれぞれ対応する四方向からの貫通経路を有利に提供する。
【0019】
柱実施形態の各引張り要素の少なくとも一方の端は、引張り要素と同一平面の取り付け部が、それを共通の長手方向軸と直交して、別のモジュール式構造部品、特に部品の梁実施形態に固定するために有効に構成され得る。
【0020】
モジュール式構造部品の梁実施形態では、共通の長手方向軸に最も近接している各圧縮要素の横方向のエッジは、梁の隣接する引張り要素によって画定される及びそれらの間の角度に従って面取りされることが好ましい。例えば、梁部品の外側のエッジからその中心にある共通軸までの圧縮強度を提供するために、三つの引張り要素を有する梁部品の場合は60度、又は四つの引張り要素を有する梁部品の場合は45度のいずれかである。
【0021】
本発明の別の態様によれば、モジュール式構造部品の端部分を、それに隣接して、それと同軸に設置される別のモジュール式構造部品に固定するためか、及び/又はモジュール式構造部品のその端部分を下にある表面に固定するために、架橋部材も提供される。架橋部材は、実質的に平面的であり、表裏反対の取り付け面のセットを含み、使用時、いずれの取り付け面もモジュール式構造部品の端部分に固定可能である。
【0022】
この架橋部材の実施形態は、対称的な取り付けプレートのペアからなり得、各取り付けプレートはそれぞれの取り付け面を含む。
【0023】
架橋部材の実施形態は、各取り付け面の長手方向の対向するエッジに沿ったフランジを含み得、各フランジは、圧縮部品の厚さに相当する寸法だけ部材の外方に延在し、各圧縮部品の横方向のエッジは、使用時にそれぞれのフランジに当接して、モジュール式構造部品を垂直に組み立て、ブレースする(bracing)際の要素の誘導を容易にする。
【0024】
細長い孔を有するモジュール式構造の梁実施形態での使用に特に適した架橋部材の実施形態はさらに、直交して及びそこから外方に延在し、引張り要素の細長い孔と相補的に成形された細長いスタッドを含み得る。
【0025】
フランジを組み込んだモジュール式構造部品の梁実施形態では、架橋部材に固定可能なモジュール式構造部品の端部分は、フランジ部分を越えて突出したウェブ部分であることが好ましい。
【0026】
本発明のさらなる態様によれば、モジュール式構造部品の端部分を下にある表面、例えば、使用時にモジュール式構造部品の下にあり、それを支持する構造壁、まぐさ、又は他の構造物に固定するための足部材も提供される。
【0027】
足部材は、ベースプレートから、その主軸に沿って直交して延在する少なくとも一つの取り付け部を含み、使用時に、モジュール式構造部品の下側とモジュール式構造部品の下にある表面との中間に設置される。
【0028】
足部材の実施形態は、モジュール式構造部品及び架橋部材の組立体と互換性があり得、また、システムの組み立て及びさらに垂直にモジュール式構造部品をブレースする際に三つの要素を互いに対して誘導することを容易にするために、足部材の取り付け部に対して上記の組立体を誘導する手段を有効に含む。
【0029】
フランジを含む架橋部材の実施形態での使用に特化した変形例では、ベースプレートの上面はさらに、上記の又は各取り付け部の両側に設置された長手方向のチャネルを含み得る。各チャネルは、引張り要素のフランジ部分を越えて突出する圧縮要素の端部分の下側、又は引張り要素に固定された架橋部材の長手方向のフランジの下側のいずれかを有効に挟むことができる。いずれの場合も、モジュール式構造部品を横方向に組み立て、ブレースする際の要素の誘導を容易にする。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に開示された少なくとも第一のモジュール式構造部品と、第一のモジュール式構造部品の端に固定された少なくとも第一の架橋部材と、を備える、モジュール式構造システムが提供される。次に、第二のモジュール式構造部品が、少なくとも第一のモジュール式構造部品の別の端に固定され得る、及び/又は少なくとも第二の架橋部材が、少なくとも第一の架橋部材及び少なくとも第一のモジュール式構造部品に固定され得る。
【0031】
当業者であれば、システムの実施形態は、本明細書に説明されるモジュール式構造部品及び架橋部材のさまざまな実施形態と同じくらい多数であり、特定の構造をブレースするために必要な数及び配設でのこれらの組み合わせであることを容易に理解するであろう。
【0032】
本発明のさらに別の態様によれば、モジュール式構造部品及び/又は架橋部材の実施形態を製造する方法が提供される。この方法は、製品の構成を表す電子ファイルを取得するステップであって、電子ファイルには、製品の表面構成(surface configuration)又は体積構成(volume configuration)が含まれ、製品は引張り要素及び/又は圧縮要素及び/又は架橋部材である、ステップと、一つ以上の付加製造ステップで、電子ファイルに表された製品の構成に従って製品を製造するために付加製造装置を制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0033】
先行技術と比較して、本発明のモジュール式構造部品は、有利に連結トラックのような重量物輸送を必要とせず、同様に、建物構造物に部品を持ち上げるための専門的な機器も必要としない。既存の建物内で、モジュール式部品をそれらの構成要素から、また、比較的複雑なブレースシステムをモジュール式部品から組み立てることができるため、敷地の準備(site preparation)や適応作業、及び構造改修作業に伴うコストが大幅に削減される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の実施形態による、モジュール式構造部品の引張り要素の側面図である。
【
図2】
図1のモジュール式構造部品実施形態の圧縮要素のペアの側面図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による、モジュール式構造部品の引張り要素の側面図である。
【
図4】
図3のモジュール式構造部品実施形態の圧縮要素のペアの側面図である。
【
図5】
図1~4に示すいずれかの実施形態の上面図である。
【
図6】
図1~4に示すいずれかの実施形態の端面図である。
【
図7】
図1~6に示すモジュール式構造部品を接続するための架橋部材の第一の実施形態の側面図である。
【
図8】
図1~6に示す引張り要素に固定された
図7の架橋部材の側面図である。
【
図9】
図1~6に示すモジュール式構造部品を接続するための架橋部材の第二の実施形態の等角図である。
【
図10】
図1~6に示すモジュール式構造部品に固定された
図9の架橋部材の端面図である。
【
図11】
図7~10に示す架橋部材のいずれかの実施形態で使用するための足部材の側面図である。
【
図12】
図10の架橋部材とモジュール式構造部品との組立体に固定された
図11の足部材の端面図である。
【
図14】
図1~13Bに示すモジュール式構造部品のシステムを示す。
【
図15A】別の構造部品に自己接続可能(self-connectable)である、本発明のさらなる実施形態によるモジュール式構造部品の引張り要素の側面図を含む。
【
図16A】本発明の相補的な圧縮要素との
図15Bに示す引張り要素の自己接続(self-connection)での組み立てを示す。
【
図16B】組み立て後の
図16Aに示すモジュール式構造部品の側面図及び上面図を含む。
【
図17】モジュール式構造部品が柱である引張り要素のそれぞれの実施形態の端面図を提供する。
【
図18】モジュール式構造部品が柱である引張り要素のそれぞれの実施形態の端面図を提供する。
【
図19】ベースプレートで構成された
図18のモジュール式構造部品の代替実施形態の端面図である。
【
図20】ベースプレートで構成された
図18のモジュール式構造部品の代替実施形態の側面図である。
【
図21】
図1~9及び19に示す引張り要素を組み合わせたシステムの側面図である。
【
図22A】
図20及び21のモジュール式構造部品の代替実施形態の側面図である。
【
図22B】
図20~22Aに示す引張り要素を組み合わせたシステムの側面図である。
【
図23】
図21又は22Bのシステムで使用する主要部材(key member)を示す。
【
図24】いくつかの圧縮要素が引張り要素に固定されている
図21のシステムを示す。
【
図25A】
図21~24に示すシステムの代替構成における圧縮要素の代替構成を示す。
【
図25B】
図21~24に示すシステムの代替構成における圧縮要素の代替構成を示す。
【
図25C】
図21~24に示すシステムの代替構成における圧縮要素の代替構成を示す。
【
図25D】
図21~24に示すシステムの代替構成における圧縮要素の代替構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施形態を示す概略図と組み合わせて、モジュール式構造部品及びそれから組み立てられたシステムの詳細な説明を以下に提供する。当業者は、本発明の有利な効果を依然と達成しながら、本明細書に説明する発明を修正することができることを理解する必要がある。したがって、以下の説明によって本発明が限定されないことを当業者が理解していることを理解する必要がある。
【0036】
図1及び2を参照して、また、
図1及び2に示すように、モジュール式構造部品100の第一の実施形態は、直線状で実質的に平面的で、長手方向の対向面112、114及びこれらの面間の貫通開口部118のメッシュ116を有する細長い引張り要素110を備える。この例では、貫通開口部118の数及び配置が、引張り要素の幾何学的中心に対して対称的に、五点形で互いに等距離に配置された三列のひし形の貫通開口部118を有する長方形メッシュ116を画定する。これらの貫通穴は、潜在的な負担能力を損なうことなく、引張り要素の全体的な重量を、メッシュなしのソリッドバージョンに比べて低減する。
【0037】
引張り要素110の長手方向の対向する端部分は、各々、一般的にメッシュ116と引張り要素の横方向のエッジ113、113'との中間において、端部分を迂回する平行四辺形として配置された複数のボルト穴115が構成されており、ボルト穴は使用時に締め具によって係合される。
【0038】
モジュール式構造部品100はさらに、使用時に、細長い圧縮要素120、130のペアを備えている。各圧縮要素120、130は直線状で実質的に平面的であり、その長手方向面は引張り要素110のそれぞれの長手方向面112、114に固定されている。
【0039】
引張り要素110及び圧縮要素120、130はほぼ長方形である。各圧縮要素120、130の高さhは、引張り要素の高さhにほぼ相当する。ここでは、要素の高さとは、その長手方向の対向するエッジ間の寸法である。各圧縮要素120、130の全長は、引張り要素の全長よりも短く、主軸に沿ったその両端113、113'間の寸法である。各圧縮要素120、130の長手方向の対向する端部分は、引張り要素の貫通孔115の少なくともいくつかと相補的に配設され、使用時に引張り要素110と同じ締め具で係合される複数の貫通孔115が適切に構成されている。
【0040】
引張り要素110のそれぞれの面112、114に固定するためのものである各圧縮要素120、130の長手方向面122、132は、それぞれのスタッド128のパターン126、136を備えている。各圧縮要素のパターンが形成され、その各スタッドは、それぞれの貫通開口部118を係合するためにメッシュ116と相補的に成形される。パターンは、各スタッドをメッシュのそれぞれの貫通開口部と同一場所に設置し、圧縮要素が引張り要素に固定されるときにスタッドをその中に係合させるように形成されている。
【0041】
この第一の例では、第一の圧縮要素120上のひし形スタッド128の数及び配置が、互いに等距離に、かつ圧縮要素120の幾何学的中心に対して対称に配置された二列のひし形スタッド128(メッシュ116の上下列にそれぞれ対応する)からなるパターン126を画定する。第二の圧縮要素130上のひし形スタッド128の数及び配置が、互いに等距離に、圧縮要素130の幾何学的中心に対して対称に、メッシュ116の中心列に対応して配置された一列のひし形スタッド128からなるパターン136を画定する。
【0042】
したがって、各圧縮要素120、130のスタッド付きの長手方向面122、132が、引張り要素110のそれぞれの長手方向面112、114に対して同一平面に置かれると、メッシュ116のすべての貫通開口部118がそれぞれのスタッド128により係合され、各スタッド128は、向かい合った圧縮要素の面のパターン化されていない側面又は部分と接触する。
【0043】
各圧縮要素120、130のスタッド付きの長手方向面122、132は、任意選択で、構造部品100の均一な耐荷重性をさらに強化するために、接着剤(例えばエポキシ樹脂)でコーティングすることができる。引張り要素と圧縮要素とは、いずれの場合も、すべての同一場所に設置された同軸のボルト穴115を係合するボルトとナットで互いに固定される。これにより、部品全体が一つの均一なエンティティを形成し、すべての要素が一つになって荷重を受ける。
【0044】
ただし、部品全体に圧縮要素120、130の耐荷重能力を実質的に均等に分配し、バランスをとるために、スタッド128は、引張り要素110の各側で等しい表面又は体積を係合することが好ましい。
【0045】
したがって、次に、同じ数字が同じ特徴を示す
図3~6を参照し、また
図3~6に示すように、モジュール式構造部品101の第二の実施形態は、引張り要素111と圧縮要素120、131のペアとを備え、メッシュ及び相補的なパターンが二つの異なる幾何学的形状の貫通開口部を備える。
【0046】
この実施形態では、メッシュ116は前述のひし形の貫通開口部118の配置と、追加の二列の三角形に成形された貫通開口部118'とを備える。各三角形118'は、その最も長い辺がメッシュ116の長手方向エッジに最も近い半ひし形に対応し、各五点形の二つのひし形貫通開口部と等距離でそれらの中間に設置されている。この貫通穴の構成により、潜在的な負担能力を損なうことなく、引張り要素の重量が実質的に5分の1減少する。
【0047】
この実施形態のモジュール式構造部品101は、前述と同じひし形スタッド128のパターン126を有する同じ圧縮要素120と、異なるスタッド128、138の異なるパターン136'を有する第二の圧縮要素131とをさらに備える。この異なるパターン136'は、一列の前述のひし形スタッド128と、追加の二列の三角形の貫通開口部118'に対応する追加の二列の三角形スタッド138とからなっている。
【0048】
説明するすべての実施形態では、各スタッド128、138は、圧縮要素120、130、131の長手方向面122、132から、それと直交して、少なくとも長手方向の対向面112、114間の引張り要素110の厚さ又は幅に相当する寸法w1だけ延在する。
【0049】
この実施形態ではさらに、引張り要素111は、長手方向の対向面112、114の下側のエッジに沿って、またその中央に延在するフランジ117を備える。したがって、これにより、メッシュ116'を含むウェブが形成される。細長い引張り要素111は、単一フランジ付きI形梁として事実上構成される。フランジ117は、圧縮要素120、131の厚さ又は幅w2に実質的に相当する寸法だけウェブの両側に等距離に突出する。各圧縮要素120、131の下側は、使用時に、引張り要素111のそれぞれの側のフランジ上にある。
【0050】
フランジ117は、引張り要素111よりも短く、これにより、引張り要素111のウェブ部分がフランジの対向するエッジを越えて等距離に突出する。各フランジエッジのすぐ隣に細長い孔119が設けられる。この細長い孔は、長手方向の対向面112、114の同じ下側のエッジから、そこと直交して延在する。したがって、各細長い孔119は、引張り要素111のそれぞれの横方向の端113、113'に近接している。
【0051】
この実施形態では、各細長い孔119は、引張り要素110の横方向寸法、つまり、高さの実質的に半分に相当する長さl1と、実質的にその幅w1に相当する幅とを有する。各細長い孔119は、以下で説明する架橋部材及び/又は柱としてのモジュール式構造部品の実施形態との重力ベースの機械的組み立てを容易にするための単純な接合部分を提供する。
【0052】
スパンする距離が、線状に配置された二つ以上のモジュール式構造部品を使用する必要があるときは、架橋部材を使用して部品を長手方向に互いに固定できる。最も単純なものでは、このような架橋部材は、モジュール式構造部品110、111のように実質的に平面的であり、したがって、構造部品のボルト穴115の少なくともいくつかとの同一場所の設置のために構成されたボルト穴のセットを、両方を一緒に留めるために有する対向面のセットを含む。
【0053】
図7及び8を参照して、架橋部材200の第一の実施形態を示す。これは、構造部品110、111のボルト穴115の長手方向の列との同一場所の設置のために構成されたボルト穴215のセットを有する表裏反対の取り付け面212、214のセットを画定する取り付けプレート210を備える。
【0054】
架橋部材200は、二つの細長いスタッド219を備え、一つは、各取り付け面212、214の中央に設置され、その長手方向エッジから、そこと直交して延在している。各スタッド219は引張り要素の細長い孔119と相補的に成形されており、引張り要素111の厚さ又は幅w1に実質的に相当する寸法だけ、取り付けの両側に等距離に突出する。これにより、架橋部材のスタッド219は、使用時に、引張り要素111を架橋部材に対して位置決めすることを助け、細長い孔119と連結する。
【0055】
この実施形態では、スタッド219が構成された取り付けプレート210の中央部217'にはフランジが付いていないが、二つのフランジ部分217が、スタッド219と同じ取り付けプレート210の長手方向のエッジに沿って、その中央部から等距離にかつ対称に延在している。フランジ部分217も、圧縮要素の同じ厚さ又は幅w2に実質的に相当する寸法だけ、取り付けプレート210の両側に等距離に突出する。使用時、各圧縮要素の少なくとも端部分の下側が、架橋部材200のそれぞれの側にあるフランジ217にあり得る。
【0056】
架橋部材200のこの実施形態は、固定可能な端が、フランジ117を越えて突出する引張り要素の部分である、モジュール式構造部品110の実施形態との使用に特に適している。これは、架橋部材及びそのフランジ217を、使用時に部品のフランジ117の横方向のエッジが、架橋部材のフランジ217の横方向のエッジに当接するように特定の寸法で形成することができ、引張り要素111を架橋部材に対して位置決めするのにさらに助けるからである。
【0057】
使用時、第一のモジュール式構造部品100、101の引張り要素110、111のいずれかの面112、114のいずれかの端部分は、架橋部材200のいずれかの面212、214に当接され、そこに同軸方向に整列した引張り要素のボルト穴115と架橋部材のボルト穴215との組み合わせを通して係合締め具で固定され得る。
【0058】
この組み立ての原理では、二つ以上のモジュール式構造部品100によってスパンされる距離では、上記の又は各架橋部材で接触する引張り要素の端部分は、架橋部材200の両面に当接する。引張り要素も、両方の引張り要素の同軸方向に整列したボルト穴115と中間の架橋部材のボルト穴215との組み合わせを通して係合締め具で架橋部材に固定される。
【0059】
次に、同じ数字が同じ特徴を示す
図9及び10を参照して、架橋部材200の第二の実施形態が示されている。これは、互いに平行に配設され、横方向のスタッド229によって互いに固定されている二つの取り付けプレート211、213を備える。横方向のスタッド229は、中央(median)位置で各取り付けプレートの下側のエッジから延在し、引張り要素の細長い孔119と相補的に特定の寸法で形成された長さを有し、取り付けプレートの中間に、引張り要素111の2倍の厚さ又は幅w1に実質的に相当する幅を有する。
【0060】
各取り付けプレート211、213は対向面を備え、取り付けプレートの内面212は互いに向き合い、取り付けプレートの外面214は互いに反対に向いている。各取り付けプレートは、前述同様に、構造部品110、111のボルト穴115との同一場所の設置のために構成された貫通ボルト穴215のセットを備える。
【0061】
この実施形態では、架橋部材200は、下側のエッジに沿って延在するフランジ部分217と平行に、各取り付けプレート211、213の上側のエッジ全体に沿って延在する第二のフランジ227を備える。取り付けプレート211、214の各外面214は、横方向のスタッド229と平行にかつ実質的に同一平面に、第一及び第二のフランジ217、227間に延在する中央フランジ(median flange)228を備える。したがって、各外面214のフランジ217、227、228は、外面の側で実質的にHを画定する。
【0062】
使用時、第一のモジュール式構造部品100、101の第一の引張り要素110、111の端部分は、取り付けプレート211、213の内側取り付け面212の間にスライドして入れられ、引張り要素の細長い孔119が横方向スタッド229により係合される。第二のモジュール式構造部品100、101の第二の引張り要素110、111の端部分は、取り付けプレートのうちの一方の内側取り付け面212と、部材200により既に係合された第一の引張り要素との間にスライドして入れられ、第二の引張り要素の細長い孔119も横方向スタッド229により係合される。次に、第一及び第二の引張り要素並びに架橋部材200の組立体は、両方の引張り要素の同軸方向に整列したボルト穴115と、両方の取り付けプレート211、213のボルト穴215との組み合わせを通して係合締め具333で固定される。
【0063】
第一のフランジ217と第二のフランジ227との間の距離は、圧縮要素120、130の高さhに実質的に相当する。第一、第二、及び中央フランジ217、227、228の各々の幅は、圧縮要素120、130の幅に実質的に相当する。圧縮要素の長さが、引張り要素の各端に近接する細長い孔119間の距離に実質的に相当するため、モジュール式構造の各圧縮要素120、130の先端は、各外面214のフランジ217、227、228の組み合わせによって囲まれた体積内にぴったり収まる。
【0064】
ブレース(bracing)用途によって、モジュール式構造部品100の先端を、表面(構造壁など)で支持する必要がある場合、部品の先端を、それを接合する足部材に、その支持表面で固定することができる。同じ数字が同じ特徴を示す
図11~13Bを参照して、足部材300の実施形態が示されている。これは、
図9及び10を参照して実質的に示し、説明したモジュール式構造部品100、111及び架橋部材200との使用のために構成されている。
【0065】
足部材300の各実施形態は、構造部品及び架橋部材それぞれの長手方向の列のボルト穴115、215との同一場所の設置のために構成されたボルト穴315のセットを有する表裏反対の取り付け面312、314のセットを共同で画定する同一平面の取り付けプレート310のペアを備える。
【0066】
各取り付けプレート310は、長方形のベースプレート317の主軸と同軸方向に、ベースプレート317の上向きに及び直交して延在している。ベースプレートの遠位の上側のエッジからベースプレート317の上面まで下に延在する直線状の細長い孔329によって、取り付けプレート310が分離される。細長い孔329は、取り付けプレートの中間に横方向のスタッド229の厚さに実質的に相当する幅を有するので、
図9及び10に示す架橋部材200を備えた構造部品100、111の組立体をスライドさせて、足部材300上に垂直に誘導することができる。使用時、ベースプレート317は、架橋部材200を備えたモジュール式構造部品100、111の組立体と、当該組立体の下にある表面との中間に設置される。
【0067】
ベースプレート317の上面には、ベースプレートの主軸に平行して、取り付けプレート310の両側に長手方向チャネル319を備える。各チャネル319は、架橋部材300の全長にわたって延在しており、隣接する取り付け面312、314とベースプレートの側方エッジ部分330との中間に、他の架橋部材200の各取り付けプレート211、213の下側のフランジ部分217が挟まるように特定の寸法で形成された幅を有する。つまり、圧縮要素120、130、131の同じ厚さ又は幅w2に実質的に相当する幅を有する。ベースプレート317の各側方エッジ部分330には、適切な締め具でベースプレートを下にある表面に固定するための貫通穴335の長手方向の列が含まれている。
【0068】
使用時、建物の既存の構造垂直材の上に載るモジュール式構造部品100、101の引張り要素110、111の端部分は、
図9及び10の架橋部材200の取り付けプレート211、213の内側取り付け面212の間にスライドして入れられ、引張り要素の細長い孔119が横方向のスタッド229と係合する。システムのこの先端には第二の引張り要素が存在しないため、架橋部材200の取り付けプレート211、213のうちの一方の内側取り付け面と引張り要素の端部分の面との間に、足部材300の取り付けプレート310を収容するために、十分な隙間が残っている。組立体は足部材300の上に下ろされ、架橋部材200の横方向のスタッド229が足部材の細長い孔329を係合し、これにより、ベースプレート317の上面上に最終的に載るために下ろされる際に組立体が誘導される。引張り要素110と架橋部材200との組立体と、足部材300とを備えるシステムは、これらの三つ要素の同軸方向に整列したボルト穴115、215、315の組み合わせを通して係合締め具333で固定される。また、システムはベースプレートの貫通穴335の列を通して係合締め具で下にある表面に固定される。
【0069】
使用時の部品のハンドリング及び設置を容易にするために、架橋部材200の下側のフランジ部分217及び足部材の長手方向のチャネル319がそれぞれ非対称の寸法で構成されている架橋部材200及び足部材300の実施形態を検討する。一例では、架橋部材200の片側の下側のフランジ部分の横幅が、その反対側の下側のフランジ部分よりも大きくなる場合があり、これに対応して、長手方向のチャネル319は足部材300の片側でその反対側よりも広くなっており、この構成により、架橋部材200と足部材300とを互いに対して、同様に、足部材300が設置されている表面の遠位のさらなる架橋部材200に対して正しい向きに維持するためにユーザを有利に助けることができる。
【0070】
足部材200は、既存の構造の構造変更及び/又は改修に特に有用である。足部材は、既存の構造にボルトで固定されて、モジュール式構造部品100、111を所定の位置に維持するのを助ける。
【0071】
特に
図13Bを参照して、足部材300の代替実施形態の詳細を示している。ここでは、ベースプレート317の貫通穴335が、通常の条件下でベースプレートを固定するためのワッシャ334でその中に係合された締め具333に対して、水平方向の並進の制限された自由度をベースプレートに与えるように構成されている。この例では、構成は、丸められたエッジ336を有する十字型の貫通穴335を含む。地震波によって建物に実質的に水平方向のせん断力が与えられる場合、モジュール式構造システムは、ベースプレート317を下にある表面に固定した状態に維持するワッシャ334とは無関係に、十字型のエッジ336によって画定された機械的な境界内の締め具333を中心とした並進によって、このような力を減衰させることができる。この原理については、
図13Bに点線で示す二つの例を用いて図示している。
【0072】
有利に、ベースプレート317のこの実施形態は、本発明によるモジュール式構造システムで改修された既存の建物に耐震特性を改良する(retrofit)。
【0073】
当業者は、本開示から、本発明の構造部品及び架橋部材が、建設労働者によりハンドリングされ、さまざまな複雑さの構造ブレースシステムに組み立てられる際の容易さを認識するであろう。
【0074】
引張り要素111と架橋部材200、300とを組み合わせた構造システムの簡単な例を、
図14に示す。ここでは、互いに長手方向に整列された三つのモジュール式構造部品101が示されている。最初に、三つの引張り要素111を二つの架橋部材200(整列された要素101の各ペアの中間に一つ)に、各要素の横方向の端113、113'と隣接する細長い孔119との間に同軸方向に整列したボルト穴115、215を通して係合締め具333によって固定する。一番左の引張り要素111の一番左の先端は、同様に要素の一番左の先端と隣接する細長い孔119との間に同軸方向に整列したボルト穴115、315を通して係合締め具333によって、ベースプレート部材300によって支持され、固定される。次に、圧縮要素120、131のペアを、同軸方向に整列したボルト穴115、215を通して係合締め具333で各引張り要素111に固定する。
【0075】
次に、同じ数字が同じ特徴を示す
図15A~16Bを参照して、線状に配置された二つ以上のモジュール式構造部品で、ある距離を測る(span)ためのモジュール式構造部品140及び架橋部材220のさらなる実施形態について説明する。
【0076】
モジュール式構造部品140は、引張り要素141と圧縮要素160、170のペアとを備える。引張り要素141の主な特徴は、前述の引張り要素111のものに実質的に対応しており、これには、異なる幾何学的形状の貫通開口部118、118'のメッシュ116と、例えば、要素を下にある支持面に接合させる足部材300との使用のための貫通孔115及び細長い孔119が構成されている少なくとも一つの先端113とが含まれる。
【0077】
今度は、架橋部材は、多数の歯222を備えた歯車部材220を備える。例では、八つの歯が実質的に円形の歯車の周囲に等距離に分布している。歯車は実質的に平面であり、引張り要素の高さhの少なくとも半分の外径を有し、隣り合わせの二つの引張り要素141の横方向の寸法又は厚さに実質的に相当する横方向の寸法又は厚さを有する。
【0078】
引張り要素141はさらに、歯車220がその中に相補的に挟まるように特定の寸法で形成された貫通開口部142を備えており、これは、連続する曲線からなるスカラップエッジ(scalloped edge)を有する実質的に円形の形状を備え、各曲線は、使用時にそれぞれの歯222を挟むように成形されている。この歯車貫通開口部142は、引張り要素141の反対の先端113'に近接して設置され、メッシュ116の主要部分と、反対の先端113'に隣接するメッシュの遠位部分との中間にある。
【0079】
メッシュ116の主要部分は、さらに異なる幾何学的形状、特に、要素の主要長手方向軸に一致し、かつ反対の先端113'の方に向けられている頂点を有する二等辺三角形143の少なくとも一つの貫通開口部143を備える。
【0080】
図15Aに示す引張り要素141の単純な実施形態では、反対の先端113'は平面(plain)である。
図15Bに示す引張り要素141の代替実施形態145では、反対の先端113'は、その高さhの実質的に半分以上で、要素の長手方向の主軸と一致し、したがって、反対の先端113'から見て外方に向けられている頂点を有する二等辺三角形146の形で内側に切り抜かれている。この実施形態における引張り要素145の側面は、フランジ付きの幾何学的形状、つまり、要素の長手方向の主軸と一致し、かつ反対の先端部113'に向けられている頂点を有し、要素の先端113'の三角形の切り抜き部分146と相補的に特定の寸法で形成されている二等辺三角形147を含む。
【0081】
フランジ付き三角形147は、歯車の貫通開口部142に隣接するメッシュの主要部分116の端に設置される。次に、
図16Aを参照して、二つの引張り要素145
1、
2が構造線に組み立てられると、フランジ付き三角形147が構成されたそれぞれの面は、最初は互いに反対に向いている。次に、各引張り要素145
1、
2のフランジ付き三角形147は、向かい合った引張り要素145
2、
1の三角形の切り取り部分146と一緒に配置され、引張り要素145
1、
2が一緒に押し付けられると、その中に係合される。二つの引張り要素145
1、
2のそれぞれの歯車の貫通開口部142は、横方向の整列において配置されており、次に、歯車220がこの中に係合され、各引張り要素145を、要素のそれぞれのフランジ付き三角形147と切り抜き部分146とによる二重接続に加えて、他方の引張り要素に接続する。
【0082】
次に、引張り要素141、145と使用するための圧縮要素160、170を説明する。
図16A及び16Bを参照すると、第一の圧縮要素タイプ160の長手方向面は、
図4を参照して前述したように、異なる幾何学的形状のスタッド128、138のパターン136'を備える。パターン136'は、主要部分と遠位部分との間で分割され、各々、歯車の貫通開口部142内の所定の位置にあるときに歯車220に対して配置される(collocating)平面セクションの両側で引張り要素のメッシュ116の主要部分と遠位部分とそれぞれ一緒に配置される(collocate)ように特定の寸法で形成されている。
【0083】
パターン136'の遠位部分は、圧縮要素160の端セクション162に隣接して設置される。この端セクションは、それが固定されている引張り要素の先端113'を越えて、構造線の次の引張り要素に向かって短い距離を突出し、また、パターン136'を支える長手方向面に向かって横方向のくの字に曲がった形状(dogleg)を形成するように、つまり、引張り要素の厚さに相当する距離で、スタッド138と平行に、引張り要素145に向かって突出するように構成されている。
【0084】
パターン136'を支える長手方向面に平行であるが同一平面ではない端セクション162の長手方向面は、圧縮要素160の長手方向の主軸と一致し、パターン136'に向けられている頂点を有し、引張り要素の三角形の貫通開口部143と相補的に特定の寸法で形成される二等辺三角形スタッド163が構成されている。
【0085】
第二の圧縮要素タイプ170は、
図4を参照して前述したひし形スタッド128のパターン126を備え、第一のタイプの圧縮要素タイプ160に比べて長さが短く、使用時に、第一の圧縮要素タイプ160のくの字に曲がった(dogleg)端部分162の長手方向の距離が、引張り要素141、145の先端113'を越えて突出することを可能にする。
【0086】
二つの引張り要素145
1、
2を構造線に組み立て、圧縮要素160を第一の145
1に当接して固定すると、第一の引張り要素145
1に面した端セクション162のくの字に曲がった形状が第二の引張り要素145
2に近接するその先端113'に当接する。これにより、三角形スタッド163が、第二の引張り要素145
2の三角形の貫通開口部143と一緒に配置され、圧縮要素160が第一の引張り要素145
1に固定されると、その中に係合され、同様にスタッド128、138のパターン136'が開口部118、118'のメッシュ116に係合される。次に、第二のタイプの圧縮要素170は、第一の引張り要素145
1と係合した第一の圧縮要素160と同じ側で第二の引張り要素145
2に当接し、そのスタッド128のパターン126がその第二の引張り要素145
2の貫通開口部118、118'のメッシュ116の中に係合する。この圧縮部品160、170の組み立ては、整列した引張り要素145
1、
2の反対側で繰り返され、締め具333は好ましくは貫通孔115に係合し、このうちの少なくとも一つは、
図16Bに示すように中央で歯車210を係合し、締め付けることができる。
【0087】
また、当業者は、本開示から、
図1~16Bを参照して説明したタイプの梁状又は桁状の要素100に関して説明した発明原理が、容易に柱状の要素に転用されることを認識するであろう。次に、貫通開口部のメッシュを組み込んだ細長い引張り芯(tension core)を、貫通開口部と係合するためのスタッドの相補的なパターンを組み込んだ細長い圧縮要素と組み合わせる原理を各々が維持している、このようなモジュール式構造部品の実施形態を説明する。
【0088】
図17を参照して、柱として使用するために特別に設計されたモジュール式構造部品500の第一の実施形態を示している。これは、三つの引張り要素510
1~
3を備える。各々が他の要素と平行かつ等距離に、また、共通の長手方向軸511を中心に対称的に配置されている。ここでも各引張り要素510
1~
3は直線状で実質的に平面的であり、長手方向の対向面512、514と、貫通開口部のメッシュ、例えばひし形の貫通開口部118のメッシュ116とを有している。
【0089】
隣接する引張り要素の長手方向面間の角度が実質的に120度であるこの構成は、使用時の応力の分布を有利にバランスさせ、
図17に点線で表す梁又は桁100、101として使用される一つから最大三つのモジュール式構造部品を支持するために使用することができる。この構成では、複数の支持柱を必要とする拡張領域をブレースするための構造システムの設計にハニカム状のアプローチを課す。
【0090】
同じ数字が同じ特徴を示す
図18~25Dを参照して、ポストとして使用するように構成されたモジュール式構造部品のさらなる実施形態を示している。ここでは、引張り要素は、共通軸511を中心とする直交十字形を画定する梁タイプの最大四つの構造部品を用いた重力ベースの係合のために構成されている。
【0091】
このような実施形態におけるモジュール式構造部品501は、四つの引張り要素510
1~4を備え、各々が、
図17を参照して前述したように、他の要素及び共通の長手方向軸511に対して配置されているが、他の要素に対して同一平面ではない。この構成原理により、二つのペアの平行引張り要素510
1、
3~510
2、
4がもたらされる。例えばペア510
1、
3の各要素510
1は、他の要素510
3に対して長手方向にオフセットされ、他のペア510
2、
4の要素と直交する。隣接する引張り要素の長手方向面間の角度は実質的に90度である。この例では、ペアの要素がオフセットされる寸法Sは、ペアにおける要素のそれぞれの最も近い面512のそれぞれの平面間の距離に相当し、その長手方向の対向面112、114間の引張り要素101の幅又は厚さw1の実質的に2倍である。
【0092】
これらの実施形態では、各引張り要素5101~4の端部分は、その引張り要素を別のモジュール式構造部品(梁部品101など)に、共通の長手方向軸115と直交して固定するための取り付け部として構成される。この構成は、共通の長手方向軸511に隣接する、各引張り要素5101~4の長方形の端部分を切り抜くことを含み、これにより、部品の端に開いた箱型のスペース505が画定される。このスペースは共通の長手方向軸を中心にしている。部品510の主軸に平行な方向の切り抜き部分の長さは、実質的に引張り要素101の高さhであり、部品の主軸と直交する方向の切り抜き部分の幅は、実質的にオフセット寸法Sである。
【0093】
これらの例の構成は、部品501の切り抜き端部分に近接してボルト穴515を設けることで強化される。これらのボルト穴は、使用時に梁部品101の引張り要素111(具体的には、梁の引張り要素への圧縮要素120、131の固定の後に、圧縮要素がないままである梁の引張り要素の端部分)のそれぞれのボルト穴115と同一場所に設置するパターンで設けられる。これらの実施形態ではさらに、長方形の切り抜き部分の遠位の各引張り要素510
1~4の反対の端部分は、柱部品501の足場として共通軸511と直交するベースプレート517に固定される。ここでもボルト穴515は、
図13Bを参照して説明した貫通穴335に類似して、部品501に水平方向の並進の制限された自由度を与えるために、十字型に構成することもできる。
【0094】
柱501の上側の先端における開いた箱型のスペースは、最大四つの梁構造部品101の端部分の貫通経路を有利に提供する。各梁構造部品は、柱部品501のそれぞれの引張り要素510
1~4の主要平面に対応する方向から、その主軸511と直交して通過する。
図21は、オフセットペアの平行な引張り要素510
2、
4間のオフセット寸法により、二つの引張り要素111
A、
Bが梁部品ペア間で反対方向から互いを交差することを可能にする方法を最適に示している。圧縮要素の前方の各梁構造部品100
A、
Bの端部分は、細長い孔119が長方形のスペースと実質的に整列した状態で、平行な引張り要素510
1、
3のもう一方のオフセットペアと直交して柱部品500の全幅を跨ぎ、これにより、細長い孔119と横方向のエッジ113との間の各梁構造部品100
A、
Bの部分は、それに最も近い直交引張り要素510
2、
4の反対側に突出する。
【0095】
構造システムの設計によって、モジュール式柱501のレベルで四つのモジュール式梁101が互いに交差する必要があるときは、反対方向から互いに交差する第一のペアのモジュール式梁(100
A、
Bなど)における各引張り要素111の端部分は、
図3を参照して説明した細長い孔119が構成されているが、要素の反対側の長手方向のエッジから延在する。つまり、使用時に最上部である。使用時、
図21を参照して前述したように、この第一のペアがスペース505に係合し、その上向きの細長い孔119が、スペース505と整列する。次に、反対方向から互いに交差する(つまり、第一のペアと直交する)第二のペアのモジュール式梁の引張り要素111のそれぞれの端部分が、
図21を参照して前述したように、スペース505に係合し、その細長い孔が、スペース505と整列し、これにより、これらの細長い孔はさらに、第一のペアの上向きに開いた細長い孔と係合し、重力ベースの連結が実現される。
【0096】
図20及び21に示すモジュール式柱部品501の代替実施形態を、同じ数字が同じ特徴を示す
図22Aに示す。この実施形態は、追加の梁部品によって柱部材により多くの荷重を伝達する必要がある構造用途で使用するために、複数の箱型のスペース505
1~2を備える。本発明の柱部品への荷重伝達のための複数の場所の原理は、建物の耐荷重要件及び/又は柱部品の全長に応じて、複数の箱型のスペース505のための代替及び/又は追加の場所を有する実施形態に変化させることができる。
【0097】
図22Aに示す柱部品521では、各引張り要素510
1~4の対向する端部分が、柱の引張り要素を複数の梁の引張り要素に固定するためのそれぞれの取り付け部として構成されている。柱部品521の上側の先端の構成は、
図20及び21を参照して前述したとおりであり、開いた箱型のスペース505
1を画定している。この実施形態では、ベース517上にある柱部品521の下側の先端の構成は、上側の先端の構成を複製する。したがって、ベースプレート517の上面から部品521の主軸に平行な方向に、実質的に引張り要素101の高さhだけ延在する第二の長方形の箱型のスペース505
2を画定し、部品の主軸と直交する方向における各切り抜き部分の幅は、ここでも実質的にオフセット寸法Sである。柱部品521の下側の先端は、
図20及び21の実施形態に比べて、最大四つのより多くの梁構造部品101のそれぞれの端部分の第二の貫通経路を有利に提供する。
【0098】
本明細書に説明する柱及び梁部品のモジュール式特性により、高層建物の積層構成など、幅広い構造フレームワークへのそれらの組み立てが容易になる。
図15~16Bを参照して示し、説明した梁部品の長手方向の組み立てと類似して、本発明は、他の柱部品501、521との長手方向の組み立てのために設計されている、ベースプレート517なしの柱部品まで拡張される。
図22Bのシステムに組み立てられたその一例を示す。
【0099】
最も単純なものでは、このような柱部品531の実施形態は、四つの引張り要素510
1~4と二つの長方形スペース505とが構成されている。これらはすべて、
図18~22Aを参照して前述したとおりである。柱部品531の各先端の構成は、
図20及び21を参照して前述したとおりであり、開いた箱型のスペース505が画定されている。
【0100】
第一の柱部品501を置いた後、第二の柱部品531が第一の上に、それと実質的に同軸だが、それに対して180度逆さまにされて設置される。つまり、オフセットの平行の引張り要素5101~4のそれぞれのペアが、下にある第一の柱501のものに対して逆螺旋(reverse-hand helix)にある。この構成では、下にある第一の柱501の開いた箱型のスペース505と上にある柱部品531の開いた箱型のスペース505と同様に、第一及び第二の柱部品は同軸の整列にある。ただし、それぞれの引張り要素5101~4は反転し、オフセット寸法Sだけ互いに対して横方向にオフセットされる。つまり、及び、例えば、下にある第一の柱501の引張り要素5102は、上にある柱部品531の引張り要素5104と整列するが、それに対して寸法Sだけオフセットされる。
【0101】
次に、第三の柱部品531が、第二の上に、先と同様に、それと実質的に同軸だが、先と同様に、それに対して180度逆さまにされて設置される。つまり、オフセットの平行の引張り要素5101~4のそれぞれのペアが、下にある第二の柱部品531のものに対して逆螺旋にあり、したがって、第一の柱部品501のオフセットの平行の引張り要素5101~4の配設をミラーリング(mirroring)している。柱全体の連続する各柱部品の向きを交互に変えることは、構造内で荷重及び応力を分散させることを有利に助ける。
【0102】
反対に、次に
図23を参照すると、構造システムの設計によって、モジュール式柱501のレベルで四つ未満のモジュール式梁101が互いに交差する必要があるときは、同じ連結を提供するために、欠落している引張り要素111の代わりに一つ以上の主要部材(key member)600が使用される。
【0103】
主要部材600は、その長手方向、横方向、及び厚み寸法において、圧縮要素の前方にある、つまり、貫通開口部のメッシュと横方向のエッジ113との間の梁引張り要素111の端部分に実質的に対応するように適宜特定の寸法で形成される。主要部材は、使用時に梁部品101の引張り要素111(具体的には、梁の引張り要素への圧縮要素120、131の固定の後に、圧縮要素がないままである梁の引張り要素の端部分)のそれぞれのボルト穴115と同一場所に設置されるパターンのボルト穴615を備える。
【0104】
主要部材600はさらに、長手方向のエッジから、その中心で、それと直交して延在し、梁引張り要素111の横方向の寸法又は高さの実質的に半分に相当する同じ長さl1と、同じ幅w1、つまり、Sの半分とを有する細長い孔619を備える。
【0105】
構造用途によってモジュール式システムで必要とされるモジュール式梁及びモジュール式柱の構成によって、モジュール式柱501は、したがって、単一のモジュール式梁を支持することができ、モジュール式梁のペアのそれぞれの端が一直線になるか、直交コーナーを形成し、三つのモジュール式梁がTコーナーを形成するか、又は四つのモジュール式梁が直交十字型を形成する。したがって、使用時、最大三つの主要部材600を使用して、支持されている梁部品101の横方向の引張り要素111によって占有されていない柱部品501のスペース505の残部(balance)を占有できる。この場合、これらの主要部材600のうちの一つ以上が他の部材に対して逆さまにされて、その細長い孔619が上向きに開いて、別の主要又は梁の引張り要素111の細長い孔619、119と連結することができる。
【0106】
次に
図24を参照して、垂直モジュール式構造部品500、501によって支持される水平モジュール式構造部品100、111の配置に関係なく、その垂直モジュール式構造部品の各引張り要素510
1~Nの長手方向の各面512、514は、垂直モジュール式構造部品がその耐荷重能力を得るために、本明細書に説明した原理に従って、圧縮要素520、530のそれぞれのペアで、整える必要がある。
【0107】
したがって、引張り要素510
Nのそれぞれの面512、514に対して固定するためのペア520、530における各圧縮要素の長手方向面522、532は、スタッド128(138)のそれぞれのパターン526、536を含み、各圧縮要素が形成され、その各スタッドはメッシュ、例えば、そのそれぞれの貫通開口部118、118'を係合するための116'と相補的に成形されている。したがって、
図17を参照して説明した実施形態には六つの圧縮要素が必要であり、
図18~25Dを参照して説明した実施形態には八つの圧縮要素が必要である。
【0108】
それぞれの及び隣接する引張り要素(tension components)の長手方向及び/又は横方向のエッジが、互いに対して角度を形成するときはいつでも圧縮要素120、130、131、520、530の長手方向及び/又は横方向のエッジの面取りが考慮され、それに対して、使用時にそれぞれの圧縮要素が固定される。
図25A~25Dは、単一の梁部品100、対称的に整列した梁部品のペア、Tを形成する三つの梁部品、十字を形成する四つの梁部品をそれぞれ支持する、直立のモジュール式構造部品501を示している。各状況において、上記の又は各圧縮要素120、130が、隣接する梁部品の隣接圧縮要素120、130と直角を形成するときはいつでも、上記の又は各梁部品100の圧縮要素120、130の横方向のエッジが45度の面取りした面を有して示されている。
【0109】
説明した実施形態のいずれかについても、引張り要素は、対象(blank)のレーザ若しくはプラズマ切断又はフライス加工などの従来の技術、又は付加製造などのより最近の技術を使用して、一つ以上の材料から製造することができる。一つ以上の材料は、鋼、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛、鉛、真鍮、青銅、錫、クロム、チタン、タングステン、ビスマス、及びニオブから、ステンレス鋼、硬化鋼、炭素鋼、工業用鋼、錬鉄、ニチノール、及びエリンバーなどのそれらの合金から、並びに関連の特性を有する複合材料から選択される。
【0110】
圧縮要素は、天然木のような有機材料や、接着合板のような半有機及び/又は加工済みの材料のブランクを成形する切断などの従来の技術、又はここでも積層印刷及び例えばおがくずなどの最近の技術を使用して、一つ以上の有機材料、複合材料、及び/又は加工済み材料から製造することができる。一つ以上の有機材料、複合材料、及び/又は加工済み材料は、例えば、合板である天然若しくは集成材、圧縮おがくず、繊維強化複合材、天然繊維複合材、コンクリート、繊維強化コンクリート、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)ゴム、及び粘土から選択される。
【0111】
当業者であれば、本明細書では、非限定的な例によって材料が説明されていること、また、本発明の引張り要素及び圧縮要素は、既知の又は未だ開発されておらず、それぞれ、テンションに対する抵抗の必要な程度、圧縮、力、及び応力を示す任意の材料を用いて製造することができることを容易に理解するであろう。
【0112】
したがって、本発明は、その組成が単一の均一な材料ではなく、連動して作用する少なくとも二つの特定の材料の組み合わせであり、鉄筋コンクリートのものと類似の部品特性をもたらす、モジュール式構造部品を提供する。構造部品のモジュール式により、それらを完成品に組み立てることができる建物や改修現場へのそれらの輸送が容易になる。
【0113】
モジュール式構造部品の実施形態は、独立した建物要素として個別に使用することも、梁を別の梁及び/又は既存の構造と接合させるために少なくとも一つのモジュール式構造部品と少なくとも一つの架橋部材とからなるブレースシステムに組み合わせることもできる。部品の実施形態は一緒に連結することができ、それらが一つの均一なエンティティとして機能することを可能にし、また、関連の引張り及び圧縮応力の安全な耐荷重性を構造に伝達するように設計されている。
【国際調査報告】