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特表2024-531664生体分子の安定的発現および伝達のためのプラスミドプラットフォーム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】生体分子の安定的発現および伝達のためのプラスミドプラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/63 20060101AFI20240822BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240822BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240822BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240822BHJP
   C12N 15/115 20100101ALN20240822BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240822BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
C12N15/63 Z ZNA
C12N5/10
C07K16/28
A61K35/12
A61K45/06
A61P35/00
A61P15/00
C12N15/12
C12N15/115 Z
C12N15/113 Z
C12N15/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515607
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 KR2022013574
(87)【国際公開番号】W WO2023038479
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0119735
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0114341
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524091412
【氏名又は名称】ククムラボ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、カン ウォン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA20
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C087BB64
4C087CA12
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明において提示するプラスミドプラットフォームは、LAMP-2B(Lysosome-Associated Membrane Glycoprotein 2B)の細胞内ドメイン(intracellular domain)、細胞外ドメイン(extracellular domain)またはこれらの組み合わせが除去された修飾タンパク質をコードする核酸配列を含むものであり、LAMP-2Bの特定ドメインを除去した場合、発現させようとする生体分子の発現が顕著に安定化し、伝達しようとする生体分子の伝達効率が顕著に上昇することを発見することに基づくものである。これは、将来目的タンパク質の発現と伝達、特にエキソソームを用いた発現と伝達において高い技術的効用を提示することが期待され、これと関連した様々な技術分野または用途に拡張され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LAMP-2B(Lysosome-Associated Membrane Glycoprotein 2B)の細胞内ドメイン(intracellular domain)、細胞外ドメイン(extracellular domain)またはこれらの組み合わせが除去された修飾タンパク質をコードする核酸配列を含む、生体分子の安定的発現および伝達のためのプラスミドプラットフォーム。
【請求項2】
前記プラスミドプラットフォームは、LAMP-2Bの細胞内ドメインが除去されたタンパク質をコードする核酸配列を含む、請求項1に記載のプラスミドプラットフォーム。
【請求項3】
前記プラスミドプラットフォームは、LAMP-2Bの細胞内ドメインと細胞外ドメインがすべて除去された、請求項1に記載のプラスミドプラットフォーム。
【請求項4】
前記核酸配列は、配列番号2~4のうちいずれか1つの核酸配列と70%以上の相同性を有する核酸配列を有する、請求項1に記載のプラスミドプラットフォーム。
【請求項5】
前記核酸配列は、配列番号2または4の核酸配列と70%以上の相同性を有する核酸配列を有する、請求項1に記載のプラスミドプラットフォーム。
【請求項6】
前記核酸配列は、配列番号4の核酸配列と70%以上の相同性を有する核酸配列を有する、請求項1に記載のプラスミドプラットフォーム。
【請求項7】
前記プラスミドプラットフォームは、グリコシル化した領域をコードする核酸配列をさらに含む、請求項1に記載のプラスミドプラットフォーム。
【請求項8】
前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列を基準として細胞外領域方向に位置する、請求項7に記載のプラスミドプラットフォーム。
【請求項9】
前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、配列番号11~13のうちいずれか1つの核酸配列と70%以上の相同性を有する核酸配列を含む、請求項7に記載のプラスミドプラットフォーム。
【請求項10】
前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、配列番号11の核酸配列と70%以上の相同性を有する核酸配列を含む、請求項7に記載のプラスミドプラットフォーム。
【請求項11】
前記プラスミドプラットフォームは、配列番号4の核酸配列と70%以上の相同性を有する核酸配列および配列番号11の核酸配列と70%以上の相同性を有する核酸配列を含む、請求項1に記載のプラスミドプラットフォーム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のプラスミドプラットフォーム内、発現および伝達を目的とする生体分子をコードする核酸配列をさらに含む、生体分子の安定的発現および伝達のための組換えプラスミド。
【請求項13】
前記生体分子をコードする核酸配列は、i)前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列と前記修飾タンパク質をコードする核酸配列の間、ii)前記修飾タンパク質をコードする核酸配列を基準として細胞内領域方向またはiii)これらすべてに位置する、請求項12に記載の組換えプラスミド。
【請求項14】
前記生体分子は、核酸分子(nucleic acid molecules)、アプタマー(aptamer)、ペプチド(peptides)、タンパク質(protein)、糖タンパク質(glycoproteins)、リポタンパク質(lipoproteins)、免疫グロブリン(immunoglobulins)、ホルモン(hormone)、成長因子(growth factor)、リコンビナーゼ(recombinase)および蛍光タンパク質(fluorescent protein)から成る群から選択された少なくとも1つである、請求項12に記載の組換えプラスミド。
【請求項15】
請求項12に記載の組換えプラスミドから発現した産物を含む、生体分子の安定的発現および伝達のためのエキソソーム。
【請求項16】
前記生体分子は、エキソソームの外部に発現し、ターゲット細胞の表面に特異的に結合する物質を含む、請求項15に記載のエキソソーム。
【請求項17】
請求項15に記載のエキソソームを含み、前記生体分子は、がん細胞表面特異的発現タンパク質に特異的に結合するものを含む、がんの診断のための組成物。
【請求項18】
前記がんは、卵巣がんである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
請求項15に記載のエキソソームを含み、前記生体分子は、がん細胞表面特異的発現タンパク質に特異的に結合するものと、がん細胞内伝達しようとする治療物質を含む、がんの予防または治療用薬学的組成物。
【請求項20】
前記がんは、卵巣がんである、請求項17に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体分子の安定的発現および伝達のためのプラスミドプラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
エキソソームは、後期エンドソームの出芽(budding)から生産され、細胞外空間に放出される前に原形質膜と融合すると知られている。エキソソームは、ホスホコリン、コレステロールおよびセラマイドが豊富な脂質二重層膜で構成された40~200nmサイズの小胞であり、ほぼすべての種類の細胞から分泌され、血液、リンパおよび汗のようなすべての種類の体液で安定に存在する。また、エキソソームは、小さいサイズと弱い負電荷によって長い体内循環時間と器官の内部まで到達するメリットを有している。エキソソームは、また、食作用(phagocytosis)から回避して親水性または疎水性薬物を伝達することができ、標的細胞に血管内皮を通過することができる。エキソソームは、テトラスパニン(tetraspanin)のような特定の表面タンパク質によって特定の細胞に標的効果を示すことが知られている。エキソソームのカプセル化は、インビトロおよびインビボでクルクミン(curcumin)の安定性と生体利用率を増加させ、抗炎症活性を増加させることが報告されており、他の研究において、エキソソームは、血液脳関門を超えて脳にドキソルビシンを伝達し、siRNAを細胞に伝達し、がんの治療に強力な標的なRAD51タンパク質のレベルを効果的に減少させることが報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一目的は、LAMP-2B(Lysosome-Associated Membrane Glycoprotein 2B)の細胞内ドメイン(intracellular domain)、細胞外ドメイン(extracellular domain)またはこれらの組み合わせが除去された修飾タンパク質をコードする核酸配列を含む、生体分子の安定的発現および伝達のためのプラスミドプラットフォームを提供することにある。
【0004】
本発明の一目的は、前記プラスミドプラットフォーム内、発現および伝達を目的とする生体分子をコードする配列をさらに含む、生体分子の安定的発現および伝達のための組換えプラスミドを提供することにある。
【0005】
本発明の一目的は、前記組換えプラスミドを含む、生体分子の安定的発現および伝達のためのエキソソームを提供することにある。
【0006】
本発明の一目的は、前記エキソソームを含み、前記生体分子は、がん細胞表面特異的発現タンパク質に特異的に結合するペプチドである、がんの診断のための組成物を提供することにある。
【0007】
本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から当業界における通常の技術者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様態として、LAMP-2B(Lysosome-Associated Membrane Glycoprotein 2B)の細胞内ドメイン(intracellular domain)、細胞外ドメイン(extracellular domain)またはこれらの組み合わせが除去された修飾タンパク質をコードする核酸配列を含む、生体分子の安定的発現および伝達のためのプラスミドプラットフォームを提供する。
【0009】
前記プラスミドプラットフォームは、従来知られたLAMP-2Bの細胞内、細胞外、またはこれらすべてを除去する場合、LAMP-2Bとともに細胞の内部または外部に発現させようとする目的タンパク質の発現の安定性が顕著に上昇し、目的細胞への伝達性も顕著に上昇することを発見することに基づくものである。
【0010】
前記LAMP-2Bは、従来公知のアミノ酸配列、これをコードする核酸配列に関するもので、プラスミドプラットフォーム内搭載されるためには、核酸配列を意味するものであってもよい。具体的な一実施形態によれば、NM_013995.2の信託番号を有する配列であってもよいが、これに特に制限されるものではない。
【0011】
前記細胞内ドメインと細胞外ドメインは、それぞれLAMP-2Bの細胞上に発現時に細胞のリン脂質二重層の内部に発現する領域と、外部に発現する領域を意味するものであってもよい。LAMP-2Bがエキソソーム上に発現する場合を考慮すると、好ましくは、細胞内ドメインは、エキソソームのリン脂質二重層の内部に発現する領域を、細胞外ドメインは、エキソソームのリン脂質二重層の外部に発現する領域をそれぞれ意味するものであってもよい。
【0012】
前記修飾タンパク質は、LAMP-2Bの細胞内ドメイン、細胞外ドメイン、またはこれらの組み合わせが除去されたことを特徴とするが、細胞外部領域(またはリン脂質二重層の外部領域)で発現させようとする生体分子(またはターゲットタンパク質)と、細胞内部領域(またはリン脂質二重層内部領域)に発現させようとする生体分子(または活性タンパク質)の発現を安定化しようとする目的下に、好ましくは、細胞内ドメインが除去されたものであってもよい。このような意味で、前記プラスミドプラットフォームは、LAMP-2Bの細胞内ドメインが除去されたタンパク質をコードする核酸配列を含むものであってもよい。
【0013】
また、前記修飾タンパク質は、前記細胞外部領域で発現させようとする生体分子と前記細胞内部領域で発現させようとする生体分子の発現を安定させると同時に、生体分子を目的の細胞に安定的に伝達しようとする目的下に、好ましくは、細胞内ドメインと細胞外ドメインがすべて除去されたものであってもよい。このような意味で、前記プラスミドプラットフォームは、LAMP-2Bの細胞内ドメインと細胞外ドメインがすべて除去されたものであってもよい。
【0014】
一実施形態によれば、前記核酸配列は、配列番号2~4のうちいずれか1つの核酸配列を有するものであってもよく、前記細胞内部領域に発現させようとする生体分子の発現を安定化しようとする目的下に、好ましくは、配列番号2または4の核酸配列を有するものであってもよく、前記細胞内部領域で発現させようとする生体分子の発現を安定させると同時に、生体分子を目的の細胞に安定的に伝達しようとする目的下に、より好ましくは、配列番号4の核酸配列を有するものであってもよい。
【0015】
前記プラスミドプラットフォームは、グリコシル化した領域をコードする核酸配列をさらに含んでもよいが、これは、前記プラスミドプラットフォームに搭載して発現させようとする生体分子の発現と伝達を安定化させるための目的であってもよく、より具体的には、前記細胞内部領域と細胞外部領域における生体分子すべてに対する発現と伝達を安定化させるための目的であってもよいが、これに特に制限されるものではない。
【0016】
前記グリコシル化した領域は、タンパク質発現構造にグリコシル化を導入できる手段として周知の手段を自由に用いて導入することができ、前記プラスミドプラットフォームに適用する観点から、グリコシル化した領域をコードする核酸配列をプラスミドプラットフォーム内に含ませる形態でありうる。例えば、前記プラスミドプラットフォーム内GNSTMモチーフをコードする核酸配列を含ませる方法;N-結合型グリコシル化を誘導できるアミノ酸特異配列NXS(Xはプロリンを除いたすべてのアミノ酸配列可能)、NXT(Xはプロリンを除いたすべてのアミノ酸配列可能)、NXC(Xはプロリンを除いたすべてのアミノ酸配列可能)をコードする配列を含ませる方法;前記N-グリコシル化アミノ酸配列のC末端部位に1-5個のアミノ酸をコードする配列をさらに含ませる方法;前記N-グリコシル化アミノ酸配列のC末端部位に1-5個のアミノ酸を含む配列のN末端部位にグリシンをコードする配列を含ませる方法;テトラスパニンにおけるN-結合型グリコシル化モチーフ(CD9 SEL:Small Extracellular Loop Domain,CD63 LEL:Large Extracellular Loop Domainなど)をコードする配列を含ませる方法;O-グリコシル化を誘導するアミノ酸配列であるセリンまたはトレオニンを含ませる方法から成る群から選択された少なくともいずれか1つを選択することができ、生体分子の安定した発現と伝達効率を同時に最大化する観点から、好ましくは、前記プラスミドプラットフォーム内GNSTMモチーフをコードする核酸配列を含ませる方法を選択して導入することができるが、これに特に制限されるものではない。
【0017】
前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、前記プラスミドプラットフォーム内に含まれ得る方法であれば、特別な包含位置の制限があるのではないが、例えば、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列を基準として細胞外領域(またはリン脂質二重層の外部領域)方向に位置することができるように含ませることができる。より具体的な例として、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列の細胞外領域方向に生体分子(またはターゲットタンパク質)をコードする配列が位置することができ、前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、前記生体分子をコードする配列の上位(または細胞外領域方向)または下位(または細胞内領域方向)に位置することができるが、特にこれに制限されるものではない。好ましい一実施形態によれば、前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列を基準として細胞外領域方向に位置することができる。
【0018】
前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、配列番号11~13のうちいずれか1つの核酸配列を含むものであってもよく、生体分子の安定した発現と伝達効率を同時に最大化する観点から、好ましくは、配列番号11の核酸配列を含むものであってもよい。
【0019】
前記プラスミドプラットフォームは、前記グリコシル化領域を含み、前記修飾タンパク質の形態を同時に有するようにコーディング配列が構成されてもよく、それぞれに対する具体的な説明は、上述した通りである。好ましい一実施形態によれば、前記プラスミドプラットフォームは、GNSTMモチーフをコードする配列と、LAMP-2Bの細胞外ドメインと細胞内ドメインがすべて除去された修飾タンパク質をコードする配列を同時に含んでもよい。より具体的な例として、前記GNSTMモチーフをコードする配列が前記修飾タンパク質をコードする配列の上位(または細胞外領域方向)に位置するように含んでもよい。さらなる例として、前記プラスミドプラットフォームは、配列番号4の核酸配列および配列番号11の核酸配列を含むものであってもよい。
【0020】
本発明の一様態として、前述したプラスミドプラットフォーム内、発現および伝達を目的とする生体分子をコードする核酸配列をさらに含む、生体分子の安定的発現および伝達のための組換えプラスミドを提供する。
【0021】
前記生体分子をコードする核酸配列は、前述したプラスミドプラットフォーム内位置し、成功裏に目的の生体分子を発現させることができると、その位置に特別な制限があるものではないが、具体的な例を挙げると、i)前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列と前記修飾タンパク質をコードする核酸配列の間、ii)前記修飾タンパク質をコードする核酸配列を基準として細胞内領域方向またはiii)これらすべてに位置するものであってもよい。
【0022】
前記生体分子をコードする核酸配列として、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列を基準として細胞外方向に位置させる場合、細胞外(またはリン脂質二重層外部領域)に生体分子を発現させたり伝達しようとする目的であってもよく、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列を基準として細胞内方向に位置させる場合、細胞内(またはリン脂質二重層内部領域)に生体分子を発現させたり伝達しようとする目的であってもよいが、これに特に制限されるものではない。
【0023】
前記生体分子は、前記プラスミドプラットフォームを用いて発現させようとするものであれば、特に制限されるものではなく、具体的な例を挙げると、核酸分子(nucleic acid molecules)、アプタマー(aptamer)、ペプチド(peptides)、タンパク質(protein)、糖タンパク質(glycoproteins)、リポタンパク質(lipoproteins)、免疫グロブリン(immunoglobulins)、ホルモン(hormone)、成長因子(growth factor)、リコンビナーゼ(recombinase)および蛍光タンパク質(fluorescent protein)から成る群から選択された少なくとも1つでありうる。
【0024】
本発明の一様態として、前述した組換えプラスミドから発現した産物を含む、生体分子の安定的発現および伝達のためのエキソソームを提供する。
【0025】
前記エキソソームは、前述した組換えプラスミドから発現した修飾タンパク質と生体分子を含んでいるが、前記生体分子は、エキソソームの内部、外部またはこれらすべてに位置し、安定的に発現することができ、目的の細胞に伝達され得る。
【0026】
前記生体分子は、エキソソームの外部に発現し、ターゲット細胞の表面に特異的に結合する物質を含むものであってもよいが、このような場合、エキソソームがターゲットする細胞への標的性が増加し、発現した生体分子を効果的に伝達することができ、発現した生体分子を探知してターゲット細胞の存在の有無を判別することができ、その他特別な制限なしで標的細胞に対するターゲッティングに基づく周知の様々な用途にエキソソームを使用することができる。具体的な例として、特定ウイルスに感染した細胞やがん細胞の表面に特異的に発現する物質に特異的に結合できる生体分子がエキソソームの外部に発現する場合、前記エキソソームは、特定のウイルスに感染した細胞やがん細胞に特異的に結合することができ、これを用いて特定ウイルスの感染の有無やがん細胞の存在有無を判断すると同時に、エキソソーム内に含む生体分子をウイルス感染細胞やがん細胞内に伝達することができる。
【0027】
本発明の一様態として、前述したエキソソームを含み、前記生体分子は、がん細胞表面特異的発現タンパク質に特異的に結合するものを含む、がんの診断のための組成物を提供する。
【0028】
また、本発明の一様態として、前述したエキソソームを含み、前記生体分子は、がん細胞表面特異的発現タンパク質に特異的に結合するものと、がん細胞内伝達しようとする治療物質を含む、がんの予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0029】
前記生体分子は、がん細胞表面特異的発現タンパク質に特異的に結合するものを含み、前記エキソソームの二重層外部領域に発現するものを含んでもよい。このような場合、前記外部領域に発現した生体分子ががん細胞の表面に特異的に結合することにより、エキソソームががん細胞をターゲットすることになり、このようなターゲッティングに基づくがんの診断用途への活用が可能になる。
【0030】
また、前記生体分子は、がん細胞内伝達しようとする治療物質を含んでもよく、このような治療物質は、前記エキソソームの二重層内部領域に発現するものを含んでもよい。このような場合、前述したエキソソームががん細胞と相互作用(例えば、表面受容体相互作用(surface receptor interaction)、膜融合(membrane fusion)、受容体介在性エンドサイトーシス(receptor-mediated endocytosis)、食作用(phagocytosis)または微飲作用(micropinocytosis)等)により前記治療物質をがん細胞内伝達することができ、これを通じて、がんの予防または治療効果を奏することができる。
【0031】
前記がんは、膀胱がん、乳がん、結腸がん、腎臓がん、肝がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵がん、胃がん、頸部がん、甲状腺がんおよび扁平上皮がんを含む皮膚がんを含むがん腫;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンスリンパ腫、非ホジキンスリンパ腫、有毛細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫を含むリンパ系造血器腫瘍;急性および慢性骨髄性白血病および前骨髄球性白血病を含む骨髄性造血器腫瘍;線維肉腫および横紋筋肉腫を含む間葉系腫瘍;黒色腫、精上皮腫、奇形がん、神経芽細胞腫および神経膠腫を含む他の腫瘍;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫および神経鞘腫を含む中枢および末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫および骨肉腫を含む間葉系腫瘍;および黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、濾胞性甲状腺がんおよび奇形がんを含むその他腫瘍から成る群から選択されるいずれか1つであってもよく、好ましい一実施形態によれば、卵巣がんであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0032】
本発明の組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含んでもよく、担体とともに製剤化することができる。本発明において用語、「薬学的に許容可能な担体」とは、生物体を刺激せずに、投与化合物の生物学的活性および特性を阻害しない担体または希釈剤をいう。液状溶液に製剤化される組成物において許容される薬学的担体としては、滅菌および生体に適してものであり、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノールおよびこれら成分のうち1成分以上を混合して使用することができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤および潤滑剤をさらに添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。
【0033】
本発明の組成物は、本発明のエキソソームを有効成分として含むいずれの剤形でも適用可能であり、経口用または非経口用剤形で製造することができる。本発明の薬学的剤形は、口腔(oral)、直腸(rectal)、鼻腔(nasal)、局所(topical;頬および舌の下を含む)、皮下、膣(vaginal)または非経口(parenteral;筋肉内、皮下および静脈内を含む)投与に適当なものまたは吸入(inhalation)または注入(insufflation)による投与に適当な形態を含む。
【0034】
本発明の組成物は、薬学的に有効な量で投与する。有効用量レベルは、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物感受性、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素およびその他医学分野によく知られた要素によって決定することができる。本発明の薬学的組成物は、個別治療剤として投与したり、他の治療剤と併用して投与することができ、従来の治療剤とは順次または同時に投与することができ、単一または多重投与することができる。上記した要素をすべて考慮して副作用なしで最小限の量で最大効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは、当業者によって容易に決定することができる。
【0035】
本発明の組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食事、投与時間、投与方法、排泄率および疾患の重症度などによってその範囲が非常に多様であり、適正な投与量は、例えば患者の体内に蓄積された薬物の量および/または使用される本発明の伝達体の具体的効能程度によって変わることができる。一般的に、インビボ動物モデルおよびインビトロで有効であると測定されたEC50に基づいて計算することができ、例えば、体重1kg当たり0.01μg~1gであってもよく、日別、週別、月別または年別の単位期間で、単位期間あたり1回~数回に分けて投与することができ、またはインフュージョンポンプを用いて長期間連続して投与することができる。反復投与回数は、薬物が体内留まる時間、体内薬物濃度などを考慮して決定する。疾患治療の経過によって治療された後でも、再発のために組成物を投与することができる。
【0036】
本発明の組成物は、がんの治療と関連して同一または類似の機能を示す有効成分を1種以上または有効成分の溶解性および/または吸収性を維持/増加させる化合物をさらに含有することができる。また、選択的に、化学治療剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤および/または免疫調節剤などをさらに含んでもよい。
【0037】
また、本発明の組成物は、哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、持続または遅延放出を提供することができるように、当業界に公知の方法を用いて剤形化することができる。剤形は、粉末、顆粒、錠剤、エマルジョン、シロップ、エアロゾル、軟質または硬質ゼラチンカプセル、滅菌注射溶液、滅菌粉末の形態でありうる。
【0038】
本発明において叙述するすべての核酸配列は、一定程度修飾が可能である。本技術分野の当業者ならこのような人為的な修飾によって70%以上の相同性が維持される核酸配列が本発明において目的とする活性を保有する限り、本発明の核酸配列に由来するものと均等であることを容易に理解する。
【0039】
前記用語「相同性」とは、前記提示された核酸配列との同じ程度を示すものであり、相同性の比較は、目視でも購入が容易な比較プログラムを用いて2個以上の配列間の相同性を百分率(%)で計算することができる。本発明内に提示された核酸配列と好ましくは、70%以上、より好ましくは、80%以上、より好ましくは、90%以上、最も好ましくは、95%以上同じ核酸配列を含む。
【0040】
本発明において用語「プラスミド」とは、適当な宿主内で目的遺伝子が発現することができるようにプロモーターなどの必須の調節要素を含む遺伝子構築物を意味するものであり、宿主細胞または微生物のゲノム内に統合されている形態であってもよい。
【0041】
本発明において「作動可能に連結された(operably linked)」は、一般的機能を行うようにプロモーターまたはその変異体核酸配列と目的ンパク質をコードする核酸配列が機能的に連結されていることをいう。プラスミドとの作動的連結は、当該技術分野においてよく知られた遺伝子組換え技術を用いて製造することができ、部位特異的DNA切断および連結は、当該技術分野において一般的に知られた酵素などを使用する。
【0042】
本発明において「調節要素」とは、タンパク質をコード化する核酸配列の転写、翻訳または発現の増進を助けたり、これに影響を及ぼす非翻訳化された核酸配列を意味する。本発明のプラスミドプラットフォームは、調節要素としてプロモーターまたはその変異体を含んでもよく、タンパク質の発現に影響を及ぼすことができる発現調節配列、例えば、開始コドン、終止コドン、ポリアデニル化シグナル、エンハンサー、膜標的化または分泌のためのシグナル配列などを含んでもよい。
【0043】
また、本発明におけるプラスミドが複製可能な発現プラスミドである場合、複製が開始される特定の核酸配列である複製起点(replication origin)を含んでもよい。
【0044】
また、本発明におけるプラスミドは、選択マーカー(selection marker)を含んでもよい。選択マーカーは、プラスミドで形質転換された細胞または微生物を選別するためのものであり、薬物耐性、栄養要求性、細胞毒性剤に対する耐性または表面タンパク質の発現のような選択可能表現型を付与するマーカーを使用することができる。選択剤(selective agent)が処理された環境で選別マーカーを発現する細胞または微生物のみが生存するので、形質転換された個体を選別可能である。
【0045】
本発明におけるプラスミドは、目的生体分子をコードする遺伝子が前記プロモーターと作動可能に連結された(operatively linked)ものであってもよく、具体的には、前記プロモーターの下位領域に連結されたものであってもよい。
【0046】
本発明の一様態として、LAMP-2B(Lysosome-Associated Membrane Glycoprotein 2B)の細胞内ドメイン(intracellular domain)と細胞外ドメイン(extracellular domain)がすべて除去された修飾タンパク質をコードする核酸配列;伝達を目的とする核酸分子に特異的に結合するタンパク質をコードする核酸配列;およびグリコシル化した領域をコードする核酸配列を含む、核酸分子の安定した伝達のためのプラスミドプラットフォームを提供する。
【0047】
前記修飾タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号4の核酸配列を有するものであってもよい。
【0048】
前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、配列番号11~13から成る群から選択された少なくともいずれか1つの核酸配列を有するものであってもよく、生体分子の安定した発現と伝達効率を同時に最大化する観点から、好ましくは、配列番号11の核酸配列を有するものであってもよい。
【0049】
前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、前記プラスミドプラットフォーム内含まれ得る方法であれば、特別な包含位置の制限があるものではないが、例えば、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列を基準として細胞外領域(またはリン脂質二重層の外部領域)方向に位置することができるように含ませることができる。より具体的な例として、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列の細胞外領域方向に生体分子(またはターゲットタンパク質)をコードする配列が位置することができ、前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、前記生体分子をコードする配列の上位(または細胞外領域方向)または下位(または細胞内領域方向)に位置することができるが、特にこれに制限されるものではない。好ましい一実施形態によれば、前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列を基準として細胞外領域方向に位置することができる。
【0050】
前記核酸分子に特異的に結合するタンパク質をコードする核酸配列は、前記プラスミドプラットフォーム内含まれ、伝達を目的とする核酸分子と特異的に結合することができるように発現させることができる方法であれば、特別な包含位置の制限があるものではないが、例えば、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列を基準として細胞内領域(またはリン脂質二重層の内部領域)方向に位置することができるように含ませることができる。より具体的な例として、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列の下位(または細胞内領域方向)に核酸分子に特異的に結合するタンパク質をコードする配列が位置することができ、前記グリコシル化した領域をコードする核酸配列は、前記修飾タンパク質をコードする配列の上位(または細胞外領域方向)に位置することができるが、特にこれに制限されるものではない。
【0051】
前記核酸分子に特異的に結合するタンパク質は、二本鎖リボ核酸結合モチーフ(double strand binding motif)、BIV(Bovine Immunodeficiency Virus)由来結合タンパク質、JDV(Jembrana Disease Virus)由来結合タンパク質、HIV(Human Immunodeficiency Virus)由来結合タンパク質および前記タンパク質由来変異体から成る群から選択された少なくともいずれか1つであってもよく、好ましい一実施形態によれば、JDV由来結合タンパク質であってもよいが、これに特に制限されるものではない。
【0052】
前記核酸分子に特異的に結合するタンパク質をコードする核酸配列は、具体的な一実施形態によれば、配列番号30~34から成る群から選択された少なくともいずれか1つの配列と70%以上の相同性を有する核酸配列を含んでもよいが、これに特に制限されるものではない。
【0053】
前記核酸分子に特異的に結合するタンパク質は、伝達を目的とする核酸分子が持っている特異的モチーフに結合するドメインを含んでもよい。具体的な一実施形態によれば、TAR配列に特異的に結合するドメインであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0054】
本発明の一様態として、前述したプラスミドプラットフォーム内、伝達を目的とする核酸分子の配列を含む、核酸分子の安定的伝達のための組換えプラスミドを提供する。
【0055】
前記核酸分子の配列は、細胞内注入されたプラスミド状態で適切なスプライシング工程によって切断され、前記核酸分子に特異的に結合するタンパク質と安定的に結合を維持することができると、プラスミド内に含まれる位置に特別な制限があるわけではない。好ましい一実施形態として、前記核酸分子の配列は、前記修飾タンパク質をコードする核酸配列と前記核酸分子に特異的に結合するタンパク質をコードする核酸配列の間に位置することができる。
【0056】
前記核酸分子は、DNA、RNAおよびアプタマーから成る群から選択された少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0057】
前記核酸分子は、前記核酸分子に特異的に結合するタンパク質と安定的に結合を維持できるようにする特異的モチーフを含むものであってもよく、具体的な例として、TAR配列、TAR配列修飾体、二重DNA短鎖(好ましくは、7~27、9~27、11~27、13~27、7~25、9~25、11~25、13~25、または14~25bp)および二重RNA短鎖(好ましくは、7~27、9~27、11~27、13~27、7~25、9~25、11~25、13~25、または14~25bp)から成る群から選択された少なくとも1つを含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0058】
本発明の一様態として、前述した組換えプラスミドから発現した産物を含む、核酸分子の安定的伝達のためのエキソソームを提供する。
【0059】
前記エキソソームにおいて、前記組換えプラスミドは、エキソソームの外部に発現し、ターゲット細胞の表面に特異的に結合するタンパク質をコードする配列をさらに含むものであってもよいが、これは、ターゲット細胞への伝達標的性を高め、伝達しようとする核酸分子の伝達効率性を高めるためでありうる。
【0060】
前記エキソソームにおいて、前記核酸分子に特異的に結合するタンパク質は、エキソソームの内部に発現し、核酸分子と結合するものであってもよいが、これは、エキソソーム内部で核酸分子が分解(degradation)されないように安定化させて、最終ターゲット細胞にまで安定的に伝達され得るようにする役割を行うことができる。
【0061】
本発明の一様態として、前述したエキソソームを含む核酸分子の安定的伝達のための組成物を提供する。
【0062】
また、本発明の一様態として、エキソソームを含み、前記核酸分子は、RNA干渉効果を有する、RNA干渉(RNA interference)用組成物を提供する。
【0063】
前記RNA干渉効果を有する核酸分子として、non-coding RNAとして好ましくは、miRNA、shRNA、siRNA、piRNA(piwi-interacting RNA)およびlncRNA(long non coding RNA)から成る群から選択された少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0064】
本発明の一様態として、前述したエキソソームを含み、前記組換えプラスミドは、エキソソームの外部に発現し、がん細胞の表面に特異的に結合するタンパク質をコードする配列をさらに含み、前記核酸分子は、がんに対する予防または治療効果を有する、がんの予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0065】
前記組成物は、外部領域にがん細胞表面特異的発現タンパク質に特異的に結合するものが発現したエキソソームを含み、前記外部領域に発現したものががん細胞の表面に特異的に結合することにより、エキソソームががん細胞をターゲットし、このようなターゲッティングに基づくがんの予防または治療用途への活用が可能になる。
【0066】
また、前記エキソソームが含む核酸分子は、がんに対する予防または治療効果を有するものであり、このような物質は、前記エキソソームの二重層内部領域に発現した後、ターゲットがん細胞に伝達され、効果を発揮するものでありうる。このような場合、前述したエキソソームががん細胞と相互作用(例えば、表面受容体相互作用(surface receptor interaction)、膜融合(membrane fusion)、受容体介在性エンドサイトーシス(receptor-mediated endocytosis)、食作用(phagocytosis)または微飲作用(micropinocytosis)等)により前記核酸分子をがん細胞内伝達することができ、これを通じて、がんの予防または治療効果を奏することができる。
【0067】
前記がんは、膀胱がん、乳がん、結腸がん、腎臓がん、肝がん、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膵がん、胃がん、頸部がん、甲状腺がんおよび扁平上皮がんを含む皮膚がんを含むがん腫;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンスリンパ腫、非ホジキンスリンパ腫、有毛細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫を含むリンパ系造血器腫瘍;急性および慢性骨髄性白血病および前骨髄球性白血病を含む骨髄性造血器腫瘍;線維肉腫および横紋筋肉腫を含む間葉系腫瘍;黒色腫、精上皮腫、奇形がん、神経芽細胞腫および神経膠腫を含む他の腫瘍;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫および神経鞘腫を含む中枢および末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫および骨肉腫を含む間葉系腫瘍;および黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、濾胞性甲状腺がんおよび奇形がんを含むその他腫瘍から成る群から選択されるいずれか1つであってもよく、好ましい一実施形態によれば、卵巣がんであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0068】
前記核酸分子の安定した伝達のためのプラスミドプラットフォームに関連した発明の具体的な説明において、前記生体分子の安定した発現および伝達のためのプラスミドプラットフォームに関連した発明の具体的な説明を参照して解釈することができることは、当業界における通常の技術者に自明である。
【発明の効果】
【0069】
本発明のプラスミドプラットフォームは、LAMP-2B(Lysosome-Associated Membrane Glycoprotein 2B)の細胞内ドメイン(intracellular domain)、細胞外ドメイン(extracellular domain)またはこれらの組み合わせが除去された修飾タンパク質をコードする核酸配列を含んでいて、生体分子の安定的発現および伝達が可能である。
【0070】
本発明の組換えプラスミドは、前記プラスミドプラットフォーム内、発現および伝達を目的とする生体分子をコードする配列をさらに含んでいて、生体分子の安定的発現および伝達が可能である。
【0071】
本発明のエキソソームは、前記組換えプラスミドを含んでいて、生体分子の安定的発現および伝達が可能である。
【0072】
本発明のがんの診断のための組成物は、前記エキソソームを含み、前記生体分子は、がん細胞表面特異的発現タンパク質に特異的に結合するペプチドであり、がんの効果的な診断が可能である。
【0073】
本発明のがんの予防または治療用薬学的組成物は、前記エキソソームを含み、前記生体分子は、がん細胞表面特異的発現タンパク質に特異的に結合するものと、がん細胞内伝達しようとする治療物質を含んでいて、がんの効果的な予防と治療が可能である。
【0074】
ただし、上記した効果に制限されるものではなく、詳細な説明または請求範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1図1図5は、本発明の一様態として提示するプラスミドプラットフォームを図式化した図である。
図2】同上。
図3】同上。
図4】同上。
図5】同上。
図6図6は、LAMP2-GFP、LAMP2-△IC-GFP、LAMP2-△EC-GFP、LAMP2-△EC/IC-GFPそれぞれに対して発現目標生体分子の発現レベルをウェスタンブロットで確認した結果である。
図7図7は、図6のウェスタンブロット結果を定量的グラフ化した図である。
図8図8は、図6の実験に使用された組換えプラスミドを過発現させた後、GFP蛍光発光レベルを顕微鏡で観察した結果である。
図9図9は、LEL-LAMP2-△EC-GFP、LEL-LAMP2-△EC/IC-GFPそれぞれに対して過発現させた後、GFP蛍光発光レベルを顕微鏡で観察した結果である。
図10図10は、GNSTM-LAMP2-GFP、GNSTM-LAMP2-△IC-GFP、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFPそれぞれに対して発現目標生体分子の発現レベルをウェスタンブロットで確認した結果である。
図11図11は、図10のウェスタンブロット結果を定量的グラフ化した図である。
図12図12は、図10の実験に使用された組換えプラスミドを過発現させた後、GFP蛍光発光レベルを顕微鏡で観察した結果である。
図13図13は、SEL-LAMP2-△EC-GFP、SEL-LAMP2-△EC/IC-GFPそれぞれに対して過発現させた後、GFP蛍光発光レベルを顕微鏡で観察した結果である。
図14図14は、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFP、Gly-LAMP2-△EC/IC-GFPそれぞれに対して過発現させた後、GFP蛍光発光レベルを顕微鏡で観察した結果である。
図15図15は、GNSTM-LAMP2-GFP、GNSTM-LAMP2-△IC-GFP、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFP、GNSTM-LAMP2-EC5△IC-GFP、Gly-LAMP2-EC△IC-GFP、LAMP2-EC25△IC-GFPそれぞれに対して発現目標生体分子の発現レベルをウェスタンブロットで確認した結果である。
図16図16は、活性分子としてがん細胞標的ペプチドを含む場合、がん細胞に対するエキソソームの特異的結合能力をGFP蛍光発光レベルに基づいて顕微鏡で観察した結果である。
図17図17図19は、プラスミドを形質転換しない細胞株のエキソソーム(図17)、GNSTM-LAMP2-GFP(図18)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFP(図19)を過発現させた後、エキソソームのサイズを確認した結果である。
図18】同上。
図19】同上。
図20図20は、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP(w/o BIV)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-BIV(w/BIV)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(WT)(JDV_WT)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(MT)(JDV_MT)それぞれに対する発現レベルを形質注入された細胞とこれから分泌されたエキソソーム内それぞれ確認した結果である。
図21図21は、プラスミドを形質転換しない細胞株(Control)、miRNAを有さないSEL-LAMP2-△EC/IC-RBP(w/o miRNA)、miRNAを有するSEL-LAMP2-△EC/IC-RBP(w/ miRNA)形質注入細胞株とこれから分泌されたエキソソームを標的細胞で処理時に発現するmiRNA発現レベルをqPCRで確認した結果である。
図22図22は、プラスミド形質転換しない細胞株(Control)とGNSTM-LAMP2-△EC/IC-scrambleGFP(scramble GFP)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-BIV(BIV shGFP)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(WT)(JDV WT shGFP)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(MT)(JDV MT shGFP)それぞれのプラスミド形質転換した細胞株から分離したエキソソームをGFPの発現細胞に処理時にGFP RNA発現抑制レベルを確認した結果である。
図23図23は、プラスミド形質転換しない細胞株(Control)とGNSTM-LAMP2-△EC/IC-scrambleGFP(scramble GFP)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-BIV(BIV shGFP)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(WT)(JDV WT shGFP)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(MT)(JDV MT shGFP)それぞれのプラスミド形質転換した細胞株から分離したエキソソームをGFPの発現細胞に処理時にGFP発現抑制レベルをウェスタンブロット後に定量化したグラフである。
図24図24は、図23のグラフのウェスタンブロット結果である。
図25図25は、プラスミド形質転換しない細胞株(Control)とGNSTM-LAMP2-△EC/IC-scrambleGFP(scramble GFP)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-BIV(BIV shGFP)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(WT)(JDV WT shGFP)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(MT)(JDV MT shGFP)それぞれのプラスミド形質転換した細胞株から分離したエキソソームをGFPの発現細胞に処理時にGFP蛍光発現抑制レベルを顕微鏡観察で確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下、より具体的に説明するために実施例と実験例に基づいて詳細に説明する。しかしながら、下記実施例と実験例は、例示的なものであり、発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【実施例
【0077】
実施例1.修飾されたペプチドをコードする遺伝子を含む組換えプラスミドの製造
LAMP-2B(NM_013995.2)をコードする全体配列を合成後PCR増幅して、Infusionクローニングキット(In-Fusion(登録商標)HD cloning kit,clontech,Cat No.639648)方法によりpcDNA 3.1(+)ベクターに(または動物細胞過発現ベクターに挿入可能)挿入し、LAMP2Bが含まれたプラスミドを製作した。本プラスミドにMichelle E.Hung外(The Journal of Biological Chemistry 2015.Mar 27)報告と同一に、HA(Hyaluronic Acid)をコードする配列、ターゲットペプチド(Target Peptide)をコードする配列、活性タンパク質(Active Protein)をコードする配列をそれぞれ合成した後、PCR増幅して、Infusionクローニングキットを用いて各配列位置に挿入し、組換えプラスミドを製作した(SP:Signal Peptide、シグナルペプチドをコードする配列;HA:Hyaluronic Acid、ヒアルロン酸をコードする配列;Target Peptide:ターゲットペプチドをコードする配列、FLAGタンパク質をコードする配列使用;Active Protein:活性タンパク質、GFPをコードする配列使用)。また、前記のような方法に突然変異誘発キット(EZchangeTM Site-directed Mutagenesis kit,Enzynomics,Cat No.EZ004S)方法でLAMP-2Bの細胞内ドメイン(Intracellular Domain;IC)をコードする配列が除去された配列を挿入した組換えプラスミド(LAMP2-△IC-GFP)、LAMP-2Bの細胞外ドメイン(Extracellular Domain;EC)をコードする配列が除去された配列を挿入した組換えプラスミド(LAMP2-△EC-GFP)、LAMP-2Bの細胞内ドメインと細胞外ドメインをコードする配列すべてが除去された配列を挿入した組換えプラスミド(LAMP2-△EC/IC-GFP)をそれぞれ製造し、これを図式化すると、図1の通りである。
【0078】
また、図1の骨格構造の一部について、LAMP-2Bの細胞外ドメイン(EC)領域をコードする配列をテトラスパニン(tetraspanin)におけるCD9のLEL(CD9のLarge Extracellular Domain)をコードする配列を合成後PCR増幅して、Infusionクローニングキット方法で置換した組換えプラスミド(LEL-LAMP-△EC-GFP,LEL-LAMP-△EC/IC-GFP)を製造し、これを図式化すると、図2の通りである。
【0079】
また、図1の骨格構造の一部について、標的ペプチドの上位(upstream;細胞外部方向)または下位(downstream;細胞内部方向)領域でグリコシル化(glycosylation)を導入するために、(1)GNSTMモチーフ(GNSTMは、アミノ酸配列であり、細胞内で最も強くN-グリコシル化する配列である)をコードする配列を当該位置に突然変異誘発キット(EZchangeTM Site-directed Mutagenesis kit,Enzynomics,Cat No.EZ004S)方法で導入したり(GNSTM-LAMP2-GFP,GNSTM-LAMP2-△IC-GFP,GNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFP)、(2)テトラスパニンにおけるCD9 SEL(CD9のSmall Extracellular Domain)をコードする配列を合成後PCR増幅して、Infusionクローニングキット方法で従来のLAMP2B-GFP修飾プラスミドに導入したり(SEL-LAMP2-△EC-GFP,SEL-LAMP2-△EC/IC-GFP)、(3)LAMP2-βEC/IC-GFPのFLAGタンパク質をコードする配列の下位にN-グリコシル化配列AACを突然変異誘発キット(EZchangeTM Site-directed Mutagenesis kit,Enzynomics,Cat No.EZ004S)方法で導入(Gly-LAMP2-△EC/IC-GFP)して組換えプラスミドをそれぞれ製造し、これを図式化すると、図3の通りである。
【0080】
また、図3の骨格構造の一部について、LAMP-2Bの細胞外ドメインをコードする配列のうち一部配列(EC25)を突然変異誘発キット(EZchangeTM Site-directed Mutagenesis kit,Enzynomics,Cat No.EZ004S)方法で挿入した組換えプラスミド(LAMP2-EC25△IC-GFP,GNSTM-LAMP2-EC25△IC-GFP,Gly-LAMP2-EC25△IC-GFP)を製造し、これを図式化すると、図4の通りである。
【0081】
また、図3の骨格構造の一部について、GNSTM-LAMP-GFP-△EC/ICまたはSEL-LAMP2-ΔEC/ICにおける活性タンパク質をコードする配列を(sh)RNAと結合するタンパク質をコードする配列で置換し、HAをコードする配列と前記(sh)RNA結合タンパク質(RNA Binding protein;RBP)をコードする配列の間にPri-miRNA配列を合成してPCR増幅した後、Infusionキットを用いて組換えプラスミド(GNSTM-LAMP2-△EC/IC-RBP,SEL-LAMP2-△EC/IC-RBP)を製造し、これを図式化すると、図5の通りである。前記Pri-miRNAとしては、miRNA-199のPri-miRNA基本配列、miRNA-199基本配列にGFPターゲット配列を含むshGFPのPri-miRNA配列を使用した。前記Pri-miRNA配列構造内TAR配列を含んでいるところ、RBPには、TAR部位に特異的に結合するタンパク質を導入しようとした。したがって、前記(sh)RNAと結合するタンパク質(RNA Binding protein;RBP)として、BIV(Bovine Immunodeficiency Virus)由来野生型タンパク質と、JDV(Jembrana Disease Virus)由来タンパク質の野生型(WT)と突然変異型(MT)タンパク質を用いた。
【0082】
前記製造された組換えプラスミドの具体的な配列は、下記表1に示す通りである。
【0083】
【表1-1】
【0084】
【表1-2】
【0085】
【表1-3】
【0086】
【表1-4】
【0087】
【表1-5】
【0088】
実施例2.組換えプラスミドの発現
組換えプラスミドを発現するために、HEK293T細胞2.5×10細胞数を100mm培養皿で10%ウシ胎仔血清(10% Fetal Bovine Serum(FBS)、GibcoTM,Cat No.16000044)と1%抗生剤(1% Penicllin/Streptomycin,GibcoTM,Cat No.15140122)が含まれたDMEM(Welgene,Cat No.LM001-05)培養液状態で24時間培養した。標的遺伝子を含む組換えプラスミドpcDNA3.1(+)ベクターをPolyJetTMトランスフェクションキット(Signagen(登録商標)Laboratories,Cat No.SL100688)の方法により細胞に2μgを導入し、48時間培養した。
【0089】
実施例2-1.蛍光イメージング実験
細胞内組換えプラスミド蛍光発現を確認するために、ウシ胎児血清が含まれていないDMEM培地に交替し、48時間さらに培養した。培養終了後、Cytation 5(Biotek)を用いて細胞内緑色蛍光発現を確認した。
【0090】
実施例2-2.エキソソーム分離、タンパク質発現、RNA発現など
1X DPBS(Welgene,Cat No.LB001-02)で1回洗浄後、1mLトリプシンEDTA(Welgene,Cat No.LS015-10)を培養皿に添加し、細胞を培養皿から剥がした後、ウシ胎児血清および抗生剤が含まれたDMEM培地10mLを添加し、細胞を集めて1000rpmで2分間遠心分離した。培養液を除去し、集められた細胞をウシ胎児血清が含まれていないDMEM培地10mLを添加し、細胞を解離した後、浮遊細胞専用培養皿(suspension culture dish,SPL life science,Cat No.11151)に添加して1%抗生剤のみが含まれたDMEM培養液で48時間さらに培養した後、エキソソームおよび細胞を分離して、タンパク質発現およびRNA発現実験を進めた。
【0091】
実験例1.修飾されたペプチドを用いた活性タンパク質の安定的発現およびターゲットへの伝達
1.細胞内ドメイン(IC)、細胞外ドメイン(EC)の除去後、目的タンパク質発現レベル上昇効果の確認
(1)実験方法
図1図2のプラスミド骨格構造にターゲッティングペプチド(標的ペプチド)としてFLAGタンパク質をコードする遺伝子を、活性タンパク質(Active protein)としてGFPをコードする遺伝子をそれぞれ挿入した後、実施例2-1または2-2の方法によってそれぞれの組換えプラスミドを過発現させた。
【0092】
すなわち、細胞の実際蛍光発現を確認するために、実施例2-1の方法によりそれぞれの組換えプラスミドを過発現させた後、蛍光発現を測定した。
【0093】
また、タンパク質発現レベルを確認するために、実施例2-2方法により培養終了後50mLコニカルチューブ(SPL,Cat No.50040)に細胞と培養液を集めて1000rpmで2分間遠心分離後、集められた細胞は、1X PBSで2回洗浄後、1Xで希釈した細胞溶解バッファー(10X細胞溶解バッファー,Cell Signaling Technology,Cat No.9803)にPMSFを添加し、細胞からタンパク質を分離した。その後、分離した培養液は、さらに4000rpmで30分間遠心分離後、細胞残余物を除去した後、上澄み液を10kDaフィルタチューブ(Mlliopore,Cat No.UFC9010)に入れ、4000rpmで30分間遠心分離する。最終的に残った上澄み液に1X PBSを入れ、混ぜた後、さらに遠心分離し、この過程を2回繰り返した後、フィルタチューブに残った上澄み液を27-G針付き注射器を用いて0.2μmフィルターでろ過して、単一サイズのエキソソームを収得した。前記細胞溶解物と収得したエキソソームをウェスタンブロットを用いて、細胞とエキソソーム中に入っている組換えタンパク質発現量を比較した。
【0094】
(2)実験結果
図1のプラスミドを過発現させた場合、LAMP-2Bをコードする全体配列を挿入(LAMP2-GFP)した組換えプラスミドを過発現させた場合に比べて、細胞内ドメイン(LAMP2-△IC-GFP)、細胞外ドメイン(LAMP2-△EC-GFP)またはこれらすべて(LAMP2-△EC/IC-GFP)をコードする配列が除去された配列を挿入した組換えプラスミドを過発現させた場合、FLAGタンパク質とGFPの発現レベルが顕著に高かった(図6図7)。特に、LAMP2-△EC/IC-GFPの場合、LAMP2-GFPと比べて、細胞でFLAGタンパク質は、約6倍~20倍、GFPタンパク質は、細胞で約50~100倍細胞およびエキソソームで増加した(図6A-B)。実際蛍光測定結果も、LAMP2-GFPと比べて、LAMP2-△IC-GFP、LAMP2-△EC-GFPおよびLAMP2-△EC/IC-GFPにおいて蛍光の強度が顕著に強いことを確認することができ、特にLAMP2-△EC/IC-GFPにおける蛍光強度が最も強いことを確認することができた(図8)。
【0095】
これは、LAMP2の細胞内ドメインを除去する場合、エキソソームを分泌する細胞またはエキソソームでターゲットタンパク質と活性タンパク質すべての安定的発現を増加させることができることを立証し、さらには、LAMP2の細胞外ドメインまで除去する場合、発現の安定性を顕著に増加させることができることを示す。これは、LAMP2がリソソーム分解に関与するタンパク質と知られているが、その細胞内ドメインを除去することにより、リソソーム分解を回避して、目的タンパク質の発現率が高くなると推測する。しかしながら、LAMP2の細胞外ドメインまで除去する場合、LAMP2自体の安定性が顕著に低くなり、目的タンパク質の発現率に否定的な役割を予想したが、かえって発現率が顕著に上昇したという点は、予想しない効果であり、これに関する今後の研究が必要と思われる。
【0096】
また、図2のプラスミドを過発現させた場合、LAMP2の細胞内ドメインをコードする配列が除去されない場合(LEL-LAMP2-△EC)と比べて、除去された場合(LEL-LAMP2-△EC/IC)、蛍光強度が顕著に強いことを確認することができる(図9)。
【0097】
これは、LAMP2の細胞内ドメインを除去する場合、細胞内ドメインによる細胞内外部タンパク質の流入による細胞のリソソーム分解作用を抑制することによって、ターゲットタンパク質と活性タンパク質の発現レベルを高めることができることをより明確に示すものであり、LAMP2の細胞外ドメイン領域を他のタンパク質の細胞外ドメイン領域で置換しても、同じ結果を示した。
【0098】
2.グリコシル化による発現レベル上昇効果の確認
(1)実験方法
図3図4のプラスミド骨格構造にターゲッティングペプチド(標的ペプチド)としてFLAGタンパク質をコードする遺伝子を、活性タンパク質(Active protein)としてGFPをコードする遺伝子をそれぞれ挿入した後、実施例2-1と2-2の方法によりそれぞれの組換えプラスミドを過発現させた。その他、実験方法は、前記実験例1-1-(1)に記載の通りである。
【0099】
(2)実験結果
図3のプラスミドを過発現させた場合、GNSTMモチーフ配列にLAMP2全体配列を含むプラスミド(GNSTM-LAMP2-GFP)は、ターゲットタンパク質であるFLAGタンパク質と活性タンパク質であるGFPの発現量が非常に低かった(図10)。これは、従来論文の報告と不一致な結果であり、GNSTMモチーフが実際にLAMP2で目的タンパク質の安定化効果を提供しないことを意味する。しかしながら、LAMP2の細胞内ドメインが除去されたり(GNSTM-LAMP2-△IC-GFP)、これに加えて細胞外ドメインまで除去された場合(GNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFP)、GNSTMモチーフが目的タンパク質の発現を非常に安定化させる結果を示した。特に、LAMP2の細胞内ドメインと細胞外ドメインすべてが除去された場合(GNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFP)は、ターゲットタンパク質であるFLAGタンパク質と活性タンパク質であるGFPがすべて発現レベルが顕著に高かったが、LAMP2全体配列にGNSTMモチーフ配列が結合した場合と比べて、FLAGは、200~900倍増加し、GFPは、40~80倍増加した(図11)。蛍光発光レベルも、このような結果を同一に反映するように、GNSTM-LAMP2-GFPと比べて、GNSTM-LAMP2-△IC-GFPにおいて蛍光の強さがさらに高く、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFPにおいては、その強さが顕著な差異を示し、強く現れた(図12)。
【0100】
このような傾向は、従来グリコシル化したアミノ酸を含むと知られたCD9 SELドメインをターゲットタンパク質の下位領域に含む場合にも、同じ傾向を現れたが、LAMP2の細胞外ドメインをSELで置換した場合と比べて(SEL-LAMP2-△EC-GFP)、細胞内ドメインをさらに除去した場合(SEL-LAMP2-△EC/IC-GFP)、蛍光の強さがさらに強く現れた(図13)。
【0101】
また、LAMP2-△EC/IC-GFPプラスミドにFLAG下位に位置するリンカーの中間部位にグリコシル化活性アミノ酸である「GNG(Glycine-Asparagine-Glycine)」で置換するために、突然変異誘発キットを用いて当該位置にDNA配列を置換した。すなわち、リンカーのアミノ酸配列「GSSGGGSG(DNA配列:ggctcgagtGgtggaggatctggt)」を「GSSGNGSG(DNA配列:ggctcgagtGgtAACggatctggt)」で修飾させたものである。その結果、ターゲットタンパク質の下位領域にグリコシル化させた場合(Gly-LAMP2-△EC/IC-GFP)にも、同じ傾向を示し、LAMP2の細胞外ドメインと細胞内ドメインをすべて除去した場合、GNSTMモチーフの導入とSELの導入の場合と同様に、蛍光の強さが非常に強く現れることを確認することができた(図14)。
【0102】
また、LAMP2の細胞外ドメイン一部を含む場合、グリコシル化の位置と構造によってターゲットタンパク質の安定化をさらに高めることができるとの期待下に、LAMP2の下位25個アミノ酸配列をコードする核酸配列を挿入したプラスミド(LAMP2-EC25△IC-GFP,GNSTM-LAMP2-EC25△IC-GFP,Gly-LAMP2-EC25△IC-GFP)をさらに製造した後、目的タンパク質の発現量を確認した。その結果、GNSTM-LAMP2-GFPと比べてGNSTM-LAMP2-EC25△IC-GFP、Gly-LAMP2-EC25△IC-GFP、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFPすべてにおいてターゲットタンパク質であるFLAGタンパク質と活性タンパク質であるGFPの発現レベルが高く、特にGNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFPにおいて顕著に高かった。すなわち、同じ傾向性の下に、LAMP2の細胞外ドメインと細胞内ドメインがすべて除去された場合に、最も高い目的タンパク質の発現効果が現れることを示す。また、LAMP2-EC25△IC-GFPの場合、さらに高い目的タンパク質発現レベルを示したが、これは、GNSTMモチーフがLAMP2の細胞外ドメイン存在下では、発現安定化効果を発揮しないことを示すと考える(図15)。
【0103】
これは、従来知られたGNSTMモチーフがLAMP2とともに作用して、目的タンパク質の発現安定化効果を示すためには、少なくともLAMP2の細胞内ドメインが除去された形態でなければならず、細胞外ドメインまで除去された場合、顕著に目的タンパク質の発現レベルを上昇させることができることを示し、従来知られたところから容易に予測できない結果である。
【0104】
3.エキソソームを用いたがん細胞ターゲッティング
(1)実験方法
図3のプラスミド骨格構造において、GNSTMを含むプラスミドでGNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFPのFLAG発現率が細胞とエキソソームにおける発現率が顕著に増加することを確認し、このプラスミドのターゲットペプチド位置にがん標的ペプチド配列(「MHTAPGWGYNLS」)(葉酸受容体結合ペプチド)をコードする核酸配列で置換(下記表2)した後、実施例2-2の方法によりそれぞれの組換えプラスミドを過発現させ、培養終了後、50mLコニカルチューブ(SPL,Cat No.50040)に細胞と培養液を集めて1000rpmで2分間遠心分離後、上澄み液をさらに4000rpmで30分間遠心分離後に細胞残余物を除去した。最終上澄み液を10kDaフィルタチューブ(Mlliopore,Cat No.UFC9010)に入れ、4000rpmで30分間遠心分離した。最終的に残った上澄み液に1X PBSを入れて混ぜた後、さらに遠心分離し、この過程を2回繰り返した後、フィルタチューブに残った上澄み液を27-G針付き注射器を用いて0.2μmフィルターでろ過して、単一サイズのエキソソームを収得した。収得したエキソソームをBCAキットで定量し、100μgのエキソソームをPKH67緑色蛍光細リンカーキット(sigma,Cat No.PKH67GL)方法により染色した。染色したエキソソームを100kDaフィルタ(Mlliopore,Cat No.UFC510008)に入れ、14000rcmで5分間遠心分離後、上澄み液に1X PBSを入れ、さらに遠心分離し、この過程を2回繰り返す。最終エキソソーム産物は、27G針付き0.2μmフィルタでろ過した後、葉酸受容体を発現する卵巣がん細胞であるSKOV3細胞に処理した後、24時間培養する。培養終了後、1X DPBSで2回洗浄した後、SKOV3培養液に交替し、緑色蛍光程度をcytation 5(Biotek)で測定した。
【0105】
【表2】
【0106】
(2)実験結果
プラスミドを過発現しないエキソソーム(エキソソーム(+))、図3のGNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFPのFLAGを挿入したエキソソーム(対照群ペプチドエキソソーム(+))とGNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFPのFLAG位置にがん標的ペプチドを挿入したエキソソーム(標的ペプチドエキソソーム(+))をそれぞれ処理したSKOV3細胞の蛍光発現を比較した結果であり、過発現したエキソソームの蛍光発現が、他の2つのグループに比べて顕著に強く、多い量が分布することを確認することができた(図16)。
【0107】
これは、標的ペプチドをコードする配列を搭載したプラスミドが安定的に細胞とエキソソームで発現し、エキソソーム表面で活性を示し、選択的にがん標的ペプチド結合受容体を発現する細胞に多量移動することができることを確認したのであり、生体分子の効果的な発現を通じてがんターゲッティングに基づく治療物質への使用可能性を暗示するのである。
【0108】
4.エキソソームのサイズの分布の測定
(1)実験方法
実施例2-2の方法によりプラスミドを形質転換しない細胞株のエキソソーム(図17)、GNSTM-LAMP2-GFP(図18)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFP(図19)を過発現させ、培養終了後、50mLコニカルチューブ(SPL,Cat No.50040)に細胞と培養液を集めて1000rpmで2分間遠心分離後、上澄み液をさらに4000rpmで30分間遠心分離後、細胞残余物を除去した。最終上澄み液を10kDaフィルタチューブ(Mlliopore,Cat No.UFC9010)に入れ、4000rpmで30分間遠心分離した。最終的に残った上澄み液に1X PBSを入れて混ぜた後、さらに遠心分離し、この過程を2回繰り返した後、フィルタチューブに残った上澄み液を27-G針付き注射器を用いて0.2μmフィルターでろ過して、単一サイズのエキソソームを収得した。収得したエキソソームのサイズをDLS(Dynamic Light Scattering)で測定した。
【0109】
(2)実験結果
図17図19から確認できるように、プラスミドを形質転換しない細胞株のエキソソーム(図17)、GNSTM-LAMP2-GFP(図18)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-GFP(図19)が過発現したエキソソームの場合、サイズに差異がなかった。LAMP2の細胞外ドメインと細胞内ドメインをすべて除去したにもかかわらず、過発現時にエキソソームのサイズに差異がなかった。これは、本発明のLAMP2-△EC/ICを使用しても、過発現後、キソソームの基本的性質に変化がないことを意味すると見られ、従来知られたエキソソームを使用した様々な生物学的用途への活用に問題がないことを示唆する。
【0110】
実験例2.修飾されたペプチドを用いた活性RNAの安定的発現およびターゲットへの伝達
1.発現レベル確認
(1)実験方法
図5のプラスミド骨格構造にターゲッティングペプチド(標的ペプチド)としてFLAGタンパク質をコードする遺伝子を、活性タンパク質(Active protein)としてRNAと結合するタンパク質をコードする遺伝子をそれぞれ挿入した後、実施例2-2の方法によりそれぞれの組換えプラスミドを過発現させた。
【0111】
細胞における活性shRNA発現レベルを確認するために、実施例2-2方法により培養終了後、50mLコニカルチューブ(SPL,Cat No.50040)に細胞と培養液を集めて1000rpmで2分間遠心分離後、集められた細胞は、1X PBSで2回洗浄後、Trizol方法で(ThermoFisher Scientific,Cat No.15596026)RNAを分離した後、500ng RNAにポリアデニル化キット(Enzynomics,Cat No.EX041S)を用いてRNAにポリA配列を結合させ、PrimeScriptTM cDNAキット(Takara,Cat No.6210A)の導入shRNA配列特異的プライマーを用いて遺伝子特異的プライマーcDNA合成方法によりcDNAを合成した。cDNA合成後、標的shRNA配列Taqmanプローブを用いてTOPrealTMプローブqPCR PreMix(Enzynomics,Cat.No.RT600S)でshRNAの発現量を測定した。
【0112】
エキソソームにおける活性shRNA発現レベルを確認するために、実施例2-2方法により培養終了後、50mLコニカルチューブ(SPL,Cat No.50040)に細胞と培養液を集めて1000rpmで2分間遠心分離後、上澄み液をさらに4000rpmで30分間遠心分離後、細胞残余物を除去した。最終上澄み液を10kDaフィルタチューブ(Mlliopore,Cat No.UFC9010)に入れ、4000rpmで30分間遠心分離する。最終的に残った上澄み液に1X PBSを入れて混ぜた後、さらに遠心分離し、この過程を2回繰り返した後、フィルタチューブに残った上澄み液を27-G針付き注射器を用いて0.2μmフィルターでろ過して、単一サイズのエキソソームを収得した。集められたエキソソームは、Trizol方法で(ThermoFisher Scientific,Cat No.15596026)RNAを分離した後、500ng RNAにポリアデニル化キット(Enzynomics,Cat No.EX041S)を用いてRNAにポリA配列を結合させ、PrimeScriptTM cDNAキット(Takara,Cat No.6210A)の導入shRNA配列特異的プライマーを用いて遺伝子特異的プライマーcDNA合成方法によりcDNAを合成した。cDNA合成後、標的shRNA配列Taqmanプローブを用いてTOPrealTMプローブqPCR PreMix(Enzynomics,Cat.No.RT600S)でshRNAの発現量を測定した。
【0113】
活性shRNAを含むエキソソーム処理SKOV3細胞におけるGFP発現量を測定するために、エキソソーム分離実施例2-2の方法により培養終了後、50mLコニカルチューブ(SPL,Cat No.50040)に細胞と培養液を集めて1000rpmで2分間遠心分離後、上澄み液をさらに4000rpmで30分間遠心分離後、細胞残余物を除去した。最終上澄み液を10kDaフィルタチューブ(Mlliopore,Cat No.UFC9010)に入れ、4000rpmで30分間遠心分離する。最終的に残った上澄み液に1X PBSを入れて混ぜた後、さらに遠心分離し、この過程を2回繰り返した後、フィルタチューブに残った上澄み液を27-G針付き注射器を用いて0.2μmフィルターでろ過して、単一サイズのエキソソームを収得した。
【0114】
shGFPを含むエキソソームのGFP過発現細胞における発現抑制効能を検証するために、SKOV3細胞株1×10細胞数を6ウェルプレートの各ウェルに分注後に24時間培養する。PolyJetTM トランスフェクションキット(Signagen(登録商標)Laboratories,Cat No.SL100688)方法によりGFP蛍光ベクターであるpAcGFP1-N1(Clonetech,PT3716)500ngを各ウェルに導入した後、24時間後に新しい培養液に交替し、前記分離したshRNAを含むエキソソームを各ウェル当たり50μg処理48時間後にGFP蛍光およびタンパク質発現量を測定した。
【0115】
(2)実験結果
GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-BIV、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(WT)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(MT)4個のプラスミド過発現モデルすべて、細胞でエキソソーム単独処理群と比べて(NC)対照群と比べて高い発現量を示した。特に、BIV由来RBPとJDV由来RBPを活性タンパク質に挿入した場合、挿入しない場合(w/o BIV:RBPの無い構造)と比べて、エキソソーム全体でshGFPの発現量が他の群と比べて顕著に高かった。JDV野生型由来RBPを挿入した場合、BIV由来RBPを挿入した場合と比べて、約80倍の差が出るほど、最も効果に優れた(図20)。
【0116】
また、GNSTMでないSELを用いたグリコシル化モデルであるSEL-LAMP2-△EC/IC-(Pri-miRNA-199)-RBPプラスミドを過発現させた場合にも、形質注入された細胞でmiRNA-199が良好に発現することを確認した(図21)。
【0117】
これらの実験結果は、LAMP2の細胞外ドメインと細胞内ドメインがすべて除去された形態と、グリコシル化の導入によって、形質注入された細胞とこれからのエキソソームすべてで安定的にRNAと活性タンパク質を発現させることができることを示し、最終的にエキソソームを通じて生理活性核酸分子を伝達できる可能性を暗示する。
【0118】
2.伝達レベルの確認
SELを用いたグリコシル化モデルであるSEL-LAMP2-△EC/IC-(Pri-miRNA-199)-RBPプラスミドを過発現させた場合、これを形質注入した細胞を除去した後に分離したエキソソームを処理した細胞でも、miRNA-199が良好に発現することを確認することができた(図21)。
【0119】
また、GNSTMを用いたグリコシル化モデルであるGNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-BIV、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(WT)、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(MT)4個のプラスミドを過発現させた場合にも、これらを形質注入した細胞を除去した後に分離したエキソソームを処理したGFPタンパク質形質転換SKOV3細胞株でshGFPが良好に発現し、GFPの発現(RNAレベル、Proteinレベル)を非常に効果的に抑制することを確認することができた(図22図23)。特に、RBPとしてJDV(WT)由来タンパク質を活性タンパク質に使用した場合に、最も効果に優れ、このような傾向は、ターゲット細胞におけるウェスタンブロット結果と、蛍光分析結果でも、同一に現れた(図24図25)。蛍光分析結果は、特に、GNSTM-LAMP2-△EC/IC-shGFP-JDV(WT)プラスミド過発現の場合に、GFP mRNAとタンパク質を90~99%まで抑制させることができることを示した。
【0120】
これらの実験結果は、LAMP2の細胞外ドメインと細胞内ドメインがすべて除去された形態と、グリコシル化の導入によって、形質注入された細胞とこれからのエキソソームすべてで安定的にRNAと活性タンパク質を発現させると同時に、最終的にエキソソーム内RNAとRBP間の結合が効率的に解離し、RNAが標的細胞に成功裏に伝達されたことを意味する。特に、JDV由来RBPとグリコシル化したLAMP2-△EC/ICが挿入されたプラスミドの場合、shRNAの活性を最大化させることができることを示す。
【0121】
本発明の範囲は、後述する請求範囲によって示され、請求範囲の意味および範囲そしてその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【配列表】
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【国際調査報告】