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特表2024-531668開接点又は閉接点を有するスナップアクション式スイッチング素子
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  • 特表-開接点又は閉接点を有するスナップアクション式スイッチング素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】開接点又は閉接点を有するスナップアクション式スイッチング素子
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/22 20060101AFI20240822BHJP
   H01H 13/32 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H01H13/22
H01H13/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515635
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2022075268
(87)【国際公開番号】W WO2023041481
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】CH070273/2021
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510272414
【氏名又は名称】エーアーオー ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲーリッヒ,ローランド
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS02H
5G206AS02J
5G206AS02K
5G206AS02Z
5G206AS33F
5G206AS33H
5G206AS33J
5G206AS33K
5G206AS33Z
5G206ES32J
5G206ES32K
5G206ES32Z
5G206FS03F
5G206FS03H
5G206FS03J
5G206FS03K
5G206FS03Z
5G206FS09F
5G206FS09H
5G206FS09J
5G206FS09K
5G206FS09Z
5G206FS23J
5G206FS23M
5G206HS24
5G206HW04
5G206HW08
5G206HW14
5G206HW33
5G206JS02
5G206JU04
5G206JU09
5G206JU14
5G206JU39
5G206JU40
5G206KS28
5G206KS34
5G206KS37
5G206NS02
(57)【要約】
本発明は、ハウジング10と、ハウジングに固定された第1の接触点61及び第2の接触点62と、静置位置とスイッチ位置との間で移動させることができる接点アーム43と、ハウジング10内にガイドされ、接点アーム43を静置位置とスイッチ位置との間で移動させることができるようにする作動要素20とを備える、開接点を有するスナップアクション式スイッチ素子100に関する。スイッチロッカー30は、ハウジングの長手軸に対して横断方向に延びるロッカー回転軸12周りに一方の端部において回転可能に配置され、引張ばね70が、スイッチロッカー30の他方の端部におけるばね懸架部分34に掛止される。作動要素20は、ハウジングの長手軸に垂直にガイドされ、その2つの自由端部の間でスイッチロッカー30と係合している。ハウジングに固定された第2の接触点62は、ロッカー回転軸12に平行な接点アーム回転軸を構成し、この第2の接触点に対して、接点アーム43の一方の端部は、接点アーム43に掛止された引張ばね70によって押し付けられ、接点アーム43の他方の端部は、静置位置において第1の接触点61に接触する。閉接点の場合、第1の接触点は離隔された態様で配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常閉接点又は常開接点を有するスナップアクション式スイッチング素子(100、200、400、500)であって、ハウジング(10)と、前記ハウジングに固定された、第1の接触点(61、61´)及び第2の接触点(62)と、静置位置とスイッチング位置との間で移動可能な、接点アーム(43;143)と、前記接点アーム(43;143)を前記静置位置と前記スイッチング位置との間で移動可能とする、前記ハウジング(10)内にガイドされた作動部材(20)と、前記ハウジングの長手軸に対して横断方向に延在するロッカースイッチ回転軸(12)周りに、一方の端部において回転可能とされたロッカースイッチ(30;130)と、前記ロッカースイッチ(30;130)の他方の自由端部においてばね掛止部分に掛止されている引張ばね(70)とを備え、
前記作動部材(20)は、前記ハウジングの長手軸に垂直にガイドされるとともに、前記ロッカースイッチ(30;130)の2つの端部の間で前記ロッカースイッチ(30;130)と係合(22、33)しており、
前記ハウジングに固定された前記第2の接触点(62)は、前記ロッカースイッチ回転軸(12)に平行な接点アーム回転軸を提供し、前記第2の接触点に対して、前記接点アーム(43;143)の一方の端部は、前記接点アーム(43;143)に懸架された前記(44)引張ばね(70)によって押し付けられ、常閉接点の場合には前記静置位置において前記第1の接触点(61)に接触し又は常開接点の場合には常閉位置において前記第1の接触点(61)に接触する前記接点アーム(43;143)の他方の端部は、常開接点の場合には前記第1の接触点(61´)から距離をおいて配置され、
前記作動部材(20)は、その移動方向に対して横断方向に設けられたロッカー軸受開口部(22)を有し、前記ロッカー軸受開口部(22)に、前記スイッチングロッカー(20)の主面に対して横断方向に設けられたロッカー軸受作動部分(33)が係合することを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項2】
請求項1に記載のスナップアクション式スイッチング素子(100、200、400、500)であって、前記引張ばね(70)の長さ、前記接点アーム(43;143)の前記掛止開口部(44)と前記接点アーム回転軸との間の距離、及び前記ばね掛止部分(34)と前記ロッカー回転軸(12)との間の距離は、前記ロッカースイッチ(30;130)に作用するトルクが、前記静置位置、前記スイッチング位置、及びそれらの間の位置において、前記作動部材(20)の作動方向とは反対に常に方向付けられ、前記作動部材(20)が、作動させられない場合には前記静置位置に戻るように、予め設定されていることを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の常閉接点を有するスナップアクション式スイッチング素子(100、200、500)であって、前記ロッカースイッチ(30;130)は、前記ロッカースイッチ(30;130)が前記スイッチング位置に到達される前に前記スイッチング位置に移動させられるとき、特に前記スイッチング位置において、前記接点アーム(43;143)に上方から係合するとともに、前記接点アーム(43;143)の前記接触点(63)が前記第1の接触点(61)に接触しているために、前記接点アーム(43;143)が、前記作動要素(20)の前記静置位置と係合との間で移動しない場合に、能動的にガイドされた態様で下向きに枢動するように、前記静置位置において、前記接点アーム(43;143)の上に下方から突出する少なくとも1つのドライバー(32)を備えることを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項4】
請求項3に記載の常閉接点を有するスナップアクション式スイッチング素子(100、200、500)であって、前記ドライバーは、少なくとも1つのホーン(32)又はブリッジを備えることを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のスナップアクション式スイッチング素子(100、200、400、500)であって、前記接点アーム(43;143)は、前記接点アーム回転軸を有する前記端部(62)を起点とし、ロッカースイッチ受容開口部(45)と、前記ロッカースイッチ受容開口部に隣接する別個のばね端受容開口部(44)とを有することを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項6】
請求項5に記載のスナップアクション式スイッチング素子(100、200、400、500)であって、前記接点アーム(43;143)は、長手方向に対する断面で見て、少なくとも前記ロッカースイッチ受容開口部(45)及び前記ばね端受容開口部(44)の領域において、前記接点アームを補強するU字形状を有することを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のスナップアクション式スイッチング素子(100、200、400、500)であって、前記ロッカースイッチ(30;130)は、前記ロッカー軸受作動部分(33)が挿入される受容開口部(38)を有し、これによって、前記作動部材(20)が、前記ロッカースイッチ(30;130)の2つの端部の間で、前記ロッカースイッチ(30;130)と係合(22、33)していることを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項8】
請求項7に記載のスナップアクション式スイッチング素子(100、200、400、500)であって、前記ロッカー軸受作動部分(33)と前記ばね掛止部分(34)との間に、上側静置位置止め部(36)が設けられていることを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のスナップアクション式スイッチング素子(100、200、500)であって、常閉接点の場合、前記ロッカー転動軸(12)と前記ロッカー軸受作動部分(33)との間に、前記接点アーム(43;143)のための支持部分(37)が設けられ、前記支持部分に対して、前記接点アーム(43、143)の下面は、前記スイッチング位置が越えられた後に寄り掛かることを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項10】
請求項7又は8に記載のスナップアクション式スイッチング素子(400)であって、常開接点の場合、前記第1の接触点(61´)は、前記ロッカー転動軸(12)と前記ロッカー軸受作動部分(33)との間に配置され、前記第1の接触点に対して、前記接点アーム(43、143)の下面における取り付けられた接触点(63)は、前記スイッチング位置が越えられた後に当接することを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか一項に記載のスナップアクション式スイッチング素子(100、200、400、500)であって、前記ハウジング(10)の側壁は、前記側壁において前記ロッカースイッチ(30)の前記受容開口部(38)のエリアにハウジング溝(17)を有し、
さらなる前記ハウジングに固定された接触点の対、さらなる接点アーム(143)、さらなる受容開口部を有するロッカースイッチ(130)及びさらなる引張ばね(70)が、ハウジングの延長部に設けられ、これらはそれぞれ、前記ハウジングに固定された前記第1の接触点、前記第1の接点アーム(43)、前記第1のロッカースイッチ(30)及び前記第1の引張ばね(70)に平行な前記ハウジングの長手軸の方向に、前記側壁の後方に、配置され、
接続シャフト(133)は、前記ハウジング溝(17)を通して、前記第1のロッカースイッチ(30)及び前記第2のロッカースイッチ(130)の前記受容開口部(38)に挿入され、
2つの前記ロッカースイッチ(30、130)の移動は、前記接続シャフト(133)によって同調される
ことを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項12】
請求項11に記載のスナップアクション式スイッチング素子(200)であって、前記接続シャフト(133、533)は、前記ロッカー軸受作動部分(33)に一体的に組み込まれているか、又は、前記受容開口部(38)内で互いに背中合わせに配置されていることを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。
【請求項13】
請求項11に記載のスナップアクション式スイッチング素子(100、200、400、500)であって、前記第1のスイッチングロッカー(30)及び前記第2のスイッチングロッカー(14)は、横断方向に延在する2つの上側受容開口部(38)及び下側受容開口部(138)を有し、前記スイッチングロッカー作動部分(33)は、前記上側受容開口部に又は前記下側受容開口部に挿入されるボルトであり、前記接続シャフト(133)は、他方の受容開口部に挿入されるボルトであることを特徴とする、前記スナップアクションスイッチング素子。
【請求項14】
請求項13に記載のスナップアクション式スイッチング素子(200)であって、前記ロッカースイッチ(30、130)の一方又は両方の受容開口部(138)が、前記接続シャフト(133)及び/又は前記ロッカー軸受作動部分(33)の移動を制限するための仕切り壁を中間に有することを特徴とする、前記スナップアクション式スイッチング素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによるスナップアクション式スイッチング素子に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかのスナップアクション式スイッチング素子が、従来技術から知られている。特許文献1は、スナップアクション式スイッチング素子として一体型の丸ワイヤを使用しており、この丸ワイヤは、スナップアクション式スイッチのハウジング内にガイドされた作動要素を介して、一方のスイッチング位置から他方のスイッチング位置に移行することができ、これにより、このスイッチング位置が保持される。
【0003】
別のスナップアクション式スイッチング素子が、特許文献2から知られており、この素子においては、作動要素がばねに係合し、このばねによりロッカースイッチが作動させられる。作動要素の内部に設けられた戻しばねが、作動要素をその開始位置に戻す。
【0004】
特許文献3は、直列に接続された2つのばね作動ロッカーによる双安定挙動を備えた常閉接点又は常開接点を有する、カスケード接続されたスナップアクション式スイッチング素子を開示しており、作動要素を押し下げることによって、第1のばねが作動ばねとして押し通され、これにより、作動ロッカーが枢動させられ、このことによって第2のステージが次いでトリガーされる。
【0005】
特許文献4は、請求項1のプリアンブルの特徴を有する、スナップアクション式スイッチング素子を示している。
【0006】
同様のシステムは、特許文献5から知られており、このシステムにおいては、作動要素としてのプランジャーが、L字形の作動ロッカーを直接に押し、このことがばねを介してロッカースイッチに作用し、可動接点を2つの固定された接点の間で切り換える。
【0007】
特許文献6は、強制的な切断を有するマイクロスイッチを開示している。ボタンが、弾性要素及び可動接点部品をトリガーする。スイッチがスイッチング位置に到達した後、開放が強制的に行われ、分離部品が可動接点からの常閉接点の分離を確実にする。
【0008】
特許文献7は、ねじ込み式ねじによって形成された作動ロッカーのための止め部を有する転換スイッチを示している。
【0009】
現行技術水準のスナップアクション式スイッチング素子は、ユーザーが最適な触覚的スイッチング体験を得られないという欠点を有する。ほとんどの場合、スイッチ接点の不快な跳ね返りを排除できない。スイッチング位置に移動させられると、静置位置へのスイッチの自動的で安全な開放は通常、複雑な設計及び追加的な要素を使用してのみ、信頼性高く実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第4316068号
【特許文献2】欧州特許出願第3312861号
【特許文献3】独国特許出願公開第4303589号
【特許文献4】特開2008-047317号
【特許文献5】実開昭60-134245号
【特許文献6】中国実用新案第207542118号
【特許文献7】米国特許第2,509,194号
【発明の概要】
【0011】
この現行技術水準に基づき、本発明は、従来技術の欠点を解消する、常閉又は常開接点を有する改善されたスナップアクション式スイッチング素子を提供するという課題に基づくものである。
【0012】
本発明による常閉又は常開接点を有するスナップアクション式スイッチング素子は、ハウジングと、ハウジングに固定された第1の接触点及び第2の接触点と、静置位置とスイッチング位置との間で移動可能な接点アームと、ハウジング内にガイドされた作動部材とを備え、この作動部材によって、接点アームは静置位置とスイッチング位置との間で移動可能とされる。ロッカースイッチは、一方の端部において、ハウジングの長手軸に対して横断方向に延在するロッカー枢動軸周りに回転可能に配置され、引張ばねが、ロッカースイッチの他方の自由端部においてばね掛止部分に掛止される。作動部材は、ハウジングの長手軸に垂直にガイドされ、2つの端部の間でロッカースイッチと係合する。ハウジングに固定された第2の接触点は、ロッカー回転軸に平行な接点アームの回転軸を確立し、この第2の接触点に対して、接点アームの一方の自由端部が、接点アームに懸架された引張ばねによって押し付けられ、これにより、接点アームの他方の端部は、常閉接点の場合には静置位置において第1の接触点と接触し、常開接点の場合には静置位置において第1の接触点から距離をおいて配置される。作動部材は、その移動方向に対して横断方向に設けられたロッカー軸受開口部を有し、ここにロッカースイッチの主面に対して横断方向に設けられたロッカー軸受作動部分が係合し、このことが、ハウジング内で互いに隣り合わせのロッカースイッチ及び作動部材のコンパクトな設計を可能にする。横並びとは、ロッカースイッチの枢動運動が、実質的に水平に位置合わせされたロッカー軸受作動部分を介して実現されることを意味し、このロッカー軸受作動部分の長手軸は、作動要素の主軸に垂直である。
【0013】
好ましい実施形態においては、ロッカースイッチは、ロッカースイッチがスイッチング位置に到達される前にそのスイッチング位置に移動させられるとき、特にスイッチ作動位置において、接点アームに上方から係合するとともに、第1の接触点への接点アームの接触点の接触により、接点アームが、作動部材の静置位置と係合との間で移動しない場合、能動的にガイドされる態様で下方に旋回するように、静置位置において、接点アームの上に下方から突出するドライバーを有する。
【0014】
引張ばねの長さ、接点アームの掛止開口部と接点アーム回転軸との間の距離、及びばねの掛止部分とロッカー回転軸との間の距離は、有利には、ロッカースイッチに作用するトルクが、作動部材の静置位置、スイッチング位置、及びそれらの間の位置において、常に上向きに方向付けられ、作動部材が、作動させられない場合には静置位置に戻るように、予め設定されている。
【0015】
これらの上述した特徴は、常閉スイッチング素子を用いても常開スイッチング素子を用いても実現することができる。どちらの場合においても、作動シャフトの直線運動が、その端部の間でロッカースイッチのほぼ中央に伝達される。これらの端部は、取り付けられている場合であっても、自由端部と呼ばれることがある。
【0016】
常閉(NC)スイッチング素子の機能は特に、ロッカースイッチがドライバーを有している場合、確実にされる。このドライバーは、少なくとも1つのホーン、好ましくは接点アームの左右に2つのホーンを備えることができる。接点アームがバーによって形成された通路を通って突出するように、連続したバー又はブリッジが設けられてもよい。そのとき、この輪郭は、ロッカースイッチがスイッチング位置に到達される前にスイッチング位置へと移動させられるとき、特にスイッチング位置にすでに到達されているとき又は到達された直後に、上方から接点アームと係合することができるように、及び、接点アームが、接点アームの接触点が第1の接触点に接触していることによって、作動要素の静置位置と係合との間で移動しない場合に、能動的にガイドされた態様で下向きに枢動することができるように、静置位置において接点アームの上に下方から突出する。このことは、いずれの場合にもスイッチングを確実にし、機能的には強制的な切断を意味する。
【0017】
それゆえ、ロッカー軸受作動部分は、ロッカースイッチの対応するレセプタクルに挿入される、横断方向に配置されたボルトであってもよい。また、ロッカースイッチに一体的に接続されたロッカー軸受作動部分であってもよく、このロッカー軸受作動部分は、ロッカー軸受開口部を介して、特に作動部材における2つの対向する平行な中央エリアを有する実質的に水平に位置合わせされたスロットを通して、作動部材と係合する。ボルトは円筒形であってもよいが、ロッカー若しくはプランジャーのいずれかと一体的に接続されてもよいし、又はそれらとフィットするものであってもよい。プランジャーの垂直運動をロッカーの枢動運動と組み合わせるためには、相補的な要素に十分な遊びがなければならない。
【0018】
このとき、ロッカー軸受作動部分とばね受け部分との間に、上側静置位置止め部が設けられてもよい。及び/又は、ロッカー枢動軸とロッカー軸受作動部分との間に、接点アームのための支持部分が設けられてもよく、特に、スイッチング位置が越えられると、接点アームの下面はそれに対して寄り掛かり、それによって止め部に対する機械的な跳ね返りを防止する。
【0019】
接点アームの回転軸を有する自由端部を起点とし、接点アームは、ロッカースイッチ装着開口部と、それに隣接する別個のばね端装着開口部を有してもよい。接点アームに対するかかる中央関節部は、望ましくない横方向の力を回避する。
【0020】
接点アームはこのとき有利には、少なくともロッカースイッチ装着開口部及びばね端装着開口部のエリアにおいて、長手方向にU字形状の横断面を有してもよく、それにより、ねじり剛性を有するものとなり、軸溝周りにのみ回転するようにされる。
【0021】
ロッカースイッチは、受容開口部と、この受容開口部に挿入されるロッカー軸受作動部分とを有してもよく、これによって、作動部材が、ロッカースイッチの2つの端部の間でロッカースイッチと係合する。
【0022】
ロッカースイッチはまた、2つの横断方向の上側装着開口部及び下側装着開口部を有してもよい。この場合、ロッカースイッチ作動部分は、開口部のうちの一方、例えば上側開口部に挿入される、ボルト又はシリンダーである。このことは、二重スイッチング素子が提供される場合に特に有利であり、これにより、可能な限り多くのコンポーネントが標準化される。この場合、他方の、この場合には下側の、装着開口部は任意に、すでに中間に仕切りを有している。この設計は、横方向に設計された二重スイッチング素子を形成する。
【0023】
かかる二重ジャンプ式スイッチング素子は、単一ジャンプ式スイッチング素子に基づくものであり、ハウジングの側壁が、側壁においてロッカースイッチの下側装着開口部のエリアに実質的に垂直に位置合わせされたハウジング溝を有し、接続シャフトが他方の、この場合には下側の、装着開口部に挿入されるようにされる。このとき、前述した仕切り壁は、接続シャフトが横断方向に移動できないので、有利である。このとき、さらなるハウジングに固定された接触点の対、さらなる接点アーム、さらなるロッカースイッチ、及びさらなる引張ばねが、ハウジング取り付け部に設けられ、これらはそれぞれ、第1のハウジングに固定された接触点、第1の接点アーム、第1のロッカースイッチ、及び第1の引張ばねに平行なハウジングの長手軸の方向に、当該側壁の後方に、配置され、2つのロッカースイッチの移動は接続シャフトによって同調される。それゆえ、2つの別個のスイッチング回路の安全な作動のために、1つの作動要素しか必要とされない。
【0024】
また、単一の受容開口部であってもよく、接続シャフトはそのとき、ロッカー軸受作動部分に一体的に組み込まれてもよいし、又は、ロッカー軸受作動部分と接続シャフトとが、作動部材の側から見て、単一の受容開口部内で互いに背中合わせに配置されてもよい。
【0025】
さらなる実施形態は、従属請求項において規定される。
【0026】
本発明の好ましい実施形態が、図面を参照して以下に記載されるが、図面は、単に説明としての役割を果たすものであり、限定するものとして解釈されるようには意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、第1の実施形態の例による、静置位置で常閉接点を有するスナップアクション式スイッチング素子のフロント側壁のない斜視図である。
図2図2は、スイッチングされた位置における図1によるスナップアクション式スイッチング素子の斜視図である。
図3図3は、スイッチング点における図1によるスナップアクション式スイッチング素子の部分断面図である。
図4図4は、第2の実施形態の例による、二組の接点を有するスナップアクション式スイッチング素子の部分斜視図である。
図5図5は、NC接点を有するスナップアクション式スイッチング素子についてのスイッチングシーケンスの力-変位図である。
図6図6は、第3の実施形態の例による、常開接点を有するスナップアクション式スイッチング素子のフロント側壁のない部分断面図であり、他の点では図1による第1の実施形態の例と同じ特徴を有する。
図7図7は、第4の実施形態の例による、二組の接点を有するスナップアクション式スイッチング素子の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、第1の実施形態の例による、静置位置でNC接点100(常閉接点)を有するスナップアクション式スイッチング素子のハウジング10のフロント側壁のない斜視図を示す。図2は、スイッチングされた位置における図1によるスナップアクション式スイッチング素子の斜視図を示し、図3は、スイッチングされた位置における図1及び図2によるスナップアクション式スイッチング素子の部分断面図を示す。
【0029】
ハウジング10は、上部に上側ハウジング開口部11を有し、底部に別の下側ハウジング開口部11´を有する。開口部11及び開口部11´は、互いに上下に位置し、作動軸を画定し、この作動軸に沿って、作動部材20を作動シャフトとしてこの軸の長手方向に移動させることができる。作動シャフト20は、上側ヘッド部分23と下側ガイド部分24とを有し、これらの間にロッカー軸受開口部22が位置している。ロッカー軸受開口部22は、具体的には、作動部材20において実質的に水平に位置合わせされたスロットの形をとる開口である。スロットの水平方向の位置合わせは、ロッカースイッチ30の、その移動中のわずかな横断方向の枢動運動を考慮したものである。かかる長細の穴の代わりに、ロッカー軸受開口部22は、ロッカー軸受作動部分33の移動のための水平方向の遊びを可能にする、異なる形状を有してもよい。ロッカー軸受開口部22は、シフト操作中に操作部材20に向かうロッカー軸受操作部33の移動を可能にするための垂直方向の高さを有してもよい。上側ヘッド部分23は、平面視でT字形状の作動ヘッドを有する。T字形状の側面は、作動軸の方向に広がるようにされ面取りされている。ハウジング10は、図1には示されていない作動要素20のためのガイドリブを有する。これは、作動ヘッド21のための遊びを有して設計されたT字形状の上側ハウジングブッシング11も含む。
【0030】
第1の導電性接点41が、ハウジング10内に配置される。接点41は、複数箇所で曲げられた平坦な金属コンポーネントであり、側面視で本質的にはC字形状を有する。第1の接点41の一方の自由端部は、ハウジング10の外側からアクセス可能であり、図1に示される実施形態においては、2つのハウジング側壁部分13の間で保護されている。クランプねじ52によって第1の接点41に押し付けられるクランププレート51を介して、クランププレート51と第1の接点41との間にケーブルを接続することができる。第1の接点41の他方の自由端部には、ハウジングの内壁とは反対を向く側に、接点61が備えられている。C字形状の接点41は、接点支持リブ15及びカウンターリブ16によって、図1に示される位置に正の接続又は摩擦接続で保持される。
【0031】
第2の導電性接点42は、作動要素20の反対側でハウジング10の長手方向に配置されている。ここでもまた、第2の接点42の自由端部は、クランププレート51及びねじ52を使用して外部ケーブルに接続することができる。第2の導電接点42もまた、接点支持リブ15及びカウンターリブ16を有するほぼC字形状で、ハウジングの内壁の近くにハウジング10内に挿入されている。しかしながら、側面視で反対側の第2の自由端部の上側エリアにおいて、軸受溝62を有する。軸受溝62の配向は、垂直に配向された作動部材20に水平である。換言すれば、軸受溝62は、ハウジング10の長手方向に対して横断方向又は横断方向に配向されている。
【0032】
第1の導電接点41と第2の導電接点42間のスイッチング接続は、取り付けられた接点アーム43によって確立される。最初に述べた接点41及び接点42と同様に、接点アーム43は金属コンポーネントであるが、いくつかのさらなる特徴を有している。軸受溝62に突出する端部は、テーパー部を有してもよく、特に丸みを帯びていてもよい。好ましくは、軸受溝62に突出するこの端部は、ハウジング10のリブ16によって横変位に対して横方向に保持される。軸受溝62に突出した接点アーム43の端部に隣接して、別個のばね受容開口部44によって隣接されているロッカー受容開口部45がある。取り付けられた接点アーム43の接触点63は、反対側の自由端部に備えられており、特にさらなる開口部に挿入される接触ビーズとして設計されてもよい。
【0033】
ハウジング内の接点アーム43の長さは、一方の自由端部が軸受溝62に係合したときに、接触点63が第1の接触点61と導電的に接触させられるように選択される。図1に示されたこの静置位置においては、接点アーム43はわずかに傾けられて配置され、接触点63の自由端部のエリアが、軸受溝62の自由端部よりもわずかに高く配置される。この位置は、図3に示されるスイッチング位置まで維持される。
【0034】
接点アーム43の長手方向で見たときに、この接点アームは開口部44及び開口部45を有するエリアにおいて有利にはU字形状であり、例えば元の形状において横方向の翼部を有し、この翼部が接点アーム43の構造を補強するためにこのU字形状に折り畳まれる。
【0035】
ハウジング10内に横断方向のロッカースイッチ軸受12が備えられ、このロッカースイッチ軸受は側壁から突出しており、このロッカースイッチ軸受上にロッカースイッチ30が軸受開口部31を有して配置される。短いスイッチング距離のために、ロッカースイッチ30上のロッカー軸受作動部分33は、有利には、ロッカースイッチ軸受12とほぼ同じ高さに設けられる。ロッカー軸受作動部分33は、作動部材20のロッカー軸受開口部22に挿入される、横断方向に位置合わせされたピン、特に円筒形の部分、つまり円筒形のピンである。
【0036】
このことは、ロッカースイッチ30を、2つの部分、すなわち、ロッカースイッチ軸受12と作動部分33との間に位置する軸受側部分35と、反対側に位置するばね側部分36とに、分割する。軸受側部分35には、2つの横方向に隆起したホーン32が設けられ、これらホーンは、接点アーム43の上方で接点アーム43の左右に隆起しており、図1及び図3に見られるように、接点アーム43の上方に距離をおいて配置されている。
【0037】
ばね側部分36は、ばね係合部分34、特に、ばね端部を受容するための外周溝を有する短い横断方向シャフトを有する。ばね側部分36はまた、静置位置において、ハウジング10の内壁に下方から当たる止め部を有してもよい。ばね掛止部34は、ロッカー受容開口部45を通り抜けることが可能となるように横断方向に十分に細くなっており、前述した任意の止め部は、ホーン32と同様に、接点アーム43の横にガイドされるか、又は更に開口部45を通ってガイドされる。
【0038】
引張ばね70は、ばね懸架部分34のその一方の自由端部と、接点アーム43のばね受容開口部44における別の自由端部とで懸架され、そのばね力により、軸受として設計された自由端部を有する接点アーム43を軸受溝62に引き込み、この溝の中で保持する。図1に見られるように、ばね70の長手軸は左下から右上に位置合わせされ、かくして左上から右下にわずかに下向きに位置合わせされている接点アームの位置合わせとは正反対である。
【0039】
この説明はかくして、図1の静置位置において作動要素20が押し下げられる、スイッチング動作のシーケンスに移る。このことは、ロッカー軸受開口部22を下側ハウジング開口部11´の方向に下向きに移動させ、ロッカースイッチ軸受12によって規定される回転軸周りにロッカースイッチ30を傾動させる。このプロセスにおいて、ロッカー軸受作動部分33は下向きに移動し、同時にハウジング10の長手方向にわずかに移動する。ロッカースイッチ30は、そのばね係合部分34を用いてばね70の懸架部分71を引き下げ、これにより、ばね70の長手方向が接点アーム43の長手方向と一致する図2の位置に帰着するまで、ばねがばね受容開口部44の内側端縁周りを回転する。
【0040】
作動部材20が、図2によるスイッチング位置の方向に更に押し下げられると、ばね受け部分34は更に下向きに移動し、軸受溝62周りにトルクを発生させ、それにより、接点アーム43の接触点63が第1の接点41の接触点61から外れ、接点アーム43が軸受溝62周りに引っ掛かり、その下面が軸受ロッカー30の接触面37上に静置される。
【0041】
この動きのために作動要素20によってトリガーされるストロークは、標準サイズのスナップアクション式スイッチング素子100については、0.3ミリメートル未満である。この力の適用による跳ね返りも防止する。接触点61と接触点63とが張付いていても、ロッカースイッチ30の下向きの移動の間に、ホーン32が上方から接点アーム42に接触し、下方に引っ張られて強制的に分離され、それにより接触点61と接触点63との張付きが信頼性高く解放される。
【0042】
図3に示される端部位置において、ロッカースイッチ30に作用するトルクは、依然として上方に向けられており、すなわち、作動部材20が解放されると、ロッカースイッチは図1による静置位置の初期位置に戻る。静置位置の初期位置において、引張ばね70は、2つの取り付けられた部品、すなわちロッカースイッチ30及び取り付けられた接点アーム43の接続に加えて、上方に向けられたトルクを発揮し、それにより、スイッチングされたロッカースイッチ30は、前述した部分36でハウジングの上壁に下方から当接する。
【0043】
図4は、第2の実施形態の例による、二組の接点を有するさらなるスナップアクション式スイッチング素子200の部分斜視図を示す。これもまた、常閉接点として設計されている。しかしながら、図6と同様に、二重常開接点として設計されてもよい。ここでは接点アーム43の一部のみが示される第1の実施形態の例の接点41、接点42及び接点43に加えて、対応する接点があり、それらのうちこの図4においては接点142及び接点143のみが示される。しかしながら、スナップアクション式スイッチング素子の実施形態の例200においては、2つの同一構造のスナップアクション式スイッチング素子100が互いの隣りに配置されていることが明確に認識でき、ここでの説明においては、相違点が指摘される。
【0044】
図4において左側に示されるハウジング半体10は、スナップアクション式スイッチング素子100と同様に構成され、作動要素20を有する。ハウジング半体10は、作動要素20とは反対側にハウジング溝17を有する点で、変更されている。ロッカースイッチ30は、上側受容開口部38内に位置するロッカー軸受作動部分33に加えて、下側受容開口部138も有し、この下側受容開口部に、作動要素20とは反対側に接続シャフト133が挿入される。
【0045】
図1の説明においては、ロッカー軸受作動部分33がロッカースイッチと一体的に形成されているか、スナップアクション式スイッチング素子の実施形態の例200におけるように、ボルトの形をとるかは、決められていないままとされている。コンポーネントの保管を簡素化するために、ロッカースイッチ30は、スナップアクション式スイッチング素子の実施形態の例100の場合、二重階層の受容開口部38及び受容開口部138を有してもよいが、上側開口部38のみが使用される。
【0046】
上側受容開口部38は、ロッカー軸受作動部分33のための止め部として、内径を狭くした肩部を有する。この肩部は、下側受容開口部138におけるように仕切り壁によって置き換えることもでき、逆に、仕切り壁を、内径を狭くした、反対向きに位置合わせされた肩部を対応させることによって置き換えることもできる。他の実施形態においては、上下の配置が適宜逆にされ、そのため、接続シャフトは上側受容開口部38に挿入され、実質的に垂直方向に位置合わせされたハウジング溝17は対応して更に上方に又は単に大きく設計されてもよい。スナップアクション式スイッチング素子の実施形態の例200の場合、接続シャフト133は、ハウジング10の上記ハウジング溝17を通って、ロッカースイッチ30と同一に構成されたロッカースイッチ130の下側受容開口部138の中へと突出する。有利には、下側受容開口部138は任意に、中央に配置された壁によって2つの止まり穴に分割され、それにより、挿入された接続シャフト133は横断方向に移動できないようにされる。ロッカースイッチ130の場合、上側受容開口部38は空のままであるが、その理由は、スイッチング動作が、ロッカー軸受作動部分33を介して単一の作動部材20によって実行されるからである。ロッカースイッチ30又はロッカースイッチ130周りの等しい構造は、同様に取り付けられたスイッチング動作に帰着するが、その理由は、ばね70が、接点アーム43とロッカースイッチ30のばね懸架部34との間又は接点アーム143ロッカースイッチ130のばね懸架部34との間の、同一の位置に懸架され、それにより接点アーム43、143が第2の接点42、142の軸受溝62に配置されるからである。
【0047】
図5は、常閉接点を有するスナップアクション式スイッチング素子についての、すなわち図1図3に示される実施形態によるスナップアクション式スイッチング素子100についての、スイッチングシーケンスの力-変位図を示す。図4に示される実施形態の例による常閉接点を有する二重スナップアクション式スイッチング素子200についても機構は同一であるため、この図はこの実施形態にも当てはまる。同じことが、常開接点を有するスナップアクション式スイッチング素子を有する実施形態の例400を示す、図6の説明に関連して生じる。ここで、参照符号301はX軸を示し、このX軸は、左側において原点で示される静置位置から、図の右端において完全に押し下げられるまでの、作動シャフト20の軌道を表す。参照符号300はY軸を示し、このY軸は、それぞれの様々な曲線について力又は距離の値を表す。
【0048】
実線310は、例えば、ばね受け部分34において、又はロッカー軸受作動部分33、すなわち横断方向に挿入された円筒ピンにおいて、力が作用するときの、ロッカースイッチ30に作用する力を表す。この力は常に一方向に作用し、ここに示される正の値は作動シャフト20の静置位置の方向における力に対応することを留意されたい。
【0049】
粗い破線の曲線320は、取り付けられた接点アーム43の接触点63に作用する力の経過を表す。
【0050】
細かい破線の曲線330は、関連する固定された接触点61から、支持された接触点63までの経路、すなわち距離を表す。
【0051】
作動シャフト20の静置位置において、保持力311が作用し、作動シャフト20をこの静置位置に保持する。これと並行して、初期力321が、取り付けられた接点アーム43の接触点63に作用し、この接点アームをそれに割り当てられた固定された接触点61において保持する。このことは、確実に閉じられることを意味する。それゆえ、支持された接点アーム43の接触点63とそれに割り当てられた固定された接触点61との間の距離331は、ゼロ(=0)である。
【0052】
作動シャフト20が作動させられると、作動シャフト20にその動きと反対方向に作用する力は、スイッチング素子の開く動きの開始時における相対的なピーク値312まで増大する。この点は、ゼロ(=0)に等しい力322の値に到達すること、すなわち、取り付けられた接点アーム43の接触点63にそれ以上力が作用しなくなり、固定された接触点61に引かれない場合に、特徴付けられる。これ以降、取り付けられた接点アーム43の接触点63とそれに割り当てられた固定された接触点61との間の距離は、ロッカースイッチ30がスイッチングするときに、ゼロから開度値332まで急速に変化し、これと並行して、作動シャフト20にその作動と反対方向に作用する力は、スイッチング素子の開く動きの終了時における力に対応する、最小値313まで低下する。
【0053】
作動シャフト20が更に押し下げられると、ロッカースイッチに作用する復元力314が再び単調に増大する。同時に、接触点63の距離334は、接点アーム43の自由端部が最終的に接触面37に接触するまで、増大し続ける。
【0054】
図6は、第3の実施形態の例による、常開接点を有するスナップアクション式スイッチング素子400のフロント側壁のない部分断面図を示し、常開接点を有する以外では図1による常閉接点を有するスナップアクション式スイッチング素子の第1の実施形態の例と同じ特徴を有する。全ての同じ特徴は、同じ参照符号を付されている。
【0055】
スナップアクション式スイッチング素子400は、作動シャフト20(図示せず)が静置位置にある位置で示されている。しかしながら、それはロッカー軸受作動部分33による高さ位置に関して間接的に示されており、その理由は、この円筒形のピンが作動シャフト20のスロット穴22内に配置されているからである。
【0056】
図3が、作動シャフト20の静置位置における常閉接点を有するスイッチング素子の実施形態の例100を示していないとしても、図3及び図6に示される例示的な実施形態の間の機能の運動学的な逆転は、直接的に明らかである。図6において、ロッカーのホーン32´が設けられている場合、取り付けられた接触点63の後部は、かかるホーンの下面に対して静置されている。しかしながら、そうでなければ、ハウジングの下面に当接することともなり得る。ホーン32´は、ドライバーの一実施形態である。これは、図3における取り付けられた接触点63の前面と固定された接触点61との間の接触に対応する。スナップアクション式スイッチング素子400の作動シャフト20が押し下げられると、図5に示されるように、ホーン32´と取り付けられた接触点63との間のこの接触に作用する力が、スイッチング点に到達されるまで減少し、その後、取り付けられた接点アーム43は折り重なり、取り付けられた接触点63は固定された接触点61´に引き寄せられ、第2の電気接点が閉じられることに導く。常開接点を有するスイッチング素子400の固定された接触点61´は、ホーン32´の下の自由空間中に配置され、接触面37の常閉接点を有するスイッチング素子100の設計との比較において見ることができる。常開接点を有するスイッチング素子400についての図5のスイッチング図の曲線との違いは、支持された接触点63から固定された接触点61´までの距離の曲線330が、交点340を通る又は交点340の近くの垂直な直線で本質的に鏡像になっているという事実にあり、換言すれば、この距離は、初期値(特にホーン32´に沿ってとられたもの)からゆっくりと減少し、その後、接点が閉じることに対応するゼロまで、大きな勾配で下降する。
【0057】
図7は、さらなる実施形態の例による、二組の接点を有するさらなるスナップアクション式スイッチング素子500の部分斜視図を示す。これもまた、常閉接点として設計されている。しかしながら、図6と同様に、二重常開接点として設計されてもよい。ここでは接点アーム43の一部のみが示される第1の実施形態の例の接点41、接点42及び接点43に加えて、対応する接点があり、そのうちここでは図4において接点142及び接点143のみが示される。しかしながら、スナップアクション式スイッチング素子の実施形態の例500においては、2つの同一構造のスナップアクション式スイッチング素子100が互いの隣りに配置されていることが明確に認識でき、ここでの説明においては、図1及び図4の実施形態に対する相違点について言及が以下になされる。
【0058】
図7において左側に示されるハウジング半体10は、スナップアクション式スイッチング素子100と同様に構成され、作動要素20を有する。ハウジング半体10は、作動要素20とは反対側にハウジング溝17を有する点で、変更されている。互いの隣に配置された両方のスナップアクション式スイッチング要素において、作動要素20とは反対側に、二重接続シャフト533が挿入される単一の受容開口部538のみがある。変形例においては、二重接続シャフト533は(接続シャフト133又はロッカー軸受接続部分全般の他の実施形態におけるように)、条件として受容開口部538(又は受容開口部38等)がロッカースイッチ30の枢動運動によって必要とされる水平移動のために十分な遊びを有していれば、作動要素20に一体的に接続されてもよい。
【0059】
全ての実施形態において、作動部分20がプランジャーとしてガイドされる側壁111´を有する、下側ハウジング開口部11´が備えられる。この場合、作動部分又は作動シャフト20の下面120は、下側ハウジング開口部11´の側壁111´の間の作動シャフト20の静置位置において終端する。これと並行して、ハウジング10の上面110は、ハウジング10の下面110´と相補的になるように設計され、このことは、スナップアクション式スイッチング素子100、200、400、500のうちの2つのバージョンを互いに上下に配置することによって、垂直に配置された二重スナップアクション式スイッチング素子を提供することを可能とする。
【符号の説明】
【0060】
10 ハウジング
10´ ハウジング部
11 上側ハウジングフィードスルー
11´ 下側ハウジング開口部
12 ロッカースイッチ軸受
13 ハウジング側壁
14 接続接点ガイド壁
15 接点支持リブ
16 カウンターリブ
17 ハウジング溝
20 作動シャフト
21 作動ヘッド
22 ロッカー軸受開口部
23 上側ヘッド部分
24 下側ガイド部分
30 ロッカースイッチ
31 軸受開口部
32 ロッカースイッチのホーン/ウェブ
32´ ロッカースイッチのホーン/ウェブ
33 ロッカー軸受作動部分
34 ばね懸架部分
35 軸受側部分
36 ばね側部分
37 接触面
38 上側開口部
41 第1の導電性接点
42 第2の導電性接点
43 軸受に取り付けられた接点アーム
44 ばね受容開口部
45 ロッカー受容開口部
51 クランププレート
52 クランプねじ
61 第1の接点の固定された接触点
61´ 第1の接点の固定された接触点
62 第2の接点の軸受溝
63 取り付けられた接点アームの接触点
70 引張ばね
71 懸架部分
100 スナップアクション式スイッチング素子
110 ハウジングの上面
110´ ハウジングの下面
111´ 側壁
120 作動シャフトの下面
130 二重モジュールのロッカースイッチ
133 接続シャフト
138 下側受容開口部
142 二重モジュールの第2の導電性接点
143 二重モジュールの軸受に取り付けられた接点アーム
200 スナップアクション式スイッチング素子
300 Y軸(力又は距離)
301 X軸(作動シャフトの動き)
310 ロッカースイッチ(例えば、ばね懸架部分)に作用する力
311 静置位置における力
312 スイッチング素子の開く動きの開始時の力
313 スイッチング素子の開く動きの終了時の力
314 作動シャフトを更に押し下げると増加する力
320 取り付けられた接点アーム43の接触点63に作用する力
321 力の正の初期値
322 力の値はゼロ
330 固定された接触点61から支持された接触点63までの距離
331 閉接点の距離(=0)
332 スイッチング動作後の開接点距離
334 作動シャフトを更に押し下げると増加する距離
340 交点(鏡像線の位置に対応)
400 スナップアクション式スイッチング素子
500 スナップアクション式スイッチング素子
533 二重接続シャフト
538 受容開口部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】