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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】電気光学変調器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/025 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
G02F1/025
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515637
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021075258
(87)【国際公開番号】W WO2023041146
(87)【国際公開日】2023-03-23
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2020年10月1日に2020 IEEE Photonics Conferenceにて発表
(71)【出願人】
【識別番号】522074936
【氏名又は名称】スマート フォトニクス ホールディングス ビー.ブイ.
(71)【出願人】
【識別番号】524091630
【氏名又は名称】ネーデルランゼ オルハニサティー フール ヴェッテン スハッペライク オンデルゾーク (エンウェーオー)
(71)【出願人】
【識別番号】521292803
【氏名又は名称】テフニーシェ ユニヴェルシテイト アイントホーフェン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】メイガン,アレゾウ
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102DA05
2K102DB04
2K102DD03
2K102EA02
2K102EA16
2K102EA21
2K102EB20
(57)【要約】
光集積回路に対する電気光学変調器は、基板と、基板の第1の部分上の第1の導波管と、基板の第2の部分上の第2の導波管と、第1の導波管と接触している第1の電極であって、第1の導波管は、第1の電極と基板の第1の部分との間にある、第1の電極と、第2の導波管と接触している第2の電極であって、第2の導波管は、第2の電極と基板の第2の部分との間にある、第2の電極と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光集積回路に対する電気光学変調器であって、
基板と、
前記基板の第1の部分上の第1の導波管と、
前記基板の第2の部分上の第2の導波管と、
前記第1の導波管と接触している第1の電極であって、前記第1の導波管は、前記第1の電極と前記基板の前記第1の部分との間にある、前記第1の電極と、
前記第2の導波管と接触している第2の電極であって、前記第2の導波管は、前記第2の電極と前記基板の前記第2の部分との間にある、前記第2の電極と、
を備える、前記電気光学変調器。
【請求項2】
前記第1の電極と前記基板の前記第1の部分との間の第1の距離は、前記第2の電極と前記基板の前記第2の部分との間の第2の距離と実質的に同一であり、前記第1の距離及び前記第2の距離は各々、前記第1の導波管の光伝播軸に垂直である、請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項3】
前記第1の電極と接触している前記第1の導波管の面は、前記第2の電極と接触している前記第2の導波管の面と実質的に同一平面上にある、いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器。
【請求項4】
前記第1の導波管と前記第2の導波管との間に電気絶縁体を備える、いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器。
【請求項5】
前記第1の導波管と前記第2の導波管との間に流体、気体、または空気のうちの少なくとも1つを備える、いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器。
【請求項6】
前記第1の導波管または前記第2の導波管のうちの少なくとも1つは各々、
前記基板と接触しているn型半導体の部分と、
前記n型半導体の部分上の真性半導体の部分と、
前記真性半導体の部分上の第1のp型半導体の部分と、
前記第1のp型半導体の前記部分上にあり、かつ前記第1の電極と接触している第2のp型半導体の部分と、
を含む、いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器。
【請求項7】
前記第1の導波管または前記第2の導波管のうちの少なくとも1つは各々、
前記基板と接触している第1のn型半導体の部分と、
前記第1のn型半導体の部分上の真性半導体の部分と、
前記真性半導体の部分上の前記第1のn型半導体または第2のn型半導体の部分と、
前記第1のn型半導体または第2のn型半導体の前記部分上にあり、かつ前記第1の電極と接触しているp型半導体の部分と、
を含む、請求項1~5のいずれかに記載の電気光学変調器。
【請求項8】
前記第1の導波管または前記第2の導波管のうちの少なくとも1つは各々、
前記基板と接触しているn型半導体の部分と、
前記n型半導体の部分上にあり、かつ前記第1の電極と接触しているp型半導体の部分と、
を含む、請求項1~5のいずれかに記載の電気光学変調器。
【請求項9】
前記基板は、
半絶縁体層と、
前記半絶縁体層上のn型半導体層と、
を含む、いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器。
【請求項10】
前記第1の導波管が、約1μm~50μmの間だけ前記第2の導波管から間隔を空けられる、いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器。
【請求項11】
前記第1の導波管及び前記第2の導波管のうちの少なくとも1つの長さは、前記第1の導波管及び前記第2の導波管のそれぞれの前記光伝播軸に沿って0.5mm~5mmの間である、いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器。
【請求項12】
前記第1の導波管は、前記光伝播軸に垂直に、及び前記第1の電極と前記基板の前記第1の部分との間の距離に垂直に取られた幅において0.5μm~5μmの間である、いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器。
【請求項13】
前記第1の導波管または前記第2の導波管のうちの少なくとも1つは、InPを含む、いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器。
【請求項14】
前記第1の電極または前記第2の電極のうちの少なくとも1つは、金を含む、いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器。
【請求項15】
前記第1の電極と前記第2の電極との間に誘電材料を備える、いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器。
【請求項16】
いずれかの先行請求項に記載の電気光学変調器を備える、光集積回路。
【請求項17】
前記基板と前記第1の電極または前記第2の電極のうちの少なくとも1つとの間で電位差を適用するように構成される、請求項16に記載の光集積回路。
【請求項18】
前記第1の電極と前記第2の電極との間で第1の電位差または第2の電位差を適用するように構成される、請求項17に記載の光集積回路。
【請求項19】
光源と、
前記光源からの光を分割し、分割した後に、前記第1の導波管及び前記第2の導波管に前記光を方向付ける光学スプリッタと、
前記第1の導波管からの光及び前記第2の導波管からの光を結合する光学コンバイナと、
を備える、請求項16から18のいずれかに記載の光集積回路。
【請求項20】
前記光源は、半導体レーザである、請求項19に記載の光集積回路。
【請求項21】
前記第1の電極と前記光源との間に電気絶縁体を備える、請求項19または20に記載の光集積回路。
【請求項22】
電気光学変調のためのシステムであって、
請求項19に記載の、または請求項18に従属するときに請求項19~20のいずれかに記載の光集積回路と、
コントローラと、を備え、前記コントローラは、
前記基板と前記第1の電極または前記第2の電極の少なくとも1つとの間で前記電位差を適用し、
前記第1の電極と前記第2の電極との間で前記第1の電位差を適用することと、前記第2の電位差を適用することとを切り替える、
ように構成される、前記システム。
【請求項23】
前記第1の電位差と前記第2の電位差との間のボルトにおける差は、前記第1の導波管を通じて伝播する光が180°だけ前記第2の導波管を通じて伝播する光から位相シフトされるようなものである、請求項22に記載の電気光学変調のためのシステム。
【請求項24】
請求項22または23に記載のシステムを使用して光学信号を変調する方法であって、
前記光源が入力光学信号を生成することと、
前記光学スプリッタが少なくとも第1の光学信号及び第2の光学信号に前記入力光学信号を分割することと、
前記コントローラが前記基板と前記第1の電極または前記第2の電極のうちの少なくとも1つとの間で前記電位差を適用することと、
前記コントローラが前記第1の電極と前記第2の電極との間で前記第1の電位差を適用することと、
前記光学コンバイナが前記第1の導波管からの第1の光学信号及び前記第2の導波管からの第2の光学信号を結合して、出力光学信号を出力することと、
前記コントローラが前記第1の電極と前記第2の電極との間で前記第1の電位差を適用することから、代わりに前記第2の電位差を適用することに切り替えて、前記結合された光学信号の強度を変化させることと、
を含む、前記方法。
【請求項25】
請求項1~16のいずれかに記載の電気光学変調器を製造する方法であって、
前記基板を提供することと、
前記基板の前記第1の部分上で前記第1の導波管を少なくとも部分的に形成することと、
前記基板の前記第2の部分上で前記第2の導波管を少なくとも部分的に形成することと、
前記第1の導波管と接触して前記第1の電極を少なくとも部分的に形成することであって、前記第1の導波管は、前記第1の電極と前記基板の前記第1の部分との間にある、前記少なくとも部分的に形成することと、
前記第2の導波管と接触して第2の電極を少なくとも部分的に形成することであって、前記第2の導波管は、前記第2の電極と前記基板の前記第2の部分との間にある、前記少なくとも部分的に形成することと、
を含む、前記製造する方法。
【請求項26】
前記基板は、前記電気光学変調器を含む光集積回路に対してモノリスである、請求項25に記載の製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電気信号を変調することによって光学信号の強度を変調するために電気光学変調器が使用される。これは、例えば、光学通信システム及び光学システムに対して、電気信号を光学信号に変換することを可能にする。光学信号のより高速の変調は、より正確な光学データ伝送及びより高速の光学データ伝送を可能にすることができる。
【0002】
様々な機能を実行するために、光集積回路(PIC)において半導体構造が使用されることができる。PICに対する改善された電気光学変調器を提供することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】実施例に係る実施例の電気光学変調器の一部の断面図を概略的に示す。
図2図1の電気光学変調器の一部の平面図を概略的に示す。
図3図1の電気光学変調器の一部の側面図を概略的に示す。
図4】異なる実施例に係る異なる電気光学変調器の一部の断面図を概略的に示す。
図5】異なる実施例に係る異なる電気光学変調器の一部の断面図を概略的に示す。
図6】異なる実施例に係る異なる電気光学変調器の一部の断面図を概略的に示す。
図7】異なる実施例に係る異なる電気光学変調器の一部の断面図を概略的に示す。
図8】実施例に係る電位差の適用を概略的に示す。
図9】実施例に係る光集積回路の平面図を概略的に示す。
図10】更なる実施例に係る光集積回路の平面図を概略的に示す。
図11】実施例に係る電気光学変調のためのシステムの平面図を概略的に示す。
図12】実施例に係る光学信号を変調する方法を例示する。
図13】実施例に係る電気光学変調器を製造する方法を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本明細書で説明される実施例は、PICにおける使用のための電気光学変調器に関連する。より具体的に、本明細書で説明される実施例は、電気信号に応答して光学信号を変調する半導体構造を含む。変調器の第1の導波管と第2の導波管との間の有効な光学経路長における差を変調すること、及び各導波管からの出力を結合及び干渉することは、建設的な干渉及び破壊的な干渉に起因して、出力の強度の変調を可能にする。第1の導波管と第2の導波管との間の有効な光学経路長における差を変調することは、電気光学効果に起因して、第1の導波管にわたって適用される電位差と第2の導波管にわたって適用される電位差との間の差を変調することによって達成される。いくつかの実施例では、電気光学変調器は、マッハツェンダー変調器である。マッハツェンダー変調器は、高速な変調速度及び大きな光学的消光を与える。
【0005】
実施例では、PICに対する電気光学変調器(100)は、基板(150)と、基板の第1の部分上の第1の導波管(130)と、基板の第2の部分上の第2の導波管(140)と、第1の導波管上にあり、かつ第1の導波管と接触している第1の電極(114)と、第2の導波管上にあり、かつ第2の導波管と接触している第2の電極(124)とを含む。一部のそのような実施例は、図1~3によって例示され、対応する参照符号がこの段落において先に与えられる。
【0006】
第1の電極と基板の第1の部分との間の第1の導波管により、第1の電極は、例えば、基板の第1の部分上の第1の積層の一部であると考えられることができる。この積層は、基板上で、相対的に小さいエリアまたはフットプリントを占有することで、より小型の変調器に寄与することができる。基板の第2の部分上の第2の積層として考えられることができるものの一部として、同様の理由付けが第2の電極に適用され、より小型の変調器に寄与する。更に、説明されるような導波管上の電極により、既知の実施例よりも各々に近くに、2つの電極が位置付けられ得ることで、例えば、既知の代替物よりも低いキャパシタンスにより変調器を設計することを支援することができる。
【0007】
当業者は、導波管が光をガイドするためであることを認識するであろう。光は、導波管内で伝播し、導波管の境界における反射に起因して、導波管内で制限される。導波管は通常、光の制限が望まれる境界において導波管と接触している材料の屈折率よりも高い屈折率を有する。例えば、光の制限が望まれる境界におけるこの屈折率の差に起因して、導波管のそれらの境界における入射の角度が臨界角よりも大きいときに、総内部反射が発生する。このようにして、導波管は、光の伝播をガイドする。導波管内で伝播するための特定の光学モードについて、導波管の境界において反射した光が建設的な干渉のための条件を満たすことが望ましい。
【0008】
図1~3の実施例などの実施例では、第1の電極と基板の第1の部分との間の第1の距離(D1)は、第2の電極と基板の第2の部分との間の第2の距離(D3)と実質的に同一である(例えば、許容可能な製造及び/または性能公差内にある)。第1の距離及び第2の距離は各々、第1の導波管の光伝播軸(L1)(縦方向寸法において取られる)に垂直である。第2の導波管の光伝播軸(L2)は、実施例では、第1の導波管の光伝播軸に平行である。そのような実施例では、基板は、平坦面を有し、基板の第1の部分及び第2の部分と、平坦面の第1の部分及び第2の部分とは、相互に同一の二次元平面にある。
【0009】
そのような第1の距離及び第2の距離は、汎用的なPICプラットフォームへの電気光学変調器の統合を促進することができ、汎用的なPICプラットフォームでは、よりシンプルな、より安価な、且つPICのより迅速な組み立てを可能にするように、電極の全てが基板から同一の距離であることが必要とされる。
【0010】
例えば、図1~3に例示されるように、第1の電極と接触している第1の導波管の面は、第2の電極と接触している第2の導波管の面と実質的に同一平面上にある。当業者は、2つの面が同一の二次元平面(P1)にあるとき(許容可能な製造及び/または性能公差内にある)、両方の面が実質的に同一平面上にあることを認識するであろう。そのような同一平面上にあることは、例えば、電極の間のキャパシタンスを低減させて、第1の電極と第2の電極との間の電位差のより高速な変調を与える。いくつかの実施例では、これは、100GHzの演算及び150Gbpsの非ゼロ復帰(NRZ)演算を可能にするが、変調器の要素、例えば、導波管及び電極の選択された寸法及び材料に応じて、より優れた性能又は劣る性能が想定される。
【0011】
図1~3によって例示される実施例などの実施例では、第1の電極の幅(D7)は、第1の導波管の幅(D8)よりも大きい。同様に、第2の電極の幅は、第2の導波管の幅よりも大きい。幅の各々は、第1の導波管の光伝播軸(L1)に垂直である。いくつかの実施例では、第1の電極のうちの少なくとも1つの部分及び/または第2の電極の部分の各々は、第1の導波管及び第2の導波管それぞれの外面を超えて延在する。このようにして、電極の部分の各々は、第1の導波管または第2の導波管のそれぞれの1つを下に有さずに、フリーハングまたはオーバハングすると考えられることができる。これは、第1の電極及び第2の電極の或る寸法及び/または容積が特定の変調器性能のために望ましい場合、所望の変調器性能のための第1の導波管及び第2の導波管の寸法は、電極寸法とはより独立して選択されることができることを意味する。例えば、電極は、第1の導波管と第2の導波管との間の所望の距離(D5)に影響を及ぼすことなく、相互からより近く又は相互から更に離れて位置付けられることができる。
【0012】
例えば、図1~3によって例示されるように、第1の導波管の縦方向面(S1)(第2の導波管に最も近い)は、第2の導波管の面(S2)(第1の導波管に最も近い)から間隔を空けられ、第1の電極の面(S3)(第2の電極に最も近い)と実質的に同一平面上にある(許容可能な製造及び/または性能公差内にある)。第1の導波管に最も近い第2の導波管の面は、第1の電極に最も近い第2の電極の面と同一平面上にある。このようにして、導波管の間の間隔及び電極の間の距離は同一であるため、製造を促進することができるが(例えば、1つのチャネルは、電極の内面及び導波管の内面を形成するようにエッチング加工されることができる)、変調器の所望の性能のためにそのような電極間の間隔及び導波管間の間隔を単純に得ることもできる。
【0013】
図1~3の実施例などの実施例では、導波管上に電極を位置付けることによって、及び十分に狭い幅を有する導波管により、ラインの所望のキャパシタンス及びインダクタンスが得られることができる。結果として、そのような実施例は、マイクロ波損失を低減させ、容量的負荷なしに望ましいインピーダンス整合により光学信号への速度整合を達成する。他の電気光学変調器及び光学変調の方法では、電極設計に起因して、高い電気損失によって帯域幅が制約され、ラインインピーダンスは、高周波数において30オーム(Ω)に制限され、それは、望ましくない電気反射につながる。
【0014】
第1の導波管と第2の導波管との間の距離は、例えば、1マイクロメートル(μm)~50μmの間である。いくつかの実施例では、第1の導波管または第2の導波管のうちの少なくとも1つは、それぞれの光伝播軸に沿った長さにおいて0.5ミリメートル(mm)~5mmの間である。第1の導波管または第2の導波管のうちの少なくとも1つは、例えば、光伝播軸に垂直な幅において0.5μm~5μmの間である。そのような寸法は、電気光学変調器に対して望ましい、例えば、経路長変調、キャパシタンス、及び/またはフットプリント特性に寄与する。
【0015】
基板は、例えば、周期律表のIII族及びV族からの元素の化合物、例えば、リン化インジウム(InP)などのいわゆるIII-V半導体化合物である。
【0016】
実施例では、第1の導波管及び第2の導波管の各々は、同一の構造を有し、よって、同一の材料から形成される。例えば、導波管の各々は、InPを含み、例えば、InPから形成される。強力な電気光学効果を有するそのような半導体材料を使用して、低い電気損失及び低い光学損失が汎用プラットフォームに対して達成されることができる。
【0017】
当業者が認識するように、各々の電極は、金(Au)などの十分に高い導電性材料を含み、例えば、十分に高い導電性材料から形成される。他の実施例では、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、カーボン(C)、カドミウム(Cd)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)などの他の導電体が想定される。
【0018】
第1の導波管と第2の導波管との間で、例えば、流体、気体、または空気のうちの少なくとも1つが存在する。第1の導波管及び第2の導波管のこの分離は、第1の導波管と第2の導波管との間の光学干渉を低減させ、第1の導波管と第2の導波管との間の電気クロストークを低減させることを支援する。
【0019】
同様に、第1の電極と第2の電極との間で、例えば、導波管の同一の流体、気体、または空気であり得る、流体、気体、または空気のうちの少なくとも1つが存在し、また、電極の間に材料のみがあり得る。電極の間の材料の選択は、電極の間のキャパシタンス及びインピーダンスに影響を及ぼし、変調器に対するそれらの性質を変えることを可能にする。
【0020】
ここで、図4~13を参照して、更なる実施例が説明される。
【0021】
図4は、PICに対する電気光学変調器(200)の一部の実施例を例示する。それらの実施例の特徴は、上記説明された特徴と同様であり、100の代わりに200だけ増分した同一の参照符号を使用して参照され、そのような特徴に対する対応する説明もここでは適用される。
【0022】
第1の導波管(230)は、基板と接触しているn型半導体の部分(206)と、n型半導体の部分上の真性半導体の部分(208)と、真性半導体の部分上の第1のp型半導体の部分(210)と、第1のp型半導体の部分上にあり、かつ第1の電極(214)と接触している第2のp型半導体の部分(212)とを含む。第2の導波管(240)は、基板と接触しているn型半導体の第2の部分(216)と、n型半導体の第2の部分上の真性半導体の第2の部分(218)と、真性半導体の第2の部分上の第1のp型半導体の第2の部分(220)と、第1のp型半導体の第2の部分上にあり、かつ第2の電極(224)と接触している第2のp型半導体の第2の部分(222)とを含む。第1の導波管及び第2の導波管の各々のこの構造は、垂直n-i-p-p半導体構造を提供し、それは、いくつかの実施例では、電気光学変調器のサイズを低減させ、高速の電気光学変調のために適切な導波管を提供する。
【0023】
図4などの実施例における基板は、半絶縁体(202)と、半絶縁体の面上のn型半導体(204)の面とを含む。n型半導体(204)の面は、PICへの電気光学変調器(200)の統合の簡易化につながる。
【0024】
図5は、PICに対する電気光学変調器(300)の一部の更なる実施例を例示する。それらの実施例の特徴は、上記説明された特徴と同様であり、100または200の代わりに300だけ増分した同一の参照符号を使用して参照され、そのような特徴に対する対応する説明もここでは適用される。第1の導波管(330)は、基板(350)と接触している第1のn型半導体の部分(306)と、第1のn型半導体の部分上の真性半導体の部分(308)と、真性半導体の部分上の第1のn型半導体の部分または第2のn型半導体の部分(310)と、第1のn型半導体の部分または第2のn型半導体の部分上にあり、かつ第1の電極(314)と接触しているp型半導体の部分(312)とを含む。第2の導波管(340)は、基板(350)と接触している第1のn型半導体の第2の部分(316)と、第1のn型半導体の第2の部分上の真性半導体の第2の部分(318)と、真性半導体の第2の部分上の第1のn型半導体の更なる部分または第2のn型半導体の更なる部分(320)と、第1のn型半導体の更なる部分または第2のn型半導体の更なる部分上にあり、かつ第2の第1の電極(324)と接触しているp型半導体の第2の部分(322)とを含む。第1の導波管及び第2の導波管の各々のこの構造は、垂直(例示されるような)n-i-n-p半導体構造を提供し、それは、いくつかの実施例では、電気光学変調器のサイズを低減させ、高速の電気光学変調のために適切な導波管を提供するためのものである。
【0025】
図6は、PICに対する電気光学変調器(400)の一部の他の実施例を例示する。それらの実施例の特徴は、上記説明された特徴と同様であり、100、200、または300の代わりに400だけ増分した同一の参照符号を使用して参照され、そのような特徴に対する対応する説明もここでは適用される。第1の導波管(430)は、基板(450)と接触しているn型半導体の部分(406)と、n型半導体の部分上にあり、かつ第1の電極(414)と接触しているp型半導体の部分(410)とを含む。第2の導波管(440)は、基板(450)と接触しているn型半導体の第2の部分(416)と、n型半導体の第2の部分上にあり、かつ第2の電極(424)と接触しているp型半導体の第2の部分(420)とを含む。第1の導波管及び第2の導波管の各々のこの構造は、垂直(例示されるような)n-p半導体構造を提供し、それは、いくつかの実施例では、構造の製造の複雑度及びコストを低減させる。
【0026】
図7は、PICに対する電気光学変調器(500)の一部の実施例を例示する。それらの実施例の特徴は、上記説明された特徴と同様であり、100、200、300、または400の代わりに500だけ増分した同一の参照符号を使用して参照され、そのような特徴に対する対応する説明もここでは適用される。図7は、PICに対する実施例の電気光学変調器(500)を例示し、実施例の電気光学変調器(500)は、第1の電極(514)と第2の電極(524)との間の固体誘電材料(570)と、第1の導波管(530)と第2の導波管(540)との間の固体電気絶縁体(560)とを含む。誘電材料は、第1の電極と第2の電極との間のキャパシタンス及びインピーダンスに影響を及ぼし、電気絶縁体は、第1の導波管と第2の導波管との間の光学干渉に影響を及ぼす。したがって、誘電材料及び電気絶縁体の各々は、変調器の性能についてのそれらの性質を変えることを可能にする。誘電材料は、例えば、ポリイミドであるが、他の誘電材料が想定される。電気絶縁体は、例えば、固体硬化ポリマであるが、他の実施例では、他の固体誘電材料などの他の固体材料が第1の導波管(530)と第2の導波管(540)との間に配列され得る。
【0027】
図8は、実施例に係る、第1の導波管または第2の導波管のうちの少なくとも1つがバイアスされることを可能にする、基板と第1の電極または第2の電極のうちの少なくとも1つとの間で電位差(680)を適用することを概略的に例示する。図8はまた、第1の電極と第2の電極との間で第1の電位差または第2の電位差(ボルトの大きさに応じた)(690)を適用することを例示する。第1の電極と第2の電極との間の電位差を変調することは、第1の導波管にわたる電位差と第2の導波管にわたる電位差との間の差を変調しまたは変化させ、したがって、電気光学効果に起因して、第1の導波管と第2の導波管との間の有効な光学経路長における差を変調しまたは変化させる。実施例は、変調のプッシュプル方法において構成されるが、単一の駆動などの変調の他の方法が想定される。認識されるように、それらの実施例の特徴は、上記説明された特徴と同様であり、600だけ増分した同一の参照符号を使用して参照され、そのような特徴に対する対応する説明もここでは適用される。
【0028】
図9は、実施例に係る、本明細書で説明される実施例の電気光学変調器(700)を含む光集積回路(770)を概略的に例示する。PICなどの汎用光プラットフォームに電気光学変調器を組み込むことは、他のコンポーネントとの電気光学変調器の組み合わせを可能にする。PICは、単一のモノシリック基板及びその上の複数の光学コンポーネントと共に、モノシリックPICとして考えられることができる。当業者は、PICがIII-V半導体プラットフォームから形成されることが多いことを認識するであろう。そのようなPICは、光学入力または出力なしに完全に包含されることができ、コンピュータ及びスマートフォンなどのデバイスにそれが統合されることができるのに十分に小型である。PICにおける使用のための半導体プラットフォームは、材料を含み、PICの意図した用途によって製造される。PICのいくつかの実施例は、所望の方式においてPICの1つの部分から別の部分に光が伝播することを可能にする導波管構造を含む。PICのいくつかの実施例は、PIC上の電極または他の電気接点への適切な電気的接続によって、PICのコンポーネントの外部制御を可能にする電気回路を含む。本明細書における実施例では、以下で更に説明されるように、第1の電極(714)及び第2の電極(724)は、変調を制御する電気回路への電気的接続のためのものである。認識されるように、それらの実施例の特徴は、上記説明された特徴と同様であり、700だけ増分した同一の参照符号を使用して参照され、そのような特徴に対する対応する説明もここでは適用される。
【0029】
図10は、PIC(870)の実施例を例示し、PIC(870)は、本明細書で説明される実施例の電気光学変調器(800)と、光源(880)と、光源からの光を分割し、光を分割した後に第1の電極(814)の下にある第1の導波管及び第2の電極(824)の下にある第2の導波管に光を方向付ける光学スプリッタ(810)と、第1の導波管及び第2の導波管からの光を結合する光学コンバイナ(830)とを含む。光源の波長は、例えば、10ナノメートル~1ミリメートルの間である。いくつかの実施例では、光源は、例えば、電気光学変調器と同一の基板上への光源の統合を可能にする半導体レーザである。ダイオード、ソリッドステートレーザ、ガスレーザ、またはランプなどの他の光源が代替として想定される。光学スプリッタ及び光学コンバイナは、例えば、2×1のマルチモード干渉計を含むが、他のマルチモード干渉計、ビームスプリッタ、光学光ファイバカプラ、または光学ファイバスプリッタなどの他の光学コンバイナ及び光学スプリッタが、更なる実施例のために想定される。それらの実施例の特徴は、上記説明された特徴と同様であり、800だけ増分した同一の参照符号を使用して参照され、そのような特徴に対する対応する説明もここでは適用される。
【0030】
実施例では、光源と光学スプリッタとの間の接続、光学スプリッタと第1の導波管及び第2の導波管との間の接続、並びに光学コンバイナと第1の導波管及び第2の導波管との間の接続は、異なる実施例において異なる方法において達成される。いくつかの実施例では、それらの接続は、導波管により達成されるが、他の実施例では、自由空間伝播及び光ファイバ接続などの他の接続が想定される。いくつかの実施例では、先細り導波管は、光源及び光学スプリッタ、光学スプリッタ及び第1の導波管及び第2の導波管、または光学コンバイナ及び第1の導波管及び第2の導波管を接続する。
【0031】
いくつかの実施例は、第1の電極と光源との間の電気絶縁体を含む。これは、第1の電極と光源との間の電気的干渉を低減させることを可能にする。電気絶縁体部分は例えば、電極と源との間のクロストークを十分に低減させるための十分に低い導電性を有する。
【0032】
図11は、電気光学変調のためのシステムの実施例を概略的に例示し、システムは、前に説明されたようなPIC(970)と、コントローラ(992)とを含み、コントローラ(992)は、基板と第1の電極または第2の電極のうちの少なくとも1つとの間で電位差を適用し、第1の電極と第2の電極との間で第1の電位差を適用することと、第2の電位差を適用することとを切り替えるように構成される。コントローラは、直流(DC)電位差及び/または交流(AC)電位差を適用するための、電源もしくはドライバで有り得、または電源もしくはドライバを含み得る。PICは、電気光学変調器(900)の一部と、第1の電極及び第2の電極及びコントローラに接続された電気接続(990)とを含む。いくつかの実施例では、第1の電位差と第2の電位差との間のボルトにおける差は、第1の導波管を通じて伝播する光が180°だけ第2の導波管を通じて伝播する光から位相シフトされるものであり、それらの実施例の特徴は、上記説明された特徴と同様であり、900だけ増分した同一の参照符号を使用して参照され、そのような特徴に対する対応する説明もここでは適用される。
【0033】
図12は、実施例に係る光学信号を変調する方法を概略的に例示し、方法は、光源が入力光学信号を生成することと、光学スプリッタが少なくとも第1の光学信号及び第2の光学信号に入力光学信号を分割することと、コントローラが基板と第1の電極または第2の電極のうちの少なくとも1つとの間で電位差を適用することと、コントローラが第1の電極と第2の電極との間で第1の電位差を適用することと、光学コンバイナが第1の導波管からの第1の光学信号及び第2の導波管からの第2の光学信号を結合して、出力光学信号を出力することと、コントローラが第1の電極と第2の電極との間で、第1の電位差を適用することから代わりに第2の電位差を適用することに切り替えて、結合された光学信号の強度を変化させることと、を含む。
【0034】
図13は、実施例に係る電気光学変調器を製造する方法を概略的に例示し、方法は、基板を提供することと、基板の第1の部分上で第1の導波管を少なくとも部分的に形成することと、基板の第2の部分上で第2の導波管を少なくとも部分的に形成することと、第1の導波管と接触して第1の電極を少なくとも部分的に形成することであって、第1の導波管は、第1の電極と基板の第1の部分との間にある、形成することと、第2の導波管と接触して第2の電極を少なくとも部分的に形成することであって、第2の導波管は、第2の電極と基板の第2の部分との間にある、形成することと、を含む。基板、導波管、半導体の部分、または電極を少なくとも部分的に形成する技術の実施例は、有機金属気相成長法、表面パッシベーション、フォトリソグラフィ、イオン注入、エッチング、ドライエッチング、イオンエッチング、ウェットエッチング、緩衝酸化膜エッチング、プラズマアッシング、熱処理、アニーリング、熱酸化、化学蒸着、原子層蒸着、物理蒸着、分子線エピタキシ、レーザリフトオフ、電気化学堆積、電気メッキ、または化学機械研磨である。いくつかの実施例では、当業者が認識するように、パターンニングの一部として、材料の部分を取り除くためにエッチング技術が使用される。いくつかの実施例では、基板は、より複合的な回路への電気光学変調器の統合を可能にする、電気光学変調器を含むPICに対してモノリスである。
【0035】
上記実施例は、発明の例示的な実施例として理解されることになる。発明の更なる実施例が想定される。例えば、本明細書で説明される半導体、半絶縁体、及び絶縁体は、リン化インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化ガリウム(GaN)、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)、インジウムアルミニウムヒ素(InAlAs)、アルミニウムガリウムインジウムアルミニウムガリウムヒ素(InAlGaAs)、インジウムガリウムヒ素リン化物(InGaAsP)、シリコン(Si)、窒化シリコン(Si)、または酸化シリコン(SiO)のうちの少なくとも1つであり得るが、他の半導体、半絶縁体、及び絶縁体材料が想定される。
【0036】
いずれか1つの実施例と関連して説明されたいずれかの特徴は、単独で、または説明された他の特徴との組み合わせで使用され得、また、実施例のいずれかのその他の1つ以上の特徴との組み合わせで、または実施例のいずれかのその他のいずれかの組み合わせで使用され得ることを理解されよう。更に、添付の請求項の範囲から逸脱することなく、上記説明されていない同等物及び修正も採用され得る。
図1
図2
図3
図4
【図
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】