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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】スクロール圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
F04C18/02 311X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515703
(86)(22)【出願日】2023-03-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 KR2023003683
(87)【国際公開番号】W WO2023204456
(87)【国際公開日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2022-0048484
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジョン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,クァン ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,キョン ジェ
【テーマコード(参考)】
3H039
【Fターム(参考)】
3H039AA04
3H039AA12
3H039BB28
3H039CC02
3H039CC03
3H039CC28
(57)【要約】
【課題】中間圧の冷媒を導入して圧縮室から吐出される冷媒吐出量の増加によって圧縮機の性能及び効率を向上できるスクロール圧縮機を提供する。
【解決手段】ハウジングと、ハウジング内に設けられたモータと、モータによって回転される回転軸と、回転軸に連動して旋回運動する旋回スクロールと、旋回スクロールとに圧縮室を形成する固定スクロールと、を含み、ハウジングは、圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室を形成するリアハウジングを含み、固定スクロールとリアハウジングの隔壁との間には、リアハウジング内のハウジングの外部 から冷媒が流入する導入室を区画し、前記導入室の冷媒を前記圧縮室に案内する注入弁組立体が備えられ、前記隔壁には前記注入弁組立体の一部が着座する段差が設けられることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に備えられるモーターと、
前記モーターにより回転される回転軸と、
前記回転軸に連動されて旋回運動される旋回スクロールと、
前記旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロールと、を含み、
前記ハウジングは、前記圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室を形成するリアハウジングを含み、
前記固定スクロールと前記リアハウジングの隔壁の間には、前記リアハウジング内に前記ハウジングの外部から冷媒が流入する導入室を区画して前記導入室の冷媒を前記圧縮室に案内する注入バルブ組立体が備えられ、
前記隔壁には前記注入バルブ組立体の一部が装着される段差が備えられることを特徴とするスクロール圧縮機。
【請求項2】
前記隔壁は内部に前記導入室の空間を形成するように前記リアハウジングのリア鏡板から突出し、前記段差は前記隔壁の内側周りに沿って形成されることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項3】
前記注入バルブ組立体は前記吐出室と前記導入室の間の漏洩を防止するためのガスケットリテーナーを含み、前記ガスケットリテーナーは前記段差を囲むように前記隔壁に結合されることを特徴とする請求項2に記載のスクロール圧縮機。
【請求項4】
前記ガスケットリテーナーの周り形状及び寸法は前記隔壁の外側周り形状及び寸法と同じであることを特徴とする請求項3に記載のスクロール圧縮機。
【請求項5】
前記注入バルブ組立体は、
前記段差に装着されて、前記導入室の冷媒が流入する流入口を有するカバープレートと、
前記カバープレートと前記ガスケットリテーナーの間に介在されて前記流入口を開閉する注入バルブと、
前記ガスケットリテーナーに結合されて、前記流入口を通じて流入した冷媒が流出する流出口を有するバルブプレートと、をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のスクロール圧縮機。
【請求項6】
前記段差の外側周り形状及び寸法は前記カバープレートの周り形状及び寸法と同じであることを特徴とする請求項5に記載のスクロール圧縮機。
【請求項7】
前記段差の高さ(h)は前記カバープレートの厚さ(t)と同じであることを特徴とする請求項5に記載のスクロール圧縮機。
【請求項8】
前記ガスケットリテーナーは前記隔壁と前記バルブプレートの間で圧縮されて、前記注入バルブは前記ガスケットリテーナーと前記カバープレートの間で圧縮されることを特徴とする請求項5に記載のスクロール圧縮機。
【請求項9】
前記ガスケットリテーナーは、
前記隔壁に対向されるガスケットリテーナー上面に突出形成されるビード部を含み、
前記ビード部は前記注入バルブを囲むことを特徴とする請求項8に記載のスクロール圧縮機。
【請求項10】
前記ガスケットリテーナーが前記隔壁と前記バルブプレートの間に組み立てられる時、前記ビード部は前記隔壁により前記バルブプレートに向かう方向に押さえられて、前記注入バルブと向き合う前記ガスケットリテーナーの内側部分は前記注入バルブに向かう方向に曲がることを特徴とする請求項9に記載のスクロール圧縮機。
【請求項11】
前記ガスケットリテーナーは、
前記注入バルブが開かれる方向に傾斜加工される1つ以上のリテーナー部をさらに含む請求項9に記載のスクロール圧縮機。
【請求項12】
締結ボルトが前記バルブプレート及び前記ガスケットリテーナーを貫通して前記リアハウジングに締結されることを特徴とする請求項5に記載のスクロール圧縮機。
【請求項13】
位置決定ピンは一端が前記バルブプレートに挿入されて、前記ガスケットリテーナー、前記注入バルブ及び前記カバープレートを貫通して、他端が前記リアハウジングに挿入されることを特徴とする請求項5に記載のスクロール圧縮機。
【請求項14】
前記ハウジングは、前記回転軸が貫通するセンターハウジングと、前記センターハウジングと共に前記モーターが収容されるモーター収容空間を形成するフロントハウジングと、をさらに含み、
吸入冷媒は前記フロントハウジングを通じて流入して前記圧縮室に導入されて、前記ハウジングの外部に吐出される冷媒の中の少なくとも一部が中間圧状態で前記ハウジングの外部から前記導入室に流入して前記注入バルブ組立体を通じて前記圧縮室に流入することを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクロール圧縮機に係り、さらに詳細には、スクロール圧縮機の圧縮室に吸入圧の冷媒だけではなく、中間圧の冷媒を導入して圧縮室から吐出される冷媒吐出量を増加させることによって圧縮機の性能及び効率を向上できるスクロール圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車には室内の冷暖房のための空調装置(Air Conditioning;A/C)が設置される。このような空調装置は冷房システムの構成として蒸発器から引き込まれた低温低圧の気相冷媒を高温高圧の気相冷媒に圧縮させて凝縮機に送る圧縮機を含む。
【0003】
圧縮機にはピストンの往復運動によって冷媒を圧縮する往復式と、回転運動をしながら圧縮を行う回転式がある。往復式には駆動源の伝達方式によってクランクを使用して複数個のピストンに伝達するクランク式、斜板が設置されるシャフトに伝達する斜板式などがあり、回転式には回転するロータリー軸とベインを使用するベインロータリー式、旋回スクロールと固定スクロールを使用するスクロール式がある。
【0004】
スクロール圧縮機は他の種類の圧縮機に比べて相対的に高い圧縮比を得ることができ、冷媒の吸入、圧縮、吐出行程がスムーズにつながり安定したトルクを得られるという長所のため、空調装置などで冷媒圧縮用に広く使われている。
【0005】
図1は従来のスクロール圧縮機を図示する断面図である。
添付の図1を参照すれば、従来のスクロール圧縮機は、ハウジング(100)、ハウジング(100)内に備えられるモーター(200)、モーター(200)により回転される回転軸(300)、回転軸(300)に連動されて旋回運動される旋回スクロール(400)及び旋回スクロール(400)と共に圧縮室(C)を形成する固定スクロール(500)を含む。
【0006】
このような構成による従来のスクロール圧縮機は、モーター(200)に電源が印加されれば回転軸(300)がモーター(200)の回転子と共に回転されて、旋回スクロール(400)が回転軸(300)に連動されて旋回運動されて、このような旋回スクロール(400)の旋回運動により冷媒は圧縮室(C)に吸入されて圧縮されて、圧縮室(C)から吐出される一連の過程が繰り返される。
【0007】
しかし、このような従来のスクロール圧縮機においては、圧縮室(C)から吐出される冷媒吐出量が決まっており、圧縮機の性能及び効率向上に限界があるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、スクロール圧縮機の圧縮室に吸入圧の冷媒だけではなく、中間圧の冷媒を導入して圧縮室から吐出される冷媒吐出量を増加させることによって圧縮機の性能及び効率を向上できるスクロール圧縮機を提供することをその目的とする。
本発明が実現しようとする技術的課題は前述した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は下記から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に分かるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するための本発明の一実施例は、ハウジングと、前記ハウジング内に備えられるモーターと、前記モーターにより回転される回転軸と、前記回転軸に連動されて旋回運動される旋回スクロールと、前記旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロールと、を含み、前記ハウジングは、前記圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室を形成するリアハウジングを含み、前記固定スクロールと前記リアハウジングの隔壁の間には、前記リアハウジング内に前記ハウジングの外部から冷媒が流入する導入室を区画して前記導入室の冷媒を前記圧縮室に案内する注入バルブ組立体が備えられ、前記隔壁には前記注入バルブ組立体の一部が装着される段差が備えられることを特徴とする、スクロール圧縮機を提供する。
【0010】
実施例によって、前記隔壁は内部に前記導入室の空間を形成するように前記リアハウジングのリア鏡板から突出し、前記段差は前記隔壁の内側周りに沿って形成されることができる。
【0011】
実施例によって、前記注入バルブ組立体は前記吐出室と前記導入室の間の漏洩を防止するためのガスケットリテーナーを含み、前記ガスケットリテーナーは前記段差を囲むように前記隔壁に結合されることができる。
【0012】
実施例によって、前記ガスケットリテーナーの周り形状及び寸法は前記隔壁の外側周り形状及び寸法と同一であることができる。
【0013】
実施例によって、前記注入バルブ組立体は、前記段差に装着されて、前記導入室の冷媒が流入する流入口を有するカバープレートと、前記カバープレートと前記ガスケットリテーナーの間に介在されて前記流入口を開閉する注入バルブと、前記ガスケットリテーナーに結合されて、前記流入口を通じて流入した冷媒が流出する流出口を有するバルブプレートと、をさらに含むことができる。
【0014】
実施例によって、前記段差の外側周り形状及び寸法は前記カバープレートの周り形状及び寸法と同一であることができる。
【0015】
実施例によって、前記段差の高さ(h)は前記カバープレートの厚さ(t)と同一であることができる。
【0016】
実施例によって、前記ガスケットリテーナーは前記隔壁と前記バルブプレートの間で圧縮されて、前記注入バルブは前記ガスケットリテーナーと前記カバープレートの間で圧縮されることができる。
【0017】
実施例によって、前記ガスケットリテーナーは、前記隔壁に対向されるガスケットリテーナー上面に突出形成されるビード部を含み、前記ビード部は前記注入バルブを囲むことができる。
【0018】
実施例によって、前記ガスケットリテーナーが前記隔壁と前記バルブプレートの間に組み立てられる時、前記ビード部は前記隔壁により前記バルブプレートに向かう方向に押さえられ、前記注入バルブと向き合う前記ガスケットリテーナーの内側部分は前記注入バルブに向かう方向に曲がることができる。
【0019】
実施例によって、前記ガスケットリテーナーは、前記注入バルブが開かれる方向に傾斜加工される1つ以上のリテーナー部をさらに含むことができる。
【0020】
実施例によって、締結ボルトが前記バルブプレート及び前記ガスケットリテーナーを貫通して前記リアハウジングに締結されることができる。
【0021】
実施例によって、位置決定ピンは一端が前記バルブプレートに挿入されて、前記ガスケットリテーナー、前記注入バルブ及び前記カバープレートを貫通して、他端が前記リアハウジングに挿入されることができる。
【0022】
実施例によって、前記ハウジングは、前記回転軸が貫通するセンターハウジングと、前記センターハウジングと共に前記モーターが収容されるモーター収容空間を形成するフロントハウジングと、をさらに含み、吸入冷媒は前記フロントハウジングを通じて流入して前記圧縮室に導入されて、前記ハウジングの外部に吐出される冷媒の中の少なくとも一部が中間圧状態で前記ハウジングの外部から前記導入室に流入して前記注入バルブ組立体を通じて前記圧縮室に流入することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スクロール圧縮機の圧縮室に吸入圧の冷媒だけではなく、中間圧の冷媒が導入されることによって圧縮室から吐出される冷媒吐出量を増加させることができ、圧縮機の性能及び効率を向上させることができる。
【0024】
また、注入バルブ組立体の一部、例えばカバープレートがリアハウジングの隔壁に備えられる段差に装着されることによってカバープレート自体が吐出室と導入室の間の内部漏洩を防止するシーリング役割を果たすことができる。それにより、カバープレートとリアハウジングの隔壁の間に別途のオーリング(O-ring)とオーリングのためのグルーブ加工を要せず、部品数と加工時間及び費用を削減することができ、オーリングがグルーブから離脱する問題が発生しない。
【0025】
また、注入バルブ組立体が段差を囲むように隔壁に結合されるガスケットリテーナーを含むことによって、単一のシーリング部材(ガスケットリテーナー)により吐出室と導入室の間の内部漏洩を防止することができる。
【0026】
本発明の効果は前述したものに限定されず、本発明の詳細な説明または特許請求範囲に記載される発明の構成から推論可能な全ての効果を含むと理解すべてきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来のスクロール圧縮機を図示する断面図である。
図2】本発明の一実施例によるスクロール圧縮機を図示する断面図である。
図3図2のスクロール圧縮機でリアハウジング側を他の方向で図示する断面図である。
図4図2のスクロール圧縮機からリアハウジングを分離して図示する一部断面斜視図である。
図5図2のスクロール圧縮機でリアハウジングとリアハウジングに収容される部品を図示する分解斜視図である。
図6図5の部品の中、固定スクロール及び吐出バルブを図示する正面図である。
図7図5の部品の中、注入バルブ組立体を図示する分解斜視図である。
図8図7の注入バルブ組立体が締結される前に積層された状態を図示する断面図である。
図9図7の注入バルブ組立体でカバープレートの背面図である。
図10図5の部品の中、リアハウジングとカバープレートを他の側面で図示する分解斜視図である。
図11図7の注入バルブ組立体でガスケットリテーナーの背面図である。
図12図7の注入バルブ組立体でバルブプレートの背面図である。
図13図6のI-I線に沿って切開した斜視図である。
図14図2のスクロール圧縮機で固定スクロールの背面図である。
図15】回転軸の回転角がそれぞれ第1、第2、第3及び第4角度である時、固定ラップ、旋回ラップ、吐出口及び注入口を図示する断面図である。
図16】回転軸の回転角がそれぞれ第1、第2、第3及び第4角度である時、固定ラップ、旋回ラップ、吐出口及び注入口を図示する断面図である。
図17】回転軸の回転角がそれぞれ第1、第2、第3及び第4角度である時、固定ラップ、旋回ラップ、吐出口及び注入口を図示する断面図である。
図18】回転軸の回転角がそれぞれ第1、第2、第3及び第4角度である時、固定ラップ、旋回ラップ、吐出口及び注入口を図示する断面図である。
図19】注入口の開閉時期を図示する図表である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のスクロール圧縮機に関わる好ましい実施例を添付図面を参照して説明する。
【0029】
また、後述する用語は本発明での機能を考慮して定義された用語で、これは使用者、運用者の意図または慣例によって変わることができ、下の実施例は本発明の権利範囲を限定するものではなく、本発明の請求範囲に提示される構成要素の例示的な事項に過ぎない。
【0030】
本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通して同一または類似する構成要素に対しては同じ参照符号を付けている。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特別に逆の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに備えることができることを意味する。
【0031】
まず、図2ないし4、及び図14ないし19を参照して本発明の一実施例によるスクロール圧縮機を説明する。
【0032】
図2に図示するように、本発明の一実施例によるスクロール圧縮機は、ハウジング(100)、ハウジング(100)内に備えられるモーター(200)、モーター(200)により回転される回転軸(300)、回転軸(300)に連動されて旋回運動される旋回スクロール(400)、旋回スクロール(400)と共に圧縮室(C)を形成する固定スクロール(500)及び固定スクロール(500)の一面上に配置されて圧縮室(C)で圧縮された冷媒が吐出される固定スクロールの吐出口(512)を開閉する吐出バルブ(600)を含むことができる。
【0033】
そして、本実施例による圧縮機は、ハウジング(100)の外部(スクロール圧縮機、凝縮機、膨脹バルブ及び蒸発器を含む蒸気圧縮式冷凍サイクルで、例えば凝縮機の下流)から中間圧の冷媒を圧縮室(C)に案内する注入流路を形成して注入流路を開閉するための注入バルブ組立体(700)をさらに含むことができる。
【0034】
ここで、注入流路は後述する導入ポート(133)、導入室(I)、流入口(712)、傾斜空間(734)、流出口(736)及び注入口(514)を含んでリアハウジング(130)から固定スクロール(500)まで延長形成されて、注入バルブ組立体(700)は流入口(712)、傾斜空間(734)及び流出口(736)を含んでリアハウジング(130)と固定スクロール(500)の間に介在される。
【0035】
具体的に、ハウジング(100)は、回転軸(300)が貫通するセンターハウジング(110)、センターハウジング(110)と共にモーター(200)が収容されるモーター収容空間を形成するフロントハウジング(120)及びセンターハウジング(110)と共に旋回スクロール(400)と固定スクロール(500)が収容されるスクロール収容空間を形成するリアハウジング(130)を含む。
【0036】
センターハウジング(110)は、モーター収容空間とスクロール収容空間を区画して旋回スクロール(400)及び固定スクロール(500)を支持するセンター鏡板(112)及びセンター鏡板(112)の外周部からフロントハウジング(120)側に突出するセンター側板(114)を含む。センター鏡板(112)の中心部には回転軸(300)の一端部が貫通する軸受孔及び旋回スクロール(400)を固定スクロール(500)側に加圧する背圧室が形成される。ここで、回転軸(300)の一端部には回転軸(300)の回転運動を旋回スクロール(400)の旋回運動に転換させる偏心ブッシュ(310)が形成される。そして、センター鏡板(112)の外周部には後述するようにモーター収容空間に流入する冷媒をスクロール収容空間に案内する吸入流路(図示しない)が形成されることができる。
【0037】
フロントハウジング(120)は、センター鏡板(112)に対向されて回転軸(300)の他端部を支持するフロント鏡板(122)及びフロント鏡板(122)の外周部から突出してセンター側板(114)と締結されてモーター(200)を支持するフロント側板(124)を含む。それにより、センター鏡板(112)、センター側板(114)、フロント鏡板(122)及びフロント側板(124)がモーター収容空間を形成する。そして、フロント側板(124)には外部から吸入圧の冷媒をモーター収容空間に案内する吸入ポートが形成されることができる。
【0038】
図3及び図4に図示するように、リアハウジング(130)は、センター鏡板(112)に対向されるリア鏡板(132)、リア鏡板(132)から突出してリアハウジング(130)の円周方向上、最外郭側に位置する第1環形壁(134)、リア鏡板(132)から突出して第1環形壁(134)に収容される第2環形壁(136)及びリア鏡板(132)から突出して第2環形壁(136)に収容される隔壁(138)を含む。この時、第1環形壁(134)、第2環形壁(136)及び隔壁(138)は互いに相違する高さを有するように形成される。
【0039】
第1環形壁(134)はセンター鏡板(112)の外周部と略同等水準の直径を有する環形に形成されてセンター鏡板(112)の外周部に締結されて、スクロール収容空間を形成する。また、第2環形壁(136)は第1環形壁(134)より小さな直径を有する環形に形成されて、後述する固定スクロール(500)の固定鏡板(510)の外周部に接触されて、圧縮室(C)から吐出される冷媒を収容する吐出室(D)を形成する。ここで、第2環形壁(136)が固定鏡板(510)に接触されるように形成されることによって、リアハウジング(130)がセンターハウジング(110)に締結される時、固定スクロール(500)をセンターハウジング(110)側に加圧して固定スクロール(500)とセンターハウジング(110)の間の締結力を向上させて漏洩を防止することができる。
【0040】
隔壁(138)は第2環形壁(136)より小さな直径を有する環形に形成されて、固定スクロール(500)の固定鏡板(510)から離隔されて、後述するように注入バルブ組立体(700)のカバープレート(710)により覆蓋されて導入ポート(133)を通じて導入される冷媒を収容する導入室(I)を形成する。
【0041】
リア鏡板(132)には吐出室(D)の冷媒をハウジング(100)の外部に案内する吐出ポート(131)が形成されるが、吐出ポート(131)はリア鏡板(132)の中心部から外周部一側にリア鏡板(132)の半径方向に沿って延長形成される。一方、吐出ポート(131)の内部には冷媒からオイルを分離させる管形のオイルセパレーター(図示しない)が備えられることができる。また、リア鏡板(132)にはハウジング(100)の外部から中間圧の冷媒が導入される導入ポート(133)も形成されるが、導入ポート(133)はリア鏡板(132)の外周部他側から中心部にリア鏡板(132)の半径方向に沿って延長形成されて、導入室(I)と連通される。一方、吐出ポート(131)と導入ポート(133)は吐出ポート(131)の冷媒と導入ポート(133)の冷媒が互いにクロスフロー方向に流動するように形成されることができる。
【0042】
このように、リアハウジング(130)に吐出室(D)、吐出ポート(131)、導入ポート(133)及び導入室(I)が形成される時、導入室(I)の少なくとも一部は吐出室(D)に収容されて、吐出ポート(131)の少なくとも一部は導入室(I)に収容されて、導入ポート(133)の少なくとも一部は吐出室(D)に収容される。
【0043】
そして、隔壁(138)には、後述するように注入バルブ組立体(700)のガスケットリテーナー(790)及びバルブプレート(730)を隔壁(138)に締結させるための締結ボルト(770)が挿入される締結溝(138a)及び注入バルブ組立体(700)のカバープレート(710)、注入バルブ(720)、ガスケットリテーナー(790)及びバルブプレート(730)を整列させるための位置決定ピン(780)が挿入される第1位置決定溝(138b)が形成される。
【0044】
図2に図示するように、モーター(200)は、フロント側板(124)に固定される固定子(210)及び固定子(210)の内部で固定子(210)との相互作用で回転される回転子(220)を含む。回転軸(300)は回転子(220)の中心部を貫通して回転子(220)に締結されるが、一端部はセンター鏡板(112)の軸受孔を貫通して他端部はフロント鏡板(122)に支持される。
【0045】
旋回スクロール(400)はセンター鏡板(112)と固定スクロール(500)の間に介在されて、円板型の旋回鏡板(410)、旋回鏡板(410)から固定スクロール(500)側に突出する旋回ラップ(420)及び旋回鏡板(410)の中心部から旋回ラップ(420)の反対側に突出して偏心ブッシュ(310)と締結されるボス部(430)を含む。
【0046】
図3及び図14に図示されるように、固定スクロール(500)は、円板型の固定鏡板(510)、固定鏡板(510)から突出して旋回ラップ(420)と噛み合う固定ラップ(520)及び固定鏡板(510)の外周部から突出してセンター鏡板(112)に締結される固定側板(530)を含む。
【0047】
固定鏡板(510)は、圧縮室(C)の冷媒を吐出室(D)に吐出する吐出口(512)及び注入バルブ組立体(700)から吐出される冷媒を圧縮室(C)に案内する注入口(514)を含む。吐出口(512)は冷媒が過圧縮されることを防止するように複数に形成されて、複数の吐出口(512)は固定鏡板(510)と注入バルブ組立体(700)の間に介在される吐出バルブ(600)により開閉される。
【0048】
具体的に、圧縮室(C)は、図15ないし図18に図示されるように、スクロール収容空間の半径方向上、遠心側に位置して、冷媒の圧力が第1圧力範囲である第1圧縮室(C1)、第1圧縮室(C1)よりスクロール収容空間の半径方向上、求心側に位置して、冷媒の圧力が第1圧力範囲より高い第2圧力範囲である第2圧縮室(C2)及び第2圧縮室(C2)よりスクロール収容空間の半径方向上、求心側に位置して、冷媒の圧力が第2圧力範囲より高い第3圧力範囲である第3圧縮室(C3)を含み、第1圧縮室(C1)、第2圧縮室(C2)及び第3圧縮室(C3)はそれぞれ2つ一対に形成される。
【0049】
具体的に、第1圧縮室(C1)は、旋回ラップ(420)の外周面と固定ラップ(520)の内周面により形成される第1外側圧縮室(C11)及び旋回ラップ(420)の内周面と固定ラップ(520)の外周面により形成される第1内側圧縮室(C12)を含む。第2圧縮室(C2)は、旋回ラップ(420)の外周面と固定ラップ(520)の内周面により形成される第2外側圧縮室(C21)及び旋回ラップ(420)の内周面と固定ラップ(520)の外周面により形成される第2内側圧縮室(C22)を含む。また、第3圧縮室(C3)は、旋回ラップ(420)の外周面と固定ラップ(520)の内周面により形成される第3外側圧縮室(C31)及び旋回ラップ(420)の内周面と固定ラップ(520)の外周面により形成される第3内側圧縮室(C32)を含む。
【0050】
この時、吐出口(512)は、第3外側圧縮室(C31)と第3内側圧縮室(C32)の冷媒を吐出するように固定鏡板(510)の中心側に形成されるメイン吐出口(512a)、第2外側圧縮室(C21)の冷媒を吐出するようにメイン吐出口(512a)を基準に固定鏡板(510)の半径方向外側に形成される第1サブ吐出口(512b)及び第2内側圧縮室(C22)の冷媒を吐出するようにメイン吐出口(512a)を基準に固定鏡板(510)の半径方向外側に形成されるが、メイン吐出口(512a)を基準に第1サブ吐出口(512b)の反対側に形成される第2サブ吐出口(512c)を含む。
【0051】
また、注入口(514)は注入バルブ組立体(700)から吐出される冷媒を2つ一対の第2圧縮室(C2)に全部供給するように複数に形成される。すなわち、注入口(514)は第2外側圧縮室(C21)と連通可能な第1注入口(514a)及び第2内側圧縮室(C22)と連通可能な第2注入口(514b)を含み、第1注入口(514a)と第2注入口(514b)は第1サブ吐出口(512b)と第2サブ吐出口(512c)をつなぐ仮想の線を基準に互いに反対側に形成されている。しかし、これに限定されるのではなく、注入口(514)は第1サブ吐出口(512b)と第2サブ吐出口(512c)をつなぐ仮想の線を基準に同じ側に複数に形成されることができる。
【0052】
注入口(514)は圧縮室(C)に注入される冷媒の流量増加のために長孔に形成されることができる。そして、注入口(514)は、冷媒が注入口(514)を通過する過程で圧力損失及び流量損失が発生しないように、断面形状が一定に形成されることができる。すなわち、注入口(514)の内径は注入口(514)の軸方向位置と関係なく事前に決定された値に形成されることができる。
【0053】
ここで、注入口(514)は、第2外側圧縮室(C21)と第2内側圧縮室(C22)の間に圧力不均衡が発生しないように、第2外側圧縮室(C21)及び第2内側圧縮室(C22)と同時に連通されるように形成されることができる。すなわち、図19に図示されるように、第1注入口(514a)と第2外側圧縮室(C21)の間の連通が開始される時、第2注入口(514b)と第2内側圧縮室(C22)の間の連通が開始されることができる。また、好ましくは、注入口(514)は第2外側圧縮室(C21)及び第2内側圧縮室(C22)と同時に遮蔽されるように形成されることができる。すなわち、図19に図示されるように、第1注入口(514a)と第2外側圧縮室(C21)の間の連通が終了する時、第2注入口(514b)と第2内側圧縮室(C22)の間の連通が終了できる。
【0054】
固定ラップ(520)は固定スクロール(500)の中心から外周部側に、例えば対数螺旋形に延長形成される。固定側板(530)は固定鏡板(510)の外周部に沿って延びる環形に形成されて、一側に固定ラップ(520)と連結する固定ラップ進入部(532)を含むことができる。固定ラップ進入部(532)の軸方向高さは、圧縮室(C)の冷媒が固定ラップ進入部(532)を通じて漏洩しないように、固定ラップ(520)の軸方向高さと同等水準に形成される。また、固定ラップ進入部(532)の半径方向厚さは、固定ラップ(520)の支持剛性が向上するように、固定ラップ(520)の半径方向厚さより厚く形成される。この時、固定スクロール(500)の重量及び原価を削減するために、固定側板(530)は固定ラップ進入部(532)を除いた部位の半径方向厚さが固定ラップ進入部(532)の半径方向厚さより薄く形成されることができる。
【0055】
次に、図5及び図6を参照して、吐出バルブ(600)について説明する。吐出バルブ(600)は固定鏡板(510)と注入バルブ組立体(700)の間に介在されて、吐出口(512)と吐出室(D)の間を連通及び遮蔽させるためのものである。
【0056】
吐出バルブ(600)は、メイン吐出口(512a)を開閉するメイン開閉部(610)、第1サブ吐出口(512b)を開閉する第1サブ開閉部(630)、第2サブ吐出口(512c)を開閉する第2サブ開閉部(650)、固定鏡板(510)に締結される締結部(670)、メイン開閉部(610)から締結部(670)まで延びるメイン支持部(620)、第1サブ開閉部(630)から締結部(670)まで延びる第1サブ支持部(640)及び第2サブ開閉部(650)から締結部(670)まで延びる第2サブ支持部(660)を含む。
【0057】
吐出バルブ(600)は、吐出バルブ(600)による原価及び重量の上昇が最小化するように、メイン開閉部(610)、第1サブ開閉部(630)、第2サブ開閉部(650)、締結部(670)、メイン支持部(620)、第1サブ支持部(640)及び第2サブ支持部(660)が一体に形成されることができる。また、締結部(670)の円周方向幅が第1サブ開閉部(630)と第2サブ開閉部(650)の間の距離より小さく形成されて、1つの締結部材(680)により締結部(670)が固定鏡板(510)に締結されることができる。ここで、吐出バルブ(600)が1つの締結部材(680)により固定鏡板(510)に締結されても充分な支持を受けることができるように、1つの締結部材(680)は相対的に厚さと高さの大きい固定ラップ進入部(532)側に締結されることが好ましい。
【0058】
実施例によって、第1サブ支持部(640)と第2サブ支持部(660)の中の少なくとも1つが注入口(514)と干渉することを防止するために、第1サブ支持部(640)と第2サブ支持部(660)の中の少なくとも1つはメイン支持部(620)側に窪むように形成される回避部を含むことができる。
【0059】
ここで、第3外側圧縮室(C31)と第3内側圧縮室(C32)の圧力が吐出圧水準に達すればメイン開閉部(610)がメイン吐出口(512a)を開放する。この時、第2外側圧縮室(C21)の圧力が第2圧力範囲を超過する場合、第1サブ開閉部(630)が第1サブ吐出口(512b)を開放して第2外側圧縮室(C21)の圧力を第2圧力範囲に含まれる水準に下げて、第2内側圧縮室(C22)の圧力が第2圧力範囲を超過する場合、第2サブ開閉部(650)が第2サブ吐出口(512c)を開放して第2内側圧縮室(C22)の圧力を第2圧力範囲に含まれる水準に下げて、メイン吐出口(512a)から吐出される冷媒の圧力が吐出圧より過度に高くなることを防止することができる。すなわち、過圧縮が防止されることができる。
【0060】
一方、第1サブ吐出口(512b)と第2サブ吐出口(512c)は第2外側圧縮室(C21)と第2内側圧縮室(C22)の間の圧力不均衡が発生しないように、第2外側圧縮室(C21)及び第2内側圧縮室(C22)と同時に連通されるように形成されることができる。すなわち、第1サブ吐出口(512b)と第2外側圧縮室(C21)の間の連通が開始される時、第2サブ吐出口(512c)と第2内側圧縮室(C22)の間の連通が開始されることができる。そして、好ましくは、第1サブ吐出口(512b)と第2サブ吐出口(512c)は第2外側圧縮室(C21)及び第2内側圧縮室(C22)と同時に遮蔽されるように形成されることができる。すなわち、第1サブ吐出口(512b)と第2外側圧縮室(C21)の間の連通が終了する時、第2サブ吐出口(512c)と第2内側圧縮室(C22)の間の連通が終了することができる。
【0061】
次に、図3図5及び図7ないし図12を参照して、注入バルブ組立体(700)について詳細に説明する。注入バルブ組立体(700)は導入室(I)と注入口(514)の間を連通及び遮蔽させるように隔壁(138)の先端面に形成される。
【0062】
特に、本発明で注入バルブ組立体(700)の一部はリアハウジングの隔壁(138)に備えられる段差(139)に装着される。それにより、注入バルブ組立体(700)自体が吐出室(D)と導入室(I)の間の内部漏洩を防止するシーリングの役割を果たすことができる。それによって、注入バルブ組立体(700)とリアハウジングの隔壁(138)の間に別途のオーリング(O-ring)とオーリングのためのグルーブ加工を要せず、部品数と加工時間及び費用を削減することができ、オーリングがグルーブから離脱する問題が発生しない。
【0063】
さらに、後述するように、注入バルブ組立体(700)は注入流路を開閉する注入バルブ(720)と共に漏洩防止手段としてガスケットリテーナー(790)を含む。ガスケットリテーナー(790)が段差(139)を囲むように隔壁(138)に結合されることによって、単一のシーリング部材(ガスケットリテーナー)により吐出室(D)と導入室(I)の間の内部漏洩を防止することができる。
【0064】
具体的に、注入バルブ組立体(700)は、隔壁(138)に備えられる段差(139)に装着されて導入室(I)を覆蓋するカバープレート(710)、段差(139)を囲むように隔壁(138)に結合されるガスケットリテーナー(790)、カバープレート(710)とガスケットリテーナー(790)の間に介在されて注入流路を開閉する注入バルブ(720)及びガスケットリテーナー(790)に結合されて中間圧の冷媒を注入口(514)に案内するバルブプレート(730)を含む。
【0065】
まず、カバープレート(710)は、図7及び図9に図示するように、隔壁(138)に対向されるカバープレート上面(710a)及びガスケットリテーナー(790)に対向されるカバープレート下面(710b)を含む。また、カバープレート(710)は、導入室(I)と後述する傾斜空間(734)を連通させる流入口(712)及び第1位置決定溝(138b)に連通されて位置決定ピン(780)により貫通される第1位置決定ホール(716)をさらに含む。
【0066】
流入口(712)はカバープレート上面(710a)からカバープレート下面(710b)まで貫通形成されて、本実施例ではカバープレート(710)の対角線方向に2つの流入口(712)が形成されている。すなわち、流入口(712)は、導入室(I)の一側と連通される第1流入口(712a)及び第1流入口(712a)と独立して形成されて導入室(I)の他側と連通される第2流入口(712b)を含む。この時、第1流入口(712a)と第2流入口(712b)はバルブリフティングフォース(valve lifting force)及び冷媒流入流量の最大化のためにそれぞれ長孔に形成されることが好ましい。
【0067】
第1位置決定ホール(716)はカバープレート(710)の対角線方向に、好ましくは流入口(712)が形成される対角線と交差する対角線方向に形成されて、カバープレート上面(710a)からカバープレート下面(710b)まで貫通形成されることができる。
【0068】
図8及び図10に図示するように、段差(139)は隔壁(138)の内側周りに沿って形成される。それにより、カバープレート(710)が段差(139)に装着されて隔壁(138)の内部で導入室(I)を覆蓋することができる。この時、カバープレート(710)が隔壁(138)より突出せず隔壁(138)の内部に装着されることができるように、段差(139)の高さ(h)はカバープレート(710)の厚さ(t)と同じであることが好ましい。ただし、若干の誤差は許容されることができる。
【0069】
また、カバープレート(710)が導入室(I)を完全に覆蓋できるように、段差(139)の外側周り形状及び寸法はカバープレート(710)の周り形状及び寸法と同じであることが好ましい。ただし、若干の誤差は許容されることができる。
【0070】
注入バルブ(720)は、図7に図示するように、第1流入口(712a)を開閉する第1頭部(722a)、第1頭部(722a)を支持する第1脚部(724a)、第2流入口(712b)を開閉する第2頭部(722b)、第2頭部(722b)を支持する第2脚部(724b)及び第1脚部(724a)と第2脚部(724b)を連結する連結部(726)を含む。ここで、第1頭部(722a)、第1脚部(724a)、第2頭部(722b)、第2脚部(724b)及び連結部(726)は部品数、大きさ、原価及び重量の減少のために一体に形成されることが好ましい。
【0071】
第1脚部(724a)と第2脚部(724b)は互いに平行するように形成されて、第1脚部(724a)と連結部(726)の間の連結部位及び第2脚部(724b)と連結部(726)の間の連結部位が互いに反対側に形成されることがコンパック化の面において好ましい。すなわち、第1脚部(724a)と第2脚部(724b)はそれぞれ連結部(726)の両端に連結される。
【0072】
また、連結部(726)は第1位置決定ホール(716)に連通されて位置決定ピン(780)により貫通される第2位置決定ホール(726a)を含む。本実施例で第2位置決定ホール(726a)は連結部(726)の両端にそれぞれ形成されているが、これに限定されるものではない。
【0073】
ここで、注入バルブ(720)は、注入バルブ(720)を固定させるための別途の締結部材なく、カバープレート(710)とガスケットリテーナー(790)の間で圧縮されることによって固定されて、これは下記でさらに詳細に説明する。
【0074】
ガスケットリテーナー(790)は、図7及び図11に図示するように、隔壁(138)及びカバープレート(710)に対向されるガスケットリテーナー上面(790a)及びガスケットリテーナー上面(790a)の背面をなして固定スクロール(500)に対向されるガスケットリテーナー下面(790b)を含む。そして、ガスケットリテーナー(790)は、ガスケットリテーナー上面(790a)に周りに沿って突出形成されるビード部(792)と、注入バルブ(720)のリテーナー(retainer)の役割を果たし、ガスケットリテーナー(790)上に傾斜加工されるリテーナー部(794)をさらに含む。この時、リテーナー部(794)は注入バルブ(720)が開かれる方向に、すなわちバルブプレート(730)に向かう方向に傾斜加工される。リテーナー部(794)はビード部(792)の内側に形成されている。
【0075】
リテーナー部(794)は、注入バルブ(720)が流入口(712)を開放する時、すなわち注入バルブ(720)の頭部(722)と脚部(724)がバルブプレート(730)側に移動しながら開かれる時、注入バルブ(720)の頭部(722)と脚部(724)を支持するためのものである。リテーナー部(794)の決まった傾斜によって注入バルブ(720)が最大で開かれる位置を制限することができる。そのために、リテーナー部(794)は、第1頭部(722a)と第1脚部(724a)を支持するための第1リテーナー部(794a)と、第2頭部(722b)と第2脚部(724b)を支持するための第2リテーナー部(794b)を含む。
【0076】
ここで、第1リテーナー部(794a)と第2リテーナー部(794b)は第1脚部(724a)及び第2脚部(724b)に対応されるように互いに交錯した方向に傾斜するように形成されることが好ましい。すなわち、第1リテーナー部(794a)と第2リテーナー部(794b)はガスケットリテーナー(790)上で切開部により傾斜加工されるが、それぞれの切開部が互いに交錯した方向に形成される。具体的に、本実施例で切開部はU字状に形成されて、ガスケットリテーナー(790)本体で切開部により切開された内側部分がリテーナー部(794)として傾斜加工される。
【0077】
この時、リテーナー部(794)の両側にはリテーナー部の傾斜角度を維持するために、リテーナー部(794)の両側とこれと向き合うガスケットリテーナー(790)本体を連結する一対の翼部(795)が備えられる。それにより、一対の翼部(795)の一側にはU字状のメイン流動ホール(790c)が形成されることができ、他側には一字状の一対の補助流動ホール(790d)が形成されることができる。注入バルブ(720)が開かれればメイン流動ホール(790c)と一対の補助流動ホール(790d)を通じて、カバープレートの流入口(712)に流入する冷媒がバルブプレートの傾斜空間(734)に流動することができる。このように一対の翼部(795)が備えられることによって、リテーナー部(794)の傾斜角度が一定に維持されると同時に、注入バルブ(720)によりリテーナー部(794)が持続的に打撃される場合も耐久性を維持することができる。
【0078】
図3及び図8に図示するように、ガスケットリテーナー(790)は隔壁(138)とバルブプレート(730)の間で圧縮される。それにより、注入バルブ(720)がカバープレート(710)とガスケットリテーナー(790)の間で圧縮されて位置固定できると同時に、ガスケットリテーナー(790)が隔壁(138)とバルブプレート(730)の間を密封できる。このようにガスケットリテーナー(790)が段差(139)を囲むように隔壁(138)に圧縮結合されることによって、単一のガスケットリテーナー(790)だけで吐出室(D)と導入室(I)の間の内部漏洩を防止できる。ガスケットリテーナー(790)の周り形状及び寸法は隔壁(138)の外側周り形状及び寸法と同じであることが好ましい。
【0079】
特に、ビード部(792)はガスケットリテーナー上面(790a)で注入バルブ(720)を囲むように周りに沿って形成されるが、隔壁(138)の方向に突出する。それにより、ガスケットリテーナー(790)が隔壁(138)とバルブプレート(730)の間で圧縮される時、ビード部(792)は注入バルブ(720)の周りを隔壁(138)に対して密封することができる。さらに、ガスケットリテーナー(790)と注入バルブ(720)が組み立てられる時、ビード部(792)はガスケットリテーナーの周りで隔壁(138)によりバルブプレート(730)に向かう方向に押さえられるようになる。このように、注入バルブ(720)と向き合うガスケットリテーナー(790)の内側部分はビード部(792)が押さえられる方向と反対方向に、すなわち注入バルブ(720)に向かう方向に力を受けて曲がるようになる。これは図8に点線矢印で図示される。それにより、ガスケットリテーナー(790)の内側部分が注入バルブ(720)をカバープレート(710)に向かって密着させてシーリング(sealing)できるので冷媒の漏洩が防止されることができる。そのために、ビード部(792)の突出した高さは注入バルブ(720)の厚さより大きいか同じに形成されることができる。
【0080】
そして、ガスケットリテーナー(790)は、第2締結ホール(714)に連通されるように、そして締結ボルト(770)により貫通されるように、ガスケットリテーナー(790)の外周部でガスケットリテーナー上面(790a)からガスケットリテーナー下面(790b)まで貫通形成される第3締結ホール(796)をさらに含む。また、ガスケットリテーナー(790)は、第2位置決定ホール(726a)に連通されるようにそして位置決定ピン(780)が挿入されるように、ガスケットリテーナー上面(790a)からガスケットリテーナー下面(790b)まで貫通形成される第3位置決定ホール(798)をさらに含む。本実施例で、第3位置決定ホール(798)は第1及び第2リテーナー部(794a、794b)の間に形成されるが、これに限定されるものではない。
【0081】
このように、第3締結ホール(796)はビード部(792)の半径方向外側に形成されて、第3位置決定ホール(798)はビード部(792)の半径方向内側に形成されることによって、ビード部の内側ではガスケットリテーナー(790)を注入バルブ組立体の他の構成と正確に整列するように組み立てることができ、ビード部の外側では締結ボルト(770)の締結力によりビード部(792)が圧縮されてシーリングが行われることができる。
【0082】
次に、バルブプレート(730)は、図7及び図12に図示するように、ガスケットリテーナー(790)に対向されるバルブプレート上面(730a)及びバルブプレート上面(730a)の背面をなしながら固定スクロール(500)に対向されるバルブプレート下面(730b)を含む。また、バルブプレート(730)は、バルブプレート下面(730b)から注入口(514)側に突出する突出部(732)をさらに含む。すなわち、バルブプレート(730)は、バルブプレート下面(730b)の一側から第1注入口(514a)側に突出する第1突出部(732a)及びバルブプレート下面(730b)の他側から第2注入口(514b)側に突出する第2突出部(732b)を含む。
【0083】
この時、第1突出部(732a)は、バルブプレート下面(730b)の一側から第1注入口(514a)側に突出する第1大径部(732aa)及び第1大径部(732aa)から第1注入口(514a)側により突出する第1小径部(732ab)を含む。第1大径部(732aa)の外径は第1小径部(732ab)の外径より大きく形成される。第2突出部(732b)も同様に、バルブプレート下面(730b)の他側から第2注入口(514b)側に突出する第2大径部(732ba)及び第2大径部(732ba)から第2注入口(514b)側により突出する第2小径部(732bb)を含む。第2大径部(732ba)の外径は第2小径部(732bb)の外径より大きく形成される。
【0084】
また、バルブプレート(730)は、第1流入口(712a)を通じて流入する冷媒を収容する第1傾斜空間(734a)、第2流入口(712b)を通じて流入する冷媒を収容する第2傾斜空間(734b)、第1突出部(732a)に形成されて第1傾斜空間(734a)の冷媒を第1注入口(514a)に案内する第1流出口(736a)及び第2突出部(732b)に形成されて第2傾斜空間(734b)の冷媒を第2注入口(514b)に案内する第2流出口(736b)をさらに含む。
【0085】
第1傾斜空間(734a)及び第2傾斜空間(734b)はバルブプレート上面(730a)から窪むように形成される。また、第1傾斜空間(734a)と第2傾斜空間(734b)は互いに分離されており、それぞれ第1リテーナー部(794a)と第2リテーナー部(794b)が装着できるように第1リテーナー部(794a)と第2リテーナー部(794b)に対応して互いに交錯した方向に傾斜するように形成されることが好ましい。
【0086】
第1流出口(736a)は第1突出部(732a)の先端面、さらに正確には第1小径部(732ab)の先端面から窪むように形成されて、第1大径部(732aa)まで延長形成されて第1傾斜空間(734a)と連通される。第2流出口(736b)は第2突出部(732b)の先端面、さらに正確には第2小径部(732bb)の先端面から窪むように形成されて、第2大径部(732ba)まで延長形成されて第2傾斜空間(734b)と連通される。しかし、これに限定されるのではなく、第1傾斜空間(734a)と第1流出口(736a)が別途の連結流路に連結されて、第2傾斜空間(734b)と第2流出口(736b)が別途の連結流路に連結できることは言うまでもない。
【0087】
バルブプレート下面(730b)は、図3に図示するように、吐出バルブ(600)が固定鏡板(510)とバルブプレート下面(730b)の間に介在されるように、そして吐出口(512)から吐出される冷媒が吐出室(D)に流動できるように、固定鏡板(510)と離隔されるように形成される。
【0088】
そして、バルブプレート(730)は、第3締結ホール(796)に連通されるように、そして締結ボルト(770)により貫通されるように、バルブプレート(730)の外周部でバルブプレート上面(730a)からバルブプレート下面(730b)まで貫通形成される第1締結ホール(739a)をさらに含む。また、バルブプレート(730)は、第3位置決定ホール(798)に連通されるように、そして位置決定ピン(780)が挿入されるように、バルブプレート上面(730a)から窪むように形成される第2位置決定溝(739b)をさらに含む。
【0089】
それにより、位置決定ピン(780)の一端部が第1位置決定ホール(716)を貫通して第1位置決定溝(138b)に挿入されて、位置決定ピン(780)の他端部が第2位置決定ホール(726a)と第3位置決定ホール(798)を貫通して第2位置決定溝(739b)に挿入されることによって、注入バルブ組立体(700)のカバープレート(710)、注入バルブ(720)、ガスケットリテーナー(790)及びバルブプレート(730)が整列されることができる。また、締結ボルト(770)が第1締結ホール(739a)及び第3締結ホール(796)を貫通して締結溝(138a)に締結されることによって、注入バルブ組立体(700)がリアハウジング(130)に締結されることができる。
【0090】
一方、固定鏡板(510)は、図3図6及び図13に図示するように、注入バルブ組立体(700)から第1注入口(514a)と第2注入口(514b)に冷媒が流動する時、冷媒漏洩が発生しないように小径部挿入溝(516)をさらに含む。すなわち、固定鏡板(510)は、第1小径部(732ab)が挿入される第1小径部挿入溝(516a)及び第2小径部(732bb)が挿入される第2小径部挿入溝(516b)をさらに含む。
【0091】
具体的に、固定鏡板(510)は、注入バルブ組立体(700)に対向される固定鏡板上面(510a)及び固定鏡板上面(510a)の背面をなして旋回スクロール(400)に対向される固定鏡板下面(510b)を含む。
【0092】
第1小径部挿入溝(516a)は固定鏡板上面(510a)から固定鏡板下面(510b)側に窪むように形成されて第1小径部(732ab)が挿入されて、第1注入口(514a)は固定鏡板下面(510b)から固定鏡板上面(510a)側に窪むように形成されて第1小径部挿入溝(516a)と連通される。第2小径部挿入溝(516b)も固定鏡板上面(510a)から固定鏡板下面(510b)側に窪むように形成されて第2小径部(732bb)が挿入されて、第2注入口(514b)は固定鏡板下面(510b)から固定鏡板上面(510a)側に窪むように形成されて第2小径部挿入溝(516b)と連通される。
【0093】
ここで、第1小径部(732ab)が第1小径部挿入溝(516a)に挿入可能に、そして冷媒が注入バルブ組立体(700)から第1注入口(514a)に流動する過程で圧力損失及び流量損失が発生しないように、第1小径部(732ab)の内径(第1流出口(736a)の内径)は第1注入口(514a)の内径より大きいか同じに形成されて、第1小径部挿入溝(516a)の内径は第1小径部(732ab)の外径と同等水準に形成されることができる。
【0094】
また、第2小径部(732bb)が第2小径部挿入溝(516b)に挿入可能に、そして冷媒が注入バルブ組立体(700)から第2注入口(514b)に流動する過程で圧力損失及び流量損失が発生しないように、第2小径部(732bb)の内径(第2流出口(736b)の内径)は第2注入口(514b)の内径より大きいか同じに形成されて、第2小径部挿入溝(516b)の内径は第2小径部(732bb)の外径と同等水準に形成されることができる。
【0095】
一方、第1大径部(732aa)は、第1大径部(732aa)が第1小径部挿入溝(516a)に挿入されないように、第1大径部(732aa)の外径が第1小径部挿入溝(516a)の内径より大きく形成される。それによって、注入バルブ組立体(700)が固定スクロール(500)と締結される時、第1大径部(732aa)の先端面と固定鏡板上面(510a)の間にはシーリング部材(760)が介在されることができる。シーリング部材(760)が第1大径部(732aa)の先端面と固定鏡板上面(510a)の間で圧縮可能に、シーリング部材(760)の変形前の厚さは第1大径部(732aa)の先端面と固定鏡板上面(510a)の間の間隙より大きいか同じに形成されることができる。
【0096】
そして、第1小径部(732ab)の突出長さ、すなわち第1大径部(732aa)の先端面と第1小径部(732ab)の先端面の間の軸方向長さ、シーリング部材(760)の変形前の厚さよりは大きく、シーリング部材(760)の変形前の厚さと第1小径部挿入溝(516a)の軸方向深さの合計よりは小さいか同じに形成されることができる。それにより、第1小径部(732ab)の先端面が第1小径部挿入溝(516a)の基底面に接触されず、シーリング部材(760)が第1大径部(732aa)の先端面と固定鏡板上面(510a)の間で圧縮可能である。
【0097】
同様に、第2大径部(732ba)は、第2大径部(732ba)が第2小径部挿入溝(516b)に挿入されないように、第2大径部(732ba)の外径が第2小径部挿入溝(516b)の内径より大きく形成される。それによって、注入バルブ組立体(700)が固定スクロール(500)と締結される時、第2大径部(732ba)の先端面と固定鏡板上面(510a)の間にはシーリング部材(760)が圧縮可能に介在されることができる。
【0098】
そして、第2小径部(732bb)の突出長さ、すなわち第2大径部(732ba)の先端面と第2小径部(732bb)の先端面の間の軸方向長さ、シーリング部材(760)の変形前の厚さよりは大きく、シーリング部材(760)の変形前の厚さと第2小径部挿入溝(516b)の軸方向深さの合計よりは小さいか同じに形成されることができる。それにより、第2小径部(732bb)の先端面が第2小径部挿入溝(516b)の基底面に接触されず、シーリング部材(760)が第2大径部(732ba)の先端面と固定鏡板上面(510a)の間で圧縮可能である。
【0099】
一方、固定鏡板(510)には図6に図示するように、第3グルーブ(518)と第4グルーブ(519)が形成されることができる。
【0100】
第3グルーブ(518)は吐出バルブ(600)のメイン開閉部(610)と固定鏡板(510)の間の接触面積を減少させて衝突騷音を減少させるためのもので、そして異物を捕集及び排出させてメイン開閉部(610)と固定鏡板(510)の間に異物が混ざることを防止するためのもので、固定鏡板上面(510a)から窪んでメイン吐出口(512a)の周囲を囲む環形に形成される。第3グルーブ(518)の内周部はメイン開閉部(610)の外周部と軸方向に重畳されるように形成されて、第3グルーブ(518)の外周部はメイン開閉部(610)と軸方向に重畳されないように形成されることができる。すなわち、第3グルーブ(518)の内径はメイン開閉部(610)の外径より小さく形成されて、第3グルーブ(518)の外径はメイン開閉部(610)の外径より大きく形成されることができる。これは、第3グルーブ(518)に捕集された異物が吐出室(D)側に排出されるようにするためである。
【0101】
第4グルーブ(519)は異物を捕集及び排出させて吐出バルブ(600)のメイン支持部(620)、第1サブ支持部(640)及び第2サブ支持部(660)(以下、支持部)と固定鏡板(510)の間に異物が混ざることを防止するためのもので、吐出バルブ(600)の支持部に対向される位置で固定鏡板上面(510a)から窪むように形成される。第4グルーブ(519)は長孔形に形成されるが、第4グルーブ(519)の中心部は吐出バルブ(600)の支持部と軸方向に重畳されるように形成されて、第4グルーブ(519)の両端部は吐出バルブ(600)の支持部と軸方向に重畳されないように形成されることができる。すなわち、第4グルーブ(519)の長軸方向と吐出バルブ(600)の支持部の幅方向が互いに平行して、第4グルーブ(519)の長軸長さが吐出バルブ(600)の支持部の幅より大きく形成されることができる。これは、第4グルーブ(519)に捕集された異物が吐出室(D)側に排出されるようにするためである。
【0102】
以下、本実施例によるスクロール圧縮機の作用効果について説明する。
モーター(200)に電源が印加されれば回転子(220)と共に回転軸(300)が回転して、旋回スクロール(400)が偏心ブッシュ(310)を通じて回転軸(300)から回転力の伝達を受けて旋回運動する。それによって、圧縮室(C)は中心側に向かって持続的に移動しながら体積が減少する。
【0103】
それにより、圧縮室(C)に吸入された冷媒は圧縮室(C)の移動経路に沿って中心側に移動しながら圧縮されて吐出口(512)を通じて吐出室(D)に吐出されて、吐出室(D)に吐出された吐出圧の冷媒は吐出ポート(131)を通じて圧縮機の外部に排出される。この時、吸入圧の冷媒は吸入ポート、モーター収容空間、吸入流路及びスクロール収容空間を通じて圧縮室(C)に流入することができる。
【0104】
また、本実施例によるスクロール圧縮機は、中間圧の冷媒を圧縮室(C)に案内する注入流路(導入ポート(133)、導入室(I)、注入バルブ組立体(700)及び注入口(514))を含み、吸入圧の冷媒だけではなく、中間圧の冷媒まで圧縮して吐出することができる。すなわち、蒸発器を経てハウジング(100)に流入する吸入冷媒はフロントハウジング(120)を通じて流入して圧縮室(C)に導入されて、ハウジング(100)の外部に吐出される冷媒の中の少なくとも一部が蒸発器を経る前に中間圧状態でハウジング(100)の外部から流入して注入流路を通じて圧縮室(C)に流入することができる。それにより、吸入圧の冷媒だけを吸入及び圧縮して吐出する時より冷媒吐出量が増加することができ、圧縮機の性能及び効率が向上できる。
【0105】
また、リアハウジング(130)が吐出室(D)及び吐出ポート(131)だけではなく、導入ポート(133)及び導入室(I)まで含むことによって、すなわち、吐出室(D)、吐出ポート(131)、導入ポート(133)及び導入室(I)を有するリアハウジング(130)が一体に形成されることによって、漏洩可能性が減少し、大きさ、原価及び重量が減少できる。
【0106】
本発明は前述した特定の実施例及び説明に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸することなく本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形実施が可能であり、そのような変形は本発明の保護範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明はスクロール圧縮機に関し、さらに詳細では、スクロール圧縮機の圧縮室に吸入圧の冷媒だけではなく、中間圧の冷媒を導入して圧縮室から吐出される冷媒吐出量を増加させることによって圧縮機の性能及び効率を向上できるスクロール圧縮機に関する。
【符号の説明】
【0108】
100 ハウジング
110 センターハウジング
112 センター鏡板
114 センター側板
120 フロントハウジング
122 フロント鏡板
124 フロント側板
130 リアハウジング
131 吐出ポート
132 リア鏡板
133 導入ポート
134 第1環形壁
136 第2環形壁
138 隔壁
139 段差
200 モーター
210 固定子
220 回転子
300 回転軸
310 偏心ブッシュ
400 旋回スクロール
410 旋回鏡板
420 旋回ラップ
430 ボス部
500 固定スクロール
510 固定鏡板
512 吐出口
514 注入口
516 小径部挿入溝
518 第3グルーブ
519 第4グルーブ
520 固定ラップ
530 固定側板
532 固定ラップ進入部
600 吐出バルブ
610 メイン開閉部
620 メイン支持部
630 第1サブ開閉部
640 第1サブ支持部
650 第2サブ開閉部
660 第2サブ支持部
670 締結部
680 締結部材
700 注入バルブ組立体
710 カバープレート
712 流入口
716 第1位置決定ホール
720 注入バルブ
722 頭部
724 脚部
726 連結部
730 バルブプレート
732 突出部
734 傾斜空間
736 流出口
739a 第1締結ホール
739b 第2位置決定溝
760 シーリング部材
770 締結ボルト
780 位置決定ピン
790 ガスケットリテーナー
792 ビード部
794 リテーナー部
795 翼部
796 第3締結ホール
798 第3位置決定ホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
具体的に、圧縮室(C)は、図15ないし図18に図示されるように、スクロール収容空間の半径方向上、遠心側に位置して、冷媒の圧力が第1圧力範囲である第1圧縮室(C1)、第1圧縮室(C1)よりスクロール収容空間の半径方向上、求心側に位置して、冷媒の圧力が第1圧力範囲より高い第2圧力範囲である第2圧縮室(C2)及び第2圧縮室(C2)よりスクロール収容空間の半径方向上、求心側に位置して、冷媒の圧力が第2圧力範囲より高い第3圧力範囲である第3圧縮室(C3)を含む。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
具体的に、第1圧縮室(C1)は、旋回ラップ(420)の外周面と固定ラップ(520)の内周面により形成される第1外側圧縮室(C11)及び旋回ラップ(420)の内周面と固定ラップ(520)の外周面により形成される第1内側圧縮室(C12)を含む。第2圧縮室(C2)は、旋回ラップ(420)の外周面と固定ラップ(520)の内周面により形成される第2外側圧縮室(C21)及び旋回ラップ(420)の内周面と固定ラップ(520)の外周面により形成される第2内側圧縮室(C22)を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
この時、吐出口(512)は、第3圧縮室C3の冷媒を吐出するように固定鏡板(510)の中心側に形成されるメイン吐出口(512a)、第2外側圧縮室(C21)の冷媒を吐出するようにメイン吐出口(512a)を基準に固定鏡板(510)の半径方向外側に形成される第1サブ吐出口(512b)及び第2内側圧縮室(C22)の冷媒を吐出するようにメイン吐出口(512a)を基準に固定鏡板(510)の半径方向外側に形成されるが、メイン吐出口(512a)を基準に第1サブ吐出口(512b)の反対側に形成される第2サブ吐出口(512c)を含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
また、注入口(514)は注入バルブ組立体(700)から吐出される冷媒を2つ一対の第圧縮室(C1)に全部供給するように複数に形成される。すなわち、注入口(514)は第外側圧縮室(C11)と連通可能な第1注入口(514a)及び第内側圧縮室(C12)と連通可能な第2注入口(514b)を含み、第1注入口(514a)と第2注入口(514b)は第1サブ吐出口(512b)と第2サブ吐出口(512c)をつなぐ仮想の線を基準に互いに反対側に形成されている。しかし、これに限定されるのではなく、注入口(514)は第1サブ吐出口(512b)と第2サブ吐出口(512c)をつなぐ仮想の線を基準に同じ側に複数に形成されることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
ここで、注入口(514)は、第外側圧縮室(C11)と第内側圧縮室(C12)の間に圧力不均衡が発生しないように、第外側圧縮室(C11)及び第内側圧縮室(C12)と同時に連通されるように形成されることができる。すなわち、図19に図示されるように、第1注入口(514a)と第外側圧縮室(C11)の間の連通が開始される時、第2注入口(514b)と第内側圧縮室(C12)の間の連通が開始されることができる。また、好ましくは、注入口(514)は第外側圧縮室(C11)及び第内側圧縮室(C12)と同時に遮蔽されるように形成されることができる。すなわち、図19に図示されるように、第1注入口(514a)と第外側圧縮室(C11)の間の連通が終了する時、第2注入口(514b)と第内側圧縮室(C12)の間の連通が終了できる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
ここで、第3圧縮室C3の圧力が吐出圧水準に達すればメイン開閉部(610)がメイン吐出口(512a)を開放する。この時、第2外側圧縮室(C21)の圧力が第2圧力範囲を超過する場合、第1サブ開閉部(630)が第1サブ吐出口(512b)を開放して第2外側圧縮室(C21)の圧力を第2圧力範囲に含まれる水準に下げて、第2内側圧縮室(C22)の圧力が第2圧力範囲を超過する場合、第2サブ開閉部(650)が第2サブ吐出口(512c)を開放して第2内側圧縮室(C22)の圧力を第2圧力範囲に含まれる水準に下げて、メイン吐出口(512a)から吐出される冷媒の圧力が吐出圧より過度に高くなることを防止することができる。すなわち、過圧縮が防止されることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正の内容】
図15
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正の内容】
図16
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図17
【補正方法】変更
【補正の内容】
図17
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】変更
【補正の内容】
図18
【国際調査報告】