(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】電気光学変調器および電気光学装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/035 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
G02F1/035
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515708
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2022111797
(87)【国際公開番号】W WO2023045610
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111107287.4
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523399256
【氏名又は名称】ナンジン、リコア、テクノロジーズ、カンパニー、リミテッド
【住所又は居所原語表記】NANJING LYCORE TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【氏名又は名称】三並 大悟
(74)【代理人】
【識別番号】100227330
【氏名又は名称】向井 翼
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ハンシアオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、イーピン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、インツォン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ハイツァン
(72)【発明者】
【氏名】マオ、ウェンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、シーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スン、ウェイチー
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、チンヤン
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102CA20
2K102DA04
2K102DB04
2K102DB08
2K102DD05
2K102EA03
2K102EA12
2K102EA17
(57)【要約】
電気光学変調器および電気光学装置が提供される。この電気光学変調器は、第1の光導波路、第2の光導波路、および進行波電極を備え、進行波電極は、互いに離間する第1の接地電極、第1の信号電極、第2の信号電極、および第2の接地電極を備え、第1の光導波路および第2の光導波路はいずれも、第1の信号電極と第2の信号電極との間に配置されている。電気光学変調器は、その延伸方向に沿って、複数の延伸部を有する。複数の延伸部は、複数の直線部および少なくとも1つの湾曲部を備える。各湾曲部は、2つの隣り合う直線部間に設けられている。本開示の1つまたは複数の実施形態によれば、電気光学変調器が湾曲および折り曲げ設計を使用し、複数の直線部が一体的に積層され得るため、従来の電気光学変調器と比較された場合、長さ方向のサイズが大幅に抑えられ、電気光学変調器の製造コストを低減可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学変調器であって、
前記電気光学変調器の延伸方向に沿って延びるようにそれぞれ配置されている第1の光導波路、第2の光導波路、および進行波電極を備え、
前記進行波電極が、互いに離間する第1の接地電極、第1の信号電極、第2の信号電極、および第2の接地電極を備え、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路がいずれも、前記第1の信号電極と前記第2の信号電極との間に配置され、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路内で伝送された光信号が前記第1の信号電極と前記第2の信号電極との間で電圧変調を受けるように構成され、
前記電気光学変調器が、その前記延伸方向に沿って、複数の延伸部を有し、
前記複数の延伸部が、複数の直線部と、2つの隣り合う直線部間にそれぞれ設けられている少なくとも1つの湾曲部と、を備える、電気光学変調器。
【請求項2】
前記第1の信号電極に接続されるとともに離間し、前記第2の信号電極に向かって延びるようにすべて配置されている複数の第1の電極延伸部であり、それぞれが第1の副電極および第2の副電極を備える、複数の第1の電極延伸部と、
前記第2の信号電極に接続されるとともに離間し、前記第1の信号電極に向かって延びるようにすべて配置されている複数の第2の電極延伸部であり、それぞれが第3の副電極および第4の副電極を備える、複数の第2の電極延伸部と、
をさらに備え、
前記第1の副電極および前記第3の副電極がそれぞれ、前記第1の光導波路の2つの側面上に配置され、
前記第2の副電極および前記第4の副電極がそれぞれ、前記第2の光導波路の2つの側面上に配置されている、請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項3】
前記第1の光導波路が、前記第2の光導波路に対向する第1の側面と、前記第2の光導波路から離れた第2の側面と、を有し、前記第2の光導波路が、前記第1の光導波路に対向する第3の側面と、前記第1の光導波路から離れた第4の側面と、を有し、
前記複数の直線部が、第1の種類の直線部および/または第2の種類の直線部を備え、
前記第1の種類の直線部が、前記第1の副電極および前記第2の副電極が前記第1の光導波路の前記第1の側面および前記第2の光導波路の前記第3の側面にそれぞれ配置され、前記第3の副電極および前記第4の副電極が前記第1の光導波路の前記第2の側面および前記第2の光導波路の前記第4の側面に配置されるように構成され、
前記第2の種類の直線部が、前記第1の副電極および前記第2の副電極が前記第1の光導波路の前記第2の側面および前記第2の光導波路の前記第4の側面にそれぞれ配置され、前記第3の副電極および前記第4の副電極が前記第1の光導波路の前記第1の側面および前記第2の光導波路の前記第3の側面に配置されるように構成されている、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項4】
前記第1の電極延伸部がそれぞれ、前記第1の副電極および前記第2の副電極を前記第1の信号電極に接続するように構成されている第1の延伸アームをさらに備え、
前記第2の電極延伸部がそれぞれ、前記第3の副電極および前記第4の副電極を前記第2の信号電極に接続するように構成されている第2の延伸アームをさらに備える、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項5】
前記第1の電極延伸部の数が、前記第2の電極延伸部の数に等しく、
前記第1の電極延伸部それぞれの前記第1の副電極が、対応する前記第2の電極延伸部の前記第3の副電極の反対に配置され、
前記第1の電極延伸部それぞれの前記第2の副電極が、対応する前記第2の電極延伸部の前記第4の副電極の反対に配置されている、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項6】
前記複数の延伸部が、第1の直線部、第2の直線部、および前記第1の直線部と前記第2の直線部との間に設けられている第1の湾曲部を備え、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路が、前記第1の湾曲部で離間して延びるように配置され、
前記第1の直線部および前記第2の直線部が、同じ種類の直線部である、請求項3に記載の電気光学変調器。
【請求項7】
前記複数の延伸部が、第3の直線部、第4の直線部、および前記第3の直線部と前記第4の直線部との間に設けられている第3の湾曲部を備え、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路が、前記第2の湾曲部で交差するように配置され、
前記第3の直線部および前記第4の直線部が、異なる種類の直線部である、請求項3に記載の電気光学変調器。
【請求項8】
前記第1の信号電極、前記第2の信号電極、前記第1の接地電極、および前記第2の接地電極のうちの少なくとも1つの前記直線部における幅が、対応する電極の前記湾曲部における幅と異なる、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項9】
前記複数の延伸部が、前記直線部と前記直線部に直接隣り合う前記湾曲部とを接続するようにそれぞれ構成されている複数の遷移部をさらに備え、
前記遷移部それぞれにおいて、前記第1の信号電極、前記第2の信号電極、前記第1の接地電極、および前記第2の接地電極それぞれの幅が、前記直線部から前記湾曲部への方向に沿って、対応する前記電極の前記直線部における幅から対応する前記電極の前記湾曲部における幅まで徐々に変化する、請求項8に記載の電気光学変調器。
【請求項10】
基板と、
前記基板上に配置されている絶縁層と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路を形成するように構成されている薄膜層と、
前記第1の光導波路上に配置されている第1の被覆層と、
前記第2の光導波路上に配置されている第2の被覆層と、
をさらに備える、請求項2~9いずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項11】
前記第1の電極延伸部および前記第2の電極延伸部がいずれも、前記第1の被覆層および前記第2の被覆層の上面まで延びている、請求項10に記載の電気光学変調器。
【請求項12】
前記第1の副電極および前記第3の副電極が、前記第1の被覆層の上面に配置され、
前記第2の副電極および前記第4の副電極が、前記第2の被覆層の上面に配置されている、請求項11に記載の電気光学変調器。
【請求項13】
光入力信号を前記第1の光導波路および前記第2の光導波路内で伝送される光信号へと分割するように構成されている光学スプリッタと、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路内で伝送された前記光信号を光出力信号とに再結合するように構成されている光学結合器と、
をさらに備える、請求項2~9いずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の電気光学変調器を備える、電気光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気光学変調技術に関し、詳細には、電気光学変調器および電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学変調器は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)結晶、ヒ化ガリウム(GaAs)結晶、またはタンタル酸リチウム(LiTaO3)結晶等、いくつかの電気光学結晶の電気光学効果を使用することにより構成される変調器である。電圧が電気光学結晶に印加されると、電気光学結晶の屈折率が変化して、光信号の位相、振幅、強度、偏光状態、および他の特性の変調を実行することになる。電気光学変調器の中で一般的な変調器は、マッハツェンダー変調器である。この干渉計型変調器は主に、変調器中の2つのアーム間の位相差を使用して、コヒーレント強調(coherent enhancement)およびコヒーレントキャンセル(coherent cancellation)の信号変調を達成する。
【0003】
ただし、高速かつ大容量で統合された通信技術に対する需要が急速に高まる中、電気光学変調器の変調効果を確保しつつ、統合装置のサイズを最小限に抑えることが望まれている。これは、電極設計に対する高い要求となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の問題のうちの1つまたは複数を緩和、軽減、あるいは排除する機構を提供するのが好都合となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、電気光学変調器であって、電気光学変調器の延伸方向に沿って延びるようにそれぞれ配置されている第1の光導波路、第2の光導波路、および進行波電極を備え、進行波電極が、電気光学変調器の延伸方向に沿ってそれぞれ延び、互いに離間する第1の接地電極、第1の信号電極、第2の信号電極、および第2の接地電極を備え、第1の光導波路および第2の光導波路がいずれも、第1の信号電極と第2の信号電極との間に配置され、第1の光導波路および第2の光導波路内で伝送された光信号が第1の信号電極と第2の信号電極との間で電圧変調を受けるように構成され、電気光学変調器が、その延伸方向に沿って、複数の延伸部を有し、複数の延伸部が、複数の直線部と、2つの隣り合う直線部間にそれぞれ設けられている少なくとも1つの湾曲部と、を備える、電気光学変調器が提供される。
【0006】
本開示の別の態様によれば、上述の電気光学変調器を備える電気光学装置が提供される。
【0007】
本開示の1つまたは複数の実施形態によれば、この電気光学変調器が湾曲および折り曲げ設計を使用し、複数の直線部が一体的に積層され得るため、従来の電気光学変調器と比較された場合、長さ方向のサイズが大幅に抑えられ、電気光学変調器の製造コストを低減可能である。
【0008】
本開示の上記および他の態様については、後述の実施形態から明らかとなるであろうし、後述の実施形態を参照して明確にされるであろう。
【0009】
本開示の別途詳細、特徴、および利点については、添付の図面を参照しつつ、例示的な実施形態に関する以下の説明において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器の模式上面図である。
【
図2】本開示の別の例示的な実施形態に係る、電気光学変調器の模式上面図である。
【
図3】本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器の第1の種類の直線部の模式上面図である。
【
図4】本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器の第2の種類の直線部の模式上面図である。
【
図5】本開示のさらに別の例示的な実施形態に係る、電気光学変調器の模式上面図である。
【
図6】本開示のさらに別の例示的な実施形態に係る、電気光学変調器の模式上面図である。
【
図7】本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器の直線部の模式斜視図である。
【
図8】本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学装置の模式ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示において、別段の記載のない限り、さまざまな要素の説明に用いられる用語「第1(first)」、「第2(second)」等は、これらの要素の位置、時間、または重要度の関係を制限することではなく、ある要素を別の要素から区別することのみが意図される。いくつかの例においては、第1の要素および第2の要素が要素の同じ実例を表していてもよく、また、場合によっては、文脈上の記述に基づいて、第1の要素および第2の要素が異なる実例を表していてもよい。
【0012】
本開示において、種々例の説明に用いられる用語は、特定の例の説明を目的としているに過ぎず、何らの限定も意図されない。要素の数が具体的に規定されていない場合は、文脈上の別段の明示のない限り、1つまたは複数の要素が存在していてもよい。さらに、本開示において用いられる用語「および/または(and/or)」は、記載の項目に関して考え得るありとあらゆる組み合わせを含む。
【0013】
電気光学変調関連技術は、光通信、マイクロ波フォトニクス、レーザビーム偏向、波面変調等の分野において広く開発および適用されている。従来技術のマッハツェンダー変調器においては、1つの信号電極および2つの接地電極の使用によって、0(接地信号)、1(変調電圧信号)、および0(接地信号)の形態の信号を入力することにより、反対方向の2つの電界を生成する。すなわち、後述の「GSG」型電気光学変調器である。反対の電界方向の使用によって、2つの電界に配置されている2つの光路信号の逆変調を実施することにより、位相差を生成してコヒーレント強調またはコヒーレントキャンセルを達成する。
【0014】
ただし、十分な位相差を実現するには、比較的大きな変調電圧および比較的長い伝送距離が必要とされる。既存の電気光学変調器には、大きなサイズまたは低い変調効率という不都合があり、現在の市場にある統合性および高効率性の要求を満たすことが難しくなっている。
【0015】
本開示の実施形態は、前述の不都合を緩和、軽減、あるいは排除し得る改良された電気光学変調器を提供する。
【0016】
図1は、例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器1の模式上面図である。
図1を参照して、電気光学変調器1は、光学スプリッタ110、光学結合器150、第1の光導波路120a、第2の光導波路120b、および進行波電極130を具備していてもよい。
【0017】
進行波電極130は、電気光学変調器1の全体的な延伸方向に沿って延びており、具体的には、電気光学変調器1の延伸方向に沿ってそれぞれ延び、互いに離間する第1の接地電極131、第1の信号電極132、第2の信号電極133、および第2の接地電極134を含んでいてもよい。第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bはいずれも、第1の信号電極132と第2の信号電極133との間に配置され、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b内で伝送された光信号が第1の信号電極132と第2の信号電極133との間で電圧変調を受けるように構成されている。具体的には、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b内で伝送された光信号は、大きさが同じで方向が逆の2つの電圧によりそれぞれ変調され、2つの光信号間に位相差が生成される。
【0018】
本実施形態においては、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bがいずれも、第1の信号電極132と第2の信号電極133との間に配置されているため、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b内で伝送された光信号に2つの信号電極の差分電圧が印加され、これにより効率を向上可能である。具体的には、第1の信号電極132および第2の信号電極133に入力される信号は逆(一方が1、他方が-1)である。従来のGSG型電気光学変調器(すなわち、2つの接地電極間に信号電極が1つしか配置されておらず、接地電極における信号が0である)と比較された場合、本実施形態における電気光学変調器では、第1の信号電極132と第2の信号電極133との間の差分信号について、その大きさが従来のGSG型電気光学変調器における接地電極と信号電極との間の信号の実質的に2倍であることから、2つの信号電極間の2つの光導波路により生成される位相差が略2倍にされ得る。したがって、本実施形態の差分電気光学変調器は、従来のGSG型電気光学変調器よりも変調効率が高い。
【0019】
さらに、上述の電気光学変調器1は、その延伸方向に沿って、複数の延伸部を有し、複数の延伸部は、複数の直線部と、2つの隣り合う直線部間にそれぞれ設けられている少なくとも1つの湾曲部と、を含む。一例として、
図1に示される電気光学変調器1は、第1の直線部11、第2の直線部12、および第1の直線部11と第2の直線部12との間に配置されている第1の湾曲部21を含む。
【0020】
本開示の他の実施形態においては、上述の複数の延伸部が3つ以上の直線部を含み得ることが了解される。
図2は、別の例示的な実施形態に係る、電気光学変調器1の模式上面図である。
図2に示されるように、電気光学変調器1は、「S」字状へと大略湾曲され、折り曲げられるように、3つの直線部10および2つの湾曲部20を含む。上述の実施形態においては、複数の直線部10が互いに平行となるように、湾曲部20が180°の円弧として設計されているが、他の実施形態においては、90°、60°、または45°等の別の角度の円弧として湾曲部20が設計されていてもよく、すなわち、複数の直線部10が互いに平行でなくてもよい。また、いくつかの実施形態においては、湾曲部20が非円弧状に湾曲されていてもよい。たとえば、直角で屈曲されていてもよい。
【0021】
本開示の1つまたは複数の実施形態によれば、電気光学変調器1が湾曲および折り曲げ設計を使用し、複数の直線部が一体的に積層され得るため、従来の電気光学変調器と比較された場合、長さ方向のサイズが大幅に抑えられ、電気光学変調器の製造コストを低減可能である。
【0022】
図1を引き続き参照して、電気光学変調器1は、第1の信号電極132に接続されるとともに離間する複数の第1の電極延伸部141と、第2の信号電極133に接続されるとともに離間する複数の第2の電極延伸部142と、をさらに具備する。複数の第1の電極延伸部141はすべて、第2の信号電極133に向かって延びるように配置され、それぞれが第1の副電極141aおよび第2の副電極141bを含む。複数の第2の電極延伸部142はすべて、第1の信号電極132に向かって延びるように配置され、それぞれが第3の副電極142aおよび第4の副電極142bを含む。
【0023】
複数の第1の電極延伸部141および複数の第2の電極延伸部142はすべて、光伝送路に沿って配置されていてもよい。好ましくは、第1の電極延伸部141の数が第2の電極延伸部142の数に等しく、第1の電極延伸部141それぞれと対応する第2の電極延伸部142とがグループを構成する。そして、第1の電極延伸部141の第1の副電極141aが第2の電極延伸部142の第3の副電極142aの反対に配置され、第1の光導波路120aが第1の副電極141aと第3の副電極142aとの間にある。また、第1の電極延伸部141の第2の副電極141bが第2の電極延伸部142の第4の副電極142bの反対に配置され、第2の光導波路120bが第2の副電極141bと第4の副電極142bとの間にある。好ましくは、上述の第1の副電極141a、第2の副電極141b、第3の副電極142a、および第4の副電極142bはすべて、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bと同じ延伸方向に沿って延びるように配置されている。
【0024】
いくつかの実施形態においては、
図1に示されるように、光学スプリッタ110を通過した後、光入力信号が第1の光信号および第2の光信号に分割され、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bによりそれぞれ提供される光伝送路に沿って伝送される。第1の信号電極132および第2の信号電極133には電圧が印加され、第1の接地電極131および第2の接地電極134は接地されている。第1の信号電極132が第1の副電極141aおよび第2の副電極141bに対して電気的に接続され、第2の信号電極133が第3の副電極142aおよび第4の副電極142bに対して電気的に接続されていることから、副電極はそれぞれ、電気的に接続されている進行波電極と同じ電位を有する。第1の光信号および第2の光信号が進行波電極130の間隙を通過する際には、第1の副電極141aおよび第3の副電極142aが第1の光信号を変調可能であり、第2の副電極141bおよび第4の副電極142bが第2の光信号を変調可能である。
【0025】
本開示の実施形態において、副電極は、各光導波路の2つの側面上に配置されており、各光導波路の2つの側面上の副電極が逆電位を有するように、副電極の電気接続構造が構成されている。たとえば、第1の副電極141aおよび第3の副電極142aはそれぞれ、Uおよび-Uの電位を有する。この場合、各光導波路の2つの側面上の副電極間の電位差は、2Uまたは-2Uである。電位差が大きいほど、電気光学結晶の屈折率が大きく変化するため、電気光学結晶の光波特性も大きく変化し、理想的な位相差がより高速に達成され得る。従来技術(たとえば、GSG型電気光学変調器)と同じ位相差を実現するのに、本開示の実施形態では、同じ条件下で必要となる光信号伝搬距離が短くなるため、機器のサイズを大幅に抑えることで空間を大幅に節約することができる。
【0026】
上述の通り、電気光学変調器1は、複数の直線部を具備するが、これらは、第1の種類の直線部および第2の種類の直線部を含む2つの種類に分けられる。
図3は、本開示の一実施形態に係る、第1の種類の直線部10aの模式図であり、
図4は、本開示の一実施形態に係る、第2の種類の直線部10bの模式図である。説明の便宜上、第1の光導波路120aが、第2の光導波路120bに対向する第1の側面と、第2の光導波路120bから離れた第2の側面と、を有し、第2の光導波路120bが、第1の光導波路120aに対向する第3の側面と、第1の光導波路120aから離れた第4の側面と、を有するものと規定される。
図3に示されるように、第1の種類の直線部10aは、第1の副電極141aおよび第2の副電極141bが第1の光導波路120aの第1の側面および第2の光導波路120bの第3の側面にそれぞれ配置され、第3の副電極142aおよび第4の副電極142bが第1の光導波路120aの第2の側面および第2の光導波路120bの第4の側面にそれぞれ配置されるように構成されている。
図4に示されるように、第2の種類の直線部10bは、第1の副電極141aおよび第2の副電極141bが第1の光導波路120aの第2の側面および第2の光導波路120bの第4の側面にそれぞれ配置され、第3の副電極142aおよび第4の副電極142bが第1の光導波路120aの第1の側面および第2の光導波路120bの第3の側面に配置されるように構成されている。
図3および
図4に見られるように、第1の種類の直線部10aは、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bに関して、第1の副電極141aおよび第2の副電極141bの位置が第3の副電極142aおよび第4の副電極142bの位置と交換されている点において、第2の種類の直線部10bと異なる。
【0027】
第1の種類の直線部10aおよび第2の種類の直線部10bの両者によって、各光導波路の2つの側面上の副電極が逆電位を有するようにし得ることが了解される。
【0028】
また、
図1および
図2に示される実施形態においては、複数の第1の電極延伸部141および複数の第2の電極延伸部142が好ましくは直線部10のみに設けられ、湾曲部20には電極延伸部が設けられていないことが注目されるべきである。言い換えると、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b内の光信号は、直線部10のみにおいて変調される。
【0029】
いくつかの実施形態において、
図1に示されるように、電気光学変調器1の複数の延伸部は、第1の直線部11、第2の直線部12、および第1の直線部11と第2の直線部12との間に設けられている第1の湾曲部21を含む。第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、第1の湾曲部21で離間して延びるように配置されている。すなわち、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、互いに交差することなく、それぞれの延伸経路に存在する。この場合、第1の直線部11および第2の直線部12は、同じ種類の直線部である。
図1に示されるように、第1の直線部11および第2の直線部12はいずれも、上述のような第1の種類の直線部10aである。
【0030】
図1に示される電気光学変調器1において、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、湾曲部において互いの位置を交換しておらず、言い換えると、第1の信号電極132および第2の信号電極133に対する第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bの位置は変わらない。したがって、第1の直線部11および第2の直線部12は、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bにそれぞれ印加される電圧信号の方向が変わらないように、同じ種類の直線部である必要がある。
図1に示される実施形態においては、第1の直線部11および第2の直線部12がいずれも第1の種類の直線部10aであるが、他の実施形態においては、第1の直線部11および第2の直線部12がいずれも、第2の種類の直線部10bであってもよいことが了解される。
【0031】
図5は、本開示の別の例示的な実施形態に係る、電気光学変調器1の模式上面図である。
図5に示されるように、電気光学変調器1の複数の延伸部は、第3の直線部13、第4の直線部14、および第3の直線部13と第4の直線部14との間に設けられている第2の湾曲部22を含む。
図5に示されるように、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、第2の湾曲部22で交差するように配置されている。この場合、第3の直線部13および第4の直線部14は、異なる種類の直線部である。
図5に示されるように、第3の直線部13が第1の種類の直線部10aであり、第4の直線部14が第2の種類の直線部10bである。
【0032】
図5に示される電気光学変調器1において、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、湾曲部において互いの位置を交換しており、言い換えると、第1の信号電極132および第2の信号電極133に対する第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bの位置が変化する。具体的には、最初は第1の信号電極132に近い第1の光導波路120aが第2の信号電極133に近くなり、最初は第2の信号電極133に近い第2の光導波路120bが第1の信号電極132に近くなる。したがって、第3の直線部13および第4の直線部14は、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bにそれぞれ印加される電圧信号の方向が変わらないように、異なる種類の直線部である必要がある。
図5に示される実施形態においては、第3の直線部13および第4の直線部14がそれぞれ、第1および第2の種類の直線部10a、10bであるが、他の実施形態においては、第3の直線部13および第4の直線部14がそれぞれ、第2および第1の種類の直線部10b、10aであってもよいことが了解される。
【0033】
上述の
図1および
図5に示される実施形態においては、3つの延伸部を含む電気光学変調器1のみが示されているが、他の実施形態においては、電気光学変調器1が4つ以上の延伸部(たとえば、5つ、7つ、または9つの延伸部)を含んでいてもよいことが了解される。電気光学変調器1の複数の延伸部はすべて、
図1に示される例のように配置されていてもよく、すなわち、隣り合うすべての直線部が同じ種類の直線部であり、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bが湾曲部で離間して延びるように配置されている。代替として、複数の延伸部はすべて、
図5に示される例のように配置されていてもよく、すなわち、隣り合うすべての直線部が異なる種類の直線部であり、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bが湾曲部で交差するように配置されている。さらに代替として、複数の延伸部は、
図1および
図5に示される例を併せたものであってもよく、すなわち、隣り合う一部の直線部が同じ種類の直線部で、一部が異なる種類の直線部である。要するに、本開示の実施態様は、延伸部の数、種類、および分布によって制限されない。
【0034】
図1を引き続き参照して、第1の電極延伸部141は、第1の延伸アーム141cをさらに含み、第2の電極延伸部142は、第2の延伸アーム142cをさらに含み、第1の延伸アーム141cおよび第2の延伸アーム142cがいずれも、好ましくは、進行波電極130と垂直に配置されている。第1の延伸アーム141cは、第1の信号電極132を第1の副電極141aおよび第2の副電極141bに対して電気的に接続するように構成されている。第2の延伸アーム142cは、第2の信号電極133を第3の副電極142aおよび第4の副電極142bに対して電気的に接続するように構成されている。いくつかの実施形態において、第1の延伸アーム141cは、第1の信号電極132、第1の副電極141a、および第2の副電極141bと一体的に形成されていてもよく、第2の延伸アーム142cは、第2の信号電極133、第3の副電極142a、および第4の副電極142bと一体的に形成されていてもよい。
【0035】
前述の構成は、各信号電極とその副電極との間の電気的接続を安定化させ、機器をパターン化し、パッケージングの統合を容易化することができる。
【0036】
説明の便宜上、以下は、延伸アームを進行波電極と各副電極との間の電気接続方法として例示化される。当然のことながら、進行波電極130と各副電極との間の電気的接続方法はこれに限定されず、進行波電極130から対応する副電極まで電気信号が伝送され得る限り、他の方法が用いられるようになっていてもよい。
【0037】
上述の実施形態においては、延伸アームおよび副電極の接続がL字状であり、すなわち、副電極が対応する延伸アームの1つの側面からしか延びていないが、延伸アームおよび副電極の接続は、T字状であってもよく、すなわち、副電極が対応する延伸アームの2つの側面から延びていてもよいし、別の実現可能な形状が用いられるようになっていてもよいことが了解される。当然のことながら、本開示の実施形態に示される形状は、限定的なものではなく、適当な速度整合を実現するための実際の必要性に基づいて、他の形状が用いられるようになっていてもよい。
【0038】
図6は、本開示のさらに別の実施形態に係る、電気光学変調器1の模式上面図である。
図6に示されるように、電気光学変調器1の複数の延伸部は、順次接続されている第5の直線部15、第1の遷移部31、第3の湾曲部23,第2の遷移部32、および第6の直線部16を含む。
図1に示される電気光学変調器1とは異なり、直接隣り合う直線部と湾曲部との間に遷移部が追加で設けられており、この遷移部は、直線部の各部の形状が湾曲部の形状へと徐々に変化するように構成されている。
【0039】
いくつかの実施形態において、直線部における第1の信号電極132、第2の信号電極133、第1の接地電極131、および第2の接地電極134のうちの少なくとも1つの幅は、湾曲部における対応する電極の幅と異なる。
図6に示されるように、第3の湾曲部23における第1の接地電極131、第1の信号電極132、第2の信号電極133、および第2の接地電極134の幅はそれぞれ、第5の直線部15における第1の接地電極131、第1の信号電極132、第2の信号電極133、および第2の接地電極134の幅よりも小さい。
【0040】
内側の電極(たとえば、第2の接地電極134および第2の信号電極133)の総延伸長は、外側の電極(たとえば、第1の接地電極131および第1の信号電極132)の総延伸長と異なるため、内側および外側の電極上の電気信号の伝送時間が可能な限り一致するように電極それぞれを設計する(たとえば、各電極の電極幅を設定する)ことが必要と考えられる。したがって、内側および外側の電極上の電気信号の伝送時間が可能な限り一致するように、直線部および湾曲部における電極それぞれの幅が異なる特定値に設定されるようになっていてもよい。
【0041】
上述の通り、直線部における電極それぞれの幅は、湾曲部における対応する電極の幅と異なる。したがって、
図6に示される実施形態においては、直線部と湾曲部との間に遷移部が追加で設けられ、遷移部において、直線部における電極それぞれの幅が湾曲部における対応する電極の幅へと徐々に変化することにより、電極の幅の急激な変化を回避して、電気信号の伝送が不安定にならないようにする。
【0042】
図1を引き続き参照して、いくつかの実施形態においては、電気光学変調器100が光学スプリッタ110および光学結合器150をさらに具備していてもよい。光学スプリッタ110は、光入力信号を第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b内で伝送される光信号へと分割するように構成されている。変調された第1の光信号および第2の光信号は、光学結合器150を通過した後に光結合信号に結合される。光結合信号は、光出力信号として直接出力されるようになっていてもよいし、2つ以上の光出力信号に分割された後、出力されるようになっていてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、電気光学変調器100は、少なくとも1つの構成要素を覆うように構成されている保護層をさらに具備する。たとえば、進行波電極130、第1の電極延伸部141、および第2の電極延伸部142が保護層で覆われることにより、電極の自然酸化または偶発的な表面損傷を遅らせ、要素の耐用年数を長くすることができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、ニオブ酸リチウム光導波路である。ニオブ酸リチウム結晶は、表面が滑らかで、優れた電気光学および音響光学効果を有する光学材料である。ニオブ酸リチウム結晶を用いて作成された高品質の光導波路は、超低伝送損失に対応可能であって、成熟技術、低コスト、および大量生産等、多くの優れた特性を有する。
【0045】
図7は、例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器1の直線部の模式斜視図である。
図7に示されるように、電気光学変調器1は、第1の光導波路120a、第2の光導波路120b、進行波電極130、第1の電極延伸部141、および第2の電極延伸部142を具備していてもよい。
【0046】
図7に示されるように、電気光学変調器1は、基板210と、基板上に配置されている絶縁層220と、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bを形成するように構成されている薄膜層230と、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b上に配置されている被覆層240と、をさらに具備していてもよい。被覆層240は、第1の光導波路120a上に配置されている第1の被覆層241と、第2の光導波路120b上に配置されている第2の被覆層242と、を含む。
【0047】
図7を引き続き参照して、いくつかの実施形態においては、進行波電極130が薄膜層230上に配置されていてもよく、第1の電極延伸部141および第2の電極延伸部142が被覆層240上に配置されていてもよい。この構造的配置の結果として、同じ光導波路の2つの側面上の副電極間の距離が短くなり、同じ条件下で得られる電界強度が高くなって、電気光学変換効率が向上する。
【0048】
いくつかの実施形態において、第1の電極延伸部141および第2の電極延伸部142はいずれも、第1の被覆層241および第2の被覆層242の上面まで延びている。第1の副電極141aおよび第3の副電極142aは、第1の被覆層241の上面に配置されており、第2の副電極141bおよび第4の副電極142bは、第2の被覆層242の上面に配置されている。具体的には、本実施形態においては、第1の被覆層241および第2の被覆層242が光導波路の方向に沿って延び、上方に突出している(すなわち、
図7に示されるD3方向に突出している)2つの構造であってもよい。好ましくは、これらの突起の断面が台形である。第1の被覆層241については、たとえば第1の光導波路120aが第1の被覆層241の下側で中心に配置されており、第1の副電極141aおよび第3の副電極142aが第1の被覆層241の台形本体の上面に配置され、互いに位置合わせされている。したがって、第1の電極延伸部141は、第1の被覆層241を介して第1の光導波路120a上を通過することにより、第1の電極延伸部141の第1の延伸アーム141cが第1の光導波路120aと干渉しないようにすることが了解される。
【0049】
図7に示される実施形態においては、進行波電極130、第1の電極延伸部141、および第2の電極延伸部142が薄膜層230上に配置されていてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態においては、進行波電極130の少なくとも一部ならびに第1の電極延伸部141および第2の電極延伸部142の少なくとも一部が薄膜層230中に配置されていてもよい。
図7に示される実施形態においては、進行波電極130、第1の電極延伸部141、および第2の電極延伸部142が薄膜層230上に配置されているものの、他の実施形態においては、これらの要素が薄膜層230中に配置されていてもよい。
【0051】
また、いくつかの実施形態においては、進行波電極130、第1の電極延伸部141、および第2の電極延伸部142が絶縁層220上に配置されていてもよいし、絶縁層220中に配置されていてもよい。
【0052】
図8は、本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学装置800の簡易ブロック図である。一例において、電気光学装置800は、電気光学変調器810と、電気光学変調器810に結合されている電気的インターフェース811と、電気光学変調器810に結合されている光学的インターフェース812と、を具備していてもよい。電気光学変調器810は、上述の実施形態のいずれか1つに従って構成されていてもよい。
【0053】
以上、図面を参照して、本開示の実施形態および例が説明されているが、上述の方法、システム、および機器は例示的な実施形態または例に過ぎず、本開示の範囲はこれらの実施形態にも例にも制限されず、特許された特許請求の範囲およびその同等物によってのみ規定されることが了解されるものとする。これらの実施形態または例におけるさまざまな要素は、省略されてもよいし、その同等の要素により置き換えられてもよい。さらに、これらのステップは、本開示に記載の順序とは異なる順序で実行されるようになっていてもよい。さらに、これらの実施形態または例におけるさまざまな要素は、さまざまに組み合わされてもよい。技術が発展するにつれて、本明細書に記載の多くの要素は、本開示の後に現れる同等の要素で置き換えられ得ることが重要である。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気光学変調技術に関し、詳細には、電気光学変調器および電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学変調器は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)結晶、ヒ化ガリウム(GaAs)結晶、またはタンタル酸リチウム(LiTaO3)結晶等、いくつかの電気光学結晶の電気光学効果を使用することにより構成される変調器である。電圧が電気光学結晶に印加されると、電気光学結晶の屈折率が変化して、光信号の位相、振幅、強度、偏光状態、および他の特性の変調を実行することになる。電気光学変調器の中で一般的な変調器は、マッハツェンダー変調器である。この干渉計型変調器は主に、変調器中の2つのアーム間の位相差を使用して、コヒーレント強調(coherent enhancement)およびコヒーレントキャンセル(coherent cancellation)の信号変調を達成する。
【0003】
ただし、高速かつ大容量で統合された通信技術に対する需要が急速に高まる中、電気光学変調器の変調効果を確保しつつ、統合装置のサイズを最小限に抑えることが望まれている。これは、電極設計に対する高い要求となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の問題のうちの1つまたは複数を緩和、軽減、あるいは排除する機構を提供するのが好都合となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、電気光学変調器であって、電気光学変調器の延伸方向に沿って延びるようにそれぞれ配置されている第1の光導波路、第2の光導波路、および進行波電極を備え、進行波電極が、電気光学変調器の延伸方向に沿ってそれぞれ延び、互いに離間する第1の接地電極、第1の信号電極、第2の信号電極、および第2の接地電極を備え、第1の光導波路および第2の光導波路がいずれも、第1の信号電極と第2の信号電極との間に配置され、第1の光導波路および第2の光導波路内で伝送された光信号が第1の信号電極と第2の信号電極との間で電圧変調を受けるように構成され、電気光学変調器が、その延伸方向に沿って、複数の延伸部を有し、複数の延伸部が、複数の直線部と、2つの隣り合う直線部間にそれぞれ設けられている少なくとも1つの湾曲部と、を備える、電気光学変調器が提供される。
【0006】
本開示の別の態様によれば、上述の電気光学変調器を備える電気光学装置が提供される。
【0007】
本開示の1つまたは複数の実施形態によれば、この電気光学変調器が湾曲および折り曲げ設計を使用し、複数の直線部が一体的に積層され得るため、従来の電気光学変調器と比較された場合、長さ方向のサイズが大幅に抑えられ、電気光学変調器の製造コストを低減可能である。
【0008】
本開示の上記および他の態様については、後述の実施形態から明らかとなるであろうし、後述の実施形態を参照して明確にされるであろう。
【0009】
本開示の別途詳細、特徴、および利点については、添付の図面を参照しつつ、例示的な実施形態に関する以下の説明において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器の模式上面図である。
【
図2】本開示の別の例示的な実施形態に係る、電気光学変調器の模式上面図である。
【
図3】本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器の第1の種類の直線部の模式上面図である。
【
図4】本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器の第2の種類の直線部の模式上面図である。
【
図5】本開示のさらに別の例示的な実施形態に係る、電気光学変調器の模式上面図である。
【
図6】本開示のさらに別の例示的な実施形態に係る、電気光学変調器の模式上面図である。
【
図7】本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器の直線部の模式斜視図である。
【
図8】本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学装置の模式ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示において、別段の記載のない限り、さまざまな要素の説明に用いられる用語「第1(first)」、「第2(second)」等は、これらの要素の位置、時間、または重要度の関係を制限することではなく、ある要素を別の要素から区別することのみが意図される。いくつかの例においては、第1の要素および第2の要素が要素の同じ実例を表していてもよく、また、場合によっては、文脈上の記述に基づいて、第1の要素および第2の要素が異なる実例を表していてもよい。
【0012】
本開示において、種々例の説明に用いられる用語は、特定の例の説明を目的としているに過ぎず、何らの限定も意図されない。要素の数が具体的に規定されていない場合は、文脈上の別段の明示のない限り、1つまたは複数の要素が存在していてもよい。さらに、本開示において用いられる用語「および/または(and/or)」は、記載の項目に関して考え得るありとあらゆる組み合わせを含む。
【0013】
電気光学変調関連技術は、光通信、マイクロ波フォトニクス、レーザビーム偏向、波面変調等の分野において広く開発および適用されている。従来技術のマッハツェンダー変調器においては、1つの信号電極および2つの接地電極の使用によって、0(接地信号)、1(変調電圧信号)、および0(接地信号)の形態の信号を入力することにより、反対方向の2つの電界を生成する。すなわち、後述の「GSG」型電気光学変調器である。反対の電界方向の使用によって、2つの電界に配置されている2つの光路信号の逆変調を実施することにより、位相差を生成してコヒーレント強調またはコヒーレントキャンセルを達成する。
【0014】
ただし、十分な位相差を実現するには、比較的大きな変調電圧および比較的長い伝送距離が必要とされる。既存の電気光学変調器には、大きなサイズまたは低い変調効率という不都合があり、現在の市場にある統合性および高効率性の要求を満たすことが難しくなっている。
【0015】
本開示の実施形態は、前述の不都合を緩和、軽減、あるいは排除し得る改良された電気光学変調器を提供する。
【0016】
図1は、例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器1の模式上面図である。
図1を参照して、電気光学変調器1は、光学スプリッタ110、光学結合器150、第1の光導波路120a、第2の光導波路120b、および進行波電極130を具備していてもよい。
【0017】
進行波電極130は、電気光学変調器1の全体的な延伸方向に沿って延びており、一例において、電気光学変調器1の延伸方向に沿ってそれぞれ延び、互いに離間する第1の接地電極131、第1の信号電極132、第2の信号電極133、および第2の接地電極134を含んでいてもよい。第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bはいずれも、第1の信号電極132と第2の信号電極133との間に配置され、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b内で伝送された光信号が第1の信号電極132と第2の信号電極133との間で電圧変調を受けるように構成されている。一例において、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b内で伝送された光信号は、大きさが同じで方向が逆の2つの電圧によりそれぞれ変調され、2つの光信号間に位相差が生成される。
【0018】
本実施形態においては、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bがいずれも、第1の信号電極132と第2の信号電極133との間に配置されているため、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b内で伝送された光信号に2つの信号電極の差分電圧が印加され、これにより効率を向上可能である。一例において、第1の信号電極132および第2の信号電極133に入力される信号は逆(一方が1、他方が-1)である。従来のGSG型電気光学変調器(すなわち、2つの接地電極間に信号電極が1つしか配置されておらず、接地電極における信号が0である)と比較された場合、本実施形態における電気光学変調器では、第1の信号電極132と第2の信号電極133との間の差分信号について、その大きさが従来のGSG型電気光学変調器における接地電極と信号電極との間の信号の実質的に2倍であることから、2つの信号電極間の2つの光導波路により生成される位相差が略2倍にされ得る。したがって、本実施形態の差分電気光学変調器は、従来のGSG型電気光学変調器よりも変調効率が高い。
【0019】
さらに、上述の電気光学変調器1は、その延伸方向に沿って、複数の延伸部を有し、複数の延伸部は、複数の直線部と、2つの隣り合う直線部間にそれぞれ設けられている少なくとも1つの湾曲部と、を含む。一例として、
図1に示される電気光学変調器1は、第1の直線部11、第2の直線部12、および第1の直線部11と第2の直線部12との間に配置されている第1の湾曲部21を含む。
【0020】
本開示の他の実施形態においては、上述の複数の延伸部が3つ以上の直線部を含み得ることが了解される。
図2は、別の例示的な実施形態に係る、電気光学変調器1の模式上面図である。
図2に示されるように、電気光学変調器1は、「S」字状へと大略湾曲され、折り曲げられるように、3つの直線部10および2つの湾曲部20を含む。上述の実施形態においては、複数の直線部10が互いに平行となるように、湾曲部20が180°の円弧として設計されているが、他の実施形態においては、90°、60°、または45°等の別の角度の円弧として湾曲部20が設計されていてもよく、すなわち、複数の直線部10が互いに平行でなくてもよい。また、いくつかの実施形態においては、湾曲部20が非円弧状に湾曲されていてもよい。たとえば、直角で屈曲されていてもよい。
【0021】
本開示の1つまたは複数の実施形態によれば、電気光学変調器1が湾曲および折り曲げ設計を使用し、複数の直線部が一体的に積層され得るため、従来の電気光学変調器と比較された場合、長さ方向のサイズが大幅に抑えられ、電気光学変調器の製造コストを低減可能である。
【0022】
図1を引き続き参照して、電気光学変調器1は、第1の信号電極132に接続されるとともに離間する複数の第1の電極延伸部141と、第2の信号電極133に接続されるとともに離間する複数の第2の電極延伸部142と、をさらに具備する。複数の第1の電極延伸部141はすべて、第2の信号電極133に向かって延びるように配置され、それぞれが第1の副電極141aおよび第2の副電極141bを含む。複数の第2の電極延伸部142はすべて、第1の信号電極132に向かって延びるように配置され、それぞれが第3の副電極142aおよび第4の副電極142bを含む。
【0023】
複数の第1の電極延伸部141および複数の第2の電極延伸部142はすべて、光伝送路に沿って配置されていてもよい。一例においては、第1の電極延伸部141の数が第2の電極延伸部142の数に等しく、第1の電極延伸部141それぞれと対応する第2の電極延伸部142とがグループを構成する。そして、第1の電極延伸部141の第1の副電極141aが第2の電極延伸部142の第3の副電極142aの反対に配置され、第1の光導波路120aが第1の副電極141aと第3の副電極142aとの間にある。また、第1の電極延伸部141の第2の副電極141bが第2の電極延伸部142の第4の副電極142bの反対に配置され、第2の光導波路120bが第2の副電極141bと第4の副電極142bとの間にある。一例において、上述の第1の副電極141a、第2の副電極141b、第3の副電極142a、および第4の副電極142bはすべて、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bと同じ延伸方向に沿って延びるように配置されている。
【0024】
いくつかの実施形態においては、
図1に示されるように、光学スプリッタ110を通過した後、光入力信号が第1の光信号および第2の光信号に分割され、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bによりそれぞれ提供される光伝送路に沿って伝送される。第1の信号電極132および第2の信号電極133には電圧が印加され、第1の接地電極131および第2の接地電極134は接地されている。第1の信号電極132が第1の副電極141aおよび第2の副電極141bに対して電気的に接続され、第2の信号電極133が第3の副電極142aおよび第4の副電極142bに対して電気的に接続されていることから、副電極はそれぞれ、電気的に接続されている進行波電極と同じ電位を有する。第1の光信号および第2の光信号が進行波電極130の間隙を通過する際には、第1の副電極141aおよび第3の副電極142aが第1の光信号を変調可能であり、第2の副電極141bおよび第4の副電極142bが第2の光信号を変調可能である。
【0025】
本開示の実施形態において、副電極は、各光導波路の2つの側面上に配置されており、各光導波路の2つの側面上の副電極が逆電位を有するように、副電極の電気接続構造が構成されている。たとえば、第1の副電極141aおよび第3の副電極142aはそれぞれ、Uおよび-Uの電位を有する。この場合、各光導波路の2つの側面上の副電極間の電位差は、2Uまたは-2Uである。電位差が大きいほど、電気光学結晶の屈折率が大きく変化するため、電気光学結晶の光波特性も大きく変化し、理想的な位相差がより高速に達成され得る。従来技術(たとえば、GSG型電気光学変調器)と同じ位相差を実現するのに、本開示の実施形態では、同じ条件下で必要となる光信号伝搬距離が短くなるため、機器のサイズを大幅に抑えることで空間を大幅に節約することができる。
【0026】
上述の通り、電気光学変調器1は、複数の直線部を具備するが、これらは、第1の種類の直線部および第2の種類の直線部を含む2つの種類に分けられる。
図3は、本開示の一実施形態に係る、第1の種類の直線部10aの模式図であり、
図4は、本開示の一実施形態に係る、第2の種類の直線部10bの模式図である。説明の便宜上、第1の光導波路120aが、第2の光導波路120bに対向する第1の側面と、第2の光導波路120bから離れた第2の側面と、を有し、第2の光導波路120bが、第1の光導波路120aに対向する第3の側面と、第1の光導波路120aから離れた第4の側面と、を有するものと規定される。
図3に示されるように、第1の種類の直線部10aは、第1の副電極141aおよび第2の副電極141bが第1の光導波路120aの第1の側面および第2の光導波路120bの第3の側面にそれぞれ配置され、第3の副電極142aおよび第4の副電極142bが第1の光導波路120aの第2の側面および第2の光導波路120bの第4の側面にそれぞれ配置されるように構成されている。
図4に示されるように、第2の種類の直線部10bは、第1の副電極141aおよび第2の副電極141bが第1の光導波路120aの第2の側面および第2の光導波路120bの第4の側面にそれぞれ配置され、第3の副電極142aおよび第4の副電極142bが第1の光導波路120aの第1の側面および第2の光導波路120bの第3の側面に配置されるように構成されている。
図3および
図4に見られるように、第1の種類の直線部10aは、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bに関して、第1の副電極141aおよび第2の副電極141bの位置が第3の副電極142aおよび第4の副電極142bの位置と交換されている点において、第2の種類の直線部10bと異なる。
【0027】
第1の種類の直線部10aおよび第2の種類の直線部10bの両者によって、各光導波路の2つの側面上の副電極が逆電位を有するようにし得ることが了解される。
【0028】
また、
図1および
図2に示される実施形態の一例においては、複数の第1の電極延伸部141および複数の第2の電極延伸部142が直線部10のみに設けられ、湾曲部20には電極延伸部が設けられていないことが注目されるべきである。言い換えると、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b内の光信号は、直線部10のみにおいて変調される。
【0029】
いくつかの実施形態において、
図1に示されるように、電気光学変調器1の複数の延伸部は、第1の直線部11、第2の直線部12、および第1の直線部11と第2の直線部12との間に設けられている第1の湾曲部21を含む。第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、第1の湾曲部21で離間して延びるように配置されている。すなわち、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、互いに交差することなく、それぞれの延伸経路に存在する。この場合、第1の直線部11および第2の直線部12は、同じ種類の直線部である。
図1に示されるように、第1の直線部11および第2の直線部12はいずれも、上述のような第1の種類の直線部10aである。
【0030】
図1に示される電気光学変調器1において、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、湾曲部において互いの位置を交換しておらず、言い換えると、第1の信号電極132および第2の信号電極133に対する第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bの位置は変わらない。したがって、第1の直線部11および第2の直線部12は、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bにそれぞれ印加される電圧信号の方向が変わらないように、同じ種類の直線部である必要がある。
図1に示される実施形態においては、第1の直線部11および第2の直線部12がいずれも第1の種類の直線部10aであるが、他の実施形態においては、第1の直線部11および第2の直線部12がいずれも、第2の種類の直線部10bであってもよいことが了解される。
【0031】
図5は、本開示の別の例示的な実施形態に係る、電気光学変調器1の模式上面図である。
図5に示されるように、電気光学変調器1の複数の延伸部は、第3の直線部13、第4の直線部14、および第3の直線部13と第4の直線部14との間に設けられている第2の湾曲部22を含む。
図5に示されるように、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、第2の湾曲部22で交差するように配置されている。この場合、第3の直線部13および第4の直線部14は、異なる種類の直線部である。
図5に示されるように、第3の直線部13が第1の種類の直線部10aであり、第4の直線部14が第2の種類の直線部10bである。
【0032】
図5に示される電気光学変調器1において、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、湾曲部において互いの位置を交換しており、言い換えると、第1の信号電極132および第2の信号電極133に対する第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bの位置が変化する。一例において、最初は第1の信号電極132に近い第1の光導波路120aが第2の信号電極133に近くなり、最初は第2の信号電極133に近い第2の光導波路120bが第1の信号電極132に近くなる。したがって、第3の直線部13および第4の直線部14は、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bにそれぞれ印加される電圧信号の方向が変わらないように、異なる種類の直線部である必要がある。
図5に示される実施形態においては、第3の直線部13および第4の直線部14がそれぞれ、第1および第2の種類の直線部10a、10bであるが、他の実施形態においては、第3の直線部13および第4の直線部14がそれぞれ、第2および第1の種類の直線部10b、10aであってもよいことが了解される。
【0033】
上述の
図1および
図5に示される実施形態においては、3つの延伸部を含む電気光学変調器1のみが示されているが、他の実施形態においては、電気光学変調器1が4つ以上の延伸部(たとえば、5つ、7つ、または9つの延伸部)を含んでいてもよいことが了解される。電気光学変調器1の複数の延伸部はすべて、
図1に示される例のように配置されていてもよく、すなわち、隣り合うすべての直線部が同じ種類の直線部であり、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bが湾曲部で離間して延びるように配置されている。代替として、複数の延伸部はすべて、
図5に示される例のように配置されていてもよく、すなわち、隣り合うすべての直線部が異なる種類の直線部であり、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bが湾曲部で交差するように配置されている。さらに代替として、複数の延伸部は、
図1および
図5に示される例を併せたものであってもよく、すなわち、隣り合う一部の直線部が同じ種類の直線部で、一部が異なる種類の直線部である。要するに、本開示の実施態様は、延伸部の数、種類、および分布によって制限されない。
【0034】
図1を引き続き参照して、第1の電極延伸部141は、第1の延伸アーム141cをさらに含み、第2の電極延伸部142は、第2の延伸アーム142cをさらに含み、一例においては、第1の延伸アーム141cおよび第2の延伸アーム142cがいずれも、進行波電極130と垂直に配置されている。第1の延伸アーム141cは、第1の信号電極132を第1の副電極141aおよび第2の副電極141bに対して電気的に接続するように構成されている。第2の延伸アーム142cは、第2の信号電極133を第3の副電極142aおよび第4の副電極142bに対して電気的に接続するように構成されている。いくつかの実施形態において、第1の延伸アーム141cは、第1の信号電極132、第1の副電極141a、および第2の副電極141bと一体的に形成されていてもよく、第2の延伸アーム142cは、第2の信号電極133、第3の副電極142a、および第4の副電極142bと一体的に形成されていてもよい。
【0035】
前述の構成は、各信号電極とその副電極との間の電気的接続を安定化させ、機器をパターン化し、パッケージングの統合を容易化することができる。
【0036】
説明の便宜上、以下は、延伸アームを進行波電極と各副電極との間の電気接続方法として例示化される。当然のことながら、進行波電極130と各副電極との間の電気的接続方法はこれに限定されず、進行波電極130から対応する副電極まで電気信号が伝送され得る限り、他の方法が用いられるようになっていてもよい。
【0037】
上述の実施形態においては、延伸アームおよび副電極の接続がL字状であり、すなわち、副電極が対応する延伸アームの1つの側面からしか延びていないが、延伸アームおよび副電極の接続は、T字状であってもよく、すなわち、副電極が対応する延伸アームの2つの側面から延びていてもよいし、別の実現可能な形状が用いられるようになっていてもよいことが了解される。当然のことながら、本開示の実施形態に示される形状は、限定的なものではなく、適当な速度整合を実現するための実際の必要性に基づいて、他の形状が用いられるようになっていてもよい。
【0038】
図6は、本開示のさらに別の実施形態に係る、電気光学変調器1の模式上面図である。
図6に示されるように、電気光学変調器1の複数の延伸部は、順次接続されている第5の直線部15、第1の遷移部31、第3の湾曲部23,第2の遷移部32、および第6の直線部16を含む。
図1に示される電気光学変調器1とは異なり、直接隣り合う直線部と湾曲部との間に遷移部が追加で設けられており、この遷移部は、直線部の各部の形状が湾曲部の形状へと徐々に変化するように構成されている。
【0039】
いくつかの実施形態において、直線部における第1の信号電極132、第2の信号電極133、第1の接地電極131、および第2の接地電極134のうちの少なくとも1つの幅は、湾曲部における対応する電極の幅と異なる。
図6に示されるように、第3の湾曲部23における第1の接地電極131、第1の信号電極132、第2の信号電極133、および第2の接地電極134の幅はそれぞれ、第5の直線部15における第1の接地電極131、第1の信号電極132、第2の信号電極133、および第2の接地電極134の幅よりも小さい。
【0040】
内側の電極(たとえば、第2の接地電極134および第2の信号電極133)の総延伸長は、外側の電極(たとえば、第1の接地電極131および第1の信号電極132)の総延伸長と異なるため、内側および外側の電極上の電気信号の伝送時間が可能な限り一致するように電極それぞれを設計する(たとえば、各電極の電極幅を設定する)ことが必要と考えられる。したがって、内側および外側の電極上の電気信号の伝送時間が可能な限り一致するように、直線部および湾曲部における電極それぞれの幅が異なる特定値に設定されるようになっていてもよい。
【0041】
上述の通り、直線部における電極それぞれの幅は、湾曲部における対応する電極の幅と異なる。したがって、
図6に示される実施形態においては、直線部と湾曲部との間に遷移部が追加で設けられ、遷移部において、直線部における電極それぞれの幅が湾曲部における対応する電極の幅へと徐々に変化することにより、電極の幅の急激な変化を回避して、電気信号の伝送が不安定にならないようにする。
【0042】
図1を引き続き参照して、いくつかの実施形態においては、電気光学変調器1が光学スプリッタ110および光学結合器150をさらに具備していてもよい。光学スプリッタ110は、光入力信号を第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b内で伝送される光信号へと分割するように構成されている。変調された第1の光信号および第2の光信号は、光学結合器150を通過した後に光結合信号に結合される。光結合信号は、光出力信号として直接出力されるようになっていてもよいし、2つ以上の光出力信号に分割された後、出力されるようになっていてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、電気光学変調器1は、少なくとも1つの構成要素を覆うように構成されている保護層をさらに具備する。たとえば、進行波電極130、第1の電極延伸部141、および第2の電極延伸部142が保護層で覆われることにより、電極の自然酸化または偶発的な表面損傷を遅らせ、要素の耐用年数を長くすることができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bは、ニオブ酸リチウム光導波路である。ニオブ酸リチウム結晶は、表面が滑らかで、優れた電気光学および音響光学効果を有する光学材料である。ニオブ酸リチウム結晶を用いて作成された高品質の光導波路は、超低伝送損失に対応可能であって、成熟技術、低コスト、および大量生産等、多くの優れた特性を有する。
【0045】
図7は、例示的な一実施形態に係る、電気光学変調器1の直線部の模式斜視図である。
図7に示されるように、電気光学変調器1は、第1の光導波路120a、第2の光導波路120b、進行波電極130、第1の電極延伸部141、および第2の電極延伸部142を具備していてもよい。
【0046】
図7に示されるように、電気光学変調器1は、基板210と、基板上に配置されている絶縁層220と、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120bを形成するように構成されている薄膜層230と、第1の光導波路120aおよび第2の光導波路120b上に配置されている被覆層240と、をさらに具備していてもよい。被覆層240は、第1の光導波路120a上に配置されている第1の被覆層241と、第2の光導波路120b上に配置されている第2の被覆層242と、を含む。
【0047】
図7を引き続き参照して、いくつかの実施形態においては、進行波電極130が薄膜層230上に配置されていてもよく、第1の電極延伸部141および第2の電極延伸部142が被覆層240上に配置されていてもよい。この構造的配置の結果として、同じ光導波路の2つの側面上の副電極間の距離が短くなり、同じ条件下で得られる電界強度が高くなって、電気光学変換効率が向上する。
【0048】
いくつかの実施形態において、第1の電極延伸部141および第2の電極延伸部142はいずれも、第1の被覆層241および第2の被覆層242の上面まで延びている。第1の副電極141aおよび第3の副電極142aは、第1の被覆層241の上面に配置されており、第2の副電極141bおよび第4の副電極142bは、第2の被覆層242の上面に配置されている。一例において、本実施形態においては、第1の被覆層241および第2の被覆層242が光導波路の方向に沿って延び、上方に突出している(すなわち、
図7に示されるD3方向に突出している)2つの構造であってもよい。一例においては、これらの突起の断面が台形である。第1の被覆層241については、たとえば第1の光導波路120aが第1の被覆層241の下側で中心に配置されており、第1の副電極141aおよび第3の副電極142aが第1の被覆層241の台形本体の上面に配置され、互いに位置合わせされている。したがって、第1の電極延伸部141は、第1の被覆層241を介して第1の光導波路120a上を通過することにより、第1の電極延伸部141の第1の延伸アーム141cが第1の光導波路120aと干渉しないようにすることが了解される。
【0049】
図7に示される実施形態においては、進行波電極130、第1の電極延伸部141、および第2の電極延伸部142が薄膜層230上に配置されていてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態においては、進行波電極130の少なくとも一部ならびに第1の電極延伸部141および第2の電極延伸部142の少なくとも一部が薄膜層230中に配置されていてもよい。
図7に示される実施形態においては、進行波電極130、第1の電極延伸部141、および第2の電極延伸部142が薄膜層230上に配置されているものの、他の実施形態においては、これらの要素が薄膜層230中に配置されていてもよい。
【0051】
また、いくつかの実施形態においては、進行波電極130、第1の電極延伸部141、および第2の電極延伸部142が絶縁層220上に配置されていてもよいし、絶縁層220中に配置されていてもよい。
【0052】
図8は、本開示の例示的な一実施形態に係る、電気光学装置800の簡易ブロック図である。一例において、電気光学装置800は、電気光学変調器810と、電気光学変調器810に結合されている電気的インターフェース811と、電気光学変調器810に結合されている光学的インターフェース812と、を具備していてもよい。電気光学変調器810は、上述の実施形態のいずれか1つに従って構成されていてもよい。
【0053】
以上、図面を参照して、本開示の実施形態および例が説明されているが、上述の方法、システム、および機器は例示的な実施形態または例に過ぎず、本開示の範囲はこれらの実施形態にも例にも制限されず、特許された特許請求の範囲およびその同等物によってのみ規定されることが了解されるものとする。これらの実施形態または例におけるさまざまな要素は、省略されてもよいし、その同等の要素により置き換えられてもよい。さらに、これらのステップは、本開示に記載の順序とは異なる順序で実行されるようになっていてもよい。さらに、これらの実施形態または例におけるさまざまな要素は、さまざまに組み合わされてもよい。技術が発展するにつれて、本明細書に記載の多くの要素は、本開示の後に現れる同等の要素で置き換えられ得ることが重要である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学変調器であって、
前記電気光学変調器の延伸方向に沿って延びるようにそれぞれ配置されている第1の光導波路、第2の光導波路、および進行波電極を備え、
前記進行波電極が、互いに離間する第1の接地電極、第1の信号電極、第2の信号電極、および第2の接地電極を備え、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路がいずれも、前記第1の信号電極と前記第2の信号電極との間に配置され、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路内で伝送された光信号が前記第1の信号電極と前記第2の信号電極との間で電圧変調を受けるように構成され、
前記電気光学変調器が、その前記延伸方向に沿って、複数の延伸部を有し、
前記複数の延伸部が、複数の直線部と、2つの隣り合う直線部間にそれぞれ設けられている少なくとも1つの湾曲部と、を備える、電気光学変調器。
【請求項2】
前記第1の信号電極に接続されるとともに離間し、前記第2の信号電極に向かって延びるようにすべて配置されている複数の第1の電極延伸部であり、それぞれが第1の副電極および第2の副電極を備える、複数の第1の電極延伸部と、
前記第2の信号電極に接続されるとともに離間し、前記第1の信号電極に向かって延びるようにすべて配置されている複数の第2の電極延伸部であり、それぞれが第3の副電極および第4の副電極を備える、複数の第2の電極延伸部と、
をさらに備え、
前記第1の副電極および前記第3の副電極がそれぞれ、前記第1の光導波路の2つの側面上に配置され、
前記第2の副電極および前記第4の副電極がそれぞれ、前記第2の光導波路の2つの側面上に配置されている、請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項3】
前記第1の光導波路が、前記第2の光導波路に対向する第1の側面と、前記第2の光導波路から離れた第2の側面と、を有し、前記第2の光導波路が、前記第1の光導波路に対向する第3の側面と、前記第1の光導波路から離れた第4の側面と、を有し、
前記複数の直線部が、第1の種類の直線部および/または第2の種類の直線部を備え、
前記第1の種類の直線部が、前記第1の副電極および前記第2の副電極が前記第1の光導波路の前記第1の側面および前記第2の光導波路の前記第3の側面にそれぞれ配置され、前記第3の副電極および前記第4の副電極が前記第1の光導波路の前記第2の側面および前記第2の光導波路の前記第4の側面に配置されるように構成され、
前記第2の種類の直線部が、前記第1の副電極および前記第2の副電極が前記第1の光導波路の前記第2の側面および前記第2の光導波路の前記第4の側面にそれぞれ配置され、前記第3の副電極および前記第4の副電極が前記第1の光導波路の前記第1の側面および前記第2の光導波路の前記第3の側面に配置されるように構成されている、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項4】
前記第1の電極延伸部がそれぞれ、前記第1の副電極および前記第2の副電極を前記第1の信号電極に接続するように構成されている第1の延伸アームをさらに備え、
前記第2の電極延伸部がそれぞれ、前記第3の副電極および前記第4の副電極を前記第2の信号電極に接続するように構成されている第2の延伸アームをさらに備える、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項5】
前記第1の電極延伸部の数が、前記第2の電極延伸部の数に等しく、
前記第1の電極延伸部それぞれの前記第1の副電極が、対応する前記第2の電極延伸部の前記第3の副電極の反対に配置され、
前記第1の電極延伸部それぞれの前記第2の副電極が、対応する前記第2の電極延伸部の前記第4の副電極の反対に配置されている、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項6】
前記複数の延伸部が、第1の直線部、第2の直線部、および前記第1の直線部と前記第2の直線部との間に設けられている第1の湾曲部を備え、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路が、前記第1の湾曲部で離間して延びるように配置され、
前記第1の直線部および前記第2の直線部が、同じ種類の直線部である、請求項3に記載の電気光学変調器。
【請求項7】
前記複数の延伸部が、第3の直線部、第4の直線部、および前記第3の直線部と前記第4の直線部との間に設けられている第3の湾曲部を備え、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路が、前記第2の湾曲部で交差するように配置され、
前記第3の直線部および前記第4の直線部が、異なる種類の直線部である、請求項3に記載の電気光学変調器。
【請求項8】
前記第1の信号電極、前記第2の信号電極、前記第1の接地電極、および前記第2の接地電極のうちの少なくとも1つの前記直線部における幅が、対応する電極の前記湾曲部における幅と異なる、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項9】
前記複数の延伸部が、前記直線部と前記直線部に直接隣り合う前記湾曲部とを接続するようにそれぞれ構成されている複数の遷移部をさらに備え、
前記遷移部それぞれにおいて、前記第1の信号電極、前記第2の信号電極、前記第1の接地電極、および前記第2の接地電極それぞれの幅が、前記直線部から前記湾曲部への方向に沿って、対応する前記電極の前記直線部における幅から対応する前記電極の前記湾曲部における幅まで徐々に変化する、請求項8に記載の電気光学変調器。
【請求項10】
基板と、
前記基板上に配置されている絶縁層と、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路を形成するように構成されている薄膜層と、
前記第1の光導波路上に配置されている第1の被覆層と、
前記第2の光導波路上に配置されている第2の被覆層と、
をさらに備える、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項11】
前記第1の電極延伸部および前記第2の電極延伸部がいずれも、前記第1の被覆層および前記第2の被覆層の上面まで延びている、請求項10に記載の電気光学変調器。
【請求項12】
前記第1の副電極および前記第3の副電極が、前記第1の被覆層の上面に配置され、
前記第2の副電極および前記第4の副電極が、前記第2の被覆層の上面に配置されている、請求項11に記載の電気光学変調器。
【請求項13】
光入力信号を前記第1の光導波路および前記第2の光導波路内で伝送される光信号へと分割するように構成されている光学スプリッタと、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路内で伝送された前記光信号を光出力信号とに再結合するように構成されている光学結合器と、
をさらに備える、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の電気光学変調器を備える、電気光学装置。
【国際調査報告】