(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】LysE変異体及びそれを用いたL-アルギニン生産方法
(51)【国際特許分類】
C07K 14/34 20060101AFI20240822BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240822BHJP
C12P 13/10 20060101ALI20240822BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
C07K14/34 ZNA
C12N1/21
C12P13/10 B
C12N15/31
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515816
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 KR2022016438
(87)【国際公開番号】W WO2023075397
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0143660
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513178894
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130373
【氏名又は名称】椎名 佳代
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョ ギョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソン ヒョン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AE24
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA10
4B065AA01X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA17
4B065CA41
4B065CA44
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA11
4H045EA01
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本出願は、LysE変異体を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1の50番目、153番目及び215番目の位置に対応するアミノ酸中のいずれか一つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された、LysE変異体。
【請求項2】
前記LysE変異体は、コリネバクテリウム属由来である、請求項1に記載のLysE変異体。
【請求項3】
前記50番目の位置に対応するアミノ酸は、非極性アミノ酸で置換された、請求項1に記載のLysE変異体。
【請求項4】
前記153番目または215番目の位置に対応するアミノ酸は、極性アミノ酸で置換された、請求項1に記載の変異体。
【請求項5】
前記変異体は、配列番号1のアミノ酸配列で50番目、153番目及び215番目のアミノ酸残基のいずれか一つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された、請求項1に記載のLysE変異体。
【請求項6】
前記LysE変異体は、配列番号1と80%以上の配列同一性を有するものである、請求項1に記載のLysE変異体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の変異体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号1の50番目、153番目及び215番目の位置に対応するアミノ酸中のいずれか一つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたLysE変異体または前記LysE変異体をコードするポリヌクレオチドを含む、コリネバクテリウム属微生物。
【請求項9】
前記微生物は、コリネバクテリウム・グルタミカムである、請求項8に記載の微生物。
【請求項10】
配列番号1の50番目、153番目及び215番目の位置に対応するアミノ酸中のいずれか一つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された、LysE変異体または前記LysE変異体をコードするポリヌクレオチドを含むコリネバクテリウム属微生物を培養する段階を含む、L-アルギニンの生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、LysE変異体、それを含むコリネバクテリウム属微生物及びそれを用いたL-アルギニン生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
L-アルギニン(L-arginine)は、肝機能促進剤、脳機能促進剤、総合アミノ酸製剤などの医薬用として用いられており、かまぼこ添加剤、健康飲料添加剤、高血圧患者の食塩代替用などの食品用としても最近脚光を浴びている物質である。
【0003】
産業的に利用可能な高濃度のL-アルギニンを生産するために、微生物を利用しようとする研究が持続的に行われており、グルタミン酸(glutamate)の生産菌株であるブレビバクテリウム(Brevibacterium)またはコリネバクテリウム(Corynebacterium)属微生物から誘導された変異株を利用する方法、細胞融合で生育改善されたアミノ酸生産菌株を利用する方法などが報告された。
【0004】
一方、リシンエクスポーターであるコリネバクテリウム属微生物のlysE(lysine expoter)がL-アルギニンも排出することが報告されているが(Bellmann A、et al,Microbiology、147:1765-1774,2001)、L-アルギニン生産をさらに増加させるための研究が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002-0045223号明細書
【特許文献2】米国特許第7662943号明細書
【特許文献3】米国特許第10584338号明細書
【特許文献4】米国特許第10273491号明細書
【特許文献5】大韓民国公開番号第10-2020-0136813号明細書
【特許文献6】米国特許第8034602号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Bellmann A、et al,Microbiology、147:1765-1774,2001
【非特許文献2】Pearson et al (1988) [Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85]:2444
【非特許文献3】Rice et al., 2000,Trends Genet.16:276-277
【非特許文献4】Needleman and Wunsch、1970,J.Mol.Biol.48:443-453
【非特許文献5】Devereux,J.,et al,Nucleic Acids Research 12:387 (1984)
【非特許文献6】Atschul,[S.] [F.,] [ET AL,J MOLEC BIOL 215]:403 (1990)
【非特許文献7】Guide to Huge Computers,Martin J.Bishop,[ED.,] Academic Press,San Diego、1994
【非特許文献8】[CARILLO ET AL.](1988) SIAM J Applied Math 48:1073
【非特許文献9】Smith and Waterman,Adv.Appl.Math (1981) 2:482
【非特許文献10】Schwartz and Dayhoff,eds.,Atlas Of Protein Sequence And Structure,National Biomedical Research Foundation,pp.353-358 (1979)
【非特許文献11】J.Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual、2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory press,Cold Spring Harbor,New York、1989
【非特許文献12】F.M.Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,New York、9.50-9.51,11.7-11.8
【非特許文献13】J Bacteriol.2002Dec;184(23):6602-14.
【非特許文献14】Nakashima N et al.,Bacterial cellular engineering by genome editing and gene silencing.Int J Mol Sci.2014;15(2):2773-2793
【非特許文献15】Sambrook et al.Molecular Cloning 2012
【非特許文献16】Weintraub,H.et al.,Antisense-RNA as a molecular tool for genetic analysis,Reviews - Trends in Genetics,Vol.1(1) 1986
【非特許文献17】Sitnicka et al.Functional Analysis of Genes.Advances in Cell Biology.2010,Vol.2.1-16
【非特許文献18】“Manual of Methods for General Bacteriology” by the American Society for Bacteriology (Washington D.C.,USA、1981)
【非特許文献19】van der Rest et al.,Appl Microbiol Biotechnol 52:541-545,1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、LysE変異体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願の目的は、配列番号1の50番目、153番目及び215番目の位置に対応するアミノ酸中のいずれか一つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された、LysE変異体を提供することにある。
【0009】
本出願の他の目的は、本出願のLysE変異体をコードするポリヌクレオチドを提供することにある。
【0010】
本出願のもう一つの目的は、本出願のLysE変異体またはそれをコードするポリヌクレオチドを含む微生物を提供することにある。
【0011】
本出願のもう一つの目的は、本出願の微生物を培養する段階を含むL-アルギニンの生産方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0012】
本出願の変異体を利用して微生物のL-アルギニン生産収率を増加させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これを具体的に説明すると、次の通りである。一方、本出願で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの異なる説明及び実施形態にも適用することができる。即ち、本出願で開示された様々な要素の全ての組合が本出願の範疇に属する。また、以下に記載される具体的な記述により本出願のカテゴリが制限されるとは見られない。また、本明細書の全体にわたって多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照として組み込まれ、本出願が属する技術分野の水準及び本出願の内容がより明確に説明される。
【0014】
本出願の一態様は、配列番号1の50番目、153番目及び215番目の位置に対応するアミノ酸中のいずれか一つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された、LysE変異体を提供する。
【0015】
本出願において「LysE」は、lysE遺伝子によりコードされるリシンエクスポーター(Lysine exporter)タンパク質を意味する。
【0016】
具体的には、前記LysEは、天然に発生するポリペプチドまたは野生型ポリペプチドであってもよく、その成熟ポリペプチドであってもよく、その変異体または機能的断片を含んでもよいが、本出願のLysE変異体の母体(parent)となることができる限り、制限なく含まれる。
【0017】
本出願のLysEは、公知のデータベースであるNCBIのGenbankからその配列を得ることができる。
【0018】
一つの具現例として、本出願のLysEは、コリネバクテリウム属(the genus Corynebacterium)由来であってもよい。その例として、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・スラナレアエ(Corynebacterium suranareeae)、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)、コリネバクテリウム・デセルティ(Corynebacterium deserti)、コリネバクテリウム・クルジラクチス(Corynebacterium crudilactis)、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム・パカエンセ(Corynebacterium pacaense)由来であってもよいが、これに制限されない。
【0019】
一つの具現例として、本出願のLysEは、配列番号1のポリペプチドであってもよい。一つの具現例として、本出願のLysEは、配列番号1のポリペプチドと約60%以上の配列同一性を有するポリペプチドであってもよく、配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチドと同一もしくは相当する活性を有する場合であれば、制限なくLysEタンパク質に含まれる。
【0020】
例えば、前記LysEは、配列番号1と少なくとも約65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%.87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%または99.5%以上の同一性を有するコリネバクテリウム属由来のタンパク質であってもよい。その例として、NCBI Accession No.WP_003854734.1、P94633.2、WP_040967332.1、WP_074494034.1、WP_038583742.1、WP_074506107.1、WP_015439467.1、WP_220313759.1、WP_077311917.1、WP_172768514.1、WP_096455559.1、WP_015651045.1、WP_053544699.1、WP_066565316.1、NLZ57487.1、Q8RQM4.2、BAC18167.1、WP_006769321.1、WP_191733757.1、WP_080795286.1、WP_197088449.1、WP_047252903.1、WP_221709738.1、WP_123048290.1、WP_042621270.1などのタンパク質が挙げられるが、これに制限されない。
【0021】
前述した具現例のいずれか一つの具現例として、本出願のLysEは、配列番号1で記載のアミノ酸配列を有するか、含むか、前記アミノ酸配列から必須で構成される(essentially consisting of)ものであってもよいが、同一の活性を有するポリペプチド/タンパク質は、制限なく含まれ得る。また、一部の配列が欠失、変形、置換または付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチド/タンパク質も、このような相同性または同一性を有し、L-リシン排出活性を示すポリペプチド/タンパク質であれば、本出願の変異の対象となるポリペプチド/タンパク質の範囲内に含まれることは自明である。
【0022】
本出願において用語、「相同性(homology)」または「同一性(identity)」とは、二つの与えられたアミノ酸配列または塩基配列相互間の類似の程度を意味し、百分率で表すことができる。用語の相同性及び同一性はしばしば互換的に使用することができる。
【0023】
保存された(conserved)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列相同性または同一性は、標準的な配列アルゴリズムにより決定され、使用されるプログラムにより確立されたデフォルトギャップペナルティを共に使用することができる。実質的に、相同性を有したり(homologous)または同一の(identical)配列は、一般に、配列の全体または一部分と中程度または高いストリンジェントな条件(stringent conditions)でハイブリダイゼーションすることができる。ハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチドにおける一般のコドンまたはコドン縮退性を考慮したコドンを含有するポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションも含まれることが自明である。
【0024】
任意の二つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が相同性、類似性または同一性を有するかどうかは、例えば、Pearson et al (1988) [Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85]:2444でのようなデフォルトパラメータを用いて「FASTA」プログラムなどの既知のコンピュータアルゴリズムを使用して決定することができる。または、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al., 2000,Trends Genet.16:276-277)(バージョン5.0.0または以降のバージョン)で行われるような、ニードルマン-ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(Needleman and Wunsch、1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を使用して決定することができる(GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.,et al,Nucleic Acids Research 12:387 (1984))、BLASTP,BLASTN,FASTA (Atschul,[S.] [F.,] [ET AL,J MOLEC BIOL 215]:403 (1990);Guide to Huge Computers,Martin J.Bishop,[ED.,] Academic Press,San Diego、1994、及び[CARILLO ET AL.](1988) SIAM J Applied Math 48:1073を含む)。例えば、国立生物工学情報データベース センターのBLASTまたはClustalWを利用して相同性、類似性または同一性を決定することができる。
【0025】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの相同性、類似性または同一性は、例えば、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math (1981)2:482において公知となっているように、例えば、Needleman et al.(1970)、J Mol Biol.48:443のようなGAPコンピュータプログラムを用いて配列情報を比較することにより決定することができる。要約すると、GAPプログラムは、2つの配列中、より短いものにおける記号の総数であり、類似の配列された記号(即ち、ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を除した値と定義することができる。GAPプログラムのためのデフォルトパラメータは、(1)二進法比較マトリックス(同一性のために1、そして非同一性のために0の値を含む)及びSchwartz and Dayhoff,eds.,Atlas Of Protein Sequence And Structure,National Biomedical Research Foundation,pp.353-358 (1979)により開示されているように、Gribskov et al(1986) Nucl.Acids Res.14:6745の加重比較マトリックス(またはEDNAFULL (NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス);(2)各ギャップのための3.0のペナルティ及び各ギャップにおいて各記号のための追加の0.10ペナルティ(またはギャップ開放ペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5);及び(3)末端ギャップのための無ペナルティを含むことができる。
【0026】
本出願において用語、「変異体(variant)」とは、一つ以上のアミノ酸が保存的置換(conservative substitution)及び/又は変形(modification)され、前記変異体の変異前のアミノ酸配列と異なるが、機能(functions)または特性(properties)が維持されるポリペプチドを指す。このような変異体は、一般に、前記ポリペプチドのアミノ酸配列中の一つ以上のアミノ酸を変形し、前記変形ポリペプチドの特性を評価して同定(identify)されてもよい。即ち、変異体の能力は、変異前のポリペプチドに比べて増加したり、変化しないか、または減少することができる。また、一部の変異体は、N-末端リーダー配列または膜貫通ドメイン(transmembrane domain)などの一つ以上の部分が除去された変異体を含んでもよい。他の変異体は、成熟タンパク質(mature protein)のN-及び/又はC-末端から一部分が除去された変異体を含んでもよい。前記用語「変異体」は、変異型、変形、変異型ポリペプチド、変異タンパク質、変異及び変異体などの用語(英文表現ではmodification,modified polypeptide,modified protein,mutant,mutein,divergentなど)を混用することができ、変異された意味で使用される用語であれば、これに制限されない。
【0027】
また、変異体は、ポリペプチドの特性と二次構造に最小の影響を有するアミノ酸の欠失または付加を含み得る。例えば、変異体のN-末端には、翻訳と同時に(co-translationally)または翻訳後に(post-translationally)タンパク質の移動(translocation)に関与するシグナル(またはリーダー)配列がコンジュゲートされてもよい。また、前記変異体は、確認、精製、または合成可能に、他の配列またはリンカーとコンジュゲートされてもよい。
【0028】
本出願で提供するLysE変異体は、配列番号1の50番目、153番目及び215番目の位置に対応するアミノ酸中のいずれか一つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。
【0029】
一例として、本出願のLysE変異体は、リシン排出活性を有する任意のポリペプチドまたはタンパク質において、配列番号1のN-末端から50番目、153番目及び215番目の位置に対応するアミノ酸中のいずれか一つ以上のアミノ酸の他のアミノ酸での置換を含む変異体であってもよい。
【0030】
前記「他のアミノ酸」は、置換前のアミノ酸と異なるアミノ酸であれば限定されない。一方、本出願において「特定アミノ酸が置換された」と表現する場合、他のアミノ酸で置換されたと特に表記しなくても、置換前のアミノ酸と異なるアミノ酸で置換されることは自明である。
【0031】
一つの具現例として、本出願の変異体は、比較(reference)タンパク質である配列番号1のアミノ酸配列において50番目の位置に対応するアミノ酸がフェニルアラニン以外のアミノ酸であるか/であり、153番目の位置に対応するアミノ酸がアスパラギン以外のアミノ酸であるか/であり、215番目の位置に対応するアミノ酸がアスパラギン以外のアミノ酸であってもよい。
【0032】
前述した具現例のいずれか一つの具現例として、前記変異体において配列番号1の50番目の位置に対応するアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、ヒスチジン及びアルギニンから選択されるものであってもよい。その例として、前記変異体の配列番号1の50番目の位置に対応するアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、トリプトファン及びプロリンから選択される非極性アミノ酸(nonpolar amino acid)であってもよい。その例として、前記変異体の配列番号1の50番目の位置に対応するアミノ酸は、バリン、ロイシン及びイソロイシンから選択される分岐鎖アミノ酸(branched amino acid)であってもよいが、これに制限されない。
【0033】
前述した具現例のいずれか一つの具現例として、前記変異体において配列番号1の153番目の位置に対応するアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、ヒスチジン及びアルギニンから選択されるものであってもよい。その例として、前記変異体の配列番号1の153番目の位置に対応するアミノ酸は、セリン、スレオニン、システイン、チロシン及びグルタミンから選択される極性アミノ酸(polar amino acid)であってもよい。その例として、前記変異体の配列番号1の153番目の位置に対応するアミノ酸は、セリン、スレオニンまたはグルタミンであってもよいが、これに制限されない。
【0034】
前述した具現例のいずれか一つの具現例として、前記変異体において配列番号1の215番目の位置に対応するアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、ヒスチジン及びアルギニンから選択されるものであってもよい。その例として、前記変異体の配列番号1の215番目の位置に対応するアミノ酸は、セリン、スレオニン、システイン、チロシン及びグルタミンから選択される極性アミノ酸(polar amino acid)であってもよい。その例として、前記変異体の配列番号1の153番目の位置に対応するアミノ酸は、セリン、スレオニンまたはグルタミンであってもよいが、これに制限されない。
【0035】
前述した具現例のいずれか一つの具現例として、本出願の変異体は、配列番号1のアミノ酸配列において50番目、153番目及び215番目のアミノ酸残基のいずれか一つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたものであってもよい。前述した具現例のいずれか一つの具現例として、本出願の変異体は、配列番号1のアミノ酸配列において50番目、153番目及び215番目のアミノ酸残基のいずれか一つのアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたものであってもよい。前記配列番号1のアミノ酸配列において50番目、153番目または215番目のアミノ酸残基の置換後のアミノ酸は、上述の配列番号1のアミノ酸配列において50番目、153番目または215番目の位置に対応するアミノ酸残基の置換後のアミノ酸と同様である。
【0036】
前述した具現例のいずれか一つの具現例として、本出願の変異体は、配列番号1のアミノ酸配列において50番目、153番目及び215番目のアミノ酸残基のいずれか一つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換され、配列番号1と少なくとも60%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%.87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%以上、100%未満の同一性を有することができる。
【0037】
前述した具現例のいずれか一つの具現例として、本出願の変異体は、配列番号27~35から選択されるアミノ酸配列からなるか、それと少なくとも60%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%.87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.5%、99.8%以上または100%の相同性または同一性を有するアミノ酸配列を有するか、含むか、前記アミノ酸配列から必須で構成される(essentially consisting of)ものであってもよいが、これに制限されない。
【0038】
また、そのような相同性または同一性を有し、本出願の変異体に対応する効能を示すアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、変形、置換、保存的置換または付加されたアミノ酸配列を有する変異体も本出願の範囲内に含まれることは自明である。
【0039】
例えば、前記アミノ酸配列のN-末端、C-末端及び/または内部に本出願の変異体の機能を変更しない配列の追加または欠失、自然に起こり得る突然変異、潜在性突然変異(silent mutation)または保存的置換を有する場合である。
【0040】
前記「保存的置換(conservative substitution)」とは、あるアミノ酸を類似の構造的及び/又は化学的性質を有する他のアミノ酸で置換させることを意味する。そのようなアミノ酸置換は、一般に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性(amphipathic nature)における類似性に基づいて起こり得る。通常、保存的置換はタンパク質またはポリペプチドの活性にほとんど影響を及ぼさないか、または影響を及ぼさなくてもよい。
【0041】
本出願において、用語「対応する(corresponding to)」とは、ポリペプチドで列挙される位置のアミノ酸残基であるか、またはポリペプチドで列挙される残基と類似または同一または相同のアミノ酸残基を指す。対応する位置のアミノ酸を確認することは、特定の配列を参照する配列の特定のアミノ酸を決定することであってもよい。本出願で使用される「対応する領域」は、一般に、関連タンパク質または比較(reference)タンパク質における類似または対応する位置を指す。
【0042】
例えば、任意のアミノ酸配列を配列番号1と整列(align)させ、これに基づいて、前記アミノ酸配列の各アミノ酸残基は、配列番号1のアミノ酸残基と対応するアミノ酸残基の数字の位置を参照して番号付けすることができる。例えば、本出願に記載されているような配列整列アルゴリズムは、クエリシーケンス(「参照配列」ともいう)に比べてアミノ酸の位置、または置換、挿入または欠失などの変形が発生する位置を確認することができる。
【0043】
このような整列には、例えば、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman及びWunsch、1970,J.Mol.Biol.48:443-453)、EMBOSSパッケージのNeedleプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al., 2000、Trends Genet.16:276-277)などを用いることができるが、これに制限されず、当業界に知られている配列整列プログラム、ペアワイズ配列(pairwise sequence)比較アルゴリズムなどを適宜用いることができる。
【0044】
本出願のもう一つの態様は、本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0045】
本出願において、用語、「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド単位体(monomer)が共有結合により長く鎖状につながったヌクレオチドの重合体(polymer)であり、一定の長さ以上のDNAまたはRNA鎖を意味する。
【0046】
本出願のポリヌクレオチドは、コドンの縮退性(degeneracy)またはタンパク質を発現させようとする生物において好まれるコドンを考慮し、アミノ酸配列を変化させない範囲内でコード領域に多様な変形が行われ得る。
【0047】
前述した具現例のいずれか一つの具現例として、本出願のポリヌクレオチドは、公知のデータベースであるNCBIのGenbankのlysE配列から得ることができる。
【0048】
具体的には、本出願のLysEタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチドは、配列番号2の配列と相同性または同一性が70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、及び100%未満である塩基配列を有するか、含むか、もしくは配列番号2の配列と相同性または同一性が70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、及び100%未満の塩基配列からなるか、または必須に構成されてもよいが、これらに制限されない。このとき、前記相同性または同一性を有する配列において、配列番号1の50番目の位置に対応するアミノ酸をコードするコドンは、フェニルアラニン以外のアミノ酸をコードするコドンのうちの一つであってもよく/あるか、153番目の位置に対応するアミノ酸をコードするコドンは、アスパラギン以外のアミノ酸をコードするコドンのうちの一つであってもよく/あるか、215番目の位置に対応するアミノ酸をコードするコドンは、アスパラギン以外のアミノ酸をコードするコドン(例えば、配列番号36~38)のうちの一つであってもよいが、これに制限されない。
【0049】
また、本出願のポリヌクレオチドは、公知の遺伝子配列から製造することができるプローブ、例えば、本出願のポリヌクレオチド配列の全体または一部に対する相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる配列であれば、制限なく含まれる。前記「ストリンジェントな条件(stringent condition)」とは、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。このような条件は、文献(J.Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual、2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory press,Cold Spring Harbor,New York、1989;F.M.Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,New York、9.50-9.51,11.7-11.8参照)に具体的に記載されている。例えば、相同性または同一性の高いポリヌクレオチド同士、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上の相同性または同一性を有するポリヌクレオチド同士ハイブリダイゼーションし、それより相同性または同一性の低いポリヌクレオチド同士ハイブリダイゼーションしない条件、または通常のサザンハイブリダイゼーション(southern hybridization)の洗浄条件である60℃、1XSSC、0.1% SDS、具体的には60℃、0.1XSSC、0.1% SDS、より具体的には68℃、0.1XSSC、0.1% SDSに相当する塩濃度及び温度で、1回、具体的に2回~3回洗浄する条件を列挙することができる。
【0050】
ハイブリダイゼーションは、たとえハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて塩基間のミスマッチ(mismatch)が可能であっても、二つの核酸が相補的配列を有することを要求する。用語、「相補的」は、互いにハイブリダイゼーション可能なヌクレオチド塩基間の関係を記述するのに使用される。例えば、DNAに関し、アデニンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。したがって、本出願のポリヌクレオチドは、また、実質的に類似の核酸配列だけでなく、全体配列に相補的な単離された核酸断片を含み得る。
【0051】
具体的には、本出願のポリヌクレオチドと相同性または同一性を有するポリヌクレオチドは、55℃のTm値でハイブリダイゼーション段階を含むハイブリダイゼーション条件を用い、上述の条件を用いて探知することができる。また、前記Tm値は、60℃、63℃または65℃であってもよいが、これに限定されるものではなく、その目的に応じて当業者により適宜調節することができる。
【0052】
前記ポリヌクレオチドをハイブリダイゼーションする適切なストリンジェンシーは、ポリヌクレオチドの長さ及び相補性程度に依存し、変数は当該技術分野においてよく知られている(例えば、J.Sambrook et al., 同上)。
【0053】
本出願のもう一つの態様は、LysE変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。前記LysE変異体及びそれをコードするポリヌクレオチドについては、前述の通りである。
【0054】
一つの具現例として、前記ベクターは、前記ポリヌクレオチドを宿主細胞で発現させるための発現ベクターであってもよいが、これに制限されない。
【0055】
本出願の「ベクター」は、適切な宿主内で目的ポリペプチドを発現させることができるように、適切な発現調節領域(または発現調節配列)に作動可能に連結された前記目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列を含むDNA製造物を含み得る。前記発現調節領域は、転写を開始し得るプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び解読の終結を調節する配列を含み得る。ベクターは、適切な宿主細胞内に形質変換された後、宿主ゲノムとは無関係に複製または機能することができ、ゲノム自体に統合することができる。
【0056】
本出願で使用されるベクターは、特に限定されず、当業界に知られている任意のベクターを利用することができる。通常使用されるベクターの例としては、天然状態または組換え状態のプラスミド、コスミド、ウイルス及びバクテリオファージを挙げることができる。例えば、ファージベクターまたはコスミドベクターとしてpWE15、M13、MBL3、MBL4、IXII、ASHII、APII、t10、t11、Charon4A、及びCharon21Aなどを用いることができ、プラスミドベクターとしてpDZ系、pBR系、pUC系、pBluescriptII系、pGEM系、pTZ系、pCL系及びpET系などを用いることができる。具体的には、pDZ、pDC、pDCM2、pACYC177、pACYC184、pCL、pECCG117、pUC19、pBR322、pMW118、pCC1BACベクターなどを用いることができる。
【0057】
一例として、細胞内における染色体挿入用ベクターを通じて目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを染色体内に挿入することができる。前記ポリヌクレオチドの染色体内への挿入は、当業界に知られている任意の方法、例えば、相同組換え(homologous recombination)により行われ得るが、これらに限定されない。前記染色体の挿入有無を確認するための選別マーカー(selection marker)をさらに含んでもよい。前記選別マーカーは、ベクターで形質変換された細胞を選別、即ち、目的核酸分子の挿入有無を確認するためのものであり、薬物耐性、栄養要求性、細胞毒性剤に対する耐性または表面ポリペプチドの発現のような選択可能表現型を付与するマーカーを使用することができる。選択剤(selective agent)が処理された環境では、選別マーカーを発現する細胞のみが生存するか、または他の表現形質を示すため、形質変換された細胞を選別することができる。
【0058】
本出願における用語「形質変換」とは、標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを宿主細胞または微生物内に導入し、宿主細胞内で前記ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドが発現できるようにすることを意味する。形質変換されたポリヌクレオチドは、宿主細胞内で発現できる限り、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置するか、または染色体外に位置するかに関係なく、それらの全部を含み得る。また、前記ポリヌクレオチドは、目的ポリペプチドをコードするDNA及び/又はRNAを含む。前記ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に導入されて発現できるものであれば、如何なる形態でも導入することができる。例えば、前記ポリヌクレオチドは、自体で発現するのに必要な全ての要素を含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入することができる。前記発現カセットは、通常、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結信号、リボソーム結合部位、及び翻訳終結信号を含み得る。前記発現カセットは、自己複製可能な発現ベクター形態であってもよい。また、前記ポリヌクレオチドは、それ自体の形態で宿主細胞に導入され、宿主細胞で発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであってもよく、これに制限されない。
【0059】
また、前記において用語「作動可能に連結」されたとは、本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドの転写を開始及び媒介させるプロモーター配列と前記ポリヌクレオチド配列が機能的に連結されていることを意味する。
【0060】
本出願のもう一つの態様は、LysE変異体または前記変異体をコードするポリヌクレオチドを含む微生物を提供する。前記LysE変異体及びそれをコードするポリヌクレオチドについては、前述の通りである。
【0061】
本出願の微生物は、本出願のLysE変異体、それをコードするポリヌクレオチド及び前記ポリヌクレオチドを含むベクターのいずれか一つ以上を含むことができる。
【0062】
本出願において、用語、「微生物(または、菌株)」とは、野生型微生物や天然または人為的に遺伝的変形が生じた微生物を全て含み、外部遺伝子が挿入されたり、または内在的遺伝子の活性が強化されたり、不活性化されるなどの原因により、特定の機構が弱化または強化された微生物であり、所望のポリペプチド、タンパク質または産物の生産のために遺伝的変形(modification)を含む微生物であってもよい。
【0063】
本出願の微生物は、本出願の変異体、本出願の変異体をコードするポリヌクレオチド及び本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターのいずれか一つ以上を含む微生物;本出願の変異体または本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドを発現するように変形された微生物;本出願の変異体、または本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドを発現する微生物(例えば、組換え菌株);または本出願の変異体活性を有する微生物(例えば、組換え菌株)であってもよいが、これに制限されない。
【0064】
本出願の微生物は、L-アルギニン排出能及び/又は生産能を有し得る。
【0065】
本出願の微生物は、天然にLysEタンパク質を発現するか、またはアルギニン排出能及び/又は生産能を有している微生物;またはLysEタンパク質またはアルギニン排出能及び/又は生産能のない親株に、本出願の変異体またはそれをコードするポリヌクレオチド(または前記ポリヌクレオチドを含むベクター)が導入されるか、及び/又はアルギニン排出能及び/又は生産能が与えられた微生物であってもよいが、これに制限されない。一例として、本出願の微生物は、本出願のLysE変異体が導入され、L-アルギニン排出能及び/又は生産能が増加した微生物であってもよい。しかし、これに制限されない。
【0066】
一例として、本出願の菌株は、本出願のポリヌクレオチドまたは本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターで形質変換され、本出願の変異体を発現する細胞または微生物であり、本出願の目的上、本出願の菌株は、本出願の変異体を含みL-アルギニンを排出または生産することができる全ての微生物を含み得る。例えば、本出願の菌株は、天然の野生型微生物、またはL-アルギニンを生産する微生物に本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドが導入されることによりLysE変異体が発現され、L-アルギニン排出能及び/又は生産能が増加した組換え菌株であってもよい。前記L-アルギニン排出能及び/又は生産能が増加した組換え菌株は、天然の野生型微生物またはLysE非変形微生物(即ち、野生型LysE(配列番号1)を発現する微生物;または変異型LysEタンパク質を発現しない微生物)に比べてL-アルギニン排出能及び/又は生産能が増加した微生物であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0067】
本出願において用語、「非変形微生物」とは、微生物に自然に生じ得る突然変異を含む菌株を除外するものではなく、野生型菌株または天然型菌株自体であるか、自然的または人為的要因による遺伝的変異で形質変化する前の菌株を意味する。例えば、前記非変形微生物は、本明細書に記載のLysE変異体が導入されないか、または導入される前の菌株を意味する。前記「非変形微生物」は「変形前の菌株」、「変形前の微生物」、「非変異菌株」、「非変形菌株」、「非変異微生物」または「基準微生物」と混用され得る。
【0068】
一つの具現例として、本出願の微生物はコリネバクテリウム属微生物であってもよい。例えば、本出願の微生物は、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・スタチオニス(Corynebacterium stationis)、コリネバクテリウム・クルジラクチス(Corynebacterium crudilactis)、コリネバクテリウム・デセルティ(Corynebacterium deserti)、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)、コリネバクテリウム・シングラレ(Corynebacterium singulare)、コリネバクテリウム・ハロトレランス(Corynebacterium halotolerans)、コリネバクテリウム・ストリアツム(Corynebacterium striatum)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム・ポルティソリ(Corynebacterium pollutisoli)、コリネバクテリウム・イミタンス(Corynebacterium imitans)、コリネバクテリウム・テスツディノリス(Corynebacterium testudinoris)またはコリネバクテリウム・フラベッセンス(Corynebacterium flavescens)であってもよい。具体的には、コリネバクテリウム・グルタミカムであってもよいが、これに制限されない。
【0069】
本出願のL-アルギニンを排出及び/又は生産する微生物は、本明細書で開示したLysE変異体を含み、目的とするL-アルギニンの生産能及び/又は排出能が増加したことを特徴とすることができる。
【0070】
前述した具現例のいずれか一つの具現例として、本出願においてL-アルギニンを生産及び/又は排出する微生物またはL-アルギニンを生産及び/又は排出能を有する微生物は、L-アルギニン生合成経路内の遺伝子の一部が強化または弱化されたり、またはL-アルギニン分解経路内の遺伝子の一部が強化または弱化された微生物であってもよい。
【0071】
前述した具現例のいずれか一つの具現例として、前記微生物は、L-アルギニン生合成経路内遺伝子の遺伝子の一部が強化または弱化された微生物であってもよい。L-アルギニン生合成酵素の例には、N-アセチルグルタミルホスフェートレダクターゼ(argC)、オルニチンアセチルトランスフェラーゼ(argJ)、N-アセチルグルタメートキナーゼ(argB)、アセチルオルニチントランスアミナーゼ(argD)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ(argF)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(argG)、アルギニノコハク酸リアーゼ(argH)、及びカルバモイルホスフェートシンテターゼ(carAB)を含む。Argオペロン(argCJBDFRGH)上に存在するアルギニン生合成酵素は、argRによりコードされたアルギニンリプレッサーにより調節することができる(J Bacteriol.2002Dec;184(23):6602-14.)。したがって、アルギニンリプレッサー(argR)の欠損または弱化(US2002-0045223)及び/又は前記生合成関連の遺伝子の一つ以上の遺伝子を過剰発現させることにより、L-アルギニン生産能力を付与または増進させることができる。例えば、前記アルギニンリプレッサーは、配列番号39のアミノ酸配列で表示されるポリペプチドであってもよいが、これに制限されない。
【0072】
本出願における用語、ポリペプチド活性の「弱化」は、内在的活性に比べて活性が減少したりまたは活性がないことを全て含む概念である。前記弱化は、不活性化(inactivation)、欠乏(deficiency)、下方制御(down-regulation)、減少(decrease)、低下(reduce)、減衰(attenuation)などの用語と混用され得る。
【0073】
前記弱化は、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの変異などにより、ポリペプチド自体の活性が本来微生物が有しているポリペプチドの活性に比べて減少または除去された場合、それをコードするポリヌクレオチドの遺伝子の発現阻害またはポリペプチドへの翻訳(translation)阻害などにより細胞内で全体的なポリペプチド活性程度及び/又は濃度(発現量)が天然型菌株に比べて低い場合、前記ポリヌクレオチドの発現が全く行われていない場合、及び/又はポリヌクレオチドの発現にもかかわらず、ポリペプチドの活性がない場合も含むことができる。前記「内在的活性」とは、天然または人為的要因による遺伝的変異により形質が変化した場合、形質変化前の親株、野生型または非変形微生物が本来有していた特定のポリペプチドの活性を意味する。これは、「変形前の活性」と混用され得る。ポリペプチドの活性が内在的活性に比べて「不活性化、欠乏、減少、下方制御、低下、減衰」するということは、形質変化前の親株または非変形微生物が本来有していた特定のポリペプチドの活性に比べて低下したことを意味する。
【0074】
そのようなポリペプチドの活性の弱化は、当業界に知られた任意の方法により行うことができるが、これらに制限されるものではなく、当該分野においてよく知られている様々な方法の適用により達成することができる(例えば、Nakashima N et al.,Bacterial cellular engineering by genome editing and gene silencing.Int J Mol Sci.2014;15(2):2773-2793,Sambrook et al.Molecular Cloning 2012など)。
【0075】
具体的には、本出願のポリペプチドの弱化は、
1)ポリペプチドをコードする遺伝子の全部または一部の欠損;
2)ポリペプチドをコードする遺伝子の発現が減少するように発現調節領域(または発現調節配列)の変形;
3)ポリペプチドの活性が除去または弱化されるように、前記ポリペプチドを構成するアミノ酸配列の変形(例えば、アミノ酸配列上の1以上のアミノ酸の削除/置換/付加);
4)ポリペプチドの活性が除去または弱化されるように、前記ポリペプチドをコードする遺伝子配列の変形(例えば、ポリペプチドの活性が除去または弱化されるように変形されたポリペプチドをコードするように、前記ポリペプチド遺伝子の核酸塩基配列上の1以上の核酸塩基の削除/置換/付加);
5)ポリペプチドをコードする遺伝子転写体の開始コドンまたは5’-UTR領域をコードする塩基配列の変形;
6)ポリペプチドをコードする前記遺伝子の転写体に相補的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスRNA)の導入;
7)リボソーム(ribosome)の付着が不可能な二次構造物を形成させるためにポリペプチドをコードする遺伝子のシャイン・ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列の前にシャイン・ダルガノ配列と相補的な配列の付加;
8)ポリペプチドをコードする遺伝子配列のORF(open reading frame)の3’末端に反対方向に転写されるプロモーターの付加(Reverse transcription engineering,RTE);または
9)前記1)~8)から選択された2以上の組み合わせであってもよいが、これに特に制限されるものではない。
【0076】
例えば、
前記1)ポリペプチドをコードする前記遺伝子の一部または全体の欠損は、染色体内の内在的目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド全体の除去、一部のヌクレオチドが欠失したポリヌクレオチドへの交換、またはマーカー遺伝子への交換であってもよい。
【0077】
また、前記2)発現調節領域(または発現調節配列)の変形は、欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、またはこれらの組み合わせで発現調節領域(または発現調節配列)上の変異が発生、またはさらに弱い活性を有する配列への交換であってもよい。前記発現調節領域には、プロモーター、オペレーター配列、リボソーム結合部位をコードする配列、及び転写と解読の終結を調節する配列を含むが、これに限定されるものではない。
【0078】
また、前記3)及び4)のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の変形は、ポリペプチドの活性を弱化するように、前記ポリペプチドのアミノ酸配列または前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、またはそれらの組み合わせで、配列上の変異の発生、またはより弱い活性を有するように改良されたアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列もしくは活性がないように改良されたアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列への交換であってもよいが、これに限定されるものではない。例えば、ポリヌクレオチド配列内の変異を導入して終結コドンを形成させることにより、遺伝子の発現を阻害または弱化させることができるが、これに制限されない。
【0079】
また、前記5)ポリペプチドをコードする遺伝子転写体の開始コドンまたは5’-UTR領域をコードする塩基配列の変形は、例えば、内在的開始コドンに比べてポリペプチド発現率がより低い他の開始コドンをコードする塩基配列で置換するものであってもよいが、これらに制限されない。
【0080】
前記6)ポリペプチドをコードする前記遺伝子の転写体に相補的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスRNA)の導入は、例えば、文献[Weintraub,H.et al.,Antisense-RNA as a molecular tool for genetic analysis,Reviews - Trends in Genetics,Vol.1(1) 1986]を参照することができる。
【0081】
前記7)リボソーム(ribosome)の付着が不可能な二次構造物を形成させるために、ポリペプチドをコードする遺伝子のシャイン・ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列の前にシャイン・ダルガノ配列と相補的な配列の付加はmRNA翻訳を不可能にするか、または速度を低下させるものであってもよい。
【0082】
前記8)ポリペプチドをコードする遺伝子配列のORF(open reading frame)の3’の末端に反対方向に転写されるプロモーターの付加(Reverse transcription engineering,RTE)は、前記ポリペプチドをコードする遺伝子の転写体に相補的なアンチセンスヌクレオチドを作って活性を弱化するものであってもよい。
【0083】
本出願において用語、ポリペプチド活性の「強化」とは、ポリペプチドの活性が内在的活性に比べて増加することを意味する。前記強化は、活性化(activation)、上方制御(up-regulation)、過剰発現(overexpression)、増加(increase)などの用語と混用され得る。ここで、活性化、強化、上方制御、過剰発現、増加は、本来有していなかった活性を示すこと、または内在的活性または変形前の活性に比べて向上した活性を示すようになることを全て含むことができる。前記「内在的活性」とは、天然または人為的要因による遺伝的変異で形質が変化する場合、形質変化前の親株または非変形微生物が本来有していた特定のポリペプチドの活性を意味する。これは、「変形前の活性」と混用され得る。ポリペプチドの活性が、内在的活性に比べて「強化」、「上方制御」、「過剰発現」または「増加」するとは、形質変化前の親株または非変形微生物が本来有していた特定のポリペプチドの活性及び/又は濃度(発現量)に比べて向上したことを意味する。
【0084】
前記強化は、外来のポリペプチドを導入するか、または内在的なポリペプチドの活性強化及び/又は濃度(発現量)を通じて達成することができる。前記ポリペプチドの活性の強化有無は、当該ポリペプチドの活性度、発現量または当該ポリペプチドから排出される産物の量の増加から確認することができる。
【0085】
前記ポリペプチドの活性の強化は、当該分野においてよく知られた様々な方法の適用が可能であり、目的のポリペプチドの活性を変形前の微生物より強化させることができる限り、制限されない。具体的には、分子生物学の日常的な方法である当業界の通常の技術者によく知られた遺伝子工学及び/又はタンパク質工学を利用したものであってもよいが、これで制限されない(例えば、Sitnicka et al.Functional Analysis of Genes.Advances in Cell Biology.2010,Vol.2.1-16,Sambrook et al.Molecular Cloning 2012など)。
【0086】
具体的には、本出願のポリペプチドの強化は、
1)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの細胞内コピー数の増加;
2)ポリペプチドをコードする染色体上の遺伝子発現調節領域を活性の強力な配列で交換;
3)ポリペプチドをコードする遺伝子転写体の開始コドンまたは5’-UTR領域をコードする塩基配列の変形;
4)ポリペプチド活性が強化するように、前記ポリペプチドのアミノ酸配列の変形;
5)ポリペプチド活性が強化するように前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の変形(例えば、ポリペプチドの活性が強化するように変形されたポリペプチドをコードするように前記ポリペプチド遺伝子のポリヌクレオチド配列の変形);
6)ポリペプチドの活性を示す外来ポリペプチドまたはそれをコードする外来ポリヌクレオチドの導入;
7)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのコドン最適化;
8)ポリペプチドの三次構造を分析して露出部位を選択して変形するか、または化学的に修飾;または
9)前記1)~8)から選択された2以上の組み合わせであってもよいが、これに特に制限されるものではない。
【0087】
より具体的には、
前記1)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの細胞内コピー数の増加は、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが作動可能に連結された、宿主とは無関係に複製して機能し得るベクターの宿主細胞内への導入により達成されるものであってもよい。または、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、宿主細胞内の染色体内に1コピーまたは2コピー以上の導入により達成されるものであってもよい。前記染色体内への導入は、宿主細胞内の染色体内に前記ポリヌクレオチドを挿入することができるベクターが宿主細胞内に導入されることにより行うことができるが、これらに制限されない。前記ベクターは、前述の通りである。
【0088】
前記2)ポリペプチドをコードする染色体上の遺伝子発現調節領域(または発現調節配列)を活性の強力な配列での交換は、例えば、前記発現調節領域の活性をさらに強化するように欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、またはこれらの組み合わせにより配列上の変異の発生、またはより強い活性を有する配列への交換であってもよい。前記発現調節領域は、特にこれに制限されないが、プロモーター、オペレーター配列、リボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写及び解読の終結を調節する配列などを含み得る。一例として、本来のプロモーターを強力なプロモーターと交換させることであってもよいが、これらに制限されない。
【0089】
公知の強力なプロモーターの例としては、CJ1~CJ7プロモーター(米国登録特許US 7662943 B2)、lacプロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、ラムダファージPRプロモーター、PLプロモーター、tetプロモーター、gapAプロモーター、SPL7プロモーター、SPL13(sm3)プロモーター(米国登録特許US 10584338 B2)、O2プロモーター(米国登録特許US 10273491 B2)、tktプロモーター、yccAプロモーターなどがあるが、これらに制限されない。
【0090】
前記3)ポリペプチドをコードする遺伝子転写体の開始コドンまたは5’-UTR領域をコードする塩基配列の変形は、例えば、内在的開始コドンに比べてポリペプチド発現率がより高い他の開始コドンをコードする塩基配列で置換することであってもよいが、これらに制限されない。
【0091】
前記4)及び5)のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の変形は、ポリペプチドの活性を強化するように、前記ポリペプチドのアミノ酸配列または前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、またはこれらの組み合わせにより配列上の変異の発生、またはより強い活性を有するように改良されたアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列もしくは活性が増加するように改良されたアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列への交換であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記交換は、具体的には、相同組換えによりポリヌクレオチドを染色体内に挿入することにより行うことができるが、これらに制限されない。このときに使用されるベクターは、染色体の挿入有無を確認するための選別マーカー(selection marker)をさらに含んでもよい。前記選別マーカーは、前述の通りである。
【0092】
前記6)ポリペプチドの活性を示す外来ポリヌクレオチドの導入は、前記ポリペプチドと同一/類似の活性を示すポリペプチドをコードする外来ポリヌクレオチドの宿主細胞内の導入であってもよい。前記外来ポリヌクレオチドは、前記ポリペプチドと同一/類似の活性を示す限り、その由来や配列に制限はない。前記導入に用いられる方法は、公知の形質変換方法を当業者が適宜選択して行うことができ、宿主細胞内で前記導入されたポリヌクレオチドが発現されることによりポリペプチドが生成し、その活性が増加され得る。
【0093】
前記7)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのコドン最適化は、内在ポリヌクレオチドが宿主細胞内で転写または翻訳が増加するようにコドン最適化したものであるか、または外来ポリヌクレオチドが宿主細胞内で最適化された転写、翻訳が行われるようにそのコドンを最適化したものであってもよい。
【0094】
前記8)ポリペプチドの三次構造を分析して露出部位を選択して変形または化学的に修飾することは、例えば、分析しようとするポリペプチドの配列情報を既知のタンパク質の配列情報が格納されたデータベースと比較することにより、配列の類似性の程度にしたがって、鋳型タンパク質候補を決定し、それに基づいて構造を確認し、変形または化学的に修飾する露出部位を選択して変形または修飾することであってもよい。
【0095】
このようなポリペプチド活性の強化は、対応するポリペプチドの活性または濃度発現量が野生型や変形前の微生物菌株で発現されたポリペプチドの活性または濃度を基準にして増加するか、または当該ポリペプチドから生産される産物の量が増加することであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0096】
本出願の微生物においてポリヌクレオチドの一部または全体の変形は、(a)微生物内の染色体挿入用ベクターを用いた相同組換えまたは遺伝子はさみ(engineered nuclease,e.g.,CRISPR-Cas9)を用いたゲノム編集及び/又は(b)紫外線及び放射線などのような光及び/又は化学物質処理により誘導されてもよいが、これらに制限されない。前記遺伝子の一部または全体の変形方法には、DNA組換え技術による方法を含むことができる。例えば、目的遺伝子と相同性のあるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列またはベクターを前記微生物に注入して相同組換え(homologous recombination)を起こさせるようにして、遺伝子の一部または全体の欠損がなされ得る。前記注入されるヌクレオチド配列またはベクターは、優性選別マーカーを含んでもよいが、これらに制限されるものではない。
【0097】
本出願のもう一つの態様は、LysE変異体またはそれをコードするポリヌクレオチドを含む微生物を培養する段階を含むL-アルギニン生産方法を提供する。
【0098】
前記LysE変異体、それをコードするポリヌクレオチド及びそれを含む微生物、L-アルギニンについては、前述の通りである。
【0099】
本出願のL-アルギニン生産方法は、本明細書に記載のLysE変異体またはそれをコードするポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドを含むベクターを含む微生物を培地で培養する段階を含んでもよい。
【0100】
本出願において、用語「培養」とは、本出願の微生物を適切に調節された環境条件で生育させることを意味する。本出願の培養過程は、当業界に知られている適当な培地と培養条件に応じて行うことができる。このような培養過程は、選択される菌株に応じて当業者が容易に調整して使用することができる。具体的には、前記培養は、回分式、連続式及び/又は流加式であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0101】
本出願において、用語「培地」とは、本出願の微生物を培養するために必要とする栄養物質を主成分として混合した物質を意味し、生存及び発育に不可欠な水をはじめとする栄養物質及び発育因子などを供給する。具体的には、本出願の微生物の培養に用いられる培地及びその他の培養条件は、通常の微生物の培養に使用される培地であれば、特別に制限なくいずれも使用できるが、本出願の微生物を適当な炭素源、窒素源、リン源、無機化合物、アミノ酸及び/又はビタミンなどを含有する通常の培地内で好気性条件下で温度、pHなどを調節しながら培養することができる。
【0102】
例えば、コリネバクテリウム属菌株に対する培養培地は、文献[“Manual of Methods for General Bacteriology” by the American Society for Bacteriology (Washington D.C.,USA、1981)]で見ることができる。
【0103】
本出願において、前記炭素源としては、グルコース、サッカロース、ラクトース、フルクトース、スクロース、マルトースなどのような炭水化物;マンニトール、ソルビトールなどのような糖アルコール、ピルビン酸、乳酸、クエン酸などのような有機酸;グルタミン酸、メチオニン、リシンなどのようなアミノ酸などを含むことができる。また、澱粉加水分解物、糖蜜、ブラックストラップ糖蜜、米ぬか、キャッサバ、バガス及びトウモロコシ浸漬液のような天然の有機栄養源を用いることができ、具体的には、グルコース及び殺菌された前処理糖蜜(即ち、還元糖に転換された糖蜜)などのような炭水化物を使用することができ、その他の適正量の炭素源を制限なく多様に利用することができる。これらの炭素源は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよく、これに限定されるものではない。
【0104】
前記窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのような無機窒素源;グルタミン酸、メチオニン、グルタミンなどのようなアミノ酸、ペプトン、NZ-アミン、肉類抽出物、酵母抽出物、麦芽抽出物、トウモロコシ浸漬液、カゼイン加水分解物、魚類またはその分解生成物、脱脂大豆ケーキまたはその分解生成物などのような有機窒素源が使用され得る。これらの窒素源は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよく、これに限定されるものではない。
【0105】
前記リン源としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、またはそれに対応するナトリウム含有塩などが含まれ得る。無機化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化鉄、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸マンガン、炭酸カルシウムなどを使用することができ、それ以外にアミノ酸、ビタミン及び/又は適切な前駆体などが含まれ得る。これらの構成成分または前駆体は、培地に回分式または連続式で添加され得る。しかし、これに限定されるものではない。
【0106】
また、本出願の微生物の培養中に水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸、硫酸などのような化合物を培地に適切な方式で添加し、培地のpHを調整することができる。また、培養中は脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を用いて気泡生成を抑制することができる。また、培地の好気状態を維持するために、培地内に酸素または酸素含有気体を注入したり、嫌気及び微好気状態を維持するために、気体の注入なしに、あるいは窒素、水素または二酸化炭素ガスを注入することができ、これに限定されるものではない。
【0107】
本出願の培養において、培養温度は20~45℃、具体的には25~40℃を維持することができ、約10~160時間培養することができるが、これに限定されるものではない。
【0108】
本出願の培養により生成されたL-アルギニンは、培地中に分泌されるか、または細胞内に残存する。
【0109】
本出願のL-アルギニン生産方法は、例えば、前記培養する段階以前に、本出願の微生物を準備する段階、前記微生物を培養するための培地を準備する段階、またはこれらの組み合わせを、さらに含むことができる(順は無関係、in any order)。
【0110】
本出願のL-アルギニン生産方法は、前記培養による培地(培養が行われた培地)または前記微生物からL-アルギニンを回収する段階をさらに含むことができる。前記回収する段階は、前記培養する段階の後にさらに含むことができる。
【0111】
前記回収は、本出願の微生物の培養方法、例えば、回分式、連続式または流加式培養方法などにより当該技術分野において公知となった適切な方法を利用して所望のL-アルギニンを収集(collect)することであってもよい。例えば、遠心分離、濾過、結晶化タンパク質沈殿剤による処理(塩析法)、抽出、超音波破砕、限外濾過、透析法、モレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィー、HPLCまたはそれらの方法を組み合わせて使用することができ、当該分野において公知となった適切な方法を用いて培地または微生物から所望のL-アルギニンを回収することができる。
【0112】
また、本出願のL-アルギニン生産方法は、さらに精製段階を含んでもよい。前記精製は、当該技術分野において公知となった適切な方法を用いて行うことができる。一例として、本出願のL-アルギニン生産方法が回収段階と精製段階の両方を含む場合、前記回収段階と精製段階は、順序に関係なく連続的または非連続的に行われるか、または同時にまたは一つの段階に統合されて行うことができるが、これに制限されるものではない。
【0113】
本出願の方法において、LysE変異体、ポリヌクレオチド、ベクター、微生物/菌株などは、前記他の様態で記載した通りである。
【0114】
本出願のもう一つの態様は、本出願のLysE変異体、前記変異体をコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、または本出願のポリヌクレオチドを含む微生物;これを培養した培地;またはそれらの組み合わせを含むL-アルギニン生産用組成物を提供することである。
【0115】
本出願の組成物は、L-アルギニン生産用組成物に通常使用される任意の適切な賦形剤をさらに含むことができ、そのような賦形剤は、例えば、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤または等張化剤などであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0116】
本出願の組成物において、LysE変異体、ポリヌクレオチド、ベクター、微生物/菌株、培地などは、前記他の様態で記載した通りである。
【0117】
本出願のもう一つの態様は、本出願のLysE変異体を発現するように微生物を変形する段階を含む、微生物のL-アルギニン排出能及び/又は生産能の増加方法または前記微生物にL-アルギニン排出能及び/又は生産能の付与方法を提供する。
【0118】
本出願の微生物のL-アルギニン生産能を増加させる方法において、変異体、ポリヌクレオチド、ベクター、微生物/菌株などは、前記他の様態で記載した通りである。
【0119】
前記微生物の変形方法は、LysE変異体、それをコードするポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドを含む組換えベクターを微生物に導入する段階を含むことができる。しかし、これに制限されず、変形方法は、本明細書に開示の方法を含めて当業界において公知となった方法を制限なく使用することができる。
【0120】
本出願のもう一つの態様は、本出願のLysE変異体のL-アルギニン排出用途を提供する。
【0121】
本出願のもう一つの態様は、本出願のLysE変異体、前記変異体をコードするポリヌクレオチド及び前記ポリヌクレオチドを含むベクター中の1つ以上を含む微生物のL-アルギニン生産用途を提供する。
【0122】
前記LysE変異体、ポリヌクレオチド、ベクター、微生物については、前記他の様態で記載した通りである。
【0123】
以下、本出願を実施例及び実験例を通じてより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例及び実験例は本出願を例示的に説明するためのものであり、本出願の範囲がこれらの実施例及び実験例に限定されるものではない。
【0124】
実施例1.LysEの50番目、153番目、215番目のアミノ酸残基が置換された多様な変異体の確保
本発明者らは、配列番号1の50番目、153番目、215番目のアミノ酸残基がLysEの活性に重要な位置であると判断し、当該アミノ酸残基が他のアミノ酸で置換された変異体を製作した。具体的には、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13869のゲノムDNAを鋳型として表1のプライマー対(配列番号3及び5、配列番号4及び6、配列番号3及び7、配列番号4及び8、配列番号3及び9、配列番号4及び10、配列番号3及び11、配列番号4及び12、配列番号3及び13、配列番号4及び14、配列番号3及び15、配列番号4及び16、配列番号3及び17、配列番号4及び18、配列番号3及び19、配列番号4及び20、配列番号3及び21、配列番号4及び22)を利用したPCR及び配列番号3及び4のプライマー対を用いたオーバーラッピング(overlapping) PCRを行い、それぞれのLysE-F50L、F50I、F50V、N153S、N153T、N153Q、N215T、N215S、N215Q変異配列を有する相同組換え断片を得た。その時、PCR反応は、95℃、30秒変性;55℃、30秒アニーリング;及び72℃、 1分伸張過程を30回繰り返して行った。その後、コリネバクテリウム・グルタミカム内で複製が不可能なpDCM2 (大韓民国公開番号第10-2020-0136813号)ベクターとPCRで増幅された前記断片を染色体導入用制限酵素BamHIとXbaIで処理した後、DNA接合酵素を利用して連結した後、大腸菌DH5αに形質変換し、カナマイシン(25mg/l)が含まれたLB固体培地に塗抹した。
【0125】
【0126】
PCRを通じて前記所望の遺伝子が挿入されたプラスミドに形質変換されたコロニーを選別した後、プラスミド抽出法を利用してプラスミドを獲得し、そのプラスミドをそれぞれpDCM2-lysE(F50L)、pDCM2-lysE(F50I)、pDCM2-lysE(F50V)、pDCM2-lysE(N153S)、pDCM2-lysE(N153T)、pDCM2-lysE(N153Q)、pDCM2-lysE(N215T)、pDCM2-lysE(N215S)、pDCM2-lysE(N215Q)と命名した。
【0127】
実施例2.コリネバクテリウム・グルタミカムKCCM10741P由来のLysE変異体導入菌株の製作及びL-アルギニン生産能の評価
L-アルギニン生産菌株であるコリネバクテリウム・グルタミカムKCCM10741P(US 8034602 B2)にLysE変異を導入するために、前記製作された組換えプラスミドを用いて形質転換させた(van der Rest et al.,Appl Microbiol Biotechnol 52:541-545,1999)。次いで、4%のスクロースを含む固体平板培地で2次組換えを行い、2次組換えが完了した形質転換株を対象にプライマー対(配列番号3及び4)を利用してPCRを行って染色体上LysE遺伝子にそれぞれの変異が導入されたことを確認した。その時、PCR反応は95℃、30秒変性;55℃、30秒アニーリング;及び72℃、1分伸張過程を30回繰り返して行った。これから選別されたLysE変異体導入菌株をそれぞれKCCM10741P-lysE(F50L)、KCCM10741P-lysE(F50I)、KCCM10741P-lysE(F50V)、KCCM10741P-lysE(N153S)、KCCM10741P-lysE(N153T)、KCCM10741P-lysE(N153Q)、KCCM10741P-lysE(N215T)、KCCM10741P-lysE(N215S)、KCCM10741P-lysE(N215Q)と命名した。
【0128】
前記LysE変異体導入菌株のL-アルギニン生産能を分析するために、親株であるコリネバクテリウム・グルタミカムKCCM10741P菌株と共に以下の方法で培養した。
【0129】
下記種培地25mlを含有する250mlのコーナーバッフルフラスコに親株であるコリネバクテリウム・グルタミカムKCCM10741Pと前記製作されたLysE変異体菌株を接種し、30℃で20時間、200rpmで振盪培養した。その後、生産培地24mlを含有する250mlのコーナーバッフルフラスコに1mlの種培養液を接種し、30℃で72時間、200rpmで振盪培養した。前記種培地と生産培地の組成は、それぞれ下記の通りである。
【0130】
<種培地(pH7.2)>
ブドウ糖20g、硫酸アンモニウム45g、硫酸マグネシウム7水塩2g、第一リン酸カリウム2g、塩化アンモニウム10g、ビオチン0.01mg、チアミン-HCl 0.1mg、パントテン酸カルシウム2mg、ニコチンアミド3mg、硫酸第1鉄10mg、硫酸マンガン10mg、硫酸亜鉛0.02mg、硫酸銅0.5mg(蒸溜水1リットル基準)
【0131】
<生産培地(pH7.2)>
ブドウ糖60g、硫酸アンモニウム45g、硫酸マグネシウム7水塩2g、第一リン酸カリウム2g、塩化アンモニウム10g、ビオチン0.01mg、チアミン-HCl 0.1mg、パントテン酸カルシウム2mg、ニコチンアミド3mg、硫酸第1鉄10mg、硫酸マンガン10mg、硫酸亜鉛0.02mg、硫酸銅0.5mg、炭酸カルシウム30g(蒸溜水1リットル基準)
【0132】
培養終了後、HPLC (Waters 2478)によりL-アルギニンの生産能を測定した(表2)。
【0133】
【0134】
その結果、前記LysE変異体導入菌株の全てで親株に比べてL-アルギニン生産能が平均20%増加することを確認した。
【0135】
実施例3.L-アルギニン生産能を有するコリネバクテリウム・グルタミカムCJ1R由来のLysE変異体導入菌株の製作及びL-アルギニン生産能の評価
L-アルギニンを生産する他のコリネバクテリウム・グルタミカム菌株でも実施例2と同様な効果があるかを下記のように確認した。
【0136】
野生株(ATCC13869)に1種の変異(ΔargR)を導入してL-アルギニン生産能を有するコリネバクテリウム・グルタミカム菌株を製作した。具体的には、前記遺伝子argR(配列番号40)の欠損のための組換えベクターを前記実施例1と同様の方法で製作し、ベクターの製作に用いられたプライマーは、表3の通りである。
【0137】
【0138】
PCRを通じて前記目的の断片が挿入されたプラスミドに選別した後、そのプラスミドをpDCM2-ΔargRと命名した。pDCM2-ΔargRを用いてコリネバクテリウム・グルタミカム野生株を前記実施例2と同様な方法で形質転換させ、形質転換株を対象にプライマー対(配列番号23及び26)を利用したPCRを通じて染色体上でargRが欠損した菌株を確認し、CJ1Rと命名した。
【0139】
CJ1Rに前記実施例2と同様な方法で9種のLysE変異体がそれぞれ導入された変異株を製作し、それぞれCJ1R-lysE(F50L)、CJ1R-lysE(F50I)、CJ1R-lysE(F50V)、CJ1R-lysE(N153S)、CJ1R-lysE(N153T)、CJ1R-lysE(N153Q)、CJ1R-lysE(N215T)、CJ1R-lysE(N215S)、CJ1R-lysE(N215Q)と命名した。
【0140】
CJ1R由来のLysE変異体導入菌株のL-アルギニン生産能を分析するために、前記実施例2と同様の方法で培養し、培養終了後、HPLC(Waters 2478)によりL-アルギニンの生産能を測定した(表4)。
【0141】
【0142】
その結果、変異体LysE導入菌株の全てで親株に比べてL-アルギニン生産能が平均19%増加していることを確認した。
【0143】
以上の説明から、本出願が属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本出願の範囲は前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本出願の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【0144】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
前述した具現例のいずれか一つの具現例として、前記変異体において配列番号1の215番目の位置に対応するアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、ヒスチジン及びアルギニンから選択されるものであってもよい。その例として、前記変異体の配列番号1の215番目の位置に対応するアミノ酸は、セリン、スレオニン、システイン、チロシン及びグルタミンから選択される極性アミノ酸(polar amino acid)であってもよい。その例として、前記変異体の配列番号1の215番目の位置に対応するアミノ酸は、セリン、スレオニンまたはグルタミンであってもよいが、これに制限されない。
【国際調査報告】